JP2002008461A - 透明導電性基材の製造方法 - Google Patents

透明導電性基材の製造方法

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JP2002008461A JP2000187576A JP2000187576A JP2002008461A JP 2002008461 A JP2002008461 A JP 2002008461A JP 2000187576 A JP2000187576 A JP 2000187576A JP 2000187576 A JP2000187576 A JP 2000187576A JP 2002008461 A JP2002008461 A JP 2002008461A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 5×103 Ω/□以下の導電性、低反射率、
高透過率を有する透明導電性基材を簡便、低コストで製
造できる透明導電性基材の製造方法を提供する。 【解決手段】 ガラス基板、この基板上に順次形成され
た透明導電層と透明コート層とで構成された透明2層膜
を備える透明導電性基材の製造方法であって、溶媒中に
平均粒子径5〜100nmのインジウム錫酸化物微粒子
が分散された透明導電層形成用塗液をガラス基板上に塗
布し、続けてシリカゾルを主成分とする透明コート層形
成用塗布液を塗布した後、大気中、300〜700℃の
高温で焼成し、冷却した後、インジウム錫酸化物微粒子
を含有する透明導電層と酸化珪素を主成分とする透明コ
ート層とで構成された上記透明2層膜を還元性溶液に接
触させて低抵抗化処理することを特徴とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、例えばCRT等表
示装置の前面パネル(前面ガラス)として適用される透
明導電性基材の製造方法に係り、特に、5×103 Ω/
□以下の高い導電性、および、低反射率、高透過率を有
する透明導電性基材を簡便かつ低コストで製造できる透
明導電性基材の製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】近年のオフィスオートメーション(O
A)化によりオフィスに多くのOA機器が導入され、O
A機器のディスプレイと向き合って終日作業を行わねば
ならないという環境が最近珍しくない。
【0003】ところで、OA機器の一例としてコンピュ
ータの陰極線管(CRT)等に接して仕事を行う場合、
表示画面が見やすく、視覚疲労を感じさせないことの外
に、CRT表面の帯電によるほこりの付着や電撃ショッ
クがないこと等が要求されている。更に、これ等に加え
て、最近ではCRTから発生する低周波電磁波の人体に
対する悪影響が懸念され、このような電磁波を外部に漏
洩しないことがCRTに対して望まれている。
【0004】そして、上記電磁波は偏向コイルやフライ
バックトランスから発生し、テレビジョンの大型化に伴
って益々大量の電磁波が周囲に漏洩する傾向にある。
【0005】ところで、磁界の漏洩は偏向コイルの形状
を変えるなどの工夫で大部分を防止することができる。
一方、電界の漏洩もCRTの前面ガラス表面に透明導電
層を形成することにより防止することが可能である。
【0006】このような電界の漏洩に対する防止方法
は、近年、帯電防止のために取られてきた対策と原理的
には同一である。しかし、上記透明導電層は、帯電防止
用に形成されていた導電層よりもはるかに高い導電性が
求められている。すなわち、帯電防止用には表面抵抗で
108 Ω/□程度で十分とされているが、漏洩電界を防
ぐ(電界シールド)ためには、少なくとも106 Ω/□
以下、好ましくは5×103 Ω/□以下である低抵抗の
透明導電層を形成する必要がある。
【0007】そこで、上記要求に対処するため、従来よ
りいくつかの提案がなされているが、その中でも低コス
トでかつ低い表面抵抗を実現できる方法として、導電性
微粒子をアルキルシリケート等の無機バインダーと共に
