JP2001348365A - 保護アミノ酸塩の製造法 - Google Patents

保護アミノ酸塩の製造法

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JP2001348365A
JP2001348365A JP2000171100A JP2000171100A JP2001348365A JP 2001348365 A JP2001348365 A JP 2001348365A JP 2000171100 A JP2000171100 A JP 2000171100A JP 2000171100 A JP2000171100 A JP 2000171100A JP 2001348365 A JP2001348365 A JP 2001348365A
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alkali metal
substituted amino
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JP2000171100A
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Toshiaki Arai
利明 荒井
Shigeru Aoki
茂 青木
Kiyoshi Kosuge
清 小管
Yuzo Yasuboshi
有三 安星
Mamoru Ishida
守 石田
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Nippon Kayaku Co Ltd
Original Assignee
Nippon Kayaku Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】アミノ酸に対し、アルカリ金属水酸化物を添加
し反応させ、最も高収率かつ高品質で不純物のない D
ane Saltの製造方法を提供することにある。 【解決手段】一般式(1) 【化1】 (式中、Rは置換を有していてもよいフェニル基又は
シクロヘキサジエニル基を示す)で表される1−置換ア
ミノ酸とアルカリ金属水酸化物を有機溶媒中に添加し、
電位偏曲点で添加を止めて一般式(1)で表わされる1
−置換アミノ酸のアルカリ金属塩を得、次いで得られた
1−置換アミノ酸のアルカリ金属塩を一般式(2) RCOCHCOOR(2) (式中、Rは炭素数1〜4のアルキル基又はフェニル
基を示し、Rは炭素数1〜4のアルキル基を示す)で
表わされるアシル酢酸エステルと脱水縮合することを特
徴とする一般式(3) 【化2】 (式中、R、R、Rは前記した通り、Mはアルカ
リ金属を示す)で表わされる保護アミノ酸塩の製造法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は1−置換アミノ酸ア
ルカリ金属塩の製造法に関し、特に1−置換アミノ基が
アシル酢酸エステルで保護された1−置換アミノ酸塩
(以下、DaneSalt)の製造法に関する。
【0002】
【従来の技術】Dane Salt はβ−ラクタム系の
抗生物質、例えばアンピシリン、セファレキシン、アモ
キシシリン、セファドロキシルなどの製造に用いられる
中間原料として重要な化合物である。Dane Sal
t の製造は、有機溶媒中でアミノ酸とアルカリ金属水
酸化物を反応させ、アミノ酸アルカリ金属塩を作り、そ
れにアセト酢酸エステルを脱水縮合して製造される(A
ngew・chem、74巻、873頁、1962年、
特公昭42−15947号、特公昭46−41557
号)。更には、これらの反応を窒素ガス又は還元剤の存
在下に行い、安定性の優れた Dane Saltを得る
方法が報告されている(特許第2554271号)。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかし、上記方法では
不純物の混入が避けられず、得られたDane Sal
tの品質の低下という問題がある。本発明の目的は高収
率で高品質の DaneSaltを得る方法を提供する
ことにある。
【0004】
【課題を解決するための手段】そこで、本発明者らは鋭
