JP2002004033A - 成膜装置および成膜方法 - Google Patents

成膜装置および成膜方法

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JP2002004033A
JP2002004033A JP2000183438A JP2000183438A JP2002004033A JP 2002004033 A JP2002004033 A JP 2002004033A JP 2000183438 A JP2000183438 A JP 2000183438A JP 2000183438 A JP2000183438 A JP 2000183438A JP 2002004033 A JP2002004033 A JP 2002004033A
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film forming
film
cathode
pulse
processing chamber
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JP2000183438A
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Mitsunori Ueda
充紀 植田
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Sony Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 製造コストを削減しつつ、高品質な機能性膜
を形成可能な成膜装置および成膜方法を提供する。 【解決手段】 カソ−ディックバキュームアーク方式を
利用したパルスアーク蒸着ソースよりなる複数の成膜手
段(パルス発生器11,アーク電源12,カソード銃
3)を備えるように成膜装置を構成する。各カソード銃
(3a,3b,3c)は、互いに異なるカソード材料を
有し、互いに異なる成膜速度で成膜処理を実行可能にす
る。各カソード銃における成膜速度を高精度に制御し、
高品質な機能性膜を形成することができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、基板などの表面に
例えば傾斜膜などの機能性膜を形成するための成膜装置
または成膜方法に関する。
【0002】
【従来の技術】今日、工業用途における薄膜の成膜手法
として、例えば、真空蒸着法、スパッタリング法、化学
蒸着法(CVD;Chemical Vapor Deposition )法また
はイオンプレーティング法などの各種手法が多分野にお
いて使用されている。
【0003】ところで、最近、上記したような成膜手法
が複数同時に実行されるように構成した多元蒸着システ
ムを用いて、2以上の異なる成膜材料よりなる混合膜を
形成するための検討がなされている。この混合膜は、1
の成膜材料よりなる単一膜では発揮できないような新規
な機能や特性を有するものとして期待されている。具体
的には、例えば、互いに異なる2種類の成膜材料を用
い、それぞれの成膜材料の成膜速度を互いに異なるよう
に制御しながら成膜処理を行うことにより、膜組成を恣
意的に変化させた混合膜(以下、単に「傾斜膜」ともい
う。)を形成することが可能になると想定される。特
に、互いに異なる2種類の成膜材料として、例えば、互
いに異なる屈折率を有する2種類の成膜材料を用いた場
合には、屈折率がほぼ連続的または周期的に変化するよ
うな特徴的な物理的特性を有する傾斜膜が形成されるは
ずである。このような物理的特性を有する傾斜膜のう
ち、屈折率が周期的に変化するものは、一般に、「ルゲ
ートフィルター」と呼ばれている。
【0004】ルゲートフィルターの工業用途としては、
例えば、光学用途として光ディスク用の偏光フィルター
(狭帯域フィルター)、色分解用のフィルターまたは反
射防止フィルターなどへの利用が想定される。このルゲ
ートフィルターは、以下のような理由により、近年、そ
の高い有用性が認識されつつある。すなわち、例えば、
