JP2001501641A - 核酸導入用組成物の製造方法 - Google Patents

核酸導入用組成物の製造方法

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Abstract

(57)【要約】 本発明は、核酸とカチオン性脂質とを接触させる処理から成る核酸導入用組成物の製造方法に関する。本発明方法によれば、接触に先立ってカチオン性脂質を加熱段階で処理する。本発明はまた、本発明方法によって得られた組成物及びそれらの使用に関する。

Description

【発明の詳細な説明】 核酸導入用組成物の製造方法 本発明は核酸導入用組成物の製造方法に関する。得られた組成物は試験管内( in vitro)、生体外(ex vivo)または生体内(in vivo )の細胞に核酸を導入するために使用され得る。 ヌード核酸(通常は高分子量であり負電荷を有している)の細胞浸透は希有な 現象であり、ヌード核酸による細胞トランスフェクションの効率は極めて低い。 このため従来技術でも、細胞に核酸を導入する様々な種類のベクター及び方法が 研究され発表されてきた。従来技術はウイルスベクター及び物理的方法の2種類 に大別できる。 ウイルスベクターとしては例えば、レトロウイルス、アデノウイルス、AAV 、ヘルペスウイルス、バキュロウイルスなどが使用される。一般にウイルスベク ターは極めて優れた導入効率を示す。しかしながら、ウイルスベクターには、そ の構築及び産生が難しい、そのクローニング容量がしばしば小さい、などの難点 がある。また場合によっては、ウイルスベクターの使 用に伴って、ウイルスの使用に固有の幾つかの欠点(伝播、病原性、など)が生 じる。 このため、核酸導入を目的とする種々の物理的方法が開発された。例えば、電 気穿孔、共沈、または、粒子銃の使用、などがある。 電気穿孔では、DNAを含有する細胞懸濁液に電界を作用させる。しかしなが ら、この方法は幾つかの場合には好結果を与えるとしても、細胞膜に不可逆的な 損傷を与える危険があるので最大限に利用することは難しい。粒子銃を使用する 方法では、粒子(金、タングステン)を核酸で被覆し、次いで細胞に打込む。し かしながらこの方法は本質的に植物細胞のような外壁のある細胞を対象としてい る。また、DNAをある種のポリマー(DEAE−デキストラン)またはリン酸 カルシウムと共沈させる方法は、再現性に乏しいという欠点、及び、ときには細 胞毒性であるという欠点を有している。 これらの欠点を解消するために、合成導入ベクターが開発されてきた。これら のベクターの本質的な役割は、細胞侵入に好適な形態の核酸を形成し、(細胞質 内部、次いで核の内部への)核酸の侵入を促進し、しかも核酸を細胞質ヌクレア ーゼから保 護することである。 これらのベクターのうちでも、カチオン性脂質が有利な特性を有している。カ チオン性脂質から成るベクターは、核酸と縮合し得る極性カチオン部分と、イオ ン相互作用を安定させる疎水性脂質部分とから構成されている。カチオン性脂質 の極性部分がイオン化するので、過剰量の脂質は細胞膜との相互作用にも有利で ある。カチオン性脂質の特定例としては特に、リポポリリシン、モノカチオン性 脂質(DOTMA;リポフェクチン(登録商標));ある種のカチオン性界面活性 剤(DDAB);リポスペルミン(DOGS、DPPESなど)及びリポテルミ ンなどがある。 任意に紡錘体形成性(fusogene)脂質(DOPEなど)と組合せて使 用されたこの種のベクターは、多くの種類の細胞に対してin vitro、e x vivo及びinvivoで優れた核酸導入特性を有することが証明された 。従ってこれらのベクターは、ウイルスベクター及び物理的方法に代替する有利 な核酸導入手段となり得る。しかしながら、これらのベクターは工業的規模であ まり利用されていないのが現状である。特に、従来技術に記載されたこれらのベ クターの作製 方法は実験に基づく方法であって工業化適性及び再現性に乏しく、また、最適特 性を与える組成をもたない不確定な組成の混合物が得られる。 組成物の公知の製造方法では例えば、脂質の種々の構成成分をクロロホルム中 で混合し、窒素流下で20分間乾燥し、次いで真空下で乾燥する。このようにし て得られた脂質フィルムを脱イオン水〔Hui 96〕,〔Felgner 8 7〕で復元する。次に混合物を渦流によって撹拌して脂質を再懸濁させ、音波処 理槽で懸濁液が清澄化するまで10分間音波処理し、次いで希釈する。細胞に添 加する直前に圧縮(compaction、複合体形成)を行って、F10培養培 地中で37℃で4時間静置する。この方法には幾つかの変法が存在する。例えば 、クロロホルムで溶解し乾燥した後、フィルムを20mMのNaCl溶液〔Gu ershon 93〕または20mMのHepesバッファ〔Gao 91〕で 復元してもよい。懸濁液を常法で渦流によって撹拌し(フィルムの復元直後また は4℃で24時間の水和段階後〔Gao 91〕)、種々の時間の音波処理を行 ってもよい。ときには圧縮後に複合体のイオン強度及びイオン符号を変化させて もよい〔Xu 1996〕。研究者によっ てはチタン音波ゾンデを使用するので、音波処理自体にもいくつかの変法がある 〔Gustafsson 1995〕。クロロホルムによる溶解、蒸発、乾燥に よるフィルムの形成、水性媒体による復元及び音波処理から成る製造方法はまた 、中性脂肪とカチオン性界面活性剤との組合せから成るリポソームの製造におい ても頻用されている〔Pinnaduwage 89〕。 別の製造方法では、(エタノール溶液、水性懸濁液またはリポソーム配合物の 形態の)市販の脂質をMEM培養培地で直接希釈する。DNAを同じ希釈度に希 釈し、両方の成分を倒置によって混合し、懸濁液を周囲温度で15〜30分間静 置する。次いで、新たに希釈した後、細胞に6時間接触させる〔Fasbend er 95〕。また、市販の脂質とDNAとを別々に蒸留水に希釈し、その後で 単なる撹拌によって接触させ、任意に周囲温度で15分間インキュベーションす る簡単な方法も使用できる〔Bringham 89〕。 別の方法では、脂質の初期形態が種々の濃度のエタノール溶液であり、これを DNAに接触させる直前に培養培地で即時希釈する〔Behr 89〕。また、 エタノール溶液を圧縮直前または圧縮10分前に別の媒体(水、種々の濃度のN aCl) に希釈してもよい。圧縮後、任意に10分間待機した後で、種々のイオン組成の 媒体に再度希釈してもよい。最終希釈の0分後または10分後にトランスフェク ションを行う〔Barthel 93〕。また、DNAを含む水性懸濁液にエタ ノール溶液を直接導入し、次いで混合物を処理槽で音波処理してもよい〔Dem eneix 91〕。 また、DOSPA/DOPE混合物から成るカチオン性リポソーム〔Hofl and 96〕を10mMのトリス溶液(pH7.4)中の1%のオクチルグル コシド(OG)によって可溶化することも公知である。DNAに接触後、(余剰 のOGミセルを除去するために)複合体を2,000倍容量の10mMトリス/ 5%デキストロース(pH7.4)に温度4℃で48時間透析する。この透析を3 回繰返す。