JP6678410B2 - セルローススポンジ及びその製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、機能性材料を含有するセルローススポンジ及びその製造方法に関する。
従来から、セルローススポンジに、機能性材料を含ませて機能性を付与することが行われていた。例えば、特許文献1には、ビスコーススポンジに抗菌性金属イオンでイオン交換してなるケイ酸塩粒子を含有させ、抗菌性を付与することが記載されている。特許文献2には、セルローススポンジに抗菌防臭剤としてN−アセチル化度が45%以上のキチン粉末を含有させて抗菌防臭性を付与することが記載されている。
特許文献1及び2に記載のセルローススポンジにおいて、機能性材料の含有量は低く、性能を向上させるためには、機能性材料の含有量を増加させる必要があった。しかし、セルローススポンジに機能性材料を多量に含ませると、スポンジの強度が低下しすぎて、実使用に耐えられないものになる恐れがある。
特開平2−153723号公報 特開平6−345894号公報
本発明は、上記従来の問題を解決するため、機能性材料の含有量が高く、かつ実使用に耐える強度を有するセルローススポンジ及びその製造方法を提供する。
本発明は、機能性材料を含有するセルローススポンジであって、上記機能性材料の含有量が、セルローススポンジの全体質量に対して20.5質量%以上であり、上記機能性材料の少なくとも一部がセルロースに覆われており、上記セルローススポンジのJIS K 6767に準じて測定した25%圧縮応力が0.1〜100kPaであることを特徴とするセルローススポンジに関する。
本発明は、また、セルロース、補強用繊維及び機能性材料を含むセルローススポンジであって、上記セルローススポンジの内部において、上記セルロース及び機能性材料が上記補強用繊維の長手方向に沿って補強繊維の表面に担持されており、上記補強用繊維の長さからみて、上記補強用繊維におけるセルロース及び機能性材料の担持率は60%以上であり、上記機能性材料の少なくとも一部が上記セルロースに覆われており、上記機能性材料の含有量がセルローススポンジの全体質量に対して20.5質量%以上であることを特徴とするセルローススポンジに関する。
本発明は、また、機能性材料を含有するセルローススポンジの製造方法であって、セルロースを含むビスコースに機能性材料、補強用繊維及び孔形成材を混合してスポンジ用組成物を調製する工程と、上記スポンジ用組成物を凝固再生し、孔形成材を溶出させる工程を含み、上記機能性材料として、機能性材料の分散液を用い、上記分散液のpHが9以上であることを特徴とするセルローススポンジの製造方法に関する。
本発明は、また、機能性材料を含有するセルローススポンジの製造方法であって、セルロースを含むビスコースに機能性材料、補強用繊維及び孔形成材を混合してスポンジ用組成物を調製する工程と、上記スポンジ用組成物を凝固再生し、孔形成材を溶出させる工程を含み、上記機能性材料は、機能性材料1gを水1Lに分散したときのpHが9以上であることを特徴とするセルローススポンジの製造方法に関する。
本発明は、また、機能性材料を含有するセルローススポンジの製造方法であって、セルロースを含むビスコースに機能性材料、補強用繊維及び孔形成材を混合してスポンジ用組成物を調製する工程と、上記スポンジ用組成物を凝固再生し、孔形成材を溶出させる工程を含み、上記スポンジ用組成物を調製する工程において、pHが9以上である水溶液をさらに加えることを特徴とするセルローススポンジの製造方法に関する。
本発明は、機能性材料を含有するセルローススポンジにおいて、上記機能性材料の含有量をセルローススポンジの全体質量に対して20.5質量%以上にし、セルローススポンジのJIS K 6767に準じて測定した25%圧縮応力を0.1〜100kPaにすることで、機能性材料の含有量が高く、かつ実使用に耐える強度を有するセルローススポンジを提供する。
本発明は、また、セルロース、補強用繊維及び機能性材料を含むセルローススポンジの内部において、セルロース及び機能性材料を補強用繊維の長手方向に沿うように補強繊維の表面に担持させ、補強用繊維の長さからみて、補強用繊維におけるセルロース及び機能性材料の担持率を60%以上にするとともに、機能性材料の含有量をセルローススポンジの全体質量に対して20.5質量%以上にすることで、機能性材料の含有量が高く、かつ実使用に耐える強度を有するセルローススポンジを提供する。
本発明は、また、ビスコース、機能性材料、補強用繊維及び孔形成材を混合した混合物(スポンジ用組成物)を用いて機能性材料を含有するセルローススポンジを製造するに際し、機能性材料の分散液を用いるとともに、該機能性材料の分散液のpHを9以上にすることで、機能性材料の含有量が高くても、強度が低下しすぎず、実使用に耐える強度を有するセルローススポンジを製造することができる。或いは、機能性材料1gを水1Lに分散したときのpHが9以上である機能性材料を用いることで、機能性材料の含有量が高くても、強度が低下しすぎず、実使用に耐える強度を有するセルローススポンジを製造することができる。或いは、スポンジ用組成物にpHが9以上である水溶液をさらに加えることで、機能性材料の含有量が高くても、強度が低下しすぎず、実使用に耐える強度を有するセルローススポンジを製造することができる。
図1は実施例1のセルローススポンジ(乾燥状態)の断面写真(100倍)である。 図2は実施例1のセルローススポンジ(乾燥状態)の断面写真(1000倍)である。 図3は実施例2のセルローススポンジ(乾燥状態)の断面写真(100倍)である。 図4は実施例3のセルローススポンジ(乾燥状態)の断面写真(100倍)である。 図5は実施例4のセルローススポンジ(乾燥状態)の断面写真(100倍)である。 図6は実施例5のセルローススポンジ(乾燥状態)の断面写真(100倍)である。 図7は比較例2のセルローススポンジ(乾燥状態)の断面写真(100倍)である。 図8は比較例2のセルローススポンジ(乾燥状態)の断面写真(1000倍)である。
