JP2001512562A - 原子炉の燃料集合体におけるばねが固定されたスペーサ - Google Patents

原子炉の燃料集合体におけるばねが固定されたスペーサ

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Abstract

(57)【要約】 燃料集合体において格子目(206)の細長いばね(5)は、ばね形状を選定する際に構造的な自由が存在しばね材料が少量で済むように保持されている。ばねの上端(301)における両側縁(302、303)は、それらが帯板(201)にある組立開口(304)を貫通して隣の格子目(208)の中に突出するように燃料集合体の中心軸線を中心として格子目から曲げ出されている。これらの両側縁(302、303)は形材片で組立開口(304)の縁をほぼかみ合い結合的に包み込んでいる。ばねの下端も外向きに曲げられた両側縁にある形材片を介して同様に帯板に保持されている。その場合、隣接する格子目の中に突出する二つのばね(110、111)は同じ組立開口の中に固定される。

Description

【発明の詳細な説明】 原子炉の燃料集合体におけるばねが固定されたスペーサ 本発明は、請求の範囲第1項または第7項の前文に記載の軽水冷却形原子炉に おける燃料集合体のスペーサに関する。 強い冷却水流に曝される燃料集合体において燃料棒は激しく振動させられる。 この振動を減衰し、機械的損傷を防止し、熱力学的な安全間隔を保つために、燃 料棒は格子状スペーサの格子目の中で横方向から支持されている。このスペーサ は一般に縦横に交差する帯板で形成された多数の正方形の格子目を有し、各格子 目はその中に挿入された燃料棒を横方向から支持するばねを含んでいる。 米国特許第3679546号明細書において縦横に交差する帯板で形成された スペーサが知られている。その各格子目内の燃料棒は燃料棒の中心軸線に対して 平行に延びる細長い板ばねから成るばねで接触支持されている。この板ばねは縦 断面ほぼC形をしており、その弾性中央部分は、燃料棒の中心軸線に関して上側 および下側が凸状湾曲部を介してばね終端片に移行し、それらのばね終端片は格 子目を形成する帯板の燃料棒側内側面に沿って延び、これに接触支持されている 。これらのばね両終端片にはそれぞれ燃料棒に対して直角に延びる組立スリット が付属し、ばね両終端片の先端はそれらが組立スリットを貫通して帯板の背面に も接するように曲げられている。 各ばねは作動位置において格子目側面のほぼ中央に位置している。ばねは作動 位置から横に、即ち組立スリットに沿って組立位置に移動できる。その際に組立 スリットはこの個所において拡大開口部分に移行しているので、ばね終端片の曲 げられた先端はこの拡大開口部分にはめ込めんだりそこから取り出すことができ る。 ばねの意図しない変位を防止するために、ばねの凸状湾曲部はばねの作動位置 において帯板にある開口の中に突出する突起として形成されるが、この湾曲部は ばねを組立分解するために帯板壁から離れる方向に曲げねばならない。 燃料棒の最適な支持にとって必要なばね力を与えるために特にばね材料が必要 であるが、ばね材料はしばしば原子炉内における核分裂反応を維持するために必 要である中性子に対して大きな吸収性を有する。この公知のばねは非常に少ない 材料で済ませられるが、必要なばね力は特殊な材料でしか得られない。 ヨーロッパ特許出願公開第0527244号明細書により、同様に断面C形を したばねが知られているが、これは「ダイアゴナル(対角線)ばね」として形成 され、即ちこれは格子目の側面から帯板に対して垂直に格子目の中に突出するの ではなく、二つの帯板が交差する格子目角から対角線方向に突出している。この ためにC形ばねのばね脚(ばね終端片)は、両側に燃料棒に対して垂直に延びる 長い舌片を有し、これらの両側舌片は実際には格子目角にはまり込む直角三角形 の形に形成されている。すべての舌片は二つの帯板のうちの一方の帯板にある組 立開口を貫通し、その帯板の組立開口に保持され、他方の帯板に接触している。 これらの固定舌片は非常に多くの材料を必要とし、このことは中性子吸収の観 点からも、また振動するばねの固有振動の観点からも不利である。米国特許第3 679546号明細書におけるばねに比べて、そのような二つのダイアゴナルば ねは並んで位置する二つの格子目の隣接する角に突出する二重ばねの形に組み合 わせられるという利点があるが、いずれの場合も、そのような二つのばねを共通 の一つの帯板の中央に、両ばねがこの帯板から隣接する二つの格子目の中に突出 するように、格子目壁にばねを固定することは許されない。 