溶媒中に分散した透明導電層形成用塗液を、CRT等完
成球の前面ガラスに塗布・乾燥後、200℃程度の温度
で焼成する方法が知られている。
【0008】この透明導電層形成用塗液を用いた方法
は、真空蒸着やスパッタ法等の他の透明導電層の形成方
法に比べてはるかに簡便であり、製造コストも低く、C
RTに対する処理可能な電界シールドとして極めて有利
な方法である。
【0009】そして、この方法に用いられる上記透明導
電層形成用塗液として、導電性微粒子にインジウム錫酸
化物微粒子(以下ITO微粒子と略称する)を適用した
ものが知られている。しかし、得られる透明導電層の表
面抵抗が104 〜106 Ω/□と高いため、漏洩電界を
十分に遮蔽するには電界キャンセル用の補正回路が必要
となることから、その分、製造コストが割高となる問題
があった。
【0010】一方、空気中で酸化され難い、銀、金、白
金、ロジウム、パラジウム等の貴金属微粒子を上記導電
性微粒子に適用した透明導電層形成用塗液(特開平8−
77832号公報、特開平9−55175号公報等参
照)を用いた場合は、102 〜103 Ω/□という低抵
抗の透明導電層が得られ、上記補正回路が必要なくなる
ためCRTの製造においてコスト的に有利となる。
【0011】しかし、ITO微粒子を用いた透明導電層
形成用塗液に比べると、(1)塗液の安定性が良くな
い、(2)塗液の価格が高い、(3)膜透過率が低下す
る、等の問題点も依然として残っている。
【0012】また、一方では表示画面を見易くするため
に、前面パネル表面に防眩処理を施して画面の反射を抑
えることも行われている。この防眩処理は、微細な凹凸
を設けて表面の拡散反射を増加させる方法によってもな
されるが、この方法を用いた場合、解像度が低下して画
質が落ちるためあまり好ましい方法とはいえない。従っ
て、むしろ反射光が入射光に対して破壊的干渉を生ずる
ように、透明皮膜の屈折率と膜厚とを制御する干渉法に
よって防眩処理を行うことが好ましい。このような干渉
法により低反射効果を得るため、一般的には高屈折率膜
と低屈折率膜の光学的膜厚をそれぞれ1/4λと1/4
λ、あるいは1/2λと1/4λに設定した二層構造膜
が採用されており、前述のITO微粒子からなる膜もこ
の種の高屈折率膜として用いられている。
【0013】ところで、透明導電層形成用塗液を用いる
上述の方法は、CRT製造メーカーにおいて、完成球1
0(図1参照)の前面ガラス(前面パネル)1に対し透
明導電層を形成する方法であり、透明導電層の焼成温度
は上述したように200℃(160〜250℃)程度の
比較的低温でしか行なえない。これは、上記完成球10
の内部が真空状態にあるため、より高温で焼成した場
合、CRT等の完成球が破壊されてしまう恐れがあるか
らである。
【0014】これに対し、CRTパネル製造メーカーに
おいて、上記透明導電層形成用塗液を用いる方法をCR
T等の前面パネルに適用した場合には400℃以上での
焼成が可能である。これは、CRT完成前の前面パネル
のみに対し透明導電層を形成しているためであり、完成
球の前面パネルに透明導電層を形成する場合に比べ温度
に対する制約が厳しくないからである。
【0015】そして、200℃(160〜250℃)程
度の低温焼成に比べて400℃以上の高温焼成を施した
場合、透明導電層内の導電性微粒子同士の接触点におけ
る熱拡散等による接触抵抗の低下が期待でき、かつ、導
電性微粒子間に存在するバインダーマトリックスの収縮
力増大による導電性微粒子同士の結合力の向上も期待で
きることから、形成される透明導電層の表面抵抗を更に
小さくすることが理論的には可能となる。
【0016】
【発明が解決しようとする課題】ところで、上記前面パ
ネル1は、CRTの製造工程途中において図2に示すよ
うにファンネル2と熱融着される際、大気中で400℃
以上の高温プロセスを受けるため、耐熱性、耐酸化性を
有していることが必要である。
【0017】しかし、貴金属微粒子を適用した透明導電
層形成用塗液においては、上記貴金属微粒子が400℃