通常、セルローススポンジは、ビスコースに、補強用繊維と結晶芒硝などの孔形成材、必要に応じて機能性材料を混合し、得られた混合物(スポンジ用組成物)を所定の形状に成形し、加熱凝固させた後、酸処理によりセルロースを再生することで製造する。本発明者らは、ビスコース、機能性材料、補強用繊維及び結晶芒硝などの孔形成材を混合したスポンジ用組成物を用いて機能性材料を含有するセルローススポンジを製造するに際し、機能性材料の分散液を用いるとともに該機能性材料の分散液のpHを9以上にするか、或いは、機能性材料1gを水1Lに分散したときのpHが9以上である機能性材料を用いるか、或いは、スポンジ用組成物にpHが9以上である水溶液をさらに加えることで、機能性材料の含有量が高くても、強度が低下しすぎず、高い機能性を有し、かつ、実使用に耐える強度を有するセルローススポンジが得られることを見出し、本発明に至った。
機能性材料をプラント等で扱う場合、例えば機能性材料が粉体の場合、粉体のままではハンドリング性が悪いためバインダー等を使用して造粒をする必要があるが、造粒にはコストが非常にかかる。機能性材料をセルローススポンジに練り込むことにより、加工コストを抑えることができる。また、成型材はセルロースなので、機能性材料の性能を阻害することなくスポンジに成型することができる。
上記セルローススポンジにおいて、機能性材料の含有量は、セルローススポンジの全体質量に対して20.5〜80質量%であることが好ましく、より好ましくは40〜80質量%であり、さらに好ましくは55〜75質量%である。セルローススポンジの全体質量に対して機能性材料の含有量が20.5質量%以上であると、機能性材料による性能を効果的に発揮する。また、セルローススポンジの全体質量に対して機能性材料の含有量が80質量%以下であると、スポンジの強度が低下しすぎず、取扱性が良好になる。また、セルローススポンジの全体質量に対して機能性材料の含有量が多いと、性能の効果的な発揮に加え、スポンジの構造として、補強用繊維を含む場合、補強用繊維を軸に機能性材料がセルロースで担持された構造を採りやすくなり、機能性材料が機能を発揮しやすい位置に存在しやすくなるため、また、セルロースの含有量が相対的に少なくなるため、スポンジ内外への液体や気体の流入・流出がしやすくなるため好ましい。
一実施態様において、上記セルローススポンジは、セルロース、補強用繊維及び機能性材料を含み、上記セルローススポンジの内部において、上記セルロース及び機能性材料が上記補強用繊維の長手方向に沿って補強繊維の表面に担持されており、上記補強用繊維の長さからみて、上記補強用繊維におけるセルロース及び機能性材料の担持率は60%以上である。上記補強用繊維の長さからみて、上記補強用繊維におけるセルロース及び機能性材料の担持率が60%以上であると、セルローススポンジの引張強度が高くなる。引張強度の観点から、上記補強用繊維の長さからみて、上記補強用繊維におけるセルロース及び機能性材料の担持率が80%以上であることが好ましく、90%以上であることがより好ましく、100%であることが特に好ましい。上記補強用繊維の長さからみて、上記補強用繊維におけるセルロース及び機能性材料の担持率が100%であると、上記セルローススポンジの内部において、上記セルロース及び機能性材料が上記補強用繊維の長手方向に沿って連続的に補強繊維の表面に担持されていることになる。さらに好ましくは、上記補強用繊維同士は、上記セルロース及び機能性材料により結合されて連続した気泡構造を有する多孔体を形成している。
本発明において、「セルローススポンジ」の内部とは、乾燥状態のセルローススポンジにおいて、スポンジの厚さが20mm以上の場合、スポンジ表面から厚さ方向に沿って10mm離れた位置において厚さ方向に垂直になるように切断した切断面、又はスポンジの厚さが20mm未満の場合、スポンジの厚さの1/2の位置で厚さ方向に垂直になるように切断した切断面を意味する。また、セルローススポンジの内部において、上記補強用繊維の長さからみる、上記補強用繊維におけるセルロース及び機能性材料の担持率は、以下のように測定算出するものである。以下において、特に指摘がない場合、「補強用繊維における担持率」は、セルローススポンジの内部において、上記補強用繊維の長さからみる、上記補強用繊維におけるセルロース及び機能性材料の担持率を意味する。セルローススポンジの内部、すなわち上述したとおり、セルローススポンジ(乾燥状態)の断面を光学顕微鏡にて繊維の存在が確認できる倍率(例えば20〜30本程度の繊維が確認できる)で観察し、任意に1本の補強用繊維を選び、その補強用繊維を1000倍まで拡大し、該補強用繊維において、補強用繊維の全体長さを測定してL1とし、セルロース及び機能性材料のいずれも担持されていない部分の長さを測定してL2とする。なお、補強用繊維において、セルロース及び機能性材料のいずれも担持されていない部分が二箇所以上存在する場合、L2は全ての部分の長さの合計である。この操作を20回繰り返し、任意に選択した20本の補強用繊維のL1及びL2を求める。次に、下記式により、個々の補強用繊維におけるセルロース及び機能性材料の担持率を算出した後、20本の補強用繊維におけるセルロース及び機能性材料の担持率を平均する。本発明において、乾燥状態とは、80〜100℃の恒温乾燥機内でセルローススポンジの質量変化がなくなるまで乾燥を行った後、セルローススポンジを温度20℃、相対湿度65%の条件下に24時間以上放置した状態をいう。
補強用繊維におけるセルロース及び機能性材料の担持率(%)={(L1−L2)/L1)}×100
本発明においてはセルロースによりスポンジを形成しているため、水などの液体を吸収させる場合に、スポンジ内部だけでなく、セルロースの内部まで液体が浸透するため、機能性材料がセルロースに覆われていても機能性材料の機能が発揮しやすくなっている。
