JP2002004476A - スラブ構築方法 - Google Patents

スラブ構築方法

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JP2002004476A
JP2002004476A JP2000184235A JP2000184235A JP2002004476A JP 2002004476 A JP2002004476 A JP 2002004476A JP 2000184235 A JP2000184235 A JP 2000184235A JP 2000184235 A JP2000184235 A JP 2000184235A JP 2002004476 A JP2002004476 A JP 2002004476A
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steel
slab
truss
concrete
steel material
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Keiji Matsumoto
啓二 松本
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Mitsui Construction Co Ltd
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Mitsui Construction Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 互いに交差する2方向のうちいずれにおいて
もプレストレスを有効に働かせることができ、大スパン
のスラブを容易に構築すること。 【解決手段】 トラス筋25に切欠き部25tを、複数
列のトラス筋25に亘って矢印DR1方向に形成してお
き、各PC鋼線30はこれら切欠き部25tを介してト
ラス筋25の下方に立体交差させる形で設置する。トラ
ス筋25と干渉せずPC鋼線30を設置できる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、大スパン化したス
ラブを構築するのに好適なスラブ構築方法に関するもの
である。
【0002】
【従来の技術】従来、プレストレスを与えて中空スラブ
を構築する方法が実施されている。例えば、複数の埋込
材及び複数列のトラス筋を有する平板状のコンクリート
基板を建物構造体に設置し、該コンクリート基板上に複
数のPC鋼材をトラス筋に平行に設置し、該コンクリー
ト基板上に前記埋込材と前記PC鋼材とを埋没させる形
でコンクリートを打設し、打設したコンクリートの固結
後に前記PC鋼材を介してプレストレスを作用させてい
る。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】近年、大スパン1枚ス
ラブの構築が望まれており、そのためには構造解析上有
利となるように、互いに交差する2方向に有効なプレス
トレスを働かせたい。しかし、上述した従来のスラブ構
築方法では、トラス筋に平行な方向のPC鋼材は設置で
きるが、トラス筋に交差する方向には該トラス筋との干
渉によりPC鋼材の設置が不可能であった。このため従
来ではPC鋼線を2方向に設置して有効なプレストレス
を働かせることが困難であった。
【0004】そこで本発明は上記事情に鑑み、中空スラ
ブにおいて、互いに交差する2方向のうちいずれにおい
てもプレストレスを有効に働かせることができ、大スパ
ンのスラブを容易に構築することのできるスラブ構築方
法を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成する本発
明のうち請求項1は、表面に設置された複数の埋込材
(23)及びこれら埋込材間の隙間を介して第1の方向
(DR2)に沿って設置された複数列のトラス筋(2
5)を有する平板状のコンクリート基板(22)を建物
構造体(65)に設置し、前記コンクリート基板上に複
数のPC鋼材(29、30)を、前記複数の埋込材間の
隙間を介して前記コンクリート基板に沿って設置し、前
記コンクリート基板上に前記埋込材と前記PC鋼材とを
