JP2002009268A - 放射線検出装置 - Google Patents

放射線検出装置

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JP2002009268A
JP2002009268A JP2000191167A JP2000191167A JP2002009268A JP 2002009268 A JP2002009268 A JP 2002009268A JP 2000191167 A JP2000191167 A JP 2000191167A JP 2000191167 A JP2000191167 A JP 2000191167A JP 2002009268 A JP2002009268 A JP 2002009268A
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charge
amorphous semiconductor
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Kenji Sato
賢治 佐藤
Toshinori Yoshimuta
利典 吉牟田
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Shimadzu Corp
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Shimadzu Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】放射線感応型の半導体膜に印加したバイアス電
圧による沿面放電を阻止でき、しかも、十分な検出感度
が得られる放射線検出器を提供する。 【解決手段】アモルファス半導体厚膜1と電圧印加電極
2の表面に高耐圧の絶縁物質からなる放電防止膜1Aが
形成されたため、アモルファス半導体厚膜1そのものの
破壊を防止できると共に、それ以外に絶縁破壊が起こる
と想定される、電圧印加電極上の絶縁物質の膜中を抜
け、絶縁物質の沿面に沿って、読み出しライン、ゲート
ラインや接地ラインが絶縁基板上でむき出しになってい
る部分に至る経路についても、絶縁物質の膜厚をバイア
ス電圧に絶えうる程度に十分厚く形成しておくことで絶
縁破壊を防止できる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、医療分野、工業分
野、さらには原子力分野などに用いられる直接変換タイ
プの放射線検出装置に係り、特に放射線感応型の半導体
膜に印加したバイアス電圧による沿面放電を抑えるため
の技術に関する。
【0002】
【従来の技術】放射線(例えばX線)の検出装置とし
て、放射線(例えばX線)がまず光に変換された後で変
換光がさらに光電変換で電気信号へ変換される間接変換
タイプの装置と、入射放射線が放射線感応型の半導体膜
で直接電気信号に変換される直接変換タイプの装置とが
ある。
【0003】後者の直接変換タイプの装置は、放射線感
応型の半導体膜の表面に形成された電圧印加電極に所定
のバイアス電圧を印加するとともに、半導体膜の裏面に
形成されたキャリア収集電極で放射線照射に伴って生成
したキャリアを収集して放射線検出信号として取り出す
ことにより放射線の検出を行う構成となっている。
【0004】また、従来の直接変換タイプの放射線検出
装置の中でも、放射線感応型の半導体膜をアモルファス
・セレン等を用いたアモルファス半導体厚膜とする装置
の場合、アモルファス半導体は真空蒸着法等により簡単
に厚くて広い膜を形成できるので、大面積厚膜が必要な
2次元アレイ構成に適している。
【0005】従来の2次元アレイ方式の放射線検出器
は、図6に示すように、電荷蓄積用のコンデンサCaと
通常時オフ(OFF)状態の電荷読み出し用のスイッチ
素子(例えば薄膜トランジスタ)64とが縦・横式2次
元マトリックス状配列で複数個形成された絶縁性の基板
