【発明の詳細な説明】
車両内の通風装置用の作動デバイス
発明の背景および技術現状
本発明は、請求項1の前文による、車両内の通風装置用の制御ユニットに関す
る。
車両の制御ユニットは、必要な機能を行うために容易に、直観的に読み取るこ
とができ、また設定することができるように設計しなければならない。また、そ
の設定の際には、運転者がその視線を動かさないで、すなわち、周囲の車両から
注意をそらさないで、設定を行うことができるようなものでなければならない。
車両内において、吸気を制御するための制御ユニットは、通常、三つの領域、す
なわち、デフロスタ領域、パネル領域および床領域に吸気を供給する。この点に
関連する問題は、簡単で自然な方法で、上記三つの領域への必要な空気の供給を
示すと同時に、表象する制御ユニットを設計することである。
例えば、GB B 2 212 587から判るのは、三つの吸気領域に関連
した表示位置に、またその間に設定することができるノブの形をした制御デバイ
スを組み込んでいる、車両内の通風装置用の制御ユニットである。そのため、制
御デバイスが一台しかない場合には、二つの表示位置のどちらかへ設定するしか
なく、その結果、吸気を同時に供給できるのは、せいぜい二つの吸気領域に限定
されることになる。そのため、三つすべての吸気領域に同時に吸気を供給するこ
とができない。さらに、吸気は隣接した表示位置を持たない二つの領域に吸気を
同時に供給することはできない。
車両内の上記三つの吸気領域に吸気を供給するための、もう一つの周知の制御
ユニットは、三つの別々の制御デバイスを使用する。それぞれの制御デバイスは
、各吸気領域に対するものである。これら三つの制御デバイスの各々は、別々に
その個々の経路に沿って移動する。この制御ユニットは、上記吸気領域に、吸気
を完全に自由に供給することができる。この制御ユニットの欠点は、インストル
メント・パネル上の大きなスペースを占めることと、制御デバイスが正しく設定
さ
れているか、またどの位置に設定されているかを確認するために、運転者が周囲
の車両から視線を移さなければならないことである。
発明の概要
本発明の目的は、請求項1の前文による車両の通風装置用の既存の制御ユニッ
トの上記欠点を除去することである。すなわち、容易で自然な方法で、少なくと
も三つの吸気領域への吸気の供給を示し、開始する制御ユニットを提供すること
である。もう一つの目的は、三つのすべての吸気領域を同時にカバーすることが
できる吸気分配を行うことである。
上記目的は、各制御位置において、上記吸気領域のうちの多くとも二つをカバ
ーする第二の吸気分配により、上記三つの吸気領域に対する空気流れの供給を示
し、開始するように設計された第二の制御デバイスを組み込む制御ユニットによ
り達成することができる。二つの制御デバイスを使用するということは、吸気を
三つのすべての吸気領域に同時に供給できるように、または、そうしたい場合に
は、吸気を、上記三つの吸気領域のうちの任意の二つ、或いは一つの吸気領域だ
けに供給するように、それら制御デバイスを設定できることを意味する。二つの
制御デバイスは二つの別々の位置に設定されているので、その結果、分配された
すべての吸気が、二つの制御デバイスの一つの表示設定になることが、直観的に
理解される。例えば、制御デバイスの一方がデフロスタ位置に設定され、一方、
他方の制御デバイスが床位置に設定されるならば、吸気がこれら二つの吸気領域
に平等に分配されることを直観的に理解することができる。
本発明の一実施形態によると、第一および第二の制御デバイスは、吸気領域に
関連した位置を示す範囲に沿って延びる経路に沿って移動することができる。上
記経路に沿っている表示位置は、車両内の吸気領域の位置をほぼ表象するもので
なければならない。すなわち、車両内の吸気領域の位置は、自然な方法で、経路
に沿った表示位置を反映するものでなければならない。例えば、吸気領域が、車
両の縦方向または横方向に位置している場合には、上記経路はその方向に延びる
ことができ、各吸気領域の表示位置は、車両内のその実際の位置に従って、上記
経路に沿って位置することができる。
本発明の他の好適な実施形態によると、第一および第二の制御デバイスは、共
通の経路に沿って移動することができる。このことは、制御ユニットを、インス
トルメント・パネルの不必要に広い面積を占有しないですむように、比較的コン
パクトにすることができることを意味する。上記第一および第二の制御デバイス
は、またその経路に沿って縦に配置することもできる。そうすることにより、例
えば、すべての吸気をフロント・ガラスの方向に上に向かって流す必要がある際
