JP2001345124A - 化学修飾半導体電極、並びに、その製造方法及びそれを用いた光電池 - Google Patents

化学修飾半導体電極、並びに、その製造方法及びそれを用いた光電池

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JP2001345124A
JP2001345124A JP2000163486A JP2000163486A JP2001345124A JP 2001345124 A JP2001345124 A JP 2001345124A JP 2000163486 A JP2000163486 A JP 2000163486A JP 2000163486 A JP2000163486 A JP 2000163486A JP 2001345124 A JP2001345124 A JP 2001345124A
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semiconductor
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Yasuhiro Yamaguchi
康浩 山口
Hokuto Takada
北斗 高田
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    • Y02P70/50Manufacturing or production processes characterised by the final manufactured product

Abstract

(57)【要約】 【課題】 光電特性、耐久性、安全性、製造性等に優れ
た化学修飾半導体電極、並びに、その製造方法及びそれ
を用いた光電池を提供すること。 【解決手段】 膜厚方向に対して異方的に配列された柱
状半導体群と、個々の柱状半導体相互の間隙により形成
される前記柱状半導体の長手方向に連続的に延びる細孔
と、から構成される片多空質半導体電極層又は両多空質
半導体電極層を有し、且つ該柱状半導体群表面の一部又
は全部に、機能性化合物が担持されてなることを特徴と
する化学修飾半導体電極、並びに、その製造方法及びそ
れを用いた光電池である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、化学修飾半導体電
極、並びに、その製造方法及びそれを用いた光電池に関
し、詳しくは、化学修飾を施すことで、高性能化・高機
能化された多空質の化学修飾半導体電極、並びに、その
製造方法及びそれを用いた光電池に関する。
【0002】
【従来の技術】無尽蔵のエネルギー源である太陽光を利
用し発電を行う所謂光電池としては、単結晶シリコン;
多結晶シリコン;アモルファスシリコン;テルル化カド
ミウム、セレン化インジウム銅等の化合物半導体;等を
用いたp/n接合型光電池、ショットキー型光電池等の
無機乾式系光電池が主流であり、既に実用化されている
ものもある。しかしながら、原材料が有害且つ危険、製
造設備が大掛りで設備投資額・維持管理費が高い、大面
積化が困難、等の問題があり、光電池を広く普及させる
にはこれらの問題の克服が必須である。この課題に対
し、大面積化、低価格化、安全性等を指向し、有機材料
を用いた光電池がこれまでに多く提案されてきたが、無
機乾式系光電池に比べ著しく光利用効率ならびに耐久性
が低いという問題があった。
【0003】有機光電池に関しては、色素増感型光電気
化学電池が光合成模倣技術として1970年代に活発な
研究がなされ、n型酸化物半導体表面に単分子吸着した
増感色素による外部増感機構により、本質的に高い内部
変換効率を有することが見出された。しかしながら単分
子層故の光吸収量の少なさと色素の安定性の問題があ
り、光利用効率や耐久性は低いものであった。単分子層
故の光吸収量の少なさの問題に関しては、坪村ら{H.
Tsubomura,M.Matumura,Y.No
mura,andT.Amamiya,Nature,
Vol.261,p.402(1976);坪村,”光
電気化学とエネルギー変換”,東京化学同人,198
0}によってZnO粒子の焼結度合いを制御し多孔質膜
とすることで実効の表面積を稼ぎ、単分子吸着と高光吸
収量を両立させると云う方策が提案されたが、光利用効
率は高々2%弱であった。その後、一時この分野の研究
開発活動は停滞したが、最近になって、Graetze
l等によって、ゾル−ゲル法を駆使し比表面積(本発明
では、投影面積に対する実効表面積の比として定義)が
1000に及ぶ酸化チタン多孔質膜とRu錯体系増感色
素の組み合わせにより、シリコン系光電池に匹敵する1
0%を越える高い光利用効率が報告された(Natur
e,Vol.353,p.737,1991;米国特許
4927721号等)。Graetzl等によれば彼等
の湿式光電気化学電池(Graetzel型セルと呼ば
れる)は効率ばかりでなく、寿命の点でも実用レベルに
あるとのことであり、この発見以降、Graetzel
型光電池を中心に色素増感型光電気化学電池の研究開発
が世界中で再燃した。
【0004】しかしながら、ゾル−ゲル法による多孔質
膜は、微粒子の不完全な焼結による疎な凝集物であり、
表面積を稼ぐ為に粒径を小さくすると、粒子の結晶性が
低下すると云う問題や、細孔が小さくなり電解質の拡散
が困難になると云う問題があり、粒径を20nm程度の
最適値に制御しなければならないと云う製造性の困難さ
がある。また、ゾル−ゲル系は有機分を含みこれを完全
に焼失させるには焼成温度が高い方が好ましいが、高す
ぎると焼結が進行し粒子が肥大化し、細孔が潰れてしま
うと云う問題もある。また、ゾル−ゲル法では、一般に
塗布液中でも経時で反応が進行し増粘や固体沈降が起こ
ってしまうと云うポットライフ上の問題もある。さら
に、微粒子の焼成で多孔質を実現するには、粒子同士の
接触を抑制する必要があり、膜としての機械的強度が低
い、あるいは微粒子間での電荷の移動性が低いと言う問
題もあった。Graetzelらは彼らのノウハウによ
ってこれら問題をクリアし高い効率と耐久性を実現させ
ている訳であるが、これらの問題が他の研究者によるG
raetzelセルの追試の再現性の低さに繋がってい
るものと推察される。
【0005】このように、高い潜在能力を有する色素増
感型光電気化学電池を、今以上に性能向上させ且つ広く
普及させるのは、制御性、再現性等の製造性に優れた新
規な高表面積半導体電極の開発が不可欠である。
【0006】ところで、半導体膜の作製方法としては、
ゾル−ゲル法に代表される湿式法、SPD(Spray
Pyrolisis Deposition)法に代
表される半湿式法、CVD(Chemical Vap
or Deposition)法、スパッタリング法、
蒸着法に代表される乾式法、等が知られている。
【0007】一般に、半湿式法、乾式法では表面平滑性
の高い緻密な膜の作製が対象となっているが、最近、奥
谷(機能材料,Vol.20,p.14,2000)、
斎藤ら(機能性材料,Vol.19,p.5,(199
9);特開平10−152396号公報)によって、高
表面積膜の作製の報告がなされた。
【0008】奥谷らは、SPD法で作製した酸化チタン
の針状微結晶が堆積した高表面積酸化チタン膜を用い、
光利用効率2%弱程度の色素増感型光電気化学電池を報
告している(The Extended Abstra
cts of "The 3rd NIMC Inte
rnational Symposium on Ph
otoreaction Control and P