66と、前記複数個の電荷蓄積用コンデンサCaとそれ
ぞれ電気的に接続された複数個のキャリア収集電極63
を介して前記絶縁性の基板66上に形成された、放射線
が入射することにより電荷移動媒体(キャリア)が生成
されるアモルファス半導体厚膜61と、前記アモルファ
ス半導体厚膜61の表面に形成された電圧印加電極62
からなり、電圧印加電極62にバイアス電圧が印加され
るとともに、放射線照射に伴って電荷蓄積用コンデンサ
Caに蓄積された電荷が、オン(ON)状態に移行した
スイッチ素子64を経由して放射線検出信号として読み
出される2次元アレイ構成となっている。
【0006】図6の2次元アレイ構成の放射線検出装置
を、例えばX線透視撮影装置の透過X線像の検出に用い
た場合、放射線検出装置から出力される放射線検出信号
に基づきX線透視画像が得られることになる。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記従
来の放射線検出装置は、アモルファス半導体厚膜61に
印加したバイアス電圧による沿面放電が生じやすいとい
う問題がある。この沿面放電は、図6に示すように、電
圧印加電極62の端縁62aからアモルファス半導体厚
膜61の端縁61aの表面に沿って、読み出しライン6
7、ゲートライン68や接地ライン69が絶縁基板66
上でむき出しになっている部分67a、68a、69a
に至る間で絶縁破壊が起こることで生じる。
【0008】沿面放電が起こると、例えばX線透視画像
の場合、放射線検出信号のノイズとなって画質の低下を
招くこととなり、一方、バイアス電圧を低めにすれば、
沿面放電を抑えられるのではあるが、アモルファス半導
体はキャリア走行特性が単結晶半導体に比べて劣ってい
るので、十分な検出感度が得られないという不都合が生
じる。
【0009】この発明は、上記の事情に鑑み、放射線感
応型の半導体膜に印加したバイアス電圧による沿面放電
を阻止でき、しかも、十分な検出感度が得られる放射線
検出器の提供を目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】請求項1記載の発明は、
電荷蓄積用のコンデンサと通常時オフ(OFF)状態の
電荷読み出し用のスイッチ素子とが形成された絶縁性の
基板と、前記電荷蓄積用コンデンサと電気的に接続され
たキャリア収集電極を介して前記絶縁性の基板上に形成
され、放射線が入射することにより電荷移動媒体(キャ
リア)が生成される放射線感応型の半導体膜と、前記放
射線感応型半導体膜の表面に形成された電圧印加電極か
らなり、前記電圧印加電極にバイアス電圧が印加される
とともに、放射線照射に伴って電荷蓄積用コンデンサに
蓄積された電荷が、オン(ON)状態に移行したスイッ
チ素子を経由して放射線検出信号として読み出されるよ
う構成された放射線検出装置において、前記放射線感応
型の半導体膜がアモルファス半導体厚膜であって、前記
アモルファス半導体厚膜と前記電圧印加電極の表面に高
耐圧の絶縁物質からなる放電防止膜を形成したことを特
徴とする。
【0011】請求項2の発明は、請求項1に記載の放射
線検出装置において、前記放電防止膜を、前記アモルフ
ァス半導体厚膜と前記電圧印加電極の表面を、前記高耐
圧の絶縁物質によってコーティングすることにより形成
したこと特徴とする。
【0012】請求項3の発明は、請求項1又は請求項2
に記載した放射線検出装置において、前記キャリア収集
電極は2次元マトリックス状に複数個形成されていると
ともに、前記各キャリア収集電極毎に電荷蓄積用のコン
デンサおよび電荷読み出し用のスイッチ素子がそれぞれ
設けられていることを特徴とする。
【0013】次に、この発明に係る各放射線検出装置に
おける作用を説明する。この発明の放射線検出装置によ
り放射線検出を行う場合、放射線感応型のアモルファス
半導体厚膜の表面側に形成された電圧印加電極にバイア
ス電圧を印加しておいて、検出対象の放射線を入射させ
