JP2002009138A - 静電チャックの製造方法および静電チャック - Google Patents

静電チャックの製造方法および静電チャック

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仁志 坂本
Kazuto Yoshida
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 静電チャックの製造を簡単に行うこと。 【解決手段】 基板1の表面に電極パターン2を形成
し、電極パターン2の上に溶射を施す。これによって、
電極パターン2の凹凸に沿って溶射膜3が形成され、そ
の凹部がヘリウムガス通路4となる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、プラズマCVD
装置などのプラズマ処理装置に用いられ、ウエハ等の導
電体または半導体を静電気力で吸着固定するもので、簡
単に製造できる静電チャックの製造方法および静電チャ
ックに関する。
【0002】
【従来の技術】図5は、従来の静電チャックの構造を示
す説明図である。この静電チャック500は、上面が絶
縁層となる金属基板501に電極パターン502を形成
し、この電極パターン502に合わせて加工形成した雌
型のアルミナ基板503を積層した構造である。また、
このアルミナ基板503上には、窒化アルミニウム基板
504が積層され、この窒化アルミニウム基板504の
上面を機械加工することでヘリウムガス通路505を形
成している。
【0003】前記電極パターン502の形成には、例え
ばペースト状にしたタングステン粉末を所定パターンに
して塗布し、これを加熱することで焼結形成する。前記
アルミナ基板503は、機械加工などによって所定の雌
型パターンとする。また、金属基板501に対するアル
ミナ基板503および窒化アルミニウム基板504の積
層には、接着性および耐熱性に優れたフッ素系樹脂また
はシリコーン系樹脂を含む接着剤を用いる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】上記従来の静電チャッ
ク500では、金属基板501上にアルミナ基板503
および窒化アルミニウム基板504を積層しこれらを接
着する必要がある。また、窒化アルミニウム基板504
の上面に機械加工によってヘリウムガス通路505を形
成するようにしている。このため、静電チャック500
の製造が面倒になるといった問題点がある。
【0005】そこで、この発明は、上記に鑑みてなされ
たものであって、簡単に製造することができる静電チャ
ックの製造方法および静電チャックを提供することを目
的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】上述の目的を達成するた
めに、請求項1に係る静電チャックの製造方法は、静電
チャックを構成するベース層の上面に所定のパターンを
もって電極を形成し、この電極パターンを形成すること
によって凹凸になった前記ベース層の上から被覆材料を
溶射することで少なくとも前記電極パターン上面を被覆
する溶射膜を形成したものである。
【0007】このように、ベース層上に形成した電極パ
ターンの厚さによって表面に凹凸が形成され、この上か
ら被覆材料を溶射することにより、当該被覆材料によっ
て電極が被覆される。溶射膜は、電極の厚さに比べて薄
膜となるようにし、少なくとも電極上を被覆し、ウエハ
と電極とが接触しないようにする。このようにすれば、
凹凸に沿って絶縁膜が被覆されるから、その凹部が熱伝
導のためのガス(例えばヘリウムガス)通路となる。こ
のため、静電チャックの製造を簡単化することができ
る。
【0008】また、請求項2に係る静電チャックの製造
方法は、上記静電チャックの製造方法において、さら
に、前記ベース層の下層に所定パターンのヒーターを形
成し、そのヒーターを埋めるように溶射層を形成したも
のである。
【0009】このようにすれば、静電チャック内にヒー
ターを簡易に埋めこむことができる。なお、前記下層と
は、電極を形成したベース層の下面に接触する層を含め
てその下の層を意味する。
【0010】また、請求項3に係る静電チャックの製造
方法は、上記静電チャックの製造方法において、前記被
覆材料に絶縁性の材料を用いると共にこの被覆材料に導
電性の添加物を入れて溶射するようにしたものである。
【0011】静電チャックには、ベース層とウエハとの
間に絶縁層を介在させて分極のみで吸着するものと、ベ
ース層とウエハとの間に電流を流すことにより吸着させ
