JP2001348275A - AlN基板およびそれを用いたレーザーダイオード素子 - Google Patents

AlN基板およびそれを用いたレーザーダイオード素子

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JP2001348275A JP2000166770A JP2000166770A JP2001348275A JP 2001348275 A JP2001348275 A JP 2001348275A JP 2000166770 A JP2000166770 A JP 2000166770A JP 2000166770 A JP2000166770 A JP 2000166770A JP 2001348275 A JP2001348275 A JP 2001348275A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】高い熱伝導率を保持し、かつ、研磨加工性を向
上させたAlN基板およびそれを用いたレーザーダイオ
ード素子を得る。 【解決手段】任意の一辺が10μmの正方形100μm
の領域内に存在するAlN結晶粒子数が5以上であ
り、この領域内に入る粒界の総長さが100μm以下で
あることを特徴とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、窒化アルミニウム
(AlN)基板およびそれを用いたレーザダイオード素
子に関するものであり、特に、窒化アルミニウム基板の
研磨加工性を向上させたものである。
【0002】
【従来の技術】窒化アルミニウムは、高い熱伝導率を有
し、電気絶縁性が良く、Siとほぼ同じ熱膨張率を有す
るなどの優れた性質を持つ。このため、窒化アルミニウ
ム基板は、産業用パワーエレクトロニクスや車載用パワ
ーエレクトロニクスといった分野の製品として広く適用
されている。
【0003】近年、窒化アルミニウム基板が情報通信市
場へも普及され始めており、交換機やモバイル機器、D
VD機器等への搭載が着実に行なわれている。特に、D
VD機器等の素子基板として適用される場合、基板表面
にTi、Ni、Au等の薄膜形成を行う必要がある。
【0004】基板と、この基板表面に形成する薄膜との
密着力が弱いと、薄膜が剥離してしまうなどの問題があ
るため、薄膜形成前に基板表面を研磨加工する必要があ
る。しかしながら、研磨加工時に基板の研磨加工性が悪
いと、脱粒が生じてしまう等の問題を有し、生産効率が
低下していた。従って、基板の脱粒を防止し研磨加工性
を向上させるため、結晶粒を小さくし、かつ粒界中の焼
結助剤からなる偏析を無くし粒界を強固とすることが要
求されている。
【0005】一方、AlN基板はより一層優れた高い熱
伝導性が要求されている。このため、従来、AlN基板
の熱伝導性を高めるため、焼結助剤を微量として粒界を
極力少なくする方法がとられている。また、粒界を含め
たAlN結晶以外の不純物成分を極力無くすことも必要
とされる。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、焼結助
剤の添加量を微量にすると、焼結温度を著しく高くする
必要があり、焼結温度を高くすることで過度の粒成長や
粒界強度低下が生じ、焼結後に研磨加工を施すと脱粒が
生じ易くなり、基板表面に薄膜形成する際、安定した薄
膜形成ができなくなる等の問題を有していた。
【0007】一方、液相焼結の結果得られるAlN基板
は、その強度向上(研磨加工に対する耐脱粒性含む)に
対しては適度の粒界層相成分が必要であり、商業上使用
するAlN基板はこれら相反する二つの事象を満足する
窒化アルミニウム基板が必要とされていた。
【0008】本発明は、このような問題を解決するため
になされたものであり、高い熱伝導率を保持し、かつ、
研磨性を向上させたAlN基板およびそれを用いたレー
ザーダイオード素子を得ることを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、高熱伝導
