JP3575103B2 - 記録方法 - Google Patents

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    • B41MPRINTING, DUPLICATING, MARKING, OR COPYING PROCESSES; COLOUR PRINTING
    • B41M5/00Duplicating or marking methods; Sheet materials for use therein
    • B41M5/0023Digital printing methods characterised by the inks used

Description

【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、記録方法(特に、画像情報に応じた選択的加熱により記録部から記録液を液滴として吐出せしめ、対向する印画紙に転写する、フルカラー画像記録方法)に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、ビデオカメラ、コンピュータグラフィクス等のカラー化が進むにつれ、ハードコピーのカラー化に対するニーズが急速に高まっている。それに対して、昇華型熱転写方式、溶融熱転写方式、インクジェット方式、電子写真方式、熱現像銀塩方式等のカラーハードコピー方式が提案されている。これらの記録方式の中で、高画質の画像を簡単な装置で手軽に出力する方法は、染料拡散熱転写方式(昇華型熱転写方式)とインクジェット方式に大きく分類できる。
【0003】
これらの記録方式の中で、染料拡散熱転写方式によれば、適当なバインダ樹脂中に高濃度の転写染料の分散するインク層が塗布されいてるインクリボン又はシートと、転写された染料を受容する染着樹脂がコーティングされた印画紙等の被転写体を、一定の圧力で密着させ、インクシート上に位置する感熱記録ヘッドから画像情報に応じた熱が加えられ、インクシートから受像層に加えられた熱量に応じて転写染料を熱転写させる。
【0004】
上記の操作を、減法混色の三原色、即ち、イエロー、マゼンタ、シアンに分解された画像信号についてそれぞれ繰り返すことによって、連続的な階調を持つフルカラー画像を得ることを特徴とする、いわゆる染料拡散熱転写方式は、小型化、保守が容易で、即時性を備え、銀塩カラー写真並の高品位な画像を得る優れた技術として注目を集めている。
【0005】
図17は、こうした熱転写方式のプリンタの要部の概略正面図である。
【0006】
感熱記録ヘッド(以下、サーマルヘッドと呼ぶ)1とプラテンローラ3とが対向し、これらの間に、ベースフィルム12b上にインク層12aを設けたインクシート12と、紙20b上に染着樹脂層20aを設けた被記録紙(被転写体)20とが挟まれ、これらが回転するプラテンローラ3によってサーマルヘッド1に押し付けられて走行する。
【0007】
そして、サーマルヘッド1によって選択的に加熱されたインク層12a中のインク(転写染料)が、被転写体20の染着樹脂層20aにドット状に転写され、熱転写記録が遂行される。このような熱転写記録には、被記録紙20の走行方向と直交する方向にサーマルヘッドを走査するシリアル方式や、同被記録紙走行方向に直交して一本のサーマルヘッドを固定して配したライン方式とが採用されている。
【0008】
しかし、この方式はインクシートの使い捨てに起因する多量の廃棄物の発生と、高いランニングコストが大きな欠点であり、その普及が妨げられている。
【0009】
このように、従来の熱転写方式は高画質であるが、専用印画紙と使い捨てのインクリボン又はシートを使用するためにランニングコストが高い。
【0010】
熱現像銀塩方式も高画質であるが、やはり専用印画紙と使い捨てのインクリボン又はシートを使用するためにランニングコストが高く、装置コストも高い。
【0011】
一方、インクジェット方式とは、特公昭61−59911 号や特公平5−217 号公報等に示されるように、画像情報に応じて、静電吸引方式、連続振動発生方式(ピエゾ方式)、サーマル方式(バブルジェット方式)等の方法で記録液の小滴を記録ヘッドに設けられたノズルから飛翔させ、記録部材に付着せしめ、記録を行うものである。
【0012】
従って、インクシート等を使用する場合のような廃棄物の発生はほとんどなく、ランニングコストは低い。最近では、特にサーマル方式が簡易にカラー画像を出力できることから、普及が拡大している。
【0013】
しかし、インクジェット方式は、画素内の濃度階調が原理的に困難であり、染料拡散熱転写方式で得られるような、銀塩写真に匹敵する高品位な画像を短時間で再現することは困難である。
【0014】
即ち、従来のインクジェット記録では、インクの1液滴が1画素を形成するので、原理的に画素内階調が困難であり、高画質の画像形成ができない。インクジェットの高解像度を利用して、ディザ法による疑似階調の表現も試みられているが、昇華型熱転写方式と同等の画質は得られず、さらに転写速度は著しく低下している。
【0015】
他方、電子写真方式は、ランニングコストは低く、転写速度も高いが、装置コストが高い。
【0016】
上記のように、画質、ランニングコスト、装置コスト、転写時間等の要求を全て満たす記録方法は存在しなかった。
【0017】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、上記した熱転写方式とインクジェット方式の双方の利点を生かしつつ、それらの欠点を同時に解消して、優れた解像度と画素内階調を実現し、高画質と即時性を兼ね備え、装置の小型、軽量化が可能であり、廃棄物が発生せずに、普通紙にも転写可能であり、低消費電力及び低ランニングコストで実施できる記録方法を提供することにある。
【0018】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、画像形成方法として、記録部に対する画像情報に応じた選択的加熱により、記録部から記録液を液滴として吐出せしめ、対向する印画紙に画像を記録し、この操作を写真3原色について行ってフルカラーの画像を記録するインクジェット方式について種々検討した結果、記録部又は記録液加熱部(記録液を加熱して吐出させる部分)に特定の多孔性構造体を形成し、この記録部を使用することによって、通常のインクジェット方式では実現が困難であった、画素内での 128段階以上の階調を表現できることを見出し、本発明に到達したものである。
【0019】
即ち、本発明は、記録材とこの記録材を溶解若しくは分散させる物質とを含有する記録液を記録液加熱部に供給し、加熱により前記記録液の状態を変化させて液滴を生成させ、この液滴を前記記録液加熱部と対向配置された被記録体へ移行させるようにした記録方法において、
一辺又は直径が0.5〜3μm、高さが2〜10μmである微細な柱状体を0.5〜 3μmの間隔で3行以上及び3列以上配してなる多孔性構造体を前記記録液加熱部に 形成し、
記録に際して、
前記記録液加熱部に設けられた発熱体によって前記記録液を加熱して前記液滴を生成 させ、
300℃以上に加熱したときに90重量%以上が気化し、残留物が10重量%以下で ある染料と、この染料を50℃以下で5重量%以上溶解若しくは分散させる沸点150 ℃以上の溶媒とを含有する記録液を使用する
ことを特徴とする記録方法に係るものである。
【0020】
