JP2002027947A - 未利用資源植物茎葉の有効活用とその製造方法 - Google Patents

未利用資源植物茎葉の有効活用とその製造方法

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JP2002027947A
JP2002027947A JP2000251650A JP2000251650A JP2002027947A JP 2002027947 A JP2002027947 A JP 2002027947A JP 2000251650 A JP2000251650 A JP 2000251650A JP 2000251650 A JP2000251650 A JP 2000251650A JP 2002027947 A JP2002027947 A JP 2002027947A
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fermentation
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Keigo Kusano
啓吾 草野
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Abstract

(57)【要約】 本発明は抗酸化性機能、薬理的効果が期待される多くの
有用成分を含む未利用資源クルクマ属植物ウコン茎葉の
有効活用を図り、その精製品を以て医薬品及び医薬部外
品ならびに特定保健用等健康食品の原料として提供しよ
うとするものである。 【解決手段】 現在植物ウコンの茎葉は収穫期まで放置
され根茎の収穫時に廃棄処分されているのが現状であ
る。これら茎葉は抗酸化性機能はもとより薬理的効果が
期待される有用成分を多く含むものであり本発明により
この未利用資源の有効活用を大いに図るものである。又
原料とする茎葉の収穫も年間複数回となるためその再生
に対し影響が最小限の至適収穫期を解明し収穫した。こ
の茎葉にも根茎同様の異臭、辛味、苦味等成分があり、
その消臭、除去、低減化を図ると共に含有成分の付加価
値を高める方法として、複数菌による連続発酵をはじめ
真空乾燥、低温殺菌等の工程により目的の製品を得るこ
とに成功した。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は生理活性機能が期待
される優れた有効成分を含む未利用資源クルクマ属植物
ウコン茎葉の有効活用を図るものであり、原料として用
いる茎葉の収穫が年間複数回に及ぶためその至適収穫期
の解明と、更にウコン茎葉特有の異臭、辛味、苦味成分
の消臭、除去、低減化を図り併せて含有成分の付加価値
を高めるため、複数菌による並行複発酵等の工程を行う
製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】クルクマ属しょうが科多年草である植物
ウコンは、根茎のみが薬用、食用、染色料等の原料とし
て用いられ茎葉は根茎の収穫時廃棄処分されている。併
し乍らこれら茎葉は根茎にも劣らぬ生理活性機能が期待
される優れた有効成分を多く含むものであり、本発明に
おいてこの未利用資源であるウコン茎葉を原料として用
い大いに有効活用を図ろうとするものである。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】本発明の原料として用
いる茎葉については収穫後における茎葉部位の再生、生
長作用ならびに地下茎の増殖等が順調に行われるために
至適収穫時期の解明を行う必要があり、然も年間複数回
の収穫期の設定については種根の定植時よりその生長過
程を通じた長期に亘る生長周期の綿密なる観察と研究を
必要とした。又原料として用いる茎葉にもウコン特有の
異臭、辛味、苦味成分があり、これら茎葉の有効成分を
損なうことなく特異成分の消臭、除去、低減化を充分に
行うことが本発明において解決すべき重要な課題であ
る。
【0004】現在地上部位の茎葉は枯れるに任せ根茎の
収穫時まで放置されているのが現状であるが、その理由
については「茎葉を切らずに其の儘放置することにより
すべての養分が地下茎に送られるため根茎の成分は熟成
し増殖するという言伝え」によるものとされる。
【0005】ウコンの生長作用も周期末になると地下茎
から茎葉部位への水分、養分の通道は止まり、生長過程
において茎葉部位より地下茎内に通道され蓄積された養
分、精油分等を基質成分とし地下茎内成分の熟成をはじ
め増殖ならびに肥厚等の作用を専ら行うようになる。
【0006】即ち地下茎は自らの種属保存のための生殖
本能にもとづき地下茎内成分の熟成をはじめ肥厚、増殖
期に入るものであり、前記のような言伝えに因るもので
はない。
【0007】さて本発明で原料として用いる葉柄は茎に
束生しその草勢も強く、草高も約70cm〜約150c
m以上と高くなり、根茎の増殖、肥厚性も盛んである。
又もともと高温、多湿の熱帯原産に由来するウコンの茎
葉に含まれる水分は動的な状態で存在するものである
が、殊に生理的活性を有するウコン茎葉部位の細胞にと
って水分は最も多い構成成分であり、生葉重量当り約6
5%乃至約85%の範囲で水分を含んでいる。
【0008】ウコンの根茎は土壌から溶液の形で水分、
無機塩類を吸収し茎に通道し、茎は束生する葉柄の生長
部位に水分、無機物質を通道し、葉柄からは有機養分な
らびに成長物質が茎へ通道される。更にこの茎葉からの
有機養分、生長物質は各生長部位に通道された後、最終
的に根茎に通道され蓄えられる。
【0009】これら茎葉は水分をはじめ無機、有機養分
の貯蔵器官としての作用も行いクロロフィルを多く含む
葉面では光合成を行い、水分及び二酸化炭素により炭素
源である炭水化物を産成するとともに葉面では活発な水
分の蒸散作用を行うのである。
【0010】又ウコンの生理的活性の中枢的成分である
テルペン類をはじめとする精油分は葉面の特殊な細胞あ
るいは細胞群によって産成されるものであり、これら精
油分は茎葉の生長部位に通道されその細胞内に蓄えられ
ると共に樹脂道へ分泌し通道して地下茎に蓄えられる。
【0011】従って茎葉から地下茎へ通道される有機養
分、精油分も、動的な状態で茎葉部位に存在する潤沢な
水分があるためその通道も容易に行われるものであり、
地下茎よりの水分の通道が停滞するような事態になると
茎葉の細胞機能は徐々に衰退し水分の枯渇と共に通道を
はじめとする茎葉部位のあらゆる機能はすべて終息する
ことになる。
【0012】以上のような茎葉部位の細胞機能の終息後
又茎葉の収穫後も前述したとおり地下茎は弛みなくクル
クマ属植物特有の生殖本能により、地下茎は側根を次々
と伸ばし水分、養分等を吸収し根茎内成分の熟成をはじ
め増殖、肥厚作用を続けるのである。
【0013】あらゆる植物は地上部位の茎葉が無い場
合、正常な生長作用を営むことは不可能であるが植物の
生長に適した環境及び条件さえ整えば茎葉部位も直ちに
再生され正常な生長作用が再開される。当然その場合も
水分の存在が絶対なる必須条件であることは云うまでも