血清を除去したDMEM中でトランスフェクションを37℃で4〜5 時間行う。 カチオン性リポソームはまた、脂質フィルムを再水和し、所定の孔径の多孔性 ポリカーボネート膜から連続的に押出す方法〔Duzgunes 89〕または 微粒流動化方法〔Sternberg 94〕によって製造できる。 これらの製造方法はいすれも、工業的規模に応用するために は幾つかの欠点を有している。音波処理を工業的規模で行うことは難しく、また 、音波処理によって形成された小胞の安定性がしばしば十分でない。更に、金属 から得られたゾンデを音波処理に使用すると、医薬用途には有害な粒子が媒体中 に放出される。また、濾過を用いた場合、最終濾過膜の孔径によって規定される 粒度のリポソームしか得られない。また、リポソームの経時的安定性が保証され ない。エタノール溶液の形態の脂質を使用する場合には、有機溶媒の使用という 問題に加えて、極めて多分散性の粒子の形成が誘発されることが明らかになって いる。 出願人はここに、トランスフェクション用組成物の新規な製造方法を開発した 。 より詳細にはこの方法は、出願人が行った脂質ベクターの物理化学的特性のキ ャラクタリゼーションに基づく。このようなキャラクタリゼーションによって出 願人は、これらのベクターが条件次第で種々の物理化学的状態(ミセル形態、成 熟凝集体の形態、など)で存在することを証明した。出願人は特に、脂質ベクタ ーの種々の物理化学的状態のキャラクタリゼーションに成功し、また、種々の状 態間の転移を調節し、DNAとの複 合体形成及び細胞トランスフェクションに好適な所定の状態で熟成を停止させ得 る手段を発見した。従って本発明は、所定の特性及び所定の粒度のトランスフェ クション用組成物を工業的規摸で製造し得る再現可能な方法を記載している。 より特定的には本発明方法は、均質なミセル懸濁液を得るためのカチオン性脂 質の予備処理に基づく。従って、本発明の第一の目的は、カチオン性脂質を核酸 に接触させる段階から成る核酸導入用組成物の製造方法において、核酸に接触さ せる前にカチオン性脂質を加熱する段階を含むことを特徴とする方法を提供する ことである。 出願人は、種々のカチオン性脂質の物理化学的特性を試験した。得られた結果 は、媒体のイオン強度、媒体のpHまたは温度次第で、カチオン性脂質が複数の 異なる物理的状態で存在することを示した。後述の実施例は特に、種々のカチオ ン性脂質(リポスペルミン、リポテルミン)の相図を示している。実施例はまた 、光学密度をpH及び温度の関数として測定することによって、pH及び温度の 条件に従って複数の異なる物理化学的状態が明らかに出現することを示している 。出願人はここに、複数の異なる物理的状態の脂質はDNAとの圧縮及び細胞ト ラ ンスフェクションにおいても異なる特性を示すこと、及び、脂質をこのような複 数の異なる物理的状態にするための再現可能な調節方法の開発が有益であること を証明した。 特に、脂質懸濁液の加熱処理を含む本発明の方法は、工業的利用の制約に容易 に対応できる簡単な方法であるという利点を有している。本発明方法は更に、D NAに接触させる前または接触させた後の脂質の構造を編制速度の調節によって 管理できるという利点を有している。本発明方法では更に、工業的規模で利用す るために不可欠な要件である製造方法の標準化が可能である。 より特定的には方法は、カチオン性脂質をミセル溶液が形成されるまで加熱す る予備段階を含む。より好ましくは、脂質ベクターを相転移温度よりも高い温度 まで加熱する。相転移温度は脂肪鎖の溶融温度に相当する。各脂質ベクターの相 転移温度を当業者に公知の技術によって決定できる。特に、例えば実施例に示す ようなDSC4装置(Perkin Elmer)を製造業者の指示通りに用い た示差熱分析法(またはDSC、Differential Scanning Calorimetry(示差走査熱量測定))を利用し得る。 本発明の方法は、任意の種類のカチオン性脂質に使用し得る。特に、リポポリ アミンの製造に好適である。リポポリアミンは、化学的アームによって互いに共 有結合された少なくとも1つの親水性ポリアミン領域と親油性領域とから成る両 親媒性分子である。好ましくは、ポリアミン領域は、一般式H2N−((CH)m −NH)1−Hで示される。式中のmは2以上の整数、lは1以上の整数であり 、mは2つのアミン間に含まれる種々の炭素基によって異なる。好ましくは、m は2〜6(両端値を含む)であり、lは1〜5(両端値を含む)である。より好 ましくは、ポリアミン領域はスペルミンもしくはテルミン、またはDNA結合特 性を保存しているそれらの類似体から成る。 親油性領域は、薄層構造または六方晶構造の相を形成し得るコレステロール、 天然脂質または合成脂質の1つまたは複数の飽和もしくは不飽和の炭化水素鎖で よい。親油性領域が2つの炭化水素鎖を含むのが好ましい。 更に、カチオン性脂質を後述するような脂質アジュバントと併用してもよい。 カチオン性脂質の好ましい例は、特にリポスペルミン、より特定的にはジオク タデシルアミドグリシルスペルミン(DOGS) またはパルミトイルホスファチジルエタノールアミンの5−カルボキシスペルミ ルアミド(DPPES)である。その製造方法は例えば欧州特許出願EP394 111に記載されている。別の好ましいファミリーはリポテルミンから成り、特 にRPR120531及びRPR120535(フランス特許FR95/134 90、国際特許WO96/17823;これらの特許の記載内容は参照によって 本発明に含まれるものとする)が挙げられる。これらの化合物の構造を図1に示 す。 本発明方法を実施するために、結晶質粉末またはフィルムの形態の脂質を純水 または任意にpHを調整した生理食塩水媒体で復元する。脂質の転移温度、即ち 脂肪鎖の溶融温度よりも高温に加熱して均質化する。前述のように、この相転移 温度は示差熱分析法によって決定できる。例えばDOGSの場合、この温度はp H7.5の水中で38℃であり、pH8.8で44℃である。酸性pHの純水中 では転移は全く観察されない。即ち、酸性pHの純水中では温度に関わりなく脂 質はミセルの形態である。相転移温度はまた、媒体のイオン強度の関数である。 例えば、NaCl溶液中のDOGSの相転移温度は、酸性pHで44.4℃、p H7.5で42℃及びpH9.9で39.8℃ である。この相転移温度は勿論、脂質毎に異なっている(実施例参照)。特にR PR120531の場合、DSC及び混濁度測定によって測定した相転移温度は 51.5℃(粉末)及び30℃(水和、pH7.5)である。RPR12053 5の場合、相転移温度は約43℃(水和、pH7.5)である。加熱には、湯煎 、直接加熱、または、温度を上昇させ得る任意の手段を使用し得る。適当なpH 条件下では懸濁液の清澄化を特徴とするミセル溶液が形成される。ミセルの存在 は混濁度測定、X線の小角散乱/回折のような技術、Cryo透過型電子顕微鏡 観察によって証明される。 本発明方法の予想外の別の利点は、組成物のトランスフェクション効率が高い ことである。即ち、得られた組成物は血清の存在に関わりなく細胞トランスフェ クション可能であるという利点を有している。