本発明の記録方法によれば、まず、記録液加熱部に形成する上記の多孔性構造体(多数の柱状体の群からなる凹凸構造)は、次の3種類の顕著な効果を奏するものである。
【0021】
即ち、第1の効果は、上記の凹凸構造により形成される大きな表面積により、記録液を自発的に毛細管現象によって記録部に供給できることである。
【0022】
第2の効果は、一般に液体の表面張力は高温であるほど低下するので、記録液を加熱すると記録液の加熱中心の表面張力はその外周部の表面張力より低下して、中心部の記録液に外方向の力が働くが、加熱部に上記の凹凸構造があるため、外周部への記録液の移動を抑制し、転写感度の低下を防止できる。
【0023】
第3の効果は、記録部の上記凹凸構造中の多数の凹状部分がそれぞれ、微細な記録液の吐出部として働くことにより、記録部に与えた熱量に応じた数の非常に細かい記録液の液滴が吐出され、空間中を飛翔して対向する印画紙等の被記録体に吸着する。この原理を利用して、通常のインクジェット方式では不可能であった画素内階調を可能にした。
【0024】
即ち、本発明の記録方法によれば、上記の多孔性構造体(凹凸構造)を加熱部に設けることによってその表面積が増加し、記録液を毛細管現象により記録液加熱部へと常時供給し、かつそこに保持することができ、この状態で加熱手段(例えば、抵抗加熱ヒータ)により記録情報に応じた熱量を選択的に加えることによって、記録液の一部を蒸発させて圧力上昇を起こし、カラービデオカメラ等で作成された電気的な画像に対応した記録情報に応じた量の記録材を微小な液滴にして被記録体へ移行させ、この被記録体上に転写することになる。
【0025】
そしてこの場合、公知のインクジェット方式と比較して小さいサイズの液滴を多数形成でき、かつ記録液加熱部への記録情報に対応した加熱エネルギーに応じて液滴の生成数を自由に制御することができるので、本発明の記録方法は、多値濃度階調が可能になり、銀塩方式の画像と同等若しくはそれ以上の画質を持つ記録(例えば、フルカラー画像)を得ることができる。
【0026】
従って、本発明によって、オンデマンドで非常に微小な記録液滴の熱転写が可能である特殊な構造を持つヘッドを使用して、少なくとも1色当たり1画素内で 128階調若しくはそれ以上の濃度階調表現が可能であるインクジェット方式を実現できる。
【0027】
本発明の記録方法において、上記の多孔性構造体の作用は非常に重要であって、この作用を有効に発揮するには、一辺又は直径が0.5〜3μm、高さが2〜10μmである微細な柱状体を0.5〜3μmの間隔で3行以上及び3列以上配することによって多孔性構造体を形成べきである
【0030】
特に転写量を正確に制御するためには、RIE(リアクティブイオンエッチング)法やパウダービームエッチング法等の半導体加工技術を利用して、一辺又は直径が0.5〜3μmで高さが2〜10μmの範囲内のサイズを持つガラス製又はシリコン製等の微細な柱状体が0.5〜3μmの間隔で規則的に3行以上、3列以上並んだ構造を形成する
【0031】
また、 300℃以上の耐熱性を有する多孔性構造体を形成し、生成する液滴を記録液加熱部と10〜500 μmの間隙を置いて対向配置された被記録体へ飛翔させることが望ましい。
【0032】
本発明の記録方法に使用する記録液は、記録に際して、 300℃以上に加熱したときに90重量%以上が気化し、残留物が10重量%以下である染料と、この染料を50℃以下で5重量%以上溶解若しくは分散させる沸点 150℃以上の溶媒(水を除く非水溶媒)とを含有する記録液とすべきである。
【0033】
この記録液に用いる溶媒は、上記の染料を十分に溶解又は分散させるものであると同時に、その沸点を 150℃以上とすべきである。これは、本発明の記録方法において上記の多孔性構造体が大きな表面積を有しているために、 150℃以上と高沸点でなければ溶媒が蒸発若しくは揮発して記録部が乾き、かつ記録液濃度が変動して記録性能を劣化させるからである。
【0034】
特に、この溶媒は、融点が50℃以下であり、かつ沸点が 250℃以上、 400℃以下の範囲にあることが好ましい。融点が50℃を超えると、染料の融点が一般に 100℃以上であるので、染料と溶媒を混合して作成した記録液は、非転写時の記録部温度である室温から50℃の範囲で凝固し易くなる。また、沸点が 250℃未満であると、記録部が大気に露出しているので、記録液から溶媒だけが揮発し易くなる。沸点が 400℃以上であると、気化の効率が悪く、転写感度が低下し易くなる。
【0035】
溶媒の分子量は 450以下であることが好ましい。分子量が高すぎると、気化における膨張率が低く、転写感度が低下し易い。また、空気中で 200℃に加熱したときの残留分の割合が0.01重量%以下の溶媒が好ましい。
【0036】
また、溶媒は、PPC用紙(普通紙)、アート紙等の繊維に自発的に吸収される性質を持つことが、普通紙等への転写の観点から好ましい。
【0037】
溶媒が前記の染料を50℃以下で5重量%以上、特に10重量%以上溶解するためには、25℃での溶媒の溶解度パラメータ(J.H.ヒルデブランドにより定義されたもの)の値が 7.5〜10.5の範囲であることが好ましい。更に、引火点が 150℃以上であって、人体に対する毒性が低く、無色であることが好ましい。溶解度パラメータが10.5を超えると、染料の溶解度が低くなり、かつ空気中の水蒸気を吸着して転写感度の再現性が悪化し易い。また、溶解度パラメータが 7.5未満であると、やはり染料の溶解度が低くなり易い。
【0038】
具体的には、フタル酸ジメチル、フタル酸ジエチル、フタル酸ジブチル、フタル酸ジイソブチル、フタル酸ジオクチル等のフタル酸ジアルキルエステル類を含む芳香族エステル類、及び/又は、アルキル鎖の炭素数が2から30までのn−アルキルベンゼン、n−アルキルナフタレン、n−ジアルキルベンゼン、n−ジアルキルナフタレン等の芳香族炭化水素類等を本発明における記録液の溶媒として使用することが望ましい。以上の「アルキル」としては、エチル基、イソプロピル基をはじめドデシル基等も含む。n−アルキルベンゼンのときは炭素数10〜15のアルキル基が良く、これにはドデシルベンゼンがある。
【0039】
本発明の記録液に用いる染料は、カラーインデックス記載の染料のうち、分散染料(disperse dye)又は油溶性染料(solvent dye)として分類される染料が好ましい。
【0040】
より正確に定義すると、25℃での溶解度パラメータ(J.H.ヒルデブランドにより定義)の値が 7.5〜10.5の範囲にあり、分子量が 550以下であり、かつ空気中で 200℃に加熱したときの気化速度が1×10−4 g/msec以上であり、その条件で気化しない残留分の割合が 0.1重量%以下の染料が好ましい。
【0041】
染料の溶解度パラメータが上記の範囲にないと、前記の溶媒に5重量%以上溶解し難い。
【0042】
本発明の記録方法における染料転写機構は、溶媒の気化に伴う膨張エネルギーにより記録液滴を吐出するプロセスだけではなく、染料自身が熱により気化して空間を飛翔して印画紙に付着するプロセスも同時に起こっている。従って、染料自体の気化速度が上記の範囲未満であれば、転写中に記録液中の染料濃度が上昇して飽和溶解度を超えて固体染料が析出し、凹凸構造の目詰まりを引き起こす。
【0043】
また、染料の耐熱性が低く、或いは染料中に不揮発性不純物が多量にあり、空気中で 200℃に加熱したときの残留分の割合が 0.1重量%を超えると、やはり凹凸構造の目詰まりを引き起し易い。
