JPH08118795A - 記録方法、記録装置及び記録材組成物 - Google Patents

記録方法、記録装置及び記録材組成物

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Publication number
JPH08118795A
JPH08118795A JP28273194A JP28273194A JPH08118795A JP H08118795 A JPH08118795 A JP H08118795A JP 28273194 A JP28273194 A JP 28273194A JP 28273194 A JP28273194 A JP 28273194A JP H08118795 A JPH08118795 A JP H08118795A
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recording
dye
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voltage
dielectric
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JP28273194A
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English (en)
Inventor
Eiki Hirano
栄樹 平野
Kenji Shinozaki
研二 篠崎
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Sony Corp
Original Assignee
Sony Corp
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Abstract

(57)【要約】 【構成】 染料通路から分岐する分岐通路27aの先端に
気化部17が設けられ、気化部17には小円柱体21が多数立
設している。気化部17の内壁面には対の電極17A、17B
が互いに対向して配置され、電極17A、17Bは直流電源
67に接続している。気化部17に供給される液化染料に
は、誘電体微粒子が添加される。記録時には気化部にレ
ーザ光が集光し、これと同期して電極17A、17Bに電圧
が印加される。 【効果】 記録時に電極へ電圧を印加すると、誘電体微
粒子による電気粘性効果により液化染料の粘性が見掛け
上増大する。従って、記録時に気化されずに気化部に残
っている液化染料は、加熱されていても自由には動け
ず、不所望な移動が抑制され、良好な記録結果が得られ
る。また、非記録時には、電極への電圧印加を行わない
ので、電気粘性効果が起こらず、液化染料は良好な流動
性を保持し、気化部にて先に気化して記録に供された液
化染料の補給がスムーズになされ、順調に記録が遂行さ
れる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、記録方法並びにこの方
法に使用する記録装置及び記録材組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、ビデオカメラ、テレビジョン、コ
ンピュータグラフィクス等の画像記録のカラー化が進む
につれ、ハードコピーのカラー化に対するニーズが急速
に高まっている。これに対応して、色々な方式のカラー
プリンタが開発され、様々な分野に展開している。
【0003】これらの記録方式の中で、適当なバインダ
樹脂中に高濃度の転写染料の分散するインク層が塗布さ
れいてるインクシートと、転写された染料を受容する染
着樹脂がコーティングされた印画紙等の被転写体を、一
定の圧力で密着させ、インクシート上に位置する感熱記
録ヘッドから画像情報に応じた熱が加えられ、インクシ
ートから受像層に加えられた熱量に応じた転写染料を熱
転写させる方式がある。
【0004】上記の操作を、減法混色の三原色即ち、イ
エロー、マゼンタ、シアンに分解された画像信号につい
て夫々繰り返すことで、連続的な階調を持つフルカラー
画像を得ることを特徴とする、所謂熱転写方式は、小型
化、保守が容易で、即時性を備え、銀塩カラー写真並の
高品位な画像を得る優れた技術として注目を集めてい
る。
【0005】図19は、こうした熱転写方式のプリンタの
要部の概略正面図である。
【0006】感熱記録ヘッド(以下、サーマルヘッドと
呼ぶ)61とプラテンローラ63とが対向し、これらの間
に、ベースフィルム62b上にインク層62aを設けたイン
クシート62と、紙70b上に染着樹脂層70aを設けた被記
録紙(被転写体)70とが挟まれ、これらが回転するプラ
テンローラ63によってサーマルヘッド61に押し付けられ
て走行する。
【0007】そして、サーマルヘッド61によって選択的
に加熱されたインク層62a中のインク(転写染料)が、
被転写体70の染着樹脂層70aにドット状に転写され、熱
転写記録が遂行される。このような熱転写記録には、一
般に長いサーマルヘッドを被記録紙走行方向に直角に固
定して配したライン方式が採用されている。
【0008】然し、この方式は、以下のような欠点を有
している。
【0009】 インク供給体であるインクシートが一
回限りの使い捨てであり、これがプリント時に発生する
多量の廃棄物となって省資源及び環境保護上の問題にな
る。また、インクシート中の染料のうちで、実際に記録
に使用される染料の割合は通常10%以下であり、使用さ
れない染料はインクシートと共に廃棄され、記録のラン
ニングコストが嵩む。
【0010】 廃棄物を低減する目的でインクシート
を多数回使用してフルカラー画像を得る手段が提案され
ている。然し、転写染料層と被転写体は接触しているの
で、最初に転写染料Aを被転写体に転写し、次いで転写
染料Bを重ねて転写する場合に、逆に被転写体上の転写
染料Aが、インクシートの転写染料B層に逆転写されて
転写染料Bを汚染する。従って2枚目以降のプリント画
質は低下する。
【0011】 インクシートが大きな体積を占有する
ために、プリンタ装置の小型軽量化に限度がある。
