JPH08244363A - 熱転写記録材料 - Google Patents

熱転写記録材料

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JPH08244363A
JPH08244363A JP7079908A JP7990895A JPH08244363A JP H08244363 A JPH08244363 A JP H08244363A JP 7079908 A JP7079908 A JP 7079908A JP 7990895 A JP7990895 A JP 7990895A JP H08244363 A JPH08244363 A JP H08244363A
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JP
Japan
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group
recording material
recording
thermal transfer
transfer recording
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Pending
Application number
JP7079908A
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English (en)
Inventor
Kenji Shinozaki
研二 篠崎
Eiki Hirano
栄樹 平野
Yukichi Murata
勇吉 村田
Yoshiori Ishida
美織 石田
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Mitsubishi Chemical Corp
Sony Corp
Original Assignee
Mitsubishi Chemical Corp
Sony Corp
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Publication date
Application filed by Mitsubishi Chemical Corp, Sony Corp filed Critical Mitsubishi Chemical Corp
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Priority to US08/614,136 priority patent/US5618337A/en
Publication of JPH08244363A publication Critical patent/JPH08244363A/ja
Pending legal-status Critical Current

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    • BPERFORMING OPERATIONS; TRANSPORTING
    • B41PRINTING; LINING MACHINES; TYPEWRITERS; STAMPS
    • B41MPRINTING, DUPLICATING, MARKING, OR COPYING PROCESSES; COLOUR PRINTING
    • B41M5/00Duplicating or marking methods; Sheet materials for use therein
    • B41M5/26Thermography ; Marking by high energetic means, e.g. laser otherwise than by burning, and characterised by the material used
    • B41M5/382Contact thermal transfer or sublimation processes
    • B41M5/385Contact thermal transfer or sublimation processes characterised by the transferable dyes or pigments
    • B41M5/3854Dyes containing one or more acyclic carbon-to-carbon double bonds, e.g., di- or tri-cyanovinyl, methine

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  • Thermal Transfer Or Thermal Recording In General (AREA)

Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【構成】 多孔質構造(柱状体61)を有する転写部(記
録液加熱部57)に毛管現象によって導かれ、加熱によっ
て気化若しくは液滴化等のように状態変化して、前記転
写部に対向した被転写体(印画紙80)へ飛翔せしめられ
る熱転写記録材料であって、下記一般式〔I〕で表さ
れ、融点が 115℃以下の色素(マゼンタ色素)を含有す
る熱転写記録材料。 一般式〔I〕: 【効果】 熱転写方式とインクジェット方式の双方の利
点を生かしつつ、それらの欠点、特にコゲーションの問
題を同時に解消して、優れた解像度と画素内階調を実現
し、記録性能を長時間保持することのできる熱転写記録
材料を提供する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、熱転写記録方法(例え
ば、画像情報に応じた選択的加熱により記録部から記録
液を飛翔せしめ、対向する印画紙に転写する、フルカラ
ー画像記録方法)に使用する熱転写記録材料、特にマゼ
ンタ色素からなる記録液に関するものである。
【0002】
【従来の技術】近年、ビデオカメラ、コンピュータグラ
フィクス等のカラー化が進むにつれ、ハードコピーのカ
ラー化に対するニーズが急速に高まっている。それに対
して、昇華型熱転写方式、溶融熱転写方式、インクジェ
ット方式、電子写真方式、熱現像銀塩方式等のカラーハ
ードコピー方式が提案されている。これらの記録方式の
中で、高画質の画像を簡単な装置で手軽に出力する方法
は、染料拡散熱転写方式(昇華型熱転写方式)とインク
ジェット方式に大きく分類できる。
【0003】これらの記録方式の中で、染料拡散熱転写
方式によれば、適当なバインダ樹脂中に高濃度の転写染