互いに異なる屈折率を有する2種類の成膜材料よりなる
薄膜をそれぞれ交互に積層させた積層膜では、一般に、
利用すべき所望の中心設計波長のピーク以外の余分な高
次の反射帯ピーク、すなわちサイドバンドが比較的多く
発生してしまう。このような場合には、ノイズとして作
用する不要なサイドバンドの影響を低減させるべく、例
えば、ローパスまたはハイパスフィルターを光学フィル
ターに重ねて別途配設する必要がある。これに対して、
ルゲートフィルターでは、余分なサイドバンドが比較的
少ないので、上記したローパスフィルター等を別途配設
することなく工業的に利用できる可能性がある。
【0005】高品質なルゲートフィルターを形成するた
めには、膜内における屈折率がほぼ周期的に変化するよ
うに、傾斜膜を構成する各成膜材料の成膜速度を極めて
高精度に制御する必要がある。各成膜材料の成膜速度の
制御が十分でないと、膜内における屈折率が断続的に変
化してサイドバンドが生じてしまうからである。
【0006】ここで、上記した一連の成膜手法を用いて
ルゲートフィルターを形成する場合には、特に、成膜時
における成膜速度を制御すると共に、形成される薄膜の
厚みを制御することが重要である。一般に、成膜速度や
膜厚などを制御することを目的として、例えば、光学式
膜厚計や水晶振動子を含んで構成された膜厚モニターな
どが使用されている。また、成膜途中における薄膜の組
成や屈折率などをin-situ 管理するために、エリプソメ
ータなどが使用されている。これらの周辺機器(膜厚モ
ニター,光学式膜厚計,エリプソメータ等)を用いて成
膜速度等を制御・管理しながら成膜処理を行うことによ
り、例えば、チャンバー内の真空度の変化等に起因する
成膜速度の変化が認識され、成膜条件の変更等の対応を
行うことが可能となる。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、従来の
成膜装置を用いて傾斜膜を形成するためには、上記した
ように、各成膜ソースごとに独立して膜厚モニター等の
周辺機器を搭載させる必要がある。これらの周辺機器
(膜厚モニター等)は、一般に、高価なものである。こ
のように、従来、光学分野で有用なルゲートフィルター
を形成する場合には、成膜時の成膜速度や膜厚の制御等
を行うべく高価な周辺機器が別途必要となり、成膜装置
を製造するために大きな製造コストを要するという問題
があった。そのため、ルゲートフィルターは光学分野で
非常に有用であるにもかかわらず、その開発・製造自体
が広く実施されない状況にあった。
【0008】本発明はかかる問題点に鑑みてなされたも
ので、その目的は、製造コストを削減しつつ、高品質な
機能性膜を形成可能な成膜装置および成膜方法を提供す
ることにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明の成膜装置は、処
理室と、この処理室内に配設され、被処理体を保持する
保持部材と、可変可能な所定の時間間隔ごとにアーク放
電を発生させ、このアーク放電のエネルギーを利用して
被処理体の表面に所定の成膜材料よりなる薄膜を形成す
る2以上の成膜手段とを備えるようにしたものである。
【0010】本発明の成膜方法は、可変可能な所定の時
間間隔ごとに発生するパルス信号に応じて発生させたア
ーク放電のエネルギーを利用して所定の成膜材料よりな
る薄膜を形成可能な2以上の成膜手段を使用し、各成膜
手段においてパルス信号が発生する時間間隔を互いに異
なるようにして薄膜を形成するようにしたものである。
【0011】本発明の成膜装置または成膜方法では、2
以上の成膜手段により、可変可能な所定の時間間隔ごと
に発生するパルス信号に応じてアーク放電が発生し、こ
のアーク放電のエネルギーを利用して所定の成膜材料よ
りなる薄膜が非処理体の表面に形成される。
【0012】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態につい
て、図面を参照して詳細に説明する。
【0013】図2は、本発明の一実施の形態に係る成膜
装置の平面構成を表すものであり、図1は、図2に示し