実際、カチオン性脂質によるトラ ンスフェクション(in vitro,ex vivoまたはin vivo) が血清(例えば、ウシ胎仔血清)によって阻害されることは公知である。実施例 の結果は、本発明方法によれば脂質の予備加熱によって血清の存在下のトランス フェクション効率が改善されることを示している。従って、本発明の組成物は 血清の存在下でも非存在下でも同様に優れたトランスフェクション効率を有して いる。 ミセル溶液の形成後、脂質溶液を直接に核酸に接触させ、得られたヌクレオリ ピド複合体を直接使用して細胞トランスフェクションを惹起し得る。このような 組成物の利点は特に、組成物の均質性、確定性及び再現可能性にある。しかしな がら出願人はまた、組成物の特性、特にトランスフェクション特性を更に改善す るために、核酸に接触させる前のカチオン性脂質の熟成処理(圧縮前熟成)及び /または核酸に接触させた後のヌクレオリピド複合体の熟成処理(圧縮後熟成) を行うのが有利であることを証明した。脂質/複合体の熟成処理によって、カチ オン性脂質の構造及び粒度の再編制が生じる。出願人は実際、本発明方法の第一 段階で得られたミセル溶液中の脂質が変化し、種々の粒度及び種々の構造の編制 体を形成することを証明した。出願人はまた、核酸との複合体形成(圧縮)能力 及びトランスフェクション特性の双方にカチオン性脂質の編制状態が影響を及ぼ すことを証明した。 本発明方法は更に、加熱段階と接触段階との間に脂質ベクターの圧縮前熟成段 階を含む。 本発明方法は更に、接触段階後に、ヌクレオリピド複合体の圧縮後熟成段階を 含む。 ミセル溶液を出発材料とし、種々の脂質分子間の相互作用及ひ超分子的再編制 を促進することによって、種々の編制体を形成することが可能である。後述の実 施例は特に、カチオン性脂質か層状、管状または毛髪状の予想外の編制状態に移 行することを示す。濃度の増加に伴って、柱状または六方晶状のようなより大き い粒度の状態が出現する。これらの種々の構造は夫々に異なる特性を有している 。 本発明を実施するためには、圧縮前熟成を行うのが有利である。好ましくはこ の段階を、層状、管状、毛髪状、柱状及び/または六方晶状の編制された凝集体 が出現するまで行う。より好ましくはこの段階を、層状、管状及び/または毛髪 状の編制された凝集体が出現するまで行う。この種の凝集体は実際、核酸との複 合体を形成するために特に好適な初期構造を有している。 熟成処理は、カチオン性脂質分子間の相互作用を増進するかまたは分子間の再 編制を促進し得る任意の手段で行うことができる。本発明によれば、熟成処理は 好ましくは、温度低下、媒 体のpH増加及び/または媒体のイオン強度の増加によって行う。 温度を低下させることによって、脂質の脂肪鎖が再編制され、カチオン性脂質 が再構成され得る。図2に示す結果は、脂質の内部構成を表す脂質溶液の光学密 度が媒体の温度の関数として明らかに変化することを示している。媒体のpHま たはイオン強度を増加させることによって、ベクターのカチオン性部分に存在す る陽ィオン電荷の状態を変化させることが可能である。出願人は、例えば媒体を 徐々に中和(pH)するかまたは電荷を徐々に保護(遮蔽、イオン強度)するこ とによって、脂質分子間の静電斥力を調節的に減少させ、相互作用及び構成化凝 集体の再編制を促進し得ることを証明した。図4及び5に示す結果は、脂質の編 制状態に対するpH及びイオン強度の効果を示す。図3の写真は、観察された種 々の凝集体を示す。 好ましくは圧縮前熟成処理を温度低下によって行う。より好ましくは圧縮前熟 成処理を周囲温度の溶液のインキュベーションによって行う。これによって熟成 (凝集及び再編制)が緩徐に進行する。このような熟成速度は核酸との圧縮に好 適である。熟成の継続期間は脂質の種類、pH及び温度条件次第で異なっ ている。後述の実施例は、数時間から1カ月間の熟成が可能であることを示す。 圧縮前熟成期間は特に、層状、管状または毛髪状の構成体の出現によって決定さ れる。しかしながら、縮合段階のpH及び/またはイオン強度が十分に高いとき 、及び/または、圧縮後熟成処理を行うときは、圧縮前熟成処理を削除できると いう利点がある。即ちこれらの場合にはミセル形態の脂質からより小さく且つ均 一な粒度のヌクレオリピド複合体が得られるが、このような複合体は血清の有無 に関わりなくトランスフェクションに有効である。 また、媒体のイオン強度の増加によって熟成処理を行ってもよい。この場合に は、可溶化のとき、熟成のとき、または、接触(圧縮)のときに、0〜0.5M の範囲のイオン強度をもつ溶液を用いるのが有利である。好ましくは、等張(0 .15M)に近い溶液、即ち、0.05〜0.2Mの範囲のイオン強度をもつ溶 液を使用する。種々の塩(NaCl;KN03,Klなど)を使用し得る。 また、pHを利用して熟成処理を行ってもよい。3〜9のpH範囲、好ましく は6〜9のpH範囲で熟成または圧縮を行うのが有利である。使用される脂質ベ タターのpK及び脂質の 相図に従ってpHを調節することは当業者にもちろん可能である。カチオン性ベ クターのアミンの少なくとも30%、好ましくは少なくとも40%が脱プロトン 化しているpH範囲が有利である。 一般に圧縮前熟成処理は、pH及びイオン強度に関わりなく、脂質の相転移温 度よりも低温まで温度を低下させることによって行う。熟成段階及び/または圧 縮段階自体においてこの温度低下とpH及びイオン強度の変化とを併用してもよ い。 例えば、中間的なpH及びイオン強度の条件(例えばpH8以下の150mM のNaCl中のDOGSの場合)では、以下のような編制状態が観察される。 pH7.5の150mMのNaCl中のDOGS懸濁液は、 −約50℃に加熱直後にはほぼ球状のミセル(図3A)から成り、 −加熱し周囲温度に冷却した3時間後には種々の長さの棒状及び毛髪状の球状 ミセル(図3B)から成り、 −加熱し周囲温度に冷却した1週間後には種々の粒度の層状構造の小円板(図 3C)から成り、 −加熱し周囲温度に冷却した1カ月後には層状構造の大円板 (図3D)から成る。 固有pH(約3.5)の場合には同じ懸濁液が、加熱し周囲温度に冷却した1 日後に球状及び毛髪状のミセルから成る。 pH5に調整したDMEM媒体中のDOGS懸濁液は、 −加熱直後には球状ミセル単独から成り、 −加熱し周囲温度に冷却した5時間後または1週間後には球状及び毛髪状のミ セルから成る。 これらの観察は、層状または毛髪状の編制凝集体を形成するために脂質の種類 及び媒体の条件に応じて適当な熟成期間を選択できることを示す。媒体の条件及 び加熱後の時間に基づいて脂質が有している構造を知ることができるので、以後 にDNAに接触させる脂質の構造を調節することが可能である。更に、加熱/冷 却/“圧縮前熟成”の方法は完全に可逆的である。従って、熟成時間を超過した 場合には、懸濁液を再加熱することによって全条件に共通のミセル状態に戻すこ とが可能である。 加熱段階及び任意の圧縮前熟成段階後に脂質を核酸に接触させる。 核酸はDNAでもRNAでもよい。DNAは、種々の遺伝要素(コーディング フェーズ、プロモーター、ターミネーター、 結合部位、複製起点、など)を担持する直鎖状または環状の超コイル形または弛 緩形のプラスミド型または非プラスミド型のDNAでよい。