JP2001502303A - 腸細胞発現による治療用遺伝子産生物の送達 - Google Patents

腸細胞発現による治療用遺伝子産生物の送達

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Abstract

(57)【要約】 ホ乳類対象の腸上皮細胞を遺伝子的に改変して、所望の治療効果を有するタンパク質を発現する遺伝子を機能的に取り込むようにする。腸細胞の形質転換は、DNA含有製剤を投与することによって達成され、かつこの製剤は好ましくは経口投与される。経口又は他の胃腸内投与経路は簡単な投与方法を提供する。発現したタンパク質は、胃腸管及び/又は血流に直接分泌されて治療的な血中タンパク質値が得られ、これによってこのタンパク質を必要としている患者を治療する。本発明の送達系は治療用遺伝子産生物の短期間又は長期間送達を提供する。

Description

【発明の詳細な説明】 腸細胞発現による治療用遺伝子産生物の送達 本願は、米国出願番号第08/717,084号(1996年9月20日出願)(この出願は参 照として本明細書に含まれる)の一部継続出願である。 発明の分野 本発明は一般的にドラッグデリバリー(drugdellvery)の分野に関し、更に詳細 には腸細胞の形質転換による治療用遺伝子産生物の送達に関する。 発明の背景 タンパク質は代謝から成長、増殖、免疫までの全ての生物学的機能に必須であ る。そのため、タンパク質は、広範囲なヒト疾病の処置のための薬剤として重要 な潜在的な役割を有している。実際、タンパク質は既にガン、血友病、貧血及び 糖尿病のような疾病を処置するために成功裏に使用されており、かつ多数の疾病 にとっては唯一の有効な処置である。 タンパク質医薬品は巨大な治療潜在力を持っているが、これらをより広範に使 用することは幾つかの技術的な制限的要因によって制限されている。第一に、タ ンパク質は他の医薬と比較して製造が依然として困難でありかつ高価である。生 物活性形態のタンパク質の大規模な精製がこれらの医薬品の商業化における制限 段階の可能性がある。第二に、多くのタンパク質は患者内で代謝されるか又はそ うでない場合急速に排泄される。その結果頻繁に再投与しなければならない。最 後に、タンパク質医薬品は一般的に注射で投与しなければならない。そのため処 置が複雑で費用が高くなり、投与の不快さによっても潜在的な臨床適用が制限さ れる。 治療用遺伝子産生物(例えば、タンパク質代償療法用のポリペプチド)をコー ドするDNAで形質転換した細胞内で発現させて治療用遺伝子産生物を送達する ことは、種々のホ乳類の疾病を処置しかつ特定のタンパク質又は他の細胞産生物 の産生を高める方法として広く注目を浴びている。この前途有望な、しばしば遺 伝子治療と称される技術は一般的に、ホ乳類患者の細胞内に外因性遺伝子材料を 導入することによって達成される。導入された遺伝子材料はホ乳類患者の異常な (欠陥)遺伝子を置換するように設計する(「遺伝子代償療法」)ことができる か、又はどの欠陥遺伝子も置換しないで、コードされたタンパク質若しくは他の 治療用産生物を発現させるように設計する(「遺伝子増量」)ことができる。多 数の先天的及び後天的な医学的疾患は種々の遺伝子産生物の不適切な産生から生 じているので、遺伝子治療は治療用産生物をコードしている外因性核酸を一時的 又は安定的に発現させることによってこれらの疾病を処置する手段を提供する。 形質転換細胞内での発現による治療用遺伝子産生物の送達は、ホ乳類対象内の 標的細胞を直接形質転換する(インビボ遺伝子治療)か又はインビトロで細胞を 形質転換しその後この形質転換細胞をホ乳類対象に移植する(エクスビボ遺伝子 治療)ことによって達成することができる。インビボ形質転換を達成するために 、機械的手段(例えば、標的細胞内への核酸の直接注射又は粒子衝撃)、組換えウ イルス、リポソーム及びレセプター介在エンドサイトーシス(RME)を含む多 様な方法が開発されている(総説については、Chang等1994年Gastroenterol.106 :1076〜1084;Morsy等1993年JAMA 270:2338〜2345;及びLedley 1992年J.Pediat r.Gastroenterol.Nutr.14:328〜337参照)。 全ての治療法と同様に、最も容易に投与され、最も安価で且つ忠者の応諾が最 も得られそうな治療法が選択される治療法である。腸遺伝子治療は遺伝子治療技 術分野でそのような治療法を提供する。腸上皮はインビボ遺伝子治療にとって特 に魅力のある部位である。というのは、主として、腸上皮は経口又は他の内腔経 路で容易に接近でき、その結果外因性核酸を非侵襲的な方法で投与することがで きるからである。例えば、患者は外因性核酸で構成されるピルを簡単に服用する ことができ、又は別法として、外因性核酸製剤を或る他の非侵襲的手段(即ち、 内視鏡カテーテル法又は直腸坐剤切開のような大手術を必要としない手段)で投 与することができる。 しかしながら、腸細胞のインビボ形質転換を達成しようとする過去の努力は過 酷な障害に遭遇してきた。この分野は主として長期間の形質転換と問題の治療用 遺伝子産生物の送達に関係しているので、腸上皮細胞の代謝回転速度が速い(2 〜4日)ため、殆どのグループは形質転換用標的として腸上皮細胞を避けてきた (例えば、Sandberg等1994年Hum.Gene Therap.5:303〜309参照)。インビボ形質 転換を達成しようとする努力は、遺伝子治療形質転換製剤の標的細胞への接近を 阻止すると考えられる腸粘膜層によって更に複雑となるであろう(Sandberg等、 上述)。高濃度のDNアーゼが腸管に存在することも腸管細胞へのDNAの効果 的な導入の打破しがたい障壁であると考えられる。 インビボ細胞形質転換用に開発されたベクターや送達系の多くは、それら自体 の固有の欠点を有しているか又はインビボ腸細胞形質転換に完全には適していな い。例えば、組換えウイルス、特にレトロウイルスは、一般的に生存ウイルスを ヒトに投与することに関連した懸念のためFDAの承認取得が遅いことがある。 加えて、ウイルスベクターは、免疫応答のため、遺伝子構築物の多数回投与の可 能性に伴う問題を提示するので、これらの有用性が大きく制限され得ることが明 らかになっている。遺伝子ガンのような機械的手段が骨格筋細胞の形質転換に使 用するために設計されているが、腸細胞の形質転換においては、アクセスの問題 や器官の性質が繊細であるため特に有用というわけではない。 全身治療目的を達成するために(例えば、タンパク質ベースの医薬品の投与を 達成するために)設計されている形質転換による医薬品送達の現在の方法にはエ クスビボ及びインビボ技術の両方が含まれる。しかしながら、エクスビボ技術に は形質転換を達成するために複雑な手順が必要であり、対象が移植片拒絶の危険 性に曝され、少なくとも小さな侵襲的手順が必要であるので、移植は中程度の細 胞数に制限される。インビボ方法(例えば、血液又は筋肉への直接投与)もしば しば侵襲的な手順が必要であり、標的細胞への形質転換材料送達で困難に遭遇す る。更に、忠者の血流を介した形質転換材料の送達は、DNAやこれに関連した 担体を免疫系に暴露することになり、これは有害反応(例えば、投与されたDN A及び/又はDNA含有製剤の成分に対する炎症反応)を生じさせる可能性があ る。 今日、生物医学研究企業はますます速いペースで新しいタンパク質を発見して いる。既知のタンパク質が治療剤として利用可能になってきているので、これら を使用する実施可能性や簡便性を改良することによって、これら分子の医薬品と しての適用を拡大する新規送達系や方法を開発する極めて重要な需要が存在する 。本発明はこれらの問題に向けられている。 発明の概要 腸上皮細胞は、核酸(DNA、RNA、DNA-RNAハイブリッド、オリゴ ヌクレオチド及び合成核酸を含む)を含有する製剤に暴露することによって遺伝 子的に改変される。このような暴露によって核酸が腸上皮細胞内に機能的に取り 込まれ、それによって治療上有効なタンパク質をコードしている遺伝子の発現が 促進される。ウイルスベクター、ネイキッド(naked)核酸及び/又はリポソー ム製剤、好ましくはネイキッド核酸を含む核酸製剤は、該製剤中の核酸が腸上皮 細胞に導入されるように胃腸管に送達するのに適する任意の製剤とすることがで きる。更に詳細には、腸細胞を遺伝子的に改変して機能的な外因性DNA配列を 機能的に取り込むようにし、この外因性DNA配列が発現すると、治療値のタン パク質を得るのに十分な量で細胞から血流及び/又は胃腸系に直接分泌されるタ ンパク質を産生し、これによってタンパク質を必要としている患者が処置される 。かくして、本発明の方法を使用して細胞を遺伝子的に改変して、全身治療を達 成するか、及び/又はトランスフェクションされた細胞自体の欠陥を修復するこ とができる。 主要な目的は、治療用遺伝子産生物(例えば、タンパク質)の送達方法を提供 することである。この方法において、ホ乳類の腸上皮細胞(例えば、小腸又は大 腸の細胞)は、十分に機能的な遺伝子(外因性DNA)を取り込むことによって 遺伝子的に修飾されており、該遺伝子は生物学的に活性で且つ治療上有用なタン パク質を発現し、かつこのタンパク質は修飾された細胞から循環系、胃腸管及び /又は胃腸組織の局所環境中に分泌される。 もう1つの目的は、細胞内で機能し生物学的に活性で且つ治療上有用なタンパ ク質を発現する十分に機能的な遺伝子形態の外因性遺伝子材料をゲノム内に取り 込んでいる遺伝子的に形質転換された腸上皮細胞を産生させることである。成い は、トランスフェクションされた核酸は、遺伝子産生物のコード化とは別個に、 構造的、酵素的又は他の直接的な細胞内効果を提供することができる。例として は、内在性遺伝子の調節や発現を行うアンチセンス核酸、及び固有の酵素活性を 有する核酸配列であるリボザイムの調節や発現を行うアンチセンス核酸が含まれ る。 本発明は、胃腸(GI)管を内張りしている細胞の高いタンパク質産生能及び 分泌能を利用している点で有益である。腸は身体のなかで2番目に大きい器官で あり、かつ最大の免疫器官である。腸壁細胞は、GI管からの物質の優先的吸収 と血流への輸送とを通常の機能として有する膨大な表面積(約300m2)の界面を 提供する。これは肺又は筋肉組織には当てはまらない。たとえこの容量のうちの 少しを利用しただけでも、多数の重要な治療用タンパク質、例えばホルモン、サ イトカイン及び血液凝固タンパク質を血流に提供することができる。更に、本発 明ではより大きい治療効果を有する短期作用性タンパク質の連続合成や必要な速 度での分泌が保証されるので、このようなタンパク質を使用することができる。 本発明の重要な利点は、本発明によってタンパク質医薬品を口から投与できる ということである。本発明の送達系は、タンパク質自体の送達を試みているとい うよりはむしろ、治療用タンパク質をコードしている遺伝子を投与することによ ってタンパク質を間接的に送達しようとしている。