JP2002022745A - 大腸菌o−157の生産するベロ毒素の検出センサー及びその検出方法 - Google Patents

大腸菌o−157の生産するベロ毒素の検出センサー及びその検出方法

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JP2002022745A
JP2002022745A JP2000210727A JP2000210727A JP2002022745A JP 2002022745 A JP2002022745 A JP 2002022745A JP 2000210727 A JP2000210727 A JP 2000210727A JP 2000210727 A JP2000210727 A JP 2000210727A JP 2002022745 A JP2002022745 A JP 2002022745A
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escherichia coli
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Hirotaka Uzawa
浩隆 鵜沢
Norihiko Minoura
憲彦 箕浦
Masako Kamiya
昌子 神谷
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National Institute of Advanced Industrial Science and Technology AIST
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    • BPERFORMING OPERATIONS; TRANSPORTING
    • B82NANOTECHNOLOGY
    • B82YSPECIFIC USES OR APPLICATIONS OF NANOSTRUCTURES; MEASUREMENT OR ANALYSIS OF NANOSTRUCTURES; MANUFACTURE OR TREATMENT OF NANOSTRUCTURES
    • B82Y15/00Nanotechnology for interacting, sensing or actuating, e.g. quantum dots as markers in protein assays or molecular motors
    • BPERFORMING OPERATIONS; TRANSPORTING
    • B82NANOTECHNOLOGY
    • B82YSPECIFIC USES OR APPLICATIONS OF NANOSTRUCTURES; MEASUREMENT OR ANALYSIS OF NANOSTRUCTURES; MANUFACTURE OR TREATMENT OF NANOSTRUCTURES
    • B82Y30/00Nanotechnology for materials or surface science, e.g. nanocomposites

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  • Investigating Or Analysing Materials By Optical Means (AREA)
  • Measuring Or Testing Involving Enzymes Or Micro-Organisms (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 病原性大腸菌O-157の生産するベロ毒素を、
高感度で定性・定量分析し、迅速にかつ高精度で検出で
きる実用的な検出センサー及びそれを用いたベロ毒素の
検出方法を提供する。 【解決手段】 基盤表面上の単分子層を介して、下記一
般式(I)で表される末端にガラクトースを含む糖鎖誘
導体を固定させた検出センサーを用いることにより、大
腸菌O-157の生産するベロ毒素を短時間で正確に検出す
ることができる。 【化1】 [式中、Yは、炭素原子数8〜50の長鎖炭化水素基、又
は-C6H5-NH-R'(ここで、R’は、炭化水素基又はアシ
ル基である。)で示されるN−置換フェニル基であ
る。] その基盤は、水晶振動子法又は表面プラズモン共鳴法に
用いるものであることが好ましい。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、大腸菌O-157の生