核酸は種々の起原( ヒト、動物、下等真核生物、原核生物、植物、ウイルス、ファージなど)に由来 し得る。核酸はまた、合成または半合成の核酸でもよい。核酸のサイズは(オリ ゴヌクレオチドから完全ゲノムまで)極めて多様である。本発明組成物の利点は 更に、任意のサイズの核酸導入に適応できることである。特定の実施態様によれ ば、核酸は、特定のタンパク質またはRNAの発現カセットを担持するDNA( 例えはプラスミドまたはDNAフラグメント)である。これらのタンパク質また はRNAをin vitro,ex vivoまたはin vivoで産生させ る目的が、治療用または農産物加工用のタンパク質(酵素、アミノ酸など)を得 るためであってもよい。更に、核酸は、異なる特性を有している種々の核酸の混 合物であってもよい。 核酸は当業者に公知の任意の技術(バンクスクリーニング、人工的合成、混成 方法など)によって製造できる。 接触(圧縮)処理に用いるために、核酸(核酸組成物)を水性媒体に易溶性に する。圧縮効率及び最終組成物の導入特性を 改善するように水性媒体の組成、イオン強度及びpHを調節する。特にDOGS を用いて行った試験では、接触段階以前の脂質の状態に関わりなくDNAと接触 中に脂質がミセル状態で存在する媒体(即ち、極めて弱いイオン強度及び/また は低いpHの媒体)中で圧縮させるとき、ウシ胎仔血清の存在下で良好なトラン スフェクション効率が得られないことが確認された。このような低pH及び弱イ オン強度の条件下で形成された複合体は層状の構造を有していないことが判明し た。従って、好ましくはpH範囲4〜10の生理的食塩水媒体中で圧縮処理する 。最適条件は脂質の種類に依存し、特に核酸の存在下で層状の相を形成する脂質 の能力に依存する。好ましくは、pH6〜9の範囲の媒体中で圧縮処理する。媒 体の有利な塩分濃度は0〜2Mの範囲、好ましくは0.01〜0.5Mの範囲、 より好ましくは0.05〜0.2Mの範囲である。圧縮に有利な媒体は、pH6 〜9の範囲をもつほぼ等張(0.15M)の媒体である。これらの条件は、脂質 の加熱媒体または圧縮前熟成に適用される。これらの条件下では媒体の変性を生 じることなく圧縮が生じる。圧縮前熟成を異なる条件下で行う場合には、上記の 値を指標として媒体の組成を調節するのが有利である。実施例に示 した結果は、これらの条件下で特に有利な予想外のトランスフェクション特性を 有する組成物が得られることを実証している。特に、血清による阻害作用に不感 受性の組成物を得ることが可能であり、これはvitro(SVF)またはvi voで使用するために特に有利である。 接触処理のために、核酸及び脂質の夫々の量及び濃度を変更し得る。これらの 量及び濃度は、従来技術に記載された同様のベクターで使用される量及び濃度で ある。特に、核酸及び脂質のそれぞれの使用量は、脂質の正電荷と核酸の負電荷 との比によって決定される。この電荷比は0.01〜100の範囲である。当業 者は、使用目的がvitroであるかvivoであるかに基づき、選択された脂 質及び選択された核酸の種類に従って適正な比を選択する。電荷比の好ましい範 囲は0.01〜20である。 このようにして得られたヌクレオリピド複合体をそのままでトランスフェクシ ョンに使用できる。また、複合体の導入特性の改善に最適な複合体の構造的編制 が得られるように“圧縮後熟成”と呼ばれる熟成処理を行ってもよい。実際、核 酸との圧縮に好適な脂質の編制状態は必ずしもトランスフェクションレ ベルの向上に最適な編制状態ではない。従って、層状、柱状及び/または六方晶 状に編制された凝集体が出現するまで圧縮後熟成処理を行うのが有利である。圧 縮の初期からこのような凝集体が出現するときも、組成物を均質化するために圧 縮後熟成処理を行うのが有利である。圧縮後熟成の条件及び手段は圧縮前熟成の 条件及び手段と同様である。当業者は、圧縮前熟成及び脂質ベクターの種類に従 って適当な熟成処理期間を決定し得る。 得られた組成物は、核酸導入のために即時に使用できる。また、組成物を後で 使用するために例えば凍結乾燥形態または冷凍形態で貯蔵及び保存してもよい。 前述のように本発明の組成物は工業利用に好適な多くの利点を有している。組成 物は、所定の粒度を有しており、均質で再現可能で安定であり、高い導入能力を 与える。 より特定的には本発明の目的は、カチオン性脂質と核酸との複合体を含む核酸 導入用組成物であって、導入効率が血清の存在によって実質的な影響を受けない こと及び組成物が上述の方法によって得られることを特徴とする組成物を提供す ることである。 組成物は好ましくは、カチオン性脂質としてリポポリアミンを含んでいる。よ り好ましくは、リポポリアミンは、好ましくは2つの脂肪鎖をもつリポテルミン またはリポスペルミンである。更に、組成物に幾つかのアジュバント、特に脂質 アジュバントを添加し得る。より好ましくは、脂質アジュバントは2つの脂肪鎖 を有する中性脂肪である。 特に好ましくは、生理的条件下で両イオン性であるかまたはイオン電荷を失っ た天然または合成の脂質を使用する。より特定的には脂質は、ジオレオイルホス ファチジルエタノールアミン(DOPE)、オレオイル−パルミトイルホスファ チジルエタノールアミン(POPE)、ジーステアロイル、−パルミトイル、− ミリストイルホスファチジルエタノールアミン、及びそれらの1〜3回N−メチ ル化した誘導体;ホスファチジルグリセロール、ジアシルグリセロール、グリコ シルジアシルグリセロール、セレブロシド(例えば、特にガラクトセレブロシド) 、スフィンゴリピド(例えば、特にスフィンゴミエリン)、コレステロールある いはアシアロガングリオシド(例えば、特にアシアロGM1及びGM2)から選 択される。 これらの種々の脂質は、当業者に公知の慣用の技術で合成し てもよく、または器官(例えば脳)もしくは卵から抽出してもよい。特に、天然 脂質の抽出は、有機溶媒を用いて行うことができる(Lehninger,Bi ochemistryも参照)。 好ましくは、本発明の組成物は、カチオン性脂質に加えて、核酸の燐酸塩1モ ル当量あたり0.1〜20モル当量、より好ましくは1〜5モル当量の中性脂肪 を含有している。 特に有利な実施態様によれば、本発明の組成物は、核酸の導入方向を決めるタ ーゲッティング要素を含む。このターゲッティング要素は、所望の幾つかの細胞 型または幾つかの組織(腫瘍細胞、肝細胞、造血細胞など)に向かって核酸を誘 導する細胞外ターゲッティング要素でもよい。また、幾つかの重要な細胞小器官 (ミトコンドリア、核など)に向かって核酸を誘導する細胞内ターゲッティング 要素でもよい。 より好ましくは、ターゲッティング要素が共有結合または非共有結合によって 脂質に結合される。結合は特に、アンモニウムとのイオン性相互作用によって得 られてもよく、または、嫌核性の基(ハロゲン、トシレートなど)、活性エステ ル(ヒドロキシスクシンイミドなど)またはイソチオシアネートのよう なターゲッティング要素に対するベクターのアミンの求核性攻撃によって得られ てもよい。ターゲッティング要素はまた、核酸にも結合できる。 本発明の範囲内で有用なターゲッティング要素としては、糖類、ペプチド、オ リゴヌクレオチドまたは脂質がある。