JP2005146028A - 直鎖状エチレン−α−オレフィン共重合体組成物及びそれを成形して得られるフィルム - Google Patents

直鎖状エチレン−α−オレフィン共重合体組成物及びそれを成形して得られるフィルム Download PDF

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Abstract

【課題】優れた機械特性を維持しつつ、透明性が向上され、優れた透明性をもつフィルムを得ることができる直鎖状エチレン−α−オレフィン共重合体組成物、及びこれから得られた透明性が向上され、優れた透明性をもつフィルムを提供する。
【解決手段】 シングルサイト触媒で重合された直鎖状エチレン−α−オレフィン共重合体(A)95〜55重量%、及び酢酸ビニル含有量が5〜30重量%のエチレン−酢酸ビニル共重合体(B)5〜45重量%からなることを特徴とする直鎖状エチレン−α−オレフィン共重合体組成物、及びこの直鎖状エチレン−α−オレフィン共重合体組成物を成形してなるフィルムなどを提供した。
【選択図】なし

Description

本発明は、直鎖状エチレン−α−オレフィン共重合体組成物及びそれを成形して得られるフィルム関し、さらに詳しくは、透明性が向上され、優れた透明性をもつフィルムを得ることができる直鎖状エチレン−α−オレフィン共重合体組成物及びこれを成形して得られる優れた透明性をもつフィルムに関する。
直鎖状エチレン−α−オレフィン共重合体は、いわゆる活性点がマルチサイトであるマルチサイト触媒を使用し、重合反応条件としては、温度が0〜250℃、圧力が高圧の場合50MPa以上、中圧の場合10〜50MPa、あるいは低圧の場合常圧〜10MPaのいずれかの条件で、溶液重合法、懸濁重合法、スラリー重合法あるいは気相重合法等により製造されていた。
しかしながら、これらの方法で得られた直鎖状エチレン−α−オレフィン共重合体を成形して得られるフィルムの透明性は、不十分であった。
そのため、線状ポリエチレンと酢酸ビニル含量が10重量%以上のエチレン−酢酸ビニル共重合体と酢酸ビニル含量が10重量%以下のエチレン−酢酸ビニル共重合体とを含む樹脂組成物が提案され(例えば、特許文献1参照。)、特許文献1では、極性基を有するエチレン−酢酸ビニル共重合体と無極性の線状ポリエチレンを混合する場合の相溶性の悪さによる透明性の劣化を、酢酸ビニル含量が異なる2種類のエチレン−酢酸ビニル共重合体を使用することにより、改善する技術が開示されている。
また、近年、活性点が同種のシングルサイト触媒(又はメタロセン系触媒)が開発され、この触媒を使用した直鎖状エチレン−α−オレフィン共重合体が上市されるようになった。シングルサイト触媒で重合された直鎖状エチレン−α−オレフィン共重合体は、優れた機械特性を有するので、この特性を利用したフィルムが数多く提案されている(例えば、特許文献2参照。)。
本発明者らは、シングルサイト触媒で重合された直鎖状エチレン−α−オレフィン共重合体を成形して得られるフィルムは、マルチサイト触媒を使用して重合された直鎖状エチレン−α−オレフィン共重合体を成形して得られるフィルムより、透明性が向上することを確認している。
しかしながら、未だ、エチレン−α−オレフィン共重合体から得られるフィルムの透明性は不十分であって、より透明なフィルムを得ることができるエチレン−α−オレフィン共重合体組成物の開発が強く求められている。
特開昭59−38247号公報(特許請求の範囲等) 特開平11−138723号公報(特許請求の範囲等)
本発明の目的は、上記の問題点に鑑み、優れた機械特性を維持しつつ、透明性が向上され、優れた透明性をもつフィルムを得ることができる直鎖状エチレン−α−オレフィン共重合体組成物、及びこれから得られた透明性が向上され、優れた透明性をもつフィルムを提供することにある。