産するベロ毒素を特異的に検出するセンサー及びそれを
用いる検出方法に関する。
【0002】
【従来の技術】最近、生体の細胞表層に存在する糖鎖
が、ウイルス感染、細菌感染あるいはホルモンや毒素と
の結合に深く関係していることが次第に明らかになって
きた。例えば、天然では、病原性大腸菌O-157やベロ毒
素は、Gala1→4Galb1→4Glc(Gb3)又はGala1→4Galb1(Ga
2)の構造を有する糖鎖に結合することが知られている
(J.Biol.Chem., 262, 8834 (1987); 262, 17088 (198
7))。病原性大腸菌O-157は、長さ2μm、幅1μmの棒
状細菌であって、1982年に米国で発見されたものであ
る。我国では、平成8〜9年に大量に感染して多数の死
者を出し、大きな社会問題になった。これは、食品や飲
料水、患者の排泄物等を通して経口感染し、症状が現れ
るまでに平均6日かかるために発見が遅れたこと、その
O-157が生産するベロ毒素の毒性はフグ毒の数十倍も強
いこと等によるものである。加えて、ベロ毒素の迅速な
検出法が知られていなかったことも1つの原因と考えら
れる。
【0003】病原性大腸菌O-157が生産するベロ毒素
は、蛋白質からなる毒素であり、ヒトの腎臓のベロ細胞
を殺傷することから、このように呼ばれている。そのベ
ロ細胞の表面には、他には見られない特殊な構造を有す
る糖鎖(ガラクトースα1→4ガラクトースβ1→セラ
ミド)が存在し、この糖鎖にベロ毒素が特異的に結合す
ることにより、ベロ細胞が死滅し、尿毒素を経て死に至
る。つまり、糖鎖は、毒の結合するマーカーとなってい
る。ベロ毒素は、6個のサブユニット(蛋白質)からな
る集合体であって、分子量約3万のa−サブユニット1
個と分子量約7500のb−サブユニット5個とからな
っている。そして重要なことは、そのa−サブユニット
1個とb−サブユニット5個が集合してはじめて毒とし
て作用するものであり、個々のサブユニットでは毒性を
示さないことである。
【0004】従来、大腸菌O-157の検査法には、抗原抗
体法、PCR法及びバイオアッセイ法の3つの原理に基づ
く方法が知られている。また、これらを組み合わせた方
法も提案されており、これらの原理に基づいたキットが
幾つか市販されている。ところが、抗原抗体法では、ベ
ロ毒素を形成する6個のサブユニットの中の個々の蛋白
質と抗原抗体反応を行うものであるため、ベロ毒素を正
確に検出することは困難であるうえに、比較的長時間を
要するものである。また、PCR法では、ベロ毒素を直接
検出できず、大腸菌の遺伝子の断片よりベロ毒素の存在
を示唆する判定を行う程度のものに過ぎない。さらに、
バイオアッセイ法では、一応の精度ある検出ができるも
のの、ベロ毒素の分析に3〜4日程度の日時を要すると
いう欠点がある。このように、従来の大部分の方法は、
大腸菌の菌体の存在について調べるか、その存在を示唆
する程度のものであり、現在幾つか知られているベロ毒
素の検出方法は、その分析時間が長くて多大の労力を要
するうえ、分析結果がしばしば誤っていて不正確である
などの問題点があった。
【0005】一方、ベロ毒素と糖鎖との相互作用を利用
して治療に役立てようとする研究も進んでいる。本発明
者らは、先にベロ毒素を吸着させ無毒化する高分子化合
物を開発している(Tetrahedron Letters, 39, 8681 (19
98); Bioorganic and Medicinal Chem., 7, 2053 (199
9))。また、Gb3を有するデンドリマー(球状分枝高分子
化合物)の合成(Tetrahedron Lett., 40, 7839(1999))
やヒトデ型の高分子で対抗する方法(Nature,403,669(20
00))等が提案されているが、これらは、いずれもベロ毒
素を検出するものではない。これとは別に、水晶振動子
マイクロバランス(QCM)法、及び、表面プラズモン共鳴
(SPR)法を用いて、糖とレクチン蛋白質との相互作用の
解析が行われており(Chem. Lett., 1998, 399 (199
8)、Carbohydrate Research, 312, 209-217 (1998))、
また、QCMとSPRの測定装置は市販されている。上記の免
疫化学法やPCR法と組み合わせた方法も知られている
が、これらも先に述べた問題点が存する。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、従来の技術
における上記した実状に鑑みてなされたものである。す
なわち、本発明の目的は、病原性大腸菌O-157の生産す
るベロ毒素を、高感度で定性・定量分析し、迅速にかつ
