JP2001348050A - タンク用キャップ装置 - Google Patents

タンク用キャップ装置

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JP2001348050A
JP2001348050A JP2000169913A JP2000169913A JP2001348050A JP 2001348050 A JP2001348050 A JP 2001348050A JP 2000169913 A JP2000169913 A JP 2000169913A JP 2000169913 A JP2000169913 A JP 2000169913A JP 2001348050 A JP2001348050 A JP 2001348050A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 燃料キャップ10が小さな操作角度(90゜
程度)でフィラーネックFNの注入口FNbを閉じると
ともに、ガスケットGSによるシール性を向上させるこ
と。 【解決手段】 燃料キャップ10は、フィラーネックF
Nの開口側係合部FNcに係合されるキャップ側係合部
20aを有し、ガスケットGSを介してフィラーネック
FNとの間をシールする。上記開口側係合部FNcは、
上記キャップが閉まる軸方向と直角方向に対して所定角
度だけ傾斜して形成されている。また、上記キャップ側
係合部20aは、燃料キャップ10をフィラーネックF
Nに挿入した状態にて閉じ方向へ回転することにより、
上記開口側係合部FNcに倣って係合するガイド面20
bを有する。上記ガイド面20bは、傾斜角の大きいα
2の第1傾斜部20cと、α2より小さいα1の第2傾
斜部20dとを有している。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、タンク開口を閉じ
るためのタンク用キャップ装置に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、この種のタンク用キャップとし
て、ガスケットを装着した燃料キャップを、燃料タンク
に接続されるフィラーネックに対して、2〜3回転する
ことにより給油口を開閉する構成が知られている。上記
燃料キャップの複数回の操作は、十分に締めない状態を
招いたりする場合があるので、これを解決する技術とし
て、所定角度、例えば、90゜程度回転するだけで燃料
キャップによりフィラーネックの給油口を閉じる構成が
知られている。
【0003】図17は従来の燃料キャップをフィラーネ
ックに装着する前の状態を説明する説明図である。図1
7において、燃料キャップ100は、フィラーネックF
Nの注入口FNbを開閉するケーシング本体102と、
ケーシング本体102に装着された蓋体104と、ケー
シング本体102の上部に装着されたガスケットGSと
を備えている。また、ケーシング本体102と蓋体10
4との間には、図示しないラチェット機構が設けられて
おり、蓋体104とケーシング本体102との間に所定
以上のトルクが生じたときに、蓋体104がケーシング
本体102に対して空回りするように作用する。
【0004】また、ケーシング本体102の外周下部に
は、ケーシング側係合部102aが形成されている。一
方、フィラーネックFNの内周部には、開口側係合部F
Ncが形成されている。この開口側係合部FNcの内周
側の一部には、燃料キャップ100のケーシング側係合
部102aを軸方向に挿入可能なネック側挿入切欠FN
dが形成されている。
【0005】図18は燃料キャップ100をフィラーネ
ックFNに装着する動作を説明する説明図である。図1
8において、開口側係合部FNcは、軸方向に沿って所
定の傾斜角度αだけ傾斜するとともに、この角度に合わ
せてケーシング側係合部102aのガイド面102bも
傾斜している。
【0006】燃料キャップ100をFNの注入口FNb
を閉じる動作について説明する。いま、ケーシング側係
合部102aをネック側挿入切欠FNdに位置合わせし
て、燃料キャップ100をフィラーネックFNに挿入し
た状態にて、燃料キャップ100を所定角度(約90
゜)回転すれば、ケーシング側係合部102aが開口側
