【発明の詳細な説明】
重合体
本発明は治療薬および診断剤として有用な重合体およびその調製方法に関する
。特に本発明は診断用造影剤および治療薬の標的設定において用いるためのアミ
ノ酸系生体分解性重合体に関する。
本発明の重合体は特異的デリバリーが望ましい種々の用途における使用に適し
、特に生物活性剤のデリバリーに適している。しかしながら、本発明の重合体の
好ましい使用は、その強化された造影特性と部位特異性を利用した、MR、X線、
超音波、光および核造影技術を用いたインビボでの選択された哺乳類の器官、組
織および細胞の造影の強化における使用である。重合体は血管内造影剤および血
液プール剤として上記造影技術において使用するのに特に適している。これらは
、そのまま血管の造影、例えば、磁気共鳴血管造影、血流量の測定、正常組織と
の血管状態の差による疾患の同定と特性化、肺疾患の評価のための肺の造影、お
よび、血液灌流試験に使用することができる。
医療上の造影技術、例えば、MRIおよびX線は、疾患の診断と治療におけるき
わめて重要な手段となっている。内部の造影の一部は、特定の造影の種類、例え
ばX線において、周囲の組織から識別すべき骨のような部分の固有の属性に依存
している。他の器官や解剖学的部分は、特定の造影技術により特異的にハイライ
トされた場合にのみ可視化される。
種々の解剖学的部分の像を得ることのできる方法の1つでは生物標的設定像強
化金属を用いている。このような方法は特定の器官および/または腫瘍または他
のこのような体内の局在部位の像を作成または強化する可能性を有し、一方で意
図しない部位の同時ハイライトにより生じるバックグラウンドや潜在的干渉作用
を低減する。
長年にわたり種々の金属をキレート化することによりそのような金属の生理学
的許容量を増加させ、これにより体内の部位の像を強化するためにインビボで使
用できるようにされている。多くの試験に供されているキレート複合体の1例は
Gd-DTPAである。しかしながら、十分な緩和性と安全性にもかかわらず、これは
幾つかの難点を有している。低分子量であるためにGd-DTPAは血流中から急速に
排除される。これにより造影ウインドウ、注入ごとに得られる至適像の数が極め
て限定されることになり、また試薬の所要量と相対的毒性を増大させる。さらに
また、このような単純な金属キレート像強化剤は、特に修飾を施さない限り、一
般的に何ら有意の部位特異性を示さない。
部位特異的治療薬または診断剤を製造するために金属キレートを組織または器
官の標的設定分子、例えば、蛋白のような生体分子に結合させることは広く提案
されている。多くのこのような二官能性のキレート化剤、即ちキラント部分によ
り治療上または診断上有用な金属に強力に結合することができ、そして、部位特
異的分子成分によりキレート化した金属イオンの体内の目的の部位への選択的デ
リバリーが可能な試薬は知られているか、または、提案されている。しかしなが
ら、MR造影に使用する蛋白担体に金属キレートをコンジュゲートすることの難点
として、不適切な生体内分布、毒性および短い血中半減期が挙げられる。従って
MR造影における使用は限られている。更に、蛋白は広範な合成方法に供するには
構造に限界がある。
種々の造影技術の部位特異的な使用は部位指向性の巨大分子にコンジュゲート
した多数の適切な金属イオンを用いることにより拡大され、部位特異的巨大分子
1個当たりのキラント部分の数の多い二官能性のポリキラントを製造するために
多くの方法が試みられている。
しかしながら、部位特異的像強化のためには、二官能性キラントのこのような
キレートの組織または器官標的設定部分の部位特異性がキラント部分の標的設定
部分への接合により破壊されてはならないという点が重要である。二官能性キラ
ントが1個のみのキラント部分を含んでいる場合は、これは一般的に厳しい問題
とはならない。しかしながら、単一の部位特異的巨大分子に幾つかのキラント部
分をコンジュゲートすることにより二官能性のポリキラントを生成しようとする
場合、可能な最大のキラント:部位特異的巨大分子の比が比較的制限されるのみ
ならず、得られる比が増大するに従って得られる二官能性ポリキラントの部位特
異性が低下することがわかっている。
部位特異性を損なうことなく、即ち結合部位を妨げることなく、部位特異性巨
大分子に多くのキラント部分を結合させるという問題点を克服するために、ポリ
キラントを得るために多数のキラント部分を結合することのできる骨格分子の使
用が多く提案されており、その一部は次いで部位特異的巨大分子にコンジュゲー
トして二官能性ポリキラントを生成することができる。
キラント部分がEDTAおよびDTPAのような開環PAPCAの残基であり、骨格分子が
ポリリシンやポリエチレンイミンのようなポリアミンである二官能性ポリキラン
トが生成されている。
WO-A-90/12050はポリリシン−ポリDOTAのような巨大環状キラント化部分を有
するポリキラントを生成する、そして、相当する二官能性ポリキラントを調製す
るための方法を記載している。ここではまた上記ポリキラントの骨格として第6
世代PAMAMスターバースト(starburst)デンドリマーのようなスターバーストデ
ンドリマーの使用が示唆されている。WO-A-93/06868も同様に巨大分子キラント
部分、例えばDOTA残基の複数個に連
結するデンドリマー型の骨格分子を有するポリキラントを記載している。これら
は更に部位指向性の分子、例えば蛋白にコンジュゲートしてよい。しかしながら
、今日まで、スターバーストデンドリマーは造影では殆ど使用されていない。
従って、1分子当たり比較的大量の金属を含んでおり、長時間血中を循環でき
るような分子量を有し、そして、改良した生体内分布を示す他の重合体造影剤、
例えばMR、X線、超音波、光系造影剤および核造影剤がなお必要とされている。
本発明は、1個以上のレポーター基、例えばキラント部分、蛍光物質または吸
