JP2001342384A - 熱転写記録液 - Google Patents

熱転写記録液

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JP2001342384A
JP2001342384A JP2000166732A JP2000166732A JP2001342384A JP 2001342384 A JP2001342384 A JP 2001342384A JP 2000166732 A JP2000166732 A JP 2000166732A JP 2000166732 A JP2000166732 A JP 2000166732A JP 2001342384 A JP2001342384 A JP 2001342384A
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thermal transfer
paper
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JP2000166732A
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Tatsuhiko Matsumoto
達彦 松本
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Original Assignee
Sony Corp
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 印画濃度を向上させると共に、印画寿命を延
ばす。 【解決手段】 添加剤として、下記化1及び化2に示す
ドデカクロロペンタシクロオクタデカジエン又はリン酸
トリクレジルを添加する。このことにより、熱転写記録
方式の記録装置に用いて印画を行ったときに、必要十分
な印画濃度を得ることができる。また、印画を行ったと
きの印画寿命が増加と同時に、このときに消費される電
力を減らすことが可能となる。 【化1】 【化2】

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、印画紙などの被転
写体に文字や画像などの情報を記録するためのプリンタ
に用いられる熱転写記録液に関する。特に、熱転写記録
液をインク転写部に保持し加熱手段により加熱すること
によって熱転写記録液を飛翔し、記録を行うプリンタに
用いられる熱転写記録液に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、個人あるいは「スモールオフィス
・ホームオフィス」と呼ばれる小規模なオフィス向けプ
リンタに対するカラー化のニーズが急激な高まりを見せ
ている。これに対応して、昇華型熱転写方式、溶融熱転
写方式、オンデマンド型インクジェット方式、電子写真
方式などのカラーハードコピー方式が提案されている。
【0003】上記用途向けプリンタに要求される項目と
しては、銀塩写真並の画像品位を満足すること、A6サ
イズの画像を10秒以内に出力すること(6ppm以
上)、ランニングコストが銀塩写真以下であること、装
置コストが10万円以内であることなどが挙げられる。
しかしながら、上記の要求を全て満たすプリンタは未だ
実現されていない。
【0004】そこで、上記のような要求を満たすプリン
タの実現のために、種々の新しい方式の熱転写方式が提
案されている。その一つに、例えば、特開平9−183
239号公報や特開平9−183246号公報に記載さ
れるような熱転写記録方式が提案されている。
【0005】この方式では、プリンタヘッドの転写部に
おいて熱転写記録液、すなわちインクを加熱することに
よって、インクを気体状や直径が20μm以下である微
小液滴として飛翔させ、それを、例えば、10〜300
μm程度のギャップを介して対向配置されたプリンタ用
紙などの被転写体表面に付着させて転写を行う。
【0006】転写部には、例えば、幅又は径が2μm程