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意研究した結果、シングルサイト触媒で重合された直鎖状エチレン−α−オレフィン共重合体と、特定の酢酸ビニル含量であるエチレン−酢酸ビニル共重合体とを、特定の割合で配合した直鎖状エチレン−α−オレフィン共重合体組成物は、優れた機械特性を維持しつつ、透明性が向上することを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明の第1の発明によれば、シングルサイト触媒で重合された直鎖状エチレン−α−オレフィン共重合体(A)95〜55重量%、及び酢酸ビニル含有量が5〜30重量%のエチレン−酢酸ビニル共重合体(B)5〜45重量%からなることを特徴とする直鎖状エチレン−α−オレフィン共重合体組成物が提供される。
また、本発明の第2の発明によれば、第1の発明において、エチレン−酢酸ビニル共重合体(B)の酢酸ビニル含有量が11〜25重量%であることを特徴とする直鎖状エチレン−α−オレフィン共重合体組成物が提供される。
一方、本発明の第3の発明によれば、第1又は2の発明の直鎖状エチレン−α−オレフィン共重合体組成物を成形してなるフィルムが提供される。
また、本発明の第4の発明によれば、第1又は2の発明の直鎖状エチレン−α−オレフィン共重合体組成物をインフレーション成形してなるインフレーションフィルムが提供される。
本発明は、上記した如く、シングルサイト触媒で重合された直鎖状エチレン−α−オレフィン共重合体(A)95〜55重量%、及び酢酸ビニル含有量が5〜30重量%のエチレン−酢酸ビニル共重合体(B)5〜45重量%からなることを特徴とする直鎖状エチレン−α−オレフィン共重合体組成物などに係るものであるが、その好ましい態様として、次のものが包含される。
(1)第1の発明において、直鎖状エチレン−α−オレフィン共重合体(A)は、直鎖状エチレン−ヘキセン−1共重合体であることを特徴とする直鎖状エチレン−α−オレフィン共重合体組成物。
(2)第1の発明において、直鎖状エチレン−α−オレフィン共重合体(A)は、メルトマスフローレートが0.5〜10g/10分であることを特徴とする直鎖状エチレン−α−オレフィン共重合体組成物。
(3)上記(2)において、直鎖状エチレン−α−オレフィン共重合体(A)は、メルトマスフローレートが1〜3g/10分であることを特徴とする直鎖状エチレン−α−オレフィン共重合体組成物。
(4)第1の発明において、直鎖状エチレン−α−オレフィン共重合体(A)は、密度が0.880〜0.940g/cmであることを特徴とする直鎖状エチレン−α−オレフィン共重合体組成物。
(5)第1の発明において、エチレン−酢酸ビニル共重合体(B)は、メルトマスフローレートが0.5〜10g/10分であることを特徴とする直鎖状エチレン−α−オレフィン共重合体組成物。
(6)上記(5)において、エチレン−酢酸ビニル共重合体(B)は、メルトマスフローレートが1〜3g/10分であることを特徴とする直鎖状エチレン−α−オレフィン共重合体組成物。
(7)第1の発明において、メルトマスフローレートが0.5〜5g/10分であることを特徴とする直鎖状エチレン−α−オレフィン共重合体組成物。
(8)上記(7)において、メルトマスフローレートが1〜3g/10分であることを特徴とする直鎖状エチレン−α−オレフィン共重合体組成物。
上記のように、本発明は、シングルサイト触媒で重合された直鎖状エチレン−α−オレフィン共重合体(A)95〜55重量%、及び酢酸ビニル含有量5〜30重量%のエチレン−酢酸ビニル共重合体(B)5〜45重量%からなることを特徴とする直鎖状エチレン−α−オレフィン共重合体組成物であるので、両者の相溶性が良く、均一な組成物が得られ、それを成形して得られるフィルムは、直鎖状エチレン−α−オレフィン共重合体のもつ優れた機械特性を確保したまま、同時に透明性が向上され、優れた透明性をもつという効果を有する。
以下、本発明の直鎖状エチレン−α−オレフィン共重合体組成物、及びそれを成形して得られるフィルムについて詳細に説明する。
1.直鎖状エチレン−α−オレフィン共重合体(A)
本発明で使用される直鎖状エチレン−α−オレフィン共重合体(A)は、シングルサイト触媒で重合されたエチレンとα−オレフィンの共重合体である。
