JP2001519167A5 - - Google Patents

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【書類名】 明細書
【発明の名称】 病原微生物およびその抗菌剤感受性の検出
【特許請求の範囲】
【請求項1】 総生存微生物の増殖を維持することができる培地を含む少なくとも1つのコンパートメント;
泌尿病原体特異的培地を含む少なくとも1つのコンパートメント;および
抗菌剤感受性解釈培地(antimicrobial susceptibility interpretation medium)を含む少なくとも1つのコンパートメントを含む、生物試料中の主たるグラム陰性泌尿器病原体の存在を検出し、同時に、抗菌剤に対する該泌尿器病原体の感受性を判定するためのマルチコンパートメント検定デバイス。
【請求項2】 該抗菌剤感受性解釈培地を含む少なくとも1つのコンパートメントが、少なくとも1つの抗生物質を含むことを特徴とする請求項1記載のデバイス。
【請求項3】 該抗生物質が、アモキシシリン、クラブラン酸/アモキシシリン、エンロフロキサシン、セファロシン、セファプリン、セフラジン、セファレキシン、セファクロール、セファドロキシル、ゲンタマイシンおよびクロラムフェニコールのうちの1またはそれを超えるものであることを特徴とする請求項2記載のデバイス。
【請求項4】 1またはそれを超える培地が、細菌酵素の作用によって酵素基質から放出される検出可能な基を含む当該酵素基質を含むことを特徴とする請求項1ないし3いずれか1項に記載のデバイス。
【請求項5】 該泌尿病原体特異的培地が、バンコマイシン、アンフォテリシンBおよび塩酸クリンダマイシンのうちの1またはそれを超えるものを含むことを特徴とする請求項1ないし4いずれか1項に記載のデバイス。
【請求項6】 生物試料中の主たるグラム陰性泌尿器病原体の存在を検出し、同時に、抗菌剤に対する泌尿器病原体の感受性を判定する方法であって、
総生存細菌の増殖を維持することができる培地を含む少なくとも1つのコンパートメント;泌尿病原体特異的培地を含む少なくとも1つのコンパートメント;および、抗菌剤感受性解釈培地を含む少なくとも1つのコンパートメント
を含むマルチコンパートメント検定デバイスを準備し;
生物試料の一部を、該総生存細菌の増殖を維持することができる培地を含む少なくとも1つのコンパートメント;該泌尿病原体特異的培地を含む少なくとも1つのコンパートメント;および、抗菌剤を含む該抗菌剤感受性解釈培地を含む少なくとも1つのコンパートメントに各々入れ;
それによって、該総生存細菌の増殖を維持することができる培地を含む少なくとも1つのコンパートメントにおける生物の増殖が、試料中に細菌生物が存在することを示し;該泌尿病原体特異的培地を含む少なくとも1つのコンパートメントにおける生物の増殖が、試料中に主たるグラム陰性泌尿器病原体が存在することを示し;および、該抗菌剤感受性解釈培地を含む少なくとも1つのコンパートメントにおける生物の増殖が、該生物が該抗菌剤感受性解釈培地に含まれる抗菌剤に対する感受性を欠いていることを示す、ことを含むことを特徴とする該方法。
【請求項7】 該生物試料が尿であることを特徴とする請求項6記載の方法。
【請求項8】 該主たるグラム陰性泌尿器病原体が腸内細菌科(Enterobacteriacae)を含むことを特徴とする請求項6または7記載の方法。
【請求項9】 該主たるグラム陰性泌尿器病原体が、エスシェリキア・コリ(Escherichia coli)、クレブシエラ種(Klebsiella spp.)、腸内細菌種(Enterobacter spp.)、プロテウス・ミラビリス(Proteus mirabilis)、プロテウス・ブルガリス(Proteus vulgaris)、モルガネラ・モルガニ(Morganella morganii)、プロビデンシア・レッテリ(Providencia retteri)およびアシネトバクター種(Acinetobacter spp.)のうちの1またはそれを超えるものを含むことを特徴とする請求項8記載の方法。
【請求項10】 該少なくとも1つの抗菌剤感受性解釈培地が抗生物質を含むことを特徴とする請求項6ないし9いずれか1項に記載の方法。
【請求項11】 該抗生物質が、アモキシシリン、クラブラン酸/アモキシシリン、エンロフロキサシン、セファロシン、セファプリン、セフラジン、セファレキシン、セファクロール、セファドロキシル、ゲンタマイシンおよびクロラムフェニコールのうちの1またはそれを超えるものであることを特徴とする請求項10記載の方法。
【請求項12】 該泌尿病原体特異的培地が、バンコマイシン、アンフォテリシンBおよび塩酸クリンダマイシンのうちの1またはそれを超えるものを含むことを特徴とする請求項6ないし11いずれか1項に記載の方法。
【請求項13】 少なくとも2の異なる属の微生物によって引き起こされ得る特定の疾病状態と関連する大部分の病原体の存在を微生物試料中で検出し、同時に、抗菌剤に対するかかる病原体の感受性を判定するが、但し、該特定の疾病状態と関連する病原体が大腸菌のみではない方法であって、
総微生物の増殖を維持することができる培地を含む少なくとも1つのコンパートメント;少なくとも2の異なる属の微生物によって引き起こされ得る特定の疾病状態と関連する大部分の病原体の増殖を維持することができる培地を含む少なくとも1つのコンパートメント;および、抗菌剤感受性解釈培地を含む少なくとも1つのコンパートメント
を含むマルチコンパートメント検定デバイスを準備し;
生物試料の一部を、該総微生物の増殖を維持することができる培地を含む少なくとも1つのコンパートメント;該少なくとも2の異なる属の微生物によって引き起こされ得る特定の疾病状態と関連する大部分の病原体の増殖を維持することができる培地を含む少なくとも1つのコンパートメント;および、抗菌剤を含む該抗菌剤感受性解釈培地を含む少なくとも1つのコンパートメントに各々入れ;
それによって、該総微生物の増殖を維持することができる培地を含む少なくとも1つのコンパートメントにおける生物の増殖が、試料中に微生物が存在することを示し;該少なくとも2の異なる属の微生物によって引き起こされ得る特定の疾病状態と関連する大部分の病原体の増殖を維持することができる培地を含む少なくとも1つのコンパートメントにおける生物の増殖が、試料中に特定の疾病状態と関連する病原体が存在することを示し;および、該抗菌剤感受性解釈培地を含む少なくとも1つのコンパートメントにおける生物の増殖が、該生物が該抗菌剤感受性解釈培地に含まれる抗菌剤に対する感受性を欠いていることを示し;ついで
該コンパートメントを調べて、該生物試料中の特定の疾病状態と関連する病原体の存在および該抗菌剤に対する該病原体の感受性を判定する、ことを含むことを特徴とする該方法。
【請求項14】 該生物試料が尿であることを特徴とする請求項13記載の方法。
【請求項15】 該疾病状態が尿路感染であることを特徴とする請求項14記載の方法。
【請求項16】 該病原体が細菌生物であることを特徴とする請求項15記載の方法。
【請求項17】 該細菌生物が主たるグラム陰性泌尿病原体であることを特徴とする請求項16記載の方法。
【請求項18】 生物試料中の主たるグラム陰性泌尿器病原体の存在を検出するための細菌増殖培地であって、
主たるグラム陰性泌尿器病原体の増殖を維持するために必要な効力量のペプチドおよび栄養分;および
主たるグラム陰性泌尿器病原体の増殖のみを許容し、かつ、いずれかの他の細菌の実質的により低い増殖を許容するような量の1またはそれを超える抗菌剤を含むことを特徴とする該増殖培地。