hotofunctional Material
s",p.222,2000)。ゾル−ゲル系酸化チタ
ンを有したものに比べての効率の低さの原因は明らかに
はされていないが、SPD法による酸化チタン膜は、針
状微結晶がランダムに堆積した膜であり、比表面積が充
分ではない、細孔径が小さく電解質の拡散性が低い等の
原因が推測される。また、SPD法は原料溶液をノズル
から加熱基板に噴霧し、基板上で溶媒蒸発、原料分解酸
化を行わせるものであり、有機溶剤蒸気が多量に発生す
ると云う安全上、環境上の問題がある。また、溶媒蒸発
に伴う蒸発熱の吸収により基板が冷却してしまい、膜厚
を稼ぐには間欠で噴霧を行う、加熱ヒーターの能力を上
げる等の対策が必要であり、生産性の低下、コストアッ
プ等を伴う。
【0009】これに対し、斎藤らの方法は、大気開放系
でCVD法を行う新規な方法(以下「A−CVD法」と
略記する)であり、従来のCVD法に比べ、真空系が不
要で装置が簡便、連続成膜が容易、成膜スピードが早い
等の利点を有する。また、原料を蒸気化して基板に吹き
付ける為、上述のSPD法における問題は生起しない。
さらに、齋藤らの最近の研究により、nmからμmオー
ダーのウイスカー構造、メッシュ構造と云った基板垂直
方向に特異的に結晶成長した異方性を持った構造体を容
易に形成できることが明らかにされている。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、A−C
VD法によって作製された半導体構造物に機能性化合物
を担持させた電極、所謂化学修飾半導体電極への応用に
関する開示例は全くなく、従来の所謂微結晶焼結タイプ
(微粒子焼結法、ゾル−ゲル法、SPD法は全て基本的
にはこの範疇に入る。)のものと著しく異なる系であ
り、その適用性に関しては未知であった。さらに、齋藤
らによって、ウイスカー構造を有する酸化チタン膜は従
来の酸化チタン膜に比べ、著しく光触媒活性が高く、容
易に色素等の機能性化合物が光分解されると云う報告等
も為されており(Jpn,Appl.Phys.,vo
l.39,p.L169,2000)、化学修飾半導体
電極としての利用には適さないのではと考えられてい
た。
【0011】本発明は、前記従来技術における諸問題を
解決し、以下の目的を達成することを課題とする。即
ち、本発明の目的は、光電特性、耐久性、安全性、製造
性等に優れた化学修飾半導体電極、並びに、その製造方
法及びそれを用いた光電池を提供することである。
【0012】
【課題を解決するための手段】上記課題は、以下の手段
により解決される。即ち、本発明は、 <1>膜厚方向に対して異方的に配列された柱状半導体
群と、個々の柱状半導体相互の間隙により形成される前
記柱状半導体の長手方向に連続的に延びる細孔と、から
構成される片多空質半導体電極層又は両多空質半導体電
極層を有し、且つ該柱状半導体群表面の一部又は全部
に、機能性化合物が担持されてなることを特徴とする化
学修飾半導体電極である。
【0013】<2>個々の柱状半導体が、異方性因子1
0以上であることを特徴とする前記<1>に記載の化学
修飾半導体電極である。
【0014】<3>個々の柱状半導体が、互いに交差或
いは連結して網目状構造を形成してなることを特徴とす
る前記<1>又は<2>に記載の化学修飾半導体電極で
ある。
【0015】<4>柱状半導体群が、酸化チタン、酸化
亜鉛、酸化錫、酸化ニオブ、及び酸化インジウムから選
ばれる金属酸化物の少なくとも1種を含有してなること
を特徴とする前記<1>〜<3>のいずれかに記載の化
学修飾半導体電極である。
【0016】<5>片多空質半導体電極層又は両多空質
半導体電極層上に、両多空質絶縁性層を積層してなるこ
とを特徴とする前記<1>〜<4>のいずれかに記載の
化学修飾半導体電極である。
【0017】<6>前記<1>〜<5>のいずれかに記
載の化学修飾半導体電極を製造する化学修飾半導体電極
の製造方法であって、気化又はクラスター化した原料金
属化合物と不活性ガスとを、水蒸気雰囲気下、加熱した
基板表面に吹き付け、柱状半導体群を形成する工程を有
することを特徴とする化学修飾半導体電極の製造方法で
ある。
【0018】<7>前記<1>〜<5>のいずれかに記
載の化学修飾半導体電極を製造する化学修飾半導体電極
の製造方法であって、下記一般式(1)で表される珪素
化合物を、柱状半導体表面の一部又は全部に化学吸着さ
せる工程と、前記珪素化合物の終端基と化学結合し得る
基を有する色素を、化学的に結合させ、柱状半導体群表
面の一部又は全部に担持させる工程と、を有することを
特徴とする化学修飾半導体電極の製造方法である。
【0019】一般式(1) An(3-n)Si−L−X
【0020】(一般式(1)中、Aはハロゲン原子、置
換或いは未置換のアルコキシ基、置換或いは未置換のア
リールオキシ基を表す。Rは置換或いは未置換のアルキ
ル基、置換或いは未置換のアリール基を表す。Lは炭素
数1〜20の2価の炭化水素基、炭素数1〜20の2価
のヘテロ原子含有炭化水素基を表す。Xはハロゲン原
子、ヒドロキシル基、アミノ基、カルボキシル基、エポ
キシ基、イソシアネート基、メルカプト基、置換或いは
未置換のビニル基を表す。nは1〜3の整数を表す。)
【0021】<8>少なくとも、導電性支持体と、前記
<1>〜<5>のいずれかに記載の化学修飾半導体電極
とを積層してなる支持電極を具備してなる光電池であ
る。
【0022】
【発明の実施の形態】以下、本発明を詳細に説明する。
尚、当業者はCVD法、光電気化学、電池、等に関する
従来の知見を基に、本発明の実施の形態に任意の変更を
加えることが可能である。また、本発明の化学修飾半導
体電極は、通常、用途に応じた基板上に形成されるもの
である。
【0023】(化学修飾半導体電極)本発明の化学修飾
半導体電極は、膜厚方向に対して異方的に配列された柱
状半導体群と、該柱状半導体相互の間隙に形成される前
記柱状半導体の長手方向に連続的に延びる細孔と、から
構成される片多空質半導体電極層又は両多空質半導体電
極層(以下、単に「半導体電極層」ということがある)
を有し、且つ該柱状半導体群表面の一部又は全部に、機
能性化合物が担持されてなる。なお、以下、機能性化合
物が担持されてなる片多空質半導体電極層又は両多空質
半導体電極層を、「化学修飾半導体電極層」ということ
がある。
【0024】ここで、両多空質とは、柱状半導体の長手
方向に連続的に延び、且つ膜厚方向に異方的に膜表面か
ら裏面に向かって貫通する細孔が高密度で存在する構造
を表す。片多空質とは、柱状半導体の長手方向に連続的
に延び、且つ膜厚方向に異方的に膜表面から裏面に向か
って一方が半導体により閉止された袋小路状の細孔が高
密度で存在する構造を表す。
【0025】本発明の化学修飾半導体電極は、上記特定
の柱状半導体群と、それにより形成される細孔とから構
成された片多空質又は両多空質構造を有し、且つ該柱状
半導体群表面の一部又は全部に、機能性化合物が担持さ
れてなることで、光電特性、耐久性、安全性、製造性等
に優れる。また、機能性化合物を適宜選択することで、
分光増感、ブロッキング性、安定性等の機能付与及び高
性能化を実現することができる。柱状半導体群における
個々の柱状半導体は、膜厚方向に対して異方的に配列さ
れ、片多空質又は両多空質構造をとることで、膜表面か
ら裏面にかけて連続した電荷移動路が確保され、一方、
該柱状半導体によって形成される細孔が、該柱状半導体
の長手方向に連続的に延在することで、連続した物質移
動路が確保される。このため、本発明の化学修飾半導体
電極は、異方的に連続した電荷移動路が確保されている
ので、膜表面から裏面まで障壁なく電荷移動が可能であ
