JP2001357815A - ネブライザー - Google Patents

ネブライザー

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JP2001357815A
JP2001357815A JP2000180768A JP2000180768A JP2001357815A JP 2001357815 A JP2001357815 A JP 2001357815A JP 2000180768 A JP2000180768 A JP 2000180768A JP 2000180768 A JP2000180768 A JP 2000180768A JP 2001357815 A JP2001357815 A JP 2001357815A
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Japan
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nebulizer
spray chamber
sample introduction
electrospray
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JP2000180768A
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English (en)
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Kiichiro Otsuka
大塚紀一郎
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Jeol Ltd
Original Assignee
Jeol Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】微少流量の試料液を効率よく微細な霧粒子に霧
化することができ、しかも、試料導入部のキャピラリー
に詰まりを生じにくいICP−MS用のネブライザーを
提供する。 【解決手段】試料液を供給する試料導入管と、該試料導
入管と同軸状に設けられ、該試料導入管の先端部近傍に
ネブライザーガスを供給するネブライザーガス導入管
と、試料液をネブライザーガスの吹きつけによって霧化
させる場所を提供するスプレーチャンバーとを備えたネ
ブライザーにおいて、試料導入管の周囲と、該試料導入
管の先端部に対向する位置とに電極を設け、一方または
両方の該電極に高電圧を印加することによって両電極間
に電界を発生させ、スプレーチャンバー内でのネブライ
ザーガスの吹きつけのみでなく、試料導入管の先端部で
発生するエレクトロスプレー現象をも併用することによ
って、試料液の霧化を行なわせるようにした。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、誘導結合プラズマ
質量分析装置(ICP−MS:Inductively Coupled Pl
asma-Mass Spectrometer)に用いられるネブライザーに
関し、特に、外部から供給される微少流量の試料液を、
効率よく微細な霧粒子に霧化することのできるICP−
MS用のネブライザーに関する。
【0002】
【従来の技術】ICP−MSで微少流量の試料液を霧化
するネブライザーの例として、CETAC社製(US
A)のマイクロ・コンセントリック・ネブライザー(M
CN:Micro Concentric Nebulizer)が、従来から広く
知られている。その構造の概略を図1に示す。MCN本
体1の内部には、試料液2を通す極細キャピラリー3を
同軸状に取り囲むようにして、ネブライザーガス4の流
路が設けられている。そして、極細キャピラリーの先端
噴出口5において、ネブライザーガス4を勢い良く噴出
させることにより、試料液2は霧化され、霧6となる。
【0003】MCNの特徴は、微少流量(約20μL/m
in)で微細な霧粒子(粒径:約5μm)を生成できるこ
とである。それを可能にしている構造的特徴は、先端噴
出口5の部分にある。すなわち、極細キャピラリー3
(外径約100μm、内径約50μm)と先端噴出口5
(内径は百数十μm)のギャップを小さくすることによ
って、先端噴出口5から出るネブライザーガス(流量:
約1L/min)の流速を音速レベルに上昇させ、極細キャ
ピラリー3の出口から流出する試料液に衝突させるよう
にしている。このネブライザーガス4の力によって、微
