JP2002020604A - 芳香族ポリカーボネート樹脂組成物および積層体 - Google Patents

芳香族ポリカーボネート樹脂組成物および積層体

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JP2002020604A
JP2002020604A JP2000201978A JP2000201978A JP2002020604A JP 2002020604 A JP2002020604 A JP 2002020604A JP 2000201978 A JP2000201978 A JP 2000201978A JP 2000201978 A JP2000201978 A JP 2000201978A JP 2002020604 A JP2002020604 A JP 2002020604A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 特定のヒドロキシフェニルトリアジン骨格を
有する紫外線吸収剤を用いた芳香族ポリカーボネート樹
脂組成物において、耐候性と成形耐熱性がより向上した
組成物を提供する。 【解決手段】 (A)粘度平均分子量が17,000〜
50,000の芳香族ポリカーボネート樹脂100重量
部(a成分)、(B)特定のヒドロキシフェニルトリア
ジン化合物0.1〜10重量部(b成分)および(C)
ブルーイング剤Y重量部(c成分;ただし、Yは、b成
分をX重量部としたときに、下記計算式で示される範囲
である。)からなる芳香族ポリカーボネ−ト樹脂組成
物。 0.00025X ≦ Y ≦ 0.00055X

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、成形耐熱性および
耐候性に優れ、成形加工時における添加剤の揮発や成形
不良、シートや成形品におけるブリードアウトが低減さ
れた芳香族ポリカーボネート樹脂組成物および該芳香族
ポリカーボネート樹脂組成物を表面層に有する積層体に
関する。
【0002】
【従来の技術】ポリカーボネート樹脂は、透明性、耐衝
撃性、耐熱性、難燃性に優れていることから、多くの用
途に使用されている。最近では、シート材料や窓ガラス
材料等、屋外での用途においても広く使用されるように
なってきている。しかしながら、芳香族ポリカーボネー
ト樹脂を屋外で長期間使用すると、紫外線による樹脂の
黄変やクラックの発生で、透明性や機械物性が低下する
ことが知られている。
【0003】耐候性を向上させる方法としては、例え
ば、紫外線吸収剤を芳香族ポリカーボネート樹脂に配合
する方法、紫外線吸収剤を配合した樹脂(芳香族ポリカ
ーボネ−ト樹脂あるいはその他のアクリル樹脂等)を芳
香族ポリカーボネネートシートや成形体表面に積層ある
いは被覆する方法がある。さらに、高度の耐候性を付与
するためには、紫外線吸収剤の配合濃度を高くしたり、
高濃度に紫外線吸収剤を配合した樹脂をポリカーボネー
ト樹脂の表面に積層あるいは被覆する方法が知られてい
る。
【0004】一般に樹脂添加剤は、押出加工、成形加工
時に揮発や分解が起こりやすいものが多く、場合によっ
ては、シートや成形品の色相を悪化させたりシルバー現
象や成形耐熱性悪化等の成形不良、成形品におけるブリ
ードアウト(プレートアウト)等の問題を引き起こす原
因となることもある。紫外線吸収剤も例外ではなく、特
に、多くの添加量を必要とする場合はこれらの問題をお
こしやすい。かかる問題を解決するために、熱による分
解や揮発が少ない紫外線吸収剤、さらに成形加工や製品
の熱処理において樹脂製品の表面へ移行しにくい紫外線
吸収剤の開発が望まれている。
【0005】紫外線吸収剤でよく使用されているのは、
ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤であるが、成形加工
時のガス発生を抑制するために、より揮発性が低い紫外
線吸収剤の開発が行われるようになってきた。例えば、
ベンゾトリアゾール骨格に分子量が高めの置換基を導入
した化合物、ベンゾトリアゾール化合物の二量体型化合
物、トリフェニルトリアジン骨格を有する特定の化合物
等が既に開発されている。その中でもより効果的なのが
ベンゾトリアゾール化合物の二量体型化合物とトリフェ
ニルトリアジン骨格を有する特定の化合物である。前者
を用いた例として特公平6−41162号公報が挙げら
れ、後者を用いた例として特開平5−93089号公
報、特開平9−176476号公報、特開平10−17
759号公報、特開平10−166512号公報、特開
平10−120894号公報、特開平10−44356
号公報等が挙げられる。
【0006】さらに、特開平9−57813号公報で
は、前者紫外線吸収剤よりも後者紫外線吸収剤を用いた
ほうが耐候性試験において黄変が少ないと記載されてい
る。しかしながら、後者の紫外線吸収剤を使用した場
合、耐候性試験において黄変が少ない傾向が認められて
いるもののまだ十分とは言えず、また、成形耐熱性も十
分とは言えない。樹脂製品の多様化、高度な品質要求が
高まる中では、より耐候性や成形耐熱性が優れる芳香族
樹脂組成物の開発が望まれている。
【0007】一方、アントラキノン系化合物等に代表さ
れる青色系染料は、例えば、ポリカーボネート樹脂の成
形品の黄色味を打ち消したり青色味をつけるために、す
なわち、ブルーイング剤として用いられるが、耐候性や
成形耐熱性に対するブルーイング剤の影響についてこれ
まで言及されたことはなかった。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】これまで、多くの添加
剤やそれを用いた芳香族ポリカーボネート樹脂組成物が
提案されてきた。ポリカーボネート樹脂製品の多種多様
化が進む中で、今後も新しい添加剤の開発が必要であ
る。それと同時に、既存の各添加剤、例えば紫外線吸収
剤に関しては、これを用いたポリカーボネート樹脂組成
