JP2001343973A - 鍵盤装置の鍵駆動装置および鍵盤装置の鍵駆動方法 - Google Patents

鍵盤装置の鍵駆動装置および鍵盤装置の鍵駆動方法

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JP2001343973A JP2000166167A JP2000166167A JP2001343973A JP 2001343973 A JP2001343973 A JP 2001343973A JP 2000166167 A JP2000166167 A JP 2000166167A JP 2000166167 A JP2000166167 A JP 2000166167A JP 2001343973 A JP2001343973 A JP 2001343973A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 安定した押鍵動作を実行させることが可能な
鍵駆動装置を提供する。 【解決手段】 この鍵駆動装置では、押し付けパート
A、アタックパートB、タッチパートC、バックチェッ
クパートDおよびホールドパートEといった5つの御パ
ートを有する駆動電流波形をソレノイドユニットに供給
し、プランジャを上昇させて鍵を押下動作させている。
アタックパートBでは、0〜時間T2の間、最大アタッ
ク電流値IAからタッチ電流値ITまで連続して電流値を
減少させている。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ソレノイドユニッ
トを用いて鍵を駆動する鍵盤装置の鍵駆動装置および鍵
盤装置の鍵駆動方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来より、ピアノなどの鍵盤楽器の中に
は、各鍵毎にソレノイドユニットを設け、これらのソレ
ノイドユニットが鍵を突き上げることにより自動演奏を
行う機能を備えたものがある。このような自動演奏機能
を備えた鍵盤楽器では、演奏データに基づいてソレノイ
ドユニットに駆動電流を供給する鍵駆動装置を有してい
る。
【0003】従来の鍵駆動装置では、図7に示すような
駆動電流波形をソレノイドユニットに供給しており、こ
の駆動電流波形によってソレノイドユニットが作動し、
対応する鍵を突き上げて押鍵動作が実行されている。こ
こで、図7に示す駆動電流波形について説明すると、押
鍵動作を実行する場合、まずアタック電流を供給した
後、演奏する楽曲の強弱に応じたタッチ電流を供給して
いる。アタック電流はソレノイドユニットの静止摩擦を
打ち消して、プランジャを始動させるための電流であ
り、アタック電流としてはタッチ電流等の後から供給さ
れる電流よりも大きい値の電流が供給される。そして、
打弦タイミングが経過すると、打弦後のハンマの跳ね返
りを抑止するためのバックチェック電流が供給され、こ
の後、押鍵状態を維持するためのホールド電流が供給さ
れる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】ここで、図8は、上述
した駆動電流波形における楽音の強弱に応じたタッチ電
流値と、演奏データに示される強弱値(例えばMIDI
(Musical Instrument Digital Interface)のベロシテ
ィ値)との関係を示す。タッチ電流値とベロシティ値の
関係は、図中破線で示すような関係になることが制御上
好ましいが、実際には図中実線で示すように、弱音領域
と強音領域とでのタッチ電流との関係が著しく異なって
いる。そして、弱音域において楽音の強弱を微細に制御
するためには、タッチ電流値を非常に細やかに制御する
必要があり、弱音域において正確な電流制御を行うこと
は非常に困難である。
【0005】また、鍵駆動に用いられるソレノイドユニ
ットは、図9に示すような推力特性を持っているのが一
般的である。同図に示すように、一般的なソレノイドユ
ニットの特性は、プランジャの位置がある範囲内におい
て上方側になるほどソレノイドユニットの推力が大きく
なるようになっている。これは、押鍵を維持した状態で
の効率を考慮したものであり、押鍵維持状態にプランジ
ャが位置する時、つまり上方側にプランジャがある時に
より大きな推力を得るためである。押鍵用のソレノイド
ユニットは、このような非線形の特性を有しているた
め、弱音再生を行う場合には、十分な推力が得られず、