と良好な薄膜を形成するための前処理である研磨加工性
良好な表面性状を有するという相反する二つの問題を同
時に解決するため種々研究した結果、焼結粒の単位面積
に占める結晶粒子数とそれを取り巻く粒界の長さを制御
することが有効であることを見い出し、本発明に至った
ものである。
【0010】すなわち、請求項1記載のAlN基板は、
任意の一辺が10μmの正方形100μmの領域内に
存在するAlN結晶粒子数が5以上であり、この領域内
に入る粒界の総長さが100μm以下であることを特徴
とする。
【0011】請求項2記載の発明は、該100μm
領域内に存在するAlN結晶粒子数が5以上10以下で
あることを特徴とする請求項1記載のAlN基板であ
る。
【0012】請求項3記載の発明は、表面粗さRaが
0.05μmのとき、任意の一辺が100μmの正方形
10000μmの領域内に存在する脱粒痕の数が10
個以下であることを特徴とする請求項1または請求項2
に記載のAlN基板である。
【0013】請求項4記載の発明は、熱伝導率が180
W/(m・k)以上であることを特徴とする請求項1な
いし3のいずれかに記載のAlN基板である。
【0014】請求項5記載の発明は、AlN基板表面に
薄膜が形成されたことを特徴とする請求項1ないし4の
いずれかに記載のAlN基板である。
【0015】本発明によれば、研磨時に脱粒し難いた
め、研磨加工性が向上してAlN基板表面への薄膜形成
が容易となる。
【0016】請求項6記載の発明は、AlN基板は光通
信機器に用いる素子搭載用基板として適用されることを
特徴とする請求項1ないし5のいずれかに記載のAlN
基板である。
【0017】請求項7記載のレーザーダイオード素子
は、任意の一辺が10μmの正方形100μmの領域
内に存在するAlN結晶粒子数が5以上であり、この領
域内に入る粒界の総長さが100μm以下であるAlN
基板上にレーザーダイオードを搭載したことを特徴とす
る。
【0018】本発明によれば、一辺が10μmである正
方形100μm当たりの結晶粒子数を5以上とし、こ
の面積中の粒界の総長さを100μm以下とすることに
より、AlN基板表面に薄膜形成できるため、レーザダ
イオードをはじめとする通信機器関係の薄膜基板の優れ
たパフォーマンスを得ることができる。
【0019】請求項8記載の発明は、AlN基板上に薄
膜を介してレーザーダイオードを搭載したことを特徴と
する請求項7記載のレーザーダイオード素子である。
【0020】請求項9記載の発明は、レーザー発振の減
衰率が10%以下であることを特徴とする請求項7また
は8に記載のレーザーダイオード素子である。
【0021】
【発明の実施の形態】まず、本発明では、AlN基板に
おいて、任意の、一辺が10μmの正方形100μm
の領域内に存在するAlN結晶粒子数を5以上としてい
る。この数字が5未満、つまりは4以下であるとAlN
結晶粒子に過度の粒成長(異常粒成長)を伴ったものが
存在することになる。異常粒成長を伴ったAlN基板は
熱伝導率が高くなるものの、AlN粒子が必要以上に大
きいため表面研磨の際に脱粒が起き易くなる。一方、該
領域内のAlN粒子数があまり大きすぎるとAlN粒子
のサイズが小さくなるため熱伝導率が180W/m・k
未満になり易い。従って、好ましいAlN結晶粒子数は
5以上10以下となる。
【0022】次に、本発明では該領域内に入る粒界の総
長さを100μm以下にしている。粒界の総長さが10
0μmを超えると粒界量が多すぎるため熱伝導率が低下
し易い。一方、粒界の総長さが少ないと確かに熱伝導率
は向上するが、AlN結晶粒子の結合力が落ちるため脱
粒が起き易くなってしまう。従って、該領域内における
粒界の総長さの好ましい範囲は30μm以上100μm
以下である。
【0023】このような構成を具備するAlN基板であ
れば表面研磨の際の脱粒を防ぎ、かつ熱伝導率を180
W/m・k以上と高熱伝導率を為し得ることが可能であ
る。
【0024】なお、本発明におけるAlN結晶粒子数お
よび粒界の総長さの測定については、任意の一辺が10
μmの正方形100μmの領域を使用している。この