埋没させる形でコンクリート(26)を打設し、前記コ
ンクリートの固結後に前記PC鋼材を介してプレストレ
スを作用させてスラブ(20)を構築する際に、前記ト
ラス筋にPC鋼材設置部(25t)を、前記複数列のト
ラス筋に亘って前記第1の方向と交差する第2の方向
(DR1)に形成しておき、前記複数のPC鋼材のうち
1つ以上のPC鋼材は、前記トラス筋の前記PC鋼材設
置部を介して該トラス筋と立体交差させる形で前記第2
の方向に設置する、ことを特徴とする。
【0006】また本発明のうち請求項2は、前記PC鋼
材設置部は切欠き(25t)であり、前記トラス筋に対
して立体交差させるPC鋼材は、前記切欠きを介して前
記トラス筋の下方に配置する、ことを特徴とする。
【0007】また本発明のうち請求項3は、前記PC鋼
材設置部は、該PC鋼材設置部における各トラス筋の配
筋高さ(TH)が、前記第2の方向に隣接する複数列の
トラス筋間において変化する形で形成する部位(2
5’)であり、前記トラス筋に対して立体交差させるP
C鋼材は、前記PC鋼材設置部の上方に配置すると共
に、前記配筋高さの変化に合わせてライズを形成させる
形で配置する、ことを特徴とする。
【0008】また本発明のうち請求項4は、前記埋込材
は平面視方形状に形成しておき、前記複数のPC鋼材の
うち1つ以上のPC鋼材は、前記トラス筋に沿って前記
第1の方向に設置する、ことを特徴とする。
【0009】なお、括弧内の番号等は、図面における対
応する要素を示す便宜的なものであり、従って、本記述
は図面上の記載に限定拘束されるものではない。
【0010】
【発明の効果】上記構成により本発明のうち請求項1に
よると、トラス筋と交差する方向のPC鋼材は、該トラ
ス筋のPC鋼材設置部を介して設置すればよいので、構
築されるスラブには互いに交差する2方向のうちいずれ
においてもPC鋼材が設置可能である。つまり本発明に
よると、互いに交差する2方向のうちいずれにおいても
プレストレスを有効に働かせることができ、大スパンの
スラブを容易に構築することができる。
【0011】また本発明のうち請求項2によると、トラ
ス筋に対して立体交差させるPC鋼材は、切欠きを介し
て該トラス筋の下方に配置するのでスラブの構築施工が
容易になる。またトラス筋に形成するのは切欠きなの
で、その形成が容易である。更に、汎用品のトラス筋に
対して切欠きを形成して使用すればよいので好都合であ
る。
【0012】また本発明のうち請求項3によると、PC
鋼材は、そのライズ高さに対応した高さで形成したトラ
ス筋のPC鋼材設置部上に配置するので、トラス筋に切
欠きのようなものをわざわざ形成せずに済む。またトラ
ス筋の下方にPC鋼材を設置する必要がないので施工が
簡単になる。
【0013】また本発明のうち請求項4によると、埋込
材の外形を平面視方形状に形成したので、これら埋込材
の各辺に沿った方向にPC鋼材をそれぞれ配置した場
合、いずれの辺に沿った方向においても隣接するPC鋼
材間の間隔は一定の大きさにできる。つまり互いに交差
する2方向いずれの方向のPC鋼材も有効にプレストレ
スが働く間隔で配置することができる。即ち本発明によ
ると、交差する2方向にプレストレスを有効に働かせる
ことができ、大スパンのスラブを容易に構築することが
できる。また埋込材の外形を平面視略正方形状に形成し
たことによりスラブは遮音性にも優れる。
【0014】
【発明の実施の形態】以下、図面に基づき本発明の実施
形態を説明する。図1は構築中のスラブ構造体であり、
その基板ユニット部分を示す模式平面図、図2はスラブ
構造体の側断面図である。マンション等の建物65は、
図1に示すように、柱66や、梁或いは壁からなる支持
横架材67を有しており、各階層の床を構成するスラブ
構造体55が前記支持横架材67により四方を支持され
ている。なお図1に示すスラブ構造体55は構築途中の
ものである。
【0015】本実施形態のスラブ構造体55は、建物6
5の水平な第2の方向(図1の矢印DR2方向)に平行
な一方の辺の長さをlx、該第2の方向に直交する水平
な第1の方向(図1の矢印DR1方向)に平行な他方の
辺の長さをlyとして、これらのスラブ辺長比をβ(=
ly/lx)とした場合、この辺長比βが1.0〜1.