程度の高温プロセスを受けた際に酸化あるいは熱拡散等
によりその特性が劣化してしまうためこの塗液を使用す
ることができない。
【0018】他方、ITO微粒子が適用された透明導電
層形成用塗液においても、大気中、例えば400℃程度
の高温焼成を施した場合にITO微粒子が酸化されてそ
の抵抗が上昇し、104 Ω/□程度の表面抵抗しか得ら
れないため不十分であった。もちろん、上記焼成を不活
性雰囲気あるいは還元性雰囲気で行なえば、ITO微粒
子における抵抗の上昇を抑制できるが、上述したように
ファンネルとの熱融着等は大気中で行われており、焼成
工程におけるITO微粒子の酸化を防ぐための雰囲気調
整は、設備の面、コストの面から考えても実用的でな
い。
【0019】本発明は、ITO微粒子が適用された透明
導電層形成用塗液を非完成球であるCRT等の前面パネ
ルに用いた場合の上記問題点に着目してなされたもの
で、その課題とするところは、5×103 Ω/□以下の
高い導電性、および、低反射率、高透過率を有する透明
導電性基材を簡便かつ低コストで製造できる透明導電性
基材の製造方法を提供することにある。
【0020】
【課題を解決するための手段】すなわち、請求項1に係
る発明は、ガラス基板、および、この基板上に順次形成
された透明導電層と透明コート層とで構成された透明2
層膜を備える透明導電性基材の製造方法を前提とし、溶
媒中に平均粒子径5〜100nmのインジウム錫酸化物
微粒子が分散された透明導電層形成用塗液をガラス基板
上に塗布し、続けてシリカゾルを主成分とする透明コー
ト層形成用塗布液を塗布した後、大気中、300〜70
0℃の高温で焼成し、冷却した後、インジウム錫酸化物
微粒子を含有する透明導電層と酸化珪素を主成分とする
透明コート層とで構成された上記透明2層膜を還元性溶
液に接触させて低抵抗化処理することを特徴とするもの
である。
【0021】また、請求項2に係る発明は、請求項1記
載の発明に係る透明導電性基材の製造方法を前提とし、
上記還元性溶液が、標準水素電極電位(NHE)に対し
て標準電極電位が−2.0〜1.0Vである還元性化合
物を含む溶液であることを特徴とし、請求項3に係る発
明は、請求項1または2記載の発明に係る透明導電性基
材の製造方法を前提とし、上記還元性化合物がヒドラジ
ンまたはヒドラジン化合物であることを特徴とし、請求
項4に係る発明は、請求項1〜3のいずれかに記載の発
明に係る透明導電性基材の製造方法を前提とし、上記低
抵抗化処理を0℃〜100℃の温度で行うことを特徴と
し、また、請求項5に係る発明は、請求項1〜4のいず
れかに記載の発明に係る透明導電性基材の製造方法を前
提とし、上記透明導電層形成用塗液がシリカゾルを主成
分とするバインダーを含むことを特徴とするものであ
る。
【0022】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態につい
て詳細に説明する。
【0023】一般にITOにおける導電性発現の機構
は、バンドギャップ3.7eVの半導体である酸化イン
ジウムに添加した錫とITO中に存在する酸素空孔がド
ナーとして作用しキャリアーを形成するためと考えられ
ている。そして、上記ITOへの酸素空孔の導入は、例
えば、ITOを還元性雰囲気中、数百度の高温処理を施
すことにより行なうことができる。
【0024】しかし、大気中で加熱されると、一度導入
された酸素空孔は容易に再酸化されて消出してしまうた
めITOの導電性劣化が生じ、ITO微粒子を適用した
透明導電層形成用塗液においては、上述したように表面
抵抗が104 Ω/□程度の透明導電層しか得ることがで
きなかった。
【0025】そこで、大気中、300〜700℃の高温
焼成時に生じるITO微粒子の酸化に起因すると考えら
れる膜抵抗の劣化に対し、本発明者がその改善を目的と
した各種処理を試みたところ、以下の低抵抗化処理を施
した場合、5×103Ω/□以下の透明導電層が得られる
ことを見出し本発明は完成されている。
【0026】すなわち、本発明は、ガラス基板、およ
