JP2001520047A - 組換えaavベクターと共に使用するための転写活性化された逆方向末端反復(itr) - Google Patents

組換えaavベクターと共に使用するための転写活性化された逆方向末端反復(itr)

Info

Publication number
JP2001520047A
JP2001520047A JP2000517093A JP2000517093A JP2001520047A JP 2001520047 A JP2001520047 A JP 2001520047A JP 2000517093 A JP2000517093 A JP 2000517093A JP 2000517093 A JP2000517093 A JP 2000517093A JP 2001520047 A JP2001520047 A JP 2001520047A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
itr
polynucleotide
aav
transcriptionally activated
sequence
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2000517093A
Other languages
English (en)
Inventor
アンドリュー エル. フェルダウス,
Original Assignee
ターゲテッド ジェネティックス コーポレイション
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by ターゲテッド ジェネティックス コーポレイション filed Critical ターゲテッド ジェネティックス コーポレイション
Publication of JP2001520047A publication Critical patent/JP2001520047A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Classifications

    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C12BIOCHEMISTRY; BEER; SPIRITS; WINE; VINEGAR; MICROBIOLOGY; ENZYMOLOGY; MUTATION OR GENETIC ENGINEERING
    • C12NMICROORGANISMS OR ENZYMES; COMPOSITIONS THEREOF; PROPAGATING, PRESERVING, OR MAINTAINING MICROORGANISMS; MUTATION OR GENETIC ENGINEERING; CULTURE MEDIA
    • C12N15/00Mutation or genetic engineering; DNA or RNA concerning genetic engineering, vectors, e.g. plasmids, or their isolation, preparation or purification; Use of hosts therefor
    • C12N15/09Recombinant DNA-technology
    • C12N15/63Introduction of foreign genetic material using vectors; Vectors; Use of hosts therefor; Regulation of expression
    • C12N15/79Vectors or expression systems specially adapted for eukaryotic hosts
    • C12N15/85Vectors or expression systems specially adapted for eukaryotic hosts for animal cells
    • C12N15/86Viral vectors
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C12BIOCHEMISTRY; BEER; SPIRITS; WINE; VINEGAR; MICROBIOLOGY; ENZYMOLOGY; MUTATION OR GENETIC ENGINEERING
    • C12NMICROORGANISMS OR ENZYMES; COMPOSITIONS THEREOF; PROPAGATING, PRESERVING, OR MAINTAINING MICROORGANISMS; MUTATION OR GENETIC ENGINEERING; CULTURE MEDIA
    • C12N15/00Mutation or genetic engineering; DNA or RNA concerning genetic engineering, vectors, e.g. plasmids, or their isolation, preparation or purification; Use of hosts therefor
    • C12N15/09Recombinant DNA-technology
    • C12N15/63Introduction of foreign genetic material using vectors; Vectors; Use of hosts therefor; Regulation of expression
    • C12N15/67General methods for enhancing the expression
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C12BIOCHEMISTRY; BEER; SPIRITS; WINE; VINEGAR; MICROBIOLOGY; ENZYMOLOGY; MUTATION OR GENETIC ENGINEERING
    • C12NMICROORGANISMS OR ENZYMES; COMPOSITIONS THEREOF; PROPAGATING, PRESERVING, OR MAINTAINING MICROORGANISMS; MUTATION OR GENETIC ENGINEERING; CULTURE MEDIA
    • C12N2750/00MICROORGANISMS OR ENZYMES; COMPOSITIONS THEREOF; PROPAGATING, PRESERVING, OR MAINTAINING MICROORGANISMS; MUTATION OR GENETIC ENGINEERING; CULTURE MEDIA ssDNA viruses
    • C12N2750/00011Details
    • C12N2750/14011Parvoviridae
    • C12N2750/14111Dependovirus, e.g. adenoassociated viruses
    • C12N2750/14141Use of virus, viral particle or viral elements as a vector
    • C12N2750/14143Use of virus, viral particle or viral elements as a vector viral genome or elements thereof as genetic vector

Landscapes

  • Health & Medical Sciences (AREA)
  • Genetics & Genomics (AREA)
  • Life Sciences & Earth Sciences (AREA)
  • Engineering & Computer Science (AREA)
  • Bioinformatics & Cheminformatics (AREA)
  • Wood Science & Technology (AREA)
  • Biomedical Technology (AREA)
  • Organic Chemistry (AREA)
  • Biotechnology (AREA)
  • General Engineering & Computer Science (AREA)
  • Chemical & Material Sciences (AREA)
  • Zoology (AREA)
  • Molecular Biology (AREA)
  • Microbiology (AREA)
  • Plant Pathology (AREA)
  • Physics & Mathematics (AREA)
  • Biochemistry (AREA)
  • General Health & Medical Sciences (AREA)
  • Biophysics (AREA)
  • Virology (AREA)
  • Micro-Organisms Or Cultivation Processes Thereof (AREA)
  • Medicines That Contain Protein Lipid Enzymes And Other Medicines (AREA)
  • Control Of El Displays (AREA)
  • Peptides Or Proteins (AREA)
  • Immobilizing And Processing Of Enzymes And Microorganisms (AREA)