た成膜装置のA−A線に沿った矢視断面構成を表すもの
である。この成膜装置は、主に、成膜対象となる基板H
(被処理体)の表面に傾斜膜を形成するためのものであ
る。
【0014】なお、本実施の形態に係る成膜方法は、本
実施の形態に係る成膜装置によって具現化されるので、
以下併せて説明する。
【0015】処理室2の内部は、外部と隔絶され、密閉
可能になっている。処理室2の一部は開閉可能(図示せ
ず)になっており、処理室2の内部に配設された後述す
るサンプルホルダ5の表面に基板Hを装着したり、ある
いは処理室2の内部に配設された各部位のメンテナンス
等を行うことができるようになっている。
【0016】処理室2の一面、例えば、図1における上
側の面(天井面)には、基板Hに対して成膜処理を施す
ための複数のカソード銃、例えば3つのカソード銃3
a,3b,3c(以下、これらを総称して、単に「カソ
ード銃3」ともいう。)がほぼ一直線上に配設されてい
る。各カソード銃は、例えば、その先端側が処理室2の
内部に位置し、一方、その基端側が処理室2の外部に位
置するように、処理室2を貫通して配設されている。カ
ソード銃3bは、例えば、その延在方向が処理室2の天
井面に対して垂直になると共に、その中心が後述する回
転軸4、サンプルホルダ5および基板H等のそれぞれの
中心と一致するように配設されている。一方、他のカソ
ード銃3a,3cは、例えば、それぞれの中心がサンプ
ルホルダ5のほぼ中心部に向かうと共に、それぞれの配
設位置がカソード銃3bを挟んで対称になるように配設
されている。
【0017】このカソード銃3は、アーク放電のエネル
ギーを利用してカソード材料(成膜材料)を蒸発させ、
その蒸発原子をサンプルホルダ5上に保持された基板H
の表面まで飛散させる(すなわち、蒸着させる)ことに
より、基板Hの表面に薄膜を形成するものである。カソ
ード銃3a,3b,3cのそれぞれは、例えば、互いに
異なる屈折率を有する成膜材料、例えばチタン(T
i),アルミニウム(Al),ニオブ(Nb)などより
なる金属材料をカソード材料として備えている。例え
ば、これらの3つのカソード銃(3a,3b,3c)が
同時に駆動することにより、膜内の組成および屈折率が
ほぼ連続的または周期的に変化するような傾斜膜が形成
されることとなる。もちろん、一部のカソード銃(例え
ばカソード銃3a等)のみが駆動することも可能になっ
ている。カソード銃3の動作原理等については後述す
る。ここで、カソード銃3a,3b,3cが本発明にお
ける「成膜ソース」の一具体例に対応する。
【0018】処理室2の内部において、カソード銃3が
配設されている領域とほぼ対向する側の領域(図中の下
方領域)には、回転軸4が処理室2の他の一面、例え
ば、図1における下側の面(底面)を貫通して配設され
ている。この回転軸4は、例えば、その延在方向が処理
室2の底面に対してほぼ垂直になるように配設されてい
る。回転軸4のうち、その一端部は、例えば碗状のサン
プルホルダ5と連結されており、一方、その他端部は、
処理室2の外部に設けられた後述する駆動装置30(図
3参照)と接続されている。
【0019】サンプルホルダ5は、成膜対象となる基板
Hを保持するためのものである。サンプルホルダ5のう
ち、カソード銃3が配設されている領域側の面には、基
板Hが装着可能になっている。この基板Hは、サンプル
ホルダ5に対して必要に応じて着脱可能になっている。
図1では、例えば、サンプルホルダ5の表面のほぼ中央
部に1の基板Hが装着された場合を示している。駆動装
置30の駆動作用によって回転軸4が回転することによ
り、サンプルホルダ5に装着された基板Hが回転軸4を
中心として回転するようになっている。基板Hの回転方
向(右回りまたは左回り)および回転速度等は、例え
ば、成膜処理を行う作業者等によって自由に調整可能に
なっている。特に、成膜時において基板Hを回転させる
ことにより、基板Hの表面に形成される薄膜の厚みむら
(成膜むら)が軽減される。なお、サンプルホルダ5に
は、複数の基板Hが装着されるようにしてもよい。その
ような場合には、一度の成膜工程において、複数の基板
Hに対して成膜処理を施すことが可能となる。