度、高さ6μm程度の多数の柱状体を互いに2μm程度
の微小間隔で立設配置した凹凸構造によるインク保持構
造が設けられ、このインク保持構造の下にヒータが設け
られて、転写部が構成されている。
【0007】このようなインク保持構造を転写部に設け
ることにより、以下に示す効果が得られる。
【0008】(1)毛管現象によりインクが自発的に転
写部に供給される。
【0009】(2)大きな表面積により、インクを効率
的に加熱することができる。
【0010】(3)柱状体の高さを適宜に設定すること
により、常に所定量のインクを転写部に保持させること
ができる。
【0011】(4)液体の表面張力は一般に負の温度係
数をもつので、局所的に加熱されたインクは、温度の低
い外周部へ向かう力を受けるが、インク保持構造により
その移動が最小限に抑制されて、転写感度の低下が防止
される。
【0012】したがって、このようなインク保持構造を
設けることにより、転写部での加熱に応じた量のインク
を飛翔させて、プリンタ用紙などに転写することがで
き、インク転写量の連続的な制御、すなわち、画素内で
の濃度階調が可能となる。この結果、例えば、銀塩カラ
ー写真に匹敵する高品位の画像を得ることができる。
【0013】また、インクリボンなどを使用する必要が
ないためにランニングコストが低くなる。さらに、普通
紙に対し吸収性の良いインクを用いることや、普通紙に
インク受容層をコーティングすることなどによって、普
通紙もしくは普通紙と同等である非常に安価な記録紙へ
転写することも可能となるので、このことによってもラ
ンニングコストが低くなる。
【0014】また、この方式は、インクへの熱的作用に
よる飛翔を利用したものであるため、インクを加熱する
プリンタヘッドの転写部をプリンタ用紙などの被転写体
に高い圧力で押し付けることはもちろん、接触させる必
要もない。したがって、他の熱転写方式では往々にして
起こり得た、インクリボンなどのインク加熱部とプリン
タ用紙などとの熱融着の問題も発生しない。
【0015】すなわち、この熱転写記録方式によれば、
既述した染料拡散熱転写方式と同様、プリンタの小型
化、軽量化などが可能となると同時にインクリボンなど
の不使用による廃棄物の低減及びランニングコストの低
下を達減できる。また、この熱転写方式によれば、印画
するときの保守容易性、即時性、並びに印画された画像
の高品位性などが保証されると同時に、消費電力を下げ
ることや普通紙を使用することによる低コスト化も可能
とある。
【0016】
【発明が解決しようとする課題】ところで、上述したよ
うな熱転写記録方式においては、プリンタ及び熱転写方
式などと共に、それに使用されるインク及び印画紙の開
発も進められている。
【0017】そして、熱転写記録方式に用いられるイン
クの色素は、特開平9−183239号公報及び特開平
9−183246号公報においては、所定の沸点をもっ
ていること、必要十分な濃度がとりやすいことを利点と
して有することから、油溶性染料、特に分散染料が好ま
しいと記されている。
【0018】しかし、上述した公報に記載されたインク
を用いた場合には、必要十分な印画濃度を得るために、
印画時に多くのエネルギー、すなわち電力を必要として
いた。また、十分な印画濃度を得ることが困難であると
同時に、印画寿命も不十分であった。
【0019】本発明は、このような従来の実情に鑑みて
創案されたものであり、熱転写記録方式において低電力
で且つ優れた濃度で印画することが可能であると共に、
印画寿命が長い熱転写記録液を提供することを目的とす
る。
【0020】
【課題を解決するための手段】熱転写記録液は、色素と
溶媒とを混合して作製され、ここに必要に応じて添加物
が添加されている。発明者らは、鋭意研究を行った結
果、ドデカクロロペンタシクロオクタデカジエンなどを
添加することにより、熱転写記録方式において優れた印
画が可能となることを見いだすに至った。
【0021】本発明に係る熱転写記録液は、溶媒と、色
素と、下記化4に示すドデカクロロペンタシクロオクタ