意検討の結果、1−置換アミノ酸を有機溶媒中に添加し
アルカリ金属水酸化物を徐々に添加していくと、明確な
電位偏曲点があり、この偏曲点でアルカリ金属水酸化物
の添加を止め、得られた1−置換アミノ酸アルカリ金属
塩を使用してアシル酢酸エステルと脱水縮合反応を行う
と、収率が優れかつ不純物を含まない純度の高い Da
ne Salt が得られることを見出し、本発明を完成
するに至った。すなわち、本発明は次の〜に関す
る。
【0005】一般式(1)
【化4】 (式中、Rは置換を有していてもよいフェニル基又は
シクロヘキサジエニル基を示す)で表される1−置換ア
ミノ酸とアルカリ金属水酸化物を有機溶媒中に添加し、
電位偏曲点で添加を止めて一般式(1)で表わされる1
−置換アミノ酸のアルカリ金属塩を得、次いで得られた
1−置換アミノ酸のアルカリ金属塩を一般式(2) RCOCHCOOR(2) (式中、Rは炭素数1〜4のアルキル基又はフェニル
基を示し、 Rは炭素数1〜4のアルキル基を示す)
で表わされるアシル酢酸エステルと脱水縮合することを
特徴とする一般式(3)
【化5】 (式中、R、R、Rは前記した通り、Mはアルカ
リ金属を示す)で表わされる保護アミノ酸塩の製造法。 有機溶媒がアルコ−ル類である記載の製造法。 有機溶媒が低級アルコ−ルである記載の製造法。 Rがフェニル基、p−ヒドロキシフェニル基又はシ
クロヘキサジエニル基であり、Rがメチル基又はエチ
ル基、Rがメチル基又はエチル基である〜のいず
れかに記載の製造法。 一般式(1)
【化6】 (式中、Rは置換基を有していてもよいフェニル基又
はシクロヘキサジエニル基を示す)で表わされる1−置
換アミノ酸とアルカリ金属水酸化物を実質的に含有しな
い一般式(1)で表わされる1−置換アミノ酸のアルカ
リ金属塩。
【0006】
【発明の実施の形態】通常、有機溶媒中での電位測定は
不正確で精度が悪いと考えられていた。本発明において
は、1−置換アミノ酸に対しアルカリ金属水酸化物を有
機溶媒中に徐々に添加し、これを連続的に電位測定する
と明確な電位偏曲点(中和点)を示し、中和曲線が得ら
れることを見い出した。後記する実施例1に基づく中和
曲線を図1に示した。この知見に基づいて、電位偏曲点
を見い出し、1−置換アミノ酸が過剰な場合には1−置
換アミノ酸に対しアルカリ金属水酸化物又はアルカリ金
属水酸化物が過剰な場合にはアルカリ金属水酸化物に対
し1−置換アミノ酸を添加して、1−置換アミノ酸アル
カリ金属塩を合成することができたものである。一般式
(1)において、Rは、通常、置換基を有していても
よいフェニル基又はシクロヘキサジエニル基である。フ
ェニル基の置換基としては、通常水酸基、炭素数1〜4
のアルキル基(例えば、メチル基、エチル基、n−プロ
ピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル
基、sec−ブチル基又はt−ブチル基)又はフッ素原
子、塩素原子、臭素原子もしくはヨウ素原子等のハロゲ
ン原子等が挙げられる。フェニル基上の置換基の数は、
1〜5の範囲であればいくつあっても構わない。また、
フェニル基上の置換基の種類は同じであってもよいし、
異なっていてもよい。フェニル基上の置換基の数が1つ
の場合、その置換基は、フェニル基に対してo−位(オ
ルト)、m−位(メタ)又はp−位(パラ)のいずれの
配位をとることもできるが、p−位が好ましい。シクロ
ヘキサジエニル基は、例えば1,3−シクロヘキサジエ
ン−1−イル基、1,4−シクロヘキサジエン−1−イ
ル基、1,5−シクロヘキサジエン−1−イル基、2,4
−シクロヘキサジエン−1−イル基又は2,5−シクロ
ヘキサジエン−1−イル基が挙げられる。また、シクロ
ヘキサジエニル基も置換基を有することができ、置換基
としては、例えば水酸基、炭素数1〜4のアルキル基
(例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソ
プロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブ
チル基又はt−ブチル基)又はフッ素原子、塩素原子、
臭素原子もしくはヨウ素原子等のハロゲン原子等が挙げ
られる。置換基の数は、1〜7の範囲であればいくつあ
