JP2001501027A - 放電ランプの始動装置及び放電ランプの始動方法 - Google Patents
放電ランプの始動装置及び放電ランプの始動方法Info
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Abstract
(57)【要約】
この発明は、放電ランプ、特に自動車のヘッドライト用の高圧放電ランプのパルス始動装置及び始動方法に関する。始動装置は、2つの並列接続された一次巻線を備え、この一次巻線が少なくとも1つの二次巻線に誘導結合されている変成器、又は、広幅の金属帯板からなる2つの一次巻線を備え、この一次巻線が電気絶縁物によって隔てられて少なくとも1つの二次巻線に巻回されている変成器を備えている。この発明による始動装置は、始動装置全体をランプ口金に収納することを可能とするコンパクトな構造を持っている。
Description
【発明の詳細な説明】
放電ランプの始動装置及び放電ランプの始動方法
この発明は、請求の範囲の請求項1或いは13の前文による放電ランプの始動
装置及び放電ランプの始動方法に関する。
I.技術分野
特に、この発明は、高圧放電ランプ、例えば自動車のヘッドライト用の低電力
形メタルハライドランプの始動装置に関する。高圧放電ランプは気密に閉塞され
た放電管を持っている。放電空間には、外部の電流リードと導電的に接続されて
いる2つのガス放電電極が配置されている。放電ランプの点灯中そのガス放電電
極の間には光を放出する放電アークが形成される。ランプの点灯のためには、放
電ランプに電力を供給すると共に放電電流を放電アークを介して制限する点灯装
置が必要である。この点灯装置はガス放電を開始させる放電ランプの始動装置を
も含む。高圧放電ランプにおいてガス放電を始動させるために低温のランプの場
合には数キロボルトの始動電圧が必要であるが、同じランプの高温再始動のため
には、即ち、なお高温状態にあるときの始動のためには、20kV以上の始動電
圧が必要である。ガス放電の始動が行われた後は高圧放電ランプの点灯電圧、即
ち、放電アークを維持するために必要な、放電間隙に亘る電圧降下は約80V乃
至100Vにも低下する。始動装置は、例えば、高圧放電ランプの両ガス放電電
極の1つに始動期間中単極性の高電圧パルスを加えるパルス始動装置として形成
される。
II.従来の技術
国際公開第97/04624号パンフレットを持つPCT出願には請求項1の
前文に相当する始動装置が開示されている。この始動装置は高圧放電ランプのパ
ルス始動装置である。このパルス始動装置は、一次巻線と二次巻線とを備えた始
動変成器、始動コンデンサ、この始動コンデンサを充電する抵抗及び自動開閉器
を備えている。二次巻線の一方の端子は高圧放電ランプのガス放電電極の1つに
接続され、他方の端子は始動装置の電圧入力部に接続されている。始動変成器の
一次巻線及び自動開閉器の開閉間隙は、これらに始動コンデンサの放電電流が流
れるように配置されている。
高圧放電ランプの高温再始動に必要な始動電圧は始動装置の電圧入力部に印加
されている電圧よりも遙に高いので、始動変成器はそれに応じた大きな変成比を
持たねばならない。始動変成器の変成比を大きくすることは、公知の市販の始動
装置がその嵩の大きい始動変成器により大きな所要スペースを必要とすることに
なる。それ故、自動車のヘッドライトでの使用が予定されている低電力形メタル
ハライドランプにおいては、このランプの始動装置をランプ口金に収納すること
は不可能である。
III.発明の説明
この発明の課題は、放電ランプの改良された始動装置及び放電ランプの改良さ
れた始動方法を提供することにある。特に、この始動装置はできるだけコンパク
トな構造を持ち、それにより自動車のヘッドライトに使用される、非常に小さい
構成を持つ低電力形メタルハライドランプにおいてさえ、なおその口金に始動装
置を収納することのできるようにしようとするものである。
この課題は、この発明によれば、請求項1或いは13の特徴事項によって解決