デカジエン、又は下記化5に示すリン酸トリクレジルと
を含有していることを特徴とする。
【0022】
【化4】
【0023】
【化5】
【0024】したがって、本発明に係る熱転写記録液
は、熱転写記録方式のプリンタに用いて印画を行ったと
きに印画濃度が良好になると共に、印画寿命が十分に長
いものとなる。また、印画のときにプリンタによって消
費されるエネルギーが少なくなる。
【0025】
【発明の実施の形態】以下、本発明を適用した熱転写記
録液について図1乃至図9を参照して詳細に説明する。
【0026】まず、本発明を適用した熱転写記録液、す
なわちインクについて説明する。
【0027】本発明に係るインクは、ベースプレート上
に配設されたヒータチップと、ヒータチップに形成され
た加熱手段と、ヒータチップ上にヒータチップの長手方
向にわたって1列以上のライン状に配設された凹凸構造
を有する転写部とを備え、転写部に毛管現象によって保
持されたインクを、記録する情報に応じて加熱手段によ
り加熱することによって、インクを気体状及び/又は液
体状で被転写体に向けて飛翔させて被転写体に情報を転
写する、いわゆる熱転写記録方式のプリンタに使用され
るものである。すなわち、上述したインクは、いわゆる
熱転写記録方式のプリンタヘッドに収容されて使用され
る。
【0028】ここで、上記「飛翔」とは、例えばヒータ
などの加熱手段による加熱のために起こる気化、蒸発、
及びインクの対流によって、インクを飛翔させることを
意味する。なお、上述したインクの対流の原因として
は、インク液面の表面張力が不均一であること、インク
を構成する成分の沸騰によってインクの体積が膨張する
こと、インク内の溶存空気が膨張すること、インクが熱
膨張すること、及びヒータ又は毛管構造が熱膨張するこ
となどが挙げられる。
【0029】本発明を適用したインクは、色素(染料又
は顔料)と、溶媒と、添加剤とから構成される。色素、
溶媒、及び添加剤は、プリンタ1によって印刷する画像
の転写温度、熱安定性、画像品質、及び保存安定性が最
適なものとされるように、材料や成分組成比などが決定
される。
【0030】本発明においては、インクに対する添加剤
として、下記化6及び化7に示すようなドデカクロロペ
ンタシクロオクタデカジエン又はリン酸トリクレジルを
添加する。
【0031】
【化6】
【0032】
【化7】
【0033】このことにより、熱転写記録方式のプリン
タに用いて印画を行った際、必要十分な印画濃度を得る
と同時に、印画寿命が増加する。なお、印画寿命とは、
必要十分な印画濃度で印画できる回数を意味する。
【0034】また、その他の添加剤も、インクの物性値
を調整するために必要に応じて添加しても良い。このよ
うな添加剤としては、界面活性剤、粘度調整剤、防腐剤
などが挙げられる。これらの添加剤は、溶媒及び色素と
同程度の沸点を有する。具体的には界面活性剤として、
フッ素化した脂肪酸エステル、シリル化した脂肪酸エス
テル、シリコンオイルなどを使用することができる。ま
た、粘度調整剤として、グリセリン、テトラエチレング
リコールなどを使用することができる。
【0035】色素は、十分な耐熱性を有すること、後述
する溶媒に対して十分に溶解すること、印画紙上におけ
る保存性が十分であること、人体に対する毒性が低いこ
とという条件を満たすものであれば、いずれの化合物で
も使用することができる。
【0036】具体的には、色素として分散染料、油溶性
染料、塩基性染料などを使用することが好ましい。ま
た、特開平8−244366号広報に記載されているア
ントラキノン系マゼンダ染料、及びアントラキノン系シ
アン染料などアントラキノン系染料を使用することがよ
り好ましい。アントラキノン系染料を使用したときに、
ドデカクロロペンタシクロオクタデカジエン又はトリク
レジルリン酸を添加することによって、印画濃度が上昇
し、印画寿命が長くなる。
【0037】なお、これらの染料は、気化残滓の低減
と、熱分解物の記録部への付着とを防止するため、昇華
