JP3531435B2 - プリンタヘッド及びプリンタ - Google Patents

プリンタヘッド及びプリンタ

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JP3531435B2
JP3531435B2 JP23452297A JP23452297A JP3531435B2 JP 3531435 B2 JP3531435 B2 JP 3531435B2 JP 23452297 A JP23452297 A JP 23452297A JP 23452297 A JP23452297 A JP 23452297A JP 3531435 B2 JP3531435 B2 JP 3531435B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、インクを気化又は
溶発させてプリンタ用紙等の被転写体に転写する、所
謂、染料気化型熱転写方式のプリンタヘッド及びプリン
タに関する。
【0002】
【従来の技術】近年、例えば、パーソナルコンピュータ
等で処理したカラー画像や、ビデオカメラ、電子スチル
カメラ等で撮像したカラー画像をプリントアウトして、
鑑賞その他の目的に供することが行われている。このた
め、高品位なフルカラー画像が得られるプリンタに対す
るニーズが高まっており、特に、個人向けや、例えば、
「スモールオフィス」或いは「ホームオフィス」と呼ば
れる小規模なオフィス向けの比較的廉価なプリンタに対
しても、高品位なフルカラー画像の得られることが要求
され始めている。
【0003】カラープリンタ方式としては、従来、昇華
型熱転写方式(又は染料拡散熱転写方式)、溶融熱転写
方式、インクジェット方式、電子写真方式、熱現像銀塩
方式等が提案されているが、これらの中で、特に、高画
質の画像を比較的簡単な装置で手軽に出力できるものと
して、染料拡散熱転写方式とインクジェット方式が挙げ
られる。
【0004】染料拡散熱転写方式は、適当なバインダ樹
脂中に高濃度の転写染料を分散させたインク層をインク
リボン又はシートに塗布し、これを、転写された染料を
受容する染着樹脂がコーティングされた、所謂、熱転写
用紙に一定の圧力で密着させ、そのインクリボン又はシ
ート上から感熱ヘッド(サーマルヘッド)により熱を加
えて、その熱量に応じインクリボン又はシートから熱転
写用紙に転写染料を熱転写させるものである。
【0005】この操作を、例えば、滅法混色の三原色で
あるイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)に
分解された画像信号について夫々繰り返すことにより、
連続的な階調を持つフルカラー画像を得ることができ
る。
【0006】図25に、この方式によるプリンタのサー
マルヘッド周辺部の構成を示す。
【0007】サーマルヘッド101は、プラテンローラ
102に対向して配置され、それらの間を、例えば、ベ
ースフィルム103b上にインク層103aを設けたイ
ンクシート103と、紙104bの表面に染着樹脂層
(染料受容層)104aをコーティングした熱転写用紙
104とが、回転するプラテンローラ102によりサー
マルヘッド101に押し付けられた状態で走行する。
【0008】そして、印刷すべき画像に応じ、サーマル
ヘッド101により選択的に加熱されたインク層103
a中のインクが、そのインク層103aに接して加熱さ
れた熱転写用紙104の染着樹脂層104a中に熱拡散
し、例えば、ドットパターンでの転写が行われる。
【0009】この染料拡散熱転写方式は、プリンタの小
型化及び保守が容易で、且つ、即時性を備え、銀塩カラ
ー写真並の高品位な画像を得ることができる優れた技術
である。しかしながら、この方式では、インクリボン又
はシートの使い捨てに起因する多量の廃棄物の発生と高
いランニングコストが大きな欠点であった。また、熱転
写用紙を使用する必要が有り、この点でもコスト高にな
るという問題が有った。
【0010】溶融熱転写方式は、普通紙転写が可能であ
るが、やはり、インクリボン又はシートを使用するの
で、その使い捨てに起因する多量の廃棄物の発生と高い
ランニングコストの問題が有った。また、画像品位も銀
塩写真には及ばなかった。
【0011】熱現像銀塩方式は、高画質であるが、やは
り、専用の印画紙と使い捨てのリボン又はシートを使用
するためにランニングコストが高くなり、更に、この方
式では、装置コストが高いという問題も有った。
【0012】一方、インクジェット方式は、例えば、特
公昭61−59911号公報や特公平5−217号公報
等に示されているように、静電引力方式、連続振動発生
方式(ピエゾ方式)、サーマル方式(バブルジェット方
式)等の方法で、プリンタヘッドに設けられたノズルか
らインクの小滴を噴射させ、それをプリンタ用紙等に付
着させて印刷を行うものである。
【0013】従って、普通紙転写が可能であり、また、
インクリボン等も使用しないので、ランニングコストが
低く、更に、インクリボン等を使用する場合のような廃
