JP2001524605A - 冶金粉末組成物用の滑剤 - Google Patents

冶金粉末組成物用の滑剤

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JP2001524605A JP2000523028A JP2000523028A JP2001524605A JP 2001524605 A JP2001524605 A JP 2001524605A JP 2000523028 A JP2000523028 A JP 2000523028A JP 2000523028 A JP2000523028 A JP 2000523028A JP 2001524605 A JP2001524605 A JP 2001524605A
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Abstract

(57)【要約】 本発明は鉄系冶金粉末組成物の熱間圧縮処理用滑剤に関する。滑剤の５０〜１００重量％が、５，０００〜５０，０００の数平均分子量Ｍｎを有する芳香族のまたは一部芳香族のポリエステルである。本発明は、さらに、上記の滑剤を含む金属粉末組成物、その滑剤を使用することによる焼結製品の製造法、および冶金粉末の熱間圧縮処理におけるその滑剤の使用に関する。

Description

【発明の詳細な説明】
【０００１】 本発明は、鉄系冶金粉末組成物用の滑剤、および同滑剤を含む金属粉末組成物
に関する。本発明は、さらに、同滑剤を使用することによる焼結製品の製造法、
および金属粉末組成物中での同滑剤の熱間圧縮処理（warm compaction）におけ る使用に関する。本発明による滑剤を使用することにより、高い湿態強度（gree
n strength）を得ることができる。
【０００２】 産業界では、金属粉末組成物を圧縮し、そして焼結することにより製造された
金属製品が、次第に広く使用されるようになってきている。色々な形状と厚さを
持つ多数の異なる製品が製造されているが、これらの製品に付けられる品質要件
は、製造されるそれら金属製品が高密度を持つと共に、高強度も有するというこ
とである。
【０００３】 金属の圧縮処理では、色々な標準温度範囲が用いられる。冷間および熱間の両
プレス処理では滑剤の使用が必要とされる。
【０００４】 室温より高い温度での圧縮処理に明らかな利点があり、室温より低い温度で行
われる圧縮処理より高い密度と高い強度を持つ製品が生成する。
【０００５】 冷間圧縮処理で使用される滑剤は、そのほとんどが限られた温度範囲でしか有
効ではないように思われ、それ故、高温圧縮処理では使用することができない。
効果のない滑剤は、圧縮処理用工具上の摩耗をかなり増加させる。
【０００６】 工具上の摩耗の程度は、工具材料の硬度、印加圧力、および圧縮体が突き出さ
れるときのその圧縮体と工具の壁との間の摩擦等、各種の因子によって影響され
る。後者の因子が使用される滑剤に強く関連している。
【０００７】 突出力は圧縮体を工具から突き出すのに要する力である。高い突出力は圧縮処
理用工具上の摩耗を増加させるだけでなく、圧縮体を損傷させることもあるので
、この力を小さくすることが好ましい。
【０００８】 しかし、滑剤の使用は圧縮処理に於いて諸問題を生み出す可能性があり、従っ
て滑剤は実施される圧縮処理の種類に良く合っていることが重要である。
【０００９】 満足できるように成し遂げるためには、滑剤を粉末組成物の孔構造から外に出
し、それを圧縮体と工具との間の空間に入り込ませるべきであって、それにより
圧縮処理用工具の壁は滑り易くなる。圧縮処理用工具の壁のこのような潤滑によ
って、突出力が低下せしめられる。