収剤を担持するかこれらに結合したアミノ酸の共重合体が、その構造と、分子量
分布の点で実質的均一であることの両方により診断および治療用途に特に適して
いるという認識に基づいている。さらにまた、比較的高い分子量により、このよ
うな化合物は部位指向性生体分子への結合の必要はなく効果的な血液プール剤と
して機能することができる。
従って、本発明は、少なくとも1個のレポーター部分を結合した直鎖、分枝鎖
またはデンドリマー型(dendrimeric)の重合体骨格を有する化合物であって、上
記重合体骨格は複数のアミン含有酸、例えばアミノ酸残基または同様の非天然ア
ミン含有酸を有するが、ただし、重合体骨格が直鎖である場合は、そのレポータ
ー部分はヨウ素化造影剤、超音波造影剤、光系レポーターまたはDOTAおよびDTPA
または同様のポリアミノカルボン酸以外の金属キレート化剤を有する上記化合物
を提供する。重合体骨格が直鎖である場合は、レポーター部分は好ましくはヨウ
素化造影剤またはTMTを含有する。
本明細書では、「レポーター部分」という用語は重合体骨格に結合されて何ら
かの化学的、物理的または生物学的な検査により検出可能な作用を
もたらす何らかの原子、イオンまたは分子を定義するものとする。即ち、レポー
ター部分は治療薬または診断剤の何れかであってよく、例えば造影剤または医薬
であってよい。ある重合体骨格に2個以上のレポーター部分が結合する場合は、
これらは同じかまたは異なっていてよい。即ち、これらは診断剤および/または
治療薬の何れかの組み合わせを有していてよい。結合するレポーター部分の数は
重合体骨格の構造、特に枝分れの程度によるが、一般的には、3〜200、好まし
くは100まで、例えば50個までである。
デンドリマー型(またはカスケード型)の重合体が骨格部分として好ましい。
これらは分枝部位として作用する単量体から形成され、各々、順次枝分れするに
従って新しい「世代」が形成される。デンドリマー型骨格分子は好ましくは中央
コア部分より外側に向けて放射状に伸びるように配列した多数の天然または非天
然の、好ましくは天然のアミノ酸残基を有する。これらのアミノ酸残基は末端で
は直接、または、場合により連結基を介して、1つ以上のレポーター基に結合し
てよい。あるいは、これらは末端で別のアミノ酸残基の付加により枝分れしても
よい。中央で枝分れしたコアそのものがすでに末端で枝分れしている骨格分子は
、第1世代骨格分子と称される。第1世代骨格分子のアミノ酸残基のさらなる末
端の枝分れにより、第2、第3、第4世代などの骨格が形成される。一連の枝分
れの各段階ごとに、レポーター基への結合に使うことのできる結合点の数が増加
する。コア部分の性質に応じて、これより生じる分枝は1つ以上の方向に放射状
に伸び、その結果、放射状に非対称または対称なデンドリマーが形成される。
複数個の天然または非天然の、好ましくは天然のアミノ酸残基を有するデンド
リマー型重合体は本発明の別の特徴を構成する。好都合にはこれら
は中央コア部分から放射状に伸びるアミノ酸残基3〜200個、例えばアミノ酸残
基3〜100個を有している。
コア部分そのものがアミノ酸残基1つ以上を有してもよいが、他のコア部分も
考えられる。典型的には、コア部分は多数のアミノ酸残基が順次結合した任意の
分子であってよく、それ自体レポーター部分を有していてよい。適当なコア分子
には下記式:
(式中、m=0〜4であり、Yは水素またはアルキルまたはアリール基、例えば
C1-6アルキル基であり、そしてXは-CO2H、-SO2Clまたは-CH2Br基である)並び
にこれを修飾したものおよびその誘導体が包含される。
本発明の1つの実施態様によれば、デンドリマーコアはそれ自体レポーター部
分を有する。従って、本発明はレポーター部分から放射状に伸びるデンドリマー
型重合体骨格を有し、その重合体骨格はアミノ酸残基複数個を有する化合物を提
供する。
好ましくは生体分解性連結基は重合体骨格にレポーター部分を結合させる作用
を有する。このようにして、標的部位における化合物の生体分解の結果、レポー
ター部分、例えばイオン性または非イオン性の造影剤が目的部位で放出される。
適切な連結基の例は、アミド、エーテル、チオエーテル、グアニジル、アセター
ル、ケタールおよびホスホエステル基である。骨格とレポーター基との間の結合
はアミド結合、骨格分子由来のアミド窒素およびレポーター基上のカルボキシル
またはカルボキシル誘導体由来のアミドカルボニルを介するのが好ましい。
生体分解性重合体の利点は、その分解速度を所要造影時に合わせて調節
することにより、例えばリンパ造影操作の間に注入部位に、あるいは、血管造影
操作の間に肝臓のような組織に、これが蓄積しないという点にある。本発明の化
合物の生体分解性は特定のリンカーとペプチドクラスター化合物を選択すること
により調節することができる。更に、所望により、リンカーと重合体骨格の生体
分解性は、精製酵素および/または生物学的な液体/組織を用いることにより、
インビトロで至適化することができる。それ自体速やかに消失するアミノ酸単量
体の使用により更に造影後のクリアランスを助ける。
好ましい重合体骨格はアミノ酸残基3〜200個、好ましくはアミノ酸残基3〜1
00個を有し、分子量300〜20,000ダルトンを有するものである。これらは好まし
くはペプチド結合を介して結合し、これにより、重合体の生体分解性や、その後
の身体からの除去を確実に行うことができる。ポリアミノ酸は単一の種かまたは
少なくとも2つの異なる種のアミノ酸であってよく、あるいは、ブロック共重合
体であってよい。好ましくはポリアミノ酸はポリ−L−アスバラギン酸である。
本発明の特に好ましい本発明の化合物は下記式I:
(式中、nは1〜100の整数であり、Rはレポーター基または生体分解性リンカ
ーレポーター付加物である)を有する化合物である。
本発明の好ましい実施態様においてはレポーター部分はキレート化剤である。