精製法、再結晶法、ゾーンメルティング法、及びカラム
精製法などの方法によって精製してから使用することが
望ましい。また、これらの染料は、後述する溶媒に対す
る溶解度を向上させるために、2種類以上混合して使用
しても良い。
【0038】これらの染料は、後述する溶媒に対して5
重量%以上含有させることが好ましい。また、後述する
溶媒に対して10重量%以上含有させることが更に好ま
しく、20重量%以上含有させることが最も好ましい。
【0039】溶媒は、融点が50℃未満であり、熱分解
温度が高く、色素との相溶性が高く、無色であり、且つ
人体に対する毒性が低いものであれば、いずれの化合物
でも使用することができる。
【0040】具体的にはフタル酸ジメチル、フタル酸ジ
エチル、フタル酸ジブチル、フタル酸ジヘプチル、フタ
ル酸ジオクチル、フタル酸ジイソデシルなどのフタル酸
エステル類や、セバシン酸ジブチチル、セバシン酸ジオ
クチル、アジピン酸ジオクチル、アジピン酸ジイソデシ
ル、アゼライン酸ジオクチル、テトラヒドロフタル酸ジ
オクチルなどの脂肪酸2塩基酸エステル類や、リン酸ト
リクレジル、リン酸トリオクチルなどのリン酸エステル
類や、アセチルクエン酸トリブチル、ブチルフタリルブ
チルグリコレートなど、一般にプラステチック用可塑剤
と称される有機化合物類などを使用することができる。
また、ジエチレングリコール、ジエチレングリコールジ
ブチルエーテル、及びジエチルエーテルなども使用する
ことができる。
【0041】また、上述した化合物を2種類以上混合し
て溶媒としても良い。溶媒には、下記化8に示すよう
な、ジエチレングリコールジブチルエーテルを含有させ
ることが好ましい。ジエチレングリコールを含有させる
ことにより、印画濃度が高く且つ安定したものとなる。
【0042】
【化8】
【0043】また、溶媒としては、上述したような親油
性の化合物を使用することが望ましいが、水、グリコー
ルを使用することも可能である。
【0044】つぎに、上述したインクを備えたプリンタ
による印画に適した印画紙について説明する。
【0045】この記録方式に適した印画紙としては、P
PC用紙などの普通紙、アート紙などの上質紙などを用
いることができる。そして、特に階調性と濃度が高い高
品質の画像を得るためには、分散染料又は油溶性染料を
発色させる樹脂として、ポリエステル、ポリカーボネー
ト、アセテート、セルロースアセテートブチレート(C
AB)、ポリ塩化ビニルなどを基材上に塗布して作製し
た専用紙も用いることができる。
【0046】インクの吸収速度を向上させるためには、
シリカ、アルミナのような多孔質顔料を添加する。特に
高品位の記録、例えば、平滑性、発色性、光沢性、イン
ク吸収速度という観点からいえば、ポリエチレンテレフ
タラート(PET)フィルムなど、フィルムベースに光
沢性をもたせるために0.1μm以下のサイズの多孔質
顔料を添加した受像層を有する印画紙が優れている。
【0047】転写された画像の保存安定性を向上させる
ためには、受像層中に紫外線吸収剤やラジカルクエンチ
ャーなどの添加物を添加することにより効果が得られ
る。また、転写後の印画紙に樹脂フィルムをラミネート
することも有効である。
【0048】以上の説明からも明らかなように、本発明
を適用したインクは、添加剤としてドデカクロロペンタ
シクロオクタデカジエン又はリン酸トリクレジルが添加
されることにより、熱転写記録方式のプリンタに用いて
印画を行ったときに、必要十分な印画濃度を得ることが
できる。また、本発明を適用したインクは、熱転写記録
方式のプリンタに用いて印画を行ったときに、印画寿命
が増加すると同時に、プリンタが消費する電力を減らす
ことが可能となる。
【0049】つぎに、上述したインクを使用するプリン
タ1について説明する。プリンタ1は、熱転写記録方式
を採用している。
【0050】プリンタ1は、図1に示すように、紙送り
機構2と、画像記録デバイス3とを備える。
【0051】紙送り機構2は、印画紙4を収納する用紙
トレー10と、用紙トレー10に収納された印画紙4を
