JP2001506132A - Aavベクターの産生における使用のためのリコンビナーゼ活性化可能aavパッケージングカセット - Google Patents

Aavベクターの産生における使用のためのリコンビナーゼ活性化可能aavパッケージングカセット

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Abstract

(57)【要約】 本発明は、リコンビナーゼ活性化可能アデノ随伴ウイルス(AAV)パッケージングカセット、およびこのようなカセットを含むパッケージング細胞株を提供する。そしてこのカセットは、哺乳動物細胞への目的の遺伝子の送達を効率的に媒介し得る組み換えAAV粒子を産生するために有用である。

Description

【発明の詳細な説明】 AAV ベクターの産生における使用のためのリコンビナーゼ活性化可能 AAV パッケージングカセット 発明の技術分野 本発明は、ウイルスベクターを産生するために用いられる材料および方法に関 する。詳細には、組み換えアデノ随伴ウイルス(AAV)ベクターに関する。さらに 詳細には、本発明は、リコンビナーゼ活性化可能AAVパッケージングカセットお よびAAVベクターを産生するために用いられるこのようなカセットを含む細胞株 に関する。発明の背景 アデノ随伴ウイルス(AAV)に基づくベクターは、遺伝子治療に有用であると考 えられているが、重大な障壁は、ヒト遺伝子治療の適用のために、臨床的に有用 な量のこのようなベクターを作製する困難さである。これは、肺に直接送達させ るようなインビボ適用について特に問題である。遺伝子治療の背景における別の 重要な目的は、本明細書中でより詳細に考察されているが、本質的に複製能を有 するウイルス粒子が存在しないベクター調製物を産生することである。以下の記 述は、アデノ随伴ウイルスおよびAAVベクターに関与する研究を簡潔に要約して いる。ついで、遺伝子治療の使用に適切な、高力価組み換えAAVベクター(rAAV) 調製物を効率的に産生するために有用な、本発明による多くの新規な改善を記載 する。 アデノ随伴ウイルスは、特定の機能が同時感染ヘルパーウイルスによって提供 される細胞においてのみ増殖する欠陥パルボウイルスである。一般的なAAVの総 説は、例えば、Carter,1989、Handbook of Parvoviruses、第I巻、169-228頁、 およびBerns,1990、Virology、1743-1764頁、Raven Press、(New York)に見出さ れ得る。AAVの増殖および複製についてのヘルパー機能を提供する同時感染ウイ ルスの例は、アデノウイルス、ヘルペスウイルス、およびいくつかの場合にはワ クシニア のようなポックスウイルスである。ヘルパー機能の性質は完全には知られていな いが、ヘルパーウイルスは、細胞をAAV複製に対して間接的に許容させるようで ある。この確信は、細胞を遺伝子毒性のある(genotoxic)薬剤または細胞周期を 中断させる薬剤のいずれかで処理する場合に、ヘルパーウイルスの同時感染なし ではAAV複製が低効率で生じ得るという観察により支持される。 AAVは、これらの通常でない条件下では、ヘルパーウイルス非存在下で限られ た程度で複製し得るにもかかわらず、ヘルパー機能非存在下での細胞のAAVでの より一般的な感染が、宿主細胞ゲノムへのプロウイルスAAVゲノムの組込みをも たらす。これらの細胞が、アデノウイルスのようなヘルパーウイルスで重感染さ れた場合、組込まれたAAVゲノムはレスキューされ、そして感染性の子孫AAV粒子 の群発を与えるように複製され得る。事実、AAVの組込みは、AAVがヒトの遺伝子 治療のような用途のために細胞に遺伝子を導入させるのに有用なベクターである ことを有効に示唆するようである。 AAVは、明らかな種特異性も組織特異性も伴わない非常に広い宿主域を有し、 そして、適切なヘルパーが存在すれば、ヒト、サル、齧歯類起源の事実上任意の 細胞株で複製し得る。AAVはまた遍在性であり、そして大部分の哺乳動物および いくつかのトリ種を含む広範囲の動物種から単離されている。 AAVは、いずれの疾患の原因とも関係しない。AAVは、形質転換ウイルスまたは 腫瘍ウイルスのどちらでもない。そして、ヒト細胞の遺伝的物質へのAAVの組込 みによって、一般に、宿主細胞の増殖特性または形態的特徴の顕著な変化も生じ ない。これらのAAVの特性からもまた、潜在的に有用なヒト遺伝子治療ベクター としてAAVが勧められる。なぜなら、この適用に提案される、レトロウイルス、 アデノウイルス、ヘルペスウイルス、またはポックスウイルスのような他のウイ ルス系は、疾患を引き起こすウイルスであるからである。 AAV粒子は、3つのキャプシドタンパク質VP1、VP2、およびVP3を有するタンパ ク質のキャプシドからなっており、これはDNAゲノムを囲んでいる。AAVのDNAゲ ノムは、約1.5×106ダルトンの分子量およびおよそ4680ヌクレオチド長を有する 直鎖状一本鎖DNA分子である。個々の粒子は、1つのDNA分子鎖しかパッケージし ないが、これは、「プラス」または「マイナス」鎖のいずれかの鎖であり得る。 いずれかの鎖を含む粒子は感染性であり、そして複製は親の感染一本鎖を二本鎖 の形態に変換し、次に二本鎖分子の大きなプールの増幅が起き、その二本鎖から 子孫の一本鎖がはずされ、そしてキャプシドにパッケージングされる。二本鎖ま たは一本鎖コピーのAAVゲノムは、細菌プラスミドまたはファージミドに挿入さ れ得、そしてアデノウイルス感染細胞にトランスフェクトされ得る;これらの技 術は、AAV遺伝学の研究およびAAVベクターの開発を容易にしている。 AAVゲノムは、一般的に2コピーの逆方向末端反復(ITR)に隣接し、これは、 ウイルスDNAの複製およびキャプシド化を媒介するタンパク質をコードする。例 えば、AAV2の場合、ITRは、各145ヌクレオチド長であり、repおよびcap遺伝子の 2つの主要なオープンリーディングフレームを含む、約4470ヌクレオチドの独特 の配列領域に隣接する(Srivastavaら、1983、J.Virol.、45;555-564;Hermonat ら、J.Vlrol.、51:329-339;Tratschinら、1984a、J.Virol.、51:611-619)。AAV2 独特の領域は、repおよびcap遺伝子を発現させるために使用される3つの転写プ ロモーターp5、p19およびp40(Laughlinら、1979、Proc.Natl.Acad.Sci.USA、76: 5567-557l)を含む。ITR配列は、シスで必要とされ、そして機能的な複製開始起 点(ori)、細胞ゲノムへの組込みに必要とされるシグナル、および効率的な切り 出しを提供するのに十分であり、ならびに宿主細胞染色体または組換えプラスミ ドからのレスキューを提供するのに十分である。あるいは、ITRは、AAVベクター の転写プロモーターとして直接機能し得ることが示されている(Flotteら、1993 、前出)。 repおよびcap遺伝子は、トランスで必要とされ、それぞれウイルスゲノムの複 製およびキャプシド化機能を提供する。rep遺伝子は、2つのプロモーター、p5 およびp19から発現され、4つのタンパク質を産生する。p5からの転写により、 第1のRepタンパク質(Rep78)をコードするスプライシングされない4.2kbのmRN A、および第2のタンパク質(Rep68)をコードするスプライシングされた3.9kb のmRNAを生じる。p19からの転写により、第3のタンパク質(Rep52)をコードす るスプライシングされないmRNA、および第4のタンパク質(Rep40)をコードす るスプライシングされた3.3kbのmRNAを生じる。従って、4つのRepタンパク質全 てが、共通する内部領域配列を含むが、それらのアミノ末端領域およびカルボキ シル末端領域については異なる。大きなRepタンパク質(すなわち、Rep78およびR ep68)のみが、AAV二本鎖DNAの複製に必要とされるが、小さなRepタンパク質(す なわち、Rep52およびRep40)は、子孫の一本鎖DNAの蓄積に必要とされるようであ る(ChejanovskyおよびCarter,1989,Virology 173:120〜128)。Rep68およびRep 78は、AAV ITRのヘアピン立体構造に特異的に結合し、そしてAAV末端で複製を決 定するために必要ないくつかの酵素活性を保有する。Rep52およびRep40は、これ 77;および1995,J.Vlrol.69:6880〜6885)による最近の報告では、Rep78または Rep68の発現が、いくつかの環境において感染性粒子形成に十分であり得ること が示唆されている。 Repタンパク質、主としてRep78およびRep68はまた、AAV遺伝子の正の調節また は負の調節、ならびにいくつかの異種プロモーターからの発現を含む、多面的調 節活性、ならびに細胞増殖に対する阻害効果を示す(Tratschinら、1986、Mol.Ce ll.Blol.6:2884-2894;Labowら、1987、Mol.Cell.Biol.7:1320-1325;Khleifら、 Virology、181:738-741)。AAVのp5プロモーターは、Rep78またはRep68によって 負に自己調節される(Tratschinら、1986、Mol.Cell.Blol.6:2884-2894)。細胞増 殖おけるrep発現の阻害効果に起因して、細胞株でのrepの構成的発現は、容易に 達成されていない。例えば、Mendelsonら(1988、Virology、166:154−165)は、A AVゲノムの安定な組込み後に、特定の細胞株におけるいくつかのRepタンパク質 の非常に低いレベルの発現を報告した。 キャプシドタンパク質VP1、VP2、およびVP3は、共通の重復配列を共有するが 、VP1およびVP2は、付加的なアミノ末端配列を含む。3つの全てのタンパク質は 、代表的には、p40プロモーターから転写された2.3kbのスプライシングされたmR NAから発現される同じcap遺伝子のリーディングフレームからコードされる。VP2 およびVP3は、別の開始コドンを使用してこのmRNAから生成され得る。一般的に は、p40からの転写物は、別の部位でスプライスされて、約2.3kbの2つの異なる 転写物を生じ得る、2.6kbのmRNA前駆体を生じる。VP2およびVP3は、いずれかの 転写物によりコードされ得る(2つの開始部位のいずれかを用いて)が、その一 方で、VP1は、転写物のうち1つのみによりコードされ得る。VP3は主要なキャプ シドタンパク質であり、代表的には、総ウイルス粒子の約90%を占める。VP1は 、VP2お よびVP3をコードする主要なmRNAに用いられる3’ドナーから30ヌクレオチド上 流に存在する3’ドナー部位を用いて微量な・RNAからコードされる。3つのタ ンパク質全ては、効率的なキャプシド産生に必要とされる。3つのタンパク質全 てを取り除く変異(Capネガティブ)は、1本鎖DNA子孫AAV DNAの蓄積を防止する が、VP1アミノ末端(「Lip-ネガティブ」または「Inf-ネガティブ」)における変 異は、粒子中に1本鎖DNAのアセンブリを可能にするが、感染性力価は極めて減 少される。 上記の強調されたAAVの遺伝解析は、細菌のプラスミドにクローン化されたAAV ゲノムの変異分析に大きく基づいた。初期の研究では、AAVの感染性ゲノムの分 子クローンは、GCテーリング(Samulskiら、1982、Proc.Natl.Acad.Sci.USA、79: 2077-2081)、制限エンドヌクレアーゼ切断部位を含む合成リンカーの付加(Laugh linら、1983、Gene、23:65-73)または直接的平滑末端連結(SenapathyおよびCart er、1984、J.Blol.Chem.、259:4661-4666)のような手順でプラスミドにAAVの二 本鎖分子を挿入することにより構築した。アデノウイルスのような適切なヘルパ ーウイルスでもまた感染させた哺乳動物細胞にこのようなAAV組換えプラスミド をトランスフェクトすると、任意のプラスミド配列を含まないAAVゲノムのレス キューおよび切り出し、レスキューされたゲノムの複製、ならびに子孫の感染性 AAV粒子の産生をもたらした。これは、上記で概略したようにAAVの遺伝解析を行 うための基礎を提供し、そしてAAV形質導入ベクターの構築を可能にした。 遺伝解析に基づいて、AAVベクター構築の一般原理は、最近総説されたように 定義された(Carter、1992、Current Opinions in Biotechnology、3:533-539;Mu zyczka、1992、Current Topics in Microbiology and Immunology,158:97-129) 。AAVベクターは、一般的に、組み換えAAV(rAAV)ベクターまたは「プロベクター 」を産生するために、AAVコード配列部分を外来DNAで置換することによりAAV組 換えプラスミド内に構築される。ベクターにおいては、AAV配列の末端(ITR)部 分は、一般的に完全に保持されていなければならない。なぜなら、これらの領域 はトランスフェクション後のプラスミドからの切り出し、ベクターゲノムの複製 、ならびに宿主細胞ゲノムからの組込みおよびレスキューを含むいくらかの機能 がシスで要求されるからである。いくつかの情況では、単一のITRを提供するこ とは、 2つの野生型ITRに正常に関与する機能を実施するために十分であり得る(例え ば、Samulski,R.J.ら、WO 94/13788,1994年6月23日に公開された)。次いで 、ベクターは、AAV粒子中にパッケージングされて、アデノウイルスまたはヘル ペスウイルスのような適切なヘルパーウイルスで感染される細胞中にベクターを トランスフェクションすることによりAAV形質導入ウイルスを産生し得る;AAV粒 子中へのベクターゲノムの複製またはキャプシド化を達成するために、ベクター は、ベクターの構築に欠失された、特にrepおよびcapをトランスで必要とされる 任意のAAV機能を補完しなければならない。 このようなAAVベクターは、インビボの遺伝子移行因子として有用性を有する ことが示された数少ない組換えウイルスベクター系の中のものであり(Carter, 1992、Current Opinion in Biotechnology、3:533-539;Muzcyzka、1992、Curr.T op.Microbiol.Immunol.158:97-129に総説されている)、従って潜在的にヒトの 遺伝子治療に大変重要である。AAVベクターは、嚢胞性線維症(CF)気管支および 鼻上皮細胞(例えば、Flotteら、1992a,Am.J.Respir.Cell Mol.Biol.7:349-356; Eganら、1992、Nature、358:581-584;Flotteら、1993a,J.Biol.Chem.268:3781-3 790;およびFlotteら、1993b,Proc.Natl.Acad.Sci.USA、93:10163-10167を参照の こと)、ヒト骨髄由来赤白血病細胞(例えば、Walshら、1992、Proc.Natl.Acad.Sc i.USA、89:7257-7261を参照のこと)、ならびに脳細胞、眼細胞、および筋肉細胞 を含む種々の細胞で、高頻度の形質導入および発現し得る。AAVは、形質導入お よび発現のために活発な細胞分裂を必要とし得ず、これはレトロウイルスに対し て、特に大部分の細胞が最終的に分化を終えて、そして非分裂であるヒトの気道 上皮のような組織では、明らかに有利である。 ヒトの遺伝子治療に使用するために設計した任意のAAVベクターの所望の特徴 は少なくとも2つある。第1に、形質導入ベクターは、送達系として実用的な十 分に高い力価で生成されねばならない。これは、インビボでのベクター送達を目 的とした遺伝子治療戦略では特に重要である。例えば、気道へのインビボでの直 接送達による嚢胞性線維症の処置のようなAAVベクターの多くの所望される適用 については、必要とされる形質導入ベクターの用量は1010粒子を超え得るようで ある。第2に、ベクター調製物には、好ましくは、本質的に野生型のAAVウイル ス(または任意の組み換え能を有するAAV)が存在しない。高力価AAVベクターの 達成は、野生型AAVゲノムを優先的にキャプシド化すること(野生型AAVゲノムが 存在するかまたは組換えにより生成される場合)、および野生型rep遺伝子また はcap遺伝子により提供されるような十分な補完機能の生成における困難さを含 むいくつかの理由から困難である。このような補完機能を発現する有用な細胞株 は、部分的にはrep遺伝子産物に関連するいくつかの阻害機能のため、生成する のが本質的に困難である。従って、rep遺伝子が組み込まれ、発現される細胞株 においては、増殖が遅く、非常に低いレベルでrepを発現する傾向がある。 記載された最初のAAVベクターは、AAV転写プロモーターまたはSV40プロモータ ーから発現されるneo、catまたはdhfrのような外来レポーター遺伝子を含有した (Tratschinら、1984b,Mol.Cell.Biol.4:2072-2081;HermonatおよびMuzyczka、19 84、Proc.Natl.Acad.Sci.USA、81:6466-6470;Tratschinら、1985、Mol.Cell.Bi ol.5:3251-3260;McLaughlinら、1988、J.Vlrol.、62:1963-1973;Lebkowskiら、 1988、Mol.Ce11.Biol.、7:349-356)。これらのベクターは、アデノウイルス感染 細胞に、野生型AAV転写プロモーターに由来して発現されるAAVのrep遺伝子およ びcap遺伝子を含む第2の「パッケージングプラスミド」とともに同時トランス フェクションすることにより、AAV形質導入粒子中にパッケージングされた。パ ッケージングプラスミドのキャプシド化を妨げる試みでは、いくつかの戦略が用 いられた。いくつかの場合(HernlonatおよびMuzyczka、1984;McLaughlinら、198 8)、AAV配列内のバクテリオファージλDNAの大きな領域をパッケージングプラス ミドに挿入し、パッケージングされ得ない過剰サイズのゲノムを生成した。他の 場合において(Tratschinら、1984b;Tratschinら、1985、Lebkowskiら、1988)、 パッケージングプラスミドは、切り出しおよび複製ができず、そのためパッケー ジングできないように、AAVのITR領域を欠失した。これらの全てのアプローチは 、複製能を有するAAVのDNAを含む粒子の生成を妨げず、そしてまた効果的な高力 価のAAV形質導入粒子を生成しなかった。実際、1mlあたり104感染性粒子を越え ない力価は、HermonatおよびMuzyczka、1984により引用されなかった。 多くの研究で、ベクターに存在するAAV配列とパッケージングプラスミドとの 間に重複する相同性が存在することは、複製能を有するAAV粒子の産生を生じる 。 このような系での組み換えの程度は、配列重複の程度とおよそ等価であることが SenapathyおよびCarter(1984,J.Biol.Chem.259:4661〜4666)により示された 。1mlあたり106感染性粒子の力価が得られ得ることがこれまでの研究の総説に おいて示唆されている(Carter1989,Handbook of Parvovlruses,第II巻,247〜 284頁,CRCPress,BocaRaton,FL)が、これは、多量の複製能を有するAAVがベク ター調製物に夾雑した、上記に引用された研究に基づいていた。複製能を有する AAVを含むこのようなベクター調製物は、一般的に、ヒトの遺伝子治療には好ま しくない。さらに、これらの初期のベクターは、たとえベクターが細胞あたり50 ,000粒子までの多重度で供給されていたとしても、低い形質転換効率を示し、種 々のヒト細胞株の培養物で細胞の1〜2%を超えて形質導入されなかった。これ は、複製能を有するAAV粒子の夾雑およびベクターにAAVrep遺伝子が存在してい ることを一部反映し得る。さらに、Samulskiら(1989,J.Vlrol.63:3822〜3828 )は、野生型AAVの存在が、パッケージングされたベクターの収量を有意に増強し たことを示した。従って、野生型AAVの産生を取り除くパッケージング系におい ては、パッケージングされたベクターの収量は、実際に減少され得る。それにも かかわらず、任意のヒトの診療適用における使用のために、複製能を有するAAV の産生を本質的に取り除くことは好ましい。 AAVのrepまたはcap遺伝子を含有しないAAVベクターを生成を試みるための追加 の研究(McLaughlinら、1988;Lebkowskiら、1988)では、なお複製能力を有するAA Vの生成をうけ、そしてなおヒト細胞株で非常に低い形質導入頻度を生じた。従 って、McLaughlinら(1988)は、HermonatおよびMuzyczka(1984)により初期に使用 された同じパッケージングプラスミドでパッケージングされたneo遺伝子を含有 するAAVのrep-cap-ベクターはなお、複製能力を有するAAVを含有することを報告 した。結果として、ベクターおよび複製能力を有する粒子の二重ヒットを避ける ために、このウイルスを細胞あたり0.03粒子の多重度(すなわち、10,000細胞あ たり300感染単位)でしか使用し得なかった。従って、1000感染単位で32,000細 胞を感染させる場合、平均800個のゲネチシン(genetlcin)耐性コロニーが得られ た。これは、ウイルスが80%の形質導入頻度を得ることができることを示すと解 釈されるが、実際は細胞の2.5%のみが形質導入された。従って、このベクター の効果的な有用な力価は制限された。さらに、この研究は、このベクター調製物 の実際の力価が、HermonatおよびMuzyczka(1984)により以前に得られた力価より 少しでも高いことを示さなかった。同様に、Lebkowskiら、1988は、repまたはca p遺伝子のいずれも含有しないAAVベクターをパッケージングし、Tratschinら、( 1984b,1985)によって初期に使用されたものと同一のori-パッケージングプラス ミド(pBa1A)を使用し、そして同様に低い形質導入頻度(最も濃縮したベクター ストックを用いた場合さえ、数種のヒト細胞株では、1%を越えない細胞がゲネチ シン耐性に形質導入され得た)を報告した。Lebkowskiら、(1988)は、有意には 実際のベクター力価を報告しなかった。しかし、3mlのベクター調製物に5×106 細胞を曝した場合、1%より高くない形質導入頻度を示す生物学的アッセイは、 力価が1mlあたり2×104未満のゲネチシン耐性単位であることを示した。pBa1 A パッケージングプラスミドはまた、ベクター中にITR配列との重復する相同性を 含有し、そして複製能力を有するAAVの相同性組換えによる生成をもたらし得る 。 Lafaceら、(1988)は、同様にして調製されたHermonatおよびMuzyczka(1984)で 使用されたのと同じベクターを使用し、そしてまた非常に低い力価を示すマウス 骨髄培養物中で1.5%の形質導入頻度を得た。 Samulskiら(1987、J.Virol.,61:3096-3101)は、pSub201と呼ばれるプラスミド を構築した。これは、細菌プラスミド中の完全なAAVゲノムを含むが、各ITRの末 端で13ヌクレオチドの欠失を有し、従ってAAVゲノム全体を含有する他のAAVプラ スミドよりも低い効率でレスキュー(rescue)および複製された。Samulskiら(198 9、J.Virol.63:3822-3828)は、pSub201に基づくが、repおよびcapを欠失してい て、そしてSV40初期遺伝子プロモーターから発現するhygまたはneo遺伝子のいず れかを含有するAAVベクターを構築した。彼らは、アデノウイルスITRの1コピー でいずれかの末端が囲まれたヌクレオチド190-4490のAAVヌクレオチド配列全体 からなるpAAV/Adと呼ばれるパッケージングプラスミドでの同時トランスフェク ションにより、これらのベクターをパッケージングした。このパッケージングプ ラスミドでは、AAVのrepおよびcap遺伝子は、天然のAAVプロモーター(すなわち 、上述のような、p5、p19、およびp40)から発現された。pAAV/Adでのアデノウ イルスITRの機能は、AAVキャプシドタンパク質の発現レベルを高めることである と考 えられた。しかしながら、repは、その相同なプロモーターから発現され、そし て負に調節されており、従ってその発現は制限される。これらのキャプシド化系 を使用して、Samulskiらは、AAVベクターストックを生成した。これは、実質的 に複製能力を有するAAVを含まないが、上清1mlあたりの3×104ハイグロマイシ ン耐性単位のみの形質導入力価を有した。複製能力を有するAAVゲノムをパッケ ージングプラスミド中で使用した場合、AAVベクター調製物の力価は、1mlあた り5×104ハイグロマイシン耐性単位まで増加した。従って、この系で生産され る低力価は、部分的にはベクター構築に使用された基本的なpSub201プラスミド のITR配列の欠損が原因で、そして部分的にはpAAV/AdからのAAV遺伝子の制限さ れた発現が原因だったようである。AAVneoベクター調製物の力価を増加させる試 みでは、Samulskiらは、293細胞の30枚の10cm皿に大量にトランスフェクトし、 そしてCsClでのバンド形成によりベクターストックを濃縮させることにより、ベ クターストックを生成した。これは、DNAドットブロットハイブリダイゼーショ ンアッセイで測定したところ、合計108粒子を含有するAAVneoベクターストック を生産した。このベクターストックを細胞あたり1,000粒子までの多重度で使用 した場合、70%の形質導入頻度が得られた。これは、細胞あたり1形質導入単位 の比では、形質導入されるべき細胞の予想された比率が、ポアソン分布によれば 63%であることから、粒子対形質導入比が、約500〜1,000粒子であることを示唆 している。 ベクタープラスミドpSub201およびパッケージングプラスミドpAAV/Adを用いる Samulskiら(1989)の系は、2つのプラスミドの間に重複するAAV配列の相同性を 有さなかったが、XbaI部位で重複する相同性があり、そしてこれらの部位の組換 えにより完全な複製能力を有するAAVを生成する。