これらは高い安定性で金属イオンをキレート化することができ、適切な金属イオ
ンで金属化してよく、これにより、例えば、NMRやγシンチグラフィーやX線に
よる像を強化したり、また、腫瘍のような細胞を死滅させるために細胞毒性線量
の放射線を供給することができる。好都合には、キレート化剤は常磁性金属イオ
ン少なくとも1種を有する造影剤である。あるいはキレート化剤は、例えば金属
解毒においてインビボに存在する金属イオンを吸収するために、非金属化または
金属不足の状態で使用してもよい。
レポーター部分はまた治療薬、例えば、抗生物質、鎮痛剤、抗炎症剤、または
、他の生物活牲薬剤を含有してよい。このような薬剤を担持する重合体が血中を
長時間循環することは、その治療作用を実質的に延長する。連結基の蛋白分解に
より治療薬が放出される。即ち、特定の連結基を選択することにより、所望の目
的部位における治療薬の時間指定放出の可能性が得られる。
所望により、本発明の化合物はよく知られた方法で1つ以上の部位指向性分子
または標的設定剤、例えば蛋白に結合させることができ、これにより標的細胞、
組織、器官および/または体内管腔の像を強化したり、これらに細胞毒性線量の
放射線を供給したりできる二官能性の重合体を形成することができる。この方法
による目的部位への造影剤の標的設定は造影方法の有効性を高める。このような
剤は標的設定剤の特異性に応じて目的部位に蓄積する。あるいは、重合体を部位
指向性分子とカップリングすることなく血液プール剤として使用してもよい。
即ち、デンドリマー型骨格部分を有する本発明の上記化合物を得るには、何ら
かの末端アミノ酸残基を直接または生体分解性連結基を介してレポー
ターまたは標的設定剤の何れかに結合してよい。好ましくは、コア部分自体がレ
ポーター基である場合は、各末端アミノ酸残基を生体分解性連結基を介して標的
設定剤に結合する。これにより、1つ以上の標的設定剤を有する化合物を得るこ
とができる。好都合には、標的設定剤の数は1〜128個、好ましくは1〜16個、
例えば1〜4個である。
本発明の別の実施態様においては、デンドリマー型重合体骨格を有する化合物
は、標的設定剤または部位指向性巨大分子をコア部分として有する。得られるペ
プチドクラスターがその後1つ以上のレポーター部分に連結する。本発明は標的
設定剤から放射状に延びるデンドリマー型重合体骨格を有し、上記重合体骨格は
、それに連結するレポーター部位少なくとも1つとともにアミノ酸残基複数を有
する化合物を提供する。
WO-A-95/11694に記載されているE.coli由来の熱安定性STa腸内毒素がコア標
的設定剤として特に適している。図1にSTaペプチドがポリ−L−アスパラギン
酸クラスター(Asp3)に連結し、これが次にTMTレポーター分子複数に連結してい
る本発明の化合物を示す。
本発明の重合体は、体内において独特の局在化を示すということからも医療に
おける診断や治療においてそれ自体有用な本体である。重合体の大きさ、典型的
には200〜100,000ダルトン、特に200〜50,000ダルトン、更に10,000〜40,000ダ
ルトンであることが、その生体分布を大きく変化させるのである。特定の連結基
の選択および/またはポリアミノ酸配列の変化もまた重合体および結合したレポ
ーターや標的設定剤の生体分布に影響する。
本発明の化合物は一般的に、例えば数時間のオーダーの延長された血管内滞留
時間を有するが、これは適切な連結剤の選択および/または骨格重合体のポリア
ミノ酸配列の変更により化合物の所望の用途に応じて特に微
調整することができる。通常は化合物は最終的には細胞外液体(ECF)空間に排出
され、腎排泄される。化合物は診断上有用な滞留時間中は主に血管内に残留する
ため、血液プールおよび心灌流造影、CNS腫瘍検出および血栓検出と血管撮影の
ための容量測定で生じる一定範囲の用途に適している。血液プール剤としては、
これらは、特に患部の検出や心筋灌流試験に関する血流や血液量の検討において
使用するのに特に適している。この目的のためには、細胞外/血管外の空間に急
速に分散する従来の単量体MRI造影剤は容易に使用できない。更に、その高い緩
和性に鑑みて、本発明の重合体はGdDTPAおよびGdDOTAのような現行の単量体MRI
造影剤と比較してかなり少ない用量で投与することができ、これにより、その使
用において大きく改善された安全域が得られる。
従って、本発明は長時間血液プールのMRコントラスト増強を与えることができ
、種々の体内組織における蓄積に対して特異性を有し、比較的大量の金属を与え
、そして所望の組成、分子量および大きさの剤を得るためにその分子量を合成上
微調整できる化合物を提供する。
更にまた、キレート化物を適宜選択することにより、例えばタングステンを選
択することによりエックス線造影剤として、そして、適切な金属イオン、例えば
ランタニドイオンを選択することによりMR造影剤としても機能することのできる
本発明のキレートを製造できる。
化合物を部位指向性分子に結合することにより、更に大きいインビボの標的特
異性を得ることができる。部位指向性分子は、好ましくは抗体、抗体フラグメン
ト、他の蛋白または他の巨大分子等、インビボでキレート化金属を供給すべき部
位まで移動できるものである。本発明では、この部位指向性巨大分子がその標的
まで移動および/またはこれと結合する能力は、キレート化金属の添加により影
響を受けない。1分子当たりのキレートの
数はその特定の標的の像を強化するのに十分である。
重合体骨格への結合に適するキレート化剤には直鎖および巨大環状のPAPCA類
が包含される。適当なPAPCAの例にはエチレンジアミン4酢酸(EDTA)、ジエチレ
ントリアミン5酢酸(DTPA)、1,4,7,10−テトラアザシクロドデカン4酢酸(DO
TA)、1,4,7,10−テトラアザシクロドデカン−1,4,7−3酢酸(DO3A)、1−オキ
サ−4,7,10−トリアザシクロドデカン3酢酸(DOXA)、1,4,7−トリアザシクロノ