に、デフロスタ位置のような同じ表示位置内に設置したい場合には、制御デバイ
スを上記経路に沿って一緒に移動させることができる。
本発明のもう一つの好適な実施形態によると、上記経路はほぼアーチ状の断面
の形をしている。アーチ状の経路に沿って制御デバイスを移動すると、運転者は
、制御している手により、経路の湾曲または制御デバイスの傾斜角度を検出する
ことができるので、周囲の車両から目を放さないで、制御デバイスのおおまかな
設定を見ることができる。この場合、上記アーチ状の断面が車両の垂直方向に延
びる場合には有利である。何故なら、上記吸気領域表示位置(デフロスタ領域、
パネル領域、および床領域)を、上記アーチ状の断面に沿って垂直方向に配置す
ることができるからである。
制御ユニットの手動動作を楽にするために、第一および第二の制御デバイスは
、それぞれ、手で握る部分を含む。上記の手で握る部分が、経路の延びる方向に
ほぼ垂直に延びる細長い部分を含んでいることが、有利である。上記の手で握る
部分が、また楽に握ることができるように、運転者から外側に延びていれば有利
である。上記の長く狭い部分が、経路に沿ったその位置によって、手でさわるこ
とができる方向を指すように設計されていれば好都合である。経路が非直線状で
ある場合には、経路の延びる方向に対してある角度で延びる細長い握りの部分は
、経路の湾曲により、特定の方向を指す。例えば、アーチ状で、車両内を垂直方
向に延びる経路の場合には、上記部分が指す方向は、手で握ることにより知るこ
とができる。上記部分がほぼ上を指している場合には、制御デバイスは、デフロ
スタ領域内に位置するが、上記部分がほぼ水平方向を指している場合には、制御
デバイスは、パネル領域内にあり、上記部分が下を指している場合には、制御デ
バイスは床領域に位置する。各制御デバイスの中間位置は、これら三つの吸気領
域表示位置の間で知ることができる。
図面の簡単な説明
添付の図面を参照して、本発明の好適な実施形態の一つを以下に説明する。
図1は、本発明の制御ユニットを示す。
図1aは、図1の第一の制御デバイスを示す。
図1bは、図1の第二の制御デバイスを示す。
図2は、制御デバイスの回転運動を伝達するためのケーブル・デバイスを示す
。
図3は、車両内の三つの吸気領域に吸気を供給するための制御装置およびダン
パを示す。
発明の好適な実施形態の詳細な説明
図1は、車両内の通風装置に対する制御ユニットを描いている。制御ユニット
は、車両内の三つの吸気領域、すなわち、デフロスタ領域、パネル領域および床
領域への空気の流れの供給を表示し、開始するように設計されている第一の制御
デバイス1および第二の制御デバイス2を組み込んでいる。第一の制御デバイス
1および第二の制御デバイス2は、ほぼアーチ状の断面の形をしている経路3に
沿って動くことができる。三つの表示位置A、B、Cが、経路3に沿って配置さ
れていて、それぞれは、その各供吸気領域用のものである。経路3に沿ったこれ
ら表示位置A、B、Cは、車両の垂直方向の吸気領域の位置を示し、表示位置A
はデフロスタ領域に対応し、表示位置Bはパネル領域への吸気に対応し、表示位
置Cは床領域への吸気に対応する。これにより、運転者は、各領域に必要な吸気
の分配を行うために、制御デバイス1,2をどのように操作したらよいのかを、
自然にまた直観的に理解することができる。
二つの制御デバイス1,2を上例の表示位置Aに移動させると、すべての空気
は車両のデフロスタ領域に向かって流れる。同様に、二つの制御デバイス1,2
を表示位置Bに設置すると、すべての吸気は、パネル領域に供給され、二つの制
御デバイス1,2を表示位置Cに設置すると、すべての吸気は床領域に供給され
る。制御デバイスが一つしかないものと比較した場合、二つの制御デバイス1,
2を持つことの利点は、吸気を二つの隣接していない表示領域に分配でき、その
ため、吸気を、制御デバイスが一つの場合にはできなかったデフロスタ領域と床
領域とに供給できることである。そのような空気の分配は、第一の制御デバイス
1を表示位置Aに移動させ、第二の制御デバイス2を表示位置Cに移動させるこ
とにより達成できる。二つの制御デバイス1,2はまた、上記三つの吸気領域に
ある量の吸気が同時に供給されるように、上記三つの吸気領域に吸気を分配する
のに使用することもできる。このような吸気の分配は、第一の制御デバイス1を
、吸気を第一の分配を行うために、表示位置AおよびBの間に設定し、同時に、
第二の制御デバイス2を、吸気を第二の分配を行うために、表示位置BおよびC
の間に設定することにより達成できる。吸気の三つの吸気領域への分配量は、各