上記セルローススポンジは、独立した気泡構造及び/又は連続した気泡構造を有する多孔体であってもよい。上記セルローススポンジは、密度が10〜500kg/m3であることが好ましく、70〜300kg/m3であることがより好ましく、100〜250kg/m3であることがさらに好ましい。密度が上記の範囲であると、強度及び柔軟性を両立することができる。上記セルローススポンジの気泡構造は、セルローススポンジの断面や表面を光学顕微鏡で観察することや細孔径分布測定により確認できる。上記セルローススポンジは、特に限定されないが、平均細孔径は、0.3〜1000μmであることが好ましく、0.5〜500μmであることがより好ましく、0.8〜100μmであることがさらに好ましく、1〜30μmであることが特に好ましい。また、上記セルローススポンジは、特に限定されないが、最大細孔径は、1.0〜3000μmであることが好ましく、5〜1000μmであることがより好ましく、8〜500μmであることがさらに好ましく、10〜100μmであることが特に好ましい。平均細孔径や最大細孔径が小さいと、液体の保持量・保持性、液体の通液性や気体の通気性が低くなる場合がある。平均細孔径や最大細孔径が大きいと、気泡が大きいため液体の保持量・保持性が低くなる場合や、機能性材料と接触しにくくなり、機能性を効果的に発揮できない場合がある。本願において、平均細孔径と最大細孔径は、測定用サンプルとして、縦30mm、横30mm、厚さ5mmの湿潤状態のセルローススポンジを用い、ASTM F 316−86(バブルポイント法)に準じ、「パーム・ポロメーター(ポーラス・マテリアルズ社製)」を用いて測定することができる。本発明において、湿潤状態のセルローススポンジは、水8Lにセルローススポンジ(縦110mm、横200mm、厚さ160mm)を1時間浸漬させた後、二層式電気洗濯機(日立ホーム&ライフソリューション株式会社製、型番「PS−TB42」)にて脱水を1分間行うことで得られたものを意味する。
上記セルローススポンジは、JIS K 6767に準じて測定した25%圧縮応力が0.1〜100kPaであり、好ましくは1〜80kPaであり、7〜60kPaであることがより好ましい。25%圧縮応力が上記範囲内であると、実使用に耐えるうえ、成形性が良好である。25%圧縮応力が0.1kPa未満であると、強度が低く実使用に耐えることができない。また、25%圧縮応力が100kPaを超えると、加工性が良くない場合がある。本発明において、JIS K 6767に準じて測定した25%圧縮応力は、測定サンプルとして縦50mm、横50mm、厚さ20mmの湿潤状態のセルローススポンジを用い、JIS K 6767に準じ、試験速度10mm/minにて測定した25%ひずみ時の圧縮応力を意味する。圧縮応力の測定機器としては、株式会社島津製作所製の小型卓上試験機「EZ Test」(型名「EZ−SX」などを用いることができる。
上記セルローススポンジは、JIS K 6767に準じて測定した50%圧縮応力が1〜100kPaであることが好ましく、より好ましくは10〜80kPaであり、15〜60kPaであることがさらに好ましい。50%圧縮応力が上記範囲内であると、実使用に耐えるうえ、成形性が良好である。本発明において、JIS K 6767に準じて測定した50%圧縮応力は、測定サンプルとして縦50mm、横50mm、厚さ20mmの湿潤状態のセルローススポンジを用い、JIS K 6767に準じ、試験速度10mm/minにて測定した50%ひずみ時の圧縮応力を意味する。
上記セルローススポンジは、JIS K 6767に準じて測定した50%圧縮永久歪みが50%以下であることが好ましく、より好ましくは40%以下であり、30%以下であることがさらに好ましい。50%圧縮永久歪みが上記範囲内であると、外力等により変形しにくいため好ましい。本発明において、JIS K 6767に準じて測定した50%圧縮永久歪みは、測定サンプルとして縦50mm、横50mm、厚さ20mmの湿潤状態のセルローススポンジを用い、JIS K 6767に準じ、サンプルを初めの厚さから50%ひずんだ状態に圧縮し、温度23℃±2℃において22時間放置し、圧縮終了後、24時間後の厚さを測定し、下記式にて算出した50%圧縮永久歪みを意味する。測定機器としては、株式会社島津製作所製の小型卓上試験機「EZ Test」(型名「EZ−SX」を用いることができる。
50%圧縮永久歪み(%)={(サンプルの初めの厚さ−サンプルの圧縮終了後24時間後の厚さ)/サンプルの初めの厚さ}×100
上記セルローススポンジは、引張強度が好ましくは1〜200Nであり、より好ましくは2〜180Nであり、さらに好ましくは3〜90Nであり、特に好ましくは5〜50Nである。引張強度が上記の範囲内であると、スポンジの加工性や使用時の耐久性が適切になる。また、上記セルローススポンジは、10%伸長時強度が好ましくは0.5〜100Nであり、より好ましくは1〜50Nであり、さらに好ましくは2〜30Nである。10%伸長時強度が上記の範囲内であると、スポンジの加工性や使用時の耐久性が適切になる。本発明において、引張強度は、試験片として湿潤状態のセルローススポンジを用い、引張試験機「UTC−1T(株式会社エー・アンド・デイ製)」を使用し、試験片の幅を40mm、厚さを10mm、つかみ間隔を100mmとし、引張速度100mm/minの条件で破断時の引張強度を測定したものである。また、試験片が10%伸長したとき(10mm伸長したとき)の引張強度を10%伸長時強度として測定する。