【請求項19】 該1またはそれを超える抗菌剤が少なくとも1の抗生物質を含むことを特徴とする請求項18記載の増殖培地。
【発明の詳細な説明】
【0001】
発明の分野
本発明は、化学、生物学および微生物学の分野に関する。特に、本発明は、微生物試験方法、組成物および器具に関し、詳細には、大部分のグラム陰性泌尿器病原体の微生物検出および尿試料から直接得た泌尿器病原体の抗生物質感受性の測定に関する。
【0002】
背景技術
細菌性の尿路感染症は、一般的なヒトのおよび獣医学的動物の疾病である。通常、腸内グラム陰性桿菌は、腸管に生息し、尿管で見出される場合には病原体となり;この腸内桿菌は腸内細菌科(Enterobacteriacae)のファミリーに分類される。尿路感染症の主たる原因因子はグラム陰性桿菌である。典型的には、これにはエスシェリキア・コリ(Escherichia coli)、クレブシエラ・ニューモニエ(Klebsiella pneumoniae)、エンテロバクター・クローカエ(Enterobacter cloacae)およびプロテウス・ミラビリス(Proteus mirabilis)ほかが含まれる。まれに、(スタフィロコッカス・アウレウス(Staphylococcus aureus)およびエンテロコッカス・ファーカリス(Enterococcus faecalis)のごとき)グラム陽性球菌および(シュードモーナス・アエルギノーザ(Pseudomonas aeruginosa)のごとき)他のグラム陰性細菌も、泌尿器病原体となり得る。(スタフィロコッカス(Staphylococcus)、ストレプトコッカス(Streptococcus)のごとき)他のグラム陽性球菌およびグラム陽性桿菌(類ジフテリア菌、バチルス・スブチリス(Bacillus subtilis))は一般的な尿道夾雑菌として頻繁に出くわす。
【0003】
細菌試験は、一般的には、尿路感染症に一致する症状を発症している患者に対して行われる。患者(ヒトおよび獣医学的動物)から単離された微生物を試験して、病原体の同一性および抗生物質に対するその感受性を判定する。最小阻止濃度(MIC)または同定病原体に対する抗菌剤の分類別の解釈(感受性、適度な感受性、中位の耐性、または耐性)に関係する情報は、尿路感染症に対する適当な治療様式を(医学または獣医学の)実践者が確認または選択するために極めて重要である。
【0004】
細菌性の尿路感染症用の抗菌剤化学療法の臨床学的な有効性には、原因病原体正確同定し、ついで適当な抗生物質治療様式を選択して、疾病−原因細菌を根絶することが必要である。疑われる病原体は、検体を培養培地に接種し、ついでそれを35℃にて24−48時間インキュベートして細菌の増殖を得ることによって単離する。ついで、細菌の同定およびその抗菌剤感受性を、一連のつづく生化学試験および標準的な抗菌剤感受性試験によって判定する。
【0005】
同定した病原体の抗菌剤感受性を判定するための日常的な方法には、ブロス希釈法および寒天拡散アッセイが含まれる。ブロス希釈法には、問題の純粋な細菌単離体の標準化された微生物接種源(例えば、1−5×105cfu/ml)の、そのMICを判定することが求められている所与の抗生物質の一連の所定濃度を含有する増殖培地(典型的には、カチオン−調整ミュラー・ヒントン・ブロス培地)への接種が含まれる。接種した培地を18−24時間インキュベートし、目視可能な増殖につき観察する。単離した生物の肉眼によって検出できる目視可能な増殖を完全に阻害する最低抗生物質濃度をMICとして記録する。
【0006】
寒天拡散法には、抗生物質含有ディスクまたは抗生物質勾配ストリップの、問題の微生物の純粋な単離体を注射した寒天培地(典型的には、ミュラー・ヒントン寒天プレート)の表面上の設置が含まれる。ついで、該抗生物質は、抗生物質の有効濃度が該ディスクまたはストリップからの半径の関数として変化するように該ディスクから拡散する。かくして、該ディスクの周りに生じた非増殖領域の直径はMICに比例するにちがいない。
【0007】
これらの抗生物質感受性データを得る手法は、しばしば時間がかかり(48−72時間)、厄介で、非常に熟達した人員を必要とし、あるいは高価な自動設備を必要とする。尿路感染症の症状を有する患者(特に、ネコおよびイヌ)は、しばしば、細菌学的な知見を考慮することなく治療されている。なぜならば、従来の培養法によって時間の遅れおよび厄介なアッセイ手法が必要となるからである。これにより、患者介護の質が妥協され、抗生物質の不適当な使用に起因する抗生物質耐性細菌の出現に寄与し得る。
【0008】
したがって、改善された微生物試験および抗生物質感受性試験、関連材料、および関連検定デバイスに対する要望が存在する。試験手法が当該試験を行うために非常に熟達した人員を必要とせず、かつ試験結果をより短時間で得られるように単純化させることができれば、尿路感染症に適当な治療様式を確認または選択するヘルスケア実践者の能力を助けるであろう。ヘルスケア実践者(医学または獣医学)による正確な抗菌剤感受性情報のより早期の入手により、より良好な患者介護となり、抗生物質の不適当な使用に起因する抗生物質耐性細菌の出現が予防されるであろう。
【0009】
さらに、発色性または蛍光性酵素基質を使用することが、種々の微生物診断適用において広く用いられている。Edberg(米国特許第4,925,789号)は標的細菌によって代謝されると色または他の検出可能な変化を培地に与える基(moiety)を放出する栄養インジケータを含有する培地を記載している。ChenおよびGu(米国特許第5,620,865号)は腸球菌検出用のマイクロ−特異的培地中に蛍光性化合物、4−メチルウンベリフェリル−β−D−グルコピラノシドを用いている。TownsendおよびChen(1995年6月7日に出願された米国特許出願番号08/484,593号)は、食物製品中の細菌汚染を検出するための蛍光性酵素基質カクテルの使用を記載している。Koumuraら(米国特許第4,591,554号)は、遊離したウンベリフェロン誘導体の量に基づいて微生物の数を検出および測定するための、4−メチルウンベリフェリル誘導体蛍光分析の使用を記載している。PerryおよびMillerは、病原酵母、カンジダ・アルビカンス(Candida albicans)を特異的に同定するために、ウンベリフェリル−コンジュゲート N−アセチル−β−D−ガラクトサミニドを使用している(J.Clin.Micro.(1987)25:2424−2425)。
【0010】
抗菌剤感受性測定の典型的な終点には、生物マトリクス、例えばブロスまたは寒天のいずれかにおける微生物増殖の直接的な視覚または機器認識が含まれる。UrbanおよびJarstrandはニトロブルーテトラゾリウム色素を用いて、抗生物質に対する細菌の感受性を判定している(J.Antimicro.Chem.(1981)8:363−369)。SENSITITRETMシステムは、抗菌剤感受性微小希釈トレイを自動的に判読することができる機器を用いる(J.Clin.Microbiol.(1985)22:187−191)。この手法においては、微生物増殖およびMICを、蛍光性基質に対する微生物酵素の作用によって生成される蛍光を測定することにより判定する。この群の微生物用の蛍光性基質は7−(N)−(アミノアシル)−7−アミド−4−メチルクマリン、4−メチルウンベリフェリル ノアネート(noanate)、4−メチルウンベリフェリル ホスフェートから選択されることが開示されている。Badalら(米国特許第5,457,030号)は、大部分の臨床的に重要なグラム陽性生物の抗菌剤感受性を判定するための混合物を形成するための、ロイシン−7−アミド−4−メチルクマリン、フェニルアラニン−7−アミド−4−メチルクマリン、および4−メチルウンベリフェリル ホスフェートよりなる蛍光性基質と所定量の抗菌剤との混合物の使用を開示している。