Abstract

(57)【要約】 本発明は、小さくそして転写的に活性である、転写活性化されたAAVのITR(逆方向末端反復)、ならびに組換えAAVベクターにおいてパッケージされた比較的大きな導入遺伝子の発現を最適化するためのそれらの使用を提供する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】 (発明の分野) 本発明は、一般的には、組換えアデノ随伴ウイルス(AAV)ベクターおよび
遺伝子転移のために使用され得るその調製の分野に関連する。
【0002】 (背景) AAVベクターは、インビボでの遺伝子転移因子として有用であることが示さ
れている少数の組換えウイルスベクター系に属し(Carter、1992、C
urr.Opin.Biotech.、3:533−539;Muzyczka
、1992、Curr.Top.Microbiol.Immunol.、15
8:97−129で論評される)、従っておそらく、ヒト遺伝子治療にとって潜
在的に大変重要である。AAVベクターは、種々の細胞において、高頻度で安定
なDNA組み込みおよび発現をし得る。このような細胞としては、嚢胞性線維症
(CF)気管支および鼻上皮細胞(例えば、Flotteら、1992、Am.
J.Respir.Cell Mol.Biol.、7:349−356;Eg
anら、1992、Nature.、358:581−584;Flotteら
、1993a、J.Biol.Chem.、268:3781−3790;およ
びFlotteら、1993b、Proc.Natl.Acad.Sci.US
A、93:10163−10167を参照のこと)、ヒト骨髄由来赤白血病細胞
(例えば、Walshら、1992、Proc.Natl.Acad.Sci.
USA、89:7257−7261を参照のこと)、およびその他のいくつかの
細胞が挙げられる。レトロウイルスとは異なり、AAVは、安定な組み込みのた
めに細胞分裂が進行中であることを必要としないようである。これは、ほとんど
の細胞が最終的に分化され、かつ非分裂型であるヒト気道上皮のような組織にお
ける、遺伝子治療についての明らかな利点である。
【0003】 AAVは、ある機能が同時感染ヘルパーウイルスによって提供される細胞にお
いてのみ一般的に複製される、欠損パルボウイルスである。AAVの概説は、C
arter、1989、Handbook of Parvoviruses、
Vol.I、169−228頁;およびBerns、1990、Virolog
y、1743−1764頁;Raven Press、New Yorkに見出
され得る。AAVの成長および複製のためのヘルパー機能を提供する、同時感染
ウイルスの例は、アデノウイルス、ヘルペスウイルス、および、ある場合にはワ
クシニアのようなポックスウイルスである。ヘルパー機能の性質は完全には知ら
れていないが、ヘルパーウイルスの間接効果は、細胞がAAVの複製を許容する
ようにすることであると思われる。この考えは、ある場合において、もし細胞が
遺伝毒性薬剤または細胞周期を中断する薬剤にて処理されると、ヘルパーウイル
スの同時感染がなければAAVの複製が低レベルの効率で生じ得るという知見に
よって、支持される。
【0004】 一般的に、ヘルパーウイルス非存在下で、AAVの感染は、AAVゲノムの宿
主細胞ゲノムへの高頻度で、安定な組み込みを生じる。組み込まれたAAVプロ
ウイルスを含有する細胞が、アデノウイルスのようなヘルパーウイルスに重感染
する場合、組み込まれたAAVゲノムはレスキューされ、そして複製されて、感
染性子孫AAV粒子のバーストをもたらし得る。AAVの組み込みは効率的な事
象であるようなので、AAVは、ヒト遺伝子治療のような使用について安定な発
現のために細胞に遺伝子導入するための有用なベクターであり得る。
【0005】 AAVは、明らかな種特異性あるいは組織特異性がなく、とても広い宿主域を
有しており、そして適切なヘルパーが存在すれば、ヒト、類人猿、またはげっ歯
類起源の事実上いずれの細胞株も複製する。AAVは、ほとんどの哺乳動物およ
びいくつかのトリの種を包含する多種多様な動物種から分離されているので、広
範に分布するようである。
【0006】 AAVは、いかなる病気の原因とも関連付けされておらず、そしてAAVは、
癌化ウイルスでも発癌性のウイルスでもない。AAVのヒト細胞株の染色体へ組
み込みは、細胞の成長特性または形態学的特徴に重要な変化を全く引き起こさな
い。AAVのこれらの特性は、AAVを、潜在的に有用なヒト遺伝子治療ベクタ
ーとしてさらに推奨する。なぜなら、この適用のために提案された他のウイルス
システムのほとんど(例えば、レトロウイルス、アデノウイルス、ヘルペスウイ ルス、あるいはポックスウイルス)は、病気を引き起こすウイルスであるからで
ある。
【0007】 AAV粒子は、3つのタンパク質(VP1、VP2、およびVP3)を有しそ
してDNAゲノムを包んでいる、キャプシドで構成される。AAVのDNAゲノ
ムは、分子量約1.5×106ダルトンまたは約4680ヌクレオチド長を有す る線状1本鎖DNA分子である。いずれかのセンス鎖(プラスあるいはマイナス
)が、個々の粒子にパッケージングされているが、各粒子はたった1つだけしか
DNA分子を有しない。同数のAAV粒子が、プラス鎖あるいはマイナス鎖のい
ずれかを含有する。どちらの鎖を含有するウイルス粒子も同様に感染性である。
そして親感染1本鎖DNAから2重鎖型への変換、および2重鎖分子の大きなプ
ールの引き続く増幅によって、複製が生じ、そこから子孫1本鎖がはずされ、そ
してキャプシドにパッケージングされる。細菌性プラスミドまたはファージミド
に挿入されたAAVゲノムの2重鎖または1本鎖コピーが、アデノウイルスに感
染した細胞にトランスフェクトされた場合、感染性粒子を生じ得る。このことが
、AAV遺伝学の研究およびAAVベクターの開発を可能にしてきた。
【0008】 サブタイプAAV2の場合には、そのゲノムは、2コピーの145ヌクレオチ
ド長のITR(逆方向末端反復)をゲノムの各末端に1コピーずつ有している。
そしてこのゲノムは、rep遺伝子およびcap遺伝子に関する2つの主要な読
み取り枠(Hermonatら、J.Virol.、51:329−339、T
ratschinら、1984a、J.Virol.、51:611−619)
を含有する約4470ヌクレオチド長の独特の配列領域(Srivastava
ら、1983、J.Virol.、45:555−564)を有している。この
独特の領域は、rep遺伝子およびcap遺伝子を発現するために使用される3
つの転写プロモーター、p5、p19、p40を含有する(Laughlinら
、1979、Proc.Natl.Acad.Sci.USA、76:5567
−5571)。
【0009】 ITR配列は、AAVの生活環において、種々の活性に関与している。このI
TR配列は各々ヘアピン構造を形成し得、機能的な複製起点(ori)を提供す
る。そしてITR配列は、AAVのDNA複製および原核生物のプラスミドから
のレスキューおよび切除のために、シスで必要とされる(Samulskiら、
1983、Cell、33:135−143;Samulskiら、1987、
J.Virol.、61:3096−3101;Senapathyら、198
4、J.Mol.Biol.、179:1−20;GottliebおよびMu
zyczka、1988、Mol.Cell.Biol.、6:2513−25
22)。加えて、このITRは、AAVプロウイルスの組み込みおよびAAVの
DNAのビリオンへのパッケージングのために必要とされる最小の配列であるよ
うである(McLaughlinら、1988、J.Virol.、62:19
63−1973;Samulskiら、1989、J.Virol.、63:3
822−3828;Balagueら、1997、J.Virol.、71:3
299−3306)。DNA複製の場合、末端125ヌクレオチドのパリンドロ
ームの大部分が、DNA複製および末端の決定にとって必要であるということが
、明らかである(Bohenzkyら、1988、Virology、166:
316−327;LeFebvreら、1984、Mol.Cell.Biol
.4:1416−1419;ImおよびMuzyczka、1989、J.Vi
rol.63:3095−3104;AshktorabおよびSrivast
ava、1989、J.Virol.63:3034−3039)。
【0010】 いくつかの報告は、ITRが一般的には転写調節配列として挙動しないこと(
Muzyczka、1992;およびWalshら、1992)、およびITR
の欠失は、AAVのp5プロモーター活性に重要な効果を有しないこと(Flo
tteら、1992)を指摘した。ITRは、転写活性を提供するとは考えられ
なかったので、AAVベクターは、異種遺伝子を発現するためにAAVプロモー
ターを使用して構築されてきた。例えば、Carterら、米国特許第4,79
7,368号、1989年1月10日発行を参照のこと。Carterおよび共
同研究者による引き続く報告は、ITRが一過性および安定発現アッセイにおい
て、低量の転写活性を有していることを示してきた。例えば、Carterら、
米国特許第5,587,308号、1996年12月24日発行、およびFlo
tteら、1993aを参照のこと。
【0011】 ITR配列がシスに存在することという必要条件に加えて、ウイルスゲノムの
複製およびキャプシド形成のための機能を提供するために、それぞれAAVのr
ep遺伝子およびcap遺伝子が、シスまたはトランスに必要とされる。下記に
記載のように、遺伝子治療において使用するための組換えAAV(rAAV)ベ
クターは、好ましくはAAVのcap遺伝子およびrep遺伝子を含有せず、む
しろこれらの遺伝子は、パッケージングに使用された宿主細胞(代表的には「A
AVプロデューサー細胞」と呼ばれる)によって提供され得る。
【0012】 無傷のAAVゲノムにおいて、rep遺伝子は、以上に記載したように、2つ
のプロモーターp5およびp19から発現される。p5からの転写は、非構造タ
ンパク質Rep78をコードするスプライスされていない4.2kb mRNA
、および第2の非構造タンパク質Rep68をコードするスプライスされた3.
9kb mRNAを産生する。p19からの転写は、Rep52をコードするス
プライスされていないmRNA、およびRep40をコードするスプライスされ
た3.3kb mRNAを産生する。従って、これらの4つのRepタンパク質
は、すべて共通の内部領域配列を含有するが、しかしこれらのアミノ末端領域お
よびカルボキシル末端領域において異なる。Rep78およびRep68のみが
、AAVの2重鎖DNA複製のために必要とされるが、しかしRep52および
Rep40は、子孫の1本鎖DNAの蓄積のために必要とされるようである。R
ep78およびRep68における変異が表現型的にはRep(−)であるのに
対して、Rep52およびRep40にのみ影響する変異は、Rep(+)であ
り、しかしSsd(−)である。Rep68およびRep78は、RRS(Re
p認識配列)またはRBS(Rep結合配列)として知られている部位にて、I
TRと特異的に結合し、そして、そのタンパク質は、AAV末端で複製を決定す
るために必要ないくつかの酵素活性を有している。Rep52およびRep40
は、これらの特性のいずれも有していない。
【0013】 Repタンパク質(主にRep78およびRep68)は、AAV遺伝子発現
の正および負の調節ならびにいくつかの異種プロモーターからの発現を含む、い
くつかの多面的調節活性、ならびに細胞成長における阻害効果を示す(Trat
schinら、1986、Mol.Cell.Biol.6:2884−289
4;Labowら、1987、Mol.Cell.Biol.7:1320−1
325;Khleifら、Virology、181:738−741)。AA
V p5プロモーターは、Rep78あるいはRep68によって負に自己調節
されている(Tratschinら、1986)。おそらく細胞成長に対するr
epの発現の阻害効果のため、細胞株におけるrepの構成的な発現は容易には
達成されていない。例えば、Mendelsonら(1998、Virolog
y、166:154−165)が、AAVゲノムの安定な組み込みの後の、ある
細胞株におけるいくつかのRepタンパク質の極めて低レベルの発現を報告した
【0014】 構造タンパク質VP1、VP2、およびVP3はすべて、共通のオーバーラッ
プ配列を共有しているが、しかし、VP1およびVP2は、さらなるアミノ末端
配列を含有するという点で異なる。3つのタンパク質すべては、上記p40プロ
モーターから転写される、スプライスされた2.3kb mRNAから発現され
る同じcap遺伝子読み取り枠からコードされる。VP2およびVP3は、互い
違いの開始コドンの使用によって、同じmRNAから生成される。VP1は、V
P2およびVP3をコードする主要なmRNAのために使用される3’ドナーか
ら30ヌクレオチド上流にある、3’ドナー部位を使用する、主要でないmRN
Aによってコードされている。VP1、VP2、およびVP3はすべて、キャプ
シド形成にとって必要とされている。3つのタンパク質すべてを排除する変異(
Cap(−))は、1本鎖子孫AAV DNAの蓄積を妨げる一方、VP1アミ
ノ末端における変異(Lip(−)、Inf(−))は、1本鎖生成を可能にす
るが、安定な感染性粒子の集合を妨げる。
【0015】 上記のAAVの遺伝的解析は、細菌のプラスミドに分子的にクローン化された
AAVゲノムの変異解析に大部分準拠した。早期の研究において、AAVの感染
性ゲノムの分子クローンは、GCテーリング(Samulskiら、1982、
Proc.Natl.Acad.Sci.USA、79:2077−2081)
、制限酵素部位を含有する合成リンカーの付加(Laughlinら、1983
、Gene、23:65−73)、または直接の平滑末端ライゲーション(Se
napathyおよびCarter、1984、J.Biol.Chem.、2
59:4661−4666)のような手順によって、AAVゲノムの2重鎖分子
をプラスミドに挿入することによって構築された。アデノウイルスのような適切
なヘルパーウイルスにも感染した哺乳動物細胞への、このようなAAV組換えプ
ラスミドのトランスフェクションは、いずれのプラスミド配列も含まないAAV
ゲノムのレスキューおよび切り出し、レスキューされたゲノムの複製、および子
孫感染性AAV粒子の生成を生じた。このことは、以上に要約されたようなAA
Vの遺伝的解析を実施するための基礎を提供し、そしてAAV形質導入ベクター
の構築を可能にした。
【0016】 この遺伝的解析に基づいて、AAVベクター構築の一般的原則が定義された( 総説として例えば、Carter、1992;Muzyczka、1992参照
のこと)。rAAVベクターは、ベクタープラスミドを生成するために、AAV
コード配列の一部を外来DNAと置換することによって、AAV組換えプラスミ
ド内で構築され得る。このベクタープラスミドにおいては、AAVゲノムの末端
ITR部分(ITR)が、トランスフェクション後のプラスミドからの切り出し
、ベクターゲノムの複製、ならびに宿主細胞ゲノムからの組み込みおよびレスキ
ューにおけるその上述の役割が理由で、保持されなければならない。次いで、こ
のベクターは、AAV粒子内にパッケージされてAAV形質導入ウイルスを生成
し得る。その方法は、アデノウイルスまたはヘルペスウイルスのような適切なヘ
ルパーウイルスによって感染した細胞への、このベクタープラスミドのトランス
フェクションによる。ベクターゲノムの複製およびAAV粒子内へのキャプシド
形成を達成するために、ベクタープラスミドは、このベクタープラスミドの構築
において欠失された任意のAAV機能(すなわちrepおよびcap)について
トランスに補完されなければならない。
【0017】 外来DNAをパッケージし、そしてそのDNAを種々の細胞に形質導入するた
めにrAAVベクターを使用するいくつかの系が、すでに記載されている。記載
された最初のrAAVベクターは、AAV転写プロモーターまたはSV40プロ
モーターから発現されるneo、catまたはdhfrのような外来レポーター
遺伝子を含有した(Tratschinら、1984b、Mol.Cell.B
iol.4:2072−2081;HermonatおよびMuzyczka、
1984、Proc.Natl.Acad.Sci.USA、81:6466−
6470;Tratschinら、1985、Mol.Cell.Biol.5
:3251−3260;McLaughlinら、1988、J.Virol.
62:1963−1973;Lebkowskiら、1988、Mol.Cel
l.Biol.7:349−356)。これらのベクターは、第2のパッケージ
ングプラスミドと一緒に、アデノウイルスに感染した細胞への同時トランスフェ
クションによって、AAV形質導入粒子にパッケージされた。第2のパッケージ
ングプラスミドは、野生型AAV転写プロモーターから発現されたAAVrep
遺伝子およびcap遺伝子を含有した。
【0018】 Samulskiら(1987)は、プラスミドpSub201を構築した。
このプラスミドは、細菌性プラスミド内で無傷のAAVゲノムであるが、各IT
Rの末端に13ヌクレオチドの欠失を有し、従って完全なAAVゲノムを含有し
た他のAAVプラスミドよりも、効率悪くレスキューおよび複製された。Sam
ulskiら(1989)は、pSub201をベースとしているがrepおよ
びcapを欠失し、SV40初期遺伝子プロモーターから発現されるhyg遺伝
子またはneo遺伝子のいずれかを含有する他のベクターを構築した。これらの
ベクターは、pAAV/Adと呼ばれるパッケージングプラスミドとの同時トラ
ンスフェクションによって、ウイルス粒子にパッケージされた。pAAV/Ad
は、いずれか一方の末端で1コピーのアデノウイルス5末端反復に包まれた、ヌ
クレオチド190〜4490の完全なAAVヌクレオチド配列からなった。この
パッケージングプラスミドにおいて、AAV rep遺伝子およびcap遺伝子
は、野生型AAVプロモーターp5、p19、およびp40から発現された。こ
のプラスミドはITRを欠失しているので、pAAV/AdのAAVゲノムは複
製しないようである。
【0019】 他のいくつかの報告は、rAAVベクターのことを記載している。Sriva
stavaら(1989、Proc.Natl.Acad.Sci.USA、8
6:8078−8082)は、Samulskiら(1987)のpSub20
1プラスミドをベースとした、あるAAVベクターを記載した。このベクターで
は、AAVのコード配列が別のパルボウイルス(B19)のコード配列と置換さ
れた。このシステムは、pSub201をベースとしていたので、pSub20
1プラスミドについて上述された欠陥を受ける。また、このベクターとパッケー
ジングプラスミドとは共に、同じITR領域を含有し、従って、野生型ウイルス
の混入を与える組換えが非常に起こりそうであった。Chatterjeeら(
1991、Vaccines 91、Cold Spring Harbor
Laboratory Press、85−89頁)、Wongら(1991、
Vaccines 91、Cold Spring Harbor Labor
atory Press、183−189頁)、およびChatterjeeら
(1992、Science、258:1485−1488)は、HIVまたは
単純ヘルペスウイルスのような感染性ウイルスに対して指向されたアンチセンス
RNAを発現するように設計されたrAAVベクターを記載する。他の報告は、
pSub201ベクタープラスミドをベースとしたベクターおよびpAAV/A
dパッケージングプラスミドを用いて、ヒトリンパ球(Muro−Cachoら
、1992、J.Immunotherapy、11:231−237)および
ヒト赤血球白血病細胞株(Walshら、1992)において、遺伝子を発現す
るための、rAAVベクターの使用を記載している。
【0020】 ヒト気道上皮細胞(嚢胞性線維症患者から分離され、そしてインビトロで増殖
された)の形質導入が、AAVのp5プロモーターから選択マーカー遺伝子ne
oを発現するrAAVベクターを用いて、達成された(Flotteら、199
2)。この研究では、AAV neoベクターは、pAAV/Adパッケージン
グプラスミドを使用してAAV粒子にパッケージされた。