表示位置A−Cに対する、制御デバイス1,2の間隔により定まる。この場合、
第一の制御デバイス1を表示位置AとBの中間に設定し、第二の制御デバイス2
を表示位置BとCの中間に設定すると、三つの吸気領域に対する空気の流れの分
配は全く同じになる。
吸気の総量を変更するために、制御ユニットは、吸気ファンを調整するための
ノブ4を含む。ノブ4は、スピンドル5を中心にして回転するように配置されて
いるが、制御デバイス1,2もこのスピンドルを中心にして回転することができ
る。そのため、制御ユニットがコンパクトになり、手を制御デバイス1,2から
ノブ4へ容易に動かすことができる。制御ユニットに隣接して、供給する吸気の
温度を調整するための制御デバイスを設置することもできる。
第一および第二の制御デバイス1,2は、それぞれ、アーチ状の経路3に対し
てほぼ垂直に延びる、長くて、狭い部分6,7を組み込んだ手で握る部分を含む
。このことは、長くて、狭い部分6,7は、上記経路に沿ったその位置により、
スピンドル5から外方の有意な方向を指すことを意味する。それにより、運転者
は、自分の手で、指している方向を知り、それによりインストルメント・パネル
上の制御ユニットを操作している時に、周囲の車両から視線をそらさずに、三つ
の吸気領域の間の空気の分配を知ることができる。
車両内の上記二つの吸気領域に対して吸気の供給を開始するために、各制御デ
バイス1,2は、その各回転プーリ8に固定されている。プーリ8上には、ケー
ブル9が配置されて、各制御デバイス1,2の回転運動を、制御デバイス1,2
のそれぞれの設定に従って各吸気領域に吸気を供給するように設計されている制
御装置に伝達する。図3はこの制御装置を描いているが、同図は、制御デバイス
1,2の一方の設定を制御装置に伝達するためのケーブル9を一本しか示してい
ない。しかし、各制御デバイス1,2は、制御装置の動作を開始するためのケー
ブル9を内蔵している。各ケーブル9は、制御装置内のプーリ10上を延びて、
該プーリに接続しているカム・デバイス11と一緒に、プーリ10を回転させる
。このように、各制御デバイス1,2は、他方の制御デバイスとは独立して、カ
ム・デバイス11を作動するように設計されている。カム・デバイス11は、二
つの平行な同一のカム・ディスクから成り、これらカム・ディスクは、それぞれ
が共通のスピンドル12を中心にして、そのケーブル9により回転することがで
きる。各カム・デバイス11は、スピンドル12からのカムの高さが変化する、
外部カム面13を組み込んでいる。カム・デバイス11は、それぞれ、ダンパ1
5A−Cの設定を開位置と閉位置の間で変えるために、アーム14A−C(それ
ぞれが、その吸気領域に対して設置されている)に作用するように設計されてい
る。各アーム14A−Cは、ローラ・デバイス16A−Cの領域内で、他方より
カム高さが大きくなった二つのカム・デバイス11の二つのカム面13のどちら
かによって支えられて作動するように設計されたローラ・デバイス16A−Cを
内蔵する。各アーム14A−Cはカムの高さの方向に柔軟に配置されており、ま
た、ローラ・デバイス16A−Cは、鋼鉄のローラを組み込み、二つのカム・デ
バイス11を横切って延びるように設計されていて、その結果、各ローラ・デバ
イス16A−Cは、ローラ・デバイス16A−Cの領域内でカム高さが他方より
大きくなったカム・デバイス1,2のどちらかのカム面13に接触する。アーム
14A−Cは、第一および第二の端部を持ち、それらの間にローラ・デバイス1
6A−Cが配置されている。アーム14A−Cの両端部は、ダンパ15A−Cの
設定を変更するために、該ダンパに接続している。この例では、ダンパ15A−
Cの数は、各吸気領域に対して二つであるが、例えば、各領域内への吸気の供給
点の数により変更することができる。アーム14A−Cは、それぞれ、(各ロー
ラ・デバイス16A−Cの近くの)各アーム14A−Cと、カム・デバイスのス
ピンドル12との間に配置されたそれらの各スプリング・デバイス17A−Cに
より、弾力でカム・デバイス11のカム面13の方向に押されている。空気は、
内部に上記制御装置が配置した、ダンパ・ハウジング19に、ダクト18を通し
て供給
される。
各制御デバイス1および2は、アーチ状の経路3に沿って約120度回転する
ことができる(図1参照)。この回転運動は、ケーブル9により各カム・デバイ
ス11に伝達され、各カム・デバイスも、約120度回転することができる。各
カム・デバイス11のカム面13は、このカム面13に沿って約120度の相互