挟むように支持し、後述するプリンタヘッドへ供給する
給紙ローラ11と、1つのプリンタヘッドへ供給された
印画紙4を送り、次のプリンタヘッドへ供給するプラテ
ンローラ12と、プリンタヘッドによって印画された印
画紙4を排出する排紙ローラ13とを備える。なお、本
実施の形態におけるプラテンローラ12は、表面がシリ
コンゴムによって形成され、16mmの直径を有するも
のとする。
【0052】画像記録デバイス3は、プラテンローラ1
2に対向して配置され、印画紙4へ印画するプリンタヘ
ッド20Y,20M,20C(以下、プリンタヘッド2
0と総称する。)と、プリンタヘッド20を冷却する冷
却フィン21と、インクを貯蔵するインクタンク22
と、後述するように、プリンタヘッド20に備えられて
いるヒータチップを加熱するための駆動パルスなどの信
号を供給するフレキシブルハーネス23とを備える。
【0053】上述したプリンタ1においては、先ず、給
紙ローラ11によって用紙トレー10から印画紙4が取
り出され、プリンタヘッド20Yへ供給される。そし
て、プリンタヘッド20Yから印画紙4へインクが飛翔
する。なお、本実施の形態では、プリンタヘッド20Y
から飛翔するインクの色は、イエローとする。次に、印
画紙4は、プラテンローラ12によってプリンタヘッド
20Yからプリンタヘッド20Mへ供給される。そし
て、プリンタヘッド20Mから印画紙4へインクが飛翔
する。なお、本実施の形態では、プリンタヘッドMから
飛翔するインクの色は、マゼンダとする。次に、印画紙
4は、プラテンローラ12によってプリンタヘッド20
Mからプリンタヘッド20Cへ供給される。そして、プ
リンタヘッド20Cから印画紙4へインクが飛翔する。
なお、本実施の形態では、プリンタヘッドCから飛翔す
るインクの色は、シアンとする。このようにして印画さ
れた印画紙4は、排紙ローラ13によって、プリンタ1
の外部へ排出される。なお、プリンタヘッド20は、冷
却フィン21と後述するヒータとによって一定の温度に
保たれている。
【0054】以下では、上述したプリンタヘッド20に
ついて詳細に説明する。プリンタヘッド20は、図2に
示すように、ベースプレート30と、ヒータチップ31
と、記録部32と、エッジ33と、ドライバIC34
と、インク通路35と、カバー36とを備える。また、
プリンタヘッド20は、フレキシブルハーネス23を介
してヘッド駆動用回路(図示せず。)に接続されてい
る。
【0055】ベースプレート30は、インクをプリンタ
ヘッド20内に導入するための記録部32と、ヒータチ
ップ31とをベースプレート30に貼着するときにはみ
出す余分な接着剤の逃げ場となる溝が形成されている。
ベースプレート30は、例えばアルミなどによって形成
されている。また、ベースプレート30は、ヒートシン
クを兼ねている。
【0056】ヒータチップ31は、画像情報に応じてヒ
ータにより加熱される転写部と、その転写部へ毛管現象
によりインクを導くインク導入路とが一体的に形成され
ている。また、ヒータチップ31には、インクを加熱す
るための複数のヒータと、各ヒータにそれぞれ画像信号
に基づいた信号電圧を印加し通電するための配線と、上
述したインク導入路とがリソグラフィープロセスにより
形成されている。
【0057】記録部32は、ヒータチップ31の先端に
複数形成されており、印画紙4に対してインクを飛翔す
る。また、記録部32は、1つ1つヒータ(図示せ
ず。)を有する。本実施の形態においては、記録部32
は300dpiで1216箇所に等間隔に形成されてい
る。
【0058】エッジ33は、印画紙4が接触する部位で
ある。このことにより、印画紙4とヒータチップ31と
の角度を適切に固定し、印画紙4とヒータチップ31と
の空隙を保持する。なお、本実施の形態では、印画紙4
とヒータチップ31との空隙を160μmとし、記録部
32とエッジ33との距離を200μmとした。
【0059】ドライバIC34は、ヒータの駆動パルス
を各ヒータチップ31のヒータへ供給する部位である。
