JP2001350146A - 液晶表示素子、及びその製造方法 - Google Patents

液晶表示素子、及びその製造方法

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JP2001350146A
JP2001350146A JP2000171886A JP2000171886A JP2001350146A JP 2001350146 A JP2001350146 A JP 2001350146A JP 2000171886 A JP2000171886 A JP 2000171886A JP 2000171886 A JP2000171886 A JP 2000171886A JP 2001350146 A JP2001350146 A JP 2001350146A
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Yukio Nomura
幸生 野村
Tadashi Otake
忠 大竹
Naoko Takebe
尚子 武部
Tsuyoshi Kamimura
強 上村
Kazufumi Ogawa
小川  一文
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Matsushita Electric Industrial Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 横電界によるディスクリネーションの発生を
防止して、このディスクリネーションに起因するコント
ラストの低下等を抑制した液晶表示素子、及びその製造
方法を提供する。 【解決手段】初期配向状態が捻れ配向構造の液晶層を、
一対の基板間に備えたツイステッドネマティック配向モ
ードの液晶表示素子に於いて、前記液晶層に於ける画素
領域は、その周縁部に液晶分子を高プレチルト角で初期
配向させる高プレチルト角領域6aを有し、かつ、内部
領域に液晶分子を低プレチルト角で初期配向させる低プ
レチルト角領域6bを有する構成とする。これにより、
横電界によるディスクリネーションの発生を防止して、
このディスクリネーションに起因するコントラストの低
下等を抑制できる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、TVやコンピュー
タ画像を表示するフラットパネルディスプレイに用いら
れる液晶表示素子及びその製造方法に関し、特に捻れ配
向構造を備えたTN(Twisted Nematic)モードの液晶
表示素子及びその製造方法に関する。
【0002】また本発明は、上記フラットパネルディス
プレイに用いられ、基板面に対して平行な方向に、いわ
ゆる横電界を印加して液晶分子を基板面内方向にスイッ
チングして表示を行うIPS(In-Plane Switching)型
の液晶表示素子及びその製造方法に関する。
【0003】さらに、本発明は,高速応答で広視野の表
示性能を持つ液晶表示素子に関し、詳しくは、光学補償
ベンド(OCB:Optically Compensated Birefringenc
e)モードの液晶表示素子に関するものである。
【0004】
【従来の技術】従来の液晶表示素子としては、例えば誘
電率異方性が正のネマティック液晶を用いたツイステッ
ドネマティック(TN)モードの液晶表示素子(LC
D)が実用化されている。このTNモードのLCDは、
基板面に対して垂直方向に電界を印加することにより、
液晶分子を、その長軸が電界方向に平行となる様に配向
変化させて駆動させるものである。
【0005】又、TNモードの液晶表示素子は、近年特
に高精細化の進展により、画素の細小化が進んでいる。
しかし、この画素の細小化に伴い、電圧印加時に画素電
極の端付近でバスライン(電極線)との間に発生する横
電界の影響が問題となってきた。一方、従来のLCDに
於いては、着色現象の防止の観点から、一般に配向膜に
より液晶分子を低プレチルト角で配向させるのが一般的
であった。よって、隣接する画素から横電界の影響を受
けやすくなり、このことがリバースチルト等の配向異常
を誘起していた。この配向異常は、とりわけ画素領域の
周縁部に於いて顕著に見られ、かかる配向異常が、周縁
部と周縁部以外の画素領域との境界でディスクリネーシ
ョンを発生させることとなった。その結果、従来のTN
モードのLCDに於いては、コントラストが低下する
等、表示特性の劣化を引き起こすという問題点があっ
た。
【0006】又、近年、広視野角を得ることを目的とし
て、基板面に対して平行な方向に、いわゆる横電界を印
加し、液晶分子を基板面内方向にスイッチングして表示
を行うIPSモードの液晶表示素子(LCD)が実用化
されている。
【0007】このIPSモードのLCDは、画素電極及
び対向電極上に於いては横電界が発生せずに基板面に対
して垂直方向の電界が発生する為、当該電極上の液晶の
配列状態を変化させることができなかった。この為、電
界を印加すると、液晶層内に於いて、新たな配列状態に
転移しようとする領域と、初期配向状態のままの領域と
が混在することとなり、少なくとも両領域の境界部分で
は液晶の配列状態に連続性が保持できず、このことが応
答性低下の要因となっていた。その為、IPSモードの
LCDは応答速度が従来の縦電界モードのLCDより遅
くなるという問題を有していた。
【0008】さらに従来より、液晶表示素子としては、
誘電率異方性が正のネマティック液晶を用いたツイステ
ッドネマティック(TN)モ−ドや、視角が極めて広
く、面内で液晶分子を横電界駆動させる面内スイッチン
グ(IPS)モード等が実用化されている。
【0009】一方、これらに対して、基板間の液晶分子
がベンド配向した状態における各液晶分子の立ち上がり
角の変化による屈折率変化を利用するベンド配向型の液
晶表示素子(OCBモードの液晶表示素子)が提案され
ている。ベンド配向した各液晶分子のオン状態とオフ状
態での配列変化速度は、TN型液晶表示素子のオン、オ
フ状態との間の配列変化速度に比べて極めて高速であ
り、応答性に優れた液晶表示素子とすることができる。
更に、上記ベンド配向型の液晶表示素子は全体に液晶分
子が上下基板間でベンド配向している為、光学位相差的
に自己補償でき、かつフィルム位相差板で位相差補償を
する為、低電圧で広視野の液晶表示素子となる可能性を
持つ。
【0010】ところで、上記液晶表示素子は通常、無電
圧下で液晶層の液晶がスプレイ配向となる様に作製す
る。従って、ベンド配向を利用して屈折率を変化させる
為には、液晶表示素子の使用開始前に、表示部全体を上
記スプレイ配向状態からベンド配向状態に均一に転移さ
せておく必要がある。ここで、ベンド状態への転移は、
転移核を中心として進展する。そして、転移核の発生場
所は一様でなく、例えば配向膜界面の配向ムラ、キズ部
等に発現する。又、転移核の発生場所は常に一定ではな
い為、表示欠陥が生じ易い。従って、使用開始前に、表
示部全体を均一にスプレイ配向からベンド配向に転移さ
せておくことは極めて重要である。
【0011】又、スプレイ配向状態からベンド配向状態
に転移させるには高い駆動電圧を要するが、一般には駆
動電圧にも制約が有る為、かかる配向状態の転移を容易
に行うことは困難である。
【0012】以上のことから、ベンド配向転移がほぼ確
実に発生し、かつ極めて短時間に転移を完了させるべ
く、画素の中心部分に転移核となる高プレチルト角領域
を形成する方法が考えられている。
【0013】しかしながら、従来のOCBモードの液晶
表示素子に於いては、配向膜の配向処理はラビング処理
により行われていた。このラビング処理では、フォトリ
ソグラフィ法によるフォトレジスト(保護膜)の形成を
要する。そして、当該処理に於いてはフォトレジストの
現像及び剥離を行う為、配向膜表面を劣化させるという
問題点がある。更に、ラビングの際に発生するダストに
より、配向膜が汚染されるという問題点もある。
【0014】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記従来の
課題を考慮してなされたものであって、横電界によるデ
ィスクリネーションの発生を防止して、このディスクリ
ネーションに起因するコントラストの低下等を抑制した
TNモードの液晶表示素子、及びその製造方法を提供す
ることを第1の目的とする。
【0015】又、本発明は上記従来の課題を考慮してな
されたものであって、電極上でも液晶を十分に駆動可能
とすることにより、応答速度の良好なIPSモードの液
晶表示素子、及びその製造方法を提供することを第2の
目的とする。
【0016】さらに本発明は、上記従来の問題点に鑑み
なされたものであり、転移核をほぼ確実に発生させるこ
とによりスプレイ−ベンド転移電圧を低減させると共
に、表示欠陥が無く表示品位に優れた液晶表示素子及び
その製造方法を提供することを第3の目的とする。
【0017】
【課題を解決するための手段】(1)本発明の第1の態
様に係る液晶表示素子は、上記の課題を解決する為に、
初期配向状態が捻れ配向構造の液晶層を、一対の基板間
に備えたツイステッドネマティック配向モードの液晶表
示素子であって、前記液晶層に於ける画素領域の周縁部
には、当該画素領域の内部領域よりも液晶分子を高プレ
チルト角で配向させた横電界抑制領域が設けられている
ことを特徴とする。
【0018】従来のTNモードの液晶表示素子では、画
素領域の周縁部に於いて横電界の影響を受けることから
リバースチルト等の配向異常が生じ、周縁部と周縁部以
外の画素領域との境界でディスクリネーション発生の原
因となっていた。この横電界に起因するディスクリネー
ション(以下、横電界ディスクリネーションと称す
る。)の発生はコントラストの低下を招来することか
ら、表示特性劣化の原因となっていた。
【0019】ここで、上記した横電界ディスクリネーシ
ョンの発生を抑制するには、液晶分子を高プレチルト角
にて配向させる方法が考えられる。しかしながら、TN
モードの場合、液晶分子を高プレチルト角で配向させる
と、表示画面に着色が視認され、新たな表示特性の劣化
を招くこととなる。
【0020】そこで本発明に於いては、上記構成の様
に、各画素領域を横電界の影響を受ける周縁部と、そう
でない内部領域とに区画し、周縁部に内部領域よりも液
晶分子を高プレチルト角で配向させた横電界抑制領域を
設けている。これにより、画素領域の周縁部では横電界
の影響を受けてもリバースチルトの発生を抑制すること
ができる。その結果、周縁部と、周縁部以外の画素領域
との境界でディスクリネーションが発生するのを防止で
きる。その一方、内部領域では液晶分子を低プレチルト
角で配向させているので、表示画面に於いて着色が視認
されることもない。この結果、コントラスト等の表示特
性に優れ、着色現象も視認されない液晶表示素子を提供
することができる。
【0021】ここで、上記構成に於いては、前記一対の
基板の内側には、液晶分子を所定の方向に配向させる配
向膜が設けられており、前記配向膜は、前記横電界抑制
領域に、液晶分子を高プレチルト角で初期配向させる高
プレチルト角領域を有する一方、前記横電界抑制領域以
外の画素領域に、液晶分子を低プレチルト角で初期配向
させる低プレチルト角領域を有する構成とすることがで
きる。
【0022】更に、前記配向膜が感光性基を有する薄膜
構成分子を少なくとも含み構成され、当該感光性基同士
が所望の方向に重合固定されたものとすることができ
る。
【0023】又、前記配向膜は、感光性基を備えたシラ
ン系化合物分子を少なくとも含む分子の集合群が前記一
対の基板上に結合・固定してなる薄膜とすることもでき
る。
【0024】更に、前記分子の集合群が所定方向に傾斜
していると共に、前記シラン系化合物分子に於ける感光
性基同士が前記所定方向に重合固定されているものとす
ることができる。
【0025】その上、前記配向膜は単分子膜とすること
もできる。
【0026】上記の課題を解決する為に、本発明の液晶
表示素子の製造方法は、初期配向状態が捻れ配向構造の
液晶層を、一対の基板間に備えたツイステッドネマティ
ック配向モードの液晶表示素子の製造方法に於いて、前
記一対の基板上に、それぞれ配向膜を形成する配向膜形
成工程と、前記配向膜のそれぞれに配向処理を行う配向
処理工程であって、前記液晶層に於ける画素領域の周縁
部に対応する領域と、周縁部以外の内部領域に対応する
領域とで配向処理条件を異ならせることにより、前記周
縁部に対応する領域に、液晶分子を高プレチルト角で配
向させる高プレチルト角領域を形成する一方、前記内部
領域に対応する領域に、液晶分子を低プレチルト角で配
向させる低プレチルト角領域を形成する配向処理工程
と、前記一対の基板を貼り合わせる貼り合わせ工程と、
前記一対の基板間に液晶を注入することにより前記液晶
層を形成する液晶注入工程と、を備えることにより、前
記液晶層に於ける画素領域の周縁部に、前記内部領域よ
りも液晶分子を高プレチルト角で配向させる横電界抑制
領域を形成することを特徴とする。
【0027】上記の方法によれば、基板上に形成した配
向膜に配向処理を施し、画素領域の周縁部に対応する領
域に、液晶分子を高プレチルト角で配向させる高プレチ
ルト角領域を形成することにより、前記画素電極の周縁
部に横電界抑制領域を設けるので、横電界の影響を受け
てもリバースチルトの発生が抑制可能な液晶表示素子を
作製することができる。その結果、周縁部と、内部領域
との境界でディスクリネーションの発生を防止し、コン
トラスト等の表示特性に優れた液晶表示素子を製造する
ことができる。
【0028】前記配向処理工程は、前記配向膜の形成さ
れた基板面に偏光を照射して配向処理する偏光配向工程
であり、前記画素領域の周縁部に照射する第1の偏光の
照射強度を、前記周縁部以外の画素領域に照射する第2
の偏光の照射強度よりも大きくして偏光照射を行うこと
ができる。
【0029】又、前記配向処理工程は、前記配向膜の形
成された基板面に偏光を照射して配向処理する偏光配向
工程であり、前記形成領域に照射する第1の偏光の偏光
面と、前記非形成領域に照射する第2の偏光の偏光面と
を平行にさせると共に、前記第1の偏光の前記基板面に
対する入射角を、前記第2の偏光の入射角よりも小さく
して偏光照射を行うことができる。
【0030】更に、前記配向膜形成工程は、乾燥雰囲気
中で、感光性基を有するシラン系化合物を前記基板表面
に接触させて、前記シラン系化合物を化学吸着させるこ
とにより配向膜を形成する工程とすることもできる。
【0031】更に、前記配向膜形成工程の直後に、前記
配向膜の形成された基板面を洗浄液を用いて洗浄し、未
吸着のシラン系化合物を除去する洗浄工程と、洗浄後の
前記基板を一定の方向に立てて基板面上に残った洗浄液
を液切り乾燥することにより、基板面に吸着したシラン
系化合物分子を仮配向させる工程とを備え、前記液切り
方向は、前記偏光配向工程に於ける偏光の偏向面と平行
とすることができる。
【0032】(2)本発明の第2の態様に係る液晶表示
素子は、上記の課題を解決する為に、一対の基板間に液
晶層が設けられ、かつ前記一対の基板のうち、一方の基
板上に一対の電極が設けられたインプレーンスイッチン
グ型の液晶表示素子に於いて、前記液晶層は、前記電極
上に設けられ、液晶の配列を電極上の電界成分により制
御する第1領域と、前記一対の電極の間に対応する領域
であって、液晶の配列を横電界成分により制御する第2
領域とを有し、前記第1領域に於ける液晶分子のプレチ
ルト角は、前記第2領域に於ける液晶分子のプレチルト
角よりも大きいことを特徴とする。
【0033】更に、記一方の基板の内側には、液晶分子
をほぼ同一方向に配向させる配向膜が設けられており、
前記配向膜は、前記一対の電極上に、液晶分子を高プレ
チルト角で初期配向させる高プレチルト角領域を有する
一方、前記一対の電極間に、液晶分子を低プレチルト角
で初期配向させる低プレチルト角領域を有する構成とす
ることができる。
【0034】更に、前記配向膜は、前記電極に近づく
程、連続的に又は段階的にプレチルト角を大きくして液
晶分子を配向規制する構成とすることができる。
【0035】更に、前記一対の電極は透明電極とするこ
とができる。
【0036】更に、前記配向膜が感光性基を有する薄膜