される。この発明の特に有利な実施態様はそれらに関係する請求項に記載されて
いる。
この発明による始動装置は、この発明によれば、少なくとも2つの一次巻線か
らなる並列接続と少なくとも1つの二次巻線とを備え、この一次巻線の並列接続
が少なくとも1つの二次巻線に誘導結合されている変成器を備えている。この手
段により、変成器の変成比が予め定められている場合、変成器の二次側の巻数を
、一次側と二次側との間の誘導結合が一次巻線の少数の巻数によって損なわれる
ことなく、著しく減少させることが可能となる。二次側で得られる誘導電圧は、
変成比が維持される場合には変化しない。
一次巻線はそれぞれ多くても2ターンを持つのが有利である。これにより少な
くとも1つの二次巻線の巻数も所望の変成比に応じて減少する。例えば、それぞ
れ2ターンを持つ、2つの並列接続された一次巻線を備えた変成器は、一次側と
二次側との間の誘導結合が4ターンを持つたった1つの一次巻線を備えた変成器
と全く同じ程度に良好であることが示されている。勿論、変成器の変成比が予め
定められている場合、二次側にそれぞれ2ターンを持つ2つの並列接続された一
次巻線の場合に対しては、4ターンを持つ一次巻線の場合に対して半分の数のタ
ーンしか必要でない。変成器の一次側と二次側との間の誘導結合をさらに改善す
るためには、並列接続される一次巻線が有利にはそれぞれ1つの銅の帯板からな
ることができる。
二次側の巻数を減少させることは、変成器及び始動装置全体のコンパクトな構
造を可能とする。その結果、始動装置の全ての構成部品を、変成器を含めて、ラ
ンプ口金に収納することができる。これにより、ランプのソケットと始動装置と
の間の、耐高電圧性絶縁部を備えた高価な電気接続を省略できる。ガス放電を始
動させる高電圧パルスはその場合ランプ口金内で作られ、従って最早外部からは
供給されない。
フェライト鉄心とボビンとを備え、このボビンが変成器巻線のための少なくと
も1つの捲線域を持つ変成器を使用すると有利であることが示されている。フラ
ッシオーバを回避し、フェライトの中の渦電流を阻止するために、フェライト鉄
心は有利には高抵抗材料からなり、その結果フェライト鉄心が1MΩ以上の電気
抵抗を持つのがよい。フェライト鉄心としては例えば円筒鉄心、管形鉄心或いは
ねじ形鉄心のようなE形鉄心或いは円筒形鉄心が有利に使用される。
この発明による始動装置は、コンデンサと、抵抗と、自動開閉器と、少なくと
も2つの並列接続された一次巻線及び少なくとも1つの二次巻線を持つ変成器と
を含む。始動装置の構成部品は、コンデンサがランプ内のガス放電の始動のため
に急激に放電し、その際コンデンサの放電電流が一次巻線の並列接続を介して及
び自動開閉器の開閉間隙を介して流れ、それによりランプのガス放電電極の1つ
に少なくとも1つの二次巻線に誘起された電圧パルスが加えられるように、配置
されかつ互いに接続されている。
この発明の第一の好適な実施例において、始動装置は、ランプ電極の1つにの
み単極性の始動電圧パルスが加えられる非対称形のパルス始動装置として形成さ
れている。この始動装置の場合変成器は、放電ランプの始動電圧出力部の端子に
接続されている1つの二次巻線しか持っていない。
この発明の第二の特に好適な実施例において、始動装置は、ランプの両ガス放
電電極に互いに逆極性の単極性始動電圧パルスが同時に加えられる対称形のパル
ス始動装置として形成されている。この点灯方法は、非対称形のパルス始動装置
に対して出力損失が少なく、また高電圧を通すランプ部品の電気絶縁に対する要
件が少ないという利点を持っている。パルス始動装置の特に好適なこの第二の実
施例は、ランプの始動期間中自動開閉器の開閉間隙を介して急激に放電する始動
装置のコンデンサの放電電流が流れる2つの並列接続された一次巻線と、この一
次巻線の並列接続に誘導結合されている2つの二次巻線とを備えた変成器を持っ
ている。両二次巻線はそれぞれ始動電圧出力部の1つの端子を介してランプの1
つのガス放電電極に接続され、上記の放電電流によって両二次巻線に互いに逆極