なお、ドライバIC34へヒータの駆動パルスを供給す
るのは、フレキシブルハーネス23である。
【0060】インク通路35は、インクタンク22から
供給されたインクを各記録部32へ供給する。インク通
路35は、ベースプレート30上へ形成されており、カ
バー36によって被覆され、保護されている。
【0061】上述したプリンタヘッド20におけるイン
クの移動は、以下の通りである。先ず、インクタンク2
2から供給されたインクがインク通路35を通過した
後、ヒータチップ31とカバー36との間隙を通過し
て、ヒータチップ31におけるインク導入路へ供給され
る。次に、毛管現象によってインク導入路から転写部へ
インクが導かれる。そして、転写部から記録部32へイ
ンクが供給され、記録部32から印画紙4上へインクが
排出される。
【0062】また、上述したプリンタヘッド20におけ
るヒータの駆動パルスの伝達は、以下の通りである。先
ず、フレキシブルハーネス23から、図3に示すような
駆動パルスがドライバIC34を通してヒータチップ3
1に備えられているヒータに伝えられる。そして、転写
部が加熱されることによってインクが加熱され、加熱さ
れたインクが、記録部32から印画紙4上へ飛翔する。
なお、図3に示した駆動パルスは、デューティが80%
であり、短矩形であり、50kHzである。このような
駆動パルスによってヒータが周期的に加熱され、転写部
のインクを過熱する。
【0063】
【実施例】以下、本発明を適用したインクの印画濃度及
び印画寿命について、実施例に基づいて実施例に基づい
て説明する。
【0064】実施例1 最初に、インクを調整した。先ず、ジエチレングリコー
ルジブチルエーテルを99.89重量%と、ドデカクロ
ロペンタシクロオクタデカジエンを0.11重量%とを
混合して溶媒を作製した。次に、アントラキノン系シア
ン染料のアミノ基をブチル基に置換した染料をカラムで
精製した。次に、上述した溶媒を90重量部と、精製し
た染料を10重量部とを混合した。そして、超音波撹拌
機で染料が完全に溶解するまで撹拌し、シアンインクを
作製した。
【0065】つぎに、作製したインクをプリンタヘッド
のカートリッジに導入した。このとき、インクは毛管現
象によって記録部の柱構造に達してメニスカスを形成し
た。ヒータ中心部におけるインク液面の厚さは、6μm
であった。
【0066】つぎに、プリンタヘッドのヒータに対し
て、図3に示すような、デューティー80%で矩形の5
0kHzの駆動パルスを与えて転写部のインクを周期的
に加温した。1つの画素に対して画像データに応じて最
大255回この駆動パルスを印加した。駆動パルス印加
時間(255×20μsec=5.1msec)とイン
ク液面を回復させるための休み時間0.9msecを加
えた1画素を形成する時間(周期)は6msec(16
7Hz)になる。なお、印加する電力は、1つのヒータ
あたり130mWとした。
【0067】この連続した駆動パルスをヒータに加える
ことにより、転写部のインクが最大約0.11plのミ
ストや霧として噴出して、100μmのギャップを飛翔
して印画紙に付着する。印画紙に付着したインクは直ち
に吸収・発色した。なお、パルス印加時間は大変短いの
で、1画素を形成する時間(周期)毎にプリンタヘッド
の柱構造による毛管現象は生じるため、インク液面は完
全に初期の状態に戻り、次の画素を印字できる。
【0068】また、このとき、印画紙は、表面に数μm
の多孔質構造を有し、油溶性染料及び溶媒と相性の良い
バインダー樹脂が用いられているピーチコート紙(日清
紡製)を使用した。
【0069】上記において行った印画結果に対して、マ
クベス濃度計TR−924(商品名、マクベス社製)を
用いて印画濃度の測定を行った。また、印画濃度が最高
濃度の50%となるまでの印画回数を数えることによっ
て、印画寿命を測定した。
【0070】実施例2 染料として、アントラキノン系マゼンダ染料のアミノ基
をブチル基に置換したものを使用した。それ以外は実施
例1と同様にしてインクを作製し、プリンタヘッドのカ