【0020】また、サンプルホルダ5は、例えば、銅や
ステンレスなどの導電性材料よりなるものであり、カソ
ード銃3においてイオン化された成膜物質を加速または
減速させるための電極として機能するようになってい
る。サンプルホルダ5は、後述するバイアス供給装置2
0(図3参照)に接続されており、このバイアス供給装
置20により、サンプルホルダ5〜処理室2(グラウン
ド)間に所定のバイアスが供給されるようになってい
る。なお、サンプルホルダ5〜処理室2(グラウンド)
間に供給されるバイアスの大きさ等は、例えば、作業者
によって自由に調整可能になっている。
【0021】ここで、回転軸4が本発明における「回転
支持部材」の一具体例に対応し、サンプルホルダ5が本
発明における「保持部材」の一具体例に対応する。
【0022】処理室2のうち、例えば、カソード銃3お
よび回転軸4のそれぞれが配設されている面以外の一面
(図1における左側の側壁面)には、ガス排気管6が配
設されている。ガス排気管6は、処理室2の外部に設け
られた後述する減圧装置40(図3参照)に接続されて
いる。この減圧装置40の減圧作用により、例えば、処
理室2に封入されていたガスを排気させたり、処理室2
の内部の圧力状態を所望の圧力状態になるまで減圧させ
ることが可能になっている。
【0023】処理室2のうち、例えば、ガス排気管6が
配設されている面と対向する面(図1における右側の側
壁面)には、ガス導入管7が配設されている。このガス
導入管7を通じて、処理室2の内部に所望のガスを導入
することが可能になっている。具体的には、例えば、基
板Hの表面に金属酸化膜(例えば、酸化アルミニウム
(Al )等)を形成するような場合には、ガス
導入管7を通じて処理室2の内部に酸素ガス(O)を
導入することが可能になっている。
【0024】ここで、カソード銃3〜基板H間の距離L
1は、以下のような不具合を回避するように適正化され
ている。すなわち、距離L1が小さすぎると、基板Hに
対してカソード銃3が接近しすぎて、カソード銃3が駆
動する際に生じる輻射熱の影響が基板Hまで及んでしま
う。このような場合には、成膜工程中において基板Hの
温度が過度に上昇してしまい、基板Hが熱膨張等により
破損する可能性がある。このため、上記した輻射熱に起
因する基板Hの破損等を回避すべく、距離L1を適正に
大きくする必要がある。一方、距離L1が大きすぎる
と、基板Hとカソード銃3とが離れすぎて、成膜処理が
適正に行われない場合がある。例えば、金属酸化膜を成
膜すべく処理室2に酸素ガスを導入した状態では、カソ
ード銃3から蒸発して飛散した金属原子の平均自由行程
は、処理室2が減圧状態にある場合の平均自由工程より
も小さくなる。このような場合には、カソード銃3から
飛散した金属原子の一部が基板Hの表面まで到達できな
いこととなり、結果として、成膜処理が十分に行われな
くなる可能性がある。これらのことから、成膜処理を効
率よく実行すべく、距離L1を適正化する必要がある。
上記したカソード銃3の駆動時における輻射熱の影響や
処理室2に導入されたガス中における金属原子の平均自
由行程の減少傾向は、主に、カソード銃3の出力等によ
って変動することとなる。このため、距離L1は、主
に、カソード銃3の出力等の条件に基づいて決定され
る。
【0025】図3は、成膜装置の概略構成を表すブロッ
ク図である。なお、図3では、主に、コントローラ50
から出力される指示信号に基づいて駆動する一連の部位
を示している。成膜装置は、例えば、カソード銃3a,
3b,3cに対応する3つのパルス発生器11a,11
b,11c(以下、これらを総称して単に「パルス発生
器11」ともいう。)および3つのアーク電源12a,
12b,12c(以下、これらを総称して単に「アーク
電源12」ともいう。)と、バイアスを供給するための
バイアス供給装置20と、回転軸4を回転させるための
駆動装置30と、処理室2の内部を減圧するための減圧
装置40と、成膜装置全体を制御するためのコントロー
ラ50とを備えている。ここで、アーク電源12(12
a,12b,12c)が本発明における「電源供給手