【0044】
上記の分散染料は、分散剤が添加されていないものが好ましいが、例えばESC染料シリーズ(住友化学社製)等がある。
【0045】
分散染料としてより具体的には、アゾ系染料があり、これには、CI(カラーインデクス)ディスパースイエロー3、ディスパースイエロー7、ディスパースイエロー8、ディスパースレッド1、ディスパースレッド17、ディスパースレッド19、等が挙げられる。また、キノフタロン系染料も分散染料として使用でき、これには、ディスパースイエロー54があり、分散染料としてのアントラキノン系染料として、ディスパースレッド4、ディスパースレッド11、ディスパースレッド60、ディスパースブルー14、ディスパースブルー26等がある。
【0046】
上記の油溶性染料として例えば、カヤセット染料シリーズ(日本化薬社製)、ダイアミラ染料シリーズ(三菱化成社製)、ミツイPS染料シリーズ(三井東圧社製)、スミプラスト染料シリーズ(住友化学社製)、アイゼン染料シリーズ(保土ヶ谷化学社製)等がある。
【0047】
油溶性染料として好ましいのは、ソルベントイエロー8、ソルベントイエロー16、ソルベントイエロー56、ソルベントレッド19、ソルベントレッド23(以上、アゾ染料)、ソルベントブルー35(キノフタロン染料)等がある。
【0048】
上記の各染料の他にジシアノスチリル系、トリシアノスチリル系、インドアニリン系構造の染料も使用できる。
【0049】
これらの分散染料又は油溶性染料は、空気中で 200℃に加熱したときの残留分の割合を 0.1重量%以下に抑えるために、昇華精製法等、なんらかの手段で精製してから使用することが望ましい。
【0050】
記録液は、50℃以下の温度範囲で上記の染料を5重量%以上、好ましくは10重量%以上、更に好ましくは20重量%以上、上記の溶媒に溶解して作製する。この時、溶解度を上げるために、2種以上の染料を混合して使用してもよい。同時に溶媒も2種以上を混合して使用してもよい。記録液は効率良く毛細管現象で記録部に供給するために、記録液の表面張力が25℃で15mN/m以上であることが好ましい。
【0051】
本発明に用いる記録液として、特に、上記の溶媒として芳香族エステル及び/又は芳香族炭化水素のうちフタル酸ジアルキルエステル及び/又はn−アルキルベンゼンを使用し、上記の染料として分散染料及び/又は油溶性染料(共に疎水性)を使用することが望ましい。
【0052】
従来のインクジェット方式に用いられている染料は、一般に酸性染料が多いが、これは親水性があって記録紙に付着したときに記録紙上で流れてしまい、耐水性が悪く、発色し難く、また、記録時の熱で自己分解によるコゲーションを生じ易い。これに対し、上記の分散染料又は油溶性染料は、そうした現象は生じないため、記録紙上に良好に付着して十二分に発色し、また、コゲーションも生じ難いものである。
【0053】
しかも、この分散染料又は油溶性染料と組み合わせてフタル酸ジアルキルエステル及び/又はn−アルキルベンゼンを使用すれば、この溶媒は記録紙中への浸透性が良好であり、染料を十二分に付着させることができ、かつ、分散染料又は油溶性染料を発色させる発色助剤としての作用もある。このため、この記録液を用いると、PPC用紙へも転写が可能となり、高画質の画像を形成することができる。また、記録液の染料濃度についても、従来では高々5重量%であったが、上記の組み合わせからなる記録液では、溶媒量を50〜98重量%と広範囲に設定でき、染料濃度を10重量%以上に高め、画像濃度を向上させることができる。
【0054】
本発明の記録方法に用いる転写ヘッドは、加熱手段を備えた記録部と、記録液を貯蔵するインクタンクと、記録部とインクタンクを結ぶ記録液通路とから構成されてよい。転写ヘッドは、記録液の粘性率を調整するために全体を50℃まで加熱することができる。転写時間を短縮するために1つの記録ヘッド上に記録部は2個以上設けることもできる。記録液通路を通して、記録部で消費された記録液を連続的に記録部へ補給できる。
【0055】
加熱手段としての発熱体には、抵抗加熱ヒータ等が使用できる。抵抗加熱ヒータは、記録部上に直接ポリシリコン等の導電性物質を付着させて作製する。
【0056】
本発明の記録方法に使用できる印画紙は、PPC用紙等の普通紙、アート紙等の上質紙等であるが、特に階調性と濃度が高い高品質の画像を得るためには、分散染料又は油溶性染料を発色させる樹脂として、ポリエステル、ポリカーボネート、アセテート、CAB、ポリ塩化ビニル等を基紙上に塗布して作製した専用紙も使用できる。得られた画像の保存安定性を向上させるためには、転写後の印画紙に樹脂フィルムをラミネートすることが効果的である。
【0057】
本発明の記録方法において、記録の多色化(特にフルカラー化)を達成するには、減法混色の三原色のうち1色を呈する染料を含有する記録液と、この染料とは異なる減法混色の三原色の色を呈する少なくとも1種類の染料を含有する記録液とをそれぞれ選択的に加熱し、例えば、この操作をイエロー、マゼンタ、シアンに分解された画像信号についてそれぞれ繰り返すことによってフルカラー化を達成できる。
【0058】
【実施例】
以下、本発明の実施例を説明する。
【0059】
図1〜図9は、非接触方式のサーマル型インクジェットプリンタ(例えばビデオプリンタ:以下、同様)の例を示すものである。
【0060】
本例の記録方式には、図1に示す構造のヘッド70をレーザ光による加熱用として使用し、また、レーザ光の吸収性を向上させるためには図2に示す構造のヘッド70を使用するのがよい。なお、以下の例では、加熱手段としてレーザを用いるが、これに代えて、本発明に基づいてポリシリコンからなる抵抗加熱ヒータを用いることができる。
【0061】
図1及び図2に示すヘッド70、70は基本的には同じ構造からなっているが、図2では記録液(染料)加熱部又は気化部53にレーザ光吸収性のある光熱変換体60を設けている。そして、熱溶融性の染料とキャリア(溶媒)とからなる記録液62を収容し、対向する印画紙80との間に一定の微小空隙51を設けている。
【0062】
そして、レーザL等の適当な加熱手段により記録部上の液化染料(記録液)62を選択的に加熱して微小液滴化し、空隙51を飛翔によって移動させ、被記録体80上に連続的な階調を持つ画像が得られる。この操作を減法混色の三原色であるイエロー、マゼンタ、シアンに分解された画像信号についてそれぞれ繰り返すことで、フルカラー化が達成できる。
【0063】
ここで、上記の空隙51は10〜500 μmであるのが好ましく、特に50〜200 μmであることが好ましい。空隙が10μm未満であると、ヘッドの移動中にヘッドが印画紙と接触する可能性が高く、画像転写の安定性が低下し易い。空隙51が 500μmを超えると、記録液滴が効率良く印画紙に到達せず、転写感度と画像の解像度が低下し易い。
【0064】
この記録方式では、印画紙80を記録ヘッド70に対して例えば上方側で対向させ、気化部57の上面付近に、レーザ18から出射されてレンズ19で集光されたレーザ光Lを照射して記録液滴82を上方に飛翔若しくは移行させるのがよい。
【0065】
また、レーザ光透過性のあるヘッドベース54に染料溜め55を設け、ヘッドベース54上に固定したスペーサ58との間に液化染料(記録液)62を収容し、ここから染料通路67を経て気化部57に連続的に供給する。この場合、気化部57への染料の供給効率及び気化効率の向上のために、毛細管現象を利用して染料の供給及び保持を行う多数の小柱体61からなる微小凹凸をRIEやリソグラフィ技術を用いて気化部57に設けている。
