JP2001352793A - 有限回転電動機 - Google Patents

有限回転電動機

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JP2001352793A
JP2001352793A JP2000171819A JP2000171819A JP2001352793A JP 2001352793 A JP2001352793 A JP 2001352793A JP 2000171819 A JP2000171819 A JP 2000171819A JP 2000171819 A JP2000171819 A JP 2000171819A JP 2001352793 A JP2001352793 A JP 2001352793A
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angle
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rotation
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Yoshiaki Yamazaki
芳昭 山崎
Akihiko Imashiro
昭彦 今城
Atsushi Ueda
淳 上田
Mitsunori Saito
光伯 齊藤
Masaharu Moriyasu
雅治 森安
Masaki Takada
雅樹 高田
Naoki Yagi
直樹 八木
Toshiyuki Hokodate
俊之 鉾館
Yasuhiko Iwai
靖彦 祝
Masao Inoue
正夫 井上
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Mitsubishi Electric Corp
Original Assignee
Mitsubishi Electric Corp
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 ロータの回転角度に対応してロータとステー
タ間のギャップが変化するような場合においても、良好
な制御性能が得られ、ロータを高速かつ高精度に位置決
めすることができる有限回転電動機を提供する。 【解決手段】 ロータ2の回転角度を検出する回転角度
検出手段38と、ロータの回転角度指令値20と前記回
転角度検出手段により検出された回転角度をもとに前記
回転角度指令値に対応したトルク指令値を求め、回転角
度に対応して変化して非線形となるロータを回転させる
トルクとステータ巻線の電流値との関係を補正するため
に予め求めて記憶しておいた非線形補正係数を用いて、
前記トルク指令値と前記回転角度検出手段より検出され
た回転角度とから前記トルク指令値に対して線形化した
前記巻線の電流指令値32,34を演算出力する非線形
性補償制御装置42とを備えた。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ステータに設けた
複数の電磁石を用いて磁性体のロータを吸引することで
有限回転角の回転力を生ずる有限回転電動機に関し、特
に、ロータに取り付けた光学的走査器などの負荷の高速
度かつ高精度な位置決めに関するものである。
【0002】
【従来の技術】図25は例えば特公昭57―56304
号公報に示されている従来技術による有限回転電動機の
構成を示す図であり、(a)は基本構成を示すブロック
図、(b)は断面図である。図25において、200は
制御増幅器、202は駆動信号、210はケーシング、
212はロータのシャフト、216は光学的走査器であ
る鏡、218は駆動コイルケーブル、220は変換器
(位置検出器)のリード線、222はロータ、224は
ステータ、226は棒ばね、234、236はボールベ
アリング、238、240は円筒形ロータ磁極面、24
2はロータのスロット、252、254、256、25
8はステータ224に設けられ、ロータ222と対向す
るステータティース、260は円筒形ステータ磁極面2
38、240を規定する端面、266はエアギャップ、
268,270は永久磁石、272はヨーク、274,
276は巻線、290は位置検出器である。
【0003】永久磁石268、270によりバイアス磁
束F1,F2が形成されている。巻線274,276に
電流を流すとステータティース252,258の磁束は
強められ、他方、ステータティース254,256の磁
束は弱められる。その結果、磁性体のロータ222はス
テータティース252,258に吸引されて時計周りに
回転する。なお、この従来技術では円筒形ロータ磁極面
238、240およびロータ222が回転しても対向す
るステータティース252,254,256,258と
の間のギャップは変化しないように構成されている。
【0004】ロータ222の回転角は容量性位置検出器
組立体290からリード線220を通じて制御増幅器2
00に入力される。駆動信号が入力202により制御増
幅器200に加えられ、制御増幅器200の出力は巻線
274、276に加えられる。巻線274、276中の
電流は永久磁石268,270によって与えられるバイ
アス磁束F1,F2と相互作用する駆動磁束を生じさせ
てロータ222に角度的トルクを生じさせるが、これは
棒ばね226によって与えられる復帰力によって逆らわ
れる。従ってロータ222および鏡216はこのように
してボールベアリング234、236によつて規定され
る軸212の回りに回転状に駆動される。位置検出器2
90からの帰還信号が閉ループ回路内の制御増幅器20
0に線220通じて加えられてロータ222の位置の監
視および自動補正を行う。
【0005】しかしながら、上記のように構成された従
来技術による有限回転電動機は、回転子222の構成が
複雑かつ大きいため回転慣性が増し高速化の妨げになる
という問題点があった。特に、磁路F1、F2が通る断
面積を大きくするためには円筒形回転子磁極面238、
240の断面積を大きくする必要があり、かつ、発生ト
ルクを大きくするためにはこれらの円筒形回転子磁極面
238、240を回転子の中心からなるべく離した方が
有利である。このため回転子の回転慣性は必然的に増す
が、回転子の剛性はそれほど高くすることができないた
め回転子の撓みと回転の固有振動数が低くなり高速化を
困難にしていた。
【0006】そこで、このロータの回転慣性を下げ、か
つ、剛性を向上して上記のような従来技術の問題点を改
善した先行技術による有限回転電動機として図26に示
す有限回転電動機が挙げられる。図26は本願と同一出
願人によって先に出願された特願平11−010820
号の明細書に記載されている先行技術による有限回転電
動機の構成を示す図であり、(a)は軸に垂直な断面
図、(b)は軸方向の構造説明図である。図において、
1はシャフト、2はロータ、3,4,5,6はステータ
ティース、7,8,9,10は巻線、11はコアバッグ
である。12、13はシャフト1をコアバッグ11に対
して、回転自由に保持する軸受、14はシャフト1に保
持されたミラー、15、16はシャフト1に固定された
発光素子、17,18は発光素子15,16の光束を検
出する光検出器である。
【0007】このように構成されたものにおいて、巻線
8,10に電流を流す。このとき、ティース4とロータ
2との対向面がN極、ティース6とロータ2との対向面
がS極となるように巻線8,10の巻き方向を設定して
いる。ティース4,6やロータ2やシャフト1やコアバ
ッグ11は鉄などの磁性体であり、巻線8,10の起磁
力によって図22(a)の破線のように磁束が流れる。
ロータ2とテーィス4、6間の空隙の磁束密度Bgによ
りロータ2とティース4,6間には磁気吸引力を発生す
る。ロータ2とシャフト1は軸受12、13により回転
自由に支持されており、磁気吸引力Pによりロータ2は
ティース4、6に引き寄せられて反時計方向に回転す
る。この回転によりシャフト1に取り付けたミラー14
が回転して光ビームを走査できる。また、反対の巻線
7,9に電流を流せば、ティース3→ロータ2→ティー
ス5→コアバッグ11→ティース3に磁束が流れ、ロー
タ2はティース3,5に引き寄せられて時計方向に回転
する。巻線8,10と巻線7,9の電流のバランスを制
御することでロータ2を正逆回転できる。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】上記のような先行技術
による有限回転電動機は以上のように構成されており、
ロータの回転角度に対応してロータとステータ間のギャ
ップが変化するため、電流−回転角度−トルクの間に強
い非線形の関係があり、良好な制御性能を得るのが困難
であるという問題点があった。
【0009】本発明は、上記のような従来のものの問題
点を解決するためになされたものであり、ロータの回転
角度に対応してロータとステータ間のギャップが変化す
るような有限回転電動機においても、良好な制御性能が
得られ、ロータを高速かつ高精度に位置決めすることが
できる有限回転電動機を提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明の第1の構成に係
る有限回転電動機は、ロータに磁性体の受動部を設ける
と共にステータに励磁用の巻線を巻回し前記受動部とギ
ャップを介して対向する複数個のティースを設け、前記
ステータの巻線による発生磁界で前記ギャップに磁束を
生じさせて前記ティースと前記受動部間に磁気吸引力を
生じさせることでトルクを発生し、所定の有限回転角度
の範囲内で前記ロータを回転させるように構成し、前記
ロータの回転角度に対応して前記ギャップが変化する有
限回転電動機であって、前記ロータの回転角度を検出す
る回転角度検出手段と、ロータの回転角度指令値と前記
回転角度検出手段により検出された回転角度をもとに前
記回転角度指令値に対応したトルク指令値を求め、回転
角度に対応して変化して非線形となる前記トルクと巻線
の電流値との関係を補正するために予め求めて記憶して
おいた非線形補正係数を用いて、前記トルク指令値と前
記回転角度検出手段より検出された回転角度とから前記
トルク指令値に対して線形化した前記巻線の電流指令値
を演算出力する非線形性補償制御装置とを備えたもので
ある。
【0011】本発明の第2の構成に係る有限回転電動機
は、非線形性補償制御装置は、ロータの回転角度指令値
に基づいて軌道を生成する軌道演算手段と、この軌道と
ロータの回転角度との誤差を求める角度誤差演算手段
と、前記角度誤差演算手段で求められた角度誤差を増幅
する角度制御ゲイン演算手段と、前記角度制御ゲイン演
算手段の出力とロータの回転角速度との誤差を求める角
速度誤差演算手段と、前記角速度誤差演算手段で求めら
れた角速度誤差を増幅して前記回転角度指令値に対応し
たトルク指令値を出力する角速度制御ゲイン演算手段と
を備えたものである。
【0012】本発明の第3の構成に係る有限回転電動機
は、補正係数は2次元多項式であるものである。
【0013】本発明の第4の構成に係る有限回転電動機
は、ギャップの変化に応じて変化する巻線のインダクタ
ンスを、予め求めて記憶しておいたロータの回転角度と
インダクタンスとの関係を用いて補償するように構成し
たものである。