る。一方で、異方的に連続した物質移動路が確保されて
いるので、半導体電極層内部にまで、均一に機能性化合
物を担持させることができる。また、比較的粒径が大き
い顔料等の機能性化合物を担持させることもでき、電解
質等の物質が半導体電極層内部にまで浸透し易く、拡散
がよく滞留等による分解反応等を防止することができ
る。
【0026】ここで、図1に本発明の化学修飾半導体電
極における半導体電極層の膜厚方向の断面の一例を示
す。また、図2にゾル−ゲル法で得られる半導体電極層
の膜厚方向の断面の一例を示す。図2に示す半導体電極
層10は、微粒子12の不完全な焼結で層が形成されて
いる。このため、層表面から裏面に向かっての貫通細孔
13は蛇行しており、また、層表面から裏面に向かって
貫通していない袋小路状の細孔14や独立細孔(表面或
いは裏面のいずれにも開放されていない細孔)15が多
く存在する。独立細孔15は、電解質が浸透せず、貫通
細孔13及び袋小路状の細孔14にはくびれが存在し、
物質移動路としては不向きである。また、粒子間の接触
も、不完全な焼結であり、電子移動に関してもくびれが
存在することになる。これに対し、図1に示す半導体電
極層1は、個々の柱状半導体2、3、4が、膜厚方向に
対し異方的に成長しており、その結果、貫通細孔5も層
表面から裏面に向かって異方的な形態をとり、個々の柱
状半導体2、3、4での電荷移動と、貫通細孔5での物
質移動の両者とも、図2に示す半導体電極層に比べて格
段に有利となる。なお、個々の柱状半導体2は単結晶の
柱状半導体であり、個々の柱状半導体4は多結晶の柱状
半導体であり、個々の柱状半導体4は複数の単結晶の柱
状体が連結したものである。
【0027】半導体電極層において、個々の柱状半導体
は、異方性因子が10以上であることが好ましい。この
異方性因子は小さすぎると、高表面積等の平坦面に対す
る有意義性が発揮されず、担持される機能性化合物の機
能付与低下等の問題が生じる場合がある。一方大きすぎ
ると、強度が低下する、また光電気化学電池の応用にあ
たっては電解質の移動性が低下する等の問題が生じる場
合がある。このため、異方性因子は、10以上であれば
問題ないが、機能性化合物の種類、応用用途などによっ
ては、より好適な範囲があり、具体的には、例えば、本
発明の化学修飾電極を、柱状半導体表面に機能性化合物
として色素を担持させて、色素増感型光電池に適用する
場合、異方性因子としては、100以上が好ましく、よ
り好ましくは500〜2000である。
【0028】ここで、異方性因子とは、個々の柱状半導
体における膜厚方向軸(長軸)の長さ(X)を、膜厚方
向に対して垂直方向断面の短軸の長さ(Y)で除した値
(X/Y)の平均値をいう。
【0029】半導体電極層において、個々の柱状半導体
によって形成される細孔は、その平均最小径が1nm以
上であることが好ましく、より好ましくは5nm以上で
あり、さらに好ましくは10〜100nmである。平均
最小径が小さすぎると、機能性化合物を、半導体電極層
内部における個々の柱状半導体表面に均一に担持させる
ことが困難となる、また、光電気化学電池に応用するに
あたっては、電解質が浸透しきらない等の問題が生じる
場合がある。なお、ここでいう最小径とは、膜厚方向に
対して垂直方向断面の短軸の長さの最小値をいう。細孔
は、柱状半導体の長手方向に連続的に延在していれば、
孤立していても、互いに一部連絡していてもよい。
【0030】半導体電極層において、その投影面積に対
する柱状半導体群の数密度は、高比表面積化の観点から
は高いほうが好ましいが、必要以上に高すぎると細孔径
が小さくなりすぎてしまうことから、個々の柱状半導体
の大きさ(形状)と、これらにより形成される細孔の大
きさ(形状)とを、適宜選択することで決定される。
【0031】半導体電極層において、柱状半導体群にお
ける個々の柱状半導体は、独立して単結晶の柱状を形成
してもよいし(例えば、図1に示す柱状半導体電極層1
における柱状半導体2等)、任意の形状(例えばもみが
ら状、うろこ状、板状等)の結晶薄片が積層されて、多
結晶の柱状を形成してもよい(例えば、図1に示す柱状
半導体電極層1における柱状半導体3等)、また、独立
した柱状の単結晶が、複数連結していてもよい(例え
ば、図1に示す柱状半導体電極層1における柱状半導体
4等)。
【0032】半導体電極層において、柱状半導体群にお
ける個々の柱状半導体は、アモルファス、多結晶、及び
単結晶のいずれの結晶形態或いはこれらの混合状態をと
ることができ、また、緻密であっても多孔質であっても
よいが、電導性、透明性、機械的強度等の点で、緻密な
多結晶又は単結晶状態であることが好ましい。
【0033】半導体電極層において、柱状半導体群は、
個々の柱状半導体が互いに独立してウィスカー状構造を
形成してもよいし、互いに交差或いは連結して網目(メ
ッシュ)状構造を形成してもよいが、強度の観点から
は、網目(メッシュ)状構造を形成してなることが好ま
しい。
【0034】半導体電極層において、柱状半導体群は、
金属酸化物、金属硫化物、金属セレン化物等の金属カル
コゲナイド、ペロブスカイト類、等で形成されてなるこ
とが好ましい。金属カルコゲナイドとしては、金属(例
えばチタン、スズ、亜鉛、タングステン、ジルコニウ
ム、ハフニウム、ストロンチウム、インジウム、セリウ
ム、イットリウム、ランタン、ルテニウム、バナジウ
ム、ニオブ、カドニウム或いはタンタル等の金属の、酸
化物、硫化物、セレン化物が好適に挙げられる。ペロブ
スカイト類としては、チタン酸ストロンチウム、チタン
酸カルシウム、チタン酸バリウム等が好適に挙げられ
る。これらの中でも、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化錫、
酸化ニオブ、及び酸化インジウムから選ばれる金属酸化
物の少なくとも1種を含有してなることが、透明性、光
電特性等の点で特に好ましい。
【0035】半導体電極層は、多くの機能性化合物を担
持することができるように表面積の大きいものが好まし
い。このため半導体電極層の表面積は、投影面積に対し
て10倍以上であることが好ましく、100倍以上であ
ることがより好ましく、500倍以上であることがさら
に好ましい。この表面積の上限に関しては、特に制限は
ないが、上述の様に表面積を上げる事は細孔を小さくす
ることに繋がるため、細孔中を電解質等を拡散させて用
いる用途においては、通常5000倍程が上限となる。
【0036】半導体電極層の厚さとしては、一般的に
0.1〜500μm程度であることが好ましい。また、
光電池として用いる場合は1〜100μmであることが
好ましく、5〜50μmであることがより好ましい。半
導体電極層の厚みが増大するほど比表面積は増えるた
め、光の捕獲率は高くなるが、機能性化合物として色素
を用いる場合、その色素から注入された電荷の移動距離
が増すため再結合によるロスも大きくなる。従って、上
記範囲とすることが好ましい。
【0037】機能性化合物としては、応用する分野或い
は、分光増感、ブロッキング性、安定性等付与する機能
によって、適宜選択される。例えば、分光増感型(色素
増感型)光電池に応用する場合、機能性化合物として
は、例えば、分光増感の機能を付与し得る色素等が挙げ
られる。冷陰極や電子注入電極として応用する場合、機
能性化合物としては、優れた安定性、電子吸引性による
優れた電極特性を付与し得るフッ素化アルキル基を有す
る下記一般式(1)に示す珪素化合物(後述する一般式
(1)におけるXがフッ素である構造)等が挙げられ
る。
【0038】機能性化合物として色素を用いる場合、本
発明の化学修飾半導体電極は、分光増感が可能となり、