【0066】
これらの小柱体61は、 300℃以上の耐熱性を有していて、高さが2〜15μm(望ましくは2〜10μm)、直径又は一辺の長さtが 0.2〜3μm(望ましくは 0.5〜3μm)、柱と柱の間隔dが 0.2〜3μm(望ましくは 0.5〜3μm)である円柱或いは角柱が多数並ぶ構造、特に3行以上、3列以上規則的に並んだ構造を有している(図3及び図4参照)。
【0067】
この柱体構造は、表面積が大きいために、毛細管現象によって記録液を加熱部(転写部又は気化部)に自発的に導入すると共に、転写時に転写部の中心が局所的に加熱されても表面張力の温度依存性により記録液が非加熱部に移動する現象(逃げ現象)を防止する働きをする。これと同様の効果は、図4に示す他の板構造、迷路構造、十字構造でも実現できる。
【0068】
この場合、柱61の高さが2μm未満では、転写時の逃げ現象を防止し難くなり、また、15μmを超えると記録液が多すぎて効率よく加熱することが困難となる。柱61の直径又は一辺の長さが 0.2μm未満では記録のための加熱で生じる流体の波動で柱が破損し易くなり、また、3μmを超えると記録液体の占有できる体積が小さく、転写感度が低下し易い。柱61と柱61との間隔が 0.2μm未満であると記録液体の占有できる体積が小さく、転写感度が低下し易く、また、3μmを超えると転写時の逃げ現象を防止し難い。これと同様の微小構造のサイズ制限は図4に示す他の板構造、迷路構造、十字構造にも適用される。
【0069】
小柱体61の平面形状は、図4に示すように、正方形、矩形、十字状等、種々のものを採用してよく、また、その集合体の平面パターンは、縦方向と横方向においてそれぞれ2〜100 行と2〜100 列の範囲内でマトリクス状となるように選択可能である。
【0070】
そして、上記の空隙51を保持し、X方向に移動する印画紙80をガイドするために、スペーサ58上に保護板59を固定している。この保護板59には、上記の液化状態を保持するためのヒータ56が仮想線のように埋設されてよいが、ここではヒータ56は染料収容部のベース54の外面に固定される。或いは、上記の通路67及び染料溜め55内に配設することができる。
【0071】
本例に使用する記録ヘッドにおいて、主としてベース54はガラス、金属、シリコン、セラミック等の耐熱性の良い無機物で構成されるか、或いは、ポリイミド、アラミド等の 300℃以上の耐熱性を具備する有機高分子で構成される。このヘッドに適当な保温装置を設けることによって、融点が室温以上である記録液の使用も可能になる。
【0072】
また、転写部57とインクタンク55の間の記録液を補給するための供給通路67は、50μm以上の断面積があり、かつ記録液62の粘性率が 150℃以下で10cps 以下とすれば、速やかに記録液62を転写部へ供給でき、転写中に感度が低下することはない。
【0073】
記録液62中の色材として、分散染料又は油溶性染料を使用できる。これらの染料は、色相や感度を調整するために2種類以上を混合して使用してもよい。
【0074】
そして、記録液の一部を加熱により蒸発させて圧力上昇を起こし、画像情報に応じた量の色材を微小な液滴にして空隙51中を移動せしめ、記録紙80上に転写するためには、気化することによって50倍以上の体積膨張をし、前記染料又は顔料を溶解若しくは分散させ、融点が50℃以下、1気圧での沸点が 150℃以上、特に
250〜400 ℃の溶媒(キャリア)を添加することが好ましい。
【0075】
溶媒の沸点が水のように 150℃未満であると、転写ヘッドの転写部上で速やかに蒸発して失われてしまい、記録液中の色材だけが残留し易く、また、沸点が 400℃を超えると、記録のための加熱を行っても効率よくキャリアの体積膨張が行われない。
【0076】
溶媒は無色透明であり、かつ上記の染料を溶解若しくは分散する性能を持つことが好ましい。更に、沸点以下で熱分解を起こさないことが好ましい。具体的には、上記したフタル酸ジメチル等の芳香族ジアルキルエステルやアルキルベンゼン等の芳香族炭化水素が使用される。
【0077】
本実施例の記録方式に適した記録媒体は、染料受容層80aを有する印画紙80であってよく、転写染料と適当な相溶性を持ち、転写染料を容易に受容して染料本来の発色を促進し、かつ染料を固定する作用があれば、どのような印画紙でも使用可能である。
【0078】
例えば、分散染料に対しては、分散染料と相溶性の良いポリエステル樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、アセテート樹脂等を基紙表面にコートした印画紙などが好ましい。酸性染料、直接染料は普通紙、アート紙等が好ましい。特に、前記キャリアが普通紙によくしみ込みかつ分散染料、油溶性染料を発色させる能力を持つならば、分散染料、油溶性染料も本来は相溶性の悪い普通紙、アート紙に使用できる。
【0079】
特に、前記キャリアがワックス系の材料であると、ワックス中に染料又は顔料が溶解若しくは分散して発色するので、ワックスを受容できる性質を持つ材料であれば、普通紙以外にも、ティッシュペーパーや布類にも転写定着可能である。定着法としては、転写後の画像を加温して印画紙表面の転写染料を受容層内部に浸透させる方式も可能である。
【0080】
転写方式の加熱手段は大きく分けて、熱ヘッドによる方法、レーザ光による方法、レーザ光とレーザ光の波長領域を含む吸収を持ち、光エネルギーを熱エネルギーに変換する材料(光熱変換体)とを組み合わせる方法がある。
【0081】
レーザ光を使用する場合には、解像度が著しく向上すると共に、レーザ光密度を光学系で大きくすることにより集中的な加熱が可能となり、到達温度が上がり、その結果として熱効率が向上するという特徴がある。
【0082】
特に、半導体マルチレーザ(数個から数百個の半導体レーザ素子がライン上に並んだ構造を持つレーザ)を使用することによって、1画面を転写する時間は大幅に短縮される。但し、光熱変換体(図2中の60)は、連続的にレーザ光の光エネルギーを吸収するために、耐熱性を十分に満足するものでなければならない。
【0083】
従って、この方式の光熱変換体60としては、レーザの発光波長に一致する吸収を持つ金属薄膜、金属薄膜と高誘電率を持つセラミック薄膜との2層膜等の薄膜系光吸収体を図2のように転写部に直接設ける他に、カーボンブラック、金属微粒子等の微粒子系光吸収体や、フタロシアニン系色素、ナフタロシアニン系色素、シアニン系色素、アントラキノン系色素等の有機系色素、有機金属系色素等、耐熱性の優れた染料又は顔料を転写染料に均一に分散して使用しても良い。
【0084】
後者の場合、レッド、グリーン、ブルーの波長を持つ3種類のガスレーザや半導体レーザ又は波長変換素子を用いて、発光波長を変えたレーザを加熱源として同時に使用すれば、記録液自体がレーザ光を吸収するため、光熱変換層又は光熱変換体の付加は不必要である。
【0085】
上記したヘッドを含むプリンタヘッド全体は、図5に明示するように、例えばフルカラー用としてシアン、マゼンタ及びイエローの各染料溜め55C、55M、55Yを共通のベース54に設けて各収容部又は供給ヘッド部70C、70M、70Yを構成し(図6参照)、各色用の液体を12〜24個の多数のドットを形成する列状の気化部57C、57M、57Yに供給する。