物に関し、耐候性をはじめ、成形耐熱性やその他の性能
をより向上させることが強く求められている。
【0009】本発明の目的は、特定のヒドロキシフェニ
ルトリアジン骨格を有する紫外線吸収剤を用いた芳香族
ポリカーボネート樹脂組成物において、耐候性と成形耐
熱性がより向上した組成物を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明者は、上記目的を
達成するために鋭意研究した結果、驚くべきことに、特
定のヒドロキシフェニルトリアジン骨格を有する紫外線
吸収剤を用いた芳香族ポリカーボネート樹脂組成物にお
いて、該紫外線吸収剤量に対して規定された量のブルー
イング剤を使用することにより、成形滞留による色相変
化および耐候性試験処理における色相変化が小さくなる
ことを見出し、本発明に到達した。
【0011】すなわち、本発明によれば、(A)粘度平
均分子量が17,000〜50,000の芳香族ポリカ
ーボネート樹脂100重量部(a成分)、(B)下記式
(1)で示されるヒドロキシフェニルトリアジン化合物
0.1〜10重量部(b成分)および(C)ブルーイン
グ剤Y重量部(c成分;ただし、Yは、b成分をX重量
部としたときに、下記計算式で示される範囲である。)
からなる芳香族ポリカーボネ−ト樹脂組成物が提供され
る。 0.00025X ≦ Y ≦ 0.00055X
【0012】
【化6】
【0013】[式中、R1は炭素数1〜18のアルキル
基または炭素数6〜20のアラルキル基を示し、R2
水素原子あるいは炭素数1〜5のアルキル基を示し、そ
れぞれが同一でも異なっていてもよい。]
【0014】本発明でa成分として使用される芳香族ポ
リカーボネート樹脂は、二価フェノールとカーボネート
前駆体とを界面重合法(溶液法)また溶融法で反応させ
て得られるものである。ここで使用される二価フェノー
ルの代表的な例としては、2,2−ビス(4−ヒドロキ
シフェニル)プロパン(通称ビスフェノールA)、ビス
(4−ヒドロキシフェニル)メタン、1,1−ビス(4
−ヒドロキシフェニル)エタン、1,1−ビス(4−ヒ
ドロキシフェニル)シクロヘキサン、2,2−ビス(4
−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)プロパン、
2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジブロモフェ
ニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3−
メチルフェニル)プロパン、ビス(4−ヒドロキシフェ
ニル)エーテル、4,4−ジヒドロキシジフェニル、ビ
ス(4−ヒドロキシフェニル)スルフィド、ビス(4−
ヒドロキシフェニル)スルホン等が挙げられる。好まし
い二価フェノールは、ビス(4−ヒドロキシフェニル)
アルカンであり、なかでもビスフェノールAが特に好ま
しい。
【0015】カーボネート前駆体としてはカルボニルハ
ライド、カーボネートエステルまたはハロホルメート等
が使用され、具体的にはホスゲン、ジフェニルカーボネ
ートまたは二価フェノールのジハロホルメート等が挙げ
られる。
【0016】上記二価フェノールとカーボネート前駆体
を界面重合法または溶融法によって反応させて芳香族ポ
リカーボネート樹脂を製造するに当っては、二価フェノ
ールは単独または2種以上を使用することができ、必要
に応じて触媒、末端停止剤、二価フェノールの酸化防止
剤等を使用してもよい。また芳香族ポリカーボネート樹
脂は三官能以上の多官能性芳香族化合物を共重合した分
岐ポリカーボネート樹脂であってもよい。また、2種以
上の芳香族ポリカーボネート樹脂の混合物であってもよ
い。
【0017】界面重合法による反応は、通常二価フェノ
ールとホスゲンとの反応であり、酸結合剤および有機溶
媒の存在下に反応させる。
【0018】酸結合剤としては、例えば水酸化ナトリウ
ム、水酸化カリウム等のアルカリ金属水酸化物またはピ
リジン等のアミン化合物が用いられる。
【0019】有機溶媒としては、例えば塩化メチレン、
クロロベンゼン等のハロゲン化炭化水素が用いられる。
【0020】また、反応促進のために例えば第三級アミ
ンや第四級アンモニウム塩等の触媒を用いることもでき
る。その際、反応温度は通常0〜40℃であり、反応時
間は数分〜5時間程度である。
【0021】また、重合反応において、末端停止剤とし
て単官能フェノール類を使用することができる。カーボ
ネート前駆物質としてホスゲンを使用する反応の場合、
単官能フェノール類は末端停止剤として分子量調節のた
めに一般的に使用され、また得られた芳香族ポリカーボ
ネート樹脂は、末端が単官能フェノール類に基づく基に
よって封鎖されているので、そうでないものと比べて熱
安定性に優れている。かかる単官能フェノール類として
は、ポリカーボネートの末端停止剤として使用されるも
のであればよく、一般にはフェノールまたは低級アルキ
ル置換フェノールであって、下記式(6)で表される単
官能フェノール類を示すことができる。
【0022】
【化7】
【0023】[式中、Rは水素原子または炭素数1〜9
のアルキル基もしくはフェニルアルキル基であり、mは
1〜5、好ましくは1〜3の整数を示す。] 前記単官能フェノール類の具体例としては、例えばフェ
ノール、p−tert−ブチルフェノール、p−クミル
フェノールおよびイソオクチルフェノールが挙げられ
る。
【0024】溶融法による反応は、通常二価フェノール
とジフェニルカーボネートとのエステル交換反応であ
り、不活性ガスの存在下に二価フェノールとジフェニル
カーボネートを混合し、減圧下通常120〜350℃で
反応させる。減圧度は段階的に変化させ、最終的には1
33Pa以下にして生成したフェノール類を系外に除去
させる。反応時間は通常1〜4時間程度である。
【0025】また、溶融法による重合反応において、フ
