JP2001507790A - ビリルビンアルブミン結合の測定 - Google Patents

ビリルビンアルブミン結合の測定

Info

Publication number
JP2001507790A
JP2001507790A JP52474698A JP52474698A JP2001507790A JP 2001507790 A JP2001507790 A JP 2001507790A JP 52474698 A JP52474698 A JP 52474698A JP 52474698 A JP52474698 A JP 52474698A JP 2001507790 A JP2001507790 A JP 2001507790A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
bilirubin
concentration
sample
unconjugated
reagent
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP52474698A
Other languages
English (en)
Other versions
JP4068156B2 (ja
Inventor
イー. アルフォース、チャールズ
Original Assignee
リサーチ コーポレイション テクノロジーズ インコーポレイテッド
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by リサーチ コーポレイション テクノロジーズ インコーポレイテッド filed Critical リサーチ コーポレイション テクノロジーズ インコーポレイテッド
Publication of JP2001507790A publication Critical patent/JP2001507790A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP4068156B2 publication Critical patent/JP4068156B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Classifications

    • GPHYSICS
    • G01MEASURING; TESTING
    • G01NINVESTIGATING OR ANALYSING MATERIALS BY DETERMINING THEIR CHEMICAL OR PHYSICAL PROPERTIES
    • G01N33/00Investigating or analysing materials by specific methods not covered by groups G01N1/00 - G01N31/00
    • G01N33/48Biological material, e.g. blood, urine; Haemocytometers
    • G01N33/50Chemical analysis of biological material, e.g. blood, urine; Testing involving biospecific ligand binding methods; Immunological testing
    • G01N33/72Chemical analysis of biological material, e.g. blood, urine; Testing involving biospecific ligand binding methods; Immunological testing involving blood pigments, e.g. haemoglobin, bilirubin or other porphyrins; involving occult blood
    • G01N33/728Bilirubin; including biliverdin
    • YGENERAL TAGGING OF NEW TECHNOLOGICAL DEVELOPMENTS; GENERAL TAGGING OF CROSS-SECTIONAL TECHNOLOGIES SPANNING OVER SEVERAL SECTIONS OF THE IPC; TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC CROSS-REFERENCE ART COLLECTIONS [XRACs] AND DIGESTS
    • Y10TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC
    • Y10STECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC CROSS-REFERENCE ART COLLECTIONS [XRACs] AND DIGESTS
    • Y10S435/00Chemistry: molecular biology and microbiology
    • Y10S435/964Chemistry: molecular biology and microbiology including enzyme-ligand conjugate production, e.g. reducing rate of nonproductive linkage
    • YGENERAL TAGGING OF NEW TECHNOLOGICAL DEVELOPMENTS; GENERAL TAGGING OF CROSS-SECTIONAL TECHNOLOGIES SPANNING OVER SEVERAL SECTIONS OF THE IPC; TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC CROSS-REFERENCE ART COLLECTIONS [XRACs] AND DIGESTS
    • Y10TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC
    • Y10STECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC CROSS-REFERENCE ART COLLECTIONS [XRACs] AND DIGESTS
    • Y10S435/00Chemistry: molecular biology and microbiology
    • Y10S435/975Kit
    • YGENERAL TAGGING OF NEW TECHNOLOGICAL DEVELOPMENTS; GENERAL TAGGING OF CROSS-SECTIONAL TECHNOLOGIES SPANNING OVER SEVERAL SECTIONS OF THE IPC; TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC CROSS-REFERENCE ART COLLECTIONS [XRACs] AND DIGESTS
    • Y10TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC
    • Y10TTECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER US CLASSIFICATION
    • Y10T436/00Chemistry: analytical and immunological testing
    • Y10T436/10Composition for standardization, calibration, simulation, stabilization, preparation or preservation; processes of use in preparation for chemical testing
    • Y10T436/103332Bilirubin or uric acid standard or control
    • YGENERAL TAGGING OF NEW TECHNOLOGICAL DEVELOPMENTS; GENERAL TAGGING OF CROSS-SECTIONAL TECHNOLOGIES SPANNING OVER SEVERAL SECTIONS OF THE IPC; TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC CROSS-REFERENCE ART COLLECTIONS [XRACs] AND DIGESTS
    • Y10TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC
    • Y10TTECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER US CLASSIFICATION
    • Y10T436/00Chemistry: analytical and immunological testing
    • Y10T436/14Heterocyclic carbon compound [i.e., O, S, N, Se, Te, as only ring hetero atom]
    • Y10T436/145555Hetero-N
    • Y10T436/146666Bile pigment