係合部FNcに倣って係合することにより、燃料キャッ
プ100がフィラーネックFNに装着される。これと同
時に、ガスケットGSは、ケーシング本体102とフィ
ラーネックFNとの間で圧縮されてシール作用を果た
す。さらに、蓋体104を回転すると、ラチェット機構
により空回りして、節度感を与えて、燃料キャップ10
0が注入口FNbを閉じたことを確認できる。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】上記燃料キャップ10
0の閉じ動作において、開口側係合部FNcの傾斜角度
αを小さくすると、燃料キャップ100の操作角度が大
きくなり、操作性を損なうだけでなく、燃料キャップ1
00が180゜以上回転して抜けてしまうことがある。
逆に、傾斜角度αを大きくすると、ガスケットGSの締
め代変化率、つまりガスケットGSが圧縮される割合が
増大し、ガスケットGSのゴム反発力が大きくなる。こ
のため、ガスケットGSが十分に圧縮される前に、回転
トルクが大きくなり、ラチェット機構で空回りし、高い
シール性を得ることができない。
【0008】このように、燃料キャップ100を90゜
程度の小さな回転操作角度で、ガスケットGSによる十
分なシール性を確保することが難しいという問題があっ
た。また、ケーシング側係合部102aのコーナー10
2cが開口側係合部FNcに当たる際に、コーナー10
2cと開口側係合部FNcとの間で大きな負荷が加わ
る。このため、燃料キャップ100を閉めるための回転
トルクが大きくなり、十分に閉めることができず、上述
したシール性を高めることができない場合もある。
【0009】本発明は、上記従来の技術の問題を解決す
るものであり、小さな操作角度で、シール部材によるシ
ール性を向上させたタンク用キャップ装置を提供するこ
とを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段およびその作用・効果】上
記課題を解決するためになされた本発明は、開口側係合
部を有するタンク開口と、このタンク開口を閉じるとと
もに、上記開口側係合部に係合するキャップ側係合部を
有するキャップと、上記タンク開口とキャップとの間に
介在して、その間をシールするシール部材と、を備えた
タンク用キャップ装置において、上記開口側係合部は、
上記キャップが閉まる軸方向と直角方向に対して所定角
度だけ傾斜して形成され上記キャップ側係合部は、キャ
ップをタンク開口に挿入した状態にて該キャップを閉じ
方向へ回転することにより、上記開口側係合部に係合す
るガイド面を有し、上記ガイド面は、キャップの閉じ方
向への回転につれて、上記開口側係合部と係合する当た
り角度が緩くなるように形成していること、を特徴とす
る。
【0011】本発明にかかるタンク用キャップ装置で
は、キャップをタンク開口に挿入して閉じ方向へ回転す
ると、キャップ側係合部が開口側係合部に係合して装着
されるとともに、キャップとタンク開口との間に介在す
るシール部材を押圧することにより、その間をシールす
る。
【0012】キャップが閉まる際に、キャップ側係合部
のガイド面が開口側係合部に倣って係合する。この過程
において、ガイド面は、キャップの閉じ方向への回転に
つれて、その角度が緩くなるように形成し、つまり初期
の段階で傾斜角度を大きく形成している。このようにガ
イド面の傾斜角度を初期の段階に大きくして締め代変化
率が大きくなっても、シール部材を圧縮する初期の段階
では、シール部材の反力が小さいから、トルクが大きく
なり過ぎることなく、十分にシール部材の締め代をとる
ことができる。そして、初期の過程を過ぎて、さらにシ
ール部材を圧縮すると、ガイド面は、その角度が緩やか
になり、シール部材の締め代変化率が小さい状態で確実
にシール性を高めることができる。
【0013】したがって、シール部材を圧縮する初期の
段階にて、傾斜角度の大きなガイド面を開口側係合部に
倣わせることにより、短い回転操作角度であっても、大
きな反力を受けることなく、シール部材に対し締め代を
十分にとることができ、よって高いシール性を得ること
ができる。
【0014】こうしたガイド面の好適な態様として、開
口側係合部の角度より上記軸方向と直角方向に対してな