α−オレフィンとしては、炭素数3〜12のアルケンが挙げられ、具体的には、プロピレン、ブテン−1、ヘキセン−1、4−メチルペンテン−1、オクテン−1、デセン−1、ドデセン−1等が挙げられる。これらの中では、炭素数が小さいと機械特性が不十分な場合があり、一方、炭素数が大きいと製造コストが上昇するので、好ましくはヘキセン−1である。すなわち、本発明では、機械特性が良好で、製造コストも経済的な直鎖状エチレン−ヘキセン−1共重合体を、好適に使用することができる。
この直鎖状エチレン−α−オレフィン共重合体(A)のメルトマスフローレートは、0.5〜10g/10分、好ましくは1〜4g/10分、更に好ましくは、インフレーション成形を行いフィルムを製造する場合であっては1〜3g/10分であり、T−ダイ成形を行いフィルムを製造する場合であっては3〜4g/10分であるものが望ましい。
このメルトマスフローレートが上記の範囲外であると、得られる本発明の直鎖状エチレン−α−オレフィン共重合体組成物のメルトマスフローレートが、後述する望ましい範囲に調製することが困難となり、好ましくない。即ち、直鎖状エチレン−α−オレフィン共重合体(A)のメルトマスフローレートが0.5g/10分未満であると、直鎖状エチレン−α−オレフィン共重合体組成物を成形加工するときに、成形性が低下し、均質なフィルムが得られなくなる。一方、直鎖状エチレン−α−オレフィン共重合体(A)のメルトマスフローレートが10g/10分を超えると、得られるフィルムが柔らかくなり過ぎ、好ましくない。
この直鎖状エチレン−α−オレフィン共重合体(A)の密度は、0.880〜0.940g/cmであり、好ましくは0.900〜0.930g/cm、更に好ましくは0.910〜0.920g/cmが望ましい。密度が0.880g/cm未満であると、機械特性、特に強度が低下し、一方、0.940g/cmを超えると、相溶性が低下し、透明性に影響が出るので望ましくない。
本発明で使用される直鎖状エチレン−α−オレフィン共重合体(A)は、上述したように、シングルサイト触媒で重合されたものである。
シングルサイト触媒は、活性点が同種(シングルサイト)のものであり、具体的には、メタロセン系触媒(カミンスキー触媒とも呼ばれる)を挙げることができ、この触媒の存在下で、溶液重合法、懸濁重合法、スラリー重合法、気相重合法のいずれかの方法で、0〜250℃の温度及び高圧(50MPa超)、中圧(10〜50MPa)又は低圧(常圧〜10MPa未満)のいずれかの圧力で、重合し製造することができる。
メタロセン系触媒としては、例えば、置換シクロペンタジエニル環をもつ遷移金属化合物から構成されるものが含まれる。具体的なメタロセン系触媒は、特開平8−134121号公報、特表平8−509773号公報、特表平8−510290号公報、特開平6−306121号公報又は特表平7−500622号公報などに、詳細に記載されている。
また、メタロセン系触媒には、更に活性化共触媒を含めることができる。共触媒としては、高重合度又は低重合度のアルミノオキサン、特にメチルアルミノオキサンが好適である。また、いわゆる変性アルミノオキサンも共触媒として適している。
また、市販のシングルサイト触媒で重合された直鎖状エチレン−α−オレフィン共重合体も使用できる。例えば、ダウケミカル社から「アフィニティ」及び「エンゲージ」、三井化学(株)から「エボリュー」、宇部興産(株)から「ユメリット」、日本ポリケム(株)から「カーネル」等の商標の各種品種が入手可能である。
こうして得られる直鎖状エチレン−α−オレフィン共重合体(A)の形状は、平均粒径が0.02mm未満の粉状、平均粒径が0.02〜2.0mmのグラニュラー状、平均粒径が2.0〜7.0mmのペレット状のいずれであってもよいが、取り扱い易さから平均粒径が2.0〜7.0mmのペレット状のものが好ましい。
また、直鎖状エチレン−α−オレフィン共重合体(A)は、本発明の直鎖状エチレン−α−オレフィン共重合体組成物中で、単独あるいは2種以上を混合して、存在することができる。
2.エチレン−酢酸ビニル共重合体(B)