上記機能性材料としては、吸着性(物理吸着、化学吸着)、イオン交換吸着性、抗菌性、殺菌性、消臭・脱臭性、芳香性、吸水性、吸放湿性、熱吸収性、蓄熱・発熱性、相変化性などの機能性を有する材料であればよく、特に限定されない。例えば、天然ゼオライト、合成ゼオライト及び人工ゼオライトなどの重金属吸着剤及び/又は陰イオン吸着剤、シュベルトマナイト、アロフェン、ハロイサイトとモンモリロナイトなどの天然鉱物及び無機物などの重金属吸着剤及び/又はイオン吸着剤、活性炭などの消臭剤、高分子吸収体、酸化チタンなどの光触媒、パラフィンなどの相変化物質、各種ビタミン類(ビタミンA、ビタミンB、ビタミンC、ビタミンD、ビタミンE、ビタミンKなど)、各種芳香化合物(アルコール類、エステル類など)、キレート剤及びそれらに銀、銅など金属イオンが担持した担持体、キチン、キトサン及び第四級アンモニウム塩などの抗菌剤、イミダゾール系などの殺菌剤、木酢液などの忌避剤、ポリアクリル酸ナトリウムなどの吸水剤、アクリレート樹脂類などの吸放湿剤、リン系及び無機系難燃剤、並びにこれらの材料を含むマイクロカプセルなどが挙げられる。上記機能性材料は、単独で用いてもよく、二種以上を組み合わせて用いてもよい。上記機能性材料がゼオライトの場合、重金属吸着性や陰イオン吸着性に加えて、アンモニアなどの悪臭物質に対して強い吸着力を有するため、ゼオライトを含むセルローススポンジは、重金属吸着及び/又は陰イオン吸着に加えて、臭気脱臭にも用いることができる。機能性材料としては、特に限定されず、固体状、液体状、又は気体状などのいずれの形態であってもよいが、固体状及び/又は液体状であることが好ましい。また、機能性材料の形状は特に限定されないが、粒子状、繊維状、及びシート状などの形状が好ましい。
上記機能性材料がゼオライトの場合、ゼオライトを含有するセルローススポンジにおけるゼオライトの含有量は、セルローススポンジの灰分により求めることができる。灰分とは、高温で有機物を焼却し、残渣として残る無機物のことである。本願において、セルローススポンジの灰分は、JIS L 1015 8.20に準じて測定しており、セルローススポンジの全体質量に対するゼオライトの含有量は、セルローススポンジの絶乾質量に対する、セルローススポンジを850℃で燃焼させたときの灰分(ゼオライト)の質量の割合で示される。
上記セルローススポンジは、スポンジを構成するセルロースの含有量が、セルローススポンジの全体質量に対して60質量%以下であることが好ましく、45質量%以下であることがより好ましく、35質量%以下であることがさらに好ましい。また、セルロースの含有量はセルローススポンジの全体質量に対して10質量%以上であることが好ましく、15質量%以上であることがより好ましい。機能性材料の含有量が多くなると相対的にセルロースの含有量が低くなり、スポンジとしての強度が低下するが、本発明では、後述するセルローススポンジの製造方法により、機能性材料の含有量が高くても強度が低下しすぎないスポンジを得ることができる。
上記セルローススポンジは、強度を高めるため、補強用繊維を含むことが好ましい。上記補強用繊維は、特に限定されないが、セルロース系繊維、ポリエステル系繊維、ポリプロピレン系繊維、ナイロン繊維などを用いることができる。好ましくは、上記補強用繊維は、セルロース系繊維である。セルロース系繊維であれば、スポンジを形成するセルロースと同様の材料であるため親和性が良く、スポンジの形成性や機能性材料の担持性において優位となる場合がある。上記セルロース系繊維は、天然セルロース系繊維であってもよく、再生セルロース系繊維であってもよい。天然セルロース系繊維としては、例えば、綿、麻及びバルブなどが挙げられる。再生セルロース系繊維としては、例えば、レーヨン、ポリノジック、キュプラ及びリヨセル(テンセル、登録商標)などが挙げられる。また、補強用繊維はセルロース系繊維などの親水性繊維であるとスポンジの製造時にセルロースと混練しやすいため好ましい。上記補強用繊維は、一種で用いても良く、二種以上を組み合わせて用いても良い。上記補強用繊維の含有量は、セルローススポンジの全体質量に対して5〜50質量%であることが好ましく、5〜30質量%であることがより好ましく、7〜10質量%であることがさらに好ましい。上記補強用繊維の繊度及び繊維長は特に限定されないが、例えば、繊度は0.1〜17dtexであることが好ましく、繊維長は0.5〜30mmであることが好ましい。なお、機能性材料が補強用繊維として存在してもよい。
本発明のセルローススポンジは、セルロースを含むビスコースに補強用繊維、結晶芒硝などの孔形成材、機能性材料を混合し、得られた混合物(スポンジ用組成物)を所定の形状に成形した後、加熱により凝固再生することで製造することができる。スポンジ用組成物を調製するに際し、機能性材料の分散液を用いるとともに該分散液のpHを9以上にするか、或いは、機能性材料1gを水1Lに分散したときのpHが9以上である機能性材料を用いるか、或いは、スポンジ用組成物にpHが9以上である水溶液をさらに加える。
先ず、セルロースを含むビスコースに補強用繊維と結晶芒硝などの孔形成材を添加して混練する。必要に応じて、界面活性剤、柔軟化剤、湿潤剤などを添加してもよい。補強用繊維としては、上述したものを用いることができる。混練は、特に限定されないが、例えば二軸ニーダーなどを用いて行うと良い。
ビスコースとしては、セルロースを7〜10質量%、水酸化ナトリウムを5〜8質量%、二硫化炭素を2〜3.5質量%含むものを用いることができる。
結晶芒硝は、孔形成材として機能する。結晶芒硝の添加量は、目的とするスポンジの密度に応じて適宜決めればよい。例えば、ビスコース中のセルロースの質量に対し、10〜100倍であってもよく、20〜80倍であってもよく、30〜60倍であってもよい。結晶芒硝の添加量が上記範囲内であれば、スポンジの強度及び柔軟性を両立することができる。結晶芒硝は、後続の凝固再生や水洗工程で溶出除去される。
孔の形成は、結晶芒硝を用いる方法に限定されない。例えば、無機炭酸塩などの発泡剤を用いて孔を形成する方法、界面活性剤などを用い泡立てて孔を形成する方法、芒硝のような水に溶けやすい材料、又は、加熱することで融解する材料(氷やロウなど)を用いて孔を形成する方法などを用いてもよい。