す角度を大きく傾斜して形成された第1傾斜部と、第1
傾斜部と連続して形成されかつ上記所定角度とほぼおな
じ角度で傾斜した第2傾斜部とを備えて、簡単に構成す
ることができる。しかも、キャップ側係合部は、第1傾
斜部、第2傾斜部のように、傾斜角度をわずかに変化さ
せた構造であっても、ケーシング本体と一体に射出成形
により、精度よく容易に形成することができる。なお、
第2傾斜部は、第1傾斜部と連続した面として形成する
ほか、第1傾斜部と第2傾斜部との中間の角度で傾斜し
た第3傾斜部を備えてもよい。
【0015】また、ガイド面の他の態様として、軸方向
と直角方向に対してなす角度を開口側係合部の所定角度
より大きく傾斜して形成する構成をとることができる。
なお、ガイド面は、その傾斜角度を一定とした平面とす
るほか、該傾斜角度を連続的に変化させることにより、
曲面とするなどの、種々の形態をとることができる。
【0016】なお、シール部材の好適な態様として、シ
ール部材を圧縮する初期段階にて小さな反力を示すシー
ル部材であれば、Cリング、Oリングなどの各種のシー
ル部材を用いることができる。
【0017】
【発明の実施の形態】以上説明した本発明の構成・作用
を一層明らかにするために、以下本発明の好適な実施例
について説明する。
【0018】図1は本発明の一実施の形態にかかる燃料
キャップ10(タンク用キャップ)を示す半断面図であ
る。図1において、燃料キャップ10は、図示しない燃
料タンクに燃料を補給する注入口FNb(タンク開口)
を有するフィラーネックFNに装着されており、ポリア
セタール等の合成樹脂材料から形成されたケーシング本
体20と、このケーシング本体20の上部に装着されナ
イロン等の合成樹脂材料から形成される操作部としての
蓋体40と、トルク機構80と、ケーシング本体20の
上部外周に装着されてフィラーネックFNとの間をシー
ルするガスケットGSとを備えている。
【0019】次に、本実施の形態にかかる燃料キャップ
10の各部の構成について詳細に説明する。上記ケーシ
ング本体20は、フィラーネックFNの内周部に係合さ
れるキャップ側係合部20aを有するほぼ円筒状の外管
体21と、外管体21の内側に設けられた弁室形成体2
2とを備えている。弁室形成体22は、弁室23を備
え、この弁室内に正圧弁60及び負圧弁70が収納され
ている。正圧弁60および負圧弁70は、燃料タンク内
の所定範囲の圧力に維持するための調圧弁であるが、そ
の詳細については、周知であるのでその説明を省略す
る。
【0020】また、ケーシング本体20の上部のフラン
ジ部33下面には、ガスケットGSが外装されている。
ガスケットGSは、フランジ部33のシール保持部21
aとフィラーネックFNの注入口FNbとの間に介在し
ており、燃料キャップ10を注入口FNbに締め込む
と、シール保持部21aに対して押しつけられてシール
作用を果たす。また、外管体21の外周下部には、キャ
ップ側係合部20aが形成されている。図2はケーシン
グ本体20のキャップ側係合部20aとフィラーネック
FNとの関係を説明する説明図である。図2に示すよう
に、フィラーネックFNの内周部には、開口側係合部F
Ncが形成されている。この開口側係合部FNcの内周
側の一部には、燃料キャップ10のキャップ側係合部2
0aを軸方向に挿入可能なネック側挿入切欠FNdが形
成されている。
【0021】図3はケーシング本体20の外周面に突設
されたキャップ側係合部20aおよび開口側係合部FN
cとの関係を説明する説明図である。開口側係合部FN
cは、燃料キャップ10を進退させる方向(軸方向)と
直角方向に対して第1角度α1だけ傾斜して形成されて
いる。一方、キャップ側係合部20aは、ガイド面20
bを備えている。ガイド面20bは、第1角度α1より
大きい第2角度α2で形成された第1傾斜部20cと、
第1傾斜部20cと連続して形成されかつ上記第1角度
α1と同じ角度で傾斜した第2傾斜部20dとを備えて
いる。
【0022】キャップ側係合部20aをネック側挿入切
欠FNdに位置合わせして、燃料キャップ10をフィラ
ーネックFNに挿入した状態にて、燃料キャップ10を
所定角度(約90゜)回転すれば、キャップ側係合部2
