JP2002001024A - 抗菌フィルター及びその製造方法 - Google Patents

抗菌フィルター及びその製造方法

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JP2002001024A JP2000188387A JP2000188387A JP2002001024A JP 2002001024 A JP2002001024 A JP 2002001024A JP 2000188387 A JP2000188387 A JP 2000188387A JP 2000188387 A JP2000188387 A JP 2000188387A JP 2002001024 A JP2002001024 A JP 2002001024A
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Shintaro Kobayashi
伸太郎 小林
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 可燃性有機溶媒を含む溶液状の抗菌剤を、抗
菌効果を低下させることなくフィルターに担持した抗菌
フィルターであって、引火することなく安全に製造でき
る抗菌フィルターを提供する。 【解決手段】 溶液状の抗菌剤を担体粒子に付着させた
後、乾燥して前記抗菌剤中の可燃性溶媒を蒸発させるこ
とにより、抗菌成分を定着させた抗菌性粒子を調製し、
当該抗菌性粒子を含む水性分散液で、織布又は不織布か
らなるフィルターを含浸又は塗布することにより、優れ
た抗菌効果を有する抗菌フィルターを安全に製造するこ
とができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【利用分野】本発明は、溶液状の抗菌剤を利用して織布
又は不織布からなるフィルターに抗菌効果を付加した抗
菌フィルターに関し、特に可燃性有機溶媒を含む抗菌剤
を用いても引火することなく安全に製造することのでき
る抗菌フィルターに関する。
【0002】
【従来技術及びその問題点】エアコンや空気清浄機等に
用いられるエアフィルターは、カビや細菌等の微生物の
繁殖によって引き起こされる不快臭や喘息を防止するた
め、抗菌効果が付加されている。
【0003】不織布等からなるフィルターに後加工で抗
菌効果を付与する方法としては、抗菌剤の水性分散液に
フィルターを浸漬した後、乾燥させるディッピング法
や、フィルターを浸漬した後、さらにパディングマング
ルで圧搾して余剰液を絞り、その後乾燥させるパディン
グ法等が一般的である。しかし、これらの方法はいずれ
も乾燥工程を含むため、添加する抗菌剤が可燃物だとフ
ィルターに引火する危険性が高く、加工が困難であると
いう問題があった。
【0004】またフィルター素材が、ポリオレフィン、
ポリエチレンテレフタラート等、吸湿性がない場合、溶
液状の抗菌剤ではフィルターに担持させ難く、バインダ
ー樹脂と抗菌剤を混練してフィルター上に塗布すれば担
持は可能であるが、繊維がバインダー樹脂で覆われるこ
とによりフィルターの風合いが変化するとともに、抗菌
効果が減少するという問題があった。
【0005】特に近年、人体への安全性の観点から、天
然物からの抽出物を有効成分とする抗菌剤・殺菌剤の開
発が盛んに行われ、これを工業的に利用しようとする試
みがなされているが、ヒノキチオールのように引火性の
有機溶剤で抽出される天然抗菌剤は、上述の問題から、
抗菌フィルターに用いることが困難である。
【0006】
【発明の目的】従って本発明の目的は、可燃性有機溶媒
を含む溶液状の抗菌剤を、抗菌効果を低下させることな
くフィルターに担持した抗菌フィルターであって、引火