ない。
【0014】以上ウコンの生長過程について観察を行い
研究を続けた結果、前述のように動的な状態で存在する
水分の通道をはじめ蒸散作用から光合成作用、更に根茎
への有機養分、精油分等の通道など、茎葉部位の生長作
用を行う細胞機能も種根定植時より約4ヶ月間を以て最
盛期とし其の後は徐々に衰退することを見い出した。
【0015】勿論ウコンの地上部位茎葉の生長について
はその過程における土壌をはじめ気象条件等により多少
の変動、差異はあるものの発芽した種根定植時より約5
ヶ月間以内を生長周期とし、茎葉部位の細胞機能が完全
に終息することを確認した。
【0016】これら茎葉の収穫が年間複数回になるため
無作為な収穫はウコンの再生をはじめ生長作用に大きな
影響を及ぼすことにもなり、そのためにも至適収穫期の
解明は本発明における重要な課題であったが、前述のよ
うにウコンの生長周期が地上部位における茎葉細胞の養
分、精油分等の生成期ならびに地下茎の成分熟成及び増
殖期に大別され、ウコン地上部位の生長周期が種根定植
時より約5ヶ月間以内であることを見い出し茎葉の至適
収穫期を設定した。
【0017】上記ウコン茎葉の至適収穫期の設定対象地
域とは国内では沖縄を含め栽培適地の北限とされる屋久
島、種子島以南の地域を指すものである。東南アジアを
はじめ世界のウコン原産各地域は高温、多湿の栽培好適
地であることは云うまでもなく、季節に関係なく年間を
通じ計画的な栽培、収穫を行うことが可能であり収穫期
の設定等は一切不要である。
【0018】ところで地上部位の生長周期末即ち至適収
穫期における茎葉の細胞機能は未だ活発なる生長作用を
行いつつあり、従ってこれら茎葉には根茎に劣らぬ生理
活性機能が期待される優れた各種精油分及び前駆物質を
はじめ糖質、タンパク質、ミネラル、ビタミン類、食物
繊維、葉緑素等多くの成分が含まれている。
【0019】
【課題を解決するための手段】さて本発明者が特願平1
1−376434号において記述したとおりウコン根茎
成分の生理的活性効果は或る単独、又は特定の成分に由
来するものではなく含有成分すべての相加、相乗作用に
よるものであり、本発明においても特定成分の抽出等を
一切行わず原料である茎葉(以後原料という)の成分に
優しく作用するトルラ酵母等の複数菌を用い並行複発酵
等による製造方法を用いた。
【0020】本発明の特徴とする製造工程は原料の成分
の変質、劣化、散逸により有効成分を損なわぬよう又成
分の付加価値を高めるため、低温下における真空乾燥を
はじめ常温、常圧により抽出を行い複数菌による並行複
発酵により成分の変換を図り原料特有の異臭、辛味、苦
味成分等特異成分の消臭、除去、低減化を行う製造方法
である。
【0021】
【発明の実施の形態】前述したように本発明において用
いる原料の構成成分はウコンの種類によって多少異なる
ものの糖質約20%〜約27%、タンパク質、脂質、ミ
ネラル、ビタミン類に食物繊維、葉緑素等を含みその他
含有比率は僅少であるが精油分及びその前駆物質を含む
ものである。
【0022】更に薬理効果が期待される中枢的成分であ
る原料に含まれる精油分及びその前駆物質の各含有比率
は次のとおりである。先ず春ウコン茎葉の含有比率は約
3,6%、秋ウコン茎葉の含有比率は約0,6%〜3
%、ガジュツ茎葉の含有比率は約0,6%〜0,9%で
ある。
【0023】さて本発明において原料の発酵に用いる微
生物は先ず乳酸桿菌:ラクトバチルス・プランタルム
(Lactobacillus,plantarum)
であり次いでトルラ酵母:ガンジダ・ウチリス(Can
dida,utilis)の複数菌である。
【0024】先ず原料の発酵に用いる乳酸桿菌:ラクト
バチルス・プランタルム(Lactobacillu
s,plantarum)(以後乳酸桿菌という)につ
いて、本菌株は植物起源の乳酸発酵では広く認められて
いる菌株であり、最近この菌株の蛋白分解酵素と代謝生
産物との協同作用により穀物アレルギーの原因であるタ
ンパク質を分解することが解明されている。
【0025】本発明における発酵工程において同菌株と
前記トルラ酵母を併用したところ原料の異臭、辛味、苦
味等の特異成分を消臭し除去、低減化する作用のあるこ
とを見出したのである。更に前記乳酸桿菌により生成さ
れる乳酸とその芳香成分により抽出残渣を原料とする当
該粉末製品に独特な香味の生成を図ることを目的として
本菌株を用いた。
【0026】次いで用いるトルラ酵母:ガンジダ・ウチ
リス(Candida,utilis)(以後トルラ酵
母という)について、本菌株は無ビタミン培地でも生育
し自己機能に必要なビタミンを合成することも可能であ
り、培地から菌体内に取り入れ正常値よりはるかに高い
濃度のビタミン類を蓄えることも出来る。然もビタミン
B複合体を合成し得る機能も有しており本発明では原料
の含有成分より更にビタミン含量の高い強化製品を得る
ことを目的として本菌株を用いた。
【0027】又発酵工程においては原料自体に殺菌性は
あるものの更にその防腐目的ならびに酸化による乾燥粉
末等品質の色調の変化を防止するため亜硫酸(メタ重亜
硫酸カリウム・K,)(以後亜硫酸という)
を添加使用した。
【0028】更に原料に含まれる精油分は酸素を取り込
むことにより苦味配糖体を形成することが多い。前項の
防腐目的で添加する亜硫酸は酸素にもよく反応し原料中
の酸素を取り除く性質がありこの亜硫酸を添加使用した
場合、培養液は無酸素状態となり精油分の苦味配糖体の
形成は不可能となり当然苦味、辛味等成分の減少につな
がるのである。
【0029】又本発明における発酵は一連の代謝反応に
おいて原料の含有成分より更に優れた有用物質の代謝生
産を行うためのものであり凡そ通常発酵と異なり対数増
殖期末を以て制御し停止した。この発酵は前述したとお
り先ず乳酸桿菌により原料の発酵を行い対数増殖期末を
以て発酵を制御した後、引続きトルラ酵母により再発酵
を行い対数増殖期を以て発酵終期とし亜硫酸を添加しつ
つ発酵を制御し培養液を回収した。
【0030】
【実施例】発明の実施例については次の製造工程フロー
図を参照し説明する。 製造工程フロー図
【0031】先ず原料である茎葉の収穫については地上
部位茎の根元約5cm〜約10cm程度を残し切取り収
穫する。収穫した原料は直ちに洗浄槽に投入し洗浄後良
く脱水する。原料が長い場合にのみ適宜裁断を行う、そ
の場合好ましくは約50cm以上又は約60cm以上に
裁断することが好ましい。その理由は洗浄に際し原料で
ある茎葉に含まれる水溶性有効成分の溶出を最小限に抑
えるためである。
【0032】さて洗浄、脱水処理し破砕し潰擂した原料
に乳酸桿菌を添加しpH:4,5、発酵温度37℃に設
定した発酵槽に投入し発酵を行った。この乳酸桿菌によ
る発酵と併せて亜硫酸の連続添加によるpH値の低下に
よって雑菌汚染の防止を図ると共にこのpH値の低下に
より原料の発酵も予想以上に促進されたのである。又更
にこの亜硫酸の添加により原料に含まれる苦味、辛味等
成分の形成、溶出を完全に抑えることもできた。