性の単極性の高電圧パルスが誘起されるように配置されている。
この発明の課題の他の解決法は請求項13の特徴事項及びこの発明の第三の実
施例に記載されている。
パルス始動装置の第三の実施例において、始動装置に付属する変成器は高々2
ターンを持つ一次巻線を備え、この一次巻線は、この発明によれば、少なくとも
1つの二次巻線と好ましくは変成器のフェライト鉄心とを包囲する広幅の金属の
帯板からなる。この手段により、変成器の変成比が予め定められている場合、変
成器の二次側における巻数を、一次側と二次側との間の誘導結合が一次巻線の少
数の巻数によって損なわれることなく、著しく減少させることができる。フェラ
イト鉄心と、少なくとも1つの二次巻線のための少なくとも1つの捲線域を持つ
ボビンとを備えた変成器を使用するのが有利であることが実証されている。フラ
ッシオーバを回避し、フェライトの中の渦電流を阻止するために、フェライト鉄
心は1MΩ以上の電気抵抗を備える材料からなるのが有利である。フェライトと
しては、例えば円筒鉄心、管形鉄心或いはねじ形鉄心のようなE形鉄心或いは円
筒形の鉄心が有利に使用される。
IV.好適な実施例の説明
以下に、この発明を幾つかの好適な実施例により詳細に説明する。図面におい
て、
図1はこの発明の第一の実施例による非対称形の始動装置の模式的回路図、
図2はこの発明の第二の実施例による対称形の始動装置の模式的回路図、
図3は4つの捲線域を持つボビン及びフェライト鉄心を備えたこの発明による始
動装置の変成器の模式図、
図4は5つの捲線域を持つボビン及びフェライト鉄心を備えたこの発明による始
動装置の変成器の模式図、
図5はこの発明の第四の実施例による非対称形の始動装置の模式的回路図を示す
。
図1にはこの発明の第一の実施例による非対称形のパルス始動装置の回路図が
示されている。この始動装置は、35ワットの定格電力を持ち、例えば自動車の
ヘッドライトにおいて使用されるメタルハライドランプLP1においてガス放電
を始動させるために使われる。この始動装置は、2つの一次巻線N10、N11
と1つの二次巻線N12とを備えた変成器TR1、コンデンサC1、抵抗R1、
火花間隙F1及びダイオードD1からなる。さらに、始動装置は第一の直流電圧
端子j10及び第二の直流電圧端子j11を持つ直流電圧入力部並びに第一の始
動電圧端子j12及び第二の始動電圧端子j13を持つ始動電圧出力部を備えて
いる。
直流電圧入力側で、例えば変圧装置(図示せず)によって自動車の搭載電源電
圧から発生される約400Vの直流電圧が始動装置に供給される。直流電圧端子
j10は+400Vに、他方の直流電圧端子はアース電位にある。正の端子j1
0は分岐点V10を介してコンデンサC1の1つの端子に接続されている。コン
テンサC1の他方の端子は別の分岐点V11を介して及び抵抗R1並びに順方向
の極性のダイオードD1を介して、アース電位にある直流電圧端子j11に接続
されている。これにより抵抗R1及びダイオードD1を介してコンデンサC1の
充電電流が流れ、このコンデンサC1は約350Vに充電される。分岐点V10
は変成器TR1の二次巻線N12の巻線始端に及び変成器TR1の並列接続され
た一次巻線N10、N11の巻線始端に接続されている。二次巻線N12の巻線
終端は始動電圧出力部の始動電圧端子j12に接続され、この始動電圧出力部自
体は、ランプLP1が組み込まれたときには、ランプLP1の1つのガス放電電
極E10に接続されている。ランプLP1が組み込まれたときに、このランプの
第二のガス放電電極E11に接続される他方の始動電圧端子j13は始動装置の
直流電圧入力部の、アース電位にある直流電圧端子j11に接続されている。
変成器TR1の両方の一次巻線N10、N11は並列に接続されている。即ち
、第一の一次巻線N10の巻線始端は第二の一次巻線N11の巻線始端に接続さ
れ、第一の一次巻線N10の巻線終端は第二の一次巻線N11の巻線終端に接続