5程度となるものである。図1ではβ=1.0の場合で
あり、スラブ構造体55の平面視形状が正方形状となっ
ている例を示している。
【0016】また、スラブ構造体55は大面積の1枚ス
ラブであり、スラブ構造体55を支持するための梁など
は上記支持横架材67以外一切設けられていない。スラ
ブ構造体55は、図1及び図2に示すように複数(図で
は9枚)のスラブ20を同一平面に沿って接続して構成
されており(但し図1で示すスラブ20は構築途中のも
の)、これらスラブ20は第1の方向(矢印DR1方
向)及び第2の方向(矢印DR2方向)に沿って格子状
(図1では3行3列)に配置されている。図1の例では
スラブ20の平面視形状が正方形状となっているが、ス
ラブ構造体55全体の形状や接続するスラブ20の枚数
等により、正方形状以外にも長方形状などの別の形状を
呈することもある。
【0017】各スラブ20は、図1及び図2に示すよう
に、基板ユニット21を有しており、該基板ユニット2
1は平板状のコンクリート基板22と、該コンクリート
基板22上に定着設置された複数のFPS型枠23と、
を備えている。このFPS型枠23は中空箱状の合成樹
脂発泡成形品であり、中空型枠(埋込材)である。本実
施形態のFPS型枠23は一例として、その平面視形状
において、図1で示す一辺(第2の方向に平行な辺)の
長さaが0.43m、他辺(第1の方向に平行な辺)の
長さbが0.43mである略正方形状のものを採用し
た。各コンクリート基板22上の複数のFPS型枠23
は、該コンクリート基板22に整合した形で格子状に配
設されている(図1では4行4列)。
【0018】コンクリート基板22上には、第1の方向
(矢印DR1方向)に隣接するFPS型枠23、23の
隙間に位置した形で複数のトラス筋25が、コンクリー
ト基板22の第2の方向(矢印DR2方向)略全長に亘
って筋状配置で設置されている。更に、第2の方向(矢
印DR2方向)に伸延する複数のPC鋼線29が、該第
2の方向に並ぶ3個のスラブ20に亘って設置されてい
る。このPC鋼線29は上記各スラブ20の基板ユニッ
ト21上で前記トラス筋25の近傍に沿って配置されて
いる。
【0019】また、第1の方向(矢印DR1方向)に伸
延する複数のPC鋼線30が、該第1の方向に並ぶ3個
のスラブ20に亘って設置されている。このPC鋼線3
0は上記各スラブ20の基板ユニット21上で、第2の
方向(矢印DR2方向)に隣接するFPS型枠23、2
3間の隙間に配置されている。なお、上記辺長比βが
1.0〜1.5程度のスラブ構造体55に対して有効な
プレストレスを得ることのできる位置だけにPC鋼線2
9、30を設置するため、スラブ構造体55全体から見
て4つの柱66付近の角隅部(図1で示す正方形形状の
四隅付近)にはPC鋼線29、30が設置されていな
い。これら各角隅部の大きさは、図1に示すように、第
2の方向(矢印DR2方向)がlx/4で、第1の方向
(矢印DR1方向)がly/4である。
【0020】また図2(a)に示すように、トラス筋2
5の上弦材25aをスペーサとしてスラブ上端筋27な
どが設置されており、上記FPS型枠23及びトラス筋
25及びPC鋼線29、30及びスラブ上端筋27等を
埋没させる形で基板ユニット21の上側に現場打による
コンクリート26が打設されている。コンクリート26
は同一のスラブ構造体55を構成する複数のスラブ20
に亘って継目無く打設されており、スラブ構造体55は
大面積の1枚スラブとして構築されている。なお、スラ
ブ構造体55には上記PC鋼線29、30を利用して第
1の方向及び第2の方向においてプレストレスが与えら
れている。
【0021】以上のように構成されるスラブ構造体55
を構築する手順について説明する。まず、上述した基板
ユニット21(コンクリート基板22、FPS型枠2
3、トラス筋25からなる)を工場生産して施工現場に
輸送する。施工現場では、輸送して来た複数の基板ユニ
ット21を適宜な支保工で支持しつつ、図1のように支
