JP2002012985A - 塗料密着性と錫の均一腐食性に優れた錫めっき鋼板 - Google Patents

塗料密着性と錫の均一腐食性に優れた錫めっき鋼板

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Abstract

(57)【要約】 【課題】 塗料密着性と錫の均一腐食性に優れた錫めっ
き鋼板の提供。 【解決手段】 鋼板表面に、鋼板片面当たりのSn付着量
が560mg/m2以上の錫めっき層と、該錫めっき層の上層と
して鋼板片面当たりのCr付着量が2mg/m2 以上のCr分布
層を有し、さらに該Cr分布層のCrの前記錫めっき層に対
する被覆率が30〜90%である塗料密着性と錫の均一腐食
性に優れた錫めっき鋼板、および、前記錫めっき層の下
層として鋼板表面にNi拡散層を有する前記した塗料密着
性と錫の均一腐食性に優れた錫めっき鋼板。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、塗料密着性と錫の
均一腐食性に優れた錫めっき鋼板に関する。また、本発
明は、特には、缶外面に塗装を施し、缶内面で錫の均一
腐食を必要とする果実缶などに用いられる塗料密着性と
錫の均一腐食性に優れた缶用錫めっき鋼板に関する。
【0002】
【従来の技術】錫めっき鋼板すなわちぶりきは、塗装処
理を施して使用する場合または無塗装で使用する場合の
それぞれに応じて錫めっき鋼板の化学処理方法を選択
し、錫めっき鋼板の表面を適切な構成としている〔「ぶ
りきとティンフリー・スチール」東洋鋼板(株)参
照〕。
【0003】すなわち、塗装処理を施す場合は、塗料と
の密着性を改善する目的で表面Cr量を多くする。一方、
無塗装で使用する場合は、錫の犠牲腐食による素地鋼板
の防食作用の面から、錫の腐食が均一に進行するよう
に、表面Cr量を少なく設計している。一方、缶外面は塗
装を施し、缶内面は無塗装である缶用鋼板として用いる
錫めっき鋼板の場合、それぞれの面の要求特性が異なる
ため、下記対策が講じられてきた。
【0004】(塗装面で問題が生じた場合:)塗装過程
で塗装面の欠陥が目視で認識でき、塗料の種類を変える
か、再塗装し、欠陥を修復する。 (無塗装面で問題が生じた場合:)内容物を詰めた後に
発見されるため問題が大きい。
【0005】すなわち、内容物を詰めた後、錫の局部的
腐食が進行し、膨張缶となり内容物が腐敗する。この場
合、代替缶および缶詰を新たに製造する。上記した問題
から、従来、化学処理法としては缶内面を重視した化学
処理法を用いていた。
【0006】この結果、缶外面の塗料密着性が十分確保
できない問題が生じる場合があった。上記した問題の解
決方法として、錫めっき鋼板の表裏面で異なる処理を施
すことが考えられるが、得られる錫めっき鋼板の用途
が、該鋼板の片面を塗装処理し、他の片面を無塗装で使
用する缶用鋼板としての用途に限定され、鋼材を管理す
る需要家における在庫管理の問題が生じる。
【0007】以上述べた理由から、従来、缶用鋼板とし
て優れた性能を有すると共に汎用性に優れた錫めっき鋼
板として、塗料密着性に優れ、かつ均一腐食性に優れた
錫めっき鋼板が望まれていた。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、前記した従
来技術の問題点を解決し、塗料密着性と錫の均一腐食性
の両者に優れた錫めっき鋼板を提供することを目的とす
る。
【0009】
【課題を解決するための手段】第1の発明は、鋼板表面
に、鋼板片面当たりのSn付着量が560mg/m2以上の錫めっ
き層と、該錫めっき層の上層として鋼板片面当たりのCr
付着量が2mg/m2 以上のCr分布層を有し、さらに該Cr分
布層のCrの前記錫めっき層に対する被覆率が30〜90%で
あることを特徴とする塗料密着性と錫の均一腐食性に優
れた錫めっき鋼板である。
【0010】第2の発明は、鋼板表面にNi拡散層を有
し、該Ni拡散層上に、鋼板片面当たりのSn付着量が560m
g/m2以上の錫めっき層と、該錫めっき層の上層として鋼
板片面当たりのCr付着量が2mg/m2 以上のCr分布層を有
