JP2001354973A - 炭化水素油の水素化脱硫方法 - Google Patents

炭化水素油の水素化脱硫方法

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JP2001354973A
JP2001354973A JP2000177067A JP2000177067A JP2001354973A JP 2001354973 A JP2001354973 A JP 2001354973A JP 2000177067 A JP2000177067 A JP 2000177067A JP 2000177067 A JP2000177067 A JP 2000177067A JP 2001354973 A JP2001354973 A JP 2001354973A
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alumina
palladium
hydrodesulfurization
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JP2000177067A
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Takao Kimura
孝夫 木村
Atsuyasu Oshio
敦保 大塩
Kazuhiko Hagiwara
和彦 萩原
Takashi Kawakami
敬士 川上
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Japan Petroleum Energy Center JPEC
Original Assignee
Cosmo Oil Co Ltd
Petroleum Energy Center PEC
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Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【課題】 触媒をその使用に先立って予備硫化する必要
がなく、高い水素化脱硫活性を、低い温度で発揮する触
媒を使用し、炭化水素油の水素化脱硫を工業的に有利に
実施する。 【解決手段】 ジルコニウムの酸化物または水酸化物か
らなる担体に、触媒基準で、アルミナまたはシリカ・ア
ルミナを1〜30質量%、硫酸根をイオウ分にして1〜
3質量%、パラジウムを0.05〜10質量%担持させ
てなり、全細孔容積が0.1ml/g以上であって、その
うちで1.4〜2.1nmの細孔径を有する細孔が占め
る割合が30〜70%である水素化脱硫触媒を使用し、
反応温度:50〜350℃、好ましくは100〜280
℃、水素分圧:1.0〜15MPa、好ましくは1.4
〜5MPa、液空間速度:0.1〜15h-1、好ましく
は1.0〜8h-1、水素/オイル比:50〜1500N
L/L、好ましくは100〜1000NL/Lの反応条
件で、炭化水素油と水素とを反応させる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、新規な脱硫触媒を
使用した、炭化水素油の水素化処理方法に関する。詳し
くは、固体超強酸触媒を用いる水素化脱硫処理に当たっ
て、従来の脱硫触媒では反応前処理として必要であった
予備硫化処理の必要がなく、しかも炭化水素油中のイオ
ウ分を低減する活性が高い触媒を使用して、比較的低い
反応温度で、有利に炭化水素油の水素化脱硫処理を実施
する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】原油の蒸留や分解によって得られる各種
の炭化水素留分は、多かれ少なかれイオウ化合物を含
み、これらの油を燃料として使用する場合には、それに
起因するイオウ酸化物が放出されて大気を汚染する。近
年は、自動車および航空機エンジンの燃料として使用さ
れるガソリンや軽油にも、環境汚染の問題からいっそう
の低イオウ化が要求されている。
【0003】現在、ガソリン基材として使用されている
ライトナフサのような軽質炭化水素油は、有機イオウ化
合物を、通常は400〜700ppm程度含有しているた
め、マーロックス処理によりイオウ分を70〜150pp
mに低減したり、Co−Mo系、Ni−Mo系等の水素
化脱硫触媒を用いて処理することにより、イオウ分の低
減を図っている。軽油等の中間留分にはイオウ分が約1
〜2%含有されているため、ナフサの脱硫と同様に、水
素化脱硫触媒で処理してイオウ分を500ppm以下に低
減しているが、環境規制の強化により、今後さらにイオ
ウ分を低減することが要求されている。
【0004】しかし、これまで使用されている水素化脱
硫触媒では、今後の規制に応えてイオウ分を十分に低減
するに足りるほど高い脱硫活性を示すものではなく、従
来品よりさらに活性がすぐれた脱硫触媒の出現が要望さ
れている。それに加えて、従来のCo−Mo系やNi−
Mo系等の脱硫触媒では、水素化脱硫反応の前処理とし
て予備硫化を必要とし、工程が煩雑であるばかりでな
く、経済的にも不利であった。
【0005】この問題に対するひとつの解決策として、
最近、硫酸化ジルコニアをベースとする酸性触媒が開示
された(特開平11−197510号)。この触媒は、
硫酸化ジルコニアと白金のような水素化遷移金属とを含
有する固体酸性触媒であって、135m2/g以上の比
表面積と、0.16ml/g以上の細孔容積と、20nm
以上の細孔径とを有するものである。
【0006】発明者らも、硫酸化ジルコニアに白金族金
属を組み合わせた水素化脱硫触媒について研究し、軽質
炭化水素の脱硫活性とともに異性化性能が高い触媒を見