すなわち、AAV配列の重複する 相同性は存在しないが、完全なAAV配列が2つのプラスミド内に含有され、そし てこのように組換えにより複製能力を有するAAVを生成し得、そしてこのプラス ミドは、複製能力を有するAAVを産生するための組換えを促進し得る、短い(非A AV)配列を共有するが、これは好ましくない。このクラスの組換えがAAVプラス ミド中で起こることはSenapathyおよびCarterにより示された(1984,J.Biol.Chem . 259:4661-4666)。それゆえ、低力価および複製能力を有する組換え体を生成す る 能力の問題のため、Samulskiら(1989)により記載された系はヒト遺伝子治療にお いて実用的な有用性を有さない。 他のいくつかの報告がAAVベクターについて記載している。例えば、Srivastav aら(1989,Proc.Natl.Acad.Sci.USA,86:8078-8082)は、Samulskiら(1987)のpSub2 01プラスミドに基づくAAVベクターについて記載した。そこではAAVのコーディン グ配列は他のパルボウイルスB19のコーディング配列で置き換えられた。このベ クターはpAAV/Adパッケージングプラスミドを用いてAAV粒子にパッケージングさ れ、機能的ベクターを生成したが、力価は報告されなかった。従って、この系は pSub201に基づいていたので、このプラスミドに関する上記の欠陥を被る。第2 に、ベクターおよびパッケージングプラスミドは、重複するAAV配列(ITR領域)を 含有していたので、複製能力を有するウイルスの混入をもたらす組換えが非常に よく起こる。 Chatterjeeら(1991,Vaccines 91,Cold Spring Harbor Laboratory Press,85-8 9頁)、Wongら(1991,Vaccines 91,Cold Spring Harbor Laboratoy Press,183-18 9頁)、およびChatterjeeら(1992,Science,258:1485-1488)は、HIVまたは単純ヘ ルペスウイルスのような感染性ウイルスに対するアンチセンスRNAを発現するよ う設計されたAAVベクターについて記載している。しかし、これらの著者はそのA AVべクターストックの力価についてなにも報告しなかった。さらに、彼らは、Tr atschinら(1984b,1985)により使用された、AAVゲノムのBalAフラグメントを含有 するプラスミドに類似のori-パッケージングプラスミドを用いてベクターをパッ ケージングし、それゆえ彼らのパッケージングプラスミドは、ベクター構築物中 に存在するAAV配列に相同性を有するAAVベクター配列を含有した。これはまた、 複製能力を有するAAVの生成を生じる。従って、Chatterjeeら、およびWongらは 低力価しか示さないことが公知のパッケージング系を使用した。そして、それは ベクターおよびパッケージング配列の重複する相同性のため、複製能力を有する AAVゲノムの生成を生じ得る。 他の報告は、ヒトリンパ球(Muro-Cachoら,1992,J.Immunotherapy,11:231-237) またはヒト赤白血病細胞株(Walshら,1992,Proc.Natl.Acad.Sci.USA,89:7257-726 1)中で遺伝子を発現するAAVベクターの、pSub201ベクタープラスミドおよびpAAV /Adパッケージングプラスミドに基づいたベクターとの使用を記載している。ま た、ベクターストックの力価は報告されておらず、そして明らかに低かった。な ぜなら、選択マーカー遺伝子が、ベクターで首尾よく形質導入されたそれらの細 胞を同定するために使用されたからである。 嚢胞性線維症患者由来のインビトロで増殖したヒト気道上皮細胞の、AAV p5プ ロモーターから選択マーカー遺伝子neoを発現するAAVベクターでの形質導入が報 告された(Flotteら,1992,Am.J.Respir.Cell.Mol.Biol.7:349-356)。この研究で は、AAVneoベクターはpAAV/Adパッケージングプラスミドを用いてAAV粒子にパッ ケージングされた。培養物中の細胞の70%までがゲネチシン耐性に対して形質導 入され得、そして粒子対形質導入比は、Samulskiら(1989)により報告されたもの と同様であった。このように細胞の70%の形質導入を得るためには、細胞当たり 数百までのベクター粒子の多重度が必要であった。AAV ITRプロモーターから嚢 胞性線維症膜コンダクタンス制御因子(CFTR)遺伝子を発現するAAV形質導入ベク ターを用いるインビトロ培養でのヒト気道上皮細胞の形質導入は、この細胞が嚢 胞性線維症患者由来の細胞に存在するクロライドチャネル機能の電気生理学的欠 陥について機能的に修正され得ることを示した(Eganら,Nature,1992,358:581-58 4;Flotteら,J.Biol.Chem.268:3781-3790)。 上記の研究は、AAVベクターが遺伝子治療によるヒト疾病の治療のためのベク ターとしての潜在的な有用性を有し得ることを示唆する。しかし、十分な量のAA Vベクターを生成する能力における困難性は、AAVベクターを使用するヒト遺伝子 治療の発展における厳しい制限であった。この制限の1つの局面は、インビボ動 物モデルでAAVベクターを使用する研究がまさにほとんどなかったことである( 例えば、Flotteら、l993b;およびKaplittら、1994、Nature Genetics 8:148-154 を参照のこと)。これは一般的に、インビボでの送達および遺伝子発現の分析に 有用であるのに十分に高い力価を有するAAVベクターストックを十分量生成する ことに関する困難の反映である。 AAV遺伝子治療の制限要因の1つは、使用されているベクターパッケージング 系が比較的効率的でなかったことである。repおよびcapのようなAAVトランス相 補機能を十分なレベルで発現する適切な細胞株の欠如のため、AAVベクターのパ ッケージングは、パッケージングプラスミドおよびベクターの同時トランスフェ クションによってアデノウイルス感染細胞中で達成された。このプロセスの効率 は、それぞれのプラスミド構築物のトランスフェクションの効率により、および 今まで記載されたパッケージングプラスミド由来のRepタンパク質の低い発現レ ベルにより制限され得る。これらの問題はそれぞれ、AAV Repタンパク質(これ は多面的な阻害効果に関連することが公知である)の生物学的活性に関連してい るようである。さらに、上記のように、上述の全てのパッケージング系は組換え により複製能力を有するAAVを生成する能力を有する。 機能するRepを安定して発現する細胞株を産生する細胞株における困難性は、n eo 耐性コロニー形成のRepタンパク質による抑制によって示されるようにRepの細 胞毒性機能または細胞増殖抑制性機能を明らかに反映する(Labowら、1987;;Trem peら、1991)。これはまた、培養細胞中の不死化表現型を取り消すためのRepの傾 向に関係するようである。この細胞は、機能的repを安定に発現する細胞系の産 生を極めて難しくする。repを発現する細胞系を産生するためのいくつかの試み がなされた。Mendelsonら(1988,Virology,166:154-165)は、ある細胞系におい て、AAV Rep52タンパク質のいくらか低いレベルの発現を得るが、しかしAAV Rep 遺伝子を含むプラスミドでのHelaまたは293細胞の安定なトランスフェクション 後、Rep78またはRep68を発現しないことを報告した。Rep78およびRep68タンパク 質が存在しないために、ベクターは、細胞系で生じ得なかった。別の細胞系は非 機能性であったRep78のかろうじて検出し得る量を生じた。 Vincentら(1990,Vaccines 90,Cold Spring Harbor Laboratory Press,353-359 頁)は正常AAVプロモーターから発現するAAV repおよびcap遺伝子を含有する細胞 株の生成を試みた。しかし、これらの試みはベクターが100倍の過剰の複製能力 を有するAAV粒子が混入したからか、またはベクターが4×103感染性粒子より小 さい非常に低い力価でしか生成されなかったからかのいずれかのために成功しな かった。 計画されている他の改変体は、例えば、インビトロで集合的に(例えば、1996 年11月1日に公開されたWO96/00587を参照のこと);および非ヒト哺乳類由来ヘ ルパーウイルスにおいてAAV rep-cap遺伝子を使用するシステム(1995年8月3 日に公開されたWO 95/20671を参照のこと)により、ヘルパーウイルス上のAAV re p-cap遺伝子を用いる系(例えば、1995年3月9日の公開されたWO 95/06743を参 照のこと)AAV粒子を再構成するために使用され得るAAV Capタンパク質の生成に 基づくシステムを含む。 さらに別のアプローチでは、Lebkowskiら(米国特許第5,173,414号、1992年12 月22日発行)がエピソームプラスミドにおいてAAVベクターを含有する細胞株を構 築した。次いで、これらの細胞株はアデノウイルスで感染され、トランス相補AA V機能のrepおよびcapでトランスフェクトされ、AAVベクターの調製物を生じ得た 。このことにより高力価のAAVストックが生成できるようになることが請求され る。しかし、示された例において、示された力価に関する唯一の情報は、1つの ヒト細胞株K562がわずか1%あるいはそれより低い効率で形質導入され得たとい うことであり、それはいかなる高力価のAAVベクターの生成をも示してない。こ の系においては、ベクターはエピソーム性(非組込み)構築物として運ばれ、そ してベクターの組込まれたコピーが好ましくないと述べられる。引き続く特許( 米国特許第5,354,678号、1994年10月11日発行)、Lebkowskiらは、細胞ゲノム中 にrepおよびcap遺伝子を導入するが、しかし、その方法は、エプスタイン-バー ウイルス核抗原(EBNA)遺伝子およびエプスタインーバーウイルス潜在性複製起点 を含むエピソームAAV形質導入ベクターの使用を再び必要とする;そして、再び 力価に関する唯一の情報は、かなり低い力価を示した。 Lebkowskiら、(1992)により記載されたrAAVベクターのパッケージングへのア プローチは、いくつかの点で望ましくあり得ない。第1に、細胞株中で組込まれ ていない高コピー数のエピソームプラスミドとしてrAAVベクターを維持すること は望ましくない。なぜなら、細胞当たりのコピー数は厳密に制御され得ず、そし てエピソームDNAは、欠陥ベクターの生成を導く再配列をよりずっと受けるよう であるからである。第2に、この系においては、ベクターはなお、アデノウイル スによって細胞株を感染させ、そしてAAV repおよびcap遺伝子を含有するプラス ミドを導入することによりパッケージングされなければならない。Lebkowskiら( 1992)により再び使用されたプラスミドはpBalAであり、これは、ベクターITR配 列と重複する相同性を有し、そして結果として複製能力を有するAAVを生成する 。 第3に、Lebkowskiら(1988,1992)により使用されたpBal Aパッケージングプラス ミド中で、rep遺伝子はその相同なp5プロモーターから発現され、repは、このよ うに負に自己調節され、それゆえにrepの発現は制限されるようである。 プラスミドのトランスフェクション後のrep発現が最適以下のレベルであると いう問題は、これらのタンパク質の別の生物学的活性にもまた、関連する。AAV- Repタンパク質は、pAAV/Ad(Samulskiら,1989)またはpBalA(Lebkowskiら,1988 ,1992)のような以前に記載された種々のパッケージング構築物に使用されたAAV -p5プロモーターからのそれ自体の発現をダウンレギュレートするという証拠が ある(Tratschlnら,1986,Mol.Ccll.Biol.6:2884−2894)。によって公開された(1994、J.Virol.68:7169-7177)。彼らは、repが糖質コルチ コイド応答性MMTVプロモーターの制御下に置かれた細胞株の生成を記載した。彼 らは、粒子形成を観察したが、その粒子は、明らかに、非感染性であった。さら なる実験は、欠損が非常に重要である;すなわち、細胞中で、一本鎖rAAV DNAの 蓄積が実際にはないということを示した。感染性粒子の産生は、構成的な高発現 rep構築物でのさらなる一過性のトランスフェクションを必要とした(すなわち 、それらは、Rep活性を、自身で提供し得ると仮定された細胞に「加え戻さ(add back)」なければならない。AAVパッケージング細胞株を生成するためのいくつも の他のアプローチがまた、最近記載されている。例えば、T.Flotteら、WO 95/1 3365(Targeted Genetic Corporation and Johns Hopkins University);J.Trem peら、WO 95/13392(Medical College of Ohio);およびJ.Allen、WO 96/17947( Targeted Genetics Corporationを参照のこと)。 本質的に複製能力を有するまたはまたは他の複製能力を有するAAVを含まないr AAVベクターを効率的に生成するために使用され得る重要な必要性がある;そし て、rAAVベクターのように効率的に生成するために使用され得る方法について細 胞系のための対応する必要性がある。発明の要旨 遺伝子治療の基本的挑戦の1つは,エキスビボで容易に操作され得ず,活発に 分裂しない細胞および組織の形質導入のためのストラテジーの開発である。AAV ベクターは、例えば、気道でのインビボ遺伝子転移を達成し得るが、可能な限り 少量で十分に高い多重度のベクターの送達を可能にするように、高力価が重要で ある。別の重要な目的は、複製能力を有するウイルス粒子を実質的に遊離する組 換えAAV(rAAV)ベクター粒子の生成である。最適のAAVパッケージングの方法論は 、これらの目的を満足させることおよびAAVに基づく遺伝子治療を促進すること において中心的な重要性に関する。安定と効果的の両方であるAAVパッケージン グ細胞株の生成は、主にRepタンパク質の活性のために捕らえどころがなかった 。Repタンパク質は、それ自体の発現をダウンレギュレートし(特にへルパーウ イルス機能の非存在下)、そして宿主細胞に負に影響し得る。本発明において記 載されるアプローチは、効果的にこれらの問題を回避し、そしてAAVパッケージ ング効率の実質的な改良を可能とした。 本発明は、リコンビナーゼ−活性化可能AAVパッケージングカセット、および 哺乳動物への問題の遺伝子の送達を仲介する組換えAAV粒子の生成に関して効果 的であるようなカセットからなるパッケージング細胞株を提供する。本発明の前 後関係において、AAVパッケージング遺伝子は、最初と第2の部位特異的組換え( ssr)部位およびssr−逆配列を含む種々のカセット組成物の配列および相対的方 向に基づくプロモーターへ「活性可能に連結される」。リコンビナーゼ−活性化 可能AAVパッケージングカセットは、組換えAAVベクター粒子のパッケージングの ために使用されるために咄乳動物細胞へ導入される。リコンビナーゼ−活性化可 能状態において、カセット中の要素(プロモーター、第1のssr部位、ssr逆配列 、第2のssr部位およびパッケージング遺伝子)の配列および方向はプロモータ ーとAAVパッケージング遺伝子の実施可能な連結を抑制する。活性化は、細胞内 へ導入することにより、そして/または最初と2番目のssr部位の間の組合せに 仲介可能なリコンビナーゼをコードする遺伝子のその細胞中での発現を生じるこ とによって誘発され得る。AAVパッケージングカセット内の成分の配列および相 対的方向の結果として、リコンビナーゼにより触媒化される組換え現象は、プロ モーターと実施可能な連結へAAVパッケージング遺伝子を配置する方法で再配置 されるためのカセットを生じる。宿主細胞に対して有害であり得るAAVパッケー ジ ング遺伝子の発現は、効果的に抑制されるが、リコンビナーゼ活性化可能である 。本発明のAAVカセットが、問題の遺伝子を含む組換えAAV(rAAV)ベクターからな る哺乳動物類細胞で使用される場合、AAVヘルパーウイルスにより提供される機 能との組合せにおいて、AAVパッケージング遺伝子の遺伝子産物は、哺乳動物類 標的細胞に対する問題の遺伝子を送達するために使用され得る多数の感染性であ るがしかし複製−無能rAAV粒子の産生を結果として生じるrAAVベクターの複製お よびキャプシド形成を仲介する。 種々の好ましい実施態様を包含する本発明の種々の実施態様は、以下により詳 細に記載される。図面の簡単な説明 図1は、実施例12に記載のように、本発明のリコンビナーゼ−活性化可能AAV パッケージングカセットが、リコンビナーゼをコードするプラスミド(核局在シ グナル有りまたは無し)によって活性化され得、そして、安定に組み込まれたrA AVプロベクターのレスキューおよび増幅のために効果的なAAV複製機能を提供す るために使用されることを示すサザンブロットの結果を示す。 図2は、実施例13および15に記載のように、本発明のリコンビナーゼ−活性化 可能AAVパッケージングカセットが、リコンビナーゼをコードするヘルパーウイ ルスによって活性化され得、そして、安定に組み込まれたrAAVプロベクターのレ スキューおよび増幅のために効果的なAAV複製機能を提供するために使用される ことを示すサザンブロットの結果を示す。 図3は、実施例16に記載のように、本発明のリコンビナーゼ−活性化可能AAV バッケージングカセットが、リコンビナーゼによって活性化され得、そして標的 細胞へ標的遺伝子を送達することに有用な熱安定性感染性AAVベクター粒子の産 生に効果的なAAV複製機能を提供するために使用されることを示すサザンブロッ トの結果を示す。 発明の詳細な説明 組換えAAVベクターは、ヒト遺伝子治療のために、潜在的に効果的な道具であ る。遺伝子治療への他のアプローチに勝る、AAVベクターの主な利点は、宿主細 胞に安定に組み込まれるようになるために、標的細胞の複製の進行を一般に必要 としないことである。本明細書中に記載の本発明は、遺伝子治療において使用さ れる高力価組換えAAVベクターの生成に使用される方法および材料を提供する。 本発明の実施には、他に示されていなければ、分子生物学、微生物学、組換え DNA、および免疫学の従来の技術が使用されており、それらは当業者の技術範囲 内である。このような技術は文献で十分に説明されている。例えば、Sambrook,F ritsch,およびManlatis,Molecular Cloning:A Laboratory Manual,第2版(1989) ;Oligonucleotide Synthesis(M.J.Galt編,1984),Animal Cell Culture(R.I.Fres hney編,1987);Methods in Enzymologyシリーズ(Academic Press,Inc.);Gene Tra nsfer Vectors for Mammalian Cells (J.M.MillerおよびM.P.Calos編,1987);Han dbook of Experimental Immunology ,(D.M.WeirおよびC.C.Blackwell編);Curren t Protocols in Molecular Biology(F.M.Ausubel,R.Brent,R.E.Kingston,D.D.Mo ore,J.G.Siedman,J.A.Smith,およびK.Struhl編,1987);ならびにCurrent Protoco ls in Immunology(J.E.Coligan,A.M.Krulsbeek,D.H.Margulies,E.M.Shevachおよ びW.Strober編,1991)を参照のこと。本明細書中の前記および後記の全ての特許 、特許出願、および出版物は本明細書中で参考として援用される。定義: 用語「ポリペプチド」、「ペプチド」および「タンパク質」は、任意の長さの アミノ酸のポリマーを表すために交換可能に用いられる。これらの用語はまた、 グリコシル化、アセチル化、およびリン酸化を含む反応を介して翻訳後修飾され たタンパク質を含むがこれらに限定されない。 「ポリヌクレオチド」は、リボヌクレオチドもしくはデオキシリボヌクレオチ ドのいずれか、またはそれらのアナログである、任意の長さのヌクレオチドのポ リマー形態をいう。この用語は、分子の一次構造についてのみいう。従って、二 本鎖および一本鎖DNAならびに二本鎖および一本鎖RNAを含む。メチル化またはキ ャップされたポリヌクレオチドのような改変されたポリヌクレオチドも含む。 「遺伝子」は、転写および翻訳後、特定のタンパク質をコードすることが可能 である、少なくとも1つのオープンリーディ冫グフレームを含むポリヌクレオチ ドを意味する。 本明細書中で使用される「転写制御配列」または「TRS」は、作動可能に連結 される遺伝子またはコード配列の転写を制御するゲノム領域を意味する。本明細 書中で使用される転写制御配列は、通常、少なくとも1つの転写プロモーターを 含み、そしてまた、1つ以上のエンハンサーそして/または転写のターミネータ ーを含む。 「作動可能に連結された」は、記載のような成分がそれらの意図される様式で 機能し得る関係にある、2つ以上の成分の配列をいう。例示的な方法により、転 写制御配列またはプロモーターは、TRSまたはプロモーターがコード配列の転写 を促進する場合、コード配列に作動可能に連結される。作動可能に連結されたTR Sは、通常コード配列とシス配置であるが、必ずしもコード配列に直線結合する 必要はない。 「組換え体」は、天然に通常見出されるものと区別される遺伝子全体を意味す る。ポリヌクレオチドまたは遺伝子に適用されるように、これは、ポリヌクレオ チドが、クローニング、制限および/または連結工程、そして天然に見出される ポリヌクレオチドの種々の組み合わせの産物であることを意味し、ならびに天然 に見出されるポリヌクレオチドと区別される構築物を生じる他の手順の種々の組 み合わせの産物であることを意味する。 「異種」は、比較される実体の残りの実体と遺伝子型的に異なる実体に由来す るものを意味する。例えば、遺伝子工学技術により異なる細胞型に導入されたポ リヌクレオチドは、異種ポリヌクレオチドである(そして、発現した場合は、異 種ポリペプチドをコードし得る)。同様に、その天然のコード配列から除去され 、そして異なるコード配列に作動可能に連結されたTRS(転写調節配列)または プロモーターは、異種TRSまたはプロモーターである。 「配列重複」は、ヌクレオチドが、組換えが同一配列を共有するときに、2つ のポリヌクレオチドの間で生じる。この相同配列が十分な長さおよび同一性であ る場合、組換えは容易になされる。相同性のレベルおよび対応する組換えの頻度 は、相同配列の長さの増加およびそれらの共有の同一性のレベルに伴って増加す る。与えられた系の関係を示す相同性のレベルは、当業者に周知のように、理論 的に決定され得、そして実験的に確認され得る。例えば、相同組換えは、2つの 配列が、80%相同(その長さに渡る合計)を越える少なくとも10塩基対(bp)の任 意の伸長、または少なくとも70%相同である少なくとも20塩基対の任意の伸長、 または少なくとも50%相同である少なくとも50塩基対の任意の伸長、または少な くとも40%相同である少なくとも100塩基対の任意の伸長、を共有しない場合、実 質的に減少し得、あるいは除去し得る;好ましくは、相同のレベルは、実により 少なく(好ましくは現状レベルの半分未満)、そして好ましくは、部分的な相同 配列長はまた、より少ない(好ましくは現状の長さの半分未満)。 本明細書中で使用される「ベクター」は、インビトロまたはインビボのどちら かにおいて、宿主細胞に送達されるポリヌクレオチドを含む、組換えプラスミド またはウイルスをいう。ときには「標的ポリヌクレオチド」または「標的遺伝子 」としていわれる、送達されるべきポリヌクレオチドは、遺伝子治療(目的の治 療のタンパク質をコードする遺伝子のような)そして/または選択し得るまたは 検出し得る標識における目的のコード配列を含み得る。 「レプリコン」は、適切な宿主細胞中のポリヌクレオチドの複製を可能にする 複製起点を含むポリヌクレオチドを意味する。レプリコンの例は、染色体(核ま たはミトコンドリア染色体)と同様に、エピソーム(プラスミドを含む)を含有 する。細胞内へのポリヌクレオチドの「安定な組み込み」は、ポリヌクレオチド が、細胞中に安定に維持される傾向にあるレプリコンへ導入されることを意味す る。プラスミドのような「エピソーム」は、しばしば多くの世代で維持され得る が、エピソームにより送達された遺伝物質は、一般に、染色体に組み込まれた物 質よりさらに損失されやすい。しかしながら、ポリヌクレオチドの維持は、ポリ ヌクレオチドまたはポリヌクレオチドに隣接部位への選択可能なマーカーの組込 み、次いで、選択圧下で、ポリヌクレオチドを有する細胞の維持によりたびたび 効果的であり得る。多くの場合、配列は、それらが染色体へ組み込まれるように なる場合を除いては、安定に効果的に維持され得ない;それゆえ、選択可能なマ ーカーを含む配列の保持のための選択は、マーカーが染色体へ安定に組み込まれ るようになる細胞選択を生じ得る。抗体抵抗性遺伝子は、当業者に周知のように 、 そのことについては都合良く使用され得る。代表的には、安定に導入されるポリ ヌクレオチドは、平均して少なくとも約20世代で、平均して好ましくは少なくと も約100世代で維持され得、さらにより好ましくは、それらは永久に維持される ことが予想され得る。真核生物の染色体のクロマチン構造は、組み込まれたポリ ヌクレオチドの発現のレベルに影響し得る。エピソームでなされた遺伝子を有す ることは、特定の遺伝子の多複の安定に維持されたコピーを有することが所望さ れる場合、特に有用であり得る。本発明の内容において特に望ましい特性を有す る安定な細胞株の選択は、以下の発明の詳細な説明および実施例に記載される。 「AAV」はアデノ随伴ウイルスである。アデノ随伴ウイルスは、特定の機能が 同時感染ヘルパーウイルスによって提供される細胞においてのみ増殖する欠陥パ ルボウイルスである。例えば、一般的なAAVの総説は、Carter,1989、Handbook of Parvoviruses 、第I巻、169-228頁、およびBerns、1990、Virology、1743-176 4頁、Raven Prcss、(New York)に見出され得る。