料の分散するインク層が塗布されているインクリボン又
はシートと、転写された染料を受容する染着樹脂がコー
ティングされた印画紙等の被転写体とを、一定の圧力で
密着させ、インクシート上に位置する感熱記録ヘッドか
ら画像情報に応じた熱が加えられ、インクシートから染
料受容層に加えられた熱量に応じて転写染料を熱転写さ
せる。
【0004】上記の操作を、減法混色の三原色、即ち、
イエロー、マゼンタ、シアンに分解された画像信号につ
いてそれぞれ繰り返すことによって、連続的な階調を持
つフルカラー画像を得ることを特徴とする、いわゆる染
料拡散熱転写方式は、小型化、保守が容易で、即時性を
備え、銀塩カラー写真並の高品位な画像を得る優れた技
術として注目を集めている。
【0005】図5は、こうした熱転写方式のプリンタの
要部の概略正面図である。
【0006】感熱記録ヘッド(以下、サーマルヘッドと
呼ぶ。)1とプラテンローラ3とが対向し、これらの間
に、ベースフィルム12b上にインク層12aを設けたイン
クシート12と、紙20b上に染着樹脂層20aを設けた被記
録紙(被転写体)20とが挟まれ、これらが回転するプラ
テンローラ3によってサーマルヘッド1に押し付けられ
て走行する。
【0007】そして、サーマルヘッド1によって選択的
に加熱されたインク層12a中のインク(転写染料)が、
被転写体20の染着樹脂層20aにドット状に転写され、熱
転写記録が遂行される。このような熱転写記録には、被
記録紙20の走行方向と直交する方向にサーマルヘッドを
走査するシリアル方式や、同被記録紙走行方向に直交し
て一本のサーマルヘッドを固定して配したライン方式と
が採用されている。
【0008】しかし、この方式はインクシートの使い捨
てに起因する多量の廃棄物の発生と、高いランニングコ
ストが大きな欠点であり、その普及が妨げられている。
これは、溶融熱転写方式でも同様である。
【0009】このように、従来の熱転写方式は高画質で
あるが、専用印画紙と使い捨てのインクリボン又はシー
トを使用するためにランニングコストが高い。
【0010】熱現像銀塩方式も高画質であるが、やはり
専用印画紙と使い捨てのインクリボン又はシートを使用
するためにランニングコストが高く、装置コストも高
い。
【0011】一方、インクジェット方式とは、特公昭61
−59911 号や特公平5−217 号公報等に示されるよう
に、画像情報に応じて、静電吸引方式、連続振動発生方
式(ピエゾ方式)、サーマル方式(バブルジェット方
式)等の方法で記録液の小滴を記録ヘッドに設けられた
ノズルから飛翔させ、記録部材に付着せしめ、記録を行
うものである。
【0012】従って、インクシート等を使用する場合の
ような廃棄物の発生はほとんどなく、ランニングコスト
は低い。最近では、特にサーマル方式が簡易にカラー画
像を出力できることから、普及が拡大している。
【0013】しかし、インクジェット方式は、画素内の
濃度階調が原理的に困難であり、染料拡散熱転写方式で
得られるような、銀塩写真に匹敵する高品位な画像を短
時間で再現することは困難である。
【0014】即ち、従来のインクジェット記録では、イ
ンクの1液滴が1画素を形成するので、原理的に画素内
階調が困難であり、高画質の画像形成ができない。イン
クジェットの高解像度を利用して、ディザ法による疑似
階調の表現も試みられているが、昇華型熱転写方式と同
等の画質は得られず、さらに転写速度は著しく低下して
いる。
【0015】他方、電子写真方式は、ランニングコスト
は低く、転写速度も高いが、装置コストが高い。
【0016】上記のように、画質、ランニングコスト、
装置コスト、転写時間等の要求を全て満たす記録方法は
存在しなかった。
【0017】最近、これらの問題点を解決する新たな記
録方法が提案されている(EP94101201.5)。即ち、記
録液を毛管現象によって多孔質構造を有する転写部に導
き、レーザ光等の適当な加熱手段により加熱し、記録液
を気化させるか或いは径が1μm以下のミストを発生さ
せ、これを10μm〜300 μmのギャップを介して対向配
置された印画紙上に転写させる非接触タイプの染料飛翔
型の熱転写記録方式である。
【0018】こうした熱転写記録方式では、上記の多孔
質構造によって加熱部(転写部)の表面積が増加し、記
録液を毛管現象により記録液加熱部へと常時供給し、か
つそこに保持することができ、この状態で加熱手段(例
えば、レーザ光)により記録情報に応じた熱量を選択的
に加えることによって記録液の一部を蒸発させ、カラー
ビデオカメラ等で作成された電気的な画像に対応した記
録情報に応じた量の記録材を微小な蒸気又は液滴にして
被記録体へ移行させ、この被記録体上に転写することが
できる。
【0019】従って、公知のインクジェット方式と比較
して小さいサイズの液滴を多数形成でき、かつ記録液加
熱部への記録情報に対応した加熱エネルギーに応じて液
滴の生成数を自由に制御することができるので、多値濃
度階調が可能になり、銀塩方式の画像と同等若しくはそ
れ以上の画質を持つ記録(例えばフルカラー画像)を得
ることができる。
【0020】また、熱転写方式の記録であるため、既述
した小型化、保守容易性、即時性、画像の高品位化、高
階調性等の特長を有している。
【0021】しかしながら、この熱転写記録方式は、上
記の優れた特長を有していると共に、なお改善すべき問
題点も有していることが分かった。
【0022】即ち、この方法で転写を繰り返すと、転写
部に焦げ(染料の分解生成物等)が溜まり、吐出孔が詰
まる、いわゆるコゲーションが発生する。この結果、記
録材の飛翔状態が変動し、記録性能が劣化し易くなる。
【0023】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、上記
した熱転写方式とインクジェット方式の双方の利点を生
かしつつ、それらの欠点、特にコゲーションの問題を同
時に解消して、優れた解像度と画素内階調を実現し、記
録性能を長時間保持することのできる熱転写記録材料を
提供することにある。
【0024】
【課題を解決するための手段】本発明者は、上記の如き
コゲーションは記録材として用いる色素の耐熱性が不十
分であるために生じることをつき止め、特定の染料を用
いることにより、染料の耐熱性が十分となってコゲーシ
ョンを大きく低減でき、ヘッド寿命を長くできることを
見出し、本発明に到達したものである。
【0025】即ち、本発明は、多孔質構造を有する転写
部に毛管現象によって導かれ、加熱によって気化若しく
は液滴化等のように状態変化して、前記転写部に対向し
た被転写体へ移行せしめられる熱転写記録材料であっ
て、下記一般式〔I〕で表され、融点が 115℃以下の色
素(マゼンタ色素)を含有する熱転写記録材料に係るも