出して、それを使用した水素化脱硫異性化方法を、すで
に提案した(特願平11−324243号)。その触媒
は、酸化ジルコニウムまたは水酸化ジルコニウムに硫酸
根をイオウ分にして1〜3質量%含有させるとともに、
パラジウム0.05〜10質量%を(またはさらに白金
0.05〜10質量%をも)担持させ、550〜800
℃で焼成安定化させてなり、比表面積が50〜150m
2/gであることを特徴とするものであり、提案した水
素化脱硫異性化方法は、この触媒に、イオウ分含有量7
00質量ppm以下の軽質炭化水素油と水素とを、温度
140〜400℃、水素分圧1.0〜4.5MPa、液
空間速度1.0〜10hr-1、水素/オイル比1〜3モ
ル/モルの反応条件下に接触させて、水素化脱硫と同時
に異性化を行なうものである。
【0007】さらに研究を進めた発明者らは、特定の固
体超強酸触媒が、脱硫反応の前処理として予備硫化を行
なわなくても脱硫活性がすぐれ、比較的低い反応温度に
おいても炭化水素油中のイオウ分を効果的に低減できる
ことを見出した。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、発明
者らの得た上記の新知見を活用し、使用に先立つ処理工
程である予備硫化を必要とせず、しかも高い水素化脱硫
活性を有する触媒を使用して、比較的低い温度で脱硫反
応を行なうことにより、炭化水素油の水素化脱硫を工業
的に有利に実施できる方法を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明の炭化水素油の水
素化脱硫方法は、ジルコニウムの酸化物または水酸化物
からなる担体に、触媒基準で、アルミナまたはシリカ・
アルミナを1〜30質量%、硫酸根をイオウ分にして1
〜3質量%、パラジウムを0.05〜10質量%担持さ
せてなり、全細孔容積が0.1ml/g以上であって、そ
のうちで1.4〜2.1nmの細孔径を有する細孔が占
める割合が30〜70%である触媒の存在下に、水素分
圧1〜15MPa、温度50〜350℃、液空間速度
0.1〜15hr-1および水素/オイル比50〜150
0NL/Lの反応条件で、有機イオウ分を含有する炭化
水素留分と水素とを反応させることを特徴とする。
【0010】本発明の水素化脱硫方法に使用する触媒に
は、パラジウムに加えて、さらに白金、レニウム、ルテ
ニウム、コバルトおよびモリブデンから選んだ1種また
は2種以上を、0.05〜10質量%担持させることも
できる。
【0011】本発明の炭化水素油の水素化脱硫方法は、
水素分圧1〜15MPa、温度50〜350℃、液空間
速度0.1〜15hr-1、および水素/オイル比50〜
1500NL/Lの条件下で、有機イオウ分を含有する
炭化水素留分と水素とを、上述した触媒に接触させて反
応させることからなる。
【0012】
【発明の実施の形態】本発明で使用する脱硫触媒の担体
は、上記したとおり、ジルコニウムの酸化物または水酸
化物である。水酸化ジルコニウムには、Zr(OH)4
Zr(OH)2、Zr(OH)3などの形態があり、そのいず
れでもよいが、一般には酸化ジルコニウムの水和物Zr
2・xH2O(ただし、0<x≦2)で表されるものが
好適である。
【0013】ジルコニウムの酸化物または水酸化物から
なる担体には、アルミナまたはシリカ・アルミナを含有
させることが、触媒強度の観点から好ましい。その含有
量は、触媒基準で1〜30質量%、好ましくは3〜25
質量%である。含有量が1質量%未満であると、触媒強
度が低く工業用触媒として不適切であり、一方で30質
量%を超えると、触媒強度は十分であるが、脱硫触媒活
性が低くなる。
【0014】本発明で使用する固体超強酸触媒は、SC
Sすなわち側面破壊強度(Side Crush Strength、触媒
の機械的強度を示す値)が0.5kg/mm以上であること
が好ましい。SCSが0.5kg/mmに満たないと触媒強
度が低く、反応装置に触媒を充填したときに触媒が破壊
して粉末化し、装置内の差圧が大きくなって、水素化処
理の運転が続行できなくなるおそれがある。
【0015】担体にパラジウムを担持させるために使用
するパラジウム化合物としては、塩化金属酸塩、塩化
物、硫酸塩、硝酸塩、酢酸塩、テトラアミンパラジウム
錯体などが挙げられるが、好ましいものは、塩化物、硫
酸塩および硝酸塩である。
【0016】パラジウムの含有量は、触媒基準で、0.
05〜10質量%、好ましくは0.1〜5質量%とす
る。パラジウム担持量が0.05質量%未満では脱硫活
性が発現せず、10質量%を超えると活性金属であるパ
ラジウムの分散性が低くなり、かえって活性が低下す
る。
【0017】担体に硫酸根(SO4)を与える処理剤と
しては、硫酸、硫酸アンモニウム、あるいは硫化水素、
亜硫酸ガス等が挙げられる。使いやすいものは、硫酸や
硫酸アンモニウムである。硫酸根の量は、イオウ(S)
分として1〜3質量%、好ましくは1.5〜2質量%と
なるようにする。硫酸根量がイオウとして1質量%未満
であると、触媒の酸性度つまり固体超強酸性が弱く、脱
硫触媒としての活性が不十分である。また、3質量%を
超えると、ジルコニア担体の表面を硫酸根が過剰に覆
い、表面に積層して活性点をつぶしてしまうため、かえ
って活性が低下する。
【0018】触媒中のイオウ分の測定は、試料を酸素気
流中で燃焼させ、試料中に含まれているSを酸化させて
SO2にし、水分とダストを除去した後、赤外線検出器
たとえばソリッド・ステート型の検出器を用いて検出す
ることにより行なう。この分析方法によれば、試料中の
イオウ分量を0.001〜99.99%の濃度範囲で求
めることができる。
【0019】本発明で水素化脱硫に使用する触媒は、所