【0086】
各気化部に対しては、対応するレーザ(特に半導体レーザチップ)18を例えば24個アレイ状に配したマルチレーザアレイ30から出射される各レーザ光を多数の集光レンズ19を配したマイクロレンズアレイ31によってそれぞれ集光する(36はレーザ光Lを直角方向に導くためのミラー)。
【0087】
集光レンズとしては、図示したレンズ系でもよいが、仮想線で示す1枚の径大の集光レンズ38を使用して良い。このレンズ38は、光入射位置に応じて光出射位置が上記の各気化部57C、57M、57Yに相当するように屈折経路が変化するように形成されたものである。なお、マルチレーザアレイ30は、基板33に設けたコントロールIC34によって駆動制御し、またヒートシンク35によって十分に放熱できるようになっている。
【0088】
なお、モノカラー印刷の場合は、図7に示すように、1次元レーザアレイ30を作製し、それぞれのレーザ素子を独立かつ並列に動作できる構造にすることによって、簡単にビーム数の一倍以上の印刷速度が得られる(例えば24ビームのレーザアレイを用いれば24倍の速度となる)。
【0089】
上記したプリンタヘッド70は、染料収容部において記録ドット数に対応した個数分だけ液体62をドット状に収容すると共に、レーザ18も記録ドット数の各発光点18aを有するアレイ状に配したものである。
【0090】
また、上記したプリンタヘッド70を有するプリンタは、縦方向(X方向)の紙送りと、X方向と直交方向のヘッドの横方向(Y方向)スキャンとによって、印刷を行うものであり、これらの縦方向の紙送りと横方向のヘッドスキャンは交互に行うように構成されている。
【0091】
図8に示すように、このプリンタ91において、例えば多色印刷用のプリンタヘッド70は、送りねじ機構からなるヘッド送り軸92とヘッド支軸93とにより、印画紙80の紙送り方向Xと直交するヘッド送り方向Yに往復移動自在にしてある。
【0092】
また、ヘッド70の上側には、印画紙80を挟むように支持するヘッド受けローラ94が回転自在に設けられている。そして、印画紙80は、紙送り駆動ローラ95と従動ローラ96との間に挟持されて紙送り方向Xに移動するようになっている。
【0093】
なお、ヘッド70は、フレキシブルハーネス97を介してヘッド駆動回路基板(図示せず)等に接続されている。
【0094】
ところで、本実施例の記録方式は、上記した如き熱転写記録方式とインクジェット方式の双方の利点を生かしつつ、廃棄物及び転写エネルギーを低減し、プリンタを小型、軽量化するために、上記した非接触方式のサーマル型インクジェットプリンタを使用するものである。
【0095】
即ち、この記録方式によれば、熱溶融性の染料と溶媒を含む記録液62を気化部57に有する記録ヘッド(例えばシリアル型のプリンタヘッド)40と、加熱によって生じた記録液滴82を受容する受容層80aを持つ被記録体(印画紙)80との間に10μm〜100 μmの範囲の微小空隙51を設けている。
【0096】
そして、レーザ光Lの照射によって、記録ヘッド70の気化部57の染料収容部に収容した記録液62をその沸点近傍まで選択的に加熱して液滴化させ、この液滴82を空隙51内で飛翔させて、気化穴53から被記録体である印画紙80上に転写し、連続的な階調を持つ画像を得る。この操作を減法混色の三原色であるイエロー、マゼンタ、シアンに分解された画像信号についてそれぞれ繰り返すことによって、フルカラー化を達成できる。
【0097】
なお、この記録方式では、印画紙80を記録ヘッド70に対して例えば上方側で対向させ、気化部57の上面付近に、レーザ18から出射されてレンズ19で集光されたレーザ光Lを照射して液滴82を上方に飛翔若しくは移行させるのがよい。
【0098】
また、レーザ光透過性のあるヘッドベース54に染料溜め55を設け、ヘッドベース54上に固定した蓋体を兼ねたスペーサ58との間に液化染料62を収容し、ここから染料通路67を経て気化部57に液化染料62を供給する。この場合、気化部57への染料の供給効率及び気化効率の向上のために、発熱によって生じる染料の表面張力低下による染料逃げを防止し、毛細管現象を利用して継続的な染料の供給及び保持を行うために、図1や図2では小柱体61を設けたが、図9のように、小さなビーズ61’からなるビーズ集合体を気化部57に設けてもよい。
【0099】
上記したように、このサーマル型インクジェットプリンタによれば、記録に消費される染料については、その失われた分だけを染料溜めから溶液状態で気化部へ自発的若しくは強制的に流すことにより、或いは、適当な基体上に連続的に塗布され、その基体が転写部に移動することにより、気化部へ連続的に供給することができる。これは、染料が溶媒(キャリア)によって溶液とされて供給されるため、可能となる。
【0100】
従って、記録に関与する気化部は、繰り返して多数回使用できるので、既述しサーマルヘッドを用いた熱転写方式においてはインクシートが1回限りの使い捨てであるのに対し、省資源及び環境保護の面で有利である。
【0101】
また、液滴を飛翔させる方法であるために、染料層と被記録体(印画紙)とが接触しないで記録を行え、従って、2回目以降のプリント時に既述したサーマルヘッドを用いた熱転写方式でみられるような染料の逆転写、混色は生じることがないと共に、加熱部分は気化部を含むヘッドのみとなり、上述した熱転写方式に比べて著しく消費電力が低減する。
【0102】
同時に、染料の供給に上述したインクシートではなく小体積の染料溜めを使用するために、プリンタを小型、軽量化できる。
【0103】
また、この記録方式は、染料液滴の飛翔を利用したものであるために、既述のサーマルヘッドを用いた熱転写方式のように被記録体の染料受容層を加熱する必要がなく、インクシートと被記録体とを高い圧力で押し付ける必要もなく、この点でもプリンタの小型化、軽量化に有利である。
【0104】
そして、気化部の染料層と被記録体とが接触しないために、それらの間で熱融着が起こり得ないだけではなく、染料と受容層樹脂の相溶性が小さくても記録可能である。従って、染料及び受容層樹脂の設計、選択の幅が著しく広がる。
【0105】
また、染料の液滴化のための熱エネルギー供給源として、光源に半導体レーザ18を用いることを基本としているが、半導体レーザは電力から光への変換効率が高く、その上、指向性、集光性に優れているので、染料の熱エネルギー伝達効率も非常に高い。従って、従来方式(上記のサーマルヘッドによる熱転写やインクジェット)に比べてトータルのエネルギー利用効率が格段に高くなり、小型化や省電力化に有利になるという特徴も有する。
【0106】
さらに、従来のインクジェット方式のカラープリンタでは、階調表現が難しいが、半導体レーザは出力パワーやパルス幅等の制御が容易であるため、上記の記録方式では簡単に多階調表現が実現できる。即ち、カラービデオカメラ等で作り出された電気的な画像を半導体レーザによって画像信号に応じた染料転写に変換し、銀塩写真に匹敵する少なくとも1色当たり 128階調を持つフルカラー画像を形成することができる。
【0107】
図10〜図12は、非接触方式のサーマル型インクジェットプリンタの他の例を示すものである。
【0108】
本例で使用するプリンタヘッド120によれば、記録液を液滴化するためのエネルギー源として上述の例で使用したレーザ光に代えて抵抗加熱を利用し、記録液には赤外線吸収剤を含有させる必要はなく、また光熱変換体60を設ける必要はない。その他は、上述した例と実質的に同様である。
