JP2002012625A - クロロプレン系重合体及びその製造方法 - Google Patents

クロロプレン系重合体及びその製造方法

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JP2002012625A
JP2002012625A JP2000193896A JP2000193896A JP2002012625A JP 2002012625 A JP2002012625 A JP 2002012625A JP 2000193896 A JP2000193896 A JP 2000193896A JP 2000193896 A JP2000193896 A JP 2000193896A JP 2002012625 A JP2002012625 A JP 2002012625A
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chloroprene
group
carbon atoms
polymer
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JP2000193896A
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Yoshihiro Masuko
芳弘 増子
Makoto Yoshida
吉田  誠
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Denka Co Ltd
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Denki Kagaku Kogyo KK
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 ミクロ構造の組成比が従来とは異なる新規な
クロロプレン重合体を提供する。また、ハーフメタロセ
ン触媒を用いた新規なクロロプレン系重合体の製造方法
を提供する。 【解決手段】 シス1,4構造の存在割合が8モル%以
上であるクロロプレン系重合体。また、特定の構造のハ
ーフメタロセン触媒によるクロロプレン系重合体の新規
な製造方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、従来得ることがで
きなかった分子内の構成単位の存在比率が特異な新規な
2−クロロ−1,3−ブタジエン(以下、しばしばクロ
ロプレンと略す)系重合体に関するものである。また、
ハーフメタロセン触媒を用いたクロロプレン系重合体の
新規な製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】クロロプレン系重合体は、機械的強度、
耐候性、耐熱性、耐薬品性などの特徴が良好であるた
め、一般工業用ゴム製品、自動車部品、接着剤、各種工
業部品など広範囲の分野に用いられている。しかし、最
近では各種ゴム製品において高性能化が進み、要求特性
が高度になっている。これに伴い、クロロプレン系重合
体の更なる改善が望まれている。
【0003】クロロプレン重合体の特性を改良する手段
としては、従来より、重合温度を変えることによる重合
体のミクロ構造の組成比変更、コモノマーを用いたポリ
マー構造の変更、連鎖移動剤を変えることによるポリマ
ー末端構造の変更などが知られており、数多くの事例が
ある(Rubber Chemistry andTe
chnology,49,670(1976))。特
に、重合温度を変えることによって、クロロプレン重合
体を構成するミクロ構造の組成比が変化するという事実
は公知であり、古くから研究の対象となってきた。クロ
ロプレン重合体は、大部分がトランス1,4構造からな
るが、重合温度を上げるとシス1,4構造及びその他の
不規則構造が徐々に増えることが、赤外吸収スペクト
ル、核磁気共鳴スペクトルなどを使って明らかになって
いる(例えば、Rubber Chem.Techno
l.50,p49〜(1977)、Polymer
,p1243〜(1978)、高分子分析ハンドブッ
ク(新版)p980(日本分析化学会編)など)。
【0004】ところで、重合温度を上げると重合反応を
制御することが極めて難しくなるため、重合温度を上げ
ることによってシス1,4構造を増やすことには限界が