び、この基板上に順次形成された透明導電層と透明コー
ト層とで構成された透明2層膜を備える透明導電性基材
の製造方法において、溶媒中に平均粒子径5〜100n
mのインジウム錫酸化物微粒子が分散された透明導電層
形成用塗液をガラス基板上に塗布し、続けてシリカゾル
を主成分とする透明コート層形成用塗布液を塗布した
後、大気中、300〜700℃の高温で焼成し、冷却し
た後、インジウム錫酸化物微粒子を含有する透明導電層
と酸化珪素を主成分とする透明コート層とで構成された
上記透明2層膜を還元性溶液に接触させて低抵抗化処理
することを特徴とするものである(請求項1)。
【0027】ここで、上記ITO微粒子の平均粒子径
は、5〜100nmであることを要する(請求項1)。
ITO微粒子の平均粒子径が5nm未満の場合、この微
粒子の製造は困難であり、更に、透明導電層内でのIT
O微粒子同士の接触点数が極端に増加し、その接触抵抗
に起因する膜抵抗の上昇が生じるため実用的でない。ま
た、100nmを越えると、ITO微粒子による可視光
線の散乱が大きくなり、形成された透明2層膜のヘーズ
値(光線の散乱度合いを示す値)が上昇するため実用的
でない。従って、ITO微粒子の平均粒子径は、5〜1
00nmであることを要する。尚、ここでいう平均粒子
径とは、透過電子顕微鏡(TEM)で観察される微粒子
の平均粒子径を示している。
【0028】そして、大気中、300〜700℃の高温
焼成では、200℃程度の低温焼成に比べると以下の効
果が期待できる。 (1)透明導電層内のITO微粒子同士の接触点におけ
る、ITOの熱拡散等による接触抵抗の低下。 (2)ITO微粒子間に存在する酸化ケイ素を主成分と
するバインダーマトリックス(透明コート層形成用塗布
液を透明導電層上に塗布した際に、透明導電層を形成す
るITO微粒子の粒子間隙に透明コート層形成用塗布液
がしみ込むため、焼成すると、透明導電層は、ITO微
粒子と酸化ケイ素を主成分とするバインダーマトリック
スで構成される。)の収縮力の増大によるITO微粒子
同士の結合力の向上。
【0029】他方、大気中、300〜700℃の高温焼
成により、上述したようにITO微粒子が酸化された状
態となるため、このままではITO微粒子自体の抵抗率
が高くなってしまい、上記(1)、(2)の効果が十分
に発揮されない。
【0030】そこで、本発明では、高温焼成し冷却した
後に、還元性溶液と接触させる低抵抗化処理を行うこと
で上記の問題を解決している。
【0031】すなわち、高温焼成後において酸化された
状態のITO微粒子を標準水素電極電位(NHE)に対
して標準電極電位が−2.0〜1.0Vである還元性化
合物を含む還元性溶液に接触させて低抵抗化処理を行な
う(請求項2)。ここで、標準電極電位が1.0Vより
大きいとITO微粒子の還元が十分に起こらない場合が
あり、また、−2.0Vより小さ過ぎるとITO微粒子
の還元が進み過ぎたり、水溶液の分解が起こる場合があ
る。従って、標準水素電極電位(NHE)に対して標準
電極電位が−2.0〜1.0Vである還元性化合物を含
む還元性溶液に接触させることが望ましい。
【0032】尚、本発明に適用し得る還元性化合物は、
無水ヒドラジン,ヒドラジン一水和物および塩酸ヒドラ
ジン,硫酸ヒドラジン,ヒドラジン酢酸塩,ヒドラジン
二臭化水素酸塩三水和物,ヒドラジン一臭化水素酸塩,
ヒドラジン一塩酸塩,、水酸化ヒドラジニウム,塩化ヒ
ドラジニウム,臭化ヒドラジニウム等のヒドラジン化合
物、あるいは水素化ほう素ナトリウム等の水素化ほう素
化合物,アミノボラン、硫酸鉄(II)等が上げられ、中
でもヒドラジン化合物(請求項3)が好ましいが、これ
らに限定されるものではない。
【0033】例えば、ヒドラジンの還元反応は次式で表
され、pHにより標準電極電位は異なるが、pH=1〜
14、好ましくは4〜10の範囲で行なうのが簡便でよ
い。
【0034】 N24 → N2(g)+4H++4e E0(標準電極電位)=−0.2V N24+4OH- → N2(g)+4H2O+4e E0=−1.16V 上記還元性溶液は、水、有機溶剤あるいは両者の混合物