高精度で検出できる実用的な検出センサー及びそれを用
いたベロ毒素の検出方法を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、ある種の
化合物と病原菌類やそれらが生産する毒素類との結合に
ついて鋭意検討を重ねた結果、特定の化学構造からな
り、還元末端側に長鎖炭化水素を有する糖鎖誘導体が、
病原性大腸菌O-157の生産するベロ毒素菌類と特異的に
結合するため、それらの検出に容易に使用できることを
知見し、本発明を完成するに至った。
【0008】すなわち、まず第一に、本発明は、基盤表
面上の単分子層を介して、下記一般式(I)で表される
末端にガラクトースを含む糖鎖誘導体を固定させたこと
を特徴とする大腸菌O-157の生産するベロ毒素の検出セ
ンサーである。
【化2】 [式中、Yは、炭素原子数8〜50の長鎖炭化水素基、又
は-C6H5-NH-R'(ここで、R’は、炭化水素基又はアシ
ル基である。)で示されるN−置換フェニル基であ
る。] その検出センサーの基盤としては、水晶振動子法又は表
面プラズモン共鳴法に用いるものであることが好まし
い。
【0009】次に、本発明は、基盤表面上の単分子層を
介して、一般式(I)で表される末端にガラクトースを
含む糖鎖誘導体を固定させた検出センサーを用いて、夾
雑蛋白質を含む溶液中に存在する大腸菌O-157の生産す
るベロ毒素を特異的に検出することを特徴とする検出方
法である。
【0010】
【発明の実施の形態】以下、本発明について詳細に説明
する。最近の生化学の研究において、大腸菌O-157の生
産するベロ毒素は、生体の細胞表面に存在する3糖又は
2糖を認識して結合することが明らかになってきた。本
発明は、特定の簡単な構造を有する糖鎖誘導体を、分析
手段として確立している水晶振動子法や表面プラズモン
共鳴法等に用いられる基盤上の単分子層と結合させた検
出センサーを用いることにより、大腸菌O-157の生産す
るベロ毒素を短時間で正確に検出できるものである。こ
の方法によれば、分析時間が短くて簡便であること、そ
の糖鎖誘導体がベロ毒素と強く結合すること、さらに
は、ベロ毒素認識糖鎖を単分子膜を形成して固定化する
ことを巧みに活用することにより、実用的なベロ毒素の
検出方法を提供することができる。
【0011】本発明の検出センサーに用いる糖鎖誘導体
は、先に特許出願した下記一般式(I)で表される末端
にガラクトースを含む2糖化合物である。
【化3】
【0012】上記一般式(I)において、Yは、炭素原
子数8〜50の長鎖炭化水素基、又は-C6H5-NH-R'(こ
こで、R’は、炭化水素基又はアシル基である。)で示
されるN−置換フェニル基である。そのYが長鎖炭化水
素基である場合、その炭化水素鎖としては、直鎖状でも
分岐状のものでも良く、また、飽和炭化水素でも二重結
合或いは三重結合を有する不飽和炭化水素でも良く、そ
の炭素原子数が8〜50の範囲のものであるが、好まし
くは15〜25、より好ましくは16〜20のものであ
り、具体的には、テトラデシル、ヘキサデシル、オクタ
デシル、エイコシル等が挙げられる。また、Yが−C
−NHR’(ここで、R’は炭化水素基又はアシル
基である。)で示されるN−置換フェニル基である場
合、そのNHR’の結合位置は限定されないが、フェニ
ル基の4位に置換したものが好ましく、そのR’として
は、炭素数5〜30のアルキル基又はCO(CH2)nCH3 、CO
CH[(-(CH2)n-CH3)]2(n=5〜20)等のアシル基が挙
げられる。
【0013】一般式(I)で表される糖鎖誘導体は、両
親媒性の化合物であり、溶媒に溶解させて希薄溶液を水
中に導入すると、水面に展開して、安定した単分子膜を
形成することができる。これを、あらかじめオクタデカ
チオール等のチオール基を有する脂肪族化合物を金等か
らなる基盤の表面(例えば、水晶振動子)に結合させた
膜に、さきの単分子膜を物理的に吸着させると、一般式
(I)で表される糖鎖誘導体を容易に固定化できる。従
って、糖鎖が固定化された金基盤が作成できることから
(センサー化)、水晶振動子計測装置や表面プラズモン
共鳴に組み込んでベロ毒素を検出することができる。本
発明においては、一般式(I)で表される糖鎖誘導体を
水晶振動子に固定化し、これを水晶振動子マイクロバラ
ンス法に組み込むことにより、実際のベロ毒素を30分
程度という短時間に検出することが可能である。
【0014】上記した水晶振動子マイクロバランス法や
表面プラズモン法を用いるには、金電極に適切な化合物
(例えば、ベロ毒素を認識する物質)を固定化させる必
要がある。そのためには、その物質を化学修飾してチオ
ール基を導入後、金等の基盤と共有結合させるか、イオ