【0011】
これらの先行技術のアプローチは、すべて、同定および抗菌剤感受性試験に先立つ臨床検体から得られた細菌単離体のクローンの使用が含まれる。細菌培養物のコロニー、すなわちクローンは、生物検体から調製する場合、十分な期間増殖させた後に収集する。収集したコロニーは、生化学的同定および抗菌剤感受性試験用に、好適な水溶液中に懸濁する。
【0012】
全泌尿器感染症のうちの90−95%は単一のタイプの生物によって引き起されるが、汚染する通常の菌叢がしばしば患者の皮膚上または環境中に存在し、この生物が尿試料に対して不定の汚染を供し得る。尿検体中の汚染微生物叢は、ヒトにおける医学的実践に対して獣医学的実践において特に優勢であり;これは、獣医学的実践における検体採取は、動物で制御することがより困難となる傾向があるためである。一般的には、ネコおよびイヌの尿検体は、膀胱穿刺、カテーテル法、膀胱の手動圧迫および自然排尿を包含する多種の方法を介して得ることができる。膀胱穿刺が(細菌汚染を含む)顕微鏡的汚染を最も低くしか導入しないようである。膀胱の手動圧迫または自然排尿によって試料を収集する場合、“中間の尿流”試料を収集する努力をしてもなお、試料中の微生物汚染が予想される。膀胱穿刺が推奨されるが、動物を制御することにおける困難性に起因して、獣医学的実践においては他の方法もしばしば用いられる。尿検体の汚染を伴う問題点は、過去においては、尿路感染症の有効な抗菌剤療法の正確な評価を妨げていた。したがって、泌尿病原体(uropathogen)を汚染生物から識別するデバイスおよび関連する方法が必要である。
【0013】
発明の開示
総微生物の増殖を維持することができる生存生物制御培地を含む少なくとも1つのコンパートメント;標的微生物の増殖を選択的に維持することができる培地を含む少なくとも1つのコンパートメント;および、抗菌剤感受性解釈培地(antimicrobial susceptibility interpretation medium)を含む少なくとも1つのコンパートメントを含むマルチコンパートメント検定デバイスを開示する。総微生物の増殖を維持することができる培地は、総微生物を検出するための手段を含むことができ;該検出するための手段は、微生物酵素の作用によって基質から放出され得る検出可能な基を含む酵素基質を含むことができる。標的微生物の増殖を維持することができる培地は、標的微生物を検出するための手段を含むことができ;該標的微生物を検出するための手段は、微生物酵素の作用によって基質から放出され得る検出可能な基を含む酵素基質を含むことができる。該抗菌剤感受性解釈培地は、当該感受性解釈培地中で増殖または繁殖した微生物を検出するための手段を含むことができ;該検出するための手段は、微生物酵素の作用によって基質から放出され得る検出可能な基を含む酵素基質を含むことができる。総微生物の増殖を維持することができる培地、標的微生物の増殖を維持することができる培地、および抗菌剤感受性解釈培地は、各々、同一タイプの検出可能なシグナルを生成する手段を含む。該抗菌剤感受性解釈培地は、アモキシシリン、クラブラン酸/アモキシシリン、またはエンロフロキサシンを含むことができる。
【0014】
生物試料中の標的微生物の存在を検出し、同時に抗菌剤に対するかかる微生物の感受性を判定する方法を開示し、当該方法は:総微生物の増殖を維持することができる培地を含む少なくとも1つのコンパートメント;標的微生物の増殖を維持することができる培地を含む少なくとも1つのコンパートメント;および、抗菌剤感受性解釈培地を含む少なくとも1つのコンパートメントを含むマルチコンパートメント検定デバイスを供し;生物試料の一部を、総微生物の増殖を維持することができる培地を含む少なくとも1つのコンパートメント;標的微生物の増殖を維持することができる培地を含む少なくとも1つのコンパートメント;および、抗菌剤を含む抗菌剤感受性解釈培地を含む少なくとも1つのコンパートメントに各々入れる工程を含み;それによって、総微生物の増殖を維持することができる培地を含む少なくとも1つのコンパートメント中の生物の増殖が、試料中の細菌の存在を示し;標的微生物の増殖を維持することができる培地を含む少なくとも1つのコンパートメント中の生物の増殖が、試料中の標的微生物の存在を示し、抗菌剤感受性解釈培地を含む少なくとも1つのコンパートメント中の生物の増殖が、その生物がその抗菌剤に対する感受性を欠いていることを示す。該生物流体は尿、血液、唾液、脳脊髄液、傷からの流体、化学試料、または環境試料とすることができる。該標的微生物は、腸内細菌科;またはエスシェリキア・コリ、クレブシエラ種、エンテロバクター種、プロテウス・ミラビリス、プロテウス・ブルガリス、モルガネラ・モルガニ、プロビデンシア・レッテリ、アシネトバクター種。スタフィロコッカス・アウレウス、エンテロコッカス・ファーカリス、または連鎖球菌のごとき泌尿病原体とすることができる。
【0015】
少なくとも1つの抗菌剤感受性解釈培地を含むデバイスを供する工程は、アモキシシリン、クラブラン酸/アモキシシリン、またはエンロフロキサシンを含む抗菌剤感受性解釈培地を供することができる。
【0016】
総細菌生物の増殖を維持することができる培地を含むコンパートメント;標的尿道病原細菌の増殖を維持することができる培地を含むコンパートメント;アモキシシリンを含む抗菌剤感受性解釈培地を含むコンパートメント;アモキシシリンおよびクラブラン酸を含む抗菌剤感受性解釈培地を含むコンパートメント;および、エンロフロキサシンを含む抗菌剤感受性解釈培地を含むコンパートメントを含むマルチコンパートメント検定デバイスを開示する。
【0017】
本発明を行うための態様
定義
“微生物(microbeまたはmicrobial organism)”なる語は、生物試料中に存在し得るいずれの生物をも意図する。かかる生物には、限定されるものではないが、細菌および真菌類が含まれる。本発明の好ましい具体例は、生物試料中の細菌微生物を検出する。
【0018】
“腸内細菌科”とは、ペリチコウス・フラゲラ(perichichous flagella)によって運動性であるか、または非運動性の、内生胞子またはマイクロシスト(microcyst)を形成しない、酸−耐性ではないグラム陰性桿菌の群を意味する。これらの群の細菌は、酸素の存在または不存在下で増殖することができ、D−グルコースを唯一の炭素源として利用し、かつ酸および目視可能なガスを生成することができる。これには、限定されるものではないが、以下の属の微生物:エスシェリキア(Escherichia)、シゲラ(Shigella)、クレブシエラ(Klebsiella)、エンテロバクター(Enterobacter)、シトロバクター(Citrobacter)、プロテウス(Proteus)、サルモネラ(Salmonella)、プロビデンシア(Providencia)、モルガネラ(Morganella)、エルシニア(Yersinia)、エルビニア(Erwinia)およびハフニア(Hafnia)が含まれる。これらの細菌には、“Bergey's Manual of Systematic Bacteriology”(1989) (WilliamsおよびWilkins, U.S.A.)に記載されているか、または参照されているものが含まれる。
【0019】