構成分子を少なくとも含み構成され、当該感光性基同士
が所望の方向に重合固定されている構成とすることがで
きる。
【0037】又、前記配向膜は、感光性基を備えたシラ
ン系化合物分子を少なくとも含む分子の集合群が前記一
対の基板上に結合・固定してなる薄膜とすることもでき
る。
【0038】更に、前記分子の集合群が所定方向に傾斜
していると共に、前記シラン系化合物分子に於ける感光
性基同士が前記所定方向に重合固定されているものとす
ることができる。
【0039】更に、前記配向膜が単分子膜とすることが
できる。
【0040】又、上記の課題を解決する為に、本発明に
係る液晶表示素子の製造方法は、一対の基板間に液晶層
が設けられ、かつ前記一対の基板のうち、一方の基板上
に一対の電極が設けられたインプレーンスイッチング型
の液晶表示素子の製造方法であって、前記一方の基板上
に配向膜を形成する配向膜形成工程と、前記配向膜に配
向処理を行う配向処理工程であって、記一対の電極上の
領域と、一対の電極の間に対応する領域とで配向処理条
件を異ならせることにより、前記一対の電極上の領域
に、液晶分子を高プレチルト角で配向させる高プレチル
ト角領域を形成する一方、前記一対の電極の間に対応す
る領域に、液晶分子を低プレチルト角で配向させる低プ
レチルト角領域を形成する配向処理工程と、前記一対の
基板を貼り合わせる貼り合わせ工程と、前記一対の基板
間に液晶を注入することにより前記液晶層を形成する液
晶注入工程と、を備えることにより、前記液晶層に、前
記電極上に設けられ、液晶の配列を電極上の電界成分に
より制御する第1領域と、前記一対の電極の間に対応す
る領域であって、液晶の配列を横電界成分により制御す
る第2領域とを形成することを特徴とする。
【0041】上記の方法で、前記配向処理工程は、前記
配向膜の形成された基板面に偏光を照射して配向処理す
る偏光配向工程であり、前記一対の電極上の領域に照射
する第1の偏光の照射強度を、前記一対の電極の間に対
応する領域に照射する第2の偏光の照射強度よりも大き
くして偏光照射を行うことができる。
【0042】上記の方法で、前記配向処理工程は、前記
配向膜の形成された基板面に偏光を照射して配向処理す
る偏光配向工程であり、前記一対の電極上の領域に照射
する第1の偏光の偏光面と、前記一対の電極の間に対応
する領域に照射する第2の偏光の偏光面とを平行にさせ
ると共に、前記第1の偏光の前記基板面に対する入射角
を、前記第2の偏光の入射角よりも小さくして偏光照射
を行うことができる。
【0043】前記配向膜形成工程は、乾燥雰囲気中で、
感光性基を有するシラン系化合物を前記基板表面に接触
させて、前記シラン系化合物を化学吸着させることによ
り配向膜を形成する工程とできる。
【0044】前記配向膜形成工程の直後に、前記配向膜
の形成された基板面を洗浄液を用いて洗浄し、未吸着の
シラン系化合物を除去する洗浄工程と、洗浄後の前記基
板を一定の方向に立てて基板面上に残った洗浄液を液切
り乾燥することにより、基板面に吸着したシラン系化合
物分子を仮配向させる工程とを備え、前記液切り方向
は、前記偏光配向工程に於ける偏光の偏向面と平行とす
ることができる。
【0045】本発明に係るIPSモードの液晶表示素子
の作用について、以下に述べる。従来のIPSモードの
液晶表示素子は、画素電極及び対向電極間で横電界を発
生させて液晶の配列状態を変化させる一方で、これらの
電極上では基板面に対して縦電界成分が発生することか
ら、電極上の液晶分子を駆動させることができなかっ
た。この為、液晶層内に於いて、新たな配列状態に転移
しようとする領域と、初期配向状態のままの領域とが混
在することとなり、少なくとも両領域の境界部分では液
晶の配列状態(電界印加時)に連続性が保持できず、こ
のことが応答性低下の要因となっていた。
【0046】しかしながら、本発明の様に、液晶層に於
いて一対の電極上に、電極上の電界成分により液晶の配
列を変化させる第1領域を設けると、電界を印加した際
にも、電極の形成領域と非形成領域の境界部分で配列状
態の連続性を維持しつつ、スムーズに液晶の配列状態の
転移が図れる。この結果、応答性の向上が図れる。
【0047】更に、前記第1領域は、その領域に於ける
液晶分子を、第2領域に於ける液晶分子のプレチルト角
よりも大きいプレチルト角で初期配向させることにより
実現できる。これは、液晶分子を高プレチルト角にて初
期配向させると、縦電界方向に対して液晶分子の長軸方
向等を容易に揃え易くできるからである。
【0048】更に、一対の電極上に高プレチルト角領域
を備え、かつ一対の電極の間に低プレチルト角領域を備
えた配向膜を、一方の基板上に設けることにより、第1
領域に於ける液晶分子を高プレチルト角にて初期配向さ
せ、かつ、第2領域に於ける液晶分子を低プレチルト角
にて初期配向させることができる。
【0049】又、第1領域の形成により、液晶の動作領
域が拡大していることから、一対の電極として透明電極
を用いると、電極の形成領域も画像の表示に供すること
ができ、光の利用効率の向上が図れる。この結果、一層
明るい表示が可能となる。
【0050】又、本発明の液晶表示素子の製造方法によ
れば、一対の電極を有する基板上に設けられた配向膜に
対して、一対の電極上の領域と、一対の電極の間に対応
する領域とで配向処理条件を異ならせて配向処理を行う
ことにより、前記電極上の領域を、液晶分子を高プレチ
ルト角で配向させる領域にする一方、前記一対の電極の
間に対応する領域を、液晶分子を低プレチルト角で配向
させる領域にすることができる。これにより、形成領域
に於ける液晶分子が、電極上の電界成分により配向状態
を変化させることが可能となる。よって、電界を印加し
た際にも、第1領域と第2領域の境界部分で配列状態の
連続性を維持しつつ、スムーズに液晶の配列状態の転移
が図れ、応答性に優れた液晶表示素子を製造することが
できる。
【0051】更に、配向処理工程として、前記配向膜の
形成された基板面に偏光を照射して配向処理する偏光配
向工程を行うことにより、従来ラビング処理の際に行わ
れていたフォトリソグラフィ法によるフォトレジスト
(保護膜)の形成が不要となる。この結果、製造工程の
簡略化が図れると共に、フォトレジストの現像及び剥離
に起因して生じる配向膜表面の劣化を防止できる。更
に、光配向法はダストの発生もないので、配向膜の汚染
も防止できる。
【0052】(3)本発明の第3の態様に係る液晶表示
素子は、上記の課題を解決するため、それぞれ配向膜を
備えた一対の電極付きの基板間に、スプレイ配向されて
いる液晶層が設けられた液晶表示素子に於いて、前記一
対の配向膜のうち少なくとも一方の配向膜が、感光性基
を有する薄膜構成分子からなり、かつ液晶分子を他の領
域よりも高プレチルト角で配向させる高プレチルト角領
域を有しており、前記液晶層は、前記電極に電圧を印加
することにより、スプレイ配向からベンド配向への転移
を促進させる転移核発生領域であって、前記高プレチル
ト角領域により形成された転移核発生領域を有すること
を特徴とする。
【0053】前記転移核発生領域は、前記液晶層に於け
る各画素領域毎に少なくとも1つ設けられているのが好
ましい。
【0054】又、上記構成は、前記一方の配向膜は、感
光性基を有するシラン系化合物分子の集合群が前記基板
上に結合・固定してなる薄膜とすることができる。
【0055】更に前記シラン系化合物分子は、直鎖状炭
化水素鎖を有する化合物とすることもできる。直鎖状炭
化水素鎖を有していると、シラン系化合物分子を基板上
に整然と配列でき、高密度に化学吸着した薄膜とするこ
とができる。この結果、配向性に優れた配向膜を有する
液晶表示素子が得られる。
【0056】又、上記構成は、前記薄膜構成分子に於け
る感光性基部が所望の方向に重合固定されている構造と
することもできる。
【0057】又、前記配向膜は単分子膜とすることもで
きる。
【0058】又、前記感光性基はシンナモイル基又はカ
ルコニル基とすることができる。
【0059】上記の課題を解決する為に、本発明に係る
液晶表示素子の製造方法は、それぞれ配向膜を備えた一
対の電極付きの基板間に、スプレイ配向されている液晶
層が設けられた液晶表示素子の製造方法に於いて、前記
一対の基板のうち少なくとも一方の基板上に、感光性基
を有する薄膜構成分子からなる配向膜を形成する配向膜
形成工程と、前記配向膜に光配向法により配向処理を行
う配向処理工程であって、照射条件を異ならせることに
より、液晶分子を他の領域よりも高プレチルト角で配向
させる高プレチルト角領域を形成する配向処理工程と、
前記一対の基板を貼り合わせる貼り合わせ工程と、前記
一対の基板間に液晶を注入することにより前記液晶層を
形成する液晶注入工程とを備えることにより、前記液晶
層に、前記電極に電圧を印加することによりスプレイ配
向からベンド配向への転移を促進させる転移核発生領域
であって、前記高プレチルト角領域により形成された転
移核発生領域を形成することを特徴とする。
【0060】前記配向処理工程は、前記他の領域に照射
する偏光よりも照射強度の強い偏光を所定の領域に照射
することにより、当該所定の領域に前記高プレチルト角
領域を形成するものとすることができる。
【0061】前記配向処理工程は、前記他の領域に照射
する偏光よりも入射角の小さい偏光を所定の領域に照射
することにより、当該所定の領域に前記高プレチルト角
領域を形成することができる。
【0062】前記配向膜形成工程は、乾燥雰囲気中で、
感光性基を有するシラン系化合物を前記基板表面に接触
させて、該シラン系化合物を化学吸着させることにより
配向膜を形成する工程とすることができる。
【0063】前記配向膜形成工程の直後に、前記配向膜
の形成された基板面を洗浄液を用いて洗浄し、未吸着の
シラン系化合物を除去する洗浄工程と、洗浄後の前記基
板を一定の方向に立てて基板面上に残った洗浄液を液切
り乾燥することにより、基板面に吸着したシラン系化合
物分子を仮配向させる工程とを備え、前記液切り方向
は、前記偏光配向工程に於ける偏光の偏向面と平行とす
ることができる。
【0064】以下に、本発明の作用について述べる。本
発明に係る液晶表示素子は、配向膜に液晶分子を他の領
域よりも高プレチルト角に配向させた高プレチルト角領
域を形成することにより、液晶層に転移核発生領域を設
けたものである。即ち、他の領域よりも高プレチルト角
で液晶分子を配向させると、その領域では液晶の配向状
態が歪んだ構造にできる。これにより、電圧印加時には
他の領域よりも液晶分子の立ち上がり(転移)を早くす
ることができ、転移核を発生させることとなる。この転
移核の発生は、更にスプレイ配向からベンド配向への転
移を促進させ、この結果スプレイ−ベンド転移電圧の低
減を図ることができる。
【0065】又、前記配向膜は、感光性基を備えた薄膜
構成分子の集合群が基板上に結合してなる薄膜であり、
その薄膜構成分子に於ける感光性基部が所望の方向に重
合固定された構成とすることができる。これにより、液
晶分子を感光性基部が重合・固定された方向に配向規制
させることができ、配向均一性に優れた液晶表示素子が
得られる。
【0066】又、本発明に係る液晶表示素子の製造方法
は、光配向法を用いて配向膜の配向処理を行う(偏光配
向工程)ので、ラビング処理で行われていたフォトレジ
ストの現像及び剥離を行う必要がない。よって、配向膜
表面の劣化を防止できると共に、製造工程数も大幅に減
らせる。しかも、従来のラビング処理では問題となって
いたダストの発生も光配向法に於いては本来的に発生し
ないので、配向膜の汚染も防止できる。
【0067】更に、他の領域に照射する偏光よりも照射
強度の大きい偏光を所定の領域に照射することにより、
当該所定の領域に高プレチルト角領域を再現性良く形成
できる。又、他の領域に照射する偏光よりも入射角の大
きい偏光を所定の領域に照射しても、当該所定の領域に
前記高プレチルト角領域を形成できる。よって、これら
何れかの手段、又はこれらを組み合わせた手段を採用す
ることにより、液晶層に容易に転移核発生領域を形成で
きる。これにより、電極に電圧を印加した際には、確実
に転移核を発生させることができ、スプレイ配向からベ
ンド配向への転移を促進させるので、スプレイ−ベンド
転移電圧を低減させた液晶表示素子を製造できる。
【0068】
【発明の実施の形態】(実施の形態1)本実施の形態1
は第1の態様に対応する。以下に、図1〜図3に基づい
て本実施の形態を説明する。但し、説明に不要な部分は
省略し、また説明を容易にする為に拡大或いは縮小等し
て図示した部分がある。
【0069】本発明は、ツイステッドネマティック配向
モードの液晶表示素子に於いて、液晶層に於ける画素領
域の周縁部に横電界抑制領域を設けることにより、横電
界ディスクリネーションの発生を抑制し、これによって
コントラスト等の表示特性の向上を図るものである。そ
して、横電界抑制領域を実現する具体的手段として、本
発明では、画素領域の周縁部に於ける液晶分子のプレチ
ルト角を、周縁部以外の領域(以下、内部領域と称す
る。)に於ける液晶分子のプレチルト角よりも大きくす
る構成をとる。以下に、図1を用いて本発明のTNモー
ドの液晶表示素子について説明する。図1は、前記TN
モードの液晶表示素子を概略的に示す斜視図である。図
2は、1画素に於ける液晶分子の配向状態を模式的に示
す斜視図である。
【0070】液晶表示素子10は、基板1と、これに対
向する対向基板2と、基板1及び対向基板2間に設けら
れた液晶層3とを有する。基板1及び対向基板2として
は、例えばガラス基板等が例示される。
【0071】上記基板1の内側面には、マトリックス状
に画素電極4が配置されると共に、バスライン(配線)
及びTFT等(何れも図示しない)も形成されている。
更に、画素電極4等の内側面には、矢印Xで示す方向に
液晶分子を配向させる配向膜6が形成されている。一
方、対向基板2の内側面には対向電極5が設けられてい
る。更に、対向電極5の内側面には、矢印Yで示す方向
に液晶分子を配向させる配向膜7が形成されている。前
記画素電極4及び対向電極5としては、例えばITO
(インジウム錫酸化物)等から成る電極を使用できる。
【0072】前記配向膜6は、各画素領域毎に、液晶分
子を高プレチルト角に配向させる高プレチルト角領域6
aと、低プレチルト角に配向させる低プレチルト角領域
6bとを有している(図2参照)。前記高プレチルト角
領域6aは、画素領域の周縁部に対応して矩形枠状に設
けられている。又、低プレチルト角領域6bは、周縁部
以外の領域である内部領域に対応して設けられている。
前記高プレチルト角領域6aは、例えば画素領域が20
0μm×200μmの場合、幅が5μm〜20μmの範
囲内の枠状領域であればよい。高プレチルト角領域6a
の幅が5μmより小さい場合、ディスクリネーションの
発生を十分に抑制できないので好ましくない。その一
方、20μmより大きい場合には、表示画面に着色が視
認されるので好ましくない。尚、高プレチルト角領域6
aは、例えば前記した矩形枠状領域とする他に円形枠状
領域とすることもできる。又、本実施の形態に於いて
は、画素領域は、便宜上画素電極4の形成領域と一致し
たものとして説明しているが、その周囲に設けられてい
るバスラインの形成位置にまで拡大させた領域を画素領
域と称しても差し支えない。
【0073】又、前記配向膜6は、基板面に化学吸着し
てなる吸着分子(薄膜構成分子)の集合群からなり、吸
着分子に於ける感光性基部同士が所定の方向に重合・固
定した構造の単分子膜状の化学吸着膜である。更に、薄
膜構成分子は、図2に示す矢印Aで示す方向に傾斜して
配向しており、かつ感光性基部も同一方向に重合した構
造の薄膜である。よって、配向膜6は、マルチドメイン
型で使用される配向膜と異なり、高プレチルト角領域6
a及び低プレチルト角領域6b共に、液晶分子に対する
配向規制方向が同一方向である。但し、高プレチルト角
領域6aに於ける薄膜構成分子の傾斜角(薄膜構成分子
の長軸方向と基板面とのなす角)は、低プレチルト角領
域6bに於ける薄膜構成分子の傾斜角よりも小さい状態
で吸着している。
【0074】前記配向膜6は、吸着分子の集合群が基板
面に化学吸着してなる単分子膜状の化学吸着膜である。
吸着分子の集合群には、感光性基を有する吸着分子が少