ン性の官能基例えば、正電荷の塩基成分と負電荷の酸成
分とでイオン結合させるか、あるいは、物理的に疎水結
合を利用して結合させる方法を採ることが好ましい。金
基盤に糖鎖誘導体を結合させるには、糖にあらかじめ
チオール(SH)基を導入しておき、金に共有結合により
固定化する、糖にイオン性の官能基、例えば正電荷の
アミノ基を、金基盤側に負電荷のカルボン酸を導入して
おき、それぞれイオン結合により固定化する、糖鎖に
長鎖アルキル鎖を導入し、一方、金基盤には疎水性のア
ルカンチオールを吸着させ、これにさきの長鎖アルキル
基を有する糖鎖を疎水結合により結合させる、等の方法
を採用し得る。しかし、とは、糖にチオールを導入
したり、糖にイオン官能基を導入することは、合成の工
程数や労力を要することを考慮すると簡便な方法ではな
く、また、チオールの糖鎖は不安定で、毒性も高くその
取り扱いには注意する必要がある。
【0015】すでに述べたとおり、センサー部分に糖鎖
を固定化する(センサー化する)には、チオール(-SH)
を有する糖誘導体を金基盤に直接結合させたり([糖鎖−
スペーサー−SH])、イオン性の化合物を介して、金と
糖鎖をイオン的に結合させる方法([糖鎖−スペーサー
−イオン(+ or -)])がある。ところで、前者の方法
は、チオールをあらかじめ糖鎖に導入するための合成に
手間がかかり、また、チオール部分が不安定であるため
合成後に直ちに水晶振動子の金に結合させる必要がある
といった制約があり、実際にこれを利用したベロ毒素そ
のものの検出は行われていない。また、後者の方法も、
誘導体化に問題があり簡便とはいえない。これらに対
し、本発明では、糖鎖に長鎖アルキル鎖(アンカー(船
の錨に例えられる)として利用する)を導入し、一方、
金基盤に疎水性のアルカンチオールをあらかじめ吸着さ
せ、これに先の長鎖アルキル基を有する糖鎖を疎水結合
により結合させる方法であり、簡便でしかも応用範囲が
広いことから優れている。つまり、糖鎖に様々な長さを
持つアルキル基を比較的簡便に導入できる上、簡単な操
作により糖鎖を金基盤上に固定化でき、さらに、長鎖ア
ルキル糖鎖にリン脂質や蛋白質を共存させて基盤に固定
化すれば、実際の生体膜(細胞膜)に近いセンサーが構
築できるという利点がある。他の方法では、このような
利用は困難である。本発明は、糖鎖の合成と固定化の操
作がシンプルであり、広範囲に応用できる方法である。
これに関連して、本発明に用いる糖鎖誘導体は、糖鎖に
炭素18のアルコールが結合したもの([糖鎖−OC
18H37])を含むが、メルカプトオクタデカンが結合した
糖鎖誘導体(チオグリコシドという;[糖鎖−SC
18H37])が知られている。しかし、この化合物は、毒性
があるため自然界で分解しにくく、また、ベロ毒素の検
出には実際に利用されていない。
【0016】本発明では、最も単純な構造を有する2糖
誘導体[糖鎖−OC18H37 等]を用いて、単分子(L-B膜)
の形成を経てセンサーにするものである。通常、単分子
膜を形成するには、2本鎖の長鎖アルキル(C16以
上)鎖が必要とされているが、本発明に用いる糖鎖誘導
体に限っては、1本鎖でも十分単分子膜を形成できるた
め、合成のより容易な化合物を利用することが有意義で
ある。この2糖からなる糖鎖は、センサーとして利用す
るには極めてシンプルな構造を持ち、自然界で分解を受
けるものであるから、環境にも優しく、より合成が容易
で、化学修飾している間は安定であるため取り扱いが容
易であるという利点がある。また、従来のベロ毒素の分
析と比べて正確で迅速な検出が可能である。
【0017】[糖鎖を固定化するための水晶振動子の金
基盤部分の疎水化の方法]まず、水晶振動子マイクロバ
ランス法、あるいは、表面プラズモン共鳴法を利用する
ための、水晶振動子や金基盤にチオール誘導体を結合さ
せる方法について説明する。通常、チオール誘導体は、
その炭素数が12〜30の飽和または不飽和の炭化水素
やシスタミンであり、好ましくは、炭素数が18の飽和
炭化水素である。このチオール誘導体は、市販のものを
用い、あらかじめ十分に濃硫酸−過酸化水素水(3/
1,体積比)で洗浄するか、もしくは、オゾンクリーナ
ーで洗浄し、次に、エタノール、メタノール、プロパノ
ール等のアルコールに溶解させた後、その溶液に1〜4
8時間、通常12時間程度の間浸漬し、その後、蒸留水
で十分に洗浄することにより疎水化を行う。
【0018】[糖鎖の単分子膜(L-B膜)の作製方法]一
般式(I)で示した糖鎖誘導体を、クロロホルム、メタノ
ール、エタノール、エーテル、ジメチルホルムアミド、
ジメチルスルホキシド、クロロホルム−メタノール混液
(20:1〜1:20)等に溶解させた後(濃度は、0.
