【発明の詳細な説明】
分散性フィルム技術的分野
本発明は、配合バッグ及びゴム混合用ゴムベールラップを製造するために用い
られるポリマーフィルムに関するが、その温度でポリマーフィルム、ポリマーフ
ィルム系バッグまたはオーバーラップが配合物中に分散しなければならない比較
的低いプロセス温度を要するほとんどのポリマー/添加剤配合物への添加用成分
を包むか又は含有させるために用いられるポリマーフィルムにも及ぶ。背景
ゴム製品の製造では、エラストマーと添加剤(一般的に配合成分)とをミキサ
ー中で配合させて実質的に均質な混合物(すなわちゴム配合物)を生成し、次に
その混合物を望ましい最終の製品形状に形成する。次にこの成形された混合物を
硬化又は架橋し得る。ゴムを製造する経済的理由により、製造業者は競争で生き
延びるために、より迅速な配合及びより迅速な硬化を強いられる。迅速な硬化は
、通常、より低い温度の配合を意味し、配合温度は硬化剤の活性化温度より高く
てはいけないのでより低い温度の配合は配合温度を制限してしまう。それらの傾
向により、ゴム/添加剤マトリックス中へのフィルムの迅速な分散を容易にする
ために、なおより低い温度で溶融又は軟化するフィルムを用いるゴムベールラッ
プ及び/又は配合バッグの使用が促進される。配合バッグは、硫黄のような硬化
剤及び第一及び第二促進剤、補強充填剤及び非補強充填剤の両充填剤、油及びワ
ックスのような可塑剤、粘着付与剤並びに、カップリング剤及び熱、オゾン、紫
外線等に対する安定剤として用いられる特殊化学添加剤を含むが、それらに限定
されない種々の添加剤を入れるのに用いられる。他のポリマー混合操作及び/又
は配合操作は、容易に分散されるバッグを必要とする混合操作に添加するために
バッグに入れた配合成分を用いることが望まれる点においてエラストマーを混合
するのと類似している。
予備秤量した成分の使用は、「スコップ及びシャベル」(適当な目分量)によ
る直接添加に比べ、1)成分の効果的使用の改良、2)工業的清潔さ、3)損失
の制御、4)改良された品質を得る正確性及び均一性、5)労働コストの低減と
いう多くの利点を有する。実際の秤量/測定は、ミキサーへの添加位置から離れ
たところ又は非常に近くで行うことができる。秤量/測定は、比較的単純な手動
での操作であるか又はより精巧な自動化された成形−充填−密封操作で有り得る
。いずれの場合も、それにより、ミキサーへの直接添加に適する測定された量の
包封された又はバッグ詰めされた物質が生成される。
ポリエチレンフィルムは、一般的に低コストであること、成形され充填され密
封される能力及び靭性のために配合成分バッグ及び/又はゴムベールラップ用に
用いられてきた。非常に初期に、ポリエチレンの限界が明らかになり、その使用
が制限された。低密度ポリエチレンの比較的高溶融温度及びビカー軟化点により
、比較的高温度配合物にその使用が制限された。エチレン-酢酸ビニル(EVA
)コポリマー又は他の低融点エチレン極性コモノマーコポリマーのような、より
低い融点及びビカー軟化点を有するエチレンコポリマーが紹介された。より最近
では、メタロセンにより触媒作用を受けた低又は極低密度ポリエチレン(一般的
にm-ポリエチレン)並びにそれらのブレンドが用いられ及び/又は論じられて
きた。それらの温度を低下させるために、低融点ワックスのような添加剤も用い
られた。しかし、それらの解決法も、さらに低い温度に対する必要が生ずるに伴
い限界に直面した。
ベールラップ及び配合バッグ用に用いられるポリエチレン及び/又はEVAコ
ポリマーのフィルムを用いることに関連する種々の問題が本明細書及び米国特許
第5,500,260号に記載されており、その記載を米国特許プラクチスの目的のため
に引用により本明細書中に援用する。特に、前記特許には、エラストマー配合物
中にフィルムを適切に分散させるために82℃もの低い又はそれよりも低いビカー
軟化点を有するフィルムの必要性が示唆されている(米国特許第5,145,747号に
も開示されている)。
現在、さらに低い温度において適するフィルム分散を得る必要性があり、特に
、特定のゴム配合物のために75℃もの低い又はそれよりも低い溶融点(及び55℃
もの低い温度又はそれよりも低い温度のビカー軟化点)を有するフィルムを必要
と
している。
しかし、ポリエチレン系フィルムのビカー軟化点及び融点が低下すると、その
ような融点/ビカー軟化点の組み合わせを有するそのようなポリエチレン又はポ
リエチレンブレンドに基づくフィルムの強度特性が一般的に低減し、しばしば非
常に低減し、未使用のフィルムバッグを取扱い、輸送し並びに貯蔵する際の実際