なくとも含まれており、感光性基部同士が所定の方向に
重合・固定している。更に、吸着分子が基板上で整然と
配列している為、配向均一性に優れた配向膜とすること
ができる。又、単分子膜状であることから、膜厚が分子
長さと一致する為、極めて均一に膜厚を制御できる。こ
れにより、膜厚ムラに起因する駆動電圧ムラ、焼付き等
の表示特性が劣化するのを低減させることができる。更
に、後述の光配向法による配向処理を行う場合には、偏
光紫外線の照射量を少なくすることもできる。これは、
最表面に感光性基が露出することで所望の方向への異方
的な光反応が起こし易くできるからである。尚、配向膜
6は、単分子膜状の化学吸着膜に限らず、例えばポリビ
ニル、ポリイミド等からなり、感光性基を備えたポリマ
ー配向膜等を用いることもできる。
【0075】前記感光性基としては、シンナモイル基又
はカルコニル基が好適である。これらの感光性基を備え
ていると、光配向処理を行う際の偏光紫外線の照射強度
を低減でき、タクトタイムの短縮が可能となるからであ
る。特に、カルコニル基は、紫外線に対する感応性が高
いので、タクトタイムの短縮が一層図れる。更に、前記
吸着分子はその分子構造中に直鎖状炭化水素鎖を有する
ものであってもよい。直鎖状炭化水素鎖を備えている
と、シラン系化合物分子が基板上で整然と配列して高密
度に化学吸着でき、配向性に優れた配向膜とできる。
尚、前記に於いては、配向膜6に関して述べたが、基本
的には対向基板2側に設けられた配向膜7についても同
様である。
【0076】前記液晶層3は、誘電率異方性が正の液晶
を含んで構成されており、前記配向膜6・7により配向
方向が規制される結果、液晶分子長軸が基板1及び対向
基板2間で90度連続的に捻れたTN配向構造となって
いる。また液晶層3は、各画素領域の周縁部に、液晶分
子が高プレチルト角で配向した枠状の横電界抑制領域が
設けられると共に、その横電界抑制領域以外の内部領域
に於ける液晶分子を低プレチルト角で配向させた構造と
なっている。これは、配向膜6に於ける高プレチルト角
領域6aが近傍の液晶分子8をプレチルト角α度で配向
させる一方、低プレチルト角領域6bが近傍の液晶分子
9をプレチルト角β度で配向させることによる(図2参
照)。この様に、各画素領域毎に横電界抑制領域を形成
することにより、当該領域に横電界が及んでも予め高プ
レチルト角で配向させていることから、配向異常が生じ
ることがない。よって、横電界ディスクリネーションの
発生を抑制することができ、コントラストの良好な液晶
表示素子が得られる。尚、横電界抑制領域を各画素領域
毎に枠状に設けるのは、各画素領域の四方にバスライン
が配線されている結果、全ての方向から横電界の影響を
受けるからである。
【0077】前記αは3°以上、10°以下の範囲内で
あることが好ましい。3°より小さいと、横電界の影響
を受けてディスクリネーションが発生する。その一方、
10°より大きいと、着色現象が視認されるという不都
合を生じる。又、βは1°以上、7°以下の範囲内であ
ることが好ましい。1°より小さいと、リバースチルト
が発生するという不都合を生じる。7°より大きいと、
着色現象が視認されるという不都合を生じる。但し、α
及びβは、α>βで一定である。
【0078】次に、本発明に係る液晶表示素子10の製
造方法について説明する。但し、以下に於いては、配向
膜6・7として、シラン系化合物分子の集合群が化学吸
着してなる単分子膜状の薄膜を例にして述べる。
【0079】先ず、従来公知の種々の方法にて、基板1
上に画素電極4を形成する。次に、少なくとも感光性基
を有するシラン系化合物(化学吸着物質)を非水系有機
溶媒に溶解させて、化学吸着液を調製する。更に、この
化学吸着液を基板1に接触させ、吸着液中の化学吸着物
質分子を当該基板1表面に化学吸着させる。
【0080】例えばシラン系化合物として、感光性基及
びトリクロロシラン基を備えた化合物、具体的にはC6
5−CH=CH−CO−C64−O−(CH26−O
−SiCl3を使用した場合、下記化学反応式(1)に
示す化学吸着反応が生じる。即ち、前記化合物に於ける
クロロシリル基と基板1表面に存在するOH基とが脱塩
化水素反応を起こし、当該化合物が基板1表面に化学吸
着する。
【化1】 ここで、シラン系化合物は水に対して高活性であること
から、化学吸着液中に水分が多く含まれていると失活す
る。よって、化学吸着反応を円滑に進行させるには、O
H基等の活性水素基を含まない非水系有機溶媒を用いる
のが好ましく、更に基板1表面に接触させる際には乾燥
雰囲気中で行うことが好ましい。又、上記シラン系化合
物を含む化学吸着液とは、シラン系化合物が溶媒に溶解
した溶液を意味するが、シラン系化合物の一部が未溶解
状態であってもよい。このような溶液としては、過飽和
状態の化学吸着液が挙げられる。
【0081】尚、配向膜としてポリマー配向膜を用いる
場合には、その形成方法として従来公知の種々の方法を
採用できる。具体的には、例えば感光性基を有するポリ
マーの前駆体等を含んだ配向膜材料を、基板表面に塗布
した後、それを乾燥・焼成することによりポリマー配向
膜を形成することができる。
【0082】次いで、配向膜形成工程の後、基板1上に
存在する未吸着のシラン系化合物を除去する為に洗浄工
程を行い、これにより単分子膜状の配向膜6を形成す
る。本工程に於いて採用する洗浄方法としては、例えば
浸漬法、蒸気洗浄法等が挙げられる。蒸気洗浄法は、基
板1の全表面上に存在する過剰な未吸着のシラン系化合
物を、蒸気の浸透力により強力に取り除くことができる
ので、特に有効である。尚、化学吸着物質として、シラ
ン系化合物の1種であるクロロシラン系化合物を用いた
場合には、洗浄液としてクロロホルム又はN−メチル−
2ピロリジノンを使用するのが好ましい。当該クロロホ
ルムは、クロロシラン系化合物が水と反応することによ
り生成しているクロロシランポリマーの除去性に優れて
いるからである。
【0083】更に、上記洗浄工程の後、基板1を洗浄槽
から引き上げ、一定の方向に立てた状態で液切り乾燥さ
せる。これにより、洗浄液は重力方向にのみ液切りをす
ることができ、薄膜を構成する吸着分子を液切り乾燥方
向に仮配向させることができる。特に沸点が200℃以
下の洗浄液は、液切り後の乾燥性に優れる点で好まし
い。又、本発明で適用できる液切り配向方法としては、
基板表面にガスを吹き付けることにより洗浄液の液切り
を行うこともできる。これにより、洗浄液はガスを吹き
付けた方向にのみ短時間で液切りをすることができる。
特に沸点が150℃以上の洗浄液を用いた場合は、吹き
付けガスによって洗浄液が蒸発することなく液切りでき
るので有効である。
【0084】次に、基板1上に形成された配向膜6に対
して光配向法により配向処理を行う(偏光配向工程)。
この光配向法は、従来のラビング処理と比較して、保護
膜を用いたマスキングを不要とし、製造工程の簡略化、
保護膜による配向膜汚染等の防止が可能となる。更に、
ラビングの際、埃等が発生することもない。
【0085】又、配向膜6はシラン系化合物分子の集合
群が化学吸着してなる薄膜であり、大部分の薄膜構成分
子が表面に整然として露出した構造である。この為、偏
光に対する感度に優れ、少ない偏光照射強度でその膜に
配向異方性を付与することができる。又、配向膜の膜厚
は超薄膜である為、駆動電圧のロスや焼き付きの発生等
を低減し、表示特性の改善が図れる。
【0086】具体的には、以下の方法により光配向を行
う。図3は、光配向法による配向処理を説明する為の斜
視図である。同図に示すように、先ず画素領域の周縁部
のみをマスク(図示しない)して、例えば300nm〜
400nm付近に波長分布を有する偏光紫外線21(第
2の偏光)を内部領域に照射する。偏光紫外線21の照
射方向は、液切り方向23側に於ける基板とのなす角が
θ1となる方向とする。
【0087】次いで、内部領域のみをマスクして、偏光
紫外線22(第1の偏光)を周縁部に照射する。このと
きの偏光紫外線22の照射方向は、液切り方向23側に
於いて基板とのなす角がθ2となる方向とする。
【0088】ここで、偏光紫外線21・22の偏向面
は、前記液切り工程に於ける液切り方向23(即ち、薄
膜構成分子の傾斜方向)と一致させている。又、偏光紫
外線21・22の照射強度は、例えば50〜3000m
J/cm2(波長:365nm)の範囲内であればよ
い。但し、液晶分子のプレチルト角の制御を偏光紫外線
の照射強度により行う場合には、偏光紫外線21の照射
強度は、偏光紫外線22の照射強度よりも小さくなる様
に設定する必要がある。更に、偏光紫外線21・22の
照射方向は、液切り方向側から、基板とのなす角θ1
びθ2が0°〜90°の範囲内、より好ましくは45゜
〜90゜の範囲内となる様に設定する。但し、液晶分子
のプレチルト角の制御を偏光紫外線の照射強度により行
う場合には、偏光紫外線21に於けるθ1は、偏光紫外
線22に於けるθ2よりも大きくなる様に設定する必要
がある。例えば、図5に於いては、θ1=45°、θ2
90°の場合について図示している。
【0089】この偏光配向工程を行うことにより、配向
膜6に於ける薄膜構成分子の感光性基を選択的に光重合
させることができ、基板表面の薄膜構成分子同志が偏光
方向に平行な方向に架橋結合させることができる。しか
も、平行電極対の形成領域では、液晶分子を高プレチル
ト角に配向規制可能な高プレチルト角領域6aを形成で
きる一方、非形成領域では、低プレチルト角に配向規制
可能な低プレチルト角領域6bを形成できる。更に、偏
光紫外線の照射強度を適宜設定することにより、又は偏
光紫外線の照射方向を適宜設定することにより、所定の
プレチルト角で液晶分子を配向規制できる配向膜6が再
現性よく得られる。
【0090】次に、対向基板2についても、従来公知の
種々の方法にて対向電極5を形成した後、更に対向電極
5上に、前記配向膜形成工程及び配向処理工程を繰り返
すことにより配向膜7を形成する。
【0091】続いて、基板1と対向基板2とを、膜形成
面を内側にして所定の間隙を保ちつつ位置合わせし、基
板の周縁を接着固定して空セルを作製する。更に、この
空セル内に液晶を注入して液晶セルを作製し、該液晶セ
ルを一対の偏光板(図示しない)の間に挟むことによ
り、本発明に係るTNモードの液晶表示素子10を作製
することができる。
【0092】以上の様に、本実施の形態に係る液晶表示
素子の製造方法によれば、光配向法による配向処理を行
うことにより、従来ラビング処理の際に行われていたフ
ォトリソグラフィ法によるフォトレジスト(保護膜)の
形成が不要となる。この結果、製造工程の簡略化が図れ
ると共に、フォトレジストの現像及び剥離が必要でなく
なり、配向膜表面の劣化を防止することができる。更
に、従来のラビング処理では問題となっていたダストの
発生も、光配向法に於いては発生しないので、配向膜の
汚染も防止できる。
【0093】又、光配向法においては、偏光紫外線の照
射強度、偏光方向及び照射方向を制御できることから、
液晶分子を所望の方向及びプレチルト角で配向規制可能
な様に配向膜に配向処理を施すことができる。その上、
ラビング処理と比較しても配向処理の再現性が極めて高
く、量産性にも優れている。
【0094】更に、感光性基を有するシラン系化合物分
子の集合群が基板面に吸着してなる配向膜を用いれば、
当該配向膜が超薄膜であることから駆動電圧のロスや焼
き付きの発生等を低減し、表示特性が改善された液晶表
示素子を製造することができる。
【0095】但し、本発明に於いては、感光性基を有し
ない配向膜に対して、ラビング法による配向処理を施す
ことも可能である。この場合には、従来公知の手順に従
って行えば足りる。但し、液切り方向とラビング処理方
向とがほぼ一致するように設定するのが好ましい。膜構
成分子は予めラビング処理方向に配向しているため強く
擦る必要がなく、従来のラビング処理と比較してラビン
グ条件を緩和できるからである。この結果、ダストの発
生を低減することができる。ここで、感光性基を有しな
い配向膜としては、感光性基を有しないポリイミド膜等
が挙げられる。
【0096】尚、本発明に於いて使用可能なシラン系化
合物としては、例えば下記に列挙する化合物が使用でき
る。 (1)SiYpCl3-p (2)CH3−(CH2rSiYqCl3-q (3)CH3(CH2sO(CH2tSiYqCl3-q (4)CH3(CH2u−Si(CH32(CH2v
SiYqCl3-q (5)CF3COO(CH2wSiYqCl3-q 但し、pは0〜3の整数、qは0〜2の整数、rは1〜
25の整数、sは0〜12の整数、tは1〜20の整
数、uは0〜12の整数、vは1〜20の整数、wは1
〜25の整数を示す。又、Yは、水素、アルキル基、ア
ルコキシル基、含フッ素アルキル基または含フッ素アル
コキシ基の何れか1つを表す。
【0097】更に、シラン系化合物としては、トリクロ
ロシラン系化合物を使用できる。このトリクロロシラン
系化合物としては、下記に示す(6)〜(14)の化合
物が使用できる。 (6)CF3(CH29SiCl3 (7)CH3(CH29OSiCl33 (8)CH3(CH29Si(CH22(CH210Si
Cl3 (9)CH3COO(CH215SiCl3 (10)CF3(CF27−(CH22−SiCl3 (11)CF3(CF27−C64−SiCl3 (12)C65−CH=CH−CO−O−(CH26
O−SiCl3 (13)C65−CO−CH=CH−C64O−(CH
26−O−SiCl3 (14)C65−CH=CH−CO−C64O−(CH
26−O−SiCl3
【0098】上記した化合物のうち、(12)に示す化
合物は感光性基としてシンナモイル基を有しており、
(13)及び(14)に示す化合物は感光性基としてカ
ルコニル基を有している。
【0099】更に、上記クロロシラン系化合物の替わり
に、クロロシリル基をイソシアネート基若しくはアルコ
キシ基に置き扱えたイソシアネート系シラン化合物又は
アルコキシ系シラン化合物を使用することもできる。具
体的には、上記(6)に示すクロロシランに於いて、ク
ロロシリル基をイソシアネート基若しくはアルコキシ基
に置換した下記化合物(15)及び(16)等が挙げら
れる。 (15)CH3(CH29Si(OC253 (16)CH3(CH29Si(NCO)3
【0100】上記イソシアネート系シラン化合物又はア
ルコキシ系シラン化合物を用いると、基板1に接触させ
て化学吸着させた場合、塩酸の生成を防止できる。この
為、基板1上に設けられているTFT等の損傷がなく、
又作業性にも優れているというメリットがある。
【0101】又、シラン系化合物を溶解させる有機溶媒
としては、水を含まない炭化水素系溶媒、フッ化炭素系
溶媒、シリコーン系溶媒等が例示でき、石油系の溶媒と
して使用可能なものとしては、例えば石油ナフサ、ソル
ベントナフサ、石油エーテル、石油ベンジン、イソパラ
フィン、ノルマルパラフィン、デカリン、工業ガソリ
ン、灯油、リグロイン、ジメチルシリコーン、フェニル
シリコーン、アルキル変性シリコーン、ポリエステルシ
リコーンなどを挙げることができる。又、フッ化炭素系
溶媒には、フロン系溶媒や、フロリナート(商品名、3
M社製品)、アフルード(商品名、旭ガラス社製品)な
どが使用できる。これらは1種単独で用いてもよく、ま
た相溶する溶媒同士であれば2種以上を混合して用いて
もよい。特にシリコーンは、水分の存在が少なく、吸湿
しにくいと共に、クロロシラン化合物と溶媒和してクロ
ロシラン系化合物が水分と直接接触して反応するのを防
止する。従って、クロロシラン系化合物とシリコーンか
らなる溶液であると、下地層を接触させる際に、雰囲気
中の水分による悪影響を防止しつつ、下地層に露出した
OH基にクロロシラン系化合物を化学吸着させることが
できる。
【0102】尚、上記基板1上には、予め画素電極体4
又は対向電極5の他に、ITO膜若しくはAl膜からな
る配線若しくはTFT、SiO2膜若しくはSiNx膜か
らなる保護膜が設けられている。又、対向基板2上に
は、例えばアクリル系又はシリコーン系のポリマー膜か
らなるカラーフィルターが設けられている。更に、基板
1又は対向基板2の何れか一方と一体化して設けられ
た、アクリル系又はシリコーン系のポリマー材料からな