所望量の楽音発生がなされにくいといった問題がある。
【0006】これ以外にも、従来の駆動電流波形による
ソレノイドユニットでは、ピアノの種類、鍵盤の高低
差、各ピアノ間の構造のばらつき、および温湿度などの
使用環境の変化といった外乱要素により、所望量の楽音
発生に支障をきたすことがあり、特に上述したような理
由から弱音領域では外乱の影響を受けやすい。
【0007】また、図7に示すように、従来の駆動電流
波形では、アタック電流値からタッチ電流値に不連続、
かつ急激に変動するため、ソレノイドユニットのプラン
ジャ、鍵、アクション機構といった押鍵時に作動する各
部品の挙動が乱れてしまい正常な押鍵動作に支障を来す
ことがあり得る。例えば、ハンマがアクション機構から
所定のタイミングよりも早く脱進してしまったり、各部
品同士が共振系を構成して振動してしまうといったこと
があり得る。加えて、図7に示す駆動電流波形でソレノ
イドユニットを制御した場合、プランジャと鍵が強く衝
突することになるため、衝突音が発生するとともに、鍵
の挙動が不安定になり、プランジャの動作と鍵の動作が
一致しなくなるという問題があった。
【0008】本発明は、上記の事情を考慮してなされた
ものであり、安定した押鍵動作を実行させることを目的
とし、第1には弱音領域においても、安定した押鍵動作
を実行させることが可能であり、第2にはソレノイドユ
ニットの可動部と鍵が強く衝突することを防止すること
が可能な鍵盤装置の鍵駆動装置および鍵盤装置の鍵駆動
方法を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するた
め、本発明の請求項1に記載の鍵盤装置の鍵駆動装置
は、鍵盤装置の各鍵に対応して設けられるソレノイドユ
ニットと、演奏データに基づいて特定される前記ソレノ
イドユニットに駆動信号を供給する駆動制御手段とを備
え、当該駆動信号が供給されたソレノイドユニットが対
応する前記鍵を突き上げて駆動する鍵盤装置の鍵駆動装
置であって、前記駆動制御手段は、前記ソレノイドユニ
ットの静止摩擦を打ち消すための予め設定されたアタッ
ク電荷を前記ソレノイドユニットに供給する波形パート
であって、所定時間の間に最大アタック電流値から前記
演奏データに示される強弱に基づいた楽音電流値に連続
して電流値が減少する波形パートを有する駆動電流波形
を生成し、当該駆動電流波形を前記ソレノイドユニット
に供給することを特徴としている。
【0010】また、請求項2に記載の鍵盤装置の鍵駆動
装置は、請求項1に記載の鍵盤装置の鍵駆動装置におい
て、前記アタック電荷の値をEA、前記最大アタック電
流値をIA、前記楽音電流値をITとした場合、電流値が
連続的に変化する前記所定時間は、2EA/(IA
T)で算出される値であることを特徴としている。
【0011】また、請求項3に記載の鍵盤装置の鍵駆動
装置は、請求項1または2に記載の鍵盤装置の鍵駆動装
置において、前記最大アタック電流値から前記楽音電流
値に連続して減少する波形は、高次多項式にしたがった
線を描く波形であることを特徴としている。
【0012】また、請求項4に記載の鍵盤装置の鍵駆動
装置は、請求項3に記載の鍵盤装置の鍵駆動装置におい
て、前記高次多項式は、ベジエ曲線を描く式、S字曲線
を描く式、もしくは傾きを有する直線を描く式であるこ
とを特徴としている。
【0013】また、請求項5に記載の鍵盤装置の鍵駆動
装置は、鍵盤装置の各鍵に対応して設けられるソレノイ
ドユニットと、演奏データに基づいて特定される前記ソ
レノイドユニットに駆動信号を供給する駆動制御手段と
を備え、当該駆動信号が供給されたソレノイドユニット
が対応する前記鍵を突き上げて駆動する鍵盤装置の鍵駆
動装置であって、前記駆動制御手段は、前記ソレノイド
ユニットの静止摩擦を打ち消すための予め設定されたア
タック電荷を前記ソレノイドユニットに供給する前に、
前記ソレノイドユニットの可動部を前記鍵と接触する位
置まで移動させるための押し付け電荷を供給する波形パ
ートを有する駆動電流波形を生成し、当該駆動電流波形
を前記ソレノイドユニットに供給することを特徴として
いる。
【0014】また、請求項6に記載の鍵盤装置の鍵駆動
方法は、鍵盤装置の各鍵に対応して設けられるソレノイ
ドユニットに演奏データに基づいた駆動信号を供給し、
当該駆動信号が供給されたソレノイドユニットが対応す
る前記鍵を突き上げて駆動する鍵盤装置の鍵駆動方法で
あって、前記ソレノイドユニットの静止摩擦を打ち消す