ェノール性の末端基を減少するために、重縮反応の後期
あるいは終了後に、例えば2−クロロフェニルフェニル
カーボネート、2−メトキシカルボニルフェニルフェニ
ルカーボネートおよび2−エトキシカルボニルフェニル
フェニルカーボネート等の化合物を加えることが好まし
い。
【0026】本発明における芳香族ポリカーボネート樹
脂の分子量は、粘度平均分子量で17,000〜50,
000であり、18,000〜40,000がより好ま
しい。かかる粘度平均分子量を有する芳香族ポリカーボ
ネート樹脂は、押出・成形加工時に比較的良好な流動性
を保ちながら、得られた成形品に関して一定の機械的強
度を有するので好ましい。
【0027】本発明でいう粘度平均分子量は、塩化メチ
レン100mlに芳香族ポリカーボネート樹脂0.7g
を20℃で溶解した溶液を用いて測定された比粘度(η
SP)を次式に挿入して求めるMを指す。 ηSP/c=[η]+0.45×[η]2c(但し[η]は極限粘度) [η]=1.23×10-40.83 c=0.7
【0028】本発明において、b成分として前記式
(1)で示されるヒドロキシフェニルトリアジン化合物
が使用される。
【0029】前記式(1)中のR1とは、炭素数1〜1
8のアルキル基または炭素数6〜20のアラルキル基で
ある。
【0030】炭素数1〜18のアルキル基としては、直
鎖または分岐状のアルキル基であってよく、ハロゲン原
子やアルコキシ基で置換されたアルキル基であってもよ
い。例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプ
ロピル基、ブチル基、イソブチル基、ペンチル基、2−
エチルブチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル
基、2−エチルヘキシル基、ノニル基、デシル基、ドデ
シル基、テトラデシル基、オクタデシル基、2−クロロ
エチル基、2−フルオロエチル基、2−メトキシエチル
基、2−エトキシエチル基、2−イソプロポキシエチル
基、2−メトシキプロピル基、3−ブトキシプロピル
基、2−ブトキシエチル基、2−ヘキシルオキシエチル
基、2−オクチルオキシエチル基および2−ドデシルオ
キシエチル基等が挙げられる。
【0031】また、炭素数6〜20のアラルキル基とし
ては、ベンジル基、2,6−ジターシャリーブチル−4
−メチルベンジル基、フェネチル基、フェニルプロピル
基、ナフチルメチル基および2−フェニルイソプロピル
基等が挙げられ、なかでもベンジル基が好ましく使用さ
れる。
【0032】R1は、その置換基を有する化合物の合成
効率や精製効率を考慮すると、好ましくは炭素数3〜1
0のアルキル基であり、より好ましくは炭素数5〜8の
アルキル基であり、特に好ましくはヘキシル基である。
また、R1は、ポリカーボネート樹脂との相溶性を考慮
すると直鎖状のアルキル基が好ましい。
【0033】また、前記式(1)中のR2とは、水素原
子あるいは炭素数1〜5のアルキル基であり、その置換
基を有する化合物の合成効率や精製効率を考慮すると、
好ましくは水素原子およびメチル基であり、より好まし
くは水素原子である。
【0034】かかるb成分のヒドロキシフェニルトリア
ジン化合物として、具体的には、2−(4,6−ジフェ
ニル−1,3,5−トリアジン−2−イル)−5−
[(ヘキシル)オキシ]−フェノール(例えば、チバ・
スペシャルティ・ケミカルズ社製TINUVIN157
7)、2−(4,6−ビス(2,4−ジメチルフェニ
ル)−1,3,5−トリアジン−2−イル)−5−
[(オクチル)オキシ]−フェノール(例えば、シプロ
化成製CYASORB1164)等が挙げられ、化合物
の合成効率や精製効率を考慮すると、2−(4,6−ジ
フェニル−1,3,5−トリアジン−2−イル)−5−
[(ヘキシル)オキシ]−フェノールがより好ましい。
【0035】また、ヒドロキシフェニルトリアジン化合
物の粒径は、0.1〜1.5mm程度が好ましく、溶融
押出に使用されるベースのポリカーボーネート樹脂粉粒
体の粒径以下のものがより好ましい。また、粒径が一定
のものが、押出加工して得られる樹脂組成物のペレット
の色相が安定して良好であり、好ましく使用される。
【0036】本発明において、ヒドロキシフェニルトリ
アジン化合物(b成分)の配合量は、芳香族ポリカーボ
ネート樹脂(a成分)100重量部に対して0.1〜1
0重量部であり、好ましくは0.15〜8重量部であ
り、より好ましくは0.2〜6重量部である。0.1重
量部未満では耐候性を十分付与できず好ましくなく、1
0重量部を超えると樹脂組成物の機械物性が低下し好ま
しくない。
【0037】本発明において、c成分としてブルーイン
グ剤が使用される。ブルーイング剤は、本来、透明ポリ
カーボネート樹脂の黄色みを打ち消すために用いたり、
青みを目立たせる目的に用いているものであり、アント
ラキノン系染料等が好ましく使用される。アントラキノ
ン系染料とは、9、10−アントラキノン骨格を分子中
に有する有機染料である。
【0038】c成分のブルーイング剤として、具体的に
は、バイエル社のマクロレックスバイオレットBやサン
ド社のテラゾールブル−RLS等が挙げられる。
【0039】本発明において、ブルーイング剤(c成
分)の配合量は、前記ヒドロキシフェニルトリアジン化
合物(b成分)の配合量によって規定される。つまり、
ヒドロキシフェニルトリアジン化合物(b成分)の配合
量をX重量部としたときに、ブルーイング剤(c成分)
の配合量Y重量部は、下記計算式で示される範囲の値で
ある。 0.00025X ≦ Y ≦ 0.00055X
【0040】このYの下限範囲は、0.00028Xが
より好ましく、0.0003Xがさらに好ましい。ま
た、Yの上限範囲は、0.00052Xがより好まし
く、0.0005Xがさらに好ましい。ヒドロキシフェ
ニルトリアジン化合物(b成分)の配合量に対して、ブ
ルーイング剤(c成分)の量が上記計算式の範囲を外れ