好ましい例としては、抗体、抗体フラグメ ント、細胞レセプターのリガンドまたはそれらのフラグメント、レセプターまた はそれらのフラグメントなどのような糖類及び/またはペプチドが挙げられる。 特に、成長因子レセプターのリガンド、サイトカインレセプター、細胞性レタチ ンのレセプター、付着タンパク質のレセプターなどがある。また、トランスフェ リン、HDL及びLDLのレセプターがある。ターゲッティング要素はまた、ア シアロ糖タンパク質レセプターをターゲットとする糖でもよく、または、免疫グ ロブリンのFcフラグメントのレセプターをターゲットとする抗体のFabフラ グメントでもよい。 記載のトランスフェクション用組成物は、in vitro、ex vivo またはin vivoの核酸導入に使用され得る。in vivo使用の場合に は、局所、経皮、経口、経直爛、膣内、非経口、鼻孔内、静脈内、筋肉内、皮下 、眼内、経 真皮などの経路で投与できる形態に調製し得る。好ましくは組成物は、注射可能 製剤を得るため、特に所望の器官の処に直接注入するためまたは局所経路(皮膚 及び/または粘膜)から投与するための医薬として許容される担体を含有してい る。等張性無菌溶液の形態でもよく、または、特に場合に応じて滅菌水または生 理的血清の添加によって注射可能な溶質を復元し得る特に凍結乾燥された乾燥組 成物の形態でもよい。注入に使用される核酸の用量及び投与回数は、種々のパラ メーター、特に使用される投与モード、対象となる疾病、発現させるべき遺伝子 または所望の治療期間に従って決定される。 この観点から、本発明の別の目的は、予め加熱したカチオン性脂質の懸濁液を 核酸に接触させ、形成されたヌクレオリピド複合体を細胞と共にインキュベーシ ョンする段階から成るin vitro、in vivoまたはex vivo で細胞に核酸を導入する方法に関する。 好ましくは、カチオン性脂質の懸濁液を予め加熱し、熟成させる。同様に好ま しい実施態様によれば、ヌクレオリピド複合体と細胞とのインキュベーションに 先立ってヌクレオリピド複合体を熟成させる。ヌクレオリピド複合体と細胞との インキュ ベーションは、任意に無菌条件の適当な支持体(培養皿、袋、フラスコなど)上 で、in vitroで行うことができる。インキュベートされるDNAの量は 当業者に公知である(106細胞あたり約1マイクログラム)。in vivo 使用の場合には組成物のin vivo投与(例えば、表在性投与または深在性 投与)によってインキュベーションが行われる。 以下の実施例を用いて本発明をより十分に説明する。これらの実施例は本発明 の代表的な非限定的実施例であることを理解されたい。図面の簡単な説明 図1は、カチオン性脂質の化学構造を示しており、1AはDOGS、1BはR PR120531、1CはRPR120535の化学構造を示す。 図2は、NaCl中の1mMのDOGS懸濁液の400nmの光学密度に対す る温度の影響を示す。 図3は、pH7.5のNaCl中の2mMのDOGS懸濁液のCryo透過型 電子顕微鏡写真である。サンプルは、加熱直後(3A)、懸濁液の加熱及び周囲 温度に冷却のそれぞれ3時間後(3B)、1週間後(3C)及び1カ月後(3D )に作製 した。 図4は、水中または150mMのNaCl中の0.6mMのDOGS懸濁液の 400nmの光学密度に対するpHの影響を示す。試験温度は50℃である。 図5は、DOGS(5A:水;5B:150mMのNaCl)、RPR120 531(5C:水;5D:150mMのNaCl)、及び、RPR120535 (5E:水;5F:150mMのNaCl)の相図である。 図6は、実施例5の組成物のトランスフェクション能力を示す。 図7は、実施例6の組成物のトランスフェクション能力を示す。 図8は、実施例7の組成物のトランスフェクション能力を示す。 図9は、実施例8の組成物のトランスフェクション能力を示す。 図10は、実施例9の組成物のトランスフェクション能力を示す。 図11は、実施例10の組成物のトランスフェクション能力 を示す。 図12は、実施例11の組成物のトランスフェクション能力を示す。材料及び方法 1.以下の実施例に使用したプラスミド(pXL2784)は、カナマイシン耐 性遺伝子とColE1のcerフラグメントを担持するColE1誘導体である 。真核細胞発現カセットはルシフェラーゼをコードする遺伝子をコントロールす るプラスミドpCDNA3のCMVプロモーターを含む(Photinu Py ralis)。他の任意の核酸を使用し得ることは理解されよう。 2.以下の実施例に使用したカチオン性脂質は、図1に示す構造をもつDOGS 、RPR120531及びRPR120535である。他のカチオン性脂質を用 いて同様の実験を実施し得ることは理解されよう。 3.トランスフェクションプロトコル。記載の方法はin vitro、ex vivo及びin vivoのトランスフェクションのいずれにも有効である。 使用した細胞はマウス線維芽細胞NIH 3T3である。こ れを前日に24ウェルのプレートにウェル当たり50,000細胞の密度で播種 した。使用した培養培地は、10%のウシ胎仔血清と1%のL−グルタミン(2 00mMの母液)と1%のピルビン酸ナトリウムとストレプトマイシン(5,0 00UI/ml)とペニシリン(5,000μg/ml)(Gibco)とを補 充した4.5g/リットルのブドウ糖を含むDMEM培地(ダルベッコの改質イ ーグル培地)である。 トランスフェクションに先立って、ウシ胎仔血消を含まないDMEMで細胞を 2回洗浄する。 細胞のトランスフェクションには、10%のウシ胎仔血消を添加または非添加 の200μlの培養培地中で、ウェルあたり0.5μgのDNAと3ナノモルの DOGSとを含む50μlのトランスフェクション懸濁液を用いる。 (CO2インキュベータ内で)37℃で4時間のインキュベーション後、ヌク レオリピド複合体を含む培養培地を除去し、10%のウシ胎仔血清を補充した5 00μlのDMEMに入れ換える。次に細胞を48時間インキュベートする。 4.真核細胞のルシフェラーゼ活性を測定する。 測定はトランスフェクションの48時間後に行う。ルシフェ ラーゼは、ATP、Mg2+及びO2の存在下のルシフェリンの酸化を触媒し、同 時に光子を発生する。光度計によって測定した総発光量はサンプルのルシフェラ ーゼ活性に比例する。反応体としては、Promega(ルシフェラーセアッセ イシステム)によって提供された製品を指示されたプロトコルに従って使用する 。細胞をPBSで2回洗浄後、250μlの溶解バッファによって細胞を溶解さ せ、各抽出物の不溶性画分を遠心分離によって除去する。細胞溶解バッファに希 釈または非希釈の5μlの上清を用いたアッセイによって定量する。実施例 実施例1 :カチオン性脂質の分子編制に対する温度の影響 結晶化したDOGSをクロロホルムに溶解することによってDOGSの1mM コロイド溶液を調製し、溶媒を蒸発させ、凍結乾燥装置で乾燥した。次に、フィ ルムを0.9%NaClバッファ(10mMのHepes、pH7.4)で復元 した。50℃に加熱後、コロイド溶液を4℃で1週間維持した。光学密度を連続 的に追跡した(恒温槽ホルダーを備えたLamda2分光光度計(Perkin Elmer))。