【0021】 上記の研究は、rAAVベクターが遺伝子治療によるヒトの疾患の処置のため
のベクターとして潜在的有用性を有し得ることを示唆する。しかし、rAAVベ
クターを使用するヒト遺伝子治療の開発における厳しい制限は、長い断片の導入
遺伝子DNAをウイルスキャプシドへ効率よくパッケージすることができないこ
と、およびそれら遺伝子DNAを受容体細胞において有効に発現することができ
ないことである。例えばアデノウイルスベクターを包含する他のウイルスベクタ
ーもまた、パッケージングサイズの制約を示すが、しかし、AAVは、サイズの
制約に関して特に敏感に反応するようである。特に、最適サイズを超えるにつれ
て、ベクターの生成に、鋭くかつ劇的な減少が存在する。
【0022】 AAVは、野生型ゲノムのサイズ(約4.6kb)より若干大きなゲノムを パッケージングし得る。ゲノムサイズとパッケージング効率との正確な関係は、
ほんの最近になって明らかにされた。ゲノムの長さが1.9〜6.0kbと徐々
に増加する一連のrAAV ベクターを使用して、Dongら(1996,Hu man Gene Ther.7:2101−2112)は、ベクターサイズに関
するrAAVのパッケージング効率を定量的に分析し得、パッケージングについ
てのサイズ制限を決定し得た。詳細には、様々なサイズのrAAVベクターのパ
ッケージング効率は、ウイルス粒子のDNA含量を評価することによって直接的
に、標的細胞へのクロラムフェニコールアセチルトランスフェラーゼ(CAT)
レポーター遺伝子の移入を分析することによって間接的に決定された。Dong
ら(1996)は、パッケージングのためのrAAVベクターの最適なサイズが
4.1kbと4.9kbとの間であることを示した。AAVはそれ自体のゲノム
サイズより大きなベクター(約5.2kbまでのベクターを含む)を導入し得る
が、この大きなサイズの範囲におけるパッケージング効率は急に減少した。この
AAVゲノムサイズが4.1kbより小さい場合もまた、パッケージング効率は
最適以下であった。ゲノムサイズが野生型ゲノムの長さの半分未満である場合は
、2コピーのベクターが各ビリオンにパッケージングされ、このことは、パッケ
ージングの間のコピー数の制御が「 満頭(head−full) 」機構である
ことを示唆した。
【0023】 Dongら(1996)は、様々なサイズのrAAVベクターおよびpAAV
/Adパッケージングプラスミド(Samulskiら、1989)を、HeL
a細胞へ同時トランスフェクトした。 一時的にトランスフェクトした細胞から 生成されたAAVビリオンは収集され、新しいHeLa細胞を感染させるために
用いられた。感染された細胞におけるCAT活性は感染後3日目に分析された。
3.2〜4.88kbの長さをもつベクターの得られたCAT活性は80.7〜
129.5cpmであった。しかし、4.88kbを超えたサイズにおける0.
2kbの増加のみについては、得られたCAT活性は35.9cpmに減少した
。このことは、粒子生成における50%を超える減少を示す。サイズがさらに増
加した結果、粒子パッケージング効率はより減少した。
【0024】 つまり、組換えrAAVベクターが遺伝子治療に関する有用性を有すると考え
られる一方、重要な障害は、ウイルスのカプシドへ効率的にパッケージングされ
得、次いで受容細胞において発現され得る、導入遺伝子DNA量の制限であった
。これは、より大きな遺伝子の移入を要求するインビボでの応用において、重要
な問題である。
【0025】 本来のプロモーターおよび異種プロモーターを含む、多くの遺伝子がAAVパ
ッケージングベクターのサイズ制約に適するほど十分小さいとはいえ、その他多
くのものは小さくはない。
【0026】 AAVパッケージング制約に適応させるためのアプローチの一つは外因性転写
プロモーターの使用を差し控えることである。例えば、嚢胞性線維症膜貫通調節
タンパク質(CFTR)の場合では、どんな追加プロモーターなしであっても、
Carterおよび共同実験者ら(米国特許第5,587,308号;Flot
teら,1993a)によって記載されたように、AAV ITR自体により与 えられた比較的低レベルな転写活性に基づくrAAV−CFTRベクターを構築
および使用し得ることが示されている。
【0027】 もう一つのアプローチは非必須コード領域を欠失した導入遺伝子を使用する ことである。例えば、Carterらにより記載されたように、組換えrAAV
ベクター内の短縮型CFTR遺伝子はAAV粒子にパッケージングされ、次いで
哺乳動物細胞中のCF欠損の補完に使用される。Carterらの米国特許出願
第08/455,552号を参照のこと。これは現在発行手続き中である。
【0028】 Carterらによって例証されたCFTR遺伝子に関する前述のアプローチ
は、極めて有用であり、嚢胞性線維症のような疾患を処置するための遺伝子治療
において使用するためのrAAVベクターの生成を有効に可能にした。実際に、
これらのアプローチによる成功は、Stanford University
School of Medicine,Stanford,CA、Johns
Hopkins Children’s Center,Baltimore
,MD、およびUniversity of Florida,Gainesv
ille,FLを含めたいくつかのセンターで、Targeted Genet
ics Corporationにより後援された嚢胞性線維症の患者を含む2
つの異なる臨床試験の開始に値した。
【0029】 しかし、潜在的なベクターサイズの制約にもかかわらず、導入遺伝子の発現が
はるかに向上し得る改良されたrAAV構築物についての持続する要望が存在す
る。高い粒子生成効率および挿入した導入遺伝子の発現の増強を提供する改変さ
れたrAAVベクターを有することは最も有用である。本発明はこれらの状況で
使用し得る、転写活性化されたrAAVベクターを提供する。
【0030】 (発明の要旨) アデノ随伴ウイルス(AAV)ベクターはインビボで多くの様々な任意の組織
への遺伝子移入を達し得る。しかし、AAVカプシドはDNAをパッケージング
する能力において制限がある。これは特に、多くの治療用導入遺伝子を含む大き
なDNA断片のパッケージングに関して問題である。本発明は転写活性化された
ITRを提供する。これは、組換えAAVベクターにパッケージングされた比較
的大きな導入遺伝子の発現を最適にするために使用され得る。
【0031】 発明の実施態様は以下を含むがこれらに限定されない。
【0032】 本発明は、一つの実施態様において、転写活性化されたアデノ随伴ウイルス(
AAV)の逆方向末端反復(ITR)を含むポリヌクレオチドを提供する。ここ
で転写活性化されたITRは長さ約400bp未満であり、転写活性異種エレメ
ントを含み、ここで転写活性化されたITRは、転写可能な条件下において野生
型ITRに対して、転写活性における少なくとも2倍の増加(好ましくは少なく
とも5倍の増加)を示す。
【0033】 一つの実施態様において、本発明は、転写可能な条件下において野生型ITR
に対して、転写活性における少なくとも約7倍の増加を示す、転写活性化された
ITRを提供する。その例示的な実施態様は、転写開始配列および少なくとも一
つのCCACボックスを含む。
【0034】 別の実施態様において、本発明は、転写可能な条件下において野生型ITRに
対して、転写活性における少なくとも約10倍の増加を示す、転写活性化された
ITRを提供する。その例示的な実施態様は、転写開始配列およびアミロイドβ
タンパク質前駆体(APP)プロモーターの転写活性エレメントを含む。
【0035】 別の実施態様において、本発明は転写可能な条件下において野生型ITRに対
して、転写活性における少なくとも約40倍の増加を示す、転写活性化されたI
TRを提供する。その例示的な実施態様は、転写開始配列およびATF−1/C
RE部位およびSp1部位を含む。
【0036】 別の実施態様において、本発明は、転写可能な条件下において野生型ITRに
対して、転写活性における少なくとも約50倍の増加を示す、転写活性化された
ITRを提供する。その例示的な実施態様は、転写開始配列およびATF−1/
CRE部位、Sp1部位およびNa,K−ATPアーゼα1サブユニット遺伝子
プロモーターのCボックスエレメントを含む。
【0037】 本発明はまた以下を次の順番で含むポリヌクレオチドを提供する:転写活性化
されたITRである最初のITR(ここで、転写活性化されたITRは長さが約
400bp未満であり、そして転写活性エレメントを含み、そしてここで、転写
活性化されたITRは、転写可能な条件下において野生型ITRに対して転写活
性における少なくとも2倍(好ましくは少なくとも5倍)の増加を示す);およ
び野生型ITR、転写活性化されたITR、D配列、trs、または野生型IT
Rの一部からなる群より選択される2番目のITR。
【0038】 別の実施態様において、本発明は、転写活性化されたITRに作動可能に連結
される異種導入遺伝子をさらに含む本発明の任意のポリヌクレオチドを含む。
【0039】 別の実施態様において、本発明は、AAVウイルス粒子へパッケージングされ
た本発明の任意のポリヌクレオチドを含む。
【0040】 別の実施態様において、本発明は、任意のポリヌクレオチドを含む哺乳動物細
胞を含む。ここで、上記のポリヌクレオチドは上記細胞の染色体へ安定して組み
込まれる。
【0041】 別の実施態様において、本発明は、組換えAAVベクターをパッケージングす
る方法を含み、この方法は以下の工程を含む:哺乳動物細胞を提供する工程;組
換えAAVベクターを導入する工程であって、上記ベクターは、転写活性化され
たITRである最初のITRであって、ここでこの転写活性化されたITRは長
さが約400bp未満であり、そして転写活性エレメントを含み、そしてここで
、転写活性化されたITRは、転写可能状態下において野生型ITRに対して、
転写活性における少なくとも2倍(好ましくは少なくとも5倍)の増加を示す、
ITR;および野生型ITR、転写活性化されたITR、D配列、trs、また
は野性型ITRの一部からなる群より選択される2番目のITRを含む、工程;
細胞内にRepおよびCapタンパク質ならびにヘルパー機能を提供する工程;
ならびにAAVベクターの複製およびパッケージングに適する条件下で細胞をイ
ンキュベートする工程を含む。
【0042】 本発明のこれらおよび他の実施態様を以下の記載において概説する。
【0043】 (発明の詳細な説明) 組換えAAVベクターは、少なくとも1つの(好ましくは2つの)AAV I
TRに隣接する目的の異種ポリヌクレオチド、すなわち「導入遺伝子」を含む、
遺伝子送達構築物である。これらの組換えAAVベクターはヒト遺伝子治療のた
めの潜在的に強力な手段である。AAVベクターに関連した一つの技術的制限は
、パッケージング効率および発現効率はパッケージングした全DNAが約5kb
の長さを超えたとき、劇的に落ち込む傾向があるため、大きな治療用導入遺伝子
をパッケージングする能力が制約されることである。
【0044】 本明細書中に記載した本発明は、高い効率でパッケージングおよび発現をされ
得る導入遺伝子材料を最大にする、転写活性化されたITRの生成における使用
のための方法および材料を提供する。
【0045】 (定義) 「AAV」は、アデノ随伴ウイルスの略号であり、そしてウイルス自体または
その誘導体をいうために用いられ得る。本用語は、他に要求される場合を除いて
、すべての血清型およびサブタイプならびに自然に存在するおよび組換えの両方
の型を含む。
【0046】 用語「ITR」は、AAVゲノムのいずれかの末端における逆方向末端反復を
いう。この配列はヘアピン構造を形成し得、原核生物のプラスミドからのAAV
DNAの複製およびレスキュー、または切り出しに関与する(Samulsk
iら、1983、1987;Senapathyら、1984;Gottlie
bおよびMuzyczka、1988)。加えて、ITRは、AAVプロウイル
スの組み込みおよびビリオンへのAAV DNAのパッケージングに要求される
最小配列のようである(McLaughlinら、1988;Samulski
ら、1989)。
【0047】 用語「転写活性化されたITR」または「転写活性化されたAAV ITR」
は、野生型ITR(Samulskiら、1983、1987;Senapat
hyら、1984;GottliebおよびMuzyczka,1988)の配
列の部分のかなりの配列全体の同一性のヌクレオチドセグメントを含むが、野生
型ITRに対して転写活性の増加を示す配列をいう。本発明の転写活性化された
ITRは、ITR配列に由来し得るが、rAAVベクターにおいて近接している
導入遺伝子の転写レベルを高め得る点でITRを転写により活性されるようにす
る変異(例えば、欠失、逆位、置換、添加または他の変化)、または複数のこの
ような変異も保有する。上記の転写活性化されたITRは、野生型ITRより少
なくとも2倍大きい転写促進活性を示し、好ましくは少なくとも5倍、少なくと
も7倍、少なくとも10倍、少なくとも20倍、さらにより好ましくは少なくと
も50倍、最も好ましくは少なくとも100倍大きな活性を示す。代表的には、
転写活性化されたITRの転写活性部分は、転写活性部分の長さの少なくとも5
0%、好ましくは少なくとも約90%、最も好ましくは全長にわたって、転写活
性エレメントの標準配列と配列類似性を有する配列を含む。好ましくは、転写活
性化されたITRの転写活性部分はタンパク質−ヌクレオチド相互作用に重要な
ヌクレオチドを含み、上記のタンパク質は転写の開始、促進または増強に関与す
る。一般に、転写活性化されたITRのITR由来部分は、少なくとも50ヌク
レオチド長、より好ましくは少なくとも100ヌクレオチド長、さらにより好ま
しくは約140ヌクレオチド長であり、かつITR由来部分の長さの少なくとも
50%、好ましくは少なくとも約90%、最も好ましくは野生型AAV ITR
の全長にわたって配列類似性を有する配列を含む。好ましくは、転写により活性
されるITRは、DNA複製、AAVプロウイルスの組み込み、AAV DNA
のパッケージング、およびプラスミドDNAからの切り出しの機能を含む、野生
型ITRに関連した種々の活性を提供する。
【0048】 用語「転写活性エレメント」または「転写活性部分」は、RNAを形成するた
めにRNAポリメラーゼによるDNAの制御転写を可能にする配列をいう。本発
明の転写活性エレメントは概して500bpより小さく、好ましくは200bp
より小さく、より好ましくは100bpより小さく、最も好ましくは50bpよ
り小さい。転写活性エレメントを含む転写活性化されたITRは、概して野生型
ITRより少なくとも2倍大きな転写活性、好ましくは少なくとも5倍、少なく
とも7倍、少なくとも10倍、少なくとも20倍、少なくとも30倍、少なくと
も40倍、少なくとも50倍、または少なくとも100倍大きな活性を示す。転
写活性エレメントはまた「転写開始配列」を含む。この「転写開始配列」は概し
て転写開始の位置を決定する。該当分野で公知の転写開始配列は、例えば、TA
TAおよびTATA様ボックス(例えば、Breathnachら、1981、
Annu.Rev.Biochem.50:349−383;Smaleら、1
989、Cell 57:103−113を参照のこと)を含む。従って、転写
活性エレメントは転写開始配列(転写開始を位置決めするため)およびDNAの
制御転写を可能にするための転写を活性化する配列を含む。
【0049】 用語「ポリぺプチド」、「ぺプチド」、および「タンパク質」は、任意の長さ
のアミノ酸のポリマーをいうために交換可能に用いる。これらの用語はまた、グ
リコシル化、アセチル化およびリン酸化を含む反応を通じて翻訳後に転写活性化
されたタンパク質を含む。
【0050】 「ポリヌクレオチド」または「核酸」は、任意の長さ、リボヌクレオチドもし
くはデオキシリボヌクレオチド、またはそのアナログもしくはその誘導体のいず
れかのヌクレオチドのポリマー形態をいう。本用語は一次構造の分子のみをいう
。従って、2本鎖および1本鎖DNA、ならびに2本鎖および1本鎖RNA、お
よびRNA−DNAハイブリットが含まれる。本用語はまた、メチル化またはキ
ャップされたポリヌクレオチドのような、転写活性化されたポリヌクレオチドを
含む。加えて、「ポリヌクレオチド」または「核酸」は、プリンおよびピリミジ
ン塩基、または他の天然の塩基、化学的もしくは生化学的に転写活性化された塩
基を含む任意のポリマーを含むか、あるいは非天然または誘導化されたヌクレオ
チド塩基を含む。ポリヌクレオチドの骨格は、糖およびリン酸基、または転写活
性化されたかもしくは置換される糖またはリン酸基を含み得る。あるいは、ポリ
ヌクレオチドの骨格は、ホスホルアミデートのような合成サブユニットのポリマ
ーを含み得、従ってオリゴデオキシヌクレオシドホスホルアミデートまたはホス
ホルアミデート−ホスホジエステル混合オリゴマーであり得る。Peyrott
esら(1996)Nucleic Acids Res.24:1841−8
;Chaturvediら(1996)Nucleic Acids Res.
24:2318−23;Schultzら(1996)Nucleic Aci
ds Res.24:2966−73.別の実施態様において、ホスホチエート
(phosphorothiate)結合はホスホジエステル結合の代わりに用
いられ得る。Braunら(1988)J.Immunol.141:2084
−9;Latimerら(1995)Mol.Immunol.32:1057
−1064.加えて、適切な条件下での相補鎖の合成およびアニール、または適
切なプライマーとともにDNAポリメラーゼを使用する相補鎖のデノボ合成のい
ずれかによって、2本鎖ポリヌクレオチドは、化学合成の1本鎖ポリヌクレオチ
ド産物から得られ得る。
【0051】 「組換え体」は、ポリヌクレオチドに対して適用したとき、このポリヌクレオ
チドがクローニング、制限エンドヌクレアーゼおよび/もしくは連結工程、また
はこれらの工程の任意の組み合わせ、あるいは自然界でみられるポリヌクレオチ
ドとは異なるポリヌクレオチド構築物をもたらす他の手順での生産物であること
を意味する。
【0052】 2つのポリヌクレオチド間での「配列重複」は、ヌクレオチドが、組換えを促
進するのに十分な長さおよび同一性の相同配列を共有するときに起こる。相同性
および一致する組換えの頻度のレベルは同種の配列の長さが増加するにつれて、
およびそれらの共有した同一性のレベルにつれて増加する。本発明の内容におい
て、rAAVベクターは、トランスで供給されてAAVの複製およびカプシド化
を促進する(それにより、複製可能なAAVベクターが生じ得る頻度を減少させ
る)AAV repおよび/もしくはcap遺伝子との実質的な配列の重複を示
さないことが好ましい。所定のシステムにおいて関心を提起する相同性のレベル
は、該当分野で公知のように、理論的に決定されて実験的に確認され得る。しか
し、もし重複している配列が、約25ヌクレオチド配列未満でかつそのヌクレオ
チド全長にわたって少なくとも80%同一であるか、または約50ヌクレオチド
配列未満でかつそのヌクレオチド全長にわたって少なくとも70%同一であるな
らば、代表的には組換えは実質上減少し得るかまたは削除され得る。もちろん、
組換えの見込みがはるかに減少するので、さらにより低いレベルの相同性が望ま
しい。
【0053】 「ベクター」とは、インビトロまたはインビボのいずれかにおいて、宿主細胞
へ送達されるポリヌクレオチドを含む、組換えプラスミドまたは組換えウイルス
をいう。
【0054】 「組換えAAVベクター」または「rAAVベクター」とは、少なくとも1つ
の、好ましくは2つの、AAV ITRにより隣接する目的の1つ以上の異種(
すなわち、非AAV)ポリヌクレオチドを含むベクターをいう。単一のITRは
、いくつかの条件下でrAAVベクターの複製に十分であり得る。適したヘルパ
ーウイルスに感染し、そしてAAV repおよびcap遺伝子を発現している
宿主細胞に存在するとき、rAAVベクターは複製され得、そして感染性ウイル
ス粒子へパッケージングされ得る。
【0055】 「AAVウイルス」または「AAVウイルス粒子」とは、AAVカプシドおよ
びカプシド化したポリヌクレオチドを含む粒子をいう。
【0056】 「導入遺伝子」とは、ベクターを介して細胞へ送達されるポリヌクレオチドで
あり、そして遺伝子治療の目的のコード配列を含み得る。これは、「標的ポリヌ