るスペーサが設けられている。上記各要素のうち、Si
2膜又はSiNx膜表面には、吸着サイトであるOH基
の分布密度が高い為、シラン系化合物分子をより多く吸
着させることができる。これにより、配向特性に優れた
配向膜の成膜が可能となる。これに対して、ITO膜若
しくはAl膜からなる配線及び平行電極対、並びにTF
T等は、OH基の分布密度が小さく、更にカラーフィル
ターやスペーサについては殆ど存在しない。その為、こ
れらの表面にもシラン系化合物分子を吸着させ、良好な
膜質の配向膜を形成する為には、吸着サイトの数を増大
させるべく、親水化処理を行う必要がある。本発明に於
いては、この親水化処理として、従来公知の種々の方法
を採用することができ、具体的には親水化したい領域に
SiO2膜又はSiNx膜を成膜する方法や、オゾン雰囲
気下で紫外線照射を行うUV−O3処理法等が挙げられ
る。
【0103】又、前記洗浄工程に於いて使用する洗浄液
としては、例えば水を含まない炭化水素系溶媒、フッ化
炭素系溶媒、シリコーン系溶媒などが例示でき、石油系
の溶媒として使用可能なものとしては、例えば石油ナフ
サ、ソルベントナフサ、石油エーテル、石油ベンジン、
イソパラフィン、ノルマルパラフィン、デカリン、工業
ガソリン、灯油、リグロイン、ジメチルシリコーン、フ
ェニルシリコーン、アルキル変性シリコーン、ポリエス
テルシリコーンなどが挙げられる。又、上記フッ化炭素
系溶媒としては、フロン系溶媒、フロリナート(商品
名、3M社製)、アフルード(商品名、旭ガラス社製)
などが使用できる。これらは単独で用いてもよく、相互
に相溶可能であれば2種以上を組み合わせて用いてもよ
い。
【0104】(実施の形態2)本実施の形態2は第2の
態様に対応する。以下に、図4〜図8に基づいて本実施
の形態を説明する。但し、説明に不要な部分は省略し、
又、説明を容易にする為に拡大或いは縮小等して図示し
た部分がある。
【0105】本発明に係るインプレーンスイッチング型
の液晶表示素子は、一対の電極上に、電極上の電界成分
により液晶の配列状態を変化させることが可能な第1領
域を形成することにより、応答速度の改善を図るもので
ある。そして、前記第1領域を形成する為に、本発明で
は、電極上の液晶分子のプレチルト角を、電極間の領域
上の液晶分子のプレチルト角よりも大きくする構成をと
る。以下に、図4を用いて本発明のIPSモードの液晶
表示素子について説明する。図4は、前記IPSモード
の液晶表示素子を概略的に示す斜視図である。図5は、
画素電極体及び対向電極体からなる電極対を概略的に示
す平面図である。図6は、液晶分子の配向状態を模式的
に示す斜視図である。
【0106】液晶表示素子110は、基板101と、こ
れに対向する対向基板102と、基板101及び対向基
板102間に設けられた液晶層103とを有する。基板
101及び対向基板102としては、例えばガラス基板
等が例示される。
【0107】前記基板101の内側表面には、一対の電
極としての画素電極体104及び対向電極体105が設
けられている。更に、画素電極体104及び対向電極体
105を有する基板101上には、近傍の液晶分子を同
一方向に配向させる配向膜106が設けられている。そ
の一方、対向基板102の内側面には、近傍の液晶分子
を同一方向に配向させる配向膜107が設けられてい
る。
【0108】前記画素電極体104は、図5に示すよう
に、複数の画素電極部分104a…と連結電極部分10
4bとを有し、各画素電極部分104a…は相互に平行
に配設されている。即ち、画素電極体104は櫛形電極
となっている。又、前記対向電極体105も、画素電極
体104と同様の形状であり、複数の対向電極部分10
5a…と連結電極部分105bとを有し、かつ各対向電
極部分105a…は相互に平行に配置されている。そし
て、これら画素電極体104及び対向電極体105は、
画素電極部分104aと対向電極部分105aとが相互
に咬合した状態に交互配置されている。又、前記画素電
極体104a及び対向電極体105aとしては、例えば
ITO(インジウム錫酸化物)、アルミニウム等から成
る電極が用いられている。以上のような電極構成によ
り、基板面に対して平行な電界(横電界)を、画素電極
部分104aと対向電極部分105aとの間で印加する
ことができる。
【0109】前記配向膜106は、吸着分子の集合群が
基板面に化学吸着してなる単分子膜状の化学吸着膜であ
る。吸着分子の集合群には、感光性基を有する吸着分子
が少なくとも含まれており、感光性基部同士が所定の方
向に重合・固定している。更に、吸着分子が基板上で整
然と配列している為、配向均一性に優れた配向膜とする
ことができる。又、単分子膜状であることから、膜厚が
分子長さと一致する為、極めて均一に膜厚を制御でき
る。これにより、膜厚ムラに起因する駆動電圧ムラ、焼
き付け等の表示特性が劣化するのを低減させることがで
きる。更に、後述の光配向法による配向処理を行う場合
には、偏光紫外線の照射量を少なくすることもできる。
これは、最表面に感光性基が露出することで所望の方向
への異方的な光反応が起こし易くできるからである。
尚、配向膜106は、単分子膜状の化学吸着膜の他に、
例えばポリビニル、ポリイミド等からなり、かつ、感光
性基を備えたポリマー配向膜等を用いることもできる。
【0110】前記感光性基としては、シンナモイル基又
はカルコニル基が好適である。これらの感光性基を備え
ていると、光配向処理を行う際の偏光紫外線の照射強度
を低減でき、タクトタイムの短縮が可能となるからであ
る。特に、カルコニル基は、紫外線に対する感応性が高
いので、タクトタイムの短縮が一層図れる。更に、前記
吸着分子はその分子構造中に直鎖状炭化水素鎖を有する
ものであってもよい。直鎖状炭化水素鎖を備えている
と、シラン系化合物分子が基板上で整然と配列して高密
度に化学吸着でき、配向性に優れた配向膜とできる。
【0111】又、配向膜106は、図6に示すように、
近傍の液晶分子を高プレチルト角に配向制御させた高プ
レチルト角領域106aと、低プレチルト角に配向制御
させた低プレチルト角領域106bとからなる。高プレ
チルト角領域106aは、画素電極部分104a及び対
向電極部分105aの形成領域と整合するように設けら
れている。又、高プレチルト角領域106aでは、薄膜
構成分子が画素電極体104に於ける櫛歯状の画素電極
部分の櫛歯方向(図6に示す矢印Aで示す方向)に傾斜
して配向しており、かつ感光性基部も同一方向に重合し
ている。これにより、液晶分子に対する配向規制方向
は、櫛歯方向と一致している。その一方、低プレチルト
角領域106bは画素電極体104及び対向電極体10
5が設けられていない非形成領域と整合するように設け
られている。又、低プレチルト角領域106bに於ける
薄膜構成分子も、高プレチルト角領域106aに於ける
薄膜構成分子と同一方向に傾斜・配向しており、かつ感
光性基部も同一方向に重合している。即ち、低プレチル
ト角領域106bに於ける配向規制方向は、高プレチル
ト角領域106aに於ける配向規制方向と一致する様に
設けられている。但し、高プレチルト角領域106aに
於ける薄膜構成分子の傾斜角(薄膜構成分子の長軸方向
と基板面とのなす角)は、低プレチルト角領域106b
に於ける薄膜構成分子の傾斜角よりも小さい状態で吸着
している。
【0112】前記液晶層103は、誘電率異方性が正の
液晶を含んで構成されており、配向膜106・107に
より配向方向が規制される結果、ホモジニアス配向構造
となっている。又、液晶層3は、画素電極体104及び
対向電極体105上に設けられた第1領域と、画素電極
部分104aと対向電極部分105aとの間に設けられ
た第2領域とを含んで構成されている。第1領域は、配
向膜106に於ける高プレチルト角領域106aに配向
規制される結果、液晶分子108…が高プレチルト角
(α度)で配向させられた領域である。第2領域は、低
プレチルト角領域106bに配向規制される結果、液晶
分子109…が低プレチルト角(β度)で配向させられ
た領域である(図6参照)。
【0113】前記αは1°以上、10°以下の範囲内で
あることが好ましい。1°より小さいと、縦電界成分の
電界が発生しても液晶の配列状態を変化させることがで
きなくなる。これに対して、10°より大きいと、ディ
スクリネーションが発生するという不都合を生じる。
又、βは1°以下であることが好ましい。1°より大き
いと、着色するという不都合を生じる。但し、αとβ
は、α>βの関係を有している。
【0114】ここで、図7を参照して、液晶層103に
電界を印加した際の液晶分子118・119の動作につ
いて説明する。同図は、第1領域及び第2領域に於ける
液晶分子の配向状態を模式的に示した断面図であって、
図7(a)は電圧無印加時の場合を表し、図7(b)は
電圧印加時の場合を表す。電圧無印加時では、図7
(a)に示す様に、画素電極部分104a及び対向電極
部分104b間に横電界は発生せず、液晶分子118・
119は基板101及び対向基板102に平行な面内に
於いて同一方向に揃って配向している。
【0115】電圧印加時では、図7(b)に示す様に、
基板1に対してほぼ平行な電界(横電界)が発生するの
で、誘電率異方性が正である液晶分子119はその長軸
を電界方向に揃えようとして、面内で転回する。その一
方、画素電極部分104a及び対向電極部分105a上
では、ほぼ垂直方向又は斜め方向の電界(電極上の電界
成分)が発生する。ここで、画素電極部分4a近傍の液
晶分子は高プレチルト角にて配向させられている。その
為、液晶層103の中央付近の液晶分子118は、電極
上の電界成分方向に長軸を揃えようとして配向状態を変
化させる。従来のIPSモードでは、電極上の液晶分子
も電極間の液晶分子と同様のプレチルト角で同一方向に
配向させていた。従って、電圧を印加した際には、電極
と電極との間では横電界が発生するものの、電極上では
ほぼ垂直方向又は斜め方向に電界が発生するので、電極
上の液晶は配列状態を変化させることができなかった。
つまり、液晶層内に於いて、新たな配列状態に転移しよ
うとする領域と、初期配向状態のままの領域とが複数存
在する結果、少なくとも両領域の境界部分では液晶の配
列状態に連続性が保持できず、このことが応答性低下の
要因となっていた。これに対して、本発明に於いては、
画素電極体104及び対向電極体105上の液晶分子も
電界方向に配向状態を転移させることができるので、電
圧の印加時に於いても、第1領域と第2領域の境界部分
で液晶の配列状態に連続性を維持できる。よって、液晶
分子119の転移を一層スムーズなものにし、応答性の
向上につながるものと思われる。更に、従来のIPSモ
ードの液晶表示素子と比較して、液晶の動作領域を拡大
しているので、画素電極体104及び対向電極体105
として、透明性を有するITO等の透明電極を使用すれ
ば、光の利用効率を向上させることができ、一層明るい
表示が可能となる。
【0116】次に、本発明に係る液晶表示素子110の
製造方法について説明する。但し、以下に於いては、配
向膜106・107として、シラン系化合物分子の集合
群が化学吸着してなる単分子膜状の薄膜を例にして述べ
る。
【0117】先ず、従来公知の種々の方法にて、基板1
01上に画素電極体104及び対向電極体105を形成
する。次に、少なくとも感光性基を有するシラン系化合
物(化学吸着物質)を非水系有機溶媒に溶解させて、化
学吸着液を調製する。更に、この化学吸着液を基板10
1に接触させ、吸着液中の化学吸着物質分子を当該基板
101表面に化学吸着させる。
【0118】例えばシラン系化合物として、感光性基及
びトリクロロシラン基を備えた化合物、具体的にはC6
5−CH=CH−CO−C64−O−(CH26−O
−SiCl3を使用した場合、下記化学反応式(1)に
示す化学吸着反応が生じる。即ち、前記化合物に於ける
クロロシリル基と基板101表面に存在するOH基とが
脱塩化水素反応を起こし、当該化合物が基板101表面
に化学吸着する。
【化2】 ここで、シラン系化合物は水に対して高活性であること
から、化学吸着液中に水分が多く含まれていると失活す
る。よって、化学吸着反応を円滑に進行させるには、O
H基等の活性水素基を含まない非水系有機溶媒を用いる
のが好ましく、更に基板101表面に接触させる際には
乾燥雰囲気中で行うことが好ましい。又、上記シラン系
化合物を含む化学吸着液とは、シラン系化合物が溶媒に
溶解した溶液を意味するが、シラン系化合物の一部が未
溶解状態であってもよい。このような溶液としては、過
飽和状態の化学吸着液が挙げられる。
【0119】尚、配向膜としてポリマー配向膜を用いる
場合には、その形成方法として従来公知の種々の方法を
採用できる。具体的には、例えば感光性基を有するポリ
マーの前駆体等を含んだ配向膜材料を、基板表面に塗布
した後、それを乾燥・焼成することによりポリマー配向
膜を形成することができる。
【0120】次いで、配向膜形成工程の後、基板101
上に存在する未吸着のシラン系化合物を除去する為に洗
浄工程を行い、これにより単分子膜状の配向膜106を
形成する。本工程に於いて採用する洗浄方法としては、
具体的には、例えば浸漬法、蒸気洗浄法等が挙げられ
る。蒸気洗浄法は、基板101の全表面上に存在する過
剰な未吸着のシラン系化合物を、蒸気の浸透力により強
力に取り除くことができるので、特に有効である。尚、
化学吸着物質として、シラン系化合物の1種であるクロ
ロシラン系化合物を用いた場合には、洗浄液としてクロ
ロホルム又はN−メチル−2ピロリジノンを使用するの
が好ましい。当該クロロホルムは、クロロシラン系化合
物が水と反応することにより生成しているクロロシラン
ポリマーの除去性に優れているからである。
【0121】更に、上記洗浄工程の後、基板1を洗浄槽
から引き上げ、一定の方向に立てた状態で液切り乾燥さ
せる。これにより、洗浄液は重力方向にのみ液切りをす
ることができ、薄膜を構成する吸着分子を液切り乾燥方
向に仮配向させることができる。特に沸点が200℃以
下の洗浄液は、液切り後の乾燥性に優れる点で好まし
い。又、本発明で適用できる液切り配向方法としては、
基板表面にガスを吹き付けることにより洗浄液の液切り
を行うこともできる。これにより、洗浄液はガスを吹き
付けた方向にのみ短時間で液切りをすることができる。
特に沸点が150℃以上の洗浄液を用いた場合は、吹き
付けガスによって洗浄液が蒸発することなく液切りでき
るので有効である。
【0122】次に、基板101上に形成された配向膜1
06に対して光配向法により配向処理を行う(偏光配向
工程)。この光配向法は、従来のラビング処理と比較し
て、保護膜を用いたマスキングを不要とし、製造工程の
簡略化、保護膜による配向膜汚染等の防止が可能とな
る。更に、ラビングの際、埃等が発生することもない。
【0123】又、配向膜106はシラン系化合物分子の
集合群が化学吸着してなる薄膜であり、大部分の薄膜構
成分子が表面に整然として露出した構造である。この
為、偏光に対する感度に優れ、少ない偏光照射強度でそ
の膜に配向異方性を付与することができる。又、配向膜
の膜厚は超薄膜である為、駆動電圧のロスや焼き付きの
発生等を低減し、表示特性の改善が図れる。
【0124】具体的には、以下の方法により光配向を行
う。図8は、光配向法による配向処理を説明する為の斜
視図である。同図に示すように、先ず電極のみをマスク
(図示しない)して、例えば300nm〜400nm付
近に波長分布を有する偏光紫外線121(第2の偏光)
を電極の非形成領域に照射する。偏光紫外線121の照
射方向は、液切り方向123側に於ける基板とのなす角
がθ1となる方向とする。
【0125】次いで、非形成領域のみをマスクして、偏
光紫外線122(第1の偏光)を形成領域に照射する。
このときの偏光紫外線122の照射方向は、液切り方向
123側に於いて基板とのなす角がθ2となる方向とす
る。
【0126】ここで、偏光紫外線121・122の偏向
面は、前記液切り工程に於ける液切り方向123(即
ち、薄膜構成分子の傾斜方向)と一致させている。又、
偏光紫外線121・122の照射強度は、例えば50〜
3000mJ/cm2(波長:365nm)の範囲内で
あればよい。但し、液晶分子のプレチルト角の制御を偏
光紫外線の照射強度により行う場合には、偏光紫外線1