【0012】 所謂熱転写方式は、実際には染料の熱
転写現象を利用した転写機構である。従って、被転写体
の受像層内への染料が拡散するためには、受像層も充分
に加熱する必要があり、熱効率が悪い。
【0013】 効率よく転写を行うためには、インク
シートと被転写体とを高い圧力で押しつけなければなら
ない。従って、プリンタは強固な構造を取る必要があ
り、プリンタ装置の小型軽量化に限度がある。
【0014】 転写感度を向上させるには、被転写体
の染着樹脂と転写染料との相溶性を高めれば良い。然
し、転写染料と相溶性の高い染着樹脂は、一般に保存安
定性、特に光安定性が劣る。
【0015】このように、所謂熱転写方式は数々の欠点
を内包している。従って、前記の利点を失うことなく廃
棄物及び転写エネルギーを低減し、プリンタを小型軽量
化する技術が強く望まれていた。
【0016】
【発明に至る経過】本発明者は、鋭意研究の結果、前記
の要請に応える熱記録方式として、図20に示すような記
録方式の開発に成功した。
【0017】この方式では、熱溶融性の染料層を有する
記録ヘッドと対向する染料を受容する受容層を持つ被記
録体50の間に微小の空隙を設け、レーザL等の適当な加
熱手段により記録部上の液化染料22を選択的に気化させ
て空隙間を移動させ、被記録体50上に連続的な階調を持
つ画像が得られる。この操作を減法混色の三原色である
イエロー、マゼンタ、シアンに分解された画像信号につ
いて夫々繰り返すことで、フルカラー化が達成できる。
【0018】なお、この記録方式では、印画紙50を記録
ヘッド10に対して例えば上方側で対向させ、気化部17の
上面付近に、レーザ18から出射されてレンズ19で集光さ
れたレーザ光Lを照射して気化染料32を上方に飛翔若し
くは移行させるのが良い。この場合、転写染料が加熱手
段により間隙11を移動するためには、気化現象の他に、
高出力レーザが照射された時に屡見られ、染料分子の結
合が効率よく切断されてそのエネルギーを利用して非常
に大きい速度でエッチングされる現象や、沸騰や爆発に
より発生したガスのエネルギーを利用して非常に大きい
速度でエッチングされる現象も利用できる(こうした気
化機構以外の転写機構をアブレーションと称する:以
下、同様)。
【0019】また、レーザ光透過性のあるヘッドベース
14に染料溜め15を設け、ヘッドベース14上に固定したス
ペーサ28との間に液化染料22を収容し、ここから染料通
路27を経て気化部17に液化染料22を供給する。この場
合、気化部17への染料の供給効率及び気化効率の向上の
ために、毛細管現象を利用して染料の供給及び保持を行
う小円柱体21からなる微小凹凸を気化部17に設けてい
る。
【0020】そして、上記の空隙11を保持し、X方向に
移動する印画紙50をガイドするために、スペーサ28上に
保護板29を固定している。この保護板29には、上記の染
料の液化状態を保持するためのヒータ16が埋設されてい
るが、こうしたヒータは染料収容部(上記の通路17及び
染料溜め15)内に配設することができる。
【0021】また、このプリンタヘッドを含むプリンタ
全体は、例えばフルカラー用としてイエロー、マゼン
タ、シアンの各染料溜め15Y、15M、15Cをそれぞれ共
通のベース14に設け、そこから各色の染料を12〜24個の
多数のドットを形成する列状の気化部17Y、17M、17C
に供給する。
【0022】各気化部に対しては、対応するレーザ(特
に半導体レーザチップ)18を各12〜24個アレイ状に配し
たマルチレーザアレイ30から出射される各レーザ光を多
数の集光レンズ19を配したマイクロレンズアレイ31によ
って夫々集光する。
【0023】この方式では、記録時に失われる染料は、
バインダ樹脂を殆ど含まないために、失われた分だけ
を、染料溜めから溶融状態で転写部へ流すことにより、
或いは適当な基体上に連続的に塗布され、その基体が記
録部に移動することにより、記録ヘッド部に連続的に供
給することができる。従って、記録ヘッド部は原理的に
多数回使用できるのでの課題は解決される。
【0024】また、染料層と被記録体とが接触しないた
めに、既に記録体に移行した記録染料が異なる記録染料
層に逆移行して画像を損なうの問題も解決され、同時
に染料供給に小体積の染料溜めを使用し、インクシート
を使用しないために、プリンタ装置を小型軽量化でき、
の問題も解決される。
【0025】更に、この記録方式は、染料の気化やアブ
レーションを利用した記録機構であるために、被記録体
の受像層を加熱する必要が無く、インクシートと被転写
体とを高い圧力で押し付ける必要もない。従って、、
の課題も解決される。そして、記録ヘッド部と被記録
体とが直接接触しないために、記録ヘッド部と被記録体
との熱融着も原理的に起こり得ないだけではなく、染料
と受像層樹脂の相溶性が小さくても記録可能である。従
って、染料及び受像層樹脂の設計、選択の幅が著しく広
がり、の課題も解決される。
【0026】この方式に適した染料は、適当な気化速
度、或いはアブレーション速度を持ち、単独或いは混合
状態で 200℃以下で流動状態を取り、必要にしてかつ十
分な耐熱性を具備していれば、どのような染料でも良
い。具体的には分散染料、油溶性染料、塩基性染料、酸
性染料などが挙げられる。
【0027】特に、アブレーション機構が気化機構より
も優位を占める場合は、直接染料のように分子量が大き
く気化速度が小さい染料や、カーボンブラックや顔料で
さえも記録が可能である。融点が室温以上にある染料で
も、染料同士を混合することにより、或いは染料と揮発
性の低分子量物質を混合することにより、共融混合物を
構成して融点は低下する。また、記録部に適当な保温装
置を設けることで融点が室温以上である染料又は染料混
合物の使用も可能になる。
【0028】この方式に適した印画紙は、染料と適当な
相溶性を持ち染料を容易に受容して染料本来の発色を促
進し、かつ、染料を固定する作用があればどのような印
画紙でも良い。例えば、分散染料に対しては分散染料と
相溶性の良いポリエステル樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、
