JP2002003782A - 着色膜形成用塗布液 - Google Patents

着色膜形成用塗布液

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JP2002003782A
JP2002003782A JP2000184969A JP2000184969A JP2002003782A JP 2002003782 A JP2002003782 A JP 2002003782A JP 2000184969 A JP2000184969 A JP 2000184969A JP 2000184969 A JP2000184969 A JP 2000184969A JP 2002003782 A JP2002003782 A JP 2002003782A
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forming
film
colored
glass
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Masato Tao
正人 田尾
Yukihiro Ogiya
幸宏 扇谷
Katsuhiko Ogaki
克彦 大柿
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Central Glass Co Ltd
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Central Glass Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】板ガラス表面に膜厚は薄くても、光学濃度の大
きい、即ち、可視光線透過率の低い着色膜をフレキソ印
刷法を用いて得る。 【解決手段】Si−アルコキシドと金属塩と有機溶媒お
よび水よりなる着色膜形成用塗布液であって、Fe、C
u、Mn、Ni、Co、Cr、Zn、Alの金属塩およ
び/またはその水和物のうち、少なくとも2種類以上を
含み、水とSiの組成比が、水/Siのモル比で7.5
以下であることを特徴とする着色膜形成用塗布液。該塗
布液をフレキソ印刷法で板ガラス表面に塗布した後、2
00℃以上、好ましくは400℃以上で加熱硬化させる
ことにより膜厚は薄くても、光学濃度の大きい着色膜を
板ガラス基板表面に形成できる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、車両用、建築用の
板ガラス表面に着色膜を形成した着色コーティングガラ
スを製造するためのフレキソ印刷用の着色膜形成用塗布
液、および該塗布液をフレキソ印刷により塗布後、加熱
硬化させてなる着色コーティングガラスに関する。
【0002】
【従来の技術】昨今の車両用ウィンドガラスおよび建造
物用窓ガラス、特に、自動車用のリアウィンド、サイド
ウィンドには冷暖房負荷の低減、眩しさ防止および内装
材の退色防止のために、日射光、即ち、赤外光、可視光
および紫外光の透過を適度に抑制し、快適な室内環境を
保持するグリーンまたはグレー等に着色された着色ガラ
スが広く使用されるようになってきている。着色ガラス
を自動車ガラスに用いると車内が見えにくく、プライバ
シー保護の効果があるととも自動車に装飾性を付与でき
る。
【0003】昨今の車両用ウィンドガラス、特に、自動
車のリアウィンド、サイドウィンドの室内側表面には、
AM、FM、TVおよび/または電話アンテナ等のアン
テナパターンがスクリーン印刷等で作製されたアンテナ
ガラスが使用され、アンテナ性能を阻害しないために
は、下地が絶縁性であること、即ち、下地の表面抵抗値
が大きいことが要求される。
【0004】ガラス自体に色のあるバルクガラスによる
着色ガラスは、表面抵抗値が大きいが、例えば、フロー
ト法で製造するとすれば、フロート窯への原料投入時に
着色源である金属および/または金属化合物を投入しな
ければならず、他の板ガラスとの製造の切り替えの際、
色調を変えるために前段取り、後処理の時間がかかり高
価となる。
【0005】バルクガラスによる着色ガラスに比較し、
フロート法で作製した無色透明な板ガラスに後工程で着
色コーティングを施す、即ち、無色透明な板ガラス表面
に着色膜を形成する方が容易であり、製造時間もかから
ず安価である。また、着色コーティングには容易にハー
フミラー状の着色コーティングガラスを得やすいという
利点もあり、赤外線反射機能膜および/または紫外線反
射機能膜を得やすく、日射を効果的に遮り快適な内部環
境を与えるとともに、室内または車内を見えにくくし、
プライバシーを保護することが可能となる。
【0006】例えば、ガラス表面に着色膜を形成する方
法として、ゾルゲル法を用いた湿式塗布法等が挙げら
れ、ゾルゲル法はガラス表面に耐擦傷性に優れた着色膜
を形成する方法である。
【0007】Si−アルコキシドを使用したゾルゲル法
は、Si−アルコキシドを少量の水を加えたアルコール
中等に分散または溶解させた後、Si−アルコキシドを
加水分解させてSiOH基を生成させ、塗布液にガラス
板等を浸漬させた後に引き上げる、例えば、ディップコ
ート法等によってガラス板表面に薄膜を形成する方法で
ある。薄膜を乾燥させて溶媒を揮発させSi−アルコキ
シドより発生したSiOH基同士および/またはSiO
H基と、ガラス基板上のOH基とが水素結合した後に加
熱し高温にして脱水縮合反応を起こし、Si−O−S
i、即ち、シロキサン結合を生成し、緻密で硬質な酸化
ケイ素からなる薄膜をガラス板上に形成させる。
【0008】ゾルゲル法でガラス表面に着色膜を形成さ
せるには、Si−アルコキシド溶液に着色源として金属
塩を加え溶解させた後、Si−アルコキシドを加水分解
させてSiOH基を発生させ着色膜形成用塗布液とな