分光光度計の槽に接続された浴(LAUDA RM6)の温 度を、1.25℃ /分の所定速度で変化させる。サンプルを入れた槽は撹拌システムを備えている 。 得られた結果を図2に示す。結果は、約40℃付近に光学密度の急激な低下を 示す。このOD低下は脂質構造の顕著な再編制が生じたことを意味する。 同時に、これらの温度変化中のDOGSの物理的状態のCryo透過型電子顕 微鏡写真を撮影した。このために、pH7.5のNaCl中の2mMのDOSG の懸濁液を50℃に加熱した。周囲温度でインキュベーションを行う熟成処理中 のサンプルの物理的性質を加熱後の時間の関数として測定した。得られた結果を 図3に示す。それぞれのサンプルを加熱直後(3A)、懸濁液の加熱及び周囲温 度に冷却の3時間後(3B)、1週間後(3C)及び1カ月後(3D)に調製し た。 得られた結果は、DOGSの構造が、ミセル段階から棒状及び毛髪状の構造を 経由して層状体の形成まで変化することを表す。この実施例は、脂質の圧縮前熟 成条件を確定し得る。実施例2 :カチオン性脂質の分子編制に対するpHの影響 結晶化したDOGSをクロロホルムに溶解してDOGSの1mMコロイド溶液 を調製し、溶媒を蒸発させ、凍結乾燥装置で 乾燥した。次に、pH範囲3.0〜11.0の150mMのNaClまたは水で フィルムを復元した。50℃に加熱後、懸濁液を周囲温度(25℃)に少なくと も3時間維持した後で測定を開始した。実施例1に記載の条件で光学密度を測定 した。 得られた結果を図4に示す。光学密度がpHの関数として増加することが極め て明らかである。光学密度の増加は、静電斥力の減少によって脂質の分子間の相 互作用が増加したことを表している。実施例3 :カチオン性脂質の相図 実施例1及び2で得られた観察が正しいことを確認するために、種々の脂質ベ クターの相図を作成した。これらの相図は、pH、イオン強度及び温度の条件に 依存する脂質の物理的状態を表している。また、脂質の相転移温度及び凝集挙動 を脂質のイオン化状態の関数として示している。 DOGSに関する相図は図5A及び5B、RPR120531に関する相図は 図5C及び5D、RPR120535に関する相図は図5E及び5Fに示されて いる。これらの相図は、脂質を純水(pH≦6)に溶解した場合には本発明の加 熱によって得られたミセル溶液が安定であることを示している。これらの 相図はまた、ミセル溶液が安定に維持されるイオン強度及びpH条件を確定する 。実施例4 :基本電解質中の種々の対イオンの試験 熟成段階で種々の対イオンを試験した。このために、0.1Mの濃度の基本電 解質を含みpHを調製していない(固有pH:3.5)媒体中の種々のDOGS 懸濁液を加熱及び周囲温度に冷却した後で1週間観察した。 −KNO3中では、ナノメーター構造はミセル型であり、観察される鮮明な縁 は少ない。サブミクロン構造は強し肩疑集傾向をもつ細いフィラメントである。 −KI中では、ナノメーター構造は積層型であり、極めて鮮明な縁が観察され る。サブミクロン構造は同じくフィラメントの形態であるが、KNO3中に比べ てより弱い凝集傾向をもつより太いフィラメントである。実施例5 A.複合体の調製及びトランスフェクションプロトコル 固有pH(3.5)の150mMのNaCl中の2mMの懸濁液の形態を有し ておりDNAに接触させる前日に加熱し周囲温度に放冷した(“1日間の予備熟 成”)脂質(DOGS)を DNAに接触させる。pH5〜6.6または8.2(これらのpHは測定値であ る)に調節した150mMのNaClから成りプラスミドpXL2874を含む 懸濁液に脂質を導入する。“圧縮後熟成”は周囲温度で0または3時間である。 ウシ胎仔血清の存在下(SVF)または非存在下でトランスフェクションを行っ た。B.結果 トランスフェクション結果を、5μlの溶菌液、即ち1/50のウェルあたり のRLU(Relative Light Unit(相対光量))として図6 に示す。各値は、4つのウェルの測定値の平均である。細い横線は偏差を表す。 この試験は、毛髪状ミセル溶液を出発溶液とするとき、高pH(この場合8. 2)の生理食塩水溶液媒体中の圧縮によって、どのような“圧縮後熟成”を行う かに関わりなく血清による阻害作用を解消し得ることを示す。更に、中間の圧縮 pHを使用するときも(同じく生理食塩水媒体中)、“圧縮後熟成”によって血 清によるトランスフェクション阻害作用が解消される。 脂質RPR120531及びRPR120535に対しても 同様の試験を実施した(DOGS、RPR120531及びRPR120535 の構造に関しては図1参照)。試験は、血清による阻害作用に対して圧縮pH及 び“圧縮後熟成”がDOGSの場合と同様の阻害効果を与えたことを示す。実施例6 A.複合体の調製及びトランスフェクションプロトコル 固有pH(3.5)の150mMのNaCl中の2mMの懸濁液の形態を有し ておりDNAと接触させる前日に加熱し周囲温度に放冷した脂質(DOGS)( “1日間の予備熟成”)またはエタノール(EtOH)中の2mMの溶液の形態 の脂質(DOGS)をDNAに接触させる。pH4.2、6.2、7.2もしく は8.2(これらのpHは測定値である)に調節した150mMのNaClから 成りプラスミドpXL2874を含む懸濁液またはDMEM培養培地に脂質を導 入する。pH6.2で圧縮を行う(pH6.2+mat.)以外は“圧縮後熟成 ”を全く行わない。圧縮を行う場合の“圧縮後熟成”は周囲温度で3時間である 。ウシ胎仔血清の存在下(SVF)または非存在下(SS SVF)でトランス フェクションを行った。B.結果 トランスフェクション結果を、5μlの溶菌液、即ち1/50のウェルあたり のRLU(Relative Light Unit(相対光量))として図7 に示す。各値は、4つのウェルの測定値の平均である。細い横線は偏差を表す。 この試験は、実施例5で(圧縮pH及び“圧縮後熟成”の関数として)観察さ れたウシ胎仔血清による阻害に対する圧縮DNA粒子の挙動はDOGSが生理食 塩水媒体中の懸濁液の形態でもエタノール溶液の形態でも同様に有効であること を示す。この試験はまた、“圧縮後熟成”段階が血清による阻害を解消し得るこ とを示す。実施例7 A.複合体の調製及びトランスフェクションプロトコル 固有pH(3.5)の150mMのNaCl中の2mMの懸濁液の形態を有し ておりDNAと接触させる直前(NM:予備熟成なし)または圧縮の前日に1日 間“予備圧縮”(1J)した脂質(DOGS)をDNAに接触させる。pH6. 2(このpHは測定値である)に調節した150mMのNaClから成りプラス ミドpXL2874を含む懸濁液に脂質を導入する。 脂質を“予備熟成”しなかったときは“圧縮後熟成”は0、0.5時間、3時間 、1日であり、脂質を周囲温度で“1日間予備熟成”したときは(対照)“圧縮 後熟成”は3時間である。ウシ胎仔血清の存在下または非存在下でトランスフェ クションを行った。ウシ胎仔血清の非存在下で得られた結果は、試験した種々の プロトコル間で有意に違ってはいなかったので、ウシ胎仔血清の存在下で行った トランスフェクションの結果だけを示す。B.結果 トランスフェクション結果を、5μlの溶菌液、即ち1/50のウェルあたり のRLU(Relative Light Unit(相対光量))として図8 に示す。