【0033】この発酵を対数増殖期を以て制御し原料を
回収した。次に回収した原料はトルラ酵母により再発酵
を行うためpH:3,5発酵温度15℃に設定した発酵
槽に投入し発酵を行い前発酵時同様対数増殖期を以て発
酵終期として制御し原料を回収した。
【0034】回収した原料は蒸溜槽に投入し蒸溜後、常
圧式抽出装置により抽出した後精製装置により精製し
た。又原料の抽出残渣は抽出装置内においてそのまま常
温通風により乾燥を行い微粉末とした後精製した。
【0035】
【発明の効果】以上のような工程を経て原料より抽出し
た液状物質にはカルシウム、マグネシウム、リン、鉄分
等のミネラルをはじめ多くのビタミン類食物繊維などと
共に精油分ならびに前駆物質等成分が豊富に含まれてい
る。
【0036】前述したとおり以上の成分のなかで広範な
生理的活性、薬理的効果が確認されている精油分は先ず
セスキテルペン類(ターメロン、クルクモール、β−エ
レメン、デビドロターメロン、ジンギベレン、クルクマ
ジオール、クルコロン、クルゼレノン、アズレンセデロ
ン)等であり、モノテルペン類(シネオール、カンファ
ー、カンフェン、フラノジェノン、ピネン)等であり微
量ではあるが数多く精油分を含む抽出液が回収できた。
【0037】前記精油成分のなかで薬理的効果が認めら
れ又期待されるものは下記のとおりである。 ターメロン 胆汁の分泌を促進する作用、胃腸の改善、殺菌、抗菌抗
炎症作用がある。 α−クルクメン 抗腫瘍活性があることが確認されており又、体内のコレ
ステロールを溶解し、血糖値を降下させ胆道結石を改善
し血管壁を強化、動脈硬化の発生を防止する作用があ
る。 アズレン 抗炎症作用に優れ、胃、十二指腸等炎症や腫瘍を改善す
る効果、整腸効果がある。消化酵素ペプシンの作用を抑
制する効果も期待される。 シネオール 健胃作用、殺菌、抗菌作用、防腐作用、胆汁分泌促進作
用などの効果がある。 カンファー 神経の興奮作用及び強心作用がある。
【0038】又原料の抽出残渣を乾燥し微粉末化した粉
末製剤も抽出製剤同様の有効成分を含有しており、医薬
品、医薬部外品、機能性等健康食品の原料として提供で
きる製品を得ることができた。
【0039】因みに抽出製剤は医薬品原料、粉末製剤も
医薬品原料として強心作用、健胃、整腸作用、精神安定
作用、血圧安定作用等に対する改善効果が期待されるも
のであり、更に口腔用、入浴剤等にも用いられ、歯槽膿
漏、神経痛、皮膚病、関節炎、腰痛、更年期障害、アト
ピー性皮膚炎等に対する改善効果が期待できるのであ
る。
【0040】本発明に係る抽出製剤ならびに粉末製剤に
ついては前記のような薬理的効果をはじめ生理的活性に
つながる有効成分を多く含むものであり、以上のような
効能、効果も前述したとおりある単独の成分に由来する
ものではなく、本発明における未利用資源に含まれるす
べての成分の相乗作用によるものであり目的どおりの製
品を得ることに成功した。
─────────────────────────────────────────────────────
【手続補正書】
【提出日】平成12年9月11日(2000.9.1
1)
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正内容】
【書類名】 明細書
【発明の名称】未利用資源植物茎葉の有効活用とその製
造方法
【特許請求の範囲】
【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は抗酸化性機能、薬理
的効能、効果が期待される多くの有用成分を含む未利用
資源クルクマ属植物ウコン茎葉の有効なる活用を図るも
のであり、この原料として用いる茎葉の収穫も年間複数
回に及ぶためその至適収穫期を解明すると共に、茎葉の
異臭、辛味、苦味等成分の消臭、除去、低減化を図り併
せて含有成分の付加価値を高める方法として複数菌によ
る連続発酵をはじめ真空乾燥、低温殺菌等の工程を行う
製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来クルクマ属しょうが科多年草本ウコ
ン系植物は約50種類以上にもなるが今日までウコンは
根茎のみが薬用、食用、染料等の原料として用いられ茎
葉は根茎の収穫時廃棄処分されているのが現状である。
併し乍らこれら茎葉には根茎に劣らぬ抗酸化性機能をは
じめ薬理的効果が期待される多くの有用成分が含まれて
おり、本発明においてはこれら未利用資源である植物ウ
コンの茎葉を原料として大いに有効活用を図ろうとする
ものである。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】本発明において原料と
して用いる茎葉については、その収穫が年間複数回にも
及ぶため収穫後の茎葉の再生、生長作用をはじめ地下茎
の熟成、増殖等が順調に行われるため至適収穫時期の解
明を行う必要があり、その設定について種根定植時より
生長過程を通じた生長周期の綿密なる観察と研究を必要
とした。又原料として用いるこれら茎葉にも根茎同様の
異臭、辛味、苦味等成分があるため、原料である茎葉の
含有成分を損なうことなく特異成分の消臭、除去、低減
化を充分に行うことが本発明において解決すべき重要な
課題であった。
【0004】前述したように現在も地上部位の茎葉は枯
れるに任せ根茎の収穫時まで放置されているのである
が、その理由については「茎葉を切らずに其の儘放置す
ることにより地上部位のすべての養分が地下茎に下るた
め根茎の成分は益々熟成し増殖する」という言伝えによ
るものとされる。
【0005】ところで植物ウコンの生長作用も生長周期
末になると地下茎より地上部位茎葉への水分及び無機養
分等の通道は徐々に止まり、生長過程において地上部位
茎葉から地下茎に通道され蓄積された有機養分、精油分
及びその前駆物質等を基質成分とし地下部位の一次根を
はじめとする地下茎は茎内成分の熟成ならびに肥厚、増
殖作用を専ら行うようになるのである。
【0006】即ち地下茎は自ら種属保存のための生殖本
能にもとづき前述したように地下部位の一次根をはじめ
とする地下茎成分の熟成と肥厚、増殖期に入るものであ
り、必ずしも前述のような古き言伝えに因るものではな
いのである。
【0007】本発明において原料として用いる茎葉は草
勢も強く、草高も約100cm〜約150cm以上にも
なり、もともと高温、多湿の熱帯原産に由来するウコン
の場合茎葉に含まれる水分は動的な状態で存在するもの
であるが、殊に生理的活性機能を有するウコンの場合茎
葉部位の細胞にとり水分は特に多い構成成分であり、生
葉重量あたり約65%乃〜85%の範囲で水分を含んで
いる。
【0008】これらウコンの地下茎は土壌から溶液の形
で水分、無機塩類を吸収し茎に通道し、茎は束生する葉
柄の生長部位へ水分、無機養分の通道を行う。又葉柄か
らは有機養分ならびに成長物質を茎へ通道し、これら有
機養分、生長物質は各生長部位へ通道した後、最終的に
地下茎に通道し一次根をはじめとする根茎に蓄えられ
る。
【0009】さて植物ウコンの茎葉は水分をはじめ有機