本発明の課題は、ばねを格子目壁に固定するために特に僅かな材料しか必要と せず、ばねの形状についての構造的制限も伴わないようなばねを見い出すことに ある。むしろ本発明は、ばね形状を原子炉のその都度の要件に合わせることがで き、即ち特に上述の刊行物で知られているC形も利用できるように、ばね固定方 式に柔軟性が得られるようにしようとしている。 この課題を解決するために本発明は請求項1の特徴事項を備えた第1の実施形 態のスペーサを提案する。 この本発明に基づくスペーサにおけるばねは、燃料棒の中心軸線に関して、上 下にそれぞればね終端片が続いている燃料棒に面した弾性中央部分を有している 。米国特許第3679546号明細書の場合、上下のばね終端片における燃料棒 に対してほぼ垂直に延びる幅狭い縁が、それに対応した組立開口内にはめ込まれ 、帯板の縁を抱き込む形材片の形に曲げられているだけである。これに対して本 発 明の場合、上下のばね両終端片はそれぞれ突出した両側縁を有し、これらの両側 縁が形材片の形に曲げられ、即ちばねを保持するために全部で4個の形材片が生 じている。従ってその両側縁は燃料棒の中心軸線に対してほぼ平行に延び、反燃 料棒方向に曲げられている。 ばねの上下の終端片の両側縁にある形材片は、スペーサが組み立てられた状態 において、即ちばねの作動位置において、各形材片の内側形材片部分が格子目を 形成する帯板の燃料棒側内側面に接触支持され、各形材片の外側形材片部分が帯 板の組立開口のスリット状開口部分を貫通して突出している。この外側形材片部 分はそれぞれのスリットの先端において帯板縁を包み込んでいる。 4個の形材片に応じて4個のスリット状開口部分が設けられる。これらはばね の作動位置に対して横にずれた帯板の個所に存在する拡大開口部分に通じている 。ばねはこの横にずれた個所(ばねの組立位置)ではめ込まれる。そのために各 スリット状開口部分は、ばね終端片の両側にある形材片の外側部分がばねの組立 位置において組立開口の中にはめ込めるように、拡大開口部分に通じている。そ のようにはめ込まれたばねは、その後でスリットに沿って作動位置まで移動され る。 図から一層明らかに理解できるように、特に互いに分離された4個の拡大開口 部分を設けることができる。これらの拡大開口部分は、空間的に分離された4個 の開口が生じてこれらが組立開口を形成するように、4個のスリット状開口部分 の先端に設けられる。また互いに上下に位置するスリット状開口部分を共通の拡 大開口部分に通じさせることもできる。同様にばね上側終端片の両側縁にそれぞ れ共通の上側スリットを付属させ、ばね下側終端片の両側縁がそれらの形材片で 共通の下側スリットにはまり込むようにすることもできる。 本発明の課題を解決する第2の実施形態に基づくスペーサは請求項7記載の特 徴事項を有している。 その両方のばねは、互いに隣接する二つの格子目に共通する帯板の組立開口に 保持され、本質的に同一に構成されている。 そのばねはそれぞれの格子目の中に突出し、そこにはめ込まれた燃料棒を横方 向から接触支持する弾性中央部分を有している。この弾性中央部分に、燃料棒の 中心軸線に関して上下にそれぞればね終端片が続いている。これらの上下のばね 終端片はそれぞれ燃料棒の中心軸線に対してほぼ平行に延び、反燃料棒方向に曲 げられている左右の両側縁を有している。これによって全部で4個の縁が生じ、 各縁は固有の形材片を有している。ばねの作動位置において各形材片はその内側 形材片部分が共通の帯板の燃料棒側面に接触支持され、外側形材片部分が組立開 口を貫通している。即ち組立開口の縁によって形成されている帯板縁は少なくと も部分的に各形材片の下側部分と外側部分とによって抱き込まれ、かみ合い結合 されている。 スペーサが組み立てられた状態において、即ち両ばねの作動位置において、ば ねは帯板の両側に位置し、詳しくはそれらのばねの上側終端片が互いに対向して 位置し、同様に下側終端片も互いに対向して位置している。これらは帯板の側面 に直接接するか、あるいは例えばばね終端片と帯板とを僅かに傾斜させるために 帯板面から僅かに離して保持される。その場合形材片は、一方のばねの終端片の 両側縁にある各形材片が、他方のばねの対向して位置する終端片の両側縁にある 形材片のそばに位置するように、即ち、各ばねの上下の終端片の両側縁に応じて 、全部で4対の形材片対が生ずるように形成されている。 この実施例の場合においても、各ばねは組立開口の中にはめ込まれ、その後で はじめてスリット状開口部分に沿って作動位置まで移動される。その組立位置に 応じて帯板の面上に、両ばねのすべての外側形材片部分がはめ込まれる拡大開口 部分が存在している。一方のばねの形材片は片側から、他方のばねの形材片は反 対側から拡大開口部分に挿入される。