し、さらに該Cr分布層のCrの前記錫めっき層に対する被
覆率が30〜90%であることを特徴とする塗料密着性と錫
の均一腐食性に優れた錫めっき鋼板である。
【0011】前記した第1の発明、第2の発明において
は、前記したCr分布層として、金属Crとクロム水和酸化
物から構成されるCr分布層を有することが好ましく、さ
らには前記したCr分布層として、金属Cr層およびその上
層としてのクロム水和酸化物層から構成されるCr分布層
を有することがより好ましい。なお、本発明において上
記したCr分布層として、金属クロムとクロム水和酸化物
から構成されるCr分布層を形成する場合、もしくは、金
属Cr層およびその上層としてのクロム水和酸化物層から
構成されるCr分布層を形成する場合、前記したCr付着量
は、金属クロムとクロム水和酸化物のクロムの合計付着
量を示す。
【0012】
【発明の実施の形態】以下、本発明をさらに詳細に説明
する。本発明者らは、前記した本発明の課題を解決する
ために鋭意検討した結果、下記の考察を行った。 (塗料密着性:)優れた塗料密着性を確保するために
は、錫めっき鋼板の表面にCrを付着させる必要がある。
【0013】これは、錫めっき鋼板の表面にCrを付着さ
せることによって、Crの水和酸化物中のOH基が塗料のOH
基と結合し、錫めっき鋼板表面と塗料との密着性が確保
されるためである。 (錫の均一腐食性:)錫めっき鋼板の表面においては、
Crが付着している部分に比べてSnが露出している部分が
溶解し易く、Snの露出部分において局部的な腐食が進行
する。
【0014】一方、錫めっき鋼板は、前記したように、
錫の犠牲腐食による素地鋼板の防食作用の面から、錫の
腐食が均一に進行する必要があり、錫の均一腐食性に優
れた錫めっき鋼板が望まれる。以上述べたように、錫め
っき鋼板表面の塗料密着性と錫の均一腐食性に対して
は、Crの分布が大きく影響し、塗料密着性と錫の均一腐
食性の両者を満足するためにはCrを適切に分布させる必
要がある。
【0015】本発明者らは、錫めっき鋼板の表面におい
て、Crが表面の全てを覆うことなく塗料と錫めっき鋼板
表面との結合を維持できる範囲でCrを微細に分布せしめ
ることによって、塗料密着性と錫の均一腐食性の両者を
満足することが可能であると考えた。このため、下記の
実験を行った。
【0016】すなわち、先ず、板厚:0.20mmの冷延鋼板
(低炭素Alキルド鋼)を用いて#100 (鋼板片面当たり
の錫付着量=11.2g/m2、両面等厚めっき)の錫めっきを
施した鋼板を素材鋼板とし、クロムめっきの条件(めっ
き液の薬剤の濃度、浴温、電解電流密度、電気量密度)
を種々変更し、Cr被覆率の異なる錫めっき鋼板を製造し
た。
【0017】次に、得られた錫めっき鋼板について下記
試験法によってCr被覆率、塗料密着性、錫の均一腐食性
を調査した。 (Cr被覆率:)Crの分布状況を知るために、鋼板表面に
おけるCrの被覆率を調査した。すなわち、EPMA(電子プ
ローブX線マイクロアナライザ)を用い、測定箇所は任
意の箇所で 512μm × 512μm の範囲とした。
【0018】Cr被覆率は下記式(1) で規定した。 Cr被覆率={〔Crが検出される面積(μm2)〕/〔 512μm × 512μm 〕}× 100 (%)………(1) ここで、Crが検出されるとは、約2μm 径の電子線を照
射し、鋼板試料表面から発生するCrの特性X線の強度が
バックグラウンドの強度の3倍以上である場合をいう。
【0019】Cr被覆率=100 %は、錫めっき鋼板表面の
全ての部分でCrが検出される状態を示し、Cr被覆率=0
%は、錫めっき鋼板表面において全くCrが検出されない
状態を示す。 (塗料密着性:)製缶加工工程で搬送される際に缶表面
に生じる傷の部分での塗料密着性を評価するため、後記
するクロスカット試験法によって評価した。
【0020】(錫の均一腐食性:)錫の均一腐食性の評
価方法としては、鋼板試験片全体のマクロな観察方法と
錫の結晶を基本としたミクロな観察方法があるが、缶用
鋼板としての機能を総合的に判断することを主目的と
し、鋼板試験片全体を観察するマクロな方法で評価を行
った。
【0021】また、缶用鋼板として用いた場合の腐食状