クレオチド」または「治療用導入遺伝子」ともいい得る。
【0057】 用語「ITR由来エレメント」、「ITR由来配列」などは、野生型ITR、
またはITRのレスキュー、複製およびカプシド化機能を促進し得る、従って、
そのために本発明の改変されたITRへ組み込まれ得る、ITRの任意の他の部
分を示す。
【0058】 AAV「rep」および「cap」遺伝子とは、それぞれ、複製タンパク質お
よびカプシド化タンパク質をコードし、調べられた全てのAAV血清型において
見い出されている。代表的には、rep遺伝子およびcap遺伝子はAAVゲノ
ムにおいて互いに近接して見い出され、そしてこれらは一般にAAV血清型間で
保存される。これらの機能は、下記に表示したように、rAAV生成物の状況で
トランスで提供され得るか、そして代表的には提供される。
【0059】 AAVに対する「ヘルパーウイルス」とは、野生型AAV(一般に欠損パルボ
ウイルスである)が宿主細胞によって複製されそしてパッケージングされるのを
可能にする第2のウイルスをいう。アデノウイルス、ヘルペスウイルスおよびワ
クシニアの様なポックスウイルスを含め、このような多くのヘルパーウイルスは
同定されている。ヘルパーウイルス機能とは、AAV生成を促進および/または
助長するヘルパーウイルスの機能をいい、その機能はヘルパーウイルスから単離
され得、そしてAAV生成の情況において独立して使用され得る。
【0060】 本明細書中で使用される「パッケージング」とは、AAVゲノムまたはrAA
Vベクターの集合およびカプシド化を生ずる、一連の細胞内での事象をいう。従
って、適切な条件下において適切なベクタープラスミドが、パッケージング細胞
株へ導入されるとき、このベクタープラスミドはベクターウイルス粒子へと集合
する。
【0061】 「異種」は、比較される実体の残りと遺伝子型が異なる実体に由来することを
意味する。例えば、遺伝子工学技術により異なる細胞型へ導入されたポリヌクレ
オチドは異種ポリヌクレオチド(および、発現される場合、異種ポリぺプチドを
コードし得る)である。同様に、その本来のコード配列から取り出されて異なる
コード配列に作動可能に連結される転写活性エレメントは、異種の転写活性エレ
メントである。
【0062】 「作動可能に連結される」とは近接の位置であることをいう。ここで、このよ
うに記載される構成要素は、それらの意図される様式において機能することを可
能にする関係にある。転写活性エレメントがコード配列の翻訳を促進する場合、
転写活性エレメントはコード配列に作動可能に連結される。作動可能に連結され
る転写活性エレメントは通常コード配列とシス配置をとるが、コード配列と隣接
する必要はない。
【0063】 「宿主細胞」、「細胞株」、「細胞培養物」、およびこのような他の用語は、
より高等な真核生物の細胞を示し、最も好ましくは哺乳動物細胞を示し、これは
組換えベクターのレシピエントまたは他の移入ポリヌクレオチドとして使用され
得、そして形質導入された元の細胞の子孫を含む。単細胞の子孫は、元の親細胞
と、形態またはゲノム相補において必ずしも完全に同一ではないことが理解され
る。
【0064】 細胞へのポリヌクレオチドの「安定な組み込み」は、ポリヌクレオチドが細胞
の染色体またはミニ染色体へ導入されて、従って、細胞性ゲノムの比較的不変の
部分になることを意味する。プラスミドの様なエピソームは時々多くの世代で維
持され得るが(特に選択圧下で維持する場合)、エピソームにより保有される遺
伝物質は概して、染色体に組み込まれた物質よりも失われやすい。また、真核生
物の染色体のクロマチン構造は、組み込まれたポリヌクレオチドの発現レベルに
影響し得る。クロマチンにより誘導されるこのような効果は、組み込まれたポリ
ヌクレオチドが発現される相対的度合を減少または増強し得る。代表的に、多く
の組み込まれたクローンは生産され、そして生産条件下において所望の発現レベ
ルを示すクローンが選択される。
【0065】 ウイルスの生成、複製またはパッケージングの記載に使用したときの「効率」
とは、本法の有用な特性をいう;特に、成長速度および1細胞当たりで生成され
たウイルス粒子の数。「高い効率」の生成とは、本法において記載した培養期間
の経過にわたる、1細胞当たり少なくとも100ウイルス粒子の、好ましくは1
細胞当たり少なくとも約10,000、およびより好ましくは少なくとも約10
0,000粒子の生成を示す。
【0066】 (一般技術) 本発明の実施は、他に示されない限り、分子生物学、微生物学、組換えDNA
および免疫学の従来技術を採用している。これらは当該分野の技術範囲内である
。このような技術は文献で十分に説明されている。例えば、Sambrook,
Fritsch,およびManiatis,Molecular Clonin
g:A Laboratory Manual,第2版(1989)、Olig
onucleotide Synthesis(M.J.Gait編,1984
)、Animal Cell Culture(R.I.Freshney編,
1987)、Methods in Enzymologyシリーズ(Acad
emic Press,Inc.);Gene Transfer Vecto
rs for Mammalian Cells(J.M.MilleおよびM
.P.Calos編.1987)、Handbook of Experime
ntal Immunology,(D.M.WeitおよびC.C.Blac
kwell,編)、Current Protocols in Molecu
lar Biology(F.M.Ausubel,R.Brent,R.E.
Kingston,D.D.Moore,J.G.Siedman,J.A.S
mith,およびK.Struhl編,1987)、およびCurrent P
rotocols in Immunology(J.E.Coligan,A
.M.Kruisbeek,D.H.Margulies,E.M.Sheva
chおよびW.Strober編,1991)を参照のこと。全ての特許、特許
出願書、および本明細書中で上記および下記の両方で述べた刊行物は、本明細書
中で参考として援用する。
【0067】 (発明を実施するための形態) AAVカプシドは標的細胞への導入遺伝子DNAの送達に有用であるが、特に
約5.0kbを超える様な大きなDNA断片のとき、DNAをパッケージングす
る能力は制限される。本発明は転写活性化されたITRを提供する。これはその
活性および小さいサイズに起因して、rAAVベクターにパッケージされ得そし
てrAAVベクターから効率的に発現され得る導入遺伝子DNAの量を効果的に
増加し得る。本発明に従って、ITRは、転写活性エレメントのような、隣接し
た導入遺伝子の翻訳を増強する転写制御配列を含むことにより転写活性化された
。転写活性化されたITRがどのように配置され得るかいくつかの例を、以下で
詳細に記載するように、図1に示す。
【0068】 従って、本発明のrAAVベクターは、配列中に、転写活性化されたITR、
導入遺伝子(AAVゲノムコード領域の大部分または全体の代わり)、そして複
製およびパッケージングに対して十分な2番目のITR由来エレメントを構築す
ることによって調製され得る。この2番目のITR由来エレメントは、野生型I
TR、ITRのD配列、trs、複製、レスキューおよびパッケージングを可能
にするに十分なITRの任意の部分を含み得る。このrAAVベクターの長さは
、好ましくは約4.1kbと5.2kbとの間、より好ましくは4.2kbと5
.2kbとの間、より好ましくは4.3kbと5.1kbとの間、最も好ましく
は4.6kbと5.0kbとの間である。
【0069】 このrAAVベクターもまた、当該分野において公知でありそして本明細書中
に引用される様々な参考文献に示されるように、以下の任意のまたは全てのエレ
メントも含み得るプラスミド中に位置し得る:レポーター遺伝子、複製起点、さ
らなるプロモーター、マルチクローニング部位。
【0070】 任意の血清型またはサブタイプのAAVは、様々な血清型が遺伝子レベルでさ
え、機能的および構造的に関連しているため、適している(例えば、Black
low,165−174頁、「Parvoviruses and Human
Disease」J.R.Pattison編,1988;およびRose,
Comprehensive Virology 3:1,1974を参照のこ
と)。全てのAAV血清型は、相同なrep遺伝子により媒介される類似した複
製特性を明らかに示し、;そして全てがAAV2により発現されるカプシドタン
パク質のような3つの関連したカプシドタンパク質を有する。この関連度は、ゲ
ノムの長さに沿って血清型間での広範囲なクロスハイブリダイゼーションを示す
ヘテロ2重鎖分析により;そしてITRに相当する末端での類似の自己アニール
セグメントの存在により、さらに示唆される。類似した感染性パターンもまた、
各血清型における複製の機能が同様の調節制御下にあることを示唆する。利用可
能な血清型の中でも、AAV2が現在好ましい。
【0071】 哺乳動物の細胞におけるAAV粒子の生成および処理についての様々な方法は
記載されている。rAAVベクターの複製およびパッケージングのための宿主ま
たは「プロデューサー」細胞を使用することは典型的である。このようなプロデ
ューサー細胞(通常哺乳動物宿主細胞)は、概してrAAV生成のためのいくつ
かの異なるタイプの構成要素を含むか、または含むように改変される。最初の構
成要素は、複製され得、そして宿主のパッケージング細胞によりベクター粒子へ
パッケージングされ得る、rAAVベクターゲノム(または「rAAVプロベク
ター」)である。このrAAVプロベクターは導入遺伝子を普通は含む。この導
入遺伝子は、AAVベクターの切り出し、複製およびパッケージング中、ならび
に宿主細胞のゲノムへのベクターの組み込み中に認識される配列を含む2つのI
TRに概して隣接している。本発明で記載したように、転写活性化されたITR
は、作動可能に連結される導入遺伝子の効率的な発現を促進する配列をさらに含
む。2番目の構成要素は、AAVの複製のヘルパー機能を提供し得るヘルパーウ
イルスである。アデノウイルスが通常使用されるが、当該分野において公知であ
る他のヘルパーウイルスも使用し得る。あるいは、必要なヘルパーウイルス機能
は、ヘルパーウイルスから遺伝的に単離され得、そしてそのコード遺伝子は、ト
ランスでヘルパーウイルスの機能を提供するために使用され得る。AAVベクタ
ーエレメントおよびヘルパーウイルス(またはヘルパーウイルス機能)は、任意
の順序で同時または連続的のいずれかで宿主細胞へ導入され得る。プロデューサ
ー細胞中に提供されるAAV生産の最終構成要素は、複製およびタンパク質のカ
プシド化をそれぞれ提供するAAV repおよびcap遺伝子のような「AA
Vパッケージング遺伝子」である。いくつかの異なるバージョンのAAVパッケ
ージング遺伝子が提供され得る。(野生型rep−capカセット、ならびにr
epおよび/またはcap遺伝子がネイティブなプロモーターの制御下において
、あるままであるか、または異種プロモーターに作動可能に連結され得る改変し
たrepおよび/またはcap遺伝子を含む)。当該分野において公知であり以
下に記載されているように、この様なAAVパッケージング遺伝子は、一時的ま
たは安定してのいずれかで宿主パッケージング細胞へ導入され得る。
【0072】 高い力価の組換えAAVベクターの生成のための一つの例示的な技術は、Ta
rgeted Genetics CorporationおよびJohns
Hopkins Universityによって米国特許第5,658,776
号(Flotteら)に概説されている。本実施例は、安定して組み込まれたr
AAVベクターの少なくとも1つの完全なコピーを有する哺乳動物細胞を使用し
、ここでこのベクターはAAV ITRおよび標的ヌクレオチドに作動可能に連
結される転写プロモーターを含むが、ここでrepの発現は制限される。好まし
い実施態様において、異種AAVに作動可能に連結されるrep遺伝子を含むA
AVパッケージングプラスミドは、細胞へ導入され、そして次いでその細胞はA
AVベクター配列の複製および粒子へのパッケージングを可能にする条件下でイ
ンキュベートされる。
【0073】 2番目の例示的な技術は、特許出願WO95/13392(Trempeら)
に概説されており、そして米国特許出願08/362,608(現在発行手続き
中である)に対応する。本実施例は、機能的Repタンパク質の発現が可能にな
るように異種プロモーターと作動可能に連結されるAAV rep遺伝子を有す
る安定した哺乳動物細胞株を使用する。様々な好ましい実施態様において、AA
V cap遺伝子は、なお安定に提供され得るかまたは(例えばプラスミド上に
)一時的に導入され得る。組換えAAVベクターはまた、安定してまたは一時的
に導入され得る。
【0074】 別の例示的な技術は、特許出願WO96/17947(Targeted G
enetics Corporation,J.Allenによる)に概説され
ている。本実施例は安定して組み込まれたAAV cap遺伝子、およびヘルパ
ーウイルスによって誘導され得る異種プロモーターと作動可能に連結される安定
して組み込まれたAAV rep遺伝子を含む哺乳動物細胞を使用する。様々な
好ましい実施態様において、ベクター配列を含むプラスミドはまた細胞へ導入さ
れる(安定してまたは一時的のどちらか)。次いで、AAVベクター粒子のレス
キューは、ヘルパーウイルスの導入によって開始される。
【0075】 AAVの複製およびカプシド化が可能な条件下における宿主細胞の培養後、細
胞および非細胞画分は、ヘルパーウイルス、ヘルパーウイルスタンパク質、およ
び細胞タンパク質を実質上含まないアデノ随伴ウイルス(AAV)の高力価の調
製物を生ずるように処理され得る。例示的技術は、ヘルパーウイルス、ヘルパー
ウイルスタンパク質、および細胞タンパク質ならびに他の構成要素を実質上含ま
ない高力価rAAV調製物の生成についてTargeted Genetics
CorporationのAtkinsonらによって1997年9月5日に
出願された米国特許出願(代理人事件番号22627−2003300)に概説
されている。
【0076】 これらの様々な例は、十分に高い力価でのAAVの提供、ベクターとパッケー
ジングする構成要素との間での組換えの最小化、および哺乳動物細胞株における
AAV rep遺伝子の発現に関連した潜在的な困難性の減少または回避という
問題に取り組む(なぜなら、Repタンパク質はそれら自体の発現を制限できな
いだけでなく、細胞代謝にも影響を与え得るため)。組換えAAVベクター調製
物の大規模生成に用いられ得るヘルパーウイルスを実質上含まないAAVウイル
スの生産のための技術の例もまた提供される。
【0077】 高い力価のrAAV粒子の生産のためのさらなる方法は、米国特許出願60/
041,609(Burstein);米国特許出願60/041,689;お
よび1997年10月21日に提出された米国特許出願(代理人事件番号226
27−20003900)(Lynchら)を含む様々な共有に係る米国特許出
願に記載される。
【0078】 (ITRの詳細な分析) 野生型AAV ITRは、機能的な複製起点(ori)を提供し、そしてAA
V DNA複製のため、および原核生物プラスミドからのレスキューまたは切り
出しのためにシスで機能する(Samulskiら、1983;Samulsk
iら、1987;Senapathyら、1984;GottliebおよびM
uzyczka、1988)。ITRは概して通常の転写調節配列として働くと
は考えられていない(Carter,1990;Muzyczka,1992;
およびWalshら、1992;Flotteら、1992)が、野生型ITR
は低いレベルの転写活性を提供することが示されている(Carterら、米国
特許第5,587,308号;Flotteら、1993a)。
【0079】 AAV2の場合、野生型ITRは145ヌクレオチド長である(Srivas
tavaら、1983)。ITRは、ヘアピン(HP)領域およびD配列という
の2つの領域を含む。HP配列はAAV2 ITRの末端125ヌクレオチドを
含み、一方D配列は隣接した20ヌクレオチドを含む。加えて、末端分解部位(
trs)がHP領域とD配列との間に位置する。
【0080】 HP領域はパリンドローム配列エレメントを A、C’、C、B’、B、A’
の順で含み、従ってそれ自体が折り返されてT型ヘアピン構造を形成し得る(図
1)。Muzyczka,1992。末端HP構造は明らかにウイルスDNAの
複製開始のプライマーとして使用され、1本鎖のゲノムを一方の末端に共有結合
により閉じたヘアピンを有する2本鎖テンプレートへと変換する(Bernsお
よびBohenzky,1987,Adv.Vir.Res.32:243−3
06;Lusbyら、1980,J.Virol.34:402−409;Na
breiniおよびSrivastava,1989,Intervirolo
gy 30:74−85;Niら、1994,J.Virol.68:1128
−1138;Srivastava,1987,Intervirology
27:138−147)。
【0081】 D配列は、ITRのT型構造の形成に関与せず、高い効率のレスキュー、選択
的複製およびAAVゲノムのカプシド化において重要な役割を果たすようである
。Wangら、1997、J.Virol.71:3077−3082。いくつ
かのD配列変異体の分析は、HPに対して遠位の10ヌクレオチドのD配列が取
り除かれたとき、AAVゲノムは効率的なレスキュー、複製およびカプシド化を
受け得ることを示した。しかし、欠失が15ヌクレオチドに及んだとき、レスキ
ュー、複製およびパッケージングは激しく損なわれた。Wangら、1997。
宿主細胞のタンパク質(D配列結合タンパク質(D−BP)と称される)は、D
配列と特異的に相互作用する。Wangら、1996,J.Virol.70:
1668−1677。
【0082】 trsはD配列とHP配列との接合部に位置する。trsは、Rep78およ
びRep68によって特異的に結合および切断されるようである。Ashkto
rabおよびSrivastava,1989;ImおよびMuzyczka,
1989;ImおよびMuzyczka,1990,Cell 61:447−
457;ImおよびMuzyczka,1992,J.Virol.66:11
19−1128;Snyderら,1990、Cell 60:105−113
。trsにおけるRep媒介切断はD配列とは独立しているようである(Wan
gら、1996)。
【0083】 (転写活性化されたITR) ITRの全てがその様々な機能にとって必須というわけではないようである。
例えば、HP領域に対して遠位のD配列の10ヌクレオチドは、明らかに、レス
キュー、複製およびカプシド化を損なうことなく、取り除かれ得る。例えば、W
angら、1997を参照のこと。しかし、HP領域の末端125ヌクレオチド
の多くは、DNAの複製および末端分解に必要とされるようである(Bohen
zkyら、1988;LeFebvreら、1984;ImおよびMuzycz
ka、1989;AshktorabおよびSrivastava、1989)
【0084】 本発明の転写活性化されたITRは、少なくとも1つの転写活性エレメントを
含むことによって転写により活性化された野生型ITRの全てまたは部分を含み
得る。様々な型の転写活性エレメントは状況での使用に適している。構成的転写
活性エレメントは、継続レベルの遺伝子転写を提供し、そして導入遺伝子が継続
的基準において発現することが所望される場合に好ましい。誘導性転写活性エレ
メントは概してインデューサ、(または誘導条件)の非存在下において低い活性
を示し、インデューサ、(または誘導条件への転換)の存在下においてアップレ
ギュレートされる。特定の時または特定の位置においてのみ発現が望まれる場合
、または誘導剤を使用して発現レベルを滴定することが望ましい時、それらは好
適であり得る。転写活性エレメントはまた組織特異的であり得る;すなわち、こ
れらは、おそらくこれらの細胞で唯一みられる遺伝子調節エレメントまたはファ
クターに起因して、特定の組織または細胞型においてのみそれらの活性を示し得
る。
【0085】 転写活性エレメントは様々な方法でITRに組み込まれ得る(例示的な例とし
て図1を参照のこと)。例えば、転写活性エレメントは、ITRの任意の部分の
5’側(例えば、HP領域の5’側、またはtrsの5’側)またはITRの任