定の温度で焼成安定させた後、全細孔容積が0.1ml/
g以上、好ましくは0.1〜0.25ml/gの範囲内で
あって、そのうちで1.4〜2.1nmの細孔径を有す
る細孔が占める割合が30〜70%であることを要す
る。全細孔容積が0.1ml/gに達しないものは、触媒
活性が高く得られない。上記の範囲の細孔径をもつ細孔
の容積が全細孔容積の30%未満であると、脱硫活性点
が少なく、十分な脱硫活性が得られない。70%を超え
ると、脱硫活性は十分に得ることができるが、触媒強度
が低下する。好ましい範囲は、35〜65%である。
【0020】上記の細孔径と細孔容積は、通常の表面積
および細孔容積測定装置を用い、窒素吸着法により測定
・算出することができる。
【0021】本発明で使用する触媒の好ましい態様は、
前記のように、パラジウムを含有する触媒に白金、ルテ
ニウム、レニウム、コバルトおよびモリブデンから選ん
だ金属を1種または2種以上添加することにより、さら
に脱硫活性を高くしたものである。これらの金属の添加
量は、0.05〜10質量%、好ましくは、0.05〜
5質量%である。0.05質量%未満では脱硫活性の向
上効果が認められず、10質量%を超えると活性金属の
分散性が低下し、脱硫活性はむしろ低くなる可能性があ
る。
【0022】本発明で使用する固体超強酸触媒は、焼成
安定化処理を行なった後の物性として、担体の酸化ジル
コニウム(ZrO2)の結晶構造における単斜晶構造と
正方晶構造との存在比率が、単斜晶/正方晶=20/8
0〜0/100の範囲にあることが好ましく、より好ま
しい範囲は、10/90〜0/100である。これは、
触媒担体としては正方晶構造の方が高活性であり、単斜
晶構造の割合が高いと、それにしたがって触媒活性が低
くなるためである。酸化ジルコニウム中の単斜晶構造と
正方晶構造の存在比は、触媒のX線回折ピークを測定
し、CuKα線による2θ=28.2(単斜晶構造の主
ピーク)のピークと、2θ=30.2(正方晶構造の主
ピーク)とのX線回折ピーク積分強度比をもって算出す
ることができる。
【0023】さらに、本発明で使用する固体超強酸触媒
は、所定の焼成安定化処理を行なった後、比表面積が5
0〜200m2/gの範囲にあることが好ましい。より好
ましくは、50〜150m2/gの範囲である。比表面積
が50m2/g未満では、担持金属の分散性が低く、水素
化脱硫のための活性点も少なくなる。比表面積が低いも
のは、ジルコニウム酸化物の結晶構造も、単斜晶と正方
晶の比率が20/80より大きくなる傾向があり、好ま
しくない。比表面積が低ければ、触媒中の硫酸根の含有
量も、イオウ分で1質量%以上を確保することが困難に
なり、固体超強酸性が発現しない。一方、比表面積が2
00m2/gを超えるものは、ジルコニウム酸化物の結晶
化が進行せず、その中の酸化ジルコニウム正方晶構造の
割合が低いレベルであるため、水素化脱硫活性が低い値
に止まり、好ましくない。上記の比表面積は、BET法
により測定した値を用いた。
【0024】上述の触媒を製造する方法には特段の限定
はなく、硫酸根を与え、またパラジウムを担持させる方
法も、順序も任意であるが、好適な具体例を挙げれば次
の諸方法であり、このうちのどの方法を採用してもよ
い。 (1)水酸化ジルコニウム担体にまず硫酸根を含有さ
せ、乾燥後、パラジウム金属を含浸担持させ、乾燥・焼
成を行ない、続いてアルミナゾル等の無機酸化物を混合
して、成形・乾燥・焼成を行なう工程 (2)水酸化ジルコニウム担体に、活性金属を先に含浸
担持させ、乾燥後、硫酸根を含有させ、乾燥・焼成を行
ない、つぎにアルミナゾル等の無機酸化物を混合して、
成形・乾燥・焼成を行なう工程 (3)水酸化ジルコニウム担体にまずパラジウム金属を
含浸担持させ、アルミナゾル等の無機酸化物を混合し、
成形・乾燥・焼成後、硫酸根を含有させて、乾燥・焼成
する工程 (4)水酸化ジルコニウム担体にまず硫酸根を含有さ
せ、アルミナゾル等の無機酸化物を混合し、成形・乾燥
・焼成した後、パラジウム金属を含浸担持させて、乾燥
・焼成する工程 (5)水酸化ジルコニウム担体に硫酸根とパラジウム金
属を同時に担持させ、乾燥・焼成後、アルミナゾル等の
無機酸化物を混合して、成形・乾燥・焼成する工程 (6)水酸化ジルコニウム担体に初めにアルミナゾル等
の無機酸化物を混合し、成形・乾燥後、硫酸根を含有さ
せて乾燥を行ない、ついでパラジウム金属を含浸担持さ
せてから、乾燥・焼成を行なう工程
【0025】パラジウムに加えて第二の金属成分である
白金、ルテニウム、レニウム、コバルトまたはモリブデ
ンを使用する場合、その担持は、パラジウムの担持と同
様な方法を用いて行なうことができ、焼成安定化処理前
であれば、どの段階でこれら金属を導入してもよい。も
ちろん、パラジウムと同時に導入してもよい。
【0026】以下、前述(1)の製造工程を例にとっ
て、本発明で使用する触媒の製造方法を具体的に説明す
る。
【0027】まず、ジルコニウムの水酸化物または酸化
物からなる担体に硫酸根処理を行なう。この硫酸根処理
は、ジルコニウムの水酸化物または酸化物からなる担体
に、水に溶かした硫酸塩を添加して、ろ過、乾燥するこ
とにより実施する。硫酸根を与える処理剤としては、
0.1〜5Nの硫酸、0.1〜10モル濃度の硫酸アン
モニウム、硫化水素や亜硫酸ガス等が挙げられるが、好
ましいのは、前記のように硫酸や硫酸アンモニウムであ
る。
【0028】硫酸根処理の方法には、含浸法や混練法が
ある。含浸法は、液体である処理剤を触媒担体に対して
1〜10倍当量含浸させ、ろ過、乾燥する。乾燥は、た
とえば110℃に、1〜24時間加熱する。混練法は、
硫酸根処理剤として固体の状態にあるものを、担体と混