胃腸管内のDNAは消化過程 で(胃酸又は腸DNアーゼによって)急速に破壊されるという従来の知識にも拘 わらず、本発明では所望の治療用タンパク質をコードしているDNAの経口送達 が成功している。DNAは腸細胞によって吸収され、腸細胞はコードされたタン パク質を合成しこれを血流又は胃腸管に分泌させて治療結果を達成する。この技 術には融通性があるので広範囲のタンパク質医薬を全身に、胃腸管に、並びに局 所的に送達することができ、送達が広範な治療適用範囲に良好に適合させられる 。 本発明のもう1つの利点は、治療用遺伝子の患者内での発現が短期間であるた め、患者への治療用遺伝子産生物の投与を調節できることである。腸細胞は急速 に代謝するので、発現は経口製剤の投与量及び/又は処方を変えることによって 容易に修正又は変更することができる。かくして、短期発現は、形質転換細胞の 急速な代謝の結果であり、これらの形質転換細胞は通常、約2日又は3日以内に 消失する(又は「代謝される(turnover)」)。本発明のこの特徴は、投与量の制 御及びDNA組込み(変異誘発)による長期合併症の危険性の低下の双方で有益 である。 本発明のもう1つの利点は、この方法が侵襲的手順を完全に回避し、ベクター を最も簡単な態様で−ピル又は他の材料の経口投与によって−投与できることで ある。胃腸管の内腔は実際には身体の「外側」であり、連続した単層細胞で身体 から分離されている。そのため、口から胃腸管に入るものは、最初に胃腸管を内 張りしている細胞を横断しない限り、外部空間に留まっており、本当の意味での 身体や血流に入ることはできない。しかしながら、一旦遺伝子が腸細胞内で発現 されそしてタンパク質産生物が天然の分泌経路から血流に放出されると、治療用 タンパク質は現在の注射形態の医薬品と同じ態様で作用する。 本発明はまた、先ず血流を介して広範に分布させないで、問題のDNAを、対 象の標的細胞に直接投与することに係わっている点で、遺伝子ベクターを血流に 投与して他の組織や器官に至らせる遺伝子ベースの治療法より有益である。かく して、本発明を使用するDNAの送達は一層効果的であり、問題のDNAを特定 の組織に標的化する更なるメカニズムを必要としていない。 なおもう1つの利点は、本発明によって、処置に対する有害反応の主要原因で ある血流に対する形質転換用DNAの暴露が最小限になるということである。送 達ベクター(特にウイルスベクター)に対する免疫系の反応は、従来の遺伝子ベ ースの治療法の主要な障害である。他の経路(例えば、静脈内、筋肉内注射、又 は肺投与)でベクターを送達すると、ベクターが血液や細胞外流体に暴露される 。この暴露により通常、炎症や免疫応答が生じる。これらの有害反応はしばしば 再度の施用によって、処置を継続できなくなり完全に無効になる点まで悪化する 。本発明はベクターを直接腸に提供するので、最初に対象の血液又は組織を通過 させる必要はない。これによってできるだけ多くのDNA送達過程が、免疫学的 及び炎症性応答を開始する全身循環から遮蔽され、このように治療を伴う干渉が 最小限になる。 本発明のもう1つの利点は、ウイルスベクターよりむしろネイキッドDNAを ベクターとして使用できることである。ウイルスベクターは投与やゲノム内への DNA取込みが容易であるため、遺伝子治療では一般的であるが、ウイルスベク ターは多数回投与の妨げとなるかなりの抗原反応を生じさせることが見い出され ている。ネイキッドDNAを使用するとこの問題が回避される。 本発明の更にもう1つの利点は、上皮細胞が2,3日以内に腸内腔に脱落して 身体から消失するので、長期間の遺伝子投与による潜在的で有害な副作用を回避 できることである。 本発明のもう1つの利点は、治療用遺伝子産生物が、遺伝子産生物の正常な産 生により近い態様及び投与量で対象の血流に送達される(例えば、治療用ポリペ プチドのボーラス静脈内注射と比べて)ということである。 更になおもう1つの利点は、本発明のドラッグデリバリーシステム(drug deli very system)が患者自身の組織を使用して問題のタンパク質医薬品を産生し、 血流に分泌させることである。 本発明のもう1つの利点は、DNA製剤を(血流にというよりはむしろ)GI 管の内腔に直接投与することによって、より多種多様なトランスフェクションア ジュバントの使用が可能になることである。胃腸管は、その生理学的役割の結果 、より一層強くなるように設計されているので、より広範な環境条件に対してよ り一層寛容でき、かつ毒性反応の影響をより受けにくい。かくして、本発明は、 ウイルスに基づくベクターに代わって細胞によるDNA取込みを促進する適当な 化学的方法と一緒に使用することができるが、そうでない場合、静脈内、筋肉内 又は肺経路での投与には不適当であると思われる。例えば、GI管は毒性の影響 を受けにくく、循環からの標的化を必要としないので、本発明はリポソーム、カ チオン脂質を含んでおり且つDNA取込みを高めるアジュバント、並びに他の様 々なアジュバントにまで拡大して使用することができる。 本発明はまた、タンパク質ベースの医薬品の送達に関連した多くの技術的障害 が回避される点で有益である。第一に、本発明では所望のタンパク質の合成に身 体自体の組織を使用するので、タンパク質製造の費用や困難性が回避される。第 二に、本発明では遺伝子発現による治療用タンパク質が連続的に製造され且つ分 泌されるので、急速な代謝の問題が回避される。最後に、経口投与によって身体 内での治療値を達成するために注射する必要性が回避される。 本発明の上記及び他の目的、利点並びに特徴は、以下に更に十分に記載したベ クター、製剤及び方法論の詳細を読むことによって、当業者に明白となろう。 図面の簡単な説明 図1は胃腸管を内張りしている上皮細胞層の概略図である。工程1はDNAの 投与及び腸管内の細胞による吸収を表し;工程2は治療用タンパク質の合成を表 し;かつ工程3は血流へのタンパク質分泌を表す。 図2は、腸細胞が絨毛基部の幹細胞から移動した後、絨毛先端から脱落するこ とを示す腸絨毛の概略図である。 図3は、本発明による腸上皮細胞の形質転換に有用な代表的な組換えプラスミ ド構築物の概略図である。 図4はpFGH構築物のマップであり、ヒト成長ホルモンゲノム配列を含んで いる。 図5はpFGH.CMV構築物のマップであり、CMVプロモーターと機能的 に結合したヒト成長ホルモンゲノム配列を含んでいる。 図6はpFGH.chymo構築物のマップであり、キモトリプシンBプロモーター と機能的に結合したヒト成長ホルモンゲノム配列を含んでいる。 図7は、ヒト成長ホルモンをコードするDNAで構成される溶液に胴断片を暴 露した後の全身血(黒棒)と門静脈血(斜線棒)中のヒト成長ホルモン値を示す 図である。 図8及び9はpBAT14.hIns及びpBAT16.hInsG1.M2構築物のマップで あり、これらはそれぞれ、CMVプロモーターと機能的に結合したヒトインスリ ン又はヒトインスリンの変異体をコードするヌクレオチド配列を含んでいる。 図10は本発明による腸細胞の形質転換による糖尿病の好転を示す図である。白 四角、正常ラットの血中グルコース値(mg/dl);中心に点のある白四角、ストレプ トゾトシン誘発糖尿病を有するラットの血中グルコース値;黒四角、ストレプト ゾトシン誘発糖尿病を有しておりそしてインスリンをコード化しているベクター による腸細胞の形質転換で治療したラットの血中グルコース値。 図11は、覚醒動物に十二指腸カテーテルを内在させてヒト成長ホルモン(hG H)をコードするDNA(黒四角)又はコントロールDNA(白四角)を投与 した後のhGHの血漿値を示す図である。各データ点は3つの実験の平均値を表 す。 図12は、pFOXEGFP.N2.CMV構築物のマップであり、これはCMV プロモーターの制御下で緑色蛍光タンパク質をコードしている。 好ましい態様の説明 腸上皮細胞を遺伝子的に形質転換する本発明の方法及び遺伝子治療を提供する 方法を記載する前に、本発明は、記載した特定の方法論、プロトコール、細胞系 、腸細胞、ベクター及び試薬に限定されず、かつ勿論これらは変更できることを 理解すべきである。また、本明細書で使用した専門用語は特定の態様を記載する 目的のためだけであって、本発明の範囲を制限することを意図しているものでは なく、本発明の範囲は、添付の請求の範囲によってのみ制限されるものであると 理解すべきである。 本明細書及び添付の請求の範囲に用いられるとき、単数形態の「a」及び「th e」は、文脈から他に明確に指示されていない限り、複数形態を含むことに注意 しなければならない。かくして、例えば、「腸上皮細胞」の表示には複数のこの ような細胞が含まれ、「形質転換ベクター」の表示には1つ又はそれより多い形 質転換ベクター及び当該技術分野の熟練者に知られているこれらの等価物の表示 が含まれる、などである。 特記しない限り、本明細書で用いる全ての技術用語及び科学用語は、本発明が 属する技術分野で通常の技個を有する者に通常理解されるものと同じ意味を有し ている。本明細書に記載したものに類似するか又は等価の任意の方法、デバイス 及び材料を本発明の実施又は試験に使用できるが、ここでは好ましい方法、デバ イス及び材料を記載する。 本明細書で言及した刊行物は全て、該刊行物に記載されており、本明細書に記 載した発明に関連して用いたと思われる細胞系、ベクター及び方法論を記載し且 つ開示する目的で、本明細書で参照として含まれる。本明細書で考察した刊行物 は本願の出願日前のこれら刊行物の開示だけを提供する。本明細書に記載したも のはいずれも、先行発明によるこのような開示に先行する権利が本発明者にない ことを容認したものと解釈すべきではない。定義 「腸」とは、胃から肛門まで延び、回旋状の上部(小腸)及び直径がより大き い下部(大腸)で構成されている下部消化管を意昧する。 「小腸」とは、十二指腸、空腸及び回腸で構成されている腸領域を意味する。 「大腸」とは、上行結腸、横行結腸、下行結腸、S状結腸及び直腸で構成され ている腸領域を意味する。 「腸上皮細胞」とは、腸の内腔表面を覆っている組織内に含まれる細胞を意味 し、これらには小腸の吸収細胞、大腸の円柱上皮細胞、内分泌細胞(大腸及び小 腸)及び陰窩細胞(粘液腺細胞、漿液腺細胞及び幹細胞を含む)が含まれるが必 ずしもこれらに限定されない。「短期間生存」上皮細胞、即ち成熟後約2〜3日 以内に胃腸内腔に脱落する細胞(幹細胞のような「長期間生存」上皮細胞と対照 的な)が特に重要である。 「形質転換」とは、新しいDNA(即ち、細胞にとって外因性DNA)を取り 込んだ後に細胞内に誘導される一時的な(即ち、エピソームの又は他の非本来的 な)又は永久的な(即ち、安定な又は本来的な)遺伝子変化を意味する。 「ネイキッドDNA(naked DNA)」若しくは「ネイキッド核酸(naked nucle ic acid)」又はDNA配列等とは、ウイルス粒子内に入っていない核酸分子を 意味する。