意の部分の3’側(例えば、HPのB’領域の3’側またはD配列の3’側)へ
組み込まれ得る。あるいは、転写活性化されたITRの転写活性エレメントは、
2つのITR配列の間に位置し得る(例えば、HPのセグメントBとB’との間
またはセグメントC’とA’との間)。転写活性エレメントが、間隔をあけなけ
ればならない2つ以上のエレメントを含む場合、これらのエレメントはITRの
部分と互い違いになり得る(例えば、1つの転写活性エレメントはBとB’との
間に位置し得、一方別のエレメントはCとC’との間に位置する)。あるいは、
ITRのヘアピン構造は欠失され、そして転写エレメントの逆方向反復物によっ
て置換され得る;この後者の配置は、構造中に欠失部分を模倣するヘアピンを作
製する。複数のタンデムな転写活性エレメントはまた、転写活性化されたITR
において存在し得、そしてこれらは隣接し得るかまたは間隔をあけられ得る。加
えて、タンパク質結合部分(例えば、Rep結合部分)は、転写活性化されたI
TRの転写活性エレメントへ導入され得る。転写活性エレメントは、RNAを形
成するRNAポリメラーゼによるDNAの制御転写を可能にする任意の配列を含
み得、例えば下記に定義したような転写活性エレメントを含み得る。
【0086】 転写活性化されたITRは、rAAVベクターにより保有および発現され得る
導入遺伝子の長さを効果的に最大限にする、比較的制限されるヌクレオチド配列
の長さにおいて、転写活性化およびrAAVに対するITR機能の両方を提供す
る。ITRへの転写活性エレメントの組み込みは、様々な方法で成し遂げられ得
る。ITR配列および転写活性エレメントの配列要件との比較は、ITR内にエ
レメントをコードする方法の洞察を提供し得る。例えば、転写活性は、転写活性
エレメントの機能的エレメントを複製するITR配列中の特異的変化の導入を通
じてITRに加えられ得る。特定のヌクレオチド配列を特異的部位で効果的に付
加、欠失、および/または変更する多くの技術が当該分野に存在する(例えば、
DengおよびNickoloff(1992)Anal.Biochem.2
00:81−88を参照のこと)。
【0087】 転写活性化されたITRを作製するための別の方法は以下の実施例において記
載している。転写活性化されたITRの生成はITR内の望ましい位置における
制限部位の導入を含んでいた。転写活性エレメントを含む相補的オリゴヌクレオ
チドは、生成した末端がITRにおける前述の制限部位と適合し得るように互い
にアニーリングした。2本鎖の転写活性エレメントおよび制限消化したITRは
、転写活性化されたITRを生成するためにともに連結された。本アプローチは
また、複数の転写活性エレメントを転写活性化されたITRへ組み込むために使
用され得る。
【0088】 潜在的なtrs配列は、複製に必要なITR配列をさらに減少させる別の方法
を提供し得る。p5プロモーター内の潜在的なtrsは、ITRの左側末端が完
全に削除されている場合、複製のための代替物となり得る。Wangら、199
5,J.Mol.Biol.250:573−580;Wangら、1996。
さらに、Xiaoら(1997,J.Virol.71:941−948)は、
AAVゲノム(D配列の2つのコピー、AAVのニッキング部位に隣接した独特
の配列、およびITRを1つだけ含む)の165塩基のみが、Rep及びヘルパ
ー機能がトランスに与えられる場合、複製が行われるために十分であるらしいと
いうことを示した。従って、本発明のAAVベクターは、単一のITRおよびD
配列もしくはtrsのような、付加的な配列を含み得、それらの1つ以上は、転
写活性化エレメントを含むことにより改変されている。例えば、「ゆらぎ」塩基
対;またはアミノ酸配列のために厳密に要求されるのではないスペーサー(sp
acer)セグメントもしくは膜貫通セグメントといった、導入遺伝子のC末端
に含まれるか、もしくは存在する決定的でない配列は、trsまたはD配列の配
列を模倣するように変化し得る。それによって,AAVベクターに求められる、
AAV配列をさらに減少させる。
【0089】 例示のために、TATAボックス、GCボックス、CCAATボックス、Sp
I部位、Inr領域、cAMP調節エレメントであるCRE部位,ATF−I/
CRE部位、APBβボックス、APBαボックス、CArGボックス、CCA
Cボックス、もしくは当該分野で公知のような転写に関与する、任意の他のエレ
メントといった、1つ以上の転写的に活性なエレメントを含むことによって転写
的活に性化されたITRが生成され得る。他の多くの転写的に活性なエレメント
は公知であり、そして新しいそのようなエレメントは、完全に同定される。その
ような配列の多くは、プラスミドとして利用できるか、またはプラスミド内に含
有され、そして、転写活性を持った配列の多くは、ATCC寄託機関または市販
の供給源から得られ得る。新しいエレメントの転写活性を、以下に詳しく記載し
、例示した手順と、類似の手順を使用して、配列エレメントを、プロモーターを
持たない「レポーター」遺伝子に隣接する位置に置きかえるという、標準的な技
術を用いてテストし得る。
【0090】 より大きなプロモーターから、小さな転写活性化配列を取り除くことも可能で
ある。プロモーターの具体例には:サイトメガロウイルス(CMV)の最初期プ
ロモーター、シミアンウイルス40のSV40後期プロモーター、単純ヘルペス
ウイルスのチミジンキナーゼ(HSV tk)、およびLTRエレメントを含む
、種々のレトロウイルスのプロモーターが挙げられる。誘導可能なプロモーター
の例として、マウス乳腺癌ウイルス(MMTV)プロモーターまたは成長ホルモ
ンプロモーターのような、重金属イオンにより誘導され得るプロモーターおよび
、T7RNAポリメラーゼの存在下で活性であるT7期由来のプロモーターが含
まれる。組織特異的なプロモーターの例として、肝臓における発現についてのア
ルブミンプロモーターまたは肺での発現についてのサーファクチンプロモーター
が挙げられる。
【0091】 異なる転写活性の転写的に活性な種々のITRは、このように本発明により提
供される。ある応用例では、本発明のある使用は、導入遺伝子の最大限のレベル
の転写を要求し得る。そのような場合では、使用者は,最も高い転写レベルを与
える転写活性化されたITRを選択し得る。他の応用例では、導入遺伝子のより
控えめな転写が要求され得る。例えば、導入遺伝子の産物がわずかに毒性があり
、そして/または治療目的のためには、比較的低いレベルの転写で十分である場
合、野生型ITRの2倍から5倍に等しい転写レベルが最適であり得る。このよ
うな場合において、使用者は、所望の(しかし、必ずしも最大ではない)レベル
の転写を提供する転写的に活性なITRを選択し得る。
【0092】 適切なレベルの転写、およびこのような導入遺伝子の発現は、特定の遺伝子治
療に関しては、使用者が決定する。代表的には、遺伝子治療が、欠損したかまた
は欠失した遺伝子を修正するために行われる場合、その野生型の遺伝子のレベル
に近い導入遺伝子の発現のレベルが選択される。その他の場合では、より高レベ
ルの発現が、より有益であると証明され得る。
【0093】 従って、転写活性化されたITRの転写活性は、ITRに組み込まれた転写活
性エレメントによって決定され得る。転写的に活性なエレメントを組み合わせる
と、それらのエレメントを単独で用いた場合とは異なった方法で転写活性に影響
し得る。お互いに関係のある転写的に活性なエレメントの間隔をあけること、ま
たは方向づけはまた、それらの組み合わされた転写活性に影響を与え得る。実施
例2では、さらなるエレメントが転写的に活性なITRに組み込まれた場合、転
写活性が増加した例を実証する(転写エレメント6を有するrAAVの結果と転
写エレメント7を有するrAAVの結果を比較のこと)。
【0094】 転写活性化されたITRからの転写活性の調節はまた、転写活性エレメントの
ヌクレオチドを変えることにより達成され得る。転写活性エレメントの機能は、
一般的にエレメントの塩基配列を特異的に認識する制御タンパク質の結合に依存
する。転写的に活性なエレメントのタンパク質結合部位の変化(すなわち、ヌク
レオチドの挿入、欠損または置換)は、タンパク質の結合能力に影響を与え得る
。例えば、タンパク質とその認識配列との間により高い結合親和力を引き起こす
エレメントの配列の変化は、転写の増加をもたらし得る。特定のヌクレオチド配
列における部位特異的な変化を導入する方法は、当業者に周知である。ヌクレオ
チド配列中のタンパク質結合ドメインは、例えば電気泳動移動度シフトアッセイ
、DNase保護アッセイ、メチル化干渉アッセイおよび、その他の当該分野で
公知のアッセイによって決定され得る。
【0095】 転写活性化されたITRの転写活性を試験するために、実施例2に例示したよ
うに、容易にアッセイし得る酵素活性をコードする、レポーター遺伝子ポリヌク
レオチドをITRに付加し得る。「レポーター」遺伝子であるクロラムフェニコ
ールアセチルトランスフェラーゼ(CAT)は、野生型のITR転写活性と比較
して転写活性化されたITRの転写活性測定をするための手段を提供し得る。以
下に例示したように、培養細胞は一過性に転写活性化されたITRレポーター遺
伝子構築物でトランスフェクトされ、そして、しかるべき培養期間の後に、細胞
内のCAT活性の量を決定する。野生型のITR由来のものと比較して、転写活
性化されたITR由来のCAT活性の量を、図表を用いて図2に示した。この試
験は、導入遺伝子に最も適切な細胞のタイプで行われ得る。他の多くのプロモー
ターを持たないレポーター遺伝子は、記載され、そして広い範囲において役立つ
。それらは、例えばβガラクトシダーゼおよびルシフェラーゼをコードする遺伝
子を含む。あるいは、目的の導入遺伝子と連結された、転写活性化されたITR
の転写活性は、トランスフェクトされた細胞によって産生される導入遺伝子のm
RNAを直接測定するかもしくは、細胞で生産される導入遺伝子がコードしてい
るポリペプチドを定量することにより決定され得る。
【0096】 当業者は、ITRへの転写活性エレメントの導入が、複製、パッケージング、
組込み、レスキュー、または他のITRの機能を損なうかどうかを容易に決定し
得る。例えば、当該分野で公知であるようなパッケージング効率または、レポー
ター遺伝子(抗生物質耐性マーカー、またはルシフェラーゼもしくはβガラクト
シダーゼのような検出可能な遺伝子産物)の発現レベルの比較は、その野生型の
ITRを含み、他のものは転写活性化されたITRを含む、他の点では同質遺伝
子型のAAVパッケージングベクターを比較するために行われ得る。
【0097】 (パッケージング細胞株の産生) パッケージング細胞が生成する親株は、AAVに感受性であり、そしてインビ
トロの培養に用いることの出来る任意の細胞株から得られ得る。より初期から注
目されてきたように、AAVは非常に広い宿主範囲を有し、そして、サル、ヒト
およびげっ歯類の細胞を含む、種々の哺乳類の細胞型から単離されてきた。ヒト
の遺伝子治療において、適切な補助機能が発現され得るヒトの細胞株が、代表的
には好ましい。例えば、パッケージング細胞株が由来し得る、そのようなヒトの
細胞株は、HeLa、A549,293,KB、Detroit、およびW13
8細胞を含む。ヒト気管支上皮細胞株であるIB3細胞は、本発明の種々の転写
活性化されたITRの実証のために選択された。
【0098】 (rAAVベクターの生成) 遺伝子治療のような目的に有用な組換えAAV(rAAV)粒子を生成するた
めに、転写的に活性なITRおよび標的ポリヌクレオチドを含む組換えAAVベ
クターを有するパッケージング細胞株が供給される。rAAVベクターはまた、
転写活性化されたITR、1つまたは複数のさらなるプロモーター、および標的
ポリヌクレオチドを含有し得る。標的のポリヌクレオチドは、転写活性化された
ITRの転写的に活性な部分、またはさらなるプロモーターに作動可能に連結さ
れている。疾患の状態に関係して、欠損するか、欠失するか、または低レベルで
発現する任意の種々の遺伝子は、rAAVベクターに取り込むための候補である
【0099】 例示の目的で、rAAVベクターは、プロモータに作動可能に連結した、嚢胞
性線維症膜コンダクタンス調節因子ポリペプチド(transmembrane
conductance regulator polypeptide)(
CFTR)をコードするポリヌクレオチドを作動可能に連結した転写活性化され
たITRを含有し得る。現在当該分野で公知であるように、嚢胞性線維症患者由
来の細胞において、機能的に欠損したCFTRを再構築し得る様々なCFTRポ
リペプチドが存在する。共有に係る米国特許出願08/445、552(発行手
続中)に記載されるように、野生型のタンパク質の1−118アミノ酸を欠失し
た切断型のCFTRポリペプチドは、嚢胞性の欠損を有する細胞(IB3細胞)
においてcAMP調節塩素イオンのコンダクタンスを回復し得た。アミノ酸1−
118をコードするCFTR cDNAの部位は、ポリヌクレオチドがrAAV
にパッケージングされ得るように、全長cDNAから削除された。類似して、R
ichら(1991、Science 253:205−207)は、塩素イオ
ンを輸送し得、そして天然に存在するCFTR欠損の修復能力がある、アミノ酸
残基708−835を欠損するCFTRの誘導体について記載している。2つの
さらなる例を挙げると、Arispeら(1992、Proc.Natl.Ac
ad.Sci.USA 89:1539−1543)は、残基433〜586を
含むCFTRのフラグメントは、脂質二重層において正しい塩素イオンチャネル
を再構成するのに十分であることを明らかにした;そして、Sheppardら
(1994;Cell 76:1091−1098)は、その長さの約半分であ
る836残基において切断されたCFTRのポリペプチドが、なお制御された塩
素イオンチャネル構築能力があることを明らかにした。このように、ネイティブ
なCFTRタンパク質および変異体、ならびにそれらのフラグメントの全てが、
本発明において有用であるCFTRポリペプチドを構成する。
【0100】 用語「ITR」は、2つのITRが同じAAVゲノム上に存在し、相対的にお
互いに反転しているということを意味するが、本発明においては、2つのITR
はお互いに完全に反転している必要はない。本発明において、例えば、AAVベ
クターは、片方の末端に転写活性化されたITRを含み、そして、もう片方の末
端に、同定されたか、または同定されていないITR由来の配列を含有し得る(
実例については図2B参照のこと)。このITR由来の配列は、同じ転写的に活
性なITR、異なった転写活性化されたITR、野生型のITR、D配列、tr
s、または、レスキュー、複製およびキャプシド形成機能を可能にする転写活性
化されたITRを相補することが可能なITRの任意のその他の部分であり得る
(Wangら、1995;Wangら、1996;Xiaoら、1997)。
【0101】 その他の有用な標的のポリヌクレオチドが、本発明において使用され、多くの
異なる適用のためにrAAVベクターを生成し得る。そのようなポリヌクレオチ
ドには、以下に示すものが含まれるが、それらに制限されない:(i)いくつか
の肺癌および乳癌に関連する欠失したかまたは、損傷したp53遺伝子の置換す
るための、野生型のp53腫瘍サプレッサーのcDNAのような、構造タンパク
質または酵素の欠失、欠損、または最適なレベルに達しないことのによって引き
起こされる欠損を補う遺伝子治療のその他の形式において有用なタンパク質をコ
ードする、ポリヌクレオチド;(ii)アンチセンス分子に転写されるポリヌク
レオチド;(iii)転写因子または翻訳因子に結合するデコイに転写されるポ
リヌクレオチド;(iv)サイトカインのような細胞モジュレーターをコードす
るポリヌクレオチド;(v)ヘルペスウイルスチミジンキナーゼ遺伝子のような
、特定の薬物に感受性であるレシピエント細胞を作り得るポリヌクレオチド;お
よび(vi)癌治療のためのポリヌクレオチド。
【0102】 rAAVベクターはまた、rAAVベクターに感染した細胞の選択を可能にす
るためのポジティブおよび/またはネガティブな選択マーカーを含有し得る。
【0103】 得られる組み換えAAVベクターを用いた治療の特異性は、導入されるプラス
ミドにより決定されるために、同じパッケージング細胞株がこれらの任意の適用
に用いられ得る。特定の標的ポリヌクレオチドを含有するプラスミドは、例えば
エレクトロポレーションを含むいくつかの可能な方法の1つにより、rAAVベ
クターの産生のためにパッケージング細胞内に導入される。
【0104】 ヘルパーウイルスは、rAAVベクターの導入前に、導入中に、または導入後
に、導入され得る。プラスミドは、ヘルパーウイルスと一緒に培養物中へ同時感
染され得る。次いで、細胞は、当該分野で公知の複製およびパッケージングに適
切な条件下(以下の引用文献を参照のこと)で、適切な期間(代表的には2〜5
日間)培養される。溶解物は、調製され、そして組み換えAAVベクター粒子は
、当該分野で公知の技術により精製される。好ましくは、Targeted G
enetics Corporationによる、1997年9月5日に出願さ
れた、米国特許(Atkinsonら)(代理人番号22627−200330
0)に記載される技術が用いられる。
【0105】 好ましい実施様態において、転写活性化されたITRを含有する組み換えAA
Vベクターは、それ自体が安定したパッケージング細胞株のクローンに組み込ま
れる。そのような安定な、ベクターを含んだパッケージング株は、使用する準備
ができるまで増殖させ、そして保存され得る。rAAV粒子の産生を誘導するた
めに、使用者は、単にAAVの複製およびパッケージングに適した条件下で、細
胞をヘルパーウイルスに感染させ、そして細胞を培養させる。高い力価のrAA
V粒子の生成方法は、米国特許出願5,658,776;WO95/13392
;WO96/17947;米国特許出願60/041,609;米国特許出願6
0/041,689;1997年10月21日に出願された米国特許(Lync
hら)(代理人番号22627−2003900)。
【0106】 非常に短い配列における内因性のITR機能と、転写促進活性の組み合わせを
通じて、本発明における転写活性化されたITRは、rAAV粒子にキャプシド
形成し得る標的遺伝子のポリヌクレオチド配列の長さを最大化する手段を提供し
、そしてまた、宿主細胞ゲノムにいったん組み込まれると標的ポリヌクレオチド
の転写活性を補助する手段を提供する。本発明は、ITRに関する内因性の機能
に加えて、転写活性化されたITRが、作動可能に連結された標的遺伝子の転写
を活性化するための調節エレメントを提供し得るように、ITRのDNA配列が
、転写的に活性化され得る方法を記載する。多数の転写的に活性な調節エレメン
トは、当該分野で公知である。そのようなエレメントの活性は、ヌクレオチド配
列、他のエレメントの存在もしくは非存在、そのようなエレメント間の間隔、お
よびエレメントの相対的な方向を含む多くの要因により影響され得る。転写的に
活性なエレメントの全てが、ITRの状況において所望されるように行われるわ
けではないが、これらは実施例2に例示されるように、容易に生成および試験さ
れ得、転写活性の所望されるレベルを示すこれらの改変されたITRを同定する
。実施例2に図示したものは、機能的なAAV ITRの状況内で転写活性のレ
ベルの変化を与える転写活性化されたITRの例である。さらに、そのような転
写的に活性なITRを有するrAAVベクターは、感染性のウイルス粒子に効率
的にパッケージングされる能力を保持する(実施例3)。
【0107】 以下に示す実施例は、当業者にさらなる指針を提供し、そしていかなる方法に
おいても、本発明を限定するものとしては解釈されない。
【0108】 (実施例) (実施例1) (AAVベクターのための転写活性化されたITRの構築) 例示のために、一連の転写活性化されたITRを構築した。全ての転写的に活
性なエレメントを、定義された配列を有する相補的なオリゴヌクレオチドの対を
用いて構築した。代表的には、相補的なオリゴヌクレオチドをアニールした場合
、XhoI適合性端が生成した。 (実施例1−1) (転写エレメント1:TATAボックス/CMV配列(40bp))
【0109】
【化1】 二重下線を引いた配列は、CMVプロモーターのエレメントに由来する。Le
hnerら、1991、J.Clin.Microbiol.29:2494−