【００１０】 滑剤が圧縮体から出なければならないもう１つの理由は、もし出なければ、焼
結後に圧縮体に孔ができることである。大きな孔が製品の動的強度特性に悪影響
を及ぼすことは周知である。
【００１１】 本発明による新規な滑剤の１つの目的は、高湿態強度、高湿態密度を有する圧
縮製品を製造するのを可能にすると共に、滑剤を金属粉末と組み合わせることに
より高焼結密度と低突出力を有する焼結製品を製造するのを可能にすることであ
る。圧縮体が圧縮処理用工具から突き出されるときかなりの応力に付されるので
、また製品は圧縮処理と焼結処理との間の取扱中に亀裂を生ずることなく、さも
なければ損傷を受けることなくその一体性を保持していなければならないので、
高い湿態強度を有することは重要なことである。これは薄い成形品の場合に特に
重要なことである。
【００１２】 本発明による滑剤は、例えば二官能性のアルコールと酸とのエステル化縮合反
応によって形成される重合体であるポリエステルを含んでいる。ポリエステルは
樹脂および熱可塑性プラスチックとして入手でき、そして使用される酸単量体の
種類に主として依存して、脂肪族ポリエステルと芳香族ポリエステルとにさらに
分けられる。芳香族ポリエステルは通常非吸湿性であるが、脂肪族ポリエステル
は水分に対して芳香族ポリエステルより敏感であることが知られている。ポリエ
ステルは、さらに、その重合体主鎖中に二重結合が存在するかどうかに依存して
、飽和ポリエステルと不飽和ポリエステルとに分類することができる。飽和ポリ
エステルは相対的に非反応性であるが、不飽和ポリエステルは、スチレン類、ジ
アリルフタレート類等々のような他の単量体との共重合によって樹脂として適し
たものになる。
【００１３】 本発明によるポリエステルは、５，０００〜５０，０００の数平均分子量Ｍｎ
を有する、芳香族のまたは一部芳香族の飽和ポリエステルであって、滑剤の５０
〜１００重量％、好ましくは６０〜１００重量％、最も好ましくは７０〜１００
重量％がこのポリエステルから構成される。本発明による滑剤は、このポリエス
テルに加えて、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸リチウム、および／またはエチ
レンビス−ステアルアミドのようなアミドワックスタイプの滑剤のような、他の
ＰＭ−滑剤を含んでいることもできる。本発明による１つの好ましい滑剤は、０
〜３０重量％のステアリン酸亜鉛、０〜３０重量％のステアリン酸リチウムおよ
び／または０〜３０重量％のアミドワックスタイプの滑剤を含み、残りがポリエ
ステルであるものである。
【００１４】 上記のポリエステルはアルキレンフタレートの重合体または共重合体であるの
が好ましく、この場合アルキレンフタレートはＣ2〜Ｃ8−アルキレンフタレート
であって、これによりこのポリエステルは、好ましく１００℃より高い融点ピー
ク温度を有するようになる。
【００１５】 このポリエステルはポリ（アルキレンテレフタレート）またはポリ（アルキレ
ンイソフタレート）であるのが最も好ましい。
【００１６】 本発明は、さらに、金属粉末と本発明による滑剤とを含む金属粉末組成物に関
する。この金属粉末組成物は熱間圧縮処理に使用することができる。
【００１７】 本発明によるこの金属粉末組成物は、０．１〜２重量％の本発明による滑剤、
０．００５〜３重量％の結合剤、０〜０．５重量％の可塑剤、０．０１〜３重量
％の黒鉛、０〜２重量％の熱可塑性樹脂、０〜１５重量％、好ましくは０〜７重
量％の合金化用元素、０〜２重量％の加工助剤および０〜２重量％の硬質相を含
んで成り、残りが本質的に純粋な鉄の粉末、一部予備合金化された鉄粉末、およ
び予備合金化鉄粉末より成る群から選ばれる鉄粉末である。