持横架材67等に接続し、かつ基板ユニット21どうし
を互いに接続する形で建物65の所定位置に設置する。
なお、FPS型枠23の基板ユニット21への設置は必
ずしも工場において行う必要は無く、例えばFPS型枠
23が未設置の基板ユニット21を建物65に設置した
後、施工現場においてFPS型枠23を該基板ユニット
21に設置しても良い。
【0022】次いで、上述した構成の説明で述べた形で
第2の方向(矢印DR2方向)の3つのスラブ20に亘
って複数のPC鋼線29を設置し、第1の方向(矢印D
R1方向)の3つのスラブ20に亘って複数のPC鋼線
30を設置する。この設置方法は公知の方法であるので
説明を省略する。
【0023】図3は第1の方向のPC鋼線の設置状態を
示す模式側断面図である。プレストレススラブにおける
PC鋼線の設置では、効率的にプレストレスを発揮させ
るためPC鋼線の中央部が低く両端部が高くなるように
図3(a)で示すようなライズ(傾き)を形成すること
が通常である。従って上述したPC鋼線29、30はど
ちらも上記ライズを形成するように設置する。しかしP
C鋼線30に関しては、該PC鋼線30と交差する形で
既に設けられているトラス筋25の上弦材25a(図2
参照)が邪魔になり、このままでは該PC鋼線30の中
央部を低く設置できない。
【0024】従って、PC鋼線30を設置する際には、
図2(b)に示すように上弦材25aのうち該PC鋼線
30と交差する部位を現場で切断して切欠き部25tを
形成しておく。切欠き部25tは複数列のトラス筋25
に亘って第1の方向DR1に並んで形成されている。即
ちこの切欠き部25tを通すことによりPC鋼線30を
上弦材25aより下方の適切な位置に設置する。
【0025】なお、PC鋼線30を通すための上記切欠
き部25tは、予め工場において形成しておいてもよ
い。また、PC鋼線30を通した後、上記切欠き部25
tは鉄筋などの適宜な接続部材25u(図2(b)の二
点鎖線)により閉鎖接続してもよいし、強度的な問題が
なければ接続せずそのままにしておいてもよい。また図
3(b)に示すように、PC鋼線30との交差箇所にあ
るトラス筋の高さTHを、該PC鋼線30のライズ高さ
RHに合わせて低くしてもよい。図3(b)の符号2
5’は高さTHを低くしたトラス筋の例である。この場
合、PC鋼線30は、そのライズ高さRHに対応した高
さTHで形成したトラス筋25’の上に配置するので、
トラス筋25’に切欠き部25tのようなものを形成せ
ずに済む。またトラス筋25’の下方にPC鋼線30を
設置する必要がないので施工が簡単になる。
【0026】上述したようにPC鋼線29、30を設置
した後、スラブ上端筋27などの配筋を行い、上記FP
S型枠23及びトラス筋25及びPC鋼線29、30及
びスラブ上端筋27等を埋没させる形で基板ユニット2
1の上側にコンクリート26を打設する。打設したコン
クリート26が固結した後、上記PC鋼線29、30を
利用して第1の方向及び第2の方向においてプレストレ
スを与えてスラブ構造体55の構築が完了する。
【0027】以下、遮音性能について説明する。本実施
形態のスラブ20は、特に居住者にとって耳障りとなり
やすい1kHzオクターブ域(710Hz〜1.4kH
z)での遮音性能が改善されている。図4は上記スラブ
におけるFPS型枠の配置状態を示した簡略平面図であ
る。この図4に示すように、スラブ20では、FPS型
枠23が存在する部分SAと存在しない部分SCとに分
けることができ、SCの部分は大部分がコンクリート2
6である中実部となり、SAの部分は中空部となる。そ
して、前記中実部SCはスラブ20の振動を計算する上
では固定部と見ることができ、中空部SAの固有振動数
が該スラブ20の遮音性能に実質的に影響を与える。
【0028】通常、厚み0.26m程度の中空コンクリ
ートスラブ構造の場合、コンクリート基板の厚みh1は
0.06m程度である。また、FPS型枠等の埋込材