することなく安全に製造できる抗菌フィルターを提供す
ることにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】上記課題に鑑み鋭意研究
の結果、本発明者は、溶液状の抗菌剤を担体粒子に付着
させた後、乾燥して前記抗菌剤中の可燃性溶媒を蒸発さ
せることにより、抗菌成分を定着させた抗菌性粒子を調
製し、当該抗菌性粒子を含む水性分散液で織布又は不織
布を含浸又は塗布することにより、抗菌効果に優れ、製
造中に引火する危険性の少ない抗菌フィルターが得られ
ることを見出し、本発明に想到した。
【0008】すなわち、本発明は、可燃性有機溶媒を含
む溶液状の抗菌剤を担体粒子に付着させた後、乾燥して
可燃性溶媒を蒸発させているので、後の乾燥工程でフィ
ルターに引火する危険性が低く、また、吸湿性の少ない
繊維からなるフィルターであっても担持させやすい。し
たがって、天然物から抽出される引火性の抗菌剤であっ
ても、抗菌フィルターに好適に利用することができる。
【0009】また、抗菌成分が抗菌性粒子の表面にコー
トされた状態になるので、バインダー樹脂等と混合して
フィルターに塗布する場合のように抗菌成分が希釈され
ず、抗菌効果が高いという利点がある。
【0010】好ましい態様によれば、熱可塑性高分子繊
維からなるフィルターを用い、抗菌性粒子の水性分散液
に含浸又は塗布した後、前記熱可塑性高分子繊維の軟化
点以上の温度で熱処理することにより、軟化して粘着性
を持った該繊維に抗菌性粒子を固着する。これにより担
持した粒子が水洗処理などによって脱落せず、優れた抗
菌効果を維持できる抗菌フィルターが得られる。
【0011】
【発明の実施の形態】本発明の抗菌フィルターは、溶液
状の抗菌剤を担体粒子に付着させた後、乾燥して前記抗
菌剤中の可燃性溶媒を蒸発させることにより、抗菌成分
を定着させた抗菌性粒子を用いることを特徴とする。本
発明においては、当該抗菌性粒子の水性分散液を用い
て、パディング法、ディッピング法等の公知の方法で織
布または不織布からなるフィルターに抗菌性粒子を担持
させるが、予め抗菌剤中の可燃性溶媒が除去されている
ので、織布または不織布を乾燥させる際、引火の恐れが
なく、安全に製造することができる。
【0012】[I]抗菌性粒子 (i)抗菌剤 本発明に用いる抗菌剤は、可燃性有機溶媒を含む溶液状
の抗菌剤である。本明細書において、「可燃性」とは、
空気中で加熱せしめた時に燃焼するものであって、特に
発火点600℃以下のものを意味する。発火点が600℃以下
の有機溶媒を含む抗菌剤は、従来の製造方法だとフィル
ターの乾燥工程中に引火する危険性があったが、本発明
によれば、予め抗菌剤を担体粒子に付着させた後、抗菌
剤中の可燃性溶媒を蒸発させるので、フィルターに引火
する危険性が低い。
【0013】抗菌剤は、乾燥工程により抗菌効果が著し
く失われないものを用いる。具体的には、抗菌剤を担
体粒子に付着させた後の乾燥工程、及び抗菌性粒子を
フィルターに担持させた後の乾燥工程により、抗菌成分
が昇華又は熱分解しないことが必要である。具体的に
は、抗菌成分が100℃、15分間の加熱で昇華、熱分解し
ないレベルの抗菌剤であれば、好適に使用できる。
【0014】本発明においては、非水溶性の抗菌剤を用
いる。抗菌剤が水溶性だと、水性分散液とする際に、抗
菌性粒子に定着させた抗菌成分が分散して抗菌効果が失
われるので好ましくない。
【0015】本発明に好適に使用できる抗菌剤は、天然
物の有機溶媒抽出物や植物精油を有効成分とする抗菌剤
である。従来から天然物の中に殺菌効果をもつものの存
在は知られており、好ましい例として、ヒノキ、孟宗
竹、各種ハーブ、シソ、アロエ、ワサビ、カラシ、ヨモ