【００１８】 本発明の滑剤は、本発明による金属粉末組成物の総量基準で、その金属粉末組
成物の０．２〜０．８重量％を構成しているのが好ましい。本発明による滑剤が
少量で使用可能であることは、本発明の特に有利な特長である。それが密度の大
きい圧縮体および焼結製品をコスト上効果的に得るのを可能にするからである。
【００１９】 本発明の説明および前記特許請求の範囲で用いられている「一部芳香族の」な
る表現は、得られるポリエステルの温度依存性／溶融挙動（レオロジー）を改良
するために、芳香族ジカルボン酸の一部が脂肪族ジカルボン酸で置換されている
ポリエステルを包含するものである。
【００２０】 本発明の説明および前記特許請求の範囲で用いられている「金属粉末」なる表
現は、普通の不純物を約１．０重量％より多くは含まない、好ましくは約０．５
重量％より多くは含まない鉄粉末から本質的に構成される鉄系粉末を包含するも
のである。このような高度に圧縮可能な冶金グレードの鉄粉末の例は、ニュー・
ジャージー州（New Jersey）、リバートン（Riverton）のホエガナエス社（Hoeg
anaes）から入手できる、純粋な鉄粉末のアンカースチール（ANCORSTEEL）１０ ００シリーズ、例えば１０００、１０００Ｂおよび１０００Ｃ、並びにスエーデ
ン（Sweeden）、ホガナスＡＢ社（Hoganas AB）から入手できる同様の粉末であ る。例えば、アンカースチール１０００鉄粉末は、篩Ｎｏ．３２５（米国篩シリ
ーズ）より小さい粒子が約２２重量％であり、そして篩Ｎｏ．１００より大きい
粒子が約１０重量％であり、残りがこれら２つの大きさの間にある（痕跡量が篩
Ｎｏ．６０より大きい）典型的な篩分布を有する。このアンカースチール１００
０粉末は約２．８５〜３．００ｇ／ｃｍ3、典型的には２．９４ｇ／ｃｍ3の見掛
け密度を有する。本発明で使用することができる他の鉄粉末は、ホエガナエス社
のアンカー（ANCHOR）ＭＨ−１００粉末のような典型的なスポンジ鉄の粉末であ
る。
【００２１】 本発明の鉄系粉末は、また、１種または２種以上の合金化用元素で予備合金化
された、若しくは同元素で拡散結合された、または同元素と混合された鉄、好ま
しくは実質的に純粋な鉄も包含することができる。それら鉄粒子と組み合わせる
ことができる合金化用元素の例に、限定される訳ではないが、モリブデン；マン
ガン；マグネシウム；クロム；ケイ素；銅；ニッケル；金；バナジウム；コロン
ビウム（ニオブ）；黒鉛；リン；アルミニウム；銅とスズまたはリンとの二成分
系合金；マンガン、クロム、ホウ素、リンまたはケイ素のフェロアロイ；炭素と
、鉄、バナジウム、マンガン、クロムおよびケイ素の内の２種または３種との低
溶融性三成分系または四成分系共融混合物；タングステンまたはケイ素の炭化物
；窒化ケイ素；酸化アルミニウム；およびマンガンまたはモリブデンの硫化物；
並びにそれらの組み合わせがある。典型的には、これらの合金化用元素は、一般
に、約７重量％までの量で、さらに好ましくは約０．２５〜約５重量％、最も好
ましくは約０．２５〜約４重量％の量で鉄粉末と、好ましくは実質的に純粋な鉄
の粉末と組み合わされるが、ステンレス鋼を製造するための用途のようなある種
特定の特殊な用途では、それら合金化用元素は鉄粉末と合金化用元素とに対して
約７〜約１５重量％の量で存在していることができる。
【００２２】 鉄系粉末は、かくして、合金化用粉末の形態をしている合金化用元素と混合状
態にある鉄粒子を包含することができる。本明細書で使用されている「合金化用
粉末」なる用語は、鉄粒子と物理的にブレンドされた任意の前記粒状元素または
同化合物を意味するが、これは、その粒状元素または同化合物が最終的に鉄粉末
と合金を形成しているか否かに関わらない。合金化用元素の粒子は、一般に、約