されている。変成器巻線N10、N11、N12の巻線始端は、図1においてそ
れぞれその巻線の上の点でもって示されている。並列接続された両一次巻線N1
0、N11の巻線始端は分岐点V10に接続され、一方両一次巻線N10、N1
1の巻線終端は火花間隙F1の一方の端子に接続されている。火花間隙F1の他
方の端子は第二の分岐点V11に接続されている。
変成器TR1は、4つの捲線域S1、S2、S3、S4を備えたボビンSと、
このボビンSの軸線方向に延びる空孔に配置されている円筒形のフェライト鉄心
K1とを持っている。二次巻線N12は320ターンを持ち、直径が約0.3m
mの銅リッツ線からなる。この銅線はボビンSの4捲線域S1乃至S4に均一に
巻回されている。両一次巻線N10、N11はそれぞれ2ターンを持ち、それぞ
れ20本の銅リッツ線からなり、この銅リッツ線の各線は0.1mmの直径を持
っている。両一次巻線N10、N11は、電気絶縁体で隔離され、二次巻線N1
2に巻かれている。フェライト鉄心K1は変成器巻線N10、N11、N12の
ほぼ巻回軸線に配置されている。フェライトは1MΩ以上の電気抵抗を持ってい
る。
始動開始時にコンデンサC1は抵抗R1及び順方向の極性のダイオードD1を
介して充電される。コンデンサC1における電圧降下が凡そ350Vの値に達す
ると、火花間隙F1が破壊され、即ち火花間隙にコロナ放電が発生し、その結果
コンデンサC1は両一次巻線N10、N11の並列接続を介して及び火花間隙F
1を介して急激に放電する。両一次巻線N10、N11を介して流れるこの放電
電流は、この両一次巻線に誘導結合されている二次巻線N12に、正の極性の高
電圧パルスを誘起し、この高電圧パルスは、二次巻線N12の巻線終端に接続さ
れている放電ランプLP1のガス放電電極E10に加えられ、放電ランプLP1
におけるガス放電を始動させる。始動電圧出力端j12及びランプ電極E10の
電圧パルスは+25kVまでの値に達し、約300nsの幅を持っている。他方
のランプ電極E11はアース電位にある。
図2にはこの発明の特に好ましい第二の実施例による対称形のパルス始動装置
の回路図が示されている。この始動装置も、同様に、35ワットの定格電力を持
つ、例えば自動車のヘッドライトにおいて使用されるメタルハライドランプLP
1においてガス放電を始動させるために使われる。この始動装置は、2つの一次
巻線N20、N21と2つの二次巻線N22、N23とを持つ変成器TR2、コ
ンデンサC2、抵抗R2、火花間隙F2及びダイオードD2からなる。さらに、
この始動装置は第一の直流電圧端子j20及び第二の直流電圧端子j21を持つ
直流電圧入力部並びに第一の始動電圧端子j22及び第二の始動電圧端子j23
を持つ始動電圧出力部を備えている。
直流電圧入力側で、例えば変圧装置(図示せず)によって自動車の搭載電源電
圧から発生される約400Vの直流電圧が始動装置に供給される。直流電圧端子
j20は+400Vに、他方の直流電圧端子j21はアース電位にある。正の端
子j20は分岐点V20を介してコンテンサC2の一方の端子に接続されている
。コンデンサC2の他方の端子は別の分岐点V21及び抵抗R2並びに順方向の
極性のダイオードD2を介して、アース電位にある直流電圧端子j21に接続さ
れている。これにより抵抗R2及びダイオードD2を介してコンデンサC2に充
電電流が流れ、コンデンサC2は約350Vに充電される。分岐点V20は変成
器TR2の第一の二次巻線N22の巻線始端に及び変成器TR2の並列接続され
た一次巻線N20、N21の巻線始端に接続されている。第一の二次巻線N22
の巻線終端は始動電圧出力部の始動電圧端子j22に接続され、この始動電圧出
力部自体は、ランプLP2が組み込まれたときに、ランプLP2のガス放電電極
E20に接続されている。ランプが組み込まれたときに、このランプLP2の第
二のガス放電電極E21に接続される他方の始動電圧端子j23は第二の二次巻
線N23の巻線始端に接続されている。第二の二次巻線N23の巻線終端は、始
動