し、着色膜形成用塗布液をガラス表面に塗布後、加熱し
て脱水縮合させて硬質な着色膜を形成させている。着色
源である金属化合物は、通常、加熱時に酸化され生成し
た金属酸化物として酸化ケイ素からなるシリカ膜中に分
散している。
【0009】上記の着色膜形成用塗布液の塗布方法とし
てディップコート法、ロールコートスピンコート法、ス
クリーン印刷法等が挙げられるが、ディップコート法
は、塗布膜を形成する以外に、塗布液槽を満たす多量の
塗布液を必要とし、板ガラスの片面のみに塗布液を塗布
するには、マスキングシートを剥がす等の手間を擁す
る。
【0010】また、ロールコート法およびスピンコート
法もディップコート法と同様に、塗布後、廃棄せざる得
ない多量の塗布液を必要とする。スクリーン印刷用に適
した塗布液は粘性が必要であり、上記着色膜形成用塗布
液は粘度が低く、スクリーン印刷には適していない。
【0011】ディップコート法において、板ガラス表面
に着色膜を塗布する場合、通常、大型のガラス板が浸漬
するのに十分な大きさの、環境温度とほぼ同じ着色膜形
成用塗布液を満たした塗布液槽に、大型のガラス基板を
片面をマスキングシート等によりマスキングした上で浸
漬し、一定の速度で引き上げることによって塗布する。
塗布液槽内の塗布液は環境温度とほぼ同じ、即ち、室
温にしないと、塗布液を塗布した後、板ガラス表面に形
成された塗膜に、塗膜よりの有機溶剤の蒸発による膜厚
ムラおよび白化等が生じる。着色膜形成用塗布液は高価
なため、ディップコート法において、経済生産を行うた
めには、塗布液槽の塗布液を替えることなしに、多数の
板ガラスを塗布液槽に浸漬塗布せざるおえず、塗布液に
室温下での長期安定性が要求される。
【0012】ディップコート法に比較して、フレキソ印
刷法は、着色膜形成用塗布液の使用量が極めて少なく、
塗布液代が少なくて済み経済生産に有利である。しか
も、塗布液を、板ガラス表面に塗布するに際して、使用
量のみ調製し、短時間で使い切ればよいので、室温下で
の長時間の安定性は要求されない。塗布液を長時間、保
存する場合は、塗布液を冷蔵庫内等、塗布液の劣化が抑
制される低温下で保存すればよい。
【0013】フレキソ印刷法は、大型の板ガラス表面に
生産性よく、即ち、高速で薄膜を形成し、薄膜の膜厚を
高精度で再現性よく制御できる方法である。フレキソ印
刷機は刷版にゴムまたはプラスチックなどの弾性物質か
らなるフレキソ版を使用し、速乾性インキを用いて高速
印刷することを特徴とする。
【0014】図1に平台フレキソ印刷機の一例の概略側
面図を示す。フレキソ印刷は、ディスペンサー1と通称
する塗布液供給装置より塗布液を、ゴム、プラスチック
等からなるドクターロール2、または表面にエンボス加
工等なされた硬質な金属からなるアニロックスロール3
に滴下し供給した後、ドクターロール2を、アニロック
スロール3に押圧させつつ、逆方向に回転させて各ロー
ル表面で塗布液を練り、アニロックスロール3の表面に
塗布液を均一に延ばした後、アニロックスロール3の表
面から、版胴4に貼られたフレキソ板5に転写させて、
フレキソ版5の周速度と同じ移動速度で移動する、平台
6上のガラス板7に印刷する方法である。
【0015】
【発明が解決しようとする課題】板ガラス表面に着色膜
を形成し着色コーティングガラスを得る際に、着色膜の
色を濃くする、即ち、着色膜の光学濃度を大きくし、可
視光線透過率を下げるためには、膜厚を厚くすることが
有効であるが、厚くしすぎると、Si−アルコキシドを
加水分解して縮合させシリカ膜とする、即ち、加熱硬化
により着色膜を形成する際に、着色膜にクラックを生じ
る恐れがある。クラックの発生を防止するためには、着
色膜形成用塗布液の組成において、着色源である金属塩
に対する、硬質なシリカ膜を得るためのSi−アルコキ
シドの濃度、即ち、組成比を大きくすればよいが、金属
塩に対するSi−アルコキシドの組成比を大きくする
と、着色膜の可視光線透過率が大きくなってしまう。
【0016】着色膜を板ガラス上に、フレキソ印刷法に
より形成するに際して、膜厚は薄くても、光学濃度の大
きい、即ち、可視光線透過率の低い着色膜を得ることが
重要である。例えば、表面が滑らかで吸湿性のない板ガ
ラス等の印刷体にフレキソ印刷により着色薄膜を形成す
る際に、膜を厚くするために着色膜形成用塗布液の量を
多く塗布すると、板ガラス表面に吸湿性がないために垂
れを生じる等の問題がある。
【0017】
【課題を解決するための手段】本発明は、フレキソ印刷
において板ガラス等の吸湿性のない印刷体の表面に、膜
厚は薄くても、光学濃度の大きい、即ち、可視光線透過
率の低い着色膜を得ることを特徴とする着色膜形成用塗
布液である。更に、本発明は、該塗布液を、フレキソ印
刷機により塗布後、加熱硬化させてなる着色コーティン
グガラスである。
【0018】本発明は、Si−アルコキシドと金属塩と
有機溶媒および水からなる着色膜形成用塗布液であっ
て、Fe、Cu、Mn、Ni、Co、Cr、Zn、Al
の金属塩および/またはその水和物のうち、少なくとも
2種類以上を含み、水とSiの組成比が、水/Siのモ
ル比で7.5以下であることを特徴とする着色膜形成用
塗布液である。
【0019】更に、本発明は、着色膜形成用塗布液に対
しての、Si−アルコキシドに含有するSiの濃度が
0.3mol/L以上、1.5mol/L以下であるこ
とを特徴とする上記の着色膜形成用塗布液である。
【0020】更に、本発明は、着色膜形成用塗布液に対
しての、金属塩に含有する金属の濃度が0.4mol/
L以上、7.0mol/L以下であることを特徴とする
上記の着色膜形成用塗布液である。
【0021】更に、本発明は、板ガラス表面に上記の着
色膜形成用塗布液をフレキソ印刷機により塗布した後、
200℃以上、800℃以下で加熱硬化させてなる可視