“泌尿器病原体”または“泌尿病原体”とは、ヒトおよび獣医学的動物の尿路感染症を引起す細菌を意味する。かかる細菌には、限定されるものではないが、通常は腸管内に生息し、尿路で見出された場合にはしばしば尿路感染症の臨床的症状を生成する腸内グラム陰性桿菌(腸内細菌科)の群が含まれる。これらの細菌の例には、限定されるものではないが、(エスシェリキア・コリ、クレブシエラ種、エンテロバクター種、プロテウス・ミラビリス、プロテウス・ブルガリス、モルガネラ・モルガニ、プロビデンシア・レッテリ、およびアシネトバクター種のごとき)腸内グラム陰性細菌が含まれる。まれに、シュードモナス種(Pseudomonas spp.)、および特定のグラム陽性球菌(スタフィロコッカス・アウレウス(Staphylococcus aureus)、エンテロコッカス・ファーカリス(Enterococcus faecalis)およびストレプトコッチ(Streptococci))も泌尿器病原体となり得る。これらの語句は、まだ発見されていないが、後に同定されて当業者によってこの群に含められ得る属を排除することを意味するものではない。
【0020】
“主たるグラム陰性泌尿器病原体”とは、ヒトおよび獣医学的動物の尿路感染症の少なくとも85−90%を引起す細菌の群を意味する。これには、限定されるものではないが:エスシェリキア・コリ、クレブシエラ種、エンテロバクター種、およびプロテウス・ミラビリスが含まれる。この語句は、まだ発見されていないが、後に同定されて当業者によってこの群に含められ得る属を排除することを意味するものではない。
【0021】
“標的微生物(target microbeまたはtarget microbial organism)”なる語は、その存在または不存在を検出することが求められる微生物を意味する。例えば、それには、所与の生物試料中に存在することが疑われるいずれの種の主たる泌尿器病原体またはいずれの微生物も含まれる。
【0022】
“生存生物制御培地”なる語は、試験試料中に存在する総微生物の増殖を許容する培地を意味する。例えば、真菌類を検出する場合には、この培地を“総生真菌類培地”または“TVF”培地といい、特定の真菌類種に対して選択的ではない。細菌を検出する場合には、該培地は“総生存細菌培地”または“TVB培地”といい、試験試料中の細菌増殖を維持することができるいずれの培地も含まれ、特定の細菌種に対して選択的ではなく;例には、限定されるものではないが、当業者によって認識されるごとく、トリプチカーゼ−ソイ・ブロス、ブイヨンほかが含まれる。好ましい具体例において、“生存生物制御培地”は、多様な微生物種から細菌酵素(例えば、ホスファターゼ、β−グルコシダーゼ、およびL−アラニンアミノペプチダーゼ)を同定する能力を供することによって細菌増殖を検出する。好ましい具体例において、該生存生物制御培地は、“Method and Composition for Detecting Bacterial Contamination in Food Products”なる発明の名称で、TownsendおよびChenの発明者により1995年6月7日に出願された米国特許出願番号08/484,593号に記載されている培地である。好ましい具体例において、この語句には1またはそれを超える酵素基質を含有する培地が含まれる。該細菌酵素が同一の発光波長を有する検出可能なシグナルを示す蛍光基を遊離するため、該細菌酵素が同定される。この培地は多様な微生物からの種々の細菌酵素活性を合してより広い酵素活性スペクトルを創製し;広くなったスペクトルによって試験試料中の総細菌の検出が可能となることを利用している。この培地によって検出される微生物には、限定されるものではないが、グラム陰性泌尿器病原体(例えば、エスシェリキア・コリ、クレブシエラ種、エンテロバクター種、プロテウス・ミラビリス、シュードモナス・アエルギノーザほか)、グラム陽性病原体(スタフィロコッカス・アウレウス、エンテロコッチほか)、または尿検体中の他の潜在的に汚染している微生物叢が含まれる。
【0023】
“標的生物特異的培地”なる語句は、標的微生物の増殖または進行中の生育を選択的に維持することができる培地を意味する。標的生物が尿道病原細菌である場合、“標的生物特異的培地”は“泌尿病原体特異的培地”または“UTI培地”ということができる。
【0024】
“泌尿病原体特異的培地”または“UTI培地”は、主たる泌尿器グラム陰性病原体の増殖のみを許容し、生物マトリクスのいずれの他の細菌の増殖は実質的により低く許容する培地をいう。ある種の好ましい具体例において、この語句は、主たるグラム陰性泌尿器病原体以外の細菌の増殖を阻害または妨害することにつき特異的である1またはそれを超える選択化合物を含有する培地を含む。他の好ましい具体例において、それは、好ましくは主たる泌尿器グラム陰性病原体以外の微生物からの酵素によっていずれの実質的な程度まで加水分解されない1またはそれを超える酵素基質を含有する培地を含む。
【0025】
“抗菌剤感受性解釈培地”なる語句は、抗菌剤またはその組合せに対する検出した標的微生物の解釈のカテゴリー(例えば、感受性、適度な感受性、中位の耐性、または耐性)を許容する培地を意味する。これらの培地は、泌尿病原体特異的培地のごとき、標的生物特異的培地の全成分、ならびに所定量の抗菌剤からなる。例えば、標的微生物が尿道病原細菌である場合、該抗菌剤感受性解釈培地は抗生物質に対する標的生物の感受性を検出し;該抗菌剤感受性解釈培地は主たるグラム陰性泌尿器病原体に対する1またはそれを超える抗生物質の抗菌効力を検出することができる。
【0026】
“シグナル生成基質”とは、存在または増殖能力を検出することが求められる微生物の酵素または酵素群によって代謝され得る分子を意味する。これには、限定されるものではないが、加水分解可能な酵素基質または酸化還元色素が含まれる。酵素反応には、典型的には基質の1またはそれを超える共有結合を加水分解すること、または特異的な基質から受容体に還元当量を転移させることが含まれる。該基質は、典型的には、検出可能な基を含み、あるいは検出可能な化合物に変換され得る。1またはそれを超える微生物酵素によって代謝される際に、該基質は培地中に検出可能な基を生成する。好ましい具体例において、シグナル生成基質は、ホスファターゼ、アミノペプチダーゼ(例えば、L−アラニン アミノペプチダーゼまたはL−ロイシン アミノペプチダーゼ)、グルコシダーゼ、エステラーゼ、およびスルファターゼの発色性または蛍光性基質、ならびに(3'−{1−[(フェニルアミノ)−カルボニル]−3,4−テトラゾリウム}ビス(4−メトキシ−6−ニトロ)ベンゼンスルホン酸ナトリウム水和物(XTT)、2−(p−インドフェニル)−3−(p−ニトロフェニル)−5−フェニルテトラゾリウム クロリド(INT)、5−シアノ−2,3−ジトリル テトラゾリウム クロリド(CTC)、2,3,5−トリフェニルテトラゾリウム クロリド(TC)、およびレザズリン(resazurin)ほかのごとき)発色性または蛍光性テトラゾリウム化合物から選択される。このリストは、まだ発見されていないが後に同定されて当業者によってこのリストに含められ得るシグナル生成基質を排除することを意味するものではない。別の好ましい態様において、生存生物制御培地中に用いるシグナル生成基質は、4−メチルウンベリフェリル−ホスフェート、4−メチルウンベリフェリル−β−D−グルコシド、およびL−アラニン−7−アミノ−4−メチルクマリンである。さらなる好ましい具体例において、泌尿病原体特異的培地および抗菌剤感受性解釈培地で用いるシグナル生成基質は、4−メチルウンベリフェリル−ホスフェートである。
【0027】