これによって互いに並んで位置する形材片 から成る全部で4対の形材片対(即ち左上、右上、右下、右上、左下)を備えた 複合ばねが生ずる。そしてこの複合ばねを組立位置から作動位置まで移動するた めに、燃料棒に対して直角に延び両上側形材片対に対するガイドとして使用する 上縁と、燃料棒に対して直角に延び両下側形材片対に対するガイドとして使用す る下縁が生ずるように、組立開口は少なくとも一つのスリット状開口部分を有し ている。 スリット状開口部分の先端に燃料棒の中心軸線に対してほぼ平行に延び実際に は上下して位置する上側終端と下側終端が存在し、ばねが一緒に作動位置まで移 動されるや否や、上側形材片対および下側形材片対はそこに突き当たる。 本発明に基づくばねの作動位置は、特に帯板において格子目の互いに隣接する 二つの角の間の中央に位置し、その場合少なくとも一つのばね部分はばねの力に よって帯板の係止開口に保持され、即ちばねは少なくとも荷重状態でこの位置に 係止される。 本発明の有利な実施形態は従属請求項に記載されている。以下19個の図に示 した多数の実施例を参照して本発明を詳細に説明する。 図1はスペーサの互いに隣接する二つの格子目の縦断面図であり、その右側の 格子目に本発明に基づいてC形ばねが突出し、右側の格子目内において帯板の背 面に支持されている他のばねの上下終端片にある外側形材片が見えている縦断面 図、 図2は燃料棒がはめ込まれた状態の図1に相当した縦断面図、 図3は本発明に基づいて固定できる異なった実施例のばねの縦断面図(図5の III−III線に沿った断面図)、 図4は図3のばねの正面図、 図5は図3のばねの横断面図(図4のV−V線に沿った断面図)、 図6は図3のばねを固定するために帯板に設けられている組立開口の互いに隔 てられた4個の開口部分を示した帯板の部分図、 図7は本発明に基づく異なった実施例のばねの作動位置における横断面図、 図8は図1と幾分異なった本発明に基づく二つのC形ばねを支持している格子 目の縦断面図、 図9は本発明に基づく第2の実施例に対して用意されるような二つのばねの正 面図、 図10は図9の二つのばねがまず図1に相当して格子の異なった帯板に固定さ れている状態の縦断面図、 図11は本発明の第2の実施例に基づいて共通の帯板に固定された図9および 図10における二つのばねの側面図、 図12は図9の二つのばねが共通の帯板の組立開口にはめ込まれる前の横断面 図、 図13は図12の二つのばねが開口の中にはめ込まれ共通の帯板に沿って作動 位置に移動された状態の横断面図、 図14は唯一の形式のばねで済ませられる図8と異なったばねの実施例の正面 図、 図15および図16は図14に示すばねの変形例の正面図および平面図、 図17はばねの異なった実施例の正面図、 図18は本発明に基づく有利なスペーサの部分平面図、 図19は図18のスペーサの一部横断面図である。 図示の実施例は、四角形の格子目を形成する縦帯板と横帯板とから成るスペー サである。図1において縦帯板1およびそれに対して直角に交差する横帯板2、 3、4は格子目を形成し、図1において左側の格子目の中にまだばねははめ込ま れておらず、右側の格子目の中にはばね5が横帯板2の中央から突出している。 この実施例において湾曲された弾性中央部分6は、上側および下側がそれぞれ凸 状湾曲部7を介してばね上側終端片8およびばね下側終端片9に移行している。 格子目の中に挿入すべき燃料棒の中心軸線はA−A線で示され、このA−A線は 作動位置において両帯板2、4間の中央に位置している。 ばね5の上下両終端片のA−A線に対して平行な両側縁にそれぞれ形材片が存 在し、即ちばねは全部で4個の形材片を有している。図1ではこれらの形材片の うち、上側前方形材片10と下側前方形材片11しか見えず、それらの後方にそ れぞれ位置する形材片10’、11’は隠れているので見えていない。更に図1 の右側部分における縦帯板1も、同様にこの縦帯板1の後ろに位置する格子目の 中に突出するばねを支持している。図1においてこのばねは、開口12、13、 14、15を通して突出しているがこれらの開口を通して見えている部分(残り は隠れている)しか示されていない。このばねの見えている部分は上下のばね終 端片16、17、その両側縁にある形材片18、19、20、21である。図1 の左側部分には縦帯板にある開口12、13、14、15が示されている。 これらの各開口12、13、14、15は、A−A線に対して直角に同じ方向 に(即ち左向きに)延びているスリット状開口部分22、23、24、25を含 み、これらの終端に形材片18〜21が置かれている。これらの形材片はスリッ ト状開口部分22〜25の横側終端縁26、27、28、29に突き当たってい る。 