ナン3酢酸(NOTA)および1,4,8,11−テトラアザシクロテトラデカン4酢酸(TETA
)が包含される。
重合体骨格への結合に適する他のキレート化剤には、US-A-5367080に記載のテ
ルピリジン類、例えば4'−(3−アミノ−4−メトキシフェニル)−6,6"−ビス
(N',N'−ジカルボキシメチル−N−メチルヒドラジノ)−2,2':6',2"−テルピ
リジン(THT)および4'−(3−アミノ−4−メトキシフェニル)−6,6″−ビス〔
N,N−ジ(カルボキシメチル)アミノメチル〕−2,2':6',2"−テルピリジン(TM
T)が包含される。
キレート化により導入することができる金属には、ランタニドおよび他の金属
イオン、例えば、Mg、Ca、Sc、Ti、B、V、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Zn、Ga、
Sr、Y、Zr、Tc、Ru、In、Hf、W、Re、Os、PbおよびBiのようなアイソトープお
よび放射性アイソトープが包含される。キレート化のための金属の選択は所望の
治療用途または診断用途により異なる。
X線造影剤における使用のためには、レポーター部分はイオン性または非イオ
ン性のヨウ素化単環またはビス環のエックス線造影剤を有する。単環およびビス
環という表現は造影剤が1個または2個のヨウ素化された環を有することを指す
。一般的にヨウ素化された環はジまたはトリヨウ素化、例えばトリヨウ素化アリ
ール環、特にフェニル環である。本発明で用いるヨウ素化造影剤の例はイオヘキ
ソール、イオペントール、イオパミドール
およびイオジキサノールである。好都合には、1つ以上のヨウ素化造影剤をコン
ジュゲートして交互共重合体を形成し、次にこれを重合体骨格に結合することが
できる。イオジキサノールからこのような共重合体を合成する例を以下に示す。 本発明の二官能性試薬には部位指向性分子への化合物のカップリングが関与す
る。部位指向性の分子は、インビボの哺乳類の体内の選択された標的器官、組織
、細胞または細胞群、または他の部位に自然に集中する何れの分子であってもよ
い。これらにはアミノ酸、オリゴペプチド(例えばヘキサペプチド)、分了認識
単位(MRU)、単鎖抗体(SCA)、蛋白、非ペプチド有機分子、Fabフラグメント
および抗体が包含される。部位指向性分子の例には、多糖類(例えばCCKおよび
ヘキサペプチド)、蛋白(例えばレクチン、アシアロフェツイン、ポリクローナ
ルIgG、血液凝固蛋白(例えばヒルジン)、リポ蛋白および糖蛋白)、ホルモン、生
育因子および凝固因子(例えばPF4)が包含される。部位指向性蛋白の例は、E.
coli熱安定性腸毒素STaおよびその類縁体、重合化フィブリンフラグメント(例え
ばE1)、血清アミロイド前駆体(SAP)蛋白、低密度リポ蛋白(LDL)前駆体、血
清アルブミン、未損傷赤血球の表面蛋白、受容体結合分子、例えばエストロゲン
、肝特異的蛋白/重合体、例えばガラクトシル−ネオグリコアルブミン(Vera等
のRadiology 151:191(1984)参照)、種々の数の結合ガラクトサミンを有する
N−(2−ヒドロキシプロピル)メタクリルアミド(HMPA)共重合体(Duncan等
のBiochim.Biophys.Acta 880:62(1986)参照)、および、アリルおよび6−
アミノヘキシルグリコシド(Wong等のCarbo.Res.170:27(1987)参照)およ
びフィブリノーゲンが挙げられる。
部位指向性蛋白はまた抗体であってもよい。抗体の選択、特に抗体の抗原特異
性はコンジュゲートの所望の使用により異なる。モノクローナル抗体がポリクロ
ーナル抗体より、より好適である。
ヒト血清アルブミン(HAS)は血管系の試験のために好ましい蛋白である。HAS
はSigma Chemicals Co.を含む多くの製造元より購入可能である。
所望の抗原と反応する抗体の調製はよく知られている。抗体の調製物は種々の製
造元より購入可能である。フィブリンフラグメントE1はOlexa等のJ.Biol.Chem
.254:4925(1979)に記載のとおり調製できる。LDL前駆体およびSAP蛋白の調
製はDe Beer等がJ.Immunol.Methods 50:17(1982)に記載している。上記文
献は参考のために本明細書に組み込む。
本発明の化合物は好都合には、アミノ酸残基複数を有する直鎖、分枝鎖または
デンドリマー型の骨格を非反応性の溶媒中レポーター基1個以上とコンジュゲー
トすることにより調製される。骨格分子へのレポーター基の連結は何らかの反応
性基を介して行ってよく、標準的なカップリング方法は当該技術分野で知られて
いる。好ましい反応条件、例えば温度、溶媒などは特定の反応体により主に決定
され、当業者が容易に決定できるものである。
存在する何れかのキレート剤を金属化する方法は当業者にはよく知られる種類
のものである。金属は直接導入、テンプレート合成および/またはトランスメタ
レーションの3つの一般的な方法の何れか1つによりキラント部分に導入するこ
とができる。直接導入が好ましい。
重合体骨格を抗体および他の蛋白に結合する方法は当業者にはよく知られてい
る。このような方法はPierce 1989 Handbook and General Catalogおよびその引
用文献、Blatter等のBiochem.,24:1517(1985)およびJue等のBiochem.,17:
5399(1978)に記載されている。
重合体骨格そのものは従来のペプチド合成方法に従って合成してよい。アミノ
酸単位を形成するのに適する方法は例えば、“Synthesis of Optically Active
α-Amino Acids”においてRobert M.Williamsが記載している(Pergamon Press
,1989)。一部の側鎖基例えばヒドロキシ、第1アミド基等は合成操作全体を通