光線透過率が25%以下であることを特徴とする着色コ
ーティングガラスである。
【0022】本発明の着色膜形成用塗布液の組成物であ
る着色源としての金属塩およびその水和物は、鉄、即
ち、Fe、銅、即ち、Cu、マンガン、即ち、Mn、ニ
ッケル、即ち、Ni、コバルト、即ち、Co、クロム、
即ち、Cr、亜鉛、即ち、Zn、アルミニウム、即ち、
Alの金属塩および/またはその水和物うち少なくとも
2種類以上を含み、得られた着色膜はFe、Cu、M
n、Ni、Co、Cr、Zn、Alのうち少なくとも2
種類以上の金属を含む。
【0023】本発明の着色膜形成用塗布液に使用する金
属塩および/またはその水和物は、塗布液の溶媒に可溶
であればよく種類は問わないが、例えば、硝酸塩、塩化
物または硫酸塩等が挙げられ、エタノール等の低級アル
コールに溶解させやすいので、硝酸塩およびその水和物
を用いることが好ましい。
【0024】また、自動車のサイドウィンド、リアウィ
ンドに使用する際に着色膜上にアンテナパターンを形成
することが多いため、本発明の着色膜形成用塗布液をフ
レキソ印刷によって塗布した後、加熱硬化させてなる着
色膜の着色源は、着色膜の表面抵抗を大きくするため、
金属スピネル結晶であることが好ましい。
【0025】スピネル結晶は、AB24の形に書き表せ
る無機化合物に見られる結晶構造である。Aは2価の金
属イオンで、Bは3価の金属イオンで、XはO2-、S2-
等の陰イオンである。本発明で使用するスピネル結晶
は、AB24である。Bは異なる2種類の金属イオンで
あっても構わない。スピネル結晶の結晶構造は、酸素の
立方の密なパッキングからなり、八面体型6配位の隙間
と四面体型4配位の隙間とに金属原子が入っているもの
である。立方晶系に属するスピネル結晶は、例えば、X
が酸素イオンであるとすると単位格子中に酸素を多数含
むことによって自由電子の動きが妨げられる。よって、
着色膜の着色源である金属酸化物をスピネル結晶とする
ことで着色膜の表面抵抗を高くし、該着色膜が形成され
てなる着色コーティングガラスの電波透過性を大きくす
ることができる。
【0026】本発明の着色膜形成塗布液を塗布後、加熱
硬化させてなる着色膜の着色源であるスピネル結晶は、
CuMnFeO4、CuMnCrO4、CuMnCo
4、CoAlCrO4、NiCoCrO4、FeAl2
4、ZnAl24、ZnFe24、FeCr24等が挙
げられるが、本発明において、装飾性の点で着色源とし
て色調が濃色グレーであるCuMnFeO4、CuMn
CrO4、CuMnCoO4、色調がグリーンであるCo
AlCrO4、色調がブラウンであるNiCoCrO4
用いることが好ましい。
【0027】着色源であるスピネル結晶の化学量論比に
できるだけ近い状態で各種の金属塩を調合した着色膜形
成用塗布液を作製することによって、得られた着色膜の
表面抵抗を高くすることができる。また、化学量論比か
らずれるとスピネル結晶に酸素欠陥ができる、または着
色膜中にスピネル結晶以外の金属酸化物が発生し導電性
を示すようになる。
【0028】また、本発明において膜厚が薄くても光学
濃度の大きい膜を得るには、水とSi−アルコキシド中
のSiの組成比が、水/Siのモル比で7.5以下であ
ることが好ましい。7.5以下にすることによってSi
−アルコキシドが加水分解してシラノールになり、加熱
により脱水縮合し硬質なシリカ膜になる際の反応の速度
を遅くすること、およびシリカ膜形成中に水分が揮発す
ることが抑えられると考えられ、Si−アルコキシドに
対しての金属塩の濃度を大きくしたとしても、加熱硬化
によりクラックが発生することを抑制でき、着色膜の光
学濃度を大きくすることができる。
【0029】水とSi−アルコキシド中のSiの組成比
が、水/Siのモル比で7.5より大きいと、Si−ア
ルコキシドに対しての金属塩の濃度を大きくすると、着
色膜形成用塗布液を過熱硬化させ着色膜とした際にクラ
ックが発生しやすくなる。
【0030】Si−アルコキシド、金属塩、有機溶剤お
よび水からなる着色膜形成用塗布液において、水/Si
−アルコキシドのモル比を10以上に調整することで、
長時間にわたり室温下に放置しても、液の変質等がなく
安定した塗布液を得ることができるが、室温下で塗布液
に長時間の安定性が要求されるのは、板ガラスが浸漬す
るに十分な大きさの塗布槽に塗布液を満たす必要があ
り、経済生産において、少なくとも室温下で2日以上の
安定性が要求されるディップコート法に用いる塗布液で
あり、少量の塗布液を使い切るフレキソ印刷法において
は、塗布液に長時間の安定性は必要ない。
【0031】本発明の着色膜形成用塗布液に対する、S
i−アルコキシドに含有されるSiのモル濃度は0.3
mol/L(モル/リットル)以上、1.5mol/L
以下である。本発明の着色膜形成用塗布液に対する、S
iのモル濃度が0.3mol/Lより小さいと板ガラス
表面にフレキソ印刷機により形成される着色膜の膜厚が
薄すぎ、1.5mol/Lより大きいと板ガラス表面に
フレキソ印刷機により形成される着色膜を加熱硬化させ
て得る際にクラックが発生する可能性があるとともに、
室温下においての液安定性が数時間と極めて悪くなり、
フレキソ印刷法においても、着色コーティングガラスの
経済生産を行うことができない。
【0032】本発明の着色膜形成用塗布液に対する、各
金属塩に含有される金属のモル濃度を合わせたモル濃度
は、0.4mol/L以上、7.0mol/L以下であ
る。本発明の着色膜形成用塗布液に対する、金属のモル
濃度が、0.4mol/Lより小さいと、着色膜の膜厚
に対して可視光線透過率が小さい、即ち、300nmで
可視光線透過率が25%より小さい着色膜を板ガラス表
面に得ることができず、本発明の目的に反する。本発明
の着色膜形成用塗布液に対する、金属のモル濃度が7.