練して含有させる手法である。混練の手段としては、一
般に触媒製造に用いられる混練機であれば、どのような
ものを用いてもかまわない。混練の際には、粘度調整剤
として液体を加えることもできる。添加する液体として
は、水、エタノール、イソプロパノール、アセトン、メ
チルエチルケトン、ジエチルケトン、メチルイソブチル
ケトン等の溶剤が挙げられる。この場合、硫酸根処理剤
と溶媒の添加順序にはとくに制限はなく、混練の温度お
よび時間は、その条件で本発明の触媒が期待される物性
をそなえる限り、限定されない。
【0029】次に、硫酸根含有ジルコニアに、パラジウ
ム金属を担持させる。パラジウムは、その塩化金属酸
塩、塩化物、硫酸塩、硝酸塩、酢酸塩、テトラアミンパ
ラジウム錯体等の水溶液に、担体を浸漬し、乾燥するこ
とにより含有させることができる。乾燥は、たとえば温
度110℃で1〜24時間行なう。別法として、上述の
硫酸根処理剤との混練時に、パラジウム金属の塩化物、
硫酸物、硝酸物等も混合して、混練によって金属と硫酸
根とを同時に担持させるという手法を選ぶこともでき
る。
【0030】硫酸根およびパラジウム金属が担持された
担体には、焼成安定化処理を施す。焼成安定化処理は、
酸化性の雰囲気下、温度が550〜800℃の範囲、好
ましくは600〜750℃の範囲で、0.5〜10時間
にわたり加熱することにより行なう処理である。焼成温
度が550℃未満では、ジルコニウム化合物中に含まれ
る水酸化ジルコニウムの割合が多くなり、ジルコニウム
酸化物中の正方晶の占める割合が少なくなるため、固体
酸の性質が発現せず、触媒の水素化脱硫活性が低い。こ
れに対し、800℃を超える高温で加熱処理すると、水
酸化物の割合は減少するが、単斜晶の酸化ジルコニウム
の占める割合が多くなって、水素化脱硫活性が低くな
る。それだけでなく、硫酸根も触媒上から脱離し、触媒
中のイオウ分量が1質量%未満になり、固体酸強度が低
下してしまう。さらに、パラジウム等の担持金属のシン
タリングも起こり、水素化脱硫の活性点が減少する。
【0031】なお、触媒の焼成安定化処理を酸化性雰囲
気下で行なう理由は、もし還元性雰囲気下で行なうと、
パラジウムなどの金属または金属化合物と硫酸根の結合
状態が変化したり、還元分解に起因すると思われる硫酸
根の減少によって、触媒活性が低下するからである。
【0032】上述の焼成安定化処理は、パラジウム等の
金属を担持する前に行なっても、後に行なってもかまわ
ない。金属を担持する前に行なう場合でも、焼成安定化
は、結晶状態が正方晶構造の酸化ジルコニウムが得られ
る温度である550〜800℃の範囲、さらに好ましく
は600〜750℃の範囲で実施し、焼成時間は0.5
〜10時間の範囲が好ましい。焼成安定化を先に行なっ
た場合は、つぎにパラジウム等の金属を含浸担持させ、
その後、さらに300〜700℃の温度で焼成する安定
化処理を行ない、触媒を活性化することもできる。
【0033】このようにして得たパラジウム担持硫酸根
含有ジルコニアは、次にバインダーとなるアルミナやシ
リカ・アルミナと混合して、触媒に成形する。アルミナ
原料としては、種々の形態のものが使用できるが、水酸
化アルミニウム、ベーマイトや擬ベーマイトの形態のも
のが好ましい。シリカ原料としては、シリカゾルが好適
である。触媒の製造は、パラジウム担持硫酸根含有ジル
コニアと、たとえばアルミナゾルとを混合し、成形、乾
燥後、焼成安定化処理を行なうことからなる。あるい
は、パラジウム含有硫酸根ジルコニアとベーマイト粉末
とを混合し、水その他の媒体を添加して流動性を与えた
後、成形処理を行ない、乾燥、焼成によって本発明の触
媒を得ることもできる。
【0034】バインダーとしてアルミナを使用する場合
は、上記の触媒製造法(1)〜(6)で述べたように、
水酸化ジルコニウムにアルミナを混合してから、硫酸
根、パラジウム金属等を与える処理を行ない、その後、
成形、乾燥、焼成する手順によってもよい。
【0035】触媒の形状にはとくに限定はなく、通常こ
の種の触媒がとり得る種々の形状、たとえば打錠成型や
押出成型により得られる円柱状、四葉型等を採用するこ
とができる。
【0036】本発明の好ましい態様である、パラジウム
に加えて白金、ルテニウム、レニウム、コバルトまたは
モリブデンを担持させた触媒の製造は、パラジウムを担
持させる方法と同様の手法で実施することができる。す
なわち、パラジウムと同時に、または別個に、これらの
金属の塩化金属酸塩、塩化物、硫酸塩、硝酸塩、酢酸
塩、テトラアミン錯体等の水溶液を担体に含浸させ、乾
燥することである。前記の硫酸根処理剤との混練時に、
これらの金属の塩化物、硫酸物、硝酸物等を混練するこ
とにより、硫酸根を与えると同時に、金属を担持させる
方法も採用することができる。
【0037】本発明の固体超強酸触媒を用いて水素化脱
硫を行なう原料油としては、原油の常圧蒸留装置から留
出したライトナフサ、ヘビーナフサ、灯油、軽油等の有
機イオウを含有する炭化水素油が適切である。とくに好
適な原料油は、ASTM蒸留温度が25〜130℃、好
ましくは25〜110℃のライトナフサである。ライト
ナフサの有機イオウの含有量についていえば、700質
量ppm以下、好ましくは10〜500質量ppm程度のもの
が効果的脱硫処理できる。
【0038】本発明の炭化水素油の水素化脱硫方法を実
施する反応条件は、下記のとおりである。 反応温度:50〜350℃、好ましくは100〜280
℃ 水素分圧:1.0〜15MPa、好ましくは1.4〜5
MPa 液空間速度:0.1〜15hr-1、好ましくは1.0〜
8hr-1 水素/オイル比:50〜1500NL/L、好ましくは
100〜1000NL/L
【0039】反応温度が50℃よりも低いと、触媒の活