アセテート樹脂等を表面にコートした紙などが好まし
い。印画紙に移行した染料の定着は、記録後の画像を加
温して、表面の染料を受像層内部に浸透させる方式も可
能である。
【0029】この記録方式における加熱手段は、大きく
分けて熱ヘッドによるものと、レーザ光の波長領域を含
む吸収を持ち光エネルギーを熱エネルギーに変換する材
料(光熱変換体)とを組み合わせる方法が挙げられる。
レーザ光を使用する場合には、解像度が著しく向上する
と共に、レーザ光密度を光学系で大きくすることにより
集中的な加熱が可能となり到達温度が上がり、その結果
熱効率が向上する特徴がある。
【0030】特に、マルチレーザを使用することで1画
面を記録する時間は大幅に短縮される。但し、光熱変換
体は連続的に光エネルギーのレーザ光を吸収するために
耐熱性を十分に満足するものでなければならない。従っ
て、この方式の光熱変換体としては、レーザの発光波長
に一致する吸収を持つ金属薄膜、金属薄膜と高誘電率を
持つセラミック薄膜との2層膜、等の薄膜系光吸収体を
直接気化部に設けるほかに、カーボンブラック、金属微
粒子等の微粒子系光吸収体や、フタロシアニン系色素、
ナフタロシアニン系色素、シアニン系色素、アントラキ
ノン系色素等の有機系色素或いは有機金属系色素等、耐
熱性の優れた染料或いは顔料を転写染料に均一に分散し
て使用しても良い。
【0031】然し、検討の結果、図20の記録ヘッドに
は、解決しなければならない次のような問題が未だ残さ
れていることが解った。
【0032】記録部の一部を選択的に加熱すると、図21
に示すように、加熱部に存在する液状染料が加熱部の周
囲の方向へ1m秒以内で移動する現象の発生が高速度カ
メラ観察で捕らえられた。本発明者らは、この現象が、
液状染料の沸点近く或いは沸点以上迄到達する加熱部
と、染料の沸点近傍である加熱部周囲(非加熱部)との
温度差に対応して、溶融染料の表面張力(溶融染料と気
相との界面張力)に差異が生じ、相対的に溶融染料の表
面張力が大きい非加熱部に加熱部の液状染料が引かれる
という機構によって発生することを見出した。
【0033】この現象が生じると、直接記録部に設けた
ヒータ或いはレーザ光を吸収する薄膜系光吸収体は、熱
を伝達する流体が無いために著しく温度が上昇し、最終
的にはヒータ或いは光吸収体が熱破壊に至る。また、染
料に均一に分散する方式の光吸収体の場合は、レーザ光
を吸収する光吸収体が溶融染料と共に加熱部周囲に移動
するために、レーザ光の吸収効率が低下して印加熱量を
有効に利用できない。従って、上記の溶融染料の表面張
力の温度依存性に起因する溶融染料の加熱部から周囲へ
の移動(以下この現象を「逃げ」と表記する)を抑制す
る手段が得られないと本方式の実現は困難である。
【0034】上記「逃げ」を抑制するためには、次の手
段が考えられる。 (1)液状染料に界面活性剤を添加して表面張力の温度
依存性を小さくする。その結果、「逃げ」る領域が小さ
くなって記録が可能になる。 (2)記録部に数ミクロンサイズの微細構造を設け、表
面積を増加させる。その結果、微細構造に対して液状染
料が毛細管現象で固定されて「逃げ」る割合を少なくす
る。 (3)液状染料に、ポリマーに代表される増粘剤を添加
して「逃げ」速度を抑制する。
【0035】然し、(1)、(2)の手段を使用しても
ある割合で液状染料の「逃げ」が発生して記録感度が低
下する。また、(3)の手段を用いると液状染料の粘性
率が高くなり、記録により染料が失われた加熱部に対
し、速やかに染料を供給することが著しく困難になり、
その結果、得られる画像の感度が低下する。
【0036】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記の事情
に鑑みてなされたものであって、記録時に、記録材の加
熱部分とその極く近傍の非加熱部分との表面張力の差に
起因する記録材の不所望な移動(前記の逃げ)を抑制
し、記録に供された記録材の補給がスムーズになされ、
常に良好な記録結果が保証される記録方法、記録装置及
び記録材組成物を提供することを目的としている。
【0037】
【課題を解決するための手段】第一の発明は、電気粘性
効果を示す物質と記録材とを含有する組成物を加熱し、
前記記録材を被記録体に移行させて記録を行う記録方法
に係る。
【0038】第一の発明において、前記記録材を加熱し
て前記被記録体に移行させるに際し、前記加熱を行う箇
所又はその近傍で前記組成物に電圧を印加し、前記加熱
を行わないときには前記電圧を印加しないで前記記録材
を前記加熱を行う箇所に供給するのが望ましい。
【0039】上記において、前記記録材の加熱と前記電
圧の印加とを同期させて行うのが殊に望ましい。
【0040】また、第一の発明において、前記記録材を
気化又はアブレーションによって前記被記録体に飛翔さ
せるのが更に望ましい。
【0041】上記において、前記記録材の層に対して間
隙を隔てて位置する前記被記録体に前記記録材を飛翔さ
せるのが特に望ましい。
【0042】更に、第一の発明において、前記記録材の
加熱をレーザ光の照射によって行うのが一層望ましい。
【0043】第二の発明は、第一の発明に係る記録方法
を実施するように構成され、前記組成物に電圧を印加す
るための電極が前記記録材を加熱する箇所又はその近傍
に設けられている記録装置に係る。
【0044】第二の発明において、前記電極として、一
対の電極が前記組成物を挟むようにして対向位置されて
いることが望ましい。
【0045】また、第二の発明において、前記記録材の
加熱と前記電極への電圧印加とを同期して駆動する駆動
制御手段を有することが更に望ましい。
【0046】上記において、前記記録材の加熱を行わな
いときには前記電極へ電圧を印加しないで、前記記録材
を前記加熱を行う箇所に供給するように前記駆動制御手
段が構成されていることが望ましい。
【0047】また、第二の発明において、前記記録材を
液化させるための加熱手段を更に有することが望まし
い。
【0048】第三の発明は、第一の発明に係る記録方法
の実施に使用され、前記の電気粘性効果を示す物質と前
記記録材とを含有する記録材組成物に係る。
