JP2002001435A - 回転抑制機能付金属板折曲装置 - Google Patents

回転抑制機能付金属板折曲装置

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JP2002001435A JP2000188763A JP2000188763A JP2002001435A JP 2002001435 A JP2002001435 A JP 2002001435A JP 2000188763 A JP2000188763 A JP 2000188763A JP 2000188763 A JP2000188763 A JP 2000188763A JP 2002001435 A JP2002001435 A JP 2002001435A
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Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【課題】異なる大きさや形状の下型を使用せず、棒状下
型の金属接触面に金属板面を追随させて密着させ、上型
の押圧力を適切に金属板に伝え、折目を鋭く綺麗に、傷
を付けずに折り曲げ、金属板の折曲精度と品質を向上さ
せる 【解決手段】2個の断面が半円状の棒状下型2の逆凸曲
面5を、中間に溝7を有する2個の凹曲面6を設けた支
持体4に摺動回転可能に搭載し、2個の棒状下型の鍔9
部に引上軸10の上端を回転可能に取り付け、各引上軸
を支持体に設けたストッパー11を貫通して支持体の側
面に突設し引上軸に嵌め込んだ押しバネ12をストッパ
ーと固定具13とによって保持すし、2個の棒状下型の
金属接触面3に金属板8を乗せて、上型1によって金属
板を棒状下型に押圧し、押しバネの弾力に抗して支持体
に取り付けた引上軸を引き上げ、押しバネの回転抑止力
によって2個の棒状下型の金属接触面の回転を抑制させ
て金属板を折り曲げる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、特殊の金型を使用
した金属板折曲装置に関するもので、棒状下型に回転抑
制機能やクッション材等を付設したことに特徴があっ
て、金属板を折り曲げるベンダー(プレスブレーキ)、
油圧プレス、空圧プレス、機械作動プレス等として使用
するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、ベンダーのような金型で金属板を
折り曲げる装置としては、溝を設けた平板状の下型とパ
ンチ状の上型を使用し、平板状の下型の溝の上に金属板
を乗せて、上型によって金属板を下型の溝に押圧して金
属板を折り曲げていた。
【0003】しかし、平板状の下型としては、折り曲げ
る金属板の厚さや折曲程度に応じて、その溝の大きさや
形状が限定されているために、異なる大きさや異なる形
状の溝を有する数十種類の平板状の下型を用意しなけれ
ばならず、設備コストが嵩むばかりか、また、数十種類
の平板状の下型を保管する場所を確保する必要があるた
めにスペースエコノミーの点で問題があり、さらには、
使用目的に応じてその都度平板状の下型を交換するため
に手間がかかり作業効率が低下する等の不都合があっ
た。
【0004】特に、折り曲げる金属板が薄い場合には、
溝の先端部分の巾が広いために金属板の鋭い折り曲げ精
度が出ない傾向があり、折り曲げる金属板が厚い場合に
は、溝の先端部分が窮屈になるため、金属板面に擦傷が
発生する欠陥があった。
【0005】また、上型の押圧力が、金属板を介して、
平板状の下型の溝面に対して直角方向にかかるために、
逃げ場がない過大な押圧力によって金属板面と下型の溝
面とが擦れ合つて、金属板面にくい込み傷が生じて、折
り曲げた金属板製品の外観、見栄えを損なう欠点があっ
た。
【0006】さらに、上型の押圧力が平板状の下型の溝
を支点として金属板面に線状に集中してかかるために、
金属板の物理的組織が損傷、劣化して金属板に曲げ割れ
(クラック)が発生したり、物理的強度が低下する欠陥
があり、特に、折り曲げる際の金型の肩のRが小さい場
合にはこの欠点が顕著に起こる欠点があった。
【0007】さらに、上型のストロークが下死点まで達
して金属板を折り曲げる機構であるために、上型の強力
な押圧力が平板状の下型の溝に直接伝わり、衝撃が大き