各スリット状開口部分22〜25は拡大開口部分30、31、32、33に開 口し、図1の右側部分において理解できるように、ばねの作動位置においてスリ ット状開口部分22〜25を通って突出する形材片18〜21は、これらがスリ ット状開口部分22〜25に沿って右向きに拡大開口部分30〜33まで移動さ れたときに開口12〜15から取り外せる。この移動された位置はばねの組立位 置に相当する。 これらの組立開口12、13、14、15のスリット状開口部分は実際にはば ねの両側縁間の距離の半分(即ちばね幅の半分)に相当する長さを有している。 即ち拡大開口部分30、31は終端縁26と終端縁28との間ないしは終端縁2 7と終端縁29との間の中央に位置する。この寸法づけの意味は図2から理解で き、燃料棒35が格子目の中にはめ込まれたとき、燃料棒35がこのばね5の弾 性中央部分6を押して、それに続く凸状湾曲部7、8を拡大開口部分36、37 の中に押し込む。これらの拡大開口部分36、37は、その上縁ないし下縁がば ね5の上端ないし下端より上ないし下に位置するように拡大されている。 即ちこのようにして凸状湾曲部7、8は、ばね5が燃料棒35によって押され 、燃料棒35をその保持要素(例えばばね5の反対側に位置する格子目側にある 突起38、39)に押しつけたとき、ばね5を固定するために利用される。 ばねはC形をしていることが有利であるが、それが本発明に基づく固定方式と 組み合わされる所望のばね力を与える限りは別の形状でもよい。これは図3〜図 5にキャップ形あるいは皿形の中央部分41を備えたばね40を例にして示され ている。特に図4において中央部分41に続く上下のばね終端部分46、47に おける両側縁42、43、44、45が理解できる。これらの両側縁は形材片4 8、49、50、51を有し、これらの形材片はそれぞれその内側部分53、5 3’が、一点鎖線で示されている壁56の内側面55に接し、形材片48〜51 の外側部分52、52’は組立開口(図示せず)を通って突出し、その開口縁を 包み込む。 これらの組立開口60、61、62、63は図6に詳細に示されている。そこ で65、66、67、68はばねの作動位置において、形材片48、49、50 、 51が突き当たるスリット状開口部分の終端縁である。この場合、スリット状開 口部分70、71、72、73は燃料棒中心軸線に対して垂直に延びておらず、 成る角度で傾斜して延びているので、ばねはそれを作動位置から組立位置に移動 しようとするとき圧縮しなければならない。これはばねが燃料棒で荷重されない うちにしかできず、荷重された状態においてばねは作動位置に係止される(図2 参照)。 この場合もスリット状開口部分70〜73は拡大開口部分75、76、77、 78に開口し、矢印79は図4の幅79に相当するばねの幅(形材片の最外側縁 間の距離)を表している。 図7には異なった実施例のばねが図5に相当した断面図で示されている。この ばねはその終端片8’の形材縁が帯板1’に設けられた組立開口の拡大開口部分 12’を通してはめ込まれ、それから矢印79’の方向に組立開口のスリット状 開口部分22’に沿って、このばねがスリット状開口部分22’の終端縁26’ に突き当たるまで移動されている。 両形材縁が拡大開口部分12’の大きさを決定するので、この両形材縁はまず 互いに接近する方向に曲げられている。これによって上側形材片(事情によって は4個すべての形材片)が共通の拡大開口部分12’にはめ込まれる。更にこれ によって内側形材片部分53aが帯板の内側面2’に接触支持する係合面が改善 される。 片側の縁における外側形材片部分53bは紙面の上下においてしかスリット状 開口部分22’の縁における帯板1’の縁を包み込んでいないが、反対側の縁5 3cは隆起部を有し、この隆起部はこの場合にはフックの形に形成されている。 これによってばねは作動位置に到達するや否や、帯板にある係止開口23’に係 止される。 図8に示されている実施例においても、ばね80の弾性中央部分81はばね終 端片に移行している。これらのばね終端片は燃料棒の中心軸線に対してほぼ平行 に延び、その両側縁82、83、84、85は反燃料棒方向に曲げられ、対応し た組立開口86、87を貫通している。帯板の背面にあるばね80の外側形材片 91、92、93、94は、この実施例の場合には(図5の実施例と同様に)開 口86、87の縁を大きな面積で包み込むために、もう一度折り曲げられて広げ られている。 しかしこの場合には図1から図7における実施例と異なって、二つのスリット 状開口部分しか設けられておらず、その上側スリット状開口部分86は上側形材 片対91、92に、下側スリット状開口部分87は下側形材片対93、94に付 属せしめられている。