養分等の貯蔵器官としての作用も行い、又クロロフィル
を多く含む葉面細胞では光合成作用により水分ならびに
二酸化炭素により炭素源である炭水化物を生成するとと
もに葉面では活発な水分の蒸散作用も行うのである。
【0010】植物ウコンの抗酸化性機能ならびに薬理的
効果が期待される成分中その中枢的成分であるテルペン
類精油分及びその前駆物質等は葉面の特殊な細胞あるい
は細胞群によって生成されるものであり、これら精油分
及びその前駆物質は茎葉の生長部位に通道しその細胞内
に蓄えられると共に樹脂道へ分泌し通道して地下茎の一
次根をはじめすべての根茎に蓄えられる。
【0011】前記のように茎葉から地下茎へ通道する有
機養分、精油分等も、茎葉部位に動的な状態で存在する
潤沢な水分により通道も容易に行われるものであり、地
下茎からの水分の通道が停滞するような事態になると茎
葉の細胞機能は徐々に衰退し、水分の枯渇に伴い通道を
はじめ茎葉部位のあらゆる機能はすべて終息することに
なる。
【0012】さて以上のように地上部位である茎葉の細
胞機能の停止後、又茎葉の収穫後においても地下茎は弛
みなく種属保存のためクルクマ属植物特有の生殖本能に
もとづき茎葉部位からの通道により地下茎に蓄積された
有機物質、精油分及びその前駆物質等を基質成分として
側根を次々と伸ばし水分、無機養分等を吸収しつつ一次
根をはじめ地下茎の成分熟成ならびに肥厚、増殖作用を
行うのである。
【0013】植物ウコンをはじめあらゆる植物は地上部
位が無い場合正常な生長作用を営むことは不可能である
が、植物の生長に適した環境及び条件さえ整えば地上部
位は直ちに再生され正常な生長作用が再開されることに
なる。勿論その場合水分の存在は絶対なる必須条件であ
ることは云うまでもない。
【0014】以上のとおり植物ウコンの生長過程につい
て観察を行い研究を続けた結果、前述のように動的な状
態で存在する水分の通道をはじめ蒸散作用から光合成作
用、又地下茎への有機養分、精油分等の通道など、生長
作用を行う茎葉部位の機能も種根定植時より約4ヶ月間
を以て最盛期とし其の後は徐々に衰退することを見い出
したのである。
【0015】勿論ウコンの地上部位茎葉の生長過程につ
いては土壌をはじめ気象条件等により多少の変動、差異
はあるものの、種根定植時より約5ヶ月間が地上部位の
生長周期であり、その後茎葉の細胞機能も徐々に止まり
地下茎の成分熟成ならびに肥厚、増殖期に入ることを確
認した。
【0016】前述したとおり原料である茎葉の収穫も年
間複数回になるため無作為なる収穫は茎葉の再生、生長
作用に大きく影響を及ぼすものであり、茎葉部位の至適
収穫期の解明は本発明における重要な課題であったが、
植物ウコン地上部位茎葉の細胞機能による有機質養分、
精油分等の産生を行う生長周期と、地下茎の成分熟成と
その増殖期に大別されたことにより、地上部位の生長周
期が種根定植時より約5ヶ月間以内であることを見い出
し原料とする茎葉の至適収穫期を設定した。
【0017】本発明において原料として用いる茎葉の国
内における至適収穫期の設定対象地域とは先ず沖縄を含
め栽培適地としてその北限とされる屋久島、種子島以南
の地域を指すものである。勿論インド、東南アジアをは
じめ世界のウコン原産各地域は高温、多湿の栽培好適地
であることは云うまでもなく、季節に関係なく年間を通
じ計画的栽培、収穫を行うことが可能であり収穫期の設
定等は一切不要である。
【0018】ところで至適収穫期においては地上部位茎
葉の細胞機能は未だ活発なる生長作用を行いつつあり、
これら茎葉には根茎にも劣らぬ抗酸化性機能はもとより
薬理的効果が期待される各種精油分及びその前駆物質を
はじめとし糖質、タンパク質、ミネラル、ビタミン類、
食物繊維、葉緑素その他多くの有用成分が含まれている
のである。
【0019】
【課題を解決するための手段】本発明者が特願平11−
376434号において記述したとおりウコン根茎成分
の生理的活性、薬理的効果等も、ある単独又特定の成分
に由来するものではなくウコン根茎の含有成分すべての
相加、相乗作用によるものであることはすでに公知の事
実であり、等しくウコン茎葉を原料とする本発明におい
ても特定の成分にこだわらず原料である茎葉(以後原料
という)に含まれるすべての成分を対象としてトルラ酵
母、乳酸桿菌の複数菌により連続発酵工程を行ったので
ある。
【0020】本発明における製造工程については原料の
変質、劣化等により有用成分を損なわぬよう又含有成分
の付加価値を高めるため真空乾燥をはじめ低温殺菌と更
に複数菌による連続発酵を行いその代謝反応特性を応用
し有用物質の産生を行うものである。又同時に成分の変
換による原料の異臭、辛味、苦味等特異成分の消臭、除
去、低減化を行う製造工程である。
【0021】前述したように本発明で用いる原料の成分
内容は種類によっては多少は異なるものの糖質の含有率
については約20%〜約27%であり、その他タンパク
質、脂質、ミネラル、ビタミン類に食物繊維、葉緑素等
を含み僅少ではあるがあらゆる精油分を含むものであ
る。
【0022】これら原料に含まれる抗酸化性機能ならび
に薬理的効果が期待される中枢的成分である精油分及び
その前駆物質等の含有比率は次のとおりである。先ず春
ウコン茎葉の含有比率は約3,6%、秋ウコン茎葉の含
有比率は約0,6%〜3%、ガジュツ茎葉の含有比率は
約0,6%〜0,9%である。
【0023】
【発明の実施の形態】さて本発明において原料の発酵に
用いる微生物は先ずトルラ酵母:ガンジダ・ウチリス
(Candida,utilis)であり次いで乳酸桿
菌:ラクトバチルス・プランタルム(Lactobac
illus,plantarum)の複数菌である。こ
れら複数菌による連続発酵により微生物特有の代謝反応
特性を応用し原料の含有成分より更に優れた有用物質の
産生を図るものである。
【0024】先ず原料の発酵に用いるトルラ酵母:ガン
ジダ・ウチリス(Candida,utilis)(以
後酵母という)について、本菌株は無ビタミン培地でも
生育し自己機能に必要なビタミンを合成し、又培地から
菌体内に取り入れ正常値よりはるかに高い濃度のビタミ
ン類を蓄えることも可能である。然もビタミンB複合体
を合成し得る機能を有しており本発明において原料より
更にビタミン含量の高い強化製品を得ることを目的とし
て本菌株を用いた。
【0025】次いで用いる乳酸桿菌:ラクトバチルス・
プランタルム(Lactobacillus,plan
tarum)(以後乳酸桿菌という)について、本菌株
は植物起源の乳酸発酵では広く認められている菌株であ
り、最近になりこの菌株の蛋白分解酵素と代謝生産物と
の協同作用により穀物アレルギーの原因となるタンパク
質を分解することも解明されている。
【0026】本発明における発酵工程において前記酵母
に引き続き乳酸桿菌による連続発酵を行ったところ原料
の異臭、辛味、苦味等特異成分に対し強力なる消臭、除
去、低減化作用のあることを見い出したのである。勿論
これは本発明の連続発酵工程と亜硫酸添加による成分の
変換等によるものと考察される。更にこの乳酸桿菌の発