的な問題並びに、次に、充填した後のフィルム及びバッグを取扱う際の問題を生
じる。例えば、55℃のような低ビカー軟化点を有するフィルムは非常に柔らかく
、伸びやすく、粘着性になり、一般的に低い引裂抵抗を有し、そのことには、ラ
ップ又はバッグ製造操作における取扱い又はさらに下流の充填、貯蔵及び取扱い
を困難にさせる。それらの低強度特性を補うために、フィルム及び/又はバッグ
は、損傷を防ぐためにいくらか丁寧に扱われなければならないか又は、低強度を
補うためにより厚いフィルムが用いられなければならない。それらの補正は両方
とも工業的に実際的でない。より厚くすることは経済的ではないし、分散を必要
とするゴム配合物に、より多くのフィルムを導入することになる。粘着性を解消
するために粘着防止剤及びスリップ剤(一般的にエルクアミド)が用いられるが
、スリップ剤は、特に、そのような低融点及び低軟化点を有するポリエチレンか
ら生成されるフィルムの粘着性を緩和するために十分に多量のスリップ剤を用い
るときはバッグを滑りやすくする。そのような滑りやすいフィルムは、取扱いが
難しい。粘着防止剤の使用量は、通常、フィルム工業において1,000ppm(0.1
重量%)もの低い量から5重量%もの高い量までである。そのようなフィルムに
おける充填剤として炭酸カルシウム(CaCO3)の使用が知られている。しか
し、CaCO3は低融点及び/又は低ビカー軟化点フィルムのいくつかの特性を
改良するが、なおより大きな改良が望まれる。
特許出願番号PCT/US94/09988に提示された問題に対する提案された解
決法は、低溶融温度物質とブレンドし又は同時押出するための、より強いフィル
ムを形成するポリエチレンの使用である。残念なことに、より強いフィルムを形
成するそれらのポリエチレンは一般的により高い融点を有し、従って、それらを
含むフィルムの全体的な分散性を減ずる。
従って、ポリエチレンフィルム、好ましくは、比較的低融点及び低ビカー軟化
点を有し、又、実質的な破断をせずに輸送及び取扱いをするのに十分な物理的特
性(強度)を有するポリエチレンフィルムに対する商業的要求がある。概要
本発明の実施により、一般的に、低強度の低融点ポリエチレンフィルムを、実
質的に融点及び/又はビカー軟化点に影響を与えず(上昇させず)に、適する充
填剤を用いて補強することによりそれらのフィルムの低強度が克服される。充填
剤は、タルク、より好ましくは高アスペクト比を有するタルクのような充填剤で
あり、最も好ましくは表面処理されたそのような充填剤又はそれらの組み合わせ
である。シリカ、カーボンブラック及び補強効果を有する他の充填剤も用いられ
得る。補強充填剤の使用は、いくつかの有利な効果を有する。充填剤又は充填剤
の組み合わせを用いると、フィルムポリエチレンマトリックスが、フィルムの割
線モジュラス、破壊抵抗性及び引裂抵抗性について測定したときに、より剛性で
、より靭性になる。この改良された剛性及び靭性により、より薄い厚さのフィル
ムの使用が可能になり、そのことは企図されたエラストマーマトリックスに添加
されるポリエチレンの量を低減させ、又、分散される必要があるフィルム材料の
量も低減させる。補強充填剤もポリエチレンのレオロジーを改変させるようであ
り、所用電力を低減させ、押出速度を増大させることにより、フィルム押出を、
より経済的にする。充填剤の望ましい効果は、添加される補強充填剤の量及び種
類により変わるが、望ましい効果は一般的に、ポリエチレン/充填剤組み合わせ
の総重量に基づいて5乃至50重量%の充填剤、好ましくは10乃至30重量%の充填
剤の範囲で有効になる。そのような量は、上記の粘着防止物質とは異なり、その
量よりも多い。
本発明の実施により、少なくとも1つの充填剤で補強された低密度ポリエチレ
ン樹脂から製造されたフィルムの使用により、以前の解決法に関連した上記欠点
を最小にするか又はなくすことができ、フィルムが製造される樹脂は、90℃以下
のビカー軟化点及び好ましくは0.915g/cm3以下の密度を有する。又、フィルム
(軟化状態又は溶融状態のとき)は一般的にゴム化合物と相溶性である。そのよ
うな相溶性を達成するための融点温度を有するフィルムは、一般的に配合される
ゴムについて、より短い混合時間を可能にし、従って、より高い生産性を与える
。
フィルムの低融点温度(100℃より低い)は、なお短縮された混合サイクルの間
にゴム化合物配合物への溶融を実質的に確保する。溶融されたフィルムはゴム配
合物への分散を促進する。特定の配合物の温度は一般に混合時間の関数であるの
で、より低い融点及び/又は軟化温度のフィルムは、より短い時間で分散され得