これらの開口部分86、87に接続されている拡大開口部 分88、89は、この実施例の場合には縦帯板が横帯板と交差する個所に存在し ている。従ってばねはスペーサが溶接される前に帯板にはめ込まれる。このため に例えば破損したばねを後で交換することはできないが、点検作業中に燃料集合 体から棒を取り出る際に、ばねが意図せずに外れることが確実に防止される。 ばねを作動位置に固定するために、各ばね終端片95、96は帯板にある係止 窓にはまり込む係止突起97、98を有している。従ってばねは、そのばね終端 片を曲げて帯板から十分離したときにしか作動位置から外せない。 更に図8において上下の両ばね終端片はそれぞれ、ばねが荷重された際に弾性 中央部分の変形を制限するストッパとして作用する、弾性中央部分の方向に向い た別の突起99、99’を有している。これによって、燃料棒を格子目の中に挿 入する際にばねが過度に変形して破損することが防止される。 一般には、ばね終端片の縁にある反燃料棒方向に曲げられ組立開口を貫通して 突出する外側形材片部分が一方向にだけ形状づけられ、即ち燃料棒の中心軸線に 対してほぼ平行に延び、帯板を組立開口においてほぼ垂直に貫通する支持板片( ウェブ)として形成されていれば十分である。このようなばね100は図9の左 側に底面図で示されており、その弾性中央部分101は係止突起104、105 付きのばね終端片102、103で広く覆われている。そこでは4個の形材片1 06、107、108、109が理解でき、これらは平面支持板片としてばね終 端片102、103の両側縁を形成している。 図において右側には、弾性中央部分111と、これによって覆われた、従って 破線で示されているばね終端片112、113とを備えた第2のばね110が平 面図で示されている。 これら両ばね100、110のこの姿勢において、第1のばね100の下側面 が第2のばね110の下側面を示しているという点で、両ばねは鏡面対称をなし ている。 図10にはスペーサにおける互いに平行な二つの帯板120、121が示され 、その帯板120にばね100が左側から、帯板121にばね110が右側から はめ込まれている。この場合、両ばね100、110の両側縁にある形材片10 8、118ないし109、119は互いに幾分異なっている。即ちまず図示して いない組立開口を通して挿入され、帯板120にあるスリットを通して突出する 形材片108の外側形材片部分123は、形材片118にとっては必要とされな い幅bの凹所124を有している。この幅bはこの形材片118がばね終端片1 12に移行する個所における形材片118の幅にほぼ相当している。更に図9に おいてばね110は、このばね110の両ウェブ状縁116、118の内側面が ばね100の両ウェブ状縁106、108の外側面間の間隔a’と同じかそれよ り幾分大きな間隔aを有している点で、ばね100と異なっている。 図9におけるこのような形状によって次の効果が得られる。即ち両ばねはそれ らの弾性中央部分が反対側に向いているようにされる。そしてばね100が例え ば右に移動されたとき、このばね100の両側縁は左からばね110の左に向い た両側縁にはめ込まれる。 従ってこれらの両ばねは同時に共通の壁(帯板)に、それらのばね終端片が図 11に壁130を例に示されているように、逆向きになるように固定される。即 ちばね100は矢印131に応じて左から、ばね110は矢印132に応じて右 から壁130の拡大開口にはめ込まれ、両ばねの上端102ないし112におい て形材片106、116ないし形材片108、118がそれぞれ互いにかみ合う 形材対を形成するまで、この拡大開口内で移動される。それと同様にしてばねの 下端103、113において、形材片107、117によっておよび形材片10 9、119によって、それぞれ互いにかみ合う形材片の第1および第2の形材片 対が形成される。 図12によれば、ばね100、110が矢印131、132に応じて、その形 材片部分と共に組立開口134の中にはめ込まれる前の状態における、拡大開口 部分134を備えた壁130が理解できる。その場合、最終的に両ばねの形材片 は互いにかみ合い、それからばね対は横にスリット状開口部分の縁に沿って作動 位置に移動される。 図13には完全に組み立てられたばね対が横断面図で示されている。この図13 は図11におけるXIII−XIII線に沿った断面図である。 図14にはばね150が底面図で示されている。このばね150は図9におけ る両ばね100、110の複合体となっており、即ちばね150の上側終端片1 50’の両側縁151、152はばね100の終端片102の両側縁106、1 08に応じて形成され、下側終端片の両側縁153、154はばね110の終端 片の両側縁117、119に応じて形成されている。