のである。ここで「含有」とは、上記色素が一部を占め
る場合は勿論、実質的に100%を占める場合も意味する
(本明細書の他の箇所においても同様)。 一般式〔I〕:
【化5】 (但し、一般式〔I〕中、Aは置換基を有していてもよ
いp−フェニレン基であり、R1 及びR2 はそれぞれ水
素原子、置換若しくは非置換のアルキル基又はアルケニ
ル基、シクロアルキル基、或いは置換若しくは非置換の
フェニル基である。R1 は更に、フェニレン基A及びフ
ェニレン基Aに隣接する窒素原子と共同して複素5員環
若しくは複素6員環を形成してもよく、或いはR2 及び
フェニレン基Aに隣接する窒素原子と共同して複素5員
環若しくは複素6員環を形成してもよい。)
【0026】本発明の記録材料においては、Aで表され
るp−フェニレン基が有する置換基としては、C1〜C
4の直鎖状若しくは分岐鎖状のアルキル基、C1〜C4
の直鎖状若しくは分岐鎖状のアルコキシ基、弗素原子、
塩素原子、臭素原子等のハロゲン原子、炭素数1〜4の
フルオロアルキル基(例えばトリフルオロメチル基)等
が挙げられ、それらの置換位置は特に限定されず、置換
基の数も1〜4個の範囲で可能であるが、特に好ましい
置換基としてはメチル基が挙げられる。
【0027】また、R1 及びR2 で表されるアルキル基
としては、C1〜C12の直鎖状若しくは分岐鎖状のアル
キル基が挙げられ、置換アルキル基としては、2−ヒド
ロキシエチル基、3−ヒドロキシプロピル基、4−ヒド
ロキシブチル基、2−ヒドロキシプロピル基等のヒドロ
キシ置換アルキル基;2−シアノエチル基等のシアン置
換アルキル基;2−アミノ置換アルキル基等のアミノ置
換アルキル基;2−クロロエチル基、3−クロロプロピ
ル基、2−クロロプロピル基、2,2,2−トリフルオ
ロエチル基等のハロゲン原子置換アルキル基;ベンジル
基、p−クロロベンジル基、2−フェニルエチル基等の
フェニル置換アルキル基;2−メトキシエチル基、2−
エトキシエチル基、2−(n)プロポキシエチル基、2
−(iso)プロポキシエチル基、2−(n)ブトキシエチ
ル基、2−(iso)ブトキシエチル基、2−(2−エチル
ヘキシルオキシ)エチル基、3−メトキシプロピル基、
2−メトキシプロピル基、4−メトキシブチル基、3−
メトキシブチル基、2,3−ジメトキシプロピル基等の
アルコキシ置換アルキル基;2−(2−メトキシエトキ
シ)エチル基、2−(2−エトキシエトキシ)エチル
基、2−(2−(n)プロポキシエトキシ)エチル基、
2−(2−(n)ブトキシエトキシ)エチル基、2−
{2−(2−エチルヘキシルオキシ)エトキシ}エチル
基等のアルコキシアルコキシ置換アルキル基;2−アリ
ルオキシエチル基、2−フェノキシエチル基、2−ベン
ジルオキシエチル基等の置換アルキル基;2−アセチル
オキシエチル基、2−プロピオニルオキシエチル基、2
−トリフルオロアセチルオキシエチル基等のアシルオキ
シ置換アルキル基;2−メトキシカルボニルエチル基、
2−エトキシカルボニルエチル基等のアルコキシカルボ
ニル置換アルキル基;フルフリル基、テトラヒドロフル
フリル基等のヘテロ環置換アルキル基;等が挙げられ
る。
【0028】また、非置換のアルキル基としては、上記
した各置換基を持たない直鎖状若しくは分岐鎖状のアル
キル基がそれぞれ挙げられる。また、アルケニル基のと
きは、上記のアルキル基と同じ炭素数のものであって少
なくとも1つの2重結合を有したものとしてよい。
【0029】R1 及びR2 で表される置換フェニル基と
しては、置換基としてC1〜C8の直鎖状若しくは分岐
鎖状のアルキル基を有するもの、C1〜C4の直鎖状若
しくは分岐鎖状のアルコキシ基を有するもの、弗素原
子、塩素原子、臭素原子、炭素数1〜4のフルオロアル
キル基(例えばトリフルオロメチル基)を有するものが
挙げられる。
【0030】R1 及びR2 で表されるシクロアルキル基
としては、シクロペンチル基、シクロヘキシル基等が挙
げられる。
【0031】R1 及びR2 で特に有利なものとしては、
C1〜C8の直鎖状若しくは分岐鎖状のアルキル基;C
1〜C4の直鎖状若しくは分岐鎖状のアルコキシ基、フ
ェニル基、フェノキシ基、アリルオキシ基等で置換され
たC1〜C4の直鎖状若しくは分岐鎖状のアルキル基又
はアルケニル基;テトラヒドロフルフリル基等の複素環
基で置換されたアルキル基;C2〜C8のアリル基等の
アルケニル基;等が挙げられる。
【0032】R1 が、フェニレン基A及びフェニレン基
Aに隣接する窒素原子と共同して形成した複素環を有す
る色素が、下記一般式〔II〕又は〔III]で表されるもの
であってよい。 一般式〔II〕:
【化6】 (但し、一般式〔II〕中、A及びR2 は一般式〔I〕で
定義したものと同じであり、R3 及びR4 は水素原子又
はアルキル基である。) 一般式〔III]:
【化7】 (但し、一般式〔III]中、A及びR2 は一般式〔I〕で
定義したものと同じであり、R5 、R6 及びR7 は水素
原子又はアルキル基である。)
【0033】R1 が、R2 及びフェニレン基Aに隣接す
る窒素原子と共同して形成した複素環が、
【化8】 であってよい。
【0034】前記一般式〔I〕で示されるマゼンタ色素
としては、下記表1A、表1B及び表1Cに示されるも
のが具体的に挙げられる。
【0035】
【表1】
【0036】
【表2】
【0037】
【表3】
【0038】本発明の熱転写記録材料は、具体的には、
加熱によって気化されるか或いは径が1μm以下のミス
トを発生し、10μm〜300 μmの間隙を介して対向配置
された被転写体上に転写される液状の記録材料である。
このような間隙を介しての非接触の転写によって、既述
したと同様に、高画質と即時性を兼ね備え、装置の小
型、軽量化が可能であり、廃棄物が発生せずに、普通紙
にも転写可能であり、低消費電力及び低ランニングコス
トで実施可能となる。
【0039】また、上記した多孔質構造は、その毛管作
用によって記録材を保持しかつ供給する機能をなし、特
に、 0.2〜3μmの一辺又は直径、1〜15μmの高さを
有しているのがよい。
【0040】この場合、 0.5〜3μmの一辺又は直径、
1〜15μmの高さを有する微細な柱状体を 0.5〜3μm
の間隔で3行以上及び3列以上配することによって多孔
質構造が形成されてよい。
【0041】こうした多孔質構造(例えば多数の柱状体
の群からなる凹凸構造)は、次の3種類の顕著な効果を
奏するものである。
【0042】即ち、第1の効果は、上記の凹凸構造によ
り形成される大きな表面積により、記録液を自発的に毛
管現象によって記録部に供給できることである。
【0043】第2の効果は、一般に液体の表面張力は高
温であるほど低下するので、記録液を加熱すると記録液