１００ミクロン未満、好ましくは約７５ミクロン未満、さらに好ましくは約３０
ミクロン未満の重量平均粒度を有する。合金化用粉末が鉄粉末から粉立ちまたは
凝離を起こすのを防ぐために、結合剤を鉄粉末と合金化用粉末との混合物に含め
るのが好ましい。一般に使用される結合剤の例に、共にエングストローム（Engs
trom）に付与された米国特許第４，４８３，９０５号および同第４，６７６，８
３１号明細書、並びにセメル（Semel）に付与された米国特許第４，８３４，８ ００号明細書に記載されるものがある。これら全ての米国特許の全体をここに引
用することによって、それらを本明細書に取込む。
【００２３】 鉄系粉末は、さらに、合金化用元素の１種または２種以上により予備合金化さ
れている鉄の形をしていることができる。この予備合金化粉末は、鉄と所望とさ
れる合金化用元素との溶融物を調製し、次にその溶融物を噴霧することによって
製造することができる。この溶融物の噴霧により霧化された液滴は、凝固すると
粉末を形成する。組み込まれる合金化用元素または元素類の量は、最終金属成形
品で所望とされる性質に依存する。そのような合金化用元素を含む予備合金化鉄
粉末は、ホエガナエス社（Hoeganaes Corp.）からそのアンカースチール粉末系 列の一部として入手することができる。
【００２４】 鉄系粉末の更なる例は拡散結合された鉄系粉末で、これは上記の合金化用元素
が粒子外表面に拡散結合されている実質的に純粋な鉄の粒子を含むものである。
商業的に入手できるこのような粉末に、ホエガナエス社から入手できる、約１．
８％のニッケル、約０．５５％のモリブデンおよび約１．６％の銅を含むディス
タロイ（DISTALOY）４６００Ａ拡散結合粉末、およびホエガナエス社から入手で
きる、約４．０５％のニッケル、約０．５５％のモリブデンおよび約１．６％の
銅を含むディスタロイ４８００Ａ拡散結合粉末がある。同様のグレードの粉末が
スエーデンのホガナスＡＢ社からも入手できる。
【００２５】 １つの好ましい鉄系粉末は、モリブデン（Mo）で予備合金化された鉄からでき
ているものである。この粉末は、約０．５〜約２．５重量％のMoを含んでいる実
質的に純粋な鉄の溶融物を噴霧することにより製造される。このような粉末の１
例はホエガナエス社のアンカースチール８５ＨＰ鋼粉末で、これはMoを約０．８
５重量％、マンガン、クロム、ケイ素、銅、ニッケル、モリブデンまたはアルミ
ニウムのような他の物質を合計で約０．４重量％未満、および炭素を約０．０２
重量％未満含んでいる。このような粉末のもう１つの例はホエガナエス社のアン
カースチール４６００Ｖ鋼粉末で、これは約０．５〜０．６重量％のモリブデン
、約１．５〜２．０重量％のニッケル、約０．１〜０．２５重量％のマンガンお
よび約０．０２重量％未満の炭素を含んでいる。
【００２６】 本発明で用いることができるもう１つの予備合金化鉄系粉末は、コーストン（
Causton）に付与された、「鉄合金の独特な予備合金化粉末を含む鋼粉末混合物 」と題される米国特許第５，１０８，９３号明細書に開示されているものである
。この米国特許の全体を本明細書に取込む。この鋼粉末組成物は、一方が０．５
〜２．５重量％のモリブデンを含む鉄の予備合金であり、他方が炭素、および少
なくとも約２５重量％の、クロム、マンガン、バナジウムおよびコロンビウムよ
り成る群から選ばれる少なくとも１種の元素から成る遷移金属元素成分を含む鉄
の予備合金である、２種の異なる予備合金化鉄系粉末の混合物である。この混合
物はその鋼粉末組成物に少なくとも約０．０５重量％の上記遷移金属元素成分を
与える割合で存在している。このような粉末の１例はホエガナエス社のアンカー
スチール４１ＡＢ鋼粉末として市販されているもので、これは約０．８５重量％