Abstract

(57)【要約】 本発明は、試料中の未抱合で未結合のビリルビンの測定に関する。

Description

【発明の詳細な説明】 ビリルビンアルブミン結合の測定発明の分野 本発明は、一般に、試料中の未抱合(unconjugated)で未結合( unbound)のビリルビンの測定に関する。また、本発明は、高ビリルビン 血症の診断および治療に使用することもできる。発明の背景 ビリルビンは、細網内皮細胞による赤血球の分解により形成されたヘムの代謝 産物である胆汁色素である。またそれは、チトクロムのような、蛋白質を含有す る他のヘムの分解によっても形成され得る。ビリルビンの最も典型的な生物学的 形態は、ビリルビンIXaである。 ビリルビンIXaは、通常、いくつかの形態の血流の血漿中を循環する。1つ の形態は「未抱合」または「間接的」ビリルビンと命名されている。未抱合ビリ ルビンは血清アルブミンに複合体化することがあり、それ自体「結合」未抱合ビ リルビンと命名され、あるいはそれは非アルブミン結合または遊離形態で存在す ることがあり、「未結合」非抱合ビリルビンと命名される。結合および未結合の 両未抱合ビリルビンは、通常、肝臓に運ばれて、そこで肝臓細胞によって吸収さ れ、極性抱合形態に変換される。この変換は、典型的には、酵素である肝臓グル クロニルトランスフェラーゼによって触媒される、グルクロン酸分子の未抱合ビ リルビンへの移動を含む。この変換されたビリルビンは、当該分野では、「抱合 」または「直接」ビリルビンと呼ばれている。抱合したビリルビンのうちの一部 は、漏れて血流へ戻ることがある。未抱合形態はよりタイトにアルブミンに結合 するようであるが、その未抱合ビリルビンと同様に、血流中の抱合ビリルビンも アルブミンに結合できる。こうして、血液中のビリルビンは、4つの形態:(1 )結合した抱合ビリルビン、(2)未結合抱合ビリルビン、(3)結合した未抱 合ビリルビン、および(4)未結合未抱合ビリルビン、で存在する。要約すると 、(1)および(2)は共に「直接」ビリルビンとして知られ、他方、(3)お よび(4)は共に「間接的」ビリルビンと命名される。これらの4つの画分は、 一般に、血清または血漿ビリルビン集団を構成する。第5の成分、アルブミンに 共有結合したビリルビンであるデルタビリルビンも記述されているが、これは全 ビリルビンの中の非常に小さな画分であり、この議論には重要でない。 未抱合であるが抱合していないビリルビンは、多くの生命維持に必要な(vi tal)細胞機能を毒し得るものであり、種々の実験的および臨床的証拠は、未 結合未抱合ビリルビンが潜在的な神経毒であることを示唆する。具体的には、未 結合未抱合ビリルビンは、アルブミン結合によって制限されないので、脈管空間 から神経系へ、 そこでは神経組織と複合体化して不可逆的な損傷を引き起こし得るが、その移動 する能力のために、神経毒として作用し得る。典型的には、未結合未抱合ビリル ビンは血液中の全ビリルビンの画分の0.05%未満であり、従って、測定をす るのが困難である。血清ビリルビンの上昇レベルをもたらす疾患状態は、「抱合 」または「未抱合」の、あるいはその両形態のビリルビンレベルを同時に上昇さ せることがある。しかしながら、上昇した未抱合で未結合の形態のみが、神経学 的ビリルビン毒性に対して患者に素因を与える。 高レベルの未抱合ビリルビン(すなわち、高ビリルビン血漿)に罹った新生児 は、誕生後に黄疸となり、進展する核黄疸に罹りやすいが、これは、神経系の組 織、特に発生する脳の基底核における未抱合ビリルビンの蓄積である。ビリルビ ン脳障害とも呼ばれるこの疾患は、アテトーシス様大脳麻痺、眼麻痺、難聴、精 神遅滞、および微妙な運動制御と認識機能の欠陥をもたらしうる。溶血に罹った 新生児および未熟児として生まれた幼児は、ビリルビン脳障害に対し、最も高い 危険群を構成する;しかしながら、その黄疸に対する明瞭な病理学的な病因を持 たない黄疸期新生児でも、核黄疸は報告されている。 ほとんどの新生児は、人生の最初の数日で、一過性の未抱合高ビリルビン血漿 を発症する。早期の出生後退院やヘルスケア提供者によるビリルビン毒性への低 い関心の双方に起因している、妊娠終結時および妊娠終結時間 近の新生児におけるビリルビン脳障害(核黄疸)に、新たな再起がみられている 。 米国において1年間当たりほぼ1−2%(40,000〜80,000)の新 生児が、高ビリルビン血漿のために病院に再び入り、約5%(2000〜400 0人の新生児)は、交換輸血による治療を考慮するほどの高い全ビリルビン濃度 を有するであろう。 これらの高ビリルビン血漿乳児に対する治療決定に際して、医師は、黄疸が交 換輸血を要するほど重症か否かを決定しなければならない。交換輸血および黄疸 には、死亡を含め、患者に対する大きな危険が伴うので、これらの決定の基礎と なるデータは非常に重要である。未結合で未抱合のビリルビンを容易に測定する ことはできないので、新生児に対して交換輸血を行うことの決定は、通常、全抱 合および未抱合血液ビリルビンレベルに基づいている。事実、この目的のための ルーチンの臨床的実験室的方法というものは存在しない。さらに、進展する核黄 疸の危険を予測するのに、血液中の全ビリルビンの濃度は、感度も特異性も乏し い。例えば、溶血を持つ妊娠終結時新生児に対する交換輸血レベルとして使用す る場合、15mg/dLのTBC(全結合ビリルビン濃度)は約83%の感度お よび約78%の特異性を有する。もしこの基準をさらに考慮することなく医学的 決定で使用するならば、交換輸血を要する乳児の約17%がこれを受けないで、 神経学的損傷を蒙ることのなるであろう。 さらに、交換輸血を要しないものの22%が、危険を伴いながら、にもかかわら ずこれを受けることになるであろう。従って、交換輸血治療は、その治療を必要 としている新生児がそれを受けない一方で、それを要しない新生児に対して無駄 に行われることがある。 未結合未抱合ビリルビン(血液ビリルビンの神経毒画分)の測定は、黄疸乳児 が交換輸血を必要とする場合の決定に良好な方法であろう。 患者の未結合未抱合ビリルビンのレベルに有意に相関すると考えられる物質の レベルを測定することにより交換輸血による治療の必要性を決定するのに、2種 類の医学的診断テストが行われてきた。これらのテストは、以下の式:[式中、buは未結合未抱合のビリルビンであり、bcは未結合抱合ビリルビン であり、aは血清未結合アルブミンであり、A:bu、bcは未抱合および抱合 ビリルビンと複合体化したアルブミンである。] に基づいている。簡単に言えば、第1の方法は未結合アルブミン(a)を測定し 、第2の方法(ペルオキシダーゼ)は未結合未抱合および未結合抱合(すなわち 、bu+bc)の全量を測定する。より詳しくは、第1のタイプは、アルブミン のビリルビンによる「飽和」を予測するために、ビリルビンによって占められて いないアルブ ミン結合部位の循環レベル(すなわち、未結合アルブミン)を測定することに基 づくものである。アルブミンは未結合未抱合ビリルビンと結合するので、未結合 アルブミンのレベルに関する知見は、患者における未結合未抱合ビリルビンの量 と間接的に相関するであろうということが提案されてきた。このアプローチは、 アルブミンがビリルビンに対する1つの主要な結合部位を有すること、および、 いずれかのさらなるビリルビン結合部位は重要ではないことを仮定している。こ れらのテストは、アルブミンがビリルビンで「飽和」するときの全ビリルビン濃 度を決定することを試みるものである。もしこのテストにより、循環している未 結合アルブミンの量は、血液中のビリルビン量に結合するのに余りにも少ないと 判断されれば、交換輸血が推奨されるであろう。直接的には測定されないが、未 結合ビリルビンはビリルビンで飽和したアルブミンの程度に比例すると推定され る。再度、アルブミンがビリルビンで飽和しているとみなされる場合、交換輸血 が推奨される。 しかしながら、かかるテストは、信頼できない終点をもち、患者における未結 合未抱合ビリルビンの「真実の」レベルを正確には反映しない。何故ならば、単 一のアルブミン分子は1を超えるビリルビン分子と結合し、ビリルビン分子はア ルブミンにおいてアロステリックな変化を引き起こして「飽和」の概念を不明確 にし、終点を信頼できないものにするからである。 2番目の種類のテストは相関的なテストではない。すなわち、それらは血液中 にある種々の未結合ビリルビン種の現実のレベルを測定しようとするものである 。この2番目の種類のテスト方法は、相関的方法を用いてテストするのに好まし い。というのも、試料中のビリルビン種を直接的に特定するテストは、一般的に は、より小さい誤差限界を示すからである。しかしながら、現在、かかるテスト は血液中のビリルビンの神経毒画分よりもむしろ、ビリルビンの未結合種(bc およびbu)の全量を測定する。これまでに記載されている全てのビリルビン結 合テストは、未結合ビリルビンの抱合および未抱合画分を区別しない。 米国の臨床研究所では、未結合未抱合ビリルビン濃度を日常的に測定すること はしていない。現在、臨床研究所で使用されている1つの非相関的な分析試験は 、血清/血漿中の全ビリルビン濃度(TBC)を測定し、ビリルビンの4つの全 ての種(すなわち、(1)結合抱合ビリルビン、(2)未結合抱合ビリルビン、 (3)結合未抱合ビリルビン、および(4)未結合未抱合ビリルビン)の合計を 測定するものである。例えば、440から470nmの間のビリルビンの光吸収 特性を用いてTBCを測定することができる。抱合および未抱合ビリルビンの吸 収スペクトルの差異は余りにも僅かで両者を区別することができないため、ビリ ルビン固有の吸収を用い、全ビリルビン濃度のみが測定可能である。 臨床用途の2番目の非相関的テストは、全ビリルビン濃度と抱合している全ビ リルビン分率の双方を測定する。例えば、1つのテストは、ビリルビンを、50 0nmを超える波長の光を吸収する青−紫に着色したジアゾ誘導体に変換するこ とによって、血清/血漿の全および抱合(直接的)ビリルビン濃度を測定する。 このテストでは、血清または血漿はジアゾ試薬(スルファニル酸のような有機酸 を酸性pH下で亜硝酸塩と化合させることにより得られる)と化合する。抱合ビ リルビンは、未抱合ビリルビンよりもかなり速くジアゾ誘導体を形成するので、 試料中の抱合ビリルビン濃度を表す直接的ビリルビン濃度は、初期ジアゾ誘導体 による565nmの光の吸収から計算される。次いで、メタノールまたはカフェ インおよび安息香酸ナトリウムのような促進剤を添加するが、これは未抱合ビリ ルビンとジアゾ試薬との反応を加速する。全ビリルビンは、全てのジアゾ誘導体 の565nmの最終吸収から計算される。全ビリルビンおよび抱合ビリルビンの 間の差異は、未抱合(間接的)ビリルビンの濃度である。しかしながら、この組 み合わせたデータでさえ、2つのタイプの未抱合ビリルビン、すなわち、アルブ ミンに結合し無害なものとアルブミンに結合せずに神経毒の可能性のあるものと の区別をしないため、依然として、血清血漿試料の未抱合未結合ビリルビンにつ いての十分な情報を臨床医に与えるものではない。それにも拘わらず、ビリルビ ン脳障害の発症に対する黄疸新生 児の危険を最良に評価するのは、未結合未抱合ビリルビン、すなわちTBCのわ ずかな画分である。アルブミンに結合しない未抱合ビリルビンの濃度に関する知 見(および、従って潜在的な神経毒)は、有用な情報である。 従って、未抱合結合ビリルビンを示すような診断テストが好ましいであろう。 というのは、それは血液中の全ビリルビンの神経毒画分を特異的かつ正確に測定 することができるからである。未結合未抱合ビリルビンの濃度は、ビリルビンと アルブミンとの結合に対する大部分の作用の影響により全ビリルビンの濃度の任 意の直線的増加に応じて指数関数的に増加するため、その濃度に関する知見は有 益であろう。従って、この種のビリルビンは、潜在的に命を救うものではあるが 危険を伴う交換輸血治療の実施に対する臨床的決定に大きく関与するために、未 結合未抱合ビリルビン濃度のあらゆる変化の正確な測定が望まれる。 非アルブミン結合ビリルビンの非相関的測定に関する現在の速度論的方法は、 ビリルビンの全ての種の、ペルオキシドによる、ホースラディッシュペルオキシ ダーゼ触媒酸化を使用する(Jacobsen & Wennberg,Cli n.Chem.1974 ,20(7),783−789)(以下、「J&W方法 」と呼ぶ)。この方法では、ホースラディッシュペルオキシダーゼは、抱合およ び非抱合ビリルビン双方のペルオキシドによる酸化を触媒して、460nmにお いて無色の生成物を形 成する。アルブミン結合ビリルビンは酸化から保護され、未結合ビリルビンのみ が酸化される。未結合ビリルビンのみがペルオキシドと反応するので、抱合およ び未抱合ビリルビン種双方の酸化の反応速度は試料内の未結合ビリルビンの濃度 に比例する。アルブミンフリー溶液(すなわち、全てのアルブミンが未結合であ る)中のペルオキシドによる未抱合ビリルビンのペルオキシダーゼ触媒酸化の一 次速度定数(Kp)を測定した後、未結合ビリルビンの濃度を試料の酸化速度か ら決定する。しかしながら、従前に使用されてきたペルオキシダーゼテストは、 いくつかの制限を有している。必要な試料希釈(約40倍)は、他のリガンドと 同様ビリルビンの結合を変化させることが示されている(例えば、Ahlfor s,Clin.Chem.1981,27,692−696参照)。加えて、直 接的(抱合)ビリルビンは非神経毒性ではあるが、もし存在すれば、ペルオキシ ドによって酸化されて、試料中に存在する毒性未結合ビリルビン濃度量の過剰評 価を引き起こす。さらに、テスト中におけるアルブミンとの複合体からのビリル ビンの律速解離は酸化中の未結合ビリルビン濃度の定常状態レベルをかなり低下 させて、試料中の未結合未抱合ビリルビンの重大な過小評価を引き起こす場合が ある。従って、この方法によって測定された未結合ビリルビンは、未結合未抱合 ビリルビン、すなわち神経毒画分(bu)に関する適切な情報を提供するもので はない。 従って、未結合未抱合ビリルビン(bu)の濃度を測定する方法は、非常に有 用である。本発明者は、かかる方法を開発した。 発明の概要 本発明は、試料中の未結合未抱合ビリルビンの濃度を測定する方法であり、こ の方法は: (a)試料の第1アリコート中の抱合した「直接的」および未抱合「間接的」 ビリルビンの濃度を測定し、 (b)前記試料の第2アリコートをビリルビン酸化試薬および触媒的に有効量 の標準化された触媒試薬と混合し、ここで、前記酸化試薬によるビリルビンの酸 化を触媒する一次速度定数は、酸化されたビリルビンの量が全ビリルビン濃度の 約50%未満となるように充分に短い所定時間で未抱合ビリルビンを酸化するの に有効な条件下で予め測定されており、酸化試薬および触媒試薬の添加による前 記第2アリコート試料の希釈は容量で約3:1未満であり、 (c)前記所定時間で酸化反応を停止させ、酸化後に前記第2アリコートに残 存する抱合および未抱合ビリルビンを測定し、次いで (d)以下の式: bss=−Bo・Log(Bt/Bo)/(希釈率・Kp・P・t) 方程式1 [式中、bssはビリルビンの定常状態未抱合未結合濃度 であり; Boは、前記試料中の未抱合ビリルビン濃度であり、その値は工程(a)で測 定されたものであり; Btは、標準化された触媒試薬の存在下で所定時間中に酸化試薬によりビリル ビンが酸化された後に残存する、前記試料中の未抱合ビリルビン濃度であり、そ の値は工程(c)で測定されたものであり; 希釈率は、試料への酸化試薬および触媒試薬の添加から得られた試料希釈であ り; tは酸化反応に対する所定の反応時間であり; Pは触媒試薬の濃度であり; Kpは、アルブミン、あるいはビリルビンに結合できる他の分子の不存在下で の前記酸化試薬によるビリルビンの触媒酸化に対する1次速度定数である。] の計算から、bssで示される定常状態未抱合未結合ビリルビン濃度を測定するこ とを含んでいる。 本発明の別の態様は、試料中の未結合未抱合ビリルビンの濃度を測定する方法 であって、未結合ビリルビンのバックグラウンド酸化に対する修正が望まれる場 合に; (a)試料中の抱合した「直接的」および未抱合の「間接的」ビリルビンBo の濃度を測定し、 (b)前記試料の第2アリコートをビリルビン酸化試薬および触媒的に有効量 の標準化触媒試薬と混合し、ここで、前記酸化試薬によるビリルビンの酸化を触 媒する一次速度定数は、酸化されたビリルビン量が全ビリルビ ン濃度の約50%未満となるように充分に短い所定時間でビリルビンを酸化する のに有効な条件下で予め測定されており、酸化試薬および触媒試薬の添加による 前記第2アリコート試料の希釈は容量で約3:1未満であり、 (c)前記所定時間で酸化反応を停止させ、前記第2アリコート試料中の未酸 化の抱合および未抱合ビリルビンの濃度(Bt)を測定し、 (d)工程(b)のものと同容量の前記試料の第3アリコートを、添加触媒試 薬の不存在下、工程(b)と同一時間で酸化試薬および緩衝液と混合し、次いで 前記第3アリコート(Bb)中の未酸化未抱合ビリルビンの濃度を測定し、それ により添加された緩衝液の量は工程(b)で添加された触媒試薬の量と容量で等 しく、かつ添加された酸化試薬の容量および濃度は工程(b)で用いられたもの と等しくし、次いで (e)以下の式: bss=−[Bo・Log((Bo−Bb+Bt)/Bo)]/(希釈率・Kp・P・t) 方程式2 [式中、bss、Bo、Bt、希釈率、Kp、Pおよびtは前記のように定義され、 Bbは添加触媒試薬の不存在下におけるあらゆる酸化後の前記試料中の未抱合ビ リルビンであり、その値は工程(d)で測定される。] の計算からbssで示される定常状態未抱合非アルブミン結合ビリルビン濃度を測 定すること、を含む。図面の簡単な記載 図1は、20人の新生児から得られた測定(bss)未結合未抱合ビリルビン 濃度と平衡未結合未抱合ビリルビン濃度(UUBCs)の比を、触媒試薬である ホースラディッシュペルオキシダーゼ(HRP)の濃度の関数として表したグラ フを示す。傾きの下降は、増大するるHRP濃度に伴いその比が減少することを 示している。 図2は、本発明の方法に従い1:1.8の試料希釈で測定した未抱合未結合ビ リルビン濃度(UUBC)の関数として、新生児におけるアルブミンに対する結 合ビリルビンの比をブロットした、結合等温線である。前記曲線は、非直線回帰 を用いて2部位平衡結合モデルに適合させた。 図3は、1:40試料希釈で未結合ビリルビン濃度(UBC)についてのW& J方法により得られた値と、1:1試料希釈で本発明によって測定された値(U UBC)との相関を示したグラフである。J&W方法によって測定されたUBC は、抱合および未抱合の未結合ビリルビン画分を共に含有するが、本発明の方法 では未結合未抱合ビリルビン画分のみが測定される。下方の線は傾きが1(un ity)である。上方の線は回帰曲線である。 