る。それらのより低い融点/軟化点のフィルムは、ゴム製造業者がより短い混合
時間を達成することを可能にする。
本発明の1態様では、充填剤で補強されたエチレン-α-オレフィンコポリマー
から生成された、
a)補強前及びフィルム形成の前の、0.85乃至0.915g/cm3の範囲のポリエチレ
ン樹脂の密度、
b)補強前の、10分当り0.1乃至10gの範囲のポリエチレンメルトインデックス
、
c)ポリエチレンと充填剤の組み合わせの総重量に基づいて5乃至50重量%の範
囲の補強充填剤含量、
d)100℃以下の、充填剤で補強されたフィルムの融点並びに
e)90℃以下の、充填剤で補強されたフィルムのビカー軟化点
を有するようなポリエチレンフィルムが提供される。
他の態様では、第一のエチレンコポリマーの溶融加工性を改良するために第二
のエチレンコポリマーが添加され得る。第二のエチレンコポリマーは、エチレン
と、カルボン酸のエチレン性不飽和エステルとのコポリマーであることができる
。第二のエチレンコポリマーは好ましくは、第一のエチレンコポリマーの溶融加
工性に寄与するために十分な分枝を有するポリマーである(一般的に、いわゆる
「高圧」ポリエチレンであるが、必ずしもこれに限る必要はない)。この態様に
おいて、第一のエチレンコポリマー、エチレン-α-オレフィンコポリマーは、ポ
リエチレン/充填剤ブレンドの重量のポリエチレン部分の75乃至99重量%の範囲
で存在する。第二のエチレンコポリマーは、ポリエチレンブレンド重量に基づい
て25乃至1重量%の範囲で存在する。ポリエチレンブレンド重量というのは、上
記のように、そのようなポリエチレンブレンドが次に添加される充填剤の添加の
基礎となり、従って、上記の限定内のポリエチレンブレンドは次に充填剤が
添加され、ポリエチレン/充填剤ブレンドを生成することを企図するものである
。詳細な記載
本発明のある態様は、ポリエチレンフィルム、それらの製造及びそのようなフ
ィルムに基づく用途に関する。それらのフィルムは、特に、一定の配合又は混合
操作における使用に非常に適するものにさせる独特の性質を有する。それらのフ
ィルムは、以前そのような配合又は製造操作に多く使用されたフィルムよりも優
れた特性の組み合わせを有する。下記は、本発明の範囲内のポリエチレン/充填
剤の組み合わせ又は、ポリエチレンブレンドと充填剤との組み合わせに基づいた
、一定の好ましいフィルム、それらのフィルムを製造する好ましい方法並びにそ
れらのフィルムの好ましい用途についての詳細な記載である。当業者は、これら
の好ましい態様への種々の改変を本発明の範囲から逸脱することなく行うことが
できることを知るであろう。例えば、ポリエチレン及び/又はポリエチレンブレ
ンドと充填剤との組み合わせに基づくフィルムの特性はエラストマー配合用途に
おいて例示されているが、プラスチック配合のような他の種々の用途を有する。
本明細書の記載は特定的であるが、このことは、単に本発明の好ましい態様を例
示する目的のためであり、本発明を特定の態様に限定すると考えるべきでない。
本明細書及び請求の範囲に記載された種々の試験法の値は下記のように決定さ
れる:
メルトインデックス(MI):ASTM D 1238 条件E、190℃、2.16kg
質量;g/10分で表わされる。
ビカー軟化点:1000g重量でのASTM-1525(℃)
融点:℃での示差走査熱量計(DSC)第二溶融曲線融解ピーク(ASTMD
-3417)
剛性(曲げ剛性率):ASTM D-882(平方インチ当りポンドで表わされる。
)
引裂(エルメンドルフ):ASTM D-1922(gで又はg/ミルで表わされる
。)
ゴムベールラップ又は配合バッグとして使用のための本発明のフィルムは、一
定の配合成分を含有するために密封を行うのに十分に良好な密封強さ、低融点、
成形-充填-密封用途での使用のための十分な熱間粘着性を含む良好なヒートシー
ル特性、低ビカー軟化点、改良された引裂抵抗性及び充填剤ポリエチレンフィル
ム組み合わせにおける割線モジュラスにより測定された改良された剛性度の特性
を有する。低ビカー軟化点及び低融点は、ゴム及び/又はゴム配合成分の実質的
に均質の混合物に混合されるフィルムの能力を改良し、一般的に均質なゴム配合
物を生成する。
ゴムベールラップ及び配合バッグとしての使用のための本発明のフィルムは、
ビカー軟化点が容認できる限り、単一の第一のエチレンα-オレフィンコポリマ
ー又は、第一エチレン-α-オレフィンコポリマーの1つ以上の他のエチレン-α-
オレフィンコポリマーとの又はエチレンホモポリマーとのブレンドから製造され
得る。
それらのエチレン-α-オレフィンコポリマー又はそれらのブレンドは、混合手