は、一辺(短辺)の長さaが0.40〜0.50m程
度、他辺(長辺)の長さbが1.20m程度、厚みh3
が0.12m程度とされている。現場打ちコンクリート
の厚みHは0.19m程度とされ、多くの場合、[コン
クリート基板の厚みh1(0.06m)]<[FPS型
枠上の現場打ちコンクリートの厚みh2(H−h3)=
0.19−0.12=0.07m)]、として、床衝撃
音に対する遮音性能を向上させている。隣接する埋込材
どうしの隙間(図4の隙間Pに対応)は0.15m程度
とされる場合が多い。
【0029】本実施形態のような中空コンクリートスラ
ブ構造において、空気伝播音に対する遮音性能の良否
は、有限長平板固定条件の固有振動数(一次固有振動
数)に依存するが、遮音性能のように高い周波数まで求
める音響の計算では、下記数1で算出される固有振動数
f0.fixが適切に用いられる。
【0030】
【数1】
【0031】なお上記数1において、aは中空部SAで
の一辺(短辺又は等辺)の長さ(m)、bは中空部SA
での他辺(長辺又は等辺)の長さ(m)である。即ち、
a及びbは埋込材の一辺と他辺の長さに相当するもので
あり、hはコンクリート基板の厚みh1或いは埋込材上
でのコンクリート7の厚みh2のいずれか薄い方の厚み
(m)であり、Eは当該コンクリート板のヤング係数
(N/m)であり、σはその密度(kg/m)であ
る。(スラブ20の場合に関する長さa、bは図1に、
厚みh1、h2等は図2に示す。)
【0032】従って、居住者にとって耳障りとなりやす
い1kHzオクターブ域(710Hz〜1.4kHz)
での遮音性能を改善するためには、中空部SAでのコン
クリート板のうちの薄い方のコンクリート板の持つ固有
振動数を、1.4Hz以上となるように設計することに
より、居住者にとって耳障りとなりやすい1kHzオク
ターブ域での遮音性能の低下を防ぐことができる。
【0033】図5〜図8は、上記の考察に基づき、埋込
材の一辺の長さを0.43mに固定し、他方の辺長を変
化させたときの、前記数1により計算した固有振動数の
変化を示している。なお、ヤング係数E(2.6×10
10N/m)と密度σ(2300kg/m)は一定
とした。図5はコンクリート板の薄い方の厚みhを0.
06mとした場合、図6はhを0.07mとした場合、
図7はhを0.08mとした場合、図8はhを0.10
mとした場合である。
【0034】図示のように、埋込材の一辺の長さa
(m)、他辺の長さb(m)とコンクリート板厚みh
(m)とを適宜調整することにより、数1で算出される
固有振動数f0.fixを1.4kHz以上となるよう
に適宜設定することが可能であり、設計条件などを考慮
してそれらの値を適宜選択することにより、遮音性能の
改善を図ることが可能となる。
【0035】上記の計算による結果を実証すべく、形状
(大きさ)の異なる2種類の埋込材を比較した。1つは
従来タイプであり、その寸法が、a=0.43(m)、
b=1.2(m)、h3=0.12(m)である。もう
1つは本実施形態で採用した上記FPS型枠23であ
り、その寸法が、a=0.43(m)、b=0.43
(m)、h3=0.12(m)である。これら埋込材を
用いてコンクリートスラブ用の基板ユニットを造り、そ
れ用いて実際の鉄骨鉄筋コンクリート構造の集合住宅の
中空コンクリートスラブを構築して、室間平均音圧レベ
ル差(即ち、建物内の2室間の空気中を伝わる音(テレ
ビ・話し声など)に対する遮音性能を表す値)を測定し
た。測定は、面積約100mの住戸の居間(約18m
)で行い、JIS1417「建築部の現場における音
圧レベル差の測定方法」に準じ、一方の部屋(音源室)
に設置した音響装置(アンプ+スピーカ)から1オクタ
ーブ帯域ノイズを発生させ、音源室及びもう一方の部屋
(受音室)において、試験音の音圧レベルを測定した。
室間音圧レベルの評価方法は、JISA1418「建築
物の遮音等級」に準拠した。
【0036】なお、実験に供した中空コンクリートスラ