ための予め設定されたアタック電荷を前記ソレノイドユ
ニットに供給する波形パートであって、所定時間の間に
最大アタック電流値から前記演奏データに示される強弱
に基づいた楽音電流値に連続して電流値が減少する波形
パートを有する駆動電流波形を生成し、当該駆動電流波
形を前記ソレノイドユニットに供給することを特徴とし
ている。
【0015】
【発明の実施の形態】以下、図面を参照して本発明の実
施形態について説明する。 A.鍵駆動装置の構成 まず、図1は本発明の実施形態に係るピアノの鍵駆動装
置の構成を示す断面図である。この図1において、1は
鍵であり、棚板2の上に図示せぬバランスピンを介して
回動自在に支持されている。演奏者は、この鍵1の前端
部(図示略)を押鍵して演奏する。この様な鍵1が、図
面の表裏方向に複数並設され、鍵盤が構成されている。
【0016】鍵1の後端部の上方には、鍵1の動作に応
じて弦を打撃する公知のハンマアクション機構(図示
略)が設けられている。また、棚板2における鍵1の後
端部の下方部分には、鍵1の配列方向に伸びる収納孔が
形成されており、この収納孔に、鍵1ごとにソレノイド
ユニット3と、演奏データに応じて各ソレノイドユニッ
ト3に駆動信号を供給する駆動制御装置103とを備え
た鍵駆動装置Pが収納されている。
【0017】この鍵駆動装置Pは、鍵1の後端部を押し
上げることによって鍵1に押鍵動作を与えるもので、支
持体80と、この支持体80に鍵1の配列方向に向かっ
て千鳥状に配置され、1つ1つの鍵1の後端部の下面に
対向配置されているソレノイドユニット3とを有してい
る。
【0018】ソレノイドユニット3は、ヨーク100
と、ソレノイド101と、プランジャ102とを有して
いる。駆動制御装置103は、演奏データに応じて特定
される鍵1に対応したソレノイド101に駆動電流を供
給する。そして、駆動電流が供給されたソレノイドユニ
ット3のソレノイド101およびヨーク100によって
磁界が発生し、プランジャ102が上昇する。このよう
に上昇するプランジャ102によって鍵1の後端部が突
き上げられ、押鍵動作が実行されるようになっている。
【0019】B.駆動電流波形 上述した鍵駆動装置の構成は、従来の一般的な鍵駆動装
置と同様の構成であるが、本実施形態では、駆動制御装
置103によるソレノイドユニット3の駆動制御方法と
してフィードフォワード制御を採用し、弱音領域におい
ても安定した押鍵動作を可能とする駆動電流波形を生成
し、ソレノイドユニット3に供給している。以下、駆動
制御装置103からソレノイドユニット3に供給する駆
動電流波形について詳細に説明する。
【0020】本実施形態に係る鍵駆動装置では、ある鍵
1を押下動作させる場合には、その鍵1に対応したソレ
ノイドユニット3に、図2に示すような駆動電流波形が
駆動制御装置103から供給されるようになっている。
同図に示すように、この駆動電流波形は、押し付けパー
トA、アタックパートB、タッチパートC、バックチェ
ックパートDおよびホールドパートEといった5つのパ
ートに分けられる。
【0021】押し付けパートAは、図1に示すように待
機位置にあるプランジャ102が鍵1の下端面に押し付
けられるまでの間、ソレノイドユニット3に供給される
駆動電流波形の1つのパートであり、この押し付けパー
トAが供給されると、プランジャ102が待機位置から
上昇して鍵1の下端面に接するまで移動する。押し付け
パートAでは、プランジャ102が鍵1の下端面に接触
する時間を基準(=0)とした場合、この基準時間まで
前の時間T0から0までの間、一定の電流値I0が供給さ
れる。ここで、ピアノの種類や鍵盤の高さ等にもよる
が、時間T0としては5msec程度、電流値I0として
は0.08A程度であり、これらの値はこの鍵駆動装置
が搭載されるピアノの種類、鍵盤の高さ、およびソレノ
イドユニットの種類などに応じて予め設定された固定値
である。
【0022】次に、アタックパートBは、プランジャ1
02が鍵1の下端面に押し付けられた後、ソレノイドユ
ニット3のインダクタンス分による電流の遅れを補償
し、静止摩擦を打ち消すためにソレノイドユニット3に
供給される駆動電流波形の1つのパートである。このア
タックパートBが供給されると、プランジャ102が静
止摩擦を脱出して鍵1が回動動作を開始する。アタック
パートBでは、プランジャ102が鍵1の下端面に接触
した時間0において、最大のアタック電流値IA(0.