装置の直流電圧入力部の、アース電位にある直流電圧端子j21に接続されてい
る。
変成器TR2の両一次巻線N20、N21は並列接続されている。即ち、第一
の一次巻線N20の巻線始端は第二の一次巻線N21の巻線始端に接続され、第
一の一次巻線N20の巻線終端は第二の一次巻線N21の巻線終端に接続されて
いる。変成器巻線N20、N21、N22、N23の巻線始端は、図2において
それぞれその巻線の上の点でもって示されている。並列接続された両一次巻線N
20、N21の巻線始端は分岐点V20に接続され、一方両一次巻線N20、N
21の巻線終端は火花間隙F2の1つの端子に接続されている。火花間隙F2の
他方の端子は第二の分岐点V21に接続されている。両二次巻線N22、N23
は、その中に逆極性の誘導電圧が生ずるように、一次巻線N20、N21の並列
接続に誘導結合されている。
始動装置の変成器TR2は、5つの捲線域S1’、S2’、S3’、S4’、
S5’を持つボビンS’と、このボビンS’の軸線方向に延びる空孔に配置され
ている円筒形のフェライト鉄心K2とを備えている。変成器TR2の両一次巻線
N20、N21はそれぞれ2ターンを持ち、それぞれ0.1mmの直径を持つ2
0本の銅リッツ線からなる。変成器TR2の両二次巻線N22、N23は、それ
ぞれ160ターンを持ち、それぞれ約0.3mmの直径を持つ銅リッツ線からな
る。両一次巻線N20、N21はボビンS’の真ん中の捲線域S3’に配置され
、他方第一の二次巻線N22は第一の両捲線域S1’、S2’に均一に、第二の
二次巻線N23はボビンS’の残りの両捲線域S4’、S5’に分配されて巻か
れている。両二次巻線N22、N23は反対方向に巻かれている。フェライト鉄
心K2は変成器巻線N20、N21、N22、N23のほぼ巻回軸線に配置され
ている。フェライト鉄心K2は1MΩ以上の電気抵抗を持っている。
始動開始時にコンデンサC2は抵抗R2及び順方向の極性のダイオードD2を
介して充電される。コンデンサC2における電圧降下が凡そ350Vの値に達す
ると、火花間隙F2が破壊され、即ち火花間隙にコロナ放電が発生し、その結果
コンデンサC2は両一次巻線N20、N21の並列接続を介して及び火花間隙F
2を介して急激に放電する。両一次巻線N20、N21を介して流れるこの放電
電流は、この両一次巻線に誘導結合されている両二次巻線N22及びN23に単
極性の高電圧パルスを誘起する。両二次巻線N22、N23は互いに反対の巻線
方向を持っているので、その中に誘起された高電圧パルスは互いに逆の極性を持
ち、その結果第一の放電電極E20には端子j22を介して第一の二次巻線N2
2から正の高電圧パルスが、第二の放電電極E21には端子j23を介して第二
の二次巻線N23から同時に負の高電圧パルスが加えられる。始動電圧端子j2
2及びランプ電極E20における正の電圧パルスは+11kVまでの値に達し、
一方始動電圧端子j23及びランプ電極E21における負の電圧パルスは−11
kVまでの値を取り、その結果ランプLP2の放電間隙を介する始動期間中の電
圧降下は22kVにまでなる。
以下の表はこの発明の上述の両実施例の構成部品の諸元を表す。
表:図1及び2の実施例において使用された構成部品の諸元値
C1,C2 330nF,400V
R1,R2 4.7kΩ,1W
D1,D2 UF4007
F1,F2 KAS03
この発明の第三の実施例は上述の第一の実施例と殆ど同一である。ただ、第一
の実施例とは変成器が異なる。第三の実施例の変成器は、図3に示された第一の
実施例の変成器のように、4つの捲線域を持つボビンと、このボビンの軸線方向
に延びる空孔に配置されている円筒形のフェライト鉄心とを備えている。二次巻
線は320のターンを持ち、0.3mmの直径を持つ銅リッツ線からなる。この
銅線はボビンの4捲線域に均一に巻回されている。しかし、第一の実施例とは異
なり、第三の実施例の変成器はただ1つの一次巻線しか持っていない。この一次
巻線は2ターンを持ち、広幅の銅の帯板からなり、この銅の帯板は電気的絶縁ラ