ギ、松、モミ、ユーカリ、イラクサ、甘草、ドクダミ等
の有機溶媒抽出物又は精油を挙げることができる。天然
抗菌成分を用いた抗菌剤としては、ヒノキチオール、タ
ケエキス、ハーブオイル、シソ抽出物、ヨモギ抽出物、
アロエ抽出物、ワサビ抽出物、カラシ抽出物等が市販さ
れており、市販品を用いると抗菌フィルターを容易に製
造できる。
【0016】(ii)担体粒子 本発明に用いる担体粒子は、抗菌剤を吸着できるもので
あれば特に制限なく公知のものを用いることができる
が、特に多孔性微粒子を用いることが好ましい。多孔性
微粒子としては、例えば、リン酸カルシウム系化合物、
活性炭、ゼオライト、モレキュラーシーブなどが挙げら
れる。これらの中で特に好ましいものはリン酸カルシウ
ム系化合物である。リン酸カルシウム系化合物は雑菌の
吸着能が高いため、抗菌効果をより高めることができ
る。
【0017】リン酸カルシウム系化合物の具体例として
は、ハイドロキシアパタイト、フッ素アパタイト等の各
種のアパタイト、リン酸三カルシウム、リン酸四カルシ
ウム、リン酸水素カルシウムなどを挙げることができ
る。
【0018】担体粒子の比表面積は、 0.1m2 /g以上
であることが好ましい。比表面積が0.1m2 /g未満で
あると抗菌剤の吸着性が不充分となる。多孔性微粒子の
気孔率は特に限定されないが、一般的には5〜80%であ
る。
【0019】本発明においては、担体粒子は、粉末、顆
粒又は多孔質顆粒の形であってよいが、その粒径が 0.1
〜50μmのものを使用する。粒径が 0.1μm未満である
と、粒子が凝集しやすくなり、水中に均一に分散させ難
くなる。また、粒径が50μmを超えると、粒子が抗菌フ
ィルターから脱落しやすくなり、出来上がりのフィルタ
ーの手触りが悪い上、重すぎて、水性分散液に均一に分
散することが困難となる。
【0020】前記のような担体粒子は、公知の方法で製
造することができるが、その一例としてリン酸カルシウ
ム系化合物の多孔質顆粒の製造方法を以下に示す。ま
ず、公知の方法で湿式合成したリン酸カルシウム系化合
物の結晶粒子を原料粒子とし、この原料粒子を懸濁した
スラリーを直接噴霧乾燥などにより二次粒子に造粒する
かあるいはこのスラリーに粘度調整剤、加熱により消失
する有機化合物粒子又は繊維等の添加物を加えて噴霧乾
燥などにより二次粒子に造粒する。この二次粒子自体、
多孔質粒子となっており、この二次粒子をそのまま原料
として用いることもでき、さらに高気孔率のものが好ま
しい場合には、次の方法で多孔質顆粒を作製する。この
二次粒子を再びスラリー状に懸濁して湿式成形するか又
は加圧による乾式成形等によりブロック体に成形する。
その際、焼成の過程で消散して気孔を形成するための有
機化合物を添加してもよい。無添加でも、焼成温度な
ど、他の条件を調節することにより気孔径を制御するこ
ともできる。得られたブロック体を500℃〜1300℃の温
度範囲で焼成する。焼成温度が500℃未満では、有機化
合物の熱消失やブロック体の焼結が充分に行われない。
また、焼成を1300℃を超える高温で行うと、焼結体が緻
密化しすぎたり、リン酸カルシウムが分解を起こすおそ
れがある。このように焼成したブロック体を粉砕後、分
級して必要な粒径の顆粒を得ることができる。この顆粒
の気孔径は、二次粒子造粒用の原料スラリー中の結晶粒
子の大きさ、スラリーの粘度、添加物などを適切に調節
することによって調整することができる。
【0021】(iii)抗菌性粒子の調製方法 上述の担体粒子に、溶液状の抗菌剤を付着させる際、担
体粒子を乾燥させ、表面に付着した水分等を予め除去し
ておくことが好ましい。
【0022】溶液状抗菌剤の使用量は、担体粒子1重量
部に対し、0.05〜10重量部程度が好ましい。担体粒子に