るものとがある。この発明は後者にあたり、溶射する際
に導電性の添加物を入れることにより容易に溶射層に導
電性を与えることが可能になる。
【0012】また、請求項4に係る静電チャックは、上
面が絶縁性を有するベース層と、ベース層の上面に所定
のパターンをもって形成した電極と、電極によって表面
が凹凸になったベース層上に対して、少なくとも前記電
極が被覆されるように設けられた溶射層と、熱伝導を行
うためのガスを通す通路であり、前記凹部を利用してな
るガス通路とを備えたものである。
【0013】ベース層上に電極パターンが形成され、こ
のベース層上に溶射層が形成されていることから、ベー
ス層上の凹凸に対応して溶射層が凹凸になるが、その少
なくとも電極上がウエハと接触するために被覆されてい
ればよい。これによって凹部をガス通路として利用でき
るから、ガス通路を別途加工形成する必要はない。この
静電チャックでは、ウエハを静電チャック上に載せて前
記電極に通電すると、静電気力によってウエハが吸着す
る。これにより、ガス通路の上部がウエハにより塞がれ
るから、ガスが凹部を通って流れることができる。な
お、上記電極は、ベース層上に被膜を設けフォトリソグ
ラフィーによって形成するものであっても、ベース層と
一体で成形されるものであってもよい。
【0014】また、請求項5に係る静電チャックは、上
記静電チャックにおいて、さらに、前記ベース層の下層
に形成された所定パターンのヒーターと、このヒーター
を埋めるように形成された溶射層とを備えたものであ
る。すなわち、ベース層の下層にヒーターを形成して溶
射層で埋めるようにすれば、静電チャックの構造を簡略
化し、より簡単に製造することができる。
【0015】また、請求項6に係る静電チャックは、上
記静電チャックにおいて、さらに、前記溶射層に導電性
の材料を添加したものである。このため、容易に溶射層
に導電性を与えることが可能になる。
【0016】
【発明の実施の形態】以下、この発明につき図面を参照
しつつ詳細に説明する。なお、この実施の形態によりこ
の発明が限定されるものではない。
【0017】(実施の形態1)図1は、この発明の実施
の形態1にかかる静電チャックの構造を示す断面模式図
である。この静電チャック100は、基板1上に電極パ
ターン2を形成し、この電極パターン2上に溶射膜3を
形成した点に特徴がある。溶射膜3の上面は、ウエハW
との密着性を高めるために仕上げ加工する。
【0018】この静電チャック100を製造するには、
まず、下記の方法によって基板1の表面に電極パターン
2を形成する。つぎに、電極パターン2の上に下記に示
す方法で溶射を施す。これによって、電極パターン2の
凹凸に沿って溶射膜3が形成され、その凹部がヘリウム
ガス通路4となる。
【0019】基板1には、アルミナ、二酸化シリコン、
窒化シリコン、炭化シリコンなどを用いることができ
る。また、基板1の厚みは、溶射による圧力に耐え得る
のに必要十分な厚さとする。具体的には8mm以上とす
るのが好ましい。また、図示しないが、前記基板1は、
金属基板上に絶縁フィルムを積層形成したものであって
もよい。この場合、前記金属基板には、炭素鋼、ステン
レス、アルミニウムなどを用いることができる。また、
絶縁フィルムには、耐熱性のものを用いるのが好まし
く、例えばフッ素樹脂、ポリエーテルサルフォン、ポリ
エーテルケトン、セルローストリアセテート、シリコー
ンゴム、ポリイミドなどを用いることができる。
【0020】電極パターン2は、導電性材料、例えばタ
ングステン粉末をペースト状にし、所定パターンに焼結
することで形成する。かかる形成方法においては、タン
グステンの他、チタン、タンタル、モリブデン、マグネ
シウム、タングステン及びこれらの合金が好適である。
なお、蒸着やスパッタリングによって電極パターン2を
形成する場合には、クロム、ニッケル、アルミニウムな
どを用いることができる。メッキにより電極パターン2
を形成する場合には、クロム、銅、銀、錫、パラジウム
などを用いることができる。また、これらの合金などを
用いるようにしてもよい。
【0021】電極2aの厚さは、後にヘリウムガス通路
4を形成するため、500μm以上とするのが好ましい
が、これに限定されるものではない。すなわち、溶射膜
3を形成した場合であってもヘリウムガス通路4が形成
できるような厚さであれば、設計条件によって適宜選択
可能である。この発明では、電極2aの厚みがある程度
必要になるため、上記形成方法のうち、電極材料粉末を
ペースト状にして焼結する方法を用いるのが好ましい。