る。そうすると、放射線の入射によりアモルファス半導
体厚膜に生成した電荷移動媒体(キャリア)に相応して
キャリア収集電極に電気的に接続された電荷蓄積コンデ
ンサに電荷が蓄積されるとともに、電荷読み出し用のス
イッチ素子のオン状態への移行に伴って蓄積電荷がスイ
ッチ素子経由で放射線検出信号として読み出される。
【0014】そして、この発明の放射線検出装置の場
合、アモルファス半導体厚膜と電圧印加電極の表面全体
を覆うように高耐圧の絶縁物質がコーティングされてい
るため、アモルファス半導体厚膜そのものの破壊以外に
絶縁破壊が起こると想定される経路は、電圧印加電極上
の絶縁物質の膜中を抜け、絶縁物質の沿面に沿って、読
み出しライン、ゲートラインや接地ラインが絶縁基板上
でむき出しになっている部分に至る経路だけであるの
で、絶縁物質の膜厚をバイアス電圧に絶えうる程度に十
分厚く形成しておけば絶縁破壊は起こらない。
【0015】さらに、アモルファス半導体厚膜と電圧印
加電極の表面全体を覆うようにコーティングされた高耐
圧の絶縁物質は、比較的対環境性に劣るアモルファス半
導体厚膜の保護膜としても機能する。
【0016】また、請求項2の放射線検出装置の場合、
2次元マトリックス状に複数個形成されている各キャリ
ア収集電極毎に電荷蓄積用のコンデンサおよび電荷読み
出し用のスイッチ素子がそれぞれ設けられていて、放射
線検出ユニットがマトリックス状に並ぶ2次元アレイ構
成となっており、各放射線検出ユニット毎に局所的な放
射線検出が行われる。
【0017】
【発明の実施の形態】本発明の実施形態を図面を参照し
ながら説明する。図1は本実施形態に係わる放射線検出
装置の放射線センサ部の構成を示す概略断面図、図2は
本実施形態にかかる放射線検出装置の放射線センサ部の
平面図、図3は本実施形態の放射線検出装置の放射線検
出ユニットの検出動作を説明するための図、そして、図
4は本実施形態の放射線検出装置の全体構成を示すブロ
ック図である。
【0018】本実施形態の放射線検出装置は、図1に示
すように、電荷蓄積用のコンデンサCaと、コンデンサ
Caに蓄積された電荷を取り出すための通常時オフ(遮
断)の電荷取り出し用のスイッチ素子4、例えば、トラ
ンジスタ(TFT)とが形成された絶縁性の基板6と、
電荷蓄積用コンデンサCaと電気的に接続されたキャリ
ア収集電極3を介して絶縁性の基板6上に形成された、
放射線が入射することにより電荷移動媒体(キャリア)
が生成されるアモルファス半導体厚膜1と、アモルファ
ス半導体厚膜1の放射線入射側である表面に設けられた
電圧印加電極2を放射線センサ部に備えている。
【0019】また、本実施形態の放射線検出装置は、電
圧印加電極2にバイアス電圧を印加するバイアス電圧供
給部(電源部)Veを有し、電圧印加電極2にバイアス
電圧が印加された状態で放射線が照射された場合、それ
に伴って生成したキャリアがキャリア収集電極3からコ
ンデンサCaに送り込まれて蓄積されるとともに、読み
出しタイミングになった時にゲートライン8からオン信
号が送り込まれてスイッチ素子4がオン(接続)となっ
て蓄積電荷が放射線検出信号として読み出しライン7か
ら読み出される構成になっている。以下、各部の構成を
具体的に説明する。
【0020】本実施形態の放射線検出装置の場合、アモ
ルファス半導体厚膜1は比抵抗109Ωcm以上(好ま
しくは1011Ωcm以上)であって、膜厚み0.5mm
前後〜1.5mm前後の高純度アモルファス・セレン
(a−Se)厚膜である。このa−Se厚膜は特に検出
エリアの大面積化に対する適性に優れる。アモルファス
半導体厚膜1は、もし薄いと放射線が素通りするような
かたちになって放射線を十分に吸収できなくなることか
ら、0.5mm前後〜1.5mm前後の厚めの膜が用い
られる。
【0021】電圧印加電極2およびキャリア収集電極3
は、Au,Pt,Ni,In等の中の適当な金属やIT
Oなどで形成される。もちろん、アモルファス半導体厚