0aは、矢印D1に沿って移動し、開口側係合部FNc
の下面に係合することにより、燃料キャップ10がフィ
ラーネックFNに装着される。なお、ガイド面20b
が、第1傾斜部20cおよび第2傾斜部20dを有する
理由については、後述する燃料キャップ10の開閉動作
とともに説明する。
【0023】図4は蓋体40及びケーシング本体20の
上部に装着されるトルク機構80の周辺部を示す分解斜
視図、図5は図1のV−V線に沿ったトルク機構80の付
近を示す断面図である。トルク機構80は、燃料キャッ
プ10で注入口FNbを閉じる動作の際に、蓋体40が
所定以上の回転トルクを受けたときに節度感を与えて、
燃料キャップ10が所定の回転トルクでフィラーネック
FNに装着したことを確認できる機構である。
【0024】ケーシング本体20の上部のフランジ部3
3には、回転可能かつ着脱自在に蓋体40が装着されて
いる。蓋体40は、底壁41と、底壁41の外壁部に突
設された把持部42と、底壁41の外周部に形成された
側壁43とを備え、導電性樹脂を用いて射出により一体
成形されている。また、側壁43の内側には、係合突部
45が周方向に沿って等間隔で8カ所突設されている。
この係合突部45が上記フランジ部33に係合すること
により、蓋体40がケーシング本体20に組み付けられ
ている。
【0025】図4および図5に示すように、トルク機構
80は、ケーシング本体20の外管体21の上部外周に
立設された本体側リブ32,32と、蓋体40の筒状軸
部46、蓋体側係合部46a,46a、蓋体側トリガ突
起47,47と、スプリング82と、トルクプレート9
0とを備えている。すなわち、蓋体40の内側中央部に
は、筒状軸部46が突設されており、この筒状軸部46
の外周部に、蓋体側係合部46a,46aが断面山形に
突設されている。また、蓋体40の内面外周部には、蓋
体側トリガ突起47,47が円弧状に突設されている。
蓋体側係合部46a,46a及び蓋体側トリガ突起4
7,47は、蓋体40の回転軸を中心にして対称に1対
形成されている。
【0026】また、スプリング82は、ケーシング本体
20とトルクプレート90との間に介在するコイルスプ
リングであり、ケーシング本体20の上部とトルクプレ
ート90の外周部との間に架設されることにより、トル
クプレート90をケーシング本体20に対して反時計方
向に回転すると付勢力を蓄積する。
【0027】図5に示すように、トルクプレート90
は、樹脂から形成された薄い円板であり、貫通孔やガイ
ド溝を備えている。すなわち、トルクプレート90の中
央部には、中央穴91が形成され、その同心上にリブ用
ガイド部93,93及びさらにその外周側にトリガ用ガ
イド溝95,95が形成されている。中央穴91には、
蓋体40の筒状軸部46が貫通するとともに、その周縁
部に弾性トルク片94,94が形成されている。弾性ト
ルク片94,94は、支持端部94aを支点としたアー
チ状の片持ちで形成されており、内周側にプレート側係
合部94bが突設されて、このプレート側係合部94b
の外周側に長穴94cが形成されている。弾性トルク片
94,94は、プレート側係合部94bが蓋体40の蓋
体側係合部46aにより押圧されると、長穴94cを狭
くするように弾性変形するように形成されている(図7
参照)。
【0028】また、弾性トルク片94,94の外周側に
配置されたリブ用ガイド部93,93には、本体側リブ
32,32がそれぞれ挿入されている。本体側リブ32
は、リブ用ガイド部93の両端である押圧端93aと押
圧端93bとの間で往復動する。また、トリガ用ガイド
溝95,95には、蓋体側トリガ突起47,47が挿入
されている。蓋体側トリガ突起47は、トリガ用ガイド
溝95の両端であるトリガ用ガイド溝95の押圧端95
aと押圧端95bとの間で往復動する。
【0029】次に、フィラーネックFNの注入口FNb
を燃料キャップ10で開閉する操作を行なったときのト
ルク機構80の動作について説明する。なお、トルク機
構80は、蓋体40の回転軸を中心に2つ設けられてい
るので、図示の上側を中心に説明する。
【0030】図2に示すように、注入口FNbが開いた
状態にて、蓋体40の把持部42を親指と人差し指で挟
んで、ケーシング本体20のキャップ側係合部20aを