この分光増感によって、半導体電極層に吸収のない長波
長の光を利用できるようになる。また、半導体電極層が
多空質構造を取り高い比表面積を有する為、たとえ色素
が単分子吸着であっても高い光吸収量が実現される。
【0039】色素としては、その吸収波長が半導体電極
層の吸収端以上に伸びており、半導体電極層の吸収しな
い波長域にて増感作用が得られるものであることが好ま
しい。具体的には、例えば、Ru、Os、Pt、Ni、
Eu、Nd、Fe、Mn、Zn、Ti、Mg、Pd、C
u、V等の金属キレート錯体;ポルフィリン及びその誘
導体;フタロシアニン及びその誘導体、キナクリドン、
ピロロピロール等のインジゴ系化合物;等が挙げられ
る。金属キレート錯体の具体例としては、米国特許49
27721号明細書、“次世代色素増感型太陽電池とそ
の技術動向”(平成10年度新素材技術部会調査報告
書,新化学発展協会)等に記載のRuビピリジル系錯体
が好適に挙げられる。
【0040】色素は、その分子中に、柱状半導体表面の
金属酸化物構造とエステル結合し得る基又は一般式
(1)で示される珪素化合物の終端基と化学結合し得る
基を有し、半導体表面に化学吸着ができるものであるこ
とが好ましい(色素の担持方法については、後述す
る)。このような基の好ましい例としては、ハロゲン原
子、ヒドロキシル基、アミノ基、カルボキシル基、エポ
キシ基、イソシアネート基、メルカプト基、ピリジル
基、スルフォン酸基、燐酸基、並びに、置換または未置
換のビニル基、等が挙げられる。また、化学結合として
は、共有結合、配位結合、水素結合、イオン結合が挙げ
られるが、結合強度の点で、共有結合、配位結合が好ま
しい。
【0041】色素は、1種単独で用いてもよいし、2種
以上併用してもよい。用途が色素増感型光電池である場
合、光電変換の波長域を、利用する光源の発光域に亘っ
て、できるだけ広くすることが好ましく、色素を2種以
上併用することで容易に波長域の拡大が図れる。但し、
色素の組合せには相性があり、組合せを誤ると個々には
増感効果を有するものでも組み合せると増感効果が著し
く低減してしまうことがある。この原因は明らかにはさ
れておらず、現状では実際の試行錯誤に頼る他ない。ま
た、単純に共吸着させただけでは著しく増感効果が低減
してしまう組み合せでも、適当な順序で積層吸着させた
り、適当な第3の吸着剤を共吸着(担持)させる、等の
方策により増感効果の低減、光触媒分解等の問題を抑制
したり、光電特性等の向上を図ることができる場合があ
る。具体的には、色素と共に、他の化合物を共吸着させ
ることで、色素同士の会合により増感効果が低減してし
まうような有害な相互作用を抑制することができる(こ
の目的に有効な化合物としては、カルボキシル基を有す
るステロイド化合物(例えばコール酸)等が挙げられ
る);光分解に対して、安定な機能性化合物を被覆(担
持)させた後、色素を担持することで、半導体が吸収す
る波長の光を照射しても、色素の光触媒分解を低減させ
ることができる。;色素と共に、自己組織化能を有する
化合物(例えば長鎖脂肪酸、長鎖リン酸エステル等)を
共吸着させることで、色素の配向性を制御することがで
き、光電特性が向上する場合もある;色素を吸着させた
後に、アルコキシシラン化合物、クロロシラン化合物、
アミン類、チオール類等の処理剤を用いて半導体電極を
処理することで、未吸着サイトを封止することができ
る。(これら処理剤の例としては、ヘキシルトリメトキ
シシラン、シクロヘキシルジメチルメトキシシラン、ベ
ンジルトリクロロシラン、4−tert−ブチルフェニ
ルジメチルクロロシラン、ピリジン、4−tert−ブ
チルピリジン、ポリビニルピリジン、αメルカプトデカ
ン、等が挙げられる。これらが液体の場合はそのまま用
いてもよいし、有機溶媒に溶解して用いてもよい。);
等が挙げられる。
【0042】機能性化合物の担持方法については、本発
明の化学修飾半導体電極の製造方法において、詳しく説
明する。
【0043】本発明の化学修飾半導体電極は、半導体電
極層上に、両多空質絶縁性層を積層してなることが好ま
しい。両多空質絶縁性層は、上記化学修飾半導体電極層
と同様の構造を、半導体電極層における開孔側に設けら
れる。両多空質絶縁性層は、半導体電極層を形成後、同
様な操作にて連続して形成することが好ましい。これに
より、半導体電極層における細孔と両多空質絶縁性層に
おける細孔とが連続して繋がり、電解液等の物質移動路
が確保されることとなり好ましい。この両多空質絶縁性
層材料としては、酸化珪素、酸化アルミニウム、酸化ジ
ルコニウム、酸化マグネシウム等が挙げられる。この両
多空質絶縁性層は、後述する本発明の光電池を光電気化
学電池に適用した場合における、高安定、高強度の無機
セパレーターの役割を担うものである。また、両多空質
絶縁性層の形成方法としては、後述する本発明の化学修
飾半導体電極の製造方法における半導体電極層形成工程
と同様に行われることが好ましい。
【0044】本発明の化学修飾半導体電極は、電界発光
素子、トンネルダイオード、冷陰極、光電気化学電池、
ショットキー接合型光電池、p/n接合型光電池、等に
適用可能であるが、特に、色素増感型光電池には好適に
適用可能である。
【0045】(化学修飾半導体電極の製造方法)本発明
の化学修飾半導体電極の製造方法は、前記本発明の化学
修飾半導体電極を製造する方法であって、半導体電極層
形成工程と、機能性化合物担持工程とを有してなる。ま
た、必要に応じて、その他の工程を有してもよい。
【0046】半導体電極層形成工程は、前記本発明の化
学修飾半導体電極における半導体電極層の好適な構造を
与えるものであれば如何なる工程(方法)でも構わない
が、原理的にそれを可能とし得る方法としては、異方成
長、及び異方溶解等の異方性反応を特徴とするA−CV
D法、陽極酸化法、電気化学誘起化学析出法、等が挙げ
られる。これらの中でもCVD法の一種であるA−CV
D法が特に好ましい。A−CVD法は大気開放系でCV
D法を行うものであり、原料ガス(原料金属化合物)を
高濃度で供給でき、且つ分子レベルで堆積成長が行われ
る為、堆積方向(膜厚方向(基板と垂直方向))に対し
異方的に成長した柱状半導体を容易に形成することがで
きる。A−CVD法そのものに関しては、齋藤らによっ
て上記の文献の中で詳細に報告されており、それらの知
見を全て流用することができる。上記本発明における半
導体電極層における片多空質または両多空質構造そのも
のは、光電特性等のデバイス特性を支配するものであ
り、特にA−CVD法はそれを具現化し得るものであ
り、且つ量産性、設備簡便性、等の製造性に優れた製造
方法の一つである。但し、基板を大気下おけることがA
−CVD法の利点であるが、必ずしも大気下である必要
性はなく、原料金属化合物の加水分解に必要な十分な水
蒸気が存在すればよい。
【0047】半導体電極層形成工程としては、具体的
に、気化又はクラスター化した原料金属化合物と不活性
ガスを、水蒸気雰囲気下で、基板表面に吹き付け、柱状
半導体群を形成する工程を行うことが好ましい。
【0048】半導体電極層形成工程においては、原料金
属化合物を加熱することで、気化又はクラスター化さ
せ、乾燥窒素などの不活性ガスと共に搬送し、ノズルか
ら噴出させるが、このとき、加熱温度、不活性ガス流量
等を制御することで、原料金属化合物の搬送濃度を制御
することができる。
【0049】半導体電極層形成工程においては、ノズル
から噴出された原料金属化合物は、水蒸気雰囲気中の水
蒸気によって加水分解され、基板表面で重合することで
柱状半導体群が形成される。このとき、基板は加熱され
ていることが好ましい。この基板温度は、原料金属化合