況は、特に、缶の内容物と経過時間に左右されるため、
鋼板試験片を有機酸に所定時間浸漬し、浸漬後の鋼板試
験片について目視で鋼板試験片全体の腐食の程度を評価
した。なお、本試験は、長期間後の腐食の程度を推定す
るため、浸漬液の液温を上げた促進試験を用いた。
【0022】上記した試験の結果、後記の実施例に示さ
れるように、錫めっき鋼板にCrめっき処理を施す場合、
鋼板表面のCr付着量として2mg/m2 以上確保し、かつ鋼
板表面におけるCrの被覆率を30%以上、90%以下と規定
することによって、塗料密着性、錫の均一腐食性の両者
に優れた錫めっき鋼板が得られることが分かった。すな
わち、錫めっき鋼板の表面において、Crが錫めっき層の
表面の全てを覆うことなく、塗膜との結合を維持できる
範囲で微細に分布せしめることによって、錫の均一腐食
性と塗料密着性の両者を満足する錫めっき鋼板を製造で
きることが分かった。
【0023】以下、本発明の好適条件について述べる。 〔錫付着量:〕錫付着量は、錫付着単位面積当たり、す
なわち鋼板片面当たり560mg/m2以上と規定する。これ
は、錫付着量が鋼板片面当たり560mg/m2未満の場合、錫
の犠牲腐食に基づく素地鋼板の耐食性が低下するためで
ある。
【0024】錫付着量は、鋼板片面当たり560mg/m2
上、15.2g/m2以下であることがより好ましい。これは、
錫付着量が鋼板片面当たり15.2g/m2を超える場合、付着
量増加による耐食性向上効果が小さく、経済的でないた
めである。錫めっきの方法としては特に制限を受けるこ
とはなく、ハロゲン浴、フェロスタン浴、アルカリ浴な
どを用いた電気錫めっきによって行うことができる。
【0025】なお、錫めっき後、本発明の前記した目的
を損なわない限り、錫のリフロー処理を施してもよい。 〔Cr付着量:〕Cr付着量は、Cr付着単位面積当たり、す
なわち鋼板片面当たり2mg/m2 以上と規定する。
【0026】これは、Cr付着量が鋼板片面当たり2mg/m
2 未満の場合、塗料密着性が低下するためである。Cr付
着量は、鋼板片面当たり2mg/m2 以上、30mg/m2 以下で
あることがより好ましい。これは、Cr付着量が鋼板片面
当たり30mg/m2 を超える場合、Crが錫めっき層の表面の
全面を覆ってしまい、錫の均一腐食性が得られないため
である。
【0027】〔Cr被覆率:〕本発明においては、Cr被覆
率を30%以上、90%以下と規定する。これは、後記する
実施例に示されるように、Cr被覆率が30%未満の場合、
塗料密着性が低下し、逆に、Cr被覆率が90%を超える場
合、錫の均一腐食性が得られないためである。
【0028】本発明においては、Cr被覆率を35〜85%と
することがさらに好ましい。これは、Cr被覆率を35〜85
%とすることによって、さらに塗膜密着性および錫の均
一腐食性に優れた錫めっき鋼板が得られるためである。 〔クロム水和酸化物層の形成:〕本発明においては、塗
料密着性を向上させるために、Cr分布層として、金属Cr
とクロム水和酸化物から構成されるCr分布層を有するこ
とが好ましく、さらにはCr分布層として、金属Cr層およ
びその上層としてのクロム水和酸化物層から構成される
Cr分布層を有することがより好ましい。
【0029】上記したクロム水和酸化物、クロム水和酸
化物層は、下記(1) 、(2) のクロムめっき(化学処理)
によって形成することができる。 (1) 2液法:無水クロム酸、重クロム酸、クロム酸塩、
重クロム酸塩などのクロム酸系の薬剤、硫酸およびフッ
化物を添加した溶液を用いて電気クロムメッキした後、
水洗し、さらに上記したと同様の組成でかつ低濃度の溶
液を用いて陰極電解処理を行い、上記電気クロムめっき
で形成された金属Cr層の上にクロム水和酸化物層を形成
させる。
【0030】(2) 1液法:上記(1) と同様の組成でかつ
低濃度の溶液を用いて陰極電解処理を行い、金属クロム
と水和酸化物を同時に析出させる。以上述べた方法によ
って、金属クロム層およびその上層としてのクロム水和
酸化物層が形成される。
【0031】なお、本発明においては、上記したクロム