領域については任意であることからAlN基板の表面ま
たは断面であっても特に問題はない。
【0025】また、本発明では、AlN基板の表面粗さ
Raが0.05μmのとき、任意の一辺が100μmの
正方形10000μmの領域内に存在する脱粒痕の数
が10個以下であることを特徴としている。AlN基板
にレーザダイオードなどのレーザ発振素子を搭載する際
は、表面粗さRaが0.05μm以下程度まで鏡面加工
された後、後述するように金属薄膜を設けた後ろう付け
によりレーザダイオードを取付けることになる。このと
き、レーザダイオード取付面に脱粒痕が10個を超えて
存在すると薄膜を均一な膜厚に形成し難く、剥離の原因
となりやすい。なお、本発明の脱粒痕とは、AlN結晶
粒子の脱粒並びに焼結助剤成分を主とする偏析粒子の脱
粒した痕を含むものである。
【0026】本発明のAlN基板はレーザダイオードを
搭載する際に、薄膜を介してAlN基板上に搭載する形
態に好適である。この薄膜は、特に限定されるものでは
ないが、Ti、Ni、Au、Cuなどの金属成分もしく
はこれら金属成分を含む合金からなる金属薄膜であるこ
とが望ましい。また、薄膜はスパッタ法、CVD法、メ
ッキ法など様々な方法で形成可能であり、膜厚について
も100μm以下で適宜選定可能である。
【0027】次に材料組成について説明する。AlN基
板の組成としては、AlNを主成分としていれば特に限
定されるものではないが、焼結助剤としてイットリア
(Y)などの希土類化合物を8重量部以下、さら
には5重量部以下含有させるものが好ましい。
【0028】その他の成分としては、遷移金属などの各
種成分が適用可能であるが、例えば、Si化合物を0.
2重量部以下、さらには0.05重量部以下含有させる
ことが好ましい。Si化合物としては酸化けい素(Si
)、窒化けい素(Si)など各種Si化合物
を使用可能であり、Si単体で添加してもよい。また、
Si化合物はAlN原料粉末または焼結助剤の不純物を
そのまま利用しても問題はない。このようなSi化合物
は粒界を強化する効果があるため脱粒をより防ぐことが
可能となる。しかしながら、必要以上に含有させると熱
伝導率の低下につながることから含有量は0.2重量部
以下とする。
【0029】次に、製造方法について説明する。製造方
法については特に限定されるものではないが、例えば次
のような方法がある。
【0030】まず、比表面積が0.1〜0.3m/g
の粒径の揃ったAlN粉末を使用する。このとき、比表
面積の大きさが前記範囲外であると、焼結後のAlN結
晶粒子数を本発明の好ましい範囲である5〜10にし難
くなる。
【0031】このようなAlN粉末に、焼結助剤などを
添加した後、混合、調合を行い、ドクターブレード法、
プレス成形法、押出成形などの各種成形方法により所定
の基板形状に成形する。
【0032】その後、窒素またはアルゴンなどの非酸化
性雰囲気中で1850℃以下の温度で焼結する。必要に
応じ、焼結後に100℃/時間以下の徐冷を行うことが
好ましい。この徐冷を行うことにより、粒界の強化を行
うことができるため脱粒性の向上、いわゆる脱粒の起き
難いAlN基板を製造し易くなる。
【0033】また、金属薄膜を設ける際には、AlN基
板の表面を表面粗さRaが1μm以下に研磨した後、さ
らにRaが0.1μm以下、好ましくは0.05μm以
下になるように鏡面加工を施すことが好ましい。
【0034】実施例(図1〜図8、表1) 以下、本発明のAlN基板について、図1〜図8および
表1を用いて説明する。
【0035】本実施例においては、表1に示すように、
焼結助剤として添加するイットリアの添加量および焼結
条件を変化させて、試料No.1ないし試料No.6の
窒化アルミニウム基板を作製した。
【0036】比表面積0.27m/gの窒化アルミニ
ウム粉末に焼結助剤としてイットリア5重量部、と必要
に応じSiO粉末を添加し、ボールミルで24時間と
共に、有機バインダ、可塑剤および有機溶媒を適量添加
調合してスラリーを得た。その後、得られたスラリーを
真空脱泡した後、ドクターブレード法を用いて厚さ0.