本発明で使用されるエチレン−酢酸ビニル共重合体(B)は、エチレンと酢酸ビニルの共重合体である。
エチレン−酢酸ビニル共重合体(B)は、通常、高圧ラジカル重合法で製造される。
このエチレン−酢酸ビニル共重合体(B)のメルトマスフローレートは、0.5〜10g/10分、好ましくは1〜4g/10分、更に好ましくは、インフレーション成形を行いフィルムを製造する場合であっては1〜3g/10分、T−ダイ成形を行いフィルムを製造する場合であっては3〜4g/10分である。このメルトマスフローレートが上記の範囲外であると、得られる直鎖状エチレン−α−オレフィン共重合体組成物のメルトマスフローレートが、後述する望ましい範囲に調製することが困難となり好ましくない。即ち、メルトマスフローレートが0.5g/10分未満であると、成形性が低下し、均質なフィルムが得られなくなる。一方、10g/10分を超えると、得られるフィルムが柔らかくなり過ぎ好ましくない。
また、このエチレン−酢酸ビニル共重合体(B)中の酢酸ビニルコモノマー含有量は、5〜30重量%、好ましくは11〜25重量%、更に好ましくは12〜23重量%である。酢酸ビニルコモノマー含有量が5重量%未満であると、透明性が上がらない。一方、30重量%を超えると、直鎖状エチレン−α−オレフィン共重合体(A)との相溶性が低下し、均一な混合物が得られにくくなり、かつ透明性も向上されなくなり好ましくない。
エチレン−酢酸ビニル重合体(B)の形状は、平均粒径が0.02mm未満の粉状、平均粒径が0.02〜2.0mmのグラニュラー状、平均粒径が2.0〜7.0mmのペレット状のいずれであってもよいが、取り扱い易さから平均粒径が2.0〜7.0mmのペレット状のものが好ましい。
3.その他の配合物
本発明の直鎖状エチレン−α−オレフィン共重合体組成物には、本発明の効果が妨げられない範囲でその他の配合物を配合することができる。
その他の配合物としては、酸化防止剤、滑剤、耐候性改良剤、光安定剤、紫外線安定剤、加工性改良剤、帯電防止剤、防曇剤、スリップ剤、離型剤、アンチブロッキング剤、鮮度保持剤、染料、顔料、難燃剤、芳香剤、殺菌剤、防カビ剤等を挙げることができ、これらは各々の公知の有効量を配合すればよい。
4.直鎖状エチレン−α−オレフィン共重合体組成物
本発明のエチレン−α−オレフィン共重合体組成物は、上記の直鎖状エチレン−α−オレフィン共重合体(A)95〜55重量%、好ましくは90〜60重量%、更に好ましくは85〜65重量%、及びエチレン−酢酸ビニル共重合体(B)5〜45重量%、好ましくは10〜40重量%、更に好ましくは15〜35重量%からなる。
エチレン−酢酸ビニル共重合体(B)の割合が5重量%未満であると、透明性を向上させることが困難となる。一方、これが45重量%を超えても、透明性を向上させる作用が飽和すると同時に、直鎖状エチレン−α−オレフィン共重合体組成物の機械特性が低下するので、好ましくない。
本発明の直鎖状エチレン−α−オレフィン共重合体組成物のメルトマスフローレートは、0.5〜5g/10分、好ましくは1〜4g/10分、更に好ましくは、インフレーション成形を行いフィルムを製造する場合であっては1〜3g/10分、T−ダイ成形を行いフィルムを製造する場合であっては3〜4g/10分が望ましい。
本発明の直鎖状エチレン−α−オレフィン共重合体組成物は、このメルトマスフローレートの範囲に入るように、上記の直鎖状エチレン−α−オレフィン共重合体(A)及びエチレン−酢酸ビニル共重合体(B)を適宜選択し、配合すればよい。
直鎖状エチレン−α−オレフィン共重合体組成物のメルトマスフローレートが0.5g/10分未満であると、成形性が低下し、均質なフィルムが得られなくなる。一方、5g/10分を超えると、得られるフィルムが柔らかくなり過ぎ好ましくない。
本発明の直鎖状エチレン−α−オレフィン共重合体組成物は、各所定量の直鎖状エチレン−α−オレフィン共重合体(A)、エチレン−酢酸ビニル共重合体(B)及び必要に応じてそのほかの配合物を、V−ブレンダー、リボンブレンダー、ヘンシェルミキサー又はタンブラーミキサー等で混合した後、押出機、ニーダー、バンバリーミキサー等で、例えば100〜180℃で溶融混練することにより製造される。その後、成形加工する場合の取り扱い易さから、ストランドカッター等を用いて、2.0〜7.0mm程度の平均粒径をもつペレットとして使用することが好ましい。