各値は、4つのウェルの測定値の平均である。細い横線は偏差を表す。 この試験は、DOGSの“予備熟成”(DNAに接触直前の加熱)を使用しな いときは、血清による阻害作用を解消するために必要な“圧縮後熟成”期間を延 長しなければならないことを示す。従ってDNAに接触する前の脂質の構造か脂 質−DNA複合体の編制を促進し得ると考えられる。 また、予備熟成をすることなく圧縮し次いで十分な期間の“圧縮後熟成”を行 った脂質(NM−1J)は、予備熟成を行った 脂質(1J−3H)よりも効率的なトランスフェクションを行う粒子を形成し得 ると考えられる。その理由は恐らく、より小粒で均一の粒度をもつ粒子が形成さ れることにある。実施例8 A.複合体の調製及びトランスフェクションプロトコル pH7.5の水中の2mMの懸濁液の形態を有しており圧縮の1日前に“予備 熟成”(水、pH7.5)させた脂質(DOGS)またはpH7.5の150m MのNaCl中の懸濁液の形態を有しており同様に1日間“予備熟成”(NaC l,pH7.5)させた脂質(DOGS)をDNAに接触させる。pH7.2( このpHは測定値である)に調節した150mMのNaClから成りプラスミド pXL2874を含む懸濁液に脂質を導入する。“圧縮後熟成”を0(0)また は3時間(3H)行う。ウシ胎仔血清の存在下でトランスフェクションを行った 。B.結果 トランスフェクション結果を、5μlの溶菌液、即ち1/50のウェルあたり のRLU(Relative Light Unit(相対光量))として図9 に示す。各値は、4つのウェルの測定値の平均である。細い横線は偏差を表す。 これらの結果は、圧縮以前に脂質の構造化を進めておくことによって血清によ る阻害作用及び“圧縮後熟成”による阻害作用を解消し得ることを示す。pH7 .5のNaClのような高いpH及びイオン強度の条件はある種の編制には実際 に有利である。この試験はまた、“圧縮後熟成”を行うときは、粒度が過度に大 きくない脂質(pH7.5)とDNAとを圧縮することがトランスフェクション 効率の改善に好ましいと考えられることを示す。従って、血清の存在下で高いト ランスフェクション効率を得るためには、脂質の構造化と粒度との調整を図る必 要があると思われる。実施例9 A.複合体の調製及びトランスフェクションプロトコル 固有pH(3.5)の水中の150mMのNaCl中の2mMの懸濁液の形態 を有しており圧縮の1日前(1J)または4日前(4J)に“予備熟成”させた 脂質(DOGS)をDNAに接触させる。pH6.6(このpHは測定値である )に調節した150mMのNaClから成りプラスミドpXL2874を含む懸 濁液に脂質を導入する。“圧縮後熟成”は0(0)または3時間(3H)である 。ウシ胎仔血清の存在下(SVF)及 び非存在下でトランスフェクションを行った。B.結果 トランスフェクション結果を、5μlの溶菌液、即ち1/50のウェルあたり のRLU(Relative Light Unit(相対光量))として図1 0に示す。各値は、4つのウェルの測定値の平均である。細い横線は偏差を表す 。 この試験は、ウシ胎仔血清の非存在下でトランスフェクションを行うときは種 々のプロトコルの間に有意な違いがないことを示す。逆に血清の存在下では、“ 圧縮後熟成”処理をしなかったときは長期間(4日)の“予備熟成”が血清によ る阻害作用を部分的に解消し得ることを示す。この試験はまた、“圧縮後熟成” 処理をしたときは、少なくとも固有pHの150mMのNaCl中で上記の時間 だけ予備熟成させる追加の“予備熟成”は無効であるが有害ではないことを示す 。実施例10 A.複合体の調製及びトランスフェクションプロトコル pH7.5の150mMのNaCl中の2mMの懸濁液の形態を有しており、 圧縮直前に加熱するか(NM)または圧縮の前日(1J)もしくは1月前(1M )に“予備熟成”させた脂 質(DOGS)をDNAに接触させる。pH7.2(このpHは測定値である) に調節した150mMのNaClから成りプラスミドpXL2874を含む懸濁 液に脂質を導入する。“圧縮後熟成”は0(0)または3時間(3H)である。 ウシ胎仔血清(SVF)の存在下でトランスフェクションを行った。B.結果 トランスフェクション結果を、5μlの溶菌液、即ち1/50のウェルあたり のRLU(Relative Light Unit(相対光量))として図1 1に示す。各値は、4つのウェルの測定値の平均である。細い横線は偏差を表す 。 この試験は、“圧縮後熟成”処理をしないときは、“予備熟成”が血清による トランスフェクション阻害作用の一部を解消し得ることを示す。逆に、ヌクレオ リピド複合体を熟成処理するときは、DNAに接触させる直前に脂質を加熱して 脂質が小粒の粒子の形態で存在するときにトランスフェクション効率の改善が得 られることが確認された。実施例11 A.複合体の調製及びトランスフェクションプロトコル 純水(固有pH3.5)中の2mMのミセル溶液の形態を有 している脂質(DOGS)をDNAに接触させる。pH7.3(このpHは測定 値である)に調節した150mMのNaClから成りプラスミドpXL2874 を含む懸濁液に脂質を導入する。“圧縮後熟成”は0(0)、0.5時間(0. 5H)、3時間(3H)、1日(1J)または1週間(1S)である。ウシ胎仔 血清(SVF)の存在下でトランスフェクションを行った。B.結果 トランスフェクション結果を、5μlの溶菌液、即ち1/50のウェルあたり のRLU(Relative Light Unit(相対光量))として図1 1に示す。各値は、4つのウェルの測定値の平均である。細い横線は偏差を表す 。 この試験は、DOGSをミセル溶液の形態でDNAに接触させるときは、血清 による阻害作用を解消するために“圧縮後熟成”が必要になることを示す。この 実施例の場合、3時間の“圧縮後熟成”が十分であることが確認された。 これらの結果は総合的に、予備加熱段階及び複数の有利な熟成段階を含む本発 明のプロトコルによって、所定の組成をもつ均質な再現可能な組成物を得ること ができ、組成物のトランス フェクション特性が改善されることを示す。