ると、高度な成形耐熱性や耐候性を維持できず、本発明
の目的を達成することができなくなり好ましくない。
【0041】ここで、優れた成形耐熱性や耐候性を判断
するために、成形滞留処理や耐候性試験処理における前
後の状態の変化を評価する方法があげられる。評価項目
としては、成形片の機械物性変化、分子量変化、色相変
化等などがあげられるが、本発明においては、特に色相
変化に注目して評価を行った。
【0042】本発明においては、さらにd成分として、
炭素数が3〜32である一価あるいは多価の脂肪族アル
コールと炭素数が3〜32の脂肪族カルボン酸との脂肪
酸エステルを用いることが好ましい。
【0043】炭素数が3〜32である一価あるいは多価
の脂肪族アルコールとは、直鎖状のものでも分岐状のも
のでもよく、iso−プロパノール、n−ヘキシルアル
コール、n−ヘプチルアルコール、n−オクチルアルコ
ール、n−ノニルアルコール、n−デシルアルコール、
n−ウンデシルアルコール、ラウリルアルコール、n−
トリデシルアルコール、テトラデシルアルコール、n−
ペンタデシルアルコール、パルミチルアルコール、マー
ガリルアルコール、ステアリルアルコール、n−ノナデ
シルアルコール、エイコシルアルコール、セリルアルコ
ール、ミリシルアルコ−ル、メチルペンチルアルコー
ル、2−エチルブチルアルコール、2−エチルヘキシル
アルコール、3.5−ジメチル−1−ヘキサノール、
2,2,4−トリメチル−1−ペンタノール、ペンタエ
リスリトール、ジペンタエリスリトール、グリセリン、
ジグリセリン、ジエチレングリコール、プロピレングリ
コール等があげられる。なかでも、ステアリルアルコー
ル、パルミチルアルコール、ノニルアルコール、グリセ
リン、ペンタエリスリトールが好ましい。
【0044】炭素数が3〜32の脂肪族カルボン酸と
は、1価のカルボン酸でありn−ヘキサン酸、n−ヘプ
タン酸、n−オクタン酸、n−ノナン酸、n−デカン
酸、n−ウンデカン酸、ラウリン酸、トリデカン酸、テ
トラデカン酸、n−ペンタデカン酸、パルミチン酸、1
−ヘプタデカン酸、ステアリン酸、n−ノナデカン酸、
エイコサン酸、1−ヘキサコサン酸、ベヘン酸等があげ
られ、好ましくは、ステアリン酸、n−ノナデカン酸、
ラウリン酸、パルミチン酸、ベヘン酸であり、より好ま
しくはステアリン酸である。
【0045】d成分の脂肪酸エステルとしては、前述の
アルコールとカルボン酸を組み合わせて得られる1種以
上の化合物である。具体的には、ステアリン酸モノグリ
セリド、パルミチルパルミテート、ステアリン酸トリグ
リセリド、ベヘン酸トリグリセリド、ペンタエリスリト
ールテトラステアレート、ペンタエリスリトールテトラ
ノナノネート、プロピレングリコールジステアレート、
ジペンタエリスルトールヘキサステアレート等が挙げら
れる。
【0046】これらの脂肪酸エステルの中でも、ステア
リン酸モノグリセリド、ステアリン酸トリグリセリド、
ペンタエリスリトールテトラステアレート、ステアリン
酸トリグリセリドとステアリルステアレートの混合物が
好ましく用いられ、このステアリン酸トリグリセリドと
ステアリルステアレートの混合物は、重量比で前者が6
0〜80に対して後者が20〜40の範囲が好ましい。
これらの脂肪酸エステルの中でより好ましいのは、ペン
タエリスリトールテトラステアレートである。
【0047】かかる脂肪酸エステル(d成分)の配合量
は、芳香族ポリカーボネート樹脂(a成分)100重量
部に対して0.005〜1重量部が好ましく、0.01
〜0.6重量部がより好ましい。脂肪酸エステルの配合
量が上記範囲であると、芳香族ポリカーボネート樹脂組
成物を成形する際の離型性が十分であり、また、金型付
着物が少なく、成形耐熱性に優れることから好ましい。
【0048】本発明においては、さらにe成分として、
下記式(2)、(3)、(4)および(5)で示される
リン系化合物よりなる群から選ばれる少なくとも1種の
リン系化合物を用いることが好ましい。
【0049】
【化8】
【0050】
【化9】
【0051】
【化10】
【0052】
【化11】
【0053】[式中、Ar1、Ar2、Ar3およびAr4
はアルキル置換基があってもよい芳香族基であって、そ
れぞれ同一でも異なっていてもよい。] 前記リン系化合物(e成分)のなかで、前記式(2)で
示されるリン系化合物が好ましく使用される。また、前
記式(2)で示されるリン系化合物は、前記式(3)お
よび前記式(4)と併用して使用することがより好まし
い。
【0054】前記式(2)、式(3)および式(4)で
示されるリン系化合物を併用して使用する場合、その合
計を100重量%とした時、式(2)で示されるリン系
化合物が40〜80重量%、式(3)で示されるリン系
化合物が0〜25重量%および式(4)で示されるリン
系化合物が5〜50重量%の範囲が好ましく、式(2)
が40〜80重量%、式(3)が5〜25重量%および
式(4)が5〜50重量%がより好ましい。特に好まし
くは、式(2)が50〜80重量%、式(3)が5〜2
5重量%および式(4)が5〜45重量%である。ま
た、式(2)、式(3)および式(4)中のAr1、A
2およびAr3はジアルキルフェニル基が好ましい。
【0055】前記式(2)で示される化合物の具体例と
しては、テトラキス(2,4−ジ−iso−プロピルフ
ェニル)−4,4’−ビフェニレンジホスホナイト、テ
トラキス(2,4−ジ−n−ブチルフェニル)−4,
4’−ビフェニレンジホスホナイト、テトラキス(2,
4−ジ−tert−ブチルフェニル)−4,4’−ビフ
ェニレンジホスホナイト、テトラキス(2,4−ジ−t
ert−ブチルフェニル)−4,3’−ビフェニレンジ
ホスホナイト、テトラキス(2,4−ジ−ter
【0056】テトラキス(2,6−ジ−iso−プロピ
ルフェニル)−4,4’−ビフェニレンジホスホナイ
ト、テトラキス(2,6−ジ−n−ブチルフェニル)−
4,4’−ビフェニレンジホスホナイト、テトラキス
