JP2001355185A - 繊維処理剤 - Google Patents

繊維処理剤

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JP2001355185A
JP2001355185A JP2001012144A JP2001012144A JP2001355185A JP 2001355185 A JP2001355185 A JP 2001355185A JP 2001012144 A JP2001012144 A JP 2001012144A JP 2001012144 A JP2001012144 A JP 2001012144A JP 2001355185 A JP2001355185 A JP 2001355185A
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ethylene
copolymer
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treating agent
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English (en)
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Taku Tokita
卓 時田
Yasuo Okada
康雄 岡田
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Mitsui Chemicals Inc
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Mitsui Chemicals Inc
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 耐久性、風合いに優れかつ焼却時に有害
物を生成しないポリオレフィン系の水性分散体からなる
繊維処理剤を提供する。 【解決手段】 (A)エチレン−極性モノマー共重合体
(A−1)及び/又はオレフィン系エラストマー(A−
2)と、(B)アイオノマー樹脂及び(C)低分子量ポ
リオレフィンから選ばれる少なくとも1種の改質剤と
が、水中に分散された水性分散体からなる繊維処理剤。
繊維処理剤にはさらに(D)酸変性ポリオレフィン化合
物及び(E)炭素数25〜60の脂肪酸化合物から選ば
れる少なくとも1種の化合物が配合されていてもよい。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、特定の樹脂組成物
の水性分散体からなる耐久性に優れた水系の繊維処理剤
に関する。さらに詳しくは、耐スクラッチ性(耐久性)
および風合いに優れた繊維製品、例えば工業用のネッ
ト、建築現場で用いられる帆布などを提供することがで
き、かつ、焼却時に有害な物質を生成しない樹脂組成物
の水性分散体からなる繊維処理剤に関する。
【0002】
【従来の技術】工事用の養生ネット、建築現場に用いら
れる帆布等には、ポリエステルあるいはナイロンの繊維
が使用されてきたが、耐候性、耐久性を付与するため
に、通常塩化ビニルゾルがコーティングされていた。し
かし、昨今の環境問題の高まりを背景に、これらのネッ
ト、帆布等を焼却する際に発生する塩素系ガスやダイオ
キシンの問題が重要視され、塩化ビニルゾルの他製品に
よる代替要請が強くなっている。
【0003】一方、コーティング材の媒体としては、作
業環境を良好に保つために、水系の媒体を採用すべきで
あるという要請が強い。
【0004】以上のような状況から、繊維処理剤とし
て、繊維製品の焼却時に有害な化合物を生成することが
ないポリオレフィン系の水性分散体が望まれていたが、
繊維製品に要求される耐スクラッチ性(耐久性)、風合
い等の性能を同時に満足させるものは得られていない。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明の課題は、前記
の問題を解決した繊維処理剤を提供するものであり、詳
しくは、耐久性、風合いに優れかつ焼却時に有害物を生
成しないポリオレフィン系の水性分散体からなる繊維処
理剤を提供することにある。
【0006】
【問題を解決するための手段】すなわち本発明によれ
ば、(A)エチレン−極性モノマー共重合体(A−1)
及び/又はオレフィン系エラストマー(A−2)と、
(B)アイオノマー樹脂及び(C)低分子量ポリオレフ
ィンから選ばれる少なくとも1種の改質剤とが、水中に
分散された水性分散体からなる繊維処理剤が提供され
る。
【0007】ここに(A)エチレン−極性モノマー共重
合体(A−1)及び/又はオレフィン系エラストマー
(A−2)100重量部当り、改質剤が(B)アイオノ
マー樹脂である場合は1〜60重量部、改質剤が(C)
低分子量ポリオレフィンである場合は0.5〜20重量
部の割合で含有させるのが好ましい。勿論、このような
改質剤は併用することができる。
【0008】上記エチレン−極性モノマー共重合体(A
−1)としてはエチレンー酢酸ビニル共重合体が好まし
く、またオレフィン系エラストマー(A−2)としては
αーオレフィン共重合体、スチレンー共役ジエンブロッ
ク共重合体又はその水素添加物から選ばれるものを使用
するのが好ましい。これらは勿論2種以上併用すること
ができる。
【0009】本発明の好適態様においては、上記系に
(A)エチレン−極性モノマー共重合体(A−1)及び
/又はオレフィン系エラストマー(A−2)100重量
部当り、さらに(D)酸変性ポリオレフィン化合物及び
(E)炭素数25〜60の脂肪酸化合物から選ばれる少
なくとも1種の化合物を0.5〜30重量部の割合で配
合される。
【0010】
【発明を実施する具体的態様】本発明に係る繊維処理剤
は、(A)エチレン−極性モノマー共重合体(A−1)