性が低く、一方、350℃以上では炭化水素油の分解が
進んで、生成油の収率が低下する。後記する実施例に見
るように、100〜200℃の、比較的低い温度で高い
脱硫活性を示すことが、この触媒の利点である。そのほ
かの条件すなわち水素分圧、液空間速度および水素/オ
イル比は、従来実施されている炭化水素油の脱硫反応の
条件と、ほぼ同様である。
【0040】本発明の固体超強酸触媒は、従来の脱硫触
媒に対し反応前処理として行なっている予備硫化は必要
ないが、それに代えて、触媒活性の安定化、すなわち担
持されている金属化合物の金属への還元と強酸点の活性
化のために、還元処理を施すことが好ましい。この還元
処理は、触媒を水素または不活性ガスの雰囲気下、10
0〜500℃の温度で1〜24時間乾燥し、次いで、水
素ガス雰囲気下で100〜400℃の温度で還元するこ
とにより実施することが好ましい。
【0041】
【実施例】以下に、本発明の触媒製造例1〜17(触媒
A〜J,NおよびP〜Tの製造)および比較触媒例1〜
5(触媒K*,L*,O*およびT*の製造と市販触媒U*
およびV*)を挙げ、ついでそれらの触媒を使用した水
素化脱硫反応の例を示して、本発明を具体的に説明す
る。ただし、本発明はこれらの例によって限定されるも
のではない。(*印は、比較触媒例であることを示す)
【0042】[触媒製造例1] 触媒A (1)Zr(OH)4の調製 市販のオキシ塩化ジルコニウムZrOCl2・8H2Oの
1000gを4Lの蒸留水に溶かし、攪拌しながら、そ
こへ25%アンモニア水NH3aq.を滴下して、水酸化
ジルコニウムZr(OH)4を沈殿させた。水溶液のpH
が9.0になるように調製し、沈殿した水酸化ジルコニ
ウムを濾過して分離した。濾過後、蒸留水でよく洗浄
し、110℃で一昼夜乾燥させ、水酸化ジルコニウム4
90gを得た。 (2)SO4/Zr(OH)4の調製 上記のようにしてオキシ塩化ジルコニウムから調製した
水酸化ジルコニウムの400gを1N−硫酸4000g
に入れ、30分間攪拌した。攪拌後、濾過して固体分を
110℃で一昼夜乾燥し、硫酸根を含有する水酸化ジル
コニウムSO4/Zr(OH)4452gを得た。 (3)Pd/SO4/ZrO2の調製 塩化パラジウムPdCl21.8gを塩酸に溶かした溶
液に、硫酸根を与えた水酸化ジルコニウム190gを入
れ、Pd塩を含浸させた。その後、110℃で一昼夜乾
燥し、マッフル炉を用いて600℃で3時間焼成するこ
とにより、Pd担持硫酸根含有ジルコニア触媒原料(P
d/SO4/ZrO2)135gを得た。 (4)Pd/SO4/ZrO2−Al23 上記の操作で得られた触媒原料100gとアルミナゾル
60gとを十分混合し、押出成形機を通して直径1.6
mmの円柱状に成形し、110℃で一昼夜乾燥した。これ
を再度600℃に焼成して安定化することにより、触媒
Aを109g得た。
【0043】[触媒製造例2] 触媒B 触媒製造例1において、塩化パラジウムの代わりに硫酸
パラジウム1.9gを用い、硫酸根含有水酸化ジルコニ
ウムを200g用いたほかは、触媒製造例1と同じ条件
で含浸、乾燥、成形および焼成を行ない、触媒Bを15
1g得た。
【0044】[触媒製造例3] 触媒C 触媒製造例1において、塩化パラジウムの代わりに硝酸
パラジウム1.8gを用い、硫酸根含有水酸化ジルコニ
ウムを166g用いたほかは同じ条件で、含浸、乾燥、
成形および焼成を行ない、触媒Cを175g得た。
【0045】[触媒製造例4] 触媒D 触媒製造例1において、塩化パラジウムの代わりにテト
ラアミンパラジウムクロライドモノハイドレート2.0
gを用い、硫酸根含有水酸化ジルコニウムを139g用
いたほかは同じ条件で、含浸、乾燥、成形および焼成を
行ない、触媒Dを149g得た。
【0046】[触媒製造例5] 触媒E 触媒製造例1において、アルミナゾルを30g用いたほ
かは同じ条件で含浸および乾燥を行ない、打錠成形機を
用いて直径3mmのペレットを製造し、これを焼成して触
媒Eを得た。
【0047】[触媒製造例6] 触媒F 触媒製造例1において、アルミナゾルを90g用いたほ
かは同じ条件で、含浸、乾燥、成形および焼成を行な
い、触媒Fを得た。
【0048】[触媒製造例7] 触媒G 触媒製造例1において、アルミナゾルを120g用いた
ほかは同じ条件で、含浸、乾燥、成形および焼成を行な
い、触媒Gを得た。
【0049】[触媒製造例8] 触媒H 触媒製造例1において、アルミナゾルを54gとし、さ
らにシリカゾルを6g追加した以外は同じ条件で、含
浸、乾燥、成形および焼成を行ない、触媒Hを得た。
【0050】[触媒製造例9] 触媒I 触媒製造例1において、アルミナゾルを36g、シリカ
ゾルを24g追加し、押出成形機の代わりに打錠成形機
を用いた以外は同じ条件で、含浸、乾燥、焼成を行な
い、触媒Iを得た。
【0051】[触媒製造例10] 触媒J 触媒製造例1において、アルミナゾルを108gとし、
さらにシリカゾルを12g追加した以外は同じ条件で、
含浸、乾燥、成形および焼成を行ない、触媒Jを得た。
【0052】[比較触媒製造例1] 触媒K* 触媒製造例1において、アルミナの混合をせず、かつ打
錠成形機を用いた以外は同じ条件で、含浸、乾燥、成形
および焼成を行ない、触媒K*を得た。
【0053】[比較触媒製造例2] 触媒L* 触媒製造例1において、塩化パラジウムの代わりに塩化
白金1.9gを用い、硫酸根含有水酸化ジルコニウム2
00gを用いたほかは同じ条件で、含浸、乾燥、成形お
よび焼成を行ない、触媒L*を得た。
【0054】上記触媒A〜L*の製造条件と物性とを、