めっき(化学処理)の前処理として、錫めっき鋼板を炭
酸ナトリウム水溶液中で陰極電解処理を行うことがより
好ましい。これは、上記した前処理を行うことによっ
て、錫めっき層の表面におけるCr付着量を制限した条件
下においてもCrが錫めっき層の表面に均一に付着し、Cr
被覆率を好適範囲に制限することが容易となるためであ
る。
【0032】〔Ni拡散層の形成:〕本発明においては、
錫めっき層の下層として鋼板表面にNi拡散層を有するこ
とが好ましい。これは、下記理由による。すなわち、本
発明においては、錫めっき表面におけるCrの被覆率を90
%以下、より好ましくは85%以下に制限することによっ
て、錫の均一腐食性を確保する。
【0033】この結果、Crの被覆率が少ない範囲におい
て塗料密着性が低下する。これに対して、錫めっき層の
下層としてNi拡散層を設けることによって、錫めっき層
と素地鋼板との密着性が改善され、この結果、塗料と錫
めっき鋼板との密着性も改善することができる。本発明
におけるNi拡散層の形成は、鋼板にNiめっきを施した
後、熱処理を行うことによって行うことができる。
【0034】Ni拡散層を形成する場合、Ni付着量を、Ni
付着単位面積当たり、すなわち鋼板片面当たり5〜1000
mg/m2 の範囲に規定することによって、上記した塗料密
着性を効果的に改善できる。
【0035】
【実施例】以下、本発明を実施例に基づいてさらに具体
的に説明する。 板厚:0.20mmの冷延鋼板(低炭素Alキルド鋼)に、鋼板
片面当たりの錫付着量が11.2g/m2の電気錫めっきを施し
た。なお、実施例7においては、Niめっきを施した後、
720 ℃の条件下で15秒間焼鈍を行い、鋼板表面にNi拡散
層(Ni付着量:10mg/m2 )を形成し、その後、電気錫め
っきを施した。
【0036】次に、得られた錫めっき鋼板を水洗した
後、下記条件下で陰極電解処理(化学処理)を行い、錫
めっき表面に金属クロム層とその上層としてのクロム水
和酸化物層を同時に析出させることによってクロムめっ
きを施した。また、陰極電解処理の条件を下記の範囲内
で変更することによって、Cr被覆率を種々変更した。
【0037】〔クロムめっき(化学処理)の条件:〕 陰極電解処理 CrO3/H2SO4(質量比)=100 CrO3濃度=40g/l 浴温=50℃、60℃ 電流密度=1〜30A/dm2 電気量密度=2〜50C/dm2 表1に、各々のCr付着錫めっき鋼板の製造条件を示す。
【0038】なお、比較例1の錫めっき鋼板は、前記し
たクロムめっきを施さない比較材(以下、素材錫めっき
鋼板と記す)である。次に、得られたCr付着錫めっき鋼
板および素材錫めっき鋼板(以下、両者を錫めっき鋼板
と記す)の特性を下記試験方法で測定、評価した。 〔Cr被覆率:〕鋼板表面におけるCrの被覆率の測定は、
前記したようにEPMAを用い、測定箇所は任意の箇所で 5
12μm × 512μm の範囲とした。
【0039】測定面積を 512μm × 512μm の範囲とし
た理由は、鋼板試料上での電子線の直径を約2μm とし
た場合に、鋼板試料上で 512μm × 512μm の範囲にお
いて電子線を走査させることができ、Crの分布状況を定
量的に測定できるためである。Cr被覆率は、前記した式
(1) およびCr検出の有無の判定基準に基づいて求めた。
【0040】なお、本実施例において、前記した式(1)
中のCrは金属クロムとクロム水和酸化物のクロムの和を
示す。 〔塗料密着性:〕下記に示すクロスカット試験により評
価した。 錫めっき鋼板の表面に、エポキシフェノール系の塗料
を鋼板片面当たりの付着量として5g/m2塗布 塗膜にカッターで5mm間隔で傷を入れた。
【0041】カッターで傷を入れるに際しては、鋼板の
圧延方向に対して45°、135 °の2方向に傷を入れた。 セロハンテープ(ニチバン製)を傷部に貼った後、セ
ロハンテープを剥離した。この場合、鋼板表面の幅:2
cm×長さ:5cmの範囲を評価できるようにセロハンテー
プを貼った。
【0042】下記評価方法、評価基準に基づき塗料密
着性を評価した。 (評価方法、評価基準:)セロハンテープ剥離後、鋼板
表面の塗膜剥離面積の鋼板表面積に対する割合(:剥離