“シグナル生成基”とは、栄養基と関連するか、または分離した別の基として存在し得る分子または物質を意味する。該シグナル生成基は、それが栄養基と関連(例えば、それに共有結合)した場合、または生物によって還元または代謝される前は、検出可能なシグナルを引起さず、または生成しない。しかしながら、生存標的微生物からの酵素または酵素群がシグナル生成基質を代謝すると、シグナル生成基が放出または形成されて、培地中に検出可能なシグナルを引起すかまたは生成することができる。好ましい具体例において、該検出可能な基は、外部エネルギー源によって適当に励起された場合に蛍光を生成し、発光する蛍光団、または好ましくは可視領域で(別法として、紫外線または赤外線スペクトルで)観察可能な色変化を生成する色原体である。シグナル生成基の例には、限定されるものではないが:4−メチルウンベリフェロン、オルト−ニトロフェニル、パラ−ニトロフェニル、パラ−ニトロアニリド、4−メトキシ−β−ナフチルアミド、7−アミド−4−クロロ−3−インドキシル、およびホルマザンほかが含まれる。さらなる好ましい具体例において、シグナル生成基は栄養基からの放出の際に同一タイプの検出可能な蛍光シグナルを生成し、培地中の蛍光の変化を引起す。
【0028】
“検出可能なシグナル”とは、当業者に知られている物理学的、化学的または生物学的手段によって観察可能または測定可能である、培地または試料中の特徴的な変化を意味する。かかる検出可能なシグナルは、化学的、視覚的、触覚的または嗅覚的手段によって検定することができる。例えば、特定の波長における可視光もしくは非可視光または電波の放射または吸収、導電性、ガスの放出、混濁または臭気における変化。検出可能なシグナルは、固体、液体および気体間のごとき物理状態における変化とすることもできる。該検出可能なシグナルは、測定可能であるpHにおける変化のごとき化学変化を生成することができる。典型的には、検出可能なシグナルは視覚的に測定し:好ましい具体例において、検出可能なシグナルは培地の蛍光または色発光における変化を含む。
【0029】
“接種”なる語句は、試験試料を本発明の培地と混合する時点を意味する。
“マルチコンパートメント化デバイス”とは、多数の個々のコンパートメントを含むデバイスを意味する。
“有効量の栄養”なる語句は、標的微生物の増殖または繁殖を許容または促進する範囲内の量の栄養である。すなわち、標的微生物または他の生物を培地に順応させ、代謝をつづけさせ、または繁殖に必要な構成物を合成させ、かつつづいて繁殖することを許容する量である。
【0030】
“有効量の試験抗生物質”なる語句は、微生物の連続した増殖または繁殖を妨害または排除するのに十分である範囲内の量の抗生物質を意味する。
“ビタミン”、“アミノ酸”、“微量元素”および“塩”なる語句は、当業者によって各カテゴリーに分類される(有機であろうと無機であろうと)すべての分子、化合物および物質を包含することを意味する。これらのカテゴリーの組合せは、微生物の生命を維持するために必要であるか、またはそれに資することができるいずれの物質をも包含することを意図する。
【0031】
“試験試料”または“生物試料”とは、尿、血液、唾液、脳脊髄液、傷からの流体、感染のサイト(sight)からの流体もしくは物質、または化学もしくは環境試料のごとき生物試料の画分、アリコト、液滴、一部または体積を意味する。該試料は、ヒト、イヌ、ネコ、またはウマのごとき患者源、あるいは他の源から採取することができる。試験試料は、限定されるものではないが、“Manual of Clinical Microbiology”(第6版)1995年、P. R. Murray, E.J.Baron, M.A. Pfaller, F. C.TenoverおよびR. H. Yolken編に記載または参照されているごとき技術を包含する当業者に知られている技術を用いて、源から採取することができる。
好ましい具体例において、尿検体は、限定されるものではないが、膀胱穿刺、カテーテル法、膀胱の手動圧迫および自然排尿を包含する多種の方法によって尿路感染症に罹っていると疑われるネコまたはイヌから得ることができる。
【0032】
発明を実施する様式
本発明は、尿検体から直接試験した尿路病原体について1またはそれを超える抗生物質の抗生物質感受性(例えば、感受性、適度な感受性、中位の耐性、または耐性)を判定するためのデバイスおよび方法を含む。本発明の態様は、試料中のいずれかの汚染微生物叢によって引起される妨害を考慮に入れる。
【0033】
本発明は、尿または試料のごとき、ヒトまたは獣医学的動物の試料からの直接的な大部分のグラム陰性尿路病原体に関する抗生物質感受性の直接検出およびカテゴリー解釈を行うための微生物学的方法、組成物および器具を含む。
好ましい具体例において、本発明によるデバイスには、一連のウェルが含まれ、各ウェルにはそれに試験培地を適用する吸収パッドが含まれる。有利には、該パッドはウェル間の交差−汚染が防がれるように液体試料を含有することができ、したがって誤った結果の危険性が低下する。
【0034】
別の好ましい具体例において、該試験デバイスの一連のウェルに適用される特異的試験培地には、TVB培地、泌尿病原体特異的培地、および一連の抗菌剤感受性解釈培地が含まれる。抗菌剤感受性解釈培地試験シリーズは、限定されるものではないが、アモキシシリン、エンロフロキサシン、クラブラン酸/アモキシシリン、セファロシン(cephalothin)[セファロシン検定は、セファロシン、セファプリン(cephaprin)、セフラジン(cephradine)、セファレキシン(cephalexin)、セファクロール(cefaclor)およびセファドロキシル(cefadroxil)の効力を示すためにしばしば用いられる(NCCLS Antimicrobial Susceptibility Testing/SC3,1996年1月)]、ゲンタマイシン、およびクロラムフェニコールほかの抗菌効力についての試験から選択することができる。好ましくは、主たる泌尿器病原体用の抗菌剤感受性解釈培地シリーズには、アモキシシリン、エンロフロキサシン、クラブラン酸/アモキシシリン、またはセファロシンの効力についての試験が含まれる。
【0035】
本発明により、ヒトまたは獣医学的動物の尿路感染症について有効な抗細菌療法を判定する方法における改善が提供される。好ましくは、本発明は、単一工程で主たる泌尿器病原体を検出でき、検出した泌尿器病原体に対する選択した抗生物質の抗細菌効力を判定することができる一連の微生物培養培地を結合し、ここに、感染症に罹っていると疑われる患者から得た尿検体(すなわち、UTI)を、1またはそれを超える加水分解可能な蛍光または発色シグナル生成基質を含有する一連の微生物増殖培地に添加し;該一連の増殖培地にはTVB培地、泌尿病原体特異的培地、および抗菌剤感受性解釈培地シリーズが含まれる。望むなら、これらの試験材料およびプロセスは、ある種の症例においては、病原体の正確な同定および定量的な抗菌剤感受性情報が確認のために後に得られるように、従来の微生物培養を続けられるように準備することもできる。
【0036】
実施例
実施例1
この実施例は、該尿路感染検定デバイス用のUTI培地の調製を説明する。
該培地当業者にく知られた技術に準じて処方する。該UTI培地は、以下の試薬を表1に示した濃度にて含有する。
【0037】
【表1】
Figure 2001519167
【0038】
尿路感染している疑いのある動物から集した総計で303のネコおよびイヌの尿検体を泌尿病原体特異的培地で試験した。該尿検体の50μlアリコートを10mlの滅菌塩類溶液(0.85% NaCl溶液)に添加した。100μlの希釈尿検体を該尿路感染デバイス内の尿病原体特異的培地に添加し;次いで、該デバイスを35℃にて24時間インキュベートした。
【0039】