膜の材料や、電極の材料は上に例示のものに限らない。
そして、本実施形態装置においては、特徴的な構成とし
て、図1に示すように、アモルファス半導体厚膜1と電
圧印加電極2の表面を全面的に覆うよう高耐圧の絶縁物
質からなる放電防止膜1Aがコーティングにより形成さ
れている。なお、アモルファス半導体厚膜1と電圧印加
電極2の表面に放電防止膜1Aを形成するのに、合成樹
脂系の接着剤を用いてラミネートする方法や、真空装置
内で真空蒸着する方法を用いてもよい。
【0022】放電防止膜1Aは、比抵抗がアモルファス
半導体厚膜1よりも大きい物質であって、原子番号が小
さな元素からなる放射線の吸収が少ない物質が適当であ
る。これらの条件を満たす物質としては、シリコン樹
脂、ウレタン樹脂、エポキシ樹脂、フッ素樹脂、アクリ
ル樹脂等の高分子樹脂膜が挙げられる。例えば膜厚が
0.3mmのシリコン樹脂の場合、比抵抗は1016Ωc
m以上で絶縁耐圧は25kVである。この場合、放射線
の減衰は、60keVのX線に対し1.5%程度しかな
い。膜厚1mmのa−Seの場合必要なバイアス電圧は
20kVであるので、膜厚0.3mmのシリコン樹脂を
コーティングすることで絶縁破壊を防ぐことができる。
反射防止膜1Aを形成する高耐圧の絶縁物質の材質と膜
厚は、必要なバイアス電圧に対して2割増し程度の絶縁
耐圧が得られるように選択することが好ましい。
【0023】絶縁性の基板6の上には、図1に示すよう
に、スイッチ素子4用の(FETタイプの)薄膜トラン
ジスタや電荷蓄積用のコンデンサCaなどが形成されて
いる。コンデンサCaはSiO2層等からなり、絶縁基
板6はガラス基板等からなる。
【0024】さらに、本実施形態装置の放射線センサ部
においては、図1および図4に示すように、キャリア収
集電極3は2次元マトリックス状に多数個形成されてい
るとともに、各キャリア収集電極3毎に電荷蓄積用のコ
ンデンサCaおよび電荷読み出し用スイッチ素子4がそ
れぞれ各1個ずつ設けられていて、放射線検出ユニット
である検出素子DUがX,Y方向に沿って多数配列(例
えば1024×1024)された2次元アレイ構成のフ
ラットパネル型放射線センサ(面センサ)となってい
る。
【0025】すなわち、電圧印加電極2の方は全検出素
子DUの共通電極として全面的に形成されているが、キ
ャリア収集電極3の方は個別電極として2次元マトリッ
クス状に各検出素子DU毎に分離形成されているととも
に、キャリア収集電極3毎に電荷蓄積用コンデンサCa
および電荷読み出し用スイッチ素子4がそれぞれ1個づ
つ接続されていて、各放射線検出ユニット毎に局所的な
放射線検出が行える構成となっている結果、放射線強度
の2次元分布測定が可能となる。
【0026】また、本実施形態装置の放射線センサ部で
は、図4に示すように、検出素子DUのスイッチ素子4
用薄膜トランジスタのゲートが横(X)方向のゲートラ
イン8に接続され、ソースが縦(Y)方向の読出しライ
ン7に接続されている。読出しライン7は電荷−電圧変
換器群(プリアンプ群)5を介してマルチプレクサ10
に接続されているとともに、ゲートライン8はゲートド
ライバ11に接続されている。なお、本実施形態では、
電荷−電圧変換器群5では、1本の読出しライン7に対
して、電荷−電圧変換器5が1個それぞれ接続されてい
る。
【0027】そして、本実施形態の放射線検出装置の放
射線センサ部の場合、マルチプレクサ10およびゲート
ドライバ11への信号取り出し用の走査信号が送り込ま
れることになる。放射線センサ部の検出素子DUの特定
は、X方向・Y方向の配列に沿って各検出素子DUへ順
番に割り付けられているアドレス(例えば0〜102
3)に基づいて行われるので、取り出し用の走査信号
は、それぞれX方向アドレスまたはY方向アドレスを指
定する信号となる。
【0028】Y方向の走査信号に従ってゲートドライバ
11からX方向のゲートライン8に対し取り出し用の電
圧が印加されるのに伴い、各検出素子DUが行単位で選