面積率)で塗料密着性を評価し、下記評価数値を基準と
して評価した。 5:剥離面積率=0% 4:剥離面積率=5%未満、0%超え 3:剥離面積率=15%未満、5%以上 2:剥離面積率=20%未満、15%以上 1:剥離面積率≧20% 〔錫の均一腐食性:〕錫めっき鋼板を下記条件で腐食液
に浸漬し、浸漬後引き上げた鋼板表面の腐食状況を目視
で観察し、下記評価方法、評価基準に基づき錫の均一腐
食性(以下、均一腐食性とも記す)を評価した。
【0043】腐食液:3%クエン酸溶液に乳酸を100p
pm添加した溶液 腐食液液温:95℃ 浸漬時間:30分 (評価方法、評価基準:)錫が局部的に溶解した場合、
錫と鉄の合金層が露呈し鋼板表面が灰白色を呈し変色す
る。
【0044】鋼板表面の変色面積の鋼板表面積に対する
割合(:変色面積率)で均一腐食性を評価し、下記評価
数値を基準として評価した。 5:変色面積率=0% 4:変色面積率=5%未満、0%超え 3:変色面積率=7%未満、5%以上 2:変色面積率=10%未満、7%以上 1:変色面積率≧10% なお、上記した変色面積率=0%は、鋼板表面の全面に
おいて錫が均一に腐食し、錫と鉄の合金層が全く露呈し
ない状態を示し、変色面積率≧10%は、鋼板表面の10%
以上において錫が局部的に腐食し、錫と鉄の合金層が露
呈する状態を示す。
【0045】表2および図1に、得られた試験結果を示
す。表2および図1に示されるように、Cr付着錫めっき
鋼板において、Crが該鋼板の全てを覆うことなく、塗料
と鋼板表面との結合を維持できる範囲で分布せしめるこ
とによって、塗料密着性および錫の均一腐食性の両者に
優れた錫めっき鋼板を製造することが可能であることが
分かった。
【0046】
【表1】
【0047】
【表2】
【0048】
【発明の効果】本発明によれば、塗料密着性および錫の
均一腐食性の両者に優れた錫めっき鋼板を製造すること
が可能となった。この結果、本発明の錫めっき鋼板は、
缶外面に塗装が施され、缶内面が無塗装である食缶用鋼
板など各種の缶用鋼板に好適に適用される。
【0049】さらに、本発明の錫めっき鋼板は汎用性に
富むため、缶用鋼板以外の用途にも適用でき、鋼材を管
理する需要家における材料管理が簡素化され在庫削減が
可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】錫めっき鋼板のCr被覆率と塗料密着性および錫
の均一腐食性との関係を示すグラフである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 武藤 振一郎 千葉県千葉市中央区川崎町1番地 川崎製 鉄株式会社千葉製鉄所内 Fターム(参考) 4K024 AA02 AA03 AA07 AB02 AB03 AB09 BA03 BB22 CA04 CA06 DB01 GA12 GA16 4K044 AA02 AB02 BA02 BA06 BA10 BA15 BB03 BB04 BB10 BC02 BC04 CA17 CA18 CA42

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 鋼板表面に、鋼板片面当たりのSn付着量
    が560mg/m2以上の錫めっき層と、該錫めっき層の上層と
    して鋼板片面当たりのCr付着量が2mg/m2 以上のCr分布
    層を有し、さらに該Cr分布層のCrの前記錫めっき層に対
    する被覆率が30〜90%であることを特徴とする塗料密着
    性と錫の均一腐食性に優れた錫めっき鋼板。
  2. 【請求項2】 鋼板表面にNi拡散層を有し、該Ni拡散層
    上に、鋼板片面当たりのSn付着量が560mg/m2以上の錫め
    っき層と、該錫めっき層の上層として鋼板片面当たりの
    Cr付着量が2mg/m2 以上のCr分布層を有し、さらに該Cr
    分布層のCrの前記錫めっき層に対する被覆率が30〜90%
    であることを特徴とする塗料密着性と錫の均一腐食性に
    優れた錫めっき鋼板。
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