JP2001171160A - プリンタ及び転写方法 - Google Patents

プリンタ及び転写方法

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JP2001171160A
JP2001171160A JP36326399A JP36326399A JP2001171160A JP 2001171160 A JP2001171160 A JP 2001171160A JP 36326399 A JP36326399 A JP 36326399A JP 36326399 A JP36326399 A JP 36326399A JP 2001171160 A JP2001171160 A JP 2001171160A
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Japan
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ink
heater
transfer
printer
gradation
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JP36326399A
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Shigeyoshi Hirashima
滋義 平島
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Sony Corp
Original Assignee
Sony Corp
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 インク吐出のエネルギー効率が高く、かつ階
調表現の豊かな転写を可能とする。 【解決手段】 ベースプレート上に配設されたヒータチ
ップと、上記ヒータチップに形成された加熱手段と、上
記ヒータチップ上にヒータチップの長手方向にわたって
1列以上のライン状に配設された凹凸構造を有する転写
部とを備え、上記転写部に毛管現象によって保持された
インクを、記録する情報に応じて加熱手段により加熱す
ることによって、上記インクを被転写体に向けて飛翔さ
せて、上記被転写体に情報を転写するプリンタヘッドを
備えるプリンタにおいて、上記ヒータを、上記被転写体
に転写される画像の階調に応じて上記制御手段から出力
される2種類以上の駆動パルスにより制御する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、印画紙等の被記録
体に文字や画像等の情報を記録するプリンタに関し、特
に、インク飛翔部に保持されたインクを加熱手段により
加熱することによりインクを飛翔させ記録を行うプリン
タに関する。
【0002】
【従来の技術】近年、例えば、パーソナルコンピュータ
等で処理したカラー画像や、ビデオカメラ、電子スチル
カメラ等で撮像したカラー画像をプリントアウトして、
鑑賞その他の目的に供することがおこなわれている。こ
のため、高品位なフルカラー画像が得られるプリンタに
対するニーズが高まっており、特に、個人向けや、例え
ば、「スモールオフィス」或いは「ホームオフィス」と
呼ばれる小規模なオフィス向けの比較的廉価なプリンタ
に対しても、高品位なフルカラー画像が得られることが
要求され始めている。
【0003】カラープリント方式としては、従来、昇華
型熱転写方式(又は染料拡散熱転写方式)、溶融熱転写
方式、インクジェット方式、電子写真方式、熱現像銀塩
方式等が提案されているが、これらの中で、特に、高画
質の画像を比較的簡単な装置で手軽に出力できるものと
して、染料拡散熱転写方式とインクジェット方式が挙げ
られる。
【0004】染料拡散熱転写方式は、適当なバインダ樹
脂中に高濃度の転写染料が分散させたインク層をインク
リボン又はシートに塗布し、これを、転写された染料を
受容する染着樹脂がコーティングされた、所謂、熱転写
用紙に一定の圧力で密着させ、そのインクリボン又はシ
ート上から感熱プリンタヘッド(サーマルヘッド)によ
り熱を加えて、その熱量に応じインクリボン又はシート
から熱転写用紙に転写染料を熱転写させるものである。
【0005】この操作を、例えば、減法混色の三原色で
あるイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)に
分解された画像信号についてそれぞれ繰り返すことによ
り、連続的な階調を持つフルカラー画像を得ることがで
きる。
【0006】サーマルヘッドはプラテンローラに対向し
て配置され、それらの間を、例えば、ベースフィルム上
にインク層を設けたインクシートと、紙の表面に染着樹
脂層(染料受容層)をコーティングした熱転写用紙と
が、回転するプラテンローラによりサーマルヘッドに押
し付けられた状態で走行する。
【0007】そして、印刷すべき画像に応じ、サーマル
ヘッドによって選択的に加熱されたインク層中のインク
が、そのインク層に接して加熱された熱転写用紙の染着
樹脂層中に熱拡散し、例えば、ドットパターンでの転写
がおこなわれる。
【0008】この染料拡散熱転写方式は、プリンタの小
型化及び保守が容易で、且つ、即時性を備え、銀塩カラ
ー写真並みの高品位な画像を得ることができる優れた技
術である。しかしながら、この方式では、インクリボン
又はシートの使い捨てに起因する多量の廃棄物の発生と
高いランニングコストが大きな欠点であった。また、熱
転写用紙を使用する必要があり、この点でもコスト高に
なるという問題があった。
【0009】溶融熱転写方式は、普通紙転写が可能であ
るが、やはり、インクリボン又はシートを使用するの
で、その使い捨てに起因する多量の廃棄物の発生と高い
ランニングコストの問題があった。また、画像品位も銀
塩写真には及ばなかった。
【0010】熱現像銀塩方式は、高画質であるが、やは
り、専用の印画紙と使い捨てのリボン又はシートを使用
するためにランニングコストが高くなり、更に、この方
式では、装置コストが高いという問題もあった。
【0011】一方、インクジェット方式は、例えば、特
公昭61−59911号公報や特公平5−217号公報
等に示されているように、静電引力方式、連続振動発生
方式(ピエゾ方式)、サーマル方式(バブルジェット方
式)等の方法でプリンタヘッドに設けられたノズルから
インクの小滴を噴出させ、それをプリンタ用紙等に付着
させて印刷を行うものである。例えば、バブルジェット
方式の場合は、オリフィス以外に逃げ場のない状態で供
給されたインクが、ヒータの発熱により急激に気泡化
し、その体積膨張による圧力でオリフィスからインク滴
が噴射される。この方式では、ヒータは、インクを急激
に温度上昇させ、瞬間的に沸点以上の温度に加熱する。
そして、ヒータ加熱停止中は、ヒータ付近にインクが供
給、補充される。
【0012】従って、普通紙転写が可能であり、また、
インクリボン等を使用しないので、ランニングコストが
低く、更に、インクリボン等を使用する場合のような廃
棄物の発生が殆ど無い。最近では、簡易にカラー画像を
印刷できることから、普及が拡大している。
【0013】最近では、吐出するインク滴のサイズを2
〜3種類に変調したり、薄い色のインクを用いてインク
濃度を2〜3種類持つことにより同一画素内で数ステッ
プの濃度階調を実現する方式も実現しているが、インク
ジェット方式は、原理的に同一画素内での連続的な濃度
階調が困難であり、画像品位が銀塩写真に比べて劣り、
また、画像品位を上げるために単位画素の面積を小さく
しているので、記録時間が非常に長いという欠点があっ
た。
【0014】他方、電子写真方式は、ランニングコスト
は低く、転写速度も高いが、画像品位が銀塩写真に及ば
ないのみならず、装置コストが著しく高かった。
【0015】即ち、以上に説明した方式では、画質、ラ
ンニングコスト、装置コスト、転写時間等の要求を全て
満たすものがなかった。
【0016】そこで、それらの要求を全て満たしうるカ
ラープリント方式として、例えば、特開平9−1832
39号公報に記載されるような熱転写記録方式が提案さ
れている。
【0017】この方式では、プリンタヘッドの転写部に
設けられたヒータにおいてインクを加熱して、インクを
微小粒子として飛翔させ、それを、例えば、50〜15
0μm程度のギャップを介して対向配置されたプリンタ
用紙等の被転写体表面に付着させて転写をおこなう。
【0018】転写部には、例えば、幅又は径が3μm程
度、高さ6μm程度の多数の柱状体を互いに3μm程度
の微小間隔で立設配置した凹凸構造によるインク保持構
造が設けられ、このインク保持構造の下にヒータが設け
られて、吐出部が構成されている。
【0019】このようなインク保持構造を吐出部に設け
ることにより、次のような効果が得られる。即ち、 (1)毛管現象によりインクが自発的に吐出部に供給さ
れる。
【0020】(2)大きな表面積により、インクを効率
的に加熱することができる。
【0021】(3)柱状体の高さを適宜に設定すること
により、常に所定量のインクを吐出部に保持させること
ができる。
【0022】(4)液体の表面張力は一般に負の温度係
数を持つので、局所的に加熱されたインクは、温度の低
い外周部へ向かう力を受けるが、インク保持構造により
その移動が最小限に抑制されて、転写感度の低下が防止
される。
【0023】従って、このようなインク保持構造を設け
ることにより、吐出部での加熱に応じた量のインクを飛
翔させて、プリンタ用紙等に転写することができ、イン
ク転写量の連続的な制御、即ち、画素内での濃度階調が
可能となる。この結果、例えば、銀塩カラー写真に匹敵
する高品位の画像を得ることができる。
【0024】また、インクリボン等を使用する必要がな
いので、ランニングコストが低く、更に、普通紙に対し
吸収性の良いインクを用いること、または、普通紙にイ
ンク受容層をコーティングすることで普通紙と同等の非
常に安価な記録紙への転写も可能となるので、ランニン
グコストも低くてすむ。
【0025】また、この方式は、インク、即ち、染料へ
の熱的作用による吐出を利用したものであるため、イン
クを加熱するプリンタヘッドの転写部をプリンタ用紙等
の被転写体に高い圧力で押し付けることは勿論、接触さ
せる必要もなく、従って、他の熱転写方式では往々にし
て起こり得た、インクリボン等のインク加熱部とプリン
タ用紙等との熱融着の問題も発生しない。
【0026】即ち、この熱転写記録方式は、既述した染
料拡散熱転写方式と同様、プリンタの小型化及び保守容
易性、即時性、並びに、画像の高品位性等の特徴を備え
た上に、インクリボン等の不使用による廃棄物の低減及
びランニングコストの低下を達成でき、更には、普通紙
使用による低コスト化も可能である。
【0027】
【発明が解決しようとする課題】ところで、上述した熱
転写記録方式では、インクは、ヒータ加熱により温度上
昇し、気体状で飛翔する。この時、インク飛翔や熱的な
現象によるインク移動等によりヒータ付近のインク液層
に空隙が生じていると、インクは気体状で飛翔し続け
る。一方、ヒータ停止による飛翔停止やインクの表面張
力によるインク対流によってインク液層の空隙が満たさ
れた後は、インクはヒータ加熱により液体状で吐出され
る。ここで、気体状で吐出されるインク量は、基本的に
加熱するエネルギーに比例するが、液体状のインクを吐
出させるには、加熱するエネルギーだけではなく、イン
ク液層中の空隙を満たす時間が必要となる。インクを加
熱するエネルギーに対するインク吐出の効率は、インク
が気体状で吐出される場合よりも、液体状で吐出される
場合の方が良い。しかしながら、液体状のインクによる
転写の場合は、非常に濃度の低い階調を表現しようとす
ると、印画画像内で粒状感を伴うものとなる。
【0028】したがって、本発明は、従来の実情に鑑み
て創案されたものであり、インク吐出のエネルギー効率
が高く、かつ階調表現の豊かな転写が可能なプリンタ及
び転写方法を提供することを目的とする。
【0029】
【課題を解決するための手段】本発明に係るプリンタ
は、ベースプレート上に配設されたヒータチップと、ヒ
ータチップに形成された加熱手段と、ヒータチップ上に
ヒータチップの長手方向にわたって1列以上のライン状
に配設された凹凸構造を有する転写部とを備え、転写部
に毛管現象によって保持されたインクを、記録する情報
に応じて加熱手段により加熱することによって、インク
を被転写体に向けて飛翔させて、被転写体に情報を転写
するプリンタヘッドを備えるプリンタであって、ヒータ
は、被転写体に転写される画像の階調に応じて制御手段
から出力される2種類以上の駆動パルスにより制御され
ることを特徴とするものである。
【0030】本発明に係るプリンタは、被転写体に転写
される画像の階調に応じて制御手段から出力される2種
類以上の駆動パルスにより制御されるヒータを備える。
したがって、本発明によれば、画像の階調に応じてヒー
タの加熱状態、すなわちインク吐出状態が連続的に制御
される。
【0031】本発明に係る転写方法は、ベースプレート
上に配設されたヒータチップと、ヒータチップに形成さ
れた加熱手段と、ヒータチップ上にヒータチップの長手
方向にわたって1列以上のライン状に配設された凹凸構
造を有する転写部とを備え、転写部に毛管現象によって
保持されたインクを、記録する情報に応じて加熱手段に
より加熱することによって、インクを被転写体に向けて
飛翔させて、被転写体に情報を転写するプリンタヘッド
を備えるプリンタを用いた転写方法であって、制御手段
から出力される2種類以上の駆動パルスにより被転写体
に転写される画像の階調に応じてヒータの駆動を制御す
ることを特徴とするものである。
【0032】本発明に係る転写方法は、制御手段から出
力される2種類以上の駆動パルスにより被転写体に転写
される画像の階調に応じてヒータの駆動を制御する。し
たがって、本発明によれば、画像の階調に応じてヒータ
の加熱状態、すなわちインクの吐出状態が連続的に制御
される。
【0033】
【発明の実施の形態】以下、本発明の具体的な実施の形
態を図面を参照して説明する。
【0034】図1に本発明を適用したフルカラー用のプ
リンタの要部構成を示す。
【0035】図1に示すプリンタは、ベースプレート上
に配設されたヒータチップと、ヒータチップに形成され
た加熱手段と、ヒータチップ上にヒータチップの長手方
向にわたって1列以上のライン状に配設された凹凸構造
を有する転写部とを備え、転写部に毛管現象によって保
持されたインクを、記録する情報に応じて加熱手段によ
り加熱することによってインクを気体状及び/又は液体
状で被転写体に向けて飛翔させて被転写体に情報を転写
する、いわゆる熱転写記録方式のプリンタである。本発
明において前記「飛翔」とは、加熱手段(例えばヒータ
等)の加熱によって、気化、蒸発、インクの対流(イン
ク液面の表面張力の不均一に起因するもの、インクを構
成する成分の沸騰によるインクの体積膨張に起因するも
の、インク内の溶存空気の加熱による膨張又は膨張とは
れるに起因するもの、インクの熱膨張によるもの、ヒー
タ又は毛管構造の熱膨張に起因するもの)によって、イ
ンクを飛翔させることを含む意味である。
【0036】プリンタは、プリンタヘッド1、ヘッド固
定金具2、インクタンク3、被転写体である印画紙支給
のための給紙ローラ4、印画紙重挿防止爪5、印画紙ケ
ース6、印画紙7、プラテンベルト8、プラテンベルト
駆動ローラ9、イエロ、マゼンタ、シアンの各色に対応
する加圧ローラ10、給紙ガイドローラ11、排紙ロー
ラ12、プラテンベルトを駆動するための駆動モータ1
3、駆動用連結機構14、コントローラ及び電源の収納
部15、プリンタヘッド用信号線16、放熱フィン17
とを備えて構成される。
【0037】プリンタヘッド1は、イエロ、マゼンタ、
シアンの3色分の専用プリンタヘッドが配設されてい
る。プリンタヘッド1は、プリンタヘッド1の裏に位置
する放熱フィン17と、図示しない加温用ヒータによ
り、駆動時は常に一定の温度範囲に保持されている。
【0038】インクタンク3は、イエロ、マゼンタ、シ
アンの3色分それぞれの専用プリンタヘッドに供給する
インクを保持しており、各色に専用タンクが配設されて
いる。
【0039】プラテンベルト駆動ローラ9は、例えば、
シリコンゴムにより表面層が被覆されており、例えば直
径16mmに形成される。
【0040】コントローラ及び電源の収納部15には、
他の機器より入力された印画指示情報を処理し、転写指
示画像の階調に応じて後述するドライバICに対してヒ
ータの駆動制御用の駆動信号を出力してヒータの駆動を
制御するコントローラ(図示せず)及び電源(図示せ
ず)を備えている。
【0041】次に、上記プリンタ出の転写方法について
説明する。図示しない他の機器よりプリンタに印画指示
情報がコントローラに入力されると、コントローラは、
駆動モータ13に電流を流し、印画紙7が駆動用連結機
構14を介して給紙ローラ4により印画紙ケース6から
排出される。その際、印画紙が重挿して排出されないよ
うに印画紙重挿防止爪5で印画紙が剥がされ、給紙ガイ
ドローラ11によって導かれる。そして、印画紙ケース
6から排出された印画紙7は、プリンタヘッド1とプラ
テンベルト駆動ローラ9により駆動されたプラテンベル
ト8との間に挟まれ、加圧ローラ10によりプリンタヘ
ッド方向に加圧されながら排出ローラ12方向に搬送さ
れる。
【0042】また、コントローラは、駆動モータ13に
電流を流すとともにドライバIC25に対して印画指示
情報に対応したヒータ駆動制御用の駆動信号を出力す
る。そして、ヒータ駆動制御用の駆動信号は、プリンタ
ヘッド用信号線16を介してドライバIC25に送ら
れ、紙送りモータの駆動パルスと同期して各転写部27
のヒータ43をON/OFFする電圧パルス信号に変換
される。ヒータ43は、この電圧パルス信号により制御
され、インクの加熱、加熱停止を繰り返すことにより、
インクを気体状及び/又は液体状で飛翔させて、転写部
27に対向して配置された印画紙に対して画像の転写を
行う。
【0043】従来のヒータ43の制御方法は、1種類の
ヒータ駆動制御用の駆動信号をコントローラからドライ
バIC25に対して出力し、これを電圧パルス信号に変
換して行うというものである。すなわち、ヒータ43
は、1種類の駆動パルスを複数回出力することにより制
御されていた。駆動パルスの出力回数の制御は、別途ド
ライバIC25において行われる。
【0044】ここで、駆動パルスのデューティを高く設
定したときには、インクはヒータ43により加熱される
ことにより、沸点以上に温度が上がり、蒸発が起こる。
このため、インクは、気体状で飛翔することとなる。図
2にデューティを高く設定した場合の駆動パルスの一例
を示す。このとき、ヒータ43付近の液層に、インクの
飛翔や熱的な現象によるインク移動等により空隙が生じ
ていると、インクは、気体状で飛翔し続ける。これによ
り、被転写体に対して転写が行われる。
【0045】また、インクの補充は、上述した各色のイ
ンクが、各色専用のインクタンク3からベースプレート
23内のインク流路26及びインク流路板24との隙間
を通過し、毛管現象により各転写部27へ供給される
が、この場合は、ヒータ43の停止時間が短いため、イ
ンクの蒸発が行われているヒータ43上には、新たなイ
ンクが被ることはなく、ヒータ43の周辺にのみインク
の供給が行われる。この場合は、ヒータ43の停止時間
が短いため、すぐにインクの加熱が行われ、インクはイ
ンク液面から蒸発を続け、被転写体に対して転写が行わ
れる。
【0046】一方、駆動パルスのデューティを低く設定
したときには、上記と同様にインクはヒータ43により
加熱され、沸点以上に温度が上がり、蒸発が起こる。図
3にデューティを低く設定した場合の駆動パルスの一例
を示す。しかし、この場合は、ヒータ43によるインク
の加熱時間が短いため、インク液層の空隙は、ヒータ4
3停止による飛翔停止やインクの表面張力によるインク
の対流によって満たされる状態、すなわち、インクの蒸
発が行われているヒータ43上に新たなインクが被った
状態が生じる。そして、再びヒータ43によるインクの
加熱が行われると、新たにインク液面に被ったインク
は、最初に加熱されていたインクの圧力の上昇により押
し出され、飛翔することとなる。以上の状態が繰り返さ
れることにより、被転写体に対して転写が行われる。
【0047】ここで、駆動パルスを高く設定した場合、
すなわち、インクを気体状で飛翔させる場合は、多くの
インクを飛翔させることができないため、薄い階調の転
写は安定しており、きれいな画像の転写が可能である。
しかし、濃い階調の転写を行うことができず、また、イ
ンク吐出のエネルギー効率が低い。また、駆動パルスを
低く設定した場合、すなわち、インクを液体状で飛翔さ
せる場合は、インク吐出のエネルギー効率が高く、多く
のインクが飛翔するため、濃い階調の転写は安定してお
り、きれいな画像の転写が可能である。しかし、薄い階
調の転写は安定して行うことができず、粒状感を伴った
ものとなってしまう。
【0048】従来のヒータ制御方法では、駆動パルスが
1種類であるため、最初から最後まで一定のデューティ
の駆動パルスを画像に応じた回数だけ出力することによ
り画像の転写が行われていた。すなわち、駆動パルスを
高く設定した場合には、階調の小さい部分の画像は安定
したきれいなものとなるが、階調の大きい部分の画像は
安定した画像を得ることが難しかった。また、駆動パル
スを低く設定した場合には階調の大きい部分の画像は、
安定したきれいなものとなるが、階調の小さい部分では
安定した画像を得ることができず、粒状感を伴ったもの
となってしまう。
【0049】それに対して、本発明においては、コント
ローラからは、2種類以上のヒータ駆動制御用の駆動信
号がドライバIC25に対して出力される。駆動パルス
の出力回数の制御は、別途ドライバIC25において行
われる。そして、ドライバIC25において電圧パルス
信号に変換されて、2種類以上のヒータ駆動制御用の駆
動パルスによりヒータ43の駆動を制御する。すなわ
ち、ヒータ43は、2種類以上の駆動パルスにを画像に
応じた回数だけ出力することにより制御されることにな
る。ここで、2種類以上の駆動パルスとは、画像に応じ
てデューティの値を変えて設定した駆動パルスのことで
ある。すなわち、階調の小さい部分においては、デュー
ティの高い駆動パルスを多用することにより制御し、階
調の大きい部分においては、デューティの低い駆動パル
スを多用することにより制御を行うものである。転写の
途中でヒータ加熱のデューティを変化させた場合の階調
とデューティとの関係の一例を図4に示す。この場合
は、例えば64階調までの階調の小さい、すなわち濃度
低い部分においてはデューティを90%と高く設定し、
インクを気体状で飛翔させることにより、転写を行う。
そして、階調の大きい、すなわち濃度の濃い部分におい
てはデューティを50%に落とし、インクを液体状で飛
翔させることにより転写を行う。デューティの変更点
は、階調の途中点、例えば255階調を有する階調表現
の中の中間点であれば何れにおいても可能であるが、好
ましくは、255階調中の12階調目から225階調目
までの間である。上記の範囲内においてデューティの変
更を行うことにより、印画濃度が連続して表現しやすく
なる。また、図4の例では、デューティの種類、すなわ
ち駆動パルスの種類は、2種類であるが、デューティの
種類、すなわち駆動パルスの種類を増やすことにより、
より自然に連続して階調を制御することができる。そし
て、連続した濃度階調を表現することが可能となるた
め、より高品位の印画が可能となる。そして、使用可能
なデューティの種類、すなわち駆動パルスの種類の最大
数は、階調数である。
【0050】また、上記においては、1画像の転写を単
位としたヒータの駆動方法であるが、上記とは異なるヒ
ータの駆動方法として、1画素内の階調表現中にデュー
ティを変化させる方法がある。この方法は、例えば、2
55階調表現を有する駆動パルスの中で、1から255
階調の間のいずれか1箇所以上においてデューティを変
化させるものである。この方法によっても、上記と同様
に良好な安定した画像の転写が可能となる。この場合も
デューティの種類、すなわち駆動パルスの種類は2種類
以上であれば良く、その最大数は、階調数である。そし
て、デューティの種類を増やすことにより、連続した濃
度階調を表現することが可能となる。
【0051】図5は、255階調の中の途中でデューテ
ィが高い状態から低い状態に変化させた場合の駆動パル
スである。同一画素内で、初めは、デューティが高く、
インクは気体状で飛翔しているが、途中でデューティを
低く設定した時点からは、インクは液体状で飛翔する。
これにより、連続した濃度階調を表現することができ
る。
【0052】また、デューティを変化させるために、コ
ントローラには予め出力する階調数に応じてデューティ
の値を決定するためのプログラムが準備されており、入
力画像に応じた出力階調からデューティの値を決定し、
駆動パルス信号に変換するプログラムが組まれている。
これにより、画像に応じてデューティの値を変化させて
ヒータを制御することができる。
【0053】そして、駆動パルスの種類は、方形波に限
定されることはなく、三角波、ノコギリ波等、種々のパ
ルスを用いることができる。そして、駆動パルスの種類
によって駆動方式に様々な特色を出すことができる。例
えば、方形波の場合は、駆動方法が容易であることと、
ヒータ温度が急激に立ち上がるためにインクを液体状で
効率良く飛翔させ易いという特色を有する。また、三角
波の場合は、ヒータ温度の上昇が緩やかなために、イン
クを気体状で飛翔させることが容易であるという特色を
有する。そして、ノコギリ波の場合は、加熱のためのエ
ネルギーを効率良く使うことができるという特色を有す
る。
【0054】プリンタに印画指令が入力されると、画像
データに対応した駆動信号がコントローラよりプリンタ
ヘッド用信号線16を介してドライバIC25に送ら
れ、紙送りモータの駆動パルスと同期して各転写部27
のヒータをON/OFFする電圧パルス信号に変換され
る。そして、上述した各色のインクが、各色専用のイン
クタンク3からベースプレート23内のインク流路26
及びインク流路板24との隙間を通過し、毛管現象によ
り各転写部27へ供給される。
【0055】この時、プリンタヘッド1は、コントロー
ラからの信号に従って、例えば、まずイエロインクの吐
出を行い、印画紙7に対して転写を行う。そして、残り
の2色に関しても印画紙7に対して順次インクの吐出が
行われ、フルカラーの印画が完了する。最後に、印画紙
7は、排紙ローラ13により導かれながらプリンタ外へ
排出される。
【0056】図6にプリンタヘッド1の概略斜視図を示
す。
【0057】プリンタヘッド1は、プリンタヘッド用信
号線16、ヒータチップ22、ベースプレート23、イ
ンク流路板24、ドライバIC(Integrated circui
t)25、インク流路26、転写部27及びエッジ部2
8とを備えて構成される。
【0058】ヒータチップ22は、ベースプレート23
上に接着固定されている。
【0059】転写部27は、ヒータチップ22の先端近
傍に所定の間隔、例えば84μm間隔、すなわち300
dpi相当の間隔を置いて例えば1216個配設され、
当該転写部27は、それぞれ、図示しないヒータを有す
る。また、転写部27の両側には、図示しないダミー吐
出部が例えば10個ずつ等間隔に配設されている。
【0060】エッジ部28は、転写部27の列と略平行
に形成され、印画紙7と当接する。また、ヒータチップ
22と印画紙7とを所定の角度に固定することによりエ
ッジ部28から例えば350μ、後退した転写部27と
印画紙7との距離を例えば100μmに保持する。
【0061】図7に、プリンタヘッド1により印画紙に
転写を行う状態の概略断面図を示す。
【0062】プリンタヘッド1は、ヒートシンクを兼ね
た、例えば、アルミニウム製のベースプレート23を有
している。このベースプレート23の下面先端部寄りの
部分には、転写部等を、例えば、シリコン基板上に形成
したヒータチップ22が、例えば、シリコン系の接着剤
により接着されている。図7に1点斜線で示す位置が、
各転写部27におけるインクの飛翔中心である。なお、
このヒータチップ22の接着部には、ヒータチップ22
が均一に接着されるように、ベースプレート23表面に
溝30が設けられ、ヒータチップ22を接着する際の余
分な接着剤が、この溝30に逃げるようになっている。
【0063】ベースプレート23には、また、発熱駆動
用のドライバIC25等を搭載したプリント基板21
が、やはり、シリコン系の接着剤により接着されてい
る。図7に示すように、このベースプレート23のプリ
ント基板21の取り付け部は、プリント基板21の厚さ
分だけ低い凹部形成され、その凹部にプリント基板21
を取り付けたときに、そのプリント基板21上に実装さ
れているドライバIC25を含む高さが、そのプリント
基板21に並行して取り付けられているヒータチップ2
2の上面とほぼ同じ高さとなるように構成されている。
【0064】また、ヒータチップ22上の電極パターン
とドライバIC25との接続部及びドライバIC25と
プリント基板21の配線パターンとの接続部には、それ
ぞれの接続部における、例えば、接続用のボンディング
ワイヤ(図示せず)を保護するために、例えば、シリコ
ン系のコーティング剤JCR(Junction Coating Resi
n)31が塗布され、熱硬化されている。
【0065】次に、プリンタヘッドの動作について説明
する。プリンタに印画指令が入力されると、画像データ
に対応した駆動信号がコントローラよりプリンタヘッド
用信号線16を介してドライバIC25に送られ、紙送
りモータの駆動パルスと同期して各転写部27のヒータ
をON/OFFする電圧パルス信号に変換される。そし
て、上述した各色のインクが、各色専用のインクタンク
3からベースプレート23内のインク流路26及びイン
ク流路板24との隙間を通過し、毛管現象により各転写
部27へ供給される。
【0066】図8に転写部27の拡大概略断面図を、図
9にヒータチップ22の先端部に設けられた転写部27
近傍の拡大図を、図10に転写部の拡大図を示す。
【0067】図8に示すように、ヒータチップ22は、
例えばシリコンからなる基板32を有しており、この基
板32上に、酸化シリコン(SiO2)膜33を介し
て、ヒータ43となるポリシリコン膜34が形成されて
いる。このポリシリコン膜34は、発熱体となる高抵抗
部34bと、例えば、アルミニウムの配線パターンから
なる共通電極35と個別電極36とにそれぞれ接続する
低抵抗部34aから構成されている。ここで、アルミニ
ウムとしては、Al−SiやAl−Cuのように第二の
元素を添加したものを用いることもできる。なお、基板
32として、例えば、石英基板のような熱絶縁性の基板
32を用いる場合には、SiO2膜33等の断熱層を設
けず、基板32上に直接ポリシリコン膜34を形成して
も良い。
【0068】ポリシリコン膜34上には、保護膜とし
て、例えば、SiO2膜37が形成され、低抵抗シリコ
ン膜32bの上部にのみ、共通電極35及び個別電極3
6と通電するための窓が開口されている。アルミニウム
の電極パターンとポリシリコン膜34との間には、例え
ば、Ti,Cr等の高融点金属からなるバリアメタル層
38が形成され、Alのポリシリコン膜34への拡散を
防止する働きをしている。ポリシリコン膜34のうち、
高抵抗部が、抵抗加熱によりヒータ部として機能する。
ポリシリコン膜34の高抵抗部は電極及びバリアメタル
層38と直接接触することがないため、ヒータ43とし
て機能するポリシリコン膜34の高抵抗部にAlが拡散
することはない。したがって、共通電極35及び個別電
極36を形成する工程での熱処理、或いは、プリンタヘ
ッドでの印画時にポリシリコン膜34を発熱体として駆
動する際の自己の発熱によって、同一ヘッド内での発熱
体の抵抗値が変化し、偏差を生じるという現象を十分に
抑制できる。そして、印刷すべき画像情報に応じて共通
電極35と個別電極36により選択されたポリシリコン
膜34の高抵抗部が加熱され、その上のインクを飛翔さ
せて、用紙等の被転写体に写する。
【0069】例えば、1つのヒーターチップ内に、20
μm×20μm程度の大きさのヒータ部が約84μmの
周期で1216個形成され、これにより、1個のヒータ
43が1ドットの転写に対応するので、300dpiの
解像度が実現される。
【0070】図8に示すように、ヒータチップ上には、
共通電極35及び個別電極36上を含む全面に保護膜と
してSiO235が形成されている。そして、図8及び
図9に示すように、各転写部27を取り囲むとともに、
各転写部27にインクを供給するための供給路39を画
定する隔壁40と、各転写部27においてインク保持機
構を形成する柱状体41とが、このSiO2膜37のそ
れぞれ一部として形成されている。すなわち、例えば、
CVD(化学気相成長)法により所定膜厚に形成したS
iO2膜を、所定パターンのエッチングマスクを用いて
所定深さだけ、例えば、RIE(Reactive Ion Etchin
g)法により異方性エッチングすることで、隔壁40と
各柱状体41並びにそれら以外の保護膜の部分が同時に
形成されている。
【0071】図9及び図10に示すように、各転写部2
7には、例えば、9本×9本の正方マトリックス状に柱
状体41が形成され、そのうち中央の3本×3本がヒー
タ部上に位置している。各柱状体41の大きさは、例え
ば、幅が0.2〜10μm程度、高さが2〜15μm程
度とし、これらを、例えば、0.2〜10μm程度の間
隔で配置する。なお、各柱状体41の形状は、図示の例
のような四角柱状に限らず、例えば、円柱状でも良い。
【0072】図9に示すように、各転写部27にインク
を供給するための供給路39は、各転写部27における
柱状体41と同じ高さの隔壁40によりそれぞれ画定さ
れている。供給路39内においては、その供給路39を
区画する一対の隔壁40のほぼ中央位置に、補助壁を設
けている。さらに、転写部27における柱状体41によ
るインク保持構造パターンを、供給路39を画定する一
対の隔壁40と補助壁との間の部分にまで延長して設け
ている。この補助壁は、例えば、SiO2膜により、上
述した隔壁40及び柱状体41と同時に形成される。し
たがって、この補助壁は、上述した隔壁40及び柱状体
41とほぼ同じ高さを有する。
【0073】そして、図9に示すように、インク貯留部
(図示せず)からこれらの供給路39にインクを供給す
るためのインク流路(図示せず)を内側にエッチング等
の手法で形成したインク流路板24が、エポキシ接着剤
等を用いてヒータチップの所定の位置に貼り付けられ
る。
【0074】この時、図9に示すように、転写部27の
では、インク流路板24の端部が、転写部27のヒータ
部の中心から、例えば、350μm程度後退した位置ま
で設けられている。このように構成することにより、転
写部27への過剰なインク供給が防止される。ヒータ部
上に必要以上のインクが供給されると、インクを吐出す
るために要するエネルギーが大きくなって、転写効率が
低下してしまう。また、このインク流路板24を後退さ
せて設ける構成とすることにより、転写部27に対向配
置される用紙等の被転写体に接触しないようにするとい
う意味もある。
【0075】インク流路板24内のインク流路を流れて
きたインクは、その液面の低下に従い、各転写部27の
手前の供給路39を区画する隔壁40上で分離され、各
供給路39に流れ込む。供給路39においては、隔壁4
0及び補助壁及び柱状体41の上面とほぼ同じ高さでイ
ンクが保持され、転写部へのインクの供給を確実に行う
ことができる。さらに、各転写部27においても、隔壁
40及び柱状体41の上面とほぼ同じ高さでインクが保
持される。このように、各転写部27に、柱状体41か
らなるインク保持機構を設けることにより、各転写部2
7に常に一定量のインクを保持させることができる。
【0076】また、各転写部27において、ヒータ部の
加熱により消費したインクは、柱状体41の存在による
毛管現象によりヒータ部上に自発的に補充される。上に
説明したインク貯留部から各転写部27までのインクの
流れは、全て、このインクの自発的な流れに因る。
【0077】上記のように構成されるプリンタに使用さ
れるインクは染料、溶媒、及び必要に応じて添加される
添加剤から構成され、転写感度・熱安定性・画像品位・
保存安定性を最適化するように材料の選択と組成成分の
比が調合される。
【0078】上記プリンタに適した染料は適当な気化速
度を有し、かつ十分な耐熱性を有し、かつ後述する溶媒
に対する十分な溶解性を有し、かつ人体に対する毒性が
低く、かつ印画紙上での十分な保存安定性を有していれ
ばどのような染料でも使用できる。具体的には、分散染
料、油溶性染料、塩基性染料等が好ましい。特に好まし
い染料としては、特開平8−244363号公報、特開
平8−244364号公報、特開平8−244366号
公報に記載されているジシアノスチリル系イエロ染料、
トリシアノスチリル系マゼンタ染料、アントラキノン系
マゼンタ染料、アントラキノン系シアン染料が挙げられ
る。これらの染料は、気化残滓の低減と熱分解物の記録
部への付着を防止するため、昇華精製法、再結晶法、ゾ
ーンメルティング法、カラム精製法等、何らかの手段で
精製してから使用することが望ましい。
【0079】上記プリンタに適したインクの溶媒は融点
が50℃未満で、かつ沸点が150℃以上500℃未満
の範囲にあり、かつ熱分解温度が沸点より高く、かつ上
記染料に対する相溶性が高く、かつ人体に対する毒性が
低く、かつ無色であればどのような化合物でも使用でき
る。具体的にはフタル酸ジメチル、フタル酸ジエチル、
フタル酸ジブチル、フタル酸ジヘプチル、フタル酸ジオ
クチル、フタル酸ジイソデシル等のフタル酸エステル
類、セバシン酸ジブチチル、セバシン酸ジオクチル、ア
ジピン酸ジオクチル、アジピン酸ジイソデシル、アゼラ
イン酸ジオクチル、テトラヒドロフタル酸ジオクチル等
の脂肪酸2塩基酸エステル類、リン酸トリクレジル、リ
ン酸トリオクチル等のリン酸エステル類、アセチルクエ
ン酸トリブチル、ブチルフタリルブチルグリコレート等
一般にプラスティック用可塑剤と称される有機化合物類
等が使用できる。
【0080】また、インクには、インクの物性値を調整
するために、必要に応じて界面活性剤、粘度調整剤、防
腐剤等、適当な添加剤を添加することができる。ただ
し、これらの添加剤は、溶媒及び染料と同程度の沸点を
持つ必要がある。具体的には界面活性剤としては、フッ
素した化脂肪酸エステル、シリル化した脂肪酸エステ
ル、シリコーンオイル等を使用することができる。ま
た、粘度調整剤としては、グリセリン、テトラエチレン
グリコール等を使用することができる。
【0081】インクは、上述した溶媒に対して、上述し
た染料を5重量%以上、好ましくは10重量%以上、さ
らに好ましくは20重量%以上の割合で溶解して作製す
る。このとき、染料の溶解度を上げるために、2種以上
の染料を混合して使用してもよい。また、溶媒において
も、2種以上を混合して使用してもよい。そして、添加
剤は、必要に応じて添加すれば良い。
【0082】上記プリンタに適した印画紙は、PPC用
紙などの普通紙、アート紙などの上質紙などであるが、
特に階調性と濃度が高い高品質の画像を得るためには、
分散染料又は油溶性染料を発色させる樹脂として、ポリ
エステル、ポリカーボネート、アセテート、CAB、ポ
リ塩化ビニルなどを基紙上に塗布して作製した専用紙も
使用することができる。インクの吸収速度を向上させる
ためには、シリカ、アルミナのような多孔質顔料を添加
することにより大きな効果が得られる。特に高品位の記
録、例えば、平滑性、発色性、光沢性、インク吸収速度
という観点から言えば、PETフィルム等、フィルムベ
ースに光沢性を持たせるために0.1μm以下のサイズ
の多孔質顔料を添加した受像層を有する印画紙が優れて
いる。転写された画像の保存安定性を向上させるために
は、受像層中に紫外線吸収剤やラジカルクエンチャー等
の添加物を添加することにより効果が得られる。また、
転写後の印画紙に樹脂フィルムをラミネートすることも
有効である。
【0083】以上のように構成されたプリンタを用いて
駆動パルスが1種類の場合と駆動パルスが2種類の場合
において画像の転写を行い比較すると以下のようにな
る。
【0084】図11は、デューティを高く設定し、イン
クを気体状で飛翔させた場合の階調表現の一例であり、
図12は、デューティを低く設定し、インクを液体状で
飛翔させた場合の階調表現の一例である。そして、図1
1と図12では、同一のエネルギーを加えている。図に
示すインクを気体状で飛翔させた場合の階調は、低濃度
の部分が非常に安定しており見かけ上粒状感が認められ
ないが、最高濃度は、1.2と大きなものとは言えな
い。それに対して、図12に示すインクを液体状で飛翔
させた場合の階調は、低濃度の部分では安定しておらず
粒状感を伴ったものとなっているが、濃度は、63階調
付近で急激に立ち上がり、最高濃度は2.2と非常に大
きい。
【0085】そして、図13は、本発明を適用した一例
であるが、2種類の駆動パルスを用いてヒータを制御す
ることにより、低階調領域から高階調領域まで非常に円
滑に濃度が増加しており、また、全ての階調領域におい
て粒状感は認められなかった。
【0086】したがって、本発明によれば、2種類以上
の駆動パルスを用いてヒータを制御することにより、イ
ンクを気体状と液体状との2種類の状態に制御して吐出
させることができる。その結果、インク吐出のエネルギ
ー効率を高く維持しつつ、低階調領域から高階調領域ま
で粒状感のない良好な転写画像を得ることができる。
【0087】また、本発明は上記の説明に限定されるも
のではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において適
宜変更可能である。
【0088】
【発明の効果】以上詳細に説明したように、本発明に係
るプリンタは、転写画像に応じてヒータの制御条件を変
化させる。すなわち、2種類以上のヒータ制御駆動パル
スを用いてヒータを制御する。これにより、インクを気
体状と液体状との2種類の状態に制御して吐出させるこ
とができる。そして、インク吐出効率の高い液体状態で
のインク吐出状態とインク吐出のエネルギー効率の低い
気体状態でのインクの吐出状態を適宜組み合わせること
により、インク吐出のエネルギー効率を高く維持するこ
とができる。
【0089】したがって、本発明によればインク吐出の
エネルギー効率を高く維持するとともに階調表現の豊か
な、高品位な転写が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係るプリンタの一構成例を説明する斜
視図である。
【図2】デューティを高く設定した場合の駆動パルスの
一例を示す図である。
【図3】デューティを低く設定した場合の駆動パルスの
一例を示す図である。
【図4】転写の途中でヒータ加熱のデューティを変化さ
せた場合の階調とデューティとの関係の一例を示す図で
ある。
【図5】デューティが高い状態から低い状態に変化させ
た場合の駆動パルスの一例を示す図である。
【図6】プリンタヘッドの概略斜視図である。
【図7】プリンタヘッドにより印画紙に転写を行う状態
を示した概略断面図である。
【図8】転写部の拡大概略断面図である。
【図9】転写部付近の概略拡大平面図である。
【図10】転写部近傍の拡大平面図である。
【図11】従来のヒータ駆動方法によりデューティを低
く設定してヒータを制御した場合の階調と濃度との関係
を示した図である。
【図12】従来のヒータ駆動方法によりデューティを高
く設定してヒータを制御した場合の階調と濃度との関係
を示した図である。
【図13】本発明を適用したヒータ駆動方法によりヒー
タを制御した場合の階調と濃度との関係を示した図であ
る。
【符号の説明】
1 プリンタヘッド、2 ヘッド固定金具、3 インク
タンク、4 給紙ローラ、6 印画紙ケース、7 印画
紙、8 プラテンベルト、9 プラテンベルト駆動モー
タ、11 給紙ガイドローラ、12 排紙ローラ

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ベースプレート上に配設されたヒータチ
    ップと、上記ヒータチップに形成された加熱手段と、上
    記ヒータチップ上にヒータチップの長手方向にわたって
    1列以上のライン状に配設された凹凸構造を有する転写
    部とを備え、上記転写部に毛管現象によって保持された
    インクを、記録する情報に応じて加熱手段により加熱す
    ることによって、上記インクを被転写体に向けて飛翔さ
    せて、上記被転写体に情報を転写するプリンタヘッドを
    備えるプリンタであって、 上記ヒータは、上記被転写体に転写される画像の階調に
    応じて上記制御手段から出力される2種類以上の駆動パ
    ルスにより制御されることを特徴とするプリンタ。
  2. 【請求項2】 上記2種類以上の駆動パルスは、デュー
    ティの値を変化させて設定されていることを特徴とする
    請求項1記載のプリンタ。
  3. 【請求項3】 ベースプレート上に配設されたヒータチ
    ップと、上記ヒータチップに形成された加熱手段と、上
    記ヒータチップ上にヒータチップの長手方向にわたって
    1列以上のライン状に配設された凹凸構造を有する転写
    部とを備え、上記転写部に毛管現象によって保持された
    インクを、記録する情報に応じて加熱手段により加熱す
    ることによって、上記インクを被転写体に向けて飛翔さ
    せて、上記被転写体に情報を転写するプリンタヘッドを
    備えるプリンタを用いた転写方法であって、 上記制御手段から出力される2種類以上の駆動パルスに
    より上記被転写体に転写される画像の階調に応じて上記
    ヒータの駆動を制御することを特徴とする転写方法。
  4. 【請求項4】 上記2種類以上の駆動パルスは、デュー
    ティの値を変化させて設定されていることを特徴とする
    請求項3記載の転写方法。
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