AAV2抗原型は、実施例中で本発 明のいくつかの説明で使用された。しかしながら、種々の抗原型は、遺伝子レベ ルでさえ、機能的および構造的の両方に非常に密接に関連することは公知である ので、これらの同じ原理が他のAAV抗原型に利用し得ることは十分に予測される( 例えば、Blacklow,1988,ParvovirusおよびHuman Diseaseの165〜174頁、J.R. Pattison編;およびRose,1974,Comprehesive Virology3:1〜61を参照のこと) 。例えば、全てのAAV抗原型は、特徴が同種rep遺伝子により仲介される非常に似 通った複製を明らかに示す;そして全ては、AAV2中に発現されるような3つの関 連したキャプシドタンパク質を有する。この関連性の程度は、ゲノムの長さ、IT Rに相当する末端で類似の自己アニーリングセグメントの存在に沿った抗原型の 間の広範な交差ハイブリダイゼーションを明らかにするヘテロ二重分析によりさ らに示唆される。同様の感染性様式はまた、個々の抗原型における複製機能が同 様の調節制御下にあることを示唆する。 「組換えAAVベクター」(すなわち「rAAVベクター」)は、AAV逆方向末端反復 (ITR)に隣接される1つ以上の目的のポリヌクレオチド(または、「導入遺伝子 」)を含むベクターをいう。このようなrAAVべクターは、適切なヘルパーウイル スに感染しており、そしてAAVのrepおよびcap遺伝子産物(すなわち、AAV Rep およびCapタンパク質)を発現している宿主細胞内に存在するとき、複製され得 、そして感染可能なウイルス粒子中にパッケージングされ得る。rAAVベクターが 大きなポリヌクレオチド(例えば、染色体において、またはクローニングあるい はトランスフェクションにおいて使用されるプラスミドのような別のベクターに おいて)に組み込まれる場合、次いで、rAAVベクターは、「プロベクター」(A AVパッケージング機能の存在下で複製および包埋により「レスキュー」され得 、そしてヘルパー機能に不可欠であり得る)として代表的に表される。 AAVのための「ヘルパーウイルス」は、AAV(これは「欠損」パルボウイルスで ある)が宿主細胞により複製され、パッケージされることを可能にするウイルス をいう。多くのこのようなヘルパーウイルスは同定されており、ワクシニアのよ うなアデノウイルス、ヘルペスウイルス、およびポックスウイルスを含む。サブ グループCのアデノウイルス5型が、最も一般的に使用されるが、アデノウイル スは多くの異なるサブグループを包含する。ヒト、非ヒト哺乳動物および鳥類起 源の多数のアデノウイルスが公知であり、そしてATCCのような保管所から利用可 能である。例えば、ヘルペスファミリーのウイルスは、ATCCのような保管所から 利用可能でもある、ならびに単純ヘルペスウイルス(HSV)およびエプスタインバ ーウイルス(EBV)ならびにサイトメガロウイルス(CMV)およびオーエスキー病ウイ ルス(PRV)を含む。 本明細書中で用いられる「パッケージング」は、ウイルスベクター、特にAAV ベクターのアセンブリおよびキャプシド化を生じる一連の亜細胞性の事象をいう 。従って、適切なベクターが適切な条件下でパッケージング細胞株に導入される 場合、それはウイルス粒子内にアセンブルされ得る。ウイルスベクター、特にAA Vベクターのパッケージングと関連する機能は、本明細書中に記載され、そして 当該分野内にある。 AAV「rep」および「cap」遺伝子は、それぞれ、複製およびキャプシド化タン パク質をコードする遺伝子である。AAV repおよびcap遺伝子は、試験された全て のAAV血清型において見出されており、そして本明細書中に引用される文献に記 載されている。野生型AAVにおいて、代表的には、repおよびcap遺伝子は、ウイ ルスゲノム(すなわち、それらは、または転写単位が隣接するかまたは重なるよ うに互いに「結合」される)中においてお互いに隣接して見出されており、そし てこれらは一般にAAV血清型において保存されている。AAV repおよびcap遺伝子 はまた、「AAVパッケージング遺伝子」として本明細書中で、個々にそして集団 で意味される。修飾されたAAVパッケージング遺伝子(改変rep遺伝子および改変 cap遺伝子を含む)は、本明細書中の使用に関して、以下のように記載される。 「AAVスプリットパッケージング遺伝子」は、スプリットパッケージング遺伝 子がAAVゲノム中に通常連結される1つ以上のパッケージング遺伝子から分離さ れる、1つ以上のAAVパッケージングタンパク質(AAV Repタンパク質および/ま たはAAV Capタンパク質を含む)をコードする組換え遺伝子を意味する。このよ うなAAVスプリットパッケージング遺伝子の例は、本明細書中に記載されるAAVス プリットcap遺伝子、およびAAV rep78遺伝子、AAV rep52遺伝子を含有する。本 発明の好ましい実施態様において、1つ以上のAAVスプリットパッケージング遺 伝子は、以下に記載するような、プロモーターに「活性化可能」に連結され得る 。 AAV「スプリットcap」遺伝子は、遺伝子がAAV rep遺伝子のRep78特異的配列か ら分離されるが、プロモーター、好ましくは異種プロモーターに連結され得る、 1つ以上のAAV Capタンパク質をコードする組換え遺伝子を意味する。上述のよ うに、そして文献に引用されるように、野生型AAV rep遺伝子は、それぞれ、「 大きなRepタンパク質」(Rep78およびRep68)および「小さいRepタンパク質」( Rep52およびRep40)の発現を駆動する2つのプロモーター配列、p5およびp19を 含み;そして、野生型AAVcap遺伝子は、AAV Capタンパク質(VP1、VP2およびVP3) の発現を駆動するプロモーターp40を有する。本発明の特定の組換え構築物およ び細胞株において、Capタンパク質が、野生型AAVの状況とは異なって大きなRep タンパク質をコードし得る遺伝子の次に位置されない、スプリットcap遺伝子に よりコードされる。むしろ、AAV「rep」遺伝子(大きなRepタンパク質であるRep 78およびRep68をコードすることが可能な遺伝子)が、異なる位置で、別々に提 供される。以下により詳細に記載されそして説明されるように、スプリットcap 遺伝子は、別々のレプリコンもしくはベクターに存在することにより、または単 一なレプリコンまたはベクター上に存在する場合、非AAV DNAを逆向きにするこ とによりRep78特異的配列から分離されることによって、Rep78特異的配列から物 理学的に分離され得る。本発明の特定の好ましい実施態様において、スプリット cap遺伝子は異種プロモーター(すなわち、AAV p40プロモーター以外のプロモー ター)に実施可能にまたは活性化的に連結され得る。ここで、異種プロモーター は、p40プロモーターのかわりに、またはp40プロモーターに付加されるかのどち らかで開裂capコード領域の上流に組み込まれる。誘導性プロモーターおよび構 成的プロモーターの両方を含む、種々のプロモーターに実施可能にまたは活性化 的に連結される組換えスプリットcap遺伝子のような例は、以下に記載されそし て説明される。 AAV「rep78」遺伝子は、大きなRepタンパク質であるRep78およびRep68をコー ドし得る遺伝子である(そして一般的には、小さなRepタンパク質であるRep52お よびRep40もコードする)。本発明の特定の好ましい実施態様において、rep78遺 伝子は、異種プロモーター(すなわち、AAV p5プロモーター以外のプロモーター )に作動可能または活性化可能に連結される。そしてこの異種プロモーターは、 p5プロモーターの代わりにまたはp5プロモーターに加えてのいずれかで、rep78 コード領域の上流に組み込まれる。最も好ましくは、rep78遺伝子は、下記に記 載のように、プロモーターに活性化可能に連結される。 AAV「rep52遺伝子」は、小さいRepタンパク質(すなわち、Rep52およびRep40 )のみを別々にコードし得る。従って、rep52遺伝子は、プロモーター(例えば 、p19プロモーターまたはAAV p19プロモーターの代わりかもしくはAAV p19プロ モーターに加えての異種プロモーター)に作動可能または活性化可能に連結し得 る。AAV split-cap遺伝子、rep52遺伝子および/またはrep78遺伝子はまた、他の 転写調節配列に作動可能または活性化可能に連結し得、そしてエンハンサー配列 およびポリアデニル化(ポリA)配列(さらなるTRS配列もまた異種であり得る )を含む。本明細書中に記載のAAVに由来するsplit-cap遺伝子、rep52遺伝子、 およびrep78遺伝子は、まとめて「AAVスプリット-パッケージング遺伝子」とい われる。このようなAAVスプリット−パッケージング遺伝子の構築および使用の 種々の例が記載され、そして下記に例示される。 「リコンビナーゼ−活性化可能AAVパッケージングカセット」(または単に「A AVパッケージングカセット」)は、上流から下流に相対的順で列挙される以下の 成分を含むポリヌクレオチドをいう:(i)第1の部位特異的組換え(ssr)部位;(i i)ssr介在配列:および(iii)第2の部位特異的組換え(ssr)部位;ここで、この カセットは、プロモーター、ならびにAAV rep遺伝子およびAAV cap遺伝子からな る群より選択されるAAVパッケージング遺伝子を含み、ここで、このAAVパッケー ジング遺伝子は、ssr介在配列の内部または第2のssr部位の下流のいずれかに配 置され、そしてここで、上記プロモーターは、ssr介在配列内部または上記第1 のssr部位の上流のいずれかに配置され、そしてこのプロモーターは、AAVバッケ ージング遺伝子に活性化可能に連結される。本発明のカセット内部の種々のエレ メントの配置および相対的方向は、AAVパッケージング遺伝子がリコンビナーゼ 酵素による活性化まで一般的に発現されないポリヌクレオチド配列の作製を生じ る。この活性化により、AAVパッケージング遺伝子が、プロモーターと作動可能 な連結中に配置され、それによって、AAVパッケージング遺伝子の発現を生じる 。本発明のリコンビナーゼ活性化可能AAVパッケージングカセットの説明的例示 が提供され、そして以下に詳述される。 プロモーターは、パッケージング遺伝子および任意の介在配列に対して、ssr 介在配列(ssr部位で作用するリコンビナーゼによって媒介される)の再配置に より、プロモーターが、AAVパッケージング遺伝子に作動可能に連結されること を引き起こすように配置されることにより、本発明のAAVパッケージングカセッ ト内部でAAVパッケージング遺伝子に「活性化可能に連結され」る。従って、本 発明の文脈中でAAVパッケージング遺伝子に活性化可能に連結されるプロモータ ーは、その対応するリコンビナーゼが導入される(および/または発現される) まで、AAVパッケージング遺伝子の転写を効果的に促進しない。このような構築 物の例は、以下に記載され、そして例示される。 「ターミネーター」とは、通読(read-through)転写を減少または妨げる傾向の ある(すなわち、ターミネーターの一方の側に生じてターミネーターの他方の側 に連続する転写を減少または妨げる)ポリヌクレオチド配列をいう。転写が中断 される程度は、代表的には、塩基配列の機能および/またはターミネーター配列 の長さの関数である。特に、数々の分子生物学的システムにおいて周知であるよ うに、特定のDNA配列は、一般的に「転写終結配列」といわれ、これはRNAポリメ ラーゼによる通読転写を、おそらく、転写されるDNAから停止および/または開放 するRNAポリメラーゼ分子を引き起こすことによって、中断する傾向がある特異 的配列である。このような配列特異的ターミネーターの代表的な例には、ポリア デニル化(ポリA)配列(例えば、SV40ポリA)が挙げられる。このような配列 特異的ターミネーターに加えまたはこれに変わって、プロモーターとコード領域 との間の比較的長いDNA配列の挿入物はまた、コード領域の転写を中断する傾向 にあり、一般的には、介在配列の長さに比例する。おそらく、この効果は、RNA ポリメラーゼ分子が、転写されるDNAから開放される(disengaged)といういくら かの傾向が常に存在するために生じ、そしてコード領域に達する前に妨害される 配列の長さを増加させることにより、一般的に、コード領域の転写が完了する前 または、おそらく開始する前であってさえも開放(disengagement)が生じると いう可能性が増加する。従って、ターミネーターは、一方向のみから(「単一方 向」ターミネーター)、または両方向から(「二方向」ターミネーター)転写を 妨げ得、そして配列特異的終結配列または配列非特異的ターミネーターまたはそ の両方からなり得る。種々のこのようなターミネーター配列は、当該分野で公知 であり;そして本発明の文脈中でこのような配列の例示的使用が以下に提供され る。 「部位特異的組換え部位」または「ssr部位」は、部位特異的リコンビナーゼ 酵素(この多くは、当業者に公知であり、本明細書中に記載される)により認識 され、作用されるポリヌクレオチド配列である。ssr介在配列周囲のssr部位の対 は、本発明のAAVパッケージングカセットの文脈中で用いられる。ssr部位で作用 するリコンビナーゼは、分子内DNA再配置事象を媒介し、ssr部位が、タンデムに 、または逆方向に配置されるか否かに依存して、それぞれ、下記のように、ssr 介在配列の切り出しもしくは反転のいずれかを引き起こす。 「リコンビナーゼ」は、DNAの特定の部位特異的組換え部位(「ssr部位」と称 される)を認識し、そしてこれらの部位を介して組換えを媒介するタンパク質を いう。本発明の文脈においては、リコンビナーセは、ssr介在配列のいずれかの 側に組み込まれた対応するssr部位で組換えを認識し、そして媒介する。例示的 なリコンビナーゼは、下記でおよび当該分野で詳述される。 「ssr介在配列」とは、ssr部位の対の間に存在するDNAのセグメントをいう。s sr介在配列は、プロモーター、ターミネーター、選択可能マーカー遺伝子、パッ ケージング遺伝子、ポリAシグナル、または本明細書中で例示される種々のAAV パッケージングカセットに関連して記載されるようなssr部位の対の間に存在す る、任意の他のDNAセグメントを含み得る。 細胞株について記載する際に使用する場合、「効率」とは、その株の特定の有 用な特性をいう:特に増殖速度、および(パッケージング細胞株について)1細 胞あたりの産生されたウイルス粒子の数をいう。「高効率パッケージング」とは 、1細胞あたり少なくとも100ウイルス粒子の産生をいい、より好ましくは、1 細胞あたり少なくとも約200ウイルス粒子、なおより好ましくは、1細胞あたり 少なくとも約400ウイルス粒子の産生をいう。「高安全性パッケージング」とは 、産生される組み換えAAVウイルス粒子のうち、106につき約1未満のAAVウイル ス粒子が、複製能を有するAAVウイルス粒子であることをいう。好ましくは、108 につき約1未満のAAVウイルス粒子が複製能を有するAAVウイルス粒子であり、よ り好ましくは、1010につき約1未満のAAVウイルス粒子が複製能を有するAAVウイ ルス粒子であり、なおより好ましくは1012につき約1未満のAAVウイルス粒子が 複製能を有するAAVウイルス粒子であり、最も好ましくは、すべてのAAVウイルス 粒子が複製能を有さない。本発明の好ましいパッケージング細胞は、このような 高効率および高安全性の組み合わせを示す。 「宿主細胞」、「細胞株」、「細胞培養物」、「パッケージング細胞株」およ び他のこのような用語は、本発明において有用である高等真核生物細胞、好まし くは哺乳動物細胞、最も好ましくはヒト細胞を示す。これらの細胞は、組換えベ クター、ウイルスまたは他の移入ポリヌクレオチドのためのレシピエントとして 使用され得、そして形質導入された元の細胞の子孫を含む。単一細胞の子孫は、 元の親細胞と必ずしも完全に同一(形態学的にまたはゲノム相補性において)で はなくてもよいことが理解される。 「治療遺伝子」、「標的ポリヌクレオチド」、「導入遺伝子」、「目的の遺伝 子」などは、一般に、ベクターを用いて移入される遺伝子(単数または複数)を いう。代表的には、本発明の文脈において、このような遺伝子はrAAVベクター (このベクターは、逆方向末端反復(ITR)領域に隣接し、従って複製され、そ してrAAV粒子の中にキャプシド化され得る)内に位置する。標的ポリヌクレオチ ドは、本発明中で用いられ、多くの異なる適用についてrAAVベクターを作製し得 る。このようなポリヌクレオチドは、以下を含むがこれらに限定されない:(i) 構造タンパク質もしくは酵素の欠失レベル、欠損レベルまたは至適未満のレベル により引き起こされる欠乏を解消する他の形態の遺伝子治療に有用なタンパク質 をコードするポリヌクレオチド:(ii)アンチセンス分子へと転写されるポリヌク レオチド;(iii)転写因子または翻訳因子を結合するデコイへと転写されるポリ ヌクレオチド;(iv)サイトカインのような細胞モジュレーターをコードするポリ ヌクレオチド;(v)ヘルペスウイルスチミジンキナーゼ遺伝子のような特定の薬 物に感受性のレシピエント細胞を作製し得るポリヌクレオチド;および(vi)種々 のガンの処置のためのE1A腫瘍サプレッサー遺伝子またはp53腫瘍サプレッサー遺 伝子のような、ガン治療のためのポリヌクレオチド。レシピエント宿主細胞にお いて導入遺伝子の発現をもたらすために、導入遺伝子は、好ましくは、自身のプ ロモーターまたは異種プロモーターのいずれかのプロモーターに作動可能に連結 される。多くの適切なプロモーターが当該分野で公知であり、プロモーターの選 択は、標的ポリヌクレオチドの所望の発現レベル;構成的発現、誘導性発現、細 胞特異的発現または組織特異的発現などを所望するか否かに依存する。rAAVベク ターはまた、選択可能マーカーを含み得る。 特定の好ましい実施熊様の詳細な説明 本発明は、プロモーターに「活性化可能に連結された」AAVパッケージング遺 伝子を各々が含む新規なAAVパッケージングカセットを提供する。各AAVパッケー ジングカセットはまた、部位特異的組換え(または「ssr」)部位の対を含み、 そしてこの各々は、「ssr介在配列」とよばれるカセットの部分のいずれかの側 に互いに(すなわち、タンデムな方向または反対の方向で)特定の方向で配置さ れる。ssr介在配列は、下記の本発明の例示的な実施態様に関して記載されるよ うに、転写ターミネーターを含み得るか、またはAAVパッケージング遺伝子もし くはそのプロモーターを含み得る。本発明のAAVパッケージングカセット内部の 種々の成分の構造的配置は、リコンビナーゼの非存在下でAAVパッケージング遺 伝子(単数または複数)の転写の効果的抑制を生じる;そして、逆に、カセット 内の成分の配置および成分の相対的方向は、その対応するリコンビナーゼの存在 下でAAVパッケージング遺伝子(単数または複数)の転写の活性化を生じる(プ ロモーターと作動可能な連結中にAAVパッケージング遺伝子を配置するAAVパッケ ージングカセットの特異的再配置の結果としての活性化)。本発明による使用の ためのパッケージング細胞は、1つ以上の異なるAAVパッケージングカセット( 1つ以上のAAV複製遺伝子産物またはキャプシド化遺伝子産物を発現する)を有 し得る。AAV Repタンパク質およびCapタンパク質が、ヘルパー機能(例えば、ア デノウイルスのようなAAVヘルパーウイルスにより提供される機能)および目的 の遺伝子を含む組換えAAVベクターを含むパッケージング細胞において発現され る場合、次いで、rAAVベクターは複製され得、そしてrAAV粒子中にキャプシド化 され得る(これは、標的細胞に目的の遺伝子を送達するために用いられ得る)。 本発明は、上流から下流に列挙される相対的順で、以下の成分を含むリコンビ ナーゼ活性化可能AAVパッケージングカセットを提供する:(i)第1の部位特異的 組換え(ssr)部位:(ii)ssr介在配列:および(iii)第2の部位特異的組換え(ssr) 部位;ここで、このカセットは、プロモーターがAAVパッケージング遺伝子に活 性化可能に連結されるような相対的な構造的配置において、プロモーター(これ は、ssr介在配列の内部かまたは第1のssr部位の上流のいずれかに配置される) ならびにAAV rep遺伝子およびAAV cap遺伝子(これは、ssr介在配列の内部また は第2のssr部位の下流のいずれかに配置される)からなる群より選択されるAAV パッケージング遺伝子を含む。各部位特異的組換え(ssr)部位は、リコンビナー ゼにより認識されるポリヌクレオチド配列であり、これらの多くは、当業者に公 知であり、本明細書中に記載される。2つのssr部位間のDNA再配置事象(カセッ トが、「反転型」かもしくは「切り出し型」かに依存して、それぞれ反転か切り 出しかのいずれか)は、プロモーターと作動可能な連結中に配置することにより パッケージング遺伝子を活性化する。 以下の例示的実施態様(順に、カセット成分を列挙する)は、本発明のAAVパ ッケージングカセットの説明である: (1)プロモーター、第1のssr部位、ターミネーターを含むssr介在配列、第2 のssr部位、およびAAVパッケージング遺伝子であり、ここで、このssr部位は、 互いにタンデムな方向であり、そしてターミネーターは、プロモーターで始まる 転写がパッケージング遺伝子を転写するのを妨げる(これにより、ssr部位で作 用するリコンビナーゼにより媒介される切り出しが、ターミネーターを欠失させ 、そしてプロモーターをAAVパッケージング遺伝子に作動可能に連結する); (2)第1のssr部位、プロモーターを含むssr介在配列、第2のssr部位、および AAVパッケージング遺伝子であり、ここで、ssr部位は、互いに反対の方向であり 、そしてプロモーターは、初めにAAVパッケージング遺伝子に対して反対または 分岐した方向である(これにより、ssr部位で作用するリコンビナーゼにより媒 介される反転が、プロモーターを反転させ、そしてプロモーターをAAVパッケー ジング遺伝子に作動可能に連結する); (3)プロモーター、第1のssr部位、単一方向ターミネーター配列を含むssr介 在配列、第2のssr部位、およびAAVパッケージング遺伝子であって、ここで、ss r部位は、互いに反対の方向であり、プロモーターおよびAAVパッケージング遺伝 子は、互いにタンデムな方向であり、そして単一方向ターミネーターは、一方向 からのみ転写をブロックし、そしてプロモーターで始まる転写がAAVパッケージ ング遺伝子を転写するのを妨げる方向に配置する(これにより、ssr部位で作用 するリコンビナーゼにより媒介される反転が、一方向ターミネーターを反転させ 、そしてプロモーターをパッケージング遺伝子に作動可能に連結する);ならび に (4)プロモーター、第1のssr部位、AAVパッケージング遺伝子を含むssr介在配 列、および第2のssr部位であって、ここで、ssr部位は、互いに反対の方向であ り、そしてパッケージング遺伝子は、プロモーターに対して反対の方向である( これにより、ssr部位で作用するリコンビナーゼにより媒介される反転が、パッ ケージング遺伝子を反転させ、そしてパッケージング遺伝子をプロモーターに作 動可能に連結する)。 従って、各AAVパッケージングカセットは、AAVパッケージングの転写が、リコ ンビナーゼの非存在下で効果的に抑制されるように配置され;そしてその対応す るリコンビナーゼの存在下で効果的に活性化される。構築物を説明する例、この ようなカセットの試験および使用が、以下に提供される。 カセットが切り出しにより活性化されるように構造的および空間的に配置され る(これは、プロモーターをAAVパッケージング遺伝子に作動可能に連結する) 上記の実施例(1)は、「切り出し型」AAVパッケージングカセットといわれる。カ セットがssr介在配列の反転により活性化されるように配置される上記の実施例( 2)〜(4)は、「反転型」AAVパッケージングカセットといわれる。 カセットが、切り出し型(上記の実施例(1)のように)かまたは反転型(上記 の実施例(2)〜(4)のように)であるかどうかにより、カセットは、ssr部位で組 換えを媒介するリコンビナーゼタンパク質により活性化される。切り出し型カセ ットについては、ssr部位は、タンデムな方向で配置され、そしてリコンビナー ゼによる活性化が、ssr介在配列の切り出しを生じる。反転型カセットについて は、ssr部位は、反対の方向で配置され、そしてリコンビナーゼによる活性化は 、ssr介在配列の反転を生じる。 特に、ssr部位が、ssr介在配列のいずれかの側でタンデムな方向で配置される 場合、次いで、リコンビナーゼが、ssr介在配列の分子内の組換えおよび切り出 しを触媒する傾向がある。上記の(1)のような、本発明の好ましい実施態様にお いて、ssr部位は、タンデムな方向で配置され、そしてssr介在配列はターミネー ターを含む。その対応するリコンビナーゼの導入は、ssr介在配列の切り出しを 媒介し、そしてプロモーターとの作動可能な連結中にAAVパッケージング遺伝子 を配置する。それにより、AAVパッケージング遺伝子の活性化および発現が可能 になる。 ssr部位が、ssr介在配列のいずれかの側に反対の方向で(互いに)配置される 場合、次いで、リコンビナーゼは、ssr介在配列の分子内の組換えおよび反転を 触媒する傾向がある。本発明の他の実施態様において、上記の(2)、(3)、および (4)のように、ssr部位は、反対の方向で配置され、そして介在配列はプロモータ ー、AAVパッケージング遺伝子、または一方向ターミネーター配列を含み得る。 本発明のこれら後者の実施態様のリコンビナーゼ活性化可能カセットは、対応す るリコンビナーゼの導入がssr介在配列の反転を媒介する点で「反転型」であり 、これはさらに、切り出し型カセットのように、プロモーターとの活性化可能な 連 結にパッケージング遺伝子を配置し、それにより、発現の活性化を可能にする。切り出し型AAVパッケージングカセット 上記の実施態様(1)のような、本発明の特定の実施態様において、AAVパッケ ージングカセットは、ssr介在配列がプロモーターとAAVパッケージング遺伝子と の間の連鎖を効率的に破壊する転写ターミネーターを含む組換えDNA構築物とし て調製され得る。転写が、ターミネーターを含むssr介在配列の挿入によって破 壊される程度は、一般に、そのDNA配列の塩基配列および/または長さに依存す る。