段(当業者によく知られた)を用いて補強充填剤と混合され、このポリマー充填
剤混合物に基づくフィルムの補強をもたらす良好な充填剤分散を与える。この混
合手段には、連続混合機や、一軸及び二軸スクリュー混合押出機が含まれるがそ
れらに限定されない。回分混合機も同様に、適する混合及び補強を提供すること
が予測される。
エチレン-α-オレフィンポリエチレン/充填剤混合物から製造されるフィルム
は、90℃より低いビカー軟化点及び110℃より低い融点を有する。フィルムは、
好ましくは80℃より低い、より好ましくは70℃より低い、最も好ましくは60℃よ
り低いビカー軟化点並びに、100℃より低い、好ましくは90℃より低い、より好
ましくは80℃より低いDSC融点を有する。
本発明の1態様において、フィルムは、ベールラップ用又は配合バッグを製造
するために、ポリエチレン及び充填剤の混合物から製造される。どちらの場合に
おいても、フィルムは、ゴム配合工程へのその混合をさせる上記の軟化点及び融
点特徴を有しなくてならなく、そのような混合が実質的に均質に配合されたエラ
ストマーブレンドをもたらす。ポリエチレン類
本発明の特定の態様のフィルムは、エチレン-α-オレフィンコポリマー(第一
エチレンコポリマー)の補強された混合物から製造され得る。この第一エチレン
コポリマーは、0.85乃至0.915g/cm3の範囲の密度、90℃より低いビカー軟化点
及び、100℃以下の示差走査熱量計(DSC)第二融点(融点)を有する。第一
エチレンコポリマーを製造するのに用いられるα-オレフィンは、プロピレン、1
-ブテン、4-メチル-1-ペンテン、1-ペンテン、1-ヘキセン、1-オクテン、1-デセ
ン及びそれらの混合物の1つ以上から選ばれる。エチレン-α-オレフィンコポリ
マーには、エチレンとプロピレン、エチレンと1-ブテン、エチレンと1-ヘキサン
、エチレンと1-ペンテン、エチレンと4-メチル-1-ペンテン、エチレンと1-オク
テン、エチレンとプロピレンと1-ブテン、エチレンとプロピレンと1-ヘキセン、
エチレンとプロピレンと1-ペンテン、エチレンとプロピレンと1-オクテン、エチ
レンとその他同種類の化合物のコポリマーが含まれるが、それらに限定されない
組み合わせの1つより多いエチレン-α-オレフィンコポリマーが、融点及び/又
はビカー軟化点が好ましい範囲内であれば、ポリエチレン/充填剤ブレンドのポ
リエチレン部分として用いられ得る。
第一のエチレンコポリマーは、低圧、気相、流動床、スラリー及び溶液法を含
む、いくつかの方法により製造され得る。重合に用いられる触媒は、一般的に、
メタロセン-アルモキサン、メタロセン-イオン化活性剤又は従来のチーグラー・
ナッタ型の触媒である。そのような触媒は、よく知られている。このように、有
用な触媒は、欧州特許第1229368号、米国特許第5,026,798号及び5,198,401号に
開示されており、それらは米国特許プラクチスの目的のために引用により本明細
書中に組み込まれる。
任意に、1つ以上の第二のエチレンコポリマーは、単一の又は複数の第一のエ
チレン-α-オレフィンコポリマー中にブレンドされ得る。第二のエチレンコポリ
マーは、主に、第一エチレンコポリマーのビカー軟化点又は融点のいずれかを低
下させるために用いるのは好ましくはないが、そのような使用が除外されるもの
ではない。用いられない。一般的に、第二エチレンコポリマーの目的は、第一エ
チレンコポリマーのみの加工性に比べポリエチレンブレンドの溶融加工性を改
良する(より高い溶融強度)ことである。第二のエチレンコポリマーは、一般的
に、当業者によく知られた高圧、遊離基法で製造されたものに典型的である、分
枝を有する分子である。本発明の他の態様では、第二のエチレンポリマーは、ポ
リエチレンホモポリマー又は好ましくはエチレンと少なくとも1つのエチレン性
不飽和カルボン酸エステルとのエチレンコポリマーである。好ましいエチレン性
不飽和アクリル酸エステルには、例えば、酢酸ビニル、アクリル酸メチル、アク
リル酸ブチル、アクリル酸エチル及びそれらの組み合わせが含まれる。好ましい
エステルモノマーは酢酸ビニルである。それらのコモノマーは、第二のエチレン
ポリマー中、第二エチレンコポリマーの総重量に基づいて1乃至35重量%、好ま
しくは1乃至30重量%の不飽和アクリル酸エステルの範囲で存在する。それらの
エチレンコポリマーのブレンドも用いられ得る。
第二のエチレンコポリマーは一般的に主に、第一エチレンポリマーの加工性を
増大させる能力並びに融点及び/又はビカー軟化点に基づいて選ばれる。すなわ