(2,6−ジ−tert−ブチルフェニル)−4,4’
−ビフェニレンジホスホナイト、テトラキス(2,6−
ジ−tert−ブチルフェニル)−4,3’−ビフェニ
レンジホスホナイト、テトラキス(2,6−ジ−ter
t−ブチルフェニル)−3,3’−ビフェニレンジホス
ホナイト等が挙げられ、テトラキス(ジ−tert−ブ
チルフェニル)−ビフェニレンジホスホナイトが好まし
く、テトラキス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニ
ル)−ビフェニレンジホスホナイトがより好ましい。
【0057】このテトラキス(2,4−ジ−tert−
ブチルフェニル)−ビフェニレンジホスホナイトは、2
種以上の混合物であってもよく、具体的には、テトラキ
ス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)−4,
4’−ビフェニレンジホスホナイト(2−1成分)、テ
トラキス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)−
4,3’−ビフェニレンジホスホナイト(2−2成分)
およびテトラキス(2,4−ジ−tert−ブチルフェ
ニル)−3,3’−ビフェニレンジホスホナイト(2−
3成分)の3種の混合物が好ましい。また、この混合物
の混合比は、2−1成分、2−2成分および2−3成分
が重量比で、100:37〜64:4〜14の範囲が好
ましく、100:40〜60:5〜11の範囲がより好
ましい。
【0058】前記式(3)で示される化合物の具体例と
しては、ビス(2,4−ジ−iso−プロピルフェニ
ル)−4−フェニル−フェニルホスホナイト、ビス
(2,4−ジ−n−ブチルフェニル)−3−フェニル−
フェニルホスホナイト、ビス(2,4−ジ−tert−
ブチルフェニル)−4−フェニル−フェニルホスホナイ
ト、ビス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)−
3−フェニル−フェニルホスホナイト、
【0059】ビス(2,6−ジ−iso−プロピルフェ
ニル)−4−フェニル−フェニルホスホナイト、ビス
(2,6−ジ−n−ブチルフェニル)−3−フェニル−
フェニルホスホナイト、ビス(2,6−ジ−tert−
ブチルフェニル)−4−フェニル−フェニルホスホナイ
ト、ビス(2,6−ジ−tert−ブチルフェニル)−
3−フェニル−フェニルホスホナイト等が挙げられ、ビ
ス(ジ−tert−ブチルフェニル)−フェニル−フェ
ニルホスホナイトが好ましく、ビス(2,4−ジ−te
rt−ブチルフェニル)−フェニル−フェニルホスホナ
イトがより好ましい。
【0060】このビス(2,4−ジ−tert−ブチル
フェニル)−フェニル−フェニルホスホナイトは、2種
以上の混合物であってもよく、具体的には、ビス(2,
4−ジ−tert−ブチルフェニル)−4−フェニル−
フェニルホスホナイト(3−1成分)およびビス(2,
4−ジ−tert−ブチルフェニル)−3−フェニル−
フェニルホスホナイト(3−2成分)の混合物が好まし
い。また、この混合物の混合比は、3−1成分および3
−2成分が重量比で、5:1〜4の範囲が好ましく、
5:2〜3の範囲がより好ましい。
【0061】前記式(4)で示される化合物の具体例と
しては、トリス(ジメチルフェニル)ホスファイト、ト
リス(ジエチルフェニル)ホスファイト、トリス(ジ−
iso−プロピルフェニル)ホスファイト、トリス(ジ
−n−ブチルフェニル)ホスファイト、トリス(2,4
−ジ−tert−ブチルフェニル)ホスファイト、トリ
ス(2,6−ジメチル−4−tert−ブチルフェニ
ル)ホスファイト、トリス(2,6−ジメチルフェニ
ル)ホスファイト、
【0062】トリフェニルホスファイト、トリス(4−
n−ノニルフェニル)ホスファイト、トリス(4−デシ
ルフェニル)ホスファイト、トリス(4−オクチルフェ
ニル)ホスファイト、トリス(4−オクタデシルフェニ
ル)ホスファイト、トリス(4−メチルフェニル)ホス
ファイト、トリス(4−エチルフェニル)ホスファイ
ト、トリス(4−iso−プロピルフェニル)ホスファ
イト、トリス(4−tert−ブチルフェニル)ホスフ
ァイト等が挙げられ、トリス(ジアルキル置換フェニ
ル)ホスファイトが好ましく、トリス(ジ−tert−
ブチルフェニル)ホスファイトがより好ましく、トリス
(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ホスファイ
トが特に好ましい。かかる式(4)で示される化合物は
単独でまたは2種以上の混合物で使用してもよい。
【0063】前記式(5)で示される化合物の具体例と
しては、ビス(2,6−ジ−tert−ブチル−4−メ
チルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、
ビス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ペンタ
エリスリトールジホスファイトが挙げられる。
【0064】本発明において、リン系化合物(e成分)
の配合量は、芳香族ポリカーボネート樹脂(a成分)1
00重量部に対して、0.002〜0.2重量部の範囲
が好ましく、0.005〜0.15重量部の範囲がより
好ましく、0.01〜0.1重量部の範囲がさらに好ま
しい。リン系化合物の配合量がかかる範囲であると、樹
脂の熱安定性が良好で、また、樹脂の機械物性が低下せ
ず好ましい。
【0065】本発明の芳香族ポリカーボネート樹脂組成
物には、成形時における分子量の低下や色相の悪化を高
度に防止するために、前記リン系安定剤に加えて、他の
熱安定剤を追加併用することができる。かかる熱安定剤
としては、亜リン酸、リン酸、亜ホスホン酸、ホスホン
酸およびこれらのエステル等が挙げられる。
【0066】かかるエステル類として具体的には、トリ
デシルホスファイト、トリオクチルホスファイト、トリ