なお、本発明の作用機構については、シングルサイト触媒で重合された直鎖状エチレン−α−オレフィン共重合体は、その活性点が同種であることから、マルチサイト触媒で重合されたものと比較すると、直鎖状ポリマー(共重合体)中でコモノマーであるα−オレフィンの入り方がより均質であり、α−オレフィンが偏って存在していないと考えられている。また、得られたフィルムの透明性は、このα−オレフィンの偏りに大きく依存し、偏りが大きいと(即ち、α−オレフィンの入り方がより不均一であると)、透明性が低くなると考えられ、同時に、この部分(α−オレフィン)の偏りがエチレン−酢酸ビニル共重合体との相溶性を低め、均一な配合物が得られ難くなると考えられている。
したがって、シングルサイト触媒で重合された直鎖状エチレン−α−オレフィン共重合体は、共重合体中でα−オレフィンの偏りがなく均質であるために、エチレン−酢酸ビニル共重合体と相溶性が良く、均一な組成物が得られ、直鎖状エチレン−α−オレフィン共重合体の優れた機械特性を確保したまま、エチレン−酢酸ビニル共重合体の優れた高い透明性を、本発明の直鎖状エチレン−α−オレフィン共重合体組成物に、さらに付与し、透明性をいっそう向上させることができると推察される。
5.フィルム
本発明に係るフィルムは、本発明の直鎖状エチレン−α−オレフィン共重合体組成物を、公知の方法により、フィルムに成形すればよい。
上記フィルム成形法としては、具体的には、インフレーション成形法、T−ダイ成形法(キャスト成形法とも呼ばれる。)などを例示できるが、得られるフィルムの透明性について、T−ダイ成形法の製膜後の冷却速度がインフレーション成形法より一般に速いので、T−ダイ成形法のものがより透明性をもつフィルムが得られやすい。そのため、本発明の効果は、より透明性が得られにくい、インフレーション成形法を採用した場合に、より強く得ることができる。
したがって、本発明の直鎖状エチレン−α−オレフィン共重合体組成物は、インフレーション成形法によるフィルムに、特に好適である。
次に実施例に基づいて、本発明をさらに詳細に説明するが、本発明は、これらの実施例に限定されるものではない。なお、本明細書中で用いられた物性値及び評価方法は、それぞれ以下の方法によるものである。
I.メルトマスフローレート
JIS K6922−2に準拠して行い、190℃、2160g荷重で測定した。
II.密度
JIS K6922−2に準拠して、測定した。
III.機械特性
機械特性は、下記の特性を測定し評価した。
III(a).引張降伏応力(縦方向):JIS Z1702に準拠して、MPaで測定した。
III(b).引張降伏応力(横方向):JIS Z1702に準拠して、MPaで測定した。
III(c).引張破壊応力(縦方向):JIS Z1702に準拠して、MPaで測定した。
III(d).引張破壊応力(横方向):JIS Z1702に準拠して、MPaで測定した。
III(e).引張破壊歪(縦方向):JIS Z1702に準拠して、%で測定した。
III(f).引張破壊歪(横方向):JIS Z1702に準拠して、%で測定した。
III(g).1%引張歪時応力(縦方向):JIS K7113に準拠して、MPaで測定した。
III(h).1%引張歪時応力(横方向):JIS K7113に準拠して、MPaで測定した。
III(i).引裂強度(縦方向):JIS K7128Bに準拠して、Kg/cmで測定した。
III(j).引裂強度(横方向):JIS K7128Bに準拠して、Kg/cmで測定した。
III(k).衝撃強度(平面):JIS Z1702に準拠して、50%の試料が破壊するときの重さをgで測定した。
IV.透明性
透明性は、濁り度を測定し、評価した。なお、参考として光沢も測定した。
IV(a).濁り度:JIS K7105に準拠して、%で測定した。濁り度は小さい方が、透明性が良いことを示す。