酵によって産生される芳香成分により発酵残渣を原料と
する粉体製品に特有なる芳香の付加も考慮に入れ本菌株
を用いた。
【0027】本発酵工程において原料自体に殺菌性、抗
菌性はあるがその防腐効果を更に高めるため、又粉体製
品の原料となる発酵残渣の酸化による色調の変化を防止
する目的によりメタ重亜硫酸カリウム(K
,)(以後亜硫酸という)を添加し用いた。
【0028】原料に含まれる精油分及びその前駆物質等
はその成分内に酸素を取り込むことにより苦味配糖体を
形成する。この防腐目的で添加する亜硫酸は酸素によく
反応し原料中の酸素を取り除く性質があるため、この亜
硫酸により培養液は無酸素状態となり精油分による苦味
配糖体の生成は不可能に近い状態となり原料の苦味、辛
味等成分が大いに消去され低減化されたのである。
【0029】ところで前述したように原料には発酵に必
要な糖質の含有量が約20%〜27%と少ないため、酵
素活性を最大限に引き出し発酵工程を円滑に行うには発
酵性糖を補給する必要があり本工程においては糖質補助
剤としてハイドロールを配合し用いることにした。発酵
に際し糖質を多く含む原料の場合芳香を有する生産物を
生じるものでありそのことも考慮に入れ用いた。
【0030】本発明における発酵は前述したように複数
菌の性能と発酵による一連の代謝反応特性を応用し原料
の含有成分より更に優れた有用物質の産生を行うための
ものであり、従って本発明における発酵工程は通常の発
酵と異なり一次、二次とも対数増殖期末を以て発酵終期
とし発酵を制御し停止することを特徴とするものであ
る。
【0031】従って酵母による一次発酵の所要時間帯に
ついて好ましくは約100時間以内、より好ましくは約
85時間以内であり、又乳酸桿菌による二次発酵の所要
時間帯について好ましくは約50時間以内、より好まし
くは約36時間以内である。又この一次、二次の発酵工
程中においては必要以上に培養液の撹拌作業は行わな
い。その理由は過度の撹拌により培養液中への酸素の吸
収と雑菌の浸入を防ぐためである。
【0032】前述したように先ず酵母により一次発酵を
行い対数増殖期末を以て発酵を制御した後培養液を回収
し引続き乳酸桿菌による二次発酵を行い一次同様対数増
殖期末を以て発酵終期として発酵を制御した後培養液を
回収したのである。勿論この一次、二次の発酵に際し前
述したような理由により亜硫酸を添加し使用した。
【0033】
【実施例】発明の実施例については次の製造工程フロー
図を参照し説明する。製造工程フロー図
【0034】先ず原料である茎葉の収穫については地上
茎部の根元約5cm〜約10cm程度を残し収穫する。
収穫した原料は直ちに洗浄槽に投入し洗浄後良く脱水し
た。原料が特に長い場合にのみ適宜裁断をするが、その
場合約40cm〜約60cm以上に裁断することが好ま
しい。その理由は洗浄に際し原料である茎葉に含まれる
水溶性有用成分の溶出を最小限に抑えるためである。
【0035】さて洗浄、脱水処理後破砕し漬擂した原料
に糖質補助剤としてハイドロールを配合し良く撹拌し
た。その配合比率は原料に対し好ましくは約20%〜約
30%、より好ましくは約35%〜約45%である。本
発酵工程においてはハイドロール約40%を配合した。
この糖質補助剤を配合した原料に酵母を接種しゆるやか
に撹拌した後pH:3,5発酵温度15℃に設定した発
酵槽に投入し亜硫酸の添加をした後約85時間に亘る一
次発酵を行った。
【0036】前記酵母による一次発酵を対数増殖期を以
て制御し回収した培養液に乳酸桿菌を接種し、pH:
4,5発酵温度37℃に設定した発酵槽に投入し約36
時間に亘る二次発酵を行った。勿論一次発酵と同様に対
数増殖期を以て発酵終期として二次発酵を制御しその培
養液を回収した。
【0037】以上のような酵母、乳酸桿菌による連続発
酵の場合、亜硫酸の添加によるpH値の低下により雑菌
汚染も防止され原料の発酵も予想以上に促進されたので
ある。又この亜硫酸の添加により原料(以後培養液とい
う)に含まれる苦味、辛味等成分の形成を完全に抑える
ことができた。
【0038】回収した培養液は遠心脱水し搾汁を行い濾
過した後低温殺菌し精製装置により精製し液体製品とし
た。又培養液の発酵残渣は真空乾燥により乾燥を行い微
粉末とした後殺菌を行い粉体製品とした。
【0039】
【発明の効果】以上のような製造工程を経て精製した液
体製品ならびに粉体製品は先述したようにカルシウム、
マグネシウム、リン、鉄分等のミネラルをはじめ、多く
のビタミン類、食物繊維、各種精油分その他の有用成分
を豊富に含むものである。
【0040】前記各種精油分のなかで抗酸化性機能、薬
理的効果が期待される精油分は先ずセスキテルペン類
(ターメロン、クルクモール、β−エレメン、デビドロ
ターメロン、ジンギベレン、クルクマジオール、クルコ
ロン、クルゼレノン、アズレンセデロン)等であり、モ
ノテルペン類(シネオール、カンファー、カンフェン、
フラノジェノン、ピネン)等であり微量ではあるが以上
のような精油分を含む液体製品を得ることができた。
【0041】さて前記液体製品の精油分中、既に薬理的
効果が認められ期待されている成分については下記のと
おりである。 ターメロン 胆汁の分泌を促進する作用、胃腸の改善、殺菌、抗菌抗
炎症作用がある。 α−クルクメン 抗腫瘍活性があることが確認されており又、体内のコレ
ステロールを溶解し、血糖値を降下させ胆道結石を改善
し血管壁を強化、動脈硬化の発生を防止する作用があ
る。 アズレン 抗炎症作用に優れ、胃、十二指腸等炎症や腫瘍を改善す
る効果、整腸効果がある。消化酵素ペプシンの作用を抑
制する効果も期待される。 シネオール 健胃作用、殺菌、抗菌作用、防腐作用、胆汁分泌促進作
用などの効果がある。 カンファー 神経の興奮作用及び強心作用がある。
【0042】連続発酵による培養液の残渣を真空乾燥し
微粉末化した粉体にも液体製品同様、抗酸化性機能なら
びに薬理的効果が期待される有用成分を多く含有するも
のであり、液体、粉体製品ともに医薬品、医薬部外品等
をはじめ特定保健用等健康食品の原料として提供できる
製品を得ることができた。
【0043】因みにこの液体ならびに粉体製品は下記症
状に対する改善効果が充分に期待される有用成分を含む
ものである。例えば抗ガン、強心作用、健胃、整腸作
用、精神安定作用、血圧安定作用等をはじめ、歯槽膿
漏、神経痛、皮膚病、関節炎、腰痛、更年期障害、アト
ピー性皮膚炎等の各症状である。
【0044】以上本発明に係る液体、粉体製品について
は抗酸化性機能はもとより薬理的効能、効果が期待され
る有用物質が多く含まれているのである。勿論このよう
な効能、効果も前述したとおり特定の成分に由来するも
のではなく未利用資源である植物ウコン茎葉に含まれる
すべての成分の相加、相乗作用によるものであり未利用
資源ウコン茎葉から目的どおりの製品を得ることに成功
したのである。 ─────────────────────────────────────────────────────
【手続補正書】
【提出日】平成12年11月13日(2000.11.