【0014】本発明の第5の構成に係る有限回転電動機
は、非線形性補償制御装置より出力された電流指令値に
基づいて巻線に流す電流をフィードバック制御する手段
を備え、回転角度検出手段により検出されたロータの回
転角度に応じて前記電流フィードバック制御のゲインを
補償するようにしたものである。
【0015】本発明の第6の構成に係る有限回転電動機
は、回転角度検出手段により検出されたロータの回転角
度に応じて、角度制御ゲイン演算手段の角度制御ゲイン
および角速度制御ゲイン演算手段の角速度制御ゲインを
補償するものである。
【0016】本発明の第7の構成に係る有限回転電動機
は、ロータはシャフトと潤滑剤を用いた軸受とを介して
コアバックに対して回転可能に支持されており、前記軸
受近傍の温度を検出する温度検出手段を備えたものであ
る。
【0017】本発明の第8の構成に係る有限回転電動機
は、温度検出手段によって検出された軸受近傍の温度に
応じて、角度制御ゲイン演算手段の角度制御ゲインおよ
び角速度制御ゲイン演算手段の角速度制御ゲインを補償
するようにしたものである。
【0018】本発明の第9の構成に係る有限回転電動機
は、軸受近傍の温度を調節する温度調節手段を備え、温
度検出手段によって軸受近傍の温度を検出し、前記軸受
が所定の温度になるように前記温度調節手段を制御する
ようにしたものである。
【0019】本発明の第10の構成に係る有限回転電動
機は、ステータティースの磁束を検出する手段を備え、
検出された磁束に応じて電流指令値をフィードバック制
御する手段を備えたものである。
【0020】本発明の第11の構成に係る有限回転電動
機は、ロータの回転軸に直交する方向への撓みを検出す
る撓み検出手段を備え、検出されたロータの撓みを元へ
戻すように構成したものである。
【0021】本発明の第12の構成に係る有限回転電動
機は、複数個のティースに巻回された各巻線に流す電流
を独立に制御することによりロータの撓みを元へ戻すよ
うに構成したものである。
【0022】本発明の第13の構成に係る有限回転電動
機は、励磁用の巻線を巻回し受動部とギャップを介して
対向する4個のティースを、ロータの回転軸に沿って2
組設け、8本の上記巻線に流す電流を独立に制御するこ
とによりロータの撓みを元へ戻すように構成したもので
ある。
【0023】本発明の第14の構成に係る有限回転電動
機は、ロータに撓み力を発生するアクチュエータを設け
ることによりロータの撓みを元へ戻すように構成したも
のである。
【0024】本発明の第15の構成に係る有限回転電動
機は、ロータはシャフトと軸受とを介してコアバックに
対して回転可能に支持されており、前記軸受はシャフト
と非接触でこれを回転可能に支持するものである。
【0025】
【発明の実施の形態】実施の形態1.図1は本発明の実
施形態1による有限回転電動機の構成の概要を示すブロ
ック図、図2は図1の内部の構成をさらに詳細に示すブ
ロック図である。図1において、1はシャフト、2はロ
ータ、3,4,5,6はステータティース、7,8,
9,10は各ティース3,4,5,6に巻かれた巻線で
ある。11はステータのコアバッグであり、各ステータ
ティース3,4,5,6を外側から連結している。20
は回転角度指令値(離散値)θ*(k)、32は非線形性
補償制御装置42の出力である電流指令値i1 *、33は
電流指令値i1 *に基づいて巻線7,9に電流を流す電流
アンプ、34は非線形性補償制御装置42のもう一つの
出力である電流指令値i2 *、35は電流指令値i2 *に基
づいて巻線8,10に電流を流す電流アンプ、36は巻
線7,9に流れる電流i1、37は巻線8,10に流れ
る電流i2である。38はシャフト1とコアバック11
との相対的角度を検出する角度検出器であり、例えばポ
テンショメータや光学式エンコーダが用いられ、コアバ
ッグ11のミラー側あるいはミラーの反対側に設けられ
る。39はシャフト1とコアバック11との相対的角速
度を検出する角速度検出器であり、例えばタコジェネレ
ータが用いられ、角度検出器と同様にコアバッグ11の
ミラー側あるいはミラーの反対側にに設けられる。な
お、角速度検出器の代わりにポテンショメータの角度信
号をオペアンプなどにより電気的に微分して用いること
もできる。同様に、光学式エンコーダの角度信号をデジ
タルコントローラ内で数値微分して用いることもでき
る。40は角度検出器38の出力である角度信号θ、4
1は角速度検出器39の出力である角速度信号(dθ/
dt)である。42は非線形性補償制御装置であり、ロ
ータの回転角度指令値20(θ*(k))と回転角度検出
手段38により検出された回転角度40(θ)をもとに
回転角度指令値20(θ *(k))に対応したトルク指令
値を求め、回転角度40(θ)に対応して変化して非線
形となるトルクと巻線の電流値との関係を補正するため
に予め求めて記憶しておいた非線形補正係数を用いて、
トルク指令値と回転角度検出手段38より検出された回
転角度40(θ)とからトルク指令値に対して線形化し
た巻線の電流指令値i1 *,i2 *を演算出力する。
【0026】図2において、21は離散的な指令角度2
0(θ*(k))に基づいて連続した軌道を生成する軌道
演算手段、22は軌道演算手段から出力される軌道角度
指令信号θ*、23は軌道角度信号22(θ*)とステー
タ回転角度検出器38からの検出角度信号40(θ)と
の差分を演算する角度誤差演算手段、24は角度誤差信
号、25は角度誤差信号24を増幅する角度制御ゲイン
演算手段、26は角度制御ゲイン演算手段25からの角
度制御ゲイン演算出力信号、27は角度制御ゲイン演算
出力信号26と角速度検出器39からの角速度信号41
(dθ/dt)との差分を演算する角速度誤差演算手
段、28は角速度誤差信号、29は角速度誤差信号28
を増幅する角速度制御ゲイン演算手段、30は角速度制
御ゲイン演算手段29の出力となるトルク指令値Tm *
31は回転角度40(θ)に対応して変化して非線形と
なるトルクと巻線の電流値との関係を補正するために予
め求めて記憶しておいた非線形補正係数を用いて、トル
ク指令値Tm *30と角度信号40に基づきトルク指令値
m *30に対して線形化した電流指令値i1 *,i2 *を出
力する非線形性補償演算手段である。非線形性補償制御
装置42は、軌道演算手段21、角度制御ゲイン演算手
段25、角速度制御ゲイン演算手段29、非線形性補償
演算手段31などから構成され、例えばコンピュータで
実現されている。ここで、有限回転電動機の軸方向の構
造説明図は従来例の図26(b)と同一であるので説明
を省いている。
【0027】次に、この有限回転電動機の動作について
説明する。はじめに、非線形性補償制御装置42の主要
な構成要素である非線形性補償演算手段31の演算処理
内容について説明する。有限回転電動機のロータ2に発
生するトルクTmは用いるティース3,4,5,6やコ
アバッグ11の材料の透磁率μが無限大で、磁気飽和や
磁束漏れや磁気ヒステリシスが生じていない理想的な場
合、次の式(1)で示される。
【0028】
【数1】
【0029】ここで、Tm1は巻線7,9に通電すること
でロータ2に時計回りの方向に発生するトルク、Tm2
巻線8,10に通電することでロータロータ2に反時計
回りの方向に発生するトルク、rはロータ2の有効腕長
さ、μ0は真空の透磁率でありμ0=4π×10-7[H/
m]、Nは巻線7,9のターン数を等しくN1とする
と、これらを直列に接続したときN=N1×2、並列に
接続した場合はN=N1となるコイル巻数であり、ここ
では、何れも並列に接続した場合として巻線8,10の
コイル巻数も等しくN=N1とする。Sは各ティースの
有効断面積、z0はティースとロータのエアギャップが
全て等しくなるロータ2の回転角度を0degとした時
のティース3,4,5,6,とロータ2の間にできる有
効エアギャップ、zはロータ2を回転することで変動す
るエアギャップである。なお、kは一般に電磁石吸引力
係数と呼ばれる係数である。また、エアギャップzとロ
ータ2の回転角度θの関係は式(2)で近似できる。
【0030】
【数2】
【0031】ここで、b、cはティースとロータ形状に
よって決まる定数である。
【0032】図3(a)は本実施の形態による有限回転
電動機の動作を説明する図であり、具体的には、式
(1)に基づいて巻線7,9のみに電流i1をそれぞれ
1=5,10,15,20A流した時にロータ2に発
生する理想的トルクTmを横軸をロータ2の回転角度
θ、縦軸を発生トルクTmとしてプロットした図であ
る。図3(a)よりギャップの狭まる回転角度θのマイ
ナス側で発生トルクTmは急激に増加すること、および
電流値の二乗でトルクが増加することがわかる。図3
(b)は本実施の形態による有限回転電動機の動作を説
明する図であり、具体的には、実際の有限回転電動機の
巻線7,9に電流i1をそれぞれi1=5,10,15,
20A通電し、ロータ2に発生したトルクTmを実測し
た一例である。i1=5Aの実測ポイントを○印で、i1
=10Aの実測ポイントを*印で、i1=15Aの実測
ポイントを×印で、i1=20Aの実測ポイントを+印
で、それぞれプロットしている。図3(b)より実際の
有限回転電動機では磁束飽和や磁気漏れの影響が大きく
現れるため図3(a)の理想的な発生トルクTmに比べ
てトルク値が大きい箇所で極端にトルク値が減少してい
ることが分かる。図4(a)は本実施の形態による有限
回転電動機の動作を説明する図であり、具体的には、図
3(a)の理想的発生トルクを横軸を巻線7,9電流i
1、縦軸を発生トルクTmとしてロータ2の回転角度θご
とにプロットした図である。同じく、図4(b)は実際
の有限回転電動機の発生トルクをまとめたものである。
図4(a)と図4(b)を比較すると発生トルクTm
大きい領域で実際の有限回転電動機の発生トルクTm
著しく制限され式(1)の関数で記述できないことが分
かる。
【0033】有限回転電動機を高速で高精度に位置決め
するには、図2の電流値36(i1)、37(i2)や角
度信号40(θ)に関わらず、トルク指令値30
(Tm *)に一致したトルクTmをロータ2に発生させる
必要がある。しかし既に式(1)と式(2)に示したよ
うに、トルクTmと、電流iと、ロータ角度θ(ギャッ
プzに比例)との3つの変数の間には強い非線形性があ
り、図3および図4に示したように実際の有限回転電動
機では磁束飽和や磁気漏れにより非線形性がさらに強ま
る。そこで、これら全てを考慮して指令通りのトルクT
mをロータ2に発生するために図2に示した非線形性補
償演算手段31を用いる。非線形性補償演算手段31の
内部には前述の理論式(1)および式(2)と実験値に
基づいた2次元多項式の補正係数を予めメモり上に記憶
してあり、入力としてトルク指令値30(Tm *)と、ロ
ータ2の角度信号40(θ)とを入力することで必要な
電流指令値32(i1 *),34(i1 *)を演算出力す
る。
【0034】次に、具体的な非線形性補償演算手段31
の内部に設定する2次元多項式の補正係数の導出方法の
一例を説明する。まず、電流iはトルクTmと角度θの
関数f(Tm、θ)であるので、これを式(3)に示す
ように2次元の線形多項式で近似する。
【0035】
【数3】