に還元性化合物を溶解させたものを用いることができ、
有機溶剤としては、エタノール等のアルコール系溶剤、
アセトン等のケトン系溶剤、その他各種の溶剤が可能で
ある。
【0035】また、上記透明2層膜の還元性溶液との接
触による低抵抗化処理としては、透明2層膜を還元性溶
液に浸漬する方法、透明2層膜に還元性溶液をスピンコ
ーティングしながら行なう方法等が考えられるが、要
は、透明2層膜と還元性溶液が接触する方法であれば上
記以外の方法でもよく、接触時間としては、30秒〜5
分程度が好ましい。
【0036】また、上記低抵抗化処理は、大気中、30
0〜700℃の高温焼成で形成された透明2層膜に対し
冷却後に行われるため、0℃〜100℃の温度で行うこ
とが好ましい(請求項4)。
【0037】ここで、上記低抵抗化処理の後において、
透明2層膜が形成された透明導電性基材を、再度、大気
中にて400℃程度の高温処理を施した場合、透明導電
層内のITO微粒子が再酸化されて膜抵抗の劣化を引起
こす。従って、上記低抵抗化処理は、透明2層膜が形成
された透明導電性基材に対し大気中において行われる最
終の高温処理後に行なうことを要する。例えば、前面ガ
ラスと上記ファンネルとの熱融着処理がなされていない
前面ガラスに対し透明2層膜が形成されている場合に
は、少なくとも上記熱融着処理後に低抵抗化処理を行な
うことを要する。
【0038】また、上記透明導電層形成用塗液は、溶媒
とこれに分散されたITO微粒子を主成分としている
が、シリカゾルを主成分とするバインダー成分が含まれ
ていてもよい(請求項5)。
【0039】
【実施例】以下、本発明の実施例を具体的に説明するが
本発明はこれら実施例に限定されるものではない。ま
た、本文中の『%』は、透過率、反射率、ヘーズ値の
(%)を除いて『重量%』を示し、また『部』は『重量
部』を示している。
【0040】[実施例1]透明導電層形成用塗液は、ジ
アセトンアルコール60.0部とエタノール8.7部に
高分子分散剤1.3部と平均粒子径30nmのITO微
粒子(住友金属鉱山社製、商品名SUFP-HX)30.0部
を混合し、ペイントシェーカーで分散処理した後、IT
O濃度が2.0%になるようエタノールで希釈して調製
した。
【0041】また、透明コート層形成用塗布液は、メチ
ルシリケート51(コルコート社製商品名)を19.6
部、エタノール57.8部、1%硝酸水溶液7.9部、
純水14.7部を用いて、SiO2(酸化ケイ素)固形
分濃度が10%で、重量平均分子量が3950のものを
調製し、最終的に、SiO2固形分濃度が1.0%とな
るようにイソプロピルアルコール(IPA)とn−ブタ
ノール(NBA)の混合物(IPA/NBA=3/1)
により希釈して得ている。
【0042】次に、上記透明導電層形成用塗液を40℃
に加熱したガラス基板(厚さ3mmのソーダライムガラ
ス)上にスピンコート(150rpm,1分間)し、続
けて透明コート層形成用塗布液をスピンコート(150
rpm,1分間)した後、大気中、450℃、20分間
の焼成処理を施し、かつ、室温まで冷却した後、ITO
微粒子を含有する透明導電層と酸化ケイ素を主成分とす
る透明コート層とで構成された透明2層膜に対し以下の
低抵抗化処理を施した。すなわち、上記透明2層膜を、
25℃に保たれた1%ヒドラジン一水和物の水溶液に1
分間接触させて低抵抗化処理を施し、実施例1に係る透
明導電性基材を得た。
【0043】そして、ガラス基板上に形成された透明2
層膜の膜特性(表面抵抗、可視光線透過率、ヘーズ値、
ボトム反射率/ボトム波長)を以下の表1に示す。
【0044】尚、上記ボトム反射率とは透明導電性基材
の反射プロファイルにおいて極小の反射率をいい、ボト
ム波長とは反射率が極小における波長を意味している。
【0045】また、表面抵抗については、低抵抗化処理
直後、および7日後に測定した。
【0046】尚、本明細書においては、特に言及しない
限り、透過率としては、透明基板を含まない透明2層膜