の加熱中心の表面張力はその外周部の表面張力より低下
して、中心部の記録液に外方向の力が働くが、加熱部に
上記の凹凸構造があるため、外周部への記録液の移動を
抑制し、転写感度の低下を防止できる。
【0044】第3の効果は、記録部の上記凹凸構造中の
多数の凹状部分がそれぞれ、微細な記録液の吐出部とし
て働くことにより、記録部に与えた熱量に応じた数の非
常に細かい記録液の液滴が吐出され、空間中を飛翔して
対向する印画紙等の被記録体に吸着する。この原理を利
用して、通常のインクジェット方式では不可能であった
画素内階調を可能にした。
【0045】即ち、上記の多孔質構造(凹凸構造)を加
熱部に設けることによってその表面積が増加し、記録液
を毛細管現象により記録液加熱部へと常時供給し、かつ
そこに保持することができ、この状態で加熱手段(例え
ば、レーザ光)により記録情報に応じた熱量を選択的に
加えることによって、記録液の一部を蒸発させて圧力上
昇を起こし、カラービデオカメラ等で作成された電気的
な画像に対応した記録情報に応じた量の記録材を微小な
液滴にして被記録体へ移行させ、この被記録体上に転写
することになる。
【0046】そしてこの場合、公知のインクジェット方
式と比較して小さいサイズの液滴を多数形成でき、かつ
記録液加熱部への記録情報に対応した加熱エネルギーに
応じて液滴の生成数を自由に制御することができるの
で、多値濃度階調が可能になり、銀塩方式の画像と同等
若しくはそれ以上の画質を持つ記録(例えば、フルカラ
ー画像)を得ることができる。
【0047】従って、オンデマンドで非常に微小な記録
液滴の熱転写が可能である特殊な構造を持つヘッドを使
用して、少なくとも1色当たり1画素内で 128階調若し
くはそれ以上の濃度階調表現が可能であるインクジェッ
ト方式を実現できる。
【0048】こうした多孔質構造を形成するには、例え
ば平均孔径が 0.1〜2μmの多孔質アルミナを5〜20μ
m厚に積層する方法、平均粒径 0.5〜3μmのガラスビ
ーズを5〜20μm厚に積層する方法、平均直径 0.5〜2
μmで高さ2〜10μmの多数のシリコンウイスカーを1
〜3μmの間隔で基板上に成長させる方法、等の手法で
も製造できる。
【0049】しかし、特に転写量を正確に制御するため
には、RIE(リアクティブイオンエッチング)法やパ
ウダービームエッチング法等の半導体加工技術を利用し
て、一辺又は直径が 0.5〜3μmで高さが1〜15μmの
範囲内のサイズを持つガラス製又はシリコン製等の微細
な柱状体が 0.5〜3μmの間隔で規則的に3行以上、3
列以上並んだ構造が好ましい。
【0050】また、 300℃以上の耐熱性を有する多孔質
構造を形成し、生成する液滴を記録液加熱部と10〜300
μmの間隙を置いて対向配置された被記録体へ飛翔させ
ることが望ましい。
【0051】このような多孔質構造は、上記した優れた
作用を有するが、そのサイズが微細であるだけに、記録
(特に繰り返しの記録)時において記録材の加熱による
劣化物、例えば分解生成物が多孔質構造に付着し、目詰
まりを生じてその作用を損なう傾向がある。
【0052】しかしながら、本発明の記録材に使用する
上記一般式〔I〕の染料は加熱に対して十二分の耐熱性
を有し、分解生成物によるコゲーションは殆ど生じない
から、繰り返し記録時でも多孔質構造の作用を保持し、
有効に発揮させることができる。
【0053】これは、上記一般式〔I〕の染料の融点が
115℃以下(好ましくは 100℃以下)と低めに抑えられ
て固まり難くなっていることによって保証される。但
し、融点は0℃以上としてよく、ベタ付きをなくすには
25℃以上とするのがよい。また、融点は、上述のR1
2 を選択することによって制御できる。
【0054】本発明の記録材は、インクジェット方式の
記録に用いる場合には、 300℃以上に加熱したときに90
重量%以上が気化し、残留物が10重量%以下である上記
のマゼンタ色素と、この色素(染料)を50℃以下で5重
量%以上溶解若しくは分散させる沸点 150℃以上の溶媒
(水を除く非水溶媒)とを含有する記録液とするのがよ
い。
【0055】この記録液に用いる溶媒は、上記の染料を
十分に溶解又は分散させるものであると同時に、その沸
点を 150℃以上とするのがよい。これは、上記の多孔質
構造が大きな表面積を有しているために、 150℃以上と
高沸点でなければ溶媒が蒸発若しくは揮発して記録部が
乾き、かつ記録液濃度が変動して記録性能を劣化させる
からである。
【0056】特に、この溶媒は、融点が50℃以下であ
り、かつ沸点が 150℃以上、 400℃以下の範囲にあり、
無色であることが好ましい。融点が50℃を超えると、染
料の融点が一般に 100℃以上であるので、染料と溶媒を
混合して作成した記録液は、非転写時の記録部温度であ
る室温から50℃の範囲で凝固し易くなる。また、沸点が
150℃未満であると、記録部が大気に露出しているの
で、記録液から溶媒だけが揮発し易くなる。沸点が 400
℃以上であると、気化の効率が悪く、転写感度が低下し
易くなる。
【0057】溶媒の分子量は 450以下であることが好ま
しい。分子量が高すぎると、気化における膨張率が低
く、転写感度が低下し易い。また、空気中で 200℃に加
熱したときの残留分の割合が0.01重量%以下の溶媒が好
ましい。
【0058】また、溶媒は、PPC用紙(普通紙)、ア
ート紙等の繊維に自発的に吸収される性質を持つこと
が、普通紙等への転写の観点から好ましい。
【0059】溶媒が前記の染料を50℃以下で5重量%以
上、特に10重量%以上溶解するためには、25℃での溶媒
の溶解度パラメータ(J.H.ヒルデブランドにより定
義されたもの)の値が 7.5〜10.5の範囲であることが好
ましい。更に、引火点が 150℃以上であって、人体に対
する毒性が低く、無色であることが好ましい。溶解度パ
ラメータが10.5を超えると、染料の溶解度が低くなり、
かつ空気中の水蒸気を吸着して転写感度の再現性が悪化
し易い。また、溶解度パラメータが 7.5未満であると、
やはり染料の溶解度が低くなり易い。
【0060】具体的には、フタル酸ジメチル、フタル酸
ジエチル、フタル酸ジブチル、フタル酸ジイソブチル、
フタル酸ジオクチル等のフタル酸ジアルキルエステル類
を含む芳香族エステル類が挙げられ、更には、アルキル
鎖の炭素数が2から30までのn−アルキルベンゼン、n
−アルキルナフタレン、n−ジアルキルベンゼン、n−
ジアルキルナフタレン等の芳香族炭化水素類等を本発明
における記録液の溶媒として使用することが望ましい。
以上の「アルキル」としては、エチル基、イソプロピル
基をはじめドデシル基等も含む。n−アルキルベンゼン