【0036】各係数b00〜bnmの導出を図5に示す具体
例にを基に説明すると次のようになる。図5(a)は本
実施の形態による有限回転電動機の動作を説明する図で
あり、具体的には、巻線7,9に電流i1=5、10,
15、20A流したときのロータ2の発生トルクTm
縦軸に、ロータ2の回転角度θを横軸にして実験データ
を丸印で記述したデータの一例である。実験データは離
散値的であるので、この実験データをカーブフィットし
て連続的データとして、これを実線で示している。図4
の例では、7次の多項式近似を行っている。
【0037】図5(b)は本実施の形態による有限回転
電動機の動作を説明する図であり、具体的には、図5
(a)よりロータ2の回転角度θを−9degから9d
egまで1deg刻みで読みとり、ロータ2の発生トル
クTmを横軸に、電流値i1を縦軸に描いた特性図であ
る。図5(a)より読みとった点を丸印でプロットして
おり、各ロータ2の回転角度θごとに4点の丸印があ
り、さらに、これをなるべく低次の多項式で誤差が少な
くなるように近似する。図5においては3次関数で多項
式近似した結果を19本の実線で記述している。このと
き、−9deg〜9degの18個のトルクTmと電流
iの3次関数の各係数は式(4)で示される。
【0038】
【数4】
【0039】式(4)より、具体的な形で図5(b)の
結果より得られた係数cをマトリクスで書き示すと式
(5)のような値になる。
【0040】
【数5】
【0041】図6(a)は本実施の形態による有限回転
電動機の動作を説明する図であり、具体的には、図5
(b)の多項式近似より得られた係数マトリクスcをト
ルクT mの0次の係数、1次の係数、2次の係数、3次
の係数の4つに分け横軸をロータ2の角度θとしてプロ
ットした結果である。次に、この係数を多項式近似して
その係数を求める。図6(a)の例では5次の多項式近
似により係数マトリクスcをほぼ良好に近似でき、近似
した結果を実線で記述している。0次から3次までの係
数an(θ)(n=1,...,3)とロータ回転角θおよ
び5次多項式近似の係数の関係は式(6)で示される。
【0042】
【数6】
【0043】具体的な形で式(6)の結果より得られた
係数an(θ)マトリクスを書き示すと式(7)のよう
な値になっている。
【0044】
【数7】
【0045】式(7)をよく見るとマトリクスの第1行
の値は何れも零に近い小さい値であることが分かる。式
(3)でトルクTm=0とした場合、i=a0(θ)と
なる。トルクTm=0であれば必ず電流i=0であるの
で、a0(θ)はロータ2の回転角度θに関わらず零に
なる必要があることが分かる。このことから式(7)の
マトリクスの第一行は全て零であり、ここに示される値
は多項式近似演算における誤差である。このことから、
式(3)と式(7)は次式(8),(9)のように書き
改められる。
【0046】
【数8】
【0047】なお、式(8),(9)は巻線7,9に通
電した場合の電流値i1の演算方法の一例である。有限
回転電動機の各ティース3,4,5,6はロータ2に対
して対称な位置関係にあるので、巻線8,10について
も式(2),(8),(9)においてロータ2の角度θ
をマイナスとして演算することで電流値i2が求まり、
係数マトリクスbは同一である。
【0048】図6(b)は本実施の形態による有限回転
電動機の動作を説明する図であり、具体的には、式
(7)の係数を用いて式(3)よりロータ2の回転角度
θとトルクTmを与えて、電流値iを再び計算した結果
であり、横軸を巻線7,9の電流値i1、縦軸をトルク
mとしている。ロータ2の回転角度θは−9degか
ら+9degまで1deg刻みで与え、図6(b)には
合計19本の曲線が描かれている。図6(b)に示す丸
印は電流値i1=5、10、15、20Aに対応する点
を図5(a)の実験値を基に読みとりプロットした点で
ある。図6(b)より丸印と曲線はよく一致しており、
式(3)に基づいて求めた2次元多項式近似による近似
が有効であることが確認できる。これより、図2に示す
トルク指令値30(Tm *)とロータ2の回転角度40
(θ)が予め与えられれば、ロータ2にトルク指令値T
m *と同じトルクTmを発生するのに必要な電流指令値3
2(i1 *),34(i2 *)を演算して出力できる。
【0049】図2の非線形性補償演算手段31は前述の
式(7)の係数マトリクスaを用いる有限回転電動機の
特性に併せて予め実験的、解析的に求め、これを式
(3)でリアルタイムで演算出力するものである。係数
マトリクスbの次数は有限回転電動機の特性に応じて変
わるが、たいていの場合n×m=6×4程度でほぼ満足
できる近似が得られる。具体的な例として示した図5お
よび図6の例において、必要な乗算は24回、加算が1
8回であり、DSP(デジタル シグナル プロセッ
サ)などの高速演算素子を用いれば十分リアルタイムで
補償できる演算量に納まる。また、演算素子の処理能力
に余裕があれば、マトリクスの次数を上げることで精度
を向上できる。
【0050】次に、非線形性補償制御装置42の内部に
おける非線形性補償演算器31以外の動作について説明
する。離散値的な角度指令値20(θ*(k))がNC
(数値制御装置)などの外部のコントローラから与えら
れると、軌道生成手段21により連続的な軌道角度指令
信号23が生成される。軌道角度指令信号23(θ*
と角度検出器38による角度信号40(θ)との差分で
ある角度誤差信号25が角度誤差演算手段23により演
算される。角度誤差信号25を比例要素、積分要素、微
分要素などの補償器を有する角度制御ゲイン演算手段2
5により増幅して角度制御ゲイン演算出力信号26が生
成される。さらに、角速度検出器39による角速度信号
41(dθ/dt)との差分である角速度誤差信号28
が角速度誤差演算手段27により演算される。角速度誤
差信号28を補償要素を有する角速度制御ゲイン演算手
段29により増幅することでトルク指令値30(Tm *
が生成される。非線形性補償演算器31にはトルク指令
値30(Tm *)と角度信号40(θ)が入力され、例え
ば、前述の式(2)と式(8),(9)により必要な電
流指令値32(i1 *)、34(i2 *)が求まる。ロータ
2を時計方向に回転するには、電流指令値32(i1 *
を電流アンプ33に入力して巻線7,9に電流36(i
1)を流し、ロータ2を反時計方向に回転するには、電
流指令値34(i2 *)を電流アンプ35に入力して巻線
8,10に電流37(i2)を流すことで、ロータ2は
トルク指令値31(Tm *)と線形な関係で等しいトルク
mを、ロータ2の角度θに関わらず発生することがで
きる。
【0051】図7は本実施の形態による有限回転電動機
の動作を説明する図であり、具体的には、前述のように
トルク指令値30(Tm *)とロータ2の角度θより式
(8)、式(9)を演算して得られる巻線電流値36
(i1),37(i2)との関係を時刻歴波形で図示した
ものである。ここに用いた電磁石は吸引力を発生するこ
とはできるが反発力は発生できないため、正逆回転をロ
ータ2に発生するには、巻線7,9に電流を正(+)側
のみとして零になる時点で巻線8,10に瞬時に切り変
えて通電する。図7(a)にティース3,5とティース
4,6のエアギャップが等しいロータ2の角度θ=0d
egの場合の指令トルク30(Tm *)と、巻線7,9の
電流36(i1)と、巻線8,10の電流37(i2)と
の関係を横軸を時間としてその波形を図示している。ト
ルク指令Tm *として正弦波を与えた場合、トルクが正
(+)側で巻線7,9に正弦波状に電流(i1)を通電
し、その間巻線8,10の電流i2は零である。トルク
指令値Tm *が負(−)になる時点で電流i1は零とな
り、電流i2は正(+)側に正弦波状に通電される。ロ
ータ2の角度θ=0degの場合、理想的には正弦波状
の電流値はi1とi2で等しくなる。図7(b)には、テ
ィース3,5のエアギャップが広くティース4,6のエ
アギャップが狭いロータ角度θ=−8degの例を示し
ている。巻線7,9の電流i1が巻線8,10の電流i2
に比べ大きくなることが示されている。図7(c)に
は、ティース3,5のエアギャップが狭くティース4,
6のエアギャップが広いロータ角度θ=8degの例を
示している。図8(b)の場合とは逆に、巻線7,9の
電流i1が巻線8,10の電流i2に比べ小さくなること
が示されている。なお、式(8),(9)から分かるよ
うに電流iとトルク値Tmは非線形な関係にあるので、
トルク指令値30(Tm *)が正弦波でも電流値i1、i2
は必ずしも正弦波とはならない。
【0052】以上のように構成した非線形性補償制御手
段42を用いることでトルクと電流とロータ2の回転角
度に非線形性を有する有限回転電動機においても、線形
性が良好で高速かつ高精度な位置決め制御が実現でき
る。
【0053】実施の形態2.図8は本発明の実施の形態
2による有限回転電動機の動作を説明するための図であ
り、具体的には有限回転電動機の制御装置の電流アンプ
の内部構成を示すブロック図である。図において、45
は電流指令値32,34(i1*,i2*)と電流値3
6,37(i1,i2)の差分を増幅する電流制御ゲイ
ン演算手段、46は巻線に加える巻線電圧(v)、47
はラプラス演算子sを用いて表した電磁石モデル、48
は回転推力定数、49はロータ発生トルクである。
【0054】図9は本発明の実施の形態2による有限回
転電動機の動作を説明するための図であり、具体的には
有限回転電動機の巻線7,9と巻線8,10のインダク
タンスとロータ回転角の関係(図9(a))、および電
流アンプの制御帯域の変化を示す特性図(図9(b))
である。
【0055】図10は本発明の実施の形態2による有限
回転電動機の構成の概要を示すブロック図である。図に
おいて、43はロータ2の角度θによって各ティース
3,4,5,6とロータ2のエアギャップが変わること
で変化する巻線7,9と巻線8,10のインダクタンス
を推定するインダクタンス演算手段、44はインダクタ
ンス推定値L1、L2である。33,35はインダクタン
ス推定値44により制御帯域を可変する電流アンプであ
る。それ以外の構成要素は前述の実施の形態1と同一で
ある。
【0056】図11は図10の内部の構成をさらに詳細
に示すブロック図である。図において、50はロータ角
度40(θ)に応じて制御ゲインを可変できる角度可変
電流制御ゲイン演算手段、51は電磁石の電圧入力、電
流出力の関係をラプラス演算子sを用いて記述した伝達
特性においてインダクタンスLが角度θの関数とした角
度可変電磁石モデル、52はラプラス演算子sを用いて
記述したロータ慣性モデル、53は積分演算子である。
【0057】次に動作について説明する。前述の実施の
形態1では、電流アンプ33,35は電流指令値32
(i1 *),34(i2 *)に比例した電流36(i1),
37(i2)が流せる理想的な場合を示しているが、実
際の電磁石には図8に示すような電流帰還制御系を用い
て電流アンプ33,35を構成している。電流指令値3
2(i1 *),34(i2 *)と電流36(i1),37
(i2)の誤差を電流制御ゲイン演算手段45で増幅す
る。なお、電流制御ゲイン演算手段45内部には比例要
素、積分要素、微分要素などの補償器が含まれている。