のモリブデン、約１重量％のニッケル、約０．９重量％のマンガン、約０．７５
重量％のクロムおよび約０．５重量％の炭素を含んでいる。
【００２７】 本発明の実施において有用な他の鉄系粉末は強磁性体粉末である。その１例は
、少量のリンで予備合金化されている鉄の粉末と混合状態にある実質的に純粋な
鉄粉末の組成物である。
【００２８】 本発明の実施において有用な更なる鉄系粉末は、ルッツ（Rutz）等に付与され
た米国特許第５，１９８，１３７号明細書に記載される熱可塑性材料で、実質的
に均一なコーティングを与えるように被覆された鉄粒子である。この米国特許の
全体を本明細書に取込む。各粒子は、その鉄コア粒子の回りを取り囲む実質的に
均一なコーティングを有しているのが好ましい。被覆されている鉄粒子に対して
約０．００１〜１５重量％のコーティングを与えるのに十分な熱可塑性材料が施
される。その熱可塑性材料は、被覆粒子に対して、一般的には少なくとも０．２
重量％、好ましくは約０．４〜２重量％、さらに好ましくは約０．６〜０．９重
量％の量で存在する。約１０，０００〜５０，０００の範囲の重量平均分子量を
有する、ポリエーテルスルホン、ポリエーテルイミド、ポリカーボネートまたは
ポリフェニレンエーテルのような熱可塑性樹脂が好ましい。他の高分子材料被覆
鉄系粉末に、ルッツ等に付与された米国特許第５，０６３，０１１号明細書に記
載されるリン酸鉄の内側コーティングを含むものがある。この米国特許の全体を
本明細書に取込む。
【００２９】 純粋な鉄、予備合金化鉄、拡散結合鉄または熱可塑性樹脂被覆鉄の粒子は、１
μｍ以下程度の小さい重量平均粒度または約８５０〜１０００μｍまでの同粒度
を有することができるが、上記粒子は、一般的には、約１０〜５００μｍの範囲
の重量平均粒度を有する。最大数平均粒度が約３５０μｍまで、好ましくは５０
〜１５０μｍであるものが好ましい。
【００３０】 本発明による金属粉末および滑剤に加えて、本発明の金属粉末組成物は、前記
のとおり、結合剤、加工助剤および硬質相より成る群から選ばれる１種または２
種以上の添加剤も含んでいることができる。
【００３１】 結合剤は、本発明の粉末組成物に、米国特許第４，８３４，８００号明細書（
ここに引用することによってそれを本明細書に取込む）に記載される方法に従っ
て加えることができ、またそれは、金属粉末組成物に、その鉄粉末と合金化用粉
末との重量に基づいて約０．００５〜３重量％、好ましくは約０．０５〜１．５
重量％、さらに好ましくは約０．１〜１重量％の量でブレンドすることができ、
そしてそれは、例えばセルロースエステル樹脂、１〜４個の炭素原子をアルキル
基中に含むヒドロキシアルキルセルロース樹脂、または熱可塑性のフェノール樹
脂より成ることができる。
【００３２】 米国特許第５，３６８，６３０号明細書に記載される結合剤は、水に溶けるか
または溶けない、いずれかの高分子樹脂材料であるが、この樹脂は水に溶けない
方が好ましい。この樹脂はその本来の液体状態か、溶媒に溶解された状態のいず
れかで、鉄系粉末および合金化用粉末を取り巻いてフィルムを形成する能力を有
しているのが好ましい。この結合剤樹脂は、それが昇温圧縮処理プロセスに悪影
響を及ぼさないように選ばれることが重要である。好ましい結合剤に、約３０，
０００〜７０，０００の数平均分子量（Ｍｗ）を有する酢酸セルロース、約１０
，０００〜１００，０００のＭｗを有する酢酸・酪酸セルロース（セルロース
アセテート ブチレート）、約１０，０００〜１００，０００のＭｗを有する酢
酸・プロピオン酸セルロースおよびそれらの混合物がある。Ｍｗが約１０，００
０〜８０，０００である高分子量熱可塑性フェノール樹脂、アルキル部分が１〜