細な霧粒子(粒径:約5μm)を生成することができ
る。
【0004】図2は、MCN本体1が従来のICP−M
Sのイオン導入部において占める位置を表わしたもので
ある。MCN本体1は、スプレーチャンバー7の中に設
置されている。MCN本体1によって生成された霧6
は、図示しないネブライザーガスによって、トーチ8ま
で運ばれる。トーチ8の先端部には、高周波磁界を印加
するためのワークコイル9が巻回されている。トーチ8
に導入されたアルゴンガスなどのプラズマガス10の内
部では、高周波磁界の印加によって誘導電流が発生し、
誘導電流の放電に伴って、プラズマガス10がプラズマ
11に励起されると共に、霧6の微粒子に含まれている
試料分子がイオン化される。
【0005】このプラズマ炎11は、アルゴンガスなど
の補助ガス12の流量調節により、その発生位置をサン
プリング・コーン13に近づけたり、あるいはサンプリ
ング・コーン13から遠ざけたりと、微調整することが
できる。この微調整により、イオンがサンプリング・コ
ーン13の先端部に設けられた孔から真空中にサンプリ
ングされる量を最適に加減することができる。サンプリ
ング・コーン13の孔からサンプリングされたイオン
は、サンプリング・コーン13の後段に置かれた高真空
の質量分析装置(MS)14において、質量分析され
る。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】このような構成におい
て、従来のMCNの問題点は、試料液2をMCN本体1
の先端噴出口5に送る極細キャピラリー3の内径が、わ
ずか50μmしかないことである。一般に、100μm
以下の内径の極細キャピラリーに溶液を流すと、溶液中
のごみなどの不溶解性物質が原因となって、極細キャピ
ラリーの詰まりが極めて容易に発生する。いったん極細
キャピラリーに詰まりが発生すると、これを除去するこ
とは困難であり、極細キャピラリーの交換が必要とな
る。
【0007】ところが、極細キャピラリーは、細すぎる
ために、取り扱いが困難であるので、MCN本体に接着
されている。したがって、極細キャピラリーが詰まった
場合、新たなMCNの購入が必要となり、ユーザー自身
による詰まりの除去などの故障修理が困難となってい
る。
【0008】本発明の目的は、上述した点に鑑み、微少
流量の試料液を効率よく微細な霧粒子に霧化することが
でき、しかも、試料導入部のキャピラリーに詰まりを生
じにくいICP−MS用のネブライザーを提供すること
にある。
【0009】
【課題を解決するための手段】この目的を達成するた
め、本発明にかかるネブライザーは、試料液を供給する
試料導入管と、該試料導入管と同軸状に設けられ、該試
料導入管の先端部近傍にネブライザーガスを供給するネ
ブライザーガス導入管と、試料液をネブライザーガスの
吹きつけによって霧化させる場所を提供するスプレーチ
ャンバーとを備えたネブライザーにおいて、試料導入管
の周囲と、該試料導入管の先端部に対向する位置とに電
極を設け、一方または両方の該電極に高電圧を印加する
ことによって両電極間に電界を発生させるようにしたこ
とを特徴としている。
【0010】また、前記試料導入管の先端部は、該試料
導入管の周囲に設けられた電極の端部に対して、その相
対位置を可変できるように構成されていることを特徴と
している。
【0011】また、試料液の霧化に用いられるネブライ
ザーガスは、加熱できるように構成されていることを特
徴としている。
【0012】また、前期スプレーチャンバーは、冷却で
きるように構成されていることを特徴としている。
【0013】
【発明の実施の形態】以下、図面を参照して、本発明の
実施の形態を説明する。まず最初に、本発明の特徴を一
言で言えば、従来の技術の問題点であった、試料導入
チューブの内径が細いため詰まりを生じやすいこと、及
び、詰まった試料導入チューブをユーザー自身の手で
修理できないこと、の2点を解決するために、霧化の方
式として、エレクトロスプレー法を併用するようにした
ことにある。
【0014】エレクトロスプレー現象とは、図3の
(a)に示すように、電界の力によってテーラーコーン
が生成し、その先端から、数μmの微少な液体粒子が、
数μL/minの微少流量で射出される現象である。したが
って、試料導入チューブの内径に関係なく、微粒子の霧
を生成できるので、内径100μm程度の、やや太めで
詰まりにくい試料導入チューブを採用することができ
る。また、外径が多少大きくてもエレクトロスプレーの
機能には影響しないので、十分な機械的強度を持った試