0mol/Lより大きいと加熱硬化させ着色膜とした際
にクラックが発生しやすいばかりでなく、着色膜とした
ときのヘーズ値が高くなり不透明となってしまい、本発
明の着色膜形成用塗布液をフレキソ印刷機に塗布してな
る着色コーティングガラスの商品性がなくなる。
【0033】本発明の着色膜形成用塗布液に、金属塩お
よびその水和物を用いる際は、多価アルコールを添加す
ることが好ましい。多価アルコール類を添加しないと、
得られる着色膜は緻密にならないので、人間の指紋等が
付着しても着色膜にしみ込み跡が残る。添加する多価ア
ルコール類は、例えばエチレングリコール、グリセリ
ン、グルシトール、1.3−プロパンジオール、1.4
−ブタンジオール、1.5−ペンタンジオール等が挙げ
られる。
【0034】本発明の着色膜形成用塗布液に使用する溶
媒は、Si−アルコキシド、着色源としての金属塩およ
び/またはその水和物を溶解し液中で安定な状態に保て
ばよく、メタノール、エタノール、ノルマルプロパノー
ル、イソプロパノール等の低級アルコール、エチレング
リコール、プロピレングリコール等のジオール類、エチ
レングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコ
ールモノメチルエーテル等のセロソルブ類、セロソルブ
アセテート類、または水、これらの混合液体等が挙げら
れる。
【0035】本発明の着色膜形成用塗布液を加熱硬化さ
せる温度は200℃以上、800℃以下である。
【0036】加熱温度が200℃より低いと、Si−ア
ルコキシドが加水分解して生じるSiOHが脱水縮合し
てシリカ膜となる加熱硬化反応が十分に進まず、硬質な
シリカ膜を得ることができない。800℃より高いとガ
ラスの耐熱温度以上となり、ガラスの寸法形状に狂いを
生じる可能性がある。温度の上限は、ガラスの耐熱温度
まで上げることができ、800℃程度まで通常のソーダ
ライムガラスであれば加熱できる。加熱温度が高く、加
熱時間が長い程、より緻密な膜ができるがガラスの軟化
温度以上に加熱することは好ましくない。
【0037】本発明の着色膜形成用塗布液を板ガラス表
面に湿式塗布した後、得られた塗布膜を加熱硬化させる
際に、着色膜形成用塗布液中の金属塩および/またはそ
の水和物から加熱によりスピネル結晶を得るためには、
好ましくは400℃以上に加熱する必要がある。400
℃以上に加熱することで、表面抵抗値の大きいスピネル
結晶ができる。スピネル結晶を生成する温度および加熱
時間は、スピネル結晶の種類により異なるが、CuMn
FeO4、CuMnCrO4、CuMnCoO4、CoA
lCrO4、NiCoCrO4等のスピネル結晶を得るこ
とができる好ましい加熱温度は450℃以上である。
【0038】本発明の着色膜形成用塗布液を板ガラス表
面に湿式塗布した後、得られた塗布膜を加熱硬化させる
最も好ましい加熱条件は、塗布膜を室温以上、400℃
以下で乾燥させて、次いで、400℃以上、800℃以
下で加熱することである。
【0039】塗布膜を最初から高温で加熱すると、塗布
膜中の溶媒が急速に蒸発することにより、膜が多孔化し
緻密な膜が得られない恐れがあり、更に、Si−アルコ
キシドが脱水縮合し加熱硬化する際に、膜にクラックが
入る恐れがある。よって、高温で加熱する前に、乾燥さ
せることが好ましい。乾燥させる温度は、室温以上、好
ましくは溶媒の揮発する温度以上に加熱することが望ま
しい。高沸点の溶媒を用いた場合、低温の状態では溶媒
が揮発せず、いつまでも乾燥した膜が得られない。ま
た、加熱時間は塗膜に異物等が付かないように短いこと
が好ましいが、溶媒が完全に揮発しないほど短いことは
好ましくないことは言うまでもない。また、乾燥させる
温度は400℃以下である。400℃以上ではSi−ア
ルコキシドが脱水縮合する硬化反応が急速に進むため、
塗布膜にクラックが入る恐れがある。
【0040】次いで、Si−アルコキシドが脱水縮合す
る硬化反応が急速に進む400℃以上で、塗布膜を加熱
硬化させて、ガラス表面に着色膜を得る。
【0041】また、Si−アルコキシドを加熱硬化させ
て、シリカ膜とする際に酸触媒を加えることによって、
加熱硬化温度が低くても硬質な膜を得ることができる
が、本発明の着色膜形成用塗布液に酸触媒を加えること
は、クラックが発生する可能性が大きくなるので、必ず
しも好ましいとは言い難い。クラックが発生する着色膜
形成用塗布液の水素イオン濃度、即ち、PHをPH計
(東興化学社製、TP−7)を用いて測定したところ、
PHが0.3以下になるとクラックが発生しやすいこと
が判った。
【0042】本発明の着色膜形成用塗布液を用いて作製
した着色コーティングガラスは、着色源である金属塩お
よび/または水和物をスピネル結晶ができる仕込組成と
することで、着色膜の表面抵抗が高く、容易にアンテナ
性能を阻害することのない50MΩ以上の表面抵抗を持
つ着色膜が得られ、得られた着色膜上にアンテナパター
ンを形成してもアンテナ性能を阻害することがなく、例
えばAM、FM、TVおよび/または電話用等のアンテ
ナパターンを有した、自動車のサイドウィンド、リアウ
ィンド等のアンテナガラスに使用できる。
【0043】本発明で得られた着色膜は、耐擦傷性に優