図4は、ホモ抱合Gunn子供ラットにおける全ビリルビン濃度と脳幹聴覚惹 起ポテンシャル波I−IIイン ターバルの変化との間に有意な相関がないことを示したグラフである。(r2= 0.045) 図5は、ホモ抱合Gunn子供ラットにおける未抱合未結合ビリルビン濃度お よび脳幹聴覚惹起ポテンシャル波I−IIインターバルの変化の正の相関をグラ フで示す。(r2=0.31)発明の詳細な記載 本発明は、試料中の未抱合未結合ビリルビン濃度の測定方法に関する。 本明細書で用いられる「試料」なる用語は、哺乳動物から収集された流体をい い、通常ビリルビンおよびアルブミンを含んでいる。この流体は、ビリルビン含 有血清あるいは血漿、脳脊髄液、羊膜液、リンパ液等を含むが、それらに限定さ れるものではない。好ましい流体試料は血清または血漿である。分析(アッセイ )すべき生物学的流体はイヌ、ネコ、マウス、ラット、ウマ、有蹄類および特に ヒトから得られる。最も好ましい流体は、ヒトからの血清または血漿である。 本明細書で用いる「抱合された」という用語は、肝臓で変換された後のビリル ビンIXaの生物学的形態をいい、それに限定されるものではないが水溶性ビリ ルビンジグルクロニドのような極性抱合体に変換される。 本明細書で用いる「未抱合」という用語は、アイソ形態ビリルビンIXaとし て示されるビリルビンの脂質可 溶性形態をいう。 本明細書で用いる「結合した」という用語は、アルブミンと複合体化した抱合 または未抱合のビリルビンの形態をいう。 本明細書で用いる「未結合」なる用語は、アルブミンと複合体化していないま たはそれに結合していない、抱合または未抱合のビリルビンの形態をいう。 ビリルビン酸化剤は、未結合ビリルビンを酸化できるが結合ビリルビンを酸化 できない酸化試薬である。例えば、ペルオキシド、フェリシアニド、特にフェリ シアニド塩が挙げられ、第IA族金属塩(例えば、フェリシアン化カリウム)を 含む金属塩などがある。酸化剤は、有機のものでも無機のものでもよい。好まし い酸化剤は、式 ROOR1: [式中、RおよびR1は好ましくは水素、または炭素数1〜6の有機ヒドロカル ビル部である] のペルオキシドである。R1は水素であるのが好ましい。好ましいペルオキシド は商業的に入手可能なものであり、過酸化水素、t−ブチルペルオキシド、エチ ルヒドロペルオキシド等などである。しかしながら、当業者であれば他の許容さ れるペルオキシドも利用できることを認識するであろう。 「ヒドロカルビル」とは、炭素および水素のみを含有し、かつ1〜6の炭素原 子、好ましくは1〜4の炭素原 子を含む有機基を意味する。それらは、分岐鎖であっても直鎖であってもよい。 好ましいヒドロカルビル基は、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチ ル、sec−ブチル、イソブチル、t−ブチル、ペンチル、イソペンチル、ネオ ペンチル、ヘキシルなどのようなアルキル基である。 本明細書で用いる「ビリルビン触媒試薬」という語は、未結合であるが結合し ていないビリルビンの酸化を促進する構成物(composition)をいう 。好ましい具体例において、かかるビリルビン触媒試薬はペルオキシダーゼであ る。しかしながら、酸素や、酸素によるビリルビンの酸化を触媒するビリルビン オキシダーゼのような、未結合ビリルビンの酸化を促進するが結合ビリルビンの 酸化は促進しないいずれの触媒試薬も使用することができる。 「ペルオキシダーゼ」という用語は、ペルオキシドが電子アクセプターである 、反応を触媒する酵素をいう。ペルオキシダーゼは、当業者に知られた技術によ って、動物および大部分は植物源から単離されている。ペルオキシダーゼはまた 、商業的に入手可能である。これらのペルオキシダーゼの全てが本発明で意図さ れている。好ましいペルオキシダーゼは、ホースラディッシュペルオキシダーゼ である。 本明細書で用いる「緩衝液」という用語は、Biochemistry 19 96、5、467においてGo odeによって記載された任意の溶液をいう。好ましい緩衝液としては、ほぼ生 理学的pH、例えばpH7.4で、特に濃度0.03〜0.75Mにおける、よ り好ましくは約0.055MにおけるSorensenのリン酸緩衝液のような 、リン酸緩衝液が挙げられる。 ジアゾ試薬とは、ビリルビンと反応し、そのジアゾ誘導体を形成する任意の基 を意味する。ジアゾとは、化合物が基N=Nを含むことを意味する。事実上、い ずれのジアゾ化芳香族アミンであっても、本明細書で教示する条件に適合する限 り、本発明の方法の比色技術においてアゾ試薬として使用することができる。好 ましくは、ジアゾ試薬、例えば、本発明で利用されるジアゾ化芳香族アミンは、 例えば、塩酸のような強酸を含むスルファニル酸と亜硝酸ナトリウムとの反応に より、その場で(in situ)形成される。芳香族アミンのジアゾ誘導体を 形成する方法は当業者によく知られている。例えば、引用によりその内容が包含 される、Henryら、Clinical Chemistry,Princi ples and Techniques,第2版,HarperおよびRow ,NY,NY(1974)1037〜1079頁参照。また、例えば、Litt le,H.J.Conn’s Biological Stains,Will iams and Wilkins Company,Baltimore,M A(1969),第VI版も参照。一般に、反応は、亜硝酸ナトリウムと 塩酸や硫酸のような無機酸との反応からin situで調製される亜硝酸と、 ヒドロカルビル、例えばアルキルおよび特に芳香族アミンと、の反応を含む。 芳香族とは、炭素環原子の数が4n+2であり、nが少なくとも1である芳香 族化合物を意味する。nは1〜10であるのが好ましく、より好ましくはnは1 〜5であり、最も好ましくはnは1〜3である。芳香族環はアミンで置換され、 さらに、用いる酸化試薬、触媒試薬およびビリルビンの酸化生成物に対して不活 性な置換基により置換されていてもよいし、無置換であってもよい。これらのさ らなる置換基は、ハロ、オキソ、カルボキシ、炭素数1〜6のカルバルコキシ基 、炭素数1〜6のアルキル基、スルホン酸基等を含む。しかしながら、用いられ る芳香族アミンは、好ましくは第一級アミンである。このテストで使用される芳 香族アミンは、商業的に入手できるものであって、公知であり、および/または 、公知の方法によって実験室で合成される。例えば、スルファニル酸、O−ジア ニシジン、p−クロロアニリン、1,5−ジクロロアニリン、2,4−ジクロロ アニリン、2−メトキシ−4−ニトロアニリン、1−アミノアントラキノン、p −ニトロアニリン、4−クロロメチルアニリン、4−クロロアニリン等が挙げら れる。当業者であれば、in situでジアゾ試薬を形成できて本発明の比色 部分で使用され得る他の芳香族アミンを認識することができよう。 ジアゾ試薬を調製する好ましい方法において、芳香族アミンを、濃塩酸、濃硫 酸、濃リン酸等のような強酸と混合し、次いでこれを水、好ましくは蒸留水、よ り好ましくは脱イオン水で希釈する。水を添加した後、芳香族化合物の濃度は、 約0.05M〜約1モル、より好ましくは約0.05M〜約0.5Mの範囲であ るのが好ましい。加えて、酸の濃度は、好ましくは約0.05M〜約1モル、よ り好ましくは0.05M〜約0.5Mの範囲である。ジアゾ試薬を形成するには 、芳香族アミンを含有する溶液を、亜硝酸塩を含む溶液、例えば、亜硝酸ナトリ ウム、亜硝酸カリウム、亜硝酸リチウムのような第IA族金属塩の溶液、と反応 させる。亜硝酸溶液のモル濃度は、約0.05M〜約1M、より好ましくは約0 .05M〜約0.5モルの範囲である。 ジアゾ試薬の形成において、ほぼ等量(モル)の酸性硝酸塩溶液を、等量(モ ル)の芳香族アミン溶液と反応させるが、モル比は約4:1〜約1:4の範囲で あってもよい。ジアゾ試薬の濃度は、約0.05M〜約1M、より好ましくは約 0.1M〜約0.5Mの範囲である。ジアゾ試薬はかなり反応性であるので、使 用に先立って新たに調製されるのが好ましい。あるいは、1つの容器中で上記の 量の酸、芳香族アミンおよび亜硝酸塩を混合して、所望の濃度のジアゾ試薬を調 製することもできる。 本発明は、試料中の未結合の未抱合ビリルビンの濃度を正確に測定できる点で 有用である。さらに、本技術は、 ほとんど希釈していないような少量サイズの試料中の未結合未抱合ビリルビンの 濃度を測定する。上記のように、酸化反応を行うために試料を大量に希釈すると 、歪みを促進して、未結合ビリルビンの測定を不正確なものにしてしまう。本発 明は、このような大希釈の必要性を軽減する。加えて、本発明は、臨床実験室に 容易に適合させうる比色酵素反応および速度論的酵素反応を用いる。本発明は、 費用がかからず、高価で精巧な装置の購入を必要とすることはない。 上記のように、本発明の特徴は、試料中に存在する全ビリルビンの潜在的な神 経毒成分、すなわち、未結合未抱合ビリルビンの濃度を直接的に測定する方法に 向けられている。この方法は、大試料容量または大希釈、高価な器具やトレーニ ング、および長期の加工遅延によって課される様々な制約を克服する。この方法 は、安価で、速く、正確であり、直接的および間接的ビリルビン濃度を測定でき る標準的な臨床研究所の器具を用いて行うことができる。 本方法にはいくつかの利点がある:(1)単一方法において比色的および速度 論的(すなわち酵素的)技術を組合せ、その結果、試料中の未結合未抱合ビリル ビンの濃度を測定する直接的な一体化方法を可能とする;(2)小試料容量(例 えば、100μl以下)であり、その結果、新生児で実験室的テストを行う場合 に限定因子となる、より大きな試料容量を回避する;(3)少量試料希 釈(例えば、1:3以下)であり、その結果、大希釈(すなわち、約1:40の 範囲)を用いる試料中における、弱く結合する薬物または内因性ビリルビン結合 競争体のビリルビン−アルブミンバインディング(結合)もしくはマスキング効 果のいずれの内因的変化も回避する。約1:40の範囲の試料希釈は、もし試料 中に弱いビリルビン結合競争体が存在すると、ビリルビン−アルブミン結合を特 に変化させ得る。大試料希釈によるマスキング効果は、最終的に、未結合未抱合 ビリルビン、すなわちビリルビンの毒性画分の濃度の過小評価につながる;(4 )本方法は、アルブミン分子上の占められていないビリルビン結合部位を測定す ることによって、アルブミンのビリルビンでの「飽和」を測定する代わりに未結 合未抱合ビリルビンを直接的に測定する。本方法は、アルブミンが単一のビリル ビン分子に結合することを仮定せずアルブミンがいくつかのビリルビン分子に結 合できることを考慮に入れているので、ビリルビンの種類の濃度を測定する本方 法では、測定において非特異的終点に至ることはない;(5)本発明は、試料中 のビリルビンの全濃度を占めるビリルビン画分の各種を測定し、その結果、正確 な標準化参照値の確立を可能とし、あるいはビリルビン疾患状態の臨床治療にお いて有用な参照値を確立する方法をもたらす;(6)本発明は、添加触媒試薬の 不存在下での試料中のビリルビンの内因性酸化に対し修正するコントロール反応 条件を含み得る;(7)本発 明は、アルブミンからのビリルビンの潜在的律速解離を解除し、またはこれを修 正する反応条件を使用する。というのは、もしそのアルブミンとの複合体からの ビリルビンの解離の速度がビリルビンの酸化において律速段階であれば、未結合 ビリルビン濃度は有意に過小評価されうるからである;(8)本発明は、抱合お よび未抱合未結合ビリルビンの両者を測定するのとは反対に、両種は酸化されう るが未抱合未結合のもののみが潜在的に毒性なのであるから、試料中の抱合ビリ ルビンの酸化によりもたらされる測定のあらゆる誤差を修正する。従って、抱合 および未抱合ビリルビン両者の酸化の測定の合体された効果を、本技術によって 排除することができる;(9)本発明は、未結合未抱合ビリルビン濃度の過剰評 価につながり得る、抱合ビリルビンからの干渉によって引き起こされる誤差を排 除する;(10)高価な器具も、時間を消費するデータプロセッシングも必要で はない;(11)本発明の方法を実施するにあたり、技術者は、経時的にビリル ビンの光吸収の変化をモニターするための献身的な技術者のサポートや計器装備 を必要とする代わりに、容易に訓練され、教育される。 加えて、本方法に必要な試薬からなるキットは、安定で安価な試薬から作るこ とができる。本方法を用いた後、ビリルビンのレベルについての参照値を確立し て、臨床的な治療決定における助けとして使用できる。 本発明の分析(アッセイ)方法は、いくつかの異なる ビリルビン分析値を提供し得る。例えば、この方法は、未抱合ビリルビンの存在 および/または濃度、抱合ビリルビンの存在および/または濃度、未抱合未結合 ビリルビンの存在および/または濃度、結合ビリルビンの存在および/または濃 度、または、アルブミンに結合したまたは未結合の抱合または未抱合ビリルビン の4つの可能な組合せの各々の存在および/または濃度を測定する。また、この 方法は、未抱合および抱合ビリルビンの量の合計と等しい全ビリルビンの存在お よび/または濃度を測定することができる。本発明の方法は、抱合および未抱合 ビリルビンを測定するための両比色技術の特定の要素と、未結合ビリルビンを測 定するための速度論技術とをユニークに組み合わせたものである。 本発明の工程の1つは、比色方法であり、もう1つの工程は、比色/速度論的 方法の組合せ工程である。特定の順序で後記するが、本発明はあまり限定的では なく、これらの工程を任意の順序で行うこともできる。例えば、比色工程は後記 する比色/速度論的工程の前に、あるいは後で行うことができる。 本発明の分析を行うにおいて、試料は当該分野で公知の標準的技術を用いて患 者から採取できる。上記で定義したように、試料はヒト血清または血漿であるの が好ましい。新たに調製された血清または血漿を利用するのが好ましく、好まし くは分析を行うその日に調製する。加えて、血漿または血清は光から保護され、 および/また は、使用中以外は暗所に保存するのが好ましい。これを義務づけるつもりはない が、これらの注意は、もし光に過剰に暴露されれば、試料中のビリルビン成分の 自動的な光酸化による値の減少を防止すると考えられる。 分析を行うにおいて、各工程で必要なのは少量の試料に過ぎない。100μl 未満の試料を用いるのが好ましく、より好ましくは80μl未満、最も好ましく は75μl未満の試料が全部で利用される。事実、10〜15μlと少ない試料 を、分析の各工程で利用することができる。 oの測定 上記の方程式1を見ると、測定に必要な変数の1つは試料中の未抱合ビリルビ ンの濃度である。この間接的ビリルビンは、後記するように、試料中の全ビリル ビンおよび試料中の抱合ビリルビンの測定から決定される。 当該分野のビリルビンを分析するまたは定量的に測定する多数の標準的方法は 、比色方法に基づくものであり、これはビリルビン色素自体の固有の吸収を測定 するか、ある種の試薬の存在下でビリルビンを混合して着色した反応生成物を形 成させ、これをスペクトル分析に付すことによる。一般的には、抱合および未抱 合ビリルビンの吸収スペクトルの差は余りにもわずかで区別することができない ため、ビリルビン色素自体の吸収の測定からは、存在するビリルビンの全量のみ が測定できる。従って、ビリルビンに対する多くの比色分析は、通常、着色アゾ ビリルビン反応生成物を形成するために、ジアゾ化スルファニル酸または他のジ アゾ化試薬を使用する。例えば、引用により包含される、Malloy−Eve lyn,J.Biol.Chem.,119(1937);Jendrassi k−Grof,Biochem.Z.,297,81(1938)、および、W altersおよびGerarde,Microchem.J.,15,231 (1970)参照。 ジアゾ方法では、抱合および未抱合ビリルビンの濃度が共に測定される。ジア ゾ方法の根底となる基礎は、未抱合ビリルビンに比べて抱合ビリルビンのジアゾ 試薬との速い反応性、および約565nmにおける着色ジアゾ誘導体による光の 吸収を前提とするものである。 過剰量(モル)のジアゾ試薬を試料のアリコートに添加する。十分量のジアゾ 試薬を、試料中のビリルビンと反応するのに有効な条件下で添加する。添加され るジアゾ試薬の量は、試料の各容量に対するジアゾ試薬の約20容量〜約10容 量の範囲であることが好ましい。この工程において、上記のようにジアゾ試薬は 、抱合ビリルビンと選択的に反応するが未抱合ビリルビンとは全く反応しない。 反応は、抱合ビリルビンと反応するジアゾ試薬に効果的な条件下で、十分な時間 をかけて行う。溶液は、ジアゾ試薬が抱合ビリルビンをジアゾ化するにつれ着色 するようになる。ジアゾ試薬が試料中の抱合ビリルビンと反応してジアゾ化誘導 体を形成させるのに充分な 時間後、好ましくは約1分以内に、存在する抱合ビリルビンの量をスペクトル分 析によって測定する。 本発明のスペクトル分析方法としては、放射線検出の適当な方法であるような 、比色検出等の吸収測光法、または蛍光検出等の発光測光法を用いるなど、当該 分野で公知のいずれの方法を用いてもよい。ビリルビンまたはそのジアゾ誘導体 の吸収または発光バンドの放射線検出は、種々のよく知られた吸収または発光検 出デバイスおよび技術、ここでは一般にスペクトルアナライザーと呼ぶが、を用 いて行うことができる。「スペクトルアナライザー」とは、これに限定されるも のではないが分光光度計のような、試料の吸収を測定する任意の方法または装置 を意味する。これらのスペクトルバンドの検出は、例えば、同一または異なる時 間間隔で測定して、既知量の抱合および未抱合ビリルビンまたはそのジアゾ誘導 体を含有する一連の対照から得られたスペクトルデータに基づくキャリブレーシ ョン曲線に、得られたスペクトルデータを容易に相関させることができるように 試料を加工した後、所定の時点で行うことができる。加えて、分析試料(例えば 、ヘモグロビン)に存在し得る潜在的な干渉成分からのスペクトル干渉を回避す るために、ここで言及する記録された吸収極大のいずれかを、「オフ−ピーク」 検出することができる。この「オフ−ピーク」という語は、一般に、ここで言及 する極大値から約20nmまでの波長でスペクトル検出を行うことができるこ とを意味する。従って、本明細書で用いるように、吸収極大「においてまたはそ の近くの」波長を検出することは、ピーク波長±20nm、ピーク強度50%以 上の強度、を表す。 存在する抱合ビリルビンの量は、比色技術によって検出されるのが好ましい。 比色技術とは、化学反応の結果として着色反応生成物が形成され、その生成物は スペクトル分析、例えば分光光度計によって測定されるユニークな吸収または発 光特徴を有することを意味する。 本システムにおいて、抱合または未抱合ビリルビンに由来するか否かに拘わら ず、ジアゾ化ビリルビンは着色溶液を形成する。存在するジアゾ化ビリルビンの 量は、好ましくは、約565nmの波長において、そのジアゾ化誘導体の吸収か ら測定される。