13)
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正内容】
【書類名】 明細書
【発明の名称】未利用資源植物茎葉の有効活用とその製
造方法
【特許請求の範囲】
【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は抗酸化性機能、薬理
的効能、効果が期待される多くの有用成分を含む未利用
資源クルクマ属植物ウコン茎葉の有効なる活用を図るも
のであり、この原料として用いる茎葉の収穫も年間複数
回に及ぶためその至適収穫期を解明すると共に、茎葉の
異臭、辛味、苦味等成分の消臭、除去、低減化を図り併
せて含有成分の付加価値を高める方法として複数菌によ
る連続発酵をはじめ真空乾燥、低温殺菌等の工程を行う
製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来クルクマ属しょうが科多年草本ウコ
ン系植物は約50種類以上にもなるが今日までウコンは
根茎のみが薬用、食用、染料等の原料として用いられ茎
葉は根茎の収穫時廃棄処分されているのが現状である。
併し乍らこれら茎葉には根茎に劣らぬ抗酸化性機能をは
じめ薬理的効果が期待される多くの有用成分が含まれて
おり、本発明においてはこれら未利用資源である植物ウ
コンの茎葉を原料として大いに有効活用を図ろうとする
ものである。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】本発明において原料と
して用いる茎葉については、その収穫が年間複数回にも
及ぶため収穫後の茎葉の再生、生長作用をはじめ地下茎
の熟成、増殖等が順調に行われるため至適収穫時期の解
明を行う必要があり、その設定について種根定植時より
生長過程を通じた生長周期の綿密なる観察と研究を必要
とした。又原料として用いるこれら茎葉にも根茎同様の
異臭、辛味、苦味等成分があるため、原料である茎葉の
含有成分を損なうことなく特異成分の消臭、除去、低減
化を充分に行うことが本発明において解決すべき重要な
課題であった。
【0004】前述したように現在も地上部位の茎葉は枯
れるに任せ根茎の収穫時まで放置されているのである
が、その理由については「茎葉を切らずに其の儘放置す
ることにより地上部位のすべての養分が地下茎に下るた
め根茎の成分は益々熟成し増殖する」という言伝えによ
るものとされる。
【0005】ところで植物ウコンの生長作用も生長周期
末になると地下茎より地上部位茎葉への水分及び無機養
分等の通道は徐々に止まり、生長過程において地上部位
茎葉から地下茎に通道され蓄積された有機養分、精油分
及びその前駆物質等を基質成分とし地下部位の一次根を
はじめとする地下茎は茎内成分の熟成ならびに肥厚、増
殖作用を専ら行うようになるのである。
【0006】即ち地下茎は自ら種属保存のための生殖本
能にもとづき前述したように地下部位の一次根をはじめ
とする地下茎成分の熟成と肥厚、増殖期に入るものであ
り、必ずしも前述のような古き言伝えに因るものではな
いのである。
【0007】本発明において原料として用いる茎葉は草
勢も強く、草高も約100cm〜約150cm以上にも
なり、もともと高温、多湿の熱帯原産に由来するウコン
の場合茎葉に含まれる水分は動的な状態で存在するもの
であるが、殊に生理的活性機能を有するウコンの場合茎
葉部位の細胞にとり水分は特に多い構成成分であり、生
薬重量あたり約65%〜85%の範囲で水分を含んでい
る。
【0008】これらウコンの地下茎は土壌から溶液の形
で水分、無機塩類を吸収し茎に通道し、茎は束生する葉
柄の生長部位へ水分、無機養分の通道を行う。又葉柄か
らは有機養分ならびに成長物質を茎へ通道し、これら有
機養分、生長物質は各生長部位へ通道した後、最終的に
地下茎に通道し一次根をはじめとする根茎に蓄えられ
る。
【0009】さて植物ウコンの茎葉は水分をはじめ有機
養分等の貯蔵器官としての作用も行い、又クロロフィル
を多く含む葉面細胞では光合成作用により水分ならびに
二酸化炭素により炭素源である炭水化物を生成するとと
もに葉面では活発な水分の蒸散作用も行うのである。
【0010】植物ウコンの抗酸化性機能ならびに薬理的
効果が期待される成分中その中枢的成分であるテルペン
類精油分及びその前駆物質等は葉面の特殊な細胞あるい
は細胞群によって生成されるものであり、これら精油分
及びその前駆物質は茎葉の生長部位に通道しその細胞内
に蓄えられると共に樹脂道へ分泌し通道して地下茎の一
次根をはじめすべての根茎に蓄えられる。
【0011】前記のように茎葉から地下茎へ通道する有
機養分、精油分等も、茎葉部位に動的な状態で存在する
潤沢な水分により通道も容易に行われるものであり、地
下茎からの水分の通道が停滞するような事態になると茎
葉の細胞機能は徐々に衰退し、水分の枯渇に伴い通道を
はじめ茎葉部位のあらゆる機能はすべて終息することに
なる。
【0012】さて以上のように地上部位である茎葉の細
胞機能の停止後、又茎葉の収穫後においても地下茎は弛
みなく種属保存のためクルクマ属植物特有の生殖本能に
もとづき茎葉部位からの通道により地下茎に蓄積された
有機物質、精油分及びその前駆物質等を基質成分として
側根を次々と伸ばし水分、無機養分等を吸収しつつ一次
根をはじめ地下茎の成分熟成ならびに肥厚、増殖作用を
行うのである。
【0013】植物ウコンをはじめあらゆる植物は地上部
位が無い場合正常な生長作用を営むことは不可能である
が、植物の生長に適した環境及び条件さえ整えば地上部
位は直ちに再生され正常な生長作用が再開されることに
なる。勿論その場合水分の存在は絶対なる必須条件であ
ることは云うまでもない。
【0014】以上のとおり植物ウコンの生長過程につい
て観察を行い研究を続けた結果、前述のように動的な状
態で存在する水分の通道をはじめ蒸散作用から光合成作
用、又地下茎への有機養分、精油分等の通道など、生長
作用を行う茎葉部位の機能も種根定植時より約4ヶ月間
を似て最盛期とし其の後は徐々に衰退することを見い出
したのである。
【0015】勿論ウコンの地上部位茎葉の生長過程につ
いては土壌をはじめ気象条件等により多少の変動、差異
はあるものの、種根定植時より約5ヶ月間が地上部位の
生長周期であり、その後茎葉の細胞機能も徐々に止まり
地下茎の成分熟成ならびに肥厚、増殖期に入ることを確
認した。
【0016】前述したとおり原料である茎葉の収穫も年
間複数回になるため無作為なる収穫は茎葉の再生、生長
作用に大きく影響を及ぼすものであり、茎葉部位の至適
収穫時期の設定は本発明における重要な課題であった
が、植物ウコン地上部位茎葉の細胞機能による有機質養
分、精油分等の産生を行う生長周期と、地下茎の成分熟
成とその増殖期に大別されたことにより、地上部位の生
長周期が種根定植時より約5ヶ月間以内であることを見
い出し原料とする茎葉の至適収穫期を解明した。
【0017】ところで本発明の原料として用いるウコン
茎葉の国内における栽培対象地域としては近年の地球温
暖化の影響もあり、沖縄は勿論鹿児島県をはじめ太平洋
に面した降霜地域を除く各県の温暖地が挙げられる。そ
の理由としてウコン茎葉の収穫を年2回以上、即ち年2
期作以上を考慮してのことであり例えば降霜地域であっ
ても降霜対策さえ充分であれば栽培は可能である。
【0018】ところで至適収穫期においては地上部位茎
葉の細胞機能は未だ活発なる生長作用を行いつつあり、
これら茎葉には根茎にも劣らぬ抗酸化性機能はもとより
薬理的効果が期待される各種精油分及びその前駆物質を
はじめとし糖質、タンパク質、ミネラル、ビタミン類、
食物繊維、葉緑素その他多くの有用成分が含まれている
のである。
【0019】
【課題を解決するための手段】本発明者が特開平11−
376434号において記述したとおりウコン根茎成分
の生理的活性、薬理的効果等も、ある単独又特定の成分
に由来するものではなくウコン根茎の含有成分すべての