っても構わない。また、置換基の種類は同じであっても
よいし、異なっていてもよい。Rとしては、フェニル
基、p−ヒドロキシフェニル基又は1,4−シクロヘキ
サジエン−1−イル基が好ましい。
【0007】一般式(1)で表わされる1−置換アミノ
酸としては、例えばフェニルグリシン、p−ヒドロキシ
フェニルグリシン、p−メチルフェニルグリシン、p−
エチルフェニルグリシン、p−n−プロピルフェニルグ
リシン、p−i−プロピルフェニルグリシン、p−n−
ブチルフェニルグリシン、p−フルオロフェニルグリシ
ン、p−クロロフェニルグリシン、p−ブロモフェニル
グリシン、p−ヨ−ドフェニルグリシン、m−ヒドロキ
シフェニルグリシン、o−ヒドロキシフェニルグリシ
ン、o,p−ジヒドロキシフェニルグリシン、o−クロ
ロフェニルグリシン、o−エチル−p−ヒドロキシフェ
ニルグリシン、1,3−シクロヘキサジエン−1−イル
−フェニルグリシン、1,4−シクロヘキサジエン−1
−イル−フェニルグリシン、1,5−シクロヘキサジエ
ン−1−イル−フェニルグリシン、2,4−シクロヘキ
サジエン−1−イル−フェニルグリシン、2,5−シク
ロヘキサジエン−1−イル−フェニルグリシン、4−メ
チル−1,4−シクロヘキサジエン−1−イル−フェニ
ルグリシン、4−フルオロ−1,4−シクロヘキサジエ
ン−1−イル−フェニルグリシン、4−クロロ−1,4
−シクロヘキサジエン−1−イル−フェニルグリシン、
4−ブロモ−1,4−シクロヘキサジエン−1−イル−
フェニルグリシン、4−ヨ−ド−1,4−シクロヘキサ
ジエン−1−イル−フェニルグリシン、2,4−ジヒド
ロキシ−1,4−シクロヘキサジエン−1−イル−フェ
ニルグリシン、4−ヒドロキシ−1,4−シクロヘキサ
ジエン−1−イル−フェニルグリシン、2−クロロ−4
−ヒドロキシ−1,4−シクロヘキサジエン−1−イル
−フェニルグリシン、3−ヒドロキシ−1,4−シクロ
ヘキサジエン−1−イル−フェニルグリシン、4−メチ
ル−2,5−シクロヘキサジエン−1−イル−フェニル
グリシン、4−フルオロ−2,5−シクロヘキサジエン
−1−イル−フェニルグリシン、4−クロロ−2,5−
シクロヘキサジエン−1−イル−フェニルグリシン、4
−ブロモ−2,5−シクロヘキサジエン−1−イル−フ
ェニルグリシン、4−ヨ−ド−1,4−シクロヘキサジ
エン−1−イル−フェニルグリシン、2,4−ジヒドロ
キシ−2,5−シクロヘキサジエン−1−イル−フェニ
ルグリシン、4−ヒドロキシ−2,5−シクロヘキサジ
エン−1−イル−フェニルグリシン、2−クロロ−4−
ヒドロキシ−2,5−シクロヘキサジエン−1−イル−
フェニルグリシン又は3−ヒドロキシ−2,5−シクロ
ヘキサジエン−1−イル−フェニルグリシンが挙げられ
るが、フェニルグリシン、p−ヒドロキシフェニルグリ
シン又は1,4−シクロヘキサジエン−1−イル−フェ
ニルグリシンが好ましい。これらの1−置換アミノ酸は
ラセミ体であっても、D体であっても、L体であっても
よい。
【0008】一般式(2)のRは、通常炭素数1〜4
のアルキル基又はフェニル基を示し、アルキル基として
は、例えばメチル基、エチル基、n−プロピル基、イソ
プロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブ
チル基又はt−ブチル基が挙げられるが、メチル基又は
エチル基が好ましい。また、フェニル基は置換基を有す
ることもでき、例えば水酸基、炭素数1〜4のアルキル
基もしくはフッ素原子、塩素原子、臭素原子又はヨウ素
原子等のハロゲン原子等を挙げることができる。その置
換基はフェニル基に対してo−位(オルト)、m−位
(メタ)又はp−位(パラ)のいずれの配位を取ること
もでき、フェニル基上の置換基の数はいくつあっても構
わないし、置換基の種類も同じであっても異なっていて
もよい。
【0009】一般式(2)のRは、通常炭素数1〜4
のアルキル基を示し、アルキル基としては、例えばメチ
ル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n
−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基又はt−
ブチル基が挙げられるが、メチル基又はエチル基が好ま