しかし、この吸収は、既知量のビリルビンから得られた標準曲線 を用いるような、当該分野で知られた技術によって、抱合ビリルビンの容量(例 えば、mグラム/dLまたはモル/L)当たりの量に変換することができる。 本分析において、この最初の吸収の読みは、試料中に存在する抱合(直接的) ビリルビンの量を与える。存在するビリルビンの全量を測定するために、アクセ レレータ(促進剤)を添加する。この促進剤は、未抱合ビリルビンとジアゾ試薬 の反応を加速する。Clinical Chemistry Principl es and Techniques,第2版、Harperおよび Row,N.Y.,N.Y.,(1974)においてHerryらによって議論 されているように、時には「エフェクター」あるいは「プロモーター」として知 られているが、種々のアクセレレータが、ビリルビン分析におけるそれらの使用 に関して当該分野で知られており、メタノール、カフェイン、安息香酸ナトリウ ム、界面活性剤、胆汁塩、アラビアガム、サリチル酸塩等のような試薬が挙げら れる。利用するアクセレレータは、実質的に純粋であることが好ましい。また、 それらは、試料に添加される前に水、特に蒸留水および/または脱イオン水に溶 解させ、またはそれと混合するのが好ましい。十分なアクセレレータを添加して 、ジアゾ化合物が残存する未ジアゾ化未抱合ビリルビンと反応させる。先の工程 で添加したジアゾ化試薬の量に対して等モル量のアクセレレータを、ジアゾ化抱 合ビリルビンを含有する試料に添加するのが好ましい。 この時点で、アクセレレータの添加に続き、試料はジアゾ化ビリルビンおよび 未抱合ジアゾ化ビリルビンを含有する。本明細書で規定されるように、スペクト ル分析を利用することによって、試料に存在するビリルビンの全量を測定するこ とができる。好ましくは、その吸収は比色法によって測定され、吸収値は約56 5nmで読まれ、存在する全ビリルビンの量は、既知量のビリルビンからの、す なわちジアゾ化ビリルビンの既知量に吸収を相関させた標準曲線を用いるような 、当該分野で知られ た技術によって測定される。次いで、未抱合(間接的)ビリルビンを、全ビリル ビンの値と抱合(直接的)ビリルビンの値の差異として計算する。 上記範囲内にpHを維持するのを助けるには、これらのビリルビン測定を緩衝 液の存在下で行うことができる。本発明の方法の実施には、Biochemis try,5,467(1996)でGoodによって報告されているような種々 の緩衝液を用いることができる。しかしながら、当業者であれば、特定の条件に 応じて、上記の範囲を超えるまたは下回る値にpHおよび温度を変化させること ができる。但し、望まない副反応またはいずれかのビリルビン組成物の有意な分 解を引き起こすようなpHまたは温度は使用しないものとする。 許容される方法で機能する他の試薬を本明細書で記載するものの代わりに置き 換えることができるのは、当業者によって認識されよう。例えば、もしそれらが 所望のpH範囲を供するならば、他の緩衝液を使用することができる。Btの測定 方程式1または2に戻るが、本発明のこの工程は、本明細書で定義したように 、Btの濃度を測定することによって機能する。上記のように、Boはジアゾ方法 によって試料の第1アリコートで測定され、他方、Bt、すなわち試料の第2ア リコート中の一部のビリルビンの酸化後に 残存する未抱合ビリルビンは、上記酸化に続くジアゾ方法によって検出される。 抱合および未抱合ビリルビンは共に、触媒試薬(例えば、ペルオキシダーゼ) の存在下で、酸化試薬(例えば、ペルオキシド)によって、またはヘキサシアノ 鉄(III)酸塩のような他の酸化試薬によって酸化され、ジアゾ陰性反応生成物、 すなわち、ジアゾ化されておらず、ジアゾ試薬と反応させた場合にジアゾ化誘導 体を形成せず天然ビリルビンが光を吸収するスペクトル領域で光を吸収しないよ うな反応生成物、として同定される生成物を生じる。一方、ビリルビンのアルブ ミン結合は、未結合ビリルビンのみが酸化できるように、ビリルビンの酸化を妨 げる。上記したように、未結合ビリルビンの酸化速度は試料中の未結合ビリルビ ンの全量に比例するので、酸化後に残存する未抱合ビリルビンの測定は、酸化速 度の尺度、およびそれにより元々試料中にある未抱合未結合ビリルビンの濃度( bss;方程式1参照)を提供することができる。酸化された生成物、酸化試薬お よび触媒試薬はジアゾ試薬と反応しないので、酸化反応後に残存する未酸化ビリ ルビンの量は、上記方法の比色技術箇所を通じて測定することができる。以下に 述べるように、酸化反応は所定のインキュベーション時間中継続させ、次いでそ れを停止させる。所定時間の酸化後に試料に残存する未酸化未抱合ビリルビン( Bt)の量を測定するには、比色法を用いる。この方法の素晴らしいところは、 比色 技術で用いる試薬がビリルビン触媒試薬、例えばホースラディッシュペルオキシ ダーゼのようなペルオキシダーゼも変性して、それにより酵素反応を停止させる ことである。例えば、ジアゾ反応は、典型的には、pH1およびpH2のおよそ の間の範囲で行って、誘導体の吸収を増強する。かかる範囲のpHにおいて、酸 化工程で利用される、ホースラディッシュペルオキシダーゼのようなビリルビン の未結合種の酸化反応を触媒するペルオキシダーゼを変性させる。上記のように 、ビリルビン酸化生成物、ペルオキシド、ペルオキシダーゼは、ジアゾ試薬と反 応しない。従って、もし試料中のビリルビンが、ジアゾ試薬が添加された後の所 定の時間酸化されれば、酸化反応は停止され、全および抱合ビリルビンの残存濃 度を測定することができる。もし全および抱合ビリルビンの濃度が、試料中のビ リルビン酸化の開始前と開始から所定時間後に測定されていれば、それらの測定 を引き続き使用して、後記するように、方程式1または2を用いて、未結合未抱 合ビリルビンの濃度を計算することができる。 このようにして、酸性ジアゾ試薬または他の比色試薬の添加は、酸化反応が直 ちに停止されて未結合未抱合ビリルビン濃度の計算ができるように、直ちに酵素 を変性させる。 上記のBt測定の記載において、試料が臨界的pH範囲にあることが重要であ る。好ましくは、酸化反応中に触 媒試薬が有効であるような所定のpH内に試料のpHが保たれるように、緩衝剤 が用いられる。好ましくは、試料のpHは約7.2〜約7.6の範囲、特に約7 .4に維持される。この範囲でpHを維持するために当業者が通常使用するいず れの緩衝液を用いてもよいが、リン酸緩衝液、特に二水素リン酸緩衝液を利用す るのが好ましい。緩衝液の充分量を添加して、このpH範囲に試料溶液を維持す る。ビリルビン触媒試薬、例えば、ペルオキシダーゼ、およびビリルビン酸化試 薬、例えばペルオキシドは、更に緩衝液を添加する必要がないように、この緩衝 液中で調製される。酸化を促進するために試料に添加される試薬は、試料希釈が 最小化されるように、緩衝液中に存在させることができる。本発明の方法では、 4アリコートまでの試料が要求され得る。しかしながら、後記するように、本発 明の具体例は、用いられる近似と状況に応じては、試料の1、2または3アリコ ートを要する。 試料のアリコート中の未抱合ビリルビンの濃度Boは、上記の比色(例えば、 ジアゾ)によって、あらゆる酸化が起こる前に測定される。この測定は試料の第 1アリコートを利用する。 酸化試薬および触媒試薬を、試料の第2アリコートに添加する。酸化試薬は、 好ましくは緩衝液と混合し、やはり好ましくは緩衝液と混合された触媒試薬の存 在下で試料中に存在するビリルビンを酸化するのに十分な量で、 アリコート試料に添加される。もしpHを適当な値にするのに必要であれば、さ らなる緩衝液を添加することができる。存在するビリルビンの量は、上記の比色 分析により、酸化のための特定の時間後に測定される。好ましくは、酸化試薬溶 液は、その最小容量が試料に添加されるように十分に濃縮する。例えば、おおよ そ、約0.1容量〜約1容量の酸化試薬、例えばペルオキシド、を試料1容量当 たりに添加し、より好ましくは約0.5容量の酸化試薬、例えばペルオキシド、 をそれに添加する。しかしながら、アリコート試料の全希釈率は約3:1(v/ v)未満であり、より好ましくは約1.8:1(v/v)未満である。さらに、 試料への添加後、酸化試薬の最終濃度は、触媒を酸化試薬で飽和させるのを維持 するのに十分であることが好ましい。これは、使用する酸化試薬に応じて変化す る。例えば、過酸化水素濃度は、好ましくは、100〜200μモル/Lの間で あり、他方、エチルヒドロペルオキシド濃度は、好ましくは500〜2000μ モル/Lの間である。試料に添加すべき酸化試薬ならびに触媒試薬の濃度は、過 度の実験が不要な範囲内の当業者の決定事項である。 試料に添加される触媒試薬の量は、酸化のための所定時間の間に試料中に存在 するビリルビンの50%までの酸化を引き起こすのに十分なものとする。用いる 触媒試薬は、当該分野で知られた技術によって標準化されているものである。標 準化された触媒試薬の好ましい濃度は、 使用する触媒のタイプに依存し、当業者によって容易に決定され得る。タイプI ホースラディッシュペルオキシダーゼでは、使用される量は約1μg/mL〜約 50μg/mL、より好ましくは約10μg/mL〜約30μg/mL、最も好 ましくは約10μg/mL〜約25μg/mLの範囲である。続いて、上記第2 アリコート中の未抱合ビリルビンの一部(約50%未満)を酸化するのに有効な 反応条件下で、特定の時間、酸化反応を行う。 速度論的(動的)技術の反応速度は温度依存性であるため、また、触媒試薬は ある特定の温度範囲内のみで安定であるため、本発明の方法の速度論的部分(k inetic portion)を行う温度は重要である。しかし、標準化の温 度と同一温度で試料分析が全て行われる限り、ビリルビン触媒試薬(例えば、H RP)と速度論の標準化は、種々の温度で行うことができる。標準化ならびに酸 化反応は、触媒試薬が安定な温度範囲で行われる。ペルオキシダーゼに関しては 、これらの反応は約19℃〜約40℃の範囲の温度で行われる。ホースラディッ シュペルオキシダーゼに関しては、好ましい温度は約21℃である(この温度で Kpは、μg/ml HRP当たり1分につき約8の範囲にある)。ホースラデ ィッシュペルオキシドに関しては、より好ましい温度は約37℃である(この温 度では、Kpはμg/mL HRP当たり1分につき約18の範囲にある)。事 実、もしペルオキシダーゼ(例えば、ホースラディッシュペルオキシ ダーゼ)が触媒試薬であれば、好ましい温度は約37℃である。 酸化反応を所定時間行った後(この時間は、酸化されたビリルビンの量が上記 第2アリコートにおける全ビリルビン濃度の約50%未満となるように十分に短 いが)、反応を、例えばジアゾ試薬の添加によって、停止する。上記の比色技術 を利用し、触媒反応停止後に残存する未抱合未酸化ビリルビンの量を上記のよう に測定する(Bt)。好ましい実施例において、試料1容量当たり20容量のジ アゾ試薬を添加する。ジアゾ試薬はまず、未酸化抱合ビリルビンの全てを反応さ せて〜565nmでその吸光度が読めるような充分な時間、ここで標準曲線と比 較することによってその吸光度から試料中の残存する抱合ビリルビンの濃度が計 算されるのであるが、未酸化抱合ビリルビンと反応させる。次いで、アクセレレ ータを、上記した手法に従い、未酸化未抱合ビリルビンとジアゾ試薬との反応を 行うのに十分な量で添加する。好ましくは、試料1容量当たり約20容量のアク セレレータを添加する。残存する未酸化ビリルビンが上記のようなジアゾ試薬と 反応するのに十分な時間、反応を進行させる。〜565nmにおける吸光度を読 み、それを用いて、標準曲線から第2の試料アリコート中の全ビリルビンを計算 する。したがって、試料中の未酸化未抱合ビリルビンの量(Bt)は、試料中の 全未酸化ビリルビンと試料の未酸化抱合ビリルビンの差である。bの測定 試料は、ペルオキシドのような添加された酸化試薬によるビリルビンの酸化を 促進する他の触媒または他の物質を元々含有しているので、対照を利用すること により、特定の反応時間の間に添加触媒によって触媒されずに酸化を受けたビリ ルビンの量を相殺する。こうして、第2アリコートに添加された触媒試薬の量に 等しい容量の緩衝液を、今度は、第2アリコートに対して上記で特定した時間、 触媒試薬の不存在下で、同一量の試料と酸化試薬(例えばペルオキシド)を含有 する第3アリコート試料に添加する。次いで、比色試薬、例えばジアゾ試薬を上 記のように添加し、試料中の未抱合未酸化ビリルビンの量(Bb)を、上記の比 色技術を用いて測定する。 本発明の好ましい実施例を、以下に述べる。好ましい比色試薬は、各々以下の 濃度のスルファニル酸、硝酸ナトリウムおよびメタノールである。 a.スルファニル酸:濃塩酸15mL中10gを、脱イオン水で1Lまで希釈 b.硝酸ナトリウム:脱イオン水100mL中0.5g c.90%無水メタノール/脱イオン水(v/v) d.ジアゾ試薬:スルファニル酸1.0mL当たり亜硝酸塩0.05mL Bo測定方法の一例を、以下に記載する。 1.ジアゾ試薬を試料に添加し(試料1容量当たり20容量)、1分後に吸光 度を565nmで読む。この吸光度を用いて、ビリルビンの既知量から作成した 標準曲線から直接的ビリルビンを計算する(Sigma Chemicalは約 20mg/dLの間接的ビリルビン標準を製造する)。次いで、試料1容量当た り20容量の90%メタノールを添加し、吸光度を565nmで読んで、全ビリ ルビンを決定する。 2.試料中の未抱合(間接的)ビリルビン濃度は、全ビリルビン濃度から直接 的ビリルビン濃度を差し引いたものである。 定常状態の未結合未抱合ビリルビン濃度(bss)を決定するために用いられる 速度論/比色方法を、以下に例示する。 1.試料の間接的ビリルビン(Bo)は、上記したジアゾ方法によって決定さ れる(一般的には、試料の25μLアリコート)。 2.67.5μg/mL標準化ホースラディッシュペルオキシダーゼ(HRP )10μLおよびエチルヒドロペルオキシド(最終濃度1.0ミリモル/L)1 0μLを、試料の第2アリコート25μLに、HRP最終濃度が15μg/mL となるまで添加する。 3.ペルオキシドの添加に先立ち、試料を37℃まで加温する。 4.5分後、ジアゾ試薬を添加し、酸化後に残存する 間接的ビリルビン(Bt)を上記のように測定する。 5.これらの工程から、試料中の未結合未抱合ビリルビンの値(bss)を方程 式1を用いて計算する。 Bb(ビリルビンの非ペルオキシダーゼ触媒酸化後に残存する未抱合ビリルビ ン濃度)を測定するための方法は、以下に例示される: 6.HRPの代わりに10μLのSorensen緩衝液と共に、試料の第3 アリコートを前記工程1〜4と同様に処理する。 7.工程1〜4および6から、試料中の未結合未抱合ビリルビンの値(bss) を方程式2を用いて計算する。触媒試薬の標準化 試料中の未抱合未結合ビリルビンの値を計算するにあたり、通常はペルオキシ ダーゼ(例えばホースラディッシュペルオキシダーゼ)であるが、触媒試薬が標 準化される必要がある。これは、Kp、すなわち、触媒試薬の存在下での酸化試 薬(通常はペルオキシド)によるビリルビンの酸化についての一次速度定数、を 決定することによってなされる。このKpは、未結合未抱合ビリルビンの公知濃 度を利用して、当該分野で知られた標準的技術によって測定される。しかしなが ら、前記Kpは、触媒試薬、例えばペルオキシダーゼ、例えばホースラディッシ ュペルオキシダーゼ(HRP)と前記触媒を飽和させるのに充分な量の酸化試薬 とを、アルブミンの不存在下で、既 知量の未抱合ビリルビンと共に溶液に添加した後、ビリルビン溶液における吸収 の減少を時間を追って測定することによっても決定が可能であろう。もしBが時 点tにおける未抱合未酸化ビリルビン濃度であれば、Pは触媒試薬、例えばペル オキシダーゼの濃度であり、BoおよびBtは、各々、初期未抱合ビリルビン濃度 および時点tにおける未抱合ビリルビン濃度であり、酸化試薬、例えばペルオキ シドの濃度は律速ではなく、ビリルビンのペルオキシダーゼ触媒ペルオキシド酸 化に対するKmよりも充分に低いビリルビン濃度におけるものであり(HRPに ついては、この値は37℃でほぼ70μモルである)、 dB/dt=−Kp・P・B 方程式3 である。 限界t=0とt=tの間の積分方程式3(ここで、tは上記の所定の時間であ る)は、以下のようなる。 したがって、方程式4に従うと、もし既知濃度のペルオキシダーゼが既知量の 未結合未抱合ビリルビンと共に過剰量のペルオキシドと反応するならば、Kpの 値は決定される。 さらに、ホースラディッシュペルオキシダーゼを凍結乾燥する場合、−5〜− 10℃で乾燥保存すれば少なくとも6カ月間安定であると判断された。さらに、 凍結乾燥したHRPを水で100μg/mLの濃度になるよう 戻すと、Kpは4週間まで未変化のままであることが見出された。 分析により、未結合未抱合ビリルビンの値は方程式1および2から計算される 。 本発明者は、例えばペルオキシダーゼ方法のような酸化反応の測定に関する本 技術の主要な進歩の1つは、アリコート試料に酸化試薬および触媒試薬を添加す ることにより得られる最小希釈であることを見いだした。より具体的には、本方 法によれば、従来法ほど試料を希釈することがない。従来法では、試料はかなり 希釈されなければならない(通常は約1:40)。本発明の方法では、試料は約 3:1(v/v)未満、より好ましくは約1.8:1(v/v)以下の希釈まで 、酸化試薬および触媒試薬の添加によって希釈される。 アルブミン分子を固有に変化させることにより、あるいはビリルビン−アルブ ミン結合を改変する薬物または内因性分子の効果をすっかり弱めることによって 、希釈はビリルビン−アルブミン結合を改変させることが示されている。 本発明におけるもう1つの進歩は、未結合未抱合ビリルビン画分を測定する本 方法の能力である。HRPは、抱合または直接的ビリルビンの試料中のペルオキ シドによる酸化を触媒できることが判明している。 もしかなりの量の抱合ビリルビンが試料中に存在すれば、酸化中の経時的ビリ ルビン濃度の変化(dB/dt) は抱合および未抱合ビリルビン双方からのかなりの寄与を受けるであろうから、 未抱合未結合ビリルビンの濃度は過剰評価されるであろう。抱合および未抱合ビ リルビン濃度が上昇している患者は、依然としてビリルビン脳障害に対して危険 であるが、もし吸光度の変化を用いて酸化を追跡するならば、ビリルビン濃度の 変化の何パーセントが神経毒性の未結合未抱合ビリルビン画分の酸化によるもの であるかを測定する方法はない。従って、未結合ビリルビンを測定するための天 然ビリルビン吸光度の変化を使用するJ&W方法だけでは、高濃度の未抱合(間 接的)ビリルビンの存在下で未結合未抱合ビリルビン濃度を測定することができ ない。 