電流36(i1),37(i2)が巻線7,8,9、10
に通電されるとロータ角度と電流値の関数である回転推
力定数48(Kt(θ))に対応したトルク49(Tm)
がロータ2に発生する。しかし、有限回転電動機に用い
られる電磁石の入力電圧と出力電流の関係はインダクタ
ンスLと巻線抵抗Rの関数であり、さらに、インダクタ
ンスLは次の式(10)に示すようにエアギャップzに
反比例している。
【0058】
【数9】
【0059】ロータ2回転角度θとエアギャップzは式
(2)の関係にあり、このθとインダクタンスLの関係
を図示した一例が図9(a)である。ロータ2の回転角
度θを横軸にコイルインダクタンスLを縦軸に、巻線
7,9の特性を実線で巻線8,10の特性を破線で示し
ている。ロータ2の回転角度θ=0のとき実線と破線は
交わりインダクタンスL0となる、エアギャップzが式
(2)に基づき狭まることでインダクタンスLは式(1
0)に従い反比例的に増加し、エアギャップzが広がる
ことで反比例的に減少する。図9(a)に示すようにコ
イルインダクタンスの最大値LHと最小値LLは2倍近く
異なるため、図8に示した電流制御系の周波数帯域は図
9(b)に示すようにエアギャップzにより大きく変化
する。さらに、磁気飽和や磁束漏れなどの非線形的特性
も加わる。図9(b)の実線はエアギャップzが狭いと
き、破線はzが広いときの特性を示し、横軸を対数スケ
ールの周波数、縦軸を電流指令値i*と電流値iの比
(i/i*)のゲインをデシベル(dB)スケールで表
示している。ゲインが0dBならば、指令値i*に一致
した電流iが出力されるが、例えば、図9(b)に示す
ように電流制御周波数fiで折れ曲がり、これ以上の周
波数では電流出力iは−20dB/decの傾きで減少
する。電流制御周波数fiは巻線抵抗R、インダクタン
スLおよび電流制御ゲイン演算手段45で決まり、電流
制御ゲイン演算手段45の補償要素が比例要素Kiの場
合、fiは次の式(11)で示される。
【0060】
【数10】
【0061】式(11)からインダクタンスLが大きく
なるほど電流制御の帯域が狭くなることが分かる。ロー
タ2をより高速かつ高精度に位置決めするには前述の図
2の角度制御ゲイン演算手段25および角速度制御ゲイ
ン演算手段29などにより決まる角度制御の帯域fp
大幅に高くする必要がある。この位置制御帰還ループよ
りも内側に帰還ループのある電流制御帯域fiは位置制
御帯域fpより数倍の高い制御帯域を持つ必要があり、
iがfpに近づいてくるとロータの位置制御の速度と精
度に悪影響を及ぼす。図9(b)のfiが2倍も異なれ
ば、角度θに応じてロータの位置決め精度が劣化してし
まう。そこでこのインダクタンスLの変化を予め、実験
的、解析的に求めた図9(a)の関係からロータ2の回
転角度θよりインダクタンス演算手段43によりインダ
クタンスLを演算し、この値に基づき非線形性補償制御
装置の電流出力指令値32(i1 *)、34(i2 *)を補
償することで、電流制御帯域fiの変化を補償し、イン
ダクタンスの変化によらず電流制御帯域fiを一定に保
ち、高速で高精度なロータ2の位置決め制御が可能であ
る。
【0062】次に、図10および図11で示した本発明
の実施の形態2による有限回転電動機の動作について説
明する。前述の図8および図9を用いた説明において示
したように、電流制御帯域fiとインダクタンスLの関
係は式(11)で示される。fiを一定に保つには角度
θによるLの変化を電流制御ゲインKiを調整すること
で補償すれば、電流制御帯域fiを一定に保つことがで
きる。式(11)をKiについての式に書き改めると次
の式(12)を得る。
【0063】
【数11】
【0064】ここで、L(θ)はインダクタンスLが角
度θの関数であること、Ki(θ)は電流制御ゲインKi
が角度θの関数であることを示す。あらかじめ、角度θ
に関するインダクタンスLの変化が前述の図9(a)よ
うに与えられていれば、電流制御帯域fiを一定とする
電流制御ゲインKi(θ)を与えることができる。図1
0に示すようにロータ2の角度40(θ)をセンサで検
出し前述の図9(a)の関係に基づきインダクタンス演
算算手段43によりインダクタンスLの推定値を求め、
これに基づき電流アンプ33、35の制御ゲインを可変
すればよい。図11に示すようにロータ2の角度40
(θ)に応じて電流制御ゲイン演算手段50により(K
i(L)、なお、ここでKi(L)は電流制御ゲインKi
が角度Lの関数であることを示し、式(12)のθの関
数ではなく、図9(a)の関係からインダクタンスLの
関数として図示している。)を可変して角度θに応じて
特性の変わる角度可変電磁石モデル51に加える電圧4
6(v)を与えることで電流制御帯域fiは一定とでき
る。電流制御ゲインKiの調整を行うにはオペアンプ等
のアナログ演算子で例えば式(12)を演算する。ある
いは、角度信号θをAD変換器でデジタル信号に変換し
デジタル計算機で演算しDA変換器でアナログ出力する
ことでも実現できる。以上のように電流制御ゲイン演算
器50を構成することでロータ2の角度θに関わらず高
速で高精度に位置決め制御することができる。
【0065】実施の形態3.図12は本発明の実施の形
態3による有限回転電動機の構成の概要を示すブロック
図である。図において、42はロータ2の角度40、ロ
ータ角速度41、および、インダクタンス推定値44に
基づき、電流指令値32,34を補正する非線形性補償
制御装置である。それ以外の構成要素は前述の実施の形
態2と同一である。
【0066】図13は図12の内部の構成をさらに詳細
に示すブロック図である。図において、54はロータ2
の角度40(θ)に応じて変化するインダクタンスLに
より角度ゲインを調整する角度可変角度制御ゲイン演算
手段、55は角度40(θ)に応じて変化するインダク
タンスLにより角速度ゲインを調整する角度可変角速度
制御ゲイン演算手段である。
【0067】次に動作について説明する。前述の実施の
形態2では電流制御ゲインKiを角度θの関数とするこ
とで調整して電流制御帯域fiを一定に保っていたが、
位置決め制御を高速にするためには電流制御帯域fi
非常に高い帯域にすることが必要である。そのためには
電流制御ゲインKi(θ)をアナログ演算子であるオペ
アンプなどにより補償すればよいが、前述の図9(a)
に示すようにロータ回転角度θとコイルインダクタンス
Lの関係は反比例的な高次関数になる。このような関係
をオペアンプ等の回路素子で実現するのは難しく、近似
する関数を2次関数程度に下げて補償する必要がある。
一方、AD変換器等で角度θをデジタル変換しデジタル
補償すれば高次関数でも容易に補償できるが、AD変換
などによる変換時間やCPUにおける演算時間による遅
れが大きくなり電流制御帯域fiが十分に高くすること
が困難であり何れも長所と短所がある。そこで、前述の
実施の形態2に変わる手段として、図12に示すように
電流アンプ33,35内部の電流制御ゲインKiを補償
する変わりに非線形性補償制御装置42内部の角度制御
ゲインKpと角速度制御ゲインKvを角度θの関数として
補償することで、角度θによりコイルインダクタンスL
が変化する影響を補償する。
【0068】角度θによりLが変化すると前述の図9
(b)に示すように電流制御帯域fiが変化し、これに
よりロータ2の位置決め制御における位置誤差が増加す
る。インダクタンスLの変化によりロータ角度信号40
(θ)の振動減衰が大きくなる(減衰不足状態)場合
は、図13のブロック線図に示す角度可変角速度制御ゲ
イン演算手段55の制御ゲインKv(L)を大きくする
ことで減衰量を増して振動減衰を大きくすることで素早
く角度を静定できる。逆に、インダクタンスLの変化に
よりロータ角度信号40(θ)の振動減衰が小さいくな
り(過減衰状態)速やかに目標角度に到達できない場合
は、角度可変角速度制御ゲイン演算手段55の制御ゲイ
ンKv(L)を小さくすることで減衰量を減らして振動
減衰を小さくし、素早く目標角度に静定することができ
る。同様に、インダクタンスLの変化によりロータ角度
信号40(θ)の角度誤差信号24が大きくなる場合
は、角度可変角度制御ゲイン演算手段54の制御ゲイン
Kp(L)を大きくすることで制御による剛性を増して
位置誤差を小さくすることで素早く角度を静定できる。
逆に、インダクタンスLの変化によりロータ角度信号4
0(θ)の発振気味になり速やかに目標角度に到達でき
ない場合は、角度可変角度制御ゲイン演算手段54の制
御ゲインKp(L)を小さくすることで制御による剛性
を減らして安定性を増し、素早く目標角度に静定するこ
とができる。以上のように角度θに応じた角度制御ゲイ
ンKp(L)と角速度制御ゲインKv(L)を用いること
でインダクタンスLの変化があっても安定で速やかに静
定する角度制御系を実現できる。これらKp(L)とKv
(L)の演算は図13のブロック図に示すように、電流
制御ゲイン演算手段45による電流制御系の外側に位置
するので、電流制御帯域fiに比べ数分の一の制御帯域
で演算すれば良く、デジタル系の演算器で十分演算でき
るので実現が容易である。これにより、高速で高精度な
ロータ2の角度制御が可能である。
【0069】実施の形態4.図14は本発明の実施の形
態4による有限回転電動機の構成の概要を示すブロック
図である。図において、14はシャフト1に固定された
ミラー、57は有限回転電動機のミーラー14側に位置
する軸受12の近傍の温度を計測する前側軸受用温度検
出器、59は前側軸受用温度検出器57の検出信号を電
気信号に変換し増幅する温度検出器用アンプ、62は温
度検出器用アンプ59の出力信号である。
【0070】次に動作について説明する。有限回転電動
機のロータ2を位置決め制御するには巻線7,8,9,
10に通電してロータ2にトルクTmを発生する必要が
ある。これに伴い電流値に比例して巻線7,8,9,1
0に発生する銅損、コアバッグ11とステータティース
3,4,5,6に渦電流が発生することによる鉄損、ベ
アリング部の摺動摩擦による機械損などの損失が発生す
る。これらの損失は発熱量となり有限回転電動機の温度
を上昇させる。温度が上昇することでロータ2を支持す
る軸受12,13の温度も上昇する。軸受12,13と
しては例えば玉軸受や滑り軸受などの潤滑剤を用いた軸
受が用いられるのが一般的であり、軸受12,13の温
度上昇によって潤滑剤の温度も上昇する。一般に潤滑剤
の粘性は温度上昇に伴って減少するため、温度が上昇す
ると、ロータ2の回転に対する粘性抵抗が低下する。そ
の逆に、温度が低下すると粘性抵抗は増加する。これら
の軸受12、13における粘性抵抗の変化は、ロータ2
の位置決め精度に影響する。そこで、非常に高精度な位
置決め制御を行うにはこれらの粘性抵抗の変化が無視で
きない。そこで、本実施の形態では、有限回転電動機の
軸受12または13近傍の温度を温度検出器57により
検出し、これを温度検出用アンプ59で増幅し、この出
力信号62を基に非線形性補償制御装置42を用いて粘
性抵抗の影響を補正することにより、温度による位置決
め精度の低下を改善し、高速で高精度な角度制御が実現
できる。
【0071】次に、図15を用いてさらに詳細に説明す
る。図15は図14の要部の構成をさらに詳細に示すブ