ネイキッド核酸は、核酸を標的細胞部位に送達するのを促進する非ウ イルス手段(例えば、消化管からの核酸の移動を促進し、核酸を胃酸から保護し 、腸粘膜を通って標的上皮細胞の表面にまで浸透させるのに役立つ手段、及び/ 又は細胞膜に浸透させる手段)及び/又はアジュバントとして働くウイルス若し くは非ウイルス成分(例えば、ネイキッドDNAと組み合わせて投与されるが、 標的細胞に送達すべきDNAを含んでいないウイルス粒子)と結合させることが できる。 「形質転換細胞」とは、問題のタンパク質をコードする核酸分子、即ち核酸で 形成されているコドン配列(例えば、DNA又はRNA)が組換え核酸技術によ って導入されている細胞(又はこのような細胞の先駆細胞)を意味する。導入さ れた核酸配列は染色体外要素又は染色体要素として存在することができる。 「問題のDNA」とは、腸細胞、好ましくは腸上皮細胞の形質転換によるホ乳 類対象への送達(詳細には、静脈内又は胃腸送達、更に詳細には静脈内送達)に 望ましいタンパク質又は他の分子をコードする任意のDNA配列を意味する。こ の配列は一般的に、プロモーターのような発現に必要な他の配列と機能的に結合 している。「問題のDNA」という語は、DNAに限定するように意味したもの ではなくて、投与するのに望ましいタンパク質又は他の分子をコードする任意の 核酸(例えば、RNA又はDNA)を含んでいる。 「タンパク質」とは、ポリペプチド(天然(即ち天然生起)又は変異体)、オ リゴペプチド、ペプチド又は他のアミノ酸配列を意味する。本明細書で使用する とき、「タンパク質」は、天然即ち全長タンパク質に限定されるのではなくて、 所望の活性又は他の望ましい生物学的特徴を有するタンパク質フラグメント、並 びに所望の活性又は他の望ましい生物学的特徴を保持しているそのようなタンパ ク質又はタンパク質フラグメントの変異体又は誘導体を包含するように意味する 。変異体タンパク質は、由来する天然タンパク質と比較してアミノ酸配列が改変 されているタンパク質を包含しており、該改変にはアミノ酸置換(保存又は非保 存)、欠失、又は付加(例えば、融合タンパク質におけるような)を含むことが できる。「タンパク質」及び「ポリペプチド」は、本明細書で相互に交換できる ように用いられ、どちらかの用語の範囲に限定するように意図していない。 「プロモーター」とは、転写を指令するのに十分な最小限のDNA配列を意味 する。「プロモーター」はまた、細胞型特異的、組織特異的に制御可能であるか 又は外部シグナル若しくは作用剤で誘導可能なプロモーター依存性遺伝子発現に 十分であるプロモーター要素も包含するように意味されている。このような要素 は天然遺伝子の5'又は3'領域に位置させることができる。 「腸細胞特異的プロモーター」とは、転写アクチベータータンパク質又は他の 転写調節遺伝子が結合したとき機能的に結合したDNA配列の発現を指令するプ ロモーターを意味し、これらは腸細胞(例えば、腸上皮細胞又は特定の型の腸上 皮細胞(例えば、小腸細胞、大腸細胞、腺細胞又は吸収細胞))に固有である。 例えば、「腸細胞特異的プロモーター」とは、腸上皮細胞での発現を指令する腸 細胞特異的プロモーター、例えばスクラーゼ、ラクターゼ−フロリジンヒドロラ ーゼ及びカルボニックアンヒドラーゼのプロモーターを意昧する。代表的な腸細 胞プロモーターはボル(Boll)等1991年Am.J.Hum.Genet.48:889〜902;ブラ ディ(Brady)等1991年Biochem.J.277:903〜905;ドラムモンド(Drummond)等1 996年Eur.J.Biochem.236:670〜681;オルセン(Olsen)等1994年FEBS Lett.3 42 :325〜328;ロドロッセ(Rodolosse)等1996年Biochem.J.315:301〜306;ソウ デン(Sowden)等1993年Differentiation 53:67〜74;トレーバー(Traber)1990 年Biochem.Biophys.Res.Commun.173:765〜773;トレーバー等1992年Mol.Cel l.Blol.12:3614〜3627;トレルセン(Troelsen)等1994年FEBS Lett.342:291 〜296;トレルセン等1994年FEBS Lett.342:297〜301;及びトレルセン等1992年J .Biol.Chem.267:20407〜20411に記載されている。 「機能的に結合した」とは、適当な分子(例えば、転写アクチベータータンパ ク質)を調節配列(単数又は複数)と結合させたとき、DNAコード化配列と調 節配列(単数又は複数)とが該コード化配列の遺伝子発現を可能にするような方 法で結合されていることを意味する。 「機能的に挿入した」とは、細胞内に導入された問題のDNAが、導入DNA の転写及び翻訳を指令するDNA配列の近くに配置されており(即ち、例えば問 題のDNAによってコードされるポリペプチドの産生を促進する)、その結果、 コード化配列が発現されるように配置されていることを意味する。 「ホ乳類対象」又は「ホ乳類患者」とは、遺伝子治療が望まれているヒト、ブ タ、ウシ、ウマ、イヌ及びネコ対象を含む任意のホ乳類を意味する。 「実質的に含有していない」(例えば、「リポフェクチン、デンドリマー又は ウイルス粒子を実質的に含有していない」という語(特に宿主細胞内に核酸配列 を導入し得るウイルス粒子)で使用されているような)とは、記載された化合物 又は作用剤を比較的殆ど又は実質的に全く含有していないことを意味し、例えば 、製剤が記載された化合物又は作用剤を比較的殆ど又は実質的に全く含有してい ない、例えば、記載された化合物又は作用剤が組成物全体の5%未満、好ましく は1%未満、更に好ましくは0.1%未満、最も好ましくは0.01%〜0.001%未満か ら検出不可能若しくは不純物レベルで存在する。発明の概観 本発明は、腸細胞、好ましくはホ乳類患者の腸上皮細胞の遺伝子改変による遺 伝子産生物の送達用組成物及び方法を特徴としている。胃腸(GI)管は身体内 の連続通路を形成する中空管である。胃腸管を身体の真の内部と分離している細 胞は胃腸管の内部空間、即ち「内腔」を内張りしている。GI管の内腔は実際に は身体の「外側」であり、連続した単層細胞で身体から分離されている(図1) 。口からGI管に入るものはこの外部空間に留まり、GI管を内張りしている細 胞を先ず横断しない限り、本当の意味での身体及び血流に入ることはできない。 本発明の治療用遺伝子産生物の送達方法は、GI管の内腔を内張りしている細 胞に焦点を当てている。問題のDNAを含有する形質転換用製剤をGI管に送達 する(例えば、口から)ことによって、問題の治療用DNAは忠者の血流には入 らない。問題のDNAを含有する製剤を外部的に投与すると、GI管の内腔を内 張りしている細胞に吸収される。次いで、このDNAはこれらの細胞内で発現さ れる。 好ましくは、形質転換腸細胞は、問題のDNAでコードされるタンパク質を発 現し、治療上有効量のタンパク質を血流又は胃腸管に、好ましくは天然の分泌経 路から血流に分泌する。一度循環に入ると、タンパク質代償療法として役立つ治 療用タンパク質は、あたかもこれらが対象によって天然に発現されたかのように 、同じ態様で作用する。この他に、又はこれに加えて、治療用遺伝子産生物が所 望の治療効果(例えば、抗生物質活性)を提供する外因性タンパク質である場合 、この医薬品はあたかもこれが従来の注射方法で送達されたかのように、同じ活 性を示す。最終的な治療効果は同じであるが、医薬としてのタンパク質の主要な 制限が回避される。かくして、本発明は組換えDNAを口から腸管細胞に投与す る(即ち、腸経路)プラットフォームとして役立つことができ、多種多様なタン パク質医薬品の全身的並びに局所的送達が可能になり、その結果本発明は広範囲 の治療施用に良好に適合できる。 好ましくは、問題のDNAが導入され且つこれを発現する腸細胞は、脳の上皮 細胞であり、小腸又は大腸のいずれかの腸細胞であるのがよい。腸上皮細胞の遺 伝子改変によって、本発明の方法は、問題のDNAの短期間発現を提供すること ができる。遺伝子ベースの治療に対する大部分の研究アプローチは、治療用遺伝 子の長期間発現を必要とし且つ目指しているが、本発明は短期間発現を行い、こ れによって多様で重要な利点が提供される。第一に、短期間発現によって対象の ニーズにより治療用遺伝子の投与量を調節することができる。この可能性は、腸 を内張りしている細胞が通常は約2日又は3日以内に消失するという事実の結果 である(図2)。治療が短期間であると意図されるか、又は治療がもはや望まれ ないとき、投与されたDNAはこれを含んでいる腸細胞と一緒に身体から急速に 除去される。更に、標的細胞は短期間生存でありそして最後には分化されるので 、DNA組込み(即ち、変異形成)による長期間合併症の危険性が低下する。 好ましくは、問題のDNAはインスリン、成長ホルモン、血液凝固VIII因子、 内因性因子、エリスロポエチン、IX因子、及び、例えば血漿タンパク質、ホル モン又は血漿プロテアーゼインヒビターを欠いていることがある他の全ての血液 因子のいずれかをコードしている。タンパク質送達の標的が胃腸管である場合、 問題のDNAはフェニルアラニントランスポーター(フェニルケトン尿症用)、ラ クターゼ欠乏症用のラクターゼ、内因性因子、又は他の刷子縁酵素及び輸送体を コードすることができる。問題のDNAは、問題の遺伝子を適切なレベルで発現 することができるプロモーターと機能的に結合されるのが好ましい。プロモータ ーにはウイルスCMVプロモーター及びRSVプロモーターのような遍在的に機 能する双方のプロモーター、又はスクラーゼ若しくはラクターゼプロモーターの ような腸細胞型に特異的なプロモーターが含まれる(Traber等Molec.Cell.Blol .、1992年、12(8):3614〜3627)。 本発明をここで更に詳細に説明する。ベクター及び構築物 問題のDNAと機能的に結合した真核生物プロモーターを有する任意の核酸ベ クターを本発明で使用して腸細胞を形質転換することができる。本発明に従って 使用できるDNA配列(又は相当するRNA配列)を含むベクターは、問題のD NA又はRNA配列を含む任意の真核生物発現ベクターであることができる。例 えば、プラスミドを開裂して結合可能な末端を有する線状DNAを提供すること ができる。これらの末端は、結合可能な末端のような相補性を有する外因性DN Aと結合させて、無傷のレプリコンと所望の表現型特性を有する生物学的に機能 的な組換えDNA分子を提供する。 宿主内で外因性DNA又はRNA配列を発現する核酸構築物を産生させる技術 は、当該技術分野で知られている(例えば、Kormal等、Proc.Natl.Acad.Sci .USA、84:2150〜2154、1987年;Sambrook等Molecular Cloning:A Laboratory M anual 、第2版、1989年、Cold Spring Harbor Laboratory Press、ニューヨーク 州コールド スプリング ハーバーを参照のこと。