図14の左側のばね150 は横軸C−Cを中心として反転されると、右側のばね160となる。これらの両 ばね150、160はいまや図12および図13に示されているようにしてばね 対として組み合わされる。即ちこの場合には一種類のばねで済ませられる。 図15および図16におけるばね170の場合、ばね上側終端片171の右上 側縁173およびばね下側終端片172の左下側縁174は、ばね100のウェ ブ状縁に応じて形成されているが、左上側縁176および右下側縁は、帯板17 8を越えて突出する外側形材片部分176’、177’がスリット状開口部分の 縁を越えて外向きに曲げられている点で、ばね110の側縁と異なっている。従 ってこのばね170は、ばね150と図8におけるばねとの複合体である。 更にばね170の形材片174、176は、図17におけるばね180で示さ れているように、ばねの4個すべての側縁181、182、183、184のた めに利用できる唯一の形式の形材片の形に組み合わせることもできる。その一方 の形材片部分185は形材片部分176’に、他方の形材片部分186は形材片 部分174に相当する。 即ち本発明に基づく固定方式が多面的に変更できることが分かる。 例えば加圧水形原子炉に対する図18に示されているスペーサにおいて、帯板 200、201、202、203・・・は一般に正方形の格子目を形成し、その 互いに隣接する二つの格子目間の側壁は中央に、格子目内の燃料棒(分かり易く するために燃料棒は省かれている)を反対側に位置する突起205に押しつける 、格子目の中に突出したばねを支持している。たいていはばねに、二つの個々の 突 起が対向して配置され、これらの突起は燃料棒を押しつける平面の上下に位置し ている。 一般に互いに隣接する二つの格子目(例えば格子目206、207)ごとに、 それらの格子目を分離する壁に,この共通の壁から両格子目の中に突出する一対 のばね(例えばばね110、111)が図10から図17に応じて固定される。 加圧水形原子炉の燃料集合体におけるスペーサの幾つかの格子目は、燃料棒で はなく(制御棒)案内管204を含んでおり、スペーサはこれらの案内管に固定 されている。そのために格子目の対構造にも変化が生じ、このために対を成さな いばね(例えばばね6)も必要とされる。同じような状態は、多くの沸騰水形原 子炉の燃料集合体において幾つかの燃料棒の個所に利用されているような水管( ウォータロッド)によっても引き起こされる。 図19には帯板200、206にばね210、110、111が支持されてい る格子目206、207の一部が縦断面図で示されている。そこでは壁(帯板) 200にばね210(ないしばね対)をはめ込むために必要な組立開口が理解で き、そのうち第1のばね210のほかに、それと対を成す第2のばねのばね終端 片の両側縁に形成されている外側形材片部分しか見えていない。 この場合において二つのスリット状開口部分220、230から成っている組 立開口は、ばね210(ないし上述のばね対)が存在する個所に対して横にずれ ている拡大開口部分221を有している。この拡大開口部分は、有利には完全に 組み立てられた燃料集合体において、この帯板が別の帯板203と交差する個所 に設けられ、これによってこの拡大開口部分は、帯板がばねのはめ込み後に格子 状スペーサの形に結合されたときに閉鎖される。 ばね210はそのばね終端片の形材片部分が、図19において見える帯板の正 面から図12および図13におけるようにしてはめ込まれ、そのばね210の内 側形材片部分250、251、252、253はまだ格子目内に存在しているが 、図19では見えていない外側形材片部分が隣の格子目の中に突出している。他 のばねの外側形材片部分240、241、242、243が隣の格子目(即ち壁 200の背面)から開口部分221を通して移動され、そして両ばねは、それぞ れ形材片対240、250ないし241、251ないし242、252ないし2 4 3、253が生ずるように結合されている。 位置D並びに位置Eにばねをはめ込むために拡大開口部分を使用しようとする 場合、この拡大開口部分からスリット状開口部分(220、220’、230、 230’)が鏡面対称に両側に延びている。これらのスリット状開口部分はそれ ぞれ、形材片対が組立開口から横に作動位置(D)に移動されるときに形材片対 に対するガイドとして使われる上縁および下縁221、222、231、232 を有している。この作動位置において二対の形材片対つまり形材片対240、2 50および形材片対241、251は、スリット状開口部分220、230の反 対側に位置する終端縁225、235に突き当たっている。 