JP2001065094A - コンクリート床の構築に用いるコンクリート型枠 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 建物の床を構築するためのＰＣ板であって、
中空部を形成したコンクリート型枠を提供すること。 【解決手段】 鉄筋を埋設したコンクリート板１１から
トラス鉄筋１３を突出し、コンクリート板１１を成形す
るコンクリートが硬化する直前に底のない箱形形状の中
空形成部材１４を埋め込んで中空部を形成するものであ
る。建物の構築部分に中空形成部材１４を上向きにして
隙間なく敷設し、この上からコンクリートを打設して床
の一部として利用することで床全体の重量を軽量化す
る。中空形成部材１４は、波形鉄板を使用し波形形状が
平行する方向に対して直交する方向にかつ断面コ字型に
折曲したものである。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、コンクリート床の
構築に用いる型枠に関しており、さらに詳しは型枠自体
が床の一部となるコンクリート型枠に関している。

【０００２】

【従来の技術】建物のコンクリート床又は壁が工場生産
され現場で組み立てて構築する工法が開発されており、
工場生産されたコンクリート床又は壁となる板材をプレ
キャストコンクリート板（以下、「ＰＣ板」という。）
と称している。ＰＣ板は工場生産されることから品質管
理が容易であり、ＲＣ構造コンクリートに比べ高品質な
部材となっている。従来からＰＣ板による床は提案され
ており、近年では強度を維持しつつ軽量化を計るように
なっている。

【０００３】図４、図５は、従来技術によるＰＣ床板を
示しており、１はコンクリート板、２はコンクリート板
１内に埋設した鉄筋、３は鉄筋２に連結すると共にコン
クリート板１から突出させたトラス鉄筋、４はコンクリ
ート板１内に底部を埋め込んで当該コンクリート板１か
ら突出させた発泡スチロールである。なお、発泡スチロ
ール４はコンクリート板１を成形するコンクリートが硬
化する直前に埋め込み、鉄筋２と結合した図示しないピ
ンなどにより固定したものである。なお、コンクリート
板１は、長さ４〜６ｍ、幅１．５〜２ｍ、厚さ５ｃｍを
標準的な大きさとしている。

【０００４】ＰＣ板を使用して床を構築するには、トラ
ス鉄筋３を上向きにしてコンクリート板１を建物の床構
築部分に隙間なく敷設し、トラス鉄筋３に別の鉄筋５を
結合しさらに該鉄筋５が埋め込れる厚さにコンクリート
６を打設するものであって、コンクリート板１は床の一
部を構成すると共に現場でコンクリートを打設するとき
の型枠となる。

【０００５】上記したコンクリート板１に発泡スチロー
ル４を埋め込むことは、コンクリート板全体を軽量化す
ることには有効であるが、発泡スチロール４は床の音を
良く通すので階下に対しての騒音問題が生じている。
又、発砲スチロールは大きな空間を占めるのでＰＣ板の
製造工場では大きな保管場所を必要とする他、取扱いに
注意しないと角が欠けたりへこんだりする等の破損がみ
られるといった問題がある。

【０００６】

【発明が解決しようとする課題】本発明は、建物の床を
構築するためのＰＣ板であって、中空部を形成したコン
クリート型枠を提供することを目的とするものである。

【０００７】

【課題を解決するための手段】本発明は、鉄筋を埋設し
たコンクリート板から上記鉄筋に結合したトラス鉄筋を
突出し、当該コンクリート板を成形するコンクリートが
硬化する直前に底のない箱形形状の中空形成部材を埋め
込んで中空部を形成するものであり、建物の床構築部分
に中空形成部材を上向きにして隙間なく敷設しトラス鉄
筋及び中空形成部材が埋め込れる厚さにコンクリートを
打設して床の一部として利用することを特徴とするもの
であって、建物全体の重量を軽量化できるものである。

【０００８】又、本発明の中空形成部材は、波形鉄板を
使用し波形形状が平行する方向に対して直交する方向に
かつ断面コ字型に折曲したものである。

【０００９】

【発明の実施の形態】本発明の型枠１０は、コンクリー
ト板１１に鉄筋１２を埋設し、トラス鉄筋１３を前記鉄
筋１２に結合すると共にコンクリート板１１から突出さ
せたものであって、中空構造を形成する部材として鉄
板、好ましくは波形鉄板を使用する。