オクタデシルホスファイト、ジデシルモノフェニルホス
ファイト、ジオクチルモノフェニルホスファイト、ジイ
ソプロピルモノフェニルホスファイト、モノブチルジフ
ェニルホスファイト、モノデシルジフェニルホスファイ
ト、モノオクチルジフェニルホスファイト、2,2−メ
チレンビス(4,6−ジ−tert−ブチルフェニル)
オクチルホスファイト、ビス(ノニルフェニル)ペンタ
エリスリトールジホスファイト、ジステアリルペンタエ
リスリトールジホスファイト、トリブチルホスフェー
ト、トリエチルホスフェート、トリメチルホスフェー
ト、トリフェニルホスフェート、ジフェニルモノオルソ
キセニルホスフェート、ジブチルホスフェート、ジオク
チルホスフェート、ジイソプロピルホスフェート、ベン
ゼンホスホン酸ジメチル、ベンゼンホスホン酸ジエチ
ル、ベンゼンホスホン酸ジプロピル等が挙げられる。な
かでも、亜リン酸、トリメチルホスフェート、ベンゼン
ホスホン酸ジメチルが好ましく使用される。これらは、
1種もしくは2種以上を混合して用いてもよい。
【0067】かかる熱安定剤の配合量は、該芳香族ポリ
カーボネート樹脂100重量部に対して0.001〜
0.15重量部が好ましく、0.001〜0.1重量部
がより好ましく、0.001〜0.05重量部がさらに
好ましい。
【0068】本発明において、芳香族ポリカーボネート
樹脂組成物にヒンダードフェノール系安定剤を加えるこ
とが好ましい。かかるヒンダードフェノール系安定剤の
配合量は、芳香族ポリカーボネート樹脂100重量部に
対して0.015〜0.15重量部の範囲が好ましく、
0.03〜0.08重量部の範囲がより好ましい。
【0069】かかるヒンダードフェノール系安定剤とし
て、具体的には、ペンタエリスリトールテトラキス[3
−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフ
ェニル)プロピオネート]、チオジエチレンビス[3−
(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェ
ニル)プロピオネート]、オクタデシル−3−(3,5
−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プ
ロピオネート、ベンゼンプロパン酸3,5−ビス(1,
1−ジメチルエチル)−4−ヒドロキシアルキルエステ
ル(アルキルは炭素数7〜9で側鎖を有する)、2,4
−ジメチル−6−(1−メチルペンタデシル)フェノー
ル、3,3’,3”,5,5’,5”−ヘキサ−ter
t−ブチル−a,a’,a”−(メシチレン−2,4,
6−トリイル)トリ−p−クレゾール、エチレンビス
(オキシエチレン)ビス[3−(5−tert−ブチル
−4−ヒドロキシ−m−トリル)プロピオネート]、ヘ
キサメチレンビス[3−(3,5−ジ−tert−ブチ
ル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、1,
3,5−トリス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−
ヒドロキシベンジル)−1,3,5−トリアジン−2,
4,6(1H,3H,5H)−トリオンが挙げられる。
【0070】その中でも、ペンタエリスリトールテトラ
キス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒド
ロキシフェニル)プロピオネート]、オクタデシル−3
−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフ
ェニル)プロピオネートが好ましく使用される。
【0071】本発明の芳香族ポリカーボネート樹脂組成
物には、酸化防止の目的で通常知られた酸化防止剤を配
合することができる。かかる酸化防止剤としては、例え
ばペンタエリスリトールテトラキス(3−メルカプトプ
ロピオネート)、ペンタエリスリトールテトラキス(3
−ラウリルチオプロピオネート)、グリセロール−3−
ステアリルチオプロピオネート、トリエチレングリコー
ル−ビス[3−(3−tert−ブチル−5−メチル−
4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、1,6−
ヘキサンジオール−ビス[3−(3,5−ジ−tert
−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネー
ト]、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス
(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベン
ジル)ベンゼン、N,N−ヘキサメチレンビス(3,5
−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−ヒドロシン
ナマイド)、3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒド
ロキシ−ベンジルホスホネート−ジエチルエステル、ト
リス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシ
ベンジル)イソシアヌレート、3,9−ビス{1,1−
ジメチル−2−[β−(3−tert−ブチル−4−ヒ
ドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオニルオキシ]
エチル}−2,4,8,10−テトラオキサスピロ
(5,5)ウンデカン等が挙げられる。これら酸化防止
剤の配合量は、芳香族ポリカーボネート樹脂100重量
部に対して0.001〜0.05重量部が好ましい。
【0072】本発明の芳香族ポリカーボネート樹脂組成
物には、易滑性を付与するために、さらに無機粒子、好
適には炭酸カルシウムを配合することができる。かかる