ートリッジに導入し、印画濃度と印画寿命とを測定し
た。なお、印加する電力は、1つのヒータあたりで13
0mWとした。
【0071】実施例3 染料として、トリシアノスチリル系マゼンダ染料のアミ
ノ基をブチル基に置換したものを使用した。それ以外は
実施例1と同様にしてインクを作製し、プリンタヘッド
のカートリッジに導入し、印画濃度と印画寿命とを測定
した。なお、印加する電力は、1つのヒータあたり11
0mWとした。
【0072】実施例4 ジエチレングリコールジブチルエーテルを95重量%と
リン酸トリクレジルを5重量%とを混合し、溶媒を作製
した。それ以外は実施例1と同様にしてインクを作製
し、プリンタヘッドのカートリッジに導入し、印画濃度
と印画寿命とを測定した。なお、印加する電力は、1つ
のヒータあたり140mWとした。
【0073】実施例5 染料として、アントラキノン系シアン染料のアミノ基を
ブチル基に置換したものを使用した。それ以外は実施例
4と同様にしてインクを作製し、プリンタヘッドのカー
トリッジに導入し、印画濃度と印画寿命とを測定した。
なお、印加する電力は、1つのヒータあたり140mW
とした。
【0074】実施例6 染料として、トリシアノスチリル系マゼンダ染料のアミ
ノ基をブチル基に置換したものを使用した。それ以外は
実施例4と同様にしてインクを作製し、プリンタヘッド
のカートリッジに導入し、印画濃度と印画寿命とを測定
した。なお、印加する電力は、1つのヒータあたり13
0mWとした。
【0075】比較例1 ジエチレングリコールジブチルエーテルを溶媒とし、ド
デカクロロペンタシクロオクタデカジエンは添加しなか
った。それ以外は実施例1と同様にしてインクを作製
し、プリンタヘッドのカートリッジに導入し、印画濃度
と印画寿命とを測定した。なお、印加する電力は、1つ
のヒータあたり130mWとした。
【0076】比較例2 染料として、アントラキノン系シアン染料のアミノ基を
ブチル基に置換したものを使用した。それ以外は比較例
1と同様にしてインクを作製し、プリンタヘッドのカー
トリッジに導入し、印画濃度と印画寿命とを測定した。
なお、印加する電力は、1つのヒータあたり130mW
とした。
【0077】比較例3 染料として、トリシアノスチリル系マゼンダ染料のアミ
ノ基をブチル基に置換したものを使用した。それ以外は
比較例4と同様にしてインクを作製し、プリンタヘッド
のカートリッジに導入し、印画濃度と印画寿命とを測定
した。なお、印加する電力は、1つのヒータあたり11
0mWとした。
【0078】上述した実施例1乃至実施例6、及び比較
例1から比較例3についての結果を図4乃至図9に示し
た。
【0079】図4及び図5示すように、アントラキノン
系シアンインクを使用したときには、ドデカクロロペン
タシクロオクタデカジエンを添加すると、印画濃度は約
2.0倍となり、印画寿命は1.2倍となった。また、
リン酸トリクレジルを添加すると、印画濃度は約1.2
倍となり、印画寿命は約3倍となった。
【0080】また、図6及び図7に示すように、アント
ラキノン系マゼンダインクを使用したときには、ドデカ
クロロペンタシクロオクタデカジエンを添加すると、印
画濃度は約1.7倍となり、印画寿命は1.7倍となっ
た。また、リン酸トリクレジルを添加すると、印画濃度
は約1.6倍となり、印画寿命は約4倍となった。
【0081】また、図8及び図9に示すように、トリシ
アノスチリル系マゼンダインクを使用したときには、ド
デカクロロペンタシクロオクタデカジエンを添加したと
きには、印画濃度はほとんど変化せず、印画寿命は約1
/2倍となった。また、リン酸トリクレジルを添加した
ときには、印画濃度は約1.1倍となり、印画寿命も約
1.1倍となった。
【0082】
【発明の効果】以上の説明からも明らかなように、本発
明を適用した熱転写記録液は、添加剤として、下記化9
及び化10に示すような、ドデカクロロペンタシクロオ
クタデカジエン又はリン酸トリクレジルが添加されるこ
とにより、熱転写記録方式のプリンタに用いて印画を行