溶液状抗菌剤を添加し、攪拌して抗菌剤を担体粒子に均
一に付着させた後、乾燥させ、抗菌剤に含まれる可燃性
有機溶媒、例えば石油エーテル、へキサン、ベンゼン、
トルエン、エタノール、クロロホルム等を除去する。
【0023】乾燥工程中に抗菌剤の抗菌効果が著しく低
下しないよう、乾燥温度は低めに設定することが好まし
い。抗菌剤の種類によっても異なるが、一般に150℃以
下で乾燥させることが好ましく、100℃以下がより好ま
しい。
【0024】乾燥後は、抗菌性粒子が凝集するので、ボ
ールミル等で粒径0.1〜50μmまで粉砕し、再度粉体状
とする。
【0025】[II]抗菌性粒子のフィルターへの担持 上記方法により得られた抗菌性粒子を含む水性分散液
で、フィルターを含浸又は塗布することにより、フィル
ターを構成する繊維の細かな網目に抗菌性粒子を担持さ
せ、抗菌性を付加する。
【0026】(i)フィルター 本発明では、フィルターとして不織布又は織布を用いる
ことができるが、不織布のほうが好ましい。フィルター
に使用する繊維の繊維長及び繊度並びにフィルター厚さ
は、用途などに応じて適宜選択することができる。
【0027】本発明においてはフィルターの材質は特に
限定されず、綿、絹、羊毛、レーヨン、アセテート、キ
ュプラなどの吸水性繊維の他、従来は溶液状の抗菌剤に
適用させづらかったポリオレフィン、ポリエチレンテレ
フタラート等の非吸水性繊維も使用できる。これらを単
独で用いても良いし、混合して用いてもよい。
【0028】熱処理により抗菌性粒子をフィルターに固
着させる場合は、原料繊維の少なくとも一部分が熱可塑
性高分子繊維からなるフィルターを用いる。熱可塑性高
分子繊維は、原料繊維の10重量%以上含まれることが好
ましく、20重量%以上含まれることがより好ましく、そ
の全体が熱可塑性高分子繊維からなるものであってもよ
い。
【0029】この場合、熱可塑性高分子繊維の軟化点
で、抗菌成分が分解、昇華しないよう、ある程度軟化点
の低い熱可塑性高分子繊維を選択することが好ましく、
特に軟化点110〜150℃のものを用いることが好ましい。
熱可塑性高分子繊維としては、例えば、ポリエチレン繊
維、ポリプロピレン繊維等のポリオレフィン系繊維、6,
6-ナイロン等のポリアミド系繊維、ビニル系繊維、アク
リル系繊維、ポリウレタン系繊維、ポリエステル系繊維
などが挙げられる。これらの中で特に好ましいものは、
ポリエチレン繊維である。
【0030】また、表面をポリエチレン等の軟化点の低
い熱可塑性樹脂で被覆してなる芯鞘構造繊維を用いる
と、熱処理を施しても芯部が軟化せず、フィルターが変
形・収縮しにくいので、特に好ましい。
【0031】(ii) 抗菌性粒子分散液の調製 得られた抗菌性粒子を水系溶媒に分散させて分散液を調
製する。分散液中の抗菌性粒子の濃度は、フィルターへ
の所望の担持量に応じて適宜選定することができるが、
分散性や作業性を考慮して通常、1〜50重量%、好まし
くは5〜40重量%とする。含浸及び塗布を1回あるいは
2回以上行って所望の抗菌性粒子担持量とすることもで
きる。
【0032】抗菌性粒子の分散性を向上させ、安定させ
るため、分散液に界面活性剤を添加してもよい。ただ
し、本発明の目的から逸脱して、抗菌性粒子から抗菌成
分が遊離しないよう、界面活性剤の種類を選定する必要
がある。
【0033】(iii)塗布又は浸漬工程 抗菌性粒子を含む分散液で、フィルターを含浸又は塗布
することにより、フィルターを構成する繊維の細かな網
目に抗菌性粒子を担持させ、抗菌性を付加する。
【0034】含浸又は塗布する方法としては、浸漬法、
ディッピング法、ローラ法、エアーナイフ法、スプレー
法等の公知の方法を特に限定なく使用できるが、本発明