択される。そして、X方向の走査信号に従ってマルチプ
レクサ10が切替えられることにより、選択された行の
検出素子DUのコンデンサCaに蓄積された電荷が、電
荷−電圧変換器群5…5およびマルチプレクサ10を順
に経て外部に送り出されることになる。
【0029】本実施形態の放射線検出装置が、例えばX
線透視撮影装置のX線検出器として用いられた場合、各
検出素子DUの検出信号がマルチプレクサ10から画素
信号として順に取り出された後、図4に一点鎖線で示す
ように、画像処理部DT部でノイズ処理等の必要な信号
処理が行われてから画像処理部MTで2次元画像(X線
透視画像)として表示されることになる。
【0030】上記のことから、本実施形態の放射線セン
サ部における検出信号の取り出し方式は、概ね通常のT
Vカメラなどの映像機器に類似の構成であると言える。
本実施形態の場合、放射線センサ部に電荷−電圧変換器
群5およびマルチプレクサ10やゲートドライバ11さ
らには必要に応じてAD変換器(図示省略)なども設置
され、一段と集積化が図られた構成となっている。しか
し、電荷−電圧変換器群5およびマルチプレクサ10や
ゲートドライバ11あるいはAD変換器などの全部また
は一部が別体設置である構成であってもかまわない。
【0031】また、本実施形態装置の放射線センサ部を
作成する場合は、絶縁基板6の表面に、各種真空蒸着法
による薄膜形成技術やフォトリソグラフ法によるパター
ン化技術を利用して、スイッチ素子4用の薄膜トランジ
スタおよびコンデンサCa、キャリア収集電極3、アモ
ルファス半導体厚膜1、電圧印加電極2などが順に積層
形成される。
【0032】次に本実施形態の放射線検出装置による放
射線検出動作を図3を参照しながら説明する。本実施形
態装置により放射線検出を行う場合、図3に示すよう
に、アモルファス半導体厚膜1の表面側の電圧印加電極
2にバイアス電圧(VA)が印加された状態で検出対象
の放射線を入射させる。放射線の入射によって生成する
電荷移動媒体(キャリア)である電子・正孔は、バイア
ス電圧(VA)によって電圧印加電極2とキャリア収集
電極3に移動し、生成した数に相応してキャリア収集電
極3側の電荷蓄積用コンデンサCaに電荷が蓄積される
とともに、電荷読出し用スイッチ素子4のオン状態への
移行に伴って蓄積電荷がスイッチ4経由で放射線検出信
号として読み出された後、電荷−電圧変換器5で電圧信
号に変換される。
【0033】さらに、本実施形態の放射線検出装置の場
合、図2に示すように、アモルファス半導体厚膜1と電
圧印加電極2の表面全体を覆うように放電防止膜1Aが
コーティングにより形成されているため、アモルファス
半導体厚膜1そのものの破壊以外に絶縁破壊が起こると
想定される経路は、電圧印加電極2上の絶縁物質1Aの
膜中を抜け、絶縁物質1Aの沿面に沿って、読み出しラ
イン7、ゲートライン8や接地ライン9が絶縁基板6上
でむき出しになっている部分に至る経路だけである。こ
のため、絶縁物質1Aの膜厚をバイアス電圧VAに絶え
うる程度に十分厚く形成しておけば絶縁破壊は起こらな
い。
【0034】また、アモルファス半導体厚膜1と電圧印
加電極2の表面全体を覆うようにコーティングされた放
電防止膜1Aは、比較的対環境性に劣るアモルファス半
導体厚膜1の保護膜としても機能する。
【0035】
【実施例】次に、本実施形態装置で沿面放電が起こり難
くなっていることを実際に確かめるために、本実施形態
の放射線検出装置に準じた構成の試験用放射線検出装置
を作製した。すなわち、アモルファス半導体厚膜1は厚
み1mmのa−Se膜、放電防止膜1Aは厚み0.3m
m前後、比抵抗1016Ωcm以上のシリコン樹脂膜であ
る。この厚さのシリコン樹脂膜の絶縁耐圧は25kVで
ある。また、シリコン樹脂膜1Aを形成しなかった他は
試験用放射線検出装置と同様の構成である比較用放射線
検出装置(1)と、シリコン樹脂膜1Aの厚みが0.15
mmの他は試験用放射線検出装置と同様の構成である比