8mmのグリーンシートを得た。
【0037】このグリーンシートを高純度のAlNから
なるセッター上に配置し、5気圧の窒素ガス雰囲気中、
1830℃の温度で10時間焼結を行った。その後、1
00℃/時間以下の徐冷を施して窒化アルミニウム基板
を得た。これを試料No.1とした。
【0038】
【表1】
【0039】また、試料No.2ないし試料No.4
は、表1に示すように、イットリアおよびSiOの添
加量、焼結条件および冷却条件を変化させて、上述した
試料No.1と同様の手順を用いて窒化アルミニウム基
板を作製したものである。なお、試料No.5および試
料No.6は、イットリアの添加量および焼結条件を変
えることにより、本発明の範囲外のAlN粒子数をもつ
比較例の窒化アルミニウム基板、および本発明の好まし
い範囲外のAlN粒子数をもつ参考例となる窒化アルミ
ニウム基板としたものである。そして、各試料に対し、
表面粗さRaが0.05μm以下となるよう表面研磨
(鏡面加工)することにより実施例(試料No.1〜
4)および比較例(試料No.5〜6)にかかるAlN
基板(縦10mm×横10mm×板厚0.635mm)
を作製した。
【0040】このようにして製造した試料No.1〜6
にかかるAlN基板に対し、一辺が10μmの正方形1
00μmの領域内のAlN結晶粒子数および粒界の総
長さ、熱伝導率、脱粒性を測定した。
【0041】なお、AlN結晶粒子数および粒界の総長
さについては後述するSEMを用いて測定し、熱伝導率
についてはレーザーフラッシュ法により測定した。ま
た、脱粒性については研磨面(薄膜形成面)について脱
粒の有無を確認した。具体的には、任意の一辺が100
μmの正方形10000μmの領域を拡大写真にと
り、その領域内に存在する脱粒痕の数(脱粒痕はAlN
結晶粒子とは色が異なり、モノクロ写真の場合白色に写
ることから見分けるのは容易である)をカウントし、脱
粒痕が10個以下のものを脱粒性「良好」、脱粒痕が2
0個を超えたものを脱粒性「不良」、脱粒痕の数が10
を超えて20未満の場合を「やや不良」と表示した。
【0042】窒化アルミニウム基板の熱伝導率は、表1
に示すように、試料No.1は187W/(m・k)、
試料No.2は192W/(m・k)、試料No.3は
190W/(m・k)、試料No.4は185W/(m
・k)であり、いずれも180W/(m・k)以上と高
熱伝導率であった。
【0043】そして、窒化アルミニウム基板の研磨面を
SEMによって観察した。その結果を図1〜図8に示
す。なお、本実施形態では、研磨面の表面観察を行った
が、窒化アルミニウムの任意の断面について表面観察を
行っても良い。
【0044】図1および図2は、試料No.1の窒化ア
ルミニウム基板の研磨面の表面観察を行い、研磨面を拡
大して示す図である。図1に示す研磨面の任意の2箇所
を選び、一辺が10μmの面積100μmの正方形領
域内を測定領域とした。そして、この測定領域内に面積
が50%以上含まれる結晶粒子についてそれぞれ番号を
付して結晶粒子数を測定した。その結果、結晶粒子数は
いずれも9となっており、一辺が10μmの面積100
μmあたりの結晶粒子数が、本発明の範囲内の5以上
であることが分かった。
【0045】図1に示す測定領域内は、面積が100μ
の正方形領域を拡大して示したものであり、実寸す
ると、1辺が30mmの面積900mmの正方形とな
っている。この面積900mmの範囲の粒界長さを実
寸したところ、粒界の総長さは175mmであった。そ
して、粒界の総長さを面積100μmあたりに換算し
た結果、粒界の総長さは58μmであり、本発明の範囲
内の100μm以下であった。
【0046】図2は、図1よりも広い測定領域内で結晶
粒子を観察したものであり、1辺が20μmの正方形を
測定領域としたものである。この測定領域内に存在する
結晶粒子数を測定した結果、結晶粒子数が25、27ま
たは22となっており、いずれの場合も面積100μm