物の種類、或いは所望とする柱状半導体群からなる半導
体電極層の微細構造によって異なり、一概には言えない
が、一般的に100℃から800℃の範囲内であること
が好ましい。
【0050】半導体電極層形成工程は、水蒸気雰囲気下
で行われるが、その水蒸気分圧としては13.33Pa
〜6665Pa(0.1mmHg〜50mmHg)が好
ましく、より好ましくは133.3Pa〜1333Pa
(1mmHg〜10mmHg)、さらに好ましくは26
6.3Pa〜933.1Pa(2mmHg〜7mmH
g)である。この水蒸気分圧が13.33Pa未満であ
ると、原料金属化合物の加水分解が不充分となり、得ら
れる柱状半導体群からなる半導体電極層の結晶性が低下
する等の問題が生じる場合がある。一方、6665Pa
を超えると、原料金属化合物を供給するノズルの目詰ま
り等の問題が生じる場合がある。
【0051】半導体電極層形成工程においては、直接基
板上に原料金属化合物を供給することで、柱状半導体群
からなる両多空質半導体電極層を形成可能であり、予め
緻密な半導体層を設けた基板上に原料金属化合物を供給
することで、柱状半導体群からなる片多空質半導体電極
層を形成可能である。なお、この半導体層と柱状半導体
群との半導体種は、同一種、異種のいずれでもよい。
【0052】半導体電極層形成工程においては、原料金
属化合物及び不活性ガスのみを供給することで、柱状半
導体群からなる半導体電極層を形成することが可能であ
る。また、原料金属化合物を適宜選択したり、また、こ
れと共に窒素、アンモニア、硫化水素等のガスを併用す
ることで、金属窒化物、金属硫化物等の柱状半導体群か
らなる半導体電極層を形成することも可能である。
【0053】半導体電極層形成工程において、原料金属
化合物としては、金属アルコキシド;金属カルボン酸
塩;β−ジケトン類、β−ケト酸類、カテコール類等の
キレート配位子を少なくとも1つ以上有する金属キレー
ト化合物が挙げられる。これらの中でも、保管安定性、
揮発性等の点で、金属キレート化合物が、特に好まし
い。これら原料金属化合物は、1種単独で用いてもよい
し、2種以上併用してもよい。
【0054】半導体電極層形成工程においては、半導体
電極層形成後、強度の向上、電導性の向上、後述する機
能性化合物の吸着性の向上等の目的で、アニーリング処
理、洗浄処理、薬品処理、研磨処理、部分封孔処理等の
各種処理を施すことができる。
【0055】機能性化合物担持工程は、機能性化合物を
柱状半導体表面の一部又は全部に担持させる工程である
が、具体的には、機能性化合物を単分子層にて化学吸着
させる方法、機能性化合物を多層吸着させる方法、機能
性化合物を細孔内に埋め込む方法等が挙げられるが、耐
久性、電荷分離効率等の点で、単分子層にて化学吸着さ
せることが好ましい。特に、機能性化合物として色素を
用いる場合、柱状半導体表面の金属酸化物構造とエステ
ル結合し得る基を有する色素を用い、化学吸着(化学固
定)させる方法、珪素化合物を用い、それを介して化学
固定する方法が高い吸着強度、吸着密度を容易に実現で
きると云う点で好ましく、特に珪素化合物を用いて化学
吸着(化学固定)させる方法が好ましい。
【0056】機能性化合物担持工程として具体的には、
機能性化合物として色素を用いる場合、下記一般式
(1)で表される珪素化合物を、柱状半導体群表面の一
部又は全部に担持させる珪素化合物担持工程と、該珪素
化合物の終端基と化学結合し得る基を有する色素を、化
学的に結合させ、柱状半導体群表面の一部又は全部に担
持させる色素担持工程とを行うことが特に好ましい。
【0057】一般式(1) An(3-n)Si−L−X
【0058】(一般式(1)中、Aはハロゲン原子、置
換或いは未置換のアルコキシ基、置換或いは未置換のア
リールオキシ基を表す。Rは置換或いは未置換のアルキ
ル基、置換或いは未置換のアリール基を表す(好ましく
は炭素数1〜6の置換或いは未置換のアルキル基を表
す。)。Lは炭素数1〜20の2価の炭化水素基、炭素
数1〜20の2価のヘテロ原子含有炭化水素基を表す。
Xはハロゲン原子、ヒドロキシル基、アミノ基、カルボ
キシル基、エポキシ基、イソシアネート基、メルカプト
基、置換或いは未置換のビニル基を表す。nは1〜3の
整数を表す。)
【0059】機能性化合物担持工程において、一般式
(1)で表される珪素化合物は、連結基が2種(X基と
nSi基)を有し、どちらの基で柱状半導体表面に結
合するかは、X基とAnSi基の組み合わせと、柱状半
導体種及びその表面構造によって異なり一概には云えな
いが、一般にAnSi基で結合する場合が多い。また、
X基とAnSi基の組み合わせ及び吸着時の処理条件に
よっては、両基共に柱状半導体表面に化学吸着してしま
い、もはや色素を連結できなくなる場合があるので注意
を要する。柱状半導体として金属酸化物を用いる場合、
X基とAnSi基との特に好ましい組み合わせは、Br
基又はI基と、ClnSi又は(R’O)nSi(ここで
R’は、置換或いは未置換のアルキル基、置換或いは未
置換のアリール基を示す。)との組み合わせである。C
nSi及び(R’O)nSiは金属酸化物表面への反応
性が高く容易に強固な化学吸着をするのに対し、金属酸
化物表面へのBr基、I基の吸着性は殆どない。よっ
て、フリーのBr基、I基が残り、該Br基、I基と反
応置換し得る基を有する色素を用いることで、容易に色
素を化学固定することができる。
【0060】機能性化合物担持工程において、上記珪素
化合物担持工程及び色素担持工程は、一般式(1)で表
される珪素化合物又は色素を、それぞれ適当な溶剤中に
溶解又は分散させ染色液を調製し、該染色液中に半導体
電極層を浸漬する方法;染色液を半導体電極層に吹付け
る方法;半導体電極層上に染色液をスピンコート法、ブ
レードコート法等により塗布する方法;等により行うこ
とができる。これらの中でも染色液中に半導体電極層を
浸漬する浸漬染色方法は、量産性が高く、且つ染色液の
無駄も少なく、特に好ましい。また、浸漬染色方法は、
染色液を加熱したり、超音波を発生させることで、吸着
反応を加速することが可能であると云う利点をも有す
る。なお、未吸着の色素は後洗浄によって除去すること
が好ましい。
【0061】(光電池)本発明の光電池は、少なくとも
導電性支持体と前記本発明の化学修飾半導体電極とを積
層してなる支持電極を具備してなる。本発明の光電池
は、種々の光電池として適用可能であるが、例えば、該
支持電極と、対向電極と、該支持電極及び対向電極間で
挟持してなる電解質と、を具備してなる構成であると、
光電気化学光電池への適用となる。また、該支持電極と
対向電極とからなる構成であるとショットキー型光電池
への適用となる。また、前記本発明の化学修飾半導体電
極において担持させる機能性化合物として色素を用いた
場合、色素増感型光電池となる。
【0062】本発明の光電池において、支持電極におけ
る化学修飾半導体電極に光が到達するためには、上記支
持電極における導電性支持体及び対向電極の少なくとも
一方は実質的に透明でなければならない。本発明の光電
池においては、支持電極における導電性支持体が透明又
は半透明であって、太陽光等の利用光を支持電極側から
入射させる構成であることが好ましい。なお、実質的に
透明(透明又は半透明)であるとは利用したい光の透過
率が10%以上であることを意味し、50%以上である
ことが好ましく、75%以上であることが特に好まし
い。
【0063】支持電極は、導電性支持体及び前記本発明
の化学修飾半導体電極を積層してなるが、該導電性支持
体としては、金属(例えば鉄、白金、金、銀、銅、アル