のときは炭素数10〜15のアルキル基が良く、これにはド
デシルベンゼンがある。
【0061】従来のインクジェット方式に用いられてい
る染料は、一般に酸性染料が多いが、これは親水性があ
って記録紙に付着したときに記録紙上で流れてしまい、
耐水性が悪く、発色し難く、また、記録時の熱で自己分
解によるコゲーションを生じ易い。これに対し、上記の
マゼンタ染料は、そうした現象は生じないため、記録紙
上に良好に付着して十二分に発色し、また、コゲーショ
ンも生じ難いものである。
【0062】しかも、このマゼンタ染料と組み合わせて
特にフタル酸ジアルキルエステルを使用すれば、この溶
媒は記録紙中への浸透性が良好であり、染料を十二分に
付着させることができ、かつ、染料を発色させる発色助
剤としての作用もある。このため、この記録液を用いる
と、PPC用紙へも転写が可能となり、高画質の画像を
形成することができる。また、記録液の染料濃度につい
ても、従来では高々5重量%であったが、上記の組み合
わせからなる記録液では、溶媒量を50〜98重量%と広範
囲に設定でき、染料濃度を10重量%以上に高め、画像濃
度を向上させることができる。
【0063】本発明の記録材を用いる転写ヘッドは、加
熱手段を備えた記録部と、記録液を貯蔵するインクタン
クと、記録部とインクタンクを結ぶ記録液通路とから構
成されてよい。転写ヘッドは、記録液の粘性率を調整す
るために全体を50℃まで加熱することができる。転写時
間を短縮するために1つの記録ヘッド上に記録部は2個
以上設けることもできる。記録液通路を通して、記録部
で消費された記録液を連続的に記録部へ補給できる。
【0064】加熱手段は、抵抗加熱ヒータ等の発熱体、
記録情報に応じて出力変化するレーザ、レーザと記録部
に設けられたレーザ光吸収剤(光熱変換体)の組み合わ
せ、等が使用できる。レーザとして半導体レーザを使用
すると、制御性が高く、小型軽量のヘッド部を構成でき
る。抵抗加熱ヒータは、記録部上に直接ポリシリコン等
の導電性物質を付着させて作製する。
【0065】本発明の記録材の転写に使用できる印画紙
は、PPC用紙等の普通紙、アート紙等の上質紙等であ
るが、特に階調性と濃度が高い高品質の画像を得るため
には、染料を発色させる樹脂として、ポリエステル、ポ
リカーボネート、アセテート、エポキシ樹脂、ポリ塩化
ビニル等を基紙上に塗布して作製した専用紙も使用でき
る。得られた画像の保存安定性を向上させるためには、
転写後の印画紙に樹脂フィルムをラミネートすることが
効果的である。
【0066】本発明の記録材を用いて、記録の多色化
(特にフルカラー化)を達成するには、減法混色の三原
色のうち1色を呈する染料を含有する記録液と、この染
料とは異なる減法混色の三原色の色を呈する少なくとも
1種類の染料を含有する記録液とをそれぞれ選択的に加
熱し、例えば、この操作をイエロー、マゼンタ、シアン
に分解された画像信号についてそれぞれ繰り返すことに
よってフルカラー化を達成できる。
【0067】
【実施例】以下、本発明の実施例を説明する。
【0068】図1〜図4は、本発明を非接触方式のサー
マル型プリンタ(例えばビデオプリンタ:以下、同様)
に適用した実施例を示すものである。
【0069】本実施例の記録方式には、図1に示す構造
のヘッド70をレーザ光による加熱用として使用し、ま
た、レーザ光の吸収性を向上させるためには気化部に光
吸収性物質(光熱変換体)を設けるのがよい。そして、
熱溶融性の上記一般式〔I〕のマゼンタ染料(場合によ
っては、この染料及びキャリア:溶媒)からなる記録液
62を収容し、対向する印画紙80との間に一定の微小空隙
51を設けている。
【0070】そして、レーザL等の適当な加熱手段によ
り記録部上の液化染料(記録液)62を選択的に加熱して
微小液滴化し、空隙51を飛翔によって移動させ、被記録
体80上に連続的な階調を持つ画像が得られる。この操作
を減法混色の三原色であるイエロー、マゼンタ、シアン
に分解された画像信号についてそれぞれ繰り返すこと
で、フルカラー化が達成できる。
【0071】ここで、上記の空隙51は10〜300 μmであ
るのが好ましく、特に50〜200 μmであることが好まし
い。空隙が10μm未満であると、ヘッドの移動中にヘッ
ドが印画紙と接触する可能性が高く、画像転写の安定性
が低下し易い。空隙51が 300μmを超えると、記録液滴
が効率良く印画紙に到達せず、転写感度と画像の解像度
が低下し易い。
【0072】この記録方式では、印画紙80を記録ヘッド
70に対して例えば上方側で対向させ、気化部57の上面付
近に、レーザ18から出射されてレンズ19で集光されたレ
ーザ光Lを照射して記録液滴82を上方に飛翔若しくは移
行させるのがよい。
【0073】また、レーザ光透過性のあるヘッドベース
54に染料溜め55を設け、ヘッドベース54上に固定したス
ペーサ58との間に液化染料(記録液)62を収容し、ここ
から染料通路67を経て気化部57に連続的に供給する。こ
の場合、気化部57への染料の供給効率及び気化効率の向
上のために、毛細管現象を利用して染料の供給及び保持
を行う多数の小柱体61からなる微小凹凸をRIEやリソ
グラフィ技術を用いて気化部57に設けている。
【0074】これらの小柱体61は、 300℃以上の耐熱性
を有していて、高さが1〜15μm(望ましくは2〜10μ
m)、直径又は一辺の長さtが 0.2〜3μm(望ましく
は 0.5〜3μm)、柱と柱の間隔dが 0.2〜3μm(望
ましくは 0.5〜3μm)である円柱或いは角柱が多数並
ぶ構造、特に3行以上、3列以上規則的に並んだ構造を
有している(図2及び図3参照)。
【0075】この柱体構造は、表面積が大きいために、
毛細管現象によって記録液を加熱部(転写部又は気化
部)に自発的に導入すると共に、転写時に転写部の中心
が局所的に加熱されても表面張力の温度依存性により記
録液が非加熱部に移動する現象(逃げ現象)を防止する
働きをする。
【0076】この場合、柱61の高さが1μm未満では、
転写時の逃げ現象を防止し難くなり、また、15μmを超
えると記録液が多すぎて効率よく加熱することが困難と
なる。柱61の直径又は一辺の長さが 0.2μm未満では記
録のための加熱で生じる流体の波動で柱が破損し易くな
り、また、3μmを超えると記録液体の占有できる体積
が小さく、転写感度が低下し易い。柱61と柱61との間隔
が 0.2μm未満であると記録液体の占有できる体積が小
さく、転写感度が低下し易く、また、3μmを超えると
転写時の逃げ現象を防止し難い。
【0077】小柱体61の平面形状は、図3に示すよう
に、正方形等、種々のものを採用してよく、また、その
集合体の平面パターンは、縦方向と横方向においてそれ