く、平板状の下型の溝面に擦傷、損傷が発生して平板状
の下型の溝が摩耗、消耗する等の不都合があった。
【0008】さらに、金属板を平板状の下型の溝に乗せ
て上型によって押さえ付けながら金属板を押圧して折り
曲げるために、金属板の端部を折り曲げる場合や曲げ寸
法が短い場合には、金属板が外れたり、金属板の端部を
折り曲げたとしてもシャープに、奇麗に折り曲げられな
い問題や寸法精度が悪くなる問題もあった。
【0009】そこで、本出願人会社では、従来の金属板
折曲装置について鋭意検討を加えた結果、図1に示すよ
うな全く新しい特殊な下型を使用した金属板折曲装置を
開発して特許出願(特願平10−373221号)を行
ない、従来の金属板折曲装置の前述した欠点や問題点を
解決した。
【0010】特殊な下型を使用した金属板折り曲げ装置
は、図1に示すように、通常のパンチ型の上型1と断面
が半円状の2個の棒状下型2a、2bであって表面に金
属接触面3a、3bを有するものによって金型を構成
し、この2個の棒状下型2a、2bの逆凸曲面5a、5
bを、図2に示すように、支持体4の表面に形成した中
間に溝7を有する2個の凹曲面6a、6bに摺動回転可
能に搭載した構造のものである。
【0011】そして、2個の棒状下型2a、2bの金属
接触面3a、3bに金属板8を乗せ、図3に示すよう
に、上型1によって金属板8を下方に押圧すると同時
に、2個の棒状下型2a、2bの金属接触面3a、3b
を内側にV字状に回転しながら支持して金属板8を折り
曲げる機構を有している。
【0012】前述した特殊な下型を使用した金属板折曲
装置は、従来の平板状の下型のように、折り曲げる金属
板の厚さや折曲程度に応じて異なる大きさや形状の数十
種類の平板状の下型を使用せずに、一組または小数組の
棒状下型2a、2bよりなる下方を使用して金属板8を
任意の程度に折り曲げる機能を有しており、設備コスト
の低減し、保管場所の省スペース化、下型交換不用によ
る作業効率の向上等の利点がある。
【0013】また、金属板8を折り曲げる際に、上型1
の押圧力を低減させて、金属板8を介して下方にかかる
上型1の押圧力を逃がすために、金属板8と棒状下型2
a、2bとが摩擦して起こる金属板8の擦傷はなく、金
属板8の外観、見栄えがよいという利点もある。
【0014】しかし、上型1の押圧力によって板厚の金
属板8を折り曲げようとする場合、下方の棒状下型2
a、2bの回転がよいためか、金属接触面3a、3bが
金属板8面より逃げて行く傾向があり、上型1の押圧力
を適切に支持して金属板8に伝えられず、図4に示すよ
うに、金属板8の折曲角度(R)が甘い(ルーズ)まま
の状態で、金属接触面3a、3bとが離れて行き、金属
板8の折曲部分が溝9に入り込んで、金属板8の折曲角
度(R)が甘くなり、折目が鋭く綺麗に折り曲がらず、
折り曲げ精度が低下するという問題があった。
【0015】さらに、前述した金属板折曲装置によって
金属板8の折曲角度を90度より鋭角に折り曲げようと
する場合、図4に示すように、2個の棒状下型の金属接
触面の相接触する部分が離れて行き、金属板8の折曲角
度がルーズになるために、金属板8の折曲角度を90度
より鋭角には折り曲げることは困難であった。
【0016】また、前述した金属板折曲装置によって金
属板8を折り曲げようとする場合、上型1によって金属
板8を下方の棒状下型2a、2bの金属接触面3a、3
bに押圧するために、どうしても、金属板8の下面、す
なわち、棒状下型2a、2bの金属接触面3a、3bに
接する面に擦傷やスリット傷等が発生して製品として品
質低下を起こしたり、場合によっては出荷不可能になる
問題もあった。
【0017】さらに、上型1のストロークが下死点まで
達して金属板8を折り曲げた後、上型1を上方に戻し
て、折り曲げた金属板8を下方より取りだし、棒状下型
2a、2bを逆回転させて金属接触面3a、3bが水平
になるように復元する必要があるが、棒状下型2a、2
bの自重だけでは十分に復元しない場合が多く、手を使
って復元なければならず、作業効率が低下する問題もあ
った。
【0018】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、従来のよう
に、異なる大きさや形状の数十種類の平板状の下型を使
用せずに、押しバネ等の回転抑制機能を有する二個一組