及び/又はオレフィン系エラストマー(A−2)と、
(B)アイオノマー樹脂及び(C)低分子量ポリオレフ
ィンから選ばれる少なくとも1種の改質剤、場合により
さらに(D)酸変性ポリオレフィン化合物及び(E)炭
素数25〜60の脂肪酸化合物から選ばれる少なくとも
1種の化合物とが、水中に分散されている水性分散体で
ある。以下、これら各原料及び水性分散体の調製方法等
につき詳細に説明する。
【0011】[エチレンー極性モノマー共重合体(A−
1)]本発明で用いることができるエチレンー極性モノ
マー共重合体(A−1)は、エチレンと極性モノマーの
共重合体であって、一般にはランダム共重合体が使用さ
れる。このような共重合体は、好ましくは高温、高圧下
のラジカル共重合によって得ることができる。具体的に
は、エチレンー(メタ)アクリル酸メチル共重合体、エ
チレンー(メタ)アクリル酸エチル共重合体、エチレン
ー(メタ)アクリル酸プロピル共重合体、エチレンー
(メタ)アクリル酸ブチル共重合体、エチレンー(メ
タ)アクリル酸ヘキシル共重合体、エチレンー(メタ)
アクリル酸―2−ヒドロキシエチル共重合体、エチレン
ー(メタ)アクリル酸―2−ヒドロキシプロピル共重合
体、エチレンー(メタ)アクリル酸グリシジル共重合体
等のエチレンー(メタ)アクリル酸エステル共重合体、
エチレンー(メタ)アクリル酸共重合体、エチレンーマ
レイン酸共重合体、エチレンーフマル酸共重合体、エチ
レンークロトン酸共重合体等のエチレンーエチレン性不
飽和酸共重合体、エチレンー酢酸ビニル共重合体、エチ
レンープロピオン酸ビニル共重合体、エチレンー酪酸ビ
ニル共重合体、エチレンーステアリン酸ビニル共重合体
等のエチレンービニルエステル共重合体、エチレンース
チレン共重合体等を挙げることができるが、エチレンー
ビニルエステル共重合体、エチレンー(メタ)アクリル
酸エステル共重合体が好ましく、特には、エチレンー酢
酸ビニル共重合体が好ましい。尚、上記のエチレンー
(メタ)アクリル酸エステル共重合体のような記載は、
エチレンーアクリル酸エステル共重合体又はエチレンー
メタクリル酸エステル共重合体を意味するものである。
【0012】エチレンー酢酸ビニル共重合体は、酢酸ビ
ニル含量が5〜90重量%、特には、15〜40重量%
のものが好ましく、ASTM D 1238によるMF
R(190℃)が、0.05〜1000g/10分であ
るものが好ましく、特に0.1〜500g/10分であ
るものが好ましい。
【0013】[オレフィン系エラストマー(Aー2)]
本発明で用いることができるオレフィン系エラストマー
(A−2)としては、αーオレフィン同士の低結晶性乃
至は非晶性の共重合体(以下、単にオレフィン系共重合
体という)あるいはスチレンー共役ジエンブロック共重
合体又はその水素添加物などを使用することができる。
αーオレフィン同士の低結晶性乃至は非晶性の共重合体
は、所望によりジエンを含有していてもよい。またX線
回折法により測定される結晶化度は、50%以下、特に
30%以下であることが好ましい。
【0014】上記オレフィン系共重合体を構成するαー
オレフィンとしては、炭素原子数2〜20、好ましくは
炭素原子数2〜10、さらに好ましくは炭素原子数2〜
8のものであって、具体的には、エチレン、プロピレ
ン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−オ
クテン、4−メチル−1−ペンテンなどを挙げることが
できる。これらのα- オレフィンは、2種のみならず3
種以上組み合わせて用いることができる。
【0015】また、オレフィン系共重合体に含有するこ
とができる上記ジエンとしては、具体的には、イソプレ
ン、ブタジエン、ジシクロペンタジエン、1,4−ペン
タジエン、2−メチル−1,4−ペンタジエン、1,4
−ヘキサジエン、ジビニルベンゼン、メチリデンノルボ
ルネン、エチリデンノルボルネンなどが挙げられる。こ
れらのジエンは、1種単独で、あるいは2種以上組み合
わせて用いることができる。
【0016】上記オレフィン系共重合体の中では、とく
にエチレンと炭素数3以上のα−オレフィンの2元又は
エチレンと炭素数3以上のα−オレフィンとジエンの3
元のゴム状共重合体を使用することが好ましい。このゴ
ム状共重合体におけるエチレンから導かれる構成単位含
有量は、通常25〜95モル%であり、特に50〜95
モル%であることが好ましく、エチレン以外のα−オレ
フィンから導かれる構成単位含有量は、通常5〜75モ
ル%であり、特に5〜50モル%であることが好まし
い。
【0017】このゴム状共重合体がジエンを含有する場
合、ジエンから導かれる構成単位含有量は0.5〜10
モル%であることが好ましく、この場合、エチレン以外
のα−オレフィンから導かれる構成単位含有量は4.5
〜74.5モル%であることが好ましい。なお、このゴ
ム状共重合体の組成は、13C−NMR法で測定すること
ができる。
【0018】オレフィン系共重合体としては、具体的に
は、エチレン・プロピレン共重合体、エチレン・1−ブ
テン共重合体、エチレン・1−ヘキセン共重合体、エチ
レン・1−オクテン共重合体、プロピレン・1−ブテン
共重合体、プロピレン・1−ヘキセン共重合体、プロピ
レン・1−オクテン共重合体、エチレン・プロピレン・
1,4−ヘキサジエン共重合体、エチレン・プロピレン
・ジシクロペンタジエン共重合体、エチレン・プロピレ
ン・5−エチリデン−2−ノルボルネン共重合体、エチ
レン・プロピレン・5−ビニル−2−ノルボルネン共重
合体、エチレン・1−ブテン・5−エチリデン−2−ノ
ルボルネン共重合体、エチレン・1−ブテン・ジシクロ
ペンタジエン共重合体、エチレン・ブタジエン共重合体
などを挙げらることができる。
【0019】オレフィン系共重合体の135℃デカリン
溶液中で測定される極限粘度[η]は、好ましくは0.