ぞれ2〜100 行と2〜100 列の範囲内でマトリクス状と
なるように選択することができる。
【0078】そして、上記の空隙51を保持し、X方向に
移動する印画紙80をガイドするために、スペーサ58上に
保護板59を固定している。この保護板59には、上記の液
化状態を保持するためのヒータ56が仮想線のように埋設
されてよいが、ここではヒータ56は染料収容部のベース
54の外面に固定される。或いは、上記の通路67及び染料
溜め55内に配設することができる。
【0079】本例に使用する記録ヘッドにおいて、主と
してベース54はガラス、金属、シリコン、セラミック等
の耐熱性の良い無機物で構成されるか、或いは、ポリイ
ミド、アラミド等の 300℃以上の耐熱性を具備する有機
高分子で構成される。このヘッドに適当な保温装置を設
けることによって、融点が室温以上である記録液の使用
も可能になる。
【0080】また、転写部57とインクタンク55の間の記
録液を補給するための供給通路67は、50μm2以上の断面
積があり、かつ記録液62の粘性率が 150℃以下で10cps
以下とすれば、速やかに記録液62を転写部へ供給でき、
転写中に感度が低下することはない。
【0081】記録液62中の色材として、上記した本発明
による一般式〔I〕の色素を使用するが、この色素は一
般式〔I〕の範囲内では2種類以上を混合して使用して
もよい。
【0082】そして、記録液の一部を加熱により蒸発さ
せ、画像情報に応じた量の色材を微小な液滴にして空隙
51中を移動せしめ、記録紙80上に転写する。インクジェ
ット方式の場合は、気化することによって50倍以上の体
積膨張をし、前記染料又は顔料を溶解若しくは分散さ
せ、融点が50℃以下、1気圧での沸点が 150℃以上(望
ましくは、 250〜400 ℃)の溶媒(キャリア)、特にフ
タル酸ジアルキルエステルを添加することが好ましい。
【0083】本実施例の記録材を転写するのに適した記
録媒体は、染料受容層80aを有する印画紙80であってよ
く、転写染料と適当な相溶性を持ち、転写染料を容易に
受容して染料本来の発色を促進し、かつ染料を固定する
作用があれば、どのような印画紙でも使用可能である。
【0084】本発明による転写方式の加熱手段は大きく
分けて、熱ヘッドによる方法、レーザ光による方法、レ
ーザ光とレーザ光の波長領域を含む吸収を持ち、光エネ
ルギーを熱エネルギーに変換する材料(光熱変換体)と
を組み合わせる方法がある。
【0085】レーザ光を使用する場合には、解像度が著
しく向上すると共に、レーザ光密度を光学系で大きくす
ることにより集中的な加熱が可能となり、到達温度が上
がり、その結果として熱効率が向上するという特徴があ
る。
【0086】特に、半導体マルチレーザ(数個から数百
個の半導体レーザ素子がライン上に並んだ構造を持つレ
ーザ)を使用することによって、1画面を転写する時間
は大幅に短縮される。但し、光熱変換体(図1中に一点
鎖線60で示す。)は、連続的にレーザ光の光エネルギー
を吸収するために、耐熱性を十分に満足するものでなけ
ればならない。
【0087】従って、この方式の光熱変換体60として
は、レーザの発光波長に一致する吸収を持つ金属薄膜、
金属薄膜と高誘電率を持つセラミック薄膜との2層膜等
の薄膜系光吸収体を図1のように転写部に直接設ける他
に、カーボンブラック、金属微粒子等の微粒子系光吸収
体を転写染料に均一に分散して使用しても良い。
【0088】上記したヘッドを含むプリンタヘッド全体
は、例えばフルカラー用としてシアン、マゼンタ及びイ
エローの各染料溜めを共通のベース54に設けて各収容部
又は供給ヘッド部70C、70M、70Yを構成し、各色用の
液体を12〜24個の多数のドットを形成する列状の各気化
部に供給する。
【0089】各気化部に対しては、対応するレーザ(特
に半導体レーザチップ)18を例えば24個アレイ状に配し
たマルチレーザアレイ30から出射される各レーザ光を多
数の集光レンズ19を配したマイクロレンズアレイ31によ
ってそれぞれ集光する。
【0090】なお、モノカラー印刷の場合は、供給ヘッ
ド部を唯1個設け、対応する1次元レーザアレイを作製
する。
【0091】上記したプリンタヘッド70は、染料収容部
において記録ドット数に対応した個数分だけ液体62をド
ット状に収容すると共に、レーザ18も記録ドット数の各
発光点を有するアレイ状に配したものである。
【0092】また、上記したプリンタヘッド70を有する
プリンタは、例えばシリアル方式として、縦方向(X方
向)の紙送りと、X方向と直交方向のヘッドの横方向
(Y方向)スキャンとによって、印刷を行うものであ
り、これらの縦方向の紙送りと横方向のヘッドスキャン
は交互に行うように構成されている。
【0093】図4に示すように、このプリンタ91におい
て、例えば多色印刷用のプリンタヘッド70は、送りねじ
機構からなるヘッド送り軸92とヘッド支軸93とにより、
印画紙80の紙送り方向Xと直交するヘッド送り方向Yに
往復移動自在にしてある。
【0094】また、ヘッド70の上側には、印画紙80を挟
むように支持するヘッド受けローラ94が回転自在に設け
られている。そして、印画紙80は、紙送り駆動ローラ95
と従動ローラ96との間に挟持されて紙送り方向Xに移動
するようになっている。
【0095】なお、ヘッド70は、フレキシブルハーネス
97を介してヘッド駆動回路基板(図示せず)等に接続さ
れている。
【0096】本実施例の記録方式は、気化部に多孔質構
造としての小柱体61の群を設け、非接触方式で染料気化
型のプリンタによるため、既述した如き熱転写記録方式
とインクジェット方式の双方の利点を生かしつつ、廃棄
物及び転写エネルギーを低減し、プリンタを小型、軽量
化し、優れた解像度及びドット内階調を実現し、かつ、
コゲーションをなくして記録性能を長時間保持すること
ができる。
【0097】次に、上述した実施例による記録結果(例
1〜例5)を比較例と共に説明する。
【0098】例1 図1に示す転写ヘッド(転写部サイズ50μm、小柱体の
径2μm)に上述した表1AのNo.1の色素(融点69〜70
℃)を、ヘッド全体を 100℃に加熱して導入した。そし
て、図4に示すプリンタ(但し、モノカラー用としてヘ
ッド部は唯1個)に転写ヘッドを装着し、印画紙として
昇華熱転写用専用紙(VPM30STA、ソニー社製)
をセットした。この場合、印画紙と転写ヘッドとの距離
は50μmとした。
【0099】次に、 850nmの半導体レーザ光を光学系で
転写ヘッド部に6×10μmサイズに集光し、20mWで1ms
ON、1msOFFのレーザパルスを転写部に照射し、同
時に印画紙をスキャンさせ、ラインを印画した。この結
果、印画紙上には、幅約80μmでマゼンタ色のOD約0.