段」の一具体例に対応し、コントローラ50が本発明に
おける「制御手段」の一具体例に対応する。また、パル
ス発生器11a,アーク電源12a,カソード銃3a、
パルス発生器11b,アーク電源12b,カソード銃3
bおよびパルス発生器11c,アーク電源12c,カソ
ード銃3cのそれぞれが本発明における「成膜手段」の
一具体例に対応する。
【0026】コントローラ50は、成膜装置全体を統括
して制御するものである。具体的には、コントローラ5
0は、例えば、パルス発生器11、バイアス供給装置2
0、駆動装置30および減圧装置40等に対して、それ
ぞれの部位を駆動させるための指示信号を出力するよう
になっている。特に、このコントローラ50は、後述す
るように、各パルス発生器に対して互いに異なる指示信
号を出力し、各パルス発生器(11a,11b,11
c)において互いに異なる周波数を有するパルス信号を
発生させるようになっている。このとき、コントローラ
50から上記の各部位に対して出力される各指示信号の
内容は、例えば、作業者等がキーボードなどの入力装置
(図示せず)を操作して入力した成膜条件に対応するこ
ととなる。なお、上記した「成膜条件」とは、例えば、
後述するバイアス条件、回転条件および減圧条件等であ
る。
【0027】バイアス供給装置20は、コントローラ5
0から出力される指示信号に応じて処理室2(グラウン
ド)〜サンプルホルダ5間に所定のバイアス(バイアス
供給条件)を供給するものである。駆動装置30は、例
えば、モータなどを含んで構成されるものであり、コン
トローラ50から出力される指示信号に応じて、所定の
回転方向および回転速度(回転条件)で回転軸4を回転
させるものである。減圧装置40は、例えば、真空ポン
プなどを含んで構成されるものであり、コントローラ5
0から出力される指示信号に応じて処理室2の内部の圧
力状態を所定の圧力状態(減圧条件)になるまで減圧す
るものである。
【0028】パルス発生器11a、アーク電源12aお
よびカソード銃3により構成されるユニットは、例え
ば、カソ−ディックバキュームアーク方式を利用したパ
ルスアーク蒸着ソースである。
【0029】パルス発生器11aは、コントローラ50
から出力される指示信号に基づいて所定の周波数を有す
るパルス信号を発生させ、このパルス信号をアーク電源
12aに対して出力するものである。パルス発生器11
aにおいて発生するパルス信号の周波数は可変可能にな
っており、特に、パルス発生器11aは、他のパルス発
生器(11b,11c)において発生するパルス信号の
周波数とは異なる周波数のパルス信号を発生させること
が可能になっている。もちろん、各パルス発生器(11
a,11b,11c)において発生するパルス信号の周
波数を一律化することも可能である。
【0030】アーク電源12aは、パルス発生器11a
から出力されるパルス信号に応じて、カソード銃3aに
対して電流パルスを出力するものである。このとき、ア
ーク電源12aは、パルス発生器11aから出力される
「1のパルス信号」に応じて、所定の電流量に相当する
「1の電流パルス」を出力するようになっている。ここ
で、上記した「所定の電流量」とは、例えば、カソード
銃3aにおいて「1のアーク放電」を発生させることが
可能な電流量である。すなわち、アーク電源12aから
カソード銃3aに対して出力される電流量(電流パルス
の数)は、パルス発生器11aからアーク電源12bに
対して出力されるパルス信号の周波数(パルスの数)に
比例して増減するようになっている。
【0031】カソード銃3aは、アーク電源12aから
出力される電流信号に応じてアーク放電を発生させ、こ
のアーク放電のエネルギーを利用して成膜処理を実行す
るものである。このとき、カソード銃3aは、アーク電
源12aから出力される「1の電流パルス」に応じて
「1のアーク放電」を発生させ、この「1のアーク放
電」のエネルギーに対応する所定量のカソード材料を蒸
発させるようになっている。すなわち、カソード銃3a
におけるカソード材料の蒸発量(成膜量)は、アーク電
源12aからカソード銃3aに対して出力される電流量
(電流パルスの数)に比例して増減するようになってい