ビリルビン酸化に対し先行技術で推奨されるペルオキシダーゼの濃度は、これ らのペルオキシダーゼ濃度ではアルブミンからのビリルビンの解離はしばしば反 応の律速となるため、かなり過小評価された未結合ビリルビン濃度を生じる。こ この記載に従って本分析を行うことによって、先行技術に伴うこれらの問題は克 服される。 第1の近似として、試料中の未結合未抱合ビリルビンの測定のためにBbを測 定される必要はない。通常、Bb−Bo値はBt値に対して最小であり、従って、 未結合未抱合ビリルビン濃度の第1次近似を得るためには、上記プロセスはBb 値を測定することなく行われる。このようにして、方程式1を用いてbssを解く ことができる。要約すると、この実施態様においては、試料の2つのアリ コートのみが要求され、1つはBoを測定するためのものであり、他はBtを測定 するためのものである。 しかし、もし試料において、所定時間(例えば、5分以内)で酸化されたビリ ルビンの量が全ビリルビン濃度の約50%より大きい場合は、Bbを測定すべき である。 上記のように、第3アリコートで使用したものとは異なる(例えば、低い量) 触媒試薬を含有する試料の第4アリコートは、特にもしアルブミンからのビリル ビンの解離速度が律速であれば(すなわち、ビリルビンがアルブミンから解離し て酸化されたビリルビンを補う速度が実質的にもっと速くない、例えばビリルビ ンの酸化速度よりも30倍以上速い)有用である。これは、方程式: によって示され、ここで、A:Bはビリルビン−アルブミン複合体であり、未結 合ビリルビンである。R1はビリルビンがアルブミンから解離される速度であり 、R2はビリルビンが酸化される速度である。R1が>>R2'でなければ、ビリル ビンのアルブミンからの解離は律速である。R1がR2'よりもかなり大きいわけ ではない場合、方程式1からの定常状態未結合ビリルビン(bss)は実際の平衡 未結合ビリルビン濃度よりもかなり低いであろう。ビリルビンのアルブミンから の速度がわかっているので、 当業者であれば、過度の実験を行うことなく、R1がR2よりもかなり大きいか否 か(例えば、実施例4参照)について、所定の時間内に酸化されたビリルビンの 量から決定することができるであろう。 R1がR2よりもかなり大きくはない場合、試料のさらなるアリコートが必要で ある。 一方、もし、より高いペルオキシダーゼ濃度における定常状態未結合未抱合ビ リルビン濃度測定値が、より低いペルオキシダーゼ濃度で見いだされる定常状態 未結合未抱合ビリルビンと等しいかそれより大きければ、定常状態未結合ビリル ビン濃度は平衡未結合ビリルビン濃度の正確な概算値であって、2つの値は対の 試料として単純に平均できる。しかしながら、もし、上記のように、より高いペ ルオキジターゼ濃度における定常状態未結合ビリルビン濃度がより低いペルオキ ジターゼ濃度で測定されるものよりも低いならば、ビリルビンのアルブミンから の解離の速度は律速であって、未結合未抱合ビリルビンの平衡濃度b(eq)は、 後述するように、定常状態未結合ビリルビン濃度から計算されるはずである。種 々のペルオキジターゼ濃度における定常状態未結合未抱合ビリルビン濃度(bss )の測定を用いて、以下の方程式(ここで、k-1およびk1は、各々、ビリルビ ン:アルブミン複合体についての解離および会合速度定数であり、「a」(これ は、酸化の間は一定である)は非占有ビリルビン結合部位の平均濃度である): [ここで、bssは定常状態未結合未抱合ビリルビン濃度であり、k1、Bo、a、 KpびPは上記定義の通りである] に代入することによって平衡未結合未抱合ビリルビンを計算する。 しかしながら、bssはバックグラウンド酸化があるか否かに応じて上記方程式 1または方程式2から計算され、テストする触媒試薬の異なる濃度の各々に対し て値が計算される。2つの異なるが既知である標準化されたペルオキジターゼ濃 度、すなわちP1、P2を用いて測定される、未抱合未結合ビリルビンの定常状態 濃度であるこれらの値bss1およびbss2を以下の方程式: および および (k1・aは、k-1を得るために方程式6に逆代入されうる) を仮定して方程式6に代入することができる。未結合ビ リルビンの平衡濃度は、k-1、k1・aおよびBoを用いて計算される。 beq=( -1 o)/k1・a 方程式7 2より多い触媒試薬(例えば、ペルオキジターゼ)濃度を本方法で使用するに 際し、触媒試薬濃度の増大と共に定常状態未結合未抱合ビリルビン濃度が減少す る場合、方程式6の直線変換、非直線回帰またはメジアン方法のような他の方法 を用いて平衡未結合未抱合ビリルビン濃度を計算することができる。 本発明のもう1つの態様では、3アリコートの試料が必要である。この実施態 様においては、Bbは測定されない。というのはBo−Bb値はBtに対して最小だ からである。しかしながら、もし試料において、酸化の間のビリルビンのアルブ ミンからの解離が律速であれば、上記した触媒試薬の第2の濃度を用い、第2の 酸化工程を行う必要があろう。この具体例においては、試料の1つのアリコート がBoを測定するのに必要であり、他方、他の2つの試料を用い異なる濃度の触 媒試薬を利用して2つのbss値を決定する。使用するペルオキシダーゼの各濃度 に対し、bssは方程式1を用いて計算する。 bss=Bo・Log(Bt/Bo)÷(希釈率・Kp・p・t) このようにして、もしbss1およびbss2が非アルブミン結合ビリルビンの定常 状態であれば、以下の方程式が適用される: bss1=(k-1・Bo)÷[(k1・a)+(Kp・P1)] bss2=(k1・Bo)÷[(k1・a)+(Kp・P2)] bss1およびbss2を本方法から決定し、かつk-1およびk1・aをこれらの2 つの方程式を解いて決定した後、beqは本発明に従って方程式7によって決定さ れる。 本発明の別の実施態様では、試料のただ1つのアリコートが要求される。これ は、新生児におけるように、試料中の直接的(抱合)ビリルビン濃度が小さく、 試料中に存在する未抱合ビリルビンの量に比して無視できる場合、および全ビリ ルビンBoが、例えばもし上記分析によって測定され、知られているような場合 に適用できる。これらの状況下で、工程は以下のように行われる。 酸化されたビリルビンの量が全ビリルビン濃度の約50%未満となるように充 分短い所定時間、未抱合ビリルビンを酸化するのに有効な条件下、試料のアリコ ートをビリルビン酸化試薬および標準化触媒試薬と混合する。このとき、上記酸 化および触媒試薬の添加による前記アリコート試料の希釈率は、容量で約3:1 未満である。酸化反応は所定時間で停止させ、未抱合ビリルビンの濃度を測定す る。好ましい具体例では、ジアゾ試薬と酸とアクセレレータを添加する。本具体 例においては、抱合ビリルビンの濃度は小さいと仮定されているので、2つの工 程でジアゾ試薬およびアクセレレータを添加する必要がないことに注意すべきで ある。この具体例において、それらはほとんど同時に添加することができる。吸 光度は〜565nmで読まれ、それを用いて試料中に存在す るビリルビンの量を計算する。試料はほとんど抱合ビリルビンを含有しないので 、標準曲線から得られる値は試料中の未抱合未酸化ビリルビン(Bt)である。 従って、本具体例において、 bss=−Bo・Log(Bt/Bo)÷(希釈率・Kp・p・t) 「UUBC」および「Bu」という語は同義語であり、交換可能に使用される 。 以下の非限定的な実施例により、本発明をさらに説明する。 実施例1 ペルオキシダーゼおよびジアゾテストを組み合わせることによる未結合未抱合 ビリルビンの測定方法(ペルオキシダーゼ−ジアゾテスト) 利用できる試料容量に応じて、分析すべき試料を各々10μLという少量の少 なくとも2つのアリコートに分けた。第1のアリコートを用いて、ジアゾ方法に よって初期未抱合ビリルビン濃度(Bo)を測定した。第2アリコートを用いて 、ホースラディッシュペルオキシダーゼ(HRP)によって触媒されるエチルヒ ドロペルオキシド酸化のt分後に残存する間接的ビリルビン濃度(Bt)を測定 した。第3アリコートを用いて、あらゆる非−HRP触媒酸化に対し照査するた めにペルオキシダーゼ不存在下におけるペルオキシドによるビリルビン酸化のt 分後に残存する未抱合ビリルビン(Bb)を測定した。こ れは、ほとんどの試料で最小である。ビリルビン−アルブミン複合体の律速解離 に対する補正に必要な場合、1以上のさらなるHRP濃度でさらなるアリコート においてBtを測定することができる。 HRP(または触媒なしの対照における緩衝液)を添加して、一般的には1〜 150μg/mlの間の最終濃度とした。 前記アリコートを水浴中で37℃まで加温し、過酸化水素に対し200μモル /L、またはエチルヒドロペルオキシドに対し600〜1000μモル/Lの最 終濃度までペルオキシドを添加して、反応を開始させた。試料容量と共に選択さ れたペルオキシドおよびHRPの容量は、未抱合未結合ビリルビン濃度が測定さ れる希釈率を決定する。試料希釈率<1:3(試料容量:反応容量)を用いた。 酸化のt分後(アリコート1につき0分および他のアリコートにつき1〜5分 )、HRPを変性させる試薬であるとともにジアゾテスト用の初期試薬でもある スルファニル酸を添加することによって、反応を停止させた。残存する間接的ビ リルビン濃度(Bb)または(Bt)は、ジアゾテストによって測定される。ジア ゾテストは、全ビリルビン濃度TBCおよび未抱合ビリルビン濃度を共に測定す るので、各々、未抱合ビリルビン濃度または全ビリルビン濃度のいずれかを用い 、上記で概説したようにこの結果を用いて未抱合未結合ビリルビンおよび全未 結合ビリルビンを共に計算することができる。 実施例2 抱合したビリルビンのUUBCに対する効果 UUBC測定に対する抱合(直接的)ビリルビンの効果を、高ビリルビン血症 を有する2人の新生児および2人の成人からの血漿で調べた。 1人は高抱合ビリルビン濃度を持つ者(試料A)および1人はそれを持たない 者(試料B)の2人の新生児において、本方法を用いて、全未結合ビリルビン( TUBC)および未結合未抱合未結合(UUBC)測定分析を行った。試料Aは 体重が750gの乳児からのものであり、乳児は月齢1カ月で胆汁うっ滞に罹っ ていた。アルブミン濃度は2.4g/dLであった。酸化は1分間行い、ホース ラディッシュペルオキシダーゼのKpは17.6mL−分-1μg-1であった。試 料Bは、血液輸血の後に未抱合高ビリルビン血漿を発症した、体重が1640g の月齢1カ月の未成熟児からのものである。アルブミンは3.0g/dLであり 、Kpは17.7mL/分・μgであって、希釈率は1:2.2である。 このTUBCおよびUUBCは、本発明に従って測定したものである。試料A の結果を表1に示す。ビリルビン濃度の単位をmg/dLからuモル/Lに変換 するのに、分母中のファクター0.0585が用いられている。 計算によるUUBCは0.006モル/Lであり、他方、計算したTUBCは 0.015μモル/Lにおいて250%高かった。 あまり直接的ビリルビンが存在しない新生児からのUUBCも、比較のために表 1に示す(試料B)。この新生児においては、TUBCはUUBCよりも約8% 高い だけである。 上昇した直接的反応ビリルビンを有する成人血清を用いて、以下のように同様 の実験を行った: 高い直接的ビリルビン濃度を持つ2人の成人血清におけるUUBCおよびTU BCを、本発明の方法に従って測定した。アルブミン濃度は試料Aにおいて3. 0g/dLであり、試料Bにおいて2.2g/dLであった。ペルオキシダーゼ 濃度は1.85μg/mL、Kpはペルオキシダーゼ1μg当たり18.5mL /分、希釈率は1:2.4、反応時間は5分であった。TUBCは全ビリルビン 濃度(未抱合+抱合ビリルビン濃度)を用いて計算し、UUBCは毒性未抱合ビ リルビン濃度のみを用いて計算した。 結果を表2に示す。 未結合抱合および未結合未抱合ビリルビン濃度を共に含むTUBCは、Aでは0 .208μモル/Lであり、Bでは0.285μモル/Lであり、患者はビリル ビン毒性に対して等しく危険にあることを示唆するであろう。しかしながら、2 つの試料間のUUBSは実質的に異なっている(Aでは0.024μモル/Lで あり、Bでは0.192μモル/Lである)。このUUBCは、患者Bがビリル ビン毒性に対してかなり高い危険性を有することを示す。 実施例3 毒性である未結合ビリルビンのレベル 本発明の方法を用い、新生児における9個の未結合ビリルビン測定を行った。 ビリルビンレベルはそれらのに全てにおいて類似していた。新生児の一人は、 異常聞き取りスクリーンにより証明されているビリルビン脳障害の病気を持って いた。全てのテストはうまく行われた。未結合ビリルビンは、病気の新生児にお いて実質的に一層高かった。 上記表から分かるように、健康な乳児の平均未結合は0.063μモル/L± 0.037であり、他方、病気乳児のそれは4倍高かった。 この実験は、試料中の未結合未抱合ビリルビン濃度において高い値はビリルビ ン毒性とよく相関し、低い値はビリルビン毒性の証拠がないこととよく相関する ことを示す。テスト試料でテストを行う場合、結果を、同程度の全ビリルビン濃 度を持つがビリルビン毒性の証拠を有しない患者からのテストの値と比較するの が好ましい。もしテスト試料からの値が有意に高ければ、例えば、正常値の約2 倍または約2標準偏差を超えていれば、試料が得られた患者はビリルビン毒性を 発症するかなりの危 険性を有していると結論される。 実施例4 対照がペルオキシダーゼ−ジアゾテストで必要な場合の測定条件 未結合ビリルビンを測定するためのペルオキシダーゼスキームの正確性は、ビ リルビンおよびアルブミンの、基礎をなす動的平衡の最小摂動に依る(全てのビ リルビンは未抱合であると仮定する)。ここで、A:Bはビリルビン−アルブミ ン複合体の濃度であり、beqは平衡未結合ビリルビン濃度であって、aは平衡未 結合アルブミン濃度である。 A:B→a+beq HRPおよびペルオキシドを系に添加すると、未結合ビリルビンは酸化され、 以下のスキームに従って、系は平衡から定常状態にシフトする。 ここで、bssはここでは未結合ビリルビンの定常状態であり、boxは反応の酸 化生成物を表す。速度1は速度2に対して非常に速いのが好ましい。もし第一次 解離速度定数k-1(複合体の解離速度はk-1・A:Bである)によって支配され るA:B複合体の解離がKp・HRP・bssの速度と比べて非常に速ければ(例 えば、前記複合体は酸化速度よりも約20倍速く解離する)、bssはbeq とほとんど等しいに近いであろう(例えば、もしA:B解離が酸化の速度より も95%速ければbeqの約95%である)。 k-1についての最低値が約0.4/分があることが確立された。従って、経時 的な酸化されたビリルビン量と対照をそのようにする必要性との間の関係を確立 することができる。これは、一般的方程式: log(Bt/Bo)=−k-1・時間 を用いてなされる。k-1に対し0.4/分を仮定して複合体が解離に必要とする であろう最長時間についての表は、以下のように作成することができる。 上記データを用いて酸化速度は解離速度の5%以上ではないことを確立し、対 照が必要か否かに拘わらず、どれだけ多くの現実のビリルビン濃度が所定時間に わたって減少しうるかを決定することができる。 例えば、もし20%を超えるビリルビンが、670秒(11.2分)経過前に 酸化されれば、酸化の速度は解 離の速度の20倍遅いのではないようである。もう1つの例として、もし5%を 超えるビリルビンが154秒(2.6分)内に酸化されれば、再度、ビリルビン のアルブミンからの解離はかなり律速で、beqを、試料中の真実の(平衡)未結 合ビリルビン濃度をかなり下回り得る定常状態値bssまで減少させるようである 。上記方法の誤差を考慮すると、それは平衡未結合ビリルビンの95%より大き いであろう。これは、反応に対して選択された時間間隔の間に酸化されたビリル ビンの量を記録することによって決定することができる。もし酸化された量が割 り当てられたものを超えるならば(上記表参照)、対照(すなわち、さらなるペ ルオキシダーゼ濃度における未結合ビリルビンの決定およびビリルビンの非ペル オキシダーゼ触媒酸化が起こっているか否かの判断)が必要である。 実施例5 UUBSに対するアルブミン複合体からのビリルビンの律速解離の効果 HRP濃度は、20人の黄疸新生児からの血漿試料において、約1〜125μ g/mlの間で変化した。平衡UUBCに対する定常状態の比を、図1において HRP濃度の関数としてプロットする。この比は、HRP濃度が増大するにつれ てかなり減少し、これは、HRP濃度が増大するにつれてUUBC過小評価が増 えることを示 す。非常に低いHRP濃度においてさえ、いくつかの試料ではUUBCのかなり の過小評価が依然としてあり、これは、試料の分析には少なくとも2つのHRP 濃度を使用する必要があることを示す。さらに、非−HRP触媒酸化のバックグ ラウンドはしばしば全酸化速度のかなりの部分となって分析の精度を低下させる ため、約5μg/ml未満のHRP濃度は現実的でなかった。このため、酸化時 間中の未抱合ビリルビン濃度の変化から、さらなるホースラディッシュペルオキ シダーゼ濃度での未結合ビリルビン濃度の測定が必要か否かを決定することがで きる。 実施例6 高レベルの抱合ビリルビンを有する試料における未結合未抱合ビリルビンの測 本発明は、全未結合ビリルビンを測定するにすぎない方法とは対照的に、試料 中の高レベルの抱合ビリルビンを検出し修正する利点を有する。抱合ビリルビン の酸化の混同した効果は、毒性未結合ビリルビン画分の過剰評価に導き得る。本 発明の方法はまた、毒性未結合ビリルビン画分の過小評価に導き得るアルブミン からのビリルビンのあらゆる律速解離を修正する。これらの特徴は、試料中の抱 合と未抱合の未結合ビリルビンを区別できないことからの誤差を示す以下の実施 例で説明される。本実施例では、ビリルビンのアルブミンからの解離の値は 律速であり、2つの異なるペルオキシダーゼ濃度において測定を行った。 溶液: 緩衝液:0.055M Sorensenのリン酸緩衝液、pH7.4 標準: 1.Sigma Chemicalビリルビン対照(未抱合ビリルビンのみ) :全ビリルビン19.9mg/dL、抱合ビリルビン0mg/dL 試料: 2.全ビリルビン約15mg/dLおよび抱合ビリルビン約4mg/dLを含 むChemTrak3対照血清 ペルオキシダーゼ: 3.標準化したホースラディッシュペルオキシダーゼ(HRP):0.055 M Sorensenリン酸緩衝液(pH7.4)中80μg/mlおよび16 0μg/ml。37℃においてμg/ml当たり1分につきKp=20.9。 4.エチルヒドロペルオキシド(EtOOH)、0.055M Sorens enリン酸緩衝液中10mM ジアゾ: 5.15mlの濃塩酸を含有する水1リットル中のスルファニル酸10g/L 6.水100ml中、亜硝酸ナトリウム0.5g 7.メタノール/水 90%v/v 反応速度論: 1.試料0.05ml 2.