JP2001356566A - ブレード用ゴム部材及びブレード - Google Patents

ブレード用ゴム部材及びブレード

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Abstract

(57)【要約】 【課題】 表層に比較的厚さの薄い薄肉層を形成できる
と共に、生産性を向上して製造コストを低減したブレー
ド用ゴム部材及びブレードを提供する。 【解決手段】 所定配合のポリウレタンからなる第1の
ゴム層11と、この第1のゴム層とは異なる配合のゴム
部材からなると共に前記第1のゴム層11上に塗布され
た液状の原料を加熱硬化することにより積層される第2
のゴム層12とで構成する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、電子写真感光体、
転写プロセスに用いる転写ドラム及び転写ベルト、又は
中間搬送ベルトの帯電・除電・クリーニングに用いられ
るブレード用ゴム部材及びブレード、並びに現像プロセ
スに用いられる現像ブレード等の電荷平坦化、除電及び
帯電をするために用いて好適なブレード用ゴム部材及び
ブレードに関する。
【0002】
【従来の技術】従来、電子写真複写機、プリンタ、ファ
クシミリ等においては、感光体表面に残存するトナーを
除去清掃する手段として、ウレタンゴム等の弾性ゴム素
材を金属ホルダー等に固着した、いわゆるクリーニング
ブレードを回転する感光体に物理的に接触させ、感光体
とクリーニングブレードとの間の隙間をなくしてトナー
擦り抜け防止を図り、残存しているトナーを掻き取る方
式が一般的に採用されている。
【0003】一方、帯電装置としては、コロナ放電を利
用したコロナチャージャや接触帯電装置が知られてい
る。コロナチャージャは4〜8kVの高電圧をワイヤに印
加する必要があり、ワイヤからワイヤを囲むケースに電
流がリークするのを防ぐためにワイヤとケースとを離す
必要があり、大型になってしまう。また、ワイヤの放電
電流の大半はケースに流れ込み、感光体側に必要な電流
量を確保するには大量の放電が必要である。よって、オ
ゾンの発生量が多く、装置構成部を酸化するとともに感
光体表面を劣化させ画像ぼけを生じやすく、また、人体
に害をおよぼす危険がある。
【0004】そこで、近年はこれらのコロナチャージャ
の欠点を克服すべく、接触帯電装置が用いられることが
多くなった。
【0005】接触帯電装置は、コロナチャージャと比較
して低電圧で感光体などの被帯電体を帯電することがで
き、コロナチャージャと比較して小型化が可能で、装置
のコンパクト化に貢献している。また、オゾンの発生量
がコロナチャージャの1/10〜1/100程度と少量
である。接触帯電装置には、導電性ブラシや単層構造の
ロールや、複層構造のロールやブレードが知られてい
る。
【0006】このようなクリーニング又は帯電等に用い
られるブレード用ゴム部材は、一般的に複層構造、例え
ば、二層構造を有し、下層を遠心成型法によって形成
し、この下層が完全に硬化しないうちに上層を注型して
積層することにより形成されている。また、ゴム部材に
導電性を付与する場合には、遠心成型法により下層を形
成する際にカーボンブラック等の導電剤を遠心力によっ
て傾斜させ、鏡面近傍にカーボンブラックを存在させな
い層を形成させている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、このよ
うなゴム部材は、遠心成型法あるいは注型によって、下
層及び上層を形成しているため、下層・上層共に、その
肉厚が比較的厚くなってしまうという問題がある。
【0008】また、遠心成型機によって下層を形成する
ため、バッチ生産となってしまい生産性が低く製造コス
トが嵩むという欠点がある。
【0009】本発明はこのような事情に鑑み、表層に比
較的厚さの薄い薄肉層を形成できると共に、生産性を向
上して製造コストを低減したブレード用ゴム部材及びブ
レードを提供することを課題とする。
【0010】
【課題を解決させるための手段】上記課題を解決する本
発明の第1の態様は、所定配合のポリウレタンからなる
第1のゴム層と、この第1のゴム層とは異なる配合のゴ
ム部材からなると共に前記第1のゴム層上に塗布された
液状の原料を加熱硬化することにより積層される第2の
ゴム層とを有することを特徴とするブレード用ゴム部材
にある。
【0011】本発明の第2の態様は、第1の態様におい
て、前記第2のゴム層は、前記第1のゴム層が硬化状態
又は半硬化状態で積層されていることを特徴とするブレ
ード用ゴム部材にある。
【0012】本発明の第3の態様は、第1又は2の態様
において、前記第2のゴム層は、マスクパターンによっ
て前記第1のゴム層上の長手方向の一部に積層されてい
ることを特徴とするブレード用ゴム部材にある。
【0013】本発明の第4の態様は、第1〜3の何れか
の態様において、前記第1のゴム層又は第2のゴム層の
少なくとも一方の厚さが、0.5mm以下であることを
特徴とするブレード用ゴム部材にある。
【0014】本発明の第5の態様は、第1〜4の何れか
の態様において、前記第1のゴム層又は第2のゴム層の
何れか一方のゴム層が、導電性を有することを特徴とす
るブレード用ゴム部材にある。
【0015】本発明の第6の態様は、第5の態様におい
て、他方のゴム層の体積抵抗率が、1.0×108Ω・
cm以上であることを特徴とするブレード用ゴム部材に
ある。
【0016】本発明の第7の態様は、第1〜6の何れか
の態様のブレード用ゴム部材を支持体に接着固定させた
ことを特徴とするブレードにある。
【0017】かかる本発明では、表層に比較的厚さの薄
い薄肉層を有するブレード用ゴム部材を比較的容易に形
成でき、安定した特性が得られるブレードを提供するこ
とができると共に、生産性を向上して製造コストを低減
することができる。
【0018】
【発明の実施の形態】以下、本発明を実施の形態に基づ
いて図面を参照して説明する。
【0019】図1は、本発明に係るブレードの一例を示
す概略図であり、図2は、ブレードの他の例を示す概略
図であり、図3は、製造工程の一例を示す上面図であ
り、図4は、製造工程の他の例を示す概略図である。
【0020】本発明に係るブレード10は、例えば、図
1に示すように、感光体20の表面に当接させて残存す
るトナーを除去清掃するクリーニングブレード等として
用いられ、第1のゴム層11とこの第1のゴム層11上
に積層される第2のゴム層12とからなるゴム部材13
と、例えば、金属等で形成されてこのゴム部材13を保
持固定する固定部材14とを有する。
【0021】このようなゴム部材13を構成する第1の
ゴム層11は、所定の配合のポリウレタンからなり、一
方、第2のゴム層12は第1のゴム層11とは異なる配
合の各種ゴム部材からなる。なお、この各種ゴム部材と
しては、例えば、他の配合のポリウレタン、EPDM及
びシリコーンゴム等、所定配合のポリウレタンと相溶性
のよいゴム材料が挙げられる。また、このような第2の
ゴム層12は、詳しくは後述するが、第1のゴム層11
上に積層することにより形成されており、これら第1の
ゴム層11と第2のゴム層12との境界は明確になって
いる。
【0022】ここで、クリーニングブレードは、残留ト
ナーと共に、紙粉、高圧コロナ放電により発生するコロ
ナ生成物等を除去するために、第1のゴム層又は薄肉ゴ
ム層の何れか一方は、導電付与剤等を配合することによ
り導電性を付与しておくことが望ましい。例えば、図1
に示すブレード10は、第1のゴム層11が導電性を有
するものであり、この場合には、第2のゴム層12の端
部が感光体20に当接するようにする。すなわち、第1
のゴム層11表面の自由端側の端部を覆うように第2の
ゴム層12を形成し、第2のゴム層12の自由端側の端
部12aが感光体20と当接するように配置する。ま
た、この場合には、感光体20が第2のゴム層12と第
1のゴム層11側から摺接するようにブレード10を配
置することが好ましい。
【0023】なお、第2のゴム層12が導電性を有する
場合には、図2に示すように、第1のゴム層11表面の
自由端側の端部近傍には第2のゴム層12を形成せずに
第1のゴム層11の表面が露出するようにし、第1のゴ
ム層11の第2のゴム層12側の角部11aが感光体2
0に当接するようにする。この場合、感光体20が第1
のゴム層11と第2のゴム層12側から摺接するように
ブレード10を配置することが好ましい。
【0024】また、このような構成では、第1のゴム層
11のみが感光体20に接触しており、第2のゴム層1
2と感光体20との隙間で放電が生じることにより通電
する。このため、第2のゴム層12と感光体20との間
隔Dは、1mm以下となるようにするのが好ましい。こ
れにより、第2のゴム層12と感光体20との間に確実
に放電が生じる。
【0025】なお、この間隔Dとは、第2のゴム層12
と感光体20との最短の間隔であり、図2(a)及び
(b)に示すように、感光体20に対するブレード10
の配置、すなわち第2のゴム層12が感光体20に接触
する角度によって異なる。そのため、ブレード10の配
置に応じて、第1のゴム層11上に形成する第2のゴム
層12の端部12aの位置を適宜調整するのが好まし
い。
【0026】以下に、このようなブレードの製造方法の
一例について説明する。
【0027】本実施例のブレード10の製造工程として
は、カーボンブラック等の導電付与剤を配合したポリエ
ステルポリオールを加熱溶解し、これに、1,4−ジフ
ェニルメタンジイソシアネート(MDI)を反応させて
プレポリマーを調製した。そして、このプレポリマー
に、1,4−ブタンジオール及びトリメチロールプロパ
ンを混合した後、これを予め加熱しておいた遠心成形ド
ラムに注型し、遠心力360Gで回転させながら加熱硬
化させることにより、第1のゴム層11となる厚さ2m
mのシートを形成した。
【0028】なお、第1のゴム層11となるシートに混
合される導電付与剤としては、公知のものを通常用いら
れる添加量で使用でき、例えば、過塩素酸リチウムなど
の無機塩、第四級アンモニウム塩、導電性カーボンブラ
ックなどを挙げることができる。
【0029】次に、このように形成したシート11Aの
表面に、図3(a)に示すように、例えば、フッ素樹脂
等によって所定のマスクパターン30を形成し、このマ
スクパターン30を用いて第1のゴム層11とは異なる
配合の各種ゴム材料、本実施形態では、ポリウレタンか
らなる第2のゴム層12を形成する。すなわち、マスク
パターン30上に第2のゴム層12となる原料12Aを
塗布、あるいはスプレーコートし、図示しない規制スキ
ージー等で余分な原料を掻き取って表面を平坦化した
後、加熱硬化させることにより第2のゴム層12とす
る。これにより、第1のゴム層11のシート11A上に
マスクパターン30の厚さで第2のゴム層12が形成さ
れることになる。なお、本実施形態では、第2のゴム層
12を20μmの厚さで形成した。
【0030】ここで、本実施例のように第1のゴム層1
1が導電性を有する場合には、第2のゴム層12は、そ
の体積抵抗率が比較的高い、例えば、1.0×108Ω
・cm以上であることが好ましい。すなわち、第2のゴ
ム層12の厚さを比較的薄く形成することが好ましい。
上述したような工程で第2のゴム層12を形成すれば、
厚さを0.5mm以下と従来よりも著しく薄く形成する
ことができる。
【0031】その後、マスクパターン30を除去し、シ
ート11Aを所定の位置で切断することにより所望の形
状のゴム部材13を得る。例えば、図3(b)に示すよ
うに、シート11Aを第2のゴム層12に対応する領域
(図3(b)中A−A’線)で切断することにより、第
1のゴム層11表面の端部を第2のゴム層12で覆った
ゴム部材13が得られる(図1参照)。
【0032】なお、ここでは、第1のゴム層11が導電
性を有するゴム部材13の製造工程について説明した
が、第2のゴム層12が導電性を有するゴム部材13と
する場合には、第1のゴム層11となる原料に導電付与
剤を配合する替わりに、第2のゴム層12となる原料に
導電付与剤を配合すればよい。また、この場合には、図
3(b)に示すように、シート11Aを切断する際に、
マスクパターン30に対応する領域(図3(b)中B−
B’線)で切断することにより、第1ゴム層11表面の
端部が露出されたゴム部材13を形成することができる
(図2参照)。
【0033】また、このようなゴム部材13の製造方法
は、上述した方法に限定されるわけではない。例えば、
図4に示すように、上述した配合したプレポリマーを、
例えば、連続成型することにより第1のゴム層11のシ
ートの11Bを形成する。そして、このシート11B上
に第2のゴム層12となる原料12Bを塗布し、規制ス
キージー40等によってその原料12Bをシート11B
表面に薄く延ばした後、電熱ロール50によって連続加
熱硬化させることにより、第2のゴム層12を形成する
ようにしてもよい。その後、所定の形状にシート11B
を切断することにより所望の形状のゴム部材13が得ら
れる。なお、単独電熱加硫ブレスによっても形成するこ
とができる。
【0034】このような製造方法は、ゴム部材13を連
続成型によって形成することができ、生産性が向上し、
製造コストを低減することができる。
【0035】なお、何れの製造方法でゴム部材13を形
成するにしても、第1のゴム層11となるシート11
A,11B上に第2のゴム層12の原料12A,12B
を塗布する際には、シート11A,11Bが硬化状態又
は半硬化状態であることが好ましく、特に、半硬化状態
であることが望ましい。これにより、第1のゴム層11
と第2のゴム層12との密着性が向上する。
【0036】このように形成したブレード10の特性を
調べるために以下に説明する試験を行った。なお、試験
データを比較するために、第1及び第2のゴム層の配合
は上述の実施例と同様とし、従来の遠心成型法によっ
て、厚さ2mmの第1のゴム層上に、厚さ10〜30μ
mの第2のゴム層を積層してゴム部材を形成し、このゴ
ム部材を実施例と同様の固定部材に固着することにより
比較例のブレードを形成した。
【0037】このようなブレードの特性を調べる試験と
して、これら実施例及び比較例のブレードをそれぞれ5
個ずつ用意し、温度23℃、湿度55%の条件下で各ブ
レードに電圧20Vを5分間印加し、時間経過に伴う電
気抵抗値の変化を測定した。その結果を図5に示す。な
お、図5(a)は、実施例のブレードの電気抵抗値を示
すグラフであり、図5(b)は比較例のブレードの電気
抵抗値を示すグラフである。
【0038】この試験結果から明らかなように、実施例
のブレードは、比較例のブレードと比較してそのばらつ
きが著しく小さく、安定性した特性を得ることができ
る。
【0039】
【発明の効果】以上説明したように本発明では、ポリウ
レタンからなる第1のゴム層上に第1のゴム層とは異な
る配合のゴム部材からなる第2のゴム層を積層するよう
にしたので、第1のゴム層と第2のゴム層との境界が明
確となる。また、第1のゴム層に十分な量のカーボンブ
ラック等の導電付与剤を配合して形成すると共に第2の
ゴム層を比較的高い抵抗率となるように形成することに
より、電気抵抗のばらつきの比較的小さいゴム部材を得
ることができる。さらに、このようなゴム部材をブレー
ドに形成することにより、密着性が良好な導電性ブレー
ドを得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例に係るブレードの使用状態を
示す概略図である。
【図2】本発明の一実施例に係る他のブレードの使用状
態を示す概略図である。
【図3】本発明の一実施例に係るブレード用ゴム部材の
製造工程を示す上面図である。
【図4】本発明の一実施例に係るブレード用ゴム部材の
他の製造工程を示す概略図である。
【図5】実施例及び比較例の電気抵抗値を示すグラフで
ある。
【符号の説明】
10 ブレード 11 第1のゴム層 12 第2のゴム層 13 ゴム部材 14 固定部材 20 感光体

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 所定配合のポリウレタンからなる第1の
    ゴム層と、この第1のゴム層とは異なる配合のゴム部材
    からなると共に前記第1のゴム層上に塗布された液状の
    原料を加熱硬化することにより積層される第2のゴム層
    とを有することを特徴とするブレード用ゴム部材。
  2. 【請求項2】 請求項1において、前記第2のゴム層
    は、前記第1のゴム層が硬化状態又は半硬化状態で積層
    されていることを特徴とするブレード用ゴム部材。
  3. 【請求項3】 請求項1又は2において、前記第2のゴ
    ム層は、マスクパターンによって前記第1のゴム層上の
    長手方向の一部に積層されていることを特徴とするブレ
    ード用ゴム部材。
  4. 【請求項4】 請求項1〜3の何れかにおいて、前記第
    1のゴム層又は第2のゴム層の少なくとも一方の厚さ
    が、0.5mm以下であることを特徴とするブレード用
    ゴム部材。
  5. 【請求項5】 請求項1〜4の何れかにおいて、前記第
    1のゴム層又は第2のゴム層の何れか一方のゴム層が、
    導電性を有することを特徴とするブレード用ゴム部材。
  6. 【請求項6】 請求項5において、他方のゴム層の体積
    抵抗率が、1.0×108Ω・cm以上であることを特
    徴とするブレード用ゴム部材。
  7. 【請求項7】 請求項1〜6の何れかのブレード用ゴム
    部材を支持体に接着固定させたことを特徴とするブレー
    ド。
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