ロック図である。図において、56はシャフト1に設け
たシャフト用温度検出器、57はコアバッグ11に設け
た前側軸受用温度検出器、58はコアバッグ11に設け
た後側軸受用温度検出器であり、これらの温度検出器と
しては例えば熱電対などが用いられ、何れも軸受12,
13近傍の温度を検出するが、実質的には軸受12,1
3の温度を検出している。59はこれらの温度検出器5
6,57,58の検出信号を電気信号に変換し増幅する
温度検出器用アンプ、60は温度検出器用アンプ59の
出力信号62に基づいて角度制御ゲインを調整する温度
可変角度制御ゲイン演算手段、61は温度可変角速度制
御ゲイン演算手段、62は温度検出器用アンプ59の出
力である平均温度信号tである。
【0072】次に動作について説明する。軸受12,1
3近傍の温度を測定して軸受12,13の粘性抵抗の影
響を補正する手法としては様々な形態が考えられるが、
ここでは角度制御ゲインKpと角速度制御ゲインKvに着
目し、これらを温度tの関数として補正することで位置
決め制御の精度を向上することを考える。一般に、シャ
フト1に設けたシャフト用温度検出器56、コアバッグ
11に設けた前側軸受用温度検出器57および後側軸受
用温度検出器58により得られる温度tが上昇すると軸
受12,13の温度も上昇し、これに用いる潤滑剤の粘
性が低下する。粘性が低下することはロータ2に加わる
減衰量が低下することにほぼ等しい作用があり、ロータ
2の振動が増す(減衰不足)状態になる。これを防ぐに
は、温度可変角速度制御ゲイン演算手段61により温度
tの上昇に応じて角速度ゲインKv(t)を増やすこと
で適正な減衰力をロータ2に与えることができる。ここ
でKv(t)は、Kvが温度tの関数であることを示す。
一方、角速度制御ゲインKv(t)を温度tに応じて増
やすことで適切な減衰力は与えられるが、実際には電流
アンプ33、35の制御帯域fiの制約により、無限に
角速度制御ゲインを大きくすることはできない。そこ
で、温度上昇により摺動抵抗が減るとこれに伴いロータ
2への外乱トルクTdも減るので角度制御ゲインKpを大
きくしなくても、温度上昇前と同じ静定時間で位置決め
制御が可能である。Kpを減らすことができれば、それ
に伴い角速度制御ゲインKv(t)も減らすことができ
る。そこで、温度可変角度制御ゲイン演算手段60によ
り温度tに応じて角度制御ゲインKp(t)を調整して
制御系が不安定にならないようにすることができる。
【0073】以上のように、有限回転電動機の軸受1
2,13近傍の温度tに応じて角度制御ゲインK
p(t)と角速度制御ゲインKv(t)を適切に調整する
ことで、軸受12,13の温度変化に影響されず高速で
高精度なロータ2の角度制御が可能である。
【0074】なお、軸受12,13近傍の温度は、シャ
フト用温度検出器56、前側軸受用温度検出器57、お
よび後側軸受用温度検出器58の全てを用いずに、少な
くとも1つを用いて検出してもよい。
【0075】実施の形態5.図16は本発明の実施の形
態5による有限回転電動機の要部の構成を示すブロック
図である。図において、64は軸受12,13近傍の温
度を調節する温度調節手段であり、例えばコアバック1
1に接して冷却水を循環させるように構成された水冷式
温度制御器が用いられる。軸受12,13が所定の温度
になるように温度調節手段64を制御する温度制御装置
であり、例えばコンピュータにより実現されている。そ
の他の構成は前述の実施の形態4と同じである。
【0076】次に動作について説明する。前述の実施の
形態4では、軸受12,13近傍の温度を検出して角度
制御ゲインKp(t)と角速度制御ゲインKv(t)を調
整することで、位置決め精度に対する軸受12,13の
温度変化の影響を排除したが、軸受12、13の潤滑剤
の温度を一定に保つことでも高精度な位置決めが可能と
なる。そこで、各温度検出器56、57、58と温度検
出用アンプ59から得られた温度62(t)を温度制御
装置63に入力し、軸受12,13が所定の温度になる
ようにコアバッグ11に設けた温度制御器64を制御し
てコアバッグ11の温度を制御する。具体的には、例え
ば、軸受12,13の測定温度tが所定温度より高かっ
た場合に、水冷式の温度制御器64に冷却水を循環させ
て所定温度まで冷却する。これによりコアバッグ11の
温度は一定に保たれ、その結果、軸受12,13の潤滑
剤の粘性も一定に保たれるので、高速で高精度なロータ
2の角度制御が可能である。
【0077】なお、温度制御器64は冷却制御に限ら
ず、例えば所定温度の水を循環させる等によりコアバッ
ク11を加熱して所定温度に維持することも可能であ
る。
【0078】実施の形態6.図17は本発明の実施の形
態6による有限回転電動機の要部の構成を示すブロック
図である。図において、65は前述の実施形態1で示し
た非線形性補償演算手段42に代わる磁束指令値出力非
線形性補償演算手段であり、非線形性補償演算手段42
が電流指令値i1 *,i2 *を出力した代わりに磁束指令値
φ1 *,φ2 *を出力する。66,67は磁束指令値、6
8、69は磁束誤差演算手段、70,71は磁束誤差、
72、73は磁束制御ゲイン演算手段であり、これら磁
束指令値出力非線形性補償演算手段65、磁束誤差演算
手段68,69および磁束制御ゲイン演算手段72、7
3は例えばコンピュータで実現されている。74a、7
4b、75a、75bはそれぞれティース3,4,5,
6に設けられた磁束検出器であり、例えばホール素子が
用いられる。76,77は磁束検出器信号、78、79
は磁束検出器アンプ、80,81は磁束信号φ1,φ2
ある。
【0079】次に動作について説明する。巻線7,8,
9,10に電流iを通電すると前述の式(1)に示すよ
うに各ティース3,4,5,6に磁気吸引力が発生し、
ロータ2にトルクTmが発生する。しかし、現実には電
流iを流すことで、磁性体のティース3,4,5,6と
ロータ2とコアバッグ11に式(13)に示す磁束Bが
発生し、これに伴い式(14)に示す磁気吸引力fm
発生する。
【0080】
【数12】
【0081】ここで、μ0は真空の透磁率、Sは各ティ
ース3,4,5,6の有効断面積である。電流iを通電
するとただちに磁束Bが発生するが、非常に短い時間の
遅れは生じる。この遅れはトルク指令値Tm *から実際に
ロータ2に発生するトルクT mの間の遅れとなる。この
遅れを改善するために、ティース3,4,5,6に磁束
検出器74a,74b,74c,74dを直接埋め込
み、この信号76,77を磁束検出器アンプ78,79
で増幅して各ティース3,4,5,6に発生する磁束信
号80(φ1),81(φ2)を検出する。この検出した
磁束信号と磁束指令値出力非線形補償演算手段65から
の磁束指令値66(φ1 *),67(φ2 *)との差分を磁
束誤差演算手段68、69でとり、これらの磁束誤差7
0、71を磁束制御ゲイン演算手段72、73で増幅し
電流指令値32(i1 *),34(i 2 *)を出力し電流ア
ンプ33,34で巻線7,8,9,10に通電し、磁束
を一定に保つ磁束制御系を構成する。
【0082】以上のような磁束制御系を電流制御系の変
わりに構成することにより、トルク指令値を与えてから
ロータ2のトルクが発生するまでの時間遅れの少ない制
御系が実現でき、ロータをより高速で高精度に角度制御
することが可能である。
【0083】実施の形態7.図18は本発明の実施の形
態7による有限回転電動機を説明する図であり、(a)
は全体構成を示すブロック図、(b)は動作を説明する
ためにロータの1次撓み振動モードと電磁石の配置を示
す側面図である。図において、82は非線形性補償制御
装置(4出力)であり、各巻線7,8,9,10に流す
4つの電流指令値を出力する。83、84、85、86
は電流指令値i1 *,i2 *,i3 *,i4 *、87、88,8
9、90は電流アンプ、91は例えばコアバッグ11に
設けられてロータ2の回転軸に直交する方向への撓みを
検出するロータ並進、並進速度検出器であり、例えば渦
電流式変位センサや静電容量式変位センサやレーザ式変
位センサおよび一定磁界にコイルを設けたサーチコイル
式速度センサなどが用いられる。なお、速度センサとし
ては上記各種変位センサの出力を電気的に微分して用い
ることもできる。92は検出器92から出力されるロー
タ並進、並進速度信号x、dx/dtである。
【0084】次に動作について説明する。前述の実施の
形態1では、ロータの回転角度を制御してシャフト1の
先端に取り付けたミラー14を角度制御する。しかし、
図18(b)に破線で示すように、シャフト1が回転軸
(y軸)と直行する方向(x軸方向)に撓むことで、ミ
ラー14に当たる光線は角度制御した方向と直行した方
向に曲がってしまう。このようにシャフト1に撓み振動
が発生すると目的とする光を精度良く位置決めできなく
なる。そこで、図18(a)のように有限回転電動機の
巻線7,8,9,10にそれぞれ独立な電流i1,i2
3,i4を通電することでシャフト1に発生する撓み振
動を抑制する。例えば、図18(a)において下側に位
置する巻線8,9に通電してロータ2を下側に押し下げ
る力を発生することで図18(b)の破線に示すような
シャフト1の一次の撓み振動を制御できる。回転制御は
前述の実施の形態1と同様に行い、これに加えてロータ
2の並進方向の状態量を検出器91で検出し、この信号
92基づいて非線形性補償制御装置82により撓み振動
を抑制する電流指令値83,84,85,85を出力
し、電流アンプ83、84、85,86で巻線7,8,
9,10に通電する。
【0085】このように構成することで、シャフト1に
発生する撓み振動によるミラー14の位置ずれを抑制
し、より高精度な位置決め制御が可能となる。
【0086】実施の形態8.図19は本発明の実施の形
態8による有限回転電動機を説明する図であり、(a)
は全体構成を示すブロック図、(b)は動作を説明する
ためにロータの1次撓み振動モードと電磁石の配置を示
す側面図である。図において、93は4個のティースに
励磁用の巻線を巻回した前側電磁石(4極)、94は同
じく4個のティースに励磁用の巻線を巻回した後側電磁
石(4極)であり、ロータ2の回転軸に沿って設けられ
ており、8本の励磁用の巻線に流す電流i1,i2
3,i4,i5,i6,i7,i8をそれぞれ独立に制御す
るように構成されている。
【0087】次に動作について説明する。前述の実施の
形態7では、4つの電磁石を独立に制御することでシャ
フトの1次撓み振動を抑制していたが、ロータ2にミラ
ー14を付けた状態の回転方向の固有振動数に比べ撓み
振動の固有振動数が低いことが多く、撓みの1次、2次
振動の方が回転振動より固有振動数が低くなることが多
い。このため、シャフト1の1次の撓み振動を抑制した
だけでは十分でなく、より高精度なミラー14の位置決
め制御を実現するには2次の撓み振動も抑制することが
望ましい。そこで、図19(a)に示すように、4つ電
磁石をロータ2の回転軸に沿って2組設け、8本の巻線
に流す電流を独立に制御する。なお、図19ではロータ
並進、並進速度検出器は図示していないが、電磁石が配
置された位置のロータ並進、並進速度を検出できるよう
にロータ2の回転軸に沿って2個設けられている。