本発明は、ばねを固定するために極めて僅かな材料しか必要とされず且つばね 自体の形状に対して大きな選定自由度を有するというほかに、格子目壁の中央に 互いに隣接する二つの格子目の中に突出するばねが同じ組立開口の中に置かれる という大きな利点を有する。その際に利用される原理はばね6(図18)を基に して、図18において上端301しか見えないばねがこの上縁において横にそれ ぞれ縁302、303を有し、これらの縁303、304がこれらが帯板201 にある組立開口304を通して突出するように燃料集合体の中心軸線を中心とし て格子目206から離れる方向に曲げられていることによって要約される。これ らの両側縁(302、303)はそれぞれ組立開口304の縁をほぼかみ合い結 合的に抱き込む形材片を有している。ばねの下端も両側に外向きに曲げられ縁を 有し、これらの縁が組立開口縁をかみ合い結合的に抱き込むための形材片を備え ている。

Claims (1)

  1. 【特許請求の範囲】 1.縦横に交差し、挿入される燃料棒に対する格子目を形成する複数の帯板(1 、2、3、4)と、複数のばね(5)とを備えた軽水冷却形原子炉の燃料集合体 におけるスペーサであって、各ばね(5)が帯板にある組立開口(12、13、 14、15)の中に、 a) ばねが燃料棒に面した弾性中央部分(6)を有し、この中央部分(6)に 、燃料棒の中心軸線(A−A線)に関して上下にそれぞれ終端片(8、9) が続き、 b) これらの終端片の両側縁に形材片(10、11)があり、これらの形材片 がばねの作動位置において、それぞれ内側形材片部分が格子目を形成する帯 板(2)の燃料棒側内側面に接触支持され、それぞれ外側形材片部分が組立 開口のスリット状開口部分(22、23、24、25)を貫通してこの開口 部分の終端における縁(26、27)を包み込み、 c) 組立開口の各スリット状開口部分が作動位置に対して横にずれたばね組立 位置に相当する帯板の部分に存在する拡大開口部分(30、31、32、3 3)に通じ、この拡大開口部分が、ばね(5)の上下終端片(8、9)の外 側形材片部分が組立開口(12、13、14、15)にはめ込まれこの組立 開口からスリット状開口部分(22、23、24、25)に沿って作動位置 まで移動できるように形成されている、 ように保持されている燃料集合体におけるスペーサにおいて、 各ばね終端片(8、9ないし46、47)がそれぞれ中心軸線に対して平行に 延び反燃料棒方向にこの中心軸線を中心として曲げられた両側縁(48、49、 50、51)を有し、これらの両側縁がそれぞれ固有の形材片を有していること を特徴とする燃料集合体におけるスペーサ。 2.組立開口のスリット状開口部分(86、87)が、それぞれ別個の上下に位 置する拡大開口部分(88、89)に通じていることを特徴とする請求項1記載 のスペーサ。 3.ばね終端片(46、47)の各両側縁(48、49、50、51)に、組立 開口の固有のスリット状開口部分(70、71、72、73)が付属されている ことを特徴とする請求項1又は2記載のスペーサ。 4.スリット状開口部分(70、71、72、73)の長さが実質的にばね終端 片の幅(79)の半分に相当し、ばね中央部分および又は少なくとも一つのばね 終端片が、燃料棒が格子目の中にはめ込まれたとき拡大開口部分(88、89) にはまり込む反燃料棒方向に向いた隆起部(97、98)を有していることを特 徴とする請求項1ないし3のいずれか1つに記載のスペーサ。 5.組立開口が互いに分離されそれぞればね終端片(16、17)の両側縁(1 8、19、20、21)に付属された4個のスリット状開口部分(22、23、 24、25)から成り、それらの長さが実質的にそれぞればね終端片の幅の半分 に相当し、各スリット状開口部分(22、23、24、25)がそれぞれ互いに 分離された4個の拡大開口部分(30、31、32、33)に通じ、これらの拡 大開口部分がそれぞれ対を成して上下に位置し、その一対の拡大開口部分(30 、31)が、燃料棒がばねを帯板の方向に押圧したときにばね(5)の外端を収 容するほどに、燃料棒の長手方向に広げられていることを特徴とする請求項1記 載のスペーサ。 6.ばね終端片(8、9)が組立開口を有する帯板(2)に対してほぼ平行に延 びていることを特徴とする請求項1ないし5のいずれか1つに記載のスペーサ。 7.