４個の炭素原子を有する、Ｍｗが約５０，０００〜１，２００，０００であるヒ
ドロキシアルキルセルロース樹脂およびそれらの混合物も有用である。もう１つ
の好ましい結合剤はポリビニルピロリドンで、これはPEG、グリセロールおよび そのエステル、有機二酸のエステル、ソルビトール、リン酸エステル、セルロー
スエステル、アリールスルホンアミド−ホルムアルデヒド樹脂、および米国特許
第５，４３２，２２３号明細書に開示される長鎖アルコールのような可塑剤と併
用されるのが好ましい。
【００３３】 本発明の金属粉末組成物中で使用される加工助剤は、タルク、苦土カンラン石
、硫化マンガン、硫黄、二硫化モリブデン、窒化ホウ素、テルル、セレン、二フ
ッ化バリウムおよび二フッ化カルシウムより成ることができるが、これらは別々
にまたは組み合わせのいずれかで使用される。
【００３４】 本発明の金属粉末組成物中で使用される硬質相は、タングステン、バナジウム
、チタン、ニオブ、クロム、モリブデン、タンタルおよびジルコニウムの炭化物
；アルミニウム、チタン、バナジウム、モリブデンおよびクロムの窒化物；Al2O 3 、B4C並びに各種のセラミック材料より成ることができる。
【００３５】 従来の技術の助けをかりて、金属粉末と滑剤粒子とが混合されて実質的に均一
な粉末組成物とされる。
【００３６】 本発明による滑剤は、固体粒子の形態で金属粉末組成物に加えられるのが好ま
しい。滑剤の平均粒度は色々な値を取ることができるが、３〜１００μｍの範囲
にあるのが好ましい。
【００３７】 粒度が大きすぎると、滑剤が金属粉末組成物の孔構造から圧縮処理中に出るの
が困難になり、そうなると滑剤は焼結後に大きな孔を生じさせことがあり、結果
として強度的性質が損なわれた圧縮体がもたらされる。
【００３８】 滑剤が、ポリエステルに加えて、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸リチウムお
よび／またはアミドワックスタイプの滑剤も含んでいる場合、その滑剤組成物の
成分は別々にまたは単一相滑剤として加えることができる。本発明の説明で用い
られている「単一相滑剤」なる表現は、異なる成分が、均一な滑剤粒子を造るた
めに一緒に溶融されており、その成分が実質的全て各滑剤粒子中に存在している
滑剤組成物を包含するものである。
【００３９】 本発明は、さらに、次の工程、即ち： ａ）金属粉末と、本発明による滑剤と、そして場合によっては添加剤とを混合
して金属粉末組成物となす工程、 ｂ）その金属粉末組成物を所定の温度まで予熱する工程、 ｃ）その加熱された金属粉末組成物を、予熱された工具の中で圧縮して圧縮体
となす工程、および ｄ）その圧縮体を焼結する工程 が含まれている、焼結製品の製造法に関する。
【００４０】 工程ｂ）の金属粉末組成物は前記ポリエステルの融点ピーク温度より低い温度
まで予熱されるのが好ましく、また上記工具は、工程ｃ）の前に、そのポリエス
テルの融点ピーク温度またはそのピーク温度より低い温度まで予熱されるのが好
ましい。上記の金属粉末組成物は９０〜１３０℃の温度まで予熱され、そして上
記の工具は１１０〜１４０℃の温度まで予熱されるのが最も好ましい。上記の圧
縮体は１１００〜１２５０℃の温度で１５〜６０分間焼結されるのが好ましい。
【００４１】 本発明による熱間圧縮処理において、金属粉末組成物は、上記のとおり、予熱
された圧縮処理用工具に供給される前に予熱されるのが好ましい。金属粉末組成
物のこのような予熱処理では、その滑剤が軟化または溶融しないことが重要であ
る。軟化または溶融は、その粉末組成物の圧縮処理用工具への充填時にその組成
物の取り扱いを困難にし、それがまた密度が不均一で、かつ成形品重量の再現性
が乏しい圧縮体をもたらすことになろう。