比較として、伝統的な微生物学的培地および細菌同定技術を用いた。1μl尿検体の一部を血液寒天プレート上にストリークし;次いで、該プレートを35℃にて24〜48時間インキュベートした。次いで、陽性培養(微生物増殖を示したプレート)を継代培養し、生化学的同定に付して単離した培養の同を得た。
該実験の結果を表2にまとめる。これらの結果は、該泌尿病原体特異的培地が94.8%の陽性予測値、99.2%の陰性予測値および98.3%の総合的確度を有することを示した
【0040】
【表2】
Figure 2001519167
【0041】
実施例2
この実施例は、該尿路感染検定デバイス用のアモキシシリンを有する抗菌剤感受性解釈培地の調製を説明する。
該培地当業者にく知られた方法に準じて処方する。該培地は、8mg/リッターの濃度にてアモキシシリンを有するUTI培地を含む。
尿路感染している疑いのある動物から集した総計で303のネコおよびイヌの尿検体を「AMO」培地で試験した。該尿検体の50μlアリコートを10mlの滅菌塩類溶液(0.85% NaCl溶液)に添加した。100μlの希釈尿検体を該尿路感染デバイス内の「AMO」培地に添加し;次いで、該デバイスを35℃にて24時間インキュベートした。
【0042】
比較として、伝統的な微生物学的培養、細菌同定技術および抗菌剤感受性試験を行った。1μl尿検体の一部を血液寒天プレート上にストリークし;次いで、該プレートを35℃にて24〜48時間インキュベートした。次いで、陽性培養(微生物増殖を示したプレート)を継代培養し、生化学的同定に付して単離した培養の同を得た。グラム陰性泌尿病原体(Escherichia coli、 Klebsiella spp.、 Enterobacter spp.、および Proteus spp.)のアモキシシリン感受性、標準カービー‐バウアー(Kirby-Bauer)抗菌剤感受性検定によって行った
【0043】
該実験の結果を表3にまとめる。これらの結果は、Klebsiella spp.、 Enterobacter spp.、 および Proteus spp.を予想することにおいて、AMO培地が従来の抗菌剤感受性試験に相当することを示した。これら二つの方法の間の統計学的一致は96.6%であった。
【0044】
【表3】
Figure 2001519167
【0045】
実施例3
この実施例は、該尿路感染検定デバイス用のアモキシシリン/クラブラン酸(AMC)(例えば、Clavamox R, Pfizer)を有する抗菌剤感受性解釈培地の調製を説明する。
該培地当業者にく知られた技術に準じて処方する。該培地は、12mg/リッターの濃度にてアモキシシリンと6mg/リッターの濃度にてクラブラン酸とを有するUTI培地を含む。
【0046】
尿路感染している疑いのある動物から集した総計で303のネコおよびイヌの尿検体を「AMC」培地で試験した。尿検体の50μlアリコートを10mlの滅菌塩類溶液(0.85% NaCl溶液)に添加した。100μlの希釈尿検体を該尿路感染デバイス内の「AMO」培地に添加し;次いで、該デバイスを35℃にて24時間インキュベートした。
比較として、伝統的な微生物学的培養、細菌同定技術および抗菌剤感受性試験を行った。1μl尿検体の一部を血液寒天プレートにストリークし;次いで、該プレートを35℃にて24〜48時間インキュベートした。次いで、陽性培養(微生物増殖を示したプレート)を継代培養し、生化学的同定に付して単離した培養の同を得た。該グラム陰性泌尿病原体(Escherichia coli、 Klebsiella spp.、 Enterobacter spp.、および Proteus spp.)のアモキシシリン/クラブラン酸の感受性を標準カービー‐バウアー抗菌剤感受性検定によって行った
【0047】
該実験の結果を表4にまとめる。これらの結果は、該グラム性泌尿病原体(Escherichia coli、 Klebsiella spp.、 Enterobacter spp.、および Proteus spp.)を阻害することにおける、アモキシシリン/クラブラン酸の効力を予測することにおいて、AMC培地が従来の抗菌剤感受性試験に相当することを示した。これら2つの方法の間の統計的一致は91.4%であった。
【0048】
【表4】
Figure 2001519167
【0049】
実施例4
この実施例は、該尿路感染検定デバイス用のエンロフロキサシンを有する抗菌剤感受性解釈培地の調製を説明する。
該培地当業者にく知られた技術に準じて処方する。該培地は、2.0mg/リッターの濃度にてエンロフロキサシン(ENR)を有するUTI培地を含む。
尿路感染している疑いのある動物から集した総計で303のネコおよびイヌの尿検体を「ENR」培地で試験した。尿検体の50μlアリコートを10mlの滅菌塩類溶液(0.85 NaCl溶液)に添加した。100μlの希釈尿検体を該尿路感染デバイス内の「ENR」培地に添加し;次いで、該デバイスを35℃にて24時間インキュベートした。
【0050】
比較として、伝統的な微生物学的培養、細菌同定技術および抗菌剤感受性検定を行った。1μl尿検体の一部を血液寒天プレートにストリークし;次いで、該プレートを35℃にて24〜48時間インキュベートした。次いで、陽性培養(微生物増殖を示したプレート)を継代培養し、生化学的同定に付して単離した培養の同を得た。該グラム陰性泌尿病原体(Escherichia coli、 Klebsiella spp.、 Enterobacter spp.、および Proteus spp.)のエンロフロキサシンの感受性は、標準カービー‐バウアー抗菌剤感受性検定によって行った
【0051】
該実験の結果を表5にまとめる。これらの結果は、該グラム陰性泌尿病原体(Escherichia coli、 Klebsiella spp.、 Enterobacter spp.、および Proteus spp.)を阻害するエンロフロキサシンの効力を予測することにおいて、AMC培地が従来の抗菌剤感受性試験に相当することを示した。これら二つの間の統計学的一致は94.8%であった。
【0052】
【表5】
Figure 2001519167
【0053】
実施例5
この実施例は、該尿検定デバイス用のセファロシン(CR30)を有する抗菌剤感受性解釈培地の調製を説明する。
該培地当業者にく知られた技術に準じて処方する。該培地は、32mg/リッターのセファロンを有する泌尿病原体特異的培地を含む。
Escherichia coli ATCC 25922、Klebsiella pneumoniae、Enterobacter cloacae ATCC 13047およびProteus mirabilisを含む代表的な主たるグラム陰性泌尿病原体を用いて、標準ミュラー‐ヒントン(Muller Hinton)ミクロ希釈抗菌剤感受性[NCCLS Antimicrobial Susceptibility Testing/SC3, January, 1996]に対する反応におけるCR30培地中のセファロシンの抗菌効力定した。セファロシンを、標準ミュラー‐ヒントンブロス(MHB)中およびCR30培地(CR30M)中の両方において以下の濃度:128、64、32、16、8、4、2および0mg/リッターにて調製した。各レベルの接種において用いた細菌接種物は1〜5×104cfu/100μlであった。該検定は、ミクロリッターウェル中で35℃にて18時間行った。
【0054】