IV(b).光沢:JIS K7105に準拠して、入射角60°でグロス値として測定した。このグロス値は、透明性とは直接結びつかないが、大きい方が、透明性が良い場合がある。
[比較例1]
シングルサイト触媒(メタロセン系触媒)で重合されたメルトマスフローレート1.2g/10分、密度0.918g/cmのエチレン−ヘキセン−1共重合体(UHAF−1710、米国ユニベーション社製、ペレット品)を用いて、インフレーション成形法により、空冷法で厚み40μmのインフレーションフィルムを調製した。
得られたフィルムにつき、上記に記載した評価方法により、機械特性及び透明性を評価した。評価結果を表1に示した。
尚、インフレーションフィルムの成形は、下記の装置及び条件である。
(1)押出装置:φ40mmのインフレーションフィルム製造装置(株式会社プラコー製)
(2)ダイ:φ75mmのダイ(ダイギャップ=2.5mm、押出温度=180〜220℃、モダンマシーナリー製)
(3)冷却装置:シングルリップストレート及びコニカルカラー付
(4)突出量:16kg/時間
(5)フロスライン高さ:200mm
(6)膨張比:2.0
[実施例1〜3]
比較例1で使用したシングルサイト触媒で重合したエチレン−ヘキセン−1共重合体と、メルトマスフローレート1.5g/10分、酢酸ビニルコモノマー含有量15重量%のエチレン−酢酸ビニル共重合体(FVRN−290、日本ユニカー製、ペレット品)とを、表1の組成物・重量%の欄に記載された配合割合で混合し、150℃で10分間混練し得られた共重合体組成物を平均粒径約4mmに造粒した。
実施例1、実施例2及び実施例3の直鎖状エチレン−α−オレフィン共重合体組成物のメルトマスフローレートは、各々1.25g/10分、1.28g/10分及び1.31g/10分であった。
これを用いて、比較例1と同様にして、厚み40μmのインフレーションフィルムを調製し、同様に評価した。
評価結果を表1に示したが、機械特性の代表する引張破壊応力をはじめ、すべての評価で比較例1のシングルサイト触媒で重合されたエチレン−ヘキセン−1共重合体と同レベルの特性をもっていた(衝撃強度のみは、エチレン−酢酸ビニル共重合体の伸びのよさから、より大きい特性を示した。)。
透明性については、濁り度が比較例1の6.0と比べて、エチレン−酢酸ビニル共重合体を20重量%配合した実施例1では5.4、これを30重量%配合した実施例2では5.1、これを40重量%配合した実施例3では5.0と、減少し、透明性が向上されていた。また、参考として測定した光沢の評価でも、より優れたものであり、これら実施例1〜3の直鎖状エチレン−α−オレフィン共重合体組成物は、シングルサイト触媒で重合された直鎖状エチレン−α−オレフィン共重合体のもつ優れた機械特性を確保したまま、同時に透明性が向上され、優れた透明性をもつものであった。
[比較例2]
エチレン−酢酸ビニル共重合体を、メルトマスフローレート1.5g/10分、アクリル酸エチルコモノマー含有量15重量%のエチレン−アクリル酸エチル共重合体(DPDJ−6182、日本ユニカー製、ペレット品)に換えた以外は、実施例2と同様にして、共重合体組成物を調製し、同様にして厚み40μmのインフレーションフィルムを調製し、同様に評価した。
比較例2の直鎖状エチレン−α−オレフィン共重合体組成物のメルトマスフローレートは、1.28g/10分であった。
評価結果を表1に示したが、機械特性は、衝撃強度を除き、比較例1のシングルサイト触媒で重合したエチレン−ヘキセン−1共重合体単体からなるフィルムと比べて、劣っていた。また、透明性も、濁り度が7.2と大きく悪化し、透明性が落ち、参考として測定した光沢も、低くなっている。
この評価結果から、エチレン−アクリル酸エチル共重合体を用いた直鎖状エチレン−α−オレフィン共重合体組成物では、機械特性の確保及び透明性が向上され、優れた透明性を得る本発明の効果が得られないことが明らかになった。
[比較例3]