ったときに、必要十分な印画濃度を得ることができる。
【0083】
【化9】
【0084】
【化10】
【0085】また、本発明を適用した熱転写記録液は、
熱転写記録方式のプリンタに用いて印画を行ったときの
印画寿命が増加すると同時に、プリンタが消費する電力
を減らすことが可能となる。
【0086】したがって、本発明によれば、熱転写記録
方式の記録装置での印画において、低電力で、かつ印画
濃度に優れた高品位な印画が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】熱転写方式の記録装置を示す概略斜視図であ
る。
【図2】同記録装置におけるプリンタヘッドの概略斜視
図である。
【図3】同記録装置におけるプリンタヘッドのヒータに
与える駆動パルスを示す図である。
【図4】アントラキノン系シアンインクにドデカクロロ
ペンタシクロオクタデカジエン又はリン酸トリクレジル
を添加したときの、印画濃度の変化を示す図である。
【図5】アントラキノン系シアンインクにドデカクロロ
ペンタシクロオクタデカジエン又はリン酸トリクレジル
を添加したときの、印画寿命の変化を示す図である。
【図6】アントラキノン系マゼンダインクにドデカクロ
ロペンタシクロオクタデカジエン又はリン酸トリクレジ
ルを添加したときの、印画濃度の変化を示す図である。
【図7】アントラキノン系マゼンダインクにドデカクロ
ロペンタシクロオクタデカジエン又はリン酸トリクレジ
ルを添加したときの、印画寿命の変化を示す図である。
【図8】トリシアノスチリル系マゼンダインクにドデカ
クロロペンタシクロオクタデカジエン又はリン酸トリク
レジルを添加したときの、印画濃度の変化を示す図であ
る。
【図9】トリシアノスチリル系マゼンダインクにドデカ
クロロペンタシクロオクタデカジエン又はリン酸トリク
レジルを添加したときの、印画寿命の変化を示す図であ
る。
【符号の説明】
1 プリンタ、2 紙送り機構、3 画像記録デバイ
ス、10 用紙トレー、11 給紙ローラ、12 プラ
テンローラ、13 排紙ローラ、20 プリンタヘッ
ド、21 冷却フィン、22 インクタンク、23 フ
レキシブルハーネス、30 ベースプレート、31 ヒ
ータチップ、32 記録部、33 エッジ、34 ドラ
イバIC、35 インク通路、36 カバー

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 溶媒と、色素と、下記化1に示すドデカ
    クロロペンタシクロオクタデカジエン、又は下記化2に
    示すリン酸トリクレジルとを含有していることを特徴と
    する熱転写記録液。 【化1】 【化2】
  2. 【請求項2】 凹凸構造を有するインク転写部に毛管現
    象によって保持され、記録する情報に応じて加熱手段に
    より加熱され、被転写体に対して飛翔することで、上記
    被転写体に情報を記録するプリンタに用いられることを
    特徴とする請求項1記載の熱転写記録液。
  3. 【請求項3】 上記色素がアントラキノン系の物質であ
    ることを特徴とする請求項1記載の熱転写記録液。
  4. 【請求項4】 上記溶媒に、下記化3に示すジエチレン
    グリコールジブチルエーテルが含まれていることを特徴
    とする請求項1記載の熱転写記録液。 【化3】
JP2000166732A 2000-06-02 2000-06-02 熱転写記録液 Withdrawn JP2001342384A (ja)

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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN103436089A (zh) * 2013-08-07 2013-12-11 苏州凹凸彩印厂 一种热转印丝网油墨

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