4〜1A程度)が供給され、それ以降時間T2までの
間、電流値が連続して減少し、時間T2になった時点で
電流値がIT、後述するハンマ速度に応じたタッチ電流
値となる。
【0023】このようなアタックパートBにおける最大
アタック電流値IAからタッチ電流値ITまで連続して変
化する波形について、図3を参照しながら詳細に説明す
る。本実施形態では、アタックパートBにおいては、こ
のパート全体の電荷であるアタック電荷EA(A・se
c)は固定値(例えば3mC〜10mC程度)であり、
この鍵駆動装置が搭載されるピアノの種類などに応じて
予め設定されている。そして、アタックパートBにおけ
るアタック電荷EAが予め設定された値になり、かつ最
大アタック電流値IAからタッチ電流値ITまでに電流値
が連続して変化するにあたり、変化する電流値が描く曲
線Sが高次多項式、例えばベジエ(Bezier)曲線を描く
よう駆動電流値を変化させている。具体的には、次のよ
うな手法により、電流値を変化させている。
【0024】まず、アタックパートBの終了時間T2
次の式により算出する。 T2=2EA/(IA+IT
【0025】一般的な鍵盤高さを有するピアノにおいて
は、ppp、pp、p、mpといった弱音発生を行う場
合には、タッチ電流値ITは0.005A〜0.02A
程度であり、アタック電荷EAを5mCとし、最大アタ
ック電流値IAを0.6Aとして場合、上記式に当ては
めると、T2=(2X5X0.001)/(0.6+
0.02)で算出され、その結果時間T2は16mse
c程度になる。
【0026】そして、アタックパートBを、0〜T
1(T1=T2/2)までの第1領域と、T1〜T2までの
第2領域といったように時間的に2分割し、それぞれの
領域の端点H1,H2,H3における電流値を示す関数の
一次微分値が図中破線で示すH1,H12,H2,H23,H
3を結ぶ直線Mの傾きφと一致するように、以下の式に
よりベジエ曲線を描く電流値を算出している。ここで、
点H12はこの波形グラフにおける座標が(時間T1
2、電流値IA)の点であり、点H23は座標が(時間
(T 1+T2)/2、電流値IT)の点である。
【数1】 上記各式において、tは時間、iは電流値、uは媒介変
数である。上記各式を第1領域および第2領域毎に、電
流値iで解くと次のようになる。
【数2】 第1領域については上記(1)式を用い、第2領域につ
いては上記(2)式を用いて電流値iを逐次算出すれ
ば、図3に示したようなベジエ曲線を描く駆動電流波形
のアタックパートBを生成することができる。
【0027】図2に戻り、タッチパートCは、押鍵速
度、つまり押鍵に連動するハンマの速度を制御するため
の駆動電流波形の1つのパートであり、時間T2から打
弦タイミングTD間での間、演奏データに示される楽音
の強弱(MIDIの場合、ベロシティ値)に応じたタッ
チ電流値ITが駆動電流として供給されることになる。
具体的には、強音を発生させる場合には、タッチ電流値
Tを大きく設定してハンマの速度を大きくし、弱音を
発生させる場合には、タッチ電流値ITを小さく設定し
てハンマの速度を小さくする。このようなタッチ電流値
Tは、従来のソレノイドユニットへの駆動電流波形と
同様に指数関数等を用いて算出、つまり演奏データに示
される強弱に応じたハンマの速度の変化に対して電流値
を指数変化させるようにすればよい。このように、タッ
チ電流値ITは、発生すべき楽音の強弱に応じてその都
度設定される値である。
【0028】次に、バックチェックパートDは、打弦後
のハンマの跳ね返りを抑えるためにソレノイドユニット
3に供給される駆動電流のパートであり、打弦タイミン
グT D以降の時間ΔTBの間、電流値IBが駆動電流とし
て供給されることになる。ここで、時間ΔTBや電流値
Bは、この鍵駆動装置が搭載されるピアノの種類や鍵
盤の高さなどに応じて予め設定された固定値である。こ
こで、打弦タイミングT Dは、ハンマの挙動を検出する
ハンマセンサ等から取得するようにしてもよいし、上述
した基準時間からの打弦タイミングまでの遅延時間を、
ハンマ速度等を用いて算出するといった公知の打弦タイ
ミング推定方法により推定したものであってもよい。
【0029】次に、ホールドパートEは、押下された位
置で鍵1を保持するため、つまりプランジャ102を鍵
1を押し上げた位置で保持するためにソレノイドユニッ
ト3に供給する駆動電流のパートであり、バックチェッ