【0022】また、電極パターン2は、ヘリウムガス通
路4が均一に形成されるようなパターンとする。具体的
には、図2に示すように、双極型の正極及び負極がそれ
ぞれ円弧状に枝分かれし、相互に重なり合うように形成
する。なお、電極パターン2は、同図に示すものに限定
されず、ヘリウムガスが全体に行き渡るような形状であ
ればどのようなものでもよい。
【0023】溶射材料には、アルミナ、二酸化シリコ
ン、窒化シリコン、炭化シリコンなどを用いることがで
きる。特に、溶射に適すること、材料が安価であること
などの点からアルミナを用いるのが好ましい。また、溶
射膜3の厚さは30μm程度とするのが好ましい。な
お、溶射による膜厚制御は10μm〜100μmの範囲
で容易に行うことができる。このため、ウエハWの吸着
力などの観点から、当該範囲で適宜決定するようにす
る。
【0024】溶射には、プラズマジェット溶射を用い
る。周知の技術であるプラズマジェット溶射は、陰極と
陽極ノズルとの間に発生させたアークで作動ガスをプラ
ズマ化し、このプラズマ内に溶射材料を送り込んで被溶
射面に吹き付けるものである。プラズマジェット溶射
は、特にアルミナのような高融点のセラミックス材料を
溶射するのに適している。なお、溶射膜の材質によって
はフレーム溶射或いはアーク溶射を用いることができ
る。
【0025】溶射による被覆材料と溶射膜3との結合
は、被覆材料の表面の微小な突起や凹所に機械的に付着
する投錨効果によるものと考えられている。このため、
通常は、溶射前処理によって被覆材料の表面に適当な凹
凸を形成して粗面とする。この溶射前処理としては、サ
ンドブラスト法、グリッドブラスト法などが使用目的に
合わせて用いられている。なお、粗面化の前に脱脂処
理、脱スケール処理が行われる。ここで、本件発明で
は、基板1の上面に電極パターン2が形成されているこ
とから、当該電極パターン2によって溶射膜3の結合を
確保することも可能である。このため、溶射前処理を省
略することもできる。なお、溶射膜3が多孔質な層状組
織であるため、当該溶射膜3に対して封孔処理や溶融処
理を施すようにしてもよい。
【0026】また、溶射膜3に添加物を添加して導電性
を持たせるようにしてもよい。添加物としては、アルミ
ニウム、マグネシウムなどを用いることができる。この
場合、前記プラズマジェット溶射時に溶射材料として添
加物を添加すれば済む。このようにすれば、溶射膜3に
導電性を容易に持たせることができる。溶射膜3上面の
仕上げ加工には、ラッピング、バフ加工或いは研削を用
いる。特にラッピングは、高精度の平面加工が可能であ
るため当該仕上げ加工に好適である。ラッピングの研磨
剤には、ダイヤモンド粉末や酸化アルミニウム粉末など
を用いる。また、溶射膜3と同じ材料の研磨剤を用いる
場合には、溶射膜3の封孔効果を得ることができる。
【0027】また、図3に示すように、溶射膜3を2重
に形成するようにしてもよい。この上下の溶射膜3a、
3bは、異なる材料によって構成することもできる。ま
た、下層3bは基板1との被着性を高めるために設けた
ものであってもよい。
【0028】以上の静電チャック100によれば、電極
パターン2上に溶射膜3を形成することで容易に製造す
ることが可能になる。すなわち、従来のラミネート構造
の静電チャック500に比べてヘリウムガス通路の機械
加工工程や、ラミネート工程などを省略できるから、そ
の製造工程が極めて簡略化されることになる。
【0029】(実施の形態2)図4は、この発明の実施
の形態2にかかる静電チャックを示す断面模式図であ
る。この静電チャック200は、実施の形態1にかかる
静電チャック100の下面にヒーター5を埋設した点に
特徴がある。このため、実施の形態1の静電チャック1
00と同様の構成についてはその説明を省略する。この
ヒーター5は、タングステン粉末をペースト状にして焼
結形成したものである。ヒーター5のパターンは、設計
条件によって適宜選択できる。また、ヒーター5を形成
した後、その上からアルミナの溶射を施し、溶射層6に
よってヒーター5を埋没させる。この場合は、上記実施
の形態1のような凹部を形成する必要はない。また、溶
射前処理についても電極側の場合と同様である。
【0030】このようにすれば、ヒーター付きの静電チ
ャック200を容易に製造することができる。なお、ヒ
ーター5の材料は、タングステンの他、タンタル、モリ
ブデンなどを用いることができる。
【0031】
【発明の効果】以上説明したように、この発明の静電チ
ャックの製造方法(請求項1)では、静電チャックを構
成するベース層の上面に所定のパターンをもって電極を