緩衝液またはHRP0.05ml(各々、80および160μg/mlス トックにつき最終HRP=36.4および72.8μg/ml) 3.緩衝液またはEtOOH 0.01ml 反応容器中の試料にHRPを添加し、37℃まで加温した。EtOOHを添加 し、1.0mlのスルファニル酸を添加することによって、1分後に反応を停止 させた。試料溶液をキュベットに移し、前記キュベットをHP8452 分光光 度計を用い566nmでブランクを採った。亜硝酸塩(0.050ml)を添加 し、1分後に吸光度を測定した(566nm)。この吸光度値を用いて、試料中 の抱合ビリルビンの濃度を計算した。メタノール(1.0ml)を引き続き添加 し、混合した後、2分後に吸光度を再度測定した(566nm)。この第2の吸 光度値を用いて、試料中の全ビリルビンの濃度を決定した。試料中の未抱合ビリ ルビンの濃度は、抱合ビリルビン濃度についての値から全ビリルビン濃度につい ての値を差し引くことによって決定した。 Sigma標準を用いて、566nmにおけるジアゾ誘導体に対する吸光係数 を測定した(反応容器1)。反応に対しては同様に処理したが、ビリルビン酸化 試薬ま たはビリルビン酸化触媒試薬(例えば、EtOOHまたはHRP)は添加しなか った。ChenTrak試料中の全ての、抱合および未抱合ビリルビンについて の濃度を、酸化の前後で測定した。ペルオキシダーゼの不存在下では、この試料 中にペルオキシドによるビリルビンの酸化は生じなかった。プレ・酸化ビリルビ ン濃度をSigma標準(反応チューブ2)と同様に測定した。チューブ3およ び4において、2つの異なるHRP濃度で、酸化を1分間進行させた。 1:00分後(容器の3および4)、スルファニル酸0.1mg+亜硝酸塩0 .05ml、続いてメタノール1.0mlを、上記のように添加した。 全ビリルビン濃度のみを考慮する未結合ビリルビンの計算(Jacobsen およびWennbergによる;1974): HRP=36.4μg/mlに対し;初期全ビリルビン(Bo)=15.1m g/dL。(ビリルビンのMW=585グラム/モル)。ビリルビンをa μモ ル/Lに変換するには、そのmg/dL濃度を0.0585で割る。 全ビリルビン(Bt)=12.7mg/dL(チューブ3における合計)定常 状態未結合ビリルビン(bss)の正味の変化 式: 定常状態全未結合(抱合+未抱合)ビリルビン=0.027μMであり、これ は全ビリルビン濃度15.1mg/dL(258μM)の約0.01%である。 HRP=72.8については、定常状態未結合ビリルビンは先に概説したよう に計算した。ここで: Boは15.1mg/dLであって、 Btは11.6mg/dLである。 定常状態未結合ビリルビンは0.020μMとしてある。 より高いHRPにおける定常状態未結合は、より低いHRPにおけるものより も小さいので、ビリルビンのア ルブミンからの解離は、酸化の間は律速でなければならない。 上記のようにして方程式を解くと、0.042μモル/Lの平衡未結合ビリル ビンを与える。このようにして、アルブミンからのビリルビンの律速議論に対す る修正をすることなく、未結合ビリルビンはほぼ36%だけ過小評価される。こ の問題に対する修正の必要性は、2以上のHRP濃度においてテストを行う場合 にのみ明らかになるであろう。未抱合ビリルビンと同様に抱合ビリルビンの酸化 についても修正はなされないので、これを例として用いて、さらなる潜在的誤差 が起こる。もし抱合ビリルビンを各合計ビリルビンから差し引いてビリルビンの 未抱合(毒性形態)(結果の表の最後の欄)を得るとすると、未抱合未結合ビリ ルビンは、未抱合ビリルビン値を用いて、概説したように計算される: HRP=36.4μg/mlについては、Boは10.9mg/dLであり( 全未抱合ビリルビン)およびBtは10.7mg/dLである。定常状態未結合 未抱合ビリルビンは0.002μMとしてある。 HRP=72.7μg/mlについては、Boは10.9mg/dLであり( 全未抱合ビリルビン)およびBtは10.5mg/dLである。定常状態未結合 未抱合ビリルビンは0.002μMとする。 未結合未抱合ビリルビンは各HRPで同一であるので、未抱合ビリルビンのア ルブミンからの解離はこの反応で は律速ではないことに注意されたい。さらに、抱合ビリルビンの干渉を考慮する ことなく、毒性ビリルビン画分はその現実の値よりも40倍大きい値において、 誤って同定されるであろうことにも注意されたい。抱合ビリルビンからの干渉に 対して修正した後は、ビリルビンのアルブミンからの律速解離の徴候はない。本 実施例において、未抱合未結合ビリルビンの測定で使用した希釈率は1:2.2 である。抱合および未抱合ビリルビンを区別できない方法と比較して、未抱合未 結合ビリルビンを測定する本技術の利点は明瞭である。加えて、もし1つのビリ ルビン酸化触媒濃度のみ(例えば、ただ1つのHRP濃度)を本例で用いると、 試料中の未結合ビリルビンの濃度は非常に過小評価される。 実施例7 Gunn子供ラットにおける未結合未抱合ビリルビン脳幹聴覚惹起ポテンシャ ルの測定 ビリルビン毒性は、とりわけ難聴を生じる。ビリルビンは脳幹聴覚惹起ポテン シャル(BAEP)、新生児における聞き取りを評価するのに使用されるテスト 、を誘導することが示された。BAEPは、新生児がビリルビン毒性に対し危険 である場合の評価方法として提案されている。 最近、BAEPの変化が、ヒト新生児における全ビリルビン濃度とよりも、( W&Jテストで測定した)未結 合ビリルビン濃度の測定と良好に相関することが示されている。 未抱合未結合濃度およびBAEPを、ホモ抱合(jj)Gunn子供ラットに おいて、本発明の方法によって測定した。(新生児黄疸のモデルとして働く、先 天的未抱合高ビリルビン血症を持つ動物)。W&J方法はこの動物においてビリ ルビン−アルブミン結合を測定するのに使用されてきたが、試料希釈に要する血 清濁度、ならびに可変吸光度特性は、テストの精度を制限する。本発明の方法に よる結果をBAEPS測定と比較した。 脳幹聴覚惹起ポテンシャル(ビリルビン毒性の感度インジケーター)を、16 .0日齢(SD 0.5)で体重が26.8g(SD 2.0)のGunn子供 ラットで測定した。BAEPは、ケタミンおよびアセプロマジン麻酔薬下で測定 した。75のdBHL単耳クリックを右および左の耳に投与し、右および左耳か らのI−II波間間隔(BAEPはII潜伏、BAEPはI潜伏)を平均した。 この間隔は、ビリルビン毒性の感度インジケーターである。 I−II波間間隔の測定に続き、ビリルビン−アルブミン結合の分析のために 心臓穿刺によって血液を採取した。 血清を分離し、分析まで−70℃で凍結させた。 アルブミンは、標準としてラット・アルブミン(Sigma Chemica l Company)を用いる BCP方法によって測定した。10μLにおいては、アリコートを2mlのBC Pと組み合わせた。ラット・アルブミンの吸光度および604nmにおけるBC Pは、ヒト・アルブミンについてのそれの約50%である。 全ビリルビン濃度(これらの動物は抱合ビリルビンを作らない)を、25μL の血清を用いるジアゾ方法によって測定した。Sigma未抱合ビリルビン対照 を、標準として使用した。試料を添加した後であるが亜硝酸塩およびメタノール を添加する前にキュベットをゼロとするので、この方法は濁度に対して修正する 。 次いで、25μLのラット血清を、HRP25μL、および、1:160希釈 の10−12%エチルヒドロペルオキシド10μLと混合し、酸化を1〜3分間 で進行させた。HRPを変性させるジアゾスルファニル酸試薬により反応を停止 させた。ゼロにした分光光度計に試料を入れ、亜硝酸塩およびメタノールを添加 した。2分後に、ジアゾ化試料の吸光度からBtを計算した。bssは方程式1に よって計算した。 0.3〜67μg/mlの間の3〜4の異なるHRP濃度での測定からbssを 決定して、ビリルビンのアルブミンからの律速解離を修正し、bss値を用いて、 上記の平衡未結合ビリルビン(beq)を計算した。 2つの方法からの結果を、BAEP変化と全ビリルビン濃度およびUUBSと の関数を比較する図4−5で示す。 図4は、全ビリルビンとの有意な相関はないことを示す(r2=0.045) 。 図5は、未結合未抱合ビリルビンとの有意な相関を示す(r2=0.31)。 実施例8 未結合ビリルビンの濃度測定に対する試料希釈の効果 上記のように、ビリルビンの直接的テストは間接的テストよりも好ましい。し かしながら、試料中の未結合未抱合ビリルビンの濃度に対する直接的テストは、 使用する試料希釈に対して敏感である。以下の実施例は、試料中の未結合未抱合 ビリルビン濃度の直接的テストにおいて、試料の希釈率がどれ位大きければ(す なわち、約1:40の範囲)試料中の未結合未抱合ビリルビンの真の値の過小評 価につながり得るかを説明する。アルブミンからビリルビンを置換する薬物スル フィソキサゾールは、恐らくは新生児の血液および組織中の未結合未抱合ビリル ビンの濃度の増大の結果として、新生児に投与されるとビリルビン毒性の発症を もたらすことが報告されている(Silverman WAら,Pediatr ics 18:614,1956)。この事実を利用して、出願人は、イン・ビ トロ の直接的テストにおいて試料希釈率を変えることが未結合未抱合ビリルビン の濃度の測定に影響するであろうかを決定しようと試みた。既知濃度の試薬を用 いることができ、テストにおける未結合ビリ ルビンの量を操作できることから、このイン・ビトロテストを採用した。Sil vermanによって報告されているように、アルブミンに結合しているビリル ビンを除去して試料中の未結合未抱合ビリルビンのレベルを増加させるする手段 として、スルフィソキサゾールを採用した。未結合未抱合ビリルビンの濃度のこ れらの増加は、大きな試料希釈率(すなわち、約1:40の範囲の希釈)を要す る直接的方法を用いるよりも小さな試料希釈率(すなわち、約1:2の範囲の希 釈率)を用いる本発明の方法を用いることにより、より正確に測定されるであろ うことが仮定された。 2つの試料希釈濃度を用いた(1:1.8および1:41.8)。Jacobs enおよびWennbergの未結合ビリルビン分析方法(Clin.Chem .20:783、1974)に必要であると報告された希釈率の範囲にあること から、より高い試料希釈率(1:41.8)を選択した。より低い試料希釈率は 、本発明で使用する直接的分析方法を表す。 脱脂肪アルブミン中の未抱合ビリルビンの溶液(全ビリルビン20mg/dL、 全アルブミン3.0g/dL)を、スルフィソキサゾール15mg/dLの存在 下および非存在下で分析した。Silvermanによって報告されているスル フィゾソサゾールの血中レベル(すなわち、15mg/dL)を模倣して、スル フィソキサゾールのこの濃度を採用した。 pH7.4の0.055M Sorensenの緩衝液中ビリルビン約20m g/dLを含有する3.0g/dL脱脂肪アルブミン溶液の0.975mlに、 スルフィソキサゾール(6mg/dLの0.025ml)または緩衝液(0.0 25ml)を添加した。最終スルフィソキサゾール濃度は15mg/dLであっ た。上記したペルオキシダーゼ技術を用い、JacobsenおよびWennb ergの方法と比較して本発明方法を採用して、1:1.8および1:41.8 の希釈率にて未結合未抱合濃度を測定した。0.1cm光路長キュベットを使用 して、1:1.8希釈率において未結合ビリルビンの直接的スペクトル分析を行 った。 方法:1:1.8希釈率の読み取りは以下のようにに行った: 100μlのビリルビン−脱脂肪アルブミン試料を、16μg/ml標準化H RP(Kp=19.6ml/分μg)40μlを含有する0.1cm光路長キュ ベットに添加した。HRPおよびEtOOHを0.055M Sorensen の緩衝液(pH7.4)に含有させた。最終HRP濃度は3.56μg/mlで あった。460nmで測定した吸光度の降下を5分間より長くモニターした。未 結合ビリルビンの濃度は、方程式1を用い、所定時間後に全ビリルビン濃度の一 次変化から計算した。 HRP濃度がほぼ2倍になったとき、アルブミンからのビリルビンの律速解離 により干渉は見いだされなかっ た。比色方法:各10μlのHRPおよびEtOOH(上記した濃度およびモル濃 度)を、スルフィソキサゾールを含むまたは含まないビリルビン−脱脂肪アルブ ミン溶液試料25μlに添加した。5分後、ジアゾ試薬(スルファニル酸+亜硝 酸塩)0.5mlを添加して反応を停止させた(この人工的な系には存在しない ため、抱合ビリルビン濃度は測定しなかった)。続いて、90%メタノール0. 5mlを添加して、色形成を加速した。HRPの代わりに10μlの緩衝液を含 有する類似の試料を用いて、時刻ゼロ(t=0)にて全ビリルビン濃度を測定し た。未結合ビリルビン濃度は方程式(1)を用いて計算した。 試料0.025mlを緩衝液1.0mlに添加し、上記の各10μlのEtO OHとHRPを用いて反応を開始させることによって、1:41.8の希釈を行 った。JacobsenおよびWennberg方法は、1cm光路長を用いて 上記のように行った。比色手法は、1.0mlのジアゾ−Aで5分後に反応を停 止させ、次いで、90%メタノール1.0mlを添加することによって行われた 。結果を表3に示す。 各値は、3回の反復実験の平均および標準偏差である。 表3に示すように、最小希釈率(すなわち、1:1.8)を使用した分析は、 スルフィソキサゾールによって放出される未結合未抱合ビリルビンの濃度をより 正確に反映する。より高い試料希釈率(すなわち、1:40)を使用する分析は 、未結合ビリルビンに対するスルフィソキサゾールの効果を反映しない。スルフ ィソキサゾールの適用後に放出された未結合未抱合ビリルビンの量は、ほぼ2倍 に増加した。全ビリルビンの毒性画分は、未結合未抱合ビリルビン種からなる部 分に表れるているので、かかる知見は非常に重要である。従って、未結合未抱合 ビリルビンの濃度の増加を検出する感度の向上した方法は、非常に有用で有利で あろう。ビリルビンに対するアルブミンの結合部位が飽和するにつれ、全ビリル ビン濃度のさらなる小さな増加には神経毒性である未結合未抱合ビリルビンの濃 度の不均衡な大きな変化が伴い得ることから、未結合未抱合ビリルビンの濃度の 最も小さい変化に対する感度の向上は有益である。そこで、全ビリルビンの濃度 の小さな増加でさえ、ビリルビン脳障害を発 症する実質的な危険に新生児をさらし得る。従って、全ビリルビンの小さな変化 によって、あるいは、ビリルビン−アルブミン結合と干渉できる分子によって生 じた未結合ビリルビンの上昇レベルを検出できない分析よりも、未結合未抱合ビ リルビンの量の小さな増加に対してさえ感度のよい分析のほうが好ましい。 実施例9 UUBC測定に対する本発明の方法とJacobsenおよびWennber gの方法との比較 本発明によって、20人の新生児の血漿UUBCを測定し、得られた値をW& J方法によりUBC値を測定する場合と比較した。W&J方法では、4つのHR P濃度を1:43.7の試料希釈率で使用し、本発明では、1:1.8試料希釈 率および2〜4のペルオキシダーゼ濃度を使用した。結果を図3に示す。本発明 から得られた値はUUBCをより正確に測定してした。 実施例10 本発明により測定した新生児の血漿におけるUUBC 赤血球増加症を持つ妊娠終結時新生児で行った部分的交換輸血からの血漿をビ リルビンで滴定し、未抱合未結合ビリルビンを本発明の方法によって測定して、 最小に希釈した血漿中のビリルビン−アルブミン結合等温線を評価した。結果を 図2に示す。非直線回帰を用いて平衡 結合定数を決定したところ、部位間の相互作用のある2部位モデルが結合等温線 に最良に適合した。1:1ビリルビン/アルブミン種についての平衡解離定数は 0.059μモル/Lであり、一方、2:1ビリルビン/アルブミン種について のそれは0.0303μモル/Lであった。この結果は、固定された部位モデル に曲線を適合させようとする試みにより1つの負の定数が得られたことから、ビ リルビンに対するアルブミン結合部位が正の協同性を示すことを示唆する。 この分析は、遊離アルブミン上に単一の結合部位は存在しないこと、および遊 離アルブミンを測定する他の結合方法は正確ではないであろうことを示す。 実施例11 酸化中の「a」(占められていないビリルビン結合部位)の濃度の変化 従来の研究は、W&J方法に対する速度曲線は一次反応速度に従うことを示し 、これは結合ビリルビンに対して利用できるアルブミン部位の濃度が反応の間で 一定であることを示す。未占有ビリルビン結合部位の濃度は、反応中、基本的に 一定である。このことは、UUBCを計算するのに使用される式をバリデートす るのに重要であるので、さらに検討された。 278μモル/Lビリルビン、60,839カウント/分、50μg/mLペ ルオキシダーゼ、および100 0モル/Lのエチルヒドロペルオキシドを含有するビリルビン−14C/脱脂肪ア ルブミン溶液(モル比0.42)を8分間反応させた。種々の時点(0〜8分) で、100μlの反応混合物を取り出し、100ミリモル/LNa2S 10μ lに添加して反応を停止させた。0.055MのSomensenの緩衝液で1 .0mlまで希釈した後、460nmでの吸光度からビリルビン濃度を計算し、 次いで、製造業者の指示に従って、全希釈反応混合物をセファデックス G25 0.5×5cm(直径×長さ)カラム上に置いた。次いで、アルブミン画分を 緩衝液で溶出させた。残存するビリルビンおよび溶出物の放射能を各時間間隔で 測定して、反応のあいだ酸化生成物がアルブミンに結合したままであって、従っ て、アルブミンと共にセファデックスカラムを通過するか否かを判断した。 非占有ビリルビン−アルブミン結合部位の濃度が反応の間に変化するか否かを 判断するための実験から得られた結果を、表4に示す。 予備的実験により、約5%の放射能がカラムを通過することによって試料から 取り出されたことが示された。全ビリルビン濃度は、8分間の反応によってその 元の値の約46%まで降下し、放射能の86%がアルブミンと共に残り、これは 酸化生成物が依然としてアルブミンに結合したままであることを示す。 この実験は、約半分のビリルビンが酸化された場合に、上記の計算において遊 離アルブミンは一定と考えるのが適当であることを示す。 最も現実的で好ましい実施態様であると考えられるも のにおいて本発明を示し、ここに記載した。しかしながら、本発明のスコープの 範囲内においてこれらの実施態様から外れることができ、当業者であればこの開 示を読んで部分的な変更等を加えるであうことが認められる。本記載を通じ、好 ましい実施態様および示した実施例は、本発明についての限定ではなく、例示と 考えられるべきである。従って、本発明は特定の例示的実施態様によって制限さ れるべきものではなく、添付の請求の範囲によってのみ制限されるべきである。