【００１０】１４は中空形成部材を示しており、具体的
には波形鉄板を使用して底のない箱形形状に形成するも
のであって、波形形状の平行方向に対して直交する方向
にかつ断面コ字型に折曲し、平行する自由端をコンクリ
ート板１１内に埋め込み、天板部分を上記トラス鉄筋１
３と略同じ高さに設置すると共に、中空形成部材１４の
両端部を蓋板１５によって閉塞したものである。実施例
で中空形成部材１４をコンクリート板１１に埋め込むタ
イミングは、従来同様にコンクリート板１１を成形する
コンクリートが硬化する直前がよい。

【００１１】本発明品を使用して床を構築するには、型
枠１０を建物の床構築部分に隙間なくかつトラス鉄筋１
３並びに中空形成部材１４を上向きにして敷設する。次
いでトラス鉄筋１３に別の鉄筋１６を結合し、該トラス
鉄筋１３及び中空形成部材１４が埋め込れる厚さにコン
クリート１７を打設する。型枠１０は現場でコンクリー
ト１７を打設するときの型枠として使用すると共に床の
一部を構成するものである。

【００１２】この様にして構築された床は、中空形成部
材１４の部分が中空となっているので、強度計算が十分
なされていれば、中空部を形成した分だけ床の重量、す
なわち建物全体を軽量化し得るものとなる。

【００１３】本発明の中空形成部材１４は、平板鉄板で
もよいが波形鉄板を使用した場合には波形形状がリブの
作用をするので強度が強く、現場でコンクリート打設を
行う際に作業員が当該部材に乗ってもつぶれるなどの破
損がない。

【００１４】中空形成部材１４をコンクリート板１１の
端縁部まで設置した場合には、該部材で形成された空間
を利用して各種の通信・電力ケーブル用管２０又は冷・
暖房用管２１等を配管するスペースとして利用すること
ができる。

【００１５】実施例において、中空形成部材１４は市販
の亜鉛メッキ鉄板又はカラー鉄板による波形鉄板が、通
常は幅８０〜９０ｃｍ、長さ１８０ｃｍなので、長さ方
向に波形形状が平行するように裁断すれば材料を無駄な
く利用できる。又、型枠製造の際に中空形成部材１４は
波形部分の端部を重ね合わせて埋め込むことで全体の長
さ調整が可能となる。但し、床構築の際に作業員が型枠
の上に乗ることを考慮すると、波形鉄板の厚みは０．４
ｍｍ程度が適している。

【００１６】

【発明の効果】本発明は、建物の床を構築するＰＣ板に
中空部を形成するに際し、断面底のない箱形形状に形成
した鉄板、好しくは波形鉄板を使用して中空形成部材を
形成したものであるから、本発明品を使用して床を構築
した場合、床全体の重量を軽量化できることは勿論であ
るが、現場で行うコンクリート打設時に作業員が中空形
成部材に乗った場合でもつぶれる虞れがなく、このため
建設作業が容易となると共に型枠の保管も容易となるこ
との効果がある。

【図面の簡単な説明】

【図１】コンクリート型枠を示す全体の斜視図。

【図２】図１のコンクリート型枠を使用して床を構築し
た状態を示す断面図。

【図３】中空形成部材及び蓋板を示す斜視図。

【図４】従来技術のコンクリート型枠を示す斜視図。

【図５】従来技術によって構築した床の断面図。

【符号の説明】

１０ 型枠 １１ コンクリート板 １２ 鉄筋 １３ トラス鉄筋 １４ 中空形成部材 １５ 蓋板 １６ 鉄筋 １７ コンクリート ２０ 通信・電力ケーブル用管 ２１ 冷・暖房用管

Claims (3)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 鉄筋（１２）を埋設したコンクリート板
   （１１）から上記鉄筋（１２）に結合したトラス鉄筋
   （１３）を突出し、当該コンクリート板（１１）を成形
   するコンクリートが硬化する直前に底のない箱形形状の
   中空形成部材（１４）を埋め込んで中空部を形成するも
   のであり、建物の床構築部分に中空形成部材（１４）を
   上向きにして隙間なく敷設しトラス鉄筋（１３）及び中
   空形成部材（１４）が埋め込れる厚さにコンクリートを
   打設して床の一部として利用することを特徴とするコン
   クリート床の構築に用いるコンクリート型枠。
2. 【請求項２】 中空形成部材（１４）は、波形鉄板によ
   って形成したものであることを特徴とする請求項１に記
   載のコンクリート床の構築に用いるコンクリート型枠。
3. 【請求項３】 中空形成部材（１４）は、波形鉄板を使
   用し波形形状が平行する方向に対して直交する方向にか
   つ断面コ字型に折曲したものであることを特徴とする請
   求項２に記載のコンクリート床の構築に用いるコンクリ
   ート型枠。