【0049】第三の発明において、誘電体微粒子又は誘
電体化合物が溶解又は分散して電気粘性効果を示すこと
が望ましい。
【0050】上記において、誘電体微粒子又は誘電体化
合物が非含水性系物質によって構成されていることが望
ましい。
【0051】また、上記において、誘電体微粒子が、導
電性微粒子の表面に絶縁性皮膜が形成された構成を有す
ることが更に望ましい。
【0052】また、第三の発明において、誘電体微粒子
又は誘電体化合物が、液晶性を示す物質からなることが
望ましい。
【0053】更に、上記において、誘電体微粒子又は誘
電体化合物の含有量が、1重量%以上でかつ60重量%以
下であることが好ましい。
【0054】上記において、誘電体微粒子又は誘電体化
合物の含有量が、2重量%以上であることが一層好まし
い。
【0055】更に、第三の発明において、レーザ光の赤
外線成分を吸収する物質を更に含有することが望まし
い。
【0056】前記の誘電体微粒子或いは誘電体化合物と
しては、染料に対して完全に溶解又は分散し、少なくと
も 300℃迄も耐熱性を具備しているものであればどのよ
うな物質でも使用できる。特に好ましくは、高温でも電
気粘性流体としての特性を失わない非含水性系微粒子や
液晶素子が好ましい。
【0057】非含水性系微粒子については、例えば特開
昭64−6093合公報に記載されているような、アルミニウ
ム、ニッケル、銅、珪素、ジュラルミン等の金属類又は
合金類、カーボンブラック、黒鉛等の炭素同素体類、導
電性ポリマー類、導電性金属化合物類等、粒子の電気抵
抗として104 〔Ω・cm〕以下の物質微粒子表面に、電気
絶縁性皮膜を設けた構造が有効である。ただし、微粒子
系誘電体を液状染料に添加する場合は分散剤を添加する
などして、微粒子の沈降を防止する必要がある。
【0058】液晶系の誘電体化合物としては、強誘電性
液晶(CS−1014、CS−1025、チッソ社製)やポリ
(n−シアヌルイソシアネート)等の高分子液晶も効果
が大きい。
【0059】液状染料へ溶解或いは分散する誘電体微粒
子、或いは誘電体化合物の液状染料に対する混合重量比
率は1対99から60対40の範囲にあることが好ましい。混
合重量比が1%未満であると電気粘性効果が示されず、
60%を越えると加えられた熱が染料に充分には伝達せず
に記録感度が低下する。特に好ましい混合重量比率の範
囲は2対98から40対60である。
【0060】液状染料を電気粘性流体として用いる場合
は、記録部に電極を設け、記録時に熱記録用色材へ電圧
を印加し流体の粘性を上げて、液状染料の横方向の移動
を抑制すると共に、記録部に液状染料を供給する非加熱
時には電圧を印加せずに流体の粘性を下げて速やかに染
料供給を完遂させる。
【0061】液状染料に添加された誘電体物質が非昇華
性でありかつ耐熱性である場合は、染料が、記録に供さ
れてもなお気化部に残存し、誘電体物質の補給は必要と
しない。但し、誘電体物質が気化、アブレーション、若
しくは分解で失われるならば、補給が必要になる。
【0062】誘電体物質の添加は既存の微細構造を持つ
記録ヘッドの気化部に導入するとさらに効果が大きくな
る。また、界面活性剤添加と併用しても良い。
【0063】
【実施例】以下、本発明の実施例を説明する。
【0064】図1は記録ヘッドの拡大断面図(図2のI
−I線に対応する断面図)、図2は同ベース部材の概略
平面図である。
【0065】記録ヘッドは、図18で説明した記録ヘッド
と略同様の構造にしてあるので、図18と共通する事項に
ついては説明を省略する。この例にあっては、気化部17
の内壁面に、互いに対向する対の電極17A、17Bを設け
ていることが特徴的事項である。
【0066】染料には誘電体微粒子が分散されており、
レーザ光Lによる液化染料22の気化に際しては、電極17
A、17Bに直流電圧を印加し、レーザ光照射部分にて液
化染料22が電気粘性効果によって粘性が増大する。この
粘性増大の機構については後に詳述する。
【0067】図3は図2の III部分(気化部17)の拡大
図である。前述したように、気化部17の内壁面には対の
電極17A、17Bが対向位置している。電極17A、17B
は、仮想線で示すように、気化部17に近接した分岐通路
27a部分に設けても良い。そして、電極17A、17Bは直
流電源67に接続している。
【0068】各対の電極17A、17Bへの電圧印加及びレ
ーザ18の駆動の制御機構68を図4に示す。
【0069】対の電極17A、17Bは、当該気化部におい
て、図1に示したレーザ18の駆動と同期して行う。即
ち、レーザ18が駆動してレーザ光Lを出射するときにの
み、電極17A、17Bに電圧を印加し、当該気化部におけ
る液化染料22の粘度を増大させる。レーザ18が駆動せ
ず、レーザ光Lが出射しないときは、電極17A、17Bに
は電圧が印加されず、液化染料22は低い粘性を以て気化
部にスムーズに供給される。従って、記録部にて記録に
供された液化染料に対し、新しい液化染料がスムーズに
補給されることになる。
【0070】上記のように電極17A−17B間の電圧印加
とレーザ18の駆動との同期を図る駆動制御機構68は、図
5に示すように構成されている。
【0071】発振回路を内蔵する制御回路CCから上記
駆動のためのパルス信号が出力する。パルス信号がハイ
レベル“H”のとき、抵抗R1を介して制御回路CCに
ベースが接続されているNPNトランジスタTR1が
“ON”になり、これに伴って、抵抗R3を介してトラ
ンジスタTR1のコレクタに接続されたPNPトランジ
スタTR2のベースがロウレベル“L”となってこのト
ランジスタTR2が“ON”になる。この結果、電源V
cc1からの電圧(+5V)が抵抗R5による一定の電圧
降下分を差し引いた分だけレーザ18のアノードに印加さ
れ、レーザ18が駆動され、レーザ光Lを放出する。
【0072】これと同期して、抵抗R6を介してベース
が接続されたNPNトランジスタTR3のベースが
“H”となり、これに伴ってトランジスタTR3が“O
N”になり、更に、抵抗R8を介してベースが接続され
たPNPトランジスタTR4のベースが“L”レベルと