特に、多数の分子生物学系において周知なように、「転写終結配列」とも言 及され得る特定のDNA配列は、RNAポリメラーゼ分子によるリードスルー転写を破 壊する傾向がある特定の配列である。これは、おそらく、RNAポリメラーゼ分子 を終結させ、および/または転写されつつあるDNA鋳型から解離させることによ る。 このような配列特異的なターミネーターに加えて、またはその代わりに、プロ モーターとコード領域との間への、比較的長いDNA配列の挿入は、コード領域の 転写を破壊する傾向があり、一般に、これは介在配列の長さに比例する。この効 果は、おそらく、RNAポリメラーゼ分子が転写されつつあるDNAから解離する傾向 が常にいくらか存在すつために生じる。そして、コード領域に達する前に横切ら れる配列の長さの増加は、一般にコード領域の転写が完了する前かまたはおそら く開始する前でさえ解離が生じる確率を増加させる。従って、ターミネーターは 、一方向のみから(「単一方向性」ターミネーター)かまたは両方向から(「両 方向性」ターミネーター)の転写を阻止し得る。そして、これは、配列特異的終 結配列または配列非特異的ターミネーターあるいはその両方からなり得る。種々 のターミネーターのいずれかは、上記の実施態様(1)に関して使用され得るが 、上記の実施態様(3)は一方向性ターミネーターを使用する。 転写リードスルーが、活性化前に特に低いことが望ましい場合(これは、AAVr ep遺伝子の場合には、AAV Repタンパク質の発現が、上記のように悪影響を有し 得るので特に正しい)、ターミネーター配列が、好ましくは、1つ以上の特定の 転写終結配列を含み、そしてまた、転写リードスルーをさらに破壊するために、 さらなるDNA配列を挿入することによってより長くされ得る。従って、上記の実 施態様(1)における使用のための本発明の好ましいターミネーター配列は、転 写終結配列を有し、そして特にrep遺伝子の場合には、大きなDNA配列、続いて転 写終結配列を有し得る。簡便には、このようなターミネーター配列は、転写終結 配列(これは、それ自身の終結配列かまたは異種終結配列のいずれか)に続く遺 伝子からなり得る。種々のポリアデニル化配列を含む、このような終結配列の例 は、当該分野で公知であり、そして広範に利用可能である。このようなターミネ ーターの用途もまた、以下に例示する。ターミネーターが遺伝子からなる場合、 これは、検出マーカーまたは選択マーカーをコードする遺伝子を使用し、それに よりターミネーター配列の存在および/または非存在(そしてそれゆえ、カセッ トの対応する不活化および/または活性化)が検出され得るかおよび/または選 択され得る手段を提供することが有利であり得る。 本発明のリコンビナーゼ活性化可能なAAVパッケージングカセットはまた、カ セットの外部に起源を有する転写活性がカセットの転写に影響し得る可能性を低 減させることが所望される場合、ターミネーターに隣接され得る。反転型AAVパッケージングカセット 本発明の他の実施態様において(例えば、上記の実施態様(2)〜(4))、ss r部位は、反転方向に配置され、そしてカセットはssr介在配列の反転によって活 性化される。本発明の反転型AAVパッケージングカセットの第一の例(以下にさ らに示す)は、順に、第一のssr部位、プロモーターを含むssr介在配列、第二の ssr部位、およびAAVパッケージング遺伝子を含む。ここで、ssr部位は、互いに 反転方向に存在し、そしてプロモーターは、最初に、AAVパッケージング遺伝子 に対して不一致の方向に存在する(これにより、ssr部位で作用するリコンビナ ーゼにより媒介される反転がプロモーターを反転させ、プロモーターをAAVパッ ケージング遺伝子に対して作動可能に連結させる)。カセットは、適切な宿主細 胞へと導入され、この中でリコンビナーゼが後に導入されるか、または発現され る。ssr部位でのリコンビナーゼによって媒介される反転は、プロモーターを反 転させ、そしてパッケージング遺伝子に対してプロモーターを作動可能に連結さ せる。この実施態様において、ターミネーターはカセットには必ずしも必要では ない。しかし、活性化の前にパッケージング遺伝子の任意の潜在的な発現をさら に抑制するために、ターミネーターを第一のssr部位の上流に配置し得る。この 上流のターミネーターは、カセットのリコンビナーゼ活性化可能な性質を阻害す るとは予測されないが、カセットの外部に起因する、所望されない外因性の転写 が、パッケージング遺伝子の転写のいずれかを促進することを防止すべきである 。 本発明の反転型AAVパッケージングカセットの第二の例(以下にさらに示す) は、順に、プロモーター、第一のssr部位、一方向性ターミネーター配列を含むs sr介在配列、第二のssr部位、およびAAVパッケージング遺伝子を含む。ここで、 ssr部位は、互いに反対の方向に存在し、プロモーターおよびAAVパッケージ ング遺伝子は互いに縦列の方向に存在し、そして一方向性ターミネーターは一方 向のみから転写をブロックし、そしてプロモーターに起源を有する転写がAAV遺 伝子の転写を行うことを防止する方向に配置される(これにより、ssr部位で作 用するリコンビナーセによって媒介される反転が、一方向性ターミネーターを反 転させ、そしてパッケージング遺伝子に対してプロモーターを作動可能に連結さ せる)。この実施態様において、ssr部位は、互いに反転しており、そして一方 向性ターミネーターは、一方向のみから転写をブロックし、そして最初には、プ ロモーターに起源を有する転写がパッケージング遺伝子を転写することを防止す る方向に配置される。カセットは、適切な宿主細胞へと導入される。ここで、リ コンビナーゼは、後に導入されるかまたは発現される。ssr部位におけるリコン ビナーゼに媒介される反転は、一方向性ターミネーターを反転し、そしてパッケ ージング遺伝子に対してプロモーターを作動可能に連結させる。一方向性ターミ ネーターは、一方向からのみ入ってくる転写をブロックするターミネーターであ る。 本発明の反転型AAVパッケージングカセットの第三の例(以下にさらに示す) は、順に、プロモーター、第一のssr部位、AAVパッケージング遺伝子を含むssr 介在配列、および第二のssr部位を含む。ここで、ssr部位は、互いに反転方向に 存在し、そしてパッケージング遺伝子は、プロモーターに対して反転方向に存在 する(それにより、ssr部位で作用するリコンビナーゼによって媒介される反転 がパッケージング遺伝子を反転させ、そしてプロモーターに対してパッケージン グ遺伝子を作動可能に連結させる)。この実施態様において、プロモーターは、 ssr介在配列の転写を防止するように方向付けされるが、その配列内に位置するA AVパッケージング遺伝子は、プロモーターに対して反転方向に存在する。従って 、活性化の前に起こるssr介在配列の任意の転写は、「アンチセンス」転写物( これは、示された状態におけるAAVパッケージング遺伝子機能の発現をさらに抑 制することの補佐になり得る)を生じることが期待される。好ましくは、この型 の実施態様において、AAVパッケージングカセットは、さらに、第二のssr部位の 下流に位置する転写ターミネーターを含み、そしてこのようなターミネーターは 、カセットのリコンビナーゼ活性化可能性質を阻害することは期待されないが、 カセットの外部に起源を有する所望されない外因性転写がパッケージング遺伝子 の任意の転写を促進することを防止するべきである。リコンビナーゼによるカセットの活性化 ssr部位が縦列に(同一方向に)配置される場合、リコンビナーゼは、分子内 組換えおよびssr介在配列(すなわち、ssr部位の対の間に位置する配列)の切り 出しを触媒する傾向にある。ssr部位が反転方向に配置される場合、リコンビナ ーゼは、ssr介在配列の反転を触媒する傾向にある。本発明の遺伝子およびカセ ットは、対応するリコンビナーゼの導入が、ターミネーター配列を含むssr介在 配列の切り出し、またはプロモーター、AAVパッケージング遺伝子、もしくは一 方向性ターミネーターを含むssr介在配列の反転を媒介するという意味で、「リ コンビナーゼ活性化可能」である。全ての場合、カセットは、リコンビナーゼに よる(切り出しまたは反転を介した)活性化がAAVパッケージング遺伝子のプロ モーターとの作動可能な連結へと位置するように配置され、発現の活性化を可能 にする。 リコンビナーゼは、AAVパッケージングカセットと、タンパク質が細胞中で発 現されることが起き得る任意の種々の様式において接触され得る。リコンビナー ゼをAAVパッケージング細胞(この細胞は、例えば、安定に組み込まれたAAVパッ ケージングカセットを有し得る)へと導入する特定の簡便な方法において、リコ ンビナーゼをコードする遺伝子は、AAV複製/キャプシド化の開始に必要なヘル パーウイルスを用いてAAVパッケージング細胞へと導入され得る。例えば、アデ ノウイルスベクターは、以下に記載しそして示すように改変して、ヘルパーウイ ルス活性に必須ではない配列をリコンビナーゼをコードする遺伝子と置換し得る 。リコンビナーゼ遺伝子を含む任意の他の発現ベクターを同様に使用して、リコ ンビナーゼタンパク質の産生を提供し得る。あるいは、厳密に調節されている( 例えば、以下に言及するようにテトラサイクリントランス活性化系を用いて)か 、またはリコンビナーゼの不活性化形態を産生するかのいずれかのリコンビナー ゼについての遺伝子を含むパッケージング細胞を有することが可能であり得る。 前者の場合において、リコンビナーゼ遺伝子は、リコンビナーゼ遺伝子の発現を 誘導する因子(例えば、Tet系におけるテトラサイクリンまたはドキシサイクリ ン)を培地中に導入することによって誘導され得る。後者の場合、AAVパッケー ジングカセットを有する宿主細胞は、リコンビナーゼの不活性化形態(例えば、 温度感受性のリコンビナーゼ、必要な補因子を欠くリコンビナーゼ、または余分 なアミノ酸配列がそれに付着しているリコンビナーゼ)を発現し得る。不活性形 態のリコンビナーゼの活性化は、許容温度へのシフト、または因子(例えば、補 因子)もしくは他の条件(例えば、外来のアミノ酸配列を切り落とすプロテイナ ーゼの発現)を導入することによって媒介されて、リコンビナーゼを効率的に活 性化し得る。従って、リコンビナーゼ活性の提供は、タンパク質を発現させるか 、または不活性形態のタンパク質を酵素学的に活性にさせることによって媒介さ れ得る。本発明における使用のためのAAVパッケージング遺伝子 本発明のリコンビナーゼ活性化可能なAAVパッケージングカセットの成分の一 つは、AAV repもしくはAAV cap遺伝子またはそれらの任意の変種または組合せで あり得るAAVパッケージング遺伝子である。これらの遺伝子の発現は、比較的複 雑で、そして宿主細胞に対して潜在的に有害である。複数のプロモーター(p5お よびp19)によっておよび可変的RNAスプライシングによって媒介されるrep遺伝 子の発現によって、大きなRepタンパク質(すなわち、Rep78およびRep68)なら びに小さなRepタンパク質(すなわち、Rep52およびRep40)を得る。cap遺伝子は 、部分的にRep遺伝子と重複し、そして3つの異なるタンパク質をコードする。 これらの産生は、RNAスプライシングおよびオルタナティブ翻訳開始部位によっ て媒介される。本発明のAAVパッケージングカセットにおける使用に適したパッ ケージング遺伝子は、以下を含むがこれらに限定されない: (i)AAV split-cap遺伝子、ここで、このcap遺伝子は、AAV rep遺伝子のRep7 8特異的配列から分離している; (ii)AAV rep78遺伝子、これは、AAV cap遺伝子のcap特異的配列から分離し ている; (iii)AAV rep52遺伝子、これは、AAV rep遺伝子のRep78特異的配列から分離 している;および (iv)AAV rep-cap遺伝子の組合せ。 好ましくは、上記の(i)および(ii)のようなカセットの組合せを用いて、s plit-capおよびrep78遺伝子が宿主細胞株へと別々に導入され得る(すなわち、 それらは、別々のカセットを用いて導入され、そして細胞に安定して組み込まれ る場合、異なる場所に安定に組み込まれる)。rep52遺伝子を含むさらなるカセ ットもまた、小さなRepタンパク質(すなわち、Rep52およびRep40)の発現をさ らに上昇させる手段として含まれ得る。AAVパッケージング遺伝子の少なくとも 一つ(好ましくは、少なくともAAV rep78遺伝子)を、本発明に従って、リコン ビナーゼ活性化可能なAAVパッケージングカセットの制御下に配置する。他のAAV パッケージング遺伝子(例えば、cap遺伝子および/またはrep52遺伝子)もまた 、リコンビナーゼ活性化可能なAAVパッケージングカセットの制御下に配置され 得るか;あるいは、これらの発現は、別の様式で制御され得る。しかし、現在好 ましい実施態様において、AAVパッケージング遺伝子全てが、好ましくは、リコ ンビナーゼ活性化可能なAAVパッケージングカセットの制御下に配置される。同 様に、上記の(i)および(iii)のようなカセットの組合せを用いて、split-ca p遺伝子およびrep52遺伝子は、宿主細胞株に別々に導入され得る(すなわち、そ れらは、別々のカセットを用いて導入され、そして細胞に安定に組み込まれる場 合、別々の場所に安定に組み込まれる)。種々のrepおよび/またはsplit-cap遺 伝子をコードするカセットは、以下に記載し、そして示すように、宿主細胞に同 時にまたは連続的に導入され得る。あるいは、上記の(iv)のように、repおよ びcap遺伝子は、共通のカセットに一緒に導入され得、このカセにおいて、好ま しくは、少なくともp5プロモーターが欠失しており、そしてrep遺伝子がリコン ビナーゼ活性化可能なAAVパッケージングカセットの制御下に配置されて、大き なRepタンパク質の潜在的な有害効果を回避し得る。カセットは、異なる型であ り得る。例えば、1つ以上は、切り出し型または反転型であり得、あるいは、1 つは、切り出し型で、一方、別のが反転型であり得る。所与の細胞においてすべ てのこのようなAAVパッケージングカセットが同一のリコンビナーゼタンパク質 によって活性化され(それにより、単一のリコンビナーゼを用いてAAVパッケー ジングカセット全て共同による活性化を提供する)ことが特に都合がよい。 AAVパッケージング遺伝子配列は、本明細書中で、それらが異なるレプリコン もしくは組換えDNA構築物上に位置するか、または単一のレプリコンもしくは組 換えDNA構築物上に存在すれば、それらの間に介在する非AAV DNA配列が存在する 場合、「分離され」ているかまたは「分割されて」いる。代表的には、それらは 、少なくも約100ヌクレオチドの他のDNA(すなわち、非AAV)、より代表的には 、少なくとも約400ヌクレオチド、なおより代表的には、少なくとも約1000ヌク レオチド(1kb)で分離されている。用語「非AAV」DNAとは、全長にわたって、A AV DNAとは実質的に相同ではない配列をいう。周知かつ経験的に決定可能なよう に、相同組換え事象を本質的に回避するために必要である、低レベルの実質的な 相同性は、潜在的に相同である配列の長さおよびそれらの配列相同性レベルに関 連して変化する。例えば、SenpathyおよびCarter前出を参照のこと。ここでは、 AAV系におけるこのような組換えの程度が研究された。一般的な問題として、介 在性非AAV配列が、AAV配列と約20%未満の同一性(少なくとも約100ヌクレオチ ドの範囲にわたって)を共有することが好ましい。より好ましくは、このような 配列は、約10%未満の同一性(少なくとも約100ヌクレオチドの範囲にわたって )を共有するべきであり;なおより好ましくは、このような配列は、約5%未満 の同一性(少なくとも約100ヌクレオチドの範囲にわたって)を共有するべきで ある。最も好ましくは、このような配列は、約1%未満の同一性(少なくとも約 100ヌ クレオチドの範囲にわたって)有するべきである。 本発明の特定の好ましい実施態様において、1つ以上のAAVパッケージングカ セットは、(染色体または安定に維持されるエピソームへの組込みによって)パ ッケージング細胞株において安定に維持される。より好ましくは、少なくとも2 のAAVパッケージングカセットが、パッケージング細胞株において安定に維持さ れる。最も好ましくは、AAVパッケージング遺伝子全てが、パッケージング細胞 株においてAAVパッケージングカセット中に安定に維持される。このような安定 な維持は、1つ以上の安定に維持されるエピソームか、または細胞の染色体にカ セットを組み込むことによって媒介され得る。capおよびrep遺伝子を含むカセッ トは、好ましくは、異なるレプリコン上に維持されるか、あるいは両方が染色体 に組み込まれる場合、それらは、好ましくは、パッケージング細胞株に別々に導 入され、その結果それらはゲノムの別々の部位に組み込まれる。AAVパッケージ ングカセットがパッケージング細胞へと組み込まれたことの確認は、日常の分子 生物学的技術(例えば、別々の遺伝子の各々に特異的なプローブを用いるサザン ブロッティング)を用いて、得られ得る。 上記のように、本発明の特定の好ましい実施態様はまた、rep52遺伝子を含む 。好ましくは、このようなrep52遺伝子はまた、パッケージング細胞において安 定に維持される。rep52遺伝子は、好ましくは、rep78遺伝子とは別々に導入され るが、上記のように、split-cap遺伝子と一緒に(または別々に)導入され得る 。 従って、本発明の好ましい実施態様において、野生型AAVおよび種々の以前の パッケージング系に特徴的な、密接に連結し、そして厳密に調節されるrep機能 およびcap機能は、本発明のパッケージング細胞株において分離され、そして実 質的に再構成される。本発明の再設計された系は、組換えAAVベタクー粒子の生 成のためのパッケージング細胞株を提供するのに有用であるが、一方、同時に、 複製能を有するAAV粒子の産生の可能性を極度に減少させる。AAV パッケージングカセットにおいて使用するためのプロモーター 本発明のカセット中のAAVパッケージング遺伝子の転写が、カセット内部で効 果的に制御され得る(それにより、実際のパッケージングの前に、パッケージン グ細胞株のRepタンパク質のようなタンパク質の発現から生じ得る潜在的な問題 を回避する)ので、AAVパッケージング遺伝子の発現をもたらす任意の種々のプ ロモーターを使用することが可能である。従って、強力かつ通常構成性であるプ ロモーターが使用され得る。なぜなら、AAVパッケージング遺伝子の転写が、リ コンビナーゼ(これは、プロモーターをAAVパッケージング遺伝子と作動可能に 連結させる位置にする)によって、所望される活性化まではリコンビナーゼ活性 化カセット中で効果的に抑制され得るからである。1種以上の天然のAAVプロモ ーター(例えば、p5,p19,および/またはp40)、ならびに他の異種プロモーター を使用することもまた可能である。プロモーターおよび/または他の転写調節配 列(例えば、エンハンサー)の組合せもまた、使用され得る。 特定の好ましい実施態様では、本発明の種々のrepおよび/またはcap遺伝子は 、宿主細胞ゲノム中に安定に組み込まれ得るので、局所的な効果(例えば、クロ マチン構造に起因する効果)もまた、遺伝子の発現に影響を与え得る。上述した ように、本発明のカセットはさらに、カセットに隣接するターミネーター配列を 含むことによって、外来性の転写活性(これは、例えば、カセットがプロモータ ーの下流に組み込まれる場合に生じ得る)から「絶縁」され得る。例示として、 上記の実施熊様2では、ターミネーターが最初のssr部位の上流に配置されて、 下流方向の転写を効果的に遮断し得る。以下に記載する方法論は、所望の特性を 示すパッケージング細胞の産生および選択に使用され得る。 多くのプロモーターが当該分野で公知であり、そして一般に入手可能である; 哺乳動物のプロモーターだけでなく、哺乳動物に感染することが見い出されてい るウイルスの多くのプロモーター(例えば、以下に示される一般に使用されるpC MVプロモーター)を含む。広範な種々の誘導プロモーターもまた当該分野で周知 であり、そして一般に入手可能である。種々のプロモーターのクローニングおよ びプロモーターが所望のレベルの発現を示すことの検証は、以下に例示され、お よび本明細書中で引用される参考文献中の標準的な分子生物学技術を使用して達 成され得る。 種々のrepおよび/またはcap遺伝子の発現についての最初の試験として、免疫 蛍光もしくは他の標準的な分子生物学的技術を使用して、細胞を容易にスクリー ニングして、Repタンパク質および/またはCapタンパク質を検出し得;ならびに パッケージング能力および効率の検証は、外来のrAAVベクターの複製およびパッ ケージングについての機能試験を使用して得られ得る。適切な技術は、以下およ び当該分野で記載される。スプリットパッケージング遺伝子の構築 種々のAAVスプリットパッケージング遺伝子(rep78遺伝子、rep52遺伝子、およ びsplit-cap遺伝子を含む)は、以下の実施例で示されるような、リコンビナーゼ 活性化AAVパッケージングカセットとして調製され得る。簡潔には、AAVパッケー ジング遺伝子のコード配列は、一般にはプロモーター配列から分離され、そして リコンビナーゼ活性化AAVパッケージングカセット(部位特異的な組換え配列の 対を含む)に導入され、この中でAAVパッケージング遺伝子はプロモーターに活 性化可能に連結される;例えば、以下の実施例1〜8を参照のこと。本発明の文脈 において、AAVパッケージング遺伝子の少なくとも一つが(好ましくは、少なく ともrep78遺伝子)は以下に記載するように、リコンビナーゼ活性化AAVパッケー ジングカセット中に組み込まれる。他のAAVパッケージング遺伝子、好ましくはA AVスプリットパッケージング遺伝子もまた含まれ得る。これらはまた、以下に記 載または図示されるようにプロモーターに活性化可能に連結され得る。あるいは 、このようなパッケージング遺伝子はプロモーターに作動可能に連結され得る。 以下の例示は、異種プロモーターに作動可能に連結されるAAVスプリットパッケ ージング遺伝子の例を提供する。このような構築物は、本発明の細胞株に導入さ れ得るAAVパッケージング遺伝子を提供するために使用され得る(例えば、AAV r ep78遺伝子を含むリコンビナーゼ活性化カセットに加えて)または、あるいは、 このような構築物は,以下の実施例1〜8で記載されるリコンビナーゼ活性化AAVパ ッケージングカセットに組み込まれ得るAAVスプリットパッケージング遺伝子の 供給源として使用され得る。従って、本発明のリコンビナーゼ活性化AAVパッケ ージングカセットでの使用のためのAAVパッケージング遺伝子は、野生型のAAVパ ッケージング遺伝子(例えば、AAVrep遺伝子および/またはcap遺伝子)ならび にスプリットパッケージング遺伝子(例えば、split-cap遺伝子、rep78遺伝 子および/またはrep52遺伝子)を含む。野生型AAVパッケージング遺伝子は、当 該分野で記載されており、そして種々の供給源から一般的に入手可能である。以 下の例示は異種プロモーターに作動可能に連結された種々のスプリットパッケー ジング遺伝子の構築を例示する。異種プロモーターに作動可能に連結されたAAV split-cap遺伝子の構築例 異種プロモーターに作動可能に連結されたsplit-cap遺伝子の構築物の最初の 例として、「CMV-cap」と称されるプラスミドを調製した。これは、AAVcap配列 に作動可能に連結された異種構成性プロモーター、ならびに以下の順序および相 対的配向の異種ポリアデニル化(ポリA)シグナル(矢印のシンボル(「>」)、 本明細書中で使用される相対的配向性を示す(例えば、プロモーター活性、転写 、終結などの方向))を含む: -(pCMV>)-(split-cap>)-(polyA>)-。 本質的に、CMV-capプラスミドは標準的な分子生物学技術(例えば、Ausubelら 、Current Protocols in Molecular Biology,Greene Publishing Assoc.,New Yo rk,1987および最新版で記載されるように)を使用して、以下の成分部分を含む ように構築した: (i)pAV2プラスミド(Laughlin,C.Aら、Gene 23:65-73(1983))由来のキャプ シド遺伝子をコードする1881〜4496ヌクレオチドを含むHindIII-BglIIフラグメ ント;これを、(独自のNheI部位を生成するために、HIndIIIで部分的に充填し た後に)以下のフラグメントにクローン化した、 (ii)プラスミド「tgCMV-HyTK」(Lupton,S.D.ら、Molecular and Cellular Biology 11:3374-3378(1991))のNheI-BglIIバックボーン。 このプラスミドバックボーンは、以下の4個の成分からなる: (i)ヒトCMV IE94プロモーター(Boshart,M.F.ら、Cell 41:521-530(1985) )を含むBal-SstIIフラグメント (ii)cap遺伝子をコードするpAV2プラスミド(Laughlin,C.Aら、Gene 23:65 -73(1983))由来の1881〜4496ヌクレオチド; (iii)SV40初期領域のポリA領域を含むサルウイルス40ゲノム由来のBcl-B amHIフラグメント(Tooze,J(編),Molecular Biology of Tumor Viruses,DNA tumo r viruses(第二版).Cold Spring Harbor Laboratory,Cold Spring Harbor,N.Y.( 1981));ならびに (iv)β−ラクタマーゼ遺伝子(これは、クローニング工程を容易にするた めにアンピシリン耐性を提供する)を含むpGEM1(Promega Corp.)由来の、細菌の 複製起点およびAlwNI-AatIIフラグメントを含むpML2d(Lusky,M.およびM.Botchan ,Nature 293:79-81(1981))由来のNruI-AlwNIフラグメント。異種プロモーターに作動可能に連結されたAAV rep78遺伝子の構築例 異種プロモーターに作動可能に連結されたrep78遺伝子の構築例として、「mMT I-rep78」と称されるプラスミドを調製した。これは、AAV rep配列に作動可能に 連結された異種誘導プロモーターを含み、そして以下の順序および方向の異種ポ リAシグナルによる; -(mMT1プロモーター>)-(rep78>)-(polyA>)-。 