あたりに換算すると、結晶粒子数が5以上であった。
【0047】図3および図4は、試料No.2の窒化ア
ルミニウム基板の研磨面の表面観察を行い、研磨面を拡
大して示す図である。図1および図2と同様に、結晶粒
子数および結晶粒界の総長さを測定した結果、1辺が1
0μmの正方形領域内の結晶粒子数は9または7、粒界
総長さは57μmであり、本発明の範囲内であった。図
4は、1辺が20μmの正方形を測定領域としたもので
あり、結晶粒子数が32であり、面積100μmあた
りに換算すると結晶粒子数が5以上であった。
【0048】また、図5および図6は、試料No.3の
窒化アルミニウム基板の研磨面の表面観察を行い、この
研磨面を拡大して示す図である。これらの図についても
図1および図2と同様に結晶粒子数および粒界総長さを
測定した結果、1辺が10μmの正方形内の結晶粒子
数は7となっており、本発明の範囲内であった。また、
図6は、1辺が20μmの正方形を測定領域としたもの
であり、この測定領域内の結晶粒子数は22であり、正
方形の面積100μmあたりに換算したところ、結晶
粒子数は5以上であった。
【0049】さらに、図7および図8は、試料No.4
の窒化アルミニウム基板の研磨面の表面観察を行い、研
磨面を拡大して示す図である。これらの図についても同
様に結晶粒子数および粒界総長さを測定した結果、面積
100μmあたりの結晶粒子数は9であり、本発明の
範囲内であった。また、図8は、1辺が20μmの正方
形を測定領域としたものであり、結晶粒子数は22であ
り、正方形の面積100μmあたりに換算したとこ
ろ、結晶粒子数は5以上であった。
【0050】このような本実施例にかかるAlN基板は
研磨面における単位面積(10000μm)当りの脱
粒痕が10個以下と極めて脱粒性が良好であった。
【0051】それに対し、試料No.5は異常粒成長が
確認され、所定領域におけるAlN結晶粒子数は3と本
願の範囲外であったため脱粒性は「不良」であった。ま
た、試料No.6は所定領域におけるAlN結晶粒子数
が15であり、脱粒性は「やや不良」であり、熱伝導率
は165W/m・kと熱伝導率の高いものは得られなか
った。これは焼結助剤の量が多いため粒界の総量が増え
たこと、さらには粒界に存在する焼結助剤を主成分とす
る偏析粒子の数が増えてしまったためであると考えられ
る。
【0052】次に、試料No.1ないし試料No.6の
窒化アルミニウム基板表面にNiからなる薄膜をスパッ
タ法により形成した。そして、薄膜形成されたAlN基
板をレーザダイオードの搭載用基板として適用し、レー
ザ発振の減衰率を測定した。この結果を表1に示す。な
お、レーザ発振の減衰率を測定する際、測定条件は、レ
ーザダイオードの初期(稼動から30分後)の発振波長
(光周波数)を基準としたときのレーザダイオードを5
時間連続稼動させたときの波長の変化率を測定したもの
である。
【0053】表1に示すように、実施例の試料No.1
ないし試料No.4の窒化アルミニウム基板を適用した
場合には、レーザ発振の減衰率が3〜8%であるのに対
し、比較例の試料No.5および試料No.6はレーザ
発振の減衰率が12〜20%となっており、本発明のA
lN基板はレーザダイオード搭載用基板として適してい
ることが判明した。言い換えると本発明のAlN基板を
用いることによりレーザ発振減衰率が10%以下と減衰
率の小さなレーザーダイオード素子を提供することが可
能となる。これは、本発明のAlN基板が熱伝導率が高
く、かつ脱粒痕が少ないことから薄膜が均一に形成され
ダイオードに悪影響を与えないためであると言える。
【0054】本実施形態によれば、任意の一辺が10μ
mの正方形100μmの領域内に存在する結晶粒子数
を5以上、この面積中の粒界の総長さを100μm以下
と規定することにより、窒化アルミニウム基板の表面性
状を改善して、レーザダイオードをはじめとする光通信
機器関係、例えば半導体レーザー搭載用基板、マイクロ