または小数組の回転する棒状下型を使用して、2個の棒
状下型の回転を抑制して、2個の棒状下型の金属接触面
に金属板面を追随させて密着させ、上型の押圧力を適切
に金属板に伝え、金属板の折曲角度(R)を使用目的に
応じて、鋭く綺麗に折り曲げて金属板の折曲精度を高め
ることに主たる目的がある。
【0019】また、本発明は、2個の棒状下型を使用し
て金属板を折曲げる場合に、棒状下型の金属接触面にV
字状の鋭角折曲面を形成することによって、金属板の折
曲角度を90度より鋭角に折り曲げることに目的があ
る。
【0020】さらに、本発明は、上型によって金属板を
棒状下型の棒状下型の金属接触面に押圧して金属板を折
り曲げる際に、棒状下型の金属接触面に、クッション材
面、滑面、超硬度合金面を形成することによって、金属
板の下面に擦傷やスリット傷等が発生することを防止
し、折り曲げた金属板の外観、見栄えをよくして金属板
の製品としての品質を向上することに目的がある。
【0021】さらに、本発明は、2個の棒状下型を2個
の凹曲面を設けた支持体に搭載したユニットの複数個を
長手方向に一列に併設することによって、従来の金属板
折曲装置においては不可能であった長尺の金属板を折り
曲げることに目的がある。
【0022】さらに、本発明は、手によって2個の棒状
下型の金属接触面を水平になるように復元するのでな
く、自動的に2個の棒状下型の金属接触面を逆回転させ
て水平に復元することに目的がある。
【0023】さらに、本発明は、本発明は、従来の平板
状の下型のように、折り曲げる金属板の厚さや折曲程度
に応じて異なる大きさや形状の数十種類の平板状の下型
を使用することなく、一個または小数個の棒状下型を使
用して金属板を任意の程度に折り曲げることによって、
設備コストを低減し、保管場所の確保を不要または最小
化し、下型の交換を不要にして作業効率を向上させるこ
とに目的がある。
【0024】さらに、本発明は、上型の押圧力を棒状下
型の2個の棒状下型の金属接触面の全面で受けて分散さ
せることによって、金属板の物理的組織の損傷、劣化を
無くし、金属板に曲げ割れ(クラック)が発生すること
を防止するとともに、金属板の物理的強度を維持して丈
夫な折り曲げた金属板製品にすることに目的がある。
【0025】
【課題を解決するための手段】本発明は、回転抑制機能
付金属板折曲装置に関するもので、断面が半円状の棒状
下型を2個製作し、2個の棒状下型の逆凸曲面を、中間
に溝を有する2個の凹曲面を設けた支持体に摺動回転可
能に搭載し、2個の棒状下型の鍔部または逆凸曲面に引
上軸の上端を回転可能に取り付け、各引上軸を支持体に
設けたストッパーを貫通して支持体の側面に突設し、各
引上軸の突設部分に押しバネを嵌め込むとともに、各引
上軸の下端に固定具を取り付けて、各引上軸に嵌め込ん
だ押しバネをストッパーと固定具とによって保持する状
態で支持体の側面に取り付け、2個の棒状下型の2個の
棒状下型の金属接触面に金属板を乗せて、上型によって
金属板を棒状下型に押圧して2個の棒状下型の金属接触
面をV字状に回転させて金属板を折り曲げるについて、
押しバネの弾力に抗して支持体に取り付けた引上軸を引
き上げ、押しバネの回転抑止力によって2個の棒状下型
の金属接触面の回転を抑制させて金属板の折目を鋭く綺
麗に折り曲げることに特徴がある。
【0026】また、本発明は、前述した回転抑制機能付
金属板折曲装置の各引上軸の下端に、固定具に代えて、
調整ネジを上下に摺動可能に取り付け、金属板の折り曲
げ条件に応じて、調整ネジの位置を移動して押しバネの
弾力による棒状下型の回転抑止力を調整し、金属板の折
曲条件に応じて適切に、金属板の折目をより鋭く綺麗に
折り曲げることに特徴がある。
【0027】さらに、本発明は、前述した回転抑制機能
付金属板折曲装置の2個の棒状下型の金属接触面に、ク
ッション材面を貼り付けたり、滑面を形成したり、ある
いは超硬度合金面を形成したりして、金属板の下面に擦
傷等の発生を防止して金属板の製品としての品質を向上
することに特徴がある。
【0028】さらに、本発明は、前述した回転抑制機能
付金属板折曲装置の2個の棒状下型の金属接触面の相接
触する部分の長手方向に、断面がV字状の鋭角折曲面を
形成して、金属板の折曲角度を90度より鋭角に折り曲
げることに特徴がある。
【0029】さらに、本発明は、前述した回転抑制機能