しい。
【0010】式(2)で表されるアシル酢酸エステルの
代表例を表1に示す。 表1 式(2)で表されるアシル酢酸エステルの代表例 化合物 R 1 CH CH 2 CH CHCH 3 CH CHCHCH 4 CH CH(CH 5 CH CHCHCHCH 6 CH C(CH 7 CHCH CH 8 CHCH CHCH 9 CHCH CH(CH 10 CHCH C(CH 11 CHCHCH CH 12 CHCHCHCH CH 13 C CH 14 p−HOC CH 15 p−CH CH 16 p−CHCH CH 17 m−HOC CH 18 o−Cl−p−HOC CH 19 p−ClC CH 20 o,p−di−HOC CH 表1中でo−、m−、p−はそれぞれフェニル基に対し
て、それぞれオルト位、メタ位、パラ位を示す。また、
式(2)で表されるアシル酢酸エステルでは、化合物
1、化合物2、化合物7又は化合物8が好ましい。
【0011】一般式(3)におけるR、R、R
しては、上記と同じ基があげられる。また、一般式
(3)において、Mのアルカリ金属としては、例えばナ
トリウム、カリウム等があげられる。R、R、R
の組み合わせとして、Rが、例えばフェニル基、p−
ヒドロキシフェニル基又は1,4−シクロヘキサジエン
−1−イル基を取り得る場合、Rとしては、例えばメ
チル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、
n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基もしく
はt−ブチル基等の炭素数1〜4のアルキル基又はフェ
ニル基が挙げられ、メチル基又はエチル基が好ましく、
としては、例えばメチル基、エチル基、n−プロピ
ル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、
sec−ブチル基又はt−ブチル基等の炭素数1〜4の
アルキル基が挙げられ、メチル基又はエチル基が好まし
い。
【0012】本発明の一般式(3)で表わされる保護ア
ミノ酸塩の製造法は、上記一般式(1)で表される1−
置換アミノ酸とアルカリ金属水酸化物を有機溶媒中に添
加し、電位を測定しながら電位偏曲点を見い出して、添
加を止めて一般式(1)で表わされる1−置換アミノ酸
のアルカリ金属塩を得、次いで得られた1−置換アミノ
酸のアルカリ金属塩を一般式(2)で表わされるアシル
酢酸エステルと脱水縮合することを特徴とする。電位偏
曲点は、1−置換アミノ酸に対しアルカリ金属水酸化物
を有機溶媒中に徐々に添加し、これを連続的に電位測定
して電位が急激に変化する点のことである。例えば、電
位差またはその変動を測定するpHメーターによると、
電位偏曲点のpH値は、条件によっても異なるが、好ま
しくは11.5〜15.5の範囲にあり、後記の図1で
は12.5〜14.5の範囲にある。なお、このpH値
は、デジタルpHメーターによる数値である。デジタル
pHメーターによると、pH14以上も測定することが
できる。得られたpH値はデジタルpHメーターを使用
したものであるが、アナログのpHメーターも使用でき
る。
【0013】本発明の製造法に用いるアルカリ金属水酸
化物としては、例えば水酸化ナトリウム、水酸化カリウ
ムなどが挙げられる。
【0014】本発明の製造法に用いる有機溶媒として
は、通常撹拌反応して1−置換アミノ酸アルカリ金属塩
が溶解するものであれば良いが、アルコ−ル類が好まし
い。アルコ−ル類としては、具体的に低級アルコ−ル又
は多価アルコ−ルが挙げられる。より具体的には、低級
アルコ−ルとしては、例えばメタノ−ル、エタノ−ル、
イソプロパノ−ル、n−プロパノ−ル、n−ブタノ−
ル、イソブタノ−ル、sec−ブタノ−ル又はt−ブタ
ノ−ル等の炭素数1〜4のアルコ−ルが挙げられ、多価
アルコ−ルとしては、例えばプロピレングリコ−ル等の
二価アルコ−ル又はグリセリン等の三価アルコ−ルが挙
げられる。本発明に用いる有機溶媒としては、メタノ−
ル、エタノ−ル、イソプロパノ−ル又はn−プロパノ−
ルが好ましい。
【0015】式(2)のアシル酢酸エステルは公知の方
法、例えばジケテンとアルコ−ルを反応させて得ること
ができる。
【0016】本発明の製造法を実施するには、例えば有