クパートDの終了後であるT DからΔTB経過後の時間T
Eから電流値IHが駆動電流としてソレノイドユニット3
に供給される。これにより、プランジャ102は鍵1を
突き上げる位置で保持され、鍵1が押下状態で保持され
ることになる。ここで、電流値IHは、この鍵駆動装置
が搭載されるピアノの種類や鍵盤高さなどに応じて予め
設定された固定値であり、電流供給時間は演奏データに
示される押鍵状態を持続する時間に応じて決定される。
【0030】本実施形態では、このように、押し付けパ
ートA、アタックパートB、タッチパートC、バックチ
ェックパートDおよびホールドパートEといった5つの
パートを有する駆動電流波形を生成してソレノイドユニ
ット3に供給し、プランジャ102を上昇させて鍵1の
押下動作を実現している。
【0031】C.鍵駆動装置の動作 次に、上記構成の鍵駆動装置Pの動作について説明す
る。まず、駆動制御装置103によりCD−ROMなど
の記録媒体から演奏データが読み出され、この演奏デー
タにより特定された鍵1に対応するソレノイドユニット
3に駆動電流波形が駆動制御装置103からソレノイド
ユニット3に供給される。ここで、駆動制御装置103
からソレノイドユニット3に供給される駆動電流波形
は、上述したように生成されたものである。つまり、駆
動制御装置103によって演奏データに示される楽音の
強弱に基づいてタッチ電流値ITが算出され、このタッ
チ電流値ITを用いて時間T2や、0〜時間T2までの間
の電流値が逐次算出される。これにより、図3に示すよ
うなベジエ曲線を描く駆動電流波形が生成されてソレノ
イドユニット3に供給される。
【0032】このように駆動電流波形が供給されると、
ソレノイドユニット3のプランジャ102が上昇し、鍵
1の後端部を突き上げて押鍵動作が実行される。これに
より、鍵1に連動するアクション機構によって弦が打撃
されて楽音発生がなされる。このような動作が演奏デー
タに示される音符毎に実行され、演奏データに応じた楽
曲の自動演奏が実現できるようになっている。
【0033】本実施形態では、ソレノイドユニット3へ
供給する駆動電流波形のアタックパートBにおいて、最
大アタック電流値IAからタッチ電流値ITへ電流値を連
続して減少、つまり滑らかに減少させている。これによ
り、ソレノイドユニット3に発生する推力も滑らかに変
化することになる。一方、従来の駆動電流波形(図7参
照)では、アタック電流値からタッチ電流値に急激に電
流値が変動するため、ソレノイドユニットの発生する推
力も急激に変動することになる。このように推力が急激
に変動すると、鍵1、これに連動するアクション機構な
どの各部品間の接触部の挙動が乱れ、アクション機構の
動作が正常に行われなくなってしまうことがある。これ
に対し、本実施形態では、ソレノイドユニット3の推力
変動が滑らかであるため、上記のようなアクション機構
の挙動の乱れなどを抑制することができ、安定した鍵1
およびこれに連動するアクション機構の動作が可能とな
る。
【0034】また、本出願人は、本実施形態に係る鍵駆
動装置Pによる効果を確認するために、アップライトピ
アノに搭載した鍵駆動装置において、図3に示すような
駆動電流波形をソレノイドユニット3に供給した場合の
MIDIデータのベロシティ値と、このベロシティ値に
対応した楽音発生を実現するためのタッチ電流値との関
係を実験により求め、図4に示すような結果を得た(図
4中実線は、本実施形態による駆動電流波形を用いた場
合を示し、図4中破線は従来の駆動電流波形を用いた場
合を示す)。
【0035】同図に示すように、本実施形態の駆動電流
波形(図3参照)を供給した場合には、従来の駆動電流
波形(図7参照)と比較して、ベロシティ値/電流値で
表されるグラフ上の傾きが緩やかになり、制御性が向上
していることがわかる。特に、弱音領域での制御性の向
上が顕著であることがわかる。また、ピアノの種類、鍵
盤の高低差、各ピアノ間の構造のばらつき、および温湿
度などの使用環境の変化といった外乱要素に対しても従
来よりも安定した鍵駆動制御が行えることが実験により
わかった。
【0036】さらに、本実施形態では、アタックパート
Bに先だって、このアタックパートBよりも電流値が小
さい押し付けパートAを設け、プランジャ102が鍵1
の下端面に接触した後にアタックパートBに移行するよ
うにしたので、プランジャ102と鍵1との衝突音の発