付金属板折曲装置を1ユニットとして、この複数のユニ
ットを長手方向に一列に併設して、長尺の金属板を折り
曲げることに特徴がある。
【0030】
【発明の実施の形態】本発明の回転抑制機能付金属板折
曲装置の一例を説明すると、金型としては、図5に示す
パンチ型の上型1と断面が半円状の2個の棒状下型2
a、2bによって下型を構成し、この2個の棒状下型2
a、2bを支持体4に搭載するが、2個の棒状下型2
a、2bの鍔部9a、9b(棒状下型2a、2bの逆凸
曲面5a、5bでもよい)に複数の引上軸10をピン1
8を介して取り付けて、各引上軸10を支持体4に設け
たストッパー11を貫通して支持体4の側面に摺動可能
に突設し、各引上軸10の突設部分に、棒状下型2a、
2bの回転を抑制させる押しバネ12を嵌め込むととも
に、各引上軸10の下端に固定具13を取り付けて、各
引上軸10に嵌め込んだ押しバネ12をストッパー11
と固定具13とによって嵌装した状態に支持体4の側面
に取り付ける。
【0031】断面が半円状の2個の棒状下型2a、2b
は、下方に逆凸曲面5a、5bと上方に金属接触面3
a、3bを有し、この2個の棒状下型2a、2bの逆凸
曲面5a、5bを、支持体4に形成した中間に溝7を設
けた2個の凹曲面6a、6bに搭載し、2個の棒状下型
2a、2bの金属接触面3a、3bの内端部に力が加わ
ると、図6に示すように、2個の棒状下型2a、2bの
逆凸曲面5a、5bが内側(中央方向)に摺動回転し
て、金属接触面3a、3bがV字状に傾斜するようにす
る。
【0032】金属板8を折り曲げるについては、2個の
棒状下型2a、2bの金属接触面3a、3bに金属板8
を乗せた後、図6に示すように、上型1を所定の押圧力
で下降させて金属板8を下方に押圧させて行き、棒状下
型2a、2bの金属接触面3a、3bを内側にV字状に
摺動回転させて金属板8の折り曲げを開始すると、2個
の棒状下型2a、2bの鍔部9a、9bが持ち上がると
ともに各引上軸10も持ち上がり、これによって各引上
軸10の下端の固定具13を持ち上げて、各引上軸10
の突設部分に嵌め込んだ押しバネ12を弾力に抗して支
持体4に設けたストッパー11に対して圧縮して行く。
【0033】すなわち、上型1によって、弾力として1
〜500kg/cm2 、望ましくは、8〜180kg/cm
2 を有する押しバネ12を圧縮して行く際に発生する
抗力が、棒状下型2a、2bの金属接触面3a、3bの
回転に対して抑制力として働き、棒状下型2a、2bの
金属接触面3a、3bが金属板8面より逃げることな
く、上型1の押圧力を金属板8に的確に伝え、金属板8
を転棒状下型2a、2bの金属板8面に適切に圧着しな
がらV字状に折り曲げて行く。
【0034】そして、前述した状態で所定の折曲角度の
位置まで上型1のストロークを下降させ、棒状下型2
a、2bの金属接触面3a、3bを90度の折曲角度ま
でV字状に傾斜させると、金属板8も90度の折曲角度
まで、折目を鋭く綺麗に折り曲げることができるととも
に、この際に、上型1の押圧力を下方の2個の棒状下型
2a、2bの金属接触面3a、3bの全面で受けて分散
させるために、金属板8面と棒状下型2a、2bとが擦
れ合つて起こる金属板8面の擦傷がなく、外観、見栄え
のよい金属板折曲製品に加工できる。
【0035】金属板8を前述した所定の折曲角度まで折
り曲げた時点で、上型1の下降を停止して、上型1を上
方に引き上げて押圧力を開放すると、圧縮していた各押
しバネ11の弾力によって引上軸10の下端の固定具1
3を押し下げると同時に引上軸10を押し下げ、これに
よって2個の棒状下型2a、2bの鍔部9a、9bを押
し下げるとともに2個の棒状下型2a、2bの逆凸曲面
5a、5bを外側(側面方向)に摺動回転して、2個の
棒状下型2a、2bの金属接触面3a、3bを自動的に
水平状態に復元させるので、折り曲げた金属板8を下方
より取り出し、以後、必要に応じて前述した操作を繰り
返せばよい。
【0036】金属板8を折り曲げるについては、上型1
のストロークの位置を、2個の棒状下型2a、2bの金
属接触面3a、3bが90度の折曲角度までV字状に傾
斜させる位置(下死点)まで下降させずに、その途中で
ストロークを停止して、金属板8の折曲角度を90度よ
りも鈍角の状態に折り曲げてもよく、上型1のストロー
クが浅ければ、2個の棒状下型2a、2bの金属接触面