【0088】以上のように構成することで図19(b)
に破線で示す2次のシャフト撓み振動も抑制することが
可能となり、より高精度なミラー14の位置決め制御が
可能である。
【0089】実施の形態9.図20は本発明の実施の形
態9による有限回転電動機を説明する図であり、(a)
は要部の構成を示す斜視図、(b)は動作を説明するた
めにロータの1次撓み振動モードを示す側面図、(c)
は要部の構成を示すブロック図である。図において、9
5、96はピエゾアクチュエータアンプ、97、98は
ロータ2に設けたフィルム型ピエゾアクチュエータ、9
9、100はロータ2に設けた撓み変位検出器であり、
例えば、フィルム型ピエゾ素子を撓みセンサとして用い
ることができる。101は撓み変位検出器アンプであ
る。102は撓み振動制御装置であり、例えばコンピュ
ータにより実現されている。
【0090】次に動作について説明する。前述の実施の
形態7および8では、4個あるいは8個の電磁石を独立
に制御することでシャフトの撓みによる撓み振動を抑制
したが、本実施の形態では、ロータ2を所定の方向へ撓
ませるアクチュエータ97,98とロータ2の撓みを検
出するセンサ99,100をロータ2に直接設け、セン
サ99,100からの検出信号に応じて撓み振動制御装
置102でこれを抑制するための制御信号を発生し、ア
クチュエータ97,98を動作させることによっても同
様の効果が実現できる。図20(a)には本実施の形態
におけるロータの構成を示しており、主な構成機器はミ
ラー14、シャフト1およびロータ2である。図20
(b)ではこのように構成されたロータの1次撓み振動
の振動モードを点線で示している。軸受12,13を支
点としてロータ2の中央部が太鼓状に振れることでミラ
ー14とセンサ38も大きく振れている。この1次撓み
振動を抑制するには、図20(c)に示すように、1次
振動でよく撓むロータ2の上下に撓み振動を励起できる
ようにフィルム型のピエゾアクチュエータ97、98を
貼り付け、同様にこの撓み変位を検出する撓み検出器9
9,100を設ける。検出器99,100の信号を撓み
変位検出アンプ101で増幅し、これを撓み振動制御装
置102に入力する。撓み振動制御装置はピエゾアクチ
ュエータアンプ95、96に撓み振動を抑制するように
電圧を与え、これによりフィルム型ピエゾアクチュエー
タ97、98が駆動されシャフト1の撓み振動を抑制す
る。ピエゾ式のアクチュエータ97、98は電磁石など
の強磁界の中でもこれに影響されることなく指令値通り
に駆動することが可能である。
【0091】以上のように構成することにより、シャフ
ト1の撓み振動を抑制したより高精度なミラー14の位
置決め制御が可能である。
【0092】なお、上記実施の形態9ではロータの1次
撓み振動を抑制する場合について示したが、フィルム型
ピエゾアクチュエータ97、98および撓み検出器9
9,100をロータ2の回転軸に沿って2組設け、各組
の撓み検出器99,100からの検出信号に応じて各組
のアクチュエータ97、98をそれぞれ独立に制御する
ことにより2次撓み振動を抑制することも可能である。
【0093】実施の形態10.図21は本発明の実施の
形態10による有限回転電動機の構成を示すブロック図
である。図において、106、107はシャフト2をコ
アバック11と非接触に支持する磁気軸受であり、10
3は磁気軸受制御装置、104、105は磁気軸受の制
御ケーブルである。
【0094】次に動作について説明する。前述の実施の
形態1では、玉軸受12,13でシャフト1を支持して
いた。しかし、上記各実施の形態に示したような有限回
転電動機においては、シャフト1は高速に駆動され、か
つ狭い範囲を繰り返し高精度に位置決めするため、玉軸
受のような接触型の軸受を用いた場合には軸受寿命が著
しく短くなる。玉軸受12,13が寿命時間に達し摺動
面が摩耗すると、摺動抵抗は急激に増大し、また、滑ら
かな回転ができなくなる。このため、高速で高精度なミ
ラー14の位置決め制御ができなくなる。本実施の形態
では、このような軸受の摩耗による寿命を改善するため
に、図21に示すように磁気軸受106、107を用い
ている。磁気軸受106、107はロータ2とステータ
(コアバック11)を非接触に支持することが可能であ
り、摺動による摩耗で軸受の寿命が著しく低下すること
がない。同様な効果は、摺動面が非接触となる空気軸
受、油面を用いた動圧軸受などでも実現可能である。以
上のように構成することで、高速で高精度なミラー14
の位置決め制御を長期間に渡って維持することが可能で
ある。
【0095】実施の形態11.なお、上記各実施の形態
では本発明を例えば同一出願人によって先に出願された
特願平11−010820号の明細書に記載されている
ロータが1軸回りに有限角度回転するように構成された
有限回転電動機に適用した場合に説明したが、これに限
るものではなく、例えば同一出願人によって先に出願さ
れた特願平12−107906号の明細書に記載されて
いるロータが直交する2軸回りに有限角度回転するよう
に構成された有限回転電動機の一種である2次元のミラ
ースキャナに適用することも可能であり、この場合にも
回転角度に関係なくトルクと巻線電流との線形性が良好
で高速かつ高精度な位置決めが可能となる。
【0096】先ず、図22および図23を用いて2次元
のミラースキャナの構成およびその動作について説明す
る。図22は2次元のミラースキャナの主要部の構成を
説明する図であり、(a)は平面構造、(b)は側面構
造をそれぞれ示す。図において、110はミラー、11
3はこのミラー110を固定したロータ、180はこの
ロータ113に固定され、磁性体よりなる可動片すなわ
ち受動部、150a、150bはロータ113のX軸回
りの回転を許容するベアリング式軸受、151a、15
1bはロータ113のY軸回りの回転を許容するベアリ
ング式軸受、152はこれらの軸受150a、150
b、151a、151bを仲介する継手、125はベー
ス(スキャナ固定構造部分)、115は軸受151a、
151bをベース125に対して支持する支柱(スキャ
ナ固定構造部分)であり、軸受150a〜151b及び
継手152は1枚のミラー110をX軸およびY軸の2
軸の回りに回転可能に支持する自在継手(支持手段)を
構成している。
【0097】また、120a、120bは両者で馬蹄形
電磁石を構成するマグネットコアすなわちステータティ
ース、120c、120dは両者で馬蹄形電磁石を構成
するマグネットコアすなわちステータティース、120
e、120fは両者で馬蹄形電磁石を構成するマグネッ
トコアすなわちステータティース、120g、120h
は両者で馬蹄形電磁石を構成するマグネットコアすなわ
ちステータティース、130a、130b、130c、
130d、130e、130f、130g、130hは
各々マグネットコア120a、120b、120c、1
20d、120e、120f、120g、120hに巻
かれた巻線であり、可動片180とマグネットコア12
0a〜120hおよび巻線120a〜120hとは1枚
のミラー110をX軸およびY軸の2軸の回りに回転さ
せるモーメント発生手段を構成している。なお、可動片
180の外側面は円錐台形状に形成されており、マグネ
ットコア120a〜120hの端面と対向している。
【0098】さらに、140はロータ113の裏面側に
固定され、電流の供給を受けて光線を発するLEDなど
の発光素子、141は支柱115に支持された固定片で
ある。
【0099】ロータ113は軸受150a、150b、
151a、151bによってベース125に対して図1
の(a)におけるX軸およびY軸の2つの軸回りの微小
回転が可能である。このロータ113にはレーザビーム
等の光線を反射するミラー110が固定されているの
で、ミラー110もまたベース125に対して2軸回り
の回転が可能である。
【0100】図23は図22に示された2次元のミラー
スキャナにおける回転部の構造を模式的に示す分解斜視
図である。図23において、113はミラーが固定され
るロータ、114a、114bはロータ113の下方に
延びて固定されたフランジであり、それぞれ軸受150
a、150bが設けられている。同様に、115a、1
15bはベース125に固定されたフランジであり(な
お、図22では支柱15として説明されている)、それ
ぞれ軸受151a、151bが設けられている。これら
の軸受150aおよび150bと151aおよび151
bとは十文字状の継手152を介して結合されているの
で、ロータ113は継手152に対しては軸受150
a、150bによってX軸回りに回転可能であり、同様
に、継手152はベース125に対しては軸受151
a、151bによってY軸回りに回転可能であり、こう
してロータ113はベース125に対してはX軸および
Y軸の2軸の回りに回転可能である。
【0101】次に、このミラースキャナの動作について
説明する。ロータ113には円錐台筒状の磁性体である
可動片180が固定されており、この可動片180はこ
れと対向して配置されたマグネットコア120a〜12
0hによって吸引力を受ける。たとえば、巻線130a
と130bに電流i1を流し、マグネットコア120a
と120bの組が巻線130aと130bの組によって
励磁されたとき、マグネットコア120aと120bは
図の(b)における矢印A方向の吸引力をロータ113
に対して作用させることになる。従って、この吸引力は
ロータ113を図1の(b)においてY軸回りに反時計
回り方向に回転させる。この時、ロータ可動片180と
マグネットコア220e,220f間のギャップは小さ
く、ロータ可動片180とマグネットコア220a,2
20b間のギャップは大きくなる。
【0102】同様にして、巻線130eと130fに電
流i2を流し、マグネットコア120eと120fの組
が巻線130eと130fの組によって励磁されたと
き、マグネットコア120eと120fは図1の(b)
の矢印B方向の吸引力をロータ13に対して作用させる
ことになる。従って、この吸引力はロータ13を図1の
(b)においてY軸回りに時計回り方向に回転させる。
この時には逆に、ロータ可動片180とマグネットコア
220e,220f間のギャップは大きく、ロータ可動
片180とマグネットコア220a,220b間のギャ
ップは小さくなる。全く同様にして、巻線130eと1
30fに電流i3を流し、マグネットコア120cと1
20dの組が発生する吸引力はロータ113をX軸回り
に反時計回り方向に回転させ、マグネットコア120
g、120hの組が発生する吸引力はロータ113をX
軸回りに時計回り方向に回転させる。この場合にも、ロ
ータ113の回転角度に対応してロータ可動片180と
マグネットコア220c,220d間のギャップと、ロ
ータ可動片180とマグネットコア220g,220h
間のギャップとは変化する。
【0103】次に、図24を用いて本発明の実施の形態
11による有限回転電動機について説明する。図におい
て、300はx軸回りの回転角度指令値(離散値)θx *
(k)、301はy軸回りの回転角度指令値(離散値)θ
y *(k)である。303は非線形性補償制御装置302の
出力である巻線130aと130bに対する電流指令値
1 *、304は電流指令値i1 *に基づいて巻線130a