生を防止するとともに、鍵1の挙動を安定化させること
ができる。
【0037】D.変形例 なお、本発明は、上述した実施形態に限定されるもので
はなく、以下のような種々の変形が可能である。
【0038】(変形例1)上述した実施形態では、最大
アタック電流値IAからタッチ電流値ITに電流値を減少
させる際に、ベジエ曲線を描くようにしていたが、これ
に限らず、0から時間T2までの間(4〜20mse
c)に連続して電流値が減少するような駆動電流波形で
あればよい。
【0039】例えば、図5に示すように、時間T0から
時間T2までの間、最大アタック電流値IAからタッチ電
流値ITに電流値が直線的に変動する駆動電流波形をソ
レノイドユニット3に供給するようにしてもよい。この
ような駆動電流波形における電流値iの一次微分値Δ
i、つまり傾きは次式により表される。 Δi=(IT−IA)/T2 ここで、T2は、上述した実施形態と同様に次式により
算出される。 T2=2EA/(IA+IT) 従って、Δiは次式で表せる。
【数3】 このようにしてΔiを算出し、図5に示すような駆動電
流波形を生成してソレノイドユニット3に供給する。こ
の場合、例えば、図6(a)に示すような回路を用い、
図6(b)に示すような各タイミング毎に定数Kを加算
器61に供給する。また、遅延部60においてフィード
バックされる出力を1クロック遅延させるとともに設定
値Iを加算して加算器61に出力するようにすれば、こ
の回路により図5に示すような駆動電流波形を生成する
ことができる。
【0040】この変形例においても、最大アタック電流
値IAからタッチ電流値ITへ電流値を滑らかに減少させ
ているので、上記実施形態と同様に従来の駆動電流波形
によるソレノイド駆動よりも安定した制御が可能とな
る。また、電流値iの導出処理が上記実施形態に比べて
容易であるため、処理時間を短くすることができるとと
もに、当該処理を実現するためのハードウェアもしくは
ソフトウェアが簡易なものとなる。
【0041】また、上述したベジエ曲線や直線に限ら
ず、曲線や直線の傾きが滑らかに変化する、つまり曲線
または直線を描く式の微分値に段差ができない高次多項
式により描かれるものであればよく、例えばS字曲線を
描くS字関数にしたがって電流値を連続して減少させる
ようにしてもよい。
【0042】(変形例2)また、上述した実施形態で
は、本発明をピアノに適用した場合について説明した
が、これに限らず、オルガンなどの鍵盤を有する様々な
鍵盤装置の鍵駆動装置に適用することが可能である。
【0043】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、
弱音領域においても、安定した押鍵動作を実行させるこ
とが可能となる。また、ソレノイドユニットの可動部と
鍵とが強く衝突することを防止することができ、大きな
衝突音の発生を防止するとともに、鍵1の挙動を安定化
させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の一実施形態に係るピアノの鍵駆動装
置の構成を示す側断面図である。
【図2】 前記鍵駆動装置の構成要素である駆動制御装
置からソレノイドユニットに供給される駆動電流波形を
説明するための図である。
【図3】 前記駆動電流波形の1パートであるアタック
パートの生成方法を説明するための図である。
【図4】 前記鍵駆動装置による楽音発生の強弱の制御
性の向上を説明するための図であり、楽音ベロシティ値
と前記ソレノイドユニットに供給するタッチ電流値との
関係を示すグラフである。
【図5】 前記駆動制御装置からソレノイドユニットに
供給される前記駆動電流波形の変形例を説明するための
図である。
【図6】 図5に示す駆動電流波形を生成するための回
路構成を示す図である。
【図7】 従来の鍵駆動装置において、ソレノイドユニ
ットに供給される駆動電流波形を説明するための図であ
る。
【図8】 従来の鍵駆動装置における楽音ベロシティ値
と、ソレノイドユニットに供給するタッチ電流値との関
係を示すグラフである。
【図9】 従来の鍵駆動装置のソレノイドユニットのプ
ランジャ位置と、発生推力との関係を示すグラフであ
る。
【符号の説明】
1……鍵、2……棚板、3……ソレノイドユニット、1
02……プランジャ、103……駆動制御装置、100
……ヨーク、101……ソレノイド、P……鍵駆動装置