ち、そのようなポリマーの融点及び/又はビカー軟化点は、第一エチレンコポリ
マー及び、ブレンド中の含有量において、それらから製造されたフィルムの同じ
パラメーターに実質的有害作用を有するべきではなく、第一エチレンコポリマー
にときどき見出だされる加工上の不利益を軽減させる。単一の又は複数の第二エ
チレンコポリマーを含有する結果として、一般的に、第一エチレンコポリマーの
バブル安定性又はネックインを10%改良するのが望ましい。「実質的有害作用」
とは、単一の又は複数の第二エチレンコポリマーの含有が、上記の好ましい融点
及び/又は軟化点を上昇させないことを意図して述べている。
上記のエチレン-α-オレフィンコポリマーに基づくフィルムの製造において、
第二のエチレンコポリマーが含有される場合、第二のエチレンコポリマーは、ブ
レンドのポリエチレン総重量に基づいて25乃至1重量%の範囲で存在する。第一
のエチレン-α-オレフィンコポリマーは、ブレンドのポリマー総重量に基づいで
75乃至99重量%の範囲で存在する。
好ましい態様では、第一のエチレン-α-オレフィンコポリマーは、ポリマーブ
レンドのポリマー総重量に基づいて80乃至95重量%の範囲で存在する。第二のエ
チレンコポリマーは、ポリマーブレンドのポリマー総重量に基づいて20乃至
5重量%の範囲で存在する。より好ましくは、85乃至95重量%の第一のエチレン
-α-オレフィンコポリマー及び5乃至15重量%の第二のエチレンコポリマーであ
る。それらの重量%は、ポリエチレン/充填剤ブレンドのポリエチレン部分の総
重量に基づいている。
又、補強されたフィルムは、さらに、6,000psiより大きい、好ましくは7,0
00psiより大きい、より好ましくは8,000psiより大きい、最も好ましくは1
0,000psiより大きい1%割線モジュラス縦方向(MD)を示す。又、そのフ
ィルムは、6,000psiより大きい、好ましくは7,000psiより大きい、より好
ましくは8,000psiより大きい、最も好ましくは9,000psiより大きい1%割
線モジュラス横方向(TD)を示す。
そのフィルムは、下記のようなエルマンドルフ引裂強さ(g/ミル)を示す。
縦方向 横方向
>150 >140
好ましい >160 >160
より好ましい >200
最も好ましい >250
第一エチレンコポリマー又は、少なくとも2つの異なるα-オレフィンコポリ
マー(例えば、第一エチレン-α-オレフィンコポリマーと1つ以上の他のエチレ
ン-α-オレフィンコポリマー)のブレンドのいずれかから製造されたフィルムは
、充填剤で補強され得て、エチレン-酢酸ビニルコポリマーのような第二のエチ
レンコポリマーの使用のないフィルム製造のために用いられ得ることが理解され
なくてはならない。しかし、第一エチレン-α-オレフィンコポリマーが補強され
て単独で用いられた場合又は、第一エチレン-α-オレフィンコポリマーが少なく
とも1つの他のエチレン-α-オレフィンコポリマーとブレンドした場合のどちら
の場合においても、充填剤を含有し得る製造されたフィルムのビカー軟化点は、
90℃を超えず、そのフィルムの融点は100℃を超えないことが理解される。
開示された充填剤を有し、エチレン-α-オレフィンコポリマーの実質的に存在
しないエチレン性不飽和カルボン酸エステルコポリマーから製造されるフィルム
も意図される。しかし、そのようなフィルムは、なお、開示された上限を超えな
いビカー軟化点及び融点を有し、好ましくは、限度を超えない割線モジュラス及
び/又は引裂強さの1つ以上を有することも意図される。
さらに、本発明の特定の態様のフィルム用に用いられるポリエチレン/充填剤
ブレンドのポリエチレン部分における主成分としてエチレン性不飽和カルボン酸
エステルコポリマーのブレンドもさらに企図される。
このように、そのような態様には下記が含まれ得る。
75重量%乃至25重量%のエチレン-α-オレフィンコポリマーと残量のエチレン
-エチレン性不飽和カルボン酸エステルコポリマーのブレンドの領域は除外され
ない。
すべての場合において、ブレンドであるか又は単一のポリエチレンであるかに
かかわらず、そのポリエチレン部分は、次にポリエチレン充填剤混合物のポリエ
チレン部分を構成する。フィルムに変換されたときに、その混合物は1つ以上の
記載された、ビカー軟化点、融点、1%割線モジュラス及び/又はエルメンドル
フ引裂強さを示す。充填剤/補強
ポリエチレン(1つ以上の両方のタイプの開示されたエチレンコポリマー)の
補強は、幾つかの手段によってなし得ることを理解すべきである。1つの場合で
は、補強されたポリマー中のすべての成分(ポリマー、充填剤、スリップ剤、粘