なり、トランジスタTR4が“ON”になる。この結
果、電源Vcc2からの電圧(+150 V)が抵抗R9を介
して電極17Aに印加され、対向電極17Bとの間に一定の
電界が発生する。こうして、液状染料が電気粘性効果を
示しながらレーザ光Lにより効率よく気化されることに
なる。
【0073】他方、上記したパルス信号がロウレベル
“L”のときは、上記した場合とは逆に、各トランジス
タTR1、TR2、TR3、TR4は“OFF”状態と
なるから、レーザ18は駆動されず、液状染料は電気粘性
効果を示すことなく良好な流動性を以て気化部に供給さ
れる。
【0074】次に、前記の電圧印加によって液化染料の
粘性が増大する機構を、図6によって説明する。
【0075】液化染料22には、導電性微粒子62aの表面
に絶縁皮膜26bが被覆してなる誘電性微粒子62が均一に
分散している。一方の電極17Aに正の電圧を、他方の電
極17Bに負の電圧を印加すると、正の電圧が印加された
電極17Aに最も近い誘電性微粒子62の電極17A側の絶縁
皮膜62bの箇所に負の電荷が、逆の箇所に正の電荷が発
生する。その隣に位置する誘電性微粒子62の絶縁皮膜62
bでは、前記負の電荷に対応して正の電荷が、逆の位置
では負の電荷が発生する。
【0076】負の電圧を印加された電極17Bの側では、
前記とは正負が逆になった電荷が誘電性微粒子62の絶縁
皮膜62bに発生する。
【0077】かくして、各誘電性微粒子62は、隣同士の
正負の電荷によって互いに引き合い、自由には動けぬよ
うに位置規制される。これらの位置規制された誘電性微
粒子62により、液化染料22は、移動が制約され、見掛け
上粘性が増大することになり、電気粘性効果を示す。そ
の結果、前記の「逃げ」が抑制され、良好な記録が保証
される。
【0078】図7は、この状態における図21と同様の概
略図である。
【0079】電極17A、17Bは、図8(a)に示すよう
に、ベース14上にレジストマスクRMを形成し、金属を
蒸着して形成することができる。また、図8(b)に示
すように、電極挿入用空間17Cをベース14に設けておい
て、予め電極17A(17B)を支持させたスペーサ28をベ
ース14にセットしても良い。
【0080】次に、記録装置(プリンタ)の構造を図9
〜図12によって説明する。図9は図1に示した記録ヘッ
ド(プリンタヘッド)の分解斜視図(但し、電極は図示
省略)、図10はプリンタヘッドとそのスキャン状態を示
す概略裏面図、図12はプリンタヘッドを下方から見た概
略斜視図である。図9〜図12は、シリアル方式のプリン
タ又はプリンタヘッドについての例を示している。
【0081】この染料気化型レーザビームプリンタにお
いて、多色印刷を行うために、プリンタヘッド部を例え
ば3組(黒色用のものを別に用意する場合は4組)用意
し、夫々のヘッド部を小型化して近接させ、多色印刷用
のヘッド部としている。
【0082】即ち、図9に示すように、各色用の1次元
レーザアレイを3個分、ヘッドのスキャン方向Yに並設
する。具体的には、図8に明示するように、例えばフル
カラー用としてシアン、マゼンタ、イエローの各染料溜
め15C、15M、15Yを夫々のベース14に設けて各染料収
容部又は染料供給ヘッド部37C、37M、37Yを構成し、
そこから各色の染料を12〜24個の多数のドットを形成す
る列状の気化部17C、17M、17Yに供給する。
【0083】各気化部に対しては、対応するレーザ(特
に半導体レーザチップ)18を例えば24個アレイ状に配し
たマルチレーザアレイ30から出射される各レーザ光を多
数の集光レンズ19を配したマイクロレンズアレイ31によ
って夫々集光する(36はレーザ光Lを直角方向に導くた
めのミラー)。
【0084】集光レンズとしては、図示したレンズ系で
もよいが、仮想線で示す1枚の径大の集光レンズ38を使
用して良い。このレンズ38は、光入射位置に応じて光出
射位置が上記の各気化部17C、17M、17Yに相当するよ
うに屈折経路が変化するように形成されたものである。
なお、マルチレーザアレイ30は、基板33に設けたコント
ロールIC34によって駆動制御し、またヒートシンク35
によって十分に放熱できるようになっている。
【0085】なお、モノカラー印刷の場合は、図11に示
すように、1次元レーザアレイ30を作製し、夫々のレー
ザ素子を独立かつ並列に動作できる構造にすることによ
って、簡単にビーム数の一倍以上の印刷速度が得られる
(例えば24ビームのレーザアレイを用いれば24倍の速度
となる)。
【0086】上記した各プリンタヘッド10はいずれも、
染料収容部37において記録ドット数に対応した個数分だ
け液化染料22をドット状に収容すると共に、レーザ18も
記録ドット数の各発光点18aを有するアレイ状に配した
ものである。
【0087】また、上記した各プリンタは、縦方向(X
方向)の紙送りと、X方向と直交方向のヘッドの横方向
(Y方向)スキャンとによって、印刷を行うものであ
り、これらの縦方向の紙送りと横方向のヘッドスキャン
は交互に行うように構成されている。
【0088】本例のプリンタ81において、例えば多色印
刷用のプリンタヘッド10は、図12に示すように、送りね
じ機構からなるヘッド送り軸42とヘッド支軸43とによ
り、印画紙50の紙送り方向Xと直交するヘッド送り方向
Yに往復移動自在にしてある。
【0089】また、ヘッド10の上側には、印画紙50を挟
むように支持するヘッド受けローラ44が回転自在に設け
られている。そして、印画紙50は、紙送り駆動ローラ45
と従動ローラ46との間に挟持されて紙送り方向Xに移動
するようになっている。
【0090】なお、ヘッド10は、フレキシブルハーネス
87を介してヘッド駆動回路基板(図示せず)等に夫々接
続されている。また、プリンタヘッド10の構造自体は図
19に示したものと基本的に同様である。
【0091】図13は、ライン型ヘッドを有するレーザ気
化型カラービデオプリンタ(レーザ気化型プリンタ)10
0 を示すものであり、筐体2aで覆われたフレームシャ
ーシ2上に、被記録紙50を入れるカセット3と記録用の
平面ベース4が設けられている。