る。
【0032】このように、カソード銃3aにおける単位
時間当たりのカソード材料の蒸発量(成膜速度)は、パ
ルス発生器11aから出力されるパルス信号の周波数に
より制御されるようになっている。具体的には、例え
ば、パルス発生器11aにおいて発生するパルス信号の
周波数を0.1Hz〜10Hzの間で変化させることに
より、カソード銃3aの成膜速度を1〜100倍の間で
ほぼ線形的に変化させることが可能になっている。
【0033】このとき、カソード銃3aの成膜速度は、
パルス発生器11aから出力されるパルス信号の周波数
に応じて変更されるため、以下のような理由により、高
精度に制御される。すなわち、例えば、従来の成膜手法
を用いて成膜処理を行う場合には、成膜処理の途中にお
いて成膜速度を変更しようとしても、作業者等の条件変
更にともなう操作に対する制御応答(実際の成膜速度の
変化)が遅く、成膜速度が高精度に制御されない。この
ような傾向は、特に、例えば電子ビーム蒸着や抵抗加熱
型蒸着のように、カソード材料が所定の蒸発温度や昇華
温度以上に達することにより成膜処理が実行されるよう
な成膜手法や、またはスパッタリングのように、チャン
バー内のガス量やガス圧が所定の状態に達することによ
り成膜処理が実行される成膜手法を用いる場合に顕著と
なる。これに対して、この成膜装置では、パルス発生器
11aから出力されるパルス信号、すなわち電気的な信
号処理を通じて成膜速度が瞬時かつ正確に変更される。
【0034】なお、パルス発生器11b,11c、アー
ク電源12b,12cおよびカソード銃3b,3cのそ
れぞれは、上記したパルス発生器11a、アーク電源1
2aおよびカソード銃3aの場合と同様に機能するもの
である。
【0035】特に、カソード銃3a,3b,3cのそれ
ぞれは、上記したように、パルス発生器11a,11
b,11cから出力される互いに異なる周波数を有する
パルス信号に応じて、互いに異なる成膜速度で成膜処理
を行うことが可能になっている。
【0036】次に、図1〜図3を参照して、この成膜装
置の動作について説明する。な、以下では、例えば、基
板Hの表面に、互いに異なる屈折率を有する3種類の成
膜材料(例えば、チタン,アルミニウム,ニオブ)より
なる傾斜膜を形成する場合について説明する。
【0037】成膜処理を行う前には、作業者等により、
以下のような準備作業が行われる。すなわち、基板Hを
洗浄したのち、サンプルホルダ5の表面における任意の
位置、例えばそのほぼ中央の位置に基板Hを装着する。
続いて、処理室2の密閉状態を確認したのち、図示しな
いキーボードなどの入力装置を介して所定の成膜条件
(バイアス条件、回転条件および減圧条件等)を入力す
る。
【0038】この成膜装置では、上記の準備作業が完了
したのち、まず、減圧装置40が駆動し、処理室2の内
部を満たしていたガス(例えば空気等)をガス排気管6
を通じて排気する。この排気処理により、所定の圧力状
態になるまで処理室2の内部が減圧する。続いて、駆動
装置30が駆動し、回転軸4が回転する。この回転軸4
の回転により、サンプルホルダ5に装着されている基板
Hが回転軸4を中心として回転する。続いて、バイアス
供給装置20が駆動し、カソード銃3〜サンプルホルダ
5間に所定のバイアスを供給する。続いて、パルス発生
器11、アーク電源12およびカソード銃3が駆動し、
各カソード銃が成膜処理を実行する。このとき、各カソ
ード銃は、互いに異なる成膜速度で成膜処理を実行す
る。この成膜処理により、基板Hの表面に、互いに異な
る屈折率を有する3つの金属材料(例えば、チタン,ア
ルミニウム,ニオブ)よりなる傾斜膜が形成される。こ
の傾斜膜は、所望の膜組成を再現し、膜内の屈折率がほ
ぼ連続的または周期的に変化するような物理的特性を有
することとなる。
【0039】なお、成膜処理の完了後、処理室2の内部
の圧力が外部の圧力とほぼ等しくなった状態において、
作業者等により基板Hが処理室2の内部から取り出され
る。
【0040】本実施の形態の成膜装置では、複数(例え
ば3つ)のカソ−ディックバキュームアーク方式を利用
したパルスアーク蒸着ソース(パルス発生器11,アー