較用放射線検出装置(2)の、2つの比較用放射線検出装
置も作製した。
【0036】そして、試験用・比較用(1)・比較用(2)の
3つの放射線検出装置の電圧印加電極2にそれぞれ4k
Vのバイアス電圧を印加するとともに、印加後1分放置
したのち、10秒間放射線(X線)の照射を続けながら
読み出しライン7の検出出力(電流値)を測定した。こ
の時、測定精度を上げるために、すべてのゲートライン
8に常時ON信号を与えてスイッチ素子4を常時ONに
し、読み出しライン7には常時検出出力が送られるよう
にした。ついで、バイアス電圧を1kVきざみで上げな
がら同様の測定を繰り返した。試験用放射線検出装置の
場合は20kVのバイアス電圧まで測定を行い、比較放
射線検出装置の場合は絶縁破壊が起こるまで測定を行っ
た。測定結果を図5に示す。
【0037】試験用放射線検出装置の場合は、20kV
のバイアス電圧を印加しても絶縁破壊が起こらないのに
対し、比較用放射線検出装置の場合は、シリコン樹脂膜
1Aを形成していない比較用(1)は8kVで、シリコン
樹脂膜1Aの厚みが0.15mmである比較用(2)は1
3kVで絶縁破壊を起こした。
【0038】このことから、本実施形態の放射線検出装
置のように、アモルファス半導体厚膜1と電圧印加電極
2の表面全体を覆うように高耐圧の絶縁物質をコーティ
ングすれば、沿面放電による絶縁破壊を十分に阻止でき
ることが分かる。
【0039】また、試験用放射線検出装置の場合、20
kVのバイアス電圧では絶縁破壊が未だ生じておらず、
放電防止膜1Aを形成する高耐圧の絶縁物質の材質と膜
厚を、必要なバイアス電圧に対して2割増し程度の絶縁
耐圧が得られるように選択すれば、沿面放電による絶縁
破壊を確実に阻止できることが分かる。
【0040】この発明は、上記実施の形態に限られるこ
とはなく、下記のように変形実施することができる。 (1)上記実施の形態の場合、アモルファス半導体厚膜
1が高純度a−Se厚膜であったが、この発明における
アモルファス半導体厚膜1は、結晶化阻止作用のあるA
sまたはTeをドープしたa−Se厚膜や、Se系化合
物のアモルファス半導体厚膜であってもよい。
【0041】(2)また、上記実施の形態では、電圧印
加電極2とアモルファス半導体厚膜1の間には中間層を
設けなかったが、Sb2S3膜やSe系化合物膜等のキ
ャリア選択性のある中間層を設けてもよい。この場合、
放電防止膜1Aは、アモルファス半導体厚膜1と電圧印
加電極2とキャリア選択性中間層の表面全体を覆うよう
にコーティングする必要がある。
【0042】(3)さらに、上記実施の形態では、キャ
リア収集電極3とアモルファス半導体厚膜1の間には中
間層を設けなかったが、Sb2S3膜やSe系化合物膜
等のキャリア選択性のある中間層を設けてもよい。
【0043】(4)また、上記実施の形態では、多数個
の検出素子DUが縦横に配列された2次元アレイ構成で
あったが、複数個の検出素子DUが縦または横に1列だ
け並んでいるラインセンサの構成の装置や、検出素子D
Uが1個だけの構成の装置も、変形例としてあげられ
る。
【0044】(5)なお、本発明の放射線検出装置が検
出対象とする放射線は、X線に限らずあらゆる放射線を
対象とするものである。
【0045】
【発明の効果】本発明によれば、請求項1の発明の放射
線検出装置によれば、大面積化適性を有する放射線感応
型アモルファス半導体厚膜と電圧印加電極の表面全体を
覆うように高耐圧の絶縁物質を形成したため、沿面放電
による絶縁破壊が阻止され、高いバイアス電圧をかけて
十分な検出感度を得ることができる。また、高耐圧の絶
縁物質は、比較的対環境性に劣るアモルファス半導体厚
膜の保護膜としても機能するため、長期の信頼性を確保
することができる。
【0046】請求項2の放射線検出装置によれば、前記
アモルファス半導体厚膜と前記電圧印加電極の表面を、
前記高耐圧の絶縁物質によってコーティングしたため、
接着剤を用いた場合の気泡の混入や、高温下での真空蒸