21の照射強度は、偏光紫外線22の照射強度よりも小
さくなる様に設定する必要がある。更に、偏光紫外線1
21・122の照射方向は、液切り方向側から、基板と
のなす角θ1及びθ2が0°〜90°の範囲内、より好ま
しくは45゜〜90゜の範囲内となる様に設定する。但
し、液晶分子のプレチルト角の制御を偏光紫外線の照射
強度により行う場合には、偏光紫外線121に於けるθ
1は、偏光紫外線122に於けるθ2よりも大きくなる様
に設定する必要がある。例えば、図8に於いては、θ1
=45°、θ2=90°の場合について図示している。
【0127】この偏光配向工程を行うことにより、配向
膜106に於ける薄膜構成分子の感光性基を選択的に光
重合させることができ、基板表面の薄膜構成分子同志が
偏光方向に平行な方向に架橋結合させることができる。
しかも、電極上では、液晶分子を高プレチルト角に配向
規制可能な高プレチルト角領域106aを形成できる一
方、電極間の領域上では、低プレチルト角に配向規制可
能な低プレチルト角領域106bを形成できる。更に、
偏光紫外線の照射強度を適宜設定することにより、又は
偏光紫外線の照射方向を適宜設定することにより、所定
のプレチルト角で液晶分子を配向規制できる配向膜10
6が再現性よく得られる。
【0128】次に、画素電極体104及び対向電極体1
05を有する基板101と別途用意した対向基板を、電
極面を内側にして所定の間隙を保ちつつ位置合わせし、
基板101の周縁を接着固定して空セルを作製する。続
いて、この空セル内に液晶を注入して液晶セルを作製
し、該液晶セルを、偏光透過軸(偏光方向)が互いに直
交するように対向配置した一対の偏光板(図示しない)
の間に挟むことにより、本発明に係るIPSモードの液
晶表示素子110を作製することができる。
【0129】以上の様に、本実施の形態に係る液晶表示
素子の製造方法によれば、光配向法による配向処理を行
うことにより、従来ラビング処理の際に行われていたフ
ォトリソグラフィ法によるフォトレジスト(保護膜)の
形成が不要となる。この結果、製造工程の簡略化が図れ
ると共に、フォトレジストの現像及び剥離が必要でなく
なり、配向膜表面の劣化を防止することができる。更
に、従来のラビング処理では問題となっていたダストの
発生も、光配向法に於いては発生しないので、配向膜の
汚染も防止できる。
【0130】又、光配向法においては、偏光紫外線の照
射強度、偏光方向及び照射方向を制御できることから、
液晶分子を所望の方向及びプレチルト角で配向規制可能
な様に配向膜に配向処理を施すことができる。その上、
ラビング処理と比較しても配向処理の再現性が極めて高
く、量産性にも優れている。
【0131】更に、感光性基を有するシラン系化合物分
子の集合群が基板面に吸着してなる配向膜を用いれば、
当該配向膜が超薄膜であることから駆動電圧のロスや焼
き付きの発生等を低減し、表示特性が改善された液晶表
示素子を製造することができる。
【0132】但し、本発明に於いては、感光性基を有し
ない配向膜に対して、ラビング法による配向処理を施す
ことも可能である。この場合には、従来公知の手順に従
って行えば足りる。但し、液切り方向とラビング処理方
向とがほぼ一致するように設定するのが好ましい。これ
により、膜構成分子は予めラビング処理方向に配向して
いるため強く擦る必要がなく、従来のラビング処理と比
較してラビング条件を緩和できるからである。ここで、
感光性基を有しない配向膜としては、感光性基を有しな
いポリイミド膜等が挙げられる。
【0133】尚、本発明に於いて使用可能なシラン系化
合物としては、例えば下記に列挙する化合物が使用でき
る。 (1)SiYpCl3-p (2)CH3−(CH2rSiYqCl3-q (3)CH3(CH2sO(CH2tSiYqCl3-q (4)CH3(CH2u−Si(CH32(CH2v
SiYqCl3-q (5)CF3COO(CH2wSiYqCl3-q 但し、pは0〜3の整数、qは0〜2の整数、rは1〜
25の整数、sは0〜12の整数、tは1〜20の整
数、uは0〜12の整数、vは1〜20の整数、wは1
〜25の整数を示す。又、Yは、水素、アルキル基、ア
ルコキシル基、含フッ素アルキル基または含フッ素アル
コキシ基の何れか1つを表す。
【0134】更に、シラン系化合物としては、トリクロ
ロシラン系化合物を使用できる。このトリクロロシラン
系化合物としては、下記に示す(6)〜(14)の化合
物が使用できる。 (6)CF3(CH29SiCl3 (7)CH3(CH29OSiCl33 (8)CH3(CH29Si(CH22(CH210Si
Cl3 (9)CH3COO(CH215SiCl3 (10)CF3(CF27−(CH22−SiCl3 (11)CF3(CF27−C64−SiCl3 (12)C65−CH=CH−CO−O−(CH26
O−SiCl3 (13)C65−CO−CH=CH−C64O−(CH
26−O−SiCl3 (14)C65−CH=CH−CO−C64O−(CH
26−O−SiCl3
【0135】上記した化合物のうち、(12)に示す化
合物は感光性基としてシンナモイル基を有しており、
(13)及び(14)に示す化合物は感光性基としてカ
ルコニル基を有している。
【0136】更に、上記クロロシラン系化合物の替わり
に、クロロシリル基をイソシアネート基若しくはアルコ
キシ基に置き扱えたイソシアネート系シラン化合物又は
アルコキシ系シラン化合物を使用することもできる。具
体的には、上記(6)に示すクロロシランに於いて、ク
ロロシリル基をイソシアネート基若しくはアルコキシ基
に置換した下記化合物(15)及び(16)等が挙げら
れる。 (15)CH3(CH29Si(OC253 (16)CH3(CH29Si(NCO)3
【0137】上記イソシアネート系シラン化合物又はア
ルコキシ系シラン化合物を用いると、基板1に接触させ
て化学吸着させた場合、塩酸の生成を防止できる。この
為、基板101上に設けられているTFT等の損傷がな
く、又作業性にも優れているというメリットがある。
【0138】又、シラン系化合物を溶解させる有機溶媒
としては、水を含まない炭化水素系溶媒、フッ化炭素系
溶媒、シリコーン系溶媒等が例示でき、石油系の溶媒と
して使用可能なものとしては、例えば石油ナフサ、ソル
ベントナフサ、石油エーテル、石油ベンジン、イソパラ
フィン、ノルマルパラフィン、デカリン、工業ガソリ
ン、灯油、リグロイン、ジメチルシリコーン、フェニル
シリコーン、アルキル変性シリコーン、ポリエステルシ
リコーンなどを挙げることができる。又、フッ化炭素系
溶媒には、フロン系溶媒や、フロリナート(商品名、3
M社製品)、アフルード(商品名、旭ガラス社製品)な
どが使用できる。これらは1種単独で用いてもよく、ま
た相溶する溶媒同士であれば2種以上を混合して用いて
もよい。特にシリコーンは、水分の存在が少なく、吸湿
しにくいと共に、クロロシラン化合物と溶媒和してクロ
ロシラン系化合物が水分と直接接触して反応するのを防
止する。従って、クロロシラン系化合物とシリコーンか
らなる溶液であると、下地層を接触させる際に、雰囲気
中の水分による悪影響を防止しつつ、下地層に露出した
OH基にクロロシラン系化合物を化学吸着させることが
できる。
【0139】尚、上記基板101上には、予め画素電極
体104又は対向電極105の他に、ITO膜若しくは
Al膜からなる配線若しくはTFT、SiO2膜若しく
はSiNx膜からなる保護膜が設けられている。又、対
向基板102上には、例えばアクリル系又はシリコーン
系のポリマー膜からなるカラーフィルターが設けられて
いる。更に、基板101又は対向基板102の何れか一
方と一体化して設けられた、アクリル系又はシリコーン
系のポリマー材料からなるスペーサが設けられている。
上記各要素のうち、SiO2膜又はSiNx膜表面には、
吸着サイトであるOH基の分布密度が高い為、シラン系
化合物分子をより多く吸着させることができる。これに
より、配向特性に優れた配向膜の成膜が可能となる。こ
れに対して、ITO膜若しくはAl膜からなる配線及び
一対の電極、並びにTFT等は、OH基の分布密度が小
さく、更にカラーフィルターやスペーサについては殆ど
存在しない。その為、これらの表面にもシラン系化合物
分子を吸着させ、良好な膜質の配向膜を形成する為に
は、吸着サイトの数を増大させるべく、親水化処理を行
う必要がある。本発明に於いては、この親水化処理とし
て、従来公知の種々の方法を採用することができ、具体
的には親水化したい領域にSiO2膜又はSiNx膜を成
膜する方法や、オゾン雰囲気下で紫外線照射を行うUV
−O3処理法等が挙げられる。
【0140】又、前記洗浄工程に於いて使用する洗浄液
としては、例えば水を含まない炭化水素系溶媒、フッ化
炭素系溶媒、シリコーン系溶媒などが例示でき、石油系
の溶媒として使用可能なものとしては、例えば石油ナフ
サ、ソルベントナフサ、石油エーテル、石油ベンジン、
イソパラフィン、ノルマルパラフィン、デカリン、工業
ガソリン、灯油、リグロイン、ジメチルシリコーン、フ
ェニルシリコーン、アルキル変性シリコーン、ポリエス
テルシリコーンなどを挙げられる。又、上記フッ化炭素
系溶媒としては、フロン系溶媒、フロリナート(商品
名、3M社製)、アフルード(商品名、旭ガラス社製)
などが使用できる。これらは単独で用いてもよく、相互
に相溶可能であれば2種以上を組み合わせて用いてもよ
い。
【0141】[その他の事項]上記した本発明に係る一対
の電極については、寸法、材質、形状、その相対配置等
は、特に限定的な記載がない限りは、この発明の範囲を
それらのみに限定する趣旨のものではなく、単なる説明
例に過ぎない。
【0142】例えば、一対の電極として櫛形電極のもの
を例示したが、前記電極は交互に異なる方向に屈曲した
形状でもよい。但し、画素電極体の画素電極部分と、対
向電極体の対向電極部分とが相互に平行な位置関係にあ
る必要がある。又、一対の電極のうち、一方の電極の厚
みと他方の電極の厚みとが、液晶層の厚みの範囲内で相
互に異なる場合にも適用できる。
【0143】又、上記に於いては、対向基板102の内
側面にも配向膜107を設ける態様を示したが、本発明
は基板101上にのみ配向膜106が設けられた態様で
あってもよい。
【0144】又、前記実施の形態に於いては、本発明に
係る配向膜が、所定の高プレチルト角で液晶分子を一様
に初期配向させる高プレチルト角領域を有する一方、所
定の低プレチルト角で一様に初期配向させる低プレチル
ト角領域を有する態様について述べた。しかし、本発明
はこの態様に何ら限定されるものではなく、例えば、前
記電極に近づく程、連続的に又は段階的にプレチルト角
を大きくして液晶分子を配向規制する態様であってもよ
い。これにより、第1領域と第2領域との境界部分で液
晶の配列状態を一層連続的なものにすることができ、電
圧印加時にも液晶の配列状態の転移を容易にすることが
でき、応答性を更に向上させることができる。
【0145】(実施の形態3)本実施の形態3は第3の
態様に対応する。以下に、図9及び図10に基づいて本
実施の形態を説明する。但し、説明に不要な部分は省略
し、また説明を容易にする為に拡大或いは縮小等して図
示した部分がある。
【0146】本発明に係るOCBモードの液晶表示素子
は、感光性基を備えた薄膜構成分子からなる配向膜を用
いて、当該配向膜に、液晶分子を高プレチルト角に配向
させる高プレチルト角領域を形成し、これにより液晶層
に転移核発生領域を設けるものである。そして、この転
移核発生領域を設けたことにより、液晶層に転移核を確
実に発生させ、もってスプレイ配向からベンド配向への
転移を容易にし、スプレイ−ベンド転移電圧の低減を図
るものである。
【0147】以下に、図9を用いて本発明のOCBモー
ドの液晶表示素子について説明する。図9は、1画素に
於ける液晶分子の配向状態を模式的に示す斜視図であ
る。同図に示す配向膜201は、画素領域の中心部分
に、液晶分子を高プレチルト角で配向制御させる高プレ
チルト角領域201aと、低プレチルト角で配向制御さ
せる低プレチルト角領域201bとを有している(図1
0参照)。更に、この高プレチルト角領域201aが設
けられたことにより、スプレイ配向の液晶層に、液晶配
列の歪みの大きい領域、即ち転移核発生領域を形成する
ことができる。この結果、電圧を印加した際には、当該
転移核発生領域の液晶分子が最初に立ち上がって転移核
を確実に発生させる。そして、この転移核を中心として
ベンド配向状態の領域が拡大し、液晶層全体がスプレイ
配向からベンド配向に転移するのを極めて容易にする。
【0148】ここで、高プレチルト角領域201aに於
ける液晶分子のプレチルト角αは5°以上、20°以下
の範囲内であることが好ましい。5°より小さいと、電
圧を印加した際にも転移核を発生させることができな
い。その一方、20°より大きいと、ディスクリネーシ
ョンという不都合を生じる。又、低プレチルト角領域2
01bに於ける液晶分子のプレチルト角βは3°以上、
10°以下の範囲内であることが好ましい。3°より小
さいと、画素領域の全域で液晶の転移が起こらないとい
う不都合を生じる。10°より大きいと、着色するとい
う不都合を生じる。但し、α及びβは、α>βで一定で
ある。
【0149】更に、前記高プレチルト角領域201a
は、例えば約10〜1000μm2程度の面積を有して
いればよい。面積が10μm2より小さい場合、転移核
発生領域を形成できないという不都合を生じる。その一
方、1000μm2より大きい場合には、着色するとい
う不都合を生じる。
【0150】又、前記配向膜201は、薄膜構成分子
(吸着分子)の集合群が基板面に化学吸着してなる単分
子膜状の化学吸着膜である。吸着分子の集合群には、感
光性基を有する吸着分子が少なくとも含まれており、感
光性基部同士が所定の方向に重合・固定している。配向
膜201を構成する薄膜構成分子の集合群は、図10に
示す矢印Aで示す方向に傾斜して配向しており、かつ感
光性基部も同一方向に重合した構造の薄膜である。よっ
て、配向膜201は、マルチドメイン型で使用される配
向膜と異なり、高プレチルト角領域201a及び低プレ
チルト角領域201b共に、液晶分子に対する配向規制
方向が同一方向である。但し、高プレチルト角領域20
1aに於ける薄膜構成分子の傾斜角(薄膜構成分子の長
軸方向と基板面とのなす角)は、低プレチルト角領域2
01bに於ける薄膜構成分子の傾斜角よりも小さい状態
で吸着している。
【0151】ここで本実施の形態の様に、配向膜201
を単分子膜状の薄膜とすることにより、後述する光配向
法にて配向処理を行う際に偏光紫外線照射量を少なくで
きる。これは、最表面に感光性基が露出することで所望
の方向への異方的な光反応が起こし易くできるからであ
る。又、感光性基を有する薄膜構成分子が基板上で整然
と配列し吸着している為、配向性に優れた配向膜とする
ことができる。更に、膜厚が分子長さと一致する為、極
めて均一に膜厚を制御できる。これにより、膜厚ムラに
起因する駆動電圧ムラ、焼付き等の表示特性の劣化を抑
制することができる。但し、本発明に於いては、前記配
向膜201は、単分子膜状の化学吸着膜の他に、例えば
ポリビニル、ポリイミド等からなり、感光性基を備えた
ポリマー配向膜等を用いることもできる。
【0152】前記感光性基としては、シンナモイル基又
はカルコニル基が好適である。これらの感光性基を備え
ていると、光配向処理を行う際の偏光紫外線の照射強度
を低減でき、タクトタイムの短縮が可能となるからであ
る。特に、カルコニル基は、紫外線に対する感応性が高
いので、タクトタイムの短縮が一層図れる。更に、前記
吸着分子はその分子構造中に直鎖状炭化水素鎖を有する
ものであってもよい。直鎖状炭化水素鎖を備えている
と、シラン系化合物分子が基板上で整然と配列して高密
度に化学吸着でき、配向性に優れた配向膜とできる。
【0153】尚、図9に於いては、高プレチルト角領域
201aの平面形状が矩形状の場合について示している
が、本発明はこれに何ら限定されるものではなく、例え
ば円形状のものであってもよい。又、高プレチルト角領
域201aは、画像等を表示させる表示部全体で少なく
とも1つ設けられていればよい。
【0154】次に、前記配向膜201の製造方法につい