表1にまとめて示す。 表 1 触媒の製造条件および物性(その1) 触媒A 触媒B 触媒C 触媒D 担持物質 PdCl2 PdSO4 Pd(N03)2 Pd(NH3)4Cl2 焼成条件 600℃×3h 600℃×3h 600℃×3h 600℃×3h 比表面積(m2/g) 134 133 138.4 132.4 イオウ分(質量%) 1.74 1.53 1.81 1.56 金属元素分析値(質量%) Pd 0.51 0.45 0.58 0.70 ZrO2結晶構造比 単斜晶/正方晶 3.5/96.5 3.7/96.3 4.1/95.9 4.3/95.7 無機金属酸化物 アルミナ アルミナ アルミナ アルミナ 含有量(質量%) 10 10 10 10 触媒形状 1.6mmφ円柱 1.6mmφ円柱 1.6mmφ円柱 1.6mmφ円柱 SCS(kg/mm) 0.6 0.5 0.6 0.6 細孔容積(ml/g) 0.154 0.151 0.157 0.153 1.4〜2.1nmの細孔容積 が占める割合(%) 45.7 44.6 44.7 46.1
【0055】 表 1 触媒の製造条件および物性(その2) 触媒E 触媒F 触媒G 触媒H 担持物質 PdCl2 PdCl2 PdCl2 PdCl2 焼成条件 600℃×3h 600℃×3h 600℃×3h 600℃×3h 比表面積(m2/g) 116.1 146.1 161.0 141.7 イオウ分(質量%) 1.83 1.64 1.54 1.63 金属元素分析値(質量%) Pd 0.53 0.48 0.44 0.49 ZrO2結晶構造比 単斜晶/正方晶 3.5/96.5 3.7/96.3 4.1/95.9 4.3/95.7 無機酸化物 アルミナ アルミナ アルミナ シリカ・アルミナ(10:90) 含有量(質量%) 5 15 20 10 触媒形状 3mmφヘ゜レット 1.6mmφ円柱 1.6mmφ円柱 1.6mmφ円柱 SCS(kg/mm) 0.8 0.6 0.8 0.7 細孔容積(ml/g) 0.130 0.178 0.202 0.170 1.4〜2.1nmの細孔容 積が占める割合(%) 60.3 36.2 31.0 35.4
【0056】 表 1 触媒の製造条件および物性(その3) 触媒I 触媒J 触媒K* 触媒L* 担持物質 PdCl2 PdCl2 PdCl2 H2PtCl6 焼成条件 600℃×3h 600℃×3h 600℃×3h 600℃×3h 比表面積(m2/g) 119.1 137.2 101.1 132.4 イオウ分(質量%) 1.75 1.50 1.92 1.90 金属元素分析値(質量%) Pd 0.52 0.46 0.55 − Pt − − − 0.60 ZrO2結晶構造比 単斜晶/正方晶 3.5/96.5 3.7/96.3 3.5/96.5 4.3/95.7 無機金属酸化物 シリカ・アルミナ(40:60) シリカ・アルミナ(10:90) − アルミナ 含有量(質量%) 10 20 0 10 触媒形状 3mmφヘ゜レット 1.6mmφ円柱 3mmφヘ゜レット 1.6mmφ円柱 SCS(kg/mm) 0.9 0.8 <0.1 0.6 細孔容積(ml/g) 0.134 0.160 0.107 0.158 1.4〜2.1nmの細孔容 積が占める割合(%) 57.5 40.1 76.8 45.9 比表面積の測定には、日本ベル(株)製の高精度全自動
ガス吸着装置「BELSORP 28」を使用した。イオウ分の量
は、LECO社のSC−132硫黄分分析計を用いて測
定した。
【0057】[触媒製造例11] 触媒M 塩化パラジウムPdCl2の1.5gを水20gに入
れ、濃塩酸を30cc滴下し超音波を10分間かけて溶解
させて第一の溶液を得た。別に、塩化白金酸六水和物H
2PtCl6・6H2Oの1.6gを水10gに溶かし
て、第二の溶液を得た。第一および第二の溶液を混合し
た液に、触媒製造例1で製造した硫酸根含有水酸化ジル
コニウム172.9gを入れ、Pd塩およびPt塩を含
浸、担持させた。以下は実施例1の工程(4)と同様に
してアルミナゾルを混合し、成形、乾燥および焼成を行
ない、Pd/Pt/SO4/ZrO2−Al23を得た。
【0058】[触媒製造例12] 触媒N 塩化パラジウムPdCl2の1.5gを水20gに入
れ、濃塩酸を30cc滴下し超音波を10分間かけて溶解
させて第一の溶液を得た。別に、塩化白金酸六水和物H
2PtCl6・6H2Oの1.6gを水10gに溶かし
て、第二の溶液を得た。これらの溶液を混合した液に、
上記の硫酸根含有水酸化ジルコニウム174.2gを入
れ、Pd塩およびPt塩を含浸、担持させた。以下は触
媒製造例1の工程(4)と同様にしてアルミナゾルを混
合し、成形、乾燥および焼成を行なって、Pd/Pt/
SO4/ZrO2−Al23を得た。
【0059】[比較触媒製造例3] 触媒O* 塩化パラジウムPdCl22.2gを水20gに入れ、
濃塩酸を30cc滴下し超音波を10分間かけて溶解させ
て第一の溶液を得た。別に、塩化白金酸六水和物H2
tCl6・6H2Oの2.5gを水10gに溶かして第二
の溶液を得た。これらの溶液を混合した液に、触媒製造
例1で製造した硫酸根含有水酸化ジルコニウム170g
を入れて、Pd塩およびPt塩を含浸させた。以下は触
媒製造例1と同様に乾燥および焼成を行なって、Pd/
Pt担持硫酸根含有ジルコニアPd/Pt/SO4/Z
rO2を得た。このようにして得られたPd/Pt担持
硫酸根含有ジルコニア100gにアルミナゾル210g
を混合し、押出成形後、110℃で一昼夜乾燥を行な
い、つぎに600℃で3時間焼成して、Pd/Pt/S
4/ZrO2−Al23を得た。
【0060】[触媒製造例13] 触媒P 塩化パラジウムPdCl21.5gを水20gに入れ、
濃塩酸を30cc滴下し超音波を10分間かけて溶解させ
て第一の溶液を得た。別に、酸化レニウムRe 271.