3a、3bの傾斜は小さく、金属板8の折曲角度は鈍角
になるのて、必要に応じて、金属板8の折曲角度と具合
は上型1のストロークの程度によって調整してもよいこ
とはいうまでもない。
【0037】2個の棒状下型2a、2bの断面を半円状
に形成しているが、半円状以外に、丸棒の断面の約3分
の1を長手方向に水平に切り落としたもの、丸棒の断面
の約3分の2を長手方向に水平に切り落としたものも、
本発明でいう断面が半円状という概念に含まれる。
【0038】棒状下型2a、2bに設ける押しバネ11
は、棒状下型2a、2bの鍔部9a、9bに取り付けて
もよいが、棒状下型2a、2bに鍔部9a、9bがない
場合には、棒状下型2a、2bの凸面面5a、5bの外
側面の下部に設けた溝に直接取り付けてもよい。
【0039】押しバネ11としては、通常使用している
ものを用いればよく、押しバネ11の弾力としては、折
り曲げる金属板8の厚さや材質等によって適宜決定する
が、通常の場合、1〜500kg/cm2 、望ましく
は、8〜180kg/cm2 を有するものを用いると良い。
【0040】押しバネ11の弾力が1kg/cm2
満であると、上型1の押圧力によって押しバネ12を圧
縮して行く際に発生する抗力が弱くなり、棒状下型2
a、2bの金属接触面3a、3bの回転に対して十分な
抑制力として働かず、棒状下型2a、2bの金属接触面
3a、3bが金属板8面より逃げる傾向があり、上型1
の押圧力が適切に金属板8に伝わり難くなる。
【0041】また、押しバネ11の弾力が500kg/
cm2 を超えると、棒状下型2a、2bの金属接触面
3a、3bが金属板8面より逃げることはなくなり、上
型1の押圧力が適切に金属板8に伝わるが、上型1の押
圧力によって押しバネ12を圧縮して行く際に発生する
抗力が必要以上に強くなるために、上型1の押圧力とし
て過剰の力を要し、エネルギー・ロスとなる。
【0042】棒状下型2a、2bと鍔部9a、9bの素
材としては、金型鋼、ベアリング鋼、クロームモリブデ
ン等の硬度があって耐摩耗性の高いものが最適である
が、普通鋼や普通鋼の表面に焼き入れをしたものを使用
してもかまわない。
【0043】棒状下型2a、2bと鍔部9a、9bの長
さと太さ(厚さ)は、折り曲げる金属板8の厚さや材
質、金属板8の折曲角度等によって適宜決定するが、通
常の場合、棒状下型2a、2bの長さは1〜500c
m、太さは0.5〜300cmあれば十分であり、ま
た、2個の棒状下型2a、2bの金属接触面3a、3b
の面積は1×5cm〜300×500cmあれば十分で
ある。
【0044】支持体4の素材は前述した棒状下型2a、
2bの素材と同様なものを使用し、また、支持体4の大
きさは2個の棒状下型2a、2bより大きくすればよ
く、さらに、支持体4の2個の凹曲面6a、6bの大き
さは2個の棒状下型2a、2bの逆凸曲面5a、5bよ
り若干大きくして、棒状下型2a、2bの逆凸曲面5
a、5bが支持体4の凹曲面6a、6bの内で回転摺動
可能に形成する。
【0045】金属板8の折れ曲がり具合は2個の棒状下
型2a、2bの金属接触面3a、3bの位置によっても
調整でき、2個の棒状下型2a、2bの金属接触面3
a、3bが、丸棒の断面の約3分の1を長手方向に水平
に切り落としたもの、すなわち、半円状の断面において
金属接触面3a、3bの位置が上方にある場合には、2
個の棒状下型2a、2bの摺動回転による2個の棒状下
型2a、2bの金属接触面3a、3bの接触面が小さく
なり、また、2個の棒状下型2a、2bの金属接触面3
a、3bが、丸棒の断面の約3分の2を長手方向に水平
に切り落としたもの、すなわち、半円状の断面において
金属接触面3a、3bの位置が下方にある場合には、2
個の棒状下型2a、2bの摺動回転による2個の棒状下
型2a、2bの金属接触面3a、3bの接触面が大きく
なる。棒状下型2a、2bと鍔部9a、9bの長さと太
さ(厚さ)は、折り曲げる金属板8の厚さや材質、金属
板8の折曲角度等によって適宜決定するが、通常の場
合、棒状下型2a、2bの長さは1〜500cm、太さ
は0.5〜300cmあれば十分であり、また、2個の
棒状下型2a、2bの金属接触面3a、3bの面積は1
×5cm〜300×500cmあれば十分である。
【0046】さらに、上型1によって金属板8を棒状下