本質的に、mMT1-rep78プラスミドを、標準的な分子生物学技術(例えば、Ausu belら、Current Protocols in Molecullar Biology,Greene Publishing Assoc., New York,1987および最新版で記載されるように)を使用して、以下の4個の成 分部分を含むように構築した: i)ベクターバックボーン:pBluescriptKS(+)(Stratageneより入手可能)。 この内部に、SV40プロモーターの制御下のネオマイシン耐性遺伝子、続いてSV40 ポリA配列(James M.AllenおよびTargeted Genetics CorporationによるWO96/179 47、1996年6月13日公開において、pMT-rep/cap//pKO-neoについて記載されてい るように)が、細菌細胞(ネオマイシンを使用して)ならびに哺乳動物細胞(G41 8を使用して)の両方での選択を容易にするために挿入した; ii)mMT1:KpnI/BglIIフラグメントにおけるマウスメタロチオネインI制御領 域(KpnIは-589部位にある(Bacolla,Aら、Nucleic Acids Res.19:1639-1647,19 91に従う):BglIIは+64部位にある(Glanvilleら、Nature 292:267-269,1981に 従う); iii)rep78:311から2188のAAV rep配列(Srivastavaら、J.Virol.45:555-5 6 4,1983に従う配列)、続いて配列5’-CTAGA CCTCC TCAGA TTAGC GAGGG GCCAT A GCTT ATGAG CTAGC CGC−3’(配列番号1)が、スプライスされた第2のrepエ キソンを提供し;ならびに iv)ポリAシグナル:SstII/HindIIIフラグメント上のマウスメタロチオネイン I遺伝子に由来する(SstIIは925部位にあり、そしてHindIIIは1246部位にある( Glanvilleら、Nature 292:267-269,198に従う)。AAV rep52 遺伝子の構築例 rep52遺伝子の構築例として「mMT1-rep52」と称されるプラスミドを調製した 。これは、AAV rep52配列に作動可能に連結された異種誘導性プロモーターおよ び以下の順番および配向の異種ポリAシグナルを含む: −(mMT1プロモーター>)-(rep52>)-(ポリA>)-。 本質的に、mMT1-rep52プラスミドを、標準的な分子生物学的技術(例えば、Au subelら、Current Protocols in Molecullar Biology,Greene Publishing Assoc .,New York,1987および最新版で記載されるように)を使用して、以下の4個の 成分部分を含むように構築した: i)ベクターバックボーン:pBIuescriptKS(+)(Stratageneより入手可能)。 この内部に、SV40プロモーターの制御下のネオマイシン耐性遺伝子、続いてSV40 ポリA配列(James M.AllenおよびTargeted Genetics CorporationによるWO96/17 947、1996年6月13日公開において、pMT-rep/cap//pKO-neoについて記載されてい るように)が、細菌細胞(ネオマイシンを使用して)ならびに哺乳動物細胞(G41 8を使用して)の両方での選択を容易にするために挿入した; ii)mMT1:KpnI/BglIIフラグメントのマウスメタロチオネインI制御領域(Kpn Iは-589部位にある(Bacolla,Aら、Nacleic Acids Res.19:1639-1647,1991に従 う);BglIIは+64部位にある(Glanvilleら、Nature 292:267-269,1981に従う) ; iii)rep52:964から2188のAAV rep配列(Srivastavaら、J.Virol.45:555-5 64,1983に従う配列)、続いて配列5’-CTAGA CCTCC TCAGA TTAGC GAGGG GCCAT AGCTT ATGAG CTAGC CGC−3’(配列番号2)が、スプライスされた第2のrepエ キ ソンを提供し;ならびに iv)ポリAシグナル:SstII/HindIIIフラグメント上のマウスメタロチオネイ ンI遺伝子に由来する(SstIIは925部位にあり、そしてHindIIIは1246部位にある (Glanvilleら、Nature 292:267-269,1981に従う)。分離されたsplit-cap遺伝子およびrep52遺伝子(直列配向)を含む第一の発現プ ラスミドの構築例 split-cap遺伝子およびrep52遺伝子を含む発現プラスミドの構築の第一の例と して、「CMV-cap/mMT1-rep52/バージョン1(または直列配向)」と称されるプラス ミドを調製した。これは、AAV cap配列に作動可能に連結した異種構成性プロモ ーター、およびAAV rep52配列に作動可能に連結された異種誘導性プロモーター を含み、それぞれ同じ転写配向性でプラスミドに組み込まれた。 従って、CMV-cap/mMT1-rep52/バージョン1プラスミドは、以下を含む: -(pCMV>)-(split-cap>)-(ポリA>)-(mIMT1プロモーター>)-(rep52>)-(ポ リA>)-。 本質的に、プラスミドCMV-cap/mMT1-rep52/バージョン1を、標準的な分子生物 学技術(例えば、Ausubelら、Current Protocols in Molecular Biology,Greene PublishingAssoc.,New York,1987および最新版で記載されるように)を使用し て、以下の3個の成分部分を含むように構築した: i)ベクターバックボーン:pBluescript KS(+)(上記のとおり); ii)pCMV-split-cap遺伝子(サンプル構築物1において上記に記載のように 構築された)、pCMVプロモーターが、・MT1プロモーターと同一方向に配向され るように、mMT1調節領域の5’側のポリリンカー中のNotI部位への挿入により、 mMT1-rep52ベクター(上記に記載のとおり)に挿入され;ならびに iii)mMT1-rep52:(上記に記載のとおり)。split-cap 遺伝子およびrep52遺伝子を含む第二の発現プラスミド構築例(相違配 向性) split-cap遺伝子およびrep52遺伝子を含む第二の発現プラスミドの構築物の図 示として、「CMV-cap/mMT1-rep52/バージョン2(または相違配向性)」と称され るプラスミドを調製した。これはAAV cap配列に作動可能に連結された異種構成 性プロモーター、および転写配向と反対にプラスミド中に組み込まれたAAV rep5 2配列に作動可能に連結された異種誘導性プロモーターを含む。従って、CMV-cap /mMT1-rep52/バージョン2プラスミドは、以下を順番に含み: −(<ポリA)-(<split-cap)-(<pCMV)-(mMT1プロモーター>)-(rep52>)-(ポ リA>)-。 実質的には、CMV-cap/mMT1-rep52/バージョン2を、標準的な分子生物学技術( 例えば、Ausubelら、Current Protocols in Molecular Biology,Greene Publish ing Assoc.,New York,1987および最新版で記載されるように)を使用して、以下 の4個の成分部分を含むように構築した: i)ベクターバックボーン:pBluescript KS(+)(上記のとおり); ii)pCMV-split-cap遺伝子(上記のように構築された)。これは、pCMVプロ モーターが、mMT1プロモーターと反対方向に配向されるように、mMT1調節領域の 5’側のポリリンカー中のNotI部位への挿入により、mMT1-rep52ベクター(上記 のとおり)に挿入されている;ならびに iii)mMT1-rep52:(上記に記載のとおり)。本発明での使用のためのリコンビナーゼ リコンビナーゼは、DNAの特定の部位に特異的な組換え部位(「ssr部位」と呼 ばれる)を認識し、そしてそれらの部位を介して組換を媒介するタンパク質であ る。本発明の文脈では、リコンビナーゼは、ssr介在配列の各側に組み込まれた 対応するssr部位で組換えを、認識および媒介する。上述したように、組換え事 象の効果は、ssr部位が直列または逆方向の様式で配置され、これによりそれぞ れ切断または反転を生じるかどうかに依存する。例として、バクテリオファージ P1由来のリコンビナーゼ(環状組換え(cyclic recombination)なので「Cre」と 称する)は、loxP部位と呼ばれる二つの34-bp反復(これらの各々は、8-bpのコ ア領域に隣接する二つの13-bpの逆方向反復を含む)を特異的に認識する38キロ ダルトンのタンパク質である(例えば、Sternberg,N.,Cold Spring Harbor Symp .Q uant.Biol.,1978,43:1143-1146;Hoess,Rら、1982,Proc.Natl.Acad.Sci.USA,79:3 398-3402;ならびにHoess,Rら、Nucleic Acids and Molecular Biology,1990,4: 90-109を参照のこと)。同様に、Saccharomyces cerevisiaeの2ミクロンプラス ミド由来のFLPリコンビナーゼは、「FRT」(FLP認識標的)部位と示される部位 を認識し、そしてそれらの間の組換えを媒介する(例えば、Broach,Jら、Cell,1 982,29:227-234;Jayaram,M.,Trends Biochem.Sci.,1994,19:78-82;ならびにFier ingら、Proc,Natl.Acad.Sci.USA 90:8469-8473,1993を参照のこと)。多くの他 の部位特異的な組換え配列が当該分野で公知であり、そして新しい部位特異的な リコンビナーゼが種々の系で定期的に同定されている(例えば、Craig,N.L.,Ann .Rev.Genet.,1988,22:77-105;Argos,Pら、EMBO Journal,1986,5:433-440;Landy, A.,Curr.Opin.Genet.Dev.,1993,3:699-707;Sadowski,P.D.,FASEB Journal,1993, 7:760-767;ならびにAbremski,Kら、Protein Eng.,1992,5:87-91を参照のこと) 。DNA組換えを含む遺伝的方法もまた記載されている(例えば、Babeeら、米国特 許第5,434,066号;Sauer,米国特許第4,959,317号、Backman,米国特許第4,673,64 0号;Srivastava,米国特許第5,252,479号;Enquistら、欧州特許No.0300422B1;W ahlら、PCT公開.WO92/15694;Dzieglewska,PCT公開.WO94/19460;AntonおよびGrah am,1995,J.Virol.,69:4600-4606;Kanegaeら、1995,Nucleic Acids Res,23:3816 -3821;Wang,1996,Proc.Natl.Acad.Sci.USA,93:3932-3936;Sakaiら、1995,Bioche m.Biophys.Res.Comm.,217:393-401;Wangら、1995,Somatic Cell Mol.Gen,21:429 -441を参照のこと)。 リコンビナーゼは、種々の方法のいずれかにおいて(ここで、タンパク質は、 細胞中で発現されるように引き起こされ得る)AAVパッケージングカセットと接 触され得る。リコンビナーゼをAAVパッケージング細胞(この細胞は、例えば、 安定に組み込まれたAAVパッケージングカセットを有し得る)に導入するために 特に簡便な方法で、AAV複製/キャプシド形成のための補助機能を提供するため に使用されるAAVヘルパーウイルスの部分として、AAVパッケージング細胞にリコ ンビナーゼをコードする遺伝子を導入し得る。このようなAAVヘルパーウイルス の例は、アデノウイルス、ヘルペスウイルス、および当該分野で公知のウイルス を含む。例えば、アデノウイルスベクターは、以下に記載されそして例示される ように、リコンビナーゼをコードする遺伝子でヘルパーウイルス活性(特に、パ ッケージング細胞において)に必須ではない配列と置換するように改変され得る 。リコンビナーゼ遺伝子を含む他の任意の発現ベクターは、同様に、リコンビナ ーゼタンパク質の産生および/または発現を提供するために使用され得る。ある いは、厳密に調製されるリコンビナーゼについての遺伝子か、または不活性形態 のリコンビナーゼを産生する遺伝子のいずれかを含むパッケージング細胞を有す ることが可能であり得る。従って、リコンビナーゼ活性の提供は、発現されるべ きタンパク質が生じることによるか、または酵素学的に活性になるために、不活 性形熊のタンパク質を生じることにより媒介され得る。 厳密に制御されるリコンビナーゼ遺伝子(これは、次いで、パッケージング細 胞へ安定に組み込まれ得る)を提供するために使用され得る一つの機構は、Goss en,Mら、Science 268:1766-1769,1995に記載される機構のように、テトラサイ クリントランス活性化因子の系の制御下にリコンビナーゼ遺伝子を配置すること である。このタイプの好ましい実施態様では、リコンビナーゼ遺伝子の発現が、 細胞培地へのテトラサイクリン(またはドキシサイクリンのような誘導体)の添 加により、活性化され得るように、リコンビナーゼを「Tet-On」調節配列の制御 下に配置する。パッケージング細胞株 親株(これに由来してパッケージング細胞が産生される)は、AAV感染に対し て感受性であり、そしてインビトロでの培養に受け入れられる、任意の細胞株か ら得られ得る。上記で示したように、AAVは非常に広範に宿主範囲を有し、そし て種々の哺乳動物細胞型(サル、ヒトおよび齧歯類の細胞を含む)から単離され てきた。ヒトの遺伝子治療に関して、ヒト細胞株(この中には、適切なヘルパー 機能が発現され得る)は代表的に好ましい。このようなヒト細胞株(これに由来 してパッケージング細胞株が提供され得る)は、例えば、Hela細胞,A549細胞,29 3細胞,KB細胞,Detroit細胞,およびW138細胞を含む。種々のヒト293細胞の誘導 体およびHela細胞の誘導体は、本発明の実証のために最初に選択された。好まし い細胞株は、懸濁液中での増殖に適応しているか適応可能であり、これにより、 大 規模なベクター産生の技術(例えば、「バイオリアクター」を使用する技術)の 使用を容易にし得る、細胞株を含む。例として、実験は、ヒトHela細胞および29 3細胞に由来する懸濁液適応細胞株を使用して、以下に記載されるように実施さ れた。 種々の異なるrAAVベクターの産生について使用され得る「汎用」パッケージン グ細胞株を含む、種々の哺乳動物パッケージング細胞株は以下に記載される。組換えAAVプロベクターの産生、およびAAVパッケージングカセットを含む細胞を 使用するベクターのパッケージング rAAVベクター粒子の産生は(すなわち、AAVウイルス粒子中に、キャプシド化 された、目的の導入遺伝子を有するrAAVベクターを含む)は、感受性の哺乳動物 細胞(すなわち、AAVの感染および複製が可能である哺乳動物細胞)の存在を要 求し、以下のエレメント: (i)複製のためのテンプレートとして役立つrAAVベクターまたはプロベクタ ー(AAV粒子中にキャプシド化され得る子孫rAAVベクターポリヌクレオチド産生 するため) (ii)AAVパッケージングタンパク質、すなわち、AAVプロベクターの複製お よびキャップシド化を触媒するために必要とされるAAV RepおよびCapタンパク質 (本発明の文脈において、1つ以上のAAVパッケージングタンパク質がリコンビ ナーゼ活性化AAVパッケージングカセットによりコードされ、それによりAAVパッ ケージングタンパク質の発現が、パッケージングカセットがリコンビナーゼによ り活性化されるまで、抑制される); (iii)AAVヘルパーウイルスまたはそれに由来する遺伝子(例えば、アデ ノウイルスまたはAAV複製および/もしくはキャプシド化に必要とされるヘルパ ー活性を提供するアデノウイルス遺伝子(ヘルパーウイルスを使用する場合、ヘ ルパーウイルスはまた、1つ以上のAAVパッケージング遺伝子および/またはリ コンビナーゼ遺伝子を有する)により提供されるヘルパー機能。 (iv)リコンビナーゼタンパク質(ヘルパーウイルス、または以下に記載さ れるおよび/もしくは例示される別の細胞ゲノムから供給源から発現され得 る。)。 これらのエレメントは、適切なAAVパッケージング細胞内の1つ以上のレプリ コンまたはベクター上に提供され得る。 例えば、「二成分」系は以下を含み得る: (1)rAAVベクターおよびAAVパッケージング遺伝子を含むパッケージ遺伝子; ならびに (2)リコンビナーゼ遺伝子およびヘルパー機能を提供するヘルパーウイルス。 全ての必要なAAVパッケージング遺伝子がパッケージング細胞により保有され る場合、ヘルパーウイルスの上にAAVパッケージング遺伝子のいずれかを含むこ とは必要ではないかもしれない;しかし、特定の遺伝子産物の発現の増加には有 利であり得る。あるいは、いくつかのパッケージング遺伝子は、細胞内に、そし ていくつはヘルパーウイルス内に保有され得る。同様に、rAAVベクターはパッケ ージング細胞へ都合良く提供され得るだけではなく、ヘルパーウイルス中にもま た導入され得:それはまた、トランスフェクションにより一時的に導入され得る か、もしくは感染により導入され得る(例えば、以下に記載されるような「継代 パッケージング」のための細胞株の使用を参照のこと)。 一成分系もまた設計され得、この中で、全ての必要な成分(ヘルパーウイルス 機能およびリコンビナーゼを含む)は、パッケージング細胞中(エピソーム中、 または染色体中)に組み込まれる。次いで、リコンビナーゼ遺伝子は、好ましく は誘導性制御下(例えば、上記に記載されるテトラサイクリントランス活性化因 子系)に配置されるか、またはリコンビナーゼ遺伝子産物は(上記で議論される ような)条件のシフトにより活性化され得る不活性形態で産生される。 本発明のrAAV特異的パッケージング細胞の産生は、rAAVベクターでのパッケー ジング細胞の感染またはrAAVプロベクターもしくは、AAV ITR領域に隣接した異 種導入遺伝子(例えば、治療遺伝子)を含む「ベクター」のパッケージング細胞 での、rAAVベクターのトランスフェクションにより達成され得る。適切な条件( 例えば、適切な増殖条件およびヘルパーウイルス機能)の存在下で、パッケージ ング細胞でのrepおよびcap遺伝子のリコンビナーゼ活性化発現は、Repタンパク 質およびCapタンパク質の合成を生じる。次いで、これはAAVベクターの複製お よびキャプシド化を媒介する。従って、rAAVベクターのAAVITR配列間の目的のポ リヌクレオチドの提供は(「標的ポリヌクレオチド」または「導入遺伝子」とも 言及される)、導入遺伝子の感染性のrAAV粒子中へのパッケージングを生じる。 これらの粒子は、続いて、エキソビボまたはインビボで、導入遺伝子を他の所望 の宿主細胞に送達するために使用され得る。 一般に、導入遺伝子は、それ自身または異種プロモーターのいずれかのプロモ ーターに作動可能に連結される。多くの数の適切なプロモーターが当該分野で公 知であり、これらの選択は導入遺伝子の発現の所望のレベルに依存し;これは構 成的な発現、誘導性発現、細胞特異的発現または組織特異的発現などを要求する か否かに依存する。rAAVベクターは「シャトルベクター(例えば、rAAVベクター のクローニングを容易にするために使用され得るプラスミド)」内で最初に調製 され得る。 例えば、rAAVベクターが異種プロモーターに作動可能に連結された導入遺伝子 を含ませる場合、導入遺伝子は、導入遺伝子か異種プロモーターに作動可能に連 結され、そして導入遺伝子−プロモーターカセットがAAV ITR配列に隣接するよ うに、標準的な分子生物学技術を使用して、シャトルベクター内の部位にクロー ン化され得る。当該分野での公知のように、選択マーカー遺伝子もまた、クロー ニングを容易にするために使用され得る。例えば、導入遺伝子は、ポジティブ選 択マーカーを含み(またはシャトルベクターは、導入遺伝子によって置換される ネガティブ選択マーカーを含み得る)、従って、導入遺伝子挿入物を含むシャト ルベクター構築物の選択を容易にし得る。 好ましくは、rAAVベクターはまた、rAAVベクターにより感染された細胞の選択 を可能にするために、ポジティブ選択マーカーを含む。 背景の節で述べたように、混入した複製能を有するAAV粒子の存在(すなわち 、導入遺伝子を含まないAAV粒子)は、rAAVベクター調製物の治療的可能性を制 限し得る。これらの所望されないAAV粒子の比率は、パッケージング細胞株中の カセット中のrAAVベクターと任意のAAV遺伝子との間の配列の重なりを減少させ る(これは相同組換えの確率を減少させる)ことにより最小化され得る。rAAVプ ロベクターは、好ましくは、少なくとも一つ、およびより好ましくは二つのAAV IT R領域を含むが、好ましくは、AAV rep遺伝子ともAAV cap遺伝子とも有意な配列 重列を全く共有しない。本発明の好ましい実施態様でのrAAVベクターとAAVパッ ケージング遺伝子との間の、有意な配列の重なりのこの欠失に加えて、AAVパッ ケージング遺伝子もまた「スプリット」すなわちお互いに分離されており、それ により、非相同組換えの事象によってさえも複製能を有するAAV粒子が再構成さ れ得る可能性をさらに減少させる。本発明のパッケージング細胞株は、高力価で あり、かつ混在する複製能を有するAAVが実質的に全く存在しない、rAAV調製物 の効率的な産生を可能にし;AAV媒介性遺伝子治療の状況では、特に有用である 特性である。 目的の種々の導入遺伝子は、rAAVベクターに導入され得る。このような導入遺 伝子は目的のタンパク質をコードする「野生型」遺伝子、ならびに、例えば、野 生型と機能的に等価であるタンパク質、もしくは一つ以上の野生型の機能を共有 するタンパク質をコードする誘導体を含む。例として、本発明者らはプロモータ ーに作動可能に連結された機能的な嚢胞性線維症膜貫通コンダクタンス調節タン パク質(CFTR)をコードするポリヌクレオチドを含むrAAVベクターを使用した。当 該分野での公知のように、嚢胞性線維症の患者由来の細胞中のCFTRの機能的な欠 損を再構築し得る種々のCFTRポリペプチドがある。例えば、Richら、(1991,Scie nce,253:205-207)ではアミノ酸残基708〜835が欠失したCFTR誘導体を記載し、こ れは塩素イオンの輸送が可能であり、そして天然に生じたCFTR欠損の回復を可能 にする。Eganら(1993)は、正常のCFTRの特徴付けを電気生理学的な特徴を回復し 得る別のCFTR誘導体(関連しないタンパク質由来の25アミノ酸、続いて天然のCF TRの残基119から始まる配列を含む)を記載した。二つのさらなる例を挙げると 、Arispeらは、残基433〜586を含むCFTRフラグメントが、脂質二分子層の正しい 塩素イオン選択チャンネルの再構成に十分であることを示し(1992,Proc.Natl.Ac ad.Sci.USA 89:1539-1543);そしてSheppardら(1994,Cell 76:1091-1098)は、残 基836で全長の約半分にまで短縮されたCFTRポリペプチドは、調節された塩素イ オンチャンネルをなお作製し得ることを示した。従って、ネイティブのCFTRタン パク質、ならびに変異体およびそのフラグメントは全て、本発明の状況において 、導入遺伝子例として有用であるCFTRポリペプチドを構成する。 多くの異なる適用のために、他の有用な導入遺伝子を本発明で使用してrAAVベ クターを産生し得る。このような導入遺伝子は、以下を含むがこれらに限定され ない:(i)構造タンパク質または酵素の欠失、欠損、または最適未満のレベル により生じた欠損を救済する他の形態の遺伝子治療に有用であるタンパク質をコ ードするポリヌクレオチド;(ii)アンチセンス分子に転写されたポリヌクレ オチド;(iii)転写因子または複製因子に結合するおとりに転写されるポリ ヌクレオチド;(iv)サイトカインのような細胞調節因子をコードするポリヌク レオチド;(v)レシピエント細胞を特定の薬物に感受性にさせ得るポリヌクレ オチド(例えば、ヘルペスウイルスチミジンキナーゼ遺伝子);ならびに(vi )癌治療のためのポリヌクレ才チド(例えば、EIAもしくはp53腫瘍サプレッサー 遺伝子)。 いくつかの導入遺伝子は上記の活性のような複数の活性を提供し得る。例えば 、E1A遺伝子は(これはアデノウイルスに由来し得る)、多くの異なる癌細胞型 と関連する腫瘍形成(および/または転移)の抑制、ならびにまた他の抗癌治療 (例えば、化学療法もしくは放射線療法)に対してこのような細胞をさらに感受 性にするために機能し得ることの両方に使用され得る。 得られた組換えAAVベクターの治療的特異性が、導入されたベクターにより決 定されるので、同じ基本的なパッケージング細胞株は、任意のこれらの適用のた めに改変され得る。導入遺伝子を含むプラスミドは、いくつかの実行し得る方法 (例えば、エレクトロポレーション、トランスフェクション、リポフェクション などを含む。)の一つによって、AAVベクターの産生のためにパッケージング細 胞に導入され得る。 哺乳動物宿主細胞中のrAAVベクターの複製およびパッケージングは、一般に以 下を含む:(i)rAAVプロベクター、(ii)AAV RepおよびCapタンパク質、な らびに(iii)AAV複製およびパッケージングを促進するために必要なヘルパ ーウイルス機能。AAV産生のための「ヘルパーウイルス」は、AAVベクターが宿主 細胞による複製およびパッケージを可能にするために必要な機能(リコンビナー ゼ遺伝子を含むがこれに限定されない)を提供するウイルスである。このような ヘルパーベクターの多くが単離され、これにはアデノウイルス、ヘルペスウイル ス、およびワクシニアのようなポックスウイルスが含まれる。ヘルパーウイルス はヒト起源または非ヒト起源であり得る。ヘルパーウイルスまたはヘルパーウイ ルスの機能は、rAAVベクターの導入前、導入中、または導入後に導入され得る。 例えば、AAVパッケージングカセットを有するプラスミドは、ヘルパーウイルス と一緒に培養物へ同時に導入され得る。