Claims (1)

  1. 【特許請求の範囲】 1.以下の工程を含む、試料中の未結合未抱合ビリルビンの濃度を測定する方 法: (a)前記試料の第1アリコート中の抱合および未抱合ビリルビン濃度を測定 し; (b)前記試料の第2アリコートをビリルビン酸化試薬および触媒的に有効量 の標準化触媒試薬と混合し、ここで、前記酸化試薬によるビリルビンの酸化を触 媒する一次速度定数は、酸化されたビリルビン量が全ビリルビン濃度の約50% 未満となるように充分に短い所定時間で未抱合ビリルビンを酸化するのに有効な 条件下で予め測定されており、酸化試薬および触媒試薬の添加による前記第2ア リコート試料の前記希釈は容量で約3:1未満であり; (c)前記所定時間で酸化反応を停止させ、酸化後の前記第2アリコートに残 存する抱合および未抱合ビリルビンを測定し;次いで (d)以下の式: bss=−Bo・Log(Bt/Bo)/(希釈率・Kp・P・t) [式中、bssは定常状態未抱合未結合ビリルビン濃度であり; Boは、前記血清試料中の未抱合ビリルビン濃度であって、その値は工程(a )で測定されたものであり; Btは、標準化触媒試薬存在下における酸化試薬による所定時間のビリルビン 酸化後に残存する、前記試料中の 未抱合ビリルビン濃度であり、その値は前記工程(c)で測定されたものであり ; 希釈率は、試料への酸化試薬および触媒試薬の添加から得られた試料希釈であ り; tは酸化反応に対する所定の反応時間であり; Pは標準化触媒試薬の濃度であり;そして Kpは、アルブミン、あるいはビリルビンに結合できる他の分子の不存在下で の前記酸化試薬によるビリルビンの触媒酸化に対する1次速度定数である。] の計算から、bssで示される定常状態未抱合未結合ビリルビン濃度を測定する。 2.以下の工程を含む、試料中の未結合未抱合ビリルビンの濃度を測定する方 法: (a)前記試料中の未抱合ビリルビン(Bo)の濃度を測定し; (b)前記試料の第2アリコートをビリルビン酸化試薬および触媒的に有効量 の標準化触媒試薬と混合し、ここで、前記酸化試薬によるビリルビンの酸化を触 媒する一次速度定数は、酸化されたビリルビン量が全ビリルビン濃度の約50% 未満となるように充分に短い所定時間で未抱合ビリルビンを酸化するのに有効な 条件下で予め測定されており、酸化試薬および触媒試薬の添加による前記アリコ ート試料の前記希釈は容量で約3:1未満であり; (c)前記所定時間で酸化反応を停止させ、前記第2 アリコート試料中の未酸化の抱合および未抱合ビリルビンの濃度(Bt)を測定 し; (d)前記工程(b)のものと同容量の前記試料の第3アリコートを、添加触 媒試薬の不存在下、工程(b)と同一時間で酸化試薬および緩衝液と混合し、次 いで前記第3アリコート中の未酸化未抱合ビリルビンの濃度を測定し、それによ り添加された緩衝液の量は工程(b)で添加された触媒試薬の量と等容量で、か つ添加された酸化試薬の容量および濃度は工程(b)で用いられたものと等しく し;次いで (e)以下の式: bss=−[Bo・Log((Bo−Bb+Bt)/Bo)]/(希釈率・Kp・P・t) [式中、bssは定常状態未抱合未結合ビリルビン濃度であり; Boは、前記血清試料中の未抱合ビリルビン濃度であって、その値は工程(a )で測定されたものであり; Btは、標準化触媒試薬存在下における酸化試薬による所定時間のビリルビン 酸化後に残存する、前記血清試料中の未抱合ビリルビン濃度であり、その値は前 記工程(c)で測定されたものであり; Bbは標準化触媒試薬の不存在下におけるバックグラウンド酸化であり; 希釈率は、試料への酸化試薬および触媒試薬の添加から得られた試料希釈であ り; tは酸化反応に対する所定の反応時間であり; Pは標準化触媒試薬の濃度であり;そして Kpは、前記酸化試薬によるビリルビンの触媒酸化に対する1次速度定数であ る。] の計算からbssで示される定常状態未抱合非アルブミン結合ビリルビン濃度を測 定する。 3.以下の工程を含む、試料中の未結合未抱合ビリルビンの濃度を測定する方 法: (a)前記試料の第1アリコート中の抱合および未抱合ビリルビンの濃度を測 定し; (b)前記試料の第2アリコートをビリルビン酸化試薬および触媒的に有効量 の第1標準化触媒試薬と混合し、ここで、前記酸化試薬によるビリルビンの酸化 を触媒する一次速度定数は、酸化されたビリルビン量が全ビリルビン濃度の約5 0%未満となるように充分に短い所定時間で未抱合ビリルビンを酸化するのに有 効な条件下で予め測定されており、酸化試薬および触媒試薬の添加による前記ア リコート試料の前記希釈は容量で約3:1未満であり; (c)前記所定時間で酸化反応を停止させ、前記第2アリコート試料中の未酸 化の抱合および未抱合ビリルビンの濃度を測定し; (d)第3アリコートにおいて第2の量の同一触媒試薬を用いて工程(b)お よび(c)を反復し、前記触媒試薬の第2の量は触媒試薬の第1の量とは異なる もので あり; (e)前記工程(b)のものと同容量の前記試料の第4アリコートを、添加触 媒試薬の不存在下、工程(b)と同一時間で酸化試薬および緩衝液と混合し、次 いで前記第4アリコート中の未酸化未抱合ビリルビンの濃度を測定し、それによ り添加された緩衝液の量は工程(b)で添加された触媒試薬の量と等容量で、か つ添加された酸化試薬の容量および濃度は工程(b)で用いられたものと等しく し;次いで (f)以下の方程式: bss1=−[Bo・Log((Bo−Bb+Bt1/Bo)]/(希釈率・Kp・P1 ・t1) bss2=−[Bo・Log((Bo−Bb+Bt2/Bo)]/(希釈率・Kp・P2 ・t2) を用いて、2つの触媒試薬濃度における定常状態未抱合未結合濃度を決定し、次 いで、方程式: からk-1、Boおよびk1・aを決定し、次いで、方程式 から平衡未結合未抱合ビリルビンbeqを決定する。 [式中、bss1は触媒試薬の第1濃度における第1定常状態未抱合未結合アルブ ミン濃度であり; bss2は触媒試薬の第2濃度における第2定常状態未抱合未結合アルブミン濃 度であり; P1は第1触媒試薬濃度であり; P2は第2触媒試薬濃度であり; Boは前記血清試料中の未抱合ビリルビン濃度であって、その値は前記工程( a)で測定され; Bbは標準化触媒試薬不存在下でのバックグラウンド酸化であり; Bt1およびBt2は、各々、触媒試薬存在下での酸化試薬による所定時間のビリ ルビン酸化後の前記工程(c)および工程(d)からの未抱合ビリルビン濃度で あり; 希釈率は酸化試薬および触媒試薬の添加から得られた試料希釈であり; t1およびt2は、独立して、酸化反応の所定の反応時間であって、t1および t2は同一であっても異なっていてもよく; Kpは前記酸化試薬によるビリルビンの触媒酸化についての一次速度定数であ り; k-1はアルブミンからのビリルビンの解離速度定数であり; k1はアルブミンとビリルビンの会合速度定数であり; aは未結合アルブミンの濃度であり;そして beqは未結合未抱合ビリルビンの平衡濃度である。] 4.以下の工程を含む、試料中の未結合未抱合ビリルビンの濃度を測定する方 法: (a)前記試料の第1アリコート中の抱合および未抱合ビリルビンの濃度を測 定し; (b)前記試料の第2アリコートをビリルビン酸化試薬および触媒的に有効量 の第1標準化触媒試薬と混合し、ここで、前記酸化試薬によるビリルビンの酸化 を触媒する一次速度定数は、酸化されたビリルビン量が全ビリルビン濃度の約5 0%未満となるように充分に短い所定時間で未抱合ビリルビンを酸化するのに有 効な条件下で予め測定されており、酸化試薬および触媒試薬の添加による前記ア リコート試料の前記希釈は容量で約3:1未満であり; (c)前記所定時間で酸化反応を停止させ、前記第2アリコート試料中の未酸 化の抱合および未抱合ビリルビンの濃度を測定し; (d)第3アリコートにおいて第2の量の同一触媒試薬を用いて工程(b)お よび(c)を反復し、前記触媒試薬の第2の量は触媒試薬の第1の量とは異なる ものであり; (e)以下の方程式: bss1=−[Bo・Log(Bt1/Bo)]/(希釈率・Kp・p1・t1) bss2=−[Bo・Log(Bt2/Bo)]/(希釈率・ Kp・P2・t2) を用い、2つの触媒試薬濃度における定常状態未抱合未結合アルブミン濃度を決 定し、次いで、方程式: からk-1、Boおよびk1・aを決定し、次いで、方程式 から平衡未結合未抱合ビリルビンbeqを決定する。 [式中、bss1は触媒試薬の第1濃度における第1定常状態未抱合未結合アルブ ミン濃度であり; bss2は触媒試薬の第2濃度における第2定常状態未抱合未結合アルブミン濃 度であり; P1は第1触媒試薬濃度であり; P2は第2触媒試薬濃度であり; Boは前記血清試料中の未抱合ビリルビン濃度であって、その値は前記工程( a)で測定され; Bbは標準化触媒試薬不存在下でのバックグラウンド酸化であり; Bt1およびBt2は、各々、触媒試薬存在下での酸化試薬による所定時間のビリ ルビン酸化後のる前記工程(c) および工程(d)からの未抱合ビリルビン濃度であり; 希釈率は酸化試薬および触媒試薬の添加から得られた試料希釈であり; t1およびt2は、独立して、酸化反応の所定の反応時間であって、t1および t2は同一であっても異なっていてもよく; Kpは前記酸化試薬によるビリルビンの触媒酸化についての一次速度定数であ り; k-1はアルブミンからのビリルビンの解離速度定数であり; k1はアルブミンとビリルビンの会合速度定数であり; aは未結合アルブミンの濃度であり;そして beqは未結合未抱合ビリルビンの平衡濃度である。] 5.以下の工程を含む、全ビリルビン濃度が既知の新生児から得られた試料中 の未結合未抱合ビリルビンの濃度を測定する方法: (a)前記試料のアリコートをビリルビン酸化試薬および触媒的に有効量の標 準化触媒試薬と混合し、ここで、前記酸化試薬によるビリルビンの酸化を触媒す る一次速度定数は、酸化されたビリルビン量が全ビリルビン濃度の約50%未満 となるように充分に短い所定時間で未抱合ビリルビンを酸化するのに有効な条件 下で予め測定されており、酸化試薬および触媒試薬の添加による前記アリコート 試料の前記希釈は容量で約3:1未満であり; (b)前記所定時間で酸化反応を停止させ、酸化後の 前記アリコート試料中の未酸化の抱合および未抱合ビリルビンの濃度を測定し; (c)以下の式: bss=−Bo・Log(Bt/Bo)/(希釈率・Kp・P・t) [式中、bssは定常状態未抱合未結合ビリルビン濃度であり; Boは、前記試料中の未抱合ビリルビン濃度であり; Btは、標準化触媒試薬存在下における酸化試薬による所定時間のビリルビン 酸化後に残存する、前記試料中の未抱合ビリルビン濃度であり、その値は前記工 程(b)で測定されたものであり; 希釈率は、試料への酸化試薬および触媒試薬の添加から得られた試料希釈であ り; tは酸化反応に対する所定の反応時間であり; Pは標準化触媒試薬の濃度であり;そして Kpは、アルブミン、あるいはビリルビンに結合できる他の分子の不存在下で の前記酸化試薬によるビリルビンの触媒酸化に対する1次速度定数である。] の計算から、bssで示される定常状態未抱合未結合ビリルビン濃度を測定する。 6.Bo−Bbが有意にBt未満であって、Btに対するBo−Bbの値がほぼ0で ある請求項2または3に記載の方法。 7.前記触媒試薬がペルオキシダーゼであって、かつ、前記酸化試薬がペルオ キシドである請求項1〜5のいず れか1に記載の方法。 8.前記ペルオキシダーゼがホースラディッシュペルオキシダーゼである請求 項7に記載の方法。 9.前記試料中の抱合および未抱合ビリルビンの濃度が以下のようにして測定 される請求項1〜4のいずれか1に記載の方法: (a)第1容器中で、前記試料中の抱合ビリルビンの全量との着色複合体を形 成するのに十分な時間、前記血清試料のアリコートと有効量のジアゾ試薬を混合 し、その濃度を測定し; (b)前記第1容器に反応促進に有効量のアクセレレータを添加し、未抱合ビ リルビンと反応して第2の着色複合体を形成するのに十分な時間、前記アクセレ レータを(a)の生成物と混合し、次いで抱合および未抱合ビリルビンの濃度を 決定する。 10.以下の工程を含む、緩衝化血清試料中の抱合および未抱合ビリルビンの 濃度を測定する請求項2または3に記載の方法: (a)第1容器中で、前記試料中の抱合ビリルビンの全量との着色複合体を形 成するのに十分な時間、前記血清試料のアリコートと有効量のジアゾ試薬を混合 し、その濃度を測定し; (b)前記第1容器に反応促進に有効量のアクセレレータを添加し、未抱合ビ リルビンと反応して第2の着色複合体を形成するのに十分な時間、前記アクセレ レータ を(a)の生成物と混合し、次いでBoで示すその濃度を決定し; (c)第2の容器に第2アリコート試料、ペルオキシド、および、ベルオキシ ドによるビリルビンのペルオキシダーゼ触媒酸化に対する所定の一次速度定数を 有する触媒的に有効量の標準化ペルオキシダーゼ溶液を添加し、これを未抱合ビ リルビンを酸化するのに有効な条件下で所定の時間混合し、前記酸化された未抱 合ビリルビンは全ビリルビン濃度の約50%未満であって、ペルオキシドおよび ペルオキシダーゼの添加による前記第2アリコート試料の希釈率は容量で約3: 1未満であり; (d)前記試料中の未抱合ビリルビンの全量と着色複合体を形成するのに十分 な時間、工程(c)の生成物にジアゾ試薬を添加し、その濃度を測定し; (e)反応促進に有効量のアクセレレータを第2容器に添加し、残存する未抱 合ビリルビンと反応するのに十分な時間、工程(d)の生成物と混合し、次いで 、Btで示す酸化未抱合ビリルビンの量をそれから測定し; (f)第3の容器において、添加ペルオキシダーゼ不存在下で、工程(c)で 添加されたペルオキシダーゼの量と等容量のさらなる緩衝液溶液、および前記血 清血漿のアリコート試料とペルオキシドを混合し、前記血清試料およびペルオキ シドの容量は工程(c)で用いたものと同一であり、工程(c)の混合と同一時 間、前記溶液を混合し; (g)工程(d)および(e)で用いたと同一量のジアゾ試薬および同一量の アクセレレータを前記第3の容器に各々添加し、それから、前記試料中に存在す るBbで示す未酸化未抱合ビリルビンの量を測定し;次いで、 (h)定常状態未抱合非アルブミン結合ビリルビン濃度を決定する。 11.前記ジアゾ試薬が酸存在下での芳香族アミンと亜硝酸塩との反応によっ て形成されるものである請求項9に記載の方法。 12.前記芳香族アミンがスルファニル酸である請求項11に記載の方法。 13.前記アクセレレータがメタノールである請求項9に記載の方法。 14.前記試料中の未抱合ビリルビンの濃度が以下のようにして測定される請 求項5に記載の方法: 未酸化未抱合ビリルビンと反応して着色複合体を形成させるのに十分な時間、 有効量のアクセレレータおよびジアゾ試薬を前記試料に添加し、それにより前記 試料中の未抱合ビリルビンの濃度を測定する。 15.前記ジアゾ試薬が酸存在下での芳香族アミンと亜硝酸塩との反応によっ て形成されるものである請求項14に記載の方法。 16.芳香族アミンがスルファニル酸である請求項15に記載の方法。 17.前記アクセレレータがメタノールである請求項 14に記載の方法。 18.ペルオキシダーゼの濃度が約1〜150μg/mLの範囲である請求項 1〜5のいずれか1に記載の方法。 19.前記アリコート中に存在する試料の容量が約10μL以上であって約1 00μL未満である請求項1〜5のいずれか1に記載の方法。 20.前記試料が哺乳動物からの血清または血漿である請求項1〜5のいずれ か1に記載の方法。 21.前記哺乳動物がヒトである請求項20に記載の方法。
JP52474698A 1996-11-27 1997-11-28 ビリルビンアルブミン結合の測定 Expired - Fee Related JP4068156B2 (ja)