【００４２】 本発明が有効で、かつ高い湿態密度を、更には高い湿態強度を有する製品をも
たらすことを例証するために、ここに２、３のテストについて説明する。
【００４３】テスト１ 下記の表１は、多数の滑剤を、粉末温度（℃）、工具温度（℃）、圧縮圧力（
Comp.Press、MPa）、湿態密度（GD、g/cm2）および突出力（Ej.F、N/mm2）を示 すことによって説明するものである。
【００４４】 金属粉末組成物は、次の成分： ホガナスAB社が市販するディスタロイ（登録商標）ＡＢ、 黒鉛０．３重量％、 表１による滑剤０．６重量％ を含んでいた。
【００４５】 上記の金属粉末組成物はロダイジュ（Lodige）ミキサー中で混合された。
【００４６】
【表１】
【００４７】 WCE 34は本発明による滑剤であって、約１０，０００〜２０，０００の数平均
分子量Ｍｎを有し、融点ピーク温度が１５０〜１６０℃の範囲、溶融粘度が７０
０Ps（１６０℃、荷重２．１６ｋｇ、方法ISO 1133）、そしてTgが１０℃である
、テレフタル酸を最も代表的な酸として含む一部芳香族のポリエステルである。
【００４８】 WCS 4は本発明による滑剤であって、２０，０００の数平均分子量Ｍｎを有し 、そしてそれはポリ（ヘキシレンテレフタレート）である。
【００４９】 WCS 4 + H-WAXは本発明による滑剤であって、７５重量％の上記WCS 4と２５重
量％のH-WAXとの混合物である。H-WAXはエチレンビス−ステアルアミドワックス
である。
【００５０】 WCS 5は本発明による滑剤であって、４０，０００の数平均分子量Ｍｎを有し 、そしてそれはポリ（ヘキシレンテレフタレート）である。
【００５１】 滑剤 X1はPCT/SE95/00636による滑剤であって、重量平均分子量Ｍｗが１８， ０００であるアミドタイプのオリゴマーより本質的に成る。この滑剤は本発明の
範囲外のものである。
【００５２】 湿態密度はISO 3927 1985により測定され、また突出力はホガナス法（Hoganas
Method）４０４により測定された。
【００５３】 表１から明白なように、滑剤X1によるよりも本発明による滑剤でより高い湿態
密度を得ることができるが、一方突出力は色々で、ある場合には滑剤X1によるよ
りも低く、またある場合には滑剤X1によるよりも高いが、依然として許容範囲内
である。
【００５４】 滑剤X1を含む材料と比較して、本発明による滑剤と混合された材料は圧縮後に
滑剤X1の場合に匹敵する湿態密度（GD）と突出力（Ej.F）を与える。かくして、
本発明による滑剤は滑剤X1と同等に良好な滑剤を構成する。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (81)指定国 ＥＰ(ＡＴ，ＢＥ，ＣＨ，ＣＹ， ＤＥ，ＤＫ，ＥＳ，ＦＩ，ＦＲ，ＧＢ，ＧＲ，ＩＥ，Ｉ Ｔ，ＬＵ，ＭＣ，ＮＬ，ＰＴ，ＳＥ)，ＯＡ(ＢＦ，ＢＪ ，ＣＦ，ＣＧ，ＣＩ，ＣＭ，ＧＡ，ＧＮ，ＧＷ，ＭＬ， ＭＲ，ＮＥ，ＳＮ，ＴＤ，ＴＧ)，ＡＰ(ＧＨ，ＧＭ，Ｋ Ｅ，ＬＳ，ＭＷ，ＳＤ，ＳＺ，ＵＧ，ＺＷ)，ＥＡ(ＡＭ ，ＡＺ，ＢＹ，ＫＧ，ＫＺ，ＭＤ，ＲＵ，ＴＪ，ＴＭ) ，ＡＬ，ＡＭ，ＡＴ，ＡＵ，ＡＺ，ＢＡ，ＢＢ，ＢＧ， ＢＲ，ＢＹ，ＣＡ，ＣＨ，ＣＮ，ＣＵ，ＣＺ，ＤＥ，Ｄ Ｋ，ＥＥ，ＥＳ，ＦＩ，ＧＢ，ＧＤ，ＧＥ，ＧＨ，ＧＭ ，ＨＲ，ＨＵ，ＩＤ，ＩＬ，ＩＳ，ＪＰ，ＫＥ，ＫＧ， ＫＰ，ＫＲ，ＫＺ，ＬＣ，ＬＫ，ＬＲ，ＬＳ，ＬＴ，Ｌ Ｕ，ＬＶ，ＭＤ，ＭＧ，ＭＫ，ＭＮ，ＭＷ，ＭＸ，ＮＯ ，ＮＺ，ＰＬ，ＰＴ，ＲＯ，ＲＵ，ＳＤ，ＳＥ，ＳＧ， ＳＩ，ＳＫ，ＳＬ，ＴＪ，ＴＭ，ＴＲ，ＴＴ，ＵＡ，Ｕ Ｇ，ＵＳ，ＵＺ，ＶＮ，ＹＵ，ＺＷ