波集積回路用基板などに適したAlN基板を得ることが
できる。
【0055】
【発明の効果】以上説明したように、本発明のAlN基
板およびそれを用いたレーザーダイオード素子によれ
ば、熱伝導率が高いだけでなく、研磨加工時の脱粒を防
止して研磨性を向上できるため、基板および薄膜の密着
強度を高め、その結果、レーザダイオード等の光通信機
器用素子の歩留まりを向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態における、試料No.1の窒
化アルミニウム基板についての結晶粒の拡大写真を示す
図。
【図2】本発明の実施形態における、試料No.1の窒
化アルミニウム基板についての結晶粒の拡大写真を示す
図。
【図3】本発明の実施形態における、試料No.2の窒
化アルミニウム基板についての結晶粒の拡大写真を示す
図。
【図4】本発明の実施形態における、試料No.2の窒
化アルミニウム基板についての結晶粒の拡大写真を示す
図。
【図5】本発明の実施形態における、試料No.3の窒
化アルミニウム基板についての結晶粒の拡大写真を示す
図。
【図6】本発明の実施形態における、試料No.3の窒
化アルミニウム基板についての結晶粒の拡大写真を示す
図。
【図7】本発明の実施形態における、試料No.4の窒
化アルミニウム基板についての結晶粒の拡大写真を示す
図。
【図8】本発明の実施形態における、試料No.4の窒
化アルミニウム基板についての結晶粒の拡大写真を示す
図。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 4G001 BA04 BA09 BA36 BB04 BB09 BB36 BC72 BD03 BE22 BE32 BE35 5F073 FA15

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 任意の一辺が10μmの正方形100μ
    の領域内に存在するAlN結晶粒子数が5以上であ
    り、この領域内に入る粒界の総長さが100μm以下で
    あることを特徴とするAlN基板。
  2. 【請求項2】 該100μmの領域内に存在するAl
    N結晶粒子数が5以上10以下であることを特徴とする
    請求項1記載のAlN基板。
  3. 【請求項3】 表面粗さRaが0.05μmのとき、任
    意の一辺が100μmの正方形10000μmの領域
    内に存在する脱粒痕の数が10個以下であることを特徴
    とする請求項1または請求項2に記載のAlN基板。
  4. 【請求項4】 熱伝導率が180W/(m・k)以上で
    あることを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記
    載のAlN基板。
  5. 【請求項5】 AlN基板表面に薄膜が形成されたこと
    を特徴とする請求項1ないし4のいずれかに記載のAl
    N基板。
  6. 【請求項6】 AlN基板は光通信機器に用いる素子搭
    載用基板として適用されることを特徴とする請求項1な
    いし5のいずれかに記載のAlN基板。
  7. 【請求項7】 任意の一辺が10μmの正方形100μ
    の領域内に存在するAlN結晶粒子数が5以上であ
    り、この領域内に入る粒界の総長さが100μm以下で
    あるAlN基板上にレーザーダイオードを搭載したこと
    を特徴とするレーザーダイオード素子。
  8. 【請求項8】 AlN基板上に薄膜を介してレーザーダ
    イオードを搭載したことを特徴とする請求項7記載のレ
    ーザーダイオード素子。
  9. 【請求項9】 レーザー発振の減衰率が10%以下であ
    ることを特徴とする請求項7または8に記載のレーザー
    ダイオード素子。
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