これらはそれぞれ、問題のD NAの真核生物発現用の方法及び組成物に関して、本明細書に参照として含まれ る)。 種々のベクター(例えば、細菌ベクター、又は真核生物及び原核生物宿主内で 複製し得るベクター)を本発明に従って使用することができる。ベクターは、真 核生物宿主及び原核生物宿主の双方で複製することができるのが好ましい。真核 生物及び原核生物宿主内で複製できる多数のベクターが当該技術分野で知られて おり且つ市販入手可能である。一般に、本発明により用いられるベクターは、細 菌の複製起点及び問題のDNAと機能的に結合した真核生物プロモーターで構成 されている。 DNA構築物は、腸上皮細胞内での問題のDNAの発現を促進するプロモータ ーを含むのが好ましい。プロモーターは強力な真核生物プロモーターであるのが 好ましい。真核細胞内での転写を促進する代表的な真核生物プロモーターにはサ イトメガロウイルス(CMV)、マウス乳癌ウイルス(MMTV)、ラウス肉腫ウイ ルス(RSV)、及びアデノウイルスから得られるプロモーターが含まれる。更に 詳細には、代表的なプロモーターにはヒトCMVの前初期遺伝子から得られるプ ロモーター(Boshart等、Cell 41:521〜530、1985年)及びRSVの末端反復配 列(LTR)から得られるプロモーター(Gorman等、Proc.Natl.Acad.Sci.U SA 79:6777〜6781、1982年)が含まれる。これら2つのプロモーターのうち、C MVプロモーターはRSVプロモーターより高い発現レベルを提供する ので好ましい。 真核生物発現(例えば、腸上皮細胞での)用には、構築物は、問題のDNAと 機能的に結合した少なくとも1つの真核生物プロモーターを含有するのが好まし く、これは順次ポリアデニル化配列と機能的に結合している。ポリアデニル化シ グナル配列は当該技術分野で知られている多様なポリアデニル化シグナル配列か ら選択することができる。ポリアデニル化シグナル配列はSV40後期ポリアデニ ル化シグナル配列であるのが好ましい。この構築物はまた、プロモーターに加え て腸上皮細胞での発現を高める配列(例えば、エンハンサー配列、イントロン) を含むこともできる。例えば、構築物は1つ又はそれより多いイントロンを含む ことができ、このイントロンは、特に問題のDNAがcDNAである(例えば、 天然生起配列のイントロンを含有していない)場合、問題のDNAの発現レベル を高めることができる。当該技術分野で知られている種々のイントロンのうち任 意のものを使用することができる。イントロンは、ヒトβ-グロビンイントロン であり、問題のDNAの5'位で構築物に挿入されるのが好ましい。 構築物を含むか、及び/又は発現する細胞の選択を助ける(例えば、ベクター 構築過程中に)ためのマーカー(例えば、抗生物質耐性遺伝子(アンピシリン耐 性遺伝子のような)又はβ-ガラクトシダーゼ)、細菌細胞内で構築物が安定して 複製するための複製起点(好ましくはコピー数の多い複製起点)、核局在化シグナ ル、又はDNA構築物、DNA構築物によってコードされるタンパク質若しくは これらの両方の産生を促進する他の要素のような他の成分を含むことができる。 本発明の方法に有用な代表的な構築物の概略図を図3に示す。腸細胞遺伝子治療による処置になじみ易い治療用遺伝子産生物及び条件 問題のDNAは、静脈内治療及び/又は胃腸管治療が望ましい任意のタンパク 質又は他の遺伝子産生物をコードする任意のDNA配列であることができる。例 えば、静脈内タンパク質治療は、特定のタンパク質欠乏症に関連した先天性又は 後天性疾病(例えば、糖尿病、血友病、貧血、重篤な合併型免疫不全)を有して いるホ乳類対象の処置に適している。このようなタンパク質欠乏状態は、代償療 法による処置、即ち血流タンパク質レベルを少なくとも正常レベルまで回復させ るためにタンパク質を発現させる処置になじみ易い。例えば、対象が栄養の吸収 に関連したタンパク質欠乏症(例えば、内因性因子、スクラーゼ、ラクターゼ、 消化酵素、又は輸送体の欠乏症)を患っている場合、治療用タンパク質を胃腸管 に分泌させる(例えば、粘膜細胞へのタンパク質分泌によって)のが適当である 。 または、ホ乳類対象は、健康なホ乳類対象中に通常存在するタンパク質、又は ホ乳類対象にとって外来であるタンパク質の発現又は過剰発現による処置になじ み易い状態を有していることができる。例えば、静脈内タンパク質治療はウイル ス(例えば、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)、エプスタイン・バール ウイルス (EBV)又は単純ヘルペスウイルス(HSV))、細菌、真菌、及び/又は寄 生虫感染を有している(特に感染が慢性である、即ち比較的長期間に亘って持続 している)ホ乳類対象の処置に用いることができる。所望の効果を達成するため に(例えば、正常な代謝過程を高めるために)、本発明の腸細胞遺伝子治療を用 いて、正常なホ乳類に存在するタンパク質の発現を高めるか、又は正常なホ乳類 には通常存在しないタンパク質を発現させることもできる。例えば、血流中のウ シ成長ホルモン(BGH)レベルを高め且つ乳産生を高めるために、BGHをコ ードするDNAで乳牛の腸管細胞を形質転換することができる。 または、問題のDNAは、遺伝子改変で標的とされた腸細胞の欠陥を修復でき る遺伝子産生物をコードするDNAであることができる。例えば、DNAは腸細 胞によるリポタンパク質産生に関連した遺伝子産生物をコードすることができる 。 問題のDNAは、治療すべきホ乳類対象と同じ種の供給源(例えば、ヒト対ヒ ト)から得られるのが好ましいが、これは絶対的な要件ではない。特にタンパク 質のアミノ酸配列が高度に保持され、異種発生性タンパク質がホ乳類宿主内で該 タンパク質に対する顕著で望ましくない抗体応答を誘発するほど顕著には免疫原 性でない場合、そのホ乳類対象と異なる種から得られるDNAを使用することも できる。更に、DNAは化学合成及び/又は細胞内での遺伝子工学によって合成 的に産生することができる。 代表的で好ましい問題のDNAにはインスリン、成長ホルモン、血液凝固VII I因子、内因性因子、及びエリスロポエチンをコードする組換え又は単離DNA 配列が含まれる。ホ乳類の形質転換腸細胞内でタンパク質(例えば、インスリ ン、成長ホルモン、血液凝固VIII因子、又はエリスロポエチン)をコードする DNAの発現によるホ乳類対象(例えば、ウシ、イヌ、ネコ、ウマ、又はヒト対 象、好ましくはウシ又はヒト対象、更に好ましくはヒト対象)の静脈内タンパク 質治療が特に重要である。好ましくは、対象はヒト対象であり、発現DNAはヒ トタンパク質(例えば、ヒトインスリン、ヒト成長ホルモン、ヒト血液凝固VII I因子又はヒトエリスロポエチン)をコードする。問題のDNAの他の代表例に はプラスミノーゲンアクチベーター(tPA)、ウロキナーゼ、ストレプトキナー ゼ、酸性繊維芽細胞増殖因子、塩基性繊維芽細胞増殖因子、腫瘍壊死因子アルフ ァ、腫瘍壊死因子β、形質転換用増殖因子β、血小板由来増殖因子、内皮及び可 溶性CD4が含まれる。一般に、問題のDNAは、遺伝子産生物の産生を低下させ る遺伝子(例えば、腸によるリポタンパク質産生に係わる遺伝子)をコードする 配列であることができるか又は遺伝子をコードしないが腸によるリポタンパク質 の産生を低下させるのに有用な核酸(例えば、リボザイム又はアンチセンス核酸 )であることができる。問題のDNAは、合成核酸、例えば、内在性ヌクレアー ゼに対する問題のDNAの感受性を変えるか又は細胞取込みを高めることができ る修飾合成塩基であることもできる。問題のDNAは、免疫治療用の遺伝子産生 物をコードすることができ、感染に対する免疫発生、又はI型糖尿病若しくはリ ウマチ様関節炎におけるような自己免疫疾患を処置するために寛容性の発生を促 進することができる。表1は、本発明の腸細胞遺伝子治療によって送達すること ができる代表的なタンパク質及びタンパク質の種類の表を提供する。 表1: 本発明で使用される代表的なタンパク質及びタンパク質の種類 表1(続き) 種々の疾病状態が本発明の腸細胞遺伝子治療を用いる処置になじみ易い。当該 技術分野の熟練者は特定の疾病状態を処置するために本発明で産生される適当な タンパク質を認識することができる。主題発明を用いる処置になじみ易い代表的 な疾病及びこれらの疾病の処置に用いることができる代表的な適切なタンパク質 を表2に示す。 表2: 本発明を用いる処置になじみ易い代表的な疾病状態 表2(続き) 静脈内タンパク質治療に望ましい多数のタンパク質が当該技術分野で良く知ら れており、これらのタンパク質をコードするDNAが単離されている。例えば、 インスリン、ヒト成長ホルモン、内因性因子、血液凝固VIII因子及びエリストポ エチンをコードするDNAの配列はジーンバンク(Gen Bank)から入手可能であ り、及び/又は科学文献に記載されている(例えば、ヒト血液凝固VIII因子遺伝 子:Gitschier等、Nature 312:326〜330、1984年:Wood等、Nature 312:330〜33 7、1984年;ヒト内因性因子:Hewitt等、Genomics 10:432〜440、1991年)。処置 で通常用いられるタンパク質は本発明の遺伝子治療法で使用することができる。 このようなタンパク質は、例えば、フィジシャンズ デスク リフアレンス(1994 Physicians' Desk Reference、第48版、Medical Economics Data Production Co .、ニュージャージー州モントベール;参照として含まれる)に開示されており、 ハリソンズ プリンシプルズ オブ インターナル メディシン(Harrison's Princ iples of Internal Medicine)及び/又はエイエムエイ(AMA)「医薬品評価 年報(Drug Evaluations Annual)」1993(これらは全て参照として含まれる) に記載された方法を使用して投与することができる。 問題のタンパク質をコードするDNAが単離されていない場合、これは当該技 術分野の熟練者に良く知られている種々の標準的なプロトコールによって達成す ることができる(例えば、Sambrook等、同上;Suggs等、Proc.Natl.Acad.Sci. USA 78:6613〜6617、1981年:米国特許第4,394,443号を参照のこと。これらはそ れぞれ、問題のタンパク質をコードするDNAの同定及び単離に関して本明細書 に参照として含まれる)。例えば、特定のタンパク質をコードするゲノム又はc DNAクローンは、所望の遺伝子のヌクレオチド又はアミノ酸配列に基づいて設 計されたハイブリッド形成プローブを使用してゲノム又はcDNAライブラリー から単離することができる。