ミニウム、ロジウム、インジウム、ニッケル、チタン、
ジルコニウム等)で形成したもの;基体の表面に導電性
層を形成したもの;等が挙げられる。後者の場合、基体
としては、セラミックス、ガラス、プラスチック等の任
意のものが挙げられる。また、導電性層材料としては、
金属(例えば白金、金、銀、銅、アルミニウム、ロジウ
ム、インジウム、ニッケル、チタン、ジルコニウム
等)、カーボン、導電性金属酸化物(インジウム−スズ
複合酸化物、インジウム−亜鉛複合酸化物、二酸化スズ
にフッ素をドープしたもの、酸化亜鉛にアルミニウムを
ドープしたもの、酸化チタンにニオブをドープしたもの
等)が挙げられる。これらの中でも、ガラスや樹脂製の
基体上に、可視光の透過性が高い導電性金属酸化物を形
成したものが好ましい。この導電性層の厚さは、充分な
導電性が確保できれば特に膜厚の制限はないが、一般的
に10nm〜5μm程度であることが好ましい。基体上
に導電性層を形成する場合、その形成方法は如何なる物
でも構わず、例えば、蒸着法、スパッタリング法、CV
D法、ゾル−ゲル法、SPD法、等が挙げられる。尚、
導電性層の構造に関しては、如何なる物でも構わない
が、光を散乱せず、且つ機械的強度が高いことが望まし
く、緻密で平坦な構造であることが好ましい。
【0064】導電性支持体の抵抗は、低い程好ましい
が、具体的には表面抵抗の値が100Ω/cm2以下で
あることが好ましく、より好ましくは50Ω/cm2
下、さらに好ましくは10Ω/cm2以下である。
【0065】支持電極は、導電性支持体上に、上述のよ
うに化学修飾半導体電極(層)を形成することで作製す
ることができるが、両者の密着性を改善させる等の目的
で、導電性支持体と化学修飾半導体電極との間に別途中
間層を設けたり、或いは導電性支持体表面に電解酸化処
理、化学処理、機械的研磨処理、等の任意の処理を施す
こともできる。中間層としては、導電性支持体と化学修
飾半導体電極との格子不整合を緩和するもの;導電性支
持体と化学修飾半導体電極との密着性が高いもの;導電
性支持体から化学修飾半導体電極への、或は化学修飾半
導体電極から導電性支持体への望まない物質移動をブロ
ックするもの;等が挙げられる。
【0066】対向電極は、支持電極の対極として働くも
のである。対向電極は、通常、前述の導電性支持体と同
様のものが用いられるが、強度を持たせることは必ずし
も必要でない。本発明の光電池においては、支持電極に
おける導電性支持体が、透明又は半透明であって太陽光
等の利用光を支持電極側から入射させる構成であること
が好ましく、その場合、対向電極は光を反射する性質を
有することがより好ましい。
【0067】対向電極としては、金属;金属或いは導電
性酸化物の薄層を蒸着法、スパッタリング法、CVD
法、SPD法、メッキ法、ゾル−ゲル法、スクリーン印
刷法等により設けたガラス、セラミックス又はプラスチ
ック;カーボンブラック、導電性酸化物等の導電性物質
をガラス又はプラスチックス等に分散させたもの;等が
挙げられる。これらの中でも、電気化学的な安定性、コ
スト等の点で、最表面に白金薄膜を設けたガラスまたは
プラスチックスが好ましい。
【0068】電解質としては、電気化学の分野で公知の
任意の物が利用可能であるが、再生型の光電気化学電池
として動作し得ると云う点では、安定な酸化還元対を用
いることが好ましい。
【0069】酸化還元対としては、ヨウ素と金属ヨウ化
物(LiI、NaI、KI、CsI、CaI2等);ヨ
ウ素と4級イミダゾリウム化合物のヨウ素塩;ヨウ素と
4級ピリジニウム化合物のヨウ化物塩;ヨウ素とテトラ
アルキルアンモニウム化合物のヨウ化物塩;臭素と金属
臭化物(LiBr、NaBr、KBr、CsBr、Ca
Br2等);臭素と4級イミダゾリウム化合物の臭化物
塩;臭素と4級ピリジニウム化合物の臭化物塩;臭素と
テトラアルキルアンモニウム化合物の臭化物塩;フェロ
シアン酸塩とフェリシアン酸塩;フェロセンとフェロシ
ニウムイオン塩、アルキルチオールとアルキルジスルフ
ィド;ヒドロキノンとキノン;等が挙げられる。これら
の中でも、ヨウ素とヨウ化物塩との酸化還元対が特に好
ましい。
【0070】電解質は、高い電導性が得られる、化学修
飾半導体電極層における細孔に浸透し易い等の利点で、
適当な溶媒中に溶解或いは分散させた状態(以下、「電
解液」という)で用いることが好ましい。溶剤として
は、電気化学の分野で公知の溶剤が利用可能であるが、
特にリチウムイオン電池で用いられる非水系有機溶剤が
好適に流用できる。一般に、粘度が低く溶質の易動度を
向上したり、または誘電率が高く塩の解離性を向上した
りして、優れたイオン伝導性を発現できるものであるこ
とが好ましい。また、光電気化学反応に対して安定であ
ることが好ましい。具体的には、エチレンカーボネー
ト、プロピレンカーボネート、ブチレンカーボネート等
の環状カーボネート類;ジメチルカーボネート、ジエチ
ルカーボネート、メチルエチルカーボネート等の非環状
カーボネート類;ジオキサン、テトラヒドロフラン、2
−メチルテトラヒドロフラン、エチレングリコールジア
ルキルエーテル、プロピレングリコールジアルキルエー
テル、ポリエチレングリコールジアルキルエーテル、ポ
リプロピレングリコールジアルキルエーテルなどのエー
テル類;アセトニトリル、グルタロジニトリル、メトキ
シアセトニトリル、プロピオニトリル、ベンゾニトリル
などのニトリル類;ジメチルスルフォキシド、スルフォ
ランなどのスルフォキシド類;γブチロラクトン等のエ
ステル類;ジメチルフォルムアミド、ジメチルアセトア
ミド、N−メチルピロリドン等のアミド類;3−メチル
−2−オキサゾリジノンなどの複素環類;が挙げられ
る。これの溶剤は単独で用いてもよいが、2種以上併用
することが好ましい。このような組み合わせとしては、
高粘度、低誘電率溶剤(例えばエチレンカーボネート、
プロピレンカーボネート、ジメチルスルフォキシド、ス
ルフォラン等)と、低粘度、高誘電率溶剤(例えばアセ
トニトリル、エチレングリコールジメトキシエーテル、
2−メチルテトラヒドロフラン、ジエチルカーボネート
等)との組み合せが挙げられる。
【0071】電解液における電解質の濃度としては、
0.01mol/L〜2mol/Lであることが好まし
く、0.1mol/L〜1mol/Lであることがより
好ましい。また、電池作製時には、電解質としては、酸
化体または還元体の一方のみを添加してもよいが、酸化
体と還元体の両者を同時に添加してもよい。この場合、
還元体に対して酸化体を5mol%〜20mol%添加
した系とすることが好ましい。尚、電解質濃度が少なす
ぎると、電解液の電導性が不充分となりことがあり、逆
に電解質濃度が大きすぎると、電導性の向上がさほどで
なく材料が無駄となるばかりでなく、結晶化の問題も生
じることがある。。
【0072】電解液には、さらにイオン電導性等を向上
させる為の塩、液の扱い易さを向上させるための粘度調
整剤、液を擬固体化させる為のゲル化剤、半導体細孔へ
の浸透性を改善させる為の濡れ性改善剤、等を添加する
こともできる。なお、ゲルとはコロイド粒子または溶質
が相互作用のために独立した運動性を失って、集合した
構造を持ち固化した状態を言う。本発明では、高分子ゲ
ル化剤も低分子ゲル化剤も利用可能であるが、J.Ch
em.Soc.Japan,Ind.Chem.So
c.,Vol.46,p.779,1943;J.A
m.Chem.Soc.,Vol.111,p.554
2,1989;J.Chem.Soc.,Chem.C
ommun.,p.390,1993;Angew.C
hem.Int.Ed.Engl.,Vol.35,
p.1949,1996;Chem.Lett.,p.