型2a、2bの金属接触面3a、3bに押圧して金属板
8の折曲角度を90度より鋭角に折り曲げようとする場
合には、図7に示すように、2個の棒状下型2a、2b
の金属接触面3a、3bの相接触する部分の長手方向
に、断面がV字状の鋭角折曲面14a、14bを形成す
るとよい。
【0047】すなわち、2個の棒状下型2a、2bの金
属接触面3a、3bに金属板8を乗せた後、上型1を下
降させて金属板8を下方に押圧させて行き、棒状下型2
a、2bの金属接触面3a、3bと鋭角折曲面14a、
14bを内側にV字状に摺動回転させて金属板8の折り
曲げを開始すると、7図に示すように、2個の棒状下型
2a、2bの鍔部9a、9bを持ち上げるとともに各引
上軸10を持ち上げ、これによって各引上軸10の下端
の固定具13を持ち上げて、各引上軸10の突設部分に
嵌め込んだ押しバネ12を弾力に抗して支持体4に設け
たストッパー11に対して圧縮して行く。
【0048】この際に押しバネ12を圧縮して行く際に
発生する抗力が、棒状下型2a、2bの金属接触面3
a、3bと鋭角折曲面14a、14bの回転に対して抑
制力として働き、金属板8を金属接触面3a、3bと鋭
角折曲面14a、14bより逃げることなく、上型1の
押圧力を金属板8に的確に伝え、金属板8面を金属接触
面3a、3bと鋭角折曲面14a、14bに適切に圧着
しながらV字状に折り曲げて行き、金属板8の折曲角度
を90度前後に折り曲げる第一段階の折り曲げを行う。
【0049】さらに、上型1を下降させて金属板8を下
方に押圧させて行き、棒状下型2a、2bの金属接触面
3a、3bと鋭角折曲面14a、14bを内側に一段と
摺動回転させて金属板8の折り曲げ、棒状下型2a、2
bの鍔部9a、9bと各引上軸10を一層持ち上げて固
定具13を一層持ち上げて、各バネ12を弾力に抗して
ストッパー11に対して一層圧縮して行く。
【0050】この際に押しバネ12をさらに圧縮して行
く際に発生する抗力が、棒状下型2a、2bのと鋭角折
曲面14a、14bの回転に対して一段と抑制力として
働き、金属板8面を金属接触面3a、3bと鋭角折曲面
14a、14bより逃げることなく、上型1の押圧力を
金属板8により的確に伝え、鋭角折曲面14a、14b
の金属板8面に適切に圧着しながらV字状に折り曲げて
行き、金属板8の折曲角度を90度より鋭角、たとえ
ば、60度に折り曲げる第二段階の折り曲げを行う。
【0051】複数の引上軸10は、前述したように棒状
下型2a、2bと鍔部9a、9bに取り付ける以外に、
棒状下型2a、2bの逆凸曲面5a、5bに取り付けて
もよく、また、各引上軸10の下端に取り付ける固定具
13の代わりに、図8に示すように、各引上軸10の下
端にワッシャー15を介して調整ネジ16を上下に摺動
可能に取り付け、金属板8の折り曲げ条件に応じて、調
整ネジの16位置を移動して押しバネ12の弾力による
棒状下型2a、2bの回転抑止力を調整してもよい。
【0052】また、上型1によって金属板8を棒状下型
2a、2bの金属接触面3a、3bに押圧して金属板8
を折り曲げる時に、金属板8の下面と棒状下型2a、2
bの金属接触面3a、3bが接触して金属板8の下面に
擦傷やスリット傷等が発生することがあるが、このよう
な場合には、図8と図9に示すように、2個の棒状下型
2a、2bの金属接触面3a、3bにウレタンシート1
7をクッション材として被覆して、製品である金属板8
の下面に擦傷やスリット傷等が発生しないようにすると
よく、ウレタンシート17以外には、ビニール、布等の
クッション材として被覆してもよい。
【0053】金属板8の下面が2個の棒状下型2a、2
bの金属接触面3a、3bが接触してに擦傷やスリット
傷等が発生することを防止するためには、前述したクッ
ション材の代わりに、棒状下型2a、2bの金属接触面
3a、3bに硬質クロームメッキ、無電解ニッケルメッ
キ等の滑面を形成したり、あるいは棒状下型2a、2b
の金属接触面3a、3bに硬度焼き入れ面、硬度熱処理
等の硬化面を形成して、金属板8の下面と2個の棒状下
型2a、2bの金属接触面3a、3bとの滑りをよくし
て、金属板8の下面に擦傷やスリット傷等が発生しない
ようにしてもかまわない。
【0054】前述したクッション材面や滑面代わりに、
棒状下型2a、2bの金属接触面3a、3bに、金属接
触面をタングステンカーバイドコバルトあるいは炭化チ