ック層により隔離されて、二次巻線に均一に巻回されて、二次巻線を包囲してい
る。変成器のフェライト鉄心は一次巻線及び二次巻線のほぼ巻回軸線に配置され
ている。このフェライトは1MΩ以上の電気抵抗を持っている。その他の詳細に
おいて第三の実施例は第一の実施例と一致する。
第四の実施例による始動装置(図5)は、2つの並列接続された一次巻線N1
、N2及びこの両一次巻線に誘導結合された1つの二次巻線N3を持つ変成器T
R、火花間隙F1として形成された自動開閉器、始動コンデンサC3、別のコン
デンサC4、2つのチョークコイルL1、L2、直流電圧入力端子J1、J2、
J3及び始動電圧出力端子J4、J5を備えている。始動コンデンサC3と火花
間隙F1とはリングセグメントとして形成されている金属板に固定され、予め製
作された構造ユニットを形成している。始動コンデンサC3及び火花間隙F1を
金属板に固定するために始動コンデンサC3及び火花間隙F1のそれぞれ1つの
電気端子が金属板に1つ或いは複数の溶接点で結合されている。この構造ユニッ
トには、さらに、2つの板片と、金属板に溶接されこの金属板の電気端子となる
針線とが属している。第一の板片は1つ或いは複数の溶接点によって始動コンデ
ンサC3の第二の電気端子に接続されている。第二の板片は1つ或いは複数の溶
接点によって火花間隙F1の第二の電気端子に接続されている。第一の板片及び
第二の板片のそれぞれ1つの自由端は、一次巻線N1、N2の巻線始端もしくは
巻線終端を始動コンデンサC3の第二の端子もしくは火花間隙F1の第二の端子
に電気的に接続するための1つの電気端子を備えている。
図5に示された始動装置は3つの直流電圧端子J1(−400V供給電圧用)
、J2(+600V供給電圧用)、J3(接地電位つまりアース電位にある)を
備え、その中の2つが選択的に利用される。直流電圧端子J1は分岐点V3、V
1を介して始動コンデンサC3の第二の端子に接続されている。始動コンテンサ
C3(68nF:1000V)の第一の端子は直流電圧端子J2に、金属板によ
って火花間隙F1の第一の端子に接続されている。分岐点V3は変成器TRの二
次巻線N3及びこれに後置接続されたチョークコイルL1を介して始動電圧出力
端子J4に接続されている。分岐点V1は並列接続された両一次巻線N1、N2
の巻線始端に接続されている。両一次巻線N1、N2の巻線終端は分岐点V2を
介して火花間隙F1の第二の端子に接続されている。直流電圧端子J3はチョー
クコイルL2を介して始動電圧出力端子J5に接続されている。始動装置は、さ
ら
に、別のコンデンサC4(4.7nF;1000V)を持ち、その第一の端子は
直流電圧端子J1に、その第二の端子は直流電圧端子J3に接続されている。
この発明は上述の実施例に限定されない。例えば上述の全ての実施例において
変成器として円筒形のフェライト鉄心に代わってE形鉄心或いは環状鉄心或いは
またU形鉄心を使用することができる。さらに、火花間隙を同等の自動開閉器、
例えば半導体スイッチによって置き換えることも可能である。ダイオードD1、
D2は、それぞれ、始動装置の直流電圧入力部の直流電圧端子が互いに誤って取
替えられる場合に、コンデンサC1、C2の保護の役割をする。しかしこれは、
この発明による始動装置の機能の有用性に対して必ずしも絶対的に必要なもので
はない。第四の実施例による始動装置の変成器TRは、さらに付加的に、端子j
3及びj5の間にチョークコイルL2に直列に接続される第二の二次巻線を備え
ることができ、この場合第四の実施例の非対称形の始動装置から両ランプ電極に
始動電圧パルスを加える対称形の始動装置が得られる。
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(81)指定国 EP(AT,BE,CH,CY,
DE,DK,ES,FI,FR,GB,GR,IE,I
T,LU,MC,NL,PT,SE),CA,CN,H
U,JP,KR,US
(72)発明者 ベッカー、ユルゲン