だけの透過率(%)を用いており、以下の様にして求め
られている。すなわち、 透明基板を含まない透明2層膜だけの透過率(%)=
[(透明基板ごと測定した透過率)/(透明基板の透過
率)]×100 また、透明2層膜の表面抵抗は、三菱化学(株)製の表面
抵抗計ロレスタAP(MCP−T400)を用い測定し
た。ヘーズ値と可視光線透過率は、透明基板ごと、村上
色彩技術研究所製のヘーズメーター(HR−200)を
用いて測定した。反射率は、日立製作所(株)製の分光光
度計(U−4000)を用いて測定した。
【0047】[実施例2]ガラス基板に形成された透明
2層膜を、25℃に保たれた1%硫酸ヒドラジンの水溶
液に接触させて低抵抗化処理を施した以外は、実施例1
と同様に行い、実施例2に係る透明導電性基材を得た。
【0048】そして、ガラス基板上に形成された透明2
層膜の膜特性を以下の表1に示す。
【0049】[実施例3]ガラス基板に形成された透明
2層膜を、25℃に保たれた1%塩化ヒドラジニウムの
水溶液に接触させて低抵抗化処理を施した以外は、実施
例1と同様に行い、実施例3に係る透明導電性基材を得
た。
【0050】そして、ガラス基板上に形成された透明2
層膜の膜特性を以下の表1に示す。
【0051】[実施例4]実施例1において、大気中で
450℃、20分間焼成した後、室温まで冷却してか
ら、再度30℃に加熱した。そして、ガラス基板に形成
された透明2層膜上に、2%ヒドラジン一水和物溶液
(水/エタノール=1/9)をスピンコート(100r
pm,2分間)し、低抵抗化処理を行った以外は、実施
例1と同様に行い、実施例4に係る透明導電性基材を得
た。
【0052】ガラス基板上に形成された透明2層膜の膜
特性を以下の表1に示す。
【0053】[実施例5〜7]実施例1において、大気
中、表2に示された各温度で20分間焼成し、1%ヒド
ラジン一水和物水溶液に3分間接触させた以外は、実施
例1と同様に行い、実施例5〜7に係る透明導電性基材
を得た。
【0054】そして、ガラス基板上に形成された透明2
層膜の膜特性を以下の表2に示す。
【0055】[比較例1]上記低抵抗化処理を施さなか
った以外は、実施例1と同様に行い、比較例1に係る透
明導電性基材を得た。
【0056】そして、ガラス基板上に形成された透明2
層膜の膜特性を以下の表1に示す。
【0057】[比較例2]実施例1で用いた透明導電層
形成用塗液を40℃に加熱したガラス基板(厚さ3mm
のソーダライムガラス)上にスピンコート(150rp
m,1分間)し、続けて実施例1で用いた透明コート層
形成用塗布液をスピンコート(150rpm,1分間)
した後、大気中、180℃、20分間の焼成処理を施
し、かつ、ガラス基板に形成された透明2層膜を、1%
ヒドラジン一水和物水溶液に3分間接触させた以外は、
実施例1と同様に行い、比較例2に係る透明導電性基材
を得た。
【0058】そして、ガラス基板上に形成された透明2
層膜の膜特性を以下の表2に示す。
【0059】
【表1】
【0060】
【表2】 「評 価」 (1)表1に示されているように、大気中、450℃の
高温焼成処理にて形成された透明2層膜に対し低抵抗化
処理した実施例1〜4に係る透明導電性基材は、低抵抗
化処理直後において5×103Ω/□以下の高い導電性、
低反射率、高透過率を有しており、かつ、処理7日後に
おいても略同様の特性を具備している。
【0061】これに対し、上記低抵抗化処理が施されて
いない比較例1に係る透明導電性基材は、実施例1〜4
に係る透明導電性基材と同様の低反射率、高透過率を有
するものの、透明2層膜の表面抵抗は1.5×104Ω/
□と高い値になっており、かつ、焼成処理7日後におけ
る表面抵抗も1.2×104Ω/□と高い値となっている
ことが確認される。 (2)また、上記焼成温度が350℃、500℃、55
0℃の各条件で処理された実施例5〜7に係る透明導電
性基材は、低抵抗化処理直後において5×103Ω/□以
下の高い導電性、低反射率、高透過率を有しており、か
つ、処理7日後においても略同様の特性を具備してい