これらのプローブは、化学合成で構築するか又は配 列データに基づくプライマーを使用してプール又はライブラリーから得られるD NAフラグメントを増幅するポリメラーゼ連鎖反応(PCR)で構築することが できる(米国特許第4,683,195号及び第4,683,202号)。ポリヌクレオチドのハイブ リッド形成能が実質的に妨げられない限り、ヌクレオチド置換、欠失、付加等を ポリヌクレオチドに取り入れることもできる(Sambrook等、同上)。 これらのクローンを発現させるか又は問題のDNAを切断若しくは合成して、他 の構築物で使用することができる。所望の場合、問題のDNAは当該技術分野で 良く知られた方法を使用して配列を決定することができる。 好ましい態様として、本発明で使用される構築物は、形質転換腸上皮細胞から 血流へタンパク質の分泌が高められるように設計される。腸上皮細胞は通常、胃 腸管の内腔に向けられている先端面と血液供給に向けられた基部側面で分極して いる。 腸上皮は動物の主要な吸収表面であり、そのため物質を腸内腔から血液中に優 先的に輸送する。これらの過程はヘキソース、アミノ酸及び電解質で最も広範に 研究されているが、より大きい分子も同様に吸収されることが段々明らかになっ てきている。例えば、小さいポリペプチドは吸収細胞に吸収され、母体抗体タン パク質を吸収した結果として新生児動物の抗原性が達成される。膵臓から種々の 消化酵素、並びにインスリンやアルブミンのような他の大きい分子がかなりの速 度で腸上皮を横断するという多様な証拠も存在する(参考文献を参照のこと)。実 際、血漿アルブミンプール全体が毎日腸上皮を横切って漏れ出ている。 タンパク質の浸透性は主として十二指腸及び末端回腸に見られるが、タンパク 質は大腸下部から吸収されることも知られており、坐剤はこの目的で治療的に使 用されている。タンパク質の腸吸収に関する考察については、例えば、リーボウ (Liebow)等1975年Science 189:472〜474;ゲッツェ(Goetze)等1975年Nature 257 :607〜609;ゲッツェ等1976年Lancet ii:494〜495;ゲッツェ等1978年Biochim .Biophys.Acta 512:214〜220;ハインリッヒ(Heinrich)等1979年Klin Wochen scht 57:1295〜1297;レイク-ベーカー(Lake-Bakaar)等1980年Gut 21:580〜586 ;マーチン(Martin)等1957年Nature 199:815〜817;アバキアン(Avakian)等19 64年Clin.Pharmacol.Ther.5:712〜715;メゲル(Megel)等1964年Arch.Bioch em.Biophys.108:193〜199;アルパース(Alpers)等1967年J.Blol.Chem.24 2 :5617〜5622;カタヤマ(Katayama)等1972年Biochim.Biophys.Acta 288:172 〜180;カタヤマ等1972年Biochim.Biophys.Acta 288:181〜189;アーバン(Urba n)等1982年J.Pediatr.Gastroenterol.Nutr.1:267〜272:カタヤマ等1968年 Biochim. Biophys.Acta 167:613〜;モリヤ(Moriya)等1967年Chem.Phar.Bull.15:16 62〜1668;アンブラス(Ambrus)等1967年Clin.Pharmacol.Ther.8:362〜368; アルパース等1970年M.Gastroenterology 58:833〜842;ブランベル(Brambel,F. W.R.)1958年Biol.Rev.33:488〜;レブ(Lev)等1973年Gastroenterologia 65:6 0〜;ウォラー(Waller)等1972年Nature 177:608;ダンフォース(Danforth)等1 959年Endocrinology 65:118;及びワルシャウ(Warshaw)等1974年Gastroenterol ogia 66:987を参照のこと。腸で製造され血液中に分泌されるように標的化され るタンパク質には、CCK(コレオシストキニン(choleocystokinin))、セクレチ ン、腸グルカゴン、血管作用性腸ペプチド(VIP)、胃酸分泌抑制ペプチド(G IP)、ソマトスタチン、神経ペプチドY(NPY)、膵島アミロイドポリペプチ ド(IAPP)、ポリペプチドY(PPY)、グルカゴン様ペプチドI(GLPI) 、並びに脂質代謝に重要な種々のリポタンパク質が含まれる。 問題のDNAは、主として胃腸管へのタンパク質分泌を指令するか又は主とし て血流へのタンパク質分泌を指令する分泌シグナルを含むのが好ましい。分泌シ グナルは、例えば、血流を標的とするタンパク質(例えば、インスリン)又は腸 内腔を標的とするタンパク質(例えば、プロテアーゼ、種々の消化酵素、及びム チン)をコードするDNAの部位指令変異誘発によって同定することができる。 突然変異体は変異DNAを腸細胞内での発現、その後、例えば内腔:静脈内の発 現比を測定することによってスクリーニングすることができる。または、静脈内 指令分泌シグナルと腸内腔指令分泌シグナルとを、例えば、腸内腔指令タンパク 質に挿入した推定上の静脈内分泌シグナルで構成されている組換えキメラタンパ ク質を構築することによって同定することもできる。次いで、静脈内分泌シグナ ルは血流中への内腔指令タンパク質の発現を再度指令する能力によって同定され よう。推定上の静脈内分泌シグナルと腸内腔分泌シグナルとはそれぞれ、血流又 は胃腸管に優先的に分泌されるタンパク質のアミノ酸配列をDNAと比較して同 定することもできる。次いで、タンパク質間の相同性領域又は共通のモチーフを 上記したようにして試験することができよう。 問題のDNAは、治療用タンパク質が融合タンパク質(例えば、N-末端にβ- ガラクトシダーゼ又はその一部及びC-末端部に治療用タンパク質を有する融合 タンパク質)として発現されるように、構築物中に挿入することができる。融合 タンパク質の産生は、タンパク質を発現する形質転換細胞の同定を促進すること ができる(例えば、融合タンパク質と結合している抗体を用いる酵素結合イムノ ソルベントアッセイ(ELISA)によって)。 例えば、プロテアーゼ抵抗性であるか又は野生型タンパク質に比べて活性が高 まっている改変形態の治療用タンパク質を産生することも望ましいと思われる。 例えば、酵素を胃腸管に分泌すべき場合、そのタンパク質が消化プロテアーゼに 抵抗性であるように修飾することが有益であると思われる。分泌されるタンパク 質が腸細胞で利用できずプロセッシングを必要としている場合、正しいプロセッ シングが可能になるようにタンパク質を修飾することができる。例えば、プロイ ンスリンは、プロセッシングによって腸細胞でインスリンに成熟させ得るように 修飾することができる。更に、治療用タンパク質がホルモンである場合、そのタ ンパク質の二量体又は多量体コンプレックス形成能力を改変することが望ましい と思われる。例えば、二量体化を防ぐように修飾されたインスリンは野生型、二 量体インスリンに比べて作用開始が一層速い。 問題のDNAを含む構築物は、標的腸細胞ゲノムへの部位特異的組込みを提供 するように設計することもできる。例えば、問題のDNA及びこれに機能的に結 合したプロモーターの側部にサッカロミセス セレビシエTy3の部位特異的組込み マーカーがあるように、構築物を産生することができる。部位特異的組込み用の 構築物は更に、組込みマーカーを認識する部位特異的エンドヌクレアーゼをコー ドするDNAを含んでいる。このような構築物は、Ty3レトロトランスポゾンと 種々の動物レトロウイルスとの相同性を利用している。Ty3レトロトランスポゾ ンは、多数の異なるtRNA遺伝子の5'フランキング領域に問題のDNAを挿 入するのを促進し、その結果、産生される組換え細胞に対して有害な影響を与え ることなく、問題のDNAの一層効率的な組込みを提供する。このような部位特 異的構築物を作成する方法及び組成物は米国特許第5,292,662号に記載されてお り、この特許はこのような部位特異的挿入ベクターの構築及び使用に関して本明 細書に参照として含まれる。腸細胞の形質転換による静脈内及び胃腸タンパク質治療 本発明により形質転換した腸上皮細胞は、特に問題のDNAが強力な真核生物 プロモーター(例えば、CMV、MMTVプロモーター)と機能的に結合してい る場合、問題のDNAの発現を促進し、かつ高いレベルで発現させることができ る。次いで、発現したタンパク質は血流又は胃腸管に分泌される。かくして、こ のようにして発現し且つ分泌されたタンパク質は、多様な状態を有するホ乳類対 象の処置に有用である。例えば、適当なタンパク質を胃腸管に分泌すると種々の 疾病の予防又は制御に、例えば、小腸及び/又は大腸の慢性的感染(例えば、細 菌又は真菌感染)の処置に;腸上皮の変性的疾患の処置に;腸吸収不良症候群(例 えば、スプルー)の処置に;又は代償若しくは補充タンパク質療法として有用で ある。 好ましい態様として、タンパク質は静脈内タンパク質治療に十分なレベルで血 流中に分泌される。治療用タンパク質の血流レベルは、問題のDNAの多数のコ ピーを標的細胞のゲノム内に組み込むことによって、並びに/又は強力なプロモ ーター(例えば、CMVから得られるプロモーター)及び/若しくはエンハンサ ー要素を構築物中の問題のDNAと機能的に結合させることによって高めること ができる。血流レベルは、対象の標的細胞数をより多く形質転換することによっ て高めることもできる。上記で考察したように、治療用タンパク質の分泌は、リ ーダー配列、アミノ酸配列モチーフ又は静脈内指令分泌に介在する他の要素を治 療用タンパク質の配列中に組み込むことによって高めることもできる。 本発明が、小腸の吸収上皮細胞及び/又は大腸の円柱上皮細胞の形質転換に関 係している場合、腸インビボ遺伝子治療法は、これらの短期間生存上皮細胞の代 謝速度が比較的速いため、ホ乳類対象による遺伝子産生物の発現は短期間である (例えば、短期間生存上皮細胞の平均寿命は約2日から4日であるので、約2日 から3日であることができる)という更なる利点を提供する。本明細書で用いる とき「短期間」とは、所望の遺伝子産生物が2,3日から数日間(例えば、12時 間から36時間のような短い期間;又は2日、3日若しくは4日まで、一般的には 4日以下の期間)で胃腸管又は血流に送達されることを意味する。対象的に、 本発明の文脈において本明細書で用いるとき「長期間」とは、腸でより長い寿命 を有している細胞(即ち、それ程急速には代謝しない細胞、例えば幹細胞)が所 望の遺伝子産生物を数週間から数カ月間発現することを意味する。かくして、少 なくとも一部形質転換された細胞の型(例えば、吸収細胞又は幹細胞)がタンパ ク質の送達期間(例えば、それぞれ短期間又は長期間)を決定する。 