【0092】筐体2a内の被記録紙排出口2b側には、
モータ5等により駆動する紙送り駆動ローラ6aが設け
られ、紙送り駆動ローラ6aとの間で被記録紙50を軽圧
力で挟持する圧接従動ローラ6bが設けられている。筐
体2a内のカセット3の上方には、駆動IC80をマウン
トしたヘッド駆動回路基板7とDC電源8とを設けてあ
る。ヘッド駆動回路基板7と、平面ベース4上に配置さ
れたヘッド部(記録部)10とは、フレキシブルハーネス
7aを介して接続されている。
【0093】ヘッド部40は、例えばイエロー(Y)、マ
ゼンタ(M)及びシアン(C)の固形粉末状の各気化性
染料を収納する各固体染料収納槽(総称して符号110 で
示す)を有していて、上記したと同様にして液化染料を
選択的にレーザ加熱し、被記録紙50上に転写することが
できる。
【0094】本実施例のプリンタヘッド10、40、及びこ
のプリンタヘッドを使用したレーザビームプリンタ81、
100 、更にはこれらを用いた記録方法は、染料22をレー
ザ18によるレーザ光Lで加熱、気化させて印画紙50に飛
翔させ、記録(印字)しているので、既述した非接触方
式の染料気化型レーザビームプリンタについて述べたと
同様の効果が得られる。
【0095】液化染料を気化させるためのエネルギー源
は、レーザ光に替えて抵抗加熱によることもできる。図
14はこのように構成した気化部117 を示し、同図(a)
は拡大断面図(同図(b)のa−a線断面図)、同図
(b)は拡大平面図である。
【0096】小円柱体21上にITO(インジウム・錫酸
化物)導電膜176 を設け、小円柱体21上を避けた位置に
貫通孔(気化孔)123 を多数形成する。ITO導電膜17
6 は直流電源167 に接続している。液化染料を気化させ
るには、ITO導電膜176 にパルス電圧を印加し、発生
するジュール熱によって液化染料を気化させる。この例
にあっても、前記の例におけると同様に、対の電極17
A、17Bを設け、ITO導電膜176 への電圧印加と同期
して電極17A、17Bに電圧を印加し、液化染料に電気粘
性効果を奏せしめる。
【0097】この例にあっては、高価な半導体レーザが
不要になり、製造原価が低廉で済む上に、加熱が直接的
になされて効率が高くなる。なお、ITO導電膜への電
圧印加と半導体レーザの駆動とを併用しても良い。この
ようにすると、両者のパワーが半減して記録装置の設計
が容易になる。
【0098】本発明に基づく記録方法による記録結果改
善の効果を確認するため、以下の実験を行った。
【0099】<実験1> (1)ヘッドチップ パイレックスガラスから成る透明基板上に、通例の半導
体リソグラフィー技術にリアクティブエッチング技術を
組み合わせることにより、図15に示すように、気化部77
に直径2μm、高さ10μm、間隔2μmの小円柱体81を
10×10本立てた構造を持つ実験用ヘッドチップ70を作製
した。更に図8(a)に示した要領で、上部から金属を
蒸着して電極77A、77Bを設けた。裏面には染料を溶融
するヒータ76としてITO(インジウム・錫酸化物)を
蒸着によって設けた。ヘッドチップ70の気化部77には、
誘電体微粒子として、予め平均粒径が 0.2μmであり、
0.05μm厚のポリイミドでコートされたアルミニウム粉
末を1μmの厚さで均等に置いた。気化部77の平面的サ
イズは50μm×50μmである。図中、88は蓋体である。
【0100】(2)実験装置 図16に示す装置を用いた。基台111 上にX−Yステージ
112 が固定されている。X−Yステージ112 上に立設す
る支柱113 に取り付けられたブラケット114 には印画紙
50が支持されている。印画紙50は、6μm厚のポリエス
テル系受容層を180μm厚の合成紙に塗布によって設け
てなっている。基台111 には、半導体レーザ78(SLD
203:ソニー社製)、光学系(フォーカシングレンズ
系からなる)79、図15に示したヘッドチップ70が配置さ
れていて、ヘッドチップ70に対して50μmの間隙211 を
隔てて印画紙50が位置している。
【0101】(3)染料 イエロー染料として融点が 115℃、沸点が約 400℃であ
るジシアノスチリル系染料ESC−155(三井東圧社
製)、マゼンタ染料として融点が 149℃、沸点が約440
℃であるアントラキノン系染料ESC−451(三井東圧社
製)、及びシアン染料として融点が 125℃、沸点が約 4
40℃であるアントラキノン系染料ESC−655(三井東圧
社製)を用いた。赤外吸収染料として最大吸収波長が 7
80nm近傍にあるナフタロシアニン系染料TS−1(三井
東圧社製)を下記の組成で混合し、 150℃て超音波攪拌
機により完全に分散させて記録用染料を作製した。 染料 100部 ナフタロシアニン系染料 2部
【0102】個体の赤外吸収染料入り染料をヘッドチッ
プ70の染料溜め75に導入して、ITOヒータ76に通電加
熱を行い、ヘッドチップ70の温度を 150℃にすると、染
料は溶融して毛管効果により自発的に気化部へ導入され
た。また、ポリイミドでコートしたアルミニウム粉末
は、ヘッドチップの電極77A、77Bに交流電圧(60Hz、
3kV/mm)をかけることにより液状染料中に分散した。こ
の粉末の染料中の含有量は、10重量%である。
【0103】(4)記録試験 X−Yステージ112 により2cm/secの相対速度で印画紙
50を移動した。この速度は1ドットが80×80μmとする
ならば1ドットの記録時間は4msec に相当する。同時
に半導体レーザ78から出射する波長 780nmのレーザ光を
光学系79によりヘッドチップ70の気化部77に集光した。
染料層でのレーザ光のサイズは5×10μmであり、ヘッ
ドチップ面での出力は30mWであった。
【0104】半導体レーザ及び気化部の電極間の電圧を
図17のように駆動すると、ヘッドチップ70の溶融染料22
は、パルス数に応じて昇温して気化とアブレーション機
構とにより印画紙50に移動した。このように得られた印
画紙50上の染料は、ヒータ付きのブレード(図示省略)
により 150℃で10msec 加熱することにより、ポリエス
テル受容層中に拡散し完全に定着された。マゼンタ染料