じて未保護のままとすることも可能であ
るが、一般的には存在する反応性の側鎖基、例えばアミノ、チオールおよび/ま
たはカルボキシを個々のアミノ酸のカップリングの間は保護する。
本発明の化合物の合成の最終工程は、上記化合物の完全保護または部分保護誘
導体の脱保護であり、このような工程は本発明の一部を構成する。即ち、本発明
は上記化合物の部分または完全保護誘導体の脱保護を包含する上記化合物の製造
方法を提供する。
ペプチド鎖の構築においては、原則として、C末端またはN末端の何れかにお
いて開始することが可能である。しかしながら、C末端開始法のみが一般的に使
用されている。これはNからCの方向の合成には許容できないほど高度なラセミ
化が起こるという難点があるためである(Konig & GeigerのChemische Berichte103:2024-2033,1970参照)。
意外にも、本発明で使用するためのペプチド化合物は、アミノからカルボキシ
方向に合成することにより、良好な収率で、そして、高純度(1工程当たりのラ
セミ化<0.1%)で製造できることがわかった。この合成方法はデンドリマー型重
合体骨格の調製において特に効果的であることが解っている。特にこれらは、従
来のマイケル付加で得られるデンドリマーよりもより安定であることが分かった
。更にまた、アミノからカルボキシ方向に重合体骨格を合成することは、実質的
に交差結合でなく、特に低濃度のラセミ不純物を含有する個々の重合体を製造す
ることが分かった。
従って、本発明は更に
(a) アミノからカルボキシ方向に順次保護されたアミノ酸残基を段階的に
連結して重合体骨格を形成し;
(b) 場合により連結基を介して重合体骨格を1つ以上のレポーター部分に
連結し;そして
(c) 保護基がある場合はこれを脱保護する
ことからなる、少なくとも1個のレポーター部分を結合した直鎖、分枝鎖または
デンドリマー型の複数個のアミノ酸残基を含有する重合体骨格を有する化合物の
調製方法を提供する。
即ち、例えばアスパラギン酸の適当に保護された誘導体と第2のアスパラギン
酸分子の適当に保護された誘導体との反応によりN末端において開始することが
できる。最初のアスパラギン酸誘導体は保護されたアミノ基と遊離のカルボキシ
ル基を有し、一方の反応体は遊離または活性化されたαアミノ基および保護され
たカルボキシル基を有する。カップリング後、例えばクロマトグラフィーにより
中間体を精製し、その後、選択的に脱保護して別のアミノ酸残基を付加できるよ
うにする。この操作を所望のアミノ酸配列が得られるまで継続する。
アミノ酸のための保護基は種々知られている。適当なアミン保護基には、カル
ボベンゾキシ(Z−またはCbz)、t−ブトキシカルボニル(Boc-)および9−フ
ルオレニルメトキシカルボニル(Fmoc-)が知られている。使用してよいカルボ
キシル保護基にはベンジル(-Bzl)およびt−ブチル(-tBu)がある。
アミン−およびカルボキシル−保護基の除去には種々の方法がある。Bocのよ
うなアミン保護基および-tBuのようなカルボキシル保護基は例えばトリフルオロ
酢酸を用いた酸処理により、同時に除去してよい。
遊離のアミノ基とカルボキシル基のカップリングは例えば、N,N'−ジシクロヘ
キシルカルボジイミド(DCC)を用いて行ってよい。使用してよい他のカップリン
グ剤には1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド(ED
C)および2−(1−H−ベンゾトリアゾリル−1−イル)−1,1,3−テトラメチル
ウラニウムテトラフルオロボレート(TBTU)が包含される。
カップリング反応は周囲温度で、好都合には適当な溶媒系中、例えば、テトラ
ヒドロフラン、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、または、これら
の溶媒の混合物中で行ってよい。
固相樹脂支持体上でペプチド合成を行うのが好都合である。ポリスチレンビー
ズのような不溶性マトリックスに連結した成長中のペプチド鎖に段階的にアミノ
酸を付加する。この固相法の利点の1つは、各工程の所望の生成物を急速に濾過
洗浄可能なビーズに結合するため、中間体を精製する必要性が無いことである。
多くの適当な固相支持体が当業界では知られており、例えば、無水コハク酸とエ
ステルを形成するように修飾された4−ヒドロキシベンジルアルコール樹脂が挙
げられる。
本発明の化合物、特に二官能性の重合体は造影の患者に特定の造影技術を用い
て所望のコントラストを得るのに十分な量で投与することができる。一般的には
患者の体重1キロ当たりキレート化造影金属イオン0.001〜5.0ミリモルの用量が
十分なコントラスト強化を達成するのに効果的である。大部分のMRI用途のため
には、造影金属イオンの好ましい用量は0.02〜1.2mmol/kg体重の範囲であり、
X線用途のためには0.5〜1.5mmol/kgの用量が一般的にX線減衰を達成するため
に効果的である。大部分のX線用途のための好ましい用量はランタニドまたは重
金属0.8〜1.2mmol/kg体重である。
治療用途のための本発明の化合物の用量は治療する症状により異なるが、一般
的に1pmol/kg〜1mmol/kg体重のオーダーである。
本発明の化合物は従来の医薬用または獣医科用の補助剤、例えば、乳化剤、脂
肪酸エステル、ゲル化剤、安定化剤、抗酸化剤、浸透圧調節剤、緩衝物質、pH調
節剤等とともに処方してよく、非経腸または経腸投与、例えば注射または注入に
よるか、または、外部への退出経路を有する体腔、例
えば胃腸管、膀胱または子宮への直接の投与に適する剤型であってよい。即ち、
本発明の化合物は錠剤、カプセル、粉末、溶液、懸濁液、分散液、シロップ、坐
薬などのような従来の医薬品の投与形態であってよい。しかしながら、生理学的
に許容される担体溶媒、例えば、注射用水中の溶液、懸濁液および分散液が一般
的に好ましい。