着防止剤、加工助剤、安定剤等)は一緒に混合され、フィルムに押し出される準
備ができた完全なポリエチレン/充填剤混合物を生成するか又は充填剤及び/又
は添加剤の濃縮体をコポリマーの1つ又はすべての中で生成し得て、次に、同じ
ポリマー混合物をつくるための成分及び/又はポリマーの残りで希釈する。二番
目の場合では、均質なフィルムを提供するためにフィルム押出機中で十分に強力
な混合が生じることが理解される。
さらに、フィルムにしばしば見出だされる添加剤も同様に本発明により意図さ
れることを理解すべきである。そのような添加剤は、フィルムの表面特性、フィ
ルムに成形される樹脂の加工性、樹脂又はフィルムの熱安定性等に効果をもたら
すものが含まれることを当業者は理解するであろう。それらの及び他のタイプの
添加剤は、ポリオレフィン類中で通常保有されるが、そのようなポリオレフィン
のキャリヤーなしでも添加され得る。記載した添加剤の種類は完全なリストでは
なく、単なる例示である。フィルム中に含有される添加剤は、配合成分バッグ中
に保有される添加剤とは異なるが、それらの意図する用途が異なるだけであり、
それらの種類が異なっても同じでもよい。
補強充填剤は、タルクであることができ、好ましくは、表面処理された又は表
面処理されない、高いアスペクト比を有するタルクであり、又は、カップリング
剤と併用するか併用しない種々の形態のシリカ(ヒュームドシリカ、沈降シリカ
等)を含むがそれらに限定されない他の種類の補強充填剤、カーボンブラック、
カオリン及び他のクレー、長石、天然及び合成シリカ、カーバイド充填剤、金属
酸化物、金属硫酸化物、金属珪酸化物及び金属チタン酸化物のような他の無機タ
イプの充填剤を含み、それらに限定されない他の無機タイプの充填剤であること
ができる。そのような無機タイプの充填剤は、又、下記の表面処理剤及び/又は
カップリング剤を含み得る。それらの充填剤の通常の主な使用は、導電性又は難
燃性のような他の特性に影響を与えるためであるが、剛性及び引裂抵抗を増大し
得る他の充填剤もある。タルクの表面処理剤はステアリン酸であるか又は、ポリ
エチレン用充填剤の親和性を増大するように企図された通常の処理剤であること
ができる。タルクのような板状の充填剤のアスペクト比は、小板有効直径対厚さ
の比である。CaCO3は、球であるのが有効であり、その推定アスペクト比は
1である。一方、本発明の特定の態様において意図されるタルクは、20乃至50の
範囲の推定アスペクト比を有する。それらの充填剤が含有されたフィルムは、機
械的(ゴム又はエライトマー)混合機中の低融解フィルム構造の分散をなお与え
つつ、包まれた/袋詰めされた製品の、より容易な取扱いを可能にさせる増大さ
れた強度特性及び剛性を提供する。
それらの好ましい態様において、タルクのような、好ましくは高アスペクト比
を有するタルクのような補強充填剤は、ポリエチレン(又はポリエチレンブレン
ド)と充填剤の総重量に基づいて5乃至50重量%、好ましくは10乃至40重量%、
より好ましくは15乃至30重量%の範囲で含有される。充填剤の組み合わせも意図
される。例えば、CaCO3と1つ以上のタルク又は先に記載した他の充填剤が
意図される。そのような組み合わせは、最終のポリエチレン/充填剤の組み合わ
せが、本明細書中に開示された望ましい融解、軟化及び物理的特性を満足する限
り、意図された態様の一部である。補強充填剤量(重量%)は、いずれか又はす
べての添加剤の重量と同様に、ポリエチレン又はポリエチレンブレンドの総重量
に基づく。補強充填剤は、エチレン-α-オレフィンコポリマー(又は、エチレン
-α-オレフィンコポリマーのブレンド)中に又は、少なくとも1つのエチレンコ
ポリマーを有する1つ又は複数のエチレン-α-オレフィンのブレンド中に、先に
記載した制限範囲内にビカー軟化点及びDSC融点をなお維持しつつ、得られる
フィルムの物理的特性を増大させるのに有効な量、存在しなくてはならない。す
なわち、下記のフィルム特性が得られる量まで、充填剤が存在しなくてはならな
い。 本発明の態様の実施において、ゴムは一般的に機械的混合機を用いて配合され
る。配合されたゴムには、本発明のベールラップフィルム及び/又は配合成分バ
ッグフィルムと混合された非加硫ゴムが含まれる。又、配合されたゴムは、硬化
促進剤(accelerators)、促進剤(promotors)、硬化剤又は架橋剤、充填剤、
着色剤、酸化防止剤及び他の補助剤を含み得る。
単層押出が例示されているが、複数層押出も意図される。1つ以上の層は、得
られたフィルムの物理的特性を改良するために十分な充填剤を有する。基礎材料