2gを水10gに溶かして、第二の溶液を得た。これら
の溶液を混合して得た液に、上記の硫酸根含有水酸化ジ
ルコニウム170.0gを入れ、Pd塩およびRe塩を
含浸させた。以下は触媒製造例1の工程(4)と同様に
してアルミナを混合し、成形、乾燥および焼成を行なっ
て、Pd/Re/SO4/ZrO2−Al23を得た。
【0061】[触媒製造例14] 触媒Q 塩化パラジウムPdCl21.5gを水20gに入れ、
濃塩酸を30cc滴下し超音波を10分間かけて溶解さ
せ、第一の溶液を得た。別に、塩化ルテニウムRuCl
31.9gを水10gに溶かして、第二の溶液を得た。
これらの溶液を混合した液に上記の硫酸根含有水酸化ジ
ルコニウム171.1gを入れ、Pd塩およびRu塩を
含浸させた。以下は触媒製造例1の工程(4)と同様に
して成形、乾燥および焼成を行なって、Pd/Ru/S
4/ZrO2−Al23を得た。
【0062】[触媒製造例15] 触媒R 塩化パラジウムPdCl21.5gを水20gに入れ、
濃塩酸を30cc滴下し超音波を10分間かけて溶解さ
せ、第一の溶液を得た。別に、塩化ルテニウムRuCl
32.2gを水10gに溶かして、第二の溶液を得た。
これらの溶液を混合した液に上記の硫酸根含有水酸化ジ
ルコニウム169.5gを入れ、Pd塩およびRu塩を
含浸させた。以下は触媒製造例1の工程(4)と同様に
して成形、乾燥および焼成を行なって、Pd/Ru/S
4/ZrO2−Al23を得た。
【0063】[触媒製造例16] 触媒S 塩化パラジウムPdCl21.5gを水20gに入れ、
濃塩酸を30cc滴下し超音波を10分間かけて溶解させ
て、第一の溶液を得た。これと別に、硝酸コバルト6水
和物Co(NO3)2・6H2Oの4.5gを水10gに溶
かした、第二の溶液を用意した。二つの溶液を混合した
液に、上記の硫酸根含有水酸化ジルコニウム170.9
gを入れ、Pd塩およびCo塩を含浸させた。以下は触
媒製造例1の工程(4)と同様にして成形、乾燥および
焼成を行なって、Pd/Co/SO4/ZrO2−Al2
3を得た。
【0064】[触媒製造例17] 触媒T 塩化パラジウムPdCl21.5gを水20gに入れ、
濃塩酸を30cc滴下し超音波を10分間かけて溶解さ
せ、第一の溶液を得た。別に、パラモリブデン酸アンモ
ニウム(NH46Mo724・4H2Oの1.7gを水1
0gに溶かして、第二の溶液を得た。二つの溶液を混合
した液に、上記の硫酸根含有水酸化ジルコニウム17
0.4gを入れ、Pd塩およびMo塩を含浸させた。以
下は触媒製造例1の工程(4)と同様にして成形、乾燥
および焼成を行なって、Pd/Mo/SO4/ZrO2
Al23を得た。
【0065】[比較触媒例4]アルミナを担体とするC
o−Mo系の、市販脱硫触媒U*を用いた。
【0066】[比較触媒例5]アルミナを担体とするC
o−Mo系の、市販脱硫触媒V*を用いた。
【0067】触媒製造例11〜17(触媒M,N,P,
Q〜T)および比較触媒製造例3(触媒O*)の触媒の
製造条件および物性を、表2にまとめて示す。 表 2 触媒の製造条件および物性(その1) 触媒M 触媒N 触媒O* 触媒P 担持物質 PdCl2/H2PtCl6 PdCl2/H2PtCl6 PdCl2/H2PtCl6 PdCl2/Re2O3 焼成条件 600℃×3h 600℃×3h 600℃×3h 600℃ ×3h 比表面積(m2/g) 149 144.9 191.1 143.5 イオウ分(質量%) 1.96 1.90 1.64 1.84 金属元素分析値(質量%) Pd 0.47 0.98 0.52 0.48 Pt 0.43 0.49 0.49 − Re − − − 0.48 ZrO2結晶構造比 単斜晶/正方晶 4.0/96.0 3.5/96.5 3.5/96.5 3.6/96.4 無機酸化物 アルミナ アルミナ アルミナ アルミナ 含有量(質量%) 10 10 35 10 触媒形状 1.6mmφ円柱 1.6mmφ円柱 1.6mmφ円柱 1.6mmφ円柱 SCS(kg/mm) 0.6 0.6 1.0 0.6 細孔容積(ml/g) 0.156 0.160 0.245 0.153 1.4〜2.1nmの細孔容 45.5 44.4 22.7 46.7 積が占める割合(%)
【0068】 表 2 触媒の製造条件および物性(その2) 触媒Q 触媒R 触媒S 触媒T 担持物質 PdCl2/RuCl3 PdCl2/RuCl3 PdCl2/Co(NO3) PdCl2/(NH4)6Mo723 焼成条件 600℃×3h 600℃×3h 600℃×3h 600℃×3h 比表面積(m2/g) 144 141.5 140.0 144.6 イオウ分(質量%) 2.11 2.04 1.74 1.64 金属元素分析値(質量%) Pd 0.47 0.46 0.49 0.52 Ru 0.49 1.01 − − Co − − 0.49 − Mo − − − 0.49 ZrO2結晶構造比 単斜晶/正方晶 5.5/94.5 4.6/95.4 3.6/96.4 3.1/96.9 無機酸化物 アルミナ アルミナ アルミナ アルミナ 含有量(質量%) 10 10 10 10 触媒形状 1.6mmφ円柱 1.6mmφ円柱 1.6mmφ円柱 1.6mmφ円柱 SCS(kg/mm) 0.5 0.6 0.6 0.6 細孔容積(ml/g) 0.155 0.151 0.158 0.154 1.4〜2.1nmの細孔容 46.6 44.3 47.0 45.5 積が占める割合(%)
【0069】[触媒使用例] 炭化水素油の水素化脱硫 評価方法 触媒充填容量が15mlの固定床流通式反応器に触媒を充
填し、原料炭化水素油として未洗ライトナフサを供給し
て、表3の条件で水素化脱硫反応を行なうことにより、
SCSが0.5kg/mm未満の触媒Kを除いた触媒A〜J
およびL〜Tの脱硫活性を評価した。充填に先だって、
各触媒は、16〜28meshに粉砕した。比較例4および
5の市販脱硫触媒は、前処理としての予備硫化を行なわ
ず、そのまま脱硫反応に使用した。
【0070】 表 3 水素化脱硫反応の条件 反応条件 反応温度 : 160℃ 水素分圧 : 3.0MPa 液空間速度 : 1hr-1 水素/オイル比: 300NL/L 原料 : 未洗ライトナフサ(S量は384質量ppm) 原料油の性状 密度 g/cm3(15℃) 0.6534 蒸留性状 IBP ℃ 29.5 5%留出温度 ℃ 39.5 10%留出温度 ℃ 40.5 50%留出温度 ℃ 49.0 70%留出温度 ℃ 54.5 90%留出温度 ℃ 63.5 95%留出温度 ℃ 66.5 EP ℃ 98.5 イオウ分 質量ppm 384 飽和分 容積% 98.53 不飽和分 容積% 0.07 芳香族分 容積% 1.40 水素化脱硫反応の結果を、使用触媒とともに表4に示