あった。これまで報告されている高温重合は最高で10
0℃付近である(J.Polym.Sci.13,p2
51〜(1954))。これまで、重合温度の変更によ
って得られるシス1,4構造単位の組成範囲を超えて、
有意にシス1,4構造単位が多い重合体は見出されてお
らず、また、該重合体を得る方法も知られていなかっ
た。遷移金属化合物であるメタロセン触媒や遷移金属錯
体を用いてクロロプレン単量体を重合する方法は報告さ
れている(特開平11−60638号公報、特開平11
−349636号公報など)が、シス1,4構造を有意
に増やす方法は知られていなかった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、従来のクロ
ロプレン重合体製造技術では達成することができなかっ
た、クロロプレン重合体の構造単位の一つであるシス
1,4構造が8モル%以上を有する新規なクロロプレン
系重合体提供するものであり、また、ハーフメタロセン
触媒を用いた新規なクロロプレン系重合体の製造方法を
提供するものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、特定の化
合物存在下でクロロプレン単量体を反応させると、得ら
れる重合体の構造単位の組成が変化し、従来技術では達
し得ない多くのシス1,4構造単位を含むクロロプレン
重合体が得られることを見出し、本発明に到達した。す
なわち、本発明は下記の一般式(1)〜(4)(順番
に、トランス1,4結合、シス1,4結合、1,2結
合、3,4結合という)で表される構造単位を有し、か
つ、(2)のシス1,4構造の存在割合が8モル%以上
であることを特徴とするクロロプレン系重合体である。
【0007】一般式(1)
【化8】
【0008】一般式(2)
【化9】
【0009】一般式(3)
【化10】
【0010】一般式(4)
【化11】
【0011】また、本発明は下記の一般式(5)で表さ
れる遷移金属化合物と助触媒の存在下でクロロプレン単
量体、及び必要に応じてそれと共重合可能な単量体を重
合してクロロプレン系重合体を得ることを特徴とするク
ロロプレン系重合体の製造方法である。
【0012】
【化12】 ここで、Mは4族の遷移金属であり、Rはシクロペンタ
ジエニル基、置換シクロペンタジエニル基、インデニル
基、置換インデニル基、フルオレニル基または置換フル
オレニル基であり、MとRはπ結合している。Xは水
素、ハロゲン、炭素数1〜12の炭化水素基、炭素数1
〜12のアルコキシ基、炭素数1〜12のアミノ基また
は炭素数1〜12のアミド基であり、それぞれ同じであ
っても異なっていてもよい。
【0013】以下に本発明を詳細に説明する。本発明に
よる重合体は、特定の遷移金属化合物と助触媒の存在
下、クロロプレン単量体、及び、必要に応じてそれと共
重合可能な単量体を重合することによって得られる。本
発明による重合体は下記の一般式(1)〜(4)で表さ
れるミクロ構造単位を有し、かつ、(2)のシス1,4
構造単位の存在割合が8モル%以上である。
【0014】一般式(1)
【化13】
【0015】一般式(2)
【化14】
【0016】一般式(3)
【化15】
【0017】一般式(4)
【化16】
【0018】本発明のクロロプレン系重合体を合成する
ための原料としては、クロロプレン単量体(2−クロロ
−1,3−ブタジエン)が用いられ、また、本発明によ
るミクロ構造の組成比が損なわれない範囲で、必要に応
じてそれと共重合可能な単量体が用いられる。共重合可
能な単量体とは、クロロプレン単量体と有意に共重合す
る単量体であればいずれでもよく、その一例を挙げれ
ば、1−クロロ−1,3−ブタジエン、2,3−ジクロ
ロ−1,3−ブタジエン、ブタジエン、イソプレン、2
−フロロ−1,3−ブタジエン、2−ブロム−1,3−
ブタジエン、2−シアノ−1,3−ブタジエンなどの共
役ジエン単量体、アクリロニトリル、スチレン及びスチ
レン誘導体、アクリル酸、メチルアクリレート、エチル
アクリレート、プロピルアクリレート、アミノメチルア
クリレート、アミノエチルアクリレート、アミノプロピ
ルアクリレート、ジメチルアミノメチルアクリレート、
ジメチルアミノエチルアクリレート、ジメチルアミノプ
ロピルアクリレート、ジエチルアミノメチルアクリレー
ト、ジエチルアミノエチルアクリレートなどのアクリル