5〜2.0dl/gであり、さらに好ましくは0.7〜
1.5dl/gである。
【0020】本発明においてはまた、オレフィン系エラ
ストマー(A−2)として、スチレン−共役ジエンブロ
ック共重合体又はその水素添加物を使用することができ
る。スチレン−共役ジエンブロック共重合体を構成する
共役ジエンとしては、例えば、ブタジエン、イソプレン
などを挙げることができる。これらの共役ジエンは、単
独で、あるいは2種以上組み合わせて用いることができ
る。
【0021】また、スチレン−共役ジエンブロック共重
合体のブロック構成としては、スチレン−共役ジエンの
ジブロック共重合体、スチレン−共役ジエン−スチレン
のトリブロック共重合体、またはそれ以上のブロック数
を有するブロック共重合体を挙げることができるが、と
くにスチレン−共役ジエン−スチレンのトリブロック共
重合体を使用するのが好ましい。
【0022】このようなスチレンー共役ジエンブロック
共重合体としては、たとえば、米国特許弟3,265,
765号明細書、特開昭61−192743号公報等に
記載されている方法によって製造されるブロック共重合
体などが挙げられる。
【0023】スチレン−共役ジエンブロック共重合体、
たとえばスチレン−イソプレンブロック共重合体は、具
体的には、クレイトンTR−1107、1111、11
12(いずれもシェル化学社製)などの商品名で市販さ
れている。
【0024】また、上記スチレン−共役ジエンブロック
共重合体の水素添加物としては、たとえば、特公昭45
−20504号公報、特公昭48−3555号公報等に
記載されている方法によって製造される水素添加物など
が挙げられる。
【0025】スチレン−共役ジエンブロック共重合体の
水素添加物、たとえばスチレン−ブタジエンブロック共
重合体の水素添加物は、具体的には、クレイトンG−1
652、1657(いずれもシェル化学社製)等の商品
名で市販されており、また、スチレン−イソプレンブロ
ック共重合体の水素添加物は、具体的には、セプトン2
002、2007(いずれも(株)クラレ製)等の商品
名で市販されている。
【0026】上記のようなスチレン−共役ジエンブロッ
ク共重合体又はその水素添加物におけるスチレンから導
かれる構成単位含有量は、繊維処理剤の塗膜の耐スクラ
ッチ性、風合い等の点から10〜70重量%であること
が好ましく、さらに好ましくは20〜50重量%であ
る。
【0027】また、このスチレン−共役ジエンブロック
共重合体またはその水添加物のメルトフローレート(M
FR:ASTM D 1238,230℃、2.16k
g荷重)は、0.1〜1000g/10分であることが
好ましく、さらに好ましくは1〜500g/10分、特
に好ましくは10〜200g/10分ある。
【0028】[(B)アイオノマー樹脂]本発明に係る
繊維処理剤の改質剤として使用することができる(B)
アイオノマー樹脂は、主として炭化水素から構成される
高分子主鎖からなり、側鎖にカルボキシル基を有し、該
カルボキシル基の少なくとも1部が金属イオンあるいは
有機アミン、アンモニア等で中和された重合体である。
このアイオノマー樹脂の具体例として、エチレンー不飽
和カルボン酸共重合体であって、含有するカルボキシル
基の少なくとも1部が金属陽イオンで中和されてなる部
分中和物からなるアイオノマー樹脂を挙げることができ
る。
【0029】このアイオノマー樹脂の主骨格を構成する
エチレンー不飽和カルボン酸共重合体は、ランダム共重
合体でもよいし、ポリエチレンへの不飽和カルボン酸の
グラフト共重合体でもよく、また、エチレンー不飽和カ
ルボン酸共重合体は、1種の不飽和カルボン酸のみを含
むものでもよいし、2種以上の不飽和カルボン酸を含む
ものでも良い。
【0030】エチレンー不飽和カルボン酸共重合体の成
分である不飽和カルボン酸としては、炭素数3〜8の不
飽和カルボン酸等を挙げることができる。炭素数3〜8
の不飽和カルボン酸の具体例としては、アクリル酸、メ
タクリル酸、マレイン酸、フマール酸、イタコン酸、ク
ロトン酸、イソクロトン酸、シトラコン酸、アリルコハ
ク酸、メサコン酸、グルタコン酸、ナジック酸、メチル
ナジック酸、テトラヒドロフタル酸、メチルテトラヒド
ロフタル酸等を挙げることができる。これらの中では、
とくにアクリル酸、メタクリル酸が好ましい。
【0031】また、このアイオノマー樹脂の主骨格を構
成するエチレンー不飽和カルボン酸共重合体は、エチレ
ンと不飽和カルボン酸に加えて第3成分を含んでいても
良い。この第3成分としては、(メタ)アクリル酸メチ
ル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸イ
ソブチル等の不飽和カルボン酸エステル、酢酸ビニル等
のビニルエステルなどを挙げることができる。
【0032】このエチレンー不飽和カルボン酸共重合体
におけるエチレンと不飽和カルボン酸の含有割合は、通
常、エチレン60〜95重量%に対して、不飽和カルボ
ン酸40〜5重量%の割合であり、好ましくは、エチレ
ン75〜92重量%に対して、不飽和カルボン酸25〜
8重量%の割合である。また、エチレンー不飽和カルボ
ン酸共重合体が第3成分を含む場合は、第3成分は40
重量%以下の量で存在することが好ましい。なお、エチ
レンー不飽和カルボン酸共重合体の組成は、IR、13
C−NMR、熱分解ガスクロマトグラフィー等で測定す
ることができる。
【0033】このアイオノマー樹脂において、エチレン
ー不飽和カルボン酸共重合体の側鎖に有するカルボキシ
ル基の少なくとも1部は、1〜3価の金属陽イオン、有
機アミン、アンモニア等で中和されている。具体的に
は、1価の金属イオンとしては、Na,K、Li等を、
2価の金属イオンとしては、Mg,Zn,Ca、Cu、
Fe、Ba等を、3価の金属イオンとしてはAl等を挙
げることができる。
【0034】アイオノマー樹脂において、エチレンー不
飽和カルボン酸共重合体が側鎖に有するカルボキシル基
全部に対する、金属陽イオンで中和されたカルボキシル
基の割合、すなわち中和度は、通常、20〜100%程
度であり、好ましくは30〜80%である。また、この
アイオノマー樹脂は、ASTM D 1238によるM
FR(190℃)が、0.05〜100g/10分であ
るものが好ましく、とくに0.1〜50g/10分であ
るものが好ましい。
【0035】[(C)低分子量ポリオレフィン]本発明
においてはまた、改質剤として低分子量ポリオレフィン
を使用することができる。ここに低分子量ポリオレフィ