す。
【0071】 表 4 ライトナフサの水素化脱硫反応の結果 触 媒 組 成 脱硫率(%) 触媒製造例1の触媒A Pd/SO4/ZrO2・Al2O3 97.2 触媒製造例2の触媒B Pd/SO4/ZrO2・Al2O3 96.8 触媒製造例3の触媒C Pd/SO4/ZrO2・Al2O3 96.5 触媒製造例4の触媒D Pd/SO4/ZrO2・Al2O3 96.0 触媒製造例5の触媒E Pd/SO4/ZrO2・Al2O3 98.5 触媒製造例6の触媒F Pd/SO4/ZrO2・Al2O3 97.0 触媒製造例7の触媒G Pd/SO4/ZrO2・Al2O3 95.0 触媒製造例8の触媒H Pd/SO4/ZrO2・Al2O3・SiO2 96.7 触媒製造例9の触媒I Pd/SO4/ZrO2・Al2O3・SiO2 97.4 触媒製造例10の触媒J Pd/SO4/ZrO2・Al2O3・SiO2 95.9 触媒製造例11の触媒M Pd/Pt/SO4/ZrO2・Al2O3 98.5 触媒製造例12の触媒N Pd/Pt/SO4/ZrO2・Al2O3 98.9 触媒製造例13の触媒P Pd/Re/SO4/ZrO2・Al2O3 98.7 触媒製造例14の触媒Q Pd/Ru/SO4/ZrO2・Al2O3 98.5 触媒製造例15の触媒R Pd/Ru/SO4/ZrO2・Al2O3 98.1 触媒製造例16の触媒S Pd/Co/SO4/ZrO2・Al2O3 98.5 触媒製造例17の触媒T Pd/Mo/SO4/ZrO2・Al2O3 98.8 比較触媒製造例2の触媒L* Pt/SO4/ZrO2・Al2O3 33.3 比較触媒製造例3の触媒O* Pd/Pt/SO4/ZrO2・Al2O3 63.7 比較触媒例4の市販脱硫触媒U* Co−Mo系 50.8 比較触媒例5の市販脱硫触媒V* Co−Mo系 46.0
【0072】以上のデータから、本発明に従う触媒を使
用した実施例1〜17においては、いずれも95%以上
の高い脱硫率が達成できたことがわかる。本発明の触媒
の構成要件である、1.4〜2.1nmの細孔径を有す
る細孔容積の割合が30〜70%、を満たさない比較触
媒製造例1(触媒K*、76.8%)および比較触媒製
造例3(触媒O*、22.7%)は、脱硫率がそれぞれ
33.3%および63.7%であって、実施例の脱硫率
よりも低い。
【0073】市販のCo−Mo系の脱硫触媒を使用した
比較触媒例4および5は、反応前処理としての予備硫化
をせずに脱硫反応を行なった結果であって、実施例と比
較すると、脱硫率はともに約50%と低い。
【0074】
【発明の効果】本発明に従って、特定の物性を有する固
体酸触媒を使用して炭化水素油の水素化脱硫を行なうこ
とにより、炭化水素油中に含まれているイオウ分を効率
よく低減することができる。従来の脱硫触媒では、反応
前処理として予備硫化が必須であったのに対して、本発
明の触媒では前処理の必要がなく、直接使用しても高い
脱硫活性を発揮する。また、本発明で使用する触媒は、
上記実施例に挙げた160℃という比較的低い温度で
も、高い脱硫活性を示す。このように、本発明により炭
化水素化油の水素化脱硫を行なえば、工業的に有利に、
イオウ分を低減した炭化水素油を得ることができる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 大塩 敦保 埼玉県幸手市権現堂1134−2 コスモ石油 株式会社研究開発センター内 (72)発明者 萩原 和彦 埼玉県幸手市権現堂1134−2 コスモ石油 株式会社研究開発センター内 (72)発明者 川上 敬士 埼玉県幸手市権現堂1134−2 コスモ石油 株式会社研究開発センター内 Fターム(参考) 4G069 AA03 BA01A BA01B BA03A BA03B BA05A BA05B BA46A BB10A BB10B BB10C BC59A BC59B BC64A BC67A BC67B BC70A BC72A BC72B BC75A BC75B CC02 FC02 4H029 CA00 DA00

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ジルコニウムの酸化物または水酸化物か
    らなる担体に、触媒基準で、アルミナまたはシリカ・ア
    ルミナを1〜30質量%、硫酸根をイオウ分にして1〜
    3質量%、パラジウムを0.05〜10質量%担持させ
    てなり、全細孔容積が0.1ml/g以上であって、その
    うちで1.4〜2.1nmの細孔径を有する細孔が占め
    る割合が30〜70%である触媒の存在下に、水素分圧
    1〜15MPa、温度50〜350℃、液空間速度0.
    1〜15hr-1および水素/オイル比50〜1500N
    L/Lの反応条件で、有機イオウ分を含有する炭化水素
    油と水素とを反応させることを特徴とする炭化水素油の
    水素化脱硫方法。
  2. 【請求項2】 請求項1に記載した触媒に、さらに白
    金、レニウム、ルテニウム、コバルトおよびモリブデン
    から選んだ1種または2種以上を、触媒基準で、0.0
    5〜10質量%担持させた水素化脱硫触媒の存在下に、
    請求項1に記載の反応条件で、有機イオウ分を含有する
    炭化水素油と水素とを反応させることを特徴とする請求
    項1の水素化脱硫方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2004223381A (ja) * 2003-01-22 2004-08-12 Hitachi Zosen Corp メタン選択型脱硝触媒用担体、その製造方法およびメタン選択型脱硝触媒
JP5252674B2 (ja) * 2004-02-02 2013-07-31 Jx日鉱日石エネルギー株式会社 炭化水素油の脱硫方法
CN110961124A (zh) * 2018-09-28 2020-04-07 中国石油化工股份有限公司 一种重整生成油加氢脱烯烃催化剂及制备方法与应用

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