て説明する。但し、以下に於いては、配向膜201とし
て、シラン系化合物分子の集合群が化学吸着してなる単
分子膜状の薄膜を例にして述べる。
【0155】先ず、従来公知の種々の方法にて、基板上
に画素電極を形成する。次に、少なくとも感光性基を有
するシラン系化合物(化学吸着物質)を非水系有機溶媒
に溶解させて、化学吸着液を調製する。更に、この化学
吸着液を基板に接触させ、吸着液中の化学吸着物質分子
を当該基板表面に化学吸着させる。
【0156】例えばシラン系化合物として、感光性基及
びトリクロロシラン基を備えた化合物、具体的にはC6
5−CH=CH−CO−C64−O−(CH26−O
−SiCl3を使用した場合、下記化学反応式(1)に
示す化学吸着反応が生じる。即ち、前記化合物に於ける
クロロシリル基と基板1表面に存在するOH基とが脱塩
化水素反応を起こし、当該化合物が基板1表面に化学吸
着する。
【化3】 ここで、シラン系化合物は水に対して高活性であること
から、化学吸着液中に水分が多く含まれていると失活す
る。よって、化学吸着反応を円滑に進行させるには、O
H基等の活性水素基を含まない非水系有機溶媒を用いる
のが好ましく、更に基板1表面に接触させる際には乾燥
雰囲気中で行うことが好ましい。又、上記シラン系化合
物を含む化学吸着液とは、シラン系化合物が溶媒に溶解
した溶液を意味するが、シラン系化合物の一部が未溶解
状態であってもよい。このような溶液としては、過飽和
状態の化学吸着液が挙げられる。
【0157】尚、配向膜としてポリマー配向膜を用いる
場合には、その形成方法として従来公知の種々の方法を
採用できる。具体的には、例えば感光性基を有するポリ
マーの前駆体等を含んだ配向膜材料を基板表面に塗布し
た後、それを乾燥・焼成することによりポリマー配向膜
を形成することができる。
【0158】次いで、配向膜形成工程の後、基板上に存
在する未吸着のシラン系化合物を除去する為に洗浄工程
を行い、これにより単分子膜状の配向膜1を形成する。
本工程に於いて採用する洗浄方法としては、例えば浸漬
法、蒸気洗浄法等が挙げられる。蒸気洗浄法は、基板の
全表面上に存在する過剰な未吸着のシラン系化合物を、
蒸気の浸透力により強力に取り除くことができるので、
特に有効である。尚、化学吸着物質として、シラン系化
合物の1種であるクロロシラン系化合物を用いた場合に
は、洗浄液としてクロロホルム又はN−メチル−2ピロ
リジノンを使用するのが好ましい。当該クロロホルム
は、クロロシラン系化合物が水と反応することにより生
成しているクロロシランポリマーの除去性に優れている
からである。
【0159】更に、上記洗浄工程の後、基板を洗浄槽か
ら引き上げ、一定の方向に立てた状態で液切り乾燥させ
る。これにより、洗浄液は重力方向にのみ液切りをする
ことができ、薄膜を構成する吸着分子を液切り乾燥方向
に仮配向させることができる。特に沸点が200℃以下
の洗浄液は、液切り後の乾燥性に優れる点で好ましい。
又、本発明に於いて適用できる液切り配向方法として
は、基板表面にガスを吹き付けることによって洗浄液の
液切りを行うこともできる。これにより、洗浄液はガス
を吹き付けた方向にのみ短時間で液切りをすることがで
きる。特に沸点が150℃以上の洗浄液を用いた場合
は、吹き付けガスによって洗浄液を蒸発させることなく
液切りできるので有効である。
【0160】次に、基板上に形成された配向膜201に
対して光配向法により配向処理を行う(偏光配向工
程)。図10は、光配向法による配向処理を説明する為
の斜視図である。この光配向法は、従来のラビング処理
と比較して、保護膜を用いたマスキングを不要とし、製
造工程の簡略化、保護膜による配向膜汚染等の防止が可
能となる。更に、ラビング処理の際に、埃等が発生する
こともない。
【0161】又、配向膜201はシラン系化合物分子の
集合群が化学吸着してなる薄膜であり、大部分の薄膜構
成分子が表面に整然として露出した構造である。この
為、偏光に対する感度に優れ、少ない偏光照射強度でそ
の膜に配向異方性を付与することができる。又、配向膜
の膜厚は超薄膜である為、駆動電圧のロスや焼き付きの
発生等を低減し、表示特性の改善が図れる。
【0162】具体的には、以下の方法により光配向を行
う。図10に示すように、先ず高プレチルト角領域20
1aを形成したい領域202aのみをマスク(図示しな
い)して、300nm〜400nm付近に波長分布を有
する偏光紫外線203(第2の偏光)を領域2bに照射
する。偏光紫外線203の照射方向は、液切り方向20
5側に於ける基板とのなす角がθ1となる方向とする。
【0163】次いで、低プレチルト角領域201bを形
成したい領域202bのみをマスクして、偏光紫外線2
04(第1の偏光)を、領域202aに照射する。この
ときの偏光紫外線204の照射方向は、液切り方向20
5側に於いて基板とのなす角がθ2となる方向とする。
【0164】ここで、偏光紫外線203・204の偏向
面は、前記液切り工程に於ける液切り方向205(即
ち、薄膜構成分子の傾斜方向)と一致させている。又、
偏光紫外線203・204の照射強度は、例えば50〜
3000mJ/cm2(波長:365nm)の範囲内で
あればよい。但し、液晶分子のプレチルト角の制御を偏
光紫外線の照射強度により行う場合には、偏光紫外線2
03の照射強度は、偏光紫外線204の照射強度よりも
小さくなる様に設定する必要がある。更に、偏光紫外線
203・204の照射方向は、液切り方向側から、基板
とのなす角θ1及びθ2が0°〜90°の範囲内、より好
ましくは45゜〜90゜の範囲内となる様に設定する。
但し、液晶分子のプレチルト角の制御を偏光紫外線の照
射強度により行う場合には、偏光紫外線203に於ける
θ1は、偏光紫外線4に於けるθ2よりも小さくなる様に
設定する必要がある。例えば、図10に於いては、θ1
=45°、θ2=90°の場合について図示している。
【0165】この偏光配向工程を行うことにより、配向
膜1に於ける薄膜構成分子の感光性基を選択的に光重合
させることができ、基板表面の薄膜構成分子同志が偏光
方向に平行な方向に架橋結合させることができる。しか
も、領域202aでは、液晶分子を高プレチルト角に配
向規制可能な高プレチルト角領域201aを形成できる
一方、領域202bでは、低プレチルト角に配向規制可
能な低プレチルト角領域201bを形成できる。更に、
偏光紫外線の照射強度を適宜設定することにより、又は
偏光紫外線の照射方向を適宜設定することにより、所定
のプレチルト角で液晶分子を配向規制できる配向膜20
1が再現性よく得られる。
【0166】以上の様に、光配向法による配向処理を行
うことにより、従来ラビング処理の際に行われていたフ
ォトリソグラフィ法によるフォトレジスト(保護膜)の
形成が不要となる。この結果、製造工程の簡略化が図れ
ると共に、フォトレジストの現像及び剥離が必要でなく
なり、配向膜表面の劣化を防止することができる。更
に、従来のラビング処理では問題となっていたダストの
発生も、光配向法に於いては発生しないので、配向膜の
汚染も防止できる。
【0167】又、光配向法においては、偏光紫外線の照
射強度、偏光方向及び照射方向を制御できることから、
液晶分子を所望の方向及びプレチルト角で配向規制可能
な様に配向膜に配向処理を施すことができる。その上、
ラビング処理と比較しても配向処理の再現性が極めて高
く、量産性にも優れている。
【0168】更に、感光性基を有するシラン系化合物分
子の集合群が基板面に吸着してなる配向膜を用いれば、
当該配向膜が超薄膜であることから駆動電圧のロスや焼
き付きの発生等を低減し、表示特性が改善された液晶表
示素子を製造することができる。
【0169】尚、本発明に於いて使用可能な、前記感光
性基を有するシラン系化合物としては、例えば下記に列
挙する化合物が使用できる。 (1)C65−CH=CH−CO−O−(CH26−O
−SiCl3 (2)C65−CO−CH=CH−C64O−(C
26−O−SiCl3 (3)C65−CH=CH−CO−C64O−(C
26−O−SiCl3
【0170】上記した化合物のうち、(1)に示す化合
物は感光性基としてシンナモイル基を有しており、
(2)及び(3)に示す化合物は感光性基としてカルコ
ニル基を有している。
【0171】又、本発明に於いては、前記感光性基を有
するシラン系化合物以外にも、添加剤として下記に示す
化合物を用いることができる。 (1)SiYpCl3-p (2)CH3−(CH2rSiYqCl3-q (3)CH3(CH2sO(CH2tSiYqCl3-q (4)CH3(CH2u−Si(CH32(CH2v
SiYqCl3-q (5)CF3COO(CH2wSiYqCl3-q 但し、pは0〜3の整数、qは0〜2の整数、rは1〜
25の整数、sは0〜12の整数、tは1〜20の整
数、uは0〜12の整数、vは1〜20の整数、wは1
〜25の整数を示す。又、Yは、水素、アルキル基、ア
ルコキシル基、含フッ素アルキル基または含フッ素アル
コキシ基の何れか1つを表す。
【0172】更に、シラン系化合物としては、トリクロ
ロシラン系化合物を使用できる。このトリクロロシラン
系化合物としては、下記に示す(6)〜(14)の化合
物が使用できる。 (6)CF3(CH29SiCl3 (7)CH3(CH29OSiCl33 (8)CH3(CH29Si(CH22(CH210Si
Cl3 (9)CH3COO(CH215SiCl3 (10)CF3(CF27−(CH22−SiCl3 (11)CF3(CF27−C64−SiCl3
【0173】更に、上記クロロシラン系化合物の替わり
に、クロロシリル基をイソシアネート基若しくはアルコ
キシ基に置き扱えたイソシアネート系シラン化合物又は
アルコキシ系シラン化合物を使用することもできる。具
体的には、(6)に示すクロロシランに於いて、クロロ
シリル基をイソシアネート基若しくはアルコキシ基に置
換した下記化合物(12)及び(13)等が挙げられ
る。 (12)CH3(CH29Si(OC253 (13)CH3(CH29Si(NCO)3
【0174】上記イソシアネート系シラン化合物又はア
ルコキシ系シラン化合物を用いると、基板に接触させて
化学吸着させた場合、塩酸の生成を防止できる。この
為、基板上に設けられているTFT等の損傷がなく、又
作業性にも優れているというメリットがある。
【0175】又、シラン系化合物を溶解させる有機溶媒
としては、水を含まない炭化水素系溶媒、フッ化炭素系
溶媒、シリコーン系溶媒等が例示でき、石油系の溶媒と
して使用可能なものとしては、例えば石油ナフサ、ソル
ベントナフサ、石油エーテル、石油ベンジン、イソパラ
フィン、ノルマルパラフィン、デカリン、工業ガソリ
ン、灯油、リグロイン、ジメチルシリコーン、フェニル
シリコーン、アルキル変性シリコーン、ポリエステルシ
リコーンなどを挙げることができる。又、フッ化炭素系
溶媒には、フロン系溶媒や、フロリナート(商品名、3
M社製品)、アフルード(商品名、旭ガラス社製品)な
どが使用できる。これらは1種単独で用いてもよく、ま
た相溶する溶媒同士であれば2種以上を混合して用いて
もよい。特にシリコーンは、水分の存在が少なく、吸湿
しにくいと共に、クロロシラン化合物と溶媒和してクロ
ロシラン系化合物が水分と直接接触して反応するのを防
止する。従って、クロロシラン系化合物とシリコーンか
らなる溶液であると、下地層を接触させる際に、雰囲気
中の水分による悪影響を防止しつつ、下地層に露出した
OH基にクロロシラン系化合物を化学吸着させることが
できる。
【0176】尚、本発明に係る配向膜201を形成する
基板上には、一般に、予め画素電極体又は対向電極の他
に、ITO膜若しくはAl膜からなる配線若しくはTF
T、SiO2膜若しくはSiNx膜からなる保護膜が設け
られている。又、対向基板上には、例えばアクリル系又
はシリコーン系のポリマー膜からなるカラーフィルター
が設けられている。更に、基板又は対向基板の何れか一
方と一体化して設けられた、アクリル系又はシリコーン
系のポリマー材料からなるスペーサが設けられている。
上記各要素のうち、SiO2膜又はSiNx膜表面には、
吸着サイトであるOH基の分布密度が高い為、シラン系
化合物分子をより多く吸着させることができる。これに
より、配向特性に優れた配向膜の成膜が可能となる。こ
れに対して、ITO膜若しくはAl膜からなる配線及び
平行電極対、並びにTFT等は、OH基の分布密度が小
さく、更にカラーフィルターやスペーサについては殆ど
存在しない。その為、これらの表面にもシラン系化合物
分子を吸着させ、良好な膜質の配向膜を形成する為に
は、吸着サイトの数を増大させるべく、親水化処理を行
う必要がある。本発明に於いては、この親水化処理とし
て、従来公知の種々の方法を採用することができ、具体
的には親水化したい領域にSiO2膜又はSiNx膜を成
膜する方法や、オゾン雰囲気下で紫外線照射を行うUV
−O3処理法等が挙げられる。
【0177】又、前記洗浄工程に於いて使用する洗浄液
としては、例えば水を含まない炭化水素系溶媒、フッ化
炭素系溶媒、シリコーン系溶媒などが例示でき、石油系
の溶媒として使用可能なものとしては、例えば石油ナフ
サ、ソルベントナフサ、石油エーテル、石油ベンジン、
イソパラフィン、ノルマルパラフィン、デカリン、工業
ガソリン、灯油、リグロイン、ジメチルシリコーン、フ
ェニルシリコーン、アルキル変性シリコーン、ポリエス
テルシリコーンなどを挙げられる。又、上記フッ化炭素
系溶媒としては、フロン系溶媒、フロリナート(商品
名、3M社製)、アフルード(商品名、旭ガラス社製)
などが使用できる。これらは単独で用いてもよく、相互
に相溶可能であれば2種以上を組み合わせて用いてもよ
い。
【0178】以下に、本発明の好適な実施例を例示的に
詳しく説明する。
【実施例】(実施例1)図11は、本実施例1に係る液
晶表示素子の主要な製造工程を概略的に示した説明図で
ある。
【0179】最初に、配向膜形成の為、配向膜作製用の
溶液を調製した。即ち、乾燥雰囲気中で、ヘキサメチル
ジシロキサンに、シラン化合物としてのC65−CH=
CH−CO−C64−O−(CH26−O−SiCl3
を混合溶解し、10-3mol/Lの溶液とした。
【0180】次に、図11(a)に示すように、画素電
極が予め形成されているTNモード用の基板を用意し、
乾燥雰囲気中(相対湿度約5%以下)で、この基板表面
に前記溶液を塗布した(塗布工程)。塗布する際には印
刷機を用い、又、塗布膜の膜厚は約1μmとなる様にし
た。更に、この塗布膜に含まれるヘキサメチルジシロキ
サンを蒸発させた後、基板を所定の温度にて所定時間焼
成させ、配向膜を形成した(図11(b)参照)。
【0181】続いて、配向膜が形成された基板を、非水
系溶媒であるクロロホルム中に浸漬して洗浄した(洗浄
工程、図11(c)参照)。更に、基板を所望の方向に
立てた状態でクロロホルムから引き上げてクロロホルム
を液切りした(液切り配向工程、図11(d)参照)。
これにより、配向膜を構成する分子を、引き上げ方向と
は反対側の液切り方向に傾斜させて配向させることがで
きた。
【0182】この液切り配向工程の後、フォトマスクに
よるマスキング法を用いて偏光紫外線を照射する偏光配
向工程を行った。即ち、画素領域(80μm×240μ
m)を、内部領域(50μm×210μm)と矩形枠状
領域(周縁部)とに区画し、該矩形枠状領域をマスクし
て偏光紫外線を照射した。このとき、偏光紫外線の偏光
方向は前記液切り方向と一致させると共に、照射方向が
基板に対して垂直となる様にして照射した。又、照射強
度は400mJ/cm2とした。
【0183】更に、前記フォトマスクとは異なる他のフ
ォトマスクを用い、内部領域をマスクして、再び偏光紫
外線を照射した。このとき紫外線の偏光方向は液切り方
向と一致させたが、照射方向は液切り方向から基板面に
対して45°となる方向とした。又、照射強度は最初の
紫外線照射のときと同様とした。
【0184】一方、対向基板についても、前記各工程を
順次行うことにより、高プレチルト角領域及び低プレチ
ルト角領域を有する配向膜を形成した。
【0185】次に、基板上にスペーサを散布しておき、
かつ該基板の縁部に、塗布形状が枠状となるようにシー
ル材を塗布した。続いて、基板及び対向基板に於ける配