2502。これは、TATAボックス (太字、イタリック)、ならびに転写開始 部位までの上流の配列および転写開始部位を含む配列を含む。
【0110】 この転写エレメントは、AAV−CATベクターに組み込んでいないが、この
配列は、以下に記載される他のTATAボックスを含む転写エレメントのサブ配
列である。
【0111】 (実施例1−2) (転写エレメント2:InR(合成開始領域)(50−bp)を有する27− bpエレメント(ホスホリパーゼA2遺伝子))
【0112】
【化2】 このエレメントは細胞質ゾルのホスホターゼA2(cPLA2)遺伝子プロモー
ターに由来し、そしてTATAボックスを含まない。Miyashitaら、1
995、Nucleic Acids Res.23:293−301。転写エ
レメント2は、隣接している配列に沿った27ヌクレオチド断片を含み、cPL
2遺伝子の主要な転写開始領域に対して、全てで−30から+14(下線)の 配列を含む。オリゴヌクレオチド端の余分な配列は、XhoI制限酵素部位の突
出末端を形成する。その断片はまた、CTCCTCT(太字)の配列を含み、
これは、デオキシヌクレオチジルトランスフェラーゼ(TdT)遺伝子末端のイ
ニシエーターエレメント(CTCNTCT)に類似する(下線部が異なってい
る)、Smaleら、1989。
【0113】 (実施例1−3) (転写エレメント3:CREサイト+TATAボックス(60−bp))
【0114】
【化3】 この転写エレメントは、cAMP調節エレメント(CRE)のみ、およびTA
TAボックス(太字、イタリック)からCREの間隔をあける配列を含む。この
CRE部位は、Na、K−ATPase α1サブユニット(Atp1 α1)
遺伝子プロモーター由来である。Suzuki−Yagawaら、1992、M
ol.Cell.Biol.12:4046−4055;Kobayashiら
、1995、Nucleic Acids Res.23:2848−2855
。これらの配列は、CMV TATAボックス、および転写開始部位(二重下線
部)に融合される。Lehnerら、1991。
【0115】 (実施例1−4) (転写エレメント4:APBβ+TATAボックス(67−bp))
【0116】
【化4】 オリゴヌクレオチド1(配列番号7)(下線部)の5から32のヌクレオチド
配列は、ヒトアミロイドβタンパク質前駆体(APP)プロモーターの一部に由
来し、そしてQuitschke、1994、J.Biol.Chem.269
:21229−21233により定義された、核因子結合領域APBβボックス
(太字)を含む。HeLaそしてPC−12細胞のAPPプロモーターの総合活
性の少なくとも70−90%は、APBβ結合ドメインに起因し得る。APPプ
ロモーターは、明らかにCCAATまたはTATAボックスを欠くが、本転写エ
レメントはTATAボックス由来(太字、イタリック)の配列、およびCMVプ
ロモーターの転写開始部位の配列(ヌクレオチド33〜66、二重下線部)を含
む。Lehnerら、1991。
【0117】 (実施例1−5) (転写エレメント5:APBα/APBβ+InR(82−bp))
【0118】
【化5】 上記の転写エレメント4のような、転写エレメント5の配列は、ヒトアミロイ
ドβタンパク質前駆体(APP)プロモーターに由来する。Quitschke
、1994。転写エレメント5は、APBβ(太字)、APBα(太字、イタリ
ック)そして、InR配列を含む。しかし、これは、内因性のAPPプロモータ
ーと異なり、そこではAPBβとAPBαとの間の10個のヌクレオチド配列{
「()」で示された、ΔGCCGAGCGGG(配列番号19)}、およびAP
Bαに近い7つのヌクレオチド配列(「(())」で示した、ΔCCTGGCT
)を、転写エレメントを受容可能なサイズ範囲に維持するように削除した。AP
BβとAPBα間の10ヌクレオチドの欠失は、明らかにプロモーター活性に効
果を有さなかった。Quitschke、1994。
【0119】 (実施例1−6) (転写エレメント6:ATF−1/CRE/Sp1+TATAボックス(83
−bp))
【0120】
【化6】 この転写エレメントは、Na、K−ATPase α1サブユニット遺伝子プ
ロモーターに由来し、そしてATF−1/CRE部位(太字)およびSp1部位
(下線部)を含む。Suzuki−Yagawaら、1992;Kobayas
hiら、1995。ATF−1/CRE部位は、核因子と結合することが示され
、そしてNa、K−ATPase α1サブユニット遺伝子の効率的な転写を明
らかに必要とする。Kobayashiら、1995。この配列を、CMV T
ATAボックス(太字、イタリック)および、転写開始部位に融合させる。
【0121】 (実施例1−7) (転写エレメント7:ATF−1/CRE/Sp1/C+TATAボックス(
110−bp))
【0122】
【化7】 この転写エレメントは、転写エレメント6よりも、Na、K−ATPase
α1サブユニット遺伝子プロモーターのより大きな領域を含む。転写エレメント
7は、上記の構成物6のエレメントを含み、また核タンパク質に結合することが
見出されるプロモーターのさらなる配列、Cボックス(太字)を含む。Suzu
ki−Yagawaら、1992。この配列を、CMV TATAボックス(太
字、イタリック)および、転写開始領域(二重下線部)と再び融合させる。
【0123】 (実施例1−8) (転写エレメント8:CArGボックス/CCAATボックス/TATAボッ
クス(83−bp))
【0124】
【化8】 この転写エレメントは、ヒトβ−アクチン遺伝子(下線部)のCCAATボッ
クス(イタリック)およびCArGボックス(太字)を含有する配列に由来する
配列を含む。Nakajima−Iijimaら、1985、Proc.Nat
l.Acad.Sci.U.S.A.82:6133−6137。CArGボッ
クスは、WがAまたはTである配列CCW6GGを含む。この転写エレメントは 、10−bpの欠失を{ΔCCGAAAGTTG(配列番号20)「−」で示す
}CCAATボックスとCArGボックスのと間に導入し、そしてCCTTTT TGG(配列番号21)(下線部)の1箇所にAからCの変異を作製した、と
いう点で、公表された配列の転写エレメントとは異なる。この配列は、CMV
TATAボックス(太字、イタリック)および転写開始部位を含む配列(二重下
線部)と融合する。野生型のヒトβーアクチン遺伝子プロモーターにおいて、C
ArGボックスは、推定されるTATAボックスから23ヌクレオチド分離する
;この転写エレメント中では、これらのエレメントは、15ヌクレオチド分離す
る。
【0125】 (実施例1−9) (転写エレメント9:CCACボックス4/TATAボックス(88−bp)
【0126】
【化9】 この転写エレメントは、Bassel−Dubyら、1992、Mol.Ce
ll.Biol.12:5024−5032で定義された、筋肉特異的なヒトミ
オグロビンプロモーターからの、CCACボックス(太字)の4つのコピーを含
む。しかし、CCACボックスを含む配列のくり返しが、種々の細胞型において
機能することが、記載された。本発明において使用された、CCACボックスは
、以前に公表されたものより短いものであった。くり返す配列は、CMV TA
TAボックス(太字、イタリック)および、転写開始部位を含むセグメント(二
重下線部)と融合する。
【0127】 (実施例1−10 改変ITRを産成するための、例示的な転写エレメントの
使用) 転写活性化されたITRを構築するために、上記の種々の転写的に活性なエレ
メントを含む相補的なオリゴヌクレオチドをアニールし(XhoI適合端を形成
する)、キナーゼ反応を行い、そしてそのセグメントを、AAV−CATベクタ
ーのXhoIサイトにクローニングした。XhoIサイトを、上流のITR(1
46塩基対)の直前の3’端に操作した。従って、転写的に活性なエレメントを
ITRと組み合わせて配置し、そして転写活性化されたITRを形成した。AA
V−CATベクターは、Afioneら、1996、J.Virol.70:3
235−3241に記載された、AAV−CFTRベクターとして、同じ5’非
翻訳配列、ポリAシグナル、およびXhoIクローニング部位を含む。しかし、
AAV−CATベクターは、3’(下流)ITRより前のAAVの野生型配列の
37ヌクレオチドを含む。このクローニングは、転写活性化されたITRをCA
T遺伝子との作動可能な連結に配置した。
【0128】 (実施例2) (転写活性化されたITRを含むAAV CATベクターの転写活性試験) CATレポーター遺伝子の転写を駆動する転写活性化されたITRの能力はC
F患者に由来し、そしてアデノ/SV40ハイブリッドウイルスで不死化したヒ
ト気管支上皮細胞株であるCFBE IB3−1細胞株(IB3細胞)で、試験
した。Luoら、1989、Pfluegers Arch.415:198−
203;Zeitlinら、1991、Am.J.Respir.Cell M
ol.Biol.4:313−319。
【0129】 これらの転写活性化されたITRを有する、AAV CATベクターをIB−
3細胞にトランスフェクトした。トランスフェクションの48時間後、細胞抽出
液を調製し、そして37℃、16時間、50μLの細胞抽出液(5×105細胞 に等価)と共にインキュベートすることにより、アセチル化した14C−クロラム
フェニコールの量(%)としてCAT活性を測定し、その後シリカゲル薄層クロ
マトグラフィーおよびシンチレーション計数により、アセチル化および非アセチ
ル化基質を分離し、放射能を測定した(Sambrookら、1989)。
【0130】 AAV−CATベクターを含む種々の転写活性化されたITRから産生するC
AT活性を、CAT遺伝子の転写がITRのみに依存するベクターである、デル
タ37AAV CATベクターからの生成する活性に関連して示す。ITRは低
いレベルの転写プロモーター活性を持つと考えられる(Carterら、米国特
許第5,587,308;Flotteら、1993a)。結果を図2に示し、
そして以下に要約する。
【0131】
【表1】 上記のように、開示された転写活性化されたITRは、少なくとも野生型のI
TR(バックグラウンドのレベル)の2倍以下の増加から、バックグラウンドの
約7倍増加、約10倍増加、約40倍増加、約50倍より多い増加までの範囲に
わたる、種々のレベルの転写活性を提供した。
【0132】 従って、本発明に含まれる種々の転写的に活性なエレメントは、低レベルの、
中程度レベルの、または高レベルの所望の遺伝子産物の発現を誘導するために、
有用であり得る。
【0133】 本明細書中に記載したエレメントよりも長いか、または、本明細書中に記載し
たエレメントよりも短いかのいずれかの転写的に活性なエレメントは、本発明に
おいて使用され得る。
【0134】 より活性である転写的に活性なエレメントを、TATAボックス、ならびにA
PBβ、ATF−1/CRE/Sp1、ATF−1/CRE/Sp1/C、およ
びCCAC box4または他のセグメントまたは結合部位の構成要素由来の、 さらなる転写的に活性なエレメントを一般的に含む。そのヌクレオチド配列が本
明細書中で開示した配列と同一でない場合でさえ、構成要素の類似したセットを
含む他の転写的に活性なエレメントは、本発明において使用され得る。例えば、
多くの類似したエレメントが他のプロモーターより同定され、そして得られ得る
。さらに、変化は、プロモーターの必須の要素の間、または、これらの変化が必
須のエレメントの活性を妨げない条件で、必須のエレメントの内部でなされ得る
(例えば、転写的活性を著しく減少させない当該分野では公知であるTATAボ
ックス領域での置換)。あるいは、低レベルの転写が所望される場合、特定の変
異を、所望のレベルに転写活性を減少させるために必須のエレメント中に作り得
る(例えば、当該分野で公知のTATAボックスにおける置換を用いて転写活性
を減少させる)。
【0135】 (実施例3) (転写活性化されたITRを有するAAV CFTRベクターからのウイルス
粒子の産生) AAV CATベクターの転写活性の種々の上昇したレベルを実証した転写活
性化されたITRを、Afioneら(1996)のtgAAVCFTRベクタ
ーに置けるものとしてとして、CFTRcDNAの上流にクローニングした。例
示的なrAAV CFTRベクターを、そのようにして転写的に活性なエレメン
ト4(APBβ+TATAボックス)、6(ATF−1/CRE/Sp1+TA
TAボックス)、7(ATF−1/CRE/Sp1/C+TATAボックス)、
および9(CCAC box4+TATAボックス)を含む転写活性化されたI TRを用いて生成した。ウイルスの調製物は、野生型のITRおよび、CFTR
cDNAを含む、これらの4つのベクターおよび親ベクターから作製した。
【0136】 ウイルスの調製のために、JIc12細胞のT225フラスコに、DEAE−
デキストラントランスフェクション法を用いて、それぞれのベクターを一過性に
トランスフェクションした。細胞、フラスコから細胞をかき取ることによりトラ
ンスフェクションから72時間後に収集し、5×106 細胞/mlの割合でT MEG(50mM Tris、pH8.0、5mM MgCl2、1mM ED TA、5% glycerol)および100mM NaClで再懸濁した。細
胞を凍結/解凍のサイクルにより溶解し、続いて超音波処理(4×15秒バース
ト)を行った。細胞の溶解物に37℃、1時間のベンゾナーゼ(benzona
se)処理を行い、次いで、5.0ミクロンのMillex SVフィルターを
通して濾過した。rAAVウイルス粒子を1つのカラムで精製した。rAAVウ
イルス粒子を含む画分をプールし、そして透析した。
【0137】 DNase耐性rAAV粒子の数を、以下に示すスロットブロット法により決
定した。サンプルのアリコートを65℃で、0.4M NaOH、10mM E
DTA、1.0μg/mlのサケ精子DNA中で変性させた。サンプルおよびア
デノウイルス標準物を希釈して、スロットブロットマニホールド(slot b
lot manifold)を用いて、ナイロンメンブレン上にろ過し、そして
0.4mM NaOHで洗浄した。フィルターをアデノウイルスE1A遺伝子配
列に対応する、32Pラベルしたプローブを用いてハイブリダイズした。完全なA
d5ゲノムは、Genbank登録番号X02996で利用可能である。1.0
KbのSspI−XbaIフラグメントを含むプローブ(339−1339番の
ヌクレオチドに対応)を使用し、そしてブロットを、ホスホイメージャー(ph
osphorimager)(Molecular Dynamics)により
分析した。等価な1つのゲノムを、1つのアデノウイルス粒子に等価なものとみ
なした。
【0138】 感染性のrAAV粒子の数は、C37複製アッセイに従って、決定した。He
La C37を、rAAVベクターの複製のためのAAV Repタンパク質の
誘導性の発現を可能にするように構築した。手短に言えば、マウスメタロチオネ
インIプロモーター、AAV2repおよびcap遺伝子からなるAAV Re
p/Cap発現カセット、およびAAV転写終了部位を構築した。SV40初期
プロモーター、SV40のスモールTイントロン、およびSV40ポリアデニル
化シグナルの制御下におけるネオマイシン耐性遺伝子もまたプラスミドに含まれ
る。HeLa細胞にプラスミドをトランスフェクトさせ、G418中でクローン
を選択した。クローンの集団は、rAAVベクターの増幅アッセイによりスクリ
ーニングした。あるC37というクローンは、形質転換およびアデノウイルスの
感染後、一貫し、かつ用量依存的なrAAVベクターの増幅を示した。
【0139】 ベクターの複製の検出は、DNAの単離、その後のCFTRプローブへのハイ
ブリダイゼーションにより達成する。詳細には、HeLa C37細胞を、10
%FBSおよび、2.0mM L−グルタミンを補充したDMEMとともに、組
織培養フラスコに4.4×104 cells/cm2で接種し、そして5%CO 2 の加湿したインキュベーターで、37℃で24時間インキュベートした。次い で細胞に、アデノウイルス(MOI=5)およびrAAVサンプルの72時間の
希釈物を接種した。細胞を、かきとって収集し、サザンブロットアッセイのため
に調製した。全細胞DNAを調製し、EcoRIで消化し、1%のアガロースゲ
ルで電気泳動を行い、ナイロン66メンブレンに転写し、続いて、32P標識され
た、ヒトCFTR cDNA制限フラグメントを用いて、ハイブリダイゼーショ
ンを行った。このプローブは、AAV CFTRベクターのおよそ1.5kbの
フラグメントを検出する。ベクターの複製を、内因性のゲノムCFTRのバンド
に対して相対的に定量化し、そして複製ユニットとして表した。1つの複製ユニ ット(RU)は、およそ1.8kbの内因性のゲノムCFTRバンドのユニット
に相当するシグナル強度として定義する。いくつかの実施例において、連続的に
希釈した公知ベクターの標準物の直線回帰を用いて、サンプル中のベクターの濃
度を推定及び計算した。
【0140】 両方のアッセイの結果から、ウイルス粒子産生に関して、親のITR AAV
CFTRウイルスの調製物と転写活性化されたITR AAV CFTRウイ
ルスの調製物との間には、有意差がないことが示された。
【0141】 これらの結果は、rAAVベクターからの感染性のウイルス粒子のパッケージ
ングまたは産生に干渉することなく、それらの転写活性の有意に増加する改変が
AAV ITRになされ得ることを示した。従って、そのような転写活性化され
たITRを、発現レベルを向上させ得る、トランスジーンを送達することが可能
なrAAVベクターの調製に利用し得る。
【0142】 (実施例4) (転写活性化されたITRを有するAAVベクターの構築) 本発明の組換えAAVベクターは、配列中に転写活性化されたITR、標的の
ポリヌクレオチド、および複製およびパッケージングに十分な第2のITRエレ
メントを構築することによって調製され得る。転写活性化されたITRは、標的
ポリヌクレオチドに作動可能に連結されるべきである。第2のITRエレメント
は、野生型のITR、ITRのD配列、trs、または複製、レスキュー、およ
びパッケージングを可能にするために十分な任意のITRの部分を含有し得る。
AAVベクターの長さは、理想的には約4.2〜5kbの間である。
【0143】 AAVベクターは、任意のまたは全ての以下のエレメントもまた含み得るプラ
スミド上に位置し得る:レポーター遺伝子、複製起点、さらなるプロモーター、
複数のクローニングサイトなど。
【配列表】
【図面の簡単な説明】
【図1】 図1AおよびB。図1は、野生型ITRの領域(A)および本発明の転写活性
化されたITRの例(B)を示す。(HP、ヘアピン領域;trs、末端決定部
位;D、D配列)
【図2】 図2。転写活性化されたITRを含むAAV CATベクターを用いたトラン
スフェクション後のCAT活性。棒グラフは、様々なAAV CATベクターを
用いてトランスフェクトしたIB3細胞におけるCAT活性を示す。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (81)指定国 EP(AT,BE,CH,CY, DE,DK,ES,FI,FR,GB,GR,IE,I T,LU,MC,NL,PT,SE),OA(BF,BJ ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GW,ML, MR,NE,SN,TD,TG),AP(GH,GM,K E,LS,MW,SD,SZ,UG,ZW),EA(AM ,AZ,BY,KG,KZ,MD,RU,TJ,TM) ,AL,AM,AT,AU,AZ,BA,BB,BG, BR,BY,CA,CH,CN,CU,CZ,DE,D K,EE,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM ,HR,HU,ID,IL,IS,JP,KE,KG, KP,KR,KZ,LC,LK,LR,LS,LT,L U,LV,MD,MG,MK,MN,MW,MX,NO ,NZ,PL,PT,RO,RU,SD,SE,SG, SI,SK,SL,TJ,TM,TR,TT,UA,U G,US,UZ,VN,YU,ZW Fターム(参考) 4B024 AA01 BA80 DA02 EA02 EA04 FA02 FA10 GA11 GA18 HA17 4B065 AA90X AA95Y AB01 AC14 BA01 CA60