1mg/ml〜10mg/mlで、好ましくは、1mg/mlである)、水
面上にその一部(1μl〜100μl、好ましくは5〜1
0μlである)を展開させる。1分〜2時間放置した後
(好ましくは10分〜30分である)、LB膜作成装置等
で一定の圧力のもと、一定の方向に膜をよせ集める。次
に、膜の安定性を確認した後、先に調製しておいた基盤
(チオール処理した基盤)を、よせ集めた膜に対して水
平に付着させるか、もしくは、その基盤を水中に沈めて
置き、ゆっくりと垂直方向に持ち上げながら膜を付着さ
せる。このようにして、チオール処理した基盤に糖鎖誘
導体を固定化することができる。
【0019】[水晶振動子マイクロバランス法によるベ
ロ毒素の検出実験]糖鎖誘導体を固定化した基盤を、水
晶振動子マイクロバランスの装置の反応槽または、表面
プラズモン共鳴装置にセットする。その温度を一定に保
持(0〜60℃)し、リン酸緩衝液、酢酸緩衝液、HEPE
S緩衝液、或いはトリス緩衝液中で検出を行う。これに
ベロ毒素及びこれに夾雑する蛋白質をゆっくりと注入す
る。ベロ毒素は、市販のものを利用するか、他の研究者
等から入手する数ng〜数百μgの毒及び夾雑蛋白質を
0.01〜50mlの緩衝液に溶解させた後、その中の数μl〜
数十μlをシリンジで取り、先に糖の固定されている基
盤が浸けてある反応槽(緩衝液の容積量は0.01〜100ml
である。)にゆっくりと加えるか、または、フローイン
ジェクト法で試料を加える。5分〜3時間後に新たな試
料を加えるが、通常30分である。この操作を数回行
い、基盤に結合した蛋白量(毒量)や結合定数を求め
る。なお、ベロ毒素は、純粋(100%)のものを用いる
か、もしくは、他の夾雑蛋白質(膜蛋白質や酵素等の毒
性のない蛋白質)を1%以上含むベロ毒素試料溶液を用
いる。実際の応用を考えると、10%のベロ毒素と90
%の夾雑蛋白質を含む溶液が好ましい。本発明では、以
上の操作を行うことにより、ベロ毒素や他の蛋白質量を
容易に求めることができる。
【0020】
【実施例】以下、実施例により本発明を具体的に説明す
るが、これらにより本発明は何ら限定されるものではな
い。 [水晶振動子の金基盤部分の疎水化の方法]水晶振動子に
ベロ毒素を認識する糖鎖化合物を固定化するために、こ
の水晶振動子を次のようにして前処理して、糖鎖を固定
化し易くした。まず、糖鎖オゾンクリナーであらかじめ
市販されている水晶振動子(9MHz;金の円形部分の面
積:0.16cm;水晶の面積:0.88cm)を十分に洗浄し
た。次いで、n-ドデシルメルカプタンの5mMエタノール
溶液に一晩浸漬して、表面を疎水化する前処理を行っ
た。
【0021】[単分子膜(L-B膜)の作成]式(I)中の
化合物(n=C18H37である化合物)1mgを、クロロホル
ム:メタノール(4:1,v/v)で溶解させ、10mlに正確にフ
ィルアップした。この溶液の320マイクロリットルを、
宮田式L-B膜作成装置(NipponLaser&Electronics Lab
製;NL-LB-240)の水槽に展開し、溶媒が蒸発するまで約
20分放置した。ムービングウオールを稼働させて、上記
式(I)中の化合物の安定な単分子膜を形成させた。
次に、垂直方向に上記の水晶振動子の水晶部分のみを水
中に沈めた。このとき0.76cmの単分子膜が水晶上に付
着した。残りの単分子膜を水流ポンプにより吸引してか
ら水晶振動子を水中から引き上げ直ちにQCMを測定し
た。
【0022】[ベロ毒素の検出実験]単分子膜を付着させ
た水晶振動子をQCM測定装置(セイコーイージーアン
ドジー製、QCA917)に取り付け、0.01Mリン酸−0.15MNa
Cl緩衝液(pH7.2)20ml中に金部分が緩衝液中に完全に沈
むように設置した(25℃)。反応液を撹拌しながら周
波数が安定するのを確認した(2Hz/hrのノイズとなるま
で安定化させた)。岐阜薬科大学の森教授及び横山助手