【0109】
このプリンタヘッド120 の気化部77においては、ベース73に深さが例えば50μmの染料収容部87が凹状に形成され、この収容部にベース73と同材質のガラスからなる幅が 0.5〜3μm、高さが2〜10μmの微細な柱状体(又は壁状体)101 がRIEやリソグラフィ技術によって蛇行して設けられている。
【0110】
この柱状体101 は、収容部87の底面からその上面に至るまでの高さに設けられ、かつ、その蛇行パターン間には幅狭の空隙102 を交互に有しており、この空隙によって全体として多孔性構造体を構成している。空隙102 は、その毛細管作用によって収容部87内で液化染料62を保持すると同時に、プリンタの1ドット分の時系列的動作に必要な十分な量の液化染料62を上方へ供給する作用をなすものである。
【0111】
そして、この柱状体101 の上面に接して、これと同一パターンに重なる厚さが例えば1μmの発熱体75が蛇行状に積層されている。即ち、発熱体75の下部に(これより深い位置に)多孔性構造体としての柱状体101 が設けられている。この発熱体75は、収容部87内の液化染料62の表面域において、この表面に接するか或いはこの表面下に少なくとも部分的に浸漬されるが、後者の状態の方が気化及び供給効率の面で望ましいと言える。
【0112】
この場合、発熱体75にも、柱状体101 と同一パターンに空隙103 が存在しており、柱状体101 の空隙102 の毛細管作用に加えて空隙103 の毛細管作用も発揮されるため、染料の保持と供給を効果的に行うことができる。
【0113】
発熱体75はカーボンやポリシリコン等のシリコン系化合物で形成されていて、このシリコン系化合物の薄膜をエッチングによりパターニングし、薄膜抵抗として染料収容部87上をまたぐ如くに設けられ、その両側に被着した一対の電極(アルミニウム電極であってよい。)84−85間にマトリックス駆動によって画像信号に基づく信号電圧が印加され、これによる通電で50〜500 ℃の発熱を生じ、この熱で液化染料62をその表面域にて効率良く加熱して気化させるものである。また、この熱は、発熱体75下にはガラス製の柱状体101 が存在しているためにこの柱状体101 を経てベース73へ放散されることは殆どない。
【0114】
電極84及び85上を含む上面には、SiO等の絶縁層86が設けられ、電極84及び85を電気的に絶縁するが、これは熱的絶縁作用も有してもよい。また、絶縁層86上には、フッ素系又はシリコン系樹脂からなる染料液止め層107 が設けられ、液化染料62の上方への漏れを防止している。更にこの液止め層107 上には、タンタルやガラス等からなる保護層81が設けられている。各層81、86、97には気化用の開口81a、86a、97aが形成されている。
【0115】
上記のように構成された気化部77は、ヘッド120 において実際には、図12に示すようにフルカラー用として各色(イエローY、マゼンタM、シアンC)毎に複数ドットが配置される。これらの各気化部77Y、77M、77Cには、各収納槽41Y、41M、41Cから導入部64Y、64M、64C、更には引込み路64Y’、64M’、64C’及び各導入口64”を経て各色の液化染料が供給される。
【0116】
このヘッド120 では、各気化部における発熱体75の電極84、85からの配線84’、85’はそれぞれ、ベース73上で引き廻された後、一端部側のコントロール基板(タブ)88に導かれて高温半田等の接続部100 において接続されている。電極84、85の配線84’、85’の交差位置112 では、SiO等の層間絶縁膜91を介して両配線間が絶縁分離されている。そして、このコントロール基板にマウントされたコントロールIC89によって、マトリックス駆動による所定の駆動信号が供給されるように構成されている。
【0117】
この駆動信号によって、各気化部では、選択された発熱体75がオンして発熱し、染料を気化せしめる一方、選択されないでオフされた発熱体75はその余熱によって液化染料の保温又は液化に用いることができる。即ち、発熱体75を交互に駆動することにより、その余熱のコントロールで染料の液化と冷却のいずれかを効率よく行える。但し、図示は省略したが、染料液化のためには、図1及び図2に示したヒータ56を各気化部又はベース上に設けることができる。なお、このヘッド120 は、ヘッド本体 120Aに対して染料槽本体41Aが接合されたものであり、その接合面を93、94で表す。
【0118】
そして、気化器として、染料収容部87において液化染料62の表面域に発熱体75が配されているので、液化染料をその表面域で迅速に温度上昇させ、発熱による加熱効率を高め、気化による転写効率を向上させることができる。しかも、レーザを使用する必要がないため、低コスト化が可能となる。また、発熱体75の駆動オフ時には、染料62の表面域の温度を迅速に降下させ、温度低下を早く行えるため、応答性が良好となる。
【0119】
しかも、染料62の表面域の発熱体75に接してこれよりも深い位置(即ち、発熱体75の下部)に、染料22の保持及び供給のための微細な蛇行状柱状体80が多孔性構造体として設けられているので気化部77に毛細管構造を設けることになり、この毛細管作用で染料の逃げを抑制し、染料を効果的に保持及び定量供給し、発熱体75による熱を効率良く伝えることを可能にし、気化効率を向上させることができ、また、染料の定量供給により気化量を一定として高画質の記録が得られる。
【0120】
そして、この毛細管構造の上部に発熱体75を設けているため、熱の逃げを抑制して加熱効率を上げ(それでも熱が逃げる場合、この余熱を染料液化に利用したり、印画紙80の加熱に用いて染料定着用の熱源としても利用でき、定着エネルギーを削減できる。)、冷却用フィン等を小さくしてコスト低減も図ることができる。
【0121】
本例に用いるヘッド構造によれば、図1及び図2に示したと同様に、染料は発熱体56により加熱されてよい。この各液化染料62は各導入部64の毛細管現象によって各気化部77まで導かれる。
【0122】
この場合、保護層81側には液止め層107 を設けているので、各気化部77の収容部には常に一定量の液化染料が蓄えられ、保護層81へ流れることもない。また、染料が発熱体75により加熱されたとき、微細加工の柱状体101 によって染料が保持されるため、表面張力差が生じても染料は逃げない。
【0123】
なお、発熱体75(更には発熱体56)により各導入部64の一部を構成するスペーサ(ここでは図示せず)なども加熱保温される。そして、印画紙80をカラー印画する際に、画像信号に応じて発熱体75により熱が発生する。この気化熱により、各気化部の発熱体75の周りの染料が気化し、保護層81の穴81aを通り、印画紙80の受容層80aにY、M、Cの順で転写される。
【0124】
本例によるプリンタヘッド120は、図1及び図2に示したヘッドと同様、染料62を含む記録液を加熱して間隙を通して印画紙80へ飛翔させる熱転写方式のものであるから、既述した小型化、保守容易性、即時性、画像の高品位化、高階調性等の特長を有している。
【0125】
なお、発熱体75を支持する柱状体101 やベース73は、ガラスで形成したが、他の材質でも形成可能である。例えば、ポリイミド等の高分子材で形成することもできるが、これは、プリンタヘッド120 を印画紙80に対して押し付けない構造としているため、大きな圧力を受けないことに依るものであり、また、発熱体75の作動時に熱放散も少なく、熱的絶縁性が良好となる。