従って本発明の化合物は当業界でよく知られている方法で生理学的に許容され
る担体または賦形剤を用いて投与形態に製剤してよい。例えば、化合物を場合に
より製薬上許容しうる賦形剤と加えて、水性媒体中に懸濁または溶解し、得られ
た溶液または懸濁液を滅菌する。
身体のある部分のMRIおよびX線造影のためには、造影剤として金属キレート
を投与するための最も好ましい態様は、非経腸、例えば、静脈内投与である。非
経腸投与可能な剤形、例えば静脈投与用溶液は滅菌されており、生理学的に許容
できない物質を含有しておらず、そして、投与による刺激や他の有害作用を最小
限にするための低い浸透圧を有することが必要であり、即ち、造影剤は好ましく
は等張性または僅かに高張性でなければならない。適当なビヒクルには、Sodium
Chloride Injection,Ringer's Injection,Dextrose Injection,Dextrose an
d Sodium Chloride Injection,Lactated Ringer's Injectionおよびその他の溶
液、例えばRemington's Pharmaceutical Sciences,15th ed.,Easton:Mack Pu
blishing Co.,pp.1405−1412および1461−1487(1975)およびThe National F
ormulary XIV,14th ed.,Washington:American Pharmaceutical Association
(1975)に記載のような非経腸溶液を投与するために慣用的に用いられる水性ビ
ヒクルが包含される。溶液は非経腸溶液のために従来より使用されている保存料
、抗微生物剤、緩衝剤および抗酸化剤、賦形剤、および、キレートと適合性があ
り、製品の製造、保存ま
たは使用の妨げとならない他の添加物を含有できる。
また、本発明は製薬上許容しうる担体または賦形剤少なくとも1種とともに本
発明の化合物を含有する像強化組成物または治療用組成物のような医薬組成物を
提供する。
本発明は像強化造影剤または治療用組成物の製造のための本発明の化合物また
はそのキレートの使用に関する。
さらに本発明は、本発明の化合物の像強化量を上記身体に投与し、その後、そ
の身体の少なくとも一部の像、例えばMR、X線、超音波またはシンチグラフィー
による像を形成させることからなる、ヒトまたはヒト以外の動物、特に哺乳類の
身体の像を形成させる方法を提供する。
本発明を以下の実施例により更に説明する。特記しない限り、全てのパーセン
トは重量によるものである。
実施例1:非対称ペプチドクラスター
Z−〔Asp(α,γ−Asp2(α,γ−Asp4(α,γ−Asp6(α,γ−Lys16(α−レポ
ーター16)〕
(a) ビス−α,γ−(α,γ−(t−ブチル)−アスパルチル)−N−Cbz−ア
スパルトアミド“Asp3クラスター”(化合物I)
500mL容の丸底フラスコにN−Cbz−L−アスパラギン酸8.5mmol、N−ヒドロ
キシベンゾトリアゾール10.2mmol、THF:DMF(2:1,v/v)25mLおよびEDC(1−
エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド)10.2mmolを添加し
た。45分間室温で撹拌した後、α,γ−(t−ブチル)−L−アスパラギン酸20.4
mmolおよびN,N'−ジイソプロピルエチルアミン25mmolを撹拌しながら添加した。
4時間後、更にEDC 10.2mmolを添加し、反応を3日間上記のとおり継続した。こ
のスラリーを水で抽出することにより後処理した。
純度:TLCで単一スポット、MSおよびNMRで同定。収率:44.5%
(b)N−Cbz−アスパルトアミドー((α,γ−アスパルチル)−(α,γ−(t
−ブチル)アスパルチル))“Asp7クラスター”(化合物II)
500mL容の丸底フラスコに化合物Iを10mmol、クロロホルム:THF:アセトニト
リル(2.5:7:7)95mL、N−ヒドロキシベンゾトリアゾール36.4mmolおよびDDC
(N,N'−ジシクロヘキシルカルボジイミド)36.5mmolを添加した。20分間室温で撹
拌した後、α,γ−(t−ブチル)−L−アスパラギン酸40mmolを添加し、そして
、N,N'−ジイソプロピルエチルアミンをpHが約7となるまで添加した。16時間室
温で撹拌した後、水で抽出することにより反応を後処理した。
純度:TLCで単一スポット、MSおよびNMRで同定。収率:12.1%
(c)N−Cbz−アスパルトアミドー((α,γ−アスパルチル)−(α,γ−(t
−ブチル)アルパルチル)))“Asp15クラスター”(化合物III)
工程1:
化合物II 0.85mmolを8時間室温で95%トリフルオロ酢酸(水性)200mL中で撹
拌した。反応混合物を真空下40℃で蒸発乾固させ、200mLのトルエン次いでTHFか
ら再度蒸発乾固させた。
工程2:
250mL容の丸底フラスコに上記工程1の物質0.85mmol、DMF:THF(1:1,v/v)
90mL、N−ヒドロキシベンゾトリアゾール8.12mmol、および、EDC(1−エチル−
3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド)8.12mmolを添加した。20分
間室温で撹拌した後、α,γ−(t−ブチル)−L−アスパラギン酸16.24mmolお
よびN,N'−ジイソプロピルエチルアミン19.92mmolを添加した。16時間室温で撹
拌した後、水で抽出し、イオン交換クロマトグラフィーを行うことにより反応を
後処理した。
純度:TLCで単一スポット、MSおよびNMRで同定。収率:82.2%
(d)N−Cbz−アスパルトアミドー((α,γ−アルパルチル-(α,γ−アスパ
ルチル−(アルパルチル(α,γ−リシル((α−メトキシエチルアミド,ε−アミ
ン)))))))“Asp15Lys16クラスター”(化合物IV)