885,1996;J.Chem.Soc.,Che
m.Commun.,p.545,1997等に記載の
ジベンジリデン−D−ソルビトール、コレステロール誘
導体、アミノ酸誘導体、trans−(1R,2R)−
1,2−シクロヘキサンジアミンのアルキルアミド誘導
体、アルキル尿素誘導体、N−オクチル−D−グルコン
アミドベンゾエート、双頭型アミノ酸誘導体などの低分
子ゲル化剤が好適に利用可能である。これらの低分子ゲ
ル化剤を添加した溶液は高温では流動性を有し、低温で
ゲル化するため、用いるゲル化剤の種類、溶剤の種類、
濃度を適宜選択することで、ゲル化温度を制御し、電池
作製時には加熱流動状態での液としての注液特性が確保
でき、且つ電池使用時にはゲル化固体としての電解液の
漏洩の問題が解消される。
【0073】電解液は、支持電極と対向電極との間に適
当なギャップを設け、その中に注入されることで、支持
電極及び対向電極間に挟持させることができる。ギャッ
プを形成する方法としては、液晶ディスプレーの分野で
よく用いられているシリカ等の絶縁性無機粉体を粗に塗
する方法;電極形状の開口部を切ったテフロン(登録商
標)シート等の絶縁性樹脂フィルムをスペーサーとして
介在させる方法;リチウムイオン電池の分野でセパレー
ターと称してよく用いられているサブミクロンオーダー
の貫通微空孔を多数有するポリプロピレン、ポリエチレ
ン等の絶縁性樹脂フィルムの有機セパレーターを用いる
方法;上述した本発明の化学修飾半導体電極における化
学修飾半導体層上に形成される両多空質絶縁性層をセパ
レーターとして介在させる方法;等が利用できる。スペ
ーサーを用いる方法では、外圧が掛かった場合に両電極
が接触し短絡してしまう、或いは電池が破損した場合に
電解液が流れてしまう等の問題が生じることがあるのに
対し、セパレーターを用いる方法では、外圧による電極
接触短絡の問題は生起せず、また電解液が微空隙に表面
張力にて担持されているため破損した場合の電解液の流
出の程度も軽い。しかしながら、ポリプロピレン、ポリ
エチレン製の有機セパレーターは、電解液中の有機溶剤
による膨潤による体積変化の問題や、電解液に対する濡
れ性が悪くセパレーター細孔に電解液を浸透させるのが
困難と云った問題が生じることがある。濡れ性を改善す
る目的で、セパレーターの表面を処理し極性を持たせる
検討が為されているが、これは有機溶剤による膨潤の問
題を悪化させ、さらにセパレーターの電気化学的安定性
を低下させてしまうため、使い切りのリチウムイオン電
池用途では問題が顕在化しなくとも、再生型の光電池用
途では、寿命の低下を招く虞がある。このため、上述し
た化学修飾半導体電極層の知見から、これと同様の構造
の両多空質絶縁性層を無機セパレータとして介在させる
ことが特に好ましい。
【0074】支持電極と対向電極の間隔は、特に制約は
ないが、一般的に、上述のスペーサーや有機セパレータ
ーを用いる場合には1μm〜1mmの範囲で、無機セパ
レーターを用いる場合には0.1μm〜0.1mmの範
囲が好ましい。尚、スペーサー、有機セパレーター、無
機セパレーターは単独で用いても、それらを組み合せ用
いてもよい。
【0075】本発明の光電池は、目的に応じて設計さ
れ、一般的には、複数の光電池を連結して用いられる。
個々の光電池の大きさは任意であり、複数の光電池は同
一支持体上に作製されても、それぞれ別々の支持体上に
作製されてもよい。また、多層構成とすることもでき
る。個々の光電池の化学修飾半導体電極における機能性
化合物は全ての光電池で同じ物を用いても、それぞれ異
なるものを用いてもよい。また、本発明の光電池では、
入射面へのキズの防止、構成物の酸化等による劣化防
止、電解質の漏洩防止、紫外線の入射防止、等の目的の
ために、光電池の全面もしくは一部を、必要に応じ各種
添加剤を添加したポリマーや接着剤等により覆うことが
好ましい。
【0076】
【実施例】以下、本発明を、実施例を挙げてさらに具体
的に説明する。ただし、これら各実施例は、本発明を制
限するものではない。
【0077】[作製例1] −両多空質酸化チタン半導体電極層の作製− フッ素ドープ酸化錫透明導電性層コートガラス(旭硝子
社製)(導電性支持体)上に、上述した齋藤らの文献を
参照し、水蒸気分圧933.1Pa(7mmHg)大気
下でA−CVD装置(旭エンジニアリング製)にて、膜
厚5μmの両多空質酸化チタン層を作製した。尚、チタ
ン原料としては、テトライソプロポキシチタンを用い、
基板温度は450℃とし、成膜時間は4分であった。得
られた酸化チタン層(半導体電極層)は、膜厚方向に対
して垂直方向断面の短軸が数十nm、長軸が数百nmの
柱状半導体群が、膜厚方向に対して異方的に、且つ互い
に交差或いは連結して網目状(メッシュ状)に形成さ
れ、膜厚方向に対して垂直方向断面の短軸における最小
径が数十nmで、個々の柱状半導体の長手方向に連続的
に延びる細孔が無数に形成された両多空質構造を有して
いた。なお、個々の柱状半導体の異方性因子は約200
であった。
【0078】[作製例2] −両多空質酸化チタン半導体電極層/両多空質酸化ジル
コニウム絶縁性層の作製− 作製例1の両多空質酸化チタン半導体層の作製に引き続
き、原料金属化合物をテトライソプロポキシチタンから
テトライソプロポキシジルコニウムに変更した以外は作
製例1と同様にして、両多空質酸化チタン半導体電極上
に両多空質酸化ジルコニウム絶縁性層を2μm積層させ
た。
【0079】(実施例1) <支持電極1の作製> −色素担持半導体電極の作製− 作製例1で得られた両多空質酸化チタン半導体電極層を
設けた導電性層コートガラス(導電性支持体)を、Ru
(4,4'−ジカルボキシビピリジル)2(NCS)2
素のエタノール溶液(3×10-4mol/L)に50℃
にて24時間浸漬した。該導電性層コートガラスをエタ
ノールで洗浄し、自然乾燥させて、両多空質酸化チタン
半導体電極層に色素を吸着させた。このようにして、色
素担持半導体電極を設けた導電性層コートガラスからな
る支持電極1を作製した。得られた色素担持半導体電極
の電子吸収スペクトルを測定した所、確かに色素に特徴
的な可視部の吸収を示した。
【0080】(実施例2) <支持電極2の作製> −色素担持半導体電極の作製− 作製例1で得られた両多空質酸化チタン半導体電極層を
設けた導電性層コートガラスの代わりに、作製例2で得
られた両多空質酸化チタン半導体層及び両多空質酸化ジ
ルコニウム絶縁性層を順次設けた導電性層コートガラス
を用いた以外は実施例1と同様にして、色素を吸着させ
た。このようにして、色素担持半導体電極を設けた導電
性層コートガラスからなる支持電極2を作製した。得ら
れた色素担持半導体電極の電子吸収スペクトルを測定し
た所、確かに色素に特徴的な可視部の吸収を示した。
【0081】(実施例3) <支持電極3の作製> −連結剤を用いた色素担持半導体電極の作製− 作製例1で得られた両多空質酸化チタン半導体電極層を
設けた導電性層コートガラスを、γ−ブロモプロピルト
リクロロシランの四塩化炭素溶液(1×10-2mol/
L)に室温にて3時間浸漬した。その後、四塩化炭素、
アセトンにて洗浄し、自然乾燥させた。次に、Ru
(4,4'−ジカルボキシビピリジル)2(NCS)2
素のジメチルアセトアミド溶液(1×10-5mol/
L)に浸漬し、窒素気流遮光下95℃にて36時間、染