れている。
【0044】また、本発明の着色コーティングガラス
は、可視光ばかりでなく、紫外光の透過率をも低く抑え
ることができる。従って、車両用、建築用の窓に使用す
るとプライバシーの保護ばかりでなく、車内または建築
物内の物品の紫外光の照射による紫外光やけを防ぐこと
ができる。
【0045】本発明で得られた着色コーティングガラス
は、加熱しても退色することなく、ガラスの軟化温度ま
で充分に着色を維持するので、加熱による曲げ、および
/または加熱冷却による強化を行うことが可能である。
【0046】また、本発明の着色膜形成用塗布液を、板
ガラス表面に塗布し塗布膜とした後、金属アルコキシド
の脱水縮合による加熱硬化、および加熱により所望の色
調に発色させて着色膜を形成すると同時に、板ガラスの
曲げ、および/又は強化を行うこともできる。
【0047】本発明に用いる板ガラスとしては、ソーダ
石灰系ガラス、アルミノ珪酸系ガラス、ホウ珪酸系ガラ
ス等の各種板ガラスが使用できる。板ガラスは、透明性
が有れば、着色、無着色は問わないが、作製した着色コ
ーティングガラスに、所望の色調を得るためには、無色
透明の板ガラスを用いることが好ましい。
【0048】
【発明の実施の形態】以下、実施例に基づいて本発明を
詳細に説明する。本発明は、以下、実施例に限定される
ものではない。
【0049】
【実施例】実施例1 1)着色膜形成用塗布液の調製 着色膜形成用塗布液を調製するに際し、以下の様に、各
硝酸塩を秤量した。
【0050】表1の実施例1に示すように着色膜形成用
塗布液に対する、マンガンのモル濃度が0.25mol
/Lとなるように、硝酸マンガン、即ち、Mn(N
32・6H20を秤量し、次いで、銅のモル濃度が、
0.30mol/Lとなるように、硝酸銅、即ち、Cu
(NO32・3H20を秤量し、次いで、クロムのモル
濃度が、0.12mol/Lとなるように硝酸クロム、
即ち、Cr(NO33・9H20を秤量し、次いで、コ
バルトのモル濃度が、0.05mol/Lとなるように
硝酸コバルト、即ち、Co(NO32・6H20を秤量
した。
【0051】着色膜形成用塗布液に対するモル濃度が、
1.90mol/Lとなるように、1.4−ブタンジオ
ールを秤量し、秤量した1.4ブタンジオールへ秤量済
の各金属の塩を添加した。
【0052】次いで、溶媒のエキネン(エタノールとイ
ソプロパノールを重量百分率でエタノール:イソプロパ
ノール=90:10とした混合有機溶剤)を所定量、秤
量して、前記、硝酸塩および1.4−ブタンジオールを
エキネン中に溶解させた。
【0053】得られた混合液に、水の添加量に対するS
iの添加量がモル比で水/Si=2.4となるように、
イオン交換水を秤量し加えた。
【0054】更に、着色膜形成用塗布液に対する、Si
のモル濃度が、0.70mol/Lとなるように、Si
−アルコキシドであるテトラエトキシシランを秤量し加
え、着色膜形成用塗布液とした。2)着色コーティング
ガラスの作製および評価洗浄したガラス基板の表面に、
調製した着色膜形成用塗布液を加熱硬化後の膜厚が30
0nmとなるように、フレキソ印刷機にて所定量塗布し
た。
【0055】次いで、清浄な環境下で着色膜形成用塗布
液を塗布したガラス基板を、350℃で10分間加熱し
た。その後、750℃で3分間加熱し塗布膜を加熱硬化
させ、ガラス基板の表面に着色膜を得た。
【0056】得られた着色膜の色は濃色グレーであり、
クラック等なく外観は良好であった。該着色膜の膜厚を
DEKTAK3030にて実測したところ、膜厚は30
0nmであり、可視光線透過率は22.1%であった。
ヘーズ値は0.2%であった。その表面抵抗をメガレス
ターで測定したところ、50x106Ω以上、即ち、5
0MΩ以上あった。該ガラス基板の着色膜上に、FM波
を受信するためのアンテナパターンを作製し、FMラジ
オにつないでFM電波を受信したところ、受信状態は良
好であり、電波透過性は満足のいくものであった着色膜
に対して、トラバース試験(摩耗性評価)を行ったとこ
ろ、試験後、着色膜の外観に、目視にて変化はみられな
かった。また、耐薬品性試験を行ったところ、試験後、
着色膜の外観に変化はみられず、実体顕微鏡で拡大して
みて、クラックは発生していなかった。
【0057】測定値および試験結果を表1の実施例1に
示す。
【0058】得られた着色コーティングガラスの可視光
線透過率は、分光光度計(日立製作所製、340型自
記)で波長340〜1800nmの間の透過率を測定
し、JISZ 8722およびJIS R 3106ま
たはJIS Z 8701に準拠して求めた。またガラ
ス表面の着色膜の膜厚は表面形状測定機(スローン社
製、DEKTAK3030)を用い、膜の一部をカッタ
ーで削り取り、その段差部分に針を接触走査させること
で測定した。更に、曇り度は、ヘーズメーター(日本電
色工業社製、NDH−20D)によって測定し、ヘーズ
(曇り具合)値をJIS K 6714に準拠して求め
た。着色膜の表面抵抗値はメガレスタ(シシドエレクト
ロスタティック社、H0709)によって求めた。実施
例2または実施例3で得られた着色膜についても同様の
測定法により測定した。
【0059】なお、トラバース試験については、荷重を