無機粒子を配合した芳香族ポリカーボネート樹脂組成物
は、これから得られる成形品、殊にシートを重ねた時の
滑り性に優れる。芳香族ポリカーボネート樹脂からなる
シートは、建築物や車両用の窓材、アーケード、風防板
等に使用され、前記無機粒子を配合した芳香族ポリカー
ボネート樹脂組成物は、耐候性、耐熱成形性に優れるこ
とから、これらの用途に好適に使用される。
【0073】また、前記無機粒子を配合した芳香族ポリ
カーボネート樹脂組成物は、その耐候性、耐熱成形性お
よび易滑性を効率良く発揮させることから、芳香族ポリ
カーボネート樹脂製シートの表面に表面層として使用
し、積層体とすることが好ましい。かかる積層体はシー
トおよび表面層が共にポリカーボネート樹脂であること
からリサイクルも容易であり好ましい。
【0074】かかる積層体を製造する方法としては、共
押出法が好ましく採用される。具体的には、補助のエク
ストルージョンで本発明の芳香族ポリカーボネート樹脂
組成物をその融点〜融点+150℃、好ましくは融点+
30℃〜融点+100℃で溶融押出し、主のエクストル
ージョンで芳香族ポリカーボネート樹脂を同様の温度で
溶融押出し、多層スロットダイまたはフィードブロック
を経由させTダイから押出し積層することができる。
【0075】かかる積層体において、芳香族ポリカーボ
ネート樹脂製シートの厚みは、0.5〜20mmが好ま
しく、表面層の厚みは、10〜100μmが好ましい。
【0076】かかる積層体の表面層は厚みが薄く、この
ような場合は、芳香族ポリカーボネート樹脂組成物の押
出量が少なくなり、押出成形時の滞留時間が長くなるこ
とから、本発明の成形耐熱性に優れた芳香族ポリカーボ
ネート樹脂組成物が好適に使用される。
【0077】前記無機粒子の配合量は、芳香族ポリカー
ボネート樹脂100重量部に対して、0.01〜0.1
重量部の範囲が好ましく、かかる範囲内であると成形耐
熱性が損なわれず、また、成形品表面に易滑性が付与さ
れ好ましい。
【0078】本発明の芳香族ポリカーボネート樹脂組成
物において芳香族ポリカーボネート樹脂と紫外線吸収
剤、ブルーイング剤およびその他の添加剤をブレンドす
るには、任意の方法が採用される。例えばタンブラー、
V型ブレンダー、スーパーミキサー、ナウターミキサ
ー、バンバリーミキサー、混練ロール、押出機等で混合
する方法が適宜用いられる。こうして得られた芳香族ポ
リカーボネート樹脂組成物パウダーやペレットのブレン
ド品は、そのまま又は溶融押出機で一旦ペレット状にし
てから、射出成形法、押出成形法、圧縮成形法、シート
押出法、シート共押出法等の通常知られている方法で成
形品やシート製品にすることができる。
【0079】芳香族ポリカーボネート樹脂と添加剤のブ
レンドにあたっては、一段階で実施してもよいが、二段
階以上に分けて実施してもよい。二段階に分けて実施す
る方法には、例えば、配合する芳香族ポリカーボネート
樹脂パウダーやペレットの一部と添加剤とをブレンドし
た後、つまり、添加剤を芳香族ポリカーボネート樹脂パ
ウダーで希釈して添加剤のマスターバッチとした後、こ
れを用いて最終的なブレンドを行う方法がある。
【0080】また、一段階でブレンドする方法において
は、所定量の各成分を予め混合したものを芳香族ポリカ
ーボネート樹脂パウダーやペレットとブレンドする方
法、また、所定量の各成分を各々別個に計量し、芳香族
ポリカーボネート樹脂パウダーやペレットに順次添加後
ブレンドする方法等を採用することができる。
【0081】各添加剤の配合にあたっては、添加剤を押
出機に直接添加、注入、あるいは加熱融解後注入する方
法をとることもできる。また、界面重合法においては、
重合終了後の芳香族ポリカーボネート樹脂の有機溶媒溶
液に各添加剤を添加溶解する方法も採用できる。
【0082】
【実施例】以下に実施例を挙げて本発明を説明するが、
本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。な
お、成形評価は下記の方法で行った。
【0083】[1]成形耐熱性 射出成形機を用いてペレットを成形温度340℃、1分
サイクルで「滞留前の色相測定用平板」(70mm×5
0mm×2mm)に成形した。さらに、シリンダ−中に
樹脂を10分間滞留させた後、「滞留後の色相測定用平
板」を得た。滞留前後の平板の色相を色差計により測定
し、次式により色差△Eを求めた。表に示した値(△
E)が小さいほど成形耐熱性が優れることを示す。 △E={(L−L’)2+(a−a’)2+(b−b’)
21/2 滞留前の色相:L、a、b 滞留後の色相:L’、a’、b’
【0084】[2]耐候性 射出成形機を用いてペットを成形温度340℃、1分サ
イクルで色相測定用平板(70mm×50mm×2m
m)に成形した。この平板成形片をJIS規格A141
5にしたがってサンシャインウエザーメーターにより、
500時間の処理を行った。処理前後の黄色度(YI)
の差を△YIとした。表に示した値(△YI)が小さい
ほど耐候性が優れることを示す。
【0085】実施例、比較例で用いた紫外線吸収剤、ブ
ルーイング剤、リン系安定剤、ヒンダードフェノール系
安定剤、脂肪酸エステル、炭酸カルシウムは以下の通り
である。
【0086】(1)紫外線吸収剤 2−(4,6−ジフェニル−1,3,5−トリアジン−
2−イル)−5−[(ヘキシル)オキシ]−フェノール
【0087】(2)ブルーイング剤 1−(4−メチルフェニルアミノ)−4−ヒドロシ−
9、10−アントラキノン
【0088】(3)リン系安定剤1 テトラキス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)−4,
4’−ビフェニレンジホスホナイト、テトラキス(2,
4−ジ−t−ブチルフェニル)−4,3’−ビフェニレ
ンジホスホナイトおよびテトラキス(2,4−ジ−t−
ブチルフェニル)−3,3’−ビフェニレンジホスホナ