ホ乳類対象における短期間遺伝子産生物発現によって、宿主に送達される治療 用遺伝子産生物の量を厳密に調整することができる。更に、本発明の遺伝子治療 法は一般に、形質転換用核酸の非侵襲的な投与方法に係わっているので、投与を 反復することによって所望の治療法を容易に達成することができる。ベクターを 腸に投与することによって短期間と長期間の双方の効果を提供することができる 。成熟吸収細胞を標的とする場合、その効果は短期間(2〜4日間)である。ま たは、ベクターが絨毛基部の幹細胞を標的とする場合、長期間の効果が生起する であろう。かくして、本発明の方法を用いて、短期間及び長期間の双方の効果を 達成することができる。 本発明のインビボ遺伝子治療法を用いて達成される腸細胞形質転換の性質は、 一時的又は安定的であることができる。「一時的形質転換」とは、成熟細胞及び /又は導入核酸の残存寿命用に導入された核酸が、細胞分割後の娘細胞に運ばれ ないことを意味する。対照的に、「安定的な形質転換」とは、核酸が複製され細 胞分割後の娘細胞に運ばれることを意味する。一時的な形質転換は、医者が短期 間の治療法、少量の治療用遺伝子産生物だけの投与、及び/又は投与を反復する ことによって投与量の力価を測定できることを望む場合、特に有益である。一般 的に、形質転換の性質が所望の遺伝子産生物の送達期間、即ち、遺伝子産生物送 達が短期間である(例えば、一時的な形質転換の2,3時間から2,3日間)のか それとも長期間である(例えば、安定的な形質転換の数週間又は数カ月間)のか を、少なくとも部分的に、決定することができる。 問題のタンパク質の治療レベルを達成するのに必要な形質転換した腸上皮細胞 の実際の数は、達成される腸細胞の形質転換の性質(例えば、一時的又は安定的 な形質転換)、発現すべきタンパク質、形質転換細胞によるタンパク質の発現レ ベル、タンパク質の分泌速度、治療用タンパク質の胃腸管と血流間の分配、及び 処置すべき状態を含む数種の要因に従って変動するであろう。例えば、治療用タ ンパク質の所望の静脈内レベルは、正常な対象に存在するタンパク質レベルを決 定する(タンパク質欠乏症を治療するため)ことによるか、又は所望の治療結果 を達成するのに必要なタンパク質レベルを決定する(例えば、治療法が既に確立 されているタンパク質、例えば、インスリン、hGH等の有効治療量に関する情 報を使用して)ことによって容易に計算することができる。形質転換細胞から得 られるタンパク質の発現レベル及びタンパク質分泌速度は、インビボ動物モデル で(例えば、齧歯類モデル、例えば、ラット又はマウスで)容易に決定すること ができる。動物モデルでのタンパク質発現レベル及び分泌レベル並びに所望の治 療用タンパク質の静脈内概算レベルが与えられると、所望のレベルを達成するた めに形質転換すべき細胞数は容易に計算することができ、それに従って遺伝子治 療プロトコールを実施することができる。製剤 腸細胞のインビボ形質転換用の核酸は、腸細胞表面への送達を促進するために 様々な方法で製剤化することができる。製剤の形態(例えば、液体、固体、ピル 、カプセル)及び組成は、使用される投与方法によって変動するであろう。例え ば、製剤を経口投与する場合、核酸は錠剤、ピル、カプセル、溶液(例えば、ゲ ル、シロップ、スラリー又は懸濁液)、又は他の適当な形態として製剤化するこ とができる。核酸が腸管内における直接置換によって送達される場合、核酸は坐 剤(例えば、直腸投与用)又は内視鏡カテーテル法によって投与される溶液若し くは懸濁液として製剤化することができる。 製剤はまた、標的とする腸部位によって変えることもできる。例えば、小腸に 関係したヌクレアーゼ活性は、大腸に関係したものより大きい。それ故、小腸細 胞を形質転換する製剤及び/又は所望の標的細胞に達する前に小腸を通過しなけ ればならない経口投与製剤は、投与される核酸の分解を防止するために抗ヌクレ アーゼ組成物を含むことができる。種々のタイプの製剤の調製方法及びこのよう な製剤の投与方法が当該技術分野で良く知られている(例えば、Remington's Ph armaceutical Sciences、Maack Publishing Co.、ペンシルベニア州イースト ンを参照のこと)。 さらなる成分によって核酸を標的腸細胞に送達するのを助長する場合、製剤は 核酸に加えてこのような成分を含むことができる。問題のDNAは、安定化化合 物及び/又は生体適合性医薬担体、例えば、生理食塩液、緩衝化生理食塩液、デ キストロース、又は水のような、さらなる成分と共に本発明の医薬組成物中に存 在することができるが、これらの成分に限定されない。問題のDNAは、単独又 は他の治療剤(例えば、医薬品又はホルモン)を含む他の作用剤と組み合わせて 投与することもできる。製剤はまた、例えば、標的細胞へのDNA送達及び標的 細胞による取込みを促進するために有機及び無機化合物(例えば、界面活性剤、 塩類、キレート化剤等)を含むこともできる。 製剤を経口投与する場合、製剤は、緩衝化剤を含むか又は核酸を胃の酸性から 保護し且つ/又は嚥下を促進するために被覆物を含有することができる。これに 加えて又はこれに代わって、胃のpHがより弱い酸性であるか又はH2ブロッカ ー(例えば、シメチジン)若しくはプロトンポンプインヒビター(例えば、PROL ISECTM)のようなHCL分泌インヒビターが投与されているとき、経口製剤は、 消化と消化の間(食間又は就寝時)に投与することができる。製剤はまた、標的 腸細胞の表面に達したとき核酸を放出するように設計された時間放出カプセルを 含有することもできる。例えば、時間放出製剤は、核酸を腸内部の特定の位置に 送達するように(例えば、小腸細胞の形質転換用の核酸(腸に入った後すぐに放 出される核酸)を送達するために)、又は腸管の下部細胞(例えば大腸の細胞) を形質転換するために設計することができる。製剤はまた、特定の領域(例えば 、激しい蠕動のない)に徐々に放出できるように設計することもできる。製剤は また、標的腸細胞の形質転換に利用できる無傷核酸の量を高めるためにヌクレア ーゼインヒビターを含有することもできる。 問題のDNAを、DNA−又はRNA−リポソーム複合体製剤として処方する ことができる。このような複合体は脂質混合物を含有し、これらの脂質混合物は 遺伝子材料(DNA又はRNA)と結合して、遺伝子材料を細胞に送達できるよ うにする疎水性コアや親水性被覆物を提供する。本発明で用いることができるリ ポソームには、DOPE(ジオレイルホスファチジルエタノールアミン)、CU DMEDA(N-(5-コレストラム-3-β-オール3-ウレタニル)-N',N'-ジメチルエ チレンジアミン)が含まれる。来国特許第5,527,928号並びにPCT公開第WO 96 /10555号及び第WO 97/11935号(これらは下記作用剤の製造及び使用のために本 明細書に参照として含まれる)に記載されているカチオン性輸送試薬及び多機能 カチオン性サイトフェクチン(cytofectins)を使用することが特に重要である 。リポソームを使用して問題のDNAを導入するとき、先ず動物モデル(例えば 、ホ乳動物モデル、好ましくはラット又はマウス)でDNA:脂質比率の最適値 及びDNAと脂質との絶対濃度を、形質転換すべき細胞の特定の型について細胞 死と形質転換効率の関数として決定することが好ましい。次に、これらの値を他 の対象(例えば、ヒト対象)で使用するか又は使用するために外挿することがで きる。 他の製剤を本発明に従って使用することもできる。このような製剤には、宿主 細胞の生物学的特性を変える目的で宿主細胞への送達を促進する担体分子(例え ば、抗体又はレセプターリガンド)と結合したDNA又はRNAが含まれる。「 化学的修飾」という用語は、例えば、核酸化合物を担体分子、例えばタンパク質 若しくは脂質又はこれらの誘導体と結合できるように核酸を修飾することを意味 する。代表的なタンパク質担体分子には、標的とする腸細胞又はレセプターリガ ンドの細胞に特異的な抗体、即ち標的とする腸細胞の細胞と結合したレセプター と相互作用し得る分子が含まれる。 ある態様として、製剤は主としてネイキッドDNA(例えば、ウイルスベクタ ー内に含まれていないDNA)で構成されるか、及び/又は界面活性剤(例えば イオン性及び非イオン性界面活性剤、例えばポリブレン等)若しくは粘液破壊剤 (例えば、N-アセチルシステイン、ジチオスレイトール及びペプシン)を実質的 に含有していない。更に、本発明による腸細胞形質転換用の製剤は、増殖強化因 子(例えば、急速には分割しない細胞内への核酸の取り込みを高める因子)、例え ば表皮増殖因子、血管形成因子、インスリン様増殖因子-1、インスリン様増殖 因子-2、形質転換用増殖因子-α、ガストリン、メトトレキセート、フルオロウ ラシル、フロキシウリジン及びアラビノシド-Cを実質的に含まないことができ る。製剤ば、好ましくは腸の標的上皮細胞、更に好ましくは小腸の吸収細胞及 び/又は大腸の円柱上皮細胞を標的とするように調製される。腸幹細胞は、特に 、短期間治療が望ましい場合、本発明による形質転換の好ましい標的ではない。投与及び腸細胞のインビボ形質転換 問題のDNAの胃腸投与は、当該技術分野で良く知られている多様な方法によ って達成することができる。一般に、本発明に関連した有用な方法は、問題の治 療用遺伝子産生物をコードする核酸を含有する製剤に対して腸の標的細胞(例え ば、腸上皮細胞、詳細には小腸又は大腸の上皮細胞)を暴露することに係わって いる。このような方法には、核酸の経口投与及び、例えば、坐剤、内視鏡又はカ テーテルを使用した腸内腔への直接投与が含まれるがこれらに限定されない。核 酸は、対象に対して経口的に投与されるのが好ましい。 十分な数の標的腸細胞を形質転換し治療タンパク質レベルの発現を提供するD NAの量は、動物モデルにおけるインビボ形質転換効率、インビボ動物モデルで 達成されたタンパク質の発現レベル、及び標的腸細胞の形質転換され易さのよう な要素に基づいて容易に決定することができる。例えば、標的腸細胞が小腸上皮 細胞であり且つ核酸がネイキッドDNAとして経口的に投与される場合、標的小 腸上皮細胞を形質転換するのに有効なDNA濃度を提供し且つ血液又は胃腸管の どちらかで治療タンパク質値を提供するために、ネイキッドDNAは小腸に到達 するのに十分な濃度で投与される。一般に、核酸は、使用される製剤に依存して 約1mgから1g、一般的には約100mgから約1gまでの範囲で投与される。一般 に、ヒトの投与量は、ラット又はマウスモデルで有効な投与量の約200倍である 。例えば、今日までのところ、動物モデル(ラット)における最も有効な投与量 は約32μgから約64μgまでである。かくして、ヒトで予想される有効投与量は 約6mgから約12mgまでである。製剤は、所望のタンパク質の所望の発現レベル及 び/又は所望の治療期間に依存して、例えば、1日数回、毎日又は週に数回投与 することができる。