と130bに電流を流す電流アンプ、305は巻線13
0aと130bに流れる電流である。306は非線形性
補償制御装置302のもう一つの出力である巻線130
gと130hに対する電流指令値i2 *、307は電流指
令値i2 *に基づいて巻線130gと130hに電流を流
す電流アンプ、308は巻線130gと130hに流れ
る電流である。309は非線形性補償制御装置302の
もう一つの出力である巻線130eと130fに対する
電流指令値i3 *、310は電流指令値i3 *に基づいて巻
線130eと130fに電流を流す電流アンプ、311
は巻線130eと130fに流れる電流である。312
は非線形性補償制御装置302のもう一つの出力である
巻線130cと130dに対する電流指令値i4 *、31
3は電流指令値i4 *に基づいて巻線130cと130d
に電流を流す電流アンプ、314は巻線130cと13
0dに流れる電流である。315はロータ113とベー
ス125とのx軸回りの相対的角度および角速度を検出
する角度検出器および角速度検出器(共に図示せず)の
出力であるx軸回り角度信号θxおよびx軸回り角速度
信号(dxθ/dt)、316はロータ113とベース
125とのy軸回りの相対的角度および角速度を検出す
る角度検出器および角速度検出器(共に図示せず)の出
力であるy軸回り角度信号θyおよびy軸回り角速度信
号(dyθ/dt)である。302は非線形性補償制御
装置であり、ロータの回転角度指令値300(θ
x *(k))および301(θy *(k))と回転角度検出手段
により検出された回転角度315(θx)および316
(θy)をもとに回転角度指令値300(θx *(k))お
よび301(θy *(k))に対応したトルク指令値を求
め、回転角度315(θ x)および316(θy)に対応
して変化して非線形となるトルクと巻線の電流値との関
係を補正するために予め求めて記憶しておいた非線形補
正係数を用いて、トルク指令値と回転角度検出手段より
検出された回転角度315(θx)および316(θy
とからトルク指令値に対して線形化した巻線の電流指令
値i1 *,i2 *,i3 *,i4 *を演算出力する。なお、非線
形性補償制御装置302の詳細な構成の一例は実施の形
態1と同様であり、実施の形態1の場合と同様にコンピ
ュータで実現されている。
【0104】以上のように、ロータ113の回転角度に
対応してロータ(可動片180)とステータ(マグネッ
トコア20a〜20e)間のギャップが変化するように
構成された、トルクと電流とロータ113の回転角度に
非線形性を有する2軸回りに回転する有限回転電動機に
おいても、非線形性補償制御手段302を用いることで
線形性が良好で高速かつ高精度な位置決め制御が実現で
きる。
【0105】なお、上記実施の形態11では実施の形態
1を図22や図23で示したような2軸回りに回転する
有限回転電動機に適用した場合について説明したが、実
施の形態2〜10を適用することも可能である。
【0106】なお、上記各実施の形態では本発明を特願
平11−010820号や特願平12−107906号
の明細書に記載されている有限回転電動機に適用した場
合について説明したが、これに限るものではなく、本発
明は、ロータに磁性体の受動部を設けると共にステータ
に励磁用の巻線を巻回し受動部とギャップを介して対向
する複数個のティースを設け、ステータの巻線による発
生磁界でギャップに磁束を生じさせてティースと受動部
間に磁気吸引力を生じさせることでトルクを発生し、所
定の有限回転角度の範囲内でロータを回転させ、ロータ
の回転角度に対応してギャップが変化するように構成し
た全ての有限回転電動機に適用することが可能である。
【0107】
【発明の効果】以上のように、本発明の第1の構成によ
れば、ロータに磁性体の受動部を設けると共にステータ
に励磁用の巻線を巻回し前記受動部とギャップを介して
対向する複数個のティースを設け、前記ステータの巻線
による発生磁界で前記ギャップに磁束を生じさせて前記
ティースと前記受動部間に磁気吸引力を生じさせること
でトルクを発生し、所定の有限回転角度の範囲内で前記
ロータを回転させるように構成し、前記ロータの回転角
度に対応して前記ギャップが変化する有限回転電動機で
あって、前記ロータの回転角度を検出する回転角度検出
手段と、ロータの回転角度指令値と前記回転角度検出手
段により検出された回転角度をもとに前記回転角度指令
値に対応したトルク指令値を求め、回転角度に対応して
変化して非線形となる前記トルクと巻線の電流値との関
係を補正するために予め求めて記憶しておいた非線形補
正係数を用いて、前記トルク指令値と前記回転角度検出
手段より検出された回転角度とから前記トルク指令値に
対して線形化した前記巻線の電流指令値を演算出力する
非線形性補償制御装置とを備えたので、ロータの回転角
度に係わらず良好な制御性能が得られ、ロータを高速か
つ高精度に位置決めすることができる。
【0108】本発明の第2の構成によれば、非線形性補
償制御装置は、ロータの回転角度指令値に基づいて軌道
を生成する軌道演算手段と、この軌道とロータの回転角
度との誤差を求める角度誤差演算手段と、前記角度誤差
演算手段で求められた角度誤差を増幅する角度制御ゲイ
ン演算手段と、前記角度制御ゲイン演算手段の出力とロ
ータの回転角速度との誤差を求める角速度誤差演算手段
と、前記角速度誤差演算手段で求められた角速度誤差を
増幅して前記回転角度指令値に対応したトルク指令値を
出力する角速度制御ゲイン演算手段とを備えたので、ロ
ータを高速かつ高精度に位置決めすることができる。
【0109】本発明の第3の構成によれば、補正係数は
2次元多項式であるので、ロータを高速かつ高精度に位
置決めすることができる。
【0110】本発明の第4の構成によれば、ギャップの
変化に応じて変化する巻線のインダクタンスを、予め求
めて記憶しておいたロータの回転角度とインダクタンス
との関係を用いて補償するように構成したので、制御性
能がより向上する。
【0111】本発明の第5の構成によれば、非線形性補
償制御装置より出力された電流指令値に基づいて巻線に
流す電流をフィードバック制御する手段を備え、回転角
度検出手段により検出されたロータの回転角度に応じて
前記電流フィードバック制御のゲインを補償するように
したので、ギャップ変化によるインダクタンスの変化に
よる影響を抑制して良好な制御性能が得られ、ロータを
高速かつ高精度に位置決めすることができる。
【0112】本発明の第6の構成によれば、回転角度検
出手段により検出されたロータの回転角度に応じて、角
度制御ゲイン演算手段の角度制御ゲインおよび角速度制
御ゲイン演算手段の角速度制御ゲインを補償するので、
ギャップ変化によるインダクタンスの変化による影響を
抑制して良好な制御性能が得られ、ロータを高速かつ高
精度に位置決めすることができる。
【0113】本発明の第7の構成によれば、ロータはシ
ャフトと潤滑剤を用いた軸受とを介してコアバックに対
して回転可能に支持されており、前記軸受近傍の温度を
検出する温度検出手段を備えたので、温度に応じて変化
する潤滑剤の粘性の影響を抑制することができ、制御性
能がより向上する。
【0114】本発明の第8の構成によれば、温度検出手
段によって検出された軸受近傍の温度に応じて、角度制
御ゲイン演算手段の角度制御ゲインおよび角速度制御ゲ
イン演算手段の角速度制御ゲインを補償するようにした
ので、温度変化による潤滑剤の粘性の変化を補償するこ
とにより温度変化に係わらず良好な制御性能が得られ、
ロータを高速かつ高精度に位置決めすることができる。
【0115】本発明の第9の構成によれば、軸受近傍の
温度を調節する温度調節手段を備え、温度検出手段によ
って軸受近傍の温度を検出し、前記軸受が所定の温度に
なるように前記温度調節手段を制御するようにしたの
で、温度変化による潤滑剤の粘性の変化を抑制して良好
な制御性能が得られ、ロータを高速かつ高精度に位置決
めすることができる。
【0116】本発明の第10の構成によれば、ステータ
ティースの磁束を検出する手段を備え、検出された磁束
に応じて電流指令値をフィードバック制御する手段を備
えたので、制御性能がより向上する。
【0117】本発明の第11の構成によれば、ロータの
回転軸に直交する方向への撓みを検出する撓み検出手段
を備え、検出されたロータの撓みを元へ戻すように構成
したので、ロータに発生する撓み振動を抑制し、より高
精度な位置決め制御が可能となる。
【0118】本発明の第12の構成によれば、複数個の
ティースに巻回された各巻線に流す電流を独立に制御す
ることによりロータの撓みを元へ戻すように構成したの
で、1次の撓み振動を抑制することができる。
【0119】本発明の第13の構成によれば、励磁用の
巻線を巻回し受動部とギャップを介して対向する4個の
ティースを、ロータの回転軸に沿って2組設け、8本の
上記巻線に流す電流を独立に制御することによりロータ
の撓みを元へ戻すように構成したので、2次の撓み振動
を抑制することができる。
【0120】本発明の第14の構成によれば、ロータに
撓み力を発生するアクチュエータを設けることによりロ
ータの撓みを元へ戻すように構成したので、ロータに発
生する撓み振動を抑制し、より高精度な位置決め制御が
可能となる。
【0121】本発明の第15の構成によれば、ロータは
シャフトと軸受とを介してコアバックに対して回転可能
に支持されており、前記軸受はシャフトと非接触でこれ
を回転可能に支持するものであるので、軸受の摩耗によ
る寿命の低下が無く、高速で高精度な位置決め制御を長
期間に渡って維持することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の実施の形態1による有限回転電動機
の構成の概要を示すブロック図である。
【図2】 図1における非線形性補償制御装置の内部お
よび結線状況をさらに詳細に示すブロック図である。
【図3】 本発明の実施の形態1による有限回転電動機
の動作を説明する図である。
【図4】 本発明の実施の形態1による有限回転電動機
の動作を説明する図である。
【図5】 本発明の実施の形態1による有限回転電動機
の動作を説明する図である。
【図6】 本発明の実施の形態1による有限回転電動機
の動作を説明する図である。
【図7】 本発明の実施の形態1による有限回転電動機
の動作を説明する図である。
【図8】 本発明の実施の形態2による有限回転電動機
の動作を説明する図である。
【図9】 本発明の実施の形態2による有限回転電動機
の動作を説明する図である。
【図10】 本発明の実施の形態2による有限回転電動
機の構成の概要を示すブロック図である。
【図11】 図10内部の構成をさらに詳細に示すブロ
ック図である。
【図12】 本発明の実施の形態3による有限回転電動
機の構成の概要を示すブロック図である。
【図13】 図12内部の構成をさらに詳細に示すブロ
ック図である。
【図14】 本発明の実施の形態4による有限回転電動
機の構成の概要を示すブロック図である。
【図15】 図14の要部の構成をさらに詳細に示すブ
ロック図である。
【図16】 本発明の実施の形態5による有限回転電動
機の要部の構成を示すブロック図である。