棄物の発生が殆ど無い。最近では、特に、サーマル方式
が、簡易にカラー画像を印刷できることから、普及が拡
大している。
【0014】しかし、このインクジェット方式では、画
素内の濃度階調が原理的に困難であり、上述した染料拡
散熱転写方式で得られるような、銀塩写真に匹敵する高
画質の画像を短時間で再現することは困難であった。即
ち、従来のインクジェット方式では、インクの1液滴が
1画素を構成するので、原理的に画素内階調が困難であ
り、このため、高画質の画像形成ができなかった。イン
クジェットの高解像度を利用してディザ法による擬似階
調の表現も試みられているが、染料拡散熱転写方式と同
等の画質は得られず、しかも、転写速度は著しく低下す
る。
【0015】最近では、薄めたインクを使用して、画素
内で2乃至3階調を得るインクジェット方式も出現した
が、特に、自然画のような画像の場合、銀塩写真や染料
拡散熱転写方式と同等の画像品位を得ることは困難であ
った。
【0016】他方、電子写真方式は、ランニングコスト
は低く、転写速度も速いが、画像品位が銀塩写真に及ば
ないのみならず、装置コストが著しく高かった。
【0017】即ち、以上に説明した方式では、画質、ラ
ンニングコスト、装置コスト、転写時間等の要求を全て
満たすものが無かった。
【0018】そこで、それらの要求を全て満たし得るカ
ラープリンタ方式として、所謂、染料気化型熱転写方式
が提案された(例えば、特開平7−89107号公報及
び特開平7−89108号公報参照)。
【0019】この方式では、プリンタヘッドの転写部に
おいてインクを加熱して、気化又はアブレーション(ab
lation:「溶発」と称する。)によりインクを飛翔さ
せ、それを、例えば、50〜100μm程度のギャップ
を介して対向配置されたプリンタ用紙等の被転写体表面
に付着させて転写を行う。
【0020】転写部には、例えば、幅又は径が2μm程
度、高さ6μm程度の多数の柱状体を互いに2μm程度
の微小間隔で立設配置した凹凸構造によるインク保持構
造が設けられ、このインク保持構造の下にヒータが設け
られて、気化部が構成されている。
【0021】このようなインク保持構造を転写部に設け
ることにより、次のような効果が得られる。即ち、 (1)毛管現象によりインクが自発的に気化部に供給さ
れる。 (2)大きな表面積により、インクを効率的に加熱する
ことができる。 (3)柱状体の高さを適宜に設定することにより、常に
所定量のインクを気化部に保持させることができる。 (4)液体の表面張力は一般に負の温度係数を持つの
で、局所的に加熱されたインクは、温度の低い外周部へ
向かう力を受けるが、インク保持構造によりその移動が
最小限に抑制されて、転写感度の低下が防止される。
【0022】従って、このようなインク保持構造を設け
ることにより、気化部での加熱に応じた量のインクを気
化又は溶発させて、プリンタ用紙等に転写することがで
き、インク転写量の連続的な制御、即ち、画素内での濃
度階調が可能となる。この結果、例えば、銀塩カラー写
真に匹敵する高品位の画像を得ることができる。
【0023】また、インクリボン等を使用する必要が無
いので、ランニングコストが低く、更に、普通紙に対し
吸収性の高いインクを用いることで普通紙転写も可能と
なるので、普通紙の使用による低コスト化も可能とな
る。
【0024】また、この方式は、インク、即ち、染料の
気化又は溶発を利用したものであるため、インクを加熱
するプリンタヘッドの転写部をプリンタ用紙等の被転写
体に高い圧力で押し付けることは勿論、接触させる必要
も無く、従って、他の熱転写方式では往々にして起こり
得た、インクリボン等のインク加熱部とプリンタ用紙等
との熱融着の問題も発生しない。
【0025】
【発明が解決しようとする課題】この染料気化型熱転写
方式は、既述した染料拡散熱転写方式と同様、プリンタ
の小型化及び保守容易性、即時性、並びに、画像の高品
位性等の特長を備えた上に、インクリボン等の不使用に
よる廃棄物の低減及びランニングコストの低下を達成で
き、更には、普通紙使用にによる低コスト化も可能な優
れた技術である。
【0026】しかしながら、この方式による従来のプリ
ンタには、まだ改善の余地が有った。
【0027】即ち、この方式のプリンタでは、上述した
ように、プリンタヘッドの転写部において、気化部で消
費した量のインクが、上述したインク保持構造における
毛管現象により自発的にその気化部に補充されるように
なっている。ところが、この転写部にインクを供給する
ためにこの転写部に隣接して設けられたインク供給路に
おいて常に充分な量のインクが保持されていないと、そ
のインク供給路から転写部へのインクの供給が間に合わ
ず、結果として、インクの気化量に対し供給量が不足し
て、転写濃度の低下が生じたり、インクの連続的な供給
が継続できなくなって、転写画像にインク切れによる白
すじが発生したりすることが有った。
【0028】そこで、本発明の目的は、上述した染料気
化型熱転写方式の特長を充分に活かすべく、転写部にイ
ンクを供給するためのインク供給路において常に充分な
量のインクを保持させることができる構造のプリンタヘ
ッド及びプリンタを提供することである。
【0029】
【課題を解決するための手段】上述した課題を解決する
本発明のプリンタヘッドは、対向して配された被転写体
にインクを転写するインク転写部と、このインク転写部
にインクを供給するためのインク供給路とを有するプリ
ンタヘッドであって、前記インク転写部が、インクを加
熱して気化又は溶発させるためのヒータと、少なくとも
このヒータ上に設けられ、且つ、複数の微小間隙を有し
ていて、それらの微小間隙に毛管現象によりインクを侵
入させて保持するインク保持構造体とを備え、前記イン
ク供給路が、インクの表面張力によってインク液面を所
定高さに保持するインク液面保持手段を備えている。
【0030】また、本発明のプリンタは、対向して配さ
れた被転写体にインクを転写するインク転写部と、この
インク転写部にインクを供給するためのインク供給路と
を有するプリンタヘッドを備えたプリンタであって、前
記インク転写部が、インクを加熱して気化又は溶発させ
るためのヒータと、少なくともこのヒータ上に設けら
れ、且つ、複数の微小間隙を有していて、それらの微小
間隙に毛管現象によりインクを侵入させて保持するイン
ク保持構造体とを備え、前記インク供給路が、インクの
表面張力によってインク液面を所定高さに保持するイン
ク液面保持手段を備えている。
【0031】
【発明の実施の形態】以下、本発明を好ましい実施の形
態に従い説明する。
【0032】〔第1の実施の形態〕図8に、本発明の第
1の実施の形態によるプリンタヘッドの外観の概略斜視
図を、図9に、このプリンタヘッドによりプリンタ用紙
等の用紙に転写を行う状態の概略断面図を夫々示す。ま
た、図10に、このプリンタヘッドの下面図を、図11
に、プリンタヘッドのインク貯留部のカバーを外した状
態の下面図を夫々示す。
【0033】これらの図に示すように、プリンタヘッド
1は、ヒートシンクを兼ねた、例えば、アルミニウム
(Al)製のヘッドベース3を有している。このヘッド
ベース3の下面先端部寄りの部分には、後述する転写部
等を、例えば、シリコン基板上に形成したヒータチップ
4が、例えば、シリコーン系の接着剤により接着されて
いる。図9に一点鎖線Aで示す位置が、各転写部におけ
るインクの飛翔中心である。なお、このヒータチップ4
の接着部には、ヒータチップ4が均一に接着されるよう
に、ヘッドベース3表面に溝31が設けられ、ヒータチ
ップ4を接着する際の余分な接着剤が、この溝31に逃
げるようになっている。
【0034】ヘッドベース3には、また、発熱駆動用の
ドライバーIC51(図9及び図11参照)等を搭載し
たプリント基板5が、やはり、例えば、シリコーン系の
接着剤により接着されている。図9に明示するように、
このヘッドベース3のプリント基板5の取付け部は、プ
リント基板5の厚さ分だけ低い凹所に形成され、その凹
所にプリント基板5を取り付けた時に、そのプリント基
板5上に実装されているドライバーIC51を含む高さ
が、そのプリント基板5に並行して取り付けられている
ヒータチップ4の上面とほぼ同じ高さとなるように構成
されている。
【0035】また、ヒータチップ4上の電極パターン4
1(図11参照)とドライバーIC51との接続部、及
び、ドライバーIC51とプリント基板5上の配線パタ
ーン54(図11参照)との接続部には、夫々の接続部
における、図示省略した、例えば、接続用のボンディン
グワイヤを保護するために、例えば、シリコーン系のコ
ーティング材JCR(Junction Coating Resin) 52が
塗布され、熱硬化されている。
【0036】図8〜図10に示すように、プリント基板
5の一部とヒータチップ4の一部を覆う領域には、カバ
ー6が、やはり、例えば、シリコーン系の接着剤により
接着されている。一方、図9及び図11に示すように、
ヘッドベース3及びプリント基板5には、それらを貫通
したインク導入孔7が設けられている。そして、例え
ば、図外のインクタンクから、図示省略したフレキシブ
ルパイプ等を経て供給されたインク8が、このインク導
入孔7を通って、カバー6内に形成されたインク貯留部
61に供給され、そのインク8が、更に、このインク貯
留部61から、図11に示すように、ヒータチップ4上
に、多数の隔壁42と蓋材43とにより構成された多数
のインク供給路を経て、ヒータチップ4先端部の各転写
部(不図示)に供給される。
【0037】図9に示すように、印刷時、プリンタヘッ
ド1は、例えば、ヒータチップ4が設けられている側の
ヘッドベース3の先端部3aを用紙2に接触させた状態
で、用紙2に対し所定角度傾斜して保持される。従っ
て、インクの飛翔中心Aにおける転写部(不図示)と用
紙2との間隔が常に一定、例えば、50〜500μmの
ギャップに保たれる。
【0038】この時、図8及び図9に明示するように、
プリンタヘッド1に取り付けられるカバー6には、この
プリンタヘッド1と用紙2との間の傾斜角度に対応した
傾斜面6aが予め設けられていて、このカバー6が印刷
の邪魔にならないように配慮されている。
【0039】なお、図9〜図11中、符号53は、プリ
ント基板5の配線を、図外の、例えば、FPC(Flexib
le Print Circuit) に接続するためのコネクタである。
【0040】図1に、ヒータチップ4の先端部に設けら
れた転写部及びその付近の詳細を平面図で示す。また、
図5に、ヘッドベース3に取り付けられたヒータチップ
4の部分をカバー6を一部破断した状態の斜視図で示
す。更に、図6に、主としてヒータチップ4の部分の概
略断面図を、図7に、その転写部の拡大概略断面図を夫
々示す。
【0041】図6及び図7に示すように、ヒータチップ
4は、例えば、シリコンからなる基板44を有してお
り、この基板44上に、酸化シリコン(SiO2 )膜4
5を介して、ヒータとなる高抵抗ポリシリコン膜46が
形成されている。なお、基板44として、例えば、石英
基板のような絶縁基板を用いる場合には、SiO2 膜4
5等の絶縁膜を設けず、基板44上に直接ポリシリコン
膜46を形成しても良い。
【0042】図7に示すように、このポリシリコン膜4
6の上には、例えば、アルミニウム(Al)の配線パタ
ーンからなる共通電極41aと個別電極41bが夫々形
成されている。図4に、これらの共通電極41aと個別
電極41bのパターン形状を、図1に対応した平面図で
示す。この図4において、各電極41a、41bの下に
もポリシリコン膜46が形成されている(図7参照)。
即ち、ポリシリコン膜46は、その上に電極が存在する
部分では、配線の一部として機能し、その上に電極が存
在しない部分46aが、抵抗加熱によるヒータとして機
能する。そして、印刷すべき画像情報に応じて共通電極
41aと個別電極41bにより選択されたヒータ部46
aが加熱され、その上のインクを気化又は溶発させて、
用紙2(図9参照)等の被転写体に転写する。
【0043】例えば、1つのヒータチップ4内に、20
μm×20μm程度の大きさのヒータ部46aが約8
4.7μmの周期で256個形成され、これにより、1
個のヒータが1ドットの転写に対応するので、300d
piの解像度が実現される。
【0044】図6及び図7に示すように、ヒータチップ
4上には、電極41a、41b上を含む全面に保護膜と
してSiO2 膜47が形成されている。そして、図1及
び図7に示すように、各転写部Tを取り囲むとともに、
各転写部Tにインクを供給するための供給路Sを画定す
る隔壁47aと、各転写部Tにおいてインク保持構造を
構成する柱状体47bとが、このSiO2 膜47の夫々
一部として形成されている。即ち、例えば、CVD(化
学気相成長)法により所定膜厚に形成したSiO2 膜4
7を、所定パターンのエッチングマスクを用いて所定深
さだけ、例えば、RIE(Reactive Ion Etching) 法に
より異方性エッチングすることで、隔壁47aと各柱状
体47b並びにそれら以外の保護膜の部分が同時に形成
されている。
【0045】図1に示すように、各転写部Tには、例え
ば、9本×9本の正方マトリックス状に柱状体47bが
形成され(但し、図1では、7本×7本を示してい
る。)、そのうち中央の3本×3本がヒータ部46a上
に位置している。各柱状体47bの大きさは、例えば、
幅が0.2〜10μm程度、高さが2〜15μm程度と
し、これらを、例えば、0.2〜10μm程度の間隔で
配置する。なお、各柱状体47bの形状は、図示の例の
ような四角柱状に限らず、例えば、円柱状等でも良い。
【0046】図1に示すように、各転写部Tにインクを
供給するための供給路Sは、各転写部Tにおける柱状体
47bと同じ高さの隔壁47aにより夫々画定されてい
る。そして、図1及び図6に示すように、インク貯留部
61からこれらの供給路Sにインクを供給するためのイ
ンク流路が、例えば、シートレジストのパターンで構成
された隔壁42と、例えば、ニッケル(Ni)シートで
構成された蓋材43とにより夫々トンネル状に形成され
ている(図5参照)。
【0047】この時、図1及び図6に示すように、転写
部Tの側では、シートレジストからなる隔壁42が、転
写部Tのヒータ部46aの中心から、例えば、100μ
m程度後退した位置まで設けられており、また、蓋材4
3は、その隔壁42の端部から更に、例えば、100μ
m程度後退した位置まで設けられている。このように構
成することにより、転写部Tへの過剰なインク供給が防
止される。即ち、図6に示すように、インク貯留部61
から供給されるインク8は、まず、蓋材43の出口端近
傍で、その濡れ性及び表面張力の作用により、蓋材43
の壁面に沿って液面が上昇し、そこから次第に液面が低
くなるような状態で流れる。また、隔壁42の端部近傍
でも同様の現象が起こり、隔壁42の端部壁面から次第
に液面が低くなるような状態でインク8が流れる。従っ
て、これらの隔壁42や蓋材43が転写部Tにあまり近
過ぎると、転写部Tに過剰のインクが供給される虞が有
る。転写部T、特に、ヒータ部46a上に必要以上のイ
ンクが供給されると、インクを気化又は溶発するために
要するエネルギーが大きくなって、転写効率が低下して
しまう。また、この隔壁42及び蓋材43を夫々後退さ
せて設ける構成は、これらの隔壁42及び蓋材43が、
転写部Tに対向配置される用紙2(図9参照)等の被転
写体に接触しないようにするという意味も有る。
【0048】図1に示すように、シートレジストからな
る隔壁42により区画されたインク流路を流れてきたイ
ンク8は、その液面の低下に従い、各転写部Tの手前の
供給路Sを区画する隔壁47a上で分離され、各供給路
Sに流れ込む。そして、各転写部Tにおいては、図7に
示すように、隔壁47a及び柱状体47bの上面とほぼ
同じ高さでインク8が保持される。このように、各転写
部Tに、柱状体47bからなるインク保持構造を設ける
ことにより、各転写部Tに常に一定量のインク8を保持
させることができる。
【0049】また、各転写部Tにおいて、ヒータ部46
aの加熱により消費されたインクは、柱状体47bの存
在による毛管現象によりヒータ部46a上に自発的に補
充される。上に説明したインク貯留部61から各転写部
Tまでのインク8の流れは、全て、このインク8の自発
的な流れに因る。
【0050】図1に示すように、この第1の実施の形態
では、各転写部Tの手前の供給路S内において、その供
給路Sを区画する一対の隔壁47a間のほぼ中央位置
に、補助壁47cを設けている。この補助壁47cは、
例えば、SiO2 膜47により、上述した隔壁47a及
び柱状体47bと同時に形成される。従って、この補助
壁47cは、上述した隔壁47a及び柱状体47bとほ
ぼ同じ高さを有する。
【0051】以下、この補助壁47cの作用について説
明する。
【0052】各転写部Tにおけるインクの保持は、相対
する固体壁間の毛管現象に因る。例えば、図3(a)に
示すように、2枚の垂直な隔壁間に在る液体は、その液
体が隔壁面を濡らす場合、液体と隔壁面との間の接触
角、液体の表面張力及び隔壁間の距離によって決まる高
さhまで液面が引き上げられる。この第1の実施の形態
の場合には、各転写部Tにおける隔壁47a及び柱状体
47bの高さが上述のhよりも低いため、図7に示すよ
うに、ほぼ隔壁47a及び柱状体47bの高さでインク
8の液面が保持される。
【0053】一方、図3(b)に示すように、隔壁間の
間隔が広い場合には、夫々の垂直壁面における液体と壁
面との間の接触角及び液体の表面張力で決まる高さh′
から次第に液面が低下し、壁面から距離xの所で液面が
底面に接する状態となる。この状態がインクの供給路途
中に発生すると、その部分にインクの途切れた所ができ
てしまい、インクの供給切れを生じる。
【0054】図2(b)に示すように、各転写部Tに隣
接する供給路Sに補助壁を設けない場合には、それらの
供給路Sを画定する各一対の隔壁47a間の間隔d1
広いために、この供給路Sの途中で、上述した図3
(b)の状態が発生し、転写部Tに対するインクの供給
切れを起こすことが有った。即ち、図3(c)にインク
流路各部位における液面の変化を示すように、インク
は、蓋材の有る部分のインク流路から、蓋材が無く、シ
ートレジストの隔壁のみで構成されたインク流路を経て
供給路Sに供給されるが、供給路Sの幅が広いために、
図示の如く、転写部Tとの間にインクの途切れた部分が
形成され、このために、転写部Tに対するインクの供給
が滞ることが有った。
【0055】そこで、この第1の実施の形態では、図1
及び図2(a)に示すように、各供給路Sを区画する一
対の隔壁47a間のほぼ中央位置に、補助壁47cを設
けている。このような補助壁47cを設けることによ
り、図2(a)に示すように、補助壁47cと隔壁47
a間の間隔d2 は、補助壁47cを設けない場合の一対
の隔壁47a間の間隔d1 の半分よりも小さくなる。従
って、図3(d)に示すように、供給路Sの途中でのイ
ンクの液面が上昇し、転写部Tへの連続的なインクの供
給が可能となる。
【0056】実際に、転写部Tに柱状体47bを設けな
いプリンタヘッドを試作し、隔壁47aの高さを種々に
変更して、その隔壁47aからのインクの裾幅x(図3
(b)参照)を測定したところ、次のような結果が得ら
れた。なお、供給路Sにおける一対の隔壁47a間の距
離は約60μmとした。 〔表1〕 隔壁の高さ インクの裾幅x ─────────────────────── 約3.0μm 約 7.6μm 約4.7μm 約20.7μm 約7.2μm 約30μm以上 なお、隔壁47aの高さが約7.2μmの時は、供給路
Sから転写部Tに至るまで、インクの途切れた箇所が無
く、xの正確な測定はできなかった。また、本来なら、
インクが隔壁と接する点での液面の高さh′(従って、
インクの裾幅x)は、隔壁の高さによらず一定のはずで
あるが、この実験の構成の場合、供給路Sの転写部Tと
は反対の側は、液面が高い(約25μm)トンネル状の
インク流路に繋がっているため、隔壁47aの高さに応
じて、インク液面の高さ、従って、インクの裾幅xが変
化する結果となった。
【0057】この〔表1〕の結果から、隔壁47a等の
高さを、例えば、5μm程度とする場合、その隔壁47
aから20μm×2=40μm程度以上離れないよう
に、柱状体47bや補助壁47cを設ければ良いことが
分かる。但し、実際には、インクの表面張力が負の温度
依存性を持っているため、これよりも更に近接させて配
置するのが好ましい。
【0058】隔壁47aや柱状体47b等の高さを高く
すれば、インク供給の点では有利であるが、気化部にお
けるインク液面が上昇してインク量が増えるので、その
気化に必要なエネルギーが大きくなり、また、例えば、
SiO2 膜47の成膜やエッチングが困難になるという
問題も生じる。従って、実用的には、隔壁47aや柱状
体47b等の高さは、例えば、5〜6μm程度が適当で
ある。
【0059】この第1の実施の形態のプリンタヘッド1
に使用するインク8は、染料、溶媒、及び、必要に応じ
て添加する添加剤から構成し、転写感度、熱安定性、画
像品位、保存安定性等を最適化するように、それらの材
料及び配合比を決定する。
【0060】インクの溶媒は、例えば、その融点が50
℃未満で、且つ、沸点が250℃以上、500℃未満の
範囲に在り、更に、熱分解温度が沸点よりも高いものを
用いる。融点が50℃以上の溶媒を用いると、その溶媒
と染料を混合して作るインクが、例えば、室温での保存
時に凝固してしまう虞が有る。また、溶媒の沸点が25
0℃未満であると、プリンタヘッドの転写部近傍の大気
への露出部分において、インクから溶媒だけが選択的に
揮発してしまう虞が有る。更に、溶媒の沸点が500℃
以上であると、インクの気化の効率が悪くなって、転写
感度が低下するだけでなく、インクが気化する前に熱分
解過程が進行する虞が有る。また、溶媒の分子量は、4
50以下であることが好ましい。この分子量が大き過ぎ
ると、気化時の膨張率が小さくなり過ぎて、転写感度が
低下する虞が有る。更に、溶媒は、例えば、アート紙の
繊維質に自発的に吸収される性質を持つことが、普通紙
転写の観点から好ましい。
【0061】また、この溶媒に、例えば、5wt%以上の
染料を溶解させるためには、25℃での溶媒の溶解度パ
ラメータ(J.H.ヒルデブランドにより定義)の値が
7.5〜10.5の範囲であることが好ましい。この溶
解度パラメータが10.5より大きいと、染料の溶解度
が低くなり過ぎるとともに、空気中の水分を吸収して転
写感度の再現性が悪化する虞が有る。一方、この溶解度
パラメータが7.5より小さいと、やはり染料の溶解度
が低くなり過ぎる虞が有る。更に、溶媒は、引火点が1
50℃以上で、且つ、人体に対する毒性が低く、無色で
あることが好ましい。
【0062】この溶媒として使用可能な材料には、例え
ば、フタル酸ジメチル、フタル酸ジエチル、フタル酸ジ
ブチル、フタル酸ジイソブチル、フタル酸ジヘキシル、
フタル酸ジヘプチル、フタル酸ジオクチル、フタル酸ジ
イソデシル等のフタル酸エステル類;セバシン酸ジブチ
ル、セバシン酸ジオクチル、アジピン酸ジオクチル、ア
ジピン酸ジイソデシル、アゼライン酸ジオクチル、テト
ラヒドロフタル酸ジオクチル等の脂肪酸2塩基酸エステ
ル類;リン酸トリクレジル、リン酸トリオクチル等のリ
ン酸エステル類;アセチルクエン酸トリブチル、ブチル
フタリルブチルグリコレート等、一般にプラスチック用
可塑剤と称される有機化合物類;エチルナフタレン、プ
ロピルナフタレン、ヘキシルナフタレン、オクチルベン
ゼン等の芳香環とアルキル鎖が組み合わさった有機化合
物類等が有る。
【0063】また、インクに用いる染料は、例えば、沸
点が250℃以上、500℃未満の範囲に在り、且つ、
熱分解温度が沸点より高いものとする。この染料の沸点
が250℃未満であると、プリンタヘッドを予備加熱し
た際、インクの一部が気化して用紙等の被転写体の地汚
れを引き起こす虞が有る。一方、この染料の沸点が50
0℃以上であると、染料の気化の効率が悪くなって、転
写感度が低下するだけでなく、インクが気化する前に熱
分解過程が進行する虞が有る。更に、染料は、プロセス
カラーとして適当な色相を持ち、上述した溶媒に対する
モル吸光係数が10000以上で、且つ、人体に対する
毒性が低く、上述した溶媒との共存下で、光に対する耐
性が高いものであることが好ましい。
【0064】また、この染料は、上述した25℃での溶
解度パラメータの値が7.5〜10.5の範囲に在り、
且つ、空気中で200℃に加熱した時の気化速度が1×
10-4g/m2 sec 以上であり、更に、その条件で気化
しない残留分の割合が0.1%以下であるのが好まし
い。この染料の溶解度パラメータが上記範囲外である
と、染料が、上述した溶媒に5wt%以上溶解しない。ま
た、染料の耐熱性が低く、或いは、染料中に不揮発性不
純物が多量に有って、空気中で200℃に加熱した時の
残留分の割合が0.1%以上であると、転写部のインク
保持構造にインクの劣化物が蓄積して、プリンタヘッド
の目詰まりを引き起こす虞が有る。
【0065】この染料としては、例えば、本出願人が先
に特開平8−244363号公報、特開平8−2443
64号公報及び特開平8−244366号公報において
提案した、下記〔化1〕に一般式を示すジシアノスチリ
ル系イエロー染料、
【0066】
【化1】
【0067】下記〔化2〕に一般式を示すトリシアノス
チリル系マゼンタ染料、
【0068】
【化2】
【0069】下記〔化3〕に一般式を示すアントラキノ
ン系シアン染料、
【0070】
【化3】
【0071】等を用いることができる。
【0072】これらの染料は、例えば、空気中で200
℃に加熱した時の残留分の割合を0.1%以下に抑える
ために、昇華精製法、再結晶法、ゾーンメルティング
法、カラム精製法等の手段で精製してから使用するのが
望ましい。
【0073】また、インクの各種物性値を調整するため
に、必要に応じて、界面活性剤、粘度調整剤等、適当な
添加剤を添加しても良い。但し、それらの添加剤は、溶
媒や染料と同程度の沸点を持つ必要が有る。例えば、界
面活性剤として、フッ素化脂肪酸エステル、シリコーン
オイル等を用いることができる。
【0074】インクは、例えば、50℃以下の温度範囲
で、上述した溶媒に、上述した染料を5wt%以上、好ま
しくは、10wt%以上、より好ましくは、20wt%以
上、溶解させて作製する。この時、溶解度を上げるため
に、2種以上の染料を混合して使用しても良い。また、
同時に、溶媒も2種以上を混合して使用しても良い。添
加剤は、必要に応じて添加する。インクは、毛管現象に
より効率良く転写部に供給されるために、その表面張力
が、25℃で、15mN/m以上であるのが好ましい。
【0075】このプリンタ方式に適した用紙は、例え
ば、PPC用紙等の普通紙、アート紙等の上質紙である
が、特に、階調性と濃度が高い高品質の画像を得るため
に、例えば、分散染料又は油溶性染料の発色を促進する
樹脂として、ポリエステル、ポリカーボネート、アセテ
ート、CAB、ポリ塩化ビニル等を表面にコーティング
した専用紙を使用しても良い。また、例えば、インクの
吸収速度を向上させるために、シリカ、アルミナ等の多
孔質顔料の添加も効果的である。
【0076】図23及び図24に、この第1の実施の形
態のプリンタヘッドをシリアル方式のプリンタ及びライ
ン方式のプリンタに夫々用いる例を示す。
【0077】図23のシリアル方式のプリンタの場合に
は、図示の如く、用紙2の送り方向(図中、X方向)と
直角の方向(図中、Y方向)に沿って、イエロー
(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)の各色用のプリ
ンタヘッド1を配置する。なお、これに、更に、黒用の
プリンタヘッドを加えても良い。各プリンタヘッド1
は、例えば、連結材15を介して送り軸13に取り付け
られた可動片14に固定される。そして、図外の駆動源
による送り軸13の回転により、各プリンタヘッド1
が、図中、Y方向に往復動する。一方、用紙2は、各プ
リンタヘッド1による1ラインの走査毎に、送りローラ
11により、図中、X方向に送られ、各プリンタヘッド
1とプラテン12とに挟まれた位置で、各プリンタヘッ
ド1による印刷が行われる。
【0078】図24のライン方式のプリンタの場合に
は、図示の如く、用紙2の送り方向(図中、X方向)と
直角の方向(ライン方向)に延びるプリンタヘッド1
を、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)の
各色毎に配置する。なお、これに、更に、黒用のプリン
タヘッドを加えても勿論良い。用紙2は、送りローラ1
1により、図中、X方向に送られ、各プリンタヘッド1
とプラテン12とに挟まれた位置で、各プリンタヘッド
1によるライン単位の印刷が行われる。
【0079】以上に説明した第1の実施の形態によるプ
リンタヘッドでは、図1及び図2(a)に示すように、
転写部Tに隣接する供給路S内に、補助壁47cからな
るインク液面保持手段を設け、この供給路S内において
インクの途切れが起こらないようにしている。従って、
転写部Tで消費されたインクの補充が、インクの自発的
な流れだけによっても確実に行われ、インクの供給切れ
による印刷不良の発生が防止される。
【0080】〔第2の実施の形態〕図12に、本発明の
第2の実施の形態によるプリンタヘッドの転写部付近の
構成を示す。
【0081】この第2の実施の形態では、例えば、図2
に示した第1の実施の形態とほぼ同様の構成において、
図12に示すように、転写部Tにおける柱状体47bに
よるインク保持構造のパターンを、供給路Sを画定する
一対の隔壁47aと補助壁47cとの間の部分にまで延
長して設けている。
【0082】従って、その延長部分Eにおける柱状体4
7bにより、供給路Sにおいても、転写部Tとほぼ同じ
高さにインク液面を保持することができ、供給路Sにお
けるインク保持量を多くすることができて、転写部Tへ
のインクの供給をより確実に行うことができる。
【0083】〔第3の実施の形態〕図13に、本発明の
第3の実施の形態によるプリンタヘッドの転写部付近の
構成を示す。
【0084】この第3の実施の形態では、例えば、図2
に示した第1の実施の形態おける補助壁の部分を、図1
3に示すように、転写部Tにおける柱状体47bによる
インク保持構造のパターンの延長部分Eにより構成して
いる。
【0085】この構成においては、供給路S内の、上述
した第1の実施の形態の補助壁に相当する箇所におい
て、転写部Tとほぼ同じ高さにインク液面を保持するこ
とができ、また、その補助壁に相当する箇所と隔壁47
aとの間の部分においてもインク液面を上昇させること
ができる。
【0086】〔第4の実施の形態〕図14に、本発明の
第4の実施の形態によるプリンタヘッドの転写部付近の
構成を示す。
【0087】この第4の実施の形態では、図示の如く、
プリンタヘッドの転写部Tの付近を、隔壁47a及び供
給路Sの部分も含めて、全て、柱状体47bによるイン
ク保持構造のパターンで埋め尽くしている。隔壁47a
は、転写部Tの前端側にのみ設けられている。
【0088】この構成では、転写部T及び供給路Sを含
むかなり広い領域にインクを保持することができるの
で、インクの保持量が非常に多くなり、また、インクが
基本的にどの方向にも流れ得るので、インク補充の融通
性が高くなり、各転写部Tにおけるインクの供給切れを
より確実に防止することができる。反面、使用されずに
残る無駄なインクが多くなり、その残ったインクによる
目詰まり等が発生し易いという欠点も有る。
【0089】〔第5の実施の形態〕図15に、本発明の
第5の実施の形態によるプリンタヘッドの転写部付近の
構成を示す。
【0090】この第5の実施の形態では、図示の如く、
転写部Tに隣接する供給路S自体の幅を狭くして、そこ
におけるインク液面の保持を達成している。但し、この
場合には、供給路S自体の幅をあまり狭くし過ぎると、
そこに保持されるインクの絶対量が逆に減少する虞が有
り、また、インクの流れにも支障を来す虞が有るので、
供給路S自体の幅d3 は、少なくとも40μm程度は確
保するのが好ましい。
【0091】〔第6の実施の形態〕図16に、本発明の
第6の実施の形態によるプリンタヘッドの転写部付近の
構成を示す。
【0092】この第6の実施の形態では、例えば、図2
に示した第1の実施の形態とほぼ同様の構成において、
図16に示すように、補助壁47cの前端部を、転写部
Tにおけるヒータ部46aにできるだけ近付けて配置し
ている。この場合、図示の如く、転写部Tにおいてヒー
タ部46aの直上位置に形成される気化部と補助壁47
cの前端部との間に、少なくとも1列の柱状体47bを
介在させるのが好ましい。これにより、気化部において
消費されたインクの補充を好適に行うことができる。
【0093】〔第7の実施の形態〕図17に、本発明の
第7の実施の形態によるプリンタヘッドの転写部付近の
構成を示す。
【0094】この第7の実施の形態では、図16に示し
た第6の実施の形態とほぼ同様の構成において、図17
に示すように、補助壁47cの前端部を先細の形状に構
成している。これにより、気化部へのインクの流れがス
ムーズになり、インクの供給を好適に行うことができ
る。
【0095】〔第8の実施の形態〕図18に、本発明の
第8の実施の形態によるプリンタヘッドの転写部付近の
構成を示す。
【0096】この第8の実施の形態では、例えば、図1
に示した第1の実施の形態とほぼ同様の構成において、
図18に示すように、転写部T間の部分の隔壁47aを
無くして、転写部Tが互いに連通するようにしている。
このように構成することにより、隣接する転写部T間を
インクが流れることができ、例えば、或る転写部Tに対
する本来のインク供給経路に支障が生じて、その転写部
Tへのインクの供給が行われなくなったような場合で
も、隣接する転写部Tからその転写部Tへインクが供給
されるので、印刷不良を引き起こすことが回避される。
【0097】以上に説明した第1〜第8の実施の形態に
よれば、転写部Tに隣接する供給路Sにおいてもインク
8の液面が所定高さに保持されるので、その供給路Sか
ら転写部Tへのインクの供給が、インク8の自発的な流
れに頼るだけであっても、常に確実且つ円滑に行われ
る。従って、転写部Tへのインク8の供給不足による濃
度ムラや、転写部Tへのインク8の供給切れに起因する
印刷時の白すじの発生等を防止することができる。
【0098】次に、図19〜図22を参照して、本発明
の第9〜第11の実施の形態を説明する。
【0099】図19(a)に示すように、転写部Tにお
いて、ヒータ部46aの直上位置の気化部Vに、転写部
Tの他の部分と同様に柱状体47bが整列配置されてい
ても、転写が安定に進行している時には、図19(b)
に示すように、気化部Vの中心部分にはインク8が殆ど
無く、インク8の気化は、その大部分が、気化部Vの境
界付近で起こる。即ち、ヒータ部46aの中心部では、
その周囲よりも温度が高くなるので、この温度分布によ
る表面張力の不均一性により、ヒータ部46aの中心部
のインク8が外側に移動し、この結果、気化部Vの中心
部分にはインク8が殆ど無くなる。
【0100】一方、例えば、熱による劣化物の付着等に
より柱状体47bの表面性が変化して、インク8との間
の濡れ性が良くなると、例えば、図19(