酸エステル、メタクリル酸、メチルメタクリレート、エ
チルメタクリレート、プロピルメタクリレート、アミノ
メチルメタクリレート、アミノエチルメタクリレート、
アミノプロピルメタクリレート、ジメチルアミノメチル
メタクリレート、ジメチルアミノエチルメタクリレー
ト、ジメチルアミノプロピルメタクリレート、ジエチル
アミノメチルメタクリレート、ジエチルアミノエチルメ
タクリレートなどのメタクリル酸エステル、更に、マレ
イミド、N−フェニルマレイミド、N−(2−クロロフ
ェニル)マレイミド、N−シクロヘキシルマレイミド、
N−ラウリルマレイミド等のビニル単量体および硫黄な
どがある。これらの単量体は、単独で用いてもよく、ま
た、2種以上を併用してもよい。
【0019】本発明のクロロプレン系重合体の最も重要
な点は、前記したクロロプレン系重合体中のミクロ構造
の存在割合にあり、重合体中にシス1,4構造単位を8
モル%以上含む。この8モル%以上という存在割合は、
一般に工業的に行われている重合方法、すなわち、乳化
重合法や溶液重合法などによっては達成することができ
ない割合である。
【0020】また、本発明はハーフメタロセン触媒であ
る下記の一般式(5)と助触媒の存在下でクロロプレン
単量体、及び必要に応じてそれと共重合可能な単量体を
重合してクロロプレン系重合体を得ることを特徴とする
クロロプレン系重合体の製造方法である。
【0021】
【化17】 ここで、Mは4族の遷移金属であり、Rはシクロペンタ
ジエニル基、置換シクロペンタジエニル基、インデニル
基、置換インデニル基、フルオレニル基または置換フル
オレニル基であり、MとRはπ結合している。Xは水
素、ハロゲン、炭素数1〜12の炭化水素基、炭素数1
〜12のアルコキシ基、炭素数1〜12のアミノ基また
は炭素数1〜12のアミド基であり、それぞれ同じであ
っても異なっていてもよい。Mに好ましい金属はチタ
ン、ジルコニウム、ハフニウムであり、最も好ましくは
チタンである。
【0022】具体的な化合物を例示すれば、シクロペン
タジエニルチタントリクロライド、エチルシクロペンタ
ジエニルチタントリクロライド、プロピルシクロペンタ
ジエニルチタントリクロライド、イソプロピルシクロペ
ンタジエニルチタントリクロライド、t−ブチルシクロ
ペンタジエニルチタントリクロライド、ベンジルシクロ
ペンタジエニルチタントリクロライド、(1,1−ジメ
チルプロピル)シクロペンタジエニルチタントリクロラ
イド、(1,1−ジメチルベンジル)シクロペンタジエ
ニルチタントリクロライド、(1−エチルプロピル)シ
クロペンタジエニルチタントリクロライド、(ジエチル
ベンジル)シクロペンタジエニルチタントリクロライ
ド、(トリメチルシリルシクロペンタジエニル)チタン
トリクロライド、(ビス(トリメチルシリル)シクロペ
ンタジエニル)チタントリクロライド、(1,3−ジメ
チルシクロペンタジエニル)チタントリクロライド、
(1−メチル−3−エチルシクロペンタジエニル)チタ
ントリクロライド、(1−メチル−3−プロピルシクロ
ペンタジエニル)チタントリクロライド、(1−メチル
−3−フェニルシクロペンタジエニル)チタントリクロ
ライド、(1−メチル−3−トリルシクロペンタジエニ
ル)チタントリクロライド、(1−メチル−3−(2,
6−ジメチルフェニル)シクロペンタジエニル)チタン
トリクロライド、(1−メチル−3−ブチルシクロペン
タジエニル)チタントリクロライド、(1,2,3−ト
リメチルシクロペンタジエニル)チタントリクロライ
ド、(1,2,3−トリエチルシクロペンタジエニル)
チタントリクロライド、(1,2,3−トリフェニルシ
クロペンタジエニル)チタントリクロライド、(1,
2,4−トリメチルシクロペンタジエニル)チタントリ
クロライド、(1,2,4−トリエチルシクロペンタジ
エニル)チタントリクロライド、(1,2,4−トリフ
ェニルシクロペンタジエニル)チタントリクロライド、
(1,2,3,4−テトラメチルシクロペンタジエニ
ル)チタントリクロライド、(1,2,3,4−テトラ
エチルシクロペンタジエニル)チタントリクロライド、
(1,2,3,4−テトラフェニルシクロペンタジエニ
ル)チタントリクロライド、(ペンタメチルシクロペン
タジエニル)チタントリクロライド、(1,2,3,4
−テトラメチル−5−フェニルシクロペンタジエニル)
チタントリクロライド、(1,2,3,4−テトラフェ