【図17】 本発明の実施の形態6による有限回転電動
機の要部の構成を示すブロック図である。
【図18】 本発明の実施の形態7による有限回転電動
機を説明する図である。
【図19】 本発明の実施の形態8による有限回転電動
機を説明する図である。
【図20】 本発明の実施の形態9による有限回転電動
機を説明する図である。
【図21】 本発明の実施の形態10による有限回転電
動機の構成を示すブロック図である。
【図22】 本発明の実施の形態11に係る2次元のミ
ラースキャナの主要部の構成を説明する図である。
【図23】 図22の要部の構成を模式的に示す分解斜
視図である。
【図24】 本発明の実施の形態11による有限回転電
動機の構成を示すブロック図である。
【図25】 従来技術による有限回転電動機の構成を示
す図である。
【図26】 先行技術による有限回転電動機の構成を示
す図である。
【符号の説明】
1 シャフト、2 ロータ、3,4,5,6 ステータ
ティース、7,8,9,10 巻線、11 コアバッ
グ、12,13 軸受、14 ミラー、15、16 発
光素子、17,18 光束を検出する光検出器、20
角度指令値、21軌道演算手段、22 軌道角度指令信
号、23 角度誤差演算手段、24 角度誤差信号、2
5 角度制御ゲイン演算手段、26 角度制御ゲイン演
算出力信号、27 角速度誤差演算手段、28 角速度
誤差信号、29 角速度制御ゲイン演算手段、30 ト
ルク指令値Tm *、31 非線形性補償演算手段、32
電流指令値i1 *、33 電流アンプ、34 電流指令値
2 *、35 電流アンプ、36 電流i1、37 電流
2、38 角度検出器、39 角速度検出器、40角
度信号、41 角速度信号、42 非線形性補償制御装
置、43 インダクタンス演算手段、44 インダクタ
ンス推定信号、45 電流制御ゲイン演算手段、46
巻線電圧、47 電磁石モデル、48 回転推力定数、
49 ロータ発生トルク、50 角度可変電流制御ゲイ
ン演算手段、51 角度可変電磁石モデル、52 ロー
タ慣性モデル、53 積分演算子、54 角度可変角度
制御ゲイン演算手段、55 角度可変角速度制御ゲイン
演算手段、56 シャフト用温度検出器、57 前側軸
受用温度検出器、58 後側軸受用温度検出器、59温
度検出器用アンプ、60 温度可変角度制御ゲイン演算
手段、61 温度可変角速度制御ゲイン演算手段、62
平均温度信号、63 温度制御装置、64温度制御
器、65 磁束指令値出力非線形性補償演算手段、6
6,67 磁束指令値、68、69 磁束誤差演算手
段、70,71 磁束誤差、72、73 磁束制御ゲイ
ン演算手段、74a、74b、75a、75b 磁束検
出器、76,77 磁束検出器信号、78、79 磁束
検出器アンプ、80,81 磁束信号、82 非線形
性補償演算手段(4出力)、83、84、85、86
電流指令値、87、88,89、90 電流アンプ、9
1 ロータ並進、並進速度検出器、92 ロータ並進、
並進速度信号、93 前側電磁石(4極)、94 後側
電磁石(4極)、95、96 ピエゾアクチュエータア
ンプ、97、98 フィルム型ピエゾアクチュエータ、
99、100 撓み変位検出器、101 撓み変位検出
器アンプ、102 撓み振動制御装置、103 磁気軸
受制御装置、104、105 制御ケーブル、106、
107 磁気軸受、110 ミラー、113 ロータ、
115 支柱、120a〜120h マグネットコア、
125 ベース、130a〜130h 巻線、140
発光素子、141 固定片、150a、150b、15
1a、151b 軸受、152 継手、180 可動
片、300、301 角度指令値、302 非線形性補
償制御装置、303、306、309、312 電流指
令値、304、307、310、313 電流アンプ、
305、308、311、314 電流、315x軸回
り角度信号およびx軸回り角速度信号、316 y軸回
り角度信号およびy軸回り角速度信号。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 上田 淳 東京都千代田区丸の内二丁目2番3号 三 菱電機株式会社内 (72)発明者 齊藤 光伯 東京都千代田区丸の内二丁目2番3号 三 菱電機株式会社内 (72)発明者 森安 雅治 東京都千代田区丸の内二丁目2番3号 三 菱電機株式会社内 (72)発明者 高田 雅樹 東京都千代田区丸の内二丁目2番3号 三 菱電機株式会社内 (72)発明者 八木 直樹 東京都千代田区丸の内二丁目2番3号 三 菱電機株式会社内 (72)発明者 鉾館 俊之 東京都千代田区丸の内二丁目2番3号 三 菱電機株式会社内 (72)発明者 祝 靖彦 東京都千代田区丸の内二丁目2番3号 三 菱電機株式会社内 (72)発明者 井上 正夫 東京都千代田区丸の内二丁目2番3号 三 菱電機株式会社内 Fターム(参考) 5H580 BB09 CA12 FA02 FA03 FA04 FA14 FB03 GG04 HH08 HH22 HH37

Claims (15)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ロータに磁性体の受動部を設けると共に
    ステータに励磁用の巻線を巻回し前記受動部とギャップ
    を介して対向する複数個のティースを設け、前記ステー
    タの巻線による発生磁界で前記ギャップに磁束を生じさ
    せて前記ティースと前記受動部間に磁気吸引力を生じさ
    せることでトルクを発生し、所定の有限回転角度の範囲
    内で前記ロータを回転させるように構成し、前記ロータ
    の回転角度に対応して前記ギャップが変化する有限回転
    電動機であって、 前記ロータの回転角度を検出する回転角度検出手段と、 ロータの回転角度指令値と前記回転角度検出手段により
    検出された回転角度をもとに前記回転角度指令値に対応
    したトルク指令値を求め、回転角度に対応して変化して
    非線形となる前記トルクと巻線の電流値との関係を補正
    するために予め求めて記憶しておいた非線形補正係数を
    用いて、前記トルク指令値と前記回転角度検出手段より
    検出された回転角度とから前記トルク指令値に対して線
    形化した前記巻線の電流指令値を演算出力する非線形性
    補償制御装置とを備えたことを特徴とする有限回転電動
    機。
  2. 【請求項2】 非線形性補償制御装置は、 ロータの回転角度指令値に基づいて軌道を生成する軌道
    演算手段と、 この軌道とロータの回転角度との誤差を求める角度誤差
    演算手段と、 前記角度誤差演算手段で求められた角度誤差を増幅する
    角度制御ゲイン演算手段と、 前記角度制御ゲイン演算手段の出力とロータの回転角速
    度との誤差を求める角速度誤差演算手段と、 前記角速度誤差演算手段で求められた角速度誤差を増幅
    して前記回転角度指令値に対応したトルク指令値を出力
    する角速度制御ゲイン演算手段とを備えたことを特徴と
    する請求項1記載の有限回転電動機。
  3. 【請求項3】 補正係数は2次元多項式である請求項1
    または2記載の有限回転電動機。
  4. 【請求項4】 ギャップの変化に応じて変化する巻線の
    インダクタンスを、予め求めて記憶しておいたロータの
    回転角度とインダクタンスとの関係を用いて補償するよ
    うに構成したことを特徴とする請求項1または2記載の
    有限回転電動機。
  5. 【請求項5】 非線形性補償制御装置より出力された電
    流指令値に基づいて巻線に流す電流をフィードバック制
    御する手段を備え、 回転角度検出手段により検出されたロータの回転角度に
    応じて前記電流フィードバック制御のゲインを補償する
    ようにしたことを特徴とする請求項4記載の有限回転電
    動機。
  6. 【請求項6】 回転角度検出手段により検出されたロー
    タの回転角度に応じて、角度制御ゲイン演算手段の角度
    制御ゲインおよび角速度制御ゲイン演算手段の角速度制
    御ゲインを補償することを特徴とする請求項4記載の有
    限回転電動機。
  7. 【請求項7】 ロータはシャフトと潤滑剤を用いた軸受
    とを介してコアバックに対して回転可能に支持されてお
    り、前記軸受近傍の温度を検出する温度検出手段を備え
    たことを特徴とする請求項1または2記載の有限回転電
    動機。
  8. 【請求項8】 温度検出手段によって検出された軸受近
    傍の温度に応じて、角度制御ゲイン演算手段の角度制御
    ゲインおよび角速度制御ゲイン演算手段の角速度制御ゲ
    インを補償するようにしたことを特徴とする請求項7記
    載の有限回転電動機。
  9. 【請求項9】 軸受近傍の温度を調節する温度調節手段
    を備え、温度検出手段によって軸受近傍の温度を検出
    し、前記軸受が所定の温度になるように前記温度調節手
    段を制御するようにしたことを特徴とする請求項7記載
    の有限回転電動機。
  10. 【請求項10】 ステータティースの磁束を検出する手
    段を備え、検出された磁束に応じて電流指令値をフィー
    ドバック制御する手段を備えたことを特徴とする請求項
    1または2記載の有限回転電動機。
  11. 【請求項11】 ロータの回転軸に直交する方向への撓
    みを検出する撓み検出手段を備え、検出されたロータの
    撓みを元へ戻すように構成したことを特徴とする請求項
    1または2記載の有限回転電動機。
  12. 【請求項12】 複数個のティースに巻回された各巻線
    に流す電流を独立に制御することによりロータの撓みを
    元へ戻すように構成したことを特徴とする請求項11記
    載の有限回転電動機。
  13. 【請求項13】 励磁用の巻線を巻回し受動部とギャッ
    プを介して対向する4個のティースを、ロータの回転軸
    に沿って2組設け、8本の上記巻線に流す電流を独立に
    制御することによりロータの撓みを元へ戻すように構成
    したことを特徴とする請求項11記載の有限回転電動
    機。
  14. 【請求項14】 ロータに撓み力を発生するアクチュエ
    ータを設けることによりロータの撓みを元へ戻すように
    構成したことを特徴とする請求項11記載の有限回転電
    動機。
  15. 【請求項15】 ロータはシャフトと軸受とを介してコ
    アバックに対して回転可能に支持されており、前記軸受
    はシャフトと非接触でこれを回転可能に支持するもので
    あることを特徴とする請求項1または2記載の有限回転
    電動機。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2016003926A (ja) * 2014-06-16 2016-01-12 川崎重工業株式会社 2相信号位相検出装置及び2相信号位相検出方法
KR101736006B1 (ko) * 2016-04-01 2017-05-15 엘에스산전 주식회사 전류 지령 보정 장치

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