料導入チューブを採用することができ、その結果、試料
導入チューブを交換することが可能な構造に構成するこ
とができる。
【0015】尚、エレクトロスプレー現象にとっては、
電界強度の設定が極めて重要であり、もし、電界強度の
設定が不適切であれば、試料液の霧化は起こらない。た
とえば、電界強度が弱すぎる場合は、図3の(b)に示
すように、試料液は、試料導入チューブの先端で玉のよ
うに丸くなり、球状のまま、適当な大きさで飛び出す。
この場合は、霧とはならない。また、電界強度が強すぎ
る場合は、図3の(c)に示すように、試料液は、試料
導入チューブの先端で伸びた球状になり、その先端部が
次々に引きちぎられる状態で飛び出す。この場合も、ち
ぎれた液体は大きな塊状のため、霧とはならない。
【0016】図3に示したように、試料液が試料導入チ
ューブの先端でテーラーコーンを形成して、安定なエレ
クトロスプレー現象を発現するためには、試料の条件、
特に粘性、表面張力などが電界強度とうまくバランスす
る必要がある。そのためには、電極間の電位差を調整す
る機構と共に、エレクトロスプレー電極パイプの先端
と、試料導入チューブの先端との距離を微調節する機構
が不可欠である。これらの諸条件を備えた一実施例につ
いて、以下、説明する。
【0017】図4は、本発明にかかるネブライザーの一
実施例を示したものである。図4のうち、15はエレク
トロスプレー電極パイプである。エレクトロスプレー電
極パイプ15は、引き出し電極16との間に5kV程度
の電位差を設けて、試料液にエレクトロスプレー現象を
起こさせるための電界を発生させる電極である。エレク
トロスプレー電極パイプ15の一端は、スプレーチャン
バー17の中に設けられた引き出し電極16に対向する
ように、スプレーチャンバー17の内側に挿入され、エ
レクトロスプレー電極パイプ15の他端は、高電圧電源
18のリード線を接続するため、スプレーチャンバー1
7の外側に固定されている。
【0018】エレクトロスプレー電極パイプ15の先端
は、スプレーチャンバー17の内壁のチャージアップの
影響を低減するため、該内壁から10mm程度離れて設
置される。エレクトロスプレー電極パイプ15とスプレ
ーチャンバー17の間は、スプレーチャンバー17内の
ガスや液体が漏れないように、Oリングなどでシールさ
れている。このエレクトロスプレー電極パイプ15の内
側に、試料液を導入するための試料導入チューブ19を
通す。これにより、試料液は、エレクトロスプレー電極
パイプ15に直接触れることがないので、エレクトロス
プレー電極パイプ15からの電極成分の試料液への溶解
を未然に防止することができる。エレクトロスプレー電
極パイプ15の材質は、耐酸性に優れた白金が好まし
い。エレクトロスプレー電極パイプ15の寸法は、外径
が2mm程度、内径は試料導入チューブ19を通すため
約1.5mm、長さは4〜5cmである。
【0019】試料導入チューブ19は、エレクトロスプ
レー電極パイプ15の中を貫通するように設置される。
試料導入チューブ19の一端は、エレクトロスプレー電
極パイプ15と引き出し電極16との間に生じる電界中
に配置される。試料導入チューブ19の他端は、試料液
を送るための図示しない送液ポンプに接続されている。
試料導入チューブ19の先端部は、試料液にエレクトロ
スプレー現象を起こさせるのに最良の電界位置に設置さ
れる必要があり、通常、エレクトロスプレー電極パイプ
の先端から1〜3cm離れた位置に設定される。この位
置関係は、試料導入チューブ移動機構20によって微妙
に調節できるように構成されている。
【0020】試料導入チューブ移動機構20とエレクト
ロスプレー電極パイプ15の間、および、試料導入チュ
ーブ移動機構20と試料導入チューブ19の間は、スプ
レーチャンバー17内のガスや液体が漏れないように、
Oリングなどでシールされている。試料導入チューブ1
9の材質は、耐酸性に優れたテフロン樹脂などが好まし
い。試料導入チューブ19の寸法は、外径が1.5mm
程度、内径は小さいほど良いが、ごみの詰まりを防止す
るため、100μm程度が望ましい。
【0021】引き出し電極16は、エレクトロスプレー
電極パイプ15との間に5kV程度の電位差を設けて、
試料液にエレクトロスプレー現象を起こさせるための電
界を発生させる電極である。この電極は、スプレーチャ
ンバー17の終端に設置され、スプレーチャンバー本体
22内に収納されている。引き出し電極16の形状は、
円錐パイプ状であり、パイプの厚みは特別必要としな