該実験の結果を表6にまとめた。標準ミュラー‐ヒトンブロス[Manual of Clinical Microbiology, 6th ed. 1995; ASM Press]によって測定し、該生が≧32μg/mlのMICを有すればセファロシンに対して「耐性」、該MICが16μg/mlならば「中位の耐性」、および該MICが8μg/mlならば「感受性」であると、該細菌を定義する。この実験の結果は、標準ミュラー‐ヒトンブロスおよび本発明による抗菌剤感受性解釈培地(CR30)によって測定し、セファロシンに対してE. coli、K. pneumoniaeおよびP. mirabilisが感受性であり、E. cloacaeが耐性であることを示した。
【0055】
【表6】
Figure 2001519167
【0056】
実施例6
現在のところ好ましい具体例において、本発明は5つの試験ウェルの一式を有するデバイスを含む。各ウェルは、標的細菌およびそれらの各抗菌剤耐性パターンの検出用の蛍光性酵素基質と連結した特異的培地を含む。該ウェルは、それらの中で細菌が増殖したときに蛍光信号を発する。
該ウェルを、総生存細菌「TVB」ウェル、主たるグラム陰性尿路感染生物「UTI」ウェルと呼び、および抗菌剤感受性培地を含有する個々のウェルであって、抗生物質である、アモキシシリンを有するものを「AMO」、クラブラン酸/アモキシシリン(Clavamox R)を有するものを「AMC」、またはエンロフロキサシン(Baytril R)を有するものを「ENR」と呼ぶ。
【0057】
該総生存細菌「TVB」ウェルは、それが蛍光発光するとき、該尿試料中に細菌が存在することを示す。「UTI」ウェルは、該一般的なグラム陰性泌尿病原体(E. coli、KlebsiellaまたはEnterobacter spp.、およびP. mirabilis)が尿試料中に存在するときに蛍光発光する。該抗菌剤感受性培地ウェル、例えば、「AMO」、「AMC」および「ENR」ウェルは、それぞれのウェルに抗生物質である、アモキシシリン、クラブラン酸/アモキシシリン(AMC)(例えば、Clavamox R)、およびエンロフロキサシン(BaytrilR)を有する試薬混合物を含有する。
【0058】
もし、UTIウェルにおいて増殖があり、インキュベーション期間後蛍光発光しない抗生物質ウェルが1以上あるならば、これは、該泌尿病原体が該各試験ウェル中の抗生物質に対して感受性であること、すなわち、該細菌はこのウェル内では増殖していないことを示す。このような結果は、該試験抗生物質が該尿路感染の治療に対して好ましい選択であることを示唆する。該細菌が該抗生物質に対して耐性である場合、該ウェルは蛍光発光し、該試験抗生物質は治療に対して好ましい選択ではないことを示唆する。
表7は好ましい具体例の使用についての典型的なデータを表す。
【0059】
【表7】
Figure 2001519167
【0060】
好ましい具体例において、抗菌剤感受性培地のうちの1つは、アモキシシリンを含有し、第2のものはアモキシシリンおよびクラブラン酸の組合せを含有し、第3のものはエンロフロキサシンを含有した。当該ウェル間の蛍光の発生を比較することにより、主たるグラム陰性泌尿病原体が存在するか、およびそうであれば、これらの抗生物質に対する感受性を決定した。
【0061】
実施例7
4つの尿試料を用いて、実施例6に記載のごとく調製した4つの異なるデバイスを接種した。合計303のネコおよびイヌの尿検体を尿路感染に罹っていることが疑われる動物から収集し、それを「AMO」培地で試験した。尿検体の50μlのアリコートを10mlの滅菌塩類溶液(0.85% NaCl溶液)に添加した。100μlの希釈尿検体を尿路感染デバイス中の個々の試験ウェルに添加し;次いで該デバイスを35℃にて24時間培養した。
各デバイスでは、18時間のインキュベーション期間後、該ウェルを蛍光の発生につき調べ、主たる泌尿病原体の存在、および使用した抗菌剤に対するそれらの感受性についての結論を得た。
【0062】
試料1において、TVBウェルおよびUTIウェルは共に蛍光を発生したが、抗菌剤ウェルには発生したものはなかった。これらの結果は、3つの全ての抗菌剤に感受性である主たるグラム陰性泌尿病原体が存在することを示す。この場合には、例えば、保健医療医は、好ましくは3つの薬物療法のうちの最低経費の代替法で治療するであろう。
【0063】
試料2は、TVBウェル、UTIウェル、AMOおよびAMCウェル中に蛍光を示したが、ENRウェルにおいては蛍光を示さなかった。これらの結果は、アモキシシリンおよびクラブラン酸/アモキシシリン(例えば、クラバモック(Clavamox))の双方に耐性であるが、エンロフロキサシンに感受性である主たるグラム陰性泌尿病原体が存在することを示す。従って、保健医療医はわずか18時間のうちに、アッセイした3つの抗菌剤のうち唯一有効な治療の選択肢がエンロフキサシンであることを知るであろう。時間およびお金は、生物が感受性でない抗生物質で治療されることにおいて浪費される必要はない。また、この実施例は、微生物の新しい耐性株の発生が最小数の可能な抗生物質にのみ、および感受性であるものにのみ生物を曝露することによって防止されるというさらなる利益を示す。
【0064】
試料3は、TVBウェル、UTIウェルおよび3つの全ての抗菌剤ウェルにおいて蛍光を示した。これらの結果は、主たるグラム陰性泌尿病原体が3つの全てのアッセイした抗生物質に耐性であることを示す。この場合には、保健医療医は、わずか18時間のうちに、もう一つの治療方針を探さなければないこと、および尿試料をさらなる確認試験のために試験所に送付して、他の抗生物質に対して、単離した泌尿病原体の抗菌剤感受性の全スペクトルを得るべきであること、または定量的抗菌剤感受性試験を行うべきことを知る。生物が耐性である抗生物質で治療するための時間を浪費せず、耐性株の存在の迅速な理解は、患者を有効な治療方針でより直ちに治療されるのを可能とする。従って、さらなる利益は、患者のさらなる辛苦が最小化されることにある。
【0065】
最後に、試料4はTVBウェルにおいてのみ蛍光を示した。TVBウェルが蛍光を示すので、当該アッセイは有効である。UTIウェルが蛍光を示さないという事実は、主たるグラム陰性泌尿病原体が存在しないことを示す。この状況は、主たる泌尿病原体のうちの1つではない生物によって、または尿試料の汚染があった状況によって引き起されたUTIと一致する。次いで、保健医療医は、もう一つの尿試料を獲得でき、または微生物試験所に最初の試料を送付することができる。
【0066】
実施例8(耳感染)
この実施例は、如何に本発明の好ましい具体例を用いて、耳感染に関連する主たる生物を検出し、抗菌剤に対するかかる生物の感受性を測定するかを説明する
【0067】
この具体例は、総生存生物「TVB」ウェルおよび3つの主たる耳感染生物(「EIO」)ウェルを含み、1つは主たるグラム陽性耳感染生物(例えば、Staphylococcus spp.)(EIO−S)の増殖を選択的に持続できる培地を含有し、もう一つは主たるグラム陰性耳感染生物(例えば、Pseudomonas spp.)(EIO−P)の増殖を選択的に持続できる培地を含有し、第3の培地は、酵母病原体の検出のためにCandida(CI)の増殖を選択的に持続できる培地を含む。また、抗菌剤感受性培地を含む個々のウェルが供給される。EIO−SおよびEIO−P関連のウェルでは、これらの抗菌剤ウェルは、抗生物質ゲンタマイシン「GEN」およびエンロフロキサシン(BaytrilR)「ENR」を含有する。CI関連のウェルでは、抗菌剤ウェルは、Tresderm「TRE」およびOdemax「ODE」を含有する。従って、合計10種のウェルがこの具体例において提供される。
【0068】