る。
【0062】これに対し、焼成温度が180℃の条件で
処理された比較例2に係る透明導電性基材は、上記低抵
抗化処理が施されているにも拘わらず透明2層膜の表面
抵抗が5×103Ω/□以上となっており、かつ、低抵抗
化処理7日後における透明2層膜の表面抵抗が著しく上
昇していることが確認される。
【0063】
【発明の効果】請求項1〜5記載の発明に係る透明導電
性基材の製造方法によれば、電磁波シールド膜として好
適な5×103Ω/□以下の高い導電性、および低反射
率、高透過率を有する透明導電性基材を簡便かつ低コス
トで製造できる効果を有する。
【図面の簡単な説明】
【図1】CRT完成球の説明図。
【図2】熱融着される前の前面パネルとファンネルの説
明図。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) B32B 7/02 104 B32B 7/02 104 17/06 17/06 31/22 31/22 // H01J 9/20 H01J 9/20 A Fターム(参考) 4D075 AE03 BB28Z CA22 CB06 DB13 DC21 EB02 EC02 4F100 AA17B AA20C AA33B AG00A AK52 AR00B AR00C BA03 BA10A BA10C CA21B CC00B CC00C DE01B EG002 EH462 EJ143 EJ482 EJ502 GB41 JG01B JM01C JN01B JN01C 5C028 AA01 AA02 AA04 AA07 5G323 BA02 BB01 BC02

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】ガラス基板、および、この基板上に順次形
    成された透明導電層と透明コート層とで構成された透明
    2層膜を備える透明導電性基材の製造方法において、 溶媒中に平均粒子径5〜100nmのインジウム錫酸化
    物微粒子が分散された透明導電層形成用塗液をガラス基
    板上に塗布し、続けてシリカゾルを主成分とする透明コ
    ート層形成用塗布液を塗布した後、大気中、300〜7
    00℃の高温で焼成し、冷却した後、インジウム錫酸化
    物微粒子を含有する透明導電層と酸化珪素を主成分とす
    る透明コート層とで構成された上記透明2層膜を還元性
    溶液に接触させて低抵抗化処理することを特徴とする透
    明導電性基材の製造方法。
  2. 【請求項2】上記還元性溶液が、標準水素電極電位(N
    HE)に対して標準電極電位が−2.0〜1.0Vであ
    る還元性化合物を含む溶液であることを特徴とする請求
    項1に記載の透明導電性基材の製造方法。
  3. 【請求項3】上記還元性化合物がヒドラジンまたはヒド
    ラジン化合物であることを特徴とする請求項1または2
    に記載の透明導電性基材の製造方法。
  4. 【請求項4】上記低抵抗化処理を0℃〜100℃の温度
    で行うことを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載
    の透明導電性基材の製造方法。
  5. 【請求項5】上記透明導電層形成用塗液がシリカゾルを
    主成分とするバインダーを含むことを特徴とする請求項
    1〜4のいずれかに記載の透明導電性基材の製造方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2004277627A (ja) * 2003-03-18 2004-10-07 Asahi Kasei Corp インクジェット用インクおよびこれを用いた金属含有薄膜の形成方法
JP2015176668A (ja) * 2014-03-13 2015-10-05 ナガセケムテックス株式会社 透明導電膜用リペア組成物及び透明導電膜

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