においては、抗菌性粒子を含む分散液にフィルターを浸
漬した後、パディングマングルで圧搾して余剰液を絞
り、その後乾燥させるパディング法が特に好ましい。パ
ディング法を用いることにより、フィルターの風合いを
保ちつつ、繊維全体に均一に抗菌性粒子を担持させるこ
とができる。
【0035】フィルターへの抗菌性粒子の担持量は、抗
菌剤の種類、抗菌性粒子の粒径、フィルターの用途など
によって変動し、広範囲で適宜選択することができる
が、通常、リン酸カルシウム系化合物粒子の場合で1〜
65重量%であるのが好ましく、5〜40重量%であるのが
より好ましい。1重量%未満では、抗菌剤の効果が発現
せず、65重量%を超えると、取り扱い時などに飛散する
粒子が多くなる。なお、本明細書において、担持率と
は、完成品の抗菌フィルターを基準とする百分率であ
る。
【0036】(iv)乾燥工程 フィルターに抗菌性粒子を担持させた後、加熱乾燥法又
は風乾法等によりフィルターを乾燥させる。
【0037】熱可塑性高分子繊維からなるフィルターを
用いた場合は、この段階で熱可塑性高分子繊維の軟化点
以上の温度で加熱乾燥させることが好ましい。この処理
によって熱可塑性高分子繊維が軟化し、粘着性を持った
繊維に抗菌性粒子が固着され、粒子の脱落が防止され
る。ただし抗菌効果の低下及びフィルターの熱変形を防
ぐため、乾燥温度をできるだけ低めに設定することが好
ましい。
【0038】
【実施例】次に、実施例に基づいて本発明をさらに詳述
するが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0039】実施例1 スプレードライヤーにて噴霧乾燥したアパタイトの粒子
(粒子径3μm、気孔率10%)1kgに対し、抗菌剤(孟
宗竹抽出物、「タケキノンエキス」、(株)タケックス
テクノ製)2Lを添加、攪拌し乾燥機に入れて80℃で24
時間乾燥させ、抗菌剤中のアルコール溶媒を蒸発させ
た。尚、当該抗菌剤は、150℃、24時間の加熱で約20%
抗菌効果が減少するものであり、本実施例の乾燥条件
で、抗菌効果が低下することはない。
【0040】このペレット状のアパタイトをボールミル
にて粉砕し、平均粒径を3μm程度の抗菌性粒子とし
た。
【0041】当該抗菌性粒子を水に分散し、10重量%の
分散液とし、ポリエチレン-ポリプロピレンの芯鞘構造
繊維(芯部PP:軟化点150℃、鞘部PE:軟化点120℃)か
らなる不織布(目付け20g/m2、「H21J-HR」、(株)
金星製紙製)にパディング加工し、150℃で10分間加熱
して、繊維表面に抗菌性粒子を固着させ、抗菌フィルタ
ーを作成した。なお、抗菌性粒子の担持量は5g/m2
であった。
【0042】得られた抗菌フィルターについて、繊維製
品衛生加工協議会「統一試験法マニュアル(1994)」記
載の方法により、抗菌試験を行った。
【0043】実施例1の抗菌フィルターから18mmの正方
形の試験片を採取し、供試菌(stafhylococcus aureus
IFO12732)の懸濁液0.2mlを試験片に接種し、37±1℃
で18時間培養して、菌数を計測した。対照品として、不
織布及び活性炭を担持した不織布を用いた。
【0044】 表1 抗菌試験の結果 菌数 接種直後 480,000 18時間培養後(抗菌性粒子担持) 20未満 18時間培養後(不織布のみ) 24,000,000 18時間培養後(活性炭担持) 24,000,000
【0045】表1から明らかなように、本発明の抗菌フ
ィルターは優れた抗菌効果を示した。
【0046】比較例1 実施例1で用いた不織布を、抗菌剤(孟宗竹抽出物、
「タケキノンエキス」、(株)タケックステクノ製)に
直接浸漬し、これを200℃の熱風で乾燥しようとしたと