ンは、数平均分子量(Mn)が500〜10000、好
ましくは700〜5000、さらに好ましくは1000
〜3000の範囲にある、α−オレフィンの単独重合体
あるいはα−オレフィン同士の2種以上の共重合体が好
ましい。
【0036】上記α−オレフィンの具体例としては、炭
素数2〜20、好ましくは2〜10、さらに好ましくは
2〜8のもの、具体的にはエチレン、プロピレン、1−
ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−オクテン、
4−メチル−1−ペンテン等を挙げることができる。こ
れらの中では、とくにエチレン単独重合体及びエチレン
ープロピレン共重合体が好ましい。このエチレンープロ
ピレン共重合体においては、エチレンから導かれる構成
単位含有量は、通常50モル%以上100モル%未満、
好ましくは90〜98モル%、さらに好ましくは94〜
97モル%である。
【0037】[(D)酸変性ポリオレフィン化合物]本
発明においてはまた、酸変性ポリオレフィン化合物を含
有させることができる。ここに酸変性ポリオレフィン化
合物は、ポリオレフィン系重合体であって、ポリオレフ
ィンの重合体鎖に結合したカルボン酸またはその塩の基
(部分中和物ないし部分ケン化物である場合はカルボン
酸基を含む)を、ポリオレフィン系重合体1グラム当た
り、−COO−基として0.05〜5ミリモル、好まし
くは0.1〜4ミリモルの濃度で含むポリオレフィン系
重合体である。このような酸変性ポリオレフィン化合物
を含有させることにより、分散粒子の平均粒子径が小さ
く均一な分散体を得ることができる。
【0038】このような酸変性ポリオレフィン化合物
は、例えばαーオレフィンの単独重合体又はα- オレフ
ィン同士の共重合体からなるポリオレフィンに、中和さ
れているか、あるいは中和されていないカルボン酸基を
有する単量体、及び/又はケン化されているカルボン酸
エステルを有する単量体を、グラフト共重合することに
より得ることができる。あるいはポリオレフィンにカル
ボン酸エステルを有する単量体をグラフト重合した後、
ケン化することによって得ることができる。
【0039】酸変性ポリオレフィン化合物の調製の際に
用いられる酸変性前のポリオレフィンとしては、GPC
により測定される数平均分子量(Mn)が500〜10
000、好ましくは700〜5000、さらに好ましく
は1000〜3,000の範囲にある、αーオレフィン
の単独重合体または2種以上のαーオレフィンからなる
共重合体が好ましい。
【0040】上記の単独共重合体または共重合体を構成
するαーオレフィンとしては、炭素数2〜20、好まし
くは2〜10、さらに好ましくは2〜8のもの、具体的
にはエチレン、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテ
ン、1−ヘキセン、1−オクテン、4−メチル−1−ペ
ンテン等を挙げることができる。これらの中では、とく
にエチレン又はプロピレンの単独重合体及びエチレンー
プロピレン共重合体が好ましい。
【0041】上記ポリオレフィンにグラフトするグラフ
トモノマーは、上記した中和されているか、あるいは中
和されていないカルボン酸基を有する単量体、およびケ
ン化されているか、あるいはケン化されていないカルボ
ン酸エステル基を有する単量体であり、たとえば、エチ
レン系不飽和カルボン酸、その無水物またはそのエステ
ルなどが挙げられる。
【0042】ここで、エチレン系不飽和カルボン酸とし
ては、具体的には、アクリル酸、メタクリル酸、マレイ
ン酸、フマル酸、テトラヒドロフタル酸、イタコン酸、
シトラコン酸、クロトン酸、イソクロトン酸などが挙げ
られる。
【0043】エチレン系不飽和カルボン酸の無水物とし
ては、具体的には、無水マレイン酸、無水イタコン酸、
無水シトラコン酸、ナジック酸TM(エンドシス−ビシク
ロ[2,2,1]ヘプト−5−エン−2,3− ジカル
ボン酸)などを挙げることができる。
【0044】エチレン系不飽和カルボン酸エステルとし
ては、具体的には、上記エチレン系不飽和カルボン酸の
メチル、エチルもしくはプロピルなどのモノエステルま
たはジエステルなどが挙げられる。これらの単量体は、
単独で用いることもできるし、また2種以上組み合わせ
て用いることもできる。
【0045】上記のポリオレフィンに、グラフトモノマ
ーをグラフトする方法としては、従来公知のグラフト共
重合法を採用することができる。
【0046】[(E)炭素数25〜60の脂肪酸化合
物]本発明の繊維処理剤には炭素数25〜60の脂肪酸
化合物を含有させることができる。このような脂肪酸化
合物を含有させることにより、分散粒子の平均粒子径が
小さく均一な分散体を得ることができる。ここに炭素数
25〜60の脂肪酸化合物とは、炭素数25〜60の脂
肪酸、該脂肪酸の塩、該脂肪酸のエステルを意味し、本
発明ではこれら化合物を単独又は組み合わせて用いるこ
とができる。例えば本発明の繊維処理剤は、脂肪酸の塩
とともに、脂肪酸及び/又は脂肪酸エステルを使用する
ことができる。これら脂肪酸の中では、モンタン酸がと
くに好ましい。
【0047】上記脂肪酸の塩としては、ナトリウム塩、
カリウム塩、リチウム塩等のアルカリ金属塩、マグネシ
ウム塩、カルシウム塩等のアルカリ土類金属塩、アミン
塩等が挙げられ、より好ましいのはモンタン酸のアルカ
リ金属塩である。このような脂肪酸の塩は、炭素数25
〜60の脂肪酸を中和及び/または炭素数25〜60の
脂肪酸のエステルをケン化して得ることができる。
【0048】上記脂肪酸化合物における脂肪酸エステル
は、上記列挙した脂肪酸のエステルである。このエステ
ルを構成するアルコール残基としては、炭素数2〜30
のものが好ましく、炭素数6〜20のものがとくに好ま
しい。アルコール残基は直鎖状でも、分岐状でも差し支
えなく、また炭素数が異なるものの混合物であってもよ
い。アルコール残基として、具体的には、セチルアルコ
ール、ステアリルアルコール、オレイルアルコール等の
高級アルコールの残基を挙げることができる。脂肪酸エ
ステルとしては、具体的にはモンタン酸のエステルワッ
クス、モンタンロウがとくに好適である。
【0049】[水性分散体の調製]本発明の繊維処理剤
は、(A)エチレン−極性モノマー共重合体(A−1)
及び/又はオレフィン系エラストマー(A−2)と、
(B)アイオノマー樹脂及び(C)低分子量ポリオレフ
ィンから選ばれる少なくとも1種の改質剤とが水中に分