4(マクベス反射濃度計で測定)の線が描かれた。
【0100】また、 100万パルス照射後、転写ヘッドを
取り出し、洗浄して残存色素を除去した後、転写部を顕
微鏡観察したところ、焦げのこびりつき等は全く認めら
れなかった。
【0101】例2 色素として、上述した表1AのNo.4(融点96〜97℃)を
用いる以外は例1と全く同様の試験を行ったところ、 1
00万パルス照射後の焦げの生成はなかった。
【0102】例3 色素として、上述した表1AのNo.9(融点 109〜110
℃)を用い、ヘッドの加熱温度を 120℃とした以外は例
1と全く同様の試験を行ったところ、 100万パルス照射
後の焦げの生成はなかった。
【0103】例4 色素として、上述した表1CのNo.32(融点 112〜113
℃)を用い、ヘッドの加熱温度を 120℃とした以外は例
1と全く同様の試験を行ったところ、 100万パルス照射
後の焦げの生成はなかった。
【0104】例5 上述した表1AのNo.1の色素をフタル酸ジブチルに溶解
した溶液(濃度15重量%)を記録液体として、常温で転
写ヘッドに導入し、これ以降は例1と全く同様に試験を
行った。
【0105】この結果、幅80μmでOD約0.1 のライン
が描かれた。また、 100万パルス照射後の焦げの生成は
なかった。
【0106】比較例1 下記構造の色素(融点 123〜124 ℃)を用いる以外は例
1と全く同様の試験を行った。
【化9】
【0107】この結果、レーザパルス数が10万パルスを
越えた付近から、転写量が低下し、印画されたラインの
色濃度の低下が始まった。20万パルスで転写が不可能に
なった。ヘッドを取り出して洗浄し、顕微鏡観察したと
ころ、小柱体群の頭部に焦げの固まりが生成していた。
【0108】比較例2 比較例1と同一の色素を用いる以外は例5と全く同様の
試験を行ったところ、レーザパルス数が10万パルスを越
えた付近から、転写量が低下し、印画されたラインの色
濃度の低下が始まった。20万パルスで転写が不可能にな
った。ヘッドを取り出して洗浄し、顕微鏡観察したとこ
ろ、小柱体群の頭部に焦げの固まりが生成していた。
【0109】以上、本発明の実施例を説明したが、上述
の実施例は本発明の技術的思想に基いて更に変形が可能
である。
【0110】例えば、記録染料については、マゼンタ、
イエロー、シアンの3色として(更には、黒を加えた)
フルカラーの記録を行うほか、2色印刷、1色のモノカ
ラー又は白黒の記録を行うことができる。
【0111】また、上述の溶媒や染料はそれぞれ、種々
のもの、或いは2種以上の併用が使用可能である。
【0112】また、転写部(加熱部又は気化部)に形成
すべき多孔性構造体は、上述したものに限らず、例えば
柱体の場合はその高さ、平面又は断面形状、密度等を変
化させてよいし、また、その形成箇所も微細パターン化
又は多孔質化、或いは表面積の拡大等が要求される箇所
であれば適用可能である。多孔性構造体としては、柱状
体又は壁状体以外にも、ビーズ集合体、繊維体等で形成
したものであってもよい。
【0113】染料等の記録材を液滴化するエネルギーと
しては、レーザ光以外の加熱ビームを用いてもよいし、
或いは抵抗加熱等の他の加熱方式によってもよい。この
ためには、記録材に導電性物質を添加することができ
る。また、濃度階調性を出すために適宜の加熱方法を採
用することができる。
【0114】また、記録材(染料)を収容する記録材収
容部の数やドット数、及びこれに対応したレーザアレイ
のビーム数(発光点の数)は種々変更してよいし、その
配列形状やサイズ等も上述したものに限定されることは
ない。
【0115】なお、本発明に使用するヘッド及びプリン
タは、染料の加熱にレーザ又は発熱体を使用している
が、これらを組み合わせることもできる。この場合は、
各加熱手段のパワーを下げても良好に気化を実現するこ
とができる。
【0116】また、ヘッドやプリンタの構造や形状は、
前記以外の適宜の構造、形状としてよく、ヘッドを構成
する各部分の材料には、他の適宜の材料を使用して良
い。
【0117】また、固体染料を一旦液状にし、これを液
滴化して記録を行う他、染料溜めに液化染料(室温にて
液状)を収容することもできる。また、上述したプリン
タとは異なり、ヘッド上方からレーザ光を照射してその
下側に位置する被記録紙に記録を行っても良い。
【0118】
【発明の作用効果】本発明の記録材料によれば、上記一
般式〔I〕の色素からなるので、加熱に対して十二分の
耐熱性を有し、分解生成物によるコゲーションは殆ど生
じない。このため、繰り返し記録時でも多孔質構造の作
用を保持し、有効に発揮させることができる。
【0119】この場合、多孔質構造によって小さいサイ
ズの液滴を多数形成でき、かつ記録液加熱部への記録情
報に対応した加熱エネルギーに応じて液滴の生成数を自
由に制御することができるので、多値濃度階調が可能に
なり、銀塩方式の画像と同等若しくはそれ以上の画質を
持つ記録(例えばフルカラー画像)を得ることができ
る。また、熱転写方式の記録であるため、既述した小型
化、保守容易性、即時性、画像の高品位化、高階調性等
の特長を有している。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例に使用するプリンタヘッドの断
面図である。
【図2】同プリンタヘッドの要部の斜視図である。
【図3】同プリンタヘッドの転写部(気化部)に設ける
小柱状体群の平面パターン図である。
【図4】同プリンタを下方から見た概略斜視図である。
【図5】従来の感熱記録ヘッドを用いた記録装置の要部
正面図である。
【符号の説明】