タンパク質治療の評価 本発明の送達系は、投与が望まれる治療用遺伝子産生物、特にタンパク質に関 連して使用することができる。この送達系は静脈内治療の有効性が未だ試験され ていないタンパク質と共に使用することができるが、この送達系は有効性が良好 に確立されているタンパク質又は他の遺伝子産生物(例えば、hGH、インスリ ン等)をコードするDNAと共に使用することもできる。更に、以下の実施例が 与えられると、通常の技側を有する技術者は、この送達系によって問題のDNA を送達した後にインスリンやhGHが動物モデルの血流に効率的に提供されるの で、他のタンパク質も特許請求された送達系を使用して容易に送達できると容易 に決定することができる。 この特許請求された発明の送達系は、広範な治療用遺伝子産生物に関連して使 用できるので、問題のDNAによってコードされる遺伝子産生物の発現効果を多 様な方法でモニターすることができる。一般的に、対象から得られる血液サンプ ル又は腸粘膜分泌サンプルを治療用タンパク質の存在についてアッセイすること ができる。このようなサンプル中で問題のタンパク質を検出するのに適当なアッ セイは当該技術分野で良く知られている。例えば、腸細胞遺伝子治療が静脈内タ ンパク質治療を達成するために実施されている場合、血液サンプルは、ELIS Aアッセイで治療用タンパク質と特異的に結合する抗体を使用してタンパク質の 存在について試験することができる。このアッセイは定性的又は定量的に実施す ることができる。ELISAアッセイ、並びにサンプル中のタンパク質を検出す る他の免疫学的アッセイは、Antibodies:A Laboratory Manual(1988年、Harlow 及びLane編集、Cold Spring Harbor Laboratory、ニューヨーク州コールドスプ リングハーバー)中に記載されている。 これに代わって、又はこれに加えて、タンパク質治療の有効性は、治療用タン パク質に関連した活性(例えば、酵素活性)について、血液又は腸分泌サンプル を試験して評価することができる。例えば、治療用タンパク質が抗菌活性を有し ている場合、試験サンプルによる細菌増殖阻止能力を試験して治療法の有効性を 試験することができる。更に、腸細胞遺伝子治療の有効性は、改善についてホ乳 類対象の状態をモニターして評価することができる。例えば、治療用タンパク質 がエリスロポエチンである場合、対象の血液は、貧血に関連した鉄分含有量又は 他のパラメーターについて試験する。治療用タンパク質がインスリンである場合 、 治療法の有効性はホ乳類対象の血中グルコース値を試験するか又はインスリンを 測定して(例えば、ヒトインスリンラジオイムノアッセイキット、Linco Resear ch Inc.、ミズーリー州セントルイス、を使用して)評価することができる。 実施例 以下の実施例は、当業界の通常の技量を有する者に、本発明をどのように実施 するのかに関する完全な開示及び説明を提供するために記載するものであって、 本発明者が発明と考える範囲を限定するように意図したものではない。使用した 数字(例えば、量、温度等)に関して正確を期すように努力したが、実験誤差及 び逸脱によるものが存在しよう。他に示されない限り、部は重量部であり、分子 量は平均分子量であり、温度は摂氏度であり、そして圧力は大気圧又はほぼ大気 圧である。実施例1:腸細胞形質転換用ヒト成長ホルモン(hGH)を発現するベクターの 構築 ヒト成長ホルモン(hGH)発現用の4つの構築物は、当該技術分野で良く知 られている技術(例えば、Sambrook等、同上参照)を使用して調製した。第1の 構築物、pFGHは、市販入手可能なベクターpBLUESCRIPT SK+(登録商標)(Stra tagene、カリフォルニア州ラジョラ)にゲノムhGH DNA配列が挿入されてい る(図2)。このhGHコード化配列はプロモーターと結合していないので、この ベクターはhGHを全く又はほんの低いレベルでしか発現しない。かくして、こ のpFGH構築物は、腸におけるhGH発現のネガティブ・コントロール(negat ive control)として使用する。第2の構築物、pFGH.CMVは、pFGHベ クターのゲノムhGH配列の上流にヒトCMVの前初期遺伝子から得られるプロ モーターを機能的に挿入することによって構築した(図3)。第3の構築物、pF GH.chymoは、pFGHベクターのゲノムhGH配列の上流にラットキモトリプ シンB遺伝子プロモーターを機能的に挿入することによって構築した(図4)。第 4の構築物、pFGH.RSVは、pFGHベクターのゲノムh GH配列の上流にRSVの末端反復配列(LTR)から得られるプロモーターを 機能的に挿入することによって構築した。実施例2:腸内腔へのネイキッドDNAの導入によるヒト成長ホルモンをコード するDNAのインビボ遺伝子導入 pFGH.CMVを使用して、約300gの成熟ラットの腸上皮を形質転換した( pFGH.CMV 10匹のラット;リポフェクチンを有するpFGH.CMV、4匹 のラット;ポリカチオン性デンドリマーを有するpFGH.CMV、4匹のラット ;ネガティブ・コントロール(PBS)、1匹のラット;及びネガティブ・コント ロール(手術せず)、8匹のラット)。 ラットをペントバルビタールで麻酔した。開腹術を実施し、上部十二指腸又は 末端回腸を確認した。腸を5cm長さで結紮し、少量の静脈血分別物を得、pFG H.CMVを含むリン酸緩衝生理食塩液(PBS)400μl、又はPBS単独400 μl(ネガティブ・コントロールの1番)を腸に徐々に注射するか又は注入し、 適所に15分間放置した。使用した溶液の量によって腸が僅かに膨張する。ベクタ ー含有溶液は、PBS400μl当たりDNA20〜200μg;6%リポフェクチン( 形質転換効率を高めるために使用されるカチオン脂質)を有するPBS400μl 当たりDNA32μg;又はデンドリマー128μgを有するPBS中100μl当たり DNA32μgで構成されていた。次に、弾性の紐を除去し、腸を正常な位置に戻 し、腹部を縫合材で閉じた。手術後の回復は満足できるものであり、病気の徴候 又は症状はその後の48時間に亘って認められなかった。剖検で、腸は全ての点で 正常に見えた。このトランスフェクション法で、腸細胞の約5〜10%にベクター が直接接近する。 24時間後に、ペントバルビタールでラットを再度麻酔し、組織を摘出し、そし て屠殺前に血液サンプルを採取した。トランスフェクション前後の血液サンプル を調製し、各サンプルでイムノアッセイを使用して成長ホルモンをhGHについ て測定した。血清サンプル中のhGH値は、合わせたサンプルを3回洗浄してガ ンマ計数前に新しい管に入れたことを除いて、hGHラジオイムーンアッセイ( Nichols Institute)を使用して測定した。各アッセイは3回重複して実施し、 1組のコントロールサンプルと比較した。 pFGH.CMVベクターだけ(ネイキッドDNA)を投与したラットは、D NAを投与しなかったラットのバックグラウンドhGH交差反応性値と比較して 、より高いhGH値を全身及び門脈血サンプル中で示した(図5)。リポフェクチ ンを追加しても形質転換効率は高くならず(血液サンプル中のhGHの存在で測 定して)、むしろネイキッドDNAの使用と比べて形質転換効率は顕著に低下し た。同様に、DNAとデンドリマーを投与したラットの形質転換効率はネイキッ ドDNA単独の使用と比べて低下した。かくして、単純なPBS溶液にhGHを コードするネイキッドDNAを投与すると、腸細胞の形質転換が成功裏にもたら されるだけでなく、リポフェクチン又はデンドリマーを含有する製剤中の同じ構 築物の投与よりも、効率的な腸細胞形質転換及びその後の静脈内分泌がもたらさ れた。更に、十二指腸及び回腸投与後の血漿値も同様に上昇し、腸細胞の形質転 換がこれら2つの部位で類似した効率レベルで達成されたことを示した。実施例3:腸細胞形質転換用ヒトインスリン(hIns)を発現するベクターの構築 ヒトインスリン及びヒトインスリン変異体発現用の2つのベクター構築物は、 当該技術分野で良く知られている技術(例えば、Sambrook等、同上参照)を使用 して調製した。第1の構築物、pBAT14.hinsは、市販で入手可能なベクターp BLUESCRIPT SK+(商標)(Stratagene、カリフォルニア州ラジョラ)にヒトインスリ ンをコードするcDNA配列が挿入されている(図6A)。このヒトインスリンコ ード化配列はヒトCMVの前初期遺伝子から得られるプロモーターと機能的に結 合しており、このプロモーターはヒトβ-グロビンの最初のイントロンとヒトイ ンスリンコード化cDNA配列の上流に位置している。第2の構築物、pBAT 16.hinsG1.M2は、ヒトインスリンの変異体をコードするヌクレオチド配列の上 流にCMVプロモーターを機能的に結合することによって構築した(図6B)。ヒ トインスリン変異体での突然変異によって、非内分泌細胞でも適当なプロセッシ ングが可能になるように、ペプチドCとAの間の第2のプロテアーゼ部位がフリ ン認識部位に変わっている。実施例4:腸内腔へのネイキッドDNAの導入によるヒトインスリンをコードす るDNAのインビボ遺伝子導入 ストレプトゾトシンを50mg/kg静脈内注射してラットに実験的糖尿病を誘発さ せた。ストレプトゾトシン処置によって注射後24時間以内に高い血糖値が生じる 。ストレプトゾトシン注射後直ちに、ラットをペントバルビタールで麻酔し、上 記のように開腹術を実施した。材料(PBS単独か、インスリンベクターpBA T16.hInsG1.M2を有するPBSのどちらか)1mlを、ストレプトゾトシン処置 動物とコントロール動物の両方の幽門接合部のすぐ下の十二指腸に点滴した。材 料は主としてネイキッドDNAで構成されていた。リポフェクチン、デンドリマ ー又は細胞へのDNA導入を高める他の材料は使用しなかった。次に、腹部を縫 合材で閉じた。コントロール染料測定によって、約1時間に亘ってこの材料が大 部分十二指腸上部に残っていることが示された。手術後の回復は満足できるもの であり、病気の徴候又は症状はその後の48時間に亘って観察されなかった。剖検 で、腸は全ての点で正常に見えた。 手術直前及び処置後24時間毎に血液サンプルを取得した。非処置ラットの正常 な血中グルコース値を示すために、処置を受けなかった(手術又はストレプトゾ トシン処置無し)ラットをネガティブ・コントロールとして使用した。結果を図 7に示す。ストレプトゾトシン誘発糖尿病は、処置後約48時間の間インスリンベ クター処置ラットで好転し、血中グルコースは正常又はほぼ正常値に維持された 。これらのデータは、ラットの腸細胞がヒトインスリンをコードするベクターで 首尾良く形質転換され、ヒトインスリンが発現され且つ血流に分泌され、ヒトイ ンスリンがストレプトゾトシン処置ラットの糖尿病症候群を首尾良く抑制したこ とを示している。更に、ベクターがもはや有効でなくなったとき(約48時間後)、 ストレプトゾトシン処置ラットで糖尿病が再発した。