【手続補正書】特許法第184条の8第1項 【提出日】平成10年9月24日(1998.9.24) 【補正内容】 請求の範囲 1.核酸をカチオン性脂質に接触させる段階を含み、接触に先立ってカチオン性 脂質をミセル溶液が形成されるまで加熱することを特徴とする核酸導入用組成物 の製造方法。 2.カチオン性脂質を相転移温度よりも高い温度まで加熱することを特徴とする 請求項1に記載の方法。 3.更に、加熱段階と接触段階との間に、冷却、媒体のイオン強度の変更及び/ またはpHの変更によって行うカチオン性脂質の圧縮前熟成段階を含むことを特 徴とする請求頂1に記載の方法。 4.更に、接触段階の後に、冷却、媒体のイオン強度の変更及び/またはpHの 変更によって行うヌクレオリピド複合体の圧縮後熟成段階を含むことを特徴とす る請求項1または3に記載の方法。 5.接触をpH4〜10の範囲で行うことを特徴とする請求項1または3に記載 の方法。 6.接触をpH6〜9の範囲で行うことを特徴とする請求項1または3に記載の 方法。 7.接触をイオン強度0〜2Mの範囲で行うことを特徴とする請求項1または3 に記載の方法。 8.接触をイオン強度0.01〜0.5Mの範囲で行うことを特徴とする請求項 1または3に記載の方法。 9.接触をイオン強度0.05M〜0.2Mの範囲で行うことを特徴とする請求 項1または3に記載の方法。 10.圧縮前熟成を周囲温度のインキュベーションによって行うことを特徴とす る請求項3に記載の方法。 11.圧縮前熟成を周囲温度で0.5時間〜1カ月の期間のインキュベーション によって行うことを特徴とする請求項10に記載の方法。 12.圧縮前熟成を毛髪状、管状、層状、六方晶状及び/または柱状の編制され た凝集体が形成されるまで行うことを特徴とする請求項3に記載の方法。 13.圧縮前熟成を毛髪状及び/または管状の編制された凝集体が出現するまで 行うことを特徴とする請求項12に記載の方法。 14.冷却を周囲温度のインキュベーションによって行うことを特徴とする請求 項4に記載の方法。 15.圧縮後熟成を六方晶状、層状及び/または柱状またはより大粒の編制され た凝集体が形成されるまで行うことを特徴とする請求項4に記載の方法。 16.カチオン性脂質がリポポリアミンから選択されることを特徴とする請求項 1から15のいずれか一項に記載の方法。 17.カチオン性脂質がリポスペルミンまたはリポテルミンであることを特徴と する請求項16に記載の方法。 18.核酸がDNAであることを特徴とする請求項1に記載の方法。 19.DNAがプラスミド、ベクターまたは直鎖状フラグメントであることを特 徴とする請求項18に記載の方法。 20.核酸がRNAであることを特徴とする請求項1に記載の方法。 21.予め加熱したカチオン性脂質の懸濁液に核酸を接触させ、形成されたヌク レオリピド複合体を細胞と共にインキュベーションする段階から成る試験管内( in vitro)または生体外(ex vivo)で細胞に核酸を導入する方 法。 22.請求項3に記載のように予め加熱し熟成させたカチオン性脂質の懸濁液に 核酸を接触させることを特徴とする請求項2 1に記載の方法。 23.ヌクレオリピド複合体を細胞と共にインキュベーションする前に請求項4 に記載のように熟成させることを特徴とする請求項21または22に記載の方法 。 24.血清による阻害作用に本質的に不感受性であること、及び、請求項1に記 載の方法によって得られることを特徴とする核酸導入用組成物。 25.更に、1つまたは複数の脂質アジュバントを含むことを特徴とする請求項 24に記載の組成物。 26.カチオン性脂質が更に脂質アジュバントを含むことを特徴とする請求項1 に記載の方法。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (81)指定国 EP(AT,BE,CH,DE, DK,ES,FI,FR,GB,GR,IE,IT,L U,MC,NL,PT,SE),OA(BF,BJ,CF ,CG,CI,CM,GA,GN,ML,MR,NE, SN,TD,TG),AP(GH,KE,LS,MW,S D,SZ,UG,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG ,KZ,MD,RU,TJ,TM),AL,AU,BA ,BB,BG,BR,CA,CN,CU,CZ,EE, GE,GH,HU,ID,IL,IS,JP,KP,K R,LC,LK,LR,LT,LV,MG,MK,MN ,MX,NO,NZ,PL,RO,SG,SI,SK, SL,TR,TT,UA,US,UZ,VN,YU,Z W

Claims (1)

  1. 【特許請求の範囲】 1.核酸をカチオン性脂質に接触させる段階を含み、接触に先立ってカチオン性 脂質を加熱段階で処理することを特徴とする核酸導入用組成物の製造方法。 2.カチオン性脂質をミセル溶液が形成されるまで加熱することを特徴とする請 求項1に記載の方法。 3.カチオン性脂質を相転移温度よりも高い温度まで加熱することを特徴とする 請求項2に記載の方法。 4.更に、加熱段階と接触段階との間に、カチオン性脂質の圧縮前熟成段階を含 むことを特徴とする請求項1に記載の方法。 5.更に、接触段階後に、ヌクレオリピド複合体の圧縮後熟成段階を含むことを 特徴とする請求項1または4に記載の方法。 6.接触をpH4〜10、好ましくは6〜9の範囲で行うことを特徴とする請求 項1または4に記載の方法。 7.接触をイオン強度0〜2M、好ましくは0.01〜0.5M、より好ましく は0.05M〜0.2Mの範囲で行うことを特徴とする請求項1または4に記載 の方法。 8.圧縮前熟成を、冷却、媒体のイオン強度の変更、及び/ま たは媒体のpHの変更によって行うことを特徴とする請求項4に記載の方法。 9.圧縮前熟成を周囲温度のインキュベーションによって行うことを特徴とする 請求項8に記載の方法。 10.圧縮前熟成を周囲温度で0.5時間〜1カ月の期間のインキュベーション によって行うことを特徴とする請求項9に記載の方法。 11.圧縮前熟成を毛髪状、管状、層状、六方晶状及び/または柱状の編制され た凝集体が形成されるまで行うことを特徴とする請求項8に記載の方法。 12.圧縮前熟成を毛髪状及び/または管状の編制された凝集体が出現するまで 行うことを特徴とする請求項11に記載の方法。 13.圧縮後熟成を冷却によって行うことを特徴とする請求項5に記載の方法。 14.冷却を周囲温度のインキュベーションによって行うことを特徴とする請求 項13に記載の方法。 15.圧縮後熟成を六方晶状、層状及び/または柱状またはより大粒の編制され た凝集体が形成されるまで行うことを特徴と する請求項13に記載の方法。 16.カチオン性脂質がリポポリアミンから選択されることを特徴とする請求項 1から15のいずれか一項に記載の方法。 17.カチオン性脂質がリポスペルミンまたはリポテルミンであることを特徴と する請求項16に記載の方法。 18.核酸がDNAであることを特徴とする請求項1に記載の方法。 19.DNAがプラスミド、ベクターまたは直鎖状フラグメントであることを特 徴とする請求項18に記載の方法。 20.核酸がRNAであることを特徴とする請求項1に記載の方法。 21.予め加熱したカチオン性脂質の懸濁液に核酸を接触させ、形成されたヌク レオリピド複合体を細胞と共にインキュベーションする段階から成る試験管内( in vitro)または生体外(ex vivo)で細胞に核酸を導入する方 法。 22.予め加熱し熟成させた脂質の懸濁液に核酸を接触させることを特徴とする 請求項21に記載の方法。 23.細胞と共にインキュベーションする前にヌクレオリピド複合体を熟成させ ることを特徴とする請求項21または22に 記載の方法。 24.血清による阻害作用に本質的に不感受性であること、及び、請求項1に記 載の方法によって得られることを特徴とする核酸導入用組成物。 25.更に、1つまたは複数の脂質アジュバントを含むことを特徴とする請求項 24に記載の組成物。 26.カチオン性脂質が更に脂質アジュバントを含むことを特徴とする請求項1 に記載の方法。
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