─────────────────────────────────────────────────────
【手続補正書】
【提出日】平成12年7月6日(2000.7.6)
【手続補正1】
【補正対象書類名】図面
【補正対象項目名】図6
【補正方法】変更
【補正内容】
【図6】

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 鍵盤装置の各鍵に対応して設けられるソ
    レノイドユニットと、演奏データに基づいて特定される
    前記ソレノイドユニットに駆動信号を供給する駆動制御
    手段とを備え、当該駆動信号が供給されたソレノイドユ
    ニットが対応する前記鍵を突き上げて駆動する鍵盤装置
    の鍵駆動装置であって、 前記駆動制御手段は、前記ソレノイドユニットの静止摩
    擦を打ち消すための予め設定されたアタック電荷を前記
    ソレノイドユニットに供給する波形パートであって、所
    定時間の間に最大アタック電流値から前記演奏データに
    示される強弱に基づいた楽音電流値に連続して電流値が
    減少する波形パートを有する駆動電流波形を生成し、当
    該駆動電流波形を前記ソレノイドユニットに供給するこ
    とを特徴とする鍵盤装置の鍵駆動装置。
  2. 【請求項2】 前記アタック電荷の値をEA、前記最大
    アタック電流値をIA、前記楽音電流値をITとした場
    合、電流値が連続的に変化する前記所定時間は、2EA
    /(IA+IT)で算出される値であることを特徴とする
    請求項1に記載の鍵盤装置の鍵駆動装置。
  3. 【請求項3】 前記最大アタック電流値から前記楽音電
    流値に連続して減少する波形は、高次多項式にしたがっ
    た線を描く波形であることを特徴とする請求項1または
    2に記載の鍵盤装置の鍵駆動装置。
  4. 【請求項4】 前記高次多項式は、ベジエ曲線を描く
    式、S字曲線を描く式、もしくは傾きを有する直線を描
    く式であることを特徴とする請求項3に記載の鍵盤装置
    の鍵駆動装置。
  5. 【請求項5】 鍵盤装置の各鍵に対応して設けられるソ
    レノイドユニットと、演奏データに基づいて特定される
    前記ソレノイドユニットに駆動信号を供給する駆動制御
    手段とを備え、当該駆動信号が供給されたソレノイドユ
    ニットが対応する前記鍵を突き上げて駆動する鍵盤装置
    の鍵駆動装置であって、 前記駆動制御手段は、前記ソレノイドユニットの静止摩
    擦を打ち消すための予め設定されたアタック電荷を前記
    ソレノイドユニットに供給する前に、前記ソレノイドユ
    ニットの可動部を前記鍵と接触する位置まで移動させる
    ための押し付け電荷を供給する波形パートを有する駆動
    電流波形を生成し、当該駆動電流波形を前記ソレノイド
    ユニットに供給することを特徴とする鍵盤装置の鍵駆動
    装置。
  6. 【請求項6】 鍵盤装置の各鍵に対応して設けられるソ
    レノイドユニットに演奏データに基づいた駆動信号を供
    給し、当該駆動信号が供給されたソレノイドユニットが
    対応する前記鍵を突き上げて駆動する鍵盤装置の鍵駆動
    方法であって、 前記ソレノイドユニットの静止摩擦を打ち消すための予
    め設定されたアタック電荷を前記ソレノイドユニットに
    供給する波形パートであって、所定時間の間に最大アタ
    ック電流値から前記演奏データに示される強弱に基づい
    た楽音電流値に連続して電流値が減少する波形パートを
    有する駆動電流波形を生成し、当該駆動電流波形を前記
    ソレノイドユニットに供給することを特徴とする鍵盤装
    置の鍵駆動方法。
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JP2008233213A (ja) * 2007-03-16 2008-10-02 Yamaha Corp 自動演奏用鍵盤装置
JP2008233827A (ja) * 2007-03-23 2008-10-02 Yamaha Corp 楽器の制御装置
JP2008233828A (ja) * 2007-03-23 2008-10-02 Yamaha Corp 楽器の制御装置

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