向膜同士が相対するように基板と対向基板とを貼り合わ
せた。このとき、基板上に設けられた配向膜の配向処理
方向と、対向基板上に設けられた配向膜に於ける配向処
理方向とのなす角が90度となる様に位置合わせしてお
いた。
【0186】次いで、基板及び対向基板間に、液晶材料
を注入して本発明液晶表示素子Aを作製した。
【0187】(比較例1)本比較例1に於いては、偏光
紫外線を照射する際に、偏光方向が液切り方向と一致
し、かつ照射方向が基板面に対して垂直となる方向か
ら、フォトマスクを介さずに照射した以外は、前記実施
例1と同様にして、比較用液晶表示素子Bを作製した。
【0188】(比較例2)本比較例2に於いては、偏光
紫外線を照射する際に、偏光方向が液切り方向と一致
し、かつ照射方向が基板面に対して45°となる方向か
ら、フォトマスクを介さずに照射した以外は、前記実施
例1と同様にして、比較用液晶表示素子Cを作製した。
【0189】[膜作製条件と表示特性]前記本発明液晶
表示素子A及び比較用液晶表示素子B、Cについて、そ
れぞれプレチルト角を測定すると共に、偏光顕微鏡を用
いて駆動時の液晶の配向欠陥、色調及び視野角を観察し
た。それらの結果を下記表1に併記する。
【0190】
【表1】 表1から分かる様に、本発明液晶表示素子Aに於いて
は、横電界抑制領域(周縁部)に於ける液晶分子のプレ
チルト角が約5°であった。その一方、それ以外の内部
領域に於ける液晶分子のプレチルト角は約3°であっ
た。又、駆動時に於いては液晶の欠陥がなく、また色調
も良好であり、視野角も対称であるなど視野角特性に優
れていることが分かった。
【0191】これに対して、比較用液晶表示素子Bにつ
いては、画素領域の全域にわたって液晶分子のプレチル
ト角は約3°であった。又、色調及び視野角は良好なも
のの画素電極の端部、即ち画素領域の周縁部に於いて横
電界ディスクリネーションが発生していることが確認さ
れた。更に、比較用液晶表示素子Cについては、画素領
域の全域にわたって液晶分子のプレチルト角は約5°で
あった。従って、画素領域の周縁部に於いて横電界ディ
スクリネーション等の配向欠陥は発生しなかったが、色
調がやや悪く上に、視野角も非対称であるなど視野角特
性も良好ではなかった。以上のことから、本発明液晶表
示素子Aは、従来の製法により作製された比較用液晶表
示素子Bと比較して、横電界に起因する配向欠陥の発生
を防止しつつ、色調及び視野角特性に優れていることが
分かった。
【0192】(実施例2)最初に、配向膜形成の為、配
向膜作製用の溶液を調製した。即ち、乾燥雰囲気中で、
ヘキサメチルジシロキサンに、シラン化合物としてのC
65−CH=CH−CO−C64−O−(CH26−O
−SiCl3を混合溶解し、10-3mol/Lの溶液と
した。
【0193】次に、図11(a)に示すように、複数の
櫛歯電極部分を備えた櫛形電極が予め形成されているI
PSモード用の基板を用意し、乾燥雰囲気中(相対湿度
約5%以下)で、この基板表面に前記溶液を塗布した
(塗布工程)。塗布する際には印刷機を用い、又、塗布
膜の膜厚は約1μmとなる様にした。更に、この塗布膜
に含まれるヘキサメチルジシロキサンを蒸発させた後、
基板を所定の温度にて所定時間焼成させ、配向膜を形成
した(図11(b)参照)。
【0194】続いて、配向膜が形成された基板を、非水
系溶媒であるクロロホルム中に浸漬して洗浄した(洗浄
工程、図11(c)参照)。更に、基板を所望の方向に
立てた状態でクロロホルムから引き上げてクロロホルム
を液切りした(液切り配向工程、図11(d)参照)。
液切り方向は、基板に設けられている櫛形電極の櫛歯電
極部分の長辺方向に平行となる様にした。これにより、
配向膜を構成する分子を、引き上げ方向とは反対側の液
切り方向に傾斜させて配向させることができた。
【0195】この液切り配向工程の後、フォトマスクに
よるマスキング法を用いて偏光紫外線を照射する偏光配
向工程を行った。即ち、フォトマスクにより櫛形電極の
形成領域をマスクし、紫外線の偏光方向が前記液切り方
向と一致すると共に、照射方向が基板に対して垂直とな
る様にして照射した。又、照射強度は400mJ/cm
2とした。
【0196】更に、前記フォトマスクとは異なる他のフ
ォトマスクを用い、櫛形電極の形成領域以外の領域をマ
スクして、再び偏光紫外線を照射した。このとき紫外線
の偏光方向は液切り方向と一致させたが、照射方向は液
切り方向から基板面に対して45°となる方向とした。
又、照射強度は最初の紫外線照射のときと同様とした。
【0197】一方、対向基板についても、前記各工程を
順次行うことにより、高プレチルト角領域及び低プレチ
ルト角領域を有する配向膜を形成した。
【0198】次に、基板とスペーサを散布しておき、か
つ該基板の縁部に、塗布形状が枠状となるようにシール
材を塗布した。続いて、基板及び対向基板に於ける配向
膜同士が相対するように基板と対向基板とを貼り合わせ
た。このとき、基板上に設けられた配向膜の配向処理方
向と、対向基板上に設けられた配向膜に於ける配向処理
方向が平行となる様に位置合わせしておいた。
【0199】次いで、基板及び対向基板間に、液晶材料
を注入して本発明液晶表示素子Aを作製した。
【0200】(比較例3)本比較例3に於いては、偏光
紫外線を照射する際に、偏光方向が液切り方向と一致
し、かつ照射方向が基板面に対して垂直となる方向か
ら、フォトマスクを介さずに照射した以外は、前記実施
例2と同様にして、比較用液晶表示素子Bを作製した。
【0201】[膜作製条件と表示特性]前記本発明液晶
表示素子Aと比較用液晶表示素子Bについて、それぞれ
プレチルト角及び駆動時に於ける液晶の応答速度を測定
した。それらの結果を下記表1に併記する。尚、応答速
度は、透過率が10%〜90%に変化させた際の応答時
間により求めた。
【0202】
【表2】 表2から分かる様に、本発明液晶表示素子Aに於いて
は、櫛形電極の形成領域に於ける液晶分子のプレチルト
角が約5°であった。その一方、それ以外の非形成領域
に於ける液晶分子のプレチルト角は約3°であった。
又、応答速度は約30msであった。これに対して、比
較用液晶表示素子Bについては、全領域にわたって液晶
分子のプレチルト角は約3°であった。又、応答速度は
約40msであった。以上のことから、本発明液晶表示
素子Aは、従来の製法により作製された比較用液晶表示
素子Bと比較して応答速度に優れていることが分かる。
【0203】(実施例3)最初に、配向膜形成の為、配
向膜作製用の溶液を調製した。即ち、乾燥雰囲気中で、
ヘキサメチルジシロキサンに、シラン化合物としてのC
65−CH=CH−CO−C64−O−(CH26−O
−SiCl3を混合溶解し、10-3mol/Lの溶液と
した。
【0204】次に、図11(a)に示すように、画素電
極が予め形成されているTNモード用の基板を用意し、
乾燥雰囲気中(相対湿度約5%以下)で、この基板表面
に前記溶液を塗布した(塗布工程)。塗布する際には印
刷機を用い、又、塗布膜の膜厚は約1μmとなる様にし
た。更に、この塗布膜に含まれるヘキサメチルジシロキ
サンを蒸発させた後、基板を所定の温度にて所定時間焼
成させ、配向膜を形成した(図11(b)参照)。
【0205】続いて、配向膜が形成された基板を、非水
系溶媒であるクロロホルム中に浸漬して洗浄した(洗浄
工程、図11(c)参照)。更に、基板を所望の方向に
立てた状態でクロロホルムより引き上げてクロロホルム
を液切りした(液切り配向工程、図11(d)参照)。
これにより、配向膜を構成する分子を、引き上げ方向と
は反対側の液切り方向に傾斜させて配向させることがで
きた。
【0206】この液切り配向工程の後、フォトマスクに
よるマスキング法を用いて偏光紫外線を照射する偏光配
向工程を行った。即ち、フォトマスクにより、画素領域
(80μm×240μm)の中心部(20μm×20μ
m)をマスクし、紫外線の偏光方向が前記液切り方向と
一致すると共に、照射方向が基板に対して垂直となる様
にして照射した。照射強度は400mJ/cm2とし
た。
【0207】更に、前記フォトマスクとは異なる他のフ
ォトマスクを用い、画素領域の周縁部をマスクして、再
び偏光紫外線を照射した。このとき紫外線の偏光方向は
液切り方向と一致させたが、照射方向は液切り方向から
基板面に対して45°となる方向とした。又、照射強度
は800mJ/cm2とした。
【0208】一方、対向基板についても、前記各工程を
順次行うことにより、高プレチルト角領域及び低プレチ
ルト角領域を有する配向膜を形成した。
【0209】次に、基板上にスペーサを散布しておき、
かつ該基板の縁部に、塗布形状が枠状となるようにシー
ル材を塗布した。続いて、基板及び対向基板に於ける配
向膜同士が相対するように基板と対向基板とを貼り合わ
せた。更に、基板及び対向基板間に液晶材料を注入し
て、ベンド配向された液晶層を備える本発明液晶表示素
子Aを作製した。
【0210】(比較例4)本比較例4に於いては、偏光
紫外線を照射する際に、偏光方向が液切り方向と一致
し、かつ照射方向が基板面に対して垂直となる方向か
ら、フォトマスクを介さずに照射強度400mJ/cm
2の偏光紫外線を照射した以外は、前記実施例3と同様
にして、比較用液晶表示素子Bを作製した。
【0211】(比較例5)本比較例5に於いては、光配
向法に替えてラビング処理を行った以外は、前記実施例
3と同様の方法にて比較用液晶表示素子Cを作製した。
【0212】より具体的には、以下の様にしてラビング
処理を行った。先ず、前記実施例3と同様にして、基板
上に配向膜を形成した。次に、画素領域の中心部(20
μm×20μm)をマスクした後、押し込み量0.1m
mで、前記液切り方向とは反対方向にラビング速度50
0m/分で表面をラビングした。続いて、前記マスクを
剥離した後、中心部以外の領域をマスクして、押し込み
量0.2mm、ラビング速度500m/分で表面をラビ
ングした。これにより、各画素領域に転移核を備えた配
向膜を基板上に形成した。
【0213】一方、対向基板についても、前記各工程を
順次行うことにより、所定の方向に配向処理された配向
膜を形成した。
【0214】次に、基板上にスペーサを散布しておき、
かつ該基板の縁部に、塗布形状が枠状となるようにシー
ル材を塗布した。続いて、基板及び対向基板に於ける配
向膜同士が相対するように基板と対向基板とを貼り合わ
せた。更に、基板及び対向基板間に液晶材料を注入し
て、ベンド配向された液晶層を備える比較用液晶表示素
子Cを作製した。
【0215】[膜作製条件と表示特性]前記本発明液晶
表示素子A、及び比較用液晶表示素子B、Cについて、
それぞれプレチルト角を測定すると共に、スプレイ−ベ
ンド転移電圧を測定した。更に、偏光顕微鏡を用いて駆
動時の液晶の配向均一性、即ち明るさのムラを観察し
た。それらの結果を下記表1に併記する。尚、配向均一
性は、明るさが均一で良好な場合を○、やや不均一の場
合を△として評価した。
【0216】
【表3】
【0217】表3から分かる様に、本発明液晶表示素子
A及び比較用液晶表示素子Bに於いては、それぞれプレ
チルト角が約7度又は5度の転移核が形成されているこ
とが確認された。更に、電圧を印加して各液晶表示素子
を駆動させると、本発明液晶表示素子Aが、比較用液晶
表示素子B、Cよりも、スプレイ−ベンド転移電圧が低
いことが分かった。
【0218】更に、本発明液晶表示素子Aについては、
配向処理工程に於いて光配向法を採用したことから、ラ
ビング処理を採用した比較用液晶表示素子Bと比較し
て、転移核及びその他の領域共に配向均一性に優れてい
た。これは、本発明液晶表示素子Aに於いて、レジスト
の剥離等を行う必要がないことから、配向膜表面の劣化
を防止できた為である。
【0219】
【発明の効果】本発明は、以上のように説明した形態で
実施され、以下に述べるような効果を奏する。
【0220】即ち、一対の基板間に、初期配向状態が捻
れ配向構造の液晶層を備えたツイステッドネマティック
配向モードの液晶表示素子に於いて、液晶層に於ける画
素領域毎に、それらの周縁部に横電界抑制領域を設ける
ことにより、周縁部が横電界の影響を受けてもリバース
チルトの発生を抑制することができる。その結果、周縁
部と、周縁部以外の内部領域との境界でディスクリネー
ションが発生するのを防止でき、コントラスト等の表示
特性に優れた液晶表示素子を提供することができる。
【0221】又、一対の基板間に液晶層が設けられ、基
板上に一対の電極が設けられたIPSモードの液晶表示
素子に於いて、前記液晶層が、前記電極上に、電極上の
電界成分により液晶の配列を変化させる第1領域を有す
ると共に、前記一対の電極の間の領域上に、横電界成分
により液晶の配列を変化させる第2領域を有する構成と
することにより、電界を印加した場合にも、第1領域に
於ける液晶の配列状態を変化させる。これにより、初期
状態から新たな配列状態に液晶が転移しようとする際、
第1領域と第2領域の境界部分で配列状態の連続性を維
持してスムーズなものにすることができ、応答性の向上
を図ることができる。
【0222】さらに、本発明に係るOCBモードの液晶
表示素子によれば、感光性基を備えた薄膜構成分子から
なる配向膜に、液晶分子を他の領域よりも高プレチルト
角に配向させた高プレチルト角領域を設けることによ
り、スプレイ配向からベンド配向への転移を促進させる
転移核発生領域を液晶層に設けているので、スプレイ−
ベンド転移電圧の低減を図ることができる。
【0223】又、本発明に係るOCBモードの液晶表示
素子の製造方法によれば、光配向法を用いて配向膜の配
向処理を行うので、ラビング処理で行われていたフォト
レジストの現像及び剥離を行う必要がない。よって、製
造工程数を大幅に減らせると共に、配向膜表面の劣化を
防止することができる。この結果、配向均一性に優れた
配向膜を有し、かつスプレイ−ベンド転移電圧を低減さ
せた液晶表示素子を製造できるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態に係るTNモードの液晶表
示素子を概略的に示す斜視図である。
【図2】上記液晶表示素子に於いて、1画素に於ける液
晶分子の配向状態を模式的に示す斜視図である。
【図3】上記液晶表示素子の製造方法に於いて、配向膜
の光配向法による配向処理を説明する為の斜視図であ
る。
【図4】本発明の実施の形態に係るIPSモードの液晶
表示素子を概略的に示す斜視図である。
【図5】上記液晶表示素子に於ける画素電極体及び対向
電極体からなる電極対を概略的に示す平面図である。
【図6】上記液晶表示素子に於ける液晶分子の配向状態
を模式的に示す斜視図である。
【図7】上記液晶表示素子に於いて、第1領域及び第2
領域に於ける液晶分子の配向状態を模式的に示す断面図
であって、図7(a)は電圧無印加時の場合を表し、図
7(b)は電圧印加時の場合を表す。
【図8】上記液晶表示素子の製造方法に於いて、配向膜
の光配向法による配向処理を説明する為の斜視図であ
る。
【図9】本発明に係る配向膜の、1画素に於ける液晶分
子の配向状態を模式的に示す斜視図である。
【図10】上記液晶表示素子の製造方法に於いて、配向
膜の光配向法による配向処理を説明する為の斜視図であ
る。
【図11】本発明の実施例1に係る液晶表示素子の製造
方法に於いて、主要な製造工程を概略的に示した説明図
である。
【符号の説明】
1 基板 2 対向基板 3 液晶層 4 画素電極 5 対向電極 6 配向膜 6a 高プレチルト角領域 6b 低プレチルト角領域 7 配向膜 8、9 液晶分子 10 液晶表示素子 21 偏光紫外線(第2の偏光) 22 偏光紫外線(第1の偏光) 23 液切り方向 101 基板(一方の基板) 102 対向基板(他方の基板) 103 液晶層 104 画素電極体 104a 画素電極部分 104b 連結電極部分 105 対向電極体 105a 対向電極部分 105b 連結電極部分 106 配向膜 106a 高プレチルト角領域 106b 低プレチルト角領域 107 配向膜 108、109、118、119 液晶分子 110 液晶表示素子 121 偏光紫外線(第2の偏光) 122 偏光紫外線(第1の偏光) 123 液切り方向 201 配向膜 201a 高プレチルト角領域 201b 低プレチルト角領域 202a、202b 領域 203 偏光紫外線(第2の偏光) 204 偏光紫外線(第1の偏光) 205 液切り方向
フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) G02F 1/1343 G02F 1/1343 (72)発明者 武部 尚子 大阪府門真市大字門真1006番地 松下電器 産業株式会社内 (72)発明者 上村 強 大阪府門真市大字門真1006番地 松下電器 産業株式会社内 (72)発明者 小川 一文 大阪府門真市大字門真1006番地 松下電器 産業株式会社内 Fターム(参考) 2H090 HB12Y JC19 KA05 LA01 LA04 MA10 MB14 2H092 GA14 HA06 JA24 NA01 NA05 PA02 QA07 4J011 CA08 CC10 4J100 AF10P AL21P BA71P BC43P

Claims (36)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 初期配向状態が捻れ配向モードの液晶層
    を、一対の基板間に備えたツイステッドネマティック配
    向モードの液晶表示素子であって、 前記液晶層に於ける画素領域の周縁部には、当該画素領
    域の内部領域よりも液晶分子を高プレチルト角で配向さ
    せた横電界抑制領域が設けられていることを特徴とする
    液晶表示素子。
  2. 【請求項2】 前記一対の基板の内側には、液晶分子を
    所定の方向に配向させる配向膜が設けられており、 前記配向膜は、前記横電界抑制領域に、液晶分子を高プ
    レチルト角で初期配向させる高プレチルト角領域を有す
    る一方、前記内部領域に、液晶分子を低プレチルト角で
    初期配向させる低プレチルト角領域を有することを特徴
    とする請求項1に記載の液晶表示素子。
  3. 【請求項3】 前記配向膜が感光性基を有する薄膜構成
    分子を少なくとも含み構成され、当該感光性基同士が所
    望の方向に重合固定されていることを特徴とする請求項
    2に記載の液晶表示素子。
  4. 【請求項4】 前記配向膜は、感光性基を備えたシラン
    系化合物分子を少なくとも含む分子の集合群が前記一対
    の基板上に結合・固定してなる薄膜であることを特徴と
    する請求項2に記載の液晶表示素子。
  5. 【請求項5】 前記分子の集合群が所定方向に傾斜して
    いると共に、前記シラン系化合物分子に於ける感光性基
    同士が前記所定方向に重合固定されていることを特徴と
    する請求項4に記載の液晶表示素子。
  6. 【請求項6】 前記配向膜が単分子膜であることを特徴
    とする請求項4又は請求項5に記載の液晶表示素子。
  7. 【請求項7】 初期配向状態が捻れ配向構造の液晶層
    を、一対の基板間に備えたツイステッドネマティック配
    向モードの液晶表示素子の製造方法に於いて、 前記一対の基板上に、それぞれ配向膜を形成する配向膜
    形成工程と、 前記配向膜のそれぞれに配向処理を行う配向処理工程で
    あって、 前記液晶層に於ける画素領域の周縁部に対応する領域
    と、周縁部以外の内部領域に対応する領域とで配向処理
    条件を異ならせることにより、前記周縁部に対応する領
    域に、液晶分子を高プレチルト角で配向させる高プレチ
    ルト角領域を形成する一方、前記内部領域に対応する領
    域に、液晶分子を低プレチルト角で配向させる低プレチ
    ルト角領域を形成する配向処理工程と、 前記一対の基板を貼り合わせる貼り合わせ工程と、 前記一対の基板間に液晶を注入することにより前記液晶
    層を形成する液晶注入工程と、を備えることにより、 前記液晶層に於ける画素領域の周縁部に、前記内部領域
    よりも液晶分子を高プレチルト角で配向させる横電界抑
    制領域を形成することを特徴とする液晶表示素子の製造
    方法。
  8. 【請求項8】 前記配向処理工程は、前記配向膜の形成
    された基板面に偏光を照射して配向処理する偏光配向工
    程であり、 前記画素領域の周縁部に照射する第1の偏光の照射強度
    を、前記周縁部以外の画素領域に照射する第2の偏光の
    照射強度よりも大きくして偏光照射を行うことを特徴と
    する請求項7に記載の液晶表示素子の製造方法。
  9. 【請求項9】 前記配向処理工程は、前記配向膜の形成
    された基板面に偏光を照射して配向処理する偏光配向工
    程であり、 前記形成領域に照射する第1の偏光の偏光面と、前記非
    形成領域に照射する第2の偏光の偏光面とを平行にさせ
    ると共に、前記第1の偏光の前記基板面に対する入射角
    を、前記第2の偏光の入射角よりも小さくして偏光照射
    を行うことを特徴とする請求項7に記載の液晶表示素子
    の製造方法。
  10. 【請求項10】 前記配向膜形成工程は、乾燥雰囲気中
    で、感光性基を有するシラン系化合物を前記基板表面に
    接触させて、前記シラン系化合物を化学吸着させること
    により配向膜を形成する工程であることを特徴とする請
    求項7〜請求項9の何れか1項に記載の液晶表示素子の
    製造方法。
  11. 【請求項11】 前記配向膜形成工程の直後に、前記配
    向膜の形成された基板面を洗浄液を用いて洗浄し、未吸
    着のシラン系化合物を除去する洗浄工程と、洗浄後の前
    記基板を一定の方向に立てて基板面上に残った洗浄液を
    液切り乾燥することにより、基板面に吸着したシラン系
    化合物分子を仮配向させる工程とを備え、 前記液切り方向は、前記偏光配向工程に於ける偏光の偏
    向面と平行であることを特徴とする請求項10に記載の
    液晶表示素子の製造方法。
  12. 【請求項12】 一対の基板間に液晶層が設けられ、か
    つ前記一対の基板のうち、一方の基板上に一対の電極が
    設けられたインプレーンスイッチング型の液晶表示素子
    に於いて、 前記液晶層は、 前記電極上に設けられ、液晶の配列を電極上の電界成分
    により制御する第1領域と、 前記一対の電極の間に対応する領域であって、液晶の配
    列を横電界成分により制御する第2領域とを有し、 前記第1領域に於ける液晶分子のプレチルト角は、前記
    第2領域に於ける液晶分子のプレチルト角よりも大きい
    ことを特徴とする液晶表示素子。
  13. 【請求項13】 前記一方の基板の内側には、液晶分子
    をほぼ同一方向に配向させる配向膜が設けられており、 前記配向膜は、前記一対の電極上に、液晶分子を高プレ
    チルト角で初期配向させる高プレチルト角領域を有する
    一方、前記一対の電極間に、液晶分子を低プレチルト角
    で初期配向させる低プレチルト角領域を有することを特
    徴とする請求項12に記載の液晶表示素子。
  14. 【請求項14】 前記配向膜は、前記電極に近づく程、
    連続的に又は段階的にプレチルト角を大きくして液晶分
    子を配向規制することを特徴とする請求項13に記載の
    液晶表示素子。
  15. 【請求項15】 前記一対の電極は透明電極であること
    を特徴とする請求項12〜請求項13の何れか1項に記
    載の液晶表示素子。
  16. 【請求項16】 前記配向膜が感光性基を有する薄膜構
    成分子を少なくとも含み構成され、当該感光性基同士が
    所望の方向に重合固定されていることを特徴とする請求
    項13又は請求項14に記載の液晶表示素子。
  17. 【請求項17】 前記配向膜は、感光性基を備えたシラ
    ン系化合物分子を少なくとも含む分子の集合群が前記一
    対の基板上に結合・固定してなる薄膜であることを特徴
    とする請求項13又は請求項14に記載の液晶表示素
    子。
  18. 【請求項18】 前記分子の集合群が所定方向に傾斜し
    ていると共に、前記シラン系化合物分子に於ける感光性
    基同士が前記所定方向に重合固定されていることを特徴
    とする請求項17に記載の液晶表示素子。
  19. 【請求項19】 前記配向膜が単分子膜であることを特
    徴とする請求項17又は請求項18に記載の液晶表示素
    子。
  20. 【請求項20】 一対の基板間に液晶層が設けられ、か
    つ前記一対の基板のうち、一方の基板上に一対の電極が
    設けられたインプレーンスイッチング型の液晶表示素子
    の製造方法であって、 前記一方の基板上に配向膜を形成する配向膜形成工程
    と、 前記配向膜に配向処理を行う配向処理工程であって、 前記一対の電極上の領域と、一対の電極の間に対応する
    領域とで配向処理条件を異ならせることにより、前記一
    対の電極上の領域に、液晶分子を高プレチルト角で配向
    させる高プレチルト角領域を形成する一方、前記一対の
    電極の間に対応する領域に、液晶分子を低プレチルト角
    で配向させる低プレチルト角領域を形成する配向処理工
    程と、 前記一対の基板を貼り合わせる貼り合わせ工程と、 前記一対の基板間に液晶を注入することにより前記液晶
    層を形成する液晶注入工程とを備えることにより、 前記液晶層に、 前記電極上に設けられ、液晶の配列を電極上の電界成分
    により制御する第1領域と、 前記一対の電極の間に対応する領域であって、液晶の配
    列を横電界成分により制御する第2領域とを形成するこ
    とを特徴とする液晶表示素子の製造方法。
  21. 【請求項21】 前記配向処理工程は、前記配向膜の形
    成された基板面に偏光を照射して配向処理する偏光配向
    工程であり、 前記一対の電極上の領域に照射する第1の偏光の照射強
    度を、前記一対の電極の間に対応する領域に照射する第
    2の偏光の照射強度よりも大きくして偏光照射を行うこ
    とを特徴とする請求項20に記載の液晶表示素子の製造
    方法。
  22. 【請求項22】 前記配向処理工程は、前記配向膜の形
    成された基板面に偏光を照射して配向処理する偏光配向
    工程であり、 前記一対の電極上の領域に照射する第1の偏光の偏光面
    と、前記一対の電極の間に対応する領域に照射する第2
    の偏光の偏光面とを平行にさせると共に、前記第1の偏
    光の前記基板面に対する入射角を、前記第2の偏光の入
    射角よりも小さくして偏光照射を行うことを特徴とする
    請求項20又は請求項21に記載の液晶表示素子の製造
    方法。
  23. 【請求項23】 前記配向膜形成工程は、乾燥雰囲気中
    で、感光性基を有するシラン系化合物を前記基板表面に
    接触させて、前記シラン系化合物を化学吸着させること
    により配向膜を形成する工程であることを特徴とする請
    求項20〜請求項22の何れか1項に記載の液晶表示素
    子の製造方法。
  24. 【請求項24】 前記配向膜形成工程の直後に、前記配
    向膜の形成された基板面を洗浄液を用いて洗浄し、未吸
    着のシラン系化合物を除去する洗浄工程と、 洗浄後の前記基板を一定の方向に立てて基板面上に残っ
    た洗浄液を液切り乾燥することにより、基板面に吸着し
    たシラン系化合物分子を仮配向させる工程とを備え、 前記液切り方向は、前記偏光配向工程に於ける偏光の偏
    向面と平行であることを特徴とする請求項23に記載の
    液晶表示素子の製造方法。
  25. 【請求項25】 それぞれ配向膜を備えた一対の電極付
    きの基板間に、スプレイ配向されている液晶層が設けら
    れた液晶表示素子に於いて、 前記一対の配向膜のうち少なくとも一方の配向膜が、感
    光性基を有する薄膜構成分子からなり、かつ液晶分子を
    他の領域よりも高プレチルト角で配向させる高プレチル
    ト角領域を有しており、 前記液晶層は、 前記電極に電圧を印加することによりスプレイ配向から
    ベンド配向への転移を促進させる転移核発生領域であっ
    て、前記高プレチルト角領域により形成された転移核発
    生領域を有することを特徴とする液晶表示素子。
  26. 【請求項26】 前記転移核発生領域が、前記液晶層に
    於ける各画素領域毎に少なくとも1つ設けられているこ
    とを特徴とする請求項25に記載の液晶表示素子。
  27. 【請求項27】 前記一方の配向膜は、感光性基を有す
    るシラン系化合物分子の集合群が前記基板上に結合・固
    定してなる薄膜であることを特徴とする請求項25又は
    請求項26に記載の液晶表示素子。
  28. 【請求項28】 前記シラン系化合物分子が直鎖状炭化
    水素鎖を有することを特徴とする請求項27に記載の液
    晶表示素子。
  29. 【請求項29】 前記薄膜構成分子に於ける感光性基部
    が所望の方向に重合固定されていることを特徴とする請
    求項25又は請求項26に記載の液晶表示素子。
  30. 【請求項30】 前記配向膜が単分子膜であることを特
    徴とする請求項25〜請求項29の何れか1項に記載の
    液晶表示素子。
  31. 【請求項31】 前記感光性基がシンナモイル基又はカ
    ルコニル基であることを特徴とする請求項25〜請求項
    30の何れか1項に記載の液晶表示素子。
  32. 【請求項32】 それぞれ配向膜を備えた一対の電極付
    きの基板間に、スプレイ配向されている液晶層が設けら
    れた液晶表示素子の製造方法に於いて、 前記一対の基板のうち少なくとも一方の基板上に、感光
    性基を有する薄膜構成分子からなる配向膜を形成する配
    向膜形成工程と、 前記配向膜に光配向法により配向処理を行う配向処理工
    程であって、照射条件を異ならせることにより、液晶分
    子を他の領域よりも高プレチルト角で配向させる高プレ
    チルト角領域を形成する配向処理工程と、 前記一対の基板を貼り合わせる貼り合わせ工程と、 前記一対の基板間に液晶を注入することにより前記液晶
    層を形成する液晶注入工程と、を備えることにより、 前記液晶層に、前記電極に電圧を印加することによりス
    プレイ配向からベンド配向への転移を促進させる転移核
    発生領域であって、前記高プレチルト角領域により形成
    された転移核発生領域を形成することを特徴とする液晶
    表示素子の製造方法。
  33. 【請求項33】 前記配向処理工程は、前記他の領域に
    照射する偏光よりも照射強度の強い偏光を所定の領域に
    照射することにより、当該所定の領域に前記高プレチル
    ト角領域を形成することを特徴とする請求項32に記載
    の液晶表示素子の製造方法。
  34. 【請求項34】 前記配向処理工程は、前記他の領域に
    照射する偏光よりも入射角の小さい偏光を所定の領域に
    照射することにより、当該所定の領域に前記高プレチル
    ト角領域を形成することを特徴とする請求項32に記載
    の液晶表示素子の製造方法。
  35. 【請求項35】 前記配向膜形成工程は、乾燥雰囲気中
    で、感光性基を有するシラン系化合物を前記基板表面に
    接触させて、該シラン系化合物を化学吸着させることに
    より配向膜を形成する工程であることを特徴とする請求
    項32〜請求項34の何れか1項に記載の液晶表示素子
    の製造方法。
  36. 【請求項36】 前記配向膜形成工程の直後に、前記配
    向膜の形成された基板面を洗浄液を用いて洗浄し、未吸
    着のシラン系化合物を除去する洗浄工程と、洗浄後の前
    記基板を一定の方向に立てて基板面上に残った洗浄液を
    液切り乾燥することにより、基板面に吸着したシラン系
    化合物分子を仮配向させる工程とを備え、前記液切り方
    向は、前記偏光配向工程に於ける偏光の偏向面と平行で
    あることを特徴とする請求項35に記載の液晶表示素子
    の製造方法。
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