散された水性分散体で構成されている。
【0050】上記水性分散体においては、(A)エチレ
ン−極性モノマー共重合体(A−1)及び/又はオレフ
ィン系エラストマー(A−2)100重量部に対し、改
質剤が(B)アイオノマー樹脂である場合には1〜60
重量部、好ましくは5〜30重量部、改質剤が(C)低
分子量ポリオレフィンである場合には0.5〜20重量
部、好ましくは0.5〜15重量部の割合である。勿
論、(A)成分としてエチレン−極性モノマー共重合体
(A−1)及びオレフィン系エラストマー(A−2)を
併用することができるし、改質剤として上記(B)アイ
オノマー樹脂及び(C)低分子量ポリオレフィンを組合
せて使用することができる。
【0051】本発明の繊維処理剤がさらに(D)酸変性
ポリオレフィン化合物及び(E)炭素数25〜60の脂
肪酸化合物から選ばれる少なくとも1種の化合物を含有
する場合には、(A)エチレン−極性モノマー共重合体
(A−1)及び/又はオレフィン系エラストマー(A−
2)100重量部に対し、(D)酸変性ポリオレフィン
化合物及び(E)炭素数25〜60の脂肪酸化合物から
選ばれる少なくとも1種の化合物を0.5〜30重量
部、とくに1〜15重量部の割合で使用するのが好まし
い。
【0052】本発明の繊維処理剤は、上述したように
(A)〜(E)から選ばれる所定の成分を水に分散した
ものである。この水性分散液は、上記所定の成分を前記
した所定の比率で一度に乳化したものでも良いし、個々
の樹脂を乳化した後に前記した所定の比率で混合しても
良い。ここで、水の含量は、(A)〜(E)から選ばれ
る所定の成分の総量100重量部に対して、通常は10
〜500重量部、好ましくは50〜300重量部、さら
に好ましくは70〜200重量部である。以下に好まし
い態様を説明する。
【0053】本発明に係る繊維処理剤において、所定の
原料として(A)エチレン−極性モノマー共重合体(A
−1)及び/又はオレフィン系エラストマー(A−2)
とともに、(D)酸変性ポリオレフィン及び/又は
(E)炭素数25〜60の脂肪酸化合物を使用する場合
は、以下のような方法でこれらの水性分散液を調製して
使用し、改質剤として(B)アイオノマー樹脂及び/又
は(C)低分子量ポリオレフィンを使用する場合はこれ
らの水性分散液を別途調製して、別途調製された前者の
水性分散液に混合して使用するのが好ましい。
【0054】例えば、(A)エチレン−極性モノマー共
重合体(A−1)及び/又はオレフィン系エラストマー
(A−2)と、(D)酸変性ポリオレフィン化合物及び
/又は(E)炭素数25〜60の脂肪酸化合物とを含有
している水性分散体からなる繊維処理剤の調製方法とし
ては、例えば(A)エチレン−極性モノマー共重合体
(A−1)及び/又はオレフィン系エラストマー(A−
2)と、(D)酸変性ポリオレフィン化合物、(E)脂
肪酸および脂肪酸エステルからなる群から選ばれる少な
くとも1種の成分とを溶融混練し、次いで、得られた混
練物に塩基性物質と水を添加してさらに溶融混練するこ
とにより、中和及び/又はケン化と、(A)成分の水相
への分散(転相)を行う方法や、予め(D)酸変性ポリ
オレフィン化合物、(E)脂肪酸および脂肪酸エステル
からなる群から選ばれる少なくとも1種の成分に塩基性
物質と水を添加して、中和及び/又はケン化し、これを
(A)成分と溶融混練した後、さらに水を添加して溶融
混練することにより、(A)成分の水相への転相(分
散)を行う方法で製造することが好ましい。
【0055】本発明においては、前者の方法が簡便で、
かつ、分散粒子の直径が小さく均一な水性分散体が得ら
れるのでとくに好ましい。上記水相への転相に利用する
溶融混練手段は公知のいかなる手段でもよいが、好まし
くはニーダー、バンバリーミキサー、多軸スクリュー押
出機などを例示することができる。
【0056】上記の酸変性ポリオレフィン化合物、脂肪
酸又は脂肪酸エステルにおける中和またはケン化の好ま
しい割合は、全カルボン酸またはカルボン酸エステルの
60〜200%である。
【0057】また、上記の溶融混練と転相によって得ら
れた水性分散体には、水が3〜25%含有されている
が、この水分含有量のままで繊維処理剤として、繊維で
構成される基材に塗布することができる。また、この水
性分散体の粘度が高く作業性が低下する場合には、この
水性分散体にさらに水を補給することにより低粘度化し
た繊維処理剤として、繊維で構成される基材に塗布する
こともできる。
【0058】上記基材としては、繊維で構成される基材
であればどのような基材でもよく、例えば工事用の養生
ネット、建築現場で用いられる帆布、地盤補強用ネッ
ト、テント倉庫やパイプテント等の屋外用テント、およ
びトラックやジャバラ等の幌などが挙げられる。
【0059】上記中和およびケン化に用いる塩基性物質
としては、具体的には、ナトリウム、カリウム等のアル
カリ金属;カルシウム、ストロンチウム、バリウム等の
アルカリ土類金属;ヒドロキシルアミン、水酸化アンモ
ニウム、ヒドラジン等の無機アミン;メチルアミン、エ
チルアミン、エタノールアミン、シクロヘキシルアミ
ン、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド等の有機ア
ミン;酸化ナトリウム、過酸化ナトリウム、酸化カリウ
ム、過酸化カリウム、酸化カルシウム、酸化ストロンチ
ウム、酸化バリウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウ
ム、水酸化カルシウム、水素化ストロンチウム、水酸化
バリウム、水素化ナトリウム、水素化カリウム、水素化
カルシウム等の、アルカリ金属およびアルカリ土類金属
の酸化物、水酸化物、水素化物;炭酸ナトリウム、炭酸
カリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム、炭
酸水素カルシウム、酢酸ナトリウム、酢酸カリウム、酢
酸カルシウム等の、アルカリ金属およびアルカリ土類金
属の弱酸塩などを挙げることができる。
【0060】塩基性物質により中和またはケン化された
カルボン酸基あるいはカルボン酸エステル基としては、
カルボン酸ナトリウム、カルボン酸カリウム等のカルボ
ン酸アルカリ金属塩が好ましい。
【0061】(B)アイオノマー樹脂及び(C)低分子
量ポリオレフィンは、水性分散体の形で、上記水性分散
体に添加することが作業の簡便化の面から好ましい。
(B)アイオノマー樹脂は、自己乳化性があることが知