Claims (35)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 転写活性化されたアデノ随伴ウイルス(AAV)逆方向末端
    反復(ITR)を含有するポリヌクレオチドであって、ここで該転写活性化され
    たITRは、長さ約400bp未満であり、そして異種の転写活性因子を含有し
    、そしてここで該転写活性化されたITRは、転写を許容する条件下において、
    野生型ITRと比較して少なくとも約2倍の転写活性の増加を示す、ポリヌクレ
    オチド。
  2. 【請求項2】 前記転写活性化されたITRが約200bp未満である、請
    求項1に記載のポリヌクレオチド。
  3. 【請求項3】 前記転写活性化されたITRが、転写を許容する条件下で、
    野生型ITRと比較して少なくとも約7倍の転写活性の増加を示す、請求項1に
    記載のポリヌクレオチド。
  4. 【請求項4】 前記転写活性化されたITRが、転写開始配列および少なく
    とも1つのCCACボックスを含有する、請求項3に記載のポリヌクレオチド。
  5. 【請求項5】 前記転写開始配列および少なくとも1つのCCACボックス
    が、約90nt未満のポリヌクレオチドセグメント内に含有される、請求項4に
    記載のポリヌクレオチド。
  6. 【請求項6】 前記転写活性化されたITRの前記転写活性因子が、配列番
    号17またはそれと相補的な配列と少なくとも約90%の全体同一性を有する、
    請求項5に記載のポリヌクレオチド。
  7. 【請求項7】 前記ポリヌクレオチドが、配列番号17を含有する、請求項
    4に記載のポリヌクレオチド。
  8. 【請求項8】 前記転写活性化されたITRが、転写を許容する条件下で、
    野生型ITRと比較して少なくとも約10倍の転写活性の増加を示す、請求項1
    に記載のポリヌクレオチド。
  9. 【請求項9】 前記転写活性化されたITRが、アミロイドβタンパク質前
    駆体(APP)プロモーターの転写活性因子および転写開始配列を含有する、請
    求項8に記載のポリヌクレオチド。
  10. 【請求項10】 前記アミロイドβタンパク質前駆体(APP)プロモータ
    ーの転写活性因子および前記転写開始配列が、約70nt未満のポリヌクレオチ
    ドセグメント内に含有される、請求項9に記載のポリヌクレオチド。
  11. 【請求項11】 前記転写活性化されたITRの前記転写活性因子が、配列
    番号7またはそれと相補的な配列と少なくとも約90%の全体配列同一性を有す
    る、請求項10に記載のポリヌクレオチド。
  12. 【請求項12】 前記ポリヌクレオチドが、配列番号7を含有する、請求項
    9に記載のポリヌクレオチド。
  13. 【請求項13】 前記転写活性化されたITRが、転写を許容する条件下で
    、野生型ITRと比較して少なくとも約40倍の転写活性の増加を示す、請求項
    1に記載のポリヌクレオチド。
  14. 【請求項14】 前記転写活性化されたITRが、ATF−1/CRE部位
    、Sp1部位、および転写開始配列を含有する、請求項13に記載のポリヌクレ
    オチド。
  15. 【請求項15】 前記ATF−1/CRE部位、前記Sp1部位、および前
    記転写開始配列が、約85nt未満のポリヌクレオチドセグメント内に含有され
    る、請求項14に記載のポリヌクレオチド。
  16. 【請求項16】 前記転写活性化されたITRの前記転写活性因子が、配列
    番号11またはそれと相補的な配列と少なくとも約90%の全体配列同一性を有
    する、請求項15に記載のポリヌクレオチド。
  17. 【請求項17】 前記ポリヌクレオチドが、配列番号11を含有する、請求
    項14に記載のポリヌクレオチド。
  18. 【請求項18】 前記転写活性化されたITRが、転写を許容する条件下で
    、野生型ITRと比較して少なくとも約50倍の転写活性の増加を示す、請求項
    1に記載のポリヌクレオチド。
  19. 【請求項19】 前記転写活性化されたITRが、ATF−1/CRE部位
    、Sp1部位、Na,K−ATPaseα1サブユニット遺伝子プロモーターの
    Cボックス因子、および転写開始配列を含有する、請求項18に記載のポリヌク
    レオチド。
  20. 【請求項20】 前記ATF−1/CRE部位、前記Sp1部位、Cボック
    ス因子、および前記転写開始配列が、約110nt未満のポリヌクレオチドセグ
    メント内に含有される、請求項19に記載のポリヌクレオチド。
  21. 【請求項21】 前記転写活性化されたITRの前記転写活性因子が、配列
    番号13またはそれと相補的な配列と少なくとも約90%の全体配列同一性を有
    する、請求項20に記載のポリヌクレオチド。
  22. 【請求項22】 前記ポリヌクレオチドが、配列番号13を含有する、請求
    項19に記載のポリヌクレオチド。
  23. 【請求項23】 前記転写活性化されたITRが、異種の転写開始配列を含
    有する、請求項1に記載のポリヌクレオチド。
  24. 【請求項24】 前記転写活性化されたITRが、転写開始配列としてTA
    TAボックスを含有する、請求項1に記載のポリヌクレオチド。
  25. 【請求項25】 以下を順序正しく含有するポリヌクレオチド: 転写活性化されたITRである第1のITRであって、ここで該転写活性化さ
    れたITRは、長さ400bp未満であり、そして転写活性因子を含有し、そし
    てここで該転写活性化されたITRは、転写を許容する条件下において、野生型
    ITRと比較して少なくとも2倍の転写活性の増加を示す、ITR;および 野生型ITR、転写活性化されたITR、D配列、trsまたは野生型ITR
    の一部からなる群から選択される、第2のITR。
  26. 【請求項26】 前記転写活性化されたITRが約200bp未満である、
    請求項25に記載のポリヌクレオチド。
  27. 【請求項27】 請求項25に記載のポリヌクレオチドを含有し、複製起点
    およびレポーター遺伝子からなる群から選択される因子をさらに含有するプラス
    ミド。
  28. 【請求項28】 前記転写活性化されたITRと作動可能に連結された遺伝
    子をさらに含有する、前記請求項のいずれかに記載のポリヌクレオチド。
  29. 【請求項29】 前記遺伝子がCFTR遺伝子である、請求項28に記載の
    ポリヌクレオチド。
  30. 【請求項30】 前記請求項のいずれかに記載のポリヌクレオチドを含有す
    るAAVウイルス粒子。
  31. 【請求項31】 請求項1から29のいずれかに記載のポリヌクレオチドを
    含有する哺乳動物細胞であって、ここで該ポリヌクレオチドが該細胞の染色体に
    安定的に組み込まれている、哺乳動物細胞。
  32. 【請求項32】 前記細胞が、AAVrep遺伝子およびAAVcap遺伝
    子を含有する、請求項31に記載の哺乳動物細胞。
  33. 【請求項33】 前記細胞が、該細胞の染色体に安定的に組み込まれたAA
    V rep遺伝子およびAAV cap遺伝子を含有する、請求項31に記載の
    哺乳動物細胞。
  34. 【請求項34】 組換えAAVベクターをパッケージングする方法であって
    、 a)哺乳動物細胞を提供する工程; b)組換えAAVベクターを導入する工程であって、該ベクターは、 転写活性化されたITRである第1のITRであって、ここで該転写活性化さ
    れたITRは、長さ400bp未満であり、そして転写活性因子を含有し、そし
    てここで該転写活性化されたITRは、転写を許容する条件下において、野生型
    ITRと比較して少なくとも2倍の転写活性の増加を示す、ITR;および 野生型ITR、転写活性化されたITR、D配列、trsまたは野生型ITR
    の一部からなる群から選択される、第2のITR; を含有する、工程; c)該細胞内にRepタンパク質およびCapタンパク質を提供する工程; d)ヘルパーウイルスまたはヘルパーウイルス機能を提供する工程;および e)該細胞を、AAVベクターの複製およびパッケージングに適した条件下で
    インキュベートする工程 を包含する、方法。
  35. 【請求項35】 前記Repタンパク質およびCapタンパク質が、前記細
    胞の染色体に組み込まれたrep遺伝子およびcap遺伝子から産生される、請
    求項34に記載の方法。
JP2000517093A 1997-10-21 1998-10-20 組換えaavベクターと共に使用するための転写活性化された逆方向末端反復(itr) Pending JP2001520047A (ja)