イトの100:50:10(重量比)混合物
【0089】(4)リン系安定剤2 ビス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)−4−
フェニル−フェニルホスホナイトおよびビス(2,4−
ジ−tert−ブチルフェニル)−3−フェニル−フェ
ニルホスホナイトの5:3(重量比)混合物
【0090】(5)リン系安定剤3 トリス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ホス
ファイト)
【0091】(6)リン系安定剤4 ビス(2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェ
ニル)ペンタエリスリトールジファスファイト
【0092】(7)リン系安定剤5 トリス(ノニルフェニル)ホスファイト。
【0093】(8)ヒンダードフェノール系安定剤 オクタデシル−3−(3,5−ジ−tert−ブチル−
4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート
【0094】(9)脂肪酸エステル1 ステアリン酸モノグリセリド
【0095】(10)脂肪酸エステル2 ペンタエリスリトールテトラステアレート
【0096】(11)炭酸カルシウム 平均粒径5ミクロンの白色粉末で、約1重量%の脂肪酸
で表面処理がなされたもの
【0097】[実施例1〜15および比較例1〜4]ビ
スフェノールA、p−tert−ブチルフェノール(末
端停止剤)とホスゲンから界面縮重合法により得られた
粉粒状芳香族ポリカーボネート樹脂100重量部に対
し、各添加剤を表1〜表3に示した組成の通り添加混合
し、280℃で押出ペレット化後、前述の成形評価を行
い、表1〜表3の評価結果を得た。
【0098】[実施例16〜17および比較例5]粘度
平均分子量23700の芳香族ポリカーボネート樹脂を
スクリュー径90mmの押出機に供給して250〜30
0℃で溶融し、一方スクリュー径50mmの補助押出機
に芳香族ポリカーボネート樹脂100重量部に対し、各
添加剤を表4に示した組成の通り添加混合した樹脂組成
物を供給して250〜300℃で溶融し、フィードブロ
ックおよびTダイを経由し、表面層の厚さを50μm、
ポリカーボネート樹脂シートの厚さを2mmに制御して
積層体を押出した。耐候性の評価結果を表4に示した。
【0099】
【表1】
【0100】
【表2】
【0101】
【表3】
【0102】
【表4】
【0103】
【発明の効果】本発明の芳香族ポリカーボネート樹脂組
成物は、紫外線吸収剤の配合量に対しブルーイング剤量
を限定することにより、より成形耐熱性および耐候性を
向上させることができ、その奏する工業的効果は格別で
ある。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C08K 5/3492 C08K 5/3492 5/51 5/51 Fターム(参考) 4F100 AA08A AH02A AH07A AH10A AK45A AK45K AT00B BA02 CA05 CA07A CA13A CA19A CA25 JA07A JD09 JD09A JJ03 JL09 JL09A YY00A 4J002 CG001 CG011 CG021 CG031 DE239 EE057 EH038 EH048 EU186 EW069 EW089 EW119 FD030 FD060 FD069 FD070 FD086 FD168 FD179 FD207 GL00 GN00

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 (A)粘度平均分子量が17,000〜
    50,000の芳香族ポリカーボネート樹脂100重量
    部(a成分)、(B)下記式(1)で示されるヒドロキ
    シフェニルトリアジン化合物0.1〜10重量部(b成
    分)および(C)ブルーイング剤Y重量部(c成分;た
    だし、Yは、b成分をX重量部としたときに、下記計算
    式で示される範囲である。)からなる芳香族ポリカーボ
    ネ−ト樹脂組成物。 0.00025X ≦ Y ≦ 0.00055X 【化1】 [式中、R1は炭素数1〜18のアルキル基または炭素
    数6〜20のアラルキル基を示し、R2は水素原子ある
    いは炭素数1〜5のアルキル基を示し、それぞれが同一
    でも異なっていてもよい。]
  2. 【請求項2】 a成分100重量部に対して、さらに
    (D)炭素数が3〜32である一価あるいは多価の脂肪
    族アルコールと炭素数が3〜32の脂肪族カルボン酸と
    の脂肪酸エステル0.005〜1重量部(d成分)を含
    有する請求項1記載の芳香族ポリカーボネート樹脂組成
    物。
  3. 【請求項3】 a成分100重量部に対して、さらに
    (E)下記式(2)、(3)、(4)および(5)で示
    されるリン系化合物よりなる群から選ばれる少なくとも
    1種のリン系化合物0.002〜0.2重量部(e成
    分)を含有する請求項1または2記載のいずれかの芳香
    族ポリカーボネート樹脂組成物。 【化2】 【化3】 【化4】 【化5】 [式中、Ar1、Ar2、Ar3およびAr4はアルキル置
    換基があってもよい芳香族基であって、それぞれ同一で
    も異なっていてもよい。]
  4. 【請求項4】 a成分100重量部に対して、さらに
    (F)炭酸カルシウム0.01〜0.1重量部(f成
    分)を含有する請求項1〜3記載のいずれかの芳香族ポ
    リカーボネート樹脂組成物。
  5. 【請求項5】 請求項1〜4記載のいずれかの芳香族ポ
    リカーボネート樹脂組成物よりなる表面層を有する積層
    体。
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