ドイツ連邦共和国 デー―13589 ベルリ
ン ケチナー ヴェーク 3
(72)発明者 ベール、ゲルハルト
ドイツ連邦共和国 デー―89174 アルト
ハイム ベルクシュトラーセ 27
(72)発明者 ウィティッヒ、クリスチアン
ドイツ連邦共和国 デー―81547 ミュン
ヘン オトカーシュトラーセ 7
(72)発明者 ヘルビッヒ、ペーター
ドイツ連邦共和国 デー―89567 ゾント
ハイム レーマーシュトラーセ 20
Claims (1)
- 【特許請求の範囲】 1.第一の直流電圧端子(j10、j20、j1)と第二の直流電圧端子(j1 1、j21、j3)とを備えた直流電圧入力部(j10、j11;j20、j2 1;j1、j3)、放電ランプ(LP1、LP2)のための2つの始動電圧端子 (j12、j13;j22、j23;j4、j5)を備えた始動電圧出力部、2 つの端子を持つコンデンサ(C1、C2、C3)、自動開閉器(F1、F2)、 少なくとも1つの一次巻線(N10、N20、N1)と少なくとも1つの二次巻 線(N12、N22、N3)とを持つ変成器(TR1、TR2、TR)を備え、 それらの巻線がそれぞれ1つの巻線始端と巻線終端とを有している放電ランプの 始動装置において、 前記変成器(TR1、TR2、TR)が少なくとも2つの一次巻線(N10、 N11;N20、N21;N1、N2)の並列接続を持ち、この一次巻線が少な くとも1つの二次巻線(N12、N22、N3)に誘導結合されていることを特 徴とする放電ランプの始動装置。 2.全ての一次巻線(N10、N11;N20、N21;N1、N2)の巻線始 端が相互に接続され、全ての一次巻線(N10、N11;N20、N21;N1 、N2)の巻線終端が相互に接続されていることを特徴とする請求項1に記載の 始動装置。 3.変成器(TR1、TR)が、その巻線始端或いは巻線終端が放電ランプ(L P1)の始動電圧端子(j12、j4)の1つに接続されている1つの二次巻線 を備えていることを特徴とする請求項1に記載の始動装置。 4.一次巻線(N10、N11;N20、N21;N1、N2)がそれぞれ高々 2ターンを持っていることを特徴とする請求項1に記載の始動装置。 5.始動装置の直流電圧入力部(J1,J2,J3)が、始動装置を異なる供給 電圧に適合させるために、付加的に第三の直流電圧端子(J2)を備えているこ とを特徴とする請求項1に記載の始動装置。 6.第一の直流電圧端子(j10)がコンデンサ(C1)の第一の端子に接続さ れ、コンテンサ(C1)の第二の端子が抵抗(R1)を介して第二の直流電圧端 子(j11)に接続され、コンデンサ(C1)の第一の端子が一次巻線(N10 ,N11)の並列接続及び自動開閉器(F1)の開閉間隙を介してコンデンサ( C1)の第二の端子に接続され、少なくとも1つの二次巻線(N12)の巻線始 端もしくは巻線終端がコンデンサ(C1)の第一の端子に、少なくとも1つの二 次巻線(N12)の巻線終端もしくは巻線始端が第一の始動電圧端子(j12) に接続され、第二の直流電圧端子(j11)が第二の始動電圧端子(j13)に 接続されていることを特徴とする請求項1に記載の始動装置。 7.自動開閉器(F1、F2)が火花間隙或いは半導体スイッチであることを特 徴とする請求項1に記載の始動装置。 8.変成器(TR2)が少なくとも2つの二次巻線(N22,N23)を備え、 少なくとも2つの二次巻線(N22,N23)の少なくとも第一の二次巻線(N 22)が第一の始動電圧端子(j22)に接続され、少なくとも2つの二次巻線 (N22,N23)の少なくとも第二の二次巻線(N23)が第二の始動電圧端 子(j23)に接続され、少なくとも第一の二次巻線(N22)と少なくとも第 二の二次巻線(N23)とが、これらの二次巻線(N22,N23)に互いに逆 極性の誘導電圧が生ずるように配置されていることを特徴とする請求項1に記載 の始動装置。 9.変成器(TR2)の少なくとも第一の二次巻線(N22)と少なくとも第二 の二次巻線(N23)とが互いに逆の巻き方向を持っていることを特徴とする請 求項8に記載の始動装置。 