ブの全体厚みは0.26mであり、コンクリート基板の
厚みh1は0.06m、現場打ちコンクリートの厚みH
は0.19mである。この寸法は、本実施形態で説明し
たスラブ20の全体厚み、コンクリート基板22の厚み
h1、コンクリート26の厚みHと等しいものである。
埋込材上のコンクリート板の厚みh2は従来タイプでも
FPS型枠23でも0.07mとなる。コンクリート板
のヤング係数Eと密度σとは前記計算による場合とほぼ
同じ値となるようにした。
【0037】図9はその結果を示すグラフであり、白丸
のものは上記従来タイプの埋込材を用いた中空コンクリ
ートスラブの場合、黒丸のものはFPS型枠23を用い
た本実施形態のスラブ20の場合である。白丸の場合で
の計算による固有振動数f0.fixは1.2kHzで
あり、黒丸の場合での計算による固有振動数f0.fi
xは1.8kHzである。グラフは、従来タイプの埋込
材を持つ中空コンクリートスラブに比べ、本実施形態の
スラブ20では、1kHzオクターブ域(710Hz〜
1.4kHz)での遮音性能が明らかに改善されること
を示しており、それは、D−50の性能を満足するもの
であった。これにより、本実施形態のスラブ20の有効
性が実証された。
【0038】なお上記遮音性能を発揮するための埋込材
等の寸法条件は、上記数1による固有振動数f0.fi
xが1.4kHzであればよく、上記実施形態で使用し
たFPS型枠23等の一例としての寸法に限定されるも
のではない。従って、例えばFPS型枠23の平面視で
の形状は上記実施形態のように略正方形状だけでなく、
長方形状のものなど多様な形状が採用可能である。
【0039】以上のように本実施形態では、まず2つの
主なる効果を同時に実現した。その1つは遮音性能であ
る。即ち、FPS型枠23の長さa、b及びその辺長比
α(=b/a)等を上記数1が所定の値となるように適
切に設定したので、居住者にとって耳障りとなりやすい
1kHzオクターブ域での遮音性能を高めることができ
た。2つ目はスラブの大スパン化である。スラブ辺長比
βが1.0〜1.5程度であるので、2方向(矢印DR
1、DR2方向)のプレストレスを与えなければ大スパ
ン化が難しいが、本実施形態で2方向のPC鋼線29、
30を介してプレストレスを付与することにより大スパ
ン化を実現した。このように本実施形態は遮音性と大ス
パン化とを両方同時に実現したものである。
【0040】また図1の例では、スラブ20のFRS型
枠23が小寸法の略正方形状に形成されているため、前
後左右に隣接するFRS型枠23、23の隙間には、第
1の方向のPC鋼線29及び第2の方向のPC鋼線30
が、どちらも有効にプレストレスが働き得る適切な小さ
な配置間隔で設置できた。従って、スラブ20に対して
第1の方向及び第2の方向の2つの方向から有効なプレ
ストレスを与えることが容易にできた。
【0041】更に施工手順においては、PC鋼線30の
設置時(或いは工場において)、トラス筋25の上弦材
25aを切断して切欠き部25tを設けたので、トラス
筋25と交差する方向のPC鋼線30を前記切欠き部2
5tを通して上弦材25aの下方に適宜配置できた。こ
れによりPC鋼線30は適切なライズを形成する形で設
置された。従ってスラブ構造体55には、第1の方向及
び第2の方向の2つの方向から有効なプレストレスを与
えることができ、大面積の1枚スラブが実現した。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施形態のスラブ構造体であり、その基板ユニ
ット部分を示す模式平面図。
【図2】図1に示すスラブの側断面図。
【図3】第1の方向のPC鋼線の設置状態を示す模式側
断面図。
【図4】スラブにおける埋込材の配置状態を示した簡略
平面図。
【図5】埋込材の一辺の長さを0.43mに固定し、他
方の辺長を変化させたときの、数1により計算した固有
振動数の変化をグラフで示す図。
【図6】埋込材の一辺の長さを0.43mに固定し、他