あるいは、ヘルパーウイルスの機能はこ のような機能をコードする遺伝子をパッケージング細胞へ(一過性または安定の いずれかで)導入することにより提供され得る。いずれの場合において、ヘルパ ー機能が提供された後、細胞は十分な期間、代表的には2〜5日間(当該分野で 公知なように複製およびパッケージングに適切な条件で)培養され得る(上記の 参考文献および以下の実施例を参照のこと)。次いで、溶解物が調製され得、そ して組換えAAVベクター粒子が当該分野で公知の技術により精製され得る。 リコンビナーゼ活性化可能なAAVパッケージングカセットを含む「汎用」AAVパッ ケージング細胞株の産生 本発明は、種々の目的のrAAVベクターのいずれかを産生するのに使用され得る 「汎用」AAVパッケージング遺伝細胞の産生に使用され得る。このような汎用な パッケージング細胞は、例えば、一つ以上の安定に組み込まれたAAVパッケージ ング遺伝子を含み得(好ましくは、本発明によるAAVパッケージングカセット内 部)、これは、集合的にAAVパッケージングタンパク質(すなわち,AAV Repおよ びCapタンパク質)を提供し得る。rAAVベクター産生に必要とされる残りの機能 は(すなわち、ヘルパーウイルス機能、rAAVプロベクターおよびリコンビナーゼ )、種々の方法のいずれかにおいて提供され得る。例として、組換えアデノウイ ルスのようなヘルパーウイルスは、ヘルパーウイルスの機能ならびにリコンビナ ーゼおよび/またはrAAVプロベクターを提供するために使用され得る。なぜなら (当該分野で公知のように)このようなヘルパーウイルスの多くの遺伝子(例え ば、アデノウイルスのE3遺伝子)が、ヘルパーウイルス活性を除去することなく 置換され得るからである。さらなる遺伝子は、イントランスで、任意の必要とさ れるヘルパーウイルス機能を提供することにより、このようなヘルパーウイルス 遺伝子中に挿入され得る。例えば、ヒト293細胞は、アデノウイルスE1変異体 を補完し得るアデノウイルス遺伝子を含む。従って、異種遺伝子はまた、このよ うなアデノウイルス機能をイントランスで効果的に提供し得る細胞中での使用の ために、E1遺伝子が欠失されたアデノウイルスにクローン化され得る。あるいは 、ヘルパーウイルスの使用は、パッケージング細胞において必要なヘルパーウイ ルスの機能全てを提供することにより除去され得る。このようなパッケージング 細胞の効率的な構築は、本発明の状況において可能である。なぜならヘルパーウ イルスの存在下で通常アップレギュレートされるAAVパッケージング遺伝子(例え ば、repおよびcap)が、本発明のリコンビナーゼ活性化AAVパッケージングカセッ ト中で効率的に制御され得るからである。さらに、宿主パッケージング細胞に対 して有害な影響を有する任意のアデノウイルス機能は、同様に、本明細書中で記 載されるリコンビナーゼ活性化AAVパッケージングカセットに類似する、リコン ビナーゼ活性化カセットの制御下に配置され得る。rAAV産生(例えば、rAAVベク ターおよびリコンビナーゼ)に必要とされる任意の他の機能は、種々の方法のい ずれか(例えば、トランスフェクション、リポフェクション、エレクトロポレー ションなど)により、別々にまたは一緒に提供され得る。このような技術は、当 該分野で公知なように、安定または一過性のいずれかで、遺伝子の導入に使用し 得る。 本発明のパッケージング細胞のへの遺伝子の組込みは、例えば、サザン分析を 使用して簡便にモニターし得る。Repタンパク質および/またはCapタンパク質の 発現は、種々の技術のいずれかを使用してアッセイされ得る;本明細書中および 当該分野で示されるような構造的アッセイ(例えば、「ノーザン」および/また は「ウェスタン」ブロッティング)および機能的アッセイ(例えば、外来rAAVベ クターの複製およびパッケージング)を含む。 本発明の、特に好ましいパッケージング細胞は、もしあってもごくわずかの複 製能を有するAAV粒子しか産生せず;好ましくは、複製能を有するAAV粒子の産生 の頻度が約1/106粒子未満の産生であり、好ましくは1/108未満、さらに好ましく は1/1010未満、ならびに最も好ましくは1/1012未満である。 本発明の好ましいパッケージング細胞はまた、これらが由来する親細胞の少な くとも半分の速さで複製し得、より好ましくは少なくとも2/3の速さ、なおより 好ましくは少なくとも90%の速さである。本発明に従う好ましいパッケージング 細胞はまた、少なくとも約100rAAV粒子/細胞を産生し得、より好ましくは少な くとも約200rAAV粒子/細胞であり、さらにより好ましくは少なくとも約400rAAV 粒子/細胞である。 以下に示される実施例は、当業者へのさらなる指針として提供され、そしてい かようにも本発明を制限するものとは解釈されない。 実施例 実施例1 一対の部位特異的組換え(ssr)部位を含むポリヌクレオチドの構築 例示的なssr-リコンビナーゼ系として、最初に、バクテリオファージP1の「lo xP」系を使用した。バクテリオファージP1のリコンビナーゼ(環化組換えを「Cr e」と呼ぶ)は、loxP部位と呼ばれる2つの34-bp反復物を特異的に認識する38キ ロダルトンのタンパク質であり、各反復物は、8-bpコア領域に隣接する2つの13 -bp逆方向反復物を含む(例えば、Sternberg、N.、Cold Spring Harbor Symp.Qu ant.Biol.、1978、43:1143-1146;Hoess、R.ら、1982、Proc.Natl.Acad.Sci.USA 、79:3398-3402;およびHoess、R.ら、Nucleic Acids and Molecular Biology、1 990、4:90-109)。 本発明者らは、非相同DNAと隣接する一対の縦列方向性(tandem-oriented)loxP ssr部位を含む112ヌクレオチド配列を合成した。この配列は、その後のクローニ ングを容易にする制限エンドヌクレアーゼ部位を有した。112ヌクレオチドフラ グメント(「loxP-loxP」と呼ぶ)は、以下の配列を有した: 5'-cgaag gcctA TAACT TCGTA TAGCA TACAT TATAC GAAGT TATgc ggccg cgtcg a cATA ACTTC GTATA GCATA CATTA TACGA AGTTA Tagat ctctc gagaa gctta gc-3'( 配列番号3)。 ssr部位(大文字)は縦列方向に配置されるために、そのようなポリヌクレオ チドを使用して、以下に例示されるように、本発明の任意の種々の除去型AAVパ ッケージングカセットを簡便に構築し得る。 本発明の逆型カセットを類似のssr-ssrフラグメントを使用して調製し得る。 ここで、ssr部位は逆方向に配置される;例えば、1つのssr部位(上記の配列の ヌクレオチド10〜43またはヌクレオチド58〜91のいずれか)は逆転するが、他方 の配列は、インタクトなままである。loxPの場合において、好ましくは、第2の loxP部位は、第1のloxP部位と向かい合うように(すなわち、部位が互いに収束 方向に配置されるように)反転する。 「FRT」部位(FLP認識標識に対して;例えば、Broach、J.ら、Cell、1982、2 9:227-234;およびJayaram、M.、Trends Biochem.Sci.、1994、19:78-82を参照の こと)のようなssr部位の他の対を、類似の様式で生成し得る。 実施例2 本発明の種々の除去型AAVパッケージングカセットの調製のための一般的なベク ターの構築 本発明の好ましい除去型AAVパッケージングカセットは、以下の成分を以下に 示される相対的順序および方向で含む: --(プロモーター>)-(ssr>)-(ssr-介在配列)-(ssr>)-(AAVパッケージング遺伝 子>)-(ポリA>)- (矢印記号(「>」)は、相対的指向性(すなわち、プロモーター活性、転写、ター ミネーター活性など)、ならびに互いに関するssr部位の相対的方向を示すため に本明細書において使用される)。 本発明の除去型AAVパッケージングカセットの好ましい実施態様では、ssr-介 在配列は、上流プロモーターに由来する転写が、第2のssr部位の下流に位置す るAAVパッケージング遺伝子の転写を引き起こすのを妨害するターミネーターを 含む。リコンビナーゼによるカセットの活性化は、ssr-介在配列の除去を生じ、 そして再配列したカセットにおいて、下流AAVパッケージング遺伝子は、上流プ ロモーターとの作動可能な連結に置かれる。 実施例2a プロモーターおよび縦列方向性ssr部位を含むベクターの構築 本実施例において、本発明者らは、一般的な中間ベクター(「pCMVloxP-lox P」と呼ぶ)を例示する。このベクターは、構成プロモーター(CMV、すなわち、 中間初期プロモーター由来)、および以下に示される相対順序および方向で配置 した一対の縦列方向性ssr部位を含む: --(pCMV>)-(ssr>)-(ssr>)-。 最初に、プラスミド「pCMVloxP-loxP」を、pCMVβ(Clontechから市販される )由来の3.4kb DNAフラグメントのStu I/Hind III部位に約100bpのStu I/Hind I II二本鎖DNAオリゴヌクレオチド(実施例1に記載される112bp loxP-loxP配列由 来)をサブクローニングすることにより構築した。従って、loxP-loxPオリゴヌ クレオチドは、縦列に配置され、Not IおよびSal I制限部位を含むポリクローニ ング配列で分裂された2つのloxP部位を含む。Bgl IIおよびXho I部位を含むさ らなる制限酵素部位は、第2のloxP部位の下流に存在する。得られるプラスミド を、ssr-介在配列をssr部位間に容易に導入するために使用し得、そして第2のs sr部位の下流のAAVパッケージング遺伝子をクローニングすることによって完全 な除去型AAVパッケージングカセットを生成するために使用し得る(以下の実施 例において例示される通り)。 実施例2b ベクターへのssr-介在配列の導入 実施例2aの一般的なベクターを、縦列配列ssr部位を分離するポリクローニン グ配列に、選択マーカー遺伝子および転写ターミネーターを含むssr-介在配列を 挿入することにより改変した。詳細には、「β-geo」遺伝子(Friedrich、G.ら 、 Genea & Development 5:1513-1523、1991が記載されるように、β-ガラクトシ ダーゼおよびネオマイシンホスホトランスフェラーゼ活性を有するタンバク質を コードするレポーター遺伝子)、続いてSV40ポリAを含む4.3kb Not I/Sal Iフ ラグメントを、pCMVloxP-loxPのNot I/Sal I部位にサブクローン化した。 得られるプラスミド(pCMVloxP-β-geo-loxPと呼ぶ)は、以下の成分を以下に示 される相対的順序および方向で含む: --(pCMV>)(ssr>)(β-geo>)(term>)(ssr>)--。 次いで、このプラスミドを使用して、第2のssr部位の下流の位置にAAVパッケ ージング遺伝子を導入することによって(例えば、実施例1に記載されるように 、ssrに隣接して導入したポリクローニング配列に位置する制限エンドヌクレア ーゼ部位のうちの1つにクローニングすることによって)、任意の種々の除去型 AAVパッケージングカセットを生成し得る。このようなカセットの例示的構築お よび使用を以下に記載する。 実施例3 rep78遺伝子を含むAAVパッケージングカセットの構築 本発明のリコンビナーゼ活性可能AAVパッケージングカセットの最初の例示と して、本発明者らは、「CMVOEERep78」と呼ばれるプラスミドを構築した。AAV r ep遺伝子(1996年6月13日のWO 96/17947として公開される共有に係る出願に記 載されるような、プラスミドpMt-rep/cap//pKO-neo由来)およびSV40ポリアデニ ル化(ポリA)シグナルを含む2.3kb Bgl II/Xho I DNAフラグメントを、pCMVloxP- β-geo-loxPのBgl II/Xho I部位にサブクローン化した。得られるプラスミドを pCMV0FFRep78と命名し、そして以下の成分を以下に示される相対的順序および 方向で含む: --(pCMV>)-(ssr>)-[(β-geo>)-(ポリA>)]-(ssr>)-(rep78>)-(ポリA>)_。 対応するリコンビナーゼ(例えば、Creタンパク質)によるパッケージングカ セットの活性化後、ssr-介在配列を除去し、そして再配列したカセットは、AAV パッケージング遺伝子を、以下のように、作動可能な連結でAAVパッケージング 遺伝子を含む: --(pCMV>)-(ssr)-(rep78>)-(ポリA>)--。 実施例4 rep52遺伝子を含む第2の除去型AAVパッケージングカセットの構築 本発明による第2の例示的なAAVパッケージングカセットとして、本発明者ら は、除去型カセットを構築した。ここで、異なるAAVパッケージング遺伝子(rep5 2)は、異なる非相同遺伝子(hisD)(プロモーターからの転写を有効にブロックす る)を含むssr-介在配列を介してプロモーターに活性可能に連結される。このカ セットを、リコンビナーゼによる活性化がssr-介在配列の除去を生じるように構 築し、そして得られる再配列カセットにおいて、AAVパッケージング遺伝子が、 プロモーターと作動可能な連結に置かれ、それによって転写を可能にする。 最初に、この例示的な除去型AAVパッケージングカセットを、「pCMVloxP-loxP Rep52」と呼ばれるプラスミドとして生成した。pCMVloxP-loxPRep52の有意な成 分は、順に以下の通りである:pCMV、第1のssr部位(loxP部位),第2のssr部位( loxP部位)、およびAAV rep52遺伝子。loxP部位は、縦列に配置している。本実 施態様において、hisD遺伝子および隣接ポリAシグナルは、これらが2つのloxP 部位間に位置する場合、ssr-介在配列を示す。 従って、pCMVloxP-loxPRep52ベクターは、以下の成分を、以下に示される相対 的順序および方向で含む: --(pCMV>)-(ssr>)-[(hisD>)-(ポリA>)]-(ssr>)-(rep52>)-(ポリA>)--。 プラスミドpCMVloxP-loxPRep52を作製するため、ポリAシグナルを含むrep52 遺伝子を含む1.6kb Bcl I/Xho I DNAフラグメント(1996年6月13日のWO 96/179 47として公開された共有に係る出願において記載されるようなプラスミドpMt-re p/cap//pKO-neo由来)を、pCMVloxP-loxP(実施例2)のBgl II/Xho I部位にサ ブクローン化した。L-ヒスチジノール耐性(HisDr)遺伝子を含む約2.9kb NotI-Sa lIDNAフラグメント(Hartmann、S.C.ら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA 85:8047-8051 において記載されるように、SV40ポリAシグナルを含む)を、pCMVloxP-loxPRep5 2のNot I/Sal I部位にサブクローン化した。得られた構築物を、pCMVOFFRep52 として示した。 HisDr遺伝子の供給源は、プラスミドpHD-1(Hartmannら(同上)において記載 されるように)であった。HisDr遺伝子を含む1.4kb BamHI DNAフラグメントを、 pBluescript II SK(-)のBamHI部位にサブクローン化し、構築物pSK(-)HisDrを作 製した。SV40ポリAシグナルを付加するために、プラスミドpREP-8(Invitrogen) を、BspE IおよびSal Iで消化し、そしてHisDr遺伝子の3'側半分を含む1.8kb DN Aフラグメント、続くSV40ポリAシグナルを、0.3kb DNAフラグメントの除去後に 、pSK(-)HisDrのBspE I/Sal I部位にサブクローン化した。得られたプラスミド をpSK(-)HisDrpAとして示した。次に、pSK(-)HisDrpAを、Not IおよびSal Iで消 化し、 そしてHisDr遺伝子を有する2.8kb DNAフラグメント(SV40ポリAシグナルを含む )を、pCMVloxP-loxPRep52のNot I/Sal I部位にサブクローンし、pCMVOFFRep52 を生成した。 対応するリコンビナーゼ(すなわち、Creタンパク質)によるパッケージング カセットの活性化後、ssr-介在配列を除去し、そして再配列したカセットは、AA Vパッケージング遺伝子を、以下のようにプロモーターとの作動可能な連結で含 む: --(pCMV>)-(ssr)-(rep52>)-(ポリA>)--。 実施例5 AAV split-cap遺伝子を含む第3の除去型AAVパッケージングカセットの構築 本発明によるAAVパッケージングカセットの別の例示的な実施態様として、本 発明者らは、除去型カセット(ここで、異なるAAVパッケージング遺伝子(split- cap)は、プロモーターからの転写を効果的にブロックする異なる異種遺伝子(pac )を含むssr-介在配列を介して、プロモーターに活性可能に連結される)を構築 した。リコンビナーゼによる活性化がssr-介在配列の除去を生じ、そして得られ た再配列カセットにおいて、AAVパッケージングカセットがプロモーターと作動 可能な連結に位置され、これによって転写を可能にするように、カセットを構築 する。 この例示的な除去型AAVパッケージングカセットを、上記と類似した技術を使 用して「pCMVOFFCap」と呼ばれるプラスミドとして生成した。pCMVOFFCapの有意 な成分は、順に以下の通りである:pCMV、第1のssr部位(loxP部位)、ポリAシグ ナル(SV40由来)を有するpac遺伝子、第2のssr部位(loxP部位)、およびAAV spli t-cap遺伝子。ssr部位は、縦列に配置し、除去を促進する。本実施態様において 、pac遺伝子および隣接ポリAシグナルは、これらが、2つのloxP部位間に位置す る場合、ssr-介在配列を示す。 従って、pCMVOFFCapベクターは、次の成分を、以下に示す相対的順序および方 向で含む: --(pCMV>)-(ssr>)-(pac>)-(ポリA>)-(ssr>)-(split-cap>)-(ポリA>)--。 プラスミドpCMVOFFCapを作製するために、split-cap遺伝子(AAVのCapタンパ ク質をコードするヌクレオチド1881-4496(例えば、プラスミドpAV2由来、Laughl in、C.A.ら、Gene 23:65-73、1983))、続いてSV40ポリA部位を含む2.6kb Hind III/BamHI DNAフラグメントを、クレノウ試薬を使用してフィルインし、pCMVlox P-loxPのloxP部位の下流に平滑末端連結した。これらは、予めBglIIおよびXhol で消化し、そしてクレノウでフィルインした。得られたプラスミドを「pCMVloxP -loxPCAPpA」として示す。次に、プロマイシン耐性遺伝子(pac、GENBANK受託番 号U07648)、続いてSV40ポリA部位を含む約1.2kbNotl/SalI DNAフラグメントを、 プラスミドpCMVloxP-loxPCAPpAのNot I/Sal I部位にクローンし、プラスミドpCM VOFFCapを生成した。 対応するリコンビナーゼ(すなわち、Creタンパク質)によるパッケージング カセットの活性化後、ssr-介在配列を除去し、そして再配列したカセットは、AA Vパッケージング遺伝子を、以下のようにプロモーターと作動可能な連結で含む : --(pCMV>)-(ssr)-(split-cap>)-(ポリA>)--。 実施例6 逆型AAVパッケージングカセットの構築 本発明による逆型AAVパッケージングカセットの例示的な実施態様として、上 記のような技術を使用して、カセット(ここで、AAVパッケージング遺伝子(rep7 8)が、逆方向(転写が、最初にAAVパッケージング遺伝子から離れて進むように )にプロモーターを含むssr-介在配列を介して、プロモーターに活性可能に連結 される)を生成し得る。リコンビナーゼによる活性化が、ssr-介在配列の逆転を 生じ、そして得られた再配列カセットにおいて、AAVパッケージング遺伝子が、 プロモーターと作動可能な連結に置かれ、これによって転写を可能にするように 、カセットを構築する。 この実施的な逆型AAVパッケージングカセットを、「p(invPR)Rep78」と呼ばれ るプラスミドとして生成する。p(invPR)Rep78の有意な成分は、以下の通りの順 である:第1のssr部位(例えば、loxP部位)、上流方向に(すなわち、第1のs sr部位方向へ)転写を促進するように方向付けられたプロモーター(例えば、pC MV)、第2のssr部位(例えば、loxP部位)、およびAAVスプリットパッケージン グ遺伝子(例えば、rep78)。ssr部位は、逆配列にある。 従って、p(invPR)Rep78ベクターは、以下を順に含む(ssr部位の後の矢印は、 互いと比較してそれらの部位の方向を示す): --(ssr>)-(<プロモーター)-(ssr<)-(rep78>)-(ポリA>)--。 簡潔には、逆型AAVパッケージングカセットの構築のために、逆方向に配置す る一対のssr部位を含むポリヌクレオチドを、上記の実施例1に記載の技術を本 質的に使用して生成し得る(ここで、第2のssr部位は、第1の部位と比較して 逆転している)。次いで、実施例2と類似の技術により、そのような種々の逆型 カセットの調製のために使用され得る一般的なベクターを、プロモーターが上流 方向に(すなわち、第1のssr部位方向へ)転写を促進するように配置されるよ うに、ssr部位の中間にプロモーターを含む配列をクローニングすることによっ て、構築し得る。次いで、その一般的ベクターを使用して、第2のssr部位の下 流の位置にAAVパッケージング遺伝子をクローニングすることにより、逆型AAVパ ッケージングカセットを生成し得;その結果、ssr-介在配列の逆転(リコンビナ ーゼとの接触の際)によって、プロモーターは逆転し、そして下流のAAVパッケ ージング遺伝子と作動可能な連結に置かれるようになる。 対応するリコンビナーゼによるp(invPR)Rep78の活性化の後、ssr-介在配列は 逆転され、そして再配置したカセットは、AAVパッケージング遺伝子を、以下の ように、プロモーターと作動可能な連結で含む。 --(ssr>)-(プロモーター>)-(<ssr)-(rep78>)-(ポリA>)--。 他のAAVパッケージング遺伝子(例えば、rep52、split-cap、および/または 野生型AAVパッケージング遺伝子)を、類似の様式でrep78の代わりに取り込み得 る。同様に、FRT部位のような他のssr部位を、先に議論されるようにloxP部位の 代わりに用い得る。 好ましくは、ターミネーターを、第1のssr部位の上流に含め、上流の転写がr ep78遺伝子の発現をもたらすのを妨げる。 実施例7 AAV rep78遺伝子を含む第2の逆型AAVパッケージングカセットの構築 本発明による逆型AAVパッケージングカセットの第2の例示的な実施態様とし て、カセットにこで、AAVパッケージング遺伝子(rep78)は、プロモーター(これ は、ssr-介在配列の外側にある)と比較して逆方向にあるssr-介在配列内にAAV パッケージング遺伝子を配置することにより、プロモーターに活性可能に連結さ れる)を構築する。従って、リコンビナーゼによる活性化が、ssr-介在配列の逆 転を生じ、そして得られた再配列カセットにおいて、AAVパッケージング遺伝子 を、プロモーターと作動可能な連結に置かれ、これによって転写を可能にするよ うに、カセットを構築する。 この例示的な逆型AAVパッケージングカセットを、「pPR(invRep78)」と呼ばれ るプラスミドとして生成する。pPR(invRep78)の有意な成分は、順に以下の通り である:転写が第1のssr部位の方向であるように方向付けされたプロモーター (例えば、pCMV)、第1のssr部位(例えば、loxP部位)、転写の方向が第1のs sr部位方向になるように方向付けしたAAVスプリットパッケージング遺伝子(例え ば、rep78)、および第2のssr部位(例えば、loxP部位)。好ましくは、逆AAVパッ ケージング遺伝子は、転写ターミネーターに先行される。ssr部位は、逆配置に ある。 従って、pPR(invRep78)ベクターは、以下を順に含む(ssr部位の後の矢印は、 互いと比較してその部位の方向を示す): --(プロモーター>)-(ssr>)-[(<ポリA)-(<rep78)]-(ssr<)--。 簡潔には、このような逆型AAVパッケージングカセットを構築するために、逆 方向に配置される一対のssr部位を含むポリヌクレオチドを、上記の実施例1に 記載される技術を本質的に使用して生成し得る。次いで、実施例2と類似の技術 に従って、種々のこのような逆型カセットの調製のために使用され得る一般的ベ クターを、第1のssr部位の上流に(ssr部位方向に転写を促進するように方向付 けされた)プロモーターを含む配列をクローニングすることにより構築し得る。 次いで、一般的ベクターを使用して、ssr-介在配列のような位置だが、上流プロ モーター(上記に示されるような)と対向するような方向にAAVパッケージング 遺伝子をクローニングすることにより、逆型AAVパッケージングカセットを生成 し得;これにより、カセットの活性化(リコンビナーゼとの接触の際)によって 、AAVパッケージング遺伝子は逆転され、上流のプロモーターと作動可能な連結 に置かれる。 対応するリコンビナーゼによるpPR(invRep78)の活性化の後、ssr-介在配列は 逆転され、そして再配列したカセットは、AAVパッケージング遺伝子、以下のよ うにプロモーターと作動可能な連結で含む: --(プロモーター>)-(ssr>)-[(rep78>)-(ポリA>)]-(<ssr)--。 他のAAVパッケージング遺伝子(例えば、rep52、split-cap、および/または 野生型AAVパッケージング遺伝子)を、類似様式でrep78の代わりに取り込み得る 。同様に、FRT部位のような他のssr部位を、先に議論されるようにloxP部位の代 わりに用い得る。 また、転写ターミネーターをカセットの第2のssr部位の下流に配置して、任 意の外因性転写活性が、非活性状態でパッケージング遺伝子の転写に影響を及ぼ すのをブロックする。 