フィラーネックFNのネック側挿入切欠FNdに位置合
わせして軸方向へ挿入する。このとき、蓋体40の把持
部42をほぼ鉛直方向に向けると、キャップ側係合部2
0aとネック側挿入切欠FNdとが挿入可能な位置に配
置されて、燃料キャップ10の装着作業が容易な位置関
係になっている。このとき、図6に示すように、トルク
機構80の位置関係は、スプリング82の付勢力によ
り、本体側リブ32が押圧端93aに押圧されるととも
に、蓋体40の蓋体側係合部46aがトルクプレート9
0のプレート側係合部94bに当たった状態になってい
る。
【0031】この状態から、蓋体40に対して時計方向
の回動力を加えて閉じる操作を行なうと、トルク機構8
0は、図6の状態から、図7を経て図9に示すような一
連の動作を行なう。すなわち、蓋体40に加えられた時
計方向の回動力は、蓋体40の蓋体側係合部46aとト
ルクプレート90のプレート側係合部94bとの係合状
態を介してトルクプレート90に伝えられ、トルクプレ
ート90を同方向へ回転させる。このトルクプレート9
0の回転に伴ってケーシング本体20の本体側リブ32
がトルクプレート90の押圧端93aで押される。これ
により、蓋体40、トルクプレート90、ケーシング本
体20が一体に回転して、注入口FNbを閉じる方向へ
進み、キャップ側係合部20aが開口側係合部FNcに
係合する力が増大する。そして、この係合する力によっ
て生じる反力が所定回転トルク以上になると、図7に示
すように、蓋体側係合部46aがプレート側係合部94
bを乗り越えて、図8の第1係脱状態になる。この第1
係脱状態を経ると、使用者は節度感を確認することがで
きる。これにより、燃料キャップ10は、注入口FNb
に所定の締付トルクで閉じられている状態になる。
【0032】一方、燃料キャップ10を開くには、蓋体
40の把持部42を指で摘んで、図9に示すように、反
時計方向へ回転する力を加える。これにより、蓋体40
の蓋体側係合部46aがトルクプレート90のプレート
側係合部94bを押圧する。このとき、ケーシング本体
20がフィラーネックFNに係合により拘束されている
から、蓋体40及びトルクプレート90だけがスプリン
グ82の付勢力に抗して反時計方向へ回転する。したが
って、この回転にともなって本体側リブ32がリブ用ガ
イド部93内を相対的に押圧端93b側へ移動すること
になる。
【0033】図9の状態において、本体側リブ32が弾
性トルク片94の先端側に位置しないと、弾性トルク片
94が撓みやすくなる。この状態から、図10に示すよ
うに、蓋体40を反時計方向へさらに回転すると、蓋体
側係合部46aは、プレート側係合部94bを押圧し
て、本体側リブ32に当たっている部位94dを中心に
大きく撓ませるとともに、長穴94cの幅を変えるよう
に弾性変形させて、小さい押圧力でプレート側係合部9
4bを乗り越える第2係脱状態になる(図11の状
態)。すなわち、蓋体側係合部46aは、燃料キャップ
10を閉じるときよりも小さい回転トルクでプレート側
係合部94bを乗り越える。
【0034】そして、蓋体側係合部46aがプレート側
係合部94bを乗り越えた位置まで蓋体40が反時計方
向へ回転すると、蓋体側トリガ突起47がトルクプレー
ト90の押圧端95aに当たる。この状態では、本体側
リブ32もリブ用ガイド部93の押圧端93bに当たっ
ているから、蓋体40に加わる回転力は、蓋体側トリガ
突起47→トルクプレート90→押圧端93b→本体側
リブ32→ケーシング本体20を介して伝達され、蓋体
40、トルクプレート90、ケーシング本体20が一体
に反時計方向へ回転する。
【0035】そして、蓋体40と一体にケーシング本体
20が約90゜回転すると(図12の状態)、キャップ
側係合部20aがフィラーネックFNの開口側係合部F
Ncから外れて、ケーシング本体20は、フィラーネッ
クFNに対する拘束力から解放される。このとき、ケー
シング本体20は、トルクプレート90との間でスプリ
ング82の付勢力を受けており、一方、蓋体40が指で
持たれて拘束されているから、ケーシング本体20は、
蓋体40及びトルクプレート90に対して反時計方向へ
回転して、元の位置に戻る(図13の状態)。すなわ