い。円錐の軸は、エレクトロスプレー電極パイプ15の
軸線上にあり、エレクトロスプレー電極パイプ15に対
向する側の内径が大きく、出口側に向けて内径が小さく
なっている。
【0022】エレクトロスプレー電極パイプ15に対向
する側の内径は、スプレーチャンバー17のパイプ状内
壁と同一円筒面に固定されるのが望ましい。少なくと
も、ネブライザーガス4の旋回流21を大きく乱さない
ことが必要である。また、スプレーチャンバー本体22
から引き出される引き出し電極16のリード線は、スプ
レーチャンバー17内のガスや液体が漏れないように、
Oリングなどでシールされる。引き出し電極16とリー
ド線の材質は、耐酸性に優れた白金が好ましい。引き出
し電極16の寸法は、エレクトロスプレー電極パイプ1
5に対向する側の内径が4〜7cm、出口側の内径が4
mm程度であり、軸方向の長さが6〜10cmである。
【0023】試料液は、試料導入チューブ19の先端2
3で、エレクトロスプレー電極パイプ15と引き出し電
極16の間に発生した電界の作用により、テーラーコー
ンを生じ、その先端からエレクトロスプレー現象によっ
て微細な霧24となって飛び出す。安定なテーラーコー
ンの生成の可否は、試料導入チューブ19の先端23に
流出する試料液と電界との相互作用によって決まる。し
たがって、電界を一定とすれば、試料液の流出位置の調
整が必要となる。このため、エレクトロスプレー電極パ
イプ15の先端に対する試料導入チューブ19の先端2
3の位置を調節できるように、試料導入チューブ移動機
構20を設ける。移動には、ねじ送りなどの方法を用い
る。また、試料導入チューブ移動機構20は、ネブライ
ザーガスや試料液が漏れないように、Oリングなどでシ
ールされる必要がある。
【0024】試料導入チューブ19の先端から安定して
試料液の霧24を生成するためには、スプレーチャンバ
ー17の内壁で生じるチャージアップによる電界が、エ
レクトロスプレー電極パイプ15の先端に大きく影響し
ないことが必要である。そのためには、エレクトロスプ
レー電極パイプ15の先端とスプレーチャンバー17の
内壁との距離が問題であるが、既述の通り、スプレーチ
ャンバー17の形は円筒形であるので、エレクトロスプ
レー電極パイプ15の先端とスプレーチャンバー17の
内壁との距離は十分に離れており、しかも、ネブライザ
ーガスの旋回流を乱すことがない。
【0025】尚、試料液の霧24から溶媒(水、有機溶
媒など)の蒸発を促すために、スプレーチャンバー17
の内壁温度を0℃レベルの低温に維持して、溶媒をスプ
レーチャンバー17の内壁に凝結させるようにすること
が望ましい。この目的のために、スプレーチャンバー1
7の近傍にスプレーチャンバー冷却器25を取り付け
て、スプレーチャンバー17の内壁を冷却するように構
成する。スプレーチャンバー冷却器25には、たとえば
ペルチェ素子などが用いられる。スプレーチャンバー1
7の内壁に凝結した溶媒は、重力の作用でスプレーチャ
ンバー17の底部に溜まった後、パイプを通じて、図示
しない脈流ポンプで、ドレイン26に向けて排出され
る。
【0026】スプレーチャンバー本体22には、スプレ
ーチャンバー17を中心に、エレクトロスプレー電極パ
イプ15、引き出し電極16、試料導入チューブ移動機
構19、スプレーチャンバー冷却器25などが設置され
ているほか、図示しないトーチに接続するポート27
と、スプレーチャンバー17の内壁で凝結した溶媒をド
レイン26へ流すポートとが設けられている。スプレー
チャンバー本体22の材質は、耐酸性に優れたテフロン
(登録商標)やダイフロンなどが好ましい。
【0027】ネブライザーガス(一般的にはアルゴンガ
ス)の役目は、霧粒子24の搬送と加熱である。そこ
で、霧粒子24を加熱するために、ネブライザーガスを
スプレーチャンバー本体22に導入する前に、ネブライ
ザーガス加熱器28でネブライザーガスを予熱する。こ
のネブライザーガス加熱器28は、最高130℃程度ま
で昇温可能に作られている。予熱温度は100℃程度が
望ましいが、試料条件に依存するため、個々の条件で設
定される。また、試料液を液体の状態で温度上昇させれ
ば、試料液の表面張力を減少させ、霧化の効率を高める
ことができるので、予熱されたネブライザーガスは、エ
レクトロスプレー電極パイプ15の中途からエレクトロ
スプレー電極パイプ15の周囲に導入し、エレクトロス
プレー電極パイプ15を直接加熱することによって、エ
レクトロスプレー電極パイプ15の内部を流れる試料液
を加熱するようにする。このときの加熱と、スプレーチ
ャンバー17内壁の冷却との相乗効果によって、霧化後
の霧粒子24の脱溶媒化が効率的に促進される。
【0028】霧粒子の搬送は、ネブライザーガスの旋回
流21により実行される。そのため、加熱されたネブラ
イザーガスをエレクトロスプレー電極パイプ15の中途
から導入する際に、エレクトロスプレー電極パイプ15
の軸からずらして導入することによって、エレクトロス
プレー電極パイプ15の軸に対する旋回流21を形成さ
せるようにする。旋回流21は、スプレーチャンバー1
7の後段に置かれた引き出し電極16の出口に近づくに
つれて、回転の流速が高速になる。このとき、ネブライ
ザーガスの旋回流21が、霧粒子の運動を完全に支配で
きるようにさせることが重要である。もし、霧粒子の運
動が電界によって支配されると、霧粒子は引き出し電極
16に衝突してしまい、トーチまで搬送することができ
なくなってしまうためである。
【0029】高電圧電源18は、エレクトロスプレー電
極パイプ15と引き出し電極16に電位差を与え、両電
極間に電界を作ることによって、試料液にエレクトロス
プレー現象を生じさせるものである。電位差の設け方
は、試料の条件や特性に合わせて、さまざまな場合があ
る。この高電圧電源18は、正負両高電圧を発生するこ
とができ、その出力端子を切り替えることができるよう
になっている。また、電圧レベルは、試料の状況に合わ
せて調整が可能である。
【0030】たとえば、エレクトロスプレー電極パイプ
15に+5kVを印加し、引き出し電極16に0Vを印
加する場合、試料の条件に応じて印加電圧を調整する必
要があるので、エレクトロスプレー電極パイプ15に印
加した+5kVは、±50%程度の電圧変更が可能な構
成とする。また、試料によっては、エレクトロスプレー
電極パイプ15に0Vを印加し、引き出し電極16に+
5kVを印加する場合もあるので、切り替えが可能とな
っている。また、エレクトロスプレー電極パイプ15に
−5kVを印加し、引き出し電極16に0Vを印加する
場合もあり、電圧の正負の切り替えも可能となってい
る。
【0031】図5は、本発明にかかるエレクトロスプレ
ーネブライザー本体29がICP−MSのイオン導入部
において占める位置を表わしたものである。エレクトロ
スプレーネブライザー本体29は、スプレーチャンバー
17の中に設置されている。エレクトロスプレーネブラ
イザー本体29によって生成された霧24は、図示しな
いネブライザーガスによって、トーチ8まで運ばれる。
トーチ8の先端部には、高周波磁界を印加するためのワ
ークコイル9が巻回されている。トーチ8に導入された
アルゴンガスなどのプラズマガス10の内部では、高周
波磁界の印加によって誘導電流が発生し、誘導電流の放
電に伴って、プラズマガス10がプラズマ11に励起さ
れると共に、霧6の微粒子に含まれている試料分子がイ
オン化される。
【0032】このプラズマ炎11は、アルゴンガスなど
の補助ガス12の流量調節により、その発生位置をサン
プリング・コーン13に近づけたり、あるいはサンプリ
ング・コーン13から遠ざけたりと、微調整することが
できる。この微調整により、イオンがサンプリング・コ
ーン13の先端部に設けられた孔から真空中にサンプリ
ングされる量を最適に加減することができる。サンプリ
ング・コーン13の孔からサンプリングされたイオン
は、サンプリング・コーン13の後段に置かれた高真空
の質量分析装置(MS)14において、質量分析され
る。
【0033】尚、本発明は、上記実施例に限定されるも
のではない。たとえば、図4の引き出し電極16を、図
6に示すような板状のメッシュにしても良い。ただし、
その場合は、霧粒子の一部がメッシュに付着するため、
トーチへの導入効率が低下する欠点は否めない。
【0034】また、図4の引き出し電極16を、図7の
ように、スプレーチャンバー17の外部に設置しても良
い。その場合は、引き出し電極16をテフロンでコーテ
ィングした場合と実質的に同等になる。
【0035】また、ネブライザーガスを加熱する代わり
に、スプレーチャンバー17を加熱しても良い。その場
合は、冷却による脱溶媒は、スプレーチャンバー本体2
2とトーチの間に、所定の冷却可能な脱溶媒装置を設け
ることにより行なう。
【0036】また、霧粒子を生成させるだけの目的であ
れば、ネブライザーにネブライザーガス加熱器28とス
プレーチャンバー冷却器25は必要ない。
【0037】また、上記実施例では、金属製のエレクト
ロスプレー電極パイプ15の内側にテフロン樹脂製の試
料導入チューブ19を通すようにしたが、試料導入チュ
ーブ19をスプレーチャンバー本体22の手前でエレク
トロスプレー電極パイプ15に接続しても良い。その場
合は、試料導入チューブ移動機構20は不要である。た
だし、試料液がエレクトロスプレー電極パイプ15に直
接接触するようになるので、試料液への電極成分の溶解
に留意する必要がある。
【0038】また、エレクトロスプレー電極パイプ15
と引き出し電極16の表面が、試料液の霧粒子と直接接
触するのを避けるために、これらの電極表面をテフロン
樹脂で覆うことも可能である。テフロン樹脂などの絶縁
物で表面を覆っても、電界を生成することは可能であ
る。このようにすれば、電極からの溶解成分に惑わされ
ることはない。
【0039】
【発明の効果】以上述べたごとく、本発明のネブライザ
ーによれば、試料液を供給する試料導入管と、該試料導
入管と同軸状に設けられ、該試料導入管の先端部近傍に
ネブライザーガスを供給するネブライザーガス導入管
と、試料液をネブライザーガスの吹きつけによって霧化
させる場所を提供するスプレーチャンバーとを備えたネ
ブライザーにおいて、試料導入管の周囲と、該試料導入
管の先端部に対向する位置とに電極を設け、一方または
両方の該電極に高電圧を印加することによって両電極間
に電界を発生させ、スプレーチャンバー内でのネブライ
ザーガスの吹きつけのみでなく、試料導入管の先端部で
発生するエレクトロスプレー現象をも併用することによ
って、試料液の霧化を行なわせるようにしたので、微少
流量の試料液を効率よく微細な霧粒子に霧化することが
でき、しかも、試料導入部のキャピラリーに詰まりを生
じにくいICP−MS用のネブライザーを提供できるよ
うになった。
【図面の簡単な説明】
【図1】従来のネブライザーを示す図である。
【図2】従来のネブライザーを用いたICP−MSを示
す図である。
【図3】エレクトロスプレーの原理を示す図である。
【図4】本発明にかかるネブライザーの一実施例を示す
図である。
【図5】本発明のネブライザーを用いたICP−MSを
示す図である。
【図6】本発明にかかるネブライザーの変形例を示す図
である。
【図7】本発明にかかるネブライザーの変形例を示す図
である。
【符号の説明】
1・・・MCN本体、2・・・試料液、3・・・極細キャピラリ
ー、4・・・ネブライザーガス、5・・・先端噴出口、6・・・
霧、7・・・スプレーチャンバー、8・・・トーチ、9・・・ワ
ークコイル、10・・・プラズマガス、11・・・プラズマ、
12・・・補助ガス、13・・・サンプリングコーン、14・・
・MS、15・・・エレクトロスプレー電極パイプ、16・・
・引き出し電極、17・・・スプレーチャンバー、18・・・
高電圧電源、19・・・試料導入チューブ、20・・・試料導
入チューブ移動機構、21・・・旋回流、22・・・スプレー
チャンバー本体、23・・・試料導入チューブ先端、24・
・・霧、25・・・スプレーチャンバー冷却器、26・・・ドレ
イン、27・・・トーチへ接続するポート、28・・・ネブラ
イザーガス加熱器、29・・・エレクトロスプレーネブラ
イザー本体。

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】試料液を供給する試料導入管と、該試料導
    入管と同軸状に設けられ、該試料導入管の先端部近傍に
    ネブライザーガスを供給するネブライザーガス導入管
    と、試料液をネブライザーガスの吹きつけによって霧化
    させる場所を提供するスプレーチャンバーとを備えたネ
    ブライザーにおいて、試料導入管の周囲と、該試料導入
    管の先端部に対向する位置とに電極を設け、一方または
    両方の該電極に高電圧を印加することによって両電極間
    に電界を発生させるようにしたことを特徴とするネブラ
    イザー。
  2. 【請求項2】前記試料導入管の先端部は、該試料導入管
    の周囲に設けられた電極の端部に対して、その相対位置
    を可変できるように構成されていることを特徴とする請
    求項1記載のネブライザー。
  3. 【請求項3】試料液の霧化に用いられるネブライザーガ
    スは、加熱できるように構成されていることを特徴とす
    る請求項1記載のネブライザー。
  4. 【請求項4】前期スプレーチャンバーは、冷却できるよ
    うに構成されていることを特徴とする請求項1記載のネ
    ブライザー。
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