られており、例えば三井化学(株)製ケミパールS、住
友精化(株)製ザイクセンなどの市販の水性分散体を使
用することができる。
【0062】一方、(C)低分子量ポリオレフィンの水
性分散体は、その乳化において低分子量界面活性剤を使
用していないものが好ましく、例えば三井化学(製)ケ
ミパールWのような市販品を使用することができる。
【0063】本発明に係る繊維処理剤は、上記した
(A)〜(E)から選ばれる所定の成分から形成される
ものであるが、必要によりさらに、たとえば被膜性能を
向上させるために水溶性メラミン樹脂、水溶性ベンゾグ
アナミン樹脂等の水溶性アミノ樹脂や水溶性エポキシ樹
脂を混合使用してもよく、また、水性分散体の安定性の
向上と粘度調整を目的として、ポリビニルアルコール、
ポリビニルピロリドン、ポリビニルメチルエーテル、ポ
リエチレンオキサイド、ポリアクリルアミド、ポリアク
リル酸、カルボキシメチルセルロース、メチルセルロー
ス、ヒドロキシエチルセルロース、ポリ(N−ビニルア
セトアミド)等の有機増粘剤、二酸化ケイ素、活性白
土、ベントナイト等の無機増粘剤を使用することができ
る。
【0064】さらに、水性分散体の安定性を向上させる
ために、界面活性剤を使用することができる。例えば、
アルキルナフタレンスルホン酸塩、ナフタレンスルホン
酸塩、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、ラウリ
ル硫酸ナトリウム、ホルムアルデヒド縮合物のナトリウ
ム塩、アルキルジフェニルエーテルジスルホン酸ナトリ
ウム、リグニンスルホン酸カルシウム、メラニン樹脂ス
ルホン酸ナトリウム、特殊ポリアクリル酸塩、グルコン
酸塩、オレイン酸カリウム、オレフィンーマレイン酸コ
ポリマー、カルボキシメチルセルロースナトリウム塩、
オレイン酸ナトリウム、ステアリン酸カリウム、ステア
リン酸ナトリウム、ステアリン酸トリエタノールアミ
ン、牛脂酸カリウム、牛脂酸ナトリウム、及び金属石鹸
(Zn、Al、Na、K塩)等のアニオン系界面活性
剤;脂肪酸モノグリセライド、ソルビタン脂肪酸エステ
ル、シュガー脂肪酸部分エステル、ポリグリセリン脂肪
酸部分エステル、ポリオキシエチレンアルキルエーテ
ル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポ
リオキシエチレンソルビタン脂肪酸部分エステル、ポリ
オキシエチレンソルビトール脂肪酸部分エステル、ポリ
オキシエチレングリセリン脂肪酸部分エステル、ポリオ
キシエチレン脂肪酸アミン、ポリオキシエチレン(硬
化)ヒマシ油、ポリオキシエチレングリコール脂肪酸エ
ステル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレン・ブ
ロックコポリマー、ヒドロキシエチルセルロース、ポリ
ビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、及びメチル
セルロース等のノニオン系界面活性剤;アルキルアンモ
ニウムクロライド、トリメチルアルキルアンモニウムブ
ロマイド、アルキルピリジニウムクロライド、及びカゼ
イン等の両性界面活性剤;水溶性多価金属塩類などが挙
げられる。これらの界面活性剤は、1種単独で、または
2種以上組み合わせて用いることができる。
【0065】本発明に係る繊維処理剤中には、必要に応
じて、防錆剤、防かび剤、紫外線吸収剤、耐熱安定剤、
発泡剤、消泡剤、顔料(たとえばチタン白、ベンガラ、
フタロシアニン、カーボンブラック、パーマネントイエ
ロー等)、充填剤(たとえば炭酸カルシウム、炭酸マグ
ネシウム、炭酸バリウム、タルク、水酸化アルミニウ
ム、硫酸カルシウム、カオリン、雲母、アスベスト、マ
イカ、ケイ酸カルシウム等)などの添加剤を、本発明の
目的を損なわない範囲で添加することができる。
【0066】本発明に係る繊維処理剤の繊維で構成され
る基材への塗布は、たとえばスプレー、カーテンコー
ト、フローコート、ロールコート、グラビアコート、刷
毛塗り、浸漬等の方法で実施することができる。
【0067】本発明に係る繊維処理剤から形成された塗
膜の乾燥は自然乾燥でもよいが、たとえばこの塗膜を5
0〜200℃で5〜600秒間加熱するのがよい。
【0068】
【実施例】以下に実施例を示して本発明を説明するが、
本発明は実施例によって何ら限定されるものではない。
なお、実施例、比較例における耐スクラッチ性(耐久
性)および風合いは、下記の方法により評価した。
【0069】(1)耐スクラッチ性(耐久性)の評価方
法 ポリエステル繊維で構成される基布の表面に、繊維処理
剤を塗布し、厚み120μmの被膜を形成し、得られた
サンプルについて、テーバー摩耗試験機[(株)東洋精
機製作所製]を用いて、荷重500g、3000回転
(回転速度70rpm)の条件で摩耗試験を行ない、試
験前後の基布の重量を測定し、その重量減少率(%)を
求めた。重量減少率が小さいものほど、耐スクラッチ性
(耐久性)に優れている。 <評価基準> 合 格 : 上記重量減少率が3%未満である。 不合格 : 上記重量減少率が3%以上である。
【0070】(2)風合いの評価方法 風合いは、下記の三段階で評価した。 <評価基準> ○ : 繊維処理剤を塗布した基布を折り曲げ、元に戻し
た後に折り目が認められない。 △ : 繊維処理剤を塗布した基布を折り曲げ、元に戻し
た後に折り目が残る。 × : 繊維処理剤を塗布した基布を折り曲げると塗膜が
破損する。
【0071】[製造例1] [水性分散体ー1の製造]EVA(エチレンー酢酸ビニ
ル共重合体、三井・デュポンポリケミカル社製エバフレ
ックス270、酢酸ビニル含量28重量%)100重量
部、モンタン酸(ヘキスト社製 ヘキストS:炭素数2
8〜32,酸価150mgKOH/g)5重量部とを混
合し、2軸スクリュー押出機(池貝鉄工製 PCM−3
0,L/D=40)のホッパーより3000g/時間の
速度で供給し、同押出機のベント部に設けた供給口よ
り、水酸化カリウムの13%水溶液を300g/時間の
割合(全体当たり10%)で連続的に供給し、加熱温度
160℃で連続的に押出した。押出された樹脂混合物
は、同押出機口に設置したジャケット付きスタティック
ミキサーで90℃まで冷却され、さらに80℃の温水中
に投入され、収率99.3%、固形分濃度で44%、p
H12の水性分散体ー1を得た。得られた水性分散体の
平均粒径は、マイクロトラックで測定したところ、0.