機溶媒(例えば、メタノ−ル、エタノ−ル、イソプロパ
ノ−ル、n−プロパノ−ル、n−ブタノ−ル、イソブタ
ノ−ル、sec−ブタノ−ルもしくはt−ブタノ−ル等
の低級アルコ−ル、プロピレングリコ−ル等の二価アル
コ−ル又はグリセリン等の三価アルコ−ル)中、1−置
換アミノ酸 {式(1)の化合物} とこれに対し1.0当
量以下、好ましくは0.95〜0.99当量、より好ま
しくは0.95〜0.98当量のアルカリ金属水酸化物
(例えば、水酸化ナトリウム又は水酸化カリウム)を添
加(通常、固体状のものをそのまま添加するが、これを
溶解させることのできる溶媒に溶解させた溶液として添
加することもできる)して、通常30℃〜100℃、好
ましくは30℃〜85℃、より好ましくは40℃〜70
℃で加熱し、次いで追加のアルカリ金属水酸化物を少量
ずつ添加して電位測定(例えば、反応液中の電位差又は
pHを測定)することにより電位偏曲点(中和点)を見
い出して添加を中止すれば、反応させた1−置換アミノ
酸アルカリ金属塩を正確に定量的に得ることができる。
1−置換アミノ酸に対して最初にアルカリ金属水酸化物
を添加した時、また、アルカリ金属水酸化物を更に追加
して添加した時に1−置換アミノ酸の当量数に対してア
ルカリ金属水酸化物の当量数が多い場合には、1−置換
アミノ酸を追加して1−置換アミノ酸アルカリ金属塩を
正確に定量的に得ることができる。反応は、通常15分
間〜2.0時間で完結する。有機溶媒の量としては、通
常1−置換アミノ酸アルカリ金属塩が加熱下で溶解する
量であればよいが、通常1−置換アミノ酸の重量に対し
て5〜15倍容量が好ましく、7〜10倍容量がより好
ましい。
【0017】このようにして得られた1−置換アミノ酸
アルカリ金属塩は、フリーの1−置換アミノ酸及びアル
カリ金属水酸化物が実質的に含有していないものであ
る。なお、フリーの1−置換アミノ酸及びアルカリ金属
水酸化物が若干含まれていたとしても、本発明の効果を
達成する限り、実質的に含有していないということがで
きる。本発明の効果とは、例えば下記試験例の方法で不
純物を測定した場合に、濁りが生じないことである。得
られた1−置換アミノ酸アルカリ金属塩は、有機溶媒か
ら単離して又は単離することなく直接アシル酢酸エステ
ルと脱水縮合して良く、アシル酢酸エステルの量は、通
常1−置換アミノ酸アルカリ金属塩に対し1.0当量以
上であればよいが、1.0〜1.2当量が好ましく、
1.0〜1.1当量がより好ましい。反応液からの目的
物の単離は通常の方法でよく、極めて容易に高品質の
DaneSalt を得ることができる。即ち、反応終
了後、反応液を30℃以下に冷却して析出した結晶を濾
取するだけでよく、必要に応じては濾液を濃縮し有機溶
媒を留去後、冷却すれば目的物の二次晶を得ることがで
きる。このとき結晶をアルコ−ル {例えば、イソプロパ
ノ−ル、n−ブタノ−ル、sec−ブタノ−ル、イソブ
タノ−ル、メタノ−ル(Dane Saltのアシル酢
酸エステルのエステル基部分がメチルエステルの時のみ
使用可能)又はエタノ−ル(Dane Saltのアシ
ル酢酸エステルのエステル基部分がエチルエステルの時
のみ使用可能)} にて洗浄すれば一層効果的である。
【0018】
【実施例】次に本発明による実施例を例示するが、本発
明においてはこれらの実施例に限定するものではない。
また、従来方法による製造例を参考例として示した。
【0019】実施例1 2Lの4径フラスコにD−(−)フェニルグリシン15
1.2g(1.0mol)、96%水酸化カリウム5
7.0g(0.98mol)およびイソプロパノ−ル
(水分約3%を含む)1200mlを加え、40〜50
℃の温度に加熱し、約20分間撹拌する。pHメ−タ−
{東亜電波(株)製、ポ−タブルデジタルpH計HM−
10P、電極;GST142C}により、pHを測定し
ながら、水酸化カリウムを徐々に添加(約1.5g)す
ると完全に溶解する。中和曲線が描けたら(図1に示
す)、電位偏曲点(中和点)を求め、その電位偏曲点に
なるように、D−フェニルグリシン又は水酸化カリウム
を添加して調整し、カリウム塩を合成する。
【0020】次に、ここで得られた溶液中にアセト酢酸
エチル136.6g(1.05mol)を添加し、1時