実施例5:腸内腔へのネイキッドDNAの反復送達によるヒト成長ホルモン(h GH)をコードするDNAのインビボ遺伝子導入 試験動物に投与するために、pFGH構築物(図4)及びpFGH.CMV( 図5)を調製した。プラスミドのコード化領域がhGHではなくて緑色蛍光タ ンパク質(GFP;Clontech、カリフォルニア州)をコードしていることを除い てpFGH.CMVと同一の構築物pGFP.CMV.N2.CMVをコントロール として使用した。 雄スプラーグ・ドゥリーラット、260g〜280gには、手術前に一夜絶食させた( 水は自由に与えた)ときを除いて、いつもラブチャウ(lab chow)のバランスの とれた食事を与えた。動物をペントバルビタール(50mg/体重kg)で麻酔し、十 二指腸に内在ポリエチレンカテーテルを入れた。カテーテルは横隔膜の下の近位 体壁から挿入し、そして肋骨ケージを越えて耳のちょうど後で耳の間の点まで皮 下をたどらせた。ここでカテーテルは皮膚を通過させ3本の結紮糸で固定した。 カテーテルの外部末端は取り外し可能な気密プラグで蓋をした。 最初のDNA投与前2日間、動物を休息させた。0日に、カテーテルに注入し たリン酸緩衝生理食塩液(PBS)1.6ml中のDNA32μgを各動物に投与した 。32マイクログラムのpFGH.CMV又はpFOXGFP.N2.CMV(コント ロール)のどちらかを32μg、覚醒ラットの内在カテーテルに毎日注入して経口 投与を模擬した。コントロール動物には等量のコントロールプラスミドを投与し た。 血流へのhGH送達を評価するために、朝遅くに血液を心臓穿刺によって取り 出し、血漿を12,000×gで15分間沈降させて調製した。hGHについてアッセイ する前に上清液を−80℃で保存した。ヒト特異的な被覆ビーズ法(Nichols Inst itute、カリフォルニア州サン ジュアン カピストラノ)を使用してhGHをイ ムノアッセイで測定した。 図11はhGHコード化DNAの反復投与の効果を示す。血漿hGHレベルは24 時間後にバックグラウンド以上に上昇し、試験期間中上昇したまま維持された。 これらのデータは、本発明の遺伝子に基づくタンパク質送達系を使用すると、反 復投与によってタンパク質送達が長時間維持され得ることを証明している。実施例6:ネイキッドDNA投与後の形質転換腸上皮細胞の同定及び特徴決定 本発明の方法を使用して形質転換される腸細胞の型、及び形質転換用構築物によ ってコードされるタンパク質の発現を、緑色蛍光タンパク質(GFP)をコー ドする構築物のインビボ投与後に、ラット腸細胞におけるGFPの発現を検査し て測定する。PBS単独(ネガティブ・コントロール)又はGFPコード化ベク ターpFOXEGFP.N2.CMV(図8:German及びWang 1994年Mol.Cell.B lol.14:4067も参照のこと)を有するPBSのいずれかを1ml実施例4に記載し たようにして、ラットの幽門接合部のすぐ下の十二指腸に点滴する。次に、腹部 を縫合材で閉じる。処置後24時間目に、組織サンプルをラットの腸から取得して 1.5%グルタルアルデヒド中で固定し、冷凍切片を調製する。蛍光顕微鏡を使用 して切片中でGFPの発現を検出し、GFPを発現している細胞の数及び型を測 定する。実施例7:ネイキッドDNAを使用するヒトにおける経口遺伝子治療 問題のDNAは当該技術分野で良く知られている方法に従ってカプセル(「遺 伝子ピル」)として製剤化する。このカプセルは、問題のDNAを約100mgから1 000mg含有する。このカプセルは、リポソーム、ウイルス取込み要素、DNアー ゼインヒビター、及び/又は種々の腸被覆物を更に含むことができる。好ましく は、カプセルは主としてネイキッドDNA(即ち、ウイルス取込み要素、デンド リマー、リポフェクチン又は細胞取込みを高めるために従来の製剤で使用される 他の成分若しくは作用剤を有していないDNA)で構成され、DNアーゼ又は胃 腸管を移動して所望の腸細胞に到達する間に生じる可能性のある分解若しくは損 傷に対してDNAを保護する成分を更に含むことができる。 上記のピルを、ピル内のDNAによってコードされるタンパク質の十分な発現 レベルを達成するように、ヒト患者に投与する。ピルは、所望のタンパク質の所 望の発現レベル及び/又は所望の治療期間に依存して、例えば、1日数回、毎日 又は週に数回投与することができる。治療法は、例えば、忠者の血流中に存在す るタンパク質レベルを検査する(タンパク質が血流中に分泌される場合)か又は 患者の状態の改善若しくは安定化についてモニターして評価することができる。実施例8:坐剤にネイキッドDNAを使用する腸細胞遺伝子治療 問題のDNAは当該技術分野で良く知られている方法に従って坐剤として製剤 化する。この坐剤は問題のDNAを約100mgから1000mg含有する。この坐剤は、 リポソーム、ウイルス取込み要素、DNアーゼインヒビター及び/又は種々の腸 被覆物を更に含むことができる。好ましくは、坐剤は主としてネイキッドDNA (即ち、ウイルス取込み要素、デンドリマー、リポフェクチン又は細胞取込み高 めるために従来の製剤で使用される他の成分若しくは作用剤を有していないDN A)で構成され、DNアーゼ又は胃腸管を移動して所望の腸細胞に到達する間に 生じる可能性のある分解若しくは損傷に対してDNAを保護する成分を更に含む ことができる。 上記坐剤を、坐剤内のDNAによってコードされるタンパク質の十分な発現レ ベルを達成するように、ヒト患者に投与する。坐剤は、所望のタンパク質の所望 の発現レベル及び/又は所望の治療期間に依存して、例えば、1日数回、毎日又 は週に数回投与することができる。治療法は、例えば、患者の血流中に存在する タンパク質レベルを検査する(タンパク質が血流中に分泌される場合)か又は患 者の状態の改善若しくは安定化についてモニターして評価することができる。 上記した方法に類似する方法に従って、本発明による遺伝子導入によって腸上 皮細胞のゲノム内に挿入されたDNAから他の治療用タンパク質を発現させるこ とができる。 本発明が今や十分に説明されているので、添付の請求の範囲の精神又は範囲か ら離れることなく、多くの変更や修正をなし得ることは当該技術分野で通常の技 個を有する者にとって明白であろう。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) A61P 9/10 A61K 37/24 31/04 37/02 // C12N 15/09 C12N 15/00 A (81)指定国 EP(AT,BE,CH,DE, DK,ES,FI,FR,GB,GR,IE,IT,L U,MC,NL,PT,SE),OA(BF,BJ,CF ,CG,CI,CM,GA,GN,ML,MR,NE, SN,TD,TG),AP(GH,KE,LS,MW,S D,SZ,UG,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG ,KZ,MD,RU,TJ,TM),AL,AM,AT ,AU,AZ,BA,BB,BG,BR,BY,CA, CH,CN,CU,CZ,DE,DK,EE,ES,F I,GB,GE,GH,HU,IL,IS,JP,KE ,KG,KP,KR,KZ,LC,LK,LR,LS, LT,LU,LV,MD,MG,MK,MN,MW,M X,NO,NZ,PL,PT,RO,RU,SD,SE ,SG,SI,SK,SL,TJ,TM,TR,TT, UA,UG,US,UZ,VN,YU,ZW (72)発明者 ゴールドファイン、アイラ、ディー. アメリカ合衆国 94904 カリフォルニア 州 ケントフィールド グッドヒル ロー ド 640 (72)発明者 ロスマン、スティーヴン、エス. アメリカ合衆国 94708 カリフォルニア 州 バークリー アカシア アベニュー 98

Claims (1)

  1. 【特許請求の範囲】 1.対象の血流に治療用遺伝子産生物を送達する方法であって、該方法は、タン パク質をコードする核酸分子とこれに機能的に結合した真核生物プロモータ ー(promoting)配列とを含有する構築物を、前記配列がホ乳類患者が必要 としているタンパク質を発現し且つ該タンパク質が腸細胞から分泌されるよ うに、前記構築物で前記腸細胞の遺伝子形質転換を生じさせる態様でホ乳類 患者の胃腸管に投与し;かつ前記の遺伝子的に形質転換された細胞が治療上 有効量のタンパク質を発現できるようにし、それによって患者を治療するこ とを有する、上記方法。 2.前記腸細胞が小腸の吸収細胞である請求項3記載の方法。 3.前記腸細胞が大腸の円柱上皮細胞である請求項1記載の方法。 4.前記タンパク質が血流に分泌される請求項1記載の方法。 5.前記タンパク質が胃腸管に分泌される請求項1記載の方法。 6.前記核酸がネイキッド核酸として投与される請求項1記載の方法。 7.前記投与が経口投与である請求項1記載の方法。 8.前記ホ乳類患者における治療用タンパク質の発現が約2日から3日の期間で ある請求項1記載の方法。 9.インビボで腸上皮細胞を形質転換する方法であって、該方法は、タンパク質 をコードする核酸分子とこれに機能的に結合した真核生物プロモーター配列 とを含有する構築物をホ乳類対象の胃腸管に導入し、この導入によって遺伝 子改変腸細胞が生じ、かつ前記配列が前記患者が必要としているタンパク質 を発現し且つ該タンパク質が前記細胞から分泌されることを有する、上記方 法。 10.前記タンパク質が血流に分泌される請求項9記載の方法。 11.治療用遺伝子産生物をコードする核酸分子とこれに機能的に結合した真核生 物プロモーター配列とを含有する構築物;及び前記構築物で腸細胞の遺伝子 形質転換を生じさせる態様で該構築物をホ乳類対象の胃腸管に導入する手段 を有する治療用遺伝子産生物の送達系であって、前記構築物を前記胃腸管に 導入することによって、前記核酸による腸上皮細胞の形質転換、コードされ た治療用遺伝子産生物の発現及び送達が生じる、治療用遺伝子産生物の送達 系。 12.前記遺伝子産生物がタンパク質でありかつ該タンパク質がホ乳類対象の胃腸 管又は血流に分泌される請求項11記載の系。 13.前記形質転換細胞が小腸の吸収細胞または大腸の円柱上皮細胞である請求項 11記載の系。 14.ホ乳類患者の胃腸管への投与に適している医薬組成物であって、該組成物が 問題のDNAをコードするDNA構築物を含有し、かつ該構築物がホ乳類患 者の腸細胞内で治療用タンパク質を発現するのに適している、上記医薬組成 物。 15.前記製剤がリポフェクチン、デンドリマー及びウイルス成分を実質的に含有 していない請求項14記載の医薬組成物。 16.前記組成物が経口投与用に製剤化されている請求項14記載の医薬組成物。 17.前記組成物が直腸を通って胃腸管に直接挿入するように製剤化されている請 求項14記載の医薬組成物。
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