ク電源12,カソード銃3)を備え、各蒸着ソースが互
いに異なる成膜速度で成膜処理を実行するようにしたの
で、成膜速度を制御するために高価な周辺機器(例えば
膜厚モニター等)を用いることなく、各蒸着ソースの成
膜速度を高精度に制御することが可能となる。したがっ
て、製造コストを削減しつつ、高品質な傾斜膜を安定か
つ容易に形成することができる。特に、各カソード銃の
カソード材料(成膜材料)として、互いに異なる屈折率
を有する複数の材料を用いることにより、膜内の屈折率
がほぼ連続的または周期的に変化するような高品質な傾
斜膜を形成することができる。
【0041】また、本実施の形態の成膜装置では、成膜
時において、サンプルホルダ5の表面に装着された基板
Hを回転軸4を中心として回転させるようにしたので、
基板Hの表面に形成される薄膜の厚みむら(成膜むら)
を軽減させ、その厚みをほぼ均一にすることができる。
【0042】以上、実施の形態を挙げて本発明を説明し
たが、本発明は上記実施の形態に限定されず、種々の変
形が可能である。例えば、上記実施の形態では、成膜装
置に3つのカソード銃が搭載されるようにしたが、必ず
しもこれに限られるものではなく、2または4以上の複
数のカソード銃が搭載されるようにしてもよい。
【0043】また、成膜装置に搭載される部位として
は、必ずしも図1〜図3に示した一連の部位のみに限ら
ず、これらの一連の部位の他、必要に応じて他の各種部
位を搭載させるようにしてもよい。上記した「他の各種
部位」としては、例えば、基板Hの表面を清浄化するた
めのクリーニング用のイオン銃(例えば、アルゴン(A
r)イオン銃)や、処理室2における蒸着原子の反応性
を高めるために酸素プラズマなどを発生させるミキシン
グ用のイオン銃などである。
【0044】また、上記実施の形態では、処理室2のう
ち、回転軸4が配設されている面(底面)と対向する側
の面(天井面)に3つのカソード銃3a,3b,3cが
配設されるようにしたが、必ずしもこれに限られるもの
ではなく、各カソード銃の配設位置を自由に変更するよ
うにしてもよい。具体的には、例えば、カソード銃3の
うちの一部(例えばカソード銃3a)を処理室2のうち
のガス排気管6やガス導入管7が配設された面(側壁
面)に配設されるようにしてもよい。このような場合に
おいても、上記実施の形態の場合とほぼ同様の効果を得
ることができる。ただし、上記したカソード銃3〜基板
H間の距離L1に起因する各種の不具合を回避するなら
ば、各カソード銃〜基板H間の距離がほぼ同条件となる
ように、上記実施の形態で示したような基板Hと対向し
た面(天井面)に3つのカソード銃3a,3b,3cを
配設するようにするのが好ましい。
【0045】また、上記実施の形態では、各カソード銃
のカソード材料として、互いに異なる屈折率を有する複
数種類の材料を用いるようにしたが、必ずしもこれに限
られるものではなく、例えば、屈折率以外の他の物理的
特性が異なる複数種類の材料を用いるようにしてもよ
い。このような場合には、上記した傾斜膜以外の新たな
機能を有する有用な機能性膜を形成することができる可
能性がある。
【0046】
【発明の効果】以上説明したように、請求項1ないし請
求項4のいずれか1項に記載の成膜装置または請求項5
または請求項6に記載の成膜方法によれば、可変可能な
所定の時間間隔ごとに発生するパルス信号に応じて発生
させたアーク放電のエネルギーを利用して所定の成膜材
料よりなる薄膜を形成可能な2以上の成膜手段を使用
し、各成膜手段においてパルス信号が発生する時間間隔
を互いに異なるようにして薄膜を形成するようにしたの
で、膜厚モニター等の高価な周辺機器を用いることな
く、成膜速度を制御することが可能となる。したがっ
て、製造コストを削減しつつ、高品質な傾斜膜(機能性
膜)を安定かつ容易に形成することができる。
【0047】また、請求項4記載の成膜装置によれば、
さらに、保持部材を回転可能に支持する回転支持部材を
備えるようにしたので、成膜時において保持部材を回転
させることにより、被処理体の表面に形成される薄膜の
厚みむら(成膜むら)を軽減させ、その厚みをほぼ均一