間加熱環流させる。ついで約25℃に冷却し、析出した
結晶を濾取し、イソプロパノ−ル450mlで洗浄し、
(−)−N−(1−エトキシカルボニルプロペン−2−
イル)−α−アミノ−α−フェニル酢酸カリウムの一次
晶(収率89%)が得られる。ろ液および洗浄液を常圧
濃縮し、イソプロパノ−ル1200mlを留去後、残液
を25℃以下まで冷却し、析出した結晶をイソプロパノ
−ル60mlにて洗浄すると二次晶(収率7%)が得ら
れる。一次晶およびニ次晶を減圧乾燥し、289.3g
の結晶が得られた(収率96%)。
【0021】実施例2 2Lの4径フラスコに D−1,4−シクロヘキサジエン
−1−イル−フェニルグリシン153.2g(1.0m
ol)、95%水酸化ナトリウム41.0g(0.98
mol)およびメタノ−ル(水分約3%を含む)120
0mlを加え、50〜60℃に加熱し、約20分間撹拌
し、水酸化ナトリウムが完全に溶解していることを確認
する。pHメ−タ−{東亜電波(株)製、ポ−タブルデ
ジタルpH計HM−10P、電極;GST142C}に
より、pHを測定しながら、水酸化ナトリウムを徐々に
添加(約1.1g)する。中和曲線が描けたら、電位偏
曲点(中和点)を求め、その電位偏曲点になるように
D−1,4−シクロヘキサジエン−1−イル−フェニル
グリシン又は水酸化ナトリウムを添加して調整し、ナト
リウム塩を合成する。
【0022】次に、ここで得られた溶液中にアセト酢酸
メチル121.9g(1.05mol)を添加し、約2
時間加熱環流させる。ついで約25℃に冷却し、析出し
た結晶を濾出し、メタノ−ル450mlで洗浄し、
(−)−N−(1−メトキシカルボニルプロペン−2−
イル)−α−アミノ−α−(1,4−シクロヘキサジエ
ン−1−イル)酢酸ナトリウムの一次晶(収率86%)
が得られる。ろ液及び洗浄液を常圧濃縮し、メタノ−ル
1200mlを留去後、残液を25℃以下まで冷却し、
析出した結晶をメタノ−ル60mlにて洗浄すると二次
晶(収率8%)が得られる。一次晶及び二次晶を減圧乾
燥し、255.9gの結晶が得られた(収率94%)。 参考例 2Lの4径フラスコに、イソプロパノ−ル(水分約3%
を含む)1200ml、96%水酸化カリウム57.8
g(0.99mol)を仕込んだ後、50〜55℃に加
温し溶解させる。ついで、D−フェニルグリシン15
1.2g(1.0mol)を加え、約30分撹拌した
後、アセト酢酸エチル136.6g(1.05mol)
を加え環流下に1時間反応する。ついで約25℃に冷却
し、析出した結晶を濾取し、イソプロパノ−ル450m
lで洗浄し、一次晶(収率89%)が得られる。ろ液及
び洗浄液を常圧濃縮し、溶媒1200mlを留去後、残
液を25℃以下まで冷却し、析出した結晶をイソプロパ
ノ−ル60mlで洗浄し二次晶(収率7%)が得られ
る。一次晶および二次晶を減圧乾燥し、289.3gの
結晶が得られた(収率96%)。
【0023】試験例 不純物の測定 本発明の実施例1及び2、更に従来法による参考例の
Dane Salt中の不純物を測定した。本発明の実
施例1及び2で得られた結晶(1.0g)は塩化メチレ
ン(10ml)に完全に溶解し澄明な液体となり不純物
は認められなかった。このものの過塩素酸を用いた比水
滴定法による含量は99.9%であった。一方、参考例
で得られた結晶(2.0g)は塩化メチレン(20m
l)に溶解せずに濁りが生じた。不溶物をメンブランフ
ィルタ−を用いて濾取し赤外吸収スペクトル測定法によ
り測定し、参考例で得られた結晶には、不純物としてD
−フェニルグリシンが含まれていることが判明した。
【0024】この事実から、次のことが言える。すなわ
ち、公知の方法では、アミノ酸を完全に(100%程度
近く)アルカリ金属塩とすることが難しく、アミノ酸に
対して、アルカリ金属水酸化物が1.0当量以下と不足
の場合、アルカリ金属塩にならない原料のアミノ酸が残
り、反応溶媒に不溶のため、不純物として DaneS
alt 中に混入する。また、アミノ酸に対して、アル
カリ金属水酸化物が1.0当量以上と過剰の場合、アセ
ト酢酸エステルが分解し、生成した炭酸ガスと過剰のア
ルカリ金属水酸化物が反応し、アルカリ金属の炭酸塩が
副生し、不純物として製品に混入する。したがって、ア