のパルス数とマクベス濃度計で測定した記録感度の関係
は図18に示すようになり、 256階調が確保された。この
ときの光学濃度は 2.3である。最高感度の記録スポット
のスポット径は80μmであった。また、イエロー、シア
ンについても同様に 256階調を確保し、反射濃度(光学
濃度)=2を達成した。
【0105】記録によって失われた染料はヘッドチップ
の染料溜め75から毛細管現象により自発的かつ連続的に
気化部77へ供給されるため、記録感度の低下は見受けら
れなかった。またレーザ光照射時の染料層の表面を顕微
鏡に取り付けた高速度カメラで観察したところ、20μse
c 以上で液面の動きは殆ど見られなかった。
【0106】<実験2>誘電体微粒子としてポリイミド
をコーティングした 0.2μm径のカーボンブラックを用
い、前記実験1と同様の試験を行った。その結果、マゼ
ンタ染料のパルス数とマクベス濃度計で測定した記録感
度の関係は図18に併記するようになり、256階調を確保
した。最高感度の記録スポットのスポット径は80μmで
あった。記録によって失われた染料はヘッドチップ70の
染料溜め75から毛細管現象により自発的かつ連続的に気
化部へ供給されるため、記録感度の低下は見受けられな
かった。また、レーザ光照射時の染料層の表面を顕微鏡
に取り付けた高速度カメラで観察したところ、20μsec
以上で液面の動きは殆ど見られなかった。
【0107】<実験3>誘電体化合物として強誘電性液
晶(CS−1014、チッソ社製)を染料に1%添加(気化
部に分散又は溶解)して電気粘性流体を形成した。記録
は前記実験1と同様に行った。記録時に強誘電性液晶化
合物は染料と共に気化或いはアブレートするので、気化
部には蓄積しない。その結果、マゼンタ染料のパルス数
とマクベス濃度計で測定した記録感度の関係は図18に併
記するようになり、 256階調を確保した。最高感度の記
録スポットのスポット径は90μmであった。記録によっ
て失われた染料はヘッドチップの染料プールから毛細管
現象により自発的かつ連続的に気化部へ供給されるため
に記録感度の低下は見受けられなかった。またレーザ光
照射時の染料層の表面を顕微鏡に取り付けた高速度カメ
ラで観察したところ、20μsec 以上で液面の動きは殆ど
見られなかった。
【0108】<比較実験>比較のために、気化部に誘電
性微粒子、或いは誘電性化合物を一切導入しないで、前
記実験1と同様に試験を行った。
【0109】その結果、マゼンタ染料のパルス数とマク
ベス濃度計で測定した記録感度の関係は図18に併記する
ようになり、記録感度は大幅に低下した。最高感度の記
録スポットのスポット径は40μmであった。
【0110】また、レーザ光照射時の染料層の表面を顕
微鏡に取り付けた高速度カメラで観察したところ、レー
ザ光照射直後に気化部77の加熱部から非加熱部への液面
の動き(図20参照)が明らかに観察された。
【0111】以上の各実験及び比較実験の結果から、本
発明に基づく記録方法による著しい効果が確認された。
【0112】以上、本発明の実施例を説明したが、上述
の実施例は本発明の技術的思想に基いて更に変形が可能
である。
【0113】例えば、上述した染料気化型の記録方式に
限らず、既述したアブレーションによる記録方式も可能
であり、いずれの場合も染料又は記録材が飛翔して記録
されるものである。
【0114】染料等の記録材を気化又は昇華、或いはア
ブレーションさせるエネルギーとしては、レーザ光以外
の加熱ビームを用いてもよいし、或いは抵抗加熱等の他
の加熱方式によってもよい。このためには、記録材に導
電性物質を添加することができる。また、濃度階調性を
出すために適宜の加熱方法を採用することができる。
【0115】また、記録材(染料)を収容する記録材収
容部の数やドット数、及びこれに対応したレーザアレイ
のビーム数(発光点の数)は種々変更してよいし、その
配列形状やサイズ等も上述したものに限定されることは
ない。
【0116】また、ヘッドやプリンタの構造や形状は、
前記以外の適宜の構造、形状としてよく、ヘッドを構成
する各部分の材料には、他の適宜の材料を使用して良
い。記録染料についても、マゼンタ、イエロー、シアン
の3色として(更には、黒を加えた)フルカラーの記録
を行うほか、2色印刷、1色のモノカラー又は白黒の記
録を行うことができる。
【0117】プリンタについては、上述の非接触方式の
ものに限らず、既述した接触方式のプリンタ(これはラ
イン型でもシリアル型でも良い。)にも本発明を適用で
きる。但し、この場合は、各色を選択する信号はサーマ
ルヘッドのドットに供給される。
【0118】また、上述の例のように、固体染料を一旦
液状にし、これを気化させて記録を行う他、固体染料を
レーザ光によって加熱して直接気化(即ち昇華)させて
記録を行うことができるし、染料溜めに液化染料(室温
にて液状)を収容することもできる。更に、記録材は上
述した飛翔以外の現象(例えば蒸気化)によっても印画
紙へ移行させることができ、この意味では上述した非接
触式でなくてもよい。また、上述したプリンタとは異な
り、ヘッド上方からレーザ光を照射してその下側に位置
する被記録紙に記録を行っても良い。
【0119】
【発明の作用効果】本発明は、電気粘性効果を示す物質
と記録材とを含有する組成物を加熱して記録を行うよう
に構成しているので、この組成物が被記録体に移行する
記録箇所において、記録時に電気粘性効果によって記録
材の流動が抑制され、不所望な記録材流動が起こらず、
良好な記録結果が得られる。
【0120】更に、非記録時には、前記組成物を加熱し
ないので電気粘性効果が起こらず、記録材は良好な流動
性を示す。その結果、前記記録箇所にて先に記録に供さ
れた記録材の補給がスムーズになされ、順調に記録を遂
行できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例による記録ヘッドの拡大概略断面図(図
2のI−I線に対応する断面図)である。
【図2】同記録ヘッドのベースの拡大概略平面図であ
る。
【図3】同図2の部分拡大図である。
【図4】同電極への電圧印加のための電気系統を示す回