ニル−5−メチルシクロペンタジエニル)チタントリク
ロライド、(ペンタフェニルシクロペンタジエニル)チ
タントリクロライド、インデニルチタントリクロライ
ド、(2−メチルインデニル)チタントリクロライド、
シクロペンタジエニルチタンt−ブトキサイドジクロラ
イド、シクロペンタジエニルチタンイソプロポキサイド
ジクロライド、シクロペンタジエニルチタンジメトキシ
クロライド、シクロペンタジエニルチタンジイソプロポ
キサイドクロライド、シクロペンタジエニルチタンジフ
ェノキシクロライド、シクロペンタジエニルチタンフェ
ノキシジクロライド、フルオレニルチタントリクロライ
ド、メチルフルオレニルチタントリクロライドなどが挙
げられる。
【0023】この他、上記の例示化合物の塩素原子をメ
チル基で置き換えたメチル体、ジメチル体、トリメチル
体、アルコキシ基で置き換えたモノアルコキシ体、ジア
ルコキシ体、アミド基で置き換えたアミド体が挙げられ
る。以上、チタン化合物を例示したが、ジルコニウム化
合物、ハフニウム化合物についても同様である。
【0024】上記の例示化合物の中でも、シクロペンタ
ジエニルチタントリクロライド、シクロペンタジエニル
チタントリメトキサイドなどが好適に用いられる。
【0025】本発明では、上記の遷移金属化合物と共に
助触媒として有機アルミニウム化合物及び/またはホウ
素を含むイオン化イオン性化合物が用いられる。助触媒
として用いる有機アルミニウム化合物としては、アルミ
ノキサンが好適である。アルミノキサンとは、下記の一
般式(6)、(7)で表される環状または鎖状化合物で
ある。
【0026】
【化18】 ここで、R1は炭素数1〜5のアルキル基、炭素数6〜
10のアリール基、または水素、mは2〜100の整数
である。
【0027】
【化19】 ここで、R2〜R5は炭素数1〜5のアルキル基、炭素
数6〜10のアリール基、または水素、nは2〜100
の整数である。R2〜R5は互いに同一でも異なってい
てもよい。
【0028】アルミノキサンとしては、好ましくはメチ
ルアルミノキサン、エチルアルミノキサン、トリブチル
アルミノキサンが用いられるが、特に好ましくはメチル
アルミノキサンが用いられる。必要に応じ、これら種類
の異なるアルミノキサンの混合物を用いてもよい。ま
た、これらアルミノキサンとアルキルアルミニウム、例
えば、トリメチルアルミニウム、トリエチルアルミニウ
ム、トリイソブチルアルミニウムやハロゲンを含むアル
キルアルミニウム、例えばジメチルアルミニウムクロラ
イドなどを併用してもよい。
【0029】ホウ素を含むイオン化イオン性化合物の一
例を挙げれば、トリメチルアンモニウムテトラフェニル
ボレート、トリエチルアンモニウムテトラフェニルボレ
ート、トリプロピルアンモニウムテトラフェニルボレー
ト、トリ(n−ブチル)メチルアンモニウムテトラフェ
ニルボレート、トリ(n−ブチル)アンモニウムテトラ
(p−トリル)フェニルボレート、トリ(n−ブチル)
アンモニウムテトラ(p−エチルフェニル)ボレート、
トリ(n−ブチル)アンモニウムテトラ(ペンタフルオ
ロフェニル)ボレート、トリメチルアンモニウムテトラ
(p−トリル)ボレート、トリメチルアンモニウムテト
ラ(o−トリル)ボレート、トリメチルアンモニウムテ
トラキス−3,5−ジメチルフェニルボレート、トリエ
チルアンモニウムテトラキス−3,5−ジメチルフェニ
ルボレート、トリブチルアンモニウムテトラキス−3,
5−ジメチルフェニルボレート、アニリニウムテトラキ
スペンタフルオロフェニルボレート、N,N−ジメチル
アニリニウムテトラフェニルボレート、N,N−ジエチ
ルアニリニウムテトラフェニルボレート、N,N−ジメ
チルアニリニウムテトラキス(p−トリル)ボレート、
N,N−ジメチルアニリニウムテトラキス(m−トリ
ル)ボレート、N,N−ジメチルアニリニウムテトラキ
ス(2,4−ジメチルフェニル)ボレート、N,N−ジ
メチルアニリニウムテトラキス(3,5−ジメチルフェ
ニル)ボレート、N,N−ジメチルアニリニウムテトラ
キス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、N,N−
2,4,5−ペンタメチルアニリニウムテトラフェニル
ボレート、N,N−2,4,5−ペンタエチルアニリニ
ウムテトラフェニルボレート、ジ−(イソプロピル)ア