樹脂(ポリエチレン)又は各層でのポリエチレンは同じでも異なっていてもよい
。いずれの場合でも、1つ以上のフィルムのモジュラス、引裂強さ等において改
良を達成するために1つ以上の層中に有効量の充填剤が存在しなくてはならない
。
又、最終的なフィルムのポリエチレン成分は、上記のように、1つ以上のポリ
エチレンのブレンド又は同時押出物であり得る。例えば、2つの「エチレン-α-
オレフィンコポリマー」のブレンドは、エチレン-1-ブテンコポリマー及びエチ
レン-1-オクテンコポリマーを含み得る。そのようなブレンドは又、エチレン-1-
ブテン、エチレン-1-ヘキセン、エチレン-1-オクテンも含み得て、エチレン-1-
ブテン、エチレン-1-ヘキセン、エチレン-1-オクテンの3部ブレンドも意図され
る。
さらに、いわゆる「第二エチレンコポリマー」は、1つ以上の、エチレン-酢
酸ビニル、エチレン-アクリル酸メチル、エチレン-アクリル酸エチル、エチレン
-アクリル酸-n-ブチル、エチレン-アクリル酸、エチレン-メタクリル酸の
ようなエチレンコポリマー、酸コポリマーのイオノマー、エチレン-酢酸ビニル-
アクリル酸メチル、エチレン-アクリル酸メチル-アクリル酸等のようなターポリ
マー等であり得る。第二のエチレンコポリマーは、又、2つ以上のそのような第
二のエチレンコポリマーのブレンドであることもできる。
任意に、ある量の1つ又は複数の第一エチレンコポリマーとブレンドされる1
つ又は複数の第二のエチレンコポリマーの量は、第一エチレンコポリマーの加工
性、一般的には、バブル安定性(インフレートフィルム)又はネックイン(キャ
ストフィルム)を改良するための有効量であるべきであると当業者は理解するで
あろう。又、第二エチレンコポリマーの使用は最終フィルムに、低コストのよう
な他の特性を付与し得る。
特に充填剤の使用によるレオロジーにおける改良を考えて、第二のエチレンコ
ポリマーの加工利益を受けることなく、第一のエチレンコポリマーのみを使用す
ることも可能である。
いずれの場合も、「ポリエチレン/充填剤」ブレンドフィルム又は組成物とい
うときに、ポリエチレンという用語は、上記のようなブレンド又は、なお、低い
融点及び/又は軟化点を付与するようなブレンドを含むことが意図されると理解
される。充填剤の量(例えば、5乃至50重量%)は、ポリエチレン又はポリエチ
レンブレンドの総重量に基づいている。実施例 実施例1
1.5インチの直径、24:1のL/Dスクリュー及び2インチの直径ダイを有す
ることにより作られているスターリンインフレートフィルム押出ラインでフィル
ムを製造した。フィルム用の樹脂(ポリエチレン)ブレンドは、87.5重量%の、
エクソン・ケミカル・カンパニーにより製造されたエグザクト(登録商標)
下に示されているすべての成分)のペレットをトライブレンドすることにより生
成された。この工程により、下記の最終ブレンド組成物を得た。
Exact 4011及びLD 760.36は、エクソン・ケミカル・カンパニーから入手で
き、Exact 4011は、0.885g/ccの呼称密度及び2.2g/10分のメルトインデッ
クスを有するブテン-エチレンコポリマーである。LD 760.36は2.3g/10分の
メルトインデックスを有する、27.5%の酢酸ビニルを含有するEVAコポリマー
である。
破壊を排除するのを助けるために用いられる。実施例2
スペシャルティー・ミネラルズ・コーポレーション(Specialty Minerals
用いて、実施例1におけるのと同じ押出ラインでフィルムを製造した。この混合
物は、ウェルナー・プフライデル(Pfleider)二軸スクリュー混合機で製造した
。
重量%
Exact 4011 64.5
LD 760.36 10.0
エルクアミド 0.07
ダイナマー(Dynamar)FX 9613 0.14
チバ・ガイギー(Ciba Geigy)B-900 0.26
ハイ・フレックス(Hi Phlex)100 25.00
99.97%実施例3
下記の成分をドライブレンドし、実施例1と同じ実験室押出機で混合すること
により10%のタルク混合物を製造した。用いた30%のUTMT 609BFコンセン
トレートは、Exact 4011中の30%UTMT 609BFからスペシャルティー・ミネ
ラルズによってスペシャルティー・ミネラルズの実験室混合機中で製造された。
UTMT609 BFは、高アスペクト比を有する処理されたタルクである。
重量%
Exact 4011 54.5
30%UTMT 609BFコンセントレート 33.0
SSABC0612VA 12.5
100.0%
これにより、下記のようなフィルム組成物が得られた。
重量%