18・・・レーザ(半導体レーザ) 30・・・マルチレーザアレイ 31・・・マイクロレンズアレイ 51・・・空隙 53・・・気化孔 54・・・ベース 56・・・ヒータ 57・・・気化部 58・・スペーサ 59・・・保護板 61・・・小柱体 62・・・記録液(液化染料) 67・・・染料通路 70・・・プリンタヘッド 80・・・印画紙 80a・・・染料受容層 82・・・記録液滴 L・・・レーザ光
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 村田 勇吉 神奈川県横浜市青葉区鴨志田町1000番地 三菱化学株式会社横浜総合研究所内 (72)発明者 石田 美織 神奈川県横浜市青葉区鴨志田町1000番地 三菱化学株式会社横浜総合研究所内

Claims (13)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 多孔質構造を有する転写部に毛管現象に
    よって導かれ、加熱によって状態変化して、前記転写部
    に対向した被転写体へ移行せしめられる熱転写記録材料
    であって、下記一般式〔I〕で表され、融点が 115℃以
    下の色素を含有する熱転写記録材料。 一般式〔I〕: 【化1】 (但し、一般式〔I〕中、Aは置換基を有していてもよ
    いp−フェニレン基であり、R1 及びR2 はそれぞれ水
    素原子、置換若しくは非置換のアルキル基又はアルケニ
    ル基、シクロアルキル基、或いは置換若しくは非置換の
    フェニル基である。R1 は更に、フェニレン基A及びフ
    ェニレン基Aに隣接する窒素原子と共同して複素5員環
    若しくは複素6員環を形成してもよく、或いはR2 及び
    フェニレン基Aに隣接する窒素原子と共同して複素5員
    環若しくは複素6員環を形成してもよい。)
  2. 【請求項2】 フェニレン基Aは、炭素数1〜4の直鎖
    状若しくは分岐鎖状のアルキル基又はアルコキシ基、ハ
    ロゲン原子、或いは炭素数1〜4のフルオロアルキル基
    からなる置換基を有している、請求項1に記載した熱転
    写記録材料。
  3. 【請求項3】 R1 及びR2 は、炭素数1〜12の直鎖状
    若しくは分岐鎖状で置換若しくは非置換のアルキル基又
    はアルケニル基、炭素数5又は6のシクロアルキル基、
    或いは炭素数1〜8の直鎖状若しくは分岐鎖状のアルキ
    ル基又はアルコキシ基、ハロゲン原子或いは炭素数1〜
    4のフルオロアルキル基を置換基として有するフェニル
    基である、請求項1に記載した熱転写記録材料。
  4. 【請求項4】 R1 及びR2 は、炭素数1〜8の直鎖状
    若しくは分岐鎖状のアルキル基又はアルケニル基、炭素
    数1〜4の直鎖状若しくは分岐鎖状のアルコキシ基、フ
    ェニル基、フェノキシ基又はアリルオキシ基で置換され
    た炭素数1〜4の直鎖状若しくは分岐鎖状のアルキル又
    はアルケニル基、或いは複素環基で置換されたアルキル
    基である、請求項1に記載した熱転写記録材料。
  5. 【請求項5】 R1 がフェニレン基A及びフェニレン基
    Aに隣接する窒素原子と共同して形成した複素環を有す
    る色素が、下記一般式〔II〕又は〔III]で表されるもの
    である、請求項1に記載した熱転写記録材料。 一般式〔II〕: 【化2】 (但し、一般式〔II〕中、A及びR2 は一般式〔I〕で
    定義したものと同じであり、R3 及びR4 は水素原子又
    はアルキル基である。) 一般式〔III]: 【化3】 (但し、一般式〔III]中、A及びR2 は一般式〔I〕で
    定義したものと同じであり、R5 、R6 及びR7 は水素
    原子又はアルキル基である。)
  6. 【請求項6】 R1 がR2 及びフェニレン基Aに隣接す
    る窒素原子と共同して形成した複素環が、 【化4】 である、請求項1に記載した熱転写記録材料。
  7. 【請求項7】 一般式〔I〕で表される色素の融点が 1
    00℃以下である、請求項1に記載した熱転写記録材料。
  8. 【請求項8】 加熱によって気化されるか或いは径が1
    μm以下のミストを発生し、10μm〜300 μmの間隙を
    介して対向配置された被転写体上に転写される液状の記
    録材料である、請求項1に記載した熱転写記録材料。
  9. 【請求項9】 多孔質構造が 0.2〜3μmの一辺又は直
    径、1〜15μmの高さを有している、請求項1に記載し
    た熱転写記録材料。
  10. 【請求項10】 0.5〜3μmの一辺又は直径、1〜15μ
    mの高さを有する微細な柱状体を 0.5〜3μmの間隔で
    3行以上及び3列以上配することによって多孔質構造が
    形成されている、請求項9に記載した熱転写記録材料。
  11. 【請求項11】 分子量が 450以下であり、融点が50℃以
    下であり、沸点が 150℃以上、 400℃以下であり、無色
    であり、かつ空気中で 200℃に加熱したときの残留分の
    割合が0.01重量%以下の溶媒に、一般式〔I〕で表され
    る色素が50℃以下で5重量%以上溶解している、請求項
    1に記載した熱転写記録材料。
  12. 【請求項12】 溶媒が芳香族エステル及び/又は芳香族
    炭化水素である、請求項11に記載した熱転写記録材料。
  13. 【請求項13】 芳香族エステルがフタル酸ジアルキルエ
    ステルである、請求項12に記載した熱転写記録材料。
JP7079908A 1995-03-10 1995-03-10 熱転写記録材料 Pending JPH08244363A (ja)

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