ンモニウムテトラキスペンタフルオロフェニルボレー
ト、ジ−シクロヘキシルアンモニウムテトラキスペンタ
フルオロフェニルボレート、トリフェニルホスホニウム
テトラフェニルボレート、トリ(メチルフェニル)ホス
ホニウムテトラフェニルボレート、トリ(ジメチルフェ
ニル)ホスホニウムテトラフェニルボレート、トリフェ
ニルカルベニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニ
ル)ボレート、トリフェニルカルベニウムテトラキス
(p−トリル)ボレート、トリフェニルカルベニウムテ
トラキス(m−トリル)ボレート、トリフェニルカルベ
ニウムテトラキス(2,4−ジメチルフェニル)ボレー
ト、トリフェニルカルベニウムテトラキス(3,5−ジ
メチルフェニル)ボレート、トロピリウムテトラキスペ
ンタフルオロフェニルボレート、トロピリウムテトラキ
ス(p−トリル)ボレート、トロピリウムテトラキス
(m−トリル)ボレート、トロピリウムテトラキス
(2,4−ジメチルフェニル)ボレート、トロピリウム
テトラキス(3,5−ジメチルフェニル)ボレートなど
がある。これらホウ素化合物と既述の有機アルミニウム
化合物を同時に用いても差し支えない。特にホウ素化合
物を助触媒として用いる場合、重合系内に含まれる水等
の重合に悪影響を与える不純物の除去に、トリイソブチ
ルアルミニウム等のアルキルアルミニウム化合物の添加
が有効である。
【0030】本発明のクロロプレン系重合体を製造する
にあたっては、既述したクロロプレン単量体及び、必要
に応じて共重合可能な単量体を、遷移金属化合物及び助
触媒に接触させる。その方法としては、溶媒を用いず
に液状単量体中で重合させる方法、トルエン、キシレ
ン、ベンゼン、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、シクロ
ヘキサン、クロロ置換ベンゼン、クロロ置換トルエン、
塩化メチレン、クロロホルムなどの飽和脂肪族または芳
香族炭化水素またはハロゲン化炭化水素の単独または混
合溶媒を用いて重合させる方法などがある。
【0031】重合温度は−78〜+40℃の範囲であ
り、好ましくは−78〜+20℃、更に好ましくは−4
0〜+10℃の範囲である。−78℃より低い温度では
工業的に不利であり、40℃を超えると分子切断反応が
併発するため不適当である。
【0032】助触媒として有機アルミニウム化合物を用
いる場合には、遷移金属化合物の金属に対し、アルミニ
ウム原子/金属原子比(モル比)で、0.1〜1000
00、好ましくは10〜10000の比で用いられる。
0.1より小さいと有効に遷移金属化合物を活性化でき
ず、100000を超えると経済的に不利となる。助触
媒としてホウ素化合物を用いる場合には、ホウ素原子/
金属原子比(モル比)で0.01〜100の比で用いら
れるが、好ましくは0.1〜10、特に好ましくは1で
用いられる。遷移金属化合物と助触媒は、重合缶外で混
合、調整しても、重合時に缶内で混合してもよい。
【0033】本発明のクロロプレン系重合体には、ポリ
マーに通常用いられる添加剤、助剤などを添加すること
ができる。好適な添加剤、助剤としては酸化防止剤、滑
剤、加硫剤、加硫促進剤、可塑剤、紫外線吸収剤、安定
剤、顔料、着色剤、充填剤、発泡剤などが挙げられる。
【0034】
【実施例】以下に実施例により本発明を詳しく説明する
が、本発明は下記の実施例により限定されるものではな
い。以下の説明において特に断りのない限り部および%
は質量基準で示す。
【0035】重合体の平均分子量は、GPC(ゲルパー
ミエーションクロマトグラフィー、標準ポリスチレン換
算)で測定した。重合体のミクロ構造は13C核磁気共鳴
スペクトルから、同定、定量した。
【0036】実施例1 窒素雰囲気のグローブボックス中、室温下で、十分に乾
燥した100mlのガラス製シュレンクチューブ内に、
ハーフメタロセン触媒であるシクロペンタジエニルチタ
ントリクロライドを0.02g(0.091mmol)
仕込み、撹拌子を入れた後に密栓した。次に、別に用意
した乾燥窒素ガスラインにつなぎ、窒素雰囲気を維持し
た。この状態で、シュレンクチューブを0℃の冷媒に浸
せきした後、メチルアルミノキサンのトルエン溶液(東
ソーアクゾ社製MMAO−3A、Al含量が5.6質量
%)をマイクロシリンジを用いてAl原子基準で19.