間隔で配置されている三つの先端部12A−Cを含む。ローラ・デバイス16A
−Cが、これら先端部13A−Cの一つの上に位置すると、各アーム14A−C
は、各ダンパ15A−Cを最大限度まで開くように設計されている。これは、制
御デバイス1,2が、表示位置A、BまたはCのいずれかに置かれている場合に
生ずる。制御装置が図3に描かれているように設定されていると、ローラ・デバ
イス16Aはカム面の先端部13A上に位置していて、そのためダンパ15Aは
全開になり、一方、ローラ・デバイス16B、Cはカムの高さが一番低くなるカ
ム面13に沿って位置していて、そのため、ダンパ15B、Cが完全に閉じる。
その後、制御デバイス1,2が、一緒に図示の表示位置Aから表示位置Bに動か
されると、ローラ16は、カム・デバイス11のカム面13に沿って移動し、そ
のカムの高さは次第に低くなる。すなわち、カム・デバイスのスピンドル12か
らのカム面13の距離が短くなる。一方、同時に、アーム14Aは、次第にダン
パ15Aを閉じる。この行程中、ローラ・デバイス16Bは、カム・デバイス1
1のカム面13に沿って移動し、そのため、そのカムの高さが次第に高くなり、
最後には制御デバイス1,2は表示位置Bに達し、その位置でローラ・デバイス
16Bはカム面の先端部13B上に位置し、ダンパ15Bは全開になる。図3の
鎖線がこの位置を示す。制御デバイス1,2が表示位置AとBの間を移動中に、
ローラ・デバイス16Cは、一定の最低のカム高さを示すカム面13の領域に沿
って移動し、そのため、この行程を通して、ダンパ15Cは閉じる。制御デバイ
ス1,2が表示位置Bから表示位置Cへ引続き移動すると、ローラ・デバイス1
6Aは一定の最低のカムの高さを持つカム面13上を移動し、その結果、この領
域内のダンパ15Aは、完全に閉まる。制御デバイス1,2がこのように移動し
ている間に、ローラ・デバイス16Bは、その最大のカム高さ値13Bから、カ
ムの高さが次第に小さくなるカム面13に沿って移動し、最後には表示位置Cに
達し、この位置でダンパ15Bは完全に閉まる。制御デバイス1,2が上記のよ
うに移動している間に、ローラ・デバイス16Cは、カムの高さが次第に高くな
るカム面に沿って移動し、最後には表示位置13Cに達し、この位置でダンパ1
5Cが全開になる。
経路3に沿って二つの制御デバイス1,2が同時に移動して、上記の吸気制御
が行われると、既存の技術に従って一台の制御デバイスを動かした場合と同じ結
果となる。本発明が、二つの制御デバイス1,2と、制御デバイス1,2に接続
している各カム・デバイス11を組み込んでいるということは、三つの吸気領域
への吸気流れの上記制御により、吸気を三つのすべての領域に必要な量だけ同時
に分配することができることを意味する。各ローラ・デバイス16A−Cが、カ
ム高さ方向に柔軟に配置されていて、二つのカム・デバイス1,2の間を撓まな
いように延びているということは、各ローラ・デバイス16A−Cの領域内でカ
ム高さが他方より大きくなった二つのカム・デバイス11のどちらかのカム面1
3によって、各ローラ・デバイス16A−Cが作動されることを意味する。例え
ば、第一の制御デバイス1が表示位置Aに位置し、一方、第二の制御デバイス2
が表示位置Cに位置していると、ローラ・デバイス16Aは、第一のカム・デバ
イス11の面13A上の最大のカム高さに位置し、一方、ローラ・デバイス16
Cは、第二のカム・デバイス11の面13C上の最高のカム高さに位置する。そ
れ故、二つのダンパ16A、16Bは、全開になる。表示位置AとCにおいて二
つのカム装置の高さが最も低くなるということは、ローラ・デバイス16Bがダ
ンパ15Bを完全に閉めることを意味する。それ故、ダクト18を通して、ダン
パ・ハウジング19内に供給された空気は、表示位置AおよびCを持つ吸気領域
、すなわち、デフロスタ領域および床領域に均等に分配される。三つのすべての
吸気領域への吸気の同時供給は、表示位置AおよびBの間の領域内に第一の制御
デバイス1を置き、一方、第二の制御デバイス2を、表示位置BとCの間の領域
内に置くことによって行われる。これによって、空気が種々の吸気領域へ同時に
供給され、その場合、各吸気領域への分配は、制御デバイス1,2および各表示
位置A、B、Cの間の間隔により決まる。第一の制御デバイス1が表示位置Aと
Bの間に正確に位置し、一方、第二の制御デバイス2が表示位置BとCの間に正
確
に位置している場合には、空気は二つの吸気領域のすべてに等しく分配される。
本発明は、これまで説明した実施形態に限定されるものではなく、請求の範囲
内で変更することができる。