Applications Claiming Priority (3)

Application Number Priority Date Filing Date Title
US95540097A 1997-10-21 1997-10-21
US08/955,400 1997-10-21
PCT/US1998/021937 WO1999020773A2 (en) 1997-10-21 1998-10-20 TRANSCRIPTIONALLY-ACTIVATED AAV INVERTED TERMINAL REPEATS (ITRs) FOR USE WITH RECOMBINANT AAV VECTORS

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2001520047A true JP2001520047A (ja) 2001-10-30

Family

ID=25496782

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2000517093A Pending JP2001520047A (ja) 1997-10-21 1998-10-20 組換えaavベクターと共に使用するための転写活性化された逆方向末端反復(itr)

Country Status (7)

Country Link
EP (1) EP1025243B1 (ja)
JP (1) JP2001520047A (ja)
AT (1) ATE435293T1 (ja)
AU (1) AU756827B2 (ja)
CA (1) CA2304801C (ja)
DE (1) DE69840948D1 (ja)
WO (1) WO1999020773A2 (ja)

Families Citing this family (15)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US6924128B2 (en) 1994-12-06 2005-08-02 Targeted Genetics Corporation Packaging cell lines for generation of high titers of recombinant AAV vectors
US6989264B2 (en) 1997-09-05 2006-01-24 Targeted Genetics Corporation Methods for generating high titer helper-free preparations of released recombinant AAV vectors
ATE495255T1 (de) 1998-08-11 2011-01-15 Darwin Discovery Ltd Identifikation des gens das zum schorfigen phenotyp der maus führt, sowie seines menschlichen orthologs
US6893865B1 (en) 1999-04-28 2005-05-17 Targeted Genetics Corporation Methods, compositions, and cells for encapsidating recombinant vectors in AAV particles
DK1180159T3 (da) 1999-05-28 2008-11-17 Targeted Genetics Corp Fremgangsmåder og sammensætninger til at sænke niveauet af Tumor-Nekrose-Faktor (TNF) i TNF-associerede lidelser
EP1939300A1 (en) 1999-05-28 2008-07-02 Targeted Genetics Corporation Methods and compositions for lowering the level of tumor necrosis factor (TNF) in TNF-associated disorders
US6165754A (en) * 1999-06-08 2000-12-26 Cornell Research Foundation, Inc. Method of expressing an exogenous nucleic acid
ES2308989T3 (es) 1999-08-09 2008-12-16 Targeted Genetics Corporation Aumento de la expresion de una secuencia nucleotidica heterologa a partir de vectores viricos recombinantes que contienen una secuencia que forman pares de bases intracatenarios.
WO2001027303A1 (en) * 1999-10-12 2001-04-19 The University Of North Carolina At Chapel Hill Adeno-associated virus vectors encoding factor viii and methods of using the same
JP4353701B2 (ja) 2001-05-08 2009-10-28 ダーウィン モレキュラー コーポレイション Foxp3蛋白質を用いた霊長類における免疫機能の調節方法
CA2759801C (en) 2009-05-02 2019-04-02 Marco A. Passini Gene therapy for neurodegenerative disorders
WO2017139381A1 (en) 2016-02-08 2017-08-17 University Of Iowa Research Foundation Methods to produce chimeric adeno-associated virus/bocavirus parvovirus
AU2017229347A1 (en) 2016-03-07 2018-11-01 University Of Iowa Research Foundation AAV-mediated expression using a synthetic promoter and enhancer
US11142775B2 (en) 2017-01-13 2021-10-12 University Of Iowa Research Foundation Bocaparvovirus small noncoding RNA and uses thereof
JP2023510266A (ja) * 2020-01-07 2023-03-13 ザ・ユニヴァーシティ・オヴ・ノース・キャロライナ・アト・チャペル・ヒル 合成アデノ随伴ウイルス逆位末端反復、およびプロモーターとしてのそれらの使用の方法

Family Cites Families (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US5587308A (en) * 1992-06-02 1996-12-24 The United States Of America As Represented By The Department Of Health & Human Services Modified adeno-associated virus vector capable of expression from a novel promoter
DE69433592T2 (de) * 1993-11-09 2005-02-10 Targeted Genetics Corp., Seattle Die erzielung hoher titer des rekombinanten aav-vektors

Also Published As

Publication number Publication date
DE69840948D1 (de) 2009-08-13
EP1025243A2 (en) 2000-08-09
CA2304801C (en) 2009-05-26
EP1025243B1 (en) 2009-07-01
AU756827B2 (en) 2003-01-23
CA2304801A1 (en) 1999-04-29
WO1999020773A2 (en) 1999-04-29
WO1999020773A3 (en) 1999-07-01
ATE435293T1 (de) 2009-07-15
AU1096699A (en) 1999-05-10

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US6936466B2 (en) Transcriptionally-activated AAV inverted terminal repeats (ITRs) for use with recombinant AAV vectors
US6924128B2 (en) Packaging cell lines for generation of high titers of recombinant AAV vectors
JP6322605B2 (ja) 組換えaavベクターの高力価ヘルパーなし調製物を生成するための方法
US5756283A (en) Method for improved production of recombinant adeno-associated viruses for gene therapy
AU707866B2 (en) Packaging cell lines for generation of high titers of recombinant AAV vectors
Matsushita et al. Adeno-associated virus vectors can be efficiently produced without helper virus
JP2001506133A (ja) 組換えaavベクターの産生における使用のための、aavスプリット−パッケージング遺伝子およびこのような遺伝子を含む細胞株
US20060166318A1 (en) Methods, compositions, and cells for encapsidating recombinant vectors in AAV particles
US20040087026A1 (en) Host cells for packing a recombinant adeno-associated virus (raav), method for the production and use thereof
WO1996017947A9 (en) Packaging cell lines for generation of high titers of recombinant aav vectors
JPH09509564A (ja) 高力価組換えaavベクターの生成
JPH10507928A (ja) ハイブリッドアデノウイルス−aavウイルスおよびその使用方法
JP2001506132A (ja) Aavベクターの産生における使用のためのリコンビナーゼ活性化可能aavパッケージングカセット
JP2001520047A (ja) 組換えaavベクターと共に使用するための転写活性化された逆方向末端反復(itr)
AU2021217799A1 (en) Process for making adenoassociated viral vectors
JP2002524070A (ja) 放出された組換えaavベクターの高力価のヘルパーを含まない調製物を生成するための方法
Owens Second generation adeno-associated virus type 2-based gene therapy systems with the potential for preferential integration into AAVS1
JP2001520051A (ja) 組換えaavベクターの産生のための増幅可能アデノ随伴ウイルス(aav)パッケージングカセット
Xiao et al. Adeno-associated virus (AAV) vectors for gene transfer
CA2319212A1 (en) Methods for purified aav vector production
US20030190746A1 (en) Gene expression control system and its use in recombinant virus packaging cell lines
AU2003203790B2 (en) Transcriptionally-activated AAV inverted terminal repeats (ITRs) for use with recombinant AAV vectors
Owens Latent infection of the host cell by AAV and its disruption by helper viruses

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20050816

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20080708

A601 Written request for extension of time

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A601

Effective date: 20081007

A602 Written permission of extension of time

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A602

Effective date: 20081015

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20081105

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20090310

A02 Decision of refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02

Effective date: 20090804