5mmol仕込み、撹拌を開始した。10分間撹拌した
時点で、脱水したクロロプレン単量体20mlをマイク
ロシリンジを用いて仕込み、温度0℃で48時間保持し
た。反応終了後、内容物を大過剰の希塩酸/メタノール
混合溶液に投入し、ポリマー(クロロプレン重合体)を
析出させた。これを20℃で24時間減圧下で乾燥し、
4.2gのポリマーを得た。
【0037】次に、ポリマーをベンゼンと塩酸/メタノ
ール混合溶液を使って精製した。精製したポリマーの一
部を重クロロホルムに溶解し、ポリマーの分子構造(ミ
クロ構造)を13C核磁気共鳴スペクトルで同定、定量し
た。また、ポリマーの分子量をGPCで測定した。測定
結果を表1に示した。
【0038】図1は13C核磁気共鳴スペクトルであり、
ポリマーの主成分の帰属は以下の通りである。トランス
1,4結合の−CH=の炭素に起因するシグナルは12
3〜126ppm、シス1,4結合の−CH=の炭素に
起因するシグナルは126〜128ppm、1,2結合
の=CH2の炭素に起因するシグナルは115.5〜1
16.1ppm、3,4結合の=CH2の炭素に起因す
るシグナルは114〜115ppmである。これらシグ
ナルの面積から各単位の存在割合を求めた。
【0039】実施例2 実施例1において、クロロプレン単量体を30ml仕込
み、反応条件を温度−10℃、48時間とした場合であ
る。ポリマー収量は5.9gであった。
【0040】実施例3 実施例1において、クロロプレン単量体19.5ml、
1−クロロ−1,3−ブタジエン単量体0.5mlを仕
込み、反応条件を0℃、48時間とした場合である。ポ
リマー収量は4.0gであった。
【0041】実施例4 実施例1において、ハーフメタロセン触媒としてシクロ
ペンタジエニルチタントリメトキサイドを0.018
g、単量体としてクロロプレン単量体19ml、2,3
−ジクロロ−1,3−ブタジエン単量体1mlを仕込
み、反応条件を−10℃、72時間とした場合である。
ポリマー収量は4.4gであった。
【0042】比較例1〜2 薬品投入口、開始剤添加口、重合禁止剤添加口、窒素ガ
スまたは加圧口、温調用のジャケットを備えた内容積1
リットルのSUS304製耐圧容器を用意した。反応器
内に、窒素ガスを0.3リットル/分の条件で15分間
流し、系内を窒素置換した。表2に示す重合処方に従
い、室温下で単量体と連鎖移動剤を除く他の薬品を仕込
み、撹拌、混合して石鹸液を調整した。次に、予め連鎖
移動剤を溶解させたクロロプレン単量体を仕込み、乳化
させた。その後、窒素ガス加圧口以外のバルブを閉めて
密閉系とした後、窒素ガスで反応器内を0.5MPaに
昇圧、維持した。所定の温度(比較例1では100℃、
比較例2では40℃)に昇温し、過硫酸カリウム水溶液
を断続的に添加し、重合反応を進行させた。所定時間経
過後、チオジフェニルアミンを添加し反応を停止させ
た。ラテックスをサンプリングし、ポリマー固形分濃度
から重合率を算出した。反応終了ラテックスを冷却後、
取り出し、その一部をベンゼンとメタノールで精製し、
得られたポリマーの性状を実施例と同様に測定した。
【0043】
【表1】
【0044】
【表2】
【0045】実施例と比較例の対比から、実施例ではシ
ス1,4結合の存在割合が8モル%以上となっており比
較例に比べて多く、従来知られていなかったミクロ構造
を有するクロロプレン系重合体であることがわかる。ま
た、ハーフメタロセン触媒を用いることにより、クロロ
プレン系重合体が得られることがわかる。
【0046】
【発明の効果】本発明によるクロロプレン系重合体は、
従来のクロロプレン重合体にはない、分子内にシス1,