形成し、この電極パターンを形成することによって凹凸
になった前記ベース層の上から被覆材料を溶射すること
で少なくとも前記電極パターン上面を被覆する溶射膜を
形成したので、静電チャックの製造を簡単化することが
できる。
【0032】また、この発明の静電チャックの製造方法
(請求項2)では、ベース層の下層に所定パターンのヒ
ーターを形成し、そのヒーターを埋めるように溶射層を
形成したので、静電チャック内にヒーターを簡易に埋め
こむことができる。
【0033】また、この発明の静電チャックの製造方法
(請求項3)では、前記被覆材料に絶縁性の材料を用い
ると共にこの被覆材料に導電性の添加物を入れて溶射す
るようにしたので、導電性の溶射層を簡単に形成するこ
とができる。
【0034】また、この発明の静電チャック(請求項
4)では、上面が絶縁性を有するベース層と、ベース層
の上面に所定のパターンをもって形成した電極と、電極
によって表面が凹凸になったベース層上に対して、少な
くとも前記電極が被覆されるように設けられた溶射層
と、熱伝導を行うためのガスを通す通路であり、前記凹
部を利用してなるガス通路とを備えた。このため、静電
チャックの構造を簡略化して簡単に製造できるようにす
ることができる。
【0035】また、この発明の静電チャック(請求項
5)では、ベース層の下層にヒーターを形成して溶射層
で埋めるようにしたので、静電チャックの構造を簡略化
し、より簡単に製造することができる。
【0036】また、この発明の静電チャック(請求項
6)では、溶射層に導電性の材料を添加したので、電流
を流してウエハを吸着する方式の静電チャックを簡単に
製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の実施の形態1にかかる静電チャック
の構造を示す断面模式図である。
【図2】図1に示した電極パターンの一例を示す平面図
である。
【図3】図1に示した静電チャックの変形例を示す断面
模式図である。
【図4】この発明の実施の形態2にかかる静電チャック
の構造を示す断面模式図である。
【図5】従来の静電チャックの構造を示す説明図であ
る。
【符号の説明】 100 静電チャック 1 基板 2a 電極 2 電極パターン 3 溶射膜 4 ヘリウムガス通路 5 ヒーター 6 溶射層 W ウエハ
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 3C016 AA01 CE05 GA10 4K030 GA02 KA23 KA46 5F031 CA02 HA02 HA03 HA16 HA18 HA37 HA40

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 静電チャックを構成するベース層の上面
    に所定のパターンをもって電極を形成し、この電極パタ
    ーンを形成することによって凹凸になった前記ベース層
    の上から被覆材料を溶射することで少なくとも前記電極
    パターン上面を被覆する溶射膜を形成したことを特徴と
    する静電チャックの製造方法。
  2. 【請求項2】 さらに、前記ベース層の下層に所定パタ
    ーンのヒーターを形成し、そのヒーターを埋めるように
    溶射層を形成したことを特徴とする請求項1に記載の静
    電チャックの製造方法。
  3. 【請求項3】 前記被覆材料に絶縁性の材料を用いると
    共にこの被覆材料に導電性の添加物を入れて溶射するよ
    うにしたことを特徴とする請求項1または2に記載の静
    電チャックの製造方法。
  4. 【請求項4】 上面が絶縁性を有するベース層と、 ベース層の上面に所定のパターンをもって形成した電極
    と、 電極によって表面が凹凸になったベース層上に対して、
    少なくとも前記電極が被覆されるように設けられた溶射
    層と、 熱伝導を行うためのガスを通す通路であり、前記凹部を
    利用してなるガス通路と、を備えたことを特徴とする静
    電チャック。
  5. 【請求項5】 さらに、前記ベース層の下層に形成され
    た所定パターンのヒーターと、 このヒーターを埋めるように形成された溶射層と、を備
    えたことを特徴とする請求項3に記載の静電チャック。
  6. 【請求項6】 さらに、前記溶射層に導電性の材料を添
    加したことを特徴とする請求項4または5に記載の静電
    チャック。
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