ち、蓋体40の把持部42とケーシング本体20のキャ
ップ側係合部20aとの位置関係が初期状態に復帰す
る。
【0036】このように、燃料キャップ10を閉じる操
作過程において、蓋体40の蓋体側係合部46aがトル
クプレート90のプレート側係合部94bを乗り越えた
ときに節度感を確認でき、燃料キャップ10が所定トル
クで締め付けられていることが分かるから、ガスケット
GSなどの弾性にかかわらず、一定トルクで締め付ける
ことができる。
【0037】しかも、燃料キャップ10は、キャップ側
係合部20aと開口側係合部FNcとの係合により、約
90゜という小さな回転角度で操作すればよく、何回も
回転する操作が不要となり、装着作業が容易である。
【0038】また、上記トルク機構80によれば、燃料
キャップ10を開くために、蓋体40に反時計方向へ回
転トルクを加えたときに、プレート側係合部94bと蓋
体側係合部46aとは、第1係脱状態より小さな回転ト
ルクである第2係脱状態で係脱するから、スプリング8
2の付勢力を蓄積するのに支障にならず、この蓄積され
た付勢力により蓋体40とケーシング本体20との位置
関係を初期状態に戻すことができる。
【0039】したがって、常に燃料キャップ10で閉じ
る際に、蓋体40の把持部42とケーシング本体20の
キャップ側係合部20aとの位置合わせが容易になり、
フィラーネックFNの注入口FNbを閉じる作業が簡単
になる。
【0040】次に、燃料キャップ10を閉じる際に、図
14を用いてキャップ側係合部20aが開口側係合部F
Ncに係合する動作について説明する。図14はキャッ
プ側係合部20aが開口側係合部FNcに係合する一連
の動作を説明する説明図である。燃料キャップ10をフ
ィラーネックFN内に挿入すると、キャップ側係合部2
0aは、ネック側挿入切欠FNdに挿入され、つまり図
14(A)を経て、図14(B)に示すように奥まで挿
入された状態になる。
【0041】続いて、燃料キャップ10を時計方向へ回
転すると、図14(C)に示すように、第1傾斜部20
cが開口側係合部FNcに倣う(第1係合過程)。さら
に、図14(D)に示すように、燃料キャップ10を時
計方向へ回転すると、第2傾斜部20dが開口側係合部
FNcに倣って移動し(第2係合過程)、燃料キャップ
10がフィラーネックFNの注入口FNbを閉じる。
【0042】ここで、図14(C),(D)にそれぞれ
示すように、キャップ側係合部20aの回転方向への移
動距離をx、軸方向への移動距離をyとし、締め代変化
率TRをy/xで定義し、第1係合過程および第2係合
過程における回転方向への移動距離をx1,x2、軸方
向の移動距離をy1,y2とすると、締め代変化率がT
R1,TR2となる。このとき、第1傾斜部20cの第
2角度α2は、第2傾斜部20dの第1角度α1より大
きいから、第1係合過程の締め代変化率TR1は、第2
係合過程の締め代変化率TR2より大きい。このよう
に、初期の第1係合過程にて、締め代変化率TR1を大
きく設定し、第2係合過程にて、締め代変化率TR2を
小さくしているのは、以下の理由による。
【0043】図15はガスケットを押し潰したときの圧
縮量(締め代)とガスケットの反力との関係を説明する
グラフである。図15にて、ガスケットの反力は、初期
の圧縮量では緩やかに増加しているが、圧縮量の増加に
つれて急激に立ち上がっている。すなわち、ガスケット
は、初期の段階では大きな圧縮量を得るのに小さな力で
よいが、ある程度圧縮された段階では圧縮するのに大き
な力を必要とする。
【0044】図15のガスケットの性質を利用して、燃
料キャップ10の閉じ動作において、上記反力の小さい
第1係合過程にて、大きな締め代変化率TR1でガスケ
ットGSを圧縮しても、ガスケットGSの反力も小さ
く、トルク機構80で滑ることもない。そして、第1係
合過程に続く、上記反力の大きい第2係合過程にて、ガ
スケットGSの反力が次第に大きくなるが、小さな締め
代変化率TR2でガスケットGSを徐々に圧縮するか
ら、トルク機構80で滑ることもない。
【0045】また、第2係合過程にて、キャップ側係合
部20aは、第2傾斜部20dで開口側係合部FNcに
倣って長い移動距離だけ移動するから、開口側係合部F
Ncに回転方向に十分に遊びを有した係合状態なり、燃