色処理した。該導電性層コートガラスをエタノールで洗
浄し、自然乾燥させて、両多空質酸化チタン半導体電極
層に色素を吸着させた。このようにして、色素担持半導
体電極を設けた導電性層コートガラスからなる支持電極
3を作製した。得られた色素担持半導体電極の電子吸収
スペクトルを測定した所、確かに色素に特徴的な可視部
の吸収を示した。
【0082】(実施例4) <色素増感型光電池1の作製> 実施例1で得られた支持電極1(半導体電極側)と、ガ
ラス表面に白金をスパッタリング法により形成させた対
向電極、とを10μm径の酸化珪素スペーサーを介しサ
ンドイッチさせ、その間隙に、浸透圧法により電解液を
注入し、光再生型光電気化学電池を作製した。尚、電解
液としては、体積比が1/1であるプロピレンカーボネ
ート/エチレンカーボネート混合溶剤に、テトラブチル
アンモニウムアイオダイドとヨウ素とを、それぞれの濃
度が0.45mol/L、0.05mol/Lとなるよ
うに溶解したものを用いた。得られた光再生型光電気化
学電池を通常の評価装置にセットし、支持電極側からソ
ーラーシュミレーターにて100W/m2の擬似太陽光
を照射したところ、η(光利用効率)は4%であり、光
電池として有用であることがわかった。
【0083】(実施例5) <色素増感型光電池2の作製>実施例1で得られた支持
電極1の代わりに、実施例3で得られた支持電極3を用
いた以外は、実施例4と同様にして光再生型光電気化学
電池を作製し、実施例4と同様にして評価を行った。η
は5%であり、光電池として有用であることがわかっ
た。
【0084】(実施例6) <色素増感型光電池3の作製>実施例2で得られた支持
電極3上(半導体電極側)に、実施例4で用いたのと同
じ電解液を垂らし、その上から、ポリイミドフィルム表
面に白金をスパッタリング法により形成させた対向電極
を重ね、光再生型光電気化学電池を作製した。この光再
生型光電気化学電池を実施例4と同様にして評価した
所、ηは4%であった。さらに、この本光再生型光電気
化学を室温、大気中、暗下で1ケ月間放置の後、同様に
評価した所、ηは4%であり、光電池として有用であ
り、且つ高耐久なものであることがわかった。
【0085】実施例1〜6から、機能性化合物として色
素を担持させた化学修飾半導体電極は、微細な片多空質
または両多空質構造を有し、高い光吸収量と物質拡散に
十分な大きさの細孔とを兼備し、これを用いた色素増感
型光電池は、優れた光電特性と高い耐久性を発揮すると
云う卓越した効果を奏することがわかる。また、A−C
VD法を活用することによって、本発明に好適な多空質
半導体電極層及び多空質絶縁性層を、高速に、且つ再現
性良く、作製可能で、さらには本発明に好適な半導電性
支持体(透明導電性層)も作製可能であるため、連続一
貫した光電池の製造が可能であり、量産性、低コスト化
の点で非常に有望である。
【0086】
【発明の効果】以上により、本発明によれば、光電特
性、耐久性、安全性、製造性等に優れた化学修飾半導体
電極、並びに、その製造方法及びそれを用いた光電池を
提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の化学修飾半導体電極における半導体電
極層の膜厚方向の断面の一例を示す概略断面図である。
【図2】ゾル−ゲル法で得られる半導体電極層の膜厚方
向の断面の一例を示す概略断面図である。
【符号の説明】
1、10 半導体電極層 2、3、4 柱状半導体 12 微粒子 4、13 貫通細孔 14 袋小路状細孔 15 独立細孔
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 5F051 AA14 5H032 AA06 AS16 BB02 BB07 BB10 CC11 EE02 EE16 EE18 EE20 HH00

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 膜厚方向に対して異方的に配列された柱
    状半導体群と、個々の柱状半導体相互の間隙により形成
    される前記柱状半導体の長手方向に連続的に延びる細孔
    と、から構成される片多空質半導体電極層又は両多空質
    半導体電極層を有し、且つ該柱状半導体群表面の一部又
    は全部に、機能性化合物が担持されてなることを特徴と
    する化学修飾半導体電極。
  2. 【請求項2】 個々の柱状半導体が、異方性因子10以
    上であることを特徴とする請求項1に記載の化学修飾半
    導体電極。
  3. 【請求項3】 個々の柱状半導体が、互いに交差或いは
    連結して網目状構造を形成してなることを特徴とする請
    求項1又は2に記載の化学修飾半導体電極。
  4. 【請求項4】 柱状半導体群が、酸化チタン、酸化亜
    鉛、酸化錫、酸化ニオブ、及び、酸化インジウムから選
    ばれる金属酸化物の少なくとも1種を含有してなること
    を特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の化学修飾
    半導体電極。
  5. 【請求項5】 片多空質半導体電極層又は両多空質半導
    体電極層上に、両多空質絶縁性層を積層してなることを
    特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の化学修飾半
    導体電極。
  6. 【請求項6】 請求項1〜5のいずれかに記載の化学修
    飾半導体電極を製造する化学修飾半導体電極の製造方法
    であって、 気化又はクラスター化した原料金属化合物と不活性ガス
    とを、水蒸気雰囲気下、加熱した基板表面に吹き付け、
    柱状半導体群を形成する工程を有することを特徴とする
    化学修飾半導体電極の製造方法。
  7. 【請求項7】 請求項1〜5のいずれかに記載の化学修
    飾半導体電極を製造する化学修飾半導体電極の製造方法
    であって、 下記一般式(1)で表される珪素化合物を、柱状半導体
    表面の一部又は全部に化学吸着させる工程と、 前記珪素化合物の終端基と化学結合し得る基を有する色
    素を、化学的に結合させ、柱状半導体群表面の一部又は
    全部に担持させる工程と、 を有することを特徴とする化学修飾半導体電極の製造方
    法。 一般式(1) An(3-n)Si−L−X (一般式(1)中、Aはハロゲン原子、置換或いは未置
    換のアルコキシ基、置換或いは未置換のアリールオキシ
    基を表す。Rは置換或いは未置換のアルキル基、置換或
    いは未置換のアリール基を表す。Lは炭素数1〜20の
    2価の炭化水素基、炭素数1〜20の2価のヘテロ原子
    含有炭化水素基を表す。Xはハロゲン原子、ヒドロキシ
    ル基、アミノ基、カルボキシル基、エポキシ基、イソシ
    アネート基、メルカプト基、置換或いは未置換のビニル
    基を表す。nは1〜3の整数を表す。)
  8. 【請求項8】 少なくとも、導電性支持体と、請求項1
    〜5のいずれかに記載の化学修飾半導体電極とを積層し
    てなる支持電極を具備してなることを特徴とする光電
    池。
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