工程1:
化合物III0.7mmolを8時間室温で95%トリフルオロ酢酸(水性)200mL中で撹拌
した。反応混合物を真空下40℃で蒸発乾固させ、200mLのトルエン次いでTHFから
再度蒸発乾固させた。
工程2:
250mL容の丸底フラスコに上記工程1の化合物0.7mmol、DMF:THF(1:1,v/
v)90mL、N−ヒドロキシベンゾトリアゾール8.12mmol、および、EDC(1−エチ
ル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド)8.12mmolを添加した。
20分間室温で撹拌した後、α,γ−(t−ブチル)−L−アスパラギン酸16.24mmo
lおよびN,N'−ジイソプロピルエチルアミン19.92mmolを添加した。16時間室温で
撹拌した後、水で抽出し、イオン交換クロマトグラフィーを行うことにより反応
を後処理した。
純度:TLCで単一スポット、MSおよびNMRで同定。収率:99%
工程3:
250mL容の丸底フラスコに上記工程2の化合物0.7mmol、DMSO:DMF:THF(1.5:
3.5:5,v/v)100mL、N−ヒドロキシベンゾトリアゾール27.5mmol、および、ED
C(1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド)27.5mmolを
添加した。20分間室温で撹拌した後、α−BOC−L−リシン55mmolおよびN,N'−
ジイソプロピルエチルアミン68.7mmolを添加した。16時間室温で撹拌した後、水
で抽出し、ゲル濾過クロマトグラフィーを行うことにより反応を後処理した。
純度:TLCで単一スポット
工程4:
250mL容の丸底フラスコに上記工程3の化合物、DMF:DCM(2:2,v/v)40mL、
N−ヒドロキシベンゾトリアゾール23.5mmol、および、EDC(1−エチル−3−(
3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド)23.5mmolを添加した。30分間室
温で撹拌した後2−メトキシエタノールアミン75mmolを添加した。一夜室温で撹
拌した後、水で抽出し、イオン交換クロマトグラフィーを行うことにより反応を
後処理した。
純度:TLCで単一スポット。収率:90%
(e)N−Cbz−アスパルトアミドー((α,γ−アスパルチル−(α,γ−アスパ
ルチル−(アスパルチル(α,γ−リシル((α−メトキシエチルアミド,ε−TMT)
))))))“Asp15Lys16TMT16クラスター”(化合物V)
250mL容の丸底フラスコに化合物IV、TMT-NCS 1.1モル等量および50mMホウ酸ナ
トリウム100mLをpH9.0で添加した。48時間室温で撹拌した後、透析濾過(2000MW
カットオフ)により反応混合物を後処理した。
純度:RP-HPLCにより80%
実施例2:対称アスパラギン酸クラスター
(a)ビス−(α,γ−(t−ブチル)−アスパルチル)スクシンアミド(化合物I)
合成経路A
2L容の丸底フラスコに、コハク酸20mmol、EDC(1−エチル−3−(3−ジメ
チルアミノプロピル)カルボジイミド)26mmol、トリエチルアミン24mmol、TBTU(
2−(1−H−べンゾトリアゾリル−1−イル)−1,1,3,3−テトラメチノレウロ
ニウムテトラフノレオロボレート)12mmol、および、
THF:DMF(2:1,v/v)150mL、次いで、α,γ−(t−ブチル)−L−アスパラ
ギン酸20mmolを添加した。このスラリーを室温で4日間反応させ、次に水で抽出
することにより後処理した。
純度:TLCで単一スポット、MSおよびNMRで同定。収率:23.2%
合成経路B
2L容の丸底フラスコに、コハク酸10mmol、THF:DMF(2:1,v/v)100mL、
トリエチルアミン60mmolおよびTBTU(2−(1−H−ベンゾトリアゾリル−1−イ
ル)−1,1,3,3−テトラメチルウロニウムテトラフルオロボレート)20mmolを添加
した。15分間撹拌した後、α,γ−(t−ブチル)−L−アスパラギン酸22mmol
を添加した。このスラリーを室温で21時間反応させ、次に水で抽出することによ
り後処理した。
純度:TLCで単一スポット、MSおよびNMRで同定。収率:64.7%
(b)(ビス−α,γ−アスパルチル−(α,γ−(t−ブチル)−アスパルチル)
)スクシンアミド(化合物II)
工程1:
化合物I 4.6mmolを45分間室温で撹拌しながらトリフルオロ酢酸/ジクロロメ
タン(1:1,v/v)100mL中に添加した。反応混合物を真空下30℃で蒸発乾固さ
せ、クロロホルム各々100mLで5回連続蒸発乾固させた。
工程2:
工程1の生成物をトリエチルアミン60mmolおよびL−アスパラギン酸−(α,
γ−(t−ブチル)エステル40mmolとともにTIIF:DMF(1:1,v/v)250mL中に
溶解した。この溶液にTBTU 60mmolを添加した。16時間後、更にL−アスパラギ
ン酸−(α,γ−(t−ブチル)エステル20mmolを添加し、反応を一夜継続した
。
水で後処理し、イオン交換クロマトグラフィーを行うことにより、TLC
上で単一の主要スポットが得られ、これはMSとNMRにより所望の化合物として同
定された。収率:90%
実施例3:X線造影剤
(a)ヨウ素化単量体の合成(化合物I)(b)化合物Iを実施例1および2に記載のAspxクラスターの何れかにカップリ
ングさせることにより、ヨウ素化されたX線造影剤を形成した。
【手続補正書】特許法第184条の8第1項
【提出日】平成11年2月22日(1999.2.22)
【補正内容】
請求の範囲
1.少なくとも1個のレポーター部分を結合している放射状に非対称のデンドリ
マー型の重合体骨格を有する化合物であって、上記重合体骨格が複数のアミン含
有酸を有する上記化合物。
2.上記重合体骨格が複数の天然または非天然のアミノ酸残基を有する請求項1