相加、相乗作用によるものであることはすでに公知の事
実であり、等しくウコン茎葉を原料とする本発明におい
ても特定の成分にこだわらず原料である茎葉(以後原料
という)に含まれるすべての成分を対象としてトルラ酵
母、乳酸桿菌の複数菌により連続発酵工程を行ったので
ある。
【0020】本発明における製造工程については原料の
変質、劣化等により有用成分を損なわぬよう又含有成分
の付加価値を高めるため真空乾燥をはじめ低温殺菌と更
に複数菌による連続発酵を行いその代謝反応特性を応用
し有用物質の産生を行うものである。又同時に成分の変
換による原料の異臭、辛味、苦味等特異成分の消臭、除
去、低減化を行う製造工程である。
【0021】前述したように本発明で用いる原料の成分
内容は種類によっては多少は異なるものの糖質の含有率
については約20%〜約27%であり、その他タンパク
質、脂質、ミネラル、ビタミン類に食物繊維、葉緑素等
を含み僅少ではあるがあらゆる精油分を含むものであ
る。
【0022】これら原料に含まれる抗酸化性機能ならび
に薬理的効果が期待される中枢的成分である精油分及び
その前駆物質等の含有比率は次のとおりである。先ず春
ウコン茎葉の含有比率は約3,6%、秋ウコン茎葉の含
有比率は約0,6%〜3%、ガジュツ茎葉の含有比率は
約0,6%〜0,9%である。
【0023】さて本発明において原料の発酵に用いる微
生物は先ずトルラ酵母:ガンジダ・ウチリス(Cand
ida,utilis)であり次いで乳酸桿菌:ラクト
バチルス・プランタルム(Lactobacillu
s,plantarum)の複数菌である。これら複数
菌による連続発酵により微生物特有の代謝反応特性を応
用し原料の含有成分より更に優れた有用物質の産生を図
るものである。
【0024】先ず原料の発酵に用いるトルラ酵母:ガン
ジダ・ウチリス(Candida,utilis)(以
後酵母という)について、本菌株は無ビタミン培地でも
生育し自己機能に必要なビタミンを合成し、又培地から
菌体内に取り入れ正常値よりはるかに高い濃度のビタミ
ン類を蓄えることも可能である。然もビタミンB複合体
を合成し得る機能を有しており本発明において原料より
更にビタミン含量の高い強化製品を得ることを目的とし
て本菌株を用いた。
【0025】次いで用いる乳酸桿菌:ラクトバチルス・
プランタルム(Lactobacillus,plan
tarum)(以後乳酸桿菌という)について、本菌株
は植物起源の乳酸発酵では広く認められている菌株であ
り、最近になりこの菌株の蛋白分解酵素と代謝生産物と
の協同作用により穀物アレルギーの原因となるタンパク
質を分解することも解明されている。
【0026】本発明における発酵工程において前記酵母
に引き続き乳酸桿菌による連続発酵を行ったところ原料
の異臭、辛味、苦味等特異成分に対し強力なる消臭、除
去、低減化作用のあることを見い出したのである。勿論
これは本発明の連続発酵工程と亜硫酸添加による成分の
変換等によるものと考察される。更にこの乳酸桿菌の発
酵によって産生される芳香成分により発酵残渣を原料と
する粉体製品に特有なる芳香の付加も考慮に入れ本菌株
を用いた。
【0027】本発酵工程において原料自体に殺菌性、抗
菌性はあるがその防腐効果を更に高めるため、又粉体製
品の原料となる発酵残渣の酸化による色調の変化を防止
する目的によりメタ重亜硫酸カリウム(K
,)(以後亜硫酸という)を添加し用いた。
【0028】原料に含まれる精油分及びその前駆物質等
はその成分内に酸素を取り込むことにより苦味配糖体を
形成する。この防腐目的で添加する亜硫酸は酸素によく
反応し原料中の酸素を取り除く性質があるため、この亜
硫酸により培養液は無酸素状態となり精油分による苦味
配糖体の生成は不可能に近い状態となり原料の苦味、辛
味等成分が大いに消去され低減化されたのである。
【0029】ところで前述したように原料には発酵に必
要な糖質の含有量が約20%〜27%と少ないため、酵
素活性を最大限に引き出し発酵工程を円滑に行うには発
酵性糖を補給する必要があり本工程においては糖質補助
剤としてハイドロールを配合し用いることにした。発酵
に際し糖質を多く含む原料の場合芳香を有する生産物を
生じるものでありそのことも考慮に入れ用いた。
【0030】本発明における発酵は前述したように複数
菌の性能と発酵による一連の代謝反応特性を応用し原料
の含有成分より更に優れた有用物質の産生を行うための
ものであり、従って本発明における発酵工程は通常の発
酵と異なり一次、二次とも対数増殖期末を以て発酵終期
とし発酵を制御し停止することを特徴とするものであ
る。
【0031】従って酵母による一次発酵の所要時間帯に
ついて好ましくは約100時間以内、より好ましくは約
85時間以内であり、又乳酸桿菌による二次発酵の所要
時間帯について好ましくは約50時間以内、より好まし
くは約36時間以内である。又この一次、二次の発酵工
程中においては必要以上に培養液の攪拌作業は行わな
い。その理由は過度の攪拌により培養液中への酸素の吸
収と雑菌の進入を防ぐためである。
【0032】前述したように先ず酵母により一次発酵を
行い対数増殖期末を以て発酵を制御した後培養液を回収
し引続き乳酸桿菌による二次発酵を行い一次同様対数増
殖期末を以て発酵終期として発酵を制御した後培養液を
回収したのである。勿論この一次、二次の発酵に際し前
述したような理由により亜硫酸を添加し使用した。
【0033】
【実施例】発明の実施例について次の製造工程フロー図
を参照し説明する。
【0034】先ず原料である茎葉の収穫については地上
茎部の根元約5cm〜約10cm程度を残し収穫する。
収穫した原料は直ちに洗浄槽に投入し洗浄後良く脱水し
た。原料が特に長い場合にのみ適宜裁断をするが、その
場合約40cm〜約60cm以上に裁断することが好ま
しい。その理由は洗浄に際し原料である茎葉に含まれる
水溶性有用成分の溶出を最小限に抑えるためである。
【0035】さて洗浄、脱水処理後破砕し潰擂した原料
に糖質補助剤としてハイドロールを配合し良く攪拌し
た。その配合比率は原料に対し好ましくは約20%〜約
30%、より好ましくは約35%〜約45%である。本
発酵工程においてはハイドロール約40%を配合した。
この糖質補助剤を配合した原料に酵母を接種しゆるやか
に攪拌した後pH:3,5発酵温度15℃に設定した発
酵槽に投入し亜硫酸の添加をした後約85時間に亘る一
次発酵を行った。
【0036】前記酵母による一次発酵を対数増殖期を以
て制御し回収した培養液に乳酸桿菌を接種し、pH:
4,5発酵温度37℃に設定した発酵槽に投入し約36
時間に亘る二次発酵を行った。勿論一次発酵と同様に対
数増殖期を以て発酵終期として二次発酵を制御しその培
養液を回収した。
【0037】以上のような酵母、乳酸桿菌による連続発
酵の場合、亜硫酸の添加によるpH値の低下により雑菌
汚染も防止され原料の発酵も予想以上に促進されたので
ある。又この亜硫酸の添加により原料(以後培養液とい
う)に含まれる苦味、辛味等成分の形成を完全に抑える
ことができた。
【0038】回収した培養液は遠心脱水し搾汁を行い濾
過した後低温殺菌し精製装置により精製した後、直ちに
凍結乾燥により顆粒状とし製品化した。又培養液の発酵
残渣は真空乾燥により乾燥を行い微粉末とした後殺菌を
行い粉体製品とした。
【0039】
【発明の効果】以上のような製造工程を経て精製した顆
粒状製品ならびに粉体製品は前述したようにカルシウ
ム、マグネシウム、リン、鉄分等のミネラルをはじめ、
多くのビタミン類、食物繊維、各種精油分その他の有用
成分を豊富に含むものである。
【0040】前記各種精油分のなかで抗酸化性機能、薬
理的効果が期待される精油分は先ずセスキテルペン類
(ターメロン、クルクモール、β−エレメン、デビドロ
ターメロン、ジンギベレン、クルクマジオール、クルコ
ロン、クルゼレノン、アズレンセデロン)等であり、モ
ノテルペン類(シネオール、カンファー、カンフェン、
フラノジェノン、ピネン)等であり微量ではあるが以上