総生存生物「TVB」制御ウェルにおける蛍光は、試料中の非特異的な細菌および真菌の存在を示す。EIO−SおよびEIO−Pウェルは、培地が選択する耳感染と関連する一般的なグラム陰性またはグラム陽性病原体(Staphylococcus spp.またはPseudomonas spp.)が各々試料に存在する場合に、蛍光を発する。「CI」ウェルは、酵母が試料中に存在する場合に蛍光を発する。「GEN」、「ENR」、「TRE」および「ODE」ウェルは、その抗菌剤に耐性である生物が試料中に存在する場合に蛍光を示し、感受性生物が存在する場合に増殖が生じないので蛍光を発しない。
【0069】
例えば、試料を各ウルに存在させ、18−24時間インキュベートする。蛍光は、TVOウェル、EIO−SウェルおよびGENウェルにおいて示される。EIO−PウェルまたはCIウェル、もしくはそれらに関連した抗菌剤ウェルのいずれにおいても蛍光は示されない。これらの結果は、エンロフロキサシンに感受性であるがゲンタマイシンに耐性であるグラム陽性Staphylococcus spp.群からの病原体の存在を示す。
【0070】
実施例9(皮膚感染)
もう一つの好ましい具体例において、本発明を用いて皮膚感染に関連した主たる生物を検出し、抗菌剤に対する生物の感受性を決定する。
この具体例は、総生存生物「TVB」ウェル、主たる皮膚感染生物(「SIO」)ウェルおよび抗生物質セファロチン「CR30」、エンロフロキサシン(BaytrilR)「ENR」およびケフックス「KEF」を含む抗菌剤感受性培地を含有する個々のウルを含む。
【0071】
総生存生物「TVB」ウェル中の蛍光は、皮膚からの試料中に細菌の存在を示す。皮膚感染と関連した一般的な病原体が試料中に存在する場合に「SIO」ウェルは蛍光を発する。「CR30」、「ENR」および「KEF」ウェルは、それらのウェル中に、各々、抗生物質セファロチン、エンロフロキサン(BaytrilR)またはケフレックスを含む抗菌剤感受性培地を含有する。
【0072】
TVB、またはTVBおよびSIOウェルにおいて増殖があれば、インキュベーション期間後に蛍光を発しない他のウェルは、細菌がそのウェル中で増殖せず、かくして存在する病原体はその各々の試験ウェル中の抗生物質に感受性であることを示す。従って、その抗生物質は皮膚感染ための潜在的な治療方針として示されるが、ウェル中の蛍光は抗生物質の存在にも拘らず病原体が増殖し、生物がこの抗生物質に耐性であることを示す。
【0073】
例えば、各ウェルは、皮膚感染からの生物学的試料のアリコートで接種する。18時間のインキュベーション期間後、ウェルを蛍光の発生につき調べる。蛍光がTVBウェル、SIOウェルおよびCR30ウェル中で判明したならば、これはセファロチンに耐性である主たる皮膚感染生物が存在することを示す。従って、保健医療医は、エンロフロキサンおよびケフレックス間の最低費用の代替物を自由に選べる。同様に、蛍光がTVBウェル、SIOウェル、ならびにCR30およびKEFウェルの双方中で判明するならば、これは主たるグラム陰性皮膚感染生物が存在し、それはセファロチンおよびケフレックの双方に耐性であることを示す。従って、保健医療医は、感染を引き起こす生物の耐性パターンをわずか18時間のうちに知り、この場合にはエンロフロキサンが有効な治療の選択肢であることを知る。
【0074】
従って、生物が耐性である抗生物質で治療するために時間は浪費されず、耐性株の存在の迅速な理解が患者を有効な治療方針でより直ちに治療するのを可能とする。かくして、さらなる利益は、患者のさらなる辛苦を最小化することである。
【0075】
実施例10(一般的)
他の好ましい具体例において、本発明を用いて多くのタイプの感染と関連した生物の存在および感受性を決定する。これらの生物は、細菌、原生生物および真菌を含めたいずれの生物でもよく、限定されない。これらの具体例は、一連の試験ウェルを有するデバイスを含む。各ウェルは、発蛍光基質、比色定量基質、または酵素変化に際してのpHのごとき化学的パラメーターにおける変化を与える基質のごとき、鋭敏なシグナルを達成するための酵素手段と結合した特異的な培地を含む。酵素手段は、かかる酵素手段がそのタイプの感染に一般的に関連した各々の抗生物質耐性および感受性パターンを持つ抗菌剤感受性培地中に含まれる場合に、注目する特定のタイプの感染の標的生物の検出を達成する。かかるウェルは、生物がそれの中で増殖する場合に(例えば、蛍光的、比色定量的または化学的な)鋭敏なシグナルを生じる。
【0076】
これらの具体例は、総生存生物「TVB」ウェル、主たる病原体生物(「PPO」)ウェル、およびかかる感染の治療および対象生物に特殊な耐性パターンに一般的に関連した抗菌剤を含む抗菌剤感受性培地を含有する個々のウェルを含む。これらの抗菌剤を有効な治療と関連した理由につき厳密に選択して、生物の耐性株の発生を避けることに関連した理由、またはいずれかの値を供するために選択した理由で、より経済的な治療方針を調査できる。
【0077】
色の変化は、好ましい鋭敏なシグナルとして記載されるであろう。総生存細菌「TVB」制御ウェルにおける色の変化は、試料中に微生物の存在を示す。特定のタイプの感染に関連した一般的な病原体が試料中に存在する場合に、「PPO」ウェルは色変化させる。PPOについての選択培地を調製して、当該分野において知られた技術により特定のタイプの感染の病原体を検出するであろう。色を変化させる抗菌剤ウェルは、当該ウェル中に存在する抗菌剤に耐性である標的生物が試料中に存在することを示す。色を変化させないウェルは、生物が当該ウェル中に存在する抗菌剤に感受性であることを示す。従って、保健医療医は、わずか18時間のうちに得られた重要でかつ正確な情報で感染の治療を調節できる。感染治療は、感染している生物に対して有効である抗菌剤に殆ど直ちに集中できる。患者は、生物が耐性である薬剤で治療するために時間を浪費する必要がないために早く感染からの軽減を得る。さらにまた、感染生物の新しい耐性株の発生は、感染生物が最小数の抗菌剤に曝露されるために防止される。
【0078】
従って、本発明は多くの具体例を獲得でき、広範囲に適用して、種々の異なる感染と関連する特定のタイプの生物につき、その検出および治療の選択肢を調査できる。
従って、本発明は、多数の抗生物質および/または複数の試料の試験を可能とする、いかなる数のウェルも有するデバイスを含み得る。これは、高価な抗生物質および最大の成功の見込みを有するものだけでなく、感受性も判明し得る安価な薬物を試験することによって、治療費用を低減する目標に到達するのにとりわけ有用である。また、これは、保健医療医が絶対的に必要な場合にのみ、より新しい強力な抗生物質に応戦でき、これらの新しくかつ高価な薬物に対する新しい耐性細菌株の発生を防止するさらなる目標に到達させる。
【0079】
終わりに
本明細書中および添付の請求の範囲に用いられた、単数形の「ある」、「および」および「当該」は文脈が明確に特記しない限り、複数の指示物を含むことに注意しなければならない。かくして、例えば、「ある製剤」なる引用は、異なる製剤の混合物を含み、「当該治療方法」なる引用は、当業者に知られた等価な工程および方法の引用などを含む。
【0080】
特記しない限り、本明細書に用いた全ての技術用語および科学用語は、本発明が属する当該技術分野における当業者によって通常理解されるのと同一の意味を有する。本明細書に記載されたものの同等物に類似するいずれの方法および物質も本発明の実施または試験において用いることができるが、好ましい方法および物質が現在記載されている。本明細書に言及した全刊行物および文書を十分に出典明示して本明細書の一部とみなす。
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