縦横に交差し、挿入される燃料棒に対する格子目を形成する複数の帯板と隣 接する二つの格子目ごとに、共通の帯板(130)の組立開口に保持される二つ のばね(100、110)を備えた軽水冷却形原子炉の燃料集合体におけるスペ ーサにおいて、 a) 第1のばね(100)が、 i) 第1の格子目の中に突出する弾性中央部分(101)であって、第 1の格子目の中にはまり込む燃料棒を横方向から接触支持し、燃料棒 の中心軸線に関して上下にそれぞればね終端片(102、103)が 続いている弾性中央部分(101)と、 ii) 上下のばね終端片(102、103)の左右にそれぞれ存在し、燃 料棒の中心軸線に対してほぼ平行に延び反燃料棒方向に曲げられてい る両側縁(106、107、108、109)と、 iii) これらの各両側縁にそれぞれ存在する形材片であって、第1のばね の作動位置において各形材片の内側形材片部分(108’)が共通の 帯板(120)の燃料棒側面に接触支持され、外側形材片部分(10 8”)が組立開口(134)を貫通してこの組立開口縁における帯板 縁を包み込む形材片と、 を有し、 b) 第2のばね(110)が、 i) 第2の格子目の中に突出する弾性中央部分(111)であって、第 2の格子目の中にはまり込む燃料棒を横方向から接触支持し、燃料棒 の中心軸線に関して上下にそれぞればね終端片(112、113)が 続いている弾性中央部分(111)と、 ii) 上下の終端片の左右にそれぞれ存在し、燃料棒の中心軸線に対して ほぼ平行に延び反燃料棒方向に曲げられている両側縁(116、11 7、118、119)と、 iii) これらの各両側縁(116、117、118、119)にそれぞれ 存在する形材片であって、第2のばねの作動位置において各形材片の 内側形材片部分(118’)が共通の帯板の燃料棒側面に接触支持さ れ、外側形材片部分(118”)が組立開口を貫通してこの組立開口 縁における帯板縁を包み込む形材片と、 を有し、 c) 両ばねの作動位置においてばね上側終端片(102、112)が互いに対 向して位置し、ばね下側終端片(103、113)も同様に互いに対向して 位置し、形材片が、4対の形材片対(106、116;107、117;1 08、118;109、119)が両ばねの形材片から構成されるように形 成され、 d) 組立開口が、 i) 帯板(200)上においてばねの作動位置に対して横にずれた位置 に置かれ、片側面から一方の形材片の外側形材片部分が、反対側面か ら他方の形材片の外側形材片部分がはめ込まれる拡大開口部分(22 1)と、 ii) ばねが組立開口から横に作動位置(D)に移動されるときに外側形 材片部分を案内する少なくとも一つのスリット状開口部分(220、 230)の燃料棒に対して直角に延びる開口縁(221、222、2 23、224)と、 iii) ばねが一緒に横に作動位置(D)に移動されるときに上下に位置す る形材片対の一方の形材片対を位置決めする互いに上下に位置する終 端縁(225)と、 を有している、 ことを特徴とする燃料集合体用のスペーサ。 8.二つのスリット状開口部分(220、230)が設けられ、その上側スリッ ト状開口部分(220)がばね上側終端片にある形材片に、下側スリット状開口 部分(230)がばね下側終端片にある形材片にそれぞれ付属せしめられている ことを特徴とする請求項7記載のスペーサ。 9.各スリット状開口部分(220、230)に拡大開口部分の固有部分(22 1)が付属せしめられ、これらの両部分が互いに上下に配置されていることを特 徴とする請求項8記載のスペーサ。 10.各ばねの湾曲した中央部分(6)の両端が、凸状湾曲部(7)によって帯 板に対して平行に延びるばね終端片(8、9)に移行していることを特徴とする 請求項1ないし9のいずれか1つに記載のスペーサ。 11.凸状湾曲部(7、8)が、燃料棒(35)がはめ込まれた際に帯板の係止 開口(97’、98’)にはまり込む反燃料棒方向を向いた突起を有しているこ とを特徴とする請求項10記載のスペーサ。 12.ばねの作動位置において、このばねの少なくとも一部が、ばね力によって 帯板の係止開口(37)に保持されていることを特徴とする請求項1ないし10 のいずれか1つに記載のスペーサ。 13.ばね終端片(95、96)が、弾性中央部分に向いて突出する隆起部(9 9、99’)を有していることを特徴とする請求項1ないし12のいずれか1つ に記載のスペーサ。 14.弾性中央部分(81、91)に少なくとも一つの硬いストッパ、好適には 二つの硬い突起(99、99’)が対向して位置されていることを特徴とする請 求項1ないし12のいずれか1つに記載のスペーサ。 15.作動位置が格子目の二つの角の間における帯板の中央に固定されているこ とを特徴とする特徴とする請求項1ないし13のいずれか1つに記載のスペーサ 。
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