のような精油分を含む顆粒状製品を得ることができた。
【0041】さて前記顆粒状製品に含まれる精油成分
中、既に薬理的効果が認められ期待されている成分につ
いては下記のとおりである。 ターメロン 胆汁の分泌を促進する作用、胃腸の改善、殺菌、抗菌抗
炎症作用がある。 α−クルクメン 抗腫瘍活性があることが確認されており又、体内のコレ
ステロールを溶解し、血糖値を降下させ胆道結石を改善
し血管壁を強化、動脈硬化の発生を防止する作用があ
る。 アズレン 抗炎症作用に優れ、胃、十二指腸等炎症や腫瘍を改善す
る効果、整腸作用がある。消化酵素ペプシンの作用を抑
制する効果も期待される。 シネオール 健胃作用、殺菌、抗菌作用、防腐作用、胆汁分泌促進作
用などの効果がある。 カンファー 神経の興奮作用及び強心作用がある。
【0042】連続発酵による培養液の残渣を真空乾燥し
微粉末化した粉体にも顆粒状製品同様、抗酸化性機能な
らびに薬理的効果が期待される有用成分を多く含有する
ものであり、顆粒状、粉体製品ともに医薬品、医薬部外
品等をはじめ特定保健用健康食品等の原料として提供で
きる製品を得ることができた。
【0043】因みにこの顆粒状ならびに粉体製品は下記
症状に対する改善効果が充分に期待される有用成分を含
むものである。例えば抗ガン、強心作用、健胃、整腸作
用、精神安定作用、血圧安定作用等をはじめ、歯槽膿
漏、神経痛、皮膚病、関節炎、腰痛、更年期障害、アト
ピー性皮膚炎等の各症状である。
【0044】以上本発明に係る顆粒状、粉体製品につい
ては抗酸化性機能はもとより薬理的効能、効果が期待さ
れる有用物質が多く含まれているのである。勿論このよ
うな効能、効果も前述したとおり特定の成分に由来する
ものではなく未利用資源である植物ウコン茎葉に含まれ
るすべての成分をはじめ複数菌による連続発酵に起因す
る相加、相乗作用等によるものであり未利用資源ウコン
茎葉から目的どおりの製品を得ることに成功したのであ
る。 ─────────────────────────────────────────────────────
【手続補正書】
【提出日】平成12年11月15日(2000.11.
15)
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0007
【補正方法】変更
【補正内容】
【0007】 本発明において原料として用いる茎葉は
草勢も強く、草高も約100cm〜約150cm以上に
もなり、もともと高温、多湿の熱帯原産に由来するウコ
ンの場合茎葉に含まれる水分は動的な状態で存在するも
のであるが、殊に生理的活性機能を有するウコンの場合
茎葉部位の細胞にとり水分は特に多い構成成分であり、
茎葉重量あたり約65%〜75%の範囲で水分を含んで
いる。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0019
【補正方法】変更
【補正内容】
【0019】
【課題を解決するための手段】 本発明者が特開平11
−376434号において記述したとおりウコン根茎成
分の生理的活性、薬理的効果等も、ある単独又特定の成
分に由来するものではなくウコン根茎の含有成分すべて
の相加、相乗作用によるものであることはすでに公知の
事実であり、等しくウコン茎葉を原料とする本発明にお
いても特定の成分にこだわらず原料である茎葉(以後原
料という)に含まれるすべての成分を対象としてトルラ
酵母、乳酸桿菌の複数菌により連続発酵を行ったのであ
る。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0038
【補正方法】変更
【補正内容】
【0038】 回収した培養液は遠心脱水し搾汁を行い
濾過した後低温殺菌し精製装置により精製後、直ちに凍
結乾燥により顆粒状とし製品化した。又培養液の発酵残
渣は真空乾燥により乾燥を行い微粉末とした後殺菌を行
い粉体製品とした。 ─────────────────────────────────────────────────────
【手続補正書】
【提出日】平成13年2月6日(2001.2.6)
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】請求項3
【補正方法】変更
【補正内容】
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0031
【補正方法】変更
【補正内容】
【0031】ウコン茎葉の発酵の場合糖度の関係もあり
酵母による一次発酵の所要時間は約80時間〜約100
時間を要し、又乳酸桿菌による二次発酵の所要時間も約
40時間〜約60時間を最低必要とするが、糖質補助剤
ハイドロールの添加により発酵工程の時間帯を短縮する
ことが出来た。この一次、二次の発酵工程における撹拌
により発酵を行う原料への酸素の吸収と雑菌の進入を防
ぐため必要以上に過度の撹拌は行わない。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0035
【補正方法】変更
【補正内容】
【0035】良く洗浄、脱水処理した後破砕し潰擂した
原料に糖質補助剤としてハイドロールを配合し攪拌し
た。その配合比率は原料(以後培養液という)の糖度に
対し好ましくは約10%〜約30%、より好ましくは約
13%〜約17%である。本発酵ではハイドロール約1
5%を配合した。この糖質補助剤を配合した培養液に酵
母を接種しゆるやかに攪拌した後pH:3,5発酵温度
15℃に設定した発酵槽に投入し亜硫酸の添加をした後
約48時間に亘る一次発酵を行った。
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0037
【補正方法】変更
【補正内容】
【0037】 以上のような酵母、乳酸桿菌による連続
発酵の場合、亜硫酸の添加によるpH値の低下により雑
菌汚染も防止され原料の発酵も予想以上に促進されたの
である。又この亜硫酸の添加により培養液に含まれる
味、辛味等成分の形成を完全に抑えることができた。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C12R 1:25) C12R 1:25) (C12N 1/00 (C12N 1/00 P C12R 1:72) C12R 1:72)

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 未利用資源クルクマ属植物ウコン茎葉を
    原料として用いることを特徴とする茎葉抽出物。
  2. 【請求項2】 未利用資源クルクマ属植物ウコン茎葉を
    原料として用いることを特徴とする茎葉粉末物。
  3. 【請求項3】 請求項1記載の原料を複数菌により発酵
    を行うことを特徴とする茎葉抽出物の製造方法。
  4. 【請求項4】 請求項3記載の発酵の残渣を原料とし再
    利用することを特徴とする茎葉粉末物の製造方法。
  5. 【請求項5】 請求項1記載の原料であるウコン茎葉の
    異臭、辛味、苦味等成分を複数菌による並行複発酵によ
    り消臭、除去、低減化を行うことを特徴とする特異成分
    の処理方法。
  6. 【請求項6】 請求項3記載の複数菌とは乳酸桿菌:ラ
    クトバチルス・プランタルム(Lactobacill
    us,plantarum)とトルラ酵母:ガンジダ・
    ウチリス(Candida,utilis)の両菌株。
  7. 【請求項7】 請求項5記載の特異成分の処理方法はウ
    コン根茎の異臭、辛味、苦味等成分の消臭、除去、低減
    化にも適用する特異成分の処理方法。
  8. 【請求項8】 請求項3記載の発酵に際し亜硫酸(メタ
    重亜硫酸カリウム・K,)を添加し用いるこ
    とを特徴とする製造方法。
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