ミノ酸に対し、アルカリ金属水酸化物の等しい当量を反
応させることが重要である。公知の方法で等しい当量を
反応させることが困難であった理由は、アルカリ金属水
酸化物は含水物で吸湿性がある為に不均一であり含量定
量が難しいこと、更にはアルカリ金属水酸化物中の水の
含量がロット毎に異なる為に工業的規模において含量管
理することが難しいためと考えられる。なお、これらの
不純物は除去可能であるが、例えばアルコ−ル類を用い
た精製工程が必要となるが、簡単に不溶物は除去できず
収率も低下する。
【0025】
【発明の効果】本発明による製造方法は1−置換アミノ
酸アルカリ金属塩を得る工程で有機溶媒中、電位を測定
し、アルカリ金属水酸化物を反応させることが出来、更
に、Dane Salt として不純物が含まれず収率も
良好なものを得ることができた。本発明により高品質の
Dane Saltが得られ、優れた工業的製造法を開
発することができた。
【図面の簡単な説明】
【図1】イソプロパノ−ル中でのD−フェニルグリシン
(PG)1当量に対して水酸化カリウムを0.96〜
1.03当量の範囲で添加しての中和曲線を図1に示し
た。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 4H006 AA02 AC80 AD15 AD17 BB14 BC10 BC19 BC31 BE10 BJ20 BJ50 BS10 BT12 BU34 BU38 NB16

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】一般式(1) 【化1】 (式中、Rは置換を有していてもよいフェニル基又は
    シクロヘキサジエニル基を示す)で表される1−置換ア
    ミノ酸とアルカリ金属水酸化物を有機溶媒中に添加し、
    電位偏曲点で添加を止めて一般式(1)で表わされる1
    −置換アミノ酸のアルカリ金属塩を得、次いで得られた
    1−置換アミノ酸のアルカリ金属塩を一般式(2) RCOCHCOOR(2) (式中、Rは炭素数1〜4のアルキル基又はフェニル
    基を示し、Rは炭素数1〜4のアルキル基を示す)で
    表わされるアシル酢酸エステルと脱水縮合することを特
    徴とする一般式(3) 【化2】 (式中、R、R、Rは前記した通り、Mはアルカ
    リ金属を示す)で表わされる保護アミノ酸塩の製造法。
  2. 【請求項2】有機溶媒がアルコ−ル類である請求項1記
    載の製造法。
  3. 【請求項3】有機溶媒が低級アルコ−ルである請求項1
    記載の製造法。
  4. 【請求項4】Rがフェニル基、p−ヒドロキシフェニ
    ル基又はシクロヘキサジエニル基であり、Rがメチル
    基又はエチル基、Rがメチル基又はエチル基である請
    求項1〜3のいずれかに記載の製造法。
  5. 【請求項5】一般式(1) 【化3】 (式中、Rは置換基を有していてもよいフェニル基又
    はシクロヘキサジエニル基を示す)で表わされる1−置
    換アミノ酸とアルカリ金属水酸化物を実質的に含有しな
    い一般式(1)で表わされる1−置換アミノ酸のアルカ
    リ金属塩。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2009512632A (ja) * 2005-09-29 2009-03-26 ディーエスエム アイピー アセッツ ビー.ブイ. 有機酸のエステル化方法
CN112479910A (zh) * 2020-12-30 2021-03-12 黑龙江泰纳科技集团股份有限公司 一种优品双氢苯甘氨酸甲基邓钠盐的合成工艺

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JP2009512632A (ja) * 2005-09-29 2009-03-26 ディーエスエム アイピー アセッツ ビー.ブイ. 有機酸のエステル化方法
CN112479910A (zh) * 2020-12-30 2021-03-12 黑龙江泰纳科技集团股份有限公司 一种优品双氢苯甘氨酸甲基邓钠盐的合成工艺

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