次に、得られた混練物に、機能性材料を添加してさらに混練を行い、スポンジ用組成物を調製する。スポンジ用組成物を調製するに際し、機能性材料の分散液を用いるとともに該分散液のpHを9以上にするか、或いは、機能性材料1gを水1Lに分散したときのpHが9以上である機能性材料を用いるか、或いは、スポンジ用組成物にpHが9以上である水溶液をさらに加える。これにより、機能性材料の含有量が高くても、実使用に耐える強度を有するセルローススポンジが得られる。機能性材料を分散させる液体は、特に限定されず、機能性材料の性質などにより適宜選択することができ、例えば、水であることが好ましい。上記機能性材料の分散液のpHは好ましくは9.5以上であり、より好ましくは10以上である。上記機能性材料の分散液のpHの上限は特に限定されず、14以下であればよい。或いは、上記機能性材料1gを水1Lに分散したときのpHは9.5以上であることが好ましく、より好ましくは10以上である。上記機能性材料1gを水1Lに分散したときのpHの上限は特に限定されず、14以下であればよい。本願において、pHは約25℃で測定する。機能性材料1gを水1Lに分散したときのpHが9以上である場合、機能性材料をそのまま用いることができる。また、所定の量の機能性材料を水に分散した後、機能性材料の分散液のpHが9以上の場合は、機能性材料の分散液をそのまま用いることができる。一方、所定の量の機能性材料を水に分散した後、機能性材料の分散液のpHが9未満の場合は、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムなどのアルカリによりpHが9以上になるように調整すればよい。或いは、任意の機能性材料を含むスポンジ用組成物にpHが9以上である水溶液をさらに加えてもよい。特に、機能性材料1gを水1Lに分散したときのpHが9未満の機能性材料又はpHが9未満の機能性材料の水分散液を含むスポンジ用組成物に、pHが9以上である水酸化ナトリウム、水酸化カリウムなどのアルカリの水溶液を添加する必要がある。水としては、特に限定されないが、例えば、機能性材料としてゼオライトを用いる場合は、イオン交換水を用いることが好ましい。機能性材料1gを水1Lに分散したときのpHが9未満の機能性材料をそのまま用いた場合や、pHが9未満の機能性材料の水分散液をそのまま用いると、後続の凝固再生が不良になり、所定の形状のスポンジを得ることができない。
上記機能性材料は、ビスコース中で安定な機能性材料であることが好ましい。本発明において、「ビスコース中で安定」とは、ビスコースに機能性材料を混合したときに質量減量が少ないことを意味する。具体的には、6質量%の水酸化ナトリウム水溶液における質量減量率で評価し、質量減量率が40%以下であれば、ビスコース中で安定である。質量減量率は、以下の方法で求めることができる。
(1)濃度が6質量%の水酸化ナトリウム水溶液を20g用意する。
(2)対象となる機能性材料を1g(F0)採取し、水酸化ナトリウム水溶液に添加する。
(3)機能性材料を添加した水溶液をよく撹拌した後、1時間静置する。
(4)濾紙を105℃の恒温乾燥機で1時間予め乾燥させ、乾燥後の濾紙の質量(M0)を測定する。
(5)前記4の濾紙を用いて前記3の水溶液中の機能性材料を濾別する。
(6)濾液が中性になるまで純水で濾紙を洗浄する。
(7)濾別した機能性材料を含む濾紙を105℃の恒温乾燥機で1時間乾燥させる。
(8)乾燥後の機能性材料を含む濾紙の質量(M1)を測定する。
(9)下記式を用いて、機能性材料の質量減量率を算出する。
質量減量率(%)={(M1−M0)/F0}×100
上記機能性材料の分散液において、機能性材料が粒子である場合、メジアン径(d50)が20μm以下であることが好ましく、15μm以下であることがより好ましい。メジアン径が上記範囲であると、セルローススポンジにおける機能性材料の表面積が大きくなり、機能性を発揮しやすくなる。上記機能性材料のメジアン径の下限は、特に限定されないが、例えば、スポンジ製造時に脱落しにくくするという観点から、1μm以上であることが好ましい。本発明において、機能性材料のメジアン径はレーザー回折光散乱法により測定する体積累積平均粒子径(d50)を意味する。この測定器としては、例えば株式会社島津製作所製のナノ粒子径分布測定装置「SALD−7500nano」を用いることができる。
上記においては、セルロースを含むビスコースに補強用繊維と結晶芒硝を添加して混練した後に、得られた混練物に機能性材料や機能性材料の水分散液を混合してさらに混練を行っているが、セルロースを含むビスコースに補強用繊維、結晶芒硝、機能性材料や機能性材料の分散液を添加して混練してもよい。このような場合でも、必要に応じて、界面活性剤、柔軟化剤、湿潤剤などを添加してもよい。
次に、得られたスポンジ用組成物を凝固再生する。具体的には、上記スポンジ用組成物を適当な大きさの型に入れた後、熱水中の加熱処理により、凝固と再生を同時に行い、その後、水洗する。加熱処理の温度は、特に限定されないが、例えば、70〜120℃で行うことが好ましく、90〜100℃で行うことがより好ましい。加熱処理の時間は、バッチ式の場合、2時間以上であることが好ましく、5時間以上行ってもよい。熱水中の加熱処理の後に、必要に応じて酸処理によりさらに再生を行ってもよい。酸処理は、硫酸、酢酸などの酸を用いて行うことができる。なお、機能性材料が酸に溶けやすい(例えば、濃度が115g/Lの硫酸における質量減量率が50%以上)場合は、酸処理を行わないか、pH3〜6.9の弱酸性下で処理することが好ましい。なお、濃度が115g/Lの硫酸における質量減量率は、前述した6質量%の水酸化ナトリウム水溶液に対する質量減量率の算定方法において、濃度が6質量%の水酸化ナトリウム水溶液を濃度が115g/Lの硫酸に置き換えて測定し、算出できる。上記の熱水中で加熱処理時及び後続の水洗時に結晶芒硝の全部又は一部が溶出することになる。また、スポンジの凝固再生を阻害しない程度において、スポンジの凝固再生中又はスポンジの凝固再生完了後に酸処理などを行って、スポンジ自体のpHや機能性材料のpHなどを調整しても良い。特に、再生が完了した後の機能性材料についてはpHが9未満になっていても良い。上記スポンジ用組成物を入れる型として、通常ブロック状のものを用い、得られたセルローススポンジは、ブロック状になる。得られたセルローススポンジは、用途などに応じて、様々のサイズのブロック状やシート状にすることができる。