【0126】
図13〜図14は、非接触方式のサーマル型インクジェットプリンタの更に他の例を示すものである。
【0127】
この例では、上記した例が柱状体101の上面に接して発熱体75が設けられているのに対し、例えばガラス製の柱状体131が上述したベース73の加工時にRIE又はリソグラフィ技術によって微細加工され、この柱状体131の上方において一定の距離を隔てて発熱体75がブリッジ式に3〜5μmの幅で設けられていることが異なっており、その他の構成は同様である。ここでは、柱状体131の毛細管作用が発揮されるため、発熱体75は直線状に設けられてよい。
【0128】
このように構成することにより、柱状体131 が発熱体75から離れていたり、発熱体75が幅細の直線形状であっても、柱状体131 の毛細管作用によって染料62の逃げを十分に防止できると共に、染料表面より加熱を行うために効率が良い。また、上面に発熱体75が存在するため、上述した例と同様に印画時のみに印画紙を加熱したり、予め加熱された印画紙へ加算して加熱を行うことができる。
【0129】
次に、上述した各例の記録方法による記録結果(例1〜例4)を比較例と共に説明する。
【0130】
例1
パイレックスからなる透明基板にRIE技術及びパウダービームエッチング技術を組み合わせて図2及び図5に示した転写ヘッドを作製した。この転写ヘッドには、直径2μm、高さ8μm、間隔2μmの円柱状の柱が10×10本並んだ構造を形成した。記録部には赤外線を吸収するための炭素層を蒸着した。また、使用した記録液、印画紙は次の通りであり、以下に示す要領でテストを行った。
【0131】
(記録液体)
ソルベントイエロー56、ディスパースレッド1、ソルベントブルー35を、フタル酸ジブチルにそれぞれ50℃で15重量%溶解してイエロー、マゼンタ、シアンの各色の記録液をそれぞれ作製した。これらの記録液を50℃で転写ヘッドのインクタンクに導入すると、記録液は通路を通り、自発的に記録部に導入された。
【0132】
(印画紙)
印画紙として、PPC用紙、インクジェット用紙(TLB5A4S、キャノン社製)、昇華転写用専用紙(VPM30STA、ソニー社製)の3種を用意した。
【0133】
(転写試験)
記録液の入った転写ヘッドを図2に示した転写装置に組み込んで、印画紙をセットした。印画紙と転写ヘッドの記録部との間隔は50μmに調整した。次に、 850nmの半導体レーザ光を光学系で転写ヘッドのカーボン層に6×10μmのサイズに集光し、画像情報に応じて1×10μs から 256×10μs の 256段階のパルス長を持つレーザパルスを印画紙を移動しながら記録部に照射した。集光部の光出力は20mWであった。
【0134】
PPC用紙に対しては、マクベス濃度計で測定した最高感度は、イエロー、マゼンタ、シアン(Y、M、C)がそれぞれ、光学濃度(OD)で 1.1、 1.2、 1.1になり、解像度は 120DPIであった。インクジェット用紙はY、M、Cがそれぞれ、 1.5、 1.7、1.6 になり、解像度は 200DPIであった。昇華転写用専用紙はY、M、Cがそれぞれ、 2.0、 2.2、 2.2になり、解像度は 300DPIであった。
【0135】
A6サイズの印画紙換算で5000枚相当の印画を行ったが、全ての色の記録部に対して劣化生成物は出現しなかった。
【0136】
また、この例1の条件で、上記のシアン染料を使用したときに、50μsec ON/50μsec OFFを1サイクルとしたレーザパルスのパルス数を変化させたときの転写感度を図15に、解像度を図16に示す。
【0137】
これによれば、レーザパルスのパルス数が40でOD=2.2 の感度と直径 120μm(約 300DPI)の解像度を示し、良好な結果が得られる。
【0138】
例2
加熱手段として、図10及び図11に示したように、ポリシリコン製の抵抗加熱ヒータを記録部のガラス製ベースに取り付けた転写ヘッドを使用する以外は例1と同様の条件で転写を行った。抵抗は 800Ωで、パルスの電圧は4Vとしたので、抵抗に加わる電力は例1と同様の20mWであった。
【0139】
その結果、PPC用紙に対してはマクベス濃度計で測定した最高感度は、イエロー、マゼンタ、シアン(Y、M、C)がそれぞれ、 1.0、 1.0、 0.9になり、解像度は 100DPIであった。インクジェット用紙はY、M、Cがそれぞれ、 1.3、 1.4、 1.4になり、解像度は 180DPIであった。昇華転写用専用紙はY、M、Cがそれぞれ、 1.8、 2.0、 1.9になり、解像度は 280DPIであった。
【0140】
A6サイズの印画紙換算で5000枚相当の印画を行ったが、全ての色の記録部に対して劣化生成物は出現しなかった。
【0141】
比較例1
転写部の微小ガラス柱のサイズが、直径5μm、高さ8μm、間隔5μmの円柱状の柱である以外は、例1と同様の条件で転写を行った。記録液を50℃で転写チップのインクタンクに導入すると、記録液は通路を通り、自発的に記録部に導入されたが、柱の間隔が長いために、供給速度が例1の1/20に低下した。
【0142】
この記録部に例1と同様の条件でレーザを照射した結果、記録液がレーザの熱により照射部の外に移動して、転写感度が例1の1/5程度に低下した。また、記録液の供給速度が低下したために、時間の経過と共にさらに転写感度が低下した。
【0143】
例3
空気中で 200℃に加熱したときの気化しない残留分の割合が 0.5%であるアゾ系シアン染料を使用して記録液を作製した。この記録液以外は例1と同様の条件で転写を行った。
【0144】
その結果、転写を続けると、記録液中の染料成分だけが劣化して記録部の目詰まりが発生し易くなり、転写感度が低下する傾向があった。
【0145】
比較例2
空気中で 200℃に加熱したときの気化しない残留分の割合が 0.5%であるアゾ系シアン染料を使用して記録液を作製した。この記録液以外は比較例1と同様の条件で転写を行った。
【0146】
その結果、転写を続けると、記録液中の染料成分だけが劣化して記録部の目詰まりが発生し、転写感度が大幅に低下した。
【0147】
比較例3
例1において、上記のシアン染料を使用する際に溶媒として沸点 150℃未満の例えばアセトンを使用し、同様に転写を行ったところ、その溶媒はすぐに乾くために、転写不能であった。
【0148】
例4
例1において、溶媒としてフタル酸ジブチルに替えてドデシルベンゼンを使用し、各色の記録液の染料濃度をそれぞれ10重量%(溶解温度は−15℃)とし、PPC用紙及びインクジェット用紙に対して同様に転写した。
【0149】
Y、M、Cの各色別のマクベス濃度及び解像度は次の通りであり、いずれも良好であった。
Figure 0003575103
【0150】
以上、本発明の実施例を説明したが、上述の実施例は本発明の技術的思想に基いて更に変形が可能である。
【0151】
例えば、転写部(加熱部又は気化部)に形成すべき多孔性構造体は、上述したものに限らず、例えば柱体の場合はその高さ、平面又は断面形状、密度等を変化させてよいし、また、その形成箇所も微細パターン化又は多孔質化、或いは表面積の拡大等が要求される箇所であれば適用可能である。
【0152】
染料等の記録材を液滴化する抵抗加熱等の加熱方式において、記録材に導電性物質を添加することができる。
【0153】