ころ、不織布に引火した。
【0047】
【発明の効果】以上詳述したように、本発明の抗菌フィ
ルターは、溶液状の抗菌剤を担体粒子に付着させた後、
乾燥して前記抗菌剤中の可燃性溶媒を蒸発させることに
より、抗菌成分を定着させた抗菌性粒子を担持している
ので、製造中に引火する危険性がなく、抗菌効果に優れ
ている。また、吸湿性の少ない繊維であっても担持させ
やすい。
【0048】また、熱可塑性高分子繊維からなるフィル
ターを用いて、前記熱可塑性高分子繊維の軟化点以上の
温度で熱処理することにより、担持した抗菌性粒子が水
洗処理などによって脱落しなくなり、抗菌効果の保存性
を向上できる。
【0049】かかる特徴を有する本発明の抗菌フィルタ
ーは、天然物から抽出される抗菌剤を利用した抗菌フィ
ルターに極めて有用である。

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 溶液状の抗菌剤を担体粒子に付着させた
    後、乾燥して前記抗菌剤中の可燃性溶媒を蒸発させるこ
    とにより、抗菌成分を定着させた抗菌性粒子を調製し、
    当該抗菌性粒子を含む水性分散液で、織布又は不織布か
    らなるフィルターを含浸又は塗布してなることを特徴と
    する抗菌フィルター。
  2. 【請求項2】 請求項1に記載の抗菌フィルターにおい
    て、前記抗菌剤が、天然物からの抽出物を抗菌成分とす
    る抗菌フィルター。
  3. 【請求項3】 請求項2に記載の抗菌フィルターにおい
    て、前記抗菌剤がヒノキチオール、タケエキス、ハーブ
    オイル、シソ抽出物、ヨモギ抽出物、アロエ抽出物、ワ
    サビ抽出物、及びカラシ抽出物からなる群から選ばれる
    少なくとも1種の抗菌剤である抗菌フィルター。
  4. 【請求項4】 請求項1〜3のいずれかに記載の抗菌フ
    ィルターにおいて、前記担体粒子が、多孔性微粒子であ
    る抗菌フィルター。
  5. 【請求項5】 請求項4に記載の抗菌フィルターにおい
    て、前記多孔性微粒子が、粒径0.1〜50μmのリン酸カル
    シウム系化合物である抗菌フィルター。
  6. 【請求項6】 請求項1〜5のいずれかに記載の抗菌フ
    ィルターにおいて、前記水性分散液が、前記抗菌性粒子
    を1〜50重量%含む抗菌フィルター。
  7. 【請求項7】 請求項1〜6のいずれかに記載の抗菌フ
    ィルターにおいて、前記フィルターの少なくとも一部が
    熱可塑性高分子繊維からなり、前記抗菌性粒子を含む水
    性分散液で含浸又は塗布した後、前記熱可塑性高分子繊
    維の軟化点以上の温度で熱処理することにより、前記抗
    菌性粒子を前記フィルターに固着させたことを特徴とす
    る抗菌フィルター。
  8. 【請求項8】 請求項7に記載の抗菌フィルターにおい
    て、前記熱可塑性高分子繊維がポリエチレン繊維である
    抗菌フィルター。
  9. 【請求項9】 (a) 溶液状の抗菌剤を担体粒子に付着さ
    せる工程、(b)前記担体粒子を乾燥して前記抗菌剤中
    の可燃性溶媒を蒸発させ、抗菌成分を定着させた抗菌性
    粒子を調製する工程、(c)前記抗菌性粒子を含む水性
    分散液で、熱可塑性高分子繊維からなるフィルターを含
    浸又は塗布する工程、及び(d) 前記フィルターを前記熱
    可塑性高分子繊維の軟化点以上の温度で熱処理すること
    により、前記抗菌性粒子を前記フィルターに固着させる
    工程を含む抗菌フィルターの製造方法。
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