タン等よりなる電極との間に電圧を印加して放電加工を
行って形成した超硬度合金面を形成したりして、金属板
8の下面と2個の棒状下型2a、2bの金属接触面3
a、3bとの滑りをよくして、金属板8の下面に擦傷や
スリット傷等が発生しないようにしてもよい。
【0055】長尺の金属板8を2個の棒状下型2a、2
bの金属接触面3a、3bに押圧して折り曲げる場合
に、一個の棒状下型2a、2bの金属接触面3a、3b
の長さでは短い時には、棒状下型2a、2b搭載した支
持体4を1ユニットとして、この複数個のユニットを図
9に示すように、長手方向に一列に併設することによっ
て、長尺の金属板8を折り曲げるようにしてもかまわな
い。
【0056】
【発明の効果】本発明によると、回転抑制機能としての
押しバネを付設した二個一組または二個小数組の棒状下
型の回転を抑制して、棒状下型の金属接触面に金属板面
を追随させて密着させ、上型の押圧力を適切に金属板に
伝えて、金属板の折曲角度(R)を使用目的に応じて、
折目を鋭く綺麗に折り曲げることが可能であって、金属
板の折曲精度を高めることができる優れた効果がある。
【0057】また、本発明によると、2個の棒状下型の
金属接触面の長手方向に、断面がV字状の鋭角折曲面を
形成することによって、金属板の折曲角度を90度以下
に、折目を鋭く綺麗に折り曲げることができる利点があ
る。
【0058】さらに、本発明によると、金型によって金
属板を折り曲げる際、金属板を介して棒状下型の溝面に
かかる上型の押圧力を半減するとともに、2個の棒状下
型の金属接触面を回転させることによって逃がすため
に、金属板面と棒状下型の溝面とが擦れ合つて起こる金
属板面に起こる擦傷は無く、折り曲げた金属板の外観、
見栄えをよくして金属板の製品としての品質を向上する
ことができ、特に、棒状下型の金属接触面にウレタンシ
ートのクッション材面、滑面、超硬度合金面を形成した
場合には、棒状下型の金属接触面によって金属板の下面
に擦傷やスリット傷等が発生することを完全に防止する
ことが可能であって、傷を嫌う化粧金属板等や表面に凹
凸のある金属板の折り曲げには最適である。
【0059】さらに、本発明によると、2個の棒状下型
を2個の凹曲面を設けた支持体に搭載したユニットの複
数個を長手方向に一列に併設することによって、長尺の
金属板を折り曲げることができる長所がある。
【0060】さらに、本発明によると、手によって2個
の棒状下型の金属接触面を水平になるように復元するこ
となく、自動的に2個の棒状下型の金属接触面を逆回転
させて水平に復元することが可能であって、金属板の折
曲作業効率を一段と向上させることができる。
【0061】さらに、本発明によると、上型のストロー
クを下死点まで達することなく、金属板を折り曲げるこ
とが可能であるために、上型のストロークによる衝撃を
軽減でき、上型の押圧力による棒状下型の溝面と金属板
面との擦れ合いの程度を小さくして、棒状下型の溝面の
擦傷、損傷を無くして、棒状下型の溝の摩耗、消耗を防
止して、金型の寿命を向上させることができ、金型を半
永久的に安定して使用するする長所がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】棒状下型と支持体とによって構成する従来の金
属板折曲装置の展開図である。
【図2】棒状下型を摺動回転可能に支持体の凹曲面に搭
載して金属板を折り曲げる状態を示す従来の金属板折曲
装置の断面図である。
【図3】上型によって金属板を押圧して棒状下型を摺動
回転させることによって、金属板を折り曲げた状態を示
す従来の金属板折曲装置の断面図である。
【図4】金属板の折り曲げる際、棒状下型の金属接触面
が金属板より逃げて、金属板の折曲角度がルーズになっ
た状態を示す従来の金属板折曲装置の断面図である。
【図5】押しバネを設けた棒状下型を摺動回転可能に支
持体の凹曲面に搭載して金属板を折り曲げる状態を示す
本発明の回転抑制機能付金属板折曲装置の断面図であ
る。
【図6】押しバネを設けた棒状下型の摺動回転によって
金属接触面をV字状に傾斜させて金属板を折り曲げた状
態を示す本発明の回転抑制機能付金属板折曲装置の断面
図である。
【図7】棒状下型の金属接触面の長手方向に断面がV字
状の鋭角折曲面を形成するとともに押しバネを設けるこ
とによって、金属板を90度以下の折曲角度に折り曲げ