また、記録材(染料)を収容する記録材収容部の数やドット数、及びこれに対応したレーザアレイのビーム数(発光点の数)は種々変更してよいし、その配列形状やサイズ等も上述したものに限定されることはない。
【0154】
なお、本発明に使用するヘッド及びプリンタは、染料の加熱にレーザ及び発熱体を組み合わせることもできる。この場合は、各加熱手段のパワーを下げても良好に気化を実現することができる。
【0155】
また、ヘッドやプリンタの構造や形状は、前記以外の適宜の構造、形状としてよく、ヘッドを構成する各部分の材料には、他の適宜の材料を使用して良い。記録染料についても、マゼンタ、イエロー、シアンの3色として(更には、黒を加えた)フルカラーの記録を行うほか、2色印刷、1色のモノカラー又は白黒の記録を行うことができる。
【0156】
また、上述の溶媒や染料はそれぞれ、種々のもの、或いは2種以上の併用が使用可能である。
【0157】
また、固体染料を一旦液状にし、これを液滴化して記録を行う他、染料溜めに液化染料(室温にて液状)を収容することもできる。また、上述したプリンタとは異なり、ヘッドの下側に位置する被記録紙に記録を行っても良い。
【0158】
【発明の作用効果】
本発明の記録方法によれば、記録ヘッドの記録液加熱部に特定のサイズの多孔性構造体(多数の柱状体)を形成し、記録材とこの記録材を溶解若しくは分散させる溶媒とを含有する記録液を前記記録液加熱部に供給し、加熱により前記記録液の状態を変化させて液滴を生成させ、この液滴を前記記録ヘッドと対向配置された被記録体へ移行させるようにしている。
【0159】
従って、上記の多孔性構造体によって加熱部の表面積が増加し、記録液を毛細管現象により記録液加熱部へと常時供給し、かつそこに保持することができ、この状態で(例えば、抵抗加熱ヒータ)により記録情報に応じた熱量を選択的に加えることによって記録液の一部を蒸発させて圧力上昇を起こし、カラービデオカメラ等で作成された電気的な画像に対応した記録情報に応じた量の記録材を微小な液滴にして被記録体へ移行させ、この被記録体上に転写することができる。
【0160】
この場合、公知のインクジェット方式と比較して小さいサイズの液滴を多数形成でき、かつ記録液加熱部への記録情報に対応した加熱エネルギーに応じて液滴の生成数を自由に制御することができるので、本発明の記録方法は、多値濃度階調が可能になり、銀塩方式の画像と同等若しくはそれ以上の画質を持つ記録(例えばフルカラー画像)を得ることができる。
【0161】
また、熱転写方式の記録であるため、既述した小型化、保守容易性、即時性、画像の高品位化、高階調性等の特長を有している。
【0162】
そして、本発明の記録方法に用いる記録液は、特定の物性を有する染料及び溶媒を組み合わせているので、染料を十分に溶解又は分散させるものであると同時に、特に溶媒の沸点が 150℃以上であるために記録液濃度が変動せず、記録性能を良好に保持することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例に使用可能なプリンタヘッドの断面図である。
【図2】同プリンタの他のヘッド部の断面図である。
【図3】同プリンタヘッドの要部の斜視図である。
【図4】同プリンタヘッドの転写部(気化部)に設ける小柱状体群の平面パターン図である。
【図5】同プリンタヘッドの分解斜視図である。
【図6】同プリンタヘッドとそのスキャン状態を示す概略裏面図である。
【図7】同モノカラー記録用プリンタヘッドとそのスキャン状態を示す概略裏面図である。
【図8】同プリンタを下方から見た概略斜視図である。
【図9】同プリンタヘッドの更に他の例の断面図である。
【図10】本発明の実施例に使用可能な他のプリンタヘッドの要部の平面図である。
【図11】図10のXI−XI線断面図である。
【図12】同プリンタヘッドの平面図である。
【図13】本発明の実施例に使用可能な更に他のプリンタヘッドの要部の平面図である。
【図14】図13の XIV−XIV 線断面図である。
【図15】本発明に基づく例におけるレーザパルス数による転写感度(光学濃度)の変化を示すグラフである。
【図16】本発明に基づく例におけるレーザパルス数による解像度(ドット径)の変化を示すグラフである。
【図17】従来の感熱記録ヘッドを用いた記録装置の要部正面図である。
【符号の説明】
18・・・レーザ(半導体レーザ)
30・・・マルチレーザアレイ
31・・・マイクロレンズアレイ
51・・・空隙
53・・・気化孔
54・・・ベース
56・・・ヒータ
57・・・気化部
58・・スペーサ
59・・・保護板
61・・・小柱体
62・・・記録液(液化染料)
70・・・プリンタヘッド
80・・・印画紙
80a・・・染料受容層
82・・・記録液滴
L・・・レーザ光

Claims (12)

  1. 記録液を記録液加熱部に供給し、加熱により前記記録液の状態を変化させて液滴を生成させ、この液滴を前記記録液加熱部と対向配置された被記録体へ移行させるようにした記録方法において、
    一辺又は直径が0.5〜3μm、高さが2〜10μmである微細な柱状体を0.5〜 3μmの間隔で3行以上及び3列以上配してなる多孔性構造体を前記記録液加熱部に 形成し、
    記録に際して、
    前記記録液加熱部に設けられた発熱体によって前記記録液を加熱して前記液滴を生成 させ、
    300℃以上に加熱したときに90重量%以上が気化し、残留物が10重量%以下で ある染料と、この染料を50℃以下で5重量%以上溶解若しくは分散させる沸点150 ℃以上の溶媒とを含有する記録液を使用する
    ことを特徴とする記録方法。
  2. 300℃以上の耐熱性を有する多孔性構造体を形成し、生成する液滴を記録液加熱部と10〜500μmの間隙を置いて対向配置された被記録体へ飛翔させる、請求項1に記載した記録方法。
  3. 25℃での溶解度パラメータが7.5〜10.5であり、分子量が550以下であり、かつ空気中で200℃に加熱したときの気化しない残留分の割合が0.1重量%以下である染料が、
    25℃での溶解度パラメータが7.5〜10.5であり、分子量が450以下であり、融点が50℃以下であり、沸点が250℃以上、400℃以下であり、無色であり、かつ空気中で200℃に加熱したときの残留分の割合が0.01重量%以下の溶媒に、50℃以下で5重量%以上溶解している記録液を使用する、請求項1に記載した記録方法。
  4. 染料として分散染料及び/又は油溶性染料を使用する、請求項1に記載した記録方法。
  5. 染料として分散染料及び/又は油溶性染料を使用する、請求項に記載した記録方法。
  6. 溶媒として芳香族エステル及び/又は芳香族炭化水素を使用する、請求項に記載した記録方法。
  7. 芳香族エステルがフタル酸ジアルキルエステルである、請求項に記載した記録方法。
  8. 芳香族炭化水素がn−アルキルベンゼンである、請求項に記載した記録方法。
  9. 溶媒として芳香族エステル及び/又は芳香族炭化水素を使用する、請求項5に記載した記録方法。
  10. 芳香族エステルがフタル酸ジアルキルエステルである、請求項9に記載した記録方法。
  11. 芳香族炭化水素がn−アルキルベンゼンである、請求項に記載した記録方法。
  12. 記録液加熱部で消費された記録液を前記記録液加熱部に連続的に補給する、請求項1に記載した記録方法。
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