Exact 4011 77.6
UTMT609 BF 9.9
LD760.36 10.24
エルクアミド 0.375
ステアラミド 0.375
珪藻土 1.500
Dynmar FX 9613 0.009
99.999%実施例4
Exact 4011中の30%の処理されたタルク(30%UTMT 609BF)を含有する
同じコンセントレートから実施例3と同様の方法で20%タルク混合物を調製した
(実験室混合機でスペシャルティー・ミネラルズによって特に調製された)。こ
のドライブレンドを、20%総タルク含有フィルムを供給するように同じ実験室押
出機中で希釈した。
重量%
Exact 4011 20.5
30%UTMT 609BFコンセントレート 67.0
SSABC0612VA 12.5
100%
下記のフィルム組成物が得られた。
重量%
Exact 4011 67.4
UTMT609 BF 20.1
LD760.36 10.24
エルクアミド 0.375
ステアラミド 0.375
珪藻土 1.500
Dynamar FX 9613 0.009
99.999%実施例5
下記の成分をドライブレンドすることにより同様に26%のタルク混合物を調製
した。
重量%
30%UTMT 609BFコンセントレート 87.5
SSABC0612VA 12.5
100.0%
下記の組成物を得た。
重量%
Exact 4011 61.2
UTMT609 BF 26.3
LD760.36 10.24
エルクアミド 0.375
ステアラミド 0.375
珪藻土 1.500
Dynamar FX 9613 0.009
99.999%予測実施例6、7及び8
実施例1、4及び5を繰り返すが、Exact 4011をLD 760.36に換える。20乃
至25重量%のタルク(実施例7及び8)の含有は、樹脂それ自体の51℃より実質
的に高くビカー軟化点を上昇させないことが予測される。さらに、割線モジュラ
ス(MD及びTD)における少なくとも30%の改良がエルメンドルフ引裂強さに
おける潜在的改良とともに予測された。 表1は、実施例1乃至5の物理的性質における補強充填剤が添加されたときの
予期しない大きな変化を示している。炭酸カルシウムを用いた実施例2の剛性及
び引裂強さは、実施例1よりも改良されており、一方、DSC融点は実質的に上
昇しておらずビカー軟化点は、大きな補強にもかかわらず変化していない。実施
例3、4及び5におけるタルクの使用は、意外にも、剛性(割線モジュラス)に
おける大きな増大及び引裂抵抗性において数倍の増大により示されるように、さ
らに大きな補強を与えた。又、補強充填剤が添加されたときに、電力消費量の低
減及びバブル安定性の改良により示されるように、加工特徴は改良されている。
非常に重要なことは、タルク含量を増大させたときのビカー軟化点温度の低下は
、マトリックスの靭性を増大させながら、分散性の容易性における増大を示して
いる。結論
本発明は、特定の好ましい例についてかなり詳細に記載されているが、他の例
も可能である。例えば、ポリエチレンとタルクの組み合わせからのゴムベールラ
ップ及び配合成分バッグフィルムが例示されているが、他の用途も意図されてい
る。従って、添付された請求の範囲の精神及び範囲が、本明細書中に含まれた好
ましい例の記載の範囲に限定されるべきではない。
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(51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考)
C08L 23/08 C08L 23/08
// B65D 65/40 B65D 65/40 D
(81)指定国 EP(AT,BE,CH,DE,
DK,ES,FI,FR,GB,GR,IE,IT,L
U,MC,NL,PT,SE),OA(BF,BJ,CF
,CG,CI,CM,GA,GN,ML,MR,NE,
SN,TD,TG),AP(GH,KE,LS,MW,S
D,SZ,UG,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG
,KZ,MD,RU,TJ,TM),AL,AM,AT
,AU,AZ,BA,BB,BG,BR,BY,CA,
CH,CN,CU,CZ,DE,DK,EE,ES,F
I,GB,GE,GH,HU,IL,IS,JP,KE
,KG,KP,KR,KZ,LC,LK,LS,LT,
LU,LV,MD,MG,MK,MN,MW,MX,N
O,NZ,PL,PT,RO,RU,SD,SE,SG
,SI,SK,SL,TJ,TM,TR,TT,UA,
UG,UZ,VN,YU,ZW