着による複雑な工程を経ることなく容易に大面積の膜形
成をなしえるという利点が生じる。
【0047】請求項3の放射線検出装置によれば、2次
元マトリックス状に多数固形成されている各キャリア収
集電極毎に電荷蓄積用のコンデンサおよび電荷読み出し
用のスイッチ素子がそれぞれ設けられていて、放射線検
出ユニットがマトリックス状に並ぶ2次元アレイ構成と
なっており、各放射線検出ユニット毎に局所的な放射線
検出が行えるので、高いバイアス電圧をかけて高精度な
放射線強度の2次元分布測定が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態である放射線センサ部の構
成を示す概略断面図である。
【図2】本発明の一実施形態である放射線センサ部の平
面図である。
【図3】本発明の一実施形態である放射線検出ユニット
の検出動を説明するための図である。
【図4】本発明の一実施形態放射線検出装置の全体構成
を示すブロック図である。
【図5】試験用・比較用(1)・比較用(2)の3つの放射線
検出装置の耐圧測定の結果を示すグラフである。
【図6】従来の放射線検出装置の要部構成を示す概略断
面図である。
【符号の説明】
1…アモルファス半導体厚膜 1A…高耐圧の絶縁物質 2…電圧印加電極 3…キャリア収集電極 4…スイッチ素子 5…電荷−電圧変換器 Ca…コンデンサ 6…絶縁基板 7…読み出しライン 8…ゲートライン 9…接地ライン VA…バイアス電圧 Ve…バイアス電圧供給部
フロントページの続き Fターム(参考) 2G088 EE01 EE27 FF02 FF14 GG21 JJ05 JJ10 JJ37 4M118 AA08 AA10 AB10 BA05 CA15 CA32 CB05 CB14 FB03 FB09 FB13 FB16 GA10 5F088 AA11 AB05 BA20 BB03 BB07 DA05 EA02 EA08 HA20 LA07

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 電荷蓄積用のコンデンサと通常時オフ
    (OFF)状態の電荷読み出し用のスイッチ素子とが形
    成された絶縁性の基板と、前記電荷蓄積用コンデンサと
    電気的に接続されたキャリア収集電極を介して前記絶縁
    性の基板上に形成され、放射線が入射することにより電
    荷移動媒体(キャリア)が生成される放射線感応型の半
    導体膜と、前記放射線感応型半導体膜の表面に形成され
    た電圧印加電極からなり、前記電圧印加電極にバイアス
    電圧が印加されるとともに、放射線照射に伴って電荷蓄
    積用コンデンサに蓄積された電荷が、オン(ON)状態
    に移行したスイッチ素子を経由して放射線検出信号とし
    て読み出されるよう構成された放射線検出装置におい
    て、前記放射線感応型の半導体膜がアモルファス半導体
    厚膜であって、前記アモルファス半導体厚膜と前記電圧
    印加電極の表面に高耐圧の絶縁物質からなる放電防止膜
    を形成したことを特徴とする放射線検出装置。
  2. 【請求項2】 請求項1に記載の放射線検出装置におい
    て、前記放電防止膜を、前記アモルファス半導体厚膜と
    前記電圧印加電極の表面を、前記高耐圧の絶縁物質によ
    ってコーティングすることにより形成したこと特徴とす
    る放射線検出装置。
  3. 【請求項3】 請求項1又は請求項2に記載した放射線
    検出装置において、前記キャリア収集電極は2次元マト
    リックス状に複数個形成されているとともに、前記各キ
    ャリア収集電極毎に電荷蓄積用のコンデンサおよび電荷
    読み出し用のスイッチ素子がそれぞれ設けられているこ
    とを特徴とする放射線検出装置。
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