Applications Claiming Priority (3)

Application Number Priority Date Filing Date Title
US08/757,930 US5804405A (en) 1996-11-27 1996-11-27 Bilirubin detection
US08/757,930 1996-11-27
PCT/US1997/021275 WO1998023965A1 (en) 1996-11-27 1997-11-28 Measurement of bilirubin albumin binding

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2001507790A true JP2001507790A (ja) 2001-06-12
JP4068156B2 JP4068156B2 (ja) 2008-03-26

Family

ID=25049789

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP52474698A Expired - Fee Related JP4068156B2 (ja) 1996-11-27 1997-11-28 ビリルビンアルブミン結合の測定

Country Status (5)

Country Link
US (2) US5804405A (ja)
EP (1) EP1023606A1 (ja)
JP (1) JP4068156B2 (ja)
CA (1) CA2272746C (ja)
WO (1) WO1998023965A1 (ja)

Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2006305313A (ja) * 2005-03-31 2006-11-09 Toray Ind Inc アルブミン非結合かつグルクロン酸非抱合のビリルビンを除去する材料
WO2016159050A1 (ja) * 2015-03-30 2016-10-06 国立大学法人神戸大学 血液試料中のアンバウンドビリルビンの測定方法
JP2021520506A (ja) * 2018-04-03 2021-08-19 ネオメトリックス ディーエックス ビリルビンのin vivo毒性レベルを評価し、ビリルビン神経毒性の増大したリスクを診断するための、方法およびデバイス

Families Citing this family (9)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US20050266579A1 (en) * 2004-06-01 2005-12-01 Xihai Mu Assay system with in situ formation of diazo reagent
WO2007021810A2 (en) * 2005-08-11 2007-02-22 Eksigent Technologies, Llc Microfluidic methods and apparatuses for fluid mixing and valving
US9495514B2 (en) * 2009-01-02 2016-11-15 Cerner Innovation, Inc. Predicting neonatal hyperbilirubinemia
DE102009037015A1 (de) * 2009-08-07 2011-02-17 Michael Hajek Vorrichtung und Verfahren zur Eliminierung von bioschädlichen Stoffen aus Körperflüssigkeiten
CN102944683A (zh) * 2012-11-16 2013-02-27 李立和 双试剂法检测间接胆红素试剂盒及制备方法
US11335461B1 (en) 2017-03-06 2022-05-17 Cerner Innovation, Inc. Predicting glycogen storage diseases (Pompe disease) and decision support
US11923048B1 (en) 2017-10-03 2024-03-05 Cerner Innovation, Inc. Determining mucopolysaccharidoses and decision support tool
CN113167724A (zh) * 2018-11-30 2021-07-23 国家健康与医学研究院 用于确定一种蛋白质含量的方法及相关的装置和方法
US11719709B2 (en) 2020-02-14 2023-08-08 Council Of Scientific & Industrial Research Water soluble polymer surfactant for synthesis of functionalized polystyrene nanobeads towards detection of bilirubin in human serum

Family Cites Families (9)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US3652222A (en) * 1969-04-07 1972-03-28 American Monitor Corp Bilirubin assay
US4311483A (en) * 1979-06-18 1982-01-19 Beckman Instruments, Inc. Kinetic method for directly determining total bilirubin
US4311665A (en) * 1979-07-11 1982-01-19 Eastman Kodak Company Separation and isolation of conjugated and unconjugated bilirubin
US4338095A (en) * 1980-07-11 1982-07-06 Eastman Kodak Company Method for selective determination of conjugated and unconjugated bilirubin
US4376828A (en) * 1981-08-20 1983-03-15 Miles Laboratories, Inc. Bilirubin test kit
US4404286A (en) * 1982-02-22 1983-09-13 The Dow Chemical Company Bilirubin assay
US4563429A (en) * 1982-12-27 1986-01-07 Doumas Basil T Bilirubin assay
US4672041A (en) * 1985-02-22 1987-06-09 Beckman Instruments, Inc. Method and stable diazo reagent for detecting bilirubin
JP2856757B2 (ja) * 1989-03-13 1999-02-10 ユニチカ株式会社 総ビリルビンの測定方法および測定用試薬

Cited By (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2006305313A (ja) * 2005-03-31 2006-11-09 Toray Ind Inc アルブミン非結合かつグルクロン酸非抱合のビリルビンを除去する材料
WO2016159050A1 (ja) * 2015-03-30 2016-10-06 国立大学法人神戸大学 血液試料中のアンバウンドビリルビンの測定方法
JPWO2016159050A1 (ja) * 2015-03-30 2018-02-08 国立大学法人神戸大学 血液試料中のアンバウンドビリルビンの測定方法
US10513676B2 (en) 2015-03-30 2019-12-24 National University Corporation Kobe University Measurement method for unbound bilirubin in blood sample
JP2021520506A (ja) * 2018-04-03 2021-08-19 ネオメトリックス ディーエックス ビリルビンのin vivo毒性レベルを評価し、ビリルビン神経毒性の増大したリスクを診断するための、方法およびデバイス
JP7166429B2 (ja) 2018-04-03 2022-11-07 ネオメトリックス ディーエックス, インコーポレイテッド ビリルビンのin vivo毒性レベルを評価し、ビリルビン神経毒性の増大したリスクを診断するための、方法およびデバイス

Also Published As

Publication number Publication date
US5804405A (en) 1998-09-08
CA2272746A1 (en) 1998-06-04
EP1023606A1 (en) 2000-08-02
WO1998023965A1 (en) 1998-06-04
CA2272746C (en) 2006-01-31
US5935805A (en) 1999-08-10
JP4068156B2 (ja) 2008-03-26

Similar Documents

Publication Publication Date Title
Paoletti et al. A sensitive spectrophotometric method for the determination of superoxide dismutase activity in tissue extracts
JPS603835B2 (ja) トリンダ−試薬、及びそれを使用して過酸化水素を分析する方法
JPS6129462B2 (ja)
JP4068156B2 (ja) ビリルビンアルブミン結合の測定
JPS59132900A (ja) Nad(h)測定用試験試薬および方法
Navarro et al. Analytical possibilities of Putrescine and Cadaverine enzymatic colorimetric determination in tuna based on diamine oxidase: A critical study of the use of ABTS
Noack et al. Spectrophotometric determination of nitric oxide using hemoglobin
US3778384A (en) Diagnostic composition for the quantitative determination of glucose
Pesce et al. Enzymic measurement of cholesterol in serum with the CentrifiChem centrifugal analyzer.
EP0314046B1 (en) Method of quantitative analysis of hydrogen peroxide and reagent therefor
Bertrand et al. Determination of serum methemalbumin by second-derivative spectroscopy
JP3428073B2 (ja) 1,5−アンヒドログルシトールの定量法
Heinz et al. A new enzymatic method for the determination of glucose
JP3415873B2 (ja) 1,5−アンヒドログルシトールの定量法
JPH02122267A (ja) ヘモグロビン定量試薬キット及びそれを用いるヘモグロビン定量方法
JPH06237794A (ja) 1,5−アンヒドログルシトールの定量法
JPS63164900A (ja) クレアチンキナ−ゼの定量方法
JPH0772157A (ja) 糖化蛋白の定量方法およびその定量用キット
Campanella et al. Determination of choline containing phospholipids in serum, bile and amniotic fluids by the derivative enzymatic–spectrophotometric method
JP3227486B2 (ja) 銅の測定方法
Dissanayake et al. A narrative review on laboratory investigations of serum creatinine and solutions to problems therein
KR20000010767A (ko) 의학 샘플 분석시 헤모글로빈 오류를 제거하는 방법
JPS60178354A (ja) 安定な発色剤組成物
JPH06237795A (ja) 1,5−アンヒドログルシトールの定量法
JPH0244396B2 (ja) Birirubinteiryoho

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20041117

A711 Notification of change in applicant

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A711

Effective date: 20070402

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20070508

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20070807

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20071218

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20080110

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20110118

Year of fee payment: 3

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20110118

Year of fee payment: 3

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120118

Year of fee payment: 4

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130118

Year of fee payment: 5

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees