JP2001355703A - 流体式トルク伝達装置 - Google Patents

流体式トルク伝達装置

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JP2001355703A
JP2001355703A JP2000179495A JP2000179495A JP2001355703A JP 2001355703 A JP2001355703 A JP 2001355703A JP 2000179495 A JP2000179495 A JP 2000179495A JP 2000179495 A JP2000179495 A JP 2000179495A JP 2001355703 A JP2001355703 A JP 2001355703A
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piston
front cover
turbine
hydraulic
torque
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JP2000179495A
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Kenji Kawamoto
健司 川元
Shinji Fujimoto
真次 藤本
Hideki Miura
秀喜 三浦
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Exedy Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 ロックアップを行うピストンの受圧面積を十
分に確保する。 【解決手段】 トルクコンバータ1は、エンジン側の部
材からトランスミッション側の部材にトルクを伝達する
ための装置であり、フロントカバー11とインペラー2
1とタービン22とロックアップ用ピストン71とを備
えている。フロントカバー11にはエンジンからトルク
が入力される。インペラー21はフロントカバー11と
ともに流体室を形成する。タービン22は、流体室内で
インペラー21に対向して配置され、トランスミッショ
ンの入力シャフト3にトルクを出力するための部材であ
る。ロックアップ用ピストン71は、フロントカバー1
1とタービン22との空間に配置され、入力シャフト3
によって支持されている。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、流体式トルク伝達
装置、特に、ロックアップ用ピストンを有する装置に関
する。
【0002】
【従来の技術】トルクコンバータは、3種の羽根車(イ
ンペラー,タービン,ステータ)を内部に有し、内部の
作動油を介してトルクを伝達する流体式トルク伝達装置
である。インペラーは入力側回転体としてのフロントカ
バーに固定されている。タービンは流体室内でインペラ
ーに対向して配置されている。インペラーが回転する
と、インペラーからタービンに作動油が流れ、タービン
を回転させることでトルクを出力する。
【0003】ロックアップ装置は、タービンとフロント
カバーとの間の空間に配置されており、フロントカバー
とタービンを機械的に連結することでフロントカバーか
らタービンにトルクを直接伝達するための機構である。
通常、このロックアップ装置は、フロントカバーに押し
付けられることが可能な円板状のピストンと、ピストン
の外周部に固定されるリティーニングプレートと、リテ
ィーニングプレートにより回転方向及び外周側を支持さ
れるトーションスプリングと、トーションスプリングの
両端を回転方向に支持するドリブンプレートとを有して
いる。ドリブンプレートはタービンのタービンシェル等
に固定されている。
【0004】ロックアップ装置が連結状態になると、ト
ルクはフロントカバーからピストンに伝達され、さらに
トーションスプリングを介してタービンに伝えられる。
また、ロックアップ装置に捩じり振動が入力されると、
トーションスプリングがリティーニングプレートとドリ
ブン部材との間で回転方向に圧縮され、捩り振動を吸収
・減衰する。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】前述したロックアップ
装置では、ピストンの内周面はタービンハブの外周面に
よって軸方向及び回転方向に移動可能となるように支持
されている。言い換えると、ピストンはタービンハブに
よって半径方向に位置決めされている。このような構造
では、ピストンの内径を十分に小さくできず、その結果
ピストンの受圧面積が十分に大きくない。このため、ロ
ックアップ装置における伝達トルク容量が十分でない。
【0006】本発明の目的は、ロックアップを行うピス
トンの受圧面積を十分に確保することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】請求項1に記載の流体式
トルク伝達装置は、エンジン側の部材からトランスミッ
ション側の部材にトルクを伝達するための装置であり、
フロントカバーとインペラーとタービンとロックアップ
用ピストンとを備えている。フロントカバーにはエンジ
ンからトルクが入力される。インペラーはフロントカバ
ーとともに流体室を形成する。タービンは、流体室内で
インペラーに対向して配置され、トランスミッション側
の部材にトルクを出力するための部材である。ロックア
ップ用ピストンは、フロントカバーとタービンとの空間
に配置され、トランスミッション側の部材によって支持
されている。
【0008】この装置では、ピストンがトランスミッシ
ョン側の部材によって支持されているため、従来より受
圧面積が増大している。請求項2に記載の流体式トルク
伝達装置では、請求項1において、ピストンは、空間を
軸方向にフロントカバー側の第1油圧室とタービン側の
第2油圧室とに分割するように配置されている。ピスト
ンの内周面はトランスミッション側の部材としてのシャ
フトの外周面に軸方向に移動可能に支持されている。
【0009】この装置では、ピストンの内周面がシャフ
トの外周面によって支持されているため、ピストンの内
径が従来より小さくなっており、したがって受圧面積が
増大している。請求項3に記載の流体式トルク伝達装置
は、請求項2において、ピストンの内周部とタービンと
の間に配置され、ピストンをフロントカバー側に付勢す
る付勢部材をさらに備えている。
【0010】この装置では、付勢部材がピストンをフロ
ントカバー側に付勢しているため、ピストンが速やかに
フロントカバー側に当接して流体の流れを遮断する。そ
の結果、良好なロックアップ応答性が得られる。特に、
ピストンの内径が従来より小さくなっているため、従来
より大きな付勢部材を用いることができる。その結果、
ピストンへの付勢力を従来より大きくでき、良好なロッ
クアップ応答性が得られる。
【0011】請求項4に記載の流体式トルク伝達装置で
は、請求項3において、付勢部材は、ピストンがフロン
トカバー側に当接した状態で、ピストンとタービンとの
間で弾性的に圧縮されている。この装置では、ピストン
がフロントカバーに当接した状態でも付勢部材はフロン
トカバーとタービン側の部材との間に圧縮され、ピスト
ンに付勢力を与えている。そのため、ピストンの摩擦連
結部分でのシール性がよく、クラッチ連結動作のピスト
ン移動中に第2油圧室から第1油圧室に作動油が流れに
くくなっている。この結果、第2油圧室の油圧が低下せ
ず、良好なロックアップ応答性が得られる。
【0012】請求項5に記載の流体式トルク伝達装置で
は、請求項3又は4において、付勢部材がピストンに与
える荷重は、第1及び第2油圧室の差圧によってピスト
ンに対してフロントカバーから離れる方向に与えられる
荷重の最大より大きくなるように設定されている。この
装置では、ピストンは常にフロントカバー側に接触して
いる。ロックアップクラッチ連結解除状態ではフロント
カバーからピストンにはわずかなトルクしか伝達されて
いない。クラッチ連結動作時には、フロントカバーから
離れる方向にピストンに対して与えられる荷重が小さく
なっていき、ピストンの摩擦連結部をフロントカバーに
押し付けられる力が強くなっていく。このようにしてピ
ストンの摩擦係合部における伝達トルクが大きくなって
いく。
【0013】ピストンの摩擦係合部が常にフロントカバ
ーに接触しているため、クラッチ連結動作時に第2油圧
室から第1油圧室に作動油が流れにくい。その結果、第
2油圧室の油圧が低下せず、良好なロックアップ応答性
が得られる。
【0014】
【発明の実施の形態】(1)トルクコンバータの構造 図1は本発明の一実施形態が採用されたトルクコンバー
タ1の縦断面概略図である。トルクコンバータ1は、エ
ンジンのクランクシャフト2からトランスミッションの
入力シャフト3にトルクを伝達するための装置である。
図1の左側に図示しないエンジンが配置され、図1の右
側に図示しないトランスミッションが配置されている。
図1に示すO−Oがトルクコンバータ1の回転軸であ
る。また、図2の矢印R1がトルクコンバータ1及びロ
ックアップ装置7の回転方向駆動側を表しており、矢印
R2がその反対側を表している。
【0015】入力シャフト3の先端側外周面3aは軸方
向にストレートに延びる断面を有する円柱形状であり、
その軸方向トランスミッション側にはスプライン歯3b
が形成されている。また、入力シャフト3の内部には先
端に開口する第1油路3cが形成されている。トルクコ
ンバータ1は、主に、フレキシブルプレート4とトルク
コンバータ本体5とから構成されている。フレキシブル
プレート4は、円板状の薄い部材からなり、トルクを伝
達するとともにクランクシャフト2からトルクコンバー
タ本体5に伝達される曲げ振動を吸収するための部材で
ある。したがって、フレキシブルプレート4は、回転方
向にはトルク伝達に十分な剛性を有しているが、曲げ方
向には剛性が低くなっている。
【0016】トルクコンバータ本体5は、3種の羽根車
(インペラー21、タービン22、ステータ23)から
なるトーラス形状の流体作動室6と、ロックアップ装置
7とから構成されている。フロントカバー11は、円板
状の部材であり、フレキシブルプレート4に近接して配
置されている。フロントカバー11の内周端にはセンタ
ーボス16が溶接により固定されている。なお、センタ
ーボスはフロントカバーと一体成形されていてもよい。
センターボス16は、軸方向に延びる円筒形状の部材で
あり、クランクシャフト2の中心孔内に挿入されてい
る。なお、入力シャフト3の先端はセンターボス16に
近接して配置されている。
【0017】フレキシブルプレート4の内周部は複数の
ボルト13によってクランクシャフト2の先端面に固定
されている。なお、ボルトの代わりにナットを用いても
よい。フロントカバー11の外周側かつエンジン側面に
は、円周方向に等間隔で複数のナット12が固定されて
いる。このナット12内に螺合するボルト14がフレキ
シブルプレート4の外周部をフロントカバー11に固定
している。
【0018】フロントカバー11の外周部には、軸方向
トランスミッション側に延びる外周側筒状部11aが形
成されている。この外周側筒状部11aの先端にインペ
ラー21のインペラーシェル26の外周縁が溶接によっ
て固定されている。この結果、フロントカバー11とイ
ンペラー21とによって、内部に作動油が充填された流
体室が形成されている。インペラー21は、主に、イン
ペラーシェル26と、その内側に固定された複数のイン
ペラーブレード27と、インペラーシェル26の内周部
に固定されたインペラーハブ28とから構成されてい
る。
【0019】タービン22は流体室内でインペラー21
に対して軸方向に対向して配置されている。タービン2
2は、主に、タービンシェル30と、そのインペラー側
の面に固定された複数のタービンブレード31と、ター
ビンシェル30の内周縁に固定されたタービンハブ32
とから構成されている。タービンハブ32はボスとフラ
ンジとから構成されている。タービンシェル30は複数
のリベット33によってタービンハブ32のフランジに
固定されている。
【0020】タービンハブ32のボスの内周面には、入
力シャフト3のスプライン歯3bに係合するスプライン
孔32aが形成されている。これによりタービンハブ3
2は入力シャフト3と一体回転するようになっている。
なお、スプライン係合部部分において歯の一部を切り欠
くことで、軸方向に作動油が連通可能となっている。ま
た、タービンハブ32は入力シャフト3のスプライン歯
3bの回りにのみ配置されているため、入力シャフト3
の先端側外周面3aは露出した状態になっている。
【0021】ステータ23は、タービン22からインペ
ラー21に戻る作動油の流れを整流するための機構であ
る。ステータ23は樹脂やアルミ合金等で鋳造により一
体に製作された部材である。ステータ23はインペラー
21の内周部とタービン22の内周部との間に配置され
ている。ステータ23は、主に、環状のステータシェル
35と、シェル35の外周面に設けられた複数のステー
タブレード36とから構成されている。ステータシェル
35はワンウェイクラッチ37を介して筒状の固定シャ
フト39に支持されている。図に示すワンウェイクラッ
チ37はラチェットを用いた構造であるが、ローラやス
プラグを用いた構造であってもよい。
【0022】固定シャフト39は入力シャフト3の外周
面とインペラーハブ28の内周面との間を延びている。
この結果、固定シャフト39と入力シャフト3との間に
は環状の第2油路82が形成され、固定シャフト39と
インペラーハブ28との間には環状の第3油路83が形
成されている。以上に述べた各羽根車21,22,23
の各シェル26,30,35によって、流体室内にトー
ラス形状の流体作動室6が形成されている。なお、流体
室内においてフロントカバー11と流体作動室6の間に
は環状の空間9が確保されている。
【0023】タービンハブ32とステータ23の内周部
(具体的にはワンウェイクラッチ37)との間には第1
スラストベアリング42が配置されている。この第1ス
ラストベアリング42が配置された部分において、半径
方向両側に作動油が連通可能な第2ポート18が形成さ
れている。すなわち、第2ポート18は第2油路82と
流体作動室6とを連通させている。また、第2油路82
はタービンハブ32の内周面と入力シャフト3の外周面
との間の隙間を介して空間9の第2油圧室B(後述)の
内周部に連通している。
【0024】さらに、ステータ23(具体的にはシェル
35)とインペラー21(具体的にはインペラーハブ2
8)との軸方向間には第2スラストベアリング43が配
置されている。この第2スラストベアリング43が配置
された部分において、半径方向両側に作動油が連通可能
な第3ポート19が形成されている。すなわち、第3ポ
ート19は第3油路83と流体作動室6とを連通させて
いる。なお、各油路3c,82,83は、図示しない油
圧回路に接続されており、独立してポート17(後
述),18,19等に作動油の供給・排出が可能となっ
ている。 (2)ロックアップ装置の構造 ロックアップ装置7は、タービン22とフロントカバー
11との間の空間9に配置されており、必要に応じて両
者を機械的に連結するための機構である。ロックアップ
装置7はフロントカバー11とタービン22との軸方向
間に空間に配置されている。ロックアップ装置7は、全
体が円板状になっており、空間9を概ね軸方向に分割し
ている。ここでは、フロントカバー11とロックアップ
装置7との間の空間を第1油圧室Aとし、ロックアップ
装置7とタービン22との間の空間を第2油圧室Bとす
る。第2油圧室Bは、流体作動室6に対して、外周側で
はインペラー21出口及びタービン22入口の隙間と連
通しており、内周側ではタービンハブ32の内周面を介
して第2油路82と連通している。また、第2油圧室B
は、第1油圧室Aに対して、外周側では摩擦フェーシン
グ80がフロントカバー11の摩擦面11bに密着した
状態でシールされ、内周側ではシールリング44(後
述)によってシールされている。
【0025】ロックアップ装置7は、主に、ピストン7
1と、ピストン71をタービン22に弾性的に連結する
ための弾性連結機構72とから構成されている。ピスト
ン71は、クラッチ連結・遮断を行うための部材であ
り、さらには弾性連結機構としてのロックアップ装置7
における入力部材として機能する。ピストン71は円形
中心孔が形成された円板形状部材である。ピストン71
は、空間9を概ね軸方向に分割するように、空間9内の
半径全体にわたって延びている。ピストン71の外周縁
には軸方向トランスミッション側に延びる外周側筒状部
71aが形成されている。特に、ピストン71の内径は
従来より大幅に小さく、内周面が入力シャフト3によっ
て支持されている。より具体的には、ピストン71の内
周縁には軸方向トランスミッション側に延びる内周側筒
状部71bが形成されており、内周側筒状部71bが入
力シャフト3の先端側外周面3aによって回転方向及び
軸方向に移動可能に支持されている。なお、内周側筒状
部71bがタービンハブ32に当接すると、ピストン7
1のさらなる軸方向トランスミッション側への移動が制
限される。
【0026】先端側外周面3aには環状の溝が形成さ
れ、その溝内にOリング等を含むシールリング44が配
置されている。シールリング44は、内周側筒状部71
bの内周面に当接し、ピストン71の内周縁を軸方向に
シールしている。なお、ピストンの内周面にシール部材
を固着し、入力シャフトの外周面には環状溝を設けない
構造でもよい。また、ピストンの内周側筒状部は軸方向
エンジン側に延びていてもよい。
【0027】なお、ピストン71の内周部とセンターボ
ス16との間には半径方向に作動油が流通可能な第1ポ
ート17が形成されている。すなわち、第1ポート17
は第1油圧室Aと第1油路3cとを連通させている。ピ
ストン71の外周側には摩擦連結部71cが形成されて
いる。摩擦連結部71cは、半径方向に所定の長さを有
する環状部分であり、軸方向両面が軸方向に対して垂直
な面となっている平面形状である。摩擦連結部71cの
軸方向エンジン側には環状の摩擦フェーシング80が張
られている。このように、ピストン71とフロントカバ
ー11の平坦な摩擦面11bとによって、ロックアップ
装置7のクラッチが構成されている。
【0028】弾性連結機構72は、ピストン71とター
ビン22との間、さらに詳細にはピストン71の外周部
とタービンシェル30の外周部との間に配置されてい
る。弾性連結機構72は、ドライブ側部材としてのリテ
ィーニングプレート73と、ドリブン側の部材としての
ドリブンプレート74と、両プレート73,74間に配
置された複数のトーションスプリング75とから構成さ
れている。
【0029】リティーニングプレート73は、ピストン
71の外周側筒状部71aの内周側に配置された環状か
つ円板状の部材であり、内周端が図示しないリベットに
よってピストン71に固定されている。また、リティー
ニングプレート73は外周縁に軸方向トランスミッショ
ン側に延びる筒状の外周側支持部73aを有している。
外周側支持部73aはピストン71の外周側筒状部71
aの内周面に当接している。また、リティーニングプレ
ート73には、スプリング係止用爪73cが円周方向に
等間隔で形成されている。各スプリング係止用爪73c
は外周側筒状部71aの一部を内周側に切り起こした部
分と円板状部分を軸方向トランスミッション側に切り起
こした部分とからなる。さらに、各スプリング係止用爪
73cの円周方向間には、外周側筒状部71aの半径方
向内側において内周側支持部73bが形成されている。
内周側支持部73bは円板状部分から軸方向トランスミ
ッション側に切り起こされた弧状壁である。
【0030】トーションスプリング75は、第1及び第
2トーションスプリング75a,75bからなる複数対
から構成さている。第1及び第2トーションスプリング
75a,75bからなる各対は、ピストン71とドリブ
ンプレート74とを回転方向に弾性的に連結するもので
あり、各スプリング係止用爪73cの回転方向間に配置
されており、径方向外側は外周側支持部73aに、径方
向内側は内周側支持部73bに支持されている。第1ト
ーションスプリング75aと第2トーションスプリング
75bとは中間シート77によって回転方向に直列に連
結されている。連結された両トーションスプリング75
a,75bの円周方向両端部には、図2に示すように、
スプリングシート78a,78bが装着されている。両
トーションスプリング75a,75bは、スプリングシ
ート78a,78bを介して、スプリング係止用爪73
cにより円周方向の移動を規制されている。
【0031】ドリブンプレート74は、リング状の部材
であり、図1に示すように、タービンシェル30のエン
ジン側の面に固定されている。ドリブンプレート74に
は複数の折り曲げ爪74aが形成されている。折り曲げ
爪74aは、軸方向エンジン側に延び、各スプリング係
止用爪73cの各爪間に挿入され、トーションスプリン
グ75a,75bの端部に装着されているスプリングシ
ート78a,78bに当接している。
【0032】付勢部材45は、図1に示すように、ピス
トン71の内周部と、タービンハブ32との軸方向間に
配置されている。付勢部材45は、回転軸O−Oを中心
軸として軸方向に延びる1個のコイルスプリングであ
る。なお、付勢部材45は、ピストン71の摩擦フェー
シング80がフロントカバー11に当接した状態でも軸
方向に圧縮されているような寸法に設定されている。図
1はピストン71が最も軸方向エンジン側に移動し摩擦
フェーシング80がフロントカバー11の摩擦面11b
に密着した状態を示しており、ピストン71の内周側筒
状部71bとタービンハブ32との間には軸方向隙間が
確保されている。
【0033】本実施形態ではピストン71の内周部を半
径方向内側に長く延ばしているため、ピストン71とタ
ービン22との間の隙間が大きくなっており、したがっ
て付勢部材45も従来より大きいものを用いることがで
きる。すなわち、従来よりピストン71に与える付勢力
を大きくできる。なお、付勢部材としては、コーンスプ
リング、ウェーブスプリング又は複数のコイルスプリン
グ等、他のばねや弾性部材であってもよい。 (3)動作a)トルクコンバータ動作 エンジンからのトルクが入力されると、フロントカバー
11とともにインペラー21が回転し、タービン22に
向けて作動油を流す。このためタービン22が回転し、
入力シャフト3にトルクを出力する。
【0034】以上の動作中に、流体作動室6内では作動
油が循環し、例えば、第1油路3cから第1ポート17
を介して第1油圧室A内に作動油が供給される。この作
動油は、摩擦フェーシング80の側方や第2油圧室Bを
通過して、流体作動室6の外周側の隙間(インペラー2
1出口及びタービン22入口)から流体作動室6内に流
れ込む。流体作動室6から第2ポート18を介して第2
油路82に作動油が排出されている。また、流体作動室
6から第3ポート19を介して第3油路83に作動油が
排出されている。
【0035】本実施形態では、以上のように作動油を介
してトルクを伝達しているときにも、ピストン71の摩
擦フェーシング80の少なくとも一部がフロントカバー
11の摩擦面11bに当接し、ロックアップ装置7でも
わずかながらトルク伝達が行われている。これは、付勢
部材45からピストン71に与えられる荷重が、ピスト
ン71をフロントカバー11から離す方向(図1の右
側)に付勢する荷重(第1油圧室Aと第2油圧室Bとの
差圧によって決まる)の最大よりも大きいことを意味し
ている。
【0036】b)ロックアップ動作 ロックアップ連結時には、第1油路3cから第1油圧室
Aの作動油は排出される。さらに、第2油路82及び第
3油路83から流体作動室6内に作動油が供給される。
このとき、第2油路82を通る作動油は、第2ポート1
8を通ってタービン22とステータ23との隙間を流れ
るばかりでなく、タービンハブ32と入力シャフト3の
間(具体的にはスプライン歯3bとスプライン孔32a
の切りかかれた歯の部分)から第2油圧室Bの内周側に
供給される。また、流体作動室6の外周部(インペラー
21の出口及びタービン22の出口)から作動油が第2
油圧室Bの外周側に漏れ出る。このようにして、第2油
圧室Bの油圧が第1油圧室Aの油圧より高くなる。
【0037】このとき、摩擦フェーシング80がフロン
トカバー11の摩擦面11bにあらかじめ当接している
ことにより、第2油圧室Bの作動油は第1油圧室A側に
逃げにくい。すなわち、第2油圧室Bの作動圧が低下し
にくい。この結果、ピストン71のフロントカバー11
側への移動速度が大きくなっている。すなわち、良好な
ロックアップ応答性が得られる。
【0038】ピストン71がフロントカバー11側に移
動するにつれて、ロックアップ装置7における伝達トル
クが大きくなっていく。言い換えると、トルクコンバー
タ1の伝達トルク全体の中で機械トルク伝達の流体トル
ク伝達に対する割合が大きくなっていく。ロックアップ
装置7において、伝達トルク容量は十分に大きくなって
いる。その理由は、第1に、ピストン71は内周面が入
力シャフト3の外周面に支持されることで受圧面積が大
きくなっているからであり、第2に、付勢部材45によ
って付勢力がピストン71に与えられているからであ
る。
【0039】また、ロックアップ装置7において、ピス
トン71のロックアップ応答性は従来に比べて十分に良
くなっている。その理由は、第1に、付勢部材45によ
って付勢力がピストン71に与えられているからであ
り、第2に、第2油圧室Bに内外周両側から作動油が供
給されて流量が大きくなっているからである。また従来
ではロックアップ連結動作中にフロントカバー11、ピ
ストン71等の回転により差圧が発生し、作動油の流れ
が阻害されることがあった。その場合はピストン71の
フロントカバー11側への移動を妨げられていた。しか
し本実施形態では付勢部材45がピストン71に付勢力
を与えているため、そのような場合にもロックアップ連
結が確実に行われる。
【0040】ロックアップ連結中には、フロントカバー
11のトルクは、ピストン71からリティーニングプレ
ート73及びトーションスプリング75を介してドリブ
ンプレート74に伝達される。さらにトルクはドリブン
プレート74からタービン22に伝達される。すなわ
ち、フロントカバー11が機械的にタービン22に連結
され、フロントカバー11のトルクがタービン22を介
して直接入力シャフト3に出力される。
【0041】以上に述べたロックアップ連結状態におい
て、ロックアップ装置7は、トルクを伝達するとともに
フロントカバー11から入力される捩り振動を吸収・減
衰する。具体的には、フロントカバー11からロックア
ップ装置7に捩り振動が入力されると、トーションスプ
リング75がリティーニングプレート73とドリブンプ
レート74との間で回転方向に圧縮される。 (4)ピストンの内周面支持をトランスミッション側の
部材である入力シャフトに行わせたことの利点 a)ピストン71の受圧面積が増大している。従来であ
ればピストンの内径はタービンハブの外周面によって支
持されていたため、十分な受圧面積を確保することが困
難であった。このため、差圧が従来と同じであればより
大きな伝達トルク容量が得られ、又は従来と同程度の伝
達トルク容量を得るのに差圧を小さくできる。
【0042】b)従来であればタービンハブの軸方向エ
ンジン側は第1油圧室Aとなっているため、タービンハ
ブの内周面と入力シャフトの外周面との間に軸方向にシ
ールするためのシール部材を設ける必要があった。しか
し、本実施形態では、タービンハブの軸方向エンジン側
が第2油圧室Bになっているため、シール部材を設ける
必要はなくなり、部品点数が少なくなる。
【0043】c)この実施形態では、タービンハブの内
周面と入力シャフトの外周面との間に、軸方向にシール
するためのシール部材を設けないだけでなく、スプライ
ン歯の一部を切り欠くことで積極的に油路を形成してい
る。この結果、作動油をロックアップ連結動作時に、第
2油圧室Bに内周側からも作動油を供給することがで
き、ピストン71の移動速度を高めることができる。
【0044】d)ピストン71の内周部を従来より長く
内周側に延ばしているため、隙間内に配置する付勢部材
を従来より大きくできる。この結果、付勢部材からピス
トンに与えられる付勢力が大きなり、したがってピスト
ンの移動速度が向上する。 (5)他の実施形態 a)前記実施形態ではピストンの摩擦フェーシングは常
にフロントカバーに接触していたが、低速走行時等には
ピストンの摩擦フェーシングがフロントカバーから離れ
る構造であってもよい。その場合も、付勢部材によりピ
ストンの移動速度が速くなっているため、摩擦フェーシ
ングは速やかにフロントカバーの摩擦面に当接する。
【0045】b)ピストンを付勢する付勢部材を設けな
い構造であっても良い。その場合は前述の付勢部材によ
る効果は得られないが、ピストンの内径を従来より小さ
くしたことやタービンハブの内周側から作動油を供給す
る構造についての利点は維持される。 c)ロックアップ装置の構造は前記実施形態に限定され
ない。例えば、ピストンとフロントカバーとの間に複数
のプレートが配置された複板クラッチのロックアップ装
置にも本発明を採用できる。
【0046】
【発明の効果】本発明に係る流体式トルク伝達装置で
は、ピストンがトランスミッション側の部材によって支
持されているため、従来より受圧面積が増大している。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態が採用されたトルクコンバ
ータの縦断面概略図。
【図2】ロックアップ装置のダンパー機構の部分平面
図。
【符号の説明】
1 トルクコンバータ 3 入力シャフト 3a 先端側外周面 3b スプライン歯 7 ロックアップ装置 11 フロントカバー 45 付勢部材 71 ピストン 71b 内周側筒状部

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】エンジン側の部材からトランスミッション
    側の部材にトルクを伝達するための流体式トルク伝達装
    置であって、 前記エンジンからトルクが入力されるフロントカバー
    と、 前記フロントカバーとともに流体室を形成するインペラ
    ーと、 前記流体室内で前記インペラーに対向して配置され、前
    記トランスミッション側の部材にトルクを出力するため
    のタービンと、 前記フロントカバーと前記タービンとの空間に配置さ
    れ、前記トランスミッション側の部材によって支持され
    たロックアップ用ピストンと、を備えた流体式トルク伝
    達装置。
  2. 【請求項2】前記ピストンは、前記空間を軸方向に前記
    フロントカバー側の第1油圧室と前記タービン側の第2
    油圧室とに分割するように配置され、内周面は前記トラ
    ンスミッション側の部材としてのシャフトの外周面に軸
    方向に移動可能に支持されている、請求項1に記載の流
    体式トルク伝達装置。
  3. 【請求項3】前記ピストンの内周部と前記タービンとの
    間に配置され、前記ピストンを前記フロントカバー側に
    付勢する付勢部材をさらに備えている、請求項2に記載
    の流体式トルク伝達装置。
  4. 【請求項4】前記付勢部材は、前記ピストンが前記フロ
    ントカバー側に当接した状態で、前記ピストンと前記タ
    ービンとの間で弾性的に圧縮されている、請求項3に記
    載の流体式トルク伝達装置。
  5. 【請求項5】前記付勢部材が前記ピストンに与える荷重
    は、前記第1及び第2油圧室の差圧によって前記ピスト
    ンに対して前記フロントカバーから離れる方向に与えら
    れる荷重の最大より大きくなるように設定されている、
    請求項3又は4に記載の流体式トルク伝達装置。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2006161894A (ja) * 2004-12-03 2006-06-22 Exedy Corp 流体式トルク伝達装置
US7147090B2 (en) * 2003-04-23 2006-12-12 Exedy Corporation Hydrodynamic torque transmitting device

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