料キャップ10がフィラーネックFNから抜けるのを防
止することができる。
【0046】したがって、ガスケットGSを圧縮する初
期の段階(第1係合過程)にて、傾斜角度の大きな第1
傾斜部20cを開口側係合部FNcに倣わせることによ
り、短い回転操作角度であっても、大きな反力を受ける
ことなく、ガスケットGSに対し締め代を十分にとるこ
とができ、よって高いシール性を得ることができる。
【0047】また、燃料キャップ10を閉める際に、キ
ャップ側係合部20aは図14(B)から図14(C)
に示すように、図示右側から左側へ移動する。この場合
において、キャップ側係合部20aの第2角度α2は、
開口側係合部FNcの第1角度α1より大きいので、キ
ャップ側係合部20aのコーナー20eは、開口側係合
部FNcに当たる際に、開口側係合部FNcに突っかか
った状態にならない。そして、図14(D)に示すよう
に第2傾斜部20dが開口側係合部FNcにほぼ均一に
面接触した状態にて小さいトルクで倣う。よって、燃料
キャップ10は、第1傾斜部20cと開口側係合部FN
cとの間で大きな回転トルクを生じないでスムーズに回
転する。したがって、燃料キャップ10は、従来の技術
と比べて、同じ回転トルクで閉めた場合に、大きな回転
角度で閉められた状態になり、つまり締め代を増加させ
ることができる。
【0048】また、キャップ側係合部20aは、第1傾
斜部20c、第2傾斜部20dのように細かい構造であ
っても、ケーシング本体20と一体に射出成形により精
度よく容易に形成することができる。よって、このよう
な傾斜面を金属製のフィラーネックFNに加工成形する
よりも、簡単に形成することができる。
【0049】上述のように、ガイド面20bの傾斜角度
α1,α2は、燃料キャップの形状や、ガスケットの種
類によって適宜、最適な値を設定するが、例えば、燃料
キャップの操作角度を60〜120゜に、ガスケットG
Sの締め代を1.0〜2.0mmに設定した場合に、第
1角度α1は、3〜8゜に、第2角度α2は、10〜4
5゜に設定することが好ましく、特に、α1が3〜6
゜、α2が10〜30゜に設定することが好ましい。
【0050】なお、この発明は上記実施例に限られるも
のではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々の
態様において実施することが可能であり、例えば次のよ
うな変形も可能である。
【0051】(1) 上記実施の形態では、ガスケット
として、Cリングを用いたが、これに限らず、図15に
示すような圧縮の初期段階にて小さな反力を示すシール
部材であれば、Oリングや他のシール部材であってもよ
い。
【0052】(2) また、ケーシング側係合部のガイ
ド面の形状としては、直線的な傾斜面のほかに、図16
に示すような、ケーシング側係合部20Baに湾曲した
傾斜面20Bcを形成してもよく、特に、図15に示す
ガスケットの特性に適合した局面とすることにより、燃
料キャップを閉じる際に、急激なトルク変動を感じるこ
となく、操作性に優れたものを得ることができる。
【0053】(3) 上記実施の形態において、上記ガ
スケットは、燃料キャップに装着したが、燃料キャップ
の閉じる方向への移動によりフィラーネックとの間をシ
ールする位置であれば、特に限定されず、例えば、フィ
ラーネック側に設けてもよい。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施の形態にかかる燃料キャップ1
0を示す半断面図である。
【図2】ケーシング本体20のキャップ側係合部20a
とフィラーネックFNとの関係を説明する説明図であ
る。
【図3】ケーシング本体20の外周面に突設されたキャ
ップ側係合部20aおよび開口側係合部FNcとの関係
を説明する説明図である。
【図4】蓋体40及びケーシング本体20の上部に装着
されるトルク機構80の周辺部を示す分解斜視図であ
る。
【図5】図1のV−V線に沿ったトルク機構80の付近を
示す断面図である。
【図6】トルク機構80の動作を説明する説明図であ
る。
【図7】図6に続く動作を説明する説明図である。
【図8】図7に続く動作を説明する説明図である。