10.第一の直流電圧端子(j20)がコンデンサ(C2)の第一の端子に接続 され、コンデンサ(C2)の第二の端子が抵抗(R2)を介して第二の直流電圧 端子(j21)に接続され、コンデンサ(C2)の第一の端子が一次巻線(N2 0,N21)の並列接続及び自動開閉器(F2)の開閉間隙を介してコンデンサ (C2)の第二の端子に接続され、少なくとも第一の二次巻線(N22)の巻線 始端もしくは巻線終端がコンデンサ(C2)の第一の端子に、少なくとも第一の 二次巻線(N22)の巻線終端もしくは巻線始端が第一の始動電圧端子(j22 )に接続され、少なくとも第二の二次巻線(N23)の巻線終端もしくは巻線始 端が第二の直流電圧端子(j21)に、少なくとも第二の二次巻線(N23)の 巻線始端もしくは巻線終端が第二の始動電圧端子(j23)に接続されているこ とを特徴とする請求項8に記載の始動装置。 11.変成器がフェライト鉄心(K1、K2)と、変成器巻線のための少なくと も1つの捲線域を持つボビン(S、S’)とを備えることを特徴とする請求項1 に記載の始動装置。 12.一次巻線の各々が、電気的に絶縁されて変成器の少なくとも1つの二次巻 線に巻回されている銅の帯板として形成されていることを特徴とする請求項1に 記載の始動装置。 13.第一の直流電圧端子と第二の直流電圧端子とを備えた直流電圧入力部、放 電ランプのための2つの始動電圧端子を持つ直流電圧出力部、2つの端子を持つ コンテンサ、自動開閉器、1つの一次巻線と少なくとも1つの二次巻線とを持つ 変成器を備え、それらの巻線がそれぞれ1つの巻線始端と巻線終端とを有してい る放電ランプの始動装置において、 一次巻線が高々2ターンを持ち、少なくとも1つの二次巻線を包囲する金属の 帯板からなることを特徴とする放電ランプの始動装置。 14.変成器がフェライト鉄心と、変成器の少なくとも1つの二次巻線のための 少なくとも1つの捲線域を持つボビンとを備え、少なくとも1つの一次巻線がこ のフェライト鉄心及び少なくとも1つの二次巻線を包囲していることを特徴とす る請求項13に記載の始動装置。 15.フェライト鉄心(K1、K2)が円筒形鉄心、管形鉄心、ねじ形鉄心或い はE形鉄心であることを特徴とする請求項11又は13に記載の始動装置。 16.フェライト鉄心(K1、K2)が環状鉄心或いはU形鉄心であることを特 徴とする請求項11又は13に記載の始動装置。 17.フェライト鉄心(K1、K2)が1MΩ以上の電気抵抗を持っていること を特徴とする請求項11又は13に記載の始動装置。 18.放電ランプ(LP1、LP2)を始動するために、第一の始動電圧端子( j12;j22;j4)に接続された放電ランプ(LP1、LP2)の電極(E 10、E20)に、少なくとも1つの二次巻線(N12、N22、N3)の中に 少なくとも2つの一次巻線(N10、N11;N20)N21;N1、N2)の 並列接続を介して及び自動開閉器(F1、F2)の開閉間隙を介して流れるコン デンサ(C1、C2、C3)の放電電流によって誘起される電圧パルスが加えら れることを特徴とする請求項1に記載の始動装置による放電ランプの始動方法。 19.放電ランプ(LP2)を始動するために、両始動電圧端子に接続された放 電ランプ(LP2)の電極(E20、E21)に、少なくとも2つの二次巻線( N22、N23)の中に少なくとも2つの一次巻線(N20、N21)の並列接 続を介して及び自動開閉器(F2)の開閉間隙を介して流れるコンデンサ(C2 )の放電電流によって誘起される逆極性の電圧パルスが加えられることを特徴と する請求項8に記載の始動装置による放電ランプの始動方法。 20.両始動電圧端子(j22、j23)に接続された放電ランプ(LP2)の 電極(E20、E21)に同時に逆極性の単極性電圧パルスが加えられることを 特徴とする請求項19に記載の放電ランプの始動方法。
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