にすることができる。
【0048】また、請求項6記載の成膜方法によれば、
所定の成膜材料として、互いに異なる屈折率を有する2
以上の材料を用いるようにしたので、ルゲートフィルタ
ーなどの機能性膜を安定かつ容易に形成することができ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施の形態に係る成膜装置の断面構
成を表す図である。
【図2】図1に示した成膜装置の平面構成を表す図であ
る。
【図3】本発明の一実施の形態に係る成膜装置の概略構
成を表すブロック図である。
【符号の説明】
2…処理室、3(3a,3b,3c)…カソード銃、4
…回転軸、5…サンプルホルダ、6…ガス排気管、7…
ガス導入管、11(11a,11b,11c)…パルス
発生器、12(12a,12b,12c)…アーク電
源、20…バイアス供給装置、30…駆動装置、40…
減圧装置、50…コントローラ、H…基板。

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 処理室と、 この処理室内に配設され、被処理体を保持する保持部材
    と、 可変可能な所定の時間間隔ごとにアーク放電を発生さ
    せ、このアーク放電のエネルギーを利用して前記被処理
    体の表面に所定の成膜材料よりなる薄膜を形成する2以
    上の成膜手段とを備えたことを特徴とする成膜装置。
  2. 【請求項2】 前記成膜手段は、 所定の時間間隔ごとにパルス信号を発生させるパルス発
    生手段と、 このパルス発生手段により発生するパルス信号に応じて
    電源を供給する電源供給手段と、 この電源供給手段により供給される電源を利用してアー
    ク放電を発生させ、このアーク放電のエネルギーを利用
    して成膜処理を実行する成膜ソースとを備えたことを特
    徴とする請求項1記載の成膜装置。
  3. 【請求項3】 さらに、 前記2以上の成膜手段の各パルス発生手段において互い
    に異なる時間間隔ごとにパルス信号を発生させるよう
    に、各パルス発生手段に対して指示信号を出力する制御
    手段を備えたことを特徴とする請求項2記載の成膜装
    置。
  4. 【請求項4】 さらに、 前記保持部材を回転可能に支持する回転支持部材を備え
    たことを特徴とする請求項1記載の成膜装置。
  5. 【請求項5】 可変可能な所定の時間間隔ごとに発生す
    るパルス信号に応じて発生させたアーク放電のエネルギ
    ーを利用して所定の成膜材料よりなる薄膜を形成可能な
    2以上の成膜手段を使用し、各成膜手段においてパルス
    信号が発生する時間間隔を互いに異なるようにして薄膜
    を形成することを特徴とする成膜方法。
  6. 【請求項6】 前記所定の成膜材料として、互いに異な
    る屈折率を有する2以上の材料を用いることを特徴とす
    る請求項5記載の成膜方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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US7479712B2 (en) 2003-09-10 2009-01-20 Applied Materials Gmbh & Co. Kg. Configuration for N consumers of electric energy, of which M consumers are simultaneously supplied with energy
JP2013216933A (ja) * 2012-04-06 2013-10-24 Yamaguchi Univ 膜厚方向に組成比が連続的に変化した薄膜の製造方法

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* Cited by examiner, † Cited by third party
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