【図9】図8に続く動作を説明する説明図である。
【図10】図9に続く動作を説明する説明図である。
【図11】図10に続く動作を説明する説明図である。
【図12】図11に続く動作を説明する説明図である。
【図13】図12に続く動作を説明する説明図である。
【図14】キャップ側係合部20aが開口側係合部FN
cに係合する一連の動作を説明する説明図である。
【図15】ガスケットを押し潰したときの圧縮量(締め
代)とガスケットの反力との関係を説明するグラフであ
る。
【図16】他の実施の形態にかかるケーシング側係合部
20Baの周辺を示す説明図である。
【図17】従来の燃料キャップをフィラーネックに装着
する前の状態を説明する説明図である。
【図18】従来の燃料キャップをフィラーネックに装着
する動作を説明する説明図である。
【符号の説明】
10…燃料キャップ 20…ケーシング本体 20a…キャップ側係合部 20b…ガイド面 20c…第1傾斜部 20d…第2傾斜部 20e…コーナー 20Ba…ケーシング側係合部 20Bc…傾斜面 21…外管体 21a…シール保持部 22…弁室形成体 23…弁室 32…本体側リブ 33…フランジ部 40…蓋体 41…底壁 42…把持部 43…側壁 45…係合突部 46a…蓋体側係合部 46…筒状軸部 47…蓋体側トリガ突起 60…正圧弁 70…負圧弁 80…トルク機構 82…スプリング 90…トルクプレート 91…中央穴 93b…押圧端 93a…押圧端 93…リブ用ガイド部 94…弾性トルク片 94a…支持端部 94b…プレート側係合部 94c…長穴 94d…部位 95…トリガ用ガイド溝 95a…押圧端 95b…押圧端 100…燃料キャップ GS…ガスケット FN…フィラーネック FNb…注入口 FNc…開口側係合部 FNd…ネック側挿入切欠

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 開口側係合部を有するタンク開口と、 このタンク開口を閉じるとともに、上記開口側係合部に
    係合するキャップ側係合部を有するキャップと、 上記タンク開口とキャップとの間に介在して、その間を
    シールするシール部材と、 を備えたタンク用キャップ装置において、 上記開口側係合部は、上記キャップが閉まる軸方向と直
    角方向に対して所定角度だけ傾斜して形成され上記キャ
    ップ側係合部は、キャップをタンク開口に挿入した状態
    にて該キャップを閉じ方向へ回転することにより、上記
    開口側係合部に係合するガイド面を有し、 上記ガイド面は、キャップの閉じ方向への回転につれ
    て、上記開口側係合部と係合する当たり角度が緩くなる
    ように形成していること、 を特徴とするタンク用キャップ装置。
  2. 【請求項2】 請求項1のタンク用キャップ装置におい
    て、 上記ガイド面は、上記所定角度より上記軸方向と直角方
    向に対してなす角度を大きく傾斜して形成された第1傾
    斜部と、上記所定角度とほぼおなじ角度で傾斜した第2
    傾斜部とを備えているタンク用キャップ装置。
  3. 【請求項3】 開口側係合部を有するタンク開口と、 このタンク開口を閉じるとともに、上記開口側係合部に
    係合するキャップ側係合部を有するキャップと、 上記タンク開口とキャップとの間に介在して、その間を
    シールするシール部材と、 を備えたタンク用キャップ装置において、 上記開口側係合部は、上記キャップが閉まる軸方向と直
    角方向に対して所定角度だけ傾斜して形成され上記キャ
    ップ側係合部は、キャップをタンク開口に挿入した状態
    にて該キャップを閉じ方向へ回転することにより、上記
    開口側係合部に係合するガイド面を有し、 上記ガイド面は、軸方向と直角方向に対してなす角度を
    開口側係合部の所定角度より大きく傾斜して形成されて
    いること、 を特徴とするタンク用キャップ装置。
  4. 【請求項4】 請求項1ないし請求項3のいずれかのタ
    ンク用キャップ装置において、上記シール部材は、Cリ
    ングであるタンク用キャップ装置。
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