実施例8 AAV rep78遺伝子を含む第3の逆型AAVパッケージングカセットの構築 本発明による逆型AAVパッケージングカセットの第3の例示的な実施態様とし て、カセット(ここで、AAVパッケージング遺伝子(rep78)は、ssr-介在配列内に 単一方向のターミネーターを配置することにより、プロモーターに活性可能に連 結される)を構築する。このように、リコンビナーゼによる活性化は、ssr-介在 配列の逆転を生じ、そして得られた再配置カセットにおいて、AAVパッケージン グ遺伝子が、プロモーターと作動可能な連結に配置され、これによって転写を可 能にするように、カセットを構築する。 この例示的な逆型AAVパッケージングカセットをプラスミドとして生成し、そ の有意な成分は、順に以下の通りである:転写が第1のssr部位の方向になるよ うに方向付けしたプロモーター(例えば、pCMV)、第1のssr部位(例えば、lox P部位)、プロモーターから起こる転写をブロックするように方向付けされた単 一方向のターミネーター(例えば、SV40ポリA)、第2のssr部位(例えば、loxP部 位)、転写の方向が第1のssr部位方向であるように方向付けされたAAVスプリッ トパッケージング遺伝子(例えば、rep78)。好ましくは、逆AAVパッケージング遺 伝子は、転写ターミネーターによって先行される。ssr部位は、逆配置にある。 従って、ベクターは、次の成分を順に含む(ssr部位の後の矢印は、互いと比 較したその部位の方向を示す): --(プロモーター>)-(ssr>)-(term>)-(ssr<)-(rep78>)-(ポリA>)--。 簡潔には、このような逆型AAVパッケージングカセットの構築のために、逆方 向に配置する一対のssr部位を含むポリヌクレオチドを、上記の実施例1に記載 の技術を本質的に使用して生成し得る(ここで、第2のssr部位は、第1の部位 と比較して逆転している)。次いで、実施例2と類似の技術により、そのような 種々の逆型カセットの調製のために使用され得る一般的なベクターを、ターミネ ーターが、上記に示したように下流方向(すなわち、第2のssr部位方向に)で の転写を妨げるように配置されるようにssr部位の中間の単一方向のターミネー ターをクローニングすることにより、構築し得る。次いで、その一般的ベクター を使用して、第2のssr部位の下流の位置にAAVパッケージング遺伝子をクローニ ングすることにより、逆型AAVパッケージングカセットを生成し得:その結果、s sr-介在配列の逆転(リコンビナーゼとの接触の際)によって、単一方向のター ミネーターは逆転されるようになり、従ってAAVパッケージングプロモーターを 、上流のプロモーターと作動可能な連結に効果的に置く。対応するリコンビナー ゼによるカセットの活性化の後、ssr-介在配列は逆転され、そして再配置したカ セットは、AAVパッケージング遺伝子を、以下のように、プロモーターと作動可 能な連結で含む: --(プロモーター>)-(ssr>)-(<term)-(<ssr)-(rep78>)-(ポリA>)--。 他のAAVパッケージング遺伝子(例えば、rep52、split-cap、および/または 野生型AAVパッケージング遺伝子)を、類似の様式でrep78の代わりに取り込み得 る。同様に、FRT部位のような他のssr部位を、先に議論されるようにloxP部位の 代わりに用い得る。 実施例9 リコンビナーゼタンパク質を発現するプラスミドの生成 本発明における使用のための酵素学的に活性なリコンビナーゼタンパク質を、 上記のような任意の種々の手段により提供し得る。リコンビナーゼタンパク質を 、本発明の種々の好ましい実施態様におけるように、パッケージング細胞中に導 入した遺伝子から発現させる場合、リコンビナーゼをコードする遺伝子は、パッ ケージング細胞における任意の種々のレプリコン上に有され得る。例えば、以下 により詳細に記載される好ましい実施態様において、リコンビナーゼ遺伝子を、 AAVヘルパーウイルスのゲノム内に含め、これを使用して、パッケージング細胞 におけるAAV複製およびキャプシッド形成を活性化する。あるいは、リコンビナ ーゼ遺伝子は、細胞染色体内、またはパッケージング細胞内の任意の他のレプリ コン上に有され得る;あるいは、リコンビナーゼ遺伝子は、細胞におけるリコン ビナーゼの一過性発現を生じる様式で(例えば、リコンビナーゼ遺伝子を含むプ ラスミドまたは他のベクターでのトランスフェクトにより)、パッケージング細 胞の安定に維持されるレプリコンへのリコンビナーゼ遺伝子の引き続く組込みを 有して、または有さないで細胞に導入され得る。 例示のために、本実施例において、本発明者らは、リコンビナーゼを直接的に 発現するために使用され得るか(例えば、トランスフェクト哺乳動物細胞におけ る一過性発現により)、または他の方法で(例えば、ヘルパーウイルスまたは染 色体に直接的にリコンビナーゼ遺伝子をサブクローニングすることにより)導入 および/もしくは発現されるリコンビナーゼ遺伝子の供給源として使用され得る 、リコンビナーゼ遺伝子を含む種々のプラスミドの生成について記載する。 好ましくは、リコンビナーゼ活性を、AAV複製/キャプシッド形成機能の所望 の開始と同時にパッケージング細胞において開始する(例えば、ヘルパーウイル スの一部としてリコンビナーゼ遺伝子を導入することによって、またはヘルパー ウイルスの導入時と密接に関連するトランスフェクションのような分離事象によ って、複製/キャプシッド形成の所望の開始と協力してリコンビナーゼ遺伝子の 発現を開始することにより、または温度もしくは他の環境変化などによるリコン ビナーゼタンパク質の酵素活性を開始することにより)。 リコンビナーゼ遺伝子の選択は、本発明のAAVパッケージングカセットへの取 り込みについて選択した部位特異的認識配列に必ず依存する。例示のために、Cr eリコンビナーゼ遺伝子を選択し、上記のように、loxP部位の対を含むカセット を活性化し得るタンパク質の供給源を提供した。多くのリコンビナーゼは公知で あり、そしてこれらをコードする遺伝子は、クローン化されているか、または容 易に入手し得る。 本発明者らは、Creリコンビナーゼをコードする2つの異なる遺伝子型を調製 した;これらは、レシピエント哺乳動物細胞の核におけるタンパク質産物のレベ ルを増強するために使用され得る核局在化シグナル(「NLS」)(これにより、細 胞核へ導入され得る導入リコンビナーゼとAAVパッケージングカセットとの間の 相互作用を促進する)を有するものおよび有さないものがある。特に、NLSを添 加しない場合、核膜が存在しない場合は、細胞分裂中を除いては、リコンビナー ゼタンパク質は相当量で核に導入され得ない。 これらのプラスミドを構築するために、プラスミドpHSG-cre(ATCCCRL87075)か らのバクテリオファージP1 CreリコンビナーゼのORFを有する1031bpの配列を、P CRのテンプレートとして使用した。以下のオリゴヌクレオチドをPCRプライマー として使用した:前方向(forward)アンプリマー(amplimer)、5'-GCGCG GCGGC CG CGG TACCA GATCT ATGTC CAATT TACTG ACCGTA-3'(配列番号4)は、Not I、Asp 7 18、およびBgl II制限酵素部位、続いてCreの最初の6コドンを含む。逆アンプ リマー5'-GCCGC GCGGC CGCTT ATTAC TAATC GCCAT CTTCC AGCAG GCGCAC-3'(配列 番号5)は、Creの最後の8コドンを含み、2つのさらなるUAA終結コドン、続い てNot I部位が加わる。得られた1065bp Cre PCR産物を、Not Iフラグメントとし てpCMVβのNot I部位にサブクローン化した(Not I β-gal遺伝子フラグメント の除去後)。得られたプラスミドをpCMVCreとして示す。CreのN末端に核局在化 シグナル(NLS)を付加するため、Kozakの法則(Kozak、M.1981.Nucleic Acid Res. 、9、5233-5252)に適合する開始コドン、およびSV40 T抗原からのNLSのコード 配列を含む79bpオリゴ5'-GCGCGCGGTACCCAGACCGTGCATCATGAGCGGCCCTCCAAAAAAGAAG AGAAAGGTAGAAGACCCGAGATCTGCGCGC-3'(配列番号6)を、pCMVCreのAsp 718とBgl I I部位 との間にサブクローン化した。 得られたプラスミドをpCMVNCreと称し、当該分野において公知の方法により、 すでにAAVパッケージングカセットを保有する宿主細胞に導入する。pCMVNCreに よりコードしたリコンビナーゼは、AAVパッケージングカセットの組換えを介在 し、次に、rAAVベクターを複製し、キャプシド被包するのに必要なパッケージン グ遺伝子を発現する。 実施例10 リコンビナーゼタンパク質を発現するヘルパーウイルスの生成 本発明の特定の好ましい実施態様において、AAVパッケージングカセットを活 性化するのに使用するリコンビナーゼタンパク質は、AAV複製および/またはキ ャプシド被包を促進するのに必要な他の機能もまた提供する組換えAAVヘルパー ウイルス(例えば、組換えアデノウイルス)から発現される。 例として、リコンビナーゼ遺伝子(前の実施例で述べたNLSを有するもの、ま たは有しないもの)を含む組換えアデノウイルスを標準分子生物学技術を使用し て調製し得る。特に、リコンビナーゼ遺伝子を、ウイルス複製および/またはヘ ルパー機能に不要なアデノウルスゲノムのある部位か、またはin transで補充し 得る(例えば、本発明と共に使用されるパッケージング細胞に必要な遺伝子のコ ピーを提供することにより)必要な遺伝子産物をコードする部位で、組換えアデ ノウイルスに、好都合に導入し得る。例示のため、リコンビナーゼ遺伝子をアデ ノウイルスの非必須E3領域に導入し得る。あるいは、リコンビナーゼ遺伝子を、 E1欠損をin transで補充し得るヒト293細胞のような細胞で使用するために、ア デノウイルスの必須E1領域に導入し得る。アデノウイルスベクター、例えば、E1 および/またはE3領域へのクローニングを容易にする技術は、当該分野において 公知である(例えば、Bett、A.J.、ら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA 91:8802-8806 、1994;およびKanegae、Y.、ら、Nucl.Acids Res.23:3816-3821、1995を参照する 。これらは、組換えアデノウイルスAxCANCre(またはAdAxCANCre)の生成について 述べており、ここでは、NLSタグ化Cre遺伝子がアデノウイルスのE1領域にクロー ン化されている)。 このように、当該分野において述べた技術を使用して、pCMVCreおよび/また はpCMVNCreのようなプラスミドをリコンビナーゼ遺伝子の供給源として使用し、 別の部位(例えば、アデノウイルスのE1またはE3領域内)にサブクローン化し得 る。 NLSタグ化リコンビナーゼ(Cre)をアデノウイルスのE3領域に挿入した組換えAd ヘルパーウイルスを生成した。これは、哺乳動物パッケージング細胞として有用 な様々な細胞のいずれかにリコンビナーゼタンパク質を導入するために用いられ 得る。特に、アデノウイルスのE1領域は無傷のままで、かつE3領域は一般的に非 必須なので、このような組換えアデノウイルスを用いて、ヘルパーウイルス機能 (およびリコンビナーゼ)を、293細胞と違って、アデノウイルス相補配列を含 有しないHela細胞のような細胞にさえも送達し得る。 実施例11 AAVrep78遺伝子を含むAAVパッケージングカセットの哺乳動物細胞への組み込み 上述のように、本発明の好ましい実施態様において、一つ以上のAAVパッケー ジングカセットが、rAAV粒子の産生用哺乳動物パッケージング細胞として有用で あり得る哺乳動物細胞に安定に組み込まれる。安定な組込み体は、標準分子生物 学的技術を使用して容易に入手され得る。安定して導入されるAAVパッケージン グカセット内またはこれに隣接するかのいずれかで選択マーカーを含有させるこ とにより、AAVパッケージングカセットを得、および/または保持する細胞の選 択が容易になり得る。 例として、本発明により、安定組込みAAVパッケージングカセットを含む様々 な異なる哺乳動物細胞株を生成した。この実施例において、AAVrep78遺伝子を含 むAAVパッケージングカセットのヒト細胞株(293細胞株は、ときに「293-1」と 称される)への組込みについて述べる。この細胞株へ、rAAVプロベクターを安定 的に組込み(簡単に述べると、本明細書において293AAVCFTRと称されるこの株を プラスミド「tgAAVCFTR」で293細胞をトランスフェクトして予め生成した。これ は、CFTR cDNAのヌクレオチド133〜4573(全コード配列)と隣接するAAV2逆方向 末端反復(ヌクレオチド1〜145および4490-4681)および3'末端にマウスβ-グ ロビンに基づく合成ポリアデニル化シグナルを含む。Afione、S.A.、ら、J.Viro l. 70:3235-3241、1996)を参照のこと)、およびさらに、ハイグロマイシン-B-ホ スホトランスフェラーゼ遺伝子を組込んだ。 293細胞(ATCC CRL 1573)のようなヒト細胞を、一般的に、10%ウシ血清ならび に100単位/mlペニシリンおよびストレプトマイシンを添加したDulbecco改変Eagl e培地(DMEM)で維持した。細胞を10%CO2補充加湿化37℃インキュベーターで増殖 させた。一般的には、エレクトロポレーションを2〜5×106細胞に対してプラ スミドDNA15〜30μgを使用して行い、Gene Pulser(Bio-Rad)を使用して210ボル ト、960μFで、0.4cmキュベット内の無血清培地約800μl中、ルーチン的に行っ た。エレクトロポレーション後、細胞を代表的にはT-75フラスコのDMEMにプレー トした。DMEMは、選択成分(例えば、neoまたはgeo遺伝子のようなネオマイシン 耐性遺伝子を有する細胞に対して0.65mg/ml G418(Gibco-BRL))を含有する。選 択された細胞集団を拡大させ、選択培地で維持した。 簡単に述べると、ヒト293AAVCFTR細胞(組込みtgAAVCFTRを含有)をpCMVOFFRE P78(上述の)でトランスフェクトした。G418に耐性のあるポリクローナル細胞 株を、薬物選択の10〜12日後に得、これをHB Clとした。個々のクローンを採取 し、クローナル集団に拡大させて、安定的組み込みAAVパッケージングカセット の存在について試験した。代表的には、AAVパッケージングカセットの1〜5の 組込みコピーを含む多くの安定組込み体は、このような技術を使用して容易に得 られた。これらの例については、AAVパッケージングカセットの単一完全長コピ ーのみを有するクローンを進めるために選択した(多組込みコピーを有するクロ ーンは、AAVパッケージング機能の付加的供給源を提供する手段として十分に有 用であり得るけれども)。 得られた細胞株のさらなる特徴付けおよび使用を以下により詳細に述べる。さ らに、安定組込みAAVパッケージングカセットを含む他の哺乳動物細胞株(以下 により詳細に述べるように、293、Hela S3および293N3Sを包含する)も調製した 。 実施例12 AAVパッケージングカセットを活性化するリコンビナーゼ遺伝子(核局在化シグ ナルを有するものまたは有さないもの)の使用 この実施例において、rep78遺伝子を含むAAVパッケージングカセットを活性化 し、それによって、rAAVベクターのレスキューおよび増幅を促進するリコンビナ ーゼ遺伝子(関連の核局在化シグナルを有するものまたは有さないもの)の能力 を検討した。 簡単に説明すると、HB Clの集団[プラスミドpCMVOFFRep78の安定組込みコピー を有するヒト293AAVCFTR細胞(すなわち、上述のように調製した「単一組み込み 物」](T-75フラスコに約4×106細胞)を上記の実施例9で述べたように、pCMV CreまたはpCMVNCreのいずれか10μgのエレクトロポレーションによりトランスフ ェクトし、次に、DMEMに一晩プレートした。次に、細胞をアデノウイルス[moi( 感染多重度)約5のAd5]で感染させ、37℃で48時間インキュベートした。インキ ュベーション後、細胞を採取し、単離した後、全DNAを精製し、DNAをEcoR1で消 化した。試料をアガロースゲル上で電気泳動を行った後、ナイロン膜にブロット した。続いてブロットをCFTR遺伝子の32P-標識1.48kb EcoR1フラグメントとのハ イブリダイゼーションによりプローブした。陽性コントロールは、プラスミドpm MT1Rep(AAVrep遺伝子を含む)でトランスフェクトした後、Ad5で感染させた細 胞を含有した。陰性コントロールには、組込みAAVパッケージングカセットを有 さなかった細胞、リコンビナーゼでトランスフェクトしなかった細胞、およびヘ ルパーウイルスで感染させなかった細胞が含まれる。 図1は、本発明の構築物を保有する細胞、およびコントロール細胞から単離さ れたEcoR1消化DNAへのCFTRプローブのハイブリダイゼーションを示すオートラジ オグラフのコピーであり、これらは、次の通りである。0=λHindIIIマーカー;1 =CMVOFFRep78の単一組込み体(Adで感染されず、どんなCre含有プラスミドでも トランスフェクトされなかった);2=pCMVCreでトランスフェクトしたが、Adで 感染されなかった単一組込み体;3=pCMVCreでトランスフェクトし、Adで感染さ れた単一組込み体;4=pCMVCreでトランスフェクトしたが、Adで感染されなかっ た単一組込み体;5=pCMVCreでトランスフェクトし、Adで感染された単一組込み 体;6=pmMT1Repでトランスフェクトしたが、Adで感染されなかった293AAVCFTR親 型細胞;および7=pmMT1Repでトランスフェクトし、Adで感染された293AAVCFTR親 型細胞。約1.5kbの強くハイブリダイズするバンドは、CFTRの内部EcoRIフラグメ ント(1.488kbである)について予測される位置に相当する。図1に示すように、ハイブリダイゼーション結果は、AAVパッケージングカセ ットを導入した細胞(およびヘルパーウイルスを含む他の必要な機能)が、リコ ンビナーゼによる活性化の際に、rAAVプロベクターのレスキューおよび増幅を介 在し得ることを示した。予測通り、AAVパッケージングカセット、リコンビナー ゼまたはヘルパーウイルス感染の排除により、rAAVプロベクターの有効なレスキ ューおよび増幅が本質的に防止された。 結果はまた、リコンビナーゼ遺伝子へのNLSの導入により、レスキューされた 増幅rAAVベクターを生成する能力が実質的に増強することを示した。特に、pCMV NCreでトランスフェクトした細胞集団から得たCFTRハイブリダイズDNAバンドは 、pCMVCreでトランスフェクトした細胞からの同等のバンドより約5〜10倍強か った。 実施例13 本発明のリコンビナーゼ活性化パッケージングカセットを使用する組換えAAVベ クターのレスキューおよび増幅 この実施例において、rAAVベクターのレスキューおよび増幅を促進するrep78 遺伝子を含むAAVパッケージングカセットを有する細胞株の能力を検討した。 簡単に説明すると、HB C1細胞の集団[プラスミドpCMVOFFRep78の安定的組込み コピーを有するヒト293AAVCFTR細胞(上述の通り調製した)](T-75フラスコに約 2×106細胞)を約5のmoiでアデノウイルスで感染させた(実施例9および10で 述べたように、AdのE1領域にcre遺伝子および関連の核局在化配列(NLS)を含むAd 5、AdAxCANCreまたはAdNCre)。感染後、細胞を37℃で1時間インキュベートし、 次に、pCMVCap(15μg)でトランスフェクトした。AAV cap遺伝子の導入は、rAAV ベクターのレスキューおよび増幅を必要としないが、同じ細胞を使用して、rAAV ベクター粒子(Capタンパク質の存在を必要とする)の産生についての試験に使 用され得るように含めたことに留意されたい。 48〜72時間のインキュベーション後、一部の細胞を採取し、これを使用してDN Aを得た。精製後、DNAをEcoR1で消化し、上述の通りブロットした後、CFTR-特異 性ハイブリダイゼーションプローブでプローブした。試料をアガロースゲルで電 気泳動した後、ナイロン膜にブロットした。続いて、ブロットをCFTR遺伝子の32 P-標識1.4kb EcoRIフラグメントでのハイブリダイゼーションによりプローブし た。コントロールは、プラスミド(第WO95/13365号に記載のpRS5)またはAAV rep- cap配列を提供するプラスミドの組み合わせ(第WO96/17947号に記載のpmMT1Repお よび上述のpCMVCap)でトランスフェクトした後、Ad5またはAdNCreのいずれかで 感染された親型細胞を含有した。 図2は、本発明の構築物を保有する細胞およびコントロール細胞から里離した EcoRI消化DNAへのCFTRプローブのハイブリダイゼーションを示すオートラジオグ ラフのコピーで、これらは、次の通りである。0=λ HindIIIマーカー;1=AdNCre で感染され、pCMVCapでトランスフェクトされたCMVOFFRep78およびCMV0FFRep52 の二重組み込み物(実施例15に述べるように);2=AdNCreおよびAd5の混合物で感 染され、pCMVCapでトランスフェクトされたCMVOFFRep78およびCMVOFFRep52の二 重組み込み物;3=Ad5で感染され、pCMVNCreおよびpCMVCapの混合物でトランスフ ェクトされたCMVOFFRep78およびCMVOFFRep52の二重組み込み物;4=AdNCreで感染 され、pCMVCapでトランスフェクトされたCMVOFFRep78の里一組み込み物;5=AdNC reおよびAd5の混合物に感染され、pCMVCapでトランスフェクトされたCMVOFFRep7 8の単一組み込み物;6=pRS5でトランスフェクトされ、AdNCreで感染された293AA VCFTR親型細胞;7=pRS5でトランスフェクトされ、Ad5で感染された293AAVCFTR親 型細胞;8=プラスミドpmMT1RepおよびpCMVCapの混合物でトランスフェクトされ、 Ad5で感染された293AAVCFTR親型細胞。約1.5kbの強くハイブリダイズするバンド は、CFTRの内部EcoRIフラグメント(1.488kbである)について予測される位置に 相当する。 これらの実験は、AAVパッケージングカセット(およびヘルパーウイルスを含 む他の必要な機能)を導入した細胞が、リコンビナーゼによる活性化の際に、rA AVプロベクターのレスキューおよび増幅を介在し得ることを示した。この所見の さらなる裏付けがAdAxCANCreを介して送達されたNLSタグ化Creで得られた。 実施例14 本発明の二つの安定組込みAAVパッケージングカセットを含む細胞株の生成 上述のように、本発明に従って調製した哺乳動物パッケージング細胞は、複数 のの異なるAAVパッケージングカセットを含有し得、そして好ましくは含有する 。本発明の好ましい細胞株は、AAV rep78遺伝子を含む少なくとも一つのAAVパッ ケージングカセットを含み、AAV split-cap遺伝子を含む第二のAAVパッケージン グカセットを含む。好ましい細胞株はまた、AAV rep52遺伝子を含むAAVパッケー ジングカセットを含み得る。 この実施例では、rep78遺伝子を有する第一AAVパッケージングカセットおよび rep52遺伝子を有する第二AAVパッケージングカセットを含む二重組込み体の生成 を説明する。簡単に説明すると、二重組込み体を、単一組込みrep78カセットを 含む細胞のクローナル集団を拡大し(実施例11におけるように)、rep52遺伝子 を有するAAVパッケージングカセットを含むプラスミド(この実施例では、実施例 4で述べたpCMVOFFRep52)でこれらの細胞をエレクトロポレートすることにより 得た。最も好都合には、第一および第二AAVパッケージングカセットは、両カセ ットの選択および維持を容易にするために、異なる選択性マーカーを含有する。 この場合、rep78カセットは、β-geo選択性マーカーを含み、rep52カセットは、 L-ヒスチジノール耐性遺伝子を含んだ。次に、G418(上記に示したように)およ びL-ヒスチジノール(1.2mM)の両存在下で増殖し得た個々のクローンを、相当す るAAVパッケージングカセットの組込みコピーの存在についてスクリーニングを 行った。上記のように、1から5コピー以上の組込みカセットを含有する細胞は 容易に入手可能である。しかし、この場合、単一組込み体を、まず、リコンビナ ーゼ活性化rep78カセットの単一無傷コピーのみの所有について選択した。同様 に、二重組込み体をスクリーニングし、リコンビナーゼ活性化rep52カセットの 単一完全長コピーを含む細胞を同定した。 得られた細胞株のさらなる特徴付けおよび使用を、以下により詳細に述べる。 さらにまた、他の哺乳動物細胞株(以下さらに述べるように、293、Hela S3およ び293 N3Sを含む)を使用して二重組込み体を調製した。 実施例15 二つの安定組込みAAVパッケージングカセットを含む細胞株を使用するAAVベクタ ーのレスキューおよび増幅 この実施例において、組込みrAAVプロベクターのレスキューおよび増幅を介在 する二つの安定組込みAAVパッケージングカセットを含む哺乳動物細胞株の使用 を説明する。 簡単に説明すると、二重組込物(実施例14に従って調製)(T-75フラスコのDME M培地に約2×106細胞)を核局在化シグナルに作動可能に連結されたリコンビナ ーゼ遺伝子(Cre)を含むアデノウイルス(5または10のmoiのAdNCreまたはAdAxCAN Cre)に感染させた(Kanegae、Y.、ら、Nucleic Acids Res.23:3816-3821、1995に 記載のように)。アデノウイルスで感染させた後、細胞を37℃で1時間インキュ ベートし、次に、pCMVCap(上述の通り、2.5×106細胞当り、プラスミド10〜15μ g)でトランスフェクトした。さらに48〜72時間インキュベートした後、細胞の一 部を採取し、これを使用してDNAを得るか、またはこれを使用して細胞溶解物を 精製した。精製後、DNAをEcoR1で消化し、上述の通りブロットした後、CFTR特異 性ハイブリダイゼーションプローブによりプローブした。