の作成した遺伝子組み替え大腸菌O-157を用い、シガ様
毒素(ベロ毒素)I型とII型を含む試料を用いた。大腸
菌O-157の培養液の上清部分を集め、これに硫安を加え
硫安画分のシガ様毒素Iを含む試料を得たものを利用し
た(粗蛋白質として、約153マイクログラム/100マイク
ロリットル含むサンプルを用いた(トリス緩衝液に溶解
してある)。このうち、約10%がベロ毒素で他の90%は、
夾雑蛋白質である。この試料の110マイクロリットルを
マイクロピペットで取り、先の水晶振動子が浸っている
反応槽(20mlの緩衝液)に注意深く素早く加えた。約30
分後、金基盤上にベロ毒素が付着することによる周波数
の減少(約50Hz)を観察した(1Hzの減少は、0.5ngに相
当する)。この吸着量は25ngに相当する。この操作を数
回繰り返した。また、シガ様毒素IIの場合には、粗蛋白
質として、約193マイクログラム/100マイクロリットル
を含むサンプルを用いた。この中の56.4マイクロリット
ルを採取し、これを反応槽に加えた。約30分後、22Hzの
周波数減少が観測された。これは、11ngのベロ毒素II型
が結合したことに相当する。
【0023】一方、ブランクには、シガ様毒素I型及びI
I型を生成しないリコンビナントの大腸菌O-157(ノック
アウトしたもの)を用い、上記と同様の粗画分を用い、
水晶振動子計測装置の周波数に減少のないことを確認し
た。本法により、粗蛋白量約10%の粗ベロ毒素I型及びII
型を各々含む試料を用いたとき、最小検出感度約75ng/m
l(純粋なベロ毒素に換算)で30分程度で検出すること
に成功した。
【0024】本発明に用いる糖鎖誘導体は、病原性大腸
菌O-157等の病原菌及びそれらが生産するベロ毒素等の
毒性タンパク質と容易に結合するものであるから、それ
らの菌や毒素を含む検体を、水晶発振子(QCM)法や表
面プラズモン共鳴(SPR)法を用いて検査する際に有用
なものである。
【0025】
【発明の効果】本発明によれば、特定の糖鎖誘導体は、
病原性大腸菌及びベロ毒素等の有害物質と容易に結合す
るため、QCM法又はSPR法と併用することにより、
病原性大腸菌又はベロ毒素の存在を迅速かつ正確に検出
できるから、極めて有用な検出センサー及び検出方法を
提供するものである。また、その検出センサーを用いる
と、病原性大腸菌又はベロ毒素の定性分析や定量分析を
短時間で容易に行うことができるため、被検体中に含ま
れるベロ毒素の検査に極めて有益である。
フロントページの続き Fターム(参考) 2G059 AA05 BB12 CC16 DD01 DD03 4B063 QA01 QA18 QQ06 QQ16 QQ18 QR43 QR84 QS39 QX04

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 基盤表面上の単分子層を介して、下記一
    般式(I)で表される末端にガラクトースを含む糖鎖誘
    導体を固定させたことを特徴とする大腸菌O-157の生産
    するベロ毒素の検出センサー。 【化1】 [式中、Yは、炭素原子数8〜50の長鎖炭化水素基、又
    は-C6H5-NH-R'(ここで、R’は、炭化水素基又はアシ
    ル基である。)で示されるN−置換フェニル基であ
    る。]
  2. 【請求項2】 基盤が、水晶振動子法又は表面プラズ
    モン共鳴法に用いるものであることを特徴とする請求項
    1又は2に記載の検出センサー。
  3. 【請求項3】 請求項1又は2に記載の検出センサーを
    用いて、夾雑蛋白質を含む溶液中に存在する大腸菌O-15
    7の生産するベロ毒素を検出することを特徴とする検出
    方法。
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