6μmであった。
【0072】[実施例1]製造例1で得た水性分散体ー
1に、その固形分100重量部に対しアイオノマー樹脂
水性分散体(B−1)(商品名ケミパールS650、三
井化学社製、Na中和、固形分濃度27%)を固形分で
15重量部の割合で添加して水性分散体(繊維処理剤)
を調製した。この繊維処理剤をポリエステル基布に塗布
し、120℃で3分加熱乾燥し、サンプルとした。この
サンプルについて耐スクラッチ性、風合いを評価した結
果を表1に示す。
【0073】[実施例2]アイオノマー樹脂水性分散体
(B−1)の代わりにアイオノマー樹脂水性分散体(B
−2)(商品名ケミパールS75N、三井化学社製、N
中和、固形分濃度27%)を使用した以外は実施例
1と同様にして繊維処理剤を調製し、その評価を行っ
た。結果を表1に示す。
【0074】[実施例3]アイオノマー樹脂水性分散体
(B−1)の代わりに低分子量ポリオレフィンのPEワ
ックスー1(商品名ケミパールW310、三井化学社
製、ポリエチレンワックス水性分散体、固形分濃度40
%)を固形分4.8重量部の割合で使用した以外は実施
例1と同様にして繊維処理剤を調製し、その評価を行っ
た。結果を表1に示す。
【0075】[実施例4]アイオノマー樹脂水性分散体
(B−1)とともにPEワックスー1を固形分4.8重
量部の割合で添加した以外は実施例1と同様にして繊維
処理剤を調製し、その評価を行った。結果を表1に示
す。
【0076】[参考例1]市販の塩化ビニルゾル(商品
名 SH200オイル、東レ・ダウコーニング・シリコ
ーン社製)を実施例1〜4と同様にポリエステル基布に
塗布し、同様の評価を行った。結果を表1に示す。
【0077】[比較例1]製造例1で得た水性分散体ー
1を実施例1〜4と同様にポリエステル基布に塗布し、
同様の評価を行った。結果を表1に示す。
【0078】
【表1】
【0079】[製造例2] [水性分散体−2の製造]オレフィン系エラストマー
(A−2)としてEBR(エチレン・1−ブテン共重合
体、三井化学社製、商品名 タフマーA20085)1
00重量部と、酸変性ポリオレフィン化合物として変性
PEワックス(無水マレイン酸変性ポリエチレンワック
ス、無水マレイン酸グラフト量:3重量%、−COO−
基:0.67ミリモル/g−重合体)10重量部と、オ
レイン酸カリウム3重量部とを混合し、二軸スクリュー
押出機(池貝鉄工社製、PCM−30、L/D=40)
のホッパーより3000g/時間の速度で該押出機に供
給し、該押出機のベント部に設けた供給口より、水酸化
カリウムの15%水溶液を150g/時間(EBR、変
性PEワックス及びオレイン酸カリウムの合計量に対し
て5%)の割合で連続的に供給し、加熱温度180℃で
連続的に押出した。
【0080】次いで、押出された混合物を、該押出機口
に設置したジャケット付きスタティックミキサーで90
℃まで冷却し、さらに80℃の温水中に投入して、固形
分濃度40%、pH11の水性分散体−2を99%の収
率で得た。得られた水性分散体の分散粒子の平均粒径
は、マイクロトラックで測定したところ、0.6μmで
あった。
【0081】[実施例5]製造例2で得られた水性分散
体ー2に、EBR100重量部に対して、アイオノマー
樹脂水性分散体(B−1)を固形分換算で10重量部添
加して混合し、水性分散体(繊維処理剤)を調製した。
この水性分散体を用い、ポリエステル繊維で構成された
基布に塗布した後、120℃で3分乾燥した。このよう
に処理された基布をサンプルとし、その耐スクラッチ性
及び風合いを評価した。その結果を表2に示す。
【0082】[実施例6]製造例2で得られた水性分散
体ー2に、EBR100重量部に対して、低分子量ポリ
オレフィンとしてPEワックスー1を固形分換算で10
重量部添加して混合し、水性分散体(繊維処理剤)を調
製した。この水性分散体を用い、実施例5と同様にして
サンプルを調製し、その耐スクラッチ性及び風合いを評
価した。その結果を表2に示す。
【0083】[実施例7]実施例5において、アイオノ
マー樹脂水性分散体(B−1)の配合量を5重量部(固
形分換算)に変更し、さらにEBR100重量部に対し
て、PEワックスー1を固形分換算で5重量部添加して
混合し、水性分散体(繊維処理剤)を調製した。この水
性分散体を用い、実施例5と同様にしてサンプルを調製
し、その耐スクラッチ性および風合いを上記した方法に
従って評価した。その結果を表2に示す。
【0084】[比較例2]繊維処理剤としてアイオノマ
ー樹脂水性分散体(B−1)を用い、実施例5と同様に
して、サンプルを調製し、その耐スクラッチ性及び風合
いを評価した。その結果を表2に示す。
【0085】
【表2】
【0086】[製造例3] [水性分散体ー3の製造]オレフィン系エラストマー
(A−2)としてSEPS(スチレン−イソプレンブロ
ック共重合体水素添加物、クラレ社製、商品名 セプト
ン2002、スチレン含量30重量%)100重量部
と、酸変性ポリオレフィン化合物として製造例2で使用
した変性PEワックス10重量部と、オレイン酸カリウ
ム2重量部とを混合し、二軸スクリュー押出機(池貝鉄
工社製 PCM−30、L/D=40)のホッパーより
3000g/時間の速度で該押出機内に供給し、該押出
機のベント部に設けた供給口より、水酸化カリウムの1
0%水溶液を240g/時間(SEPS、変性PEワッ
クス及びオレイン酸カリウムの合計量に対して8%)の
割合で連続的に供給し、加熱温度230℃で連続的に押
出した。
【0087】次いで、押出された混合物を、該押出機口
に設置したジャケット付きスタティックミキサーで90
℃まで冷却し、さらに80℃の温水中に投入して、固形