Claims (14)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項１】 鉄系冶金粉末組成物の熱間圧縮処理用滑剤にして、該滑剤の
    ５０〜１００重量％が５，０００〜５０，０００の数平均分子量Ｍｎを有する、
    芳香族のまたは一部芳香族のポリエステルであることを特徴とする上記の滑剤。
  2. 【請求項２】 前記滑剤が、４０重量％までの、ステアリン酸亜鉛、ステア
    リン酸リチウム、および／またはアミドワックスタイプの滑剤のような、１種ま
    たは２種以上の、従来のＰＭ−滑剤をさらに含んでいることを特徴とする、請求
    項１記載の滑剤。
  3. 【請求項３】 前記滑剤が、０〜３０重量％のステアリン酸亜鉛、０〜３０
    重量％のステアリン酸リチウムおよび／または０〜３０重量％のアミドワックス
    タイプの滑剤を含み、残りが前記ポリエステルであることを特徴とする、請求項
    ２記載の滑剤。
  4. 【請求項４】 前記ポリエステルがアルキレンフタレートの重合体または共
    重合体であり、ここでアルキレンフタレートはＣ2〜Ｃ8−アルキレンフタレート
    であることを特徴とする、請求項１〜３のいずれか１項に記載の滑剤。
  5. 【請求項５】 前記ポリエステルが１００℃より高い融点ピーク温度を有し
    ていることを特徴とする、請求項１〜４のいずれか１項に記載の滑剤。
  6. 【請求項６】 金属粉末と滑剤とを含む熱間圧縮処理用金属粉末組成物にし
    て、該金属粉末組成物が０．１〜２重量％の請求項１〜５のいずれか１項に記載
    の滑剤、０．００５〜３重量％の結合剤、０〜０．５重量％の可塑剤、０．０１
    〜３重量％の黒鉛、０〜２重量％の熱可塑性樹脂、０〜１５重量％、好ましくは
    ０〜７重量％の合金化用元素、０〜２重量％の加工助剤および０〜２重量％の硬
    質相を含んで成り、残りが本質的に純粋な鉄の粉末、一部予備合金化鉄粉末、お
    よび予備合金化鉄粉末より成る群から選ばれる鉄粉末であることを特徴とする、
    上記の金属粉末組成物。
  7. 【請求項７】 前記滑剤が前記組成物の０．２〜０．８重量％を構成してい
    ることを特徴とする、請求項６で請求される金属粉末組成物。
  8. 【請求項８】 焼結製品の製造法にして、次の： ａ）請求項６または７による金属粉末組成物を混合し、 ｂ）該金属粉末組成物を所定の温度まで予熱し、 ｃ）該加熱金属粉末組成物を予熱された工具の中で圧縮して圧縮体となし、そ
    して ｄ）該圧縮体を焼結する 工程を含んで成る上記の方法。
  9. 【請求項９】 工程ｂ）の金属粉末組成物を前記ポリエステルの融点ピーク
    温度より低い温度まで予熱することを特徴とする、請求項８に記載の方法。
  10. 【請求項１０】 前記金属粉末組成物を９０〜１３０℃の温度まで予熱する
    ことを特徴とする、請求項９に記載の方法。
  11. 【請求項１１】 前記工具を、工程ｃ）の前に、前記ポリエステルの融点ピ
    ーク温度または該ピーク温度より低い温度まで加熱することを特徴とする、請求
    項８〜１０のいずれか１項に記載の方法。
  12. 【請求項１２】 前記工具を１１０〜１４０℃の温度まで予熱することを特
    徴とする、請求項１１に記載の方法。
  13. 【請求項１３】 前記圧縮体を１１００〜１２５０℃の温度で１５〜６０分
    間焼結することを特徴とする請求項８〜１２のいずれか１項に記載の方法。
  14. 【請求項１４】 請求項１〜５のいずれか１項による滑剤の、鉄系冶金粉末
    の熱間圧縮処理における使用。
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