上記機能性材料を含むセルローススポンジは、機能性材料の機能性を活かした機能材として、例えば、吸着特性などを活かした吸着材として用いることができる。また、機能性材料の機能性を活かし、消臭・脱臭材、芳香材、吸水材、吸放湿材、熱吸収材、蓄熱・発熱材、清掃具(拭き取り材など)、緩衝材、クッション材、遮音材、吸音材、シール材、防振材、断熱材などとして用いることもできる。
本発明のセルローススポンジは、他の材料と複合化されてもよい。他の材料としては、固体状や液体状などのいずれの形態のものを適宜使用することができ、例えば、粒子、糸、織編物、不織布、フィルム、ネット、その他成形体等が挙げられ、他の材料を構成するものは樹脂、金属、ゴム、木材など、使用用途に応じて適宜設定すると良い。
以下、実施例により本発明をさらに具体的に説明する。本発明は、下記の実施例に限定されるものではない。
(実施例1)
(1)[ゼオライトの分散液の調製]
ゼオライトとして人工ゼオライト(富士チタン工業株式会社、品名「エフティライト FTA粉末」、以下において、単に「人工FTA」とも記す。)を用い、イオン交換水にゼオライトを分散して、ゼオライトの濃度が45質量%であり、pHが13.0である分散液(以下において、分散液Aとも記す。)を調製した。
(2)[セルローススポンジの作製]
セルロースを8.5質量%、水酸化ナトリウムを5.7質量%及び二硫化炭素を2.6質量%含むビスコースを準備した。次に、補強用繊維として繊度5.6dtex、繊維長5mmのレーヨン繊維をビスコース中のセルロースに対して40質量%、更に、結晶芒硝をビスコース中のセルロースと補強用繊維の合計質量に対して40倍質量になるように添加し2軸ニーダーを用いて混練した。得られた混練物に、上記(1)で調製した分散液Aをゼオライトがビスコース中のセルロースと補強用繊維の合計質量に対して200質量%となるように添加してさらに2軸ニーダーを用いて混練を行った。次に、得られたスポンジ用組成物を縦11cm、横20cm、高さ16cmの型に詰めて成形し、90〜100℃の熱水で8時間加熱して凝固再生させるとともに、結晶芒硝を溶出させた。その後、得られたスポンジ成形体を水洗してゼオライトを含むセルローススポンジ(以下において、スポンジAとも記す。)を得た。
(実施例2)
得られた混練物に、分散液Aをゼオライトがビスコース中のセルロースと補強用繊維の合計質量に対して300質量%となるように添加したこと以外は、実施例1と同様にしてゼオライトを含むセルローススポンジ(以下において、スポンジBとも記す。)を得た。
(実施例3)
(1)[ゼオライトの分散液の調製]
ゼオライトとして合成ゼオライト(東ソー株式会社「ゼオラム(登録商標)F‐9」、以下において、単に「合成F‐9」とも記す。」を用い、イオン交換水にゼオライトを分散して、ゼオライトの濃度が40質量%であり、pHが10.3である分散液(以下において、分散液Bとも記す。)を調製した。
(2)[セルローススポンジの作製]
得られた混練物に、分散液Bをゼオライトがビスコース中のセルロースと補強用繊維の合計質量に対して200質量%となるように添加したこと以外は、実施例1と同様にしてゼオライトを含むセルローススポンジ(以下において、スポンジCとも記す。)を得た。
(実施例4)
得られた混練物に、分散液Bをゼオライトがビスコース中のセルロースと補強用繊維の合計質量に対して300質量%となるように添加したこと以外は、実施例1と同様にしてゼオライトを含むセルローススポンジ(以下において、スポンジDとも記す。)を得た。
(実施例5)
(1)[ゼオライトの分散液の調製]
ゼオライトとして人工ゼオライト(富士チタン工業株式会社、品名「エフティライト FTN粉末」、以下において、単に「人工FTN」とも記す。)を用い、イオン交換水にゼオライトを分散し、水酸化ナトリウムでpHを調整して、ゼオライトの濃度が45質量%であり、pHが13である分散液(以下において、分散液Cとも記す。)を調製した。
(2)[セルローススポンジの作製]
得られた混練物に、分散液Cをゼオライトがビスコース中のセルロースと補強用繊維の合計質量に対して300質量%となるように添加したこと以外は、実施例1と同様にしてゼオライトを含むセルローススポンジ(以下において、スポンジEとも記す。)を得た。
(比較例1)
(1)[ゼオライトの分散液の調製]
ゼオライトとして人工ゼオライト(富士チタン工業株式会社、品名「エフティライト」FTN粉末」)を用い、イオン交換水にゼオライトを分散して、ゼオライトの濃度が45質量%であり、pHが7である分散液(以下において、分散液Dとも記す。)を調製した。
(2)[セルローススポンジの作製]
得られた混練物に、分散液Dをゼオライトがビスコース中のセルロースと補強用繊維の合計質量に対して200質量%となるように添加したこと以外は、実施例1と同様にしてゼオライトを含むセルローススポンジ(以下において、スポンジFとも記す。)を作製した。得られたスポンジFは、凝固再生不良により成形性が悪く、形が崩れていた。
(比較例2)
得られた混練物に、分散液Dをゼオライトがビスコース中のセルロースと補強用繊維の合計質量に対して300質量%となるように添加したこと以外は、実施例1と同様にしてゼオライトを含むセルローススポンジ(以下において、スポンジGとも記す。)を作製した。得られたスポンジGは、凝固再生不良により成形性が悪く、形が崩れていた。
(比較例3)
得られた混練物に、ゼオライトを添加しないこと以外は、実施例1と同様にしてセルローススポンジ(以下において、スポンジHも記す。)を得た。