4構造が多く存在した新規なミクロ構造を有する重合体
である。また、本発明によるハーフメタロセン触媒を用
いることよって、クロロプレン系重合体を効率的に製造
することができる。従って、ミクロ構造の組成比の違い
に起因する優れた特性が必要とされる用途への実用化、
工業化が期待できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 実施例1で得られたクロロプレン重合体の13
C核磁気共鳴スペクトルである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 4J028 AA01A AB01A AC01A AC09A AC27A BA00A BA01B BB01B BC00A BC12B BC13B BC25B BC26B EA01 EB12 EC01 FA02 GA11 4J100 AS07P CA01 CA14 CA15 CA16 FA10 FA28

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 下記の一般式(1)〜(4)で表される
    構造単位を有し、かつ、(2)のシス1,4構造の存在
    割合が8モル%以上であることを特徴とするクロロプレ
    ン系重合体。 一般式(1) 【化1】 一般式(2) 【化2】 一般式(3) 【化3】 一般式(4) 【化4】
  2. 【請求項2】 1−クロロ−1,3−ブタジエン単量体
    単位及び/または2,3−ジクロロ−1,3−ブタジエ
    ン単量体単位を含むことを特徴とする請求項1記載のク
    ロロプレン系重合体。
  3. 【請求項3】 下記の一般式(5)で表される遷移金属
    化合物と助触媒を用いてクロロプレン単量体、及び必要
    に応じてそれと共重合可能な単量体を重合することを特
    徴とするクロロプレン系重合体の製造方法。 【化5】 (ここで、Mは4族の遷移金属であり、Rはシクロペン
    タジエニル基、置換シクロペンタジエニル基、インデニ
    ル基、置換インデニル基、フルオレニル基または置換フ
    ルオレニル基であり、MとRはπ結合している。Xは水
    素、ハロゲン、炭素数1〜12の炭化水素基、炭素数1
    〜12のアルコキシ基、炭素数1〜12のアミノ基また
    は炭素数1〜12のアミド基であり、それぞれ同じであ
    っても異なっていてもよい)
  4. 【請求項4】 助触媒が下記の一般式(6)または
    (7)で表されるアルミノキサンであることを特徴とす
    る請求項3記載のクロロプレン系重合体の製造方法。 【化6】 (ここで、R1は炭素数1〜5のアルキル基、炭素数6
    〜10のアリール基、または水素、mは2〜100の整
    数である。) 【化7】 (ここで、R2〜R5は炭素数1〜5のアルキル基、炭
    素数6〜10のアリール基、または水素、nは2〜10
    0の整数である。R2〜R5は互いに同一でも異なって
    いてもよい。)
  5. 【請求項5】 助触媒がホウ素を含むイオン化イオン性
    化合物であることを特徴とする請求項3記載のクロロプ
    レン系重合体の製造方法。
  6. 【請求項6】 一般式(5)においてMがチタンである
    ことを特徴とする請求項3記載のクロロプレン系重合体
    の製造方法。
  7. 【請求項7】 20℃以下の温度で重合することを特徴
    とする請求項3記載のクロロプレン系重合体の製造方
    法。
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