記載の化合物。
3.上記重合体骨格がアミノ酸残基3〜200個を有する請求項2記載の化合物。
4.上記デンドリマー型重合体骨格が中央コア部より放射状に伸びるアミノ酸残
基3〜200個を有する請求項1〜3の何れか一項記載の化合物。
5.上記コア部がH2NCOCH2CH2CONH2および
(式中、m=0〜4であり、Yは各々独立して水素またはアルキルまたはアリ
ール基であり、Xは各々独立して-CO2H、-SO2Clまたは-CH2Br基である)および
その誘導体よりなる群から選択される請求項4記載の化合物。
6.上記コア部がレポーター部分を有する請求項4記載の化合物。
7.上記コア部が哺乳類の身体中の標的細胞、組織、器官または他の部位まで移
動することができるか、またはそこに特異的に結合することのできる標的設定剤
を有する請求項4記載の化合物。
8.上記重合体骨格が300〜20,000ダルトンの分子量を有する請求項1〜7の何
れか一項記載の化合物。
9.上記重合体骨格がアミノ酸の単一種、または少なくとも2つの異なる
種の重合体またはブロック共重合体を有する請求項2〜8の何れか一項記載の化
合物。
10.重合体骨格がポリ−1−アスパラギン酸である請求項9記載の化合物。
11.レポーター部分3〜200個を有する上記請求項1〜10の何れか一項記載の化
合物。
12.各レポーター部分が生体分解性の連結基を介して上記重合体骨格に連結して
いる請求項1〜11の何れか一項記載の化合物。
13.上記連結基がアミド、エーテル、チオエーテル、グアニジル、アセタール、
ケタールおよびホスホエステル基から選択される請求項12記載の化合物。
14.上記連結基がアミド結合、骨格分子由来のアミド窒素およびレポーター基上
のカルボキシルまたはカルボキシル誘導体由来のアミドカルボニルを有する請求
項12記載の化合物。
15.レポーター部分少なくとも1つが診断剤または治療剤を有する請求項1〜14
の何れか一項記載の化合物。
16.上記剤がキレート化剤またはその金属キレートの残基を有する請求項15記載
の化合物。
17.上記キレート化剤が常磁性金属イオン少なくとも1つを有する造影剤である
請求項16記載の化合物。
18.上記金属イオンがランタニド金属イオン、Mg、Ca、Sc、Ti、B、V、Cr、Mn
、Fe、Co、Ni、Cu、Zn、Ga、Sr、Y、Zr、Tc、Ru、In、Hf、W、Re、Os、Pbおよ
びBiから選択される請求項17記載の化合物。
19.上記キレート化剤がエチレンジアミン4酢酸(EDTA)、ジエチレントリアミ
ン5酢酸(DTPA)、1,4,7,10−テトラアザシクロドデカン4酢酸
(DOTA)、1,4,7,10−テトラアザシクロドデカン−1,4,7−3酢酸(D03A)、1−
オキサ−4,7,10−トリアザシクロドデカン3酢酸(DOXA)、1,4,7−トリアザシク
ロノナン3酢酸(NOTA)および1,4,8,11−テトラアザシクロテトラデカン4酢酸
(TETA)から選択される請求項16または17記載の化合物。
20.キレート化剤が4'−(3−アミノ−4−メトキシフェニル)−6,6"−ビス(N
',N'−ジカルボキシメチル−N−メチルヒドラジノ)−2,2':6',2"−テルピリ
ジン(THT)および4'−(3−アミノ−4−メトキシフェニル)−6,6"−ビス〔N,N
−ジ(カルボキシメチル)アミノメチル〕−2,2':6',2"−テルピリジン(TMT)か
ら選択される請求項16または17記載の化合物。
21.上記剤がイオン性または非イオン性のヨウ素化単環またはビス環のX線造影
剤を有する請求項15記載の化合物。
22.哺乳類の身体中の標的細胞、組織、器官または他の部位まで移動することが
できるか、またはそこに特異的に結合することのできる標的設定剤に結合した請
求項1〜21の何れか一項記載の化合物。
23.標的設定剤がE.coli熱安定性腸毒素STaまたはその類縁体を有する請求項7
または22記載の化合物。
24.中央コア部から於射状で非対称に伸びる複数の天然または非天然のアミノ酸
残基を有するデンドリマー型重合体。
25.上記コア部が請求項5〜7の何れか一項記載のものである請求項24記載のデ
ンドリマー型重合体。
26.レポーター部分少なくとも1個をアミノ酸残基複数を有する放射状に非対称
のデンドリマー型の重合体にコンジュゲートさせることを包含する請求項1〜23
の何れか一項記載の化合物の調製方法。
27.部分的または完全に保護された誘導体を脱保護する工程を有する請求項1〜
23の何れか一項記載の化合物の調製方法。
28.(a)アミノからカルボキシ方向に順次保護されたアミノ酸残基を段階的に
連結して重合体骨格を形成し;
(b)場合により連結基を介して重合体骨格を1つ以上のレポーター部分に連
結し;そして
(c)保護基がある場合はこれを脱保護する
ことからなる、少なくとも1個のレポーター部分を結合している直鎖、分枝鎖
またはデンドリマー型の複数個のアミノ酸残基を含有する重合体骨格を有する化
合物の調製方法。
29.医薬用担体または賦形剤の少なくとも1種とともに請求項1〜23の何れか一
項記載の化合物を含有する医薬組成物。
30.像強化造影剤または治療用組成物の製造における請求項1〜23の何れか一項
記載の化合物の使用。
31.請求項1〜23の何れか一項記載の化合物を身体に投与し、その後、前記身体
の少なくとも一部の像を形成させる工程からなる、ヒトまたはヒト以外の動物の
身体の像を形成させる方法。
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LC,LK,LR,LS,LT,LU,LV,MD,M
G,MK,MN,MW,MX,NO,NZ,PL,PT
,RO,RU,SD,SE,SG,SI,SK,SL,
TJ,TM,TR,TT,UA,UG,US,UZ,V
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