実施例及び比較例で得られた各セルローススポンジの全体質量に対するゼオライトの含有量、補強用繊維における担持率及び各セルローススポンジの物性を下記のように測定算出してその結果を下記表1に示した。下記表1には、各セルローススポンジに練り込んだゼオライトの種類及びスポンジ用組成物中のセルロースの全体質量に対するゼオライトの添加量も示した。下記表1には、上述したとおりに測定算出した、6質量%の水酸化ナトリウム水溶液におけるゼオライトの質量減量率(表1において、「質量減量率(%)対6質量%NaOH」と記す。)及び115g/Lの硫酸におけるゼオライトの質量減量率(表1において、「質量減量率(%)対115g/L硫酸」と記す。)も示した。
(セルローススポンジにおけるゼオライトの含有量)
JIS L 1015 8.20 に準じて灰分を測定し、セルローススポンジの全体質量に対するゼオライトの含有量を求めた。具体的には、絶乾質量1gのセルローススポンジを、850℃の電気炉で2時間燃焼させたときに残る成分(灰分)の質量を測定し、上記セルローススポンジの全体質量に対する灰分(ゼオライト)の質量の割合を求めた。
(補強用繊維における担持率)
乾燥状態のセルローススポンジの断面(スポンジの表面から厚さ方向に沿って10mm離れた位置において厚さ方向に垂直になるように切断した切断面)を光学顕微鏡(株式会社キーエンス社製「VHX−500F」)にて繊維の存在が確認できる倍率(例えば20〜30本程度の繊維が確認できる)で観察し、任意に1本の補強用繊維を選び、その補強用繊維を1000倍まで拡大し、該補強用繊維において、補強用繊維の全体長さを測定してL1とし、セルロース及び機能性材料のいずれも担持されていない部分の長さを測定してL2とした。なお、補強用繊維において、セルロース及び機能性材料のいずれも担持されていない部分が二箇所以上存在する場合、L2は全ての部分の長さの合計とした。この操作を20回繰り返し、任意に選択した20本の補強用繊維のL1及びL2を求めた。次に、下記式により、個々の補強用繊維におけるセルロース及び機能性材料の担持率を算出した後、20本の補強用繊維におけるセルロース及び機能性材料の担持率を平均した。
補強用繊維におけるセルロース及び機能性材料の担持率(%)={(L1−L2)/L1}×100
(25%圧縮応力、50%圧縮応力)
JIS K 6767に準じて測定した。具体的には、測定用サンプルとして湿潤状態のセルローススポンジ(縦50mm、横50mm、厚さ20mm)を用い、JIS K 6767に準じ、25%ひずみ時の圧縮応力、50%ひずみ時の圧縮応力を測定し、それぞれ、25%圧縮応力、50%圧縮応力とした。測定機器として、株式会社島津製作所製の小型卓上試験機「EZ Test」(型名「EZ−SX」を用い、試験速度は10mm/minとした。ここで、湿潤状態のセルローススポンジは、水8Lにセルローススポンジ(縦110mm、横200mm、厚さ160mm)を1時間浸漬させた後、二層式電気洗濯機(日立ホーム&ライフソリューション株式会社製、型番「PS−TB42」)にて脱水を1分間行うことで得られた。以下においても同様にして湿潤状態のセルローススポンジを得た。
(50%圧縮永久歪み)
JIS K 6767に準じて測定した。具体的には、測定サンプルとして湿潤状態のセルローススポンジ(縦50mm、横50mm、厚さ20mm)を用い、JIS K 6767に準じ、サンプルを初めの厚さから50%ひずんだ状態に圧縮し、温度23℃±2℃において22時間放置し、圧縮終了後、24時間後の厚さを測定し、下記式にて50%圧縮永久歪みを算出した。測定機器として、株式会社島津製作所製の小型卓上試験機「EZ Test」(型名「EZ−SX」を用いた。
50%圧縮永久歪み(%)={(サンプルの初めの厚さ−サンプルの圧縮終了後24時間後の厚さ)/サンプルの初めの厚さ}×100
(引張強度、引張伸度、10%伸長時強度)
引張試験機「UTC−1T(株式会社エー・アンド・デイ製)」を使用して測定した。具体的には、試験片として湿潤状態のセルローススポンジを用い、引張試験機「UTC−1T(株式会社エー・アンド・デイ製)」を使用し、試験片の幅を40mm、厚さを10mm、つかみ間隔を100mmとし、引張速度100mm/minの条件で破断時の引張強度及び引張伸度を測定した。また、試験片が10%伸長したとき(10mm伸長したとき)の引張強度を10%伸長時強度として測定した。
(平均細孔径、最大細孔径)
ASTM F 316−86(バブルポイント法)に準じ、「パーム・ポロメーター(ポーラス・マテリアルズ社製)」を用いて測定した。測定用サンプルとして、縦30mm、横30mm、厚さ5mmの湿潤状態のセルローススポンジを用いた。
表1から分かるように、実施例のセルローススポンジは、機能性材料の含有量が高くても、例えば、55質量%を超えても、実使用に耐える強度を有し、例えば25%圧縮応力が8kPaを超えていた。また、50%圧縮永久歪みの結果からもわかるように、実施例のセルローススポンジは比較的変形しにくいものであった。一方、比較例1〜2のセルローススポンジは、機能性材料の含有量は高いが、強度が低く、25%圧縮応力などの物性を測定することができなかった。
図1〜図8に、それぞれ、光学顕微鏡で観察した実施例1〜5及び比較例2のセルローススポンジの断面写真を示した。図1は実施例1のセルローススポンジ(乾燥状態)の断面写真(100倍)であり、図2は実施例1のセルローススポンジ(乾燥状態)の断面写真(1000倍)であった。図3は実施例2のセルローススポンジ(乾燥状態)の断面写真(100倍)であり、図4は実施例3のセルローススポンジ(乾燥状態)の断面写真(100倍)であり、図5は実施例4のセルローススポンジ(乾燥状態)の断面写真(100倍)であり、図6は実施例5のセルローススポンジ(乾燥状態)の断面写真(100倍)であった。図7は比較例2のセルローススポンジ(乾燥状態)の断面写真(100倍)であり、図8は比較例2のセルローススポンジ(乾燥状態)の断面写真(1000倍)であった。図1〜図6から分かるように、実施例のセルローススポンジの内部において、セルロース及び機能性材料が補強用繊維の長手方向に沿って補強繊維の表面の大部分に担持されていた。特に、実施例1、3〜5のセルローススポンジの内部において、セルロース及び機能性材料が補強用繊維の長手方向に沿って連続的に補強繊維の表面に担持されていた。一方、図7及び図8から分かるように、比較例のセルローススポンジの内部において、セルロース及び機能性材料が補強用繊維の長手方向に沿って補強繊維の表面の一部分のみに担持されていた。それゆえ、実施例のセルローススポンジの引張強度は高く、実使用に耐える強度を有していた。また、実施例1、3〜5のセルローススポンジの引張強度はより高かった。