マルチサイト触媒(チーグラー系触媒)で重合されたメルトマスフローレート2.4g/10分、密度0.920g/cmのエチレン−ヘキセン−1共重合体(タフセンTUF−2060、日本ユニカー製、ペレット品)を用いて、比較例1と同様にして、厚み40μmのインフレーションフィルムを調製し、同様に評価した。
評価結果を表1に示したが、比較例1と比べて、引張破壊応力及び引裂強度が劣り、機械特性は、総合的には、比較例1と比べて劣るものであった。また、透明性も、濁り度が10.5と大きく悪化し、参考として測定した光沢は良好であったが、透明性の悪いフィルムであった。
[比較例4]
比較例3で使用したエチレン−ヘキセン−1共重合体に、実施例1〜3で使用したエチレン−酢酸ビニル共重合体を30重量%配合し、実施例1と同様に共重合体組成物を調製し、同様にして得られたフィルムを評価した。
比較例4の直鎖状エチレン−α−オレフィン共重合体組成物のメルトマスフローレートは、2.08g/10分であった。
評価結果を表1に示したが、機械特性は、わずかに低い傾向を示した程度であったが、、透明性を示す濁り度それ自体が大きく、比較例3と比べて、エチレン−酢酸ビニル共重合体の配合によるその向上もわずかであり、実施例1〜3や、後述する実施例4、5と比べて、機械特性の確保や透明性が向上され、優れた透明性をもつ点で、劣っていた。
[比較例5、実施例4、5]
比較例1、実施例1及び実施例2で使用したシングルサイト触媒で重合されたエチレン−ヘキセン−1共重合体を、シングルサイト触媒(メタロセン系触媒)で重合されたメルトマスフローレート1.7g/10分、密度0.911g/cmのエチレン−ヘキセン−1共重合体(エボリューSP−1520、三井化学製、ペレット品)に換えた以外は、比較例1、実施例1及び実施例2と同様にして、比較例5、実施例4及び実施例5の共重合体組成物を調製し、同様にして得られたフィルムを評価した。
実施例4及び実施例5の直鎖状エチレン−α−オレフィン共重合体組成物のメルトマスフローレートは、各々1.65g/10分及び1.63g/10分であった。
評価結果を表1に示したが、実施例4及び5の機械特性は、比較例5と比べて、同レベルあるいは同レベル以上の特性をもっていた。
透明性については、濁り度が比較例5の9.6と比べて、エチレン−酢酸ビニル共重合体を20重量%配合した実施例4では8.8、これを30重量%配合した実施例5では8.1と減少し、透明性が向上されていた。また、参考として測定した光沢の評価でも、より優れたものであり、これら実施例4、5の直鎖状エチレン−α−オレフィン共重合体組成物は、シングルサイト触媒で重合された直鎖状エチレン−α−オレフィン共重合体のもつ優れた機械特性を確保したまま、同時に透明性が向上され、優れた透明性をもつものであった。
Figure 2005146028
本発明の直鎖状エチレン−α−オレフィン共重合体組成物は、均質な組成物が得られ、それを成形して得られるフィルムは、直鎖状エチレン−α−オレフィン共重合体のもつ優れた機械特性を確保したまま、同時に透明性が向上され、優れた透明性をもつので、包装用フィルム、ラップフィルム、粘着フィルム、透明フィルム、テープ等の各種単層フィルムのみならず積層フィルムのベースフィルムとして、好適に使用することができる。

Claims (4)

  1. シングルサイト触媒で重合された直鎖状エチレン−α−オレフィン共重合体(A)95〜55重量%、及び酢酸ビニル含有量が5〜30重量%のエチレン−酢酸ビニル共重合体(B)5〜45重量%からなることを特徴とする直鎖状エチレン−α−オレフィン共重合体組成物。
  2. エチレン−酢酸ビニル共重合体(B)の酢酸ビニル含有量が11〜25重量%であることを特徴とする請求項1に記載の直鎖状エチレン−α−オレフィン共重合体組成物。
  3. 請求項1又は2に記載の直鎖状エチレン−α−オレフィン共重合体組成物を成形してなるフィルム。
  4. 請求項1又は2に記載の直鎖状エチレン−α−オレフィン共重合体組成物をインフレーション成形してなるインフレーションフィルム。
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