コントロールは、プラ スミド(pRS5)または、AAV rep-cap配列を含むプラスミドの組み合わせ(pmMT1Re pおよびpCMVCap)(実施例13で述べたように)でトランスフェクトした後、Ad5ま たはAdNCreのいずれかで感染させた親型細胞を含んだ。 図2のレーン1〜3(実施例13の説明を参照)に示すように、関連の二重組込 み体は、AAVパッケージングカセット(およびヘルパーウイルスを含む他の必要 な機能)を導入した細胞は、リコンビナーゼによる活性化の際に、rAAVプロベク ターのレスキューおよび増幅を介在し得ることを示した。 実施例16 本発明の安定組込みAAVパッケージングカセットを含む細胞株を使用する熱安定 性感染AAVベクター粒子の産生 この実施例において、標的哺乳動物細胞への目的遺伝子の移入に使用し得る熱 安定性感染rAAVベクター粒子を産生するための種々の安定組込みAAVパッケージ ングカセットを含む哺乳動物細胞株の使用を説明する。 単一および二重組込み体(上述の通り、それぞれrep78およびrep78プラスrep5 2カセットを含む)をアデノウイルスで感染させた後、先の実施例で述べたよう にpCMVCapでトランスフェクトした。トランスフェクション後、インキュベーシ ョンを48〜72時間続行した。各T-75フラスコから、培地中の細点試料1mlを超音 波処理により溶解し、溶解物をBenzonase(25単位/ml)で処理し、37℃で30分間イ ンキュベートした。各フラスコからの第一試料では、溶解物を、感染rAAV粒子( PCT公開第WO96/17947号として公開された同一人所有の出願に記載されるように )の検出および定量のために、「Clone-37Assay」で加熱せずに使用した。簡単 に述べると、感染rAAV粒子を使用し、クローン37細胞(rep遺伝子をmMT1プロモ ーター制御下に置いたAAV rep-cap力カセットの組込みコピーを含む)を感染さ せ得る。クローン37細胞は、AAV repおよびcapの両遺伝子機能を提供するので、 導入するrAAVベクターを複製し(アデノウイルスによる感染と組み合わせて)、 増幅し得る。アデノウイルスは、第一試料に存在し、加熱により不活化されなか ったが、E1領域(E1の損失を補充し得る293細胞で効率的である)にリコンビナ ーゼ遺伝子を保有するアデノウイルスを使用しても、クローン37細胞(Hela細胞 から得る)のような他の細胞に十分なヘルパー機能を提供しない。従って、クロ ーン37アッセイを実施するとき、同様に非加熱試料でもさらなるアデノウイルス をルーチン的に包含させた。各フラスコからの第二試料では、溶解物を56℃で1 時間加熱して試料中に存在するいかなるアデノウイルスも不活化した(従って、 Adマイナスコントロールとした)。各フラスコからの第三試料では、溶解物をま ず56℃で1時間加熱した後(アデノウイルスを不活化)、さらなるアデノウイル スを添加した。次に、各溶解物を使用して48〜72時間のインキュベーション期間 にクローン37細胞を感染させた。インキュベーション後、感染細胞から全DNAを 得、精製した後、EcoRIで消化し、アガロースゲル上で電気泳動を行い、上述の 通りブロットした。次に、ブロットをCFTR特異性ハイブリダイゼーションプロー ブでプローブした。 図3は、本発明の構築物を保有する細胞およびコントロール細胞から得たウイ ルス溶解物で感染させたクローン37細胞から単離したEcoRI消化DNAへのCFTRプロ ーブのハイブリダイゼーションを示すオートラジオグラフのコピーである。これ らは、0=λマーカー(HindIIIで消化);パネル#1=AdNCreで感染させ、pCMVCap でトランスフェクトしたCMVOFFRep78およびCMVOFFRep52の二重組込み体(実施例 15 でのべたように)からの溶解物で感染させたクローン37細胞(各パネル番号( 1〜9)について、第一レーンは、Ad5を付加した非加熱溶解物で感染された細 胞を示し、第二レーンは、Ad5を付加しない加熱溶解物で感染された細胞を示し 、第三レーンは、Ad5を付加した加熱溶解物で感染させた細胞を示す);パネル# 2=AdNCreおよびAd5の混合物で感染させ、pCMVCapでトランスフェクトしたCMVOFF Rep78およびCMVOFFRep52の二重組込み体からの溶解物で感染させたクローン37細 胞;パネル#3=Ad5で感染させ、pCMVNCreおよびpCMVCapの混合物でトランスフェ クトしたCMVOFFRep78およびCMVOFFRep52の二重組込み体からの溶解物で感染され たクローン37細胞;パネル#4=AdNCreで感染させ、pCMVCapでトランスフェクトし たCMVOFFRep78の単一組込み体からの溶解物で感染されたクローン37細胞;パネ ル#5=AdNCreおよびAd5の混合物で感染させ、pCMVCapでトランスフェクトしたCMV OFFRep78の単一組込み体からの溶解物で感染させたクローン37細胞;パネル#6=p RS5でトランスフェクトし、AdNCreで感染させた293AAVCFTR親型細胞からの溶解 物で感染させたクローン37細胞;パネル#7=pRS5でトランスフェクトし、Ad5で感 染させた293AAVCFTR親型細胞からの溶解物で感染させたクローン37細胞;パネル #8=プラスミドpmMT1RepおよびpCMVCapの混合物でトランスフェクトし、Ad5で感 染させた293AAVCFTR親型細胞からの溶解物で感染させたクローン37細胞;および パネル#9=プラスミドpmMT1RepおよびpCMVCapの混合物でトランスフェクトし、Ad NCreで感染させた293AAVCFTR親型細胞からの溶解物で感染させたクローン37細胞 。約1.5kbの強くハイブリダイズするバンドは、CFTRの内部EcoRIフラグメント( 1488塩基対)について予測された位置に相当する。 図3に示すハイブリダイゼーション結果は、単一組込み体および二重組込み体 の両パッケージング細胞株を使用して熱安定性感染rAAVベクター粒子を生成し得 ること(リコンビナーゼおよびヘルパーウイルス機能が存在する場合)、ならび に得られたrAAVウイルス粒子を使用して哺乳動物細胞を感染し得ること(結果と して、導入するrAAVベクターが実質的に増幅した)を示した。 要約すると、本発明のAAVパッケージングカセットを含む単一組込み体および 二重組込み体細胞株は共に、哺乳動物標的細胞へのrAAVベクターの移入を介在し 得る熱安定性感染rAAVウイルス粒子を生成するために使用され得た。 実施例17 本発明の三つの安定組込みAAVパッケージングカセットを含む細胞株の生成 上述のように、本発明の好ましい細胞株は、AAV rep78遺伝子を含む少なくと も一つのAAVパッケージングカセットを含み、AAV split-cap遺伝子を含む第二の AAVパッケージングカセットを含む。好ましい細胞株はまた、AAV rep52遺伝子を 含むAAVパッケージングカセットも含み得る。 この実施例では、rep78遺伝子を有する第一AAVパッケージングカセット、rep5 2遺伝子を有する第二AAVパッケージングカセットおよびsplit-cap遺伝子を有す る第三AAVパッケージングカセットを含む三重組込み体の生成を説明する。簡単 に説明すると、三重組込み体を、二重組込み体のクローナル集団を拡大し(実施 例15 におけるように)、これらの細胞をsplit-cap遺伝子を有するAAVパッケージ ングカセットを含むプラスミド(この実施例では、実施例5で述べたpCMVOFFCap) でエレクトロポレートすることにより得た。最も好都合には、異なるAAVパッケ ージングカセトは、カセットの選択および維持を容易にするために、異なる選択 性マーカーを含有する。この場合、rep78カセットは、β-geo選択性マ一カーを 含み、rep52カセットは、L-ヒスチジノール耐性遺伝子を含み、そしてsplit-cap カセットは、ピューロマイシン耐性を提供するpac遺伝子を含んだ。 本質的には上記と同じ手順を適用して、G418およびL-ヒスチジノールの両方( 上記に示したように)ならびにピューロマイシン(0.4μg/ml)の存在下で増殖さ せ得る個々のクローンを、相当するAAVパッケージングカセットの組込みコピー の存在についてスクリーニングする。上記のように、1から5コピー以上の組込 みカセットを含有する細胞は容易に入手可能である。しかし、この場合、最初に 、二重組込み体を、リコンビナーゼ活性化rep78カセットの単一無傷コピーおよ びリコンビナーゼ活性化rep52カセットの単一無傷コピーのみの所有について選 択する(実施例14におけるように)。同様に、三重組込み体をスクリーニング して、リコンビナーゼ活性化rep52カセットの単一完全長コピーを含む細胞を同 定する。 このような三重組込み体は、感染rAAVベクター粒子を生成するために、複製能 力を有するヘルパーウイルス(例えば、上述のAdNCre)による感染のみを必要と する。上述のような三重組込み体を構築し、本明細書で述べたように、これらの 菌株ヘリコンビナーゼを導入することにより、予測通り、感染rAAVベクター粒子 のレスキュー、複製およびバッケージングが生じた。 実施例18 AAVパッケージングカセットを含む万能パッケージング細胞株の生成 本質的には上記と同じ手順を適用して、単一、二重および/または三重組込み 体はまた、種々のrAAVベクターをパッケージングするのに使用され得る他の細胞 株でも容易に調製され得る。最も好都合には、本発明は、次いで種々のrAAVベク ター(すなわち、様々な目的の導入遺伝子のいずれかを含むrAAVベクター)のい ずれかの産生に使用され得る「万能」(rAAV特異性とは反対の)細胞株を生成す るために使用され得る。 例として、上述の技術を使用して、いくつかの異なるヒト細胞株で種々のAAV パッケージングカセットの単一および二重組込み体を生成した。幾つかの異なる 特性を含む細胞株を使用して説明するため、ヒト293細胞、ヒト293「N3S」細胞 およびHela S3細胞を選択した。293細胞(上記のように)は、E1領域に異種遺伝 子を保有するアデノウイルスを補充し得る機能を有し、ヒト293「N3S」細胞は、 懸濁培養にパッケージング細胞を使用してrAAVベクターの産生をさらに容易にす る293細胞由来の懸濁順応性細胞株(例えば、Graham、F.L.、J.Gen.Virol.、68: 937-940、1987を参照のこと)であり、Hela S3細胞は、懸濁順応性ヒトHela細胞 株(ATCC CCL2.2)である。アデノウイルスにリコンビナーゼ遺伝子を保有するこ とになり、パッケージング細胞がE1補充機能(例えば、Hela細胞による)を有さ ない場合、パッケージング細胞をE1補充機能の導入により改変し得るか、または アデノウイルスに、異なる部位で、好ましくはアデノウイルス複製またはヘルパ ー機能にために必要とされないE3のような領域でリコンビナーゼを導入し得る。 簡単に説明すると、実施例11で述べた技術を使用し、rep78遺伝子を有する安 定組込みAAVパッケージングカセットを含む前述の各細胞株の単一組込み体を生 成した。次に、再度、実施例15で述べた技術を使用し、二つの異なる安定組込み AAVパッケージングカセット(一つは、rep78遺伝子を含み、他方は、rep52遺伝 子を含む)を含む前述の各細胞株の二重組込み体を生成した。 次に、これらの単一および二重組込み体を用い、293AAVCFTR単一および二重組 込み体に関して上記に示したような方法を使用し、rAAVプロベクターをレスキュ ーし、増幅し得る。 上述のように必要な補充活性(例えば、ヘルパーウイルス機能およびリコンビ ナーゼ)が存在すれば、本発明に従って調製したこのような万能AAVパッケージ ング細胞株は、どんなrAAVベクターをも複製し、キャプシド被包するために使用 され得る。 例として、このような万能AAVパッケージング細胞株は、様々な方法のいずれ かにより細胞に導入したrAAVベクターを複製し、キャプシド被包するために使用 され得る。例えば、rAAVベクターを万能パッケージング細胞に安定に導入し、専 用のrAAV産生細胞を生成し得る(上記に述べ、説明したように)。あるいは、rA AVベクターをパッケージングの開始と同時にパッケージング細胞に導入し得る( 例えば、プラスミド上またはヘルパーウイルスにより導入)。 また、このような万能AAVパッケージング細胞は、「継代パッケージング」と いわれる増幅プロセスを実行するために使用され得る。簡単に説明すると、AAV パッケージング系の組込み部分を形成する複製機能を使用して、rAAVベクタース トックを有効に増幅し得る。これは、適切なAAVパッケージング細胞を感染させ る各ウイルス粒子を多数倍複製した後、複製したプロベクターを後代rAAVベクタ ー粒子の集団にパッケージングし得るためである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (81)指定国 EP(AT,BE,CH,DE, DK,ES,FI,FR,GB,GR,IE,IT,L U,MC,NL,PT,SE),OA(BF,BJ,CF ,CG,CI,CM,GA,GN,ML,MR,NE, SN,TD,TG),AP(GH,GM,KE,LS,M W,SD,SZ,UG,ZW),EA(AM,AZ,BY ,KG,KZ,MD,RU,TJ,TM),AL,AM ,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BR,BY, CA,CH,CN,CU,CZ,DE,DK,EE,E S,FI,GB,GE,GH,GM,GW,HU,ID ,IL,IS,JP,KE,KG,KP,KR,KZ, LC,LK,LR,LS,LT,LU,LV,MD,M G,MK,MN,MW,MX,NO,NZ,PL,PT ,RO,RU,SD,SE,SG,SI,SK,SL, TJ,TM,TR,TT,UA,UG,US,UZ,V N,YU,ZW

Claims (1)

  1. 【特許請求の範囲】 1.リコンビナーゼ活性化可能アデノ随伴ウイルス(AAV)パッケージングカセッ トを含む、ポリヌクレオチドであって、上流から下流に、示された相対的な順序 で以下の成分: (i)第一の部位特異的組み換え(ssr)部位; (ii)ssr介在配列;および (iii)第2の部位特異的組み換え(ssr)部位;を含み ここで、該カセットが、プロモーターならびにAAV rep遺伝子およびAAV cap遺伝 子からなる群より選択されるAAVパッケージング遺伝子を含み、 ここで該プロモーターが、該ssr介在配列内または該第1のssr部位の上流のいず れかに位置され、そして該AAVパッケージング遺伝子が、該第2のssr部位の下流 またはssr介在配列内のいずれかに位置され、そして 該プロモーターが、該AAVパッケージング遺伝子に活性化可能に連結される、ポ リヌクレオチド。 2.請求項1に記載のAAVパッケージングカセットを含むポリヌクレオチドであ って、ここで、前記ssr部位は互いに比較してタンデム方向にあり、前記ssr介在 配列はターミネーターを含み、前記プロモーターは前記第1のssr部位の上流に 位置され、そして前記AAVパッケージング遺伝子は前記第2のssr部位の下流に位 置される、ポリヌクレオチド。 3.請求項1に記載のAAVパッケージングカセットを含むポリヌクレオチドであ って、ここで、前記ssr部位が、互いに比較して反対方向にある、ポリヌクレオ チド。 4.請求項3に記載のAAVパッケージングカセットを含むポリヌクレオチドであ って、ここで、前記プロモーターは前記ssr介在配列内に位置し、前記AAVパッケ ージング遺伝子は前記第2のssr部位の下流に位置し、そして前記プロモーター および該AAVパッケージング遺伝子は、互いに比較して異なる方向にある、ポリ ヌクレオチド。 5.請求項3に記載のAAVパッケージングカセットを含むポリヌクレオチドであ って、ここで、前記AAVパッケージング遺伝子は前記ssr介在配列内に位置され、 前記プロモーターは前記第1のssr部位の上流に位置され、そして該プロモータ ーおよび該AAVパッケージング遺伝子は互いに比較して収束性の方向にある、ポ リヌクレオチド。 6.請求項3に記載のAAVパッケージングカセットを含むポリヌクレオチドであ って、ここで、前記ssr介在配列は、前記第1のssr部位から前記第2のssr部位 への方向における前記プロモーター由来の転写をブロックする一方向性転写ター ミネーターを含み、該プロモーターおよび前記AAVパッケージング遺伝子が、互 いに比較してタンデム方向にあり、該プロモーターは該第1のssr部位の上流に 位置し、そして該AAVパッケージング遺伝子は該第2のssr部位の下流に位置する 、ポリヌクレオチド。 7.請求項1に記載のリコンビナーゼ活性化可能AAVパッケージングカセットを 含むポリヌクレオチドであって、ここで、前記プロモーターは異種プロモーター である、ポリヌクレオチド。 8.請求項7に記載のリコンビナーゼ活性化可能AAVパッケージングカセットを 含むポリヌクレオチドであって、ここで、前記プロモーターは構成性プロモータ ーである、ポリヌクレオチド。 9.請求項7に記載のリコンビナーゼ活性化可能AAVパッケージングカセットを 含むポリヌクレオチドであって、ここで、前記プロモーターは誘導性プロモータ ーである、ポリヌクレオチド。 10.請求項7に記載のリコンビナーゼ活性化可能AAVパッケージングカセット を含むポリヌクレオチドであって、ここで、前記プロモーターは、CMVプロモー ター、SV40プロモーター、およびmMT-1プロモーターからなる群より選択される 、ポリヌクレオチド。 11.請求項1に記載のリコンビナーゼ活性化可能AAVパッケージングカセット を含むポリヌクレオチドであって、ここで、前記第1および第2のssr部位は、 ウイルスリコンビナーゼ、原核生物リコンビナーゼ、および真核生物リコンビナ ーゼからなる群より選択されるリコンビナーゼタンパク質により認識されるssr 部位から選択される、ポリヌクレオチド。 12.請求項11に記載のリコンビナーゼ活性化可能AAVパッケージングカセッ トを含むポリヌクレオチドであって、ここで、前記第1および第2のssr部位は 、ウイルスリコンビナーゼにより認識されるssr部位から選択される、ポリヌク レオチド。 13.請求項12に記載のリコンビナーゼ活性化可能AAVパッケージングカセッ トを含むポリヌクレオチドであって、ここで、前記ウイルスリコンビナーゼはバ クテリオファージリコンビナーゼである、ポリヌクレオチド。 14.請求項11に記載のリコンビナーゼ活性化可能AAVパッケージングカセッ トを含むポリヌクレオチドであって、ここで、前記リコンビナーゼは、バクテリ オファージP1のCreリコンビナーゼである、ポリヌクレオチド。 15.請求項11に記載のリコンビナーゼ活性化可能AAVパッケージングカセッ トを含むポリヌクレオチドであって、ここで、前記リコンビナーゼは、Saccharo myces cerevisiaeのFLPリコンビナーゼである、ポリヌクレオチド。 16.請求項1に記載のリコンビナーゼ活性化可能AAVパッケージングカセット を含むポリヌクレオチドであって、ここで、前記ssr介在配列は、転写ターミネ ーターを含む、ポリヌクレオチド。 17.請求項1に記載のリコンビナーゼ活性化可能AAVパッケージングカセット を含むポリヌクレオチドであって、ここで、前記ssr介在配列は、検出可能マー カー遺伝子および選択可能マーカー遺伝子からなる群より選択されるマーカー遺 伝子を含む、ポリヌクレオチド。 18.請求項17に記載のリコンビナーゼ活性化可能AAVパッケージングカセッ トを含むポリヌクレオチドであって、ここで、前記ターミネーター配列は、ポジ ティブ選択可能マーカー、ネガティブ選択可能マーカー、および二官能性ポジテ ィブネガティブ選択可能マーカーからなる群より選択される選択可能マーカーを コードする選択可能マーカー遺伝子を含む、ポリヌクレオチド。 19.請求項1に記載のリコンビナーゼ活性化可能AAVパッケージングカセット を含むポリヌクレオチドであって、ここで、AAVパッケージング遺伝子は、AAV r ep遺伝子を含む、ポリヌクレオチド。 20.請求項19に記載のリコンビナーゼ活性化可能AAVパッケージングカセッ トを含むポリヌクレオチドであって、ここで、前記AAVパッケージング遺伝子は 、AAV cap遺伝子、AAV rep78遺伝子、およびAAV rep52遺伝子に結合したAAV rep 遺伝子からなる群より選択される、ポリヌクレオチド。 21.請求項1に記載のリコンビナーゼ活性化可能AAVパッケージングカセット を含むポリヌクレオチドであって、ここで、前記AAVパッケージング遺伝子はAAV cap遺伝子を含む、ポリヌクレオチド。 22.請求項21に記載のリコンビナーゼ活性化可能AAVパッケージングカセッ トを含むポリヌクレオチドであって、ここで、前記AAVパッケージング遺伝子は 、 AAV rep遺伝子およびAAV split-cap遺伝子に結合したAAV cap遺伝子からなる群 より選択される、ポリヌクレオチド。 23.請求項1に記載のリコンビナーゼ活性化可能AAVパッケージングカセット を含むポリヌクレオチドであって、ここで、前記AAVパッケージング遺伝子は、A AVスプリットパッケージング遺伝子である、ポリヌクレオチド。 24.請求項1に記載のリコンビナーゼ活性化可能AAVパッケージングカセット を含むポリヌクレオチドであって、ここで、前記AAVパッケージング遺伝子は、A AV cap遺伝子に結合したAAV rep遺伝子である、ポリヌクレオチド。 25.請求項23に記載のリコンビナーゼ活性化可能AAVパッケージングカセッ トを含むポリヌクレオチドであって、ここで、前記AAVパッケージング遺伝子はA AV rep78遺伝子である、ポリヌクレオチド。 26.請求項23に記載のリコンビナーゼ活性化可能AAVパッケージングカセッ トを含むポリヌクレオチドであって、ここで、前記AAVパッケージング遺伝子はA AV rep78遺伝子であり、そして前記プロモーターは異種プロモーターである、ポ リヌクレオチド。 27.請求項23に記載のリコンビナーゼ活性化可能AAVパッケージングカセッ トを含むポリヌクレオチドであって、ここで、前記AAVパッケージング遺伝子はA AV rep52遺伝子である、ポリヌクレオチド。 28.請求項23に記載のリコンビナーゼ活性化可能AAVパッケージングカセッ トを含むポリヌクレオチドであって、ここで、前記AAVパッケージング遺伝子はA AV split-cap遺伝子である、ポリヌクレオチド。 29.請求項1に記載のリコンビナーゼ活性化可能AAVパッケージングカセット を含むポリヌクレオチドであって、該ポリヌクレオチドはさらにエンハンサーを 含み、ここで、該エンハンサーは、前記AAVパッケージング遺伝子に活性化可能 に連結されている、ポリヌクレオチド。 30.プロモーターに作動可能に連結されたAAVパッケージング遺伝子を含むポ リヌクレオチドを作製する方法であって、該方法は、請求項1に記載のリコンビ ナーゼ活性化可能AAVパッケージングカセットを含むポリヌクレオチドと、該リ コンビナーゼ活性化可能AAVパッケージングカセットの該第1および第2のssr部 位に特異的なリコンビナーゼタンパク質とを接触させる工程を包含する、方法。 31.請求項1に記載のリコンビナーゼ活性化可能AAVパッケージングカセット を含むポリヌクレオチドを有する、AAVのためのヘルパーウイルス。 32.請求項1に記載のリコンビナーゼ活性化可能AAVパッケージングカセット を含むポリヌクレオチドを有する、哺乳動物細胞。 33.前記リコンビナーゼ活性化可能AAVパッケージングカセットが、前記細胞 中に安定に組み込まれる、請求項32に記載の哺乳動物細胞。 34.前記細胞が、少なくとも2つの異なるリコンビナーゼ活性化可能AAVパッ ケージングカセットを含み、その各々が異なるAAVパッケージング遺伝子を含む 、請求項32に記載の哺乳動物細胞。 35.請求項32に記載のrAAVベクターの高効率パッケージングに有用な哺乳動 物細胞であって、該細胞はAAVヘルパーウイルスを含む、哺乳動物細胞。 36.前記細胞がrAAVベクターを含む、請求項32に記載の哺乳動物細胞。 37.前記rAAVベクターが、プロモーターに作動可能に連結される目的の異種非 AAV遺伝子に隣接するAAV逆方向末端反復を含む、請求項36に記載の哺乳動物細 胞。 38.前記目的の異種遺伝子が治療遺伝子である、請求項37に記載の哺乳動物 細胞。 39.前記治療遺伝子が、嚢胞性線維症膜貫通レギュレーターをコードする、請 求項38に記載の咄乳動物細胞。 40.前記哺乳動物細胞が、細胞あたり、少なくとも約100の組み換えAAV粒子を 産生し得る、請求項32に記載の哺乳動物細胞。 41.前記哺乳動物細胞が、細胞あたり、少なくとも約200の組み換えAAV粒子を 産生し得る、請求項32に記載の哺乳動物細胞。 42.前記哺乳動物細胞が、細胞あたり、少なくとも約400の組み換えAAV粒子を 産生し得る、請求項32に記載の哺乳動物細胞。 43.前記咄乳動物細胞がヒト細胞である、請求項32に記載の哺乳動物細胞。 44.AAVベクターのパッケージングに有用な哺乳動物細胞を産生する方法であ って、請求項1に記載のリコンビナーゼ活性化可能AAVパッケージングカセット を含むポリヌクレオチドを細胞中に導入する工程を包含する、方法。 45.請求項44に記載の方法によって産生された、rAAVベクターの高効率パッ ケージングに有用な、哺乳動物細胞株。 46.組み換えAAV粒子を産生する方法であって、請求項32に記載の哺乳動物 細胞をインキュベートする工程を包含し、ここで、該哺乳動物細胞は、組み換え AAVベクター、ならびに前記リコンビナーゼ活性化可能AAVパッケージングカセッ トの前記第1および第2のssr部位に特異的なリコンビナーゼをコードする遺伝 子を含む、方法。 47.請求項46に記載の組み換えAAV粒子を産生する方法であって、前記哺乳 動物細胞にAAVヘルパーウイルスを導入する工程をさらに包含する、方法。 48.前記AAVヘルパーウイルスがアデノウイルスである、請求項47に記載の 組み換えAAV粒子を産生する方法。 49.前記ヘルパーウイルスが、前記リコンビナーゼ活性化可能AAVパッケージ ングカセットの前記第1および第2のssr部位に特異的なリコンビナーゼをコー ドする遺伝子を含む、請求項47に記載の組み換えAAV粒子を産生する方法。 50.請求項46に記載の方法により産生された、組み換えAAV粒子。
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