た状態を示す本発明の回転抑制機能付金属板折曲装置の
説明図である。
【図8】棒状下型の金属接触面にウレタンシートを被覆
するとともに棒状下型の鍔に取り付けた引上軸の下端に
ワッシャーを介して調整ネジを上下に摺動可能に取り付
けた状態を示す本発明の回転抑制機能付金属板折曲装置
の説明図である。
【図9】長尺の金属板を折り曲げるために、金属接触面
にウレタンシートを被覆した棒状下型の2ユニットを長
手方向に一列に併設した状態を示す本発明の回転抑制機
能付金属板折曲装置の説明図である。
【符号の説明】
1 上型 2 棒状下型 3 金属接触面 4 支持体 5 逆凸曲面 6 凹曲面 7 溝 8 金属板 9 鍔 10 引上軸 11 ストッパー 12 押しバネ 13 固定具 14 鋭角折曲面 15 ワッシャー 16 調整ネジ 17 ウレタンシート 18 ピン
フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) // B23H 9/00 B23H 9/00 A

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】2個の断面が半円状の棒状下型の逆凸曲面
    を、中間に溝を有する2個の凹曲面を設けた支持体に摺
    動回転可能に搭載し、2個の棒状下型の鍔部または逆凸
    曲面に引上軸の上端を回転可能に取り付け、各引上軸を
    支持体に設けたストッパーを貫通して支持体の側面に突
    設し、各引上軸の突設部分に押しバネを嵌め込むととも
    に、各引上軸の下端に固定具を取り付けて、各引上軸に
    嵌め込んだ押しバネをストッパーと固定具とによって保
    持する状態で支持体の側面に取り付け、2個の棒状下型
    の2個の棒状下型の金属接触面に金属板を乗せて、上型
    によって金属板を棒状下型に押圧して2個の棒状下型の
    金属接触面をV字状に回転させて金属板を折り曲げるに
    ついて、押しバネの弾力に抗して支持体に取り付けた引
    上軸を引き上げ、押しバネの回転抑止力によって2個の
    棒状下型の金属接触面の回転を抑制させて金属板を折り
    曲げる回転抑制機能付金属板折曲装置。
  2. 【請求項2】2個の棒状下型の金属接触面の相接触する
    部分の長手方向に、断面がV字状の鋭角折曲面を形成し
    た請求項1記載の回転抑制機能付金属板折曲装置。
  3. 【請求項3】各引上軸の下端に固定具に代えて調整ネジ
    を上下に摺動可能に取り付け、金属板の折り曲げ条件に
    応じて、調整ネジの位置を移動して押しバネの弾力によ
    る棒状下型の回転抑止力を調整する請求項1または請求
    項2記載の回転抑制機能付金属板折曲装置。
  4. 【請求項4】2個の棒状下型の金属接触面に、クッショ
    ン材面、滑面、超硬度合金面等を形成をした請求項1ま
    たは請求項2または請求項3記載の回転抑制機能付金属
    板折曲装置。
  5. 【請求項5】2個の棒状下型の金属接触面に形成したク
    ッション材面として、ウレタンシート面、ビニール面、
    布面等を貼り付けた請求項4記載の回転抑制機能付金属
    板折曲装置。
  6. 【請求項6】2個の棒状下型の金属接触面を形成した滑
    面として、硬質クロームメッキ面、無電解ニッケルメッ
    キ面、硬度焼き入れ面、硬度熱処理硬化面等を施した請
    求項4記載の回転抑制機能付金属板折曲装置。
  7. 【請求項7】2個の棒状下型の金属接触面に形成した超
    硬度合金面として、金属接触面をタングステンカーバイ
    ドコバルトあるいは炭化チタン等よりなる電極との間に
    電圧を印加して放電加工を行って形成した超硬度合金面
    を施した請求項4記載の回転抑制機能付金属板折曲装
    置。
  8. 【請求項8】2個の棒状下型の逆凸曲面を、中間に溝を
    有する2個の凹曲面を設けた支持体に摺動回転可能に搭
    載したものを1ユニットとして、この複数のユニットを
    長手方向に一列に併設した請求項1または請求項2また
    は請求項3または請求項4記載の回転抑制機能付金属板
    折曲装置。
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