分濃度45%、pH10の水性分散体ー4を99%の収
率で得た。得られた水性分散体の分散粒子の平均粒径
は、マイクロトラックで測定したところ、0.5μmで
あった。
【0088】[実施例8]製造例3で得られた水性分散
体ー3に、SEPS100重量部に対して、アイオノマ
ー樹脂水性分散体(B−1)を固形分換算で10重量部
添加して混合し、水性分散体(繊維処理剤)を調製し
た。この水性分散体を用い、ポリエステル繊維で構成さ
れた基布に塗布した後、120℃で3分乾燥した。この
ように処理された基布をサンプルとし、その耐スクラッ
チ性及び風合いを評価した。その結果を表3に示す。
【0089】[実施例9]製造例3で得られた水性分散
体ー3に、SEPS100重量部に対して、低分子量ポ
リオレフィンとしてPEワックスー1を固形分換算で1
0重量部添加して混合し、水性分散体(繊維処理剤)を
調製した。この水性分散体を用い、実施例8と同様にし
てサンプルを調製し、その耐スクラッチ性及び風合いを
評価した。その結果を表3に示す。
【0090】[実施例10]製造例2において、変性P
Eワックス10重量部の代わりに、上記モンタン酸10
重量部を用いた以外は、製造例2と同様にして、水性分
散体を得た。この水性分散体に、EBR100重量部に
対して、アイオノマー樹脂水性分散体(B−1)を固形
分換算で10重量部混合し、水性分散体(繊維処理剤)
を調製した。この水性分散体を用いて実施例8と同様に
してサンプルを調製し、その耐スクラッチ性及び風合い
を評価した。その結果を表3に示す。
【0091】[実施例11]製造例2において、変性P
Eワックス10重量部の代わりに、上記モンタン酸10
重量部を用いた以外は、製造例2と同様にして、水性分
散体を得た。この水性分散体にEBR100重量部に対
し、PEワックスー1を固形分換算で10重量部添加し
て混合し、水性分散体(繊維処理剤)を調製した。この
水性分散体を用いて実施例8と同様にしてサンプルを調
製し、その耐スクラッチ性及び風合いを評価した。その
結果を表3に示す。
【0092】
【表3】
【0093】
【発明の効果】本発明に係わる繊維処理剤は、(A)エ
チレン−極性モノマー共重合体(A−1)及び/又はオ
レフィン系エラストマー(A−2)と、(B)アイオノ
マー樹脂及び(C)低分子量ポリオレフィンから選ばれ
る少なくとも1種の改質剤、場合によりさらに(D)酸
変性ポリオレフィン化合物及び(E)炭素数25〜60
の脂肪酸化合物から選ばれる所定の成分で構成される水
性分散体であり、これを基布に塗布した場合、耐スクラ
ッチ性(耐久性)及び風合いに優れる繊維製品、例えば
ネット、帆布等の繊維製品を得ることができる。またこ
の繊維処理剤は塩素を含有しないので、この繊維処理剤
を塗布した繊維製品の焼却時に、塩素系ガスやダイオキ
シン等を発生するという問題を生じることはない。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) D06M 15/227 D06M 15/227 15/263 15/263 Fターム(参考) 4J002 BB00X BB004 BB034 BB05W BB05X BB06W BB07W BB08W BB09W BB10W BB14X BB15X BB154 BB205 BB215 BB23Y BP01X EF056 EG006 EH006 GK02 4L033 AC15 CA12 CA18 CA28

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】(A)エチレン−極性モノマー共重合体
    (A−1)及び/又はオレフィン系エラストマー(A−
    2)と、(B)アイオノマー樹脂及び(C)低分子量ポ
    リオレフィンから選ばれる少なくとも1種の改質剤と
    が、水中に分散された水性分散体からなる繊維処理剤。
  2. 【請求項2】(A)エチレン−極性モノマー共重合体
    (A−1)及び/又はオレフィン系エラストマー(A−
    2)100重量部当り、(B)アイオノマー樹脂を1〜
    60重量部の割合で含有してなる請求項1記載の繊維処
    理剤。
  3. 【請求項3】(A)エチレン−極性モノマー共重合体
    (A−1)及び/又はオレフィン系エラストマー(A−
    2)100重量部当り、(C)低分子量ポリオレフィン
    を0.5〜20重量部の割合で含有してなる請求項1記
    載の繊維処理剤。
  4. 【請求項4】(A)エチレン−極性モノマー共重合体
    (A−1)及び/又はオレフィン系エラストマー(A−
    2)100重量部当り、(D)酸変性ポリオレフィン化
    合物及び(E)炭素数25〜60の脂肪酸化合物から選
    ばれる少なくとも1種の化合物を0.5〜30重量部の
    割合で含有してなる請求項1〜3記載の繊維処理剤。
  5. 【請求項5】前記エチレン−極性モノマー共重合体(A
    −1)がエチレン−酢酸ビニル共重合体であることを特
    徴とする請求項1〜4に記載の繊維処理剤。
  6. 【請求項6】前記オレフィン系エラストマー(A−2)
    が、αーオレフィン共重合体、スチレンー共役ジエンブ
    ロック共重合体又はその水素添加物であることを特徴と
    する請求項1〜4に記載の繊維処理剤。
  7. 【請求項7】前記(E)炭素数25〜60の脂肪酸化合
    物が、脂肪酸、その塩又はそのエステルであることを特
    徴とする請求項4に記載の繊維処理剤。
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