路図である。
【図5】同電極への電圧印加とレーザ駆動との同期駆動
制御機構の概略回路図である。
【図6】同電気粘性効果の機構を説明するための模式図
である。
【図7】同記録時の気化部における染料表面を示す概略
図である。
【図8】同電極作製の要領を示すベース及びスペーサの
拡大部分断面図である。
【図9】同記録ヘッドの分解斜視図である。
【図10】同記録ヘッドとそのスキャン状態を示す概略裏
面図である。
【図11】同モノカラー記録用記録ヘッドとそのスキャン
状態を示す概略裏面図である。
【図12】同記録装置を下方から見た概略斜視図である。
【図13】他の実施例による記録装置の分解斜視図であ
る。
【図14】更に他の実施例による気化部を示し、同図
(a)は拡大断面図(同図(b)のa−a線断面図)、
同図(b)は拡大平面図である。
【図15】実験用ヘッドチップの拡大断面図である。
【図16】図14のヘッドチップを組み付けた実験装置の概
略正面図である。
【図17】実験時の時間とレーザ出力及び電極の電位との
関係を示すグラフである。
【図18】実験結果を電圧印加パルス数と記録濃度との関
係で示すグラフである。
【図19】従来の感熱記録ヘッドを用いた記録装置の要部
正面図である。
【図20】本発明の完成前に案出された記録ヘッドの拡大
概略断面図である。
【図21】図20の記録ヘッドを用いての記録時における気
化部の染料層を示す模式的断面図である。
【符号の説明】
11、211 ・・・間隙 14、74・・・ベース 15、75・・・染料溜め 16・・・ヒータ 17、17C、17M、17Y、77、117 ・・・気化部 17A、17B、77A、77B・・・電極 18、78・・・レーザ(半導体レーザ) 21、81・・・小円柱体 22・・・液化染料 23、123 ・・・気化孔 27・・・染料通路 27a・・・分岐通路 28・・・スペーサ 30・・・マルチレーザアレイ 31・・・マイクロレンズアレイ 32・・・気化染料 50・・・印画紙 62・・・誘電体微粒子 62a・・・導電性微粒子 62b・・・絶縁性皮膜 67、167 ・・・直流電源 68・・・駆動制御機構 70・・・実験用ヘッドチップ 76、176 ・・・ITO導電膜 L・・・レーザ光

Claims (19)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 電気粘性効果を示す物質と記録材とを含
    有する組成物を加熱し、前記記録材を被記録体に移行さ
    せて記録を行う記録方法。
  2. 【請求項2】 前記記録材を加熱して前記被記録体に移
    行させるに際し、前記加熱を行う箇所又はその近傍で前
    記組成物に電圧を印加し、前記加熱を行わないときには
    前記電圧を印加しないで前記記録材を前記加熱を行う箇
    所に供給する、請求項1に記載された記録方法。
  3. 【請求項3】 前記記録材の加熱と前記電圧の印加とを
    同期させて行う、請求項2に記載された記録方法。
  4. 【請求項4】 前記記録材を気化又はアブレーションに
    よって前記被記録体に飛翔させる、請求項1、2又は3
    に記載された記録方法。
  5. 【請求項5】 前記記録材の層に対して間隙を隔てて位
    置する前記被記録体に前記記録材を飛翔させる、請求項
    4に記載された記録方法。
  6. 【請求項6】 前記記録材の加熱をレーザ光の照射によ
    って行う、請求項1〜5のいずれか1項に記載された記
    録方法。
  7. 【請求項7】 請求項1〜6のいずれか1項に記載され
    た記録方法を実施するように構成され、前記組成物に電
    圧を印加するための電極が前記記録材を加熱する箇所又
    はその近傍に設けられている記録装置。
  8. 【請求項8】 前記電極として、一対の電極が前記組成
    物を挟むようにして対向位置されている、請求項7に記
    載された記録装置。
  9. 【請求項9】 前記記録材の加熱と前記電極への電圧印
    加とを同期して駆動する駆動制御手段を有する、請求項
    7又は8に記載された記録装置。
  10. 【請求項10】 前記記録材の加熱を行わないときには前
    記電極へ電圧を印加しないで、前記記録材を前記加熱を
    行う箇所に供給するように前記駆動制御手段が構成され
    ている、請求項9に記載された記録装置。
  11. 【請求項11】 前記記録材を液化させるための加熱手段
    を更に有する、請求項7〜10のいずれか1項に記載され
    た記録装置。
  12. 【請求項12】 請求項1〜6のいずれか1項に記載され
    た記録方法の実施に使用され、前記の電気粘性効果を示
    す物質と前記記録材とを含有する記録材組成物。
  13. 【請求項13】 誘電体微粒子又は誘電体化合物が溶解又
    は分散して電気粘性効果を示す、請求項12に記載された
    記録材組成物。
  14. 【請求項14】 誘電体微粒子又は誘電体化合物が非含水
    性系物質によって構成されている、請求項13に記載され
    た記録材組成物。
  15. 【請求項15】 誘電体微粒子が、導電性微粒子の表面に
    絶縁性皮膜が形成された構成を有する、請求項13又は14
    に記載された記録材組成物。
  16. 【請求項16】 誘電体微粒子又は誘電体化合物が、液晶
    性を示す物質からなる、請求項13に記載された記録材組
    成物。
  17. 【請求項17】 誘電体微粒子又は誘電体化合物の含有量
    が、1重量%以上でかつ60重量%以下である、請求項13
    〜16のいずれか1項に記載された記録材組成物。
  18. 【請求項18】 誘電体微粒子又は誘電体化合物の含有量
    が、2重量%以上である、請求項17に記載された記録材
    組成物。
  19. 【請求項19】 レーザ光の赤外線成分を吸収する物質を
    更に含有する、請求項12〜18のいずれか1項に記載され
    た記録材組成物。
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