方の辺長を変化させたときの、数1により計算した固有
振動数の変化をグラフで示す図。
【図7】埋込材の一辺の長さを0.43mに固定し、他
方の辺長を変化させたときの、数1により計算した固有
振動数の変化をグラフで示す図。
【図8】埋込材の一辺の長さを0.43mに固定し、他
方の辺長を変化させたときの、数1により計算した固有
振動数の変化をグラフで示す図。
【図9】実験結果をグラフで示した図。
【符号の説明】
20 スラブ 22 コンクリート基板 23 埋込材(FPS型枠) 25 トラス筋 25t PC鋼材設置部、切欠き(切欠き部) 26 コンクリート 29、30 PC鋼材(PC鋼線)
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) E04B 5/38 E04B 5/38 A E04C 5/08 E04C 5/08

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】表面に設置された複数の埋込材及びこれら
    埋込材間の隙間を介して第1の方向に沿って設置された
    複数列のトラス筋を有する平板状のコンクリート基板を
    建物構造体に設置し、前記コンクリート基板上に複数の
    PC鋼材を、前記複数の埋込材間の隙間を介して前記コ
    ンクリート基板に沿って設置し、前記コンクリート基板
    上に前記埋込材と前記PC鋼材とを埋没させる形でコン
    クリートを打設し、前記コンクリートの固結後に前記P
    C鋼材を介してプレストレスを作用させてスラブを構築
    する際に、 前記トラス筋にPC鋼材設置部を、前記複数列のトラス
    筋に亘って前記第1の方向と交差する第2の方向に形成
    しておき、 前記複数のPC鋼材のうち1つ以上のPC鋼材は、前記
    トラス筋の前記PC鋼材設置部を介して該トラス筋と立
    体交差させる形で前記第2の方向に設置する、ことを特
    徴とするスラブ構築方法。
  2. 【請求項2】前記PC鋼材設置部は切欠きであり、 前記トラス筋に対して立体交差させるPC鋼材は、前記
    切欠きを介して前記トラス筋の下方に配置する、ことを
    特徴とする請求項1記載のスラブ構築方法。
  3. 【請求項3】前記PC鋼材設置部は、該PC鋼材設置部
    における各トラス筋の配筋高さが、前記第2の方向に隣
    接する複数列のトラス筋間において変化する形で形成す
    る部位であり、 前記トラス筋に対して立体交差させるPC鋼材は、前記
    PC鋼材設置部の上方に配置すると共に、前記配筋高さ
    の変化に合わせてライズを形成させる形で配置する、こ
    とを特徴とする請求項1記載のスラブ構築方法。
  4. 【請求項4】前記埋込材は平面視方形状に形成してお
    き、 前記複数のPC鋼材のうち1つ以上のPC鋼材は、前記
    トラス筋に沿って前記第1の方向に設置する、ことを特
    徴とする請求項1記載のスラブ構築方法。
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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2012509421A (ja) * 2008-11-19 2012-04-19 コビアックス テクノロジーズ アクチェンゲゼルシャフト プレストレストスラブ要素
JP2012509422A (ja) * 2008-11-17 2012-04-19 スキッドモア オーウィングス アンド メリル リミテッド ライアビリティ パートナーシップ 型枠の埋込システム
WO2020051633A1 (en) * 2018-09-10 2020-03-19 Hcsl Pty Ltd Building panel

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