本発明の機能性材料を含有するセルローススポンジは、機能性材料の機能性を活かした機能材として、例えば、吸着材、消臭・脱臭材、芳香材、吸水材、吸放湿材、熱吸収材、蓄熱・発熱材、清掃具(拭き取り材など)、緩衝材、クッション材、遮音材、吸音材、シール材、防振材、断熱材などとして用いることができる。

Claims (12)

  1. 機能性材料を含有するセルローススポンジであって、
    前記機能性材料はゼオライトであり、
    前記機能性材料の含有量が、セルローススポンジの全体質量に対して20.5質量%以上であり、
    前記機能性材料の少なくとも一部がセルロースに覆われており、
    前記セルローススポンジのJIS K 6767に準じて測定した25%圧縮応力が0.1〜100kPaであることを特徴とするセルローススポンジ。
  2. 機能性材料を含有するセルローススポンジであって、
    前記機能性材料は濃度が115g/Lの硫酸における質量減量率が50%以上であり、
    前記機能性材料の含有量が、セルローススポンジの全体質量に対して20.5質量%以上であり、
    前記機能性材料の少なくとも一部がセルロースに覆われており、
    前記セルローススポンジのJIS K 6767に準じて測定した25%圧縮応力が0.1〜100kPaであることを特徴とするセルローススポンジ。
  3. 前記機能性材料の含有量が、セルローススポンジの全体質量に対して55質量%以上である請求項1又は2に記載のセルローススポンジ。
  4. 前記セルローススポンジは、JIS K 6767に準じて測定した50%圧縮永久歪みが30%以下である請求項1〜3のいずれか1項に記載のセルローススポンジ。
  5. セルロース、補強用繊維及び機能性材料を含むセルローススポンジであって、
    前記機能性材料はゼオライトであり、
    前記セルローススポンジの内部において、前記セルロース及び機能性材料が前記補強用繊維の長手方向に沿って補強繊維の表面に担持されており、前記補強用繊維の長さからみて、前記補強用繊維におけるセルロース及び機能性材料の担持率は60%以上であり、
    前記機能性材料の少なくとも一部が前記セルロースに覆われており、
    前記機能性材料の含有量がセルローススポンジの全体質量に対して20.5質量%以上であることを特徴とするセルローススポンジ。
  6. セルロース、補強用繊維及び機能性材料を含むセルローススポンジであって、
    前記機能性材料は濃度が115g/Lの硫酸における質量減量率が50%以上であり、
    前記セルローススポンジの内部において、前記セルロース及び機能性材料が前記補強用繊維の長手方向に沿って補強繊維の表面に担持されており、前記補強用繊維の長さからみて、前記補強用繊維におけるセルロース及び機能性材料の担持率は60%以上であり、
    前記機能性材料の少なくとも一部が前記セルロースに覆われており、
    前記機能性材料の含有量がセルローススポンジの全体質量に対して20.5質量%以上であることを特徴とするセルローススポンジ。
  7. 前記セルローススポンジの内部において、前記セルロース及び機能性材料が前記補強用繊維の長手方向に沿って補強繊維の表面に連続的に担持されており、
    前記補強用繊維同士は、前記セルロース及び機能性材料により結合されて連続した気泡構造を有する多孔体を形成している請求項5又は6に記載のセルローススポンジ。
  8. 前記セルローススポンジは、JIS K 6767に準じて測定した25%圧縮応力が0.1〜100kPaである請求項5〜7のいずれか1項に記載のセルローススポンジ。
  9. 前記セルローススポンジは、JIS K 6767に準じて測定した50%圧縮永久歪みが30%以下である請求項5〜8のいずれか1項に記載のセルローススポンジ。
  10. 機能性材料を含有するセルローススポンジの製造方法であって、
    セルロースを含むビスコースに機能性材料、補強用繊維及び孔形成材を混合してスポンジ用組成物を調製する工程と、
    前記スポンジ用組成物を凝固再生し、孔形成材を溶出させる工程を含み、
    前記機能性材料として、機能性材料の分散液を用い、前記分散液のpHが9以上であることを特徴とするセルローススポンジの製造方法。
  11. 機能性材料を含有するセルローススポンジの製造方法であって、
    セルロースを含むビスコースに機能性材料、補強用繊維及び孔形成材を混合してスポンジ用組成物を調製する工程と、
    前記スポンジ用組成物を凝固再生し、孔形成材を溶出させる工程を含み、
    前記機能性材料は、機能性材料1gを水1Lに分散したときのpHが9以上であることを特徴とするセルローススポンジの製造方法。
  12. 機能性材料を含有するセルローススポンジの製造方法であって、
    セルロースを含むビスコースに機能性材料、補強用繊維及び孔形成材を混合してスポンジ用組成物を調製する工程と、
    前記スポンジ用組成物を凝固再生し、孔形成材を溶出させる工程を含み、
    前記スポンジ用組成物を調製する工程において、pHが9以上である水溶液をさらに加えることを特徴とするセルローススポンジの製造方法。
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