500gかけてネル布にて、2000往復、着色膜を擦
り、試験後の着色膜の外観を目視にて観察した。耐薬品
性試験については、着色膜を形成した板ガラスの断片
を、1規定、即ち、1N−硫酸に、室温下にて24時間
浸積した後の着色膜の外観およびクラックを観察し、耐
酸性を評価し、また、1N−水酸化ナトリウムに、室温
下にて24時間浸積した後の着色膜の外観およびクラッ
クを観察し、耐アルカリ性を評価した。実施例に対して
も同様の条件で試験した。 実施例2 1)着色膜形成用塗布液の調製 着色膜形成用塗布液を調製するに際し、以下の様に、各
硝酸塩を秤量した。
【0060】表1の実施例2に示すように着色膜形成用
塗布液に対する、マンガンのモル濃度が0.25mol
/Lとなるように、硝酸マンガン、即ち、Mn(N
32・6H20を秤量し、次いで、銅のモル濃度が、
0.30mol/Lとなるように、硝酸銅、即ち、Cu
(NO32・3H20を秤量し、次いで、クロムのモル
濃度が、0.12mol/Lとなるように硝酸クロム、
即ち、Cr(NO33・9H20を秤量し、次いで、コ
バルトのモル濃度が、0.05mol/Lとなるように
硝酸コバルト、即ち、Co(NO32・6H20を秤量
した。
【0061】着色膜形成用塗布液に対するモル濃度が、
1.90mol/Lとなるように、1.4−ブタンジオ
ールを秤量し、秤量した1.4ブタンジオールへ秤量済
の各金属の塩を添加した。
【0062】次いで、溶媒のエキネン(エタノールとイ
ソプロパノールを重量百分率でエタノール:イソプロパ
ノール=90:10とした混合有機溶剤)を所定量、秤
量して、前記、硝酸塩および1.4−ブタンジオールを
エキネン中に溶解させた。
【0063】得られた混合液に、水の添加量に対するS
iの添加量がモル比で水/Si=6.8となるように、
イオン交換水を秤量し加えた。
【0064】更に、着色膜形成用塗布液に対する、Si
のモル濃度が、0.70mol/Lとなるように、Si
−アルコキシドであるテトラエトキシシランを秤量し加
え、着色膜形成用塗布液とした。 2)着色コーティングガラスの作製および評価 洗浄したガラス基板の表面に、調製した着色膜形成用塗
布液を、加熱硬化後の膜厚が300nmとなるように、
フレキソ印刷機にて所定量塗布した。
【0065】次いで、清浄な環境下で着色膜形成用塗布
液を塗布したガラス基板を、350℃で10分間加熱し
た。その後、750℃で3分間加熱し塗布膜を加熱硬化
させ、ガラス基板の表面に着色膜を得た。
【0066】得られた着色膜の色は濃色グレーであり、
クラック等なく外観は良好であった。該着色膜の膜厚を
DEKTAK3030で実測したところ、膜厚は295
nmであり、可視光線透過率は24.3%であった。そ
の表面抵抗をメガレスターで測定したところ、50x1
6Ω以上、即ち、50MΩ以上あった。ヘーズ値は
0.3%であった。該ガラス基板の着色膜上に、FM波
を受信するためのアンテナパターンを作製し、FMラジ
オにつないでFM電波を受信したところ、受信状態は良
好であり、電波透過性は満足のいくものであった着色膜
に対して、トラバース試験(摩耗性評価)を行ったとこ
ろ、試験後、着色膜の外観に、目視にて変化はみられな
かった。また、耐薬品性試験を行ったところ、試験後、
着色膜の外観に変化はみられず、実体顕微鏡で拡大して
みて、クラックは発生していなかった。
【0067】測定値および試験結果を表1の実施例2に
示す。 実施例3 1)着色膜形成用塗布液の調製 着色膜形成用塗布液を調製するに際し、以下の様に、各
硝酸塩を秤量した。
【0068】表1の実施例3に示すように着色膜形成用
塗布液に対する、マンガンのモル濃度が0.25mol
/Lとなるように、硝酸マンガン、即ち、Mn(N
32・6H20を秤量し、次いで、銅のモル濃度が、
0.30mol/Lとなるように、硝酸銅、即ち、Cu
(NO32・3H20を秤量し、次いで、クロムのモル
濃度が、0.12mol/Lとなるように硝酸クロム、
即ち、Cr(NO33・9H20を秤量した。
【0069】着色膜形成用塗布液に対するモル濃度が、
1.90mol/Lとなるように1.4−ブタンジオー
ルを秤量し、秤量した1.4ブタンジオールへ秤量済の
各金属の塩を添加した。
【0070】次いで、溶媒のエキネン(エタノールとイ
ソプロパノールを重量百分率でエタノール:イソプロパ
ノール=90:10とした混合有機溶剤)を所定量、秤
量して、前記、硝酸塩および1.4−ブタンジオールを
エキネン中に溶解させた。
【0071】得られた混合液に、水の添加量に対するS
iの添加量がモル比で水/Si=2.1となるようにイ
オン交換水を秤量し加えた。
【0072】更に、着色膜形成用塗布液に対する、Si
のモル濃度が、0.55mol/Lとなるように、Si
−アルコキシドであるテトラエトキシシランを秤量し加
え、着色膜形成用塗布液とした。 2)着色コーティングガラスの作製および評価 洗浄したガラス基板の表面に、調製した着色膜形成用塗
布液を、加熱硬化後の膜厚が300nmとなるように、
フレキソ印刷機にて所定量塗布した。
【0073】次いで、清浄な環境下で着色膜形成用塗布
液を塗布したガラス基板を、350℃で10分間加熱し
た。その後、750℃で3分間加熱し塗布膜を加熱硬化
させ、ガラス基板の表面に着色膜を得た。
【0074】得られた着色膜の色は濃色グレーであり、
クラック等なく外観は良好であった。該着色膜の膜厚を
DEKTAK3030にて実測したところ、膜厚は28
5nmであり、可視光線透過率は24.0%であった。
ヘーズ値は0.2%であった。その表面抵抗をメガレス
ターで測定したところ、50x106Ω以上、即ち、5
0MΩ以上あった。該ガラス基板の着色膜上に、FM波
を受信するためのアンテナパターンを作製し、FMラジ
オにつないでFM電波を受信したところ、受信状態は良
好であり、電波透過性は満足のいくものであった着色膜
に対して、トラバース試験(摩耗性評価)を行ったとこ
ろ、試験後、着色膜の外観に、目視にて変化はみられな
かった。また、耐薬品性試験を行ったところ、試験後、
着色膜の外観に変化はみられず、実体顕微鏡で拡大して
みて、クラックは発生していなかった。
【0075】測定値および試験結果を表1の実施例3に
示す。 実施例4 1)着色膜形成用塗布液の調製 着色膜形成用塗布液を調製するに際し、以下の様に、各
硝酸塩を秤量した。
【0076】表1の実施例1に示すように着色膜形成用
塗布液に対する、マンガンのモル濃度が0.30mol
/Lとなるように、硝酸マンガン、即ち、Mn(N
32・6H20を秤量し、次いで、銅のモル濃度が、
0.35mol/Lとなるように、硝酸銅、即ち、Cu
(NO32・3H20を秤量し、次いで、クロムのモル
濃度が、0.17mol/Lとなるように硝酸クロム、
即ち、Cr(NO33・9H20を秤量した。
【0077】着色膜形成用塗布液に対するモル濃度が、
1.90mol/Lとなるように、1.4−ブタンジオ
ールを秤量し、秤量した1.4ブタンジオールへ秤量済
の各金属の塩を添加した。
【0078】次いで、溶媒のエキネン(エタノールとイ
ソプロパノールを重量百分率でエタノール:イソプロパ
ノール=90:10とした混合有機溶剤)を所定量、秤
量して、前記、硝酸塩および1.4−ブタンジオールを
エキネン中に溶解させた。
【0079】実施例1乃至実施例3と異なり、得られた
混合液に、イオン交換水は添加しなかった。
【0080】更に、着色膜形成用塗布液に対する、Si
のモル濃度が、1.00mol/Lとなるように、Si
−アルコキシドであるテトラエトキシシランを秤量し加
え、着色膜形成用塗布液とした。 2)着色コーティングガラスの作製および評価 洗浄したガラス基板の表面に、調製した着色膜形成用塗
布液を加熱硬化後の膜厚が300nmとなるように、フ
レキソ印刷機にて所定量塗布した。
【0081】次いで、清浄な環境下で着色膜形成用塗布
液を塗布したガラス基板を、350℃で10分間加熱し
た。その後、750℃で3分間加熱し塗布膜を加熱硬化
させ、ガラス基板の表面に着色膜を得た。
【0082】得られた着色膜の色は濃色グレーでありク
ラック等なく外観は良好であった。該着色膜の膜厚をD
EKTAK3030で実測したところ、膜厚は320n
mで、可視光線透過率は21.9%であった。ヘーズ値
は0.2%であった。その表面抵抗をメガレスターで測
定したところ、50x106Ω以上、即ち、50MΩ以
上あった。該ガラス基板の着色膜上に、FM波を受信す
るためのアンテナパターンを作製し、FMラジオにつな
いでFM電波を受信したところ、受信状態は良好であ
り、電波透過性は満足のいくものであった。
【0083】着色膜に対して、トラバース試験(摩耗性
評価)を行ったところ、試験後、着色膜の外観に、目視
にて変化はみられなかった。また、耐薬品性試験を行っ
たところ、試験後、着色膜の外観に変化はみられず、実
体顕微鏡で拡大してみて、クラックは発生していなかっ
た。
【0084】測定値および試験結果を表1の実施例4に
示す。 比較例 1)着色膜形成用塗布液の調製 着色膜形成用塗布液を調製するに際し、以下の様に、各
硝酸塩を秤量した。
【0085】表1の比較例に示すように着色膜形成用塗
布液に対する、マンガンのモル濃度が0.25mol/
Lとなるように、硝酸マンガン、即ち、Mn(NO32
・6H20を秤量し、次いで、銅のモル濃度が、0.3
0mol/Lとなるように、硝酸銅、即ち、Cu(NO
32・3H20を秤量し、次いで、クロムのモル濃度
が、0.12mol/Lとなるように硝酸クロム、即
ち、Cr(NO33・9H 20を秤量し、次いで、コバ
ルトのモル濃度が、0.05mol/Lとなるように硝
酸銅、即ち、Co(NO32・6H20を秤量した。
【0086】着色膜形成用塗布液に対するモル濃度が、
1.90mol/Lとなるように、1.4−ブタンジオ
ールを秤量し、秤量した1.4ブタンジオールへ秤量済
の各金属の塩を添加した。
【0087】次いで、溶媒のエキネン(エタノールとイ
ソプロパノールを重量百分率でエタノール:イソプロパ
ノール=90:10とした混合有機溶剤)を所定量、秤
量して、前記、硝酸塩および1.4−ブタンジオールを
エキネン中に溶解させた。
【0088】実施例1乃至実施例4と異なり、得られた
混合液に、イオン交換水を、水の添加量に対するSiの
添加量がモル比で7以上、即ち、水/Si=12.1と
なるように秤量し加えた。
【0089】更に、着色膜形成用塗布液に対する、Si
のモル濃度が、0.70mol/Lとなるように、Si
−アルコキシドであるテトラエトキシシランを秤量し加
え、着色膜形成用塗布液とした。 2)着色コーティングガラスの作製および評価 洗浄したガラス基板の表面に、調製した着色膜形成用塗
布液を、加熱硬化後の膜厚が300nmとなるように、
フレキソ印刷機にて所定量塗布した。
【0090】次いで、清浄な環境下で着色膜形成用塗布
液を塗布したガラス基板を、350℃で10分間加熱し
た。その後、750℃で3分間加熱し塗布膜を加熱硬化
させ、ガラス基板の表面に着色膜を得た。
【0091】得られた着色膜の色は濃色グレーでありク
ラックはなかった。該着色膜の膜厚をDEKTAK30
30で実測したところ、膜厚は300nmであり、可視
光線透過率は31.1%であり、水/Si比が7.0以
下である実施例1乃至実施例4に比較して、同じ膜厚で
可視光線透過率が大きく光学濃度の低い膜しか得られな
かった。ヘーズ値は0.5%であり着色膜が光散乱のた
めやや白っぽく、着色コーティングガラスとして商品に
できるレベルではなかった。
【0092】しかし、その表面抵抗をメガレスターで測
定したところ、50x106Ω以上、即ち、50MΩ以
上あり、電波透過性は満足のいくものであった。 着色
膜に対して、トラバース試験(摩耗性評価)を行ったと
ころ、試験後、着色膜の外観に、目視にて変化はみられ
なかった。また、耐薬品性試験を行ったところ、試験
後、着色膜の外観に変化はみられず、実体顕微鏡で拡大
してみて、クラックは発生していなかった。
【0093】測定値および試験結果を表1の比較例に示
す。
【0094】
【表1】
【0095】
【発明の効果】本発明の着色膜形成用塗布液を用いる
と、着色膜形成用塗布液中の水とSiのモル比を水/S
i=7.5以下、即ち、水の添加量をモル比で、Siの
添加量の7.5倍以下にすることで、膜厚が薄くても、
光学濃度の大きい、言い換えれば、可視光線透過率の低
い着色膜を板ガラス表面に形成することができる。
【0096】水の添加量をモル比で、Siの添加量の
7.5倍以下にすることによって、着色膜のクラックの
発生を抑制し、膜厚300nmの着色膜が形成された着
色コーティングガラスの可視光線透過率を25%以下に
することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の着色膜形成用塗布液を用いて、着色膜
を形成するのに使用する平台フレキソ印刷機の一例の概
略側面図である。
【符号の説明】
1 ディスペンサー 2 ドクターロール 3 アニロックスロール 4 版胴 5 フレキソ版 6 平台 7 板ガラス
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 大柿 克彦 三重県松阪市大口町1510番地 セントラル 硝子株式会社硝子研究所内 Fターム(参考) 2H113 AA03 AA06 BA01 BB09 BB22 CA21 DA08 DA25 DA38 EA01 EA02 EA10 FA10 FA29 FA36 4J038 DL021 HA126 HA146 HA326 HA376 JA19 JA20 JA21 KA06 KA08 KA12 LA03 MA08 MA10 NA11 NA14 PA19 PB05 PB07 PC03

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】Si−アルコキシドと金属塩と有機溶媒お
    よび水からなる着色膜形成用塗布液であって、Fe、C
    u、Mn、Ni、Co、Cr、Zn、Alの金属塩およ
    び/またはその水和物のうち、少なくとも2種類以上を
    含み、水とSiの組成比が、水/Siのモル比で7.5
    以下であることを特徴とする着色膜形成用塗布液。
  2. 【請求項2】着色膜形成用塗布液に対する、Si−アル
    コキシドに含有されるSiの濃度が0.3mol/L以
    上、1.5mol/L以下であることを特徴とする請求
    項1に記載の着色膜形成用塗布液。
  3. 【請求項3】着色膜形成用塗布液に対する、金属塩に含
    有される金属の濃度が0.4mol/L以上、7.0m
    ol/L以下であることを特徴とする請求項1に記載の
    着色膜形成用塗布液。
  4. 【請求項4】板ガラス表面に請求項1乃至請求項3に記
    載の着色膜形成用塗布液をフレキソ印刷機により塗布し
    た後、200℃以上、800℃以下で加熱硬化させてな
    る可視光線透過率が25%以下であることを特徴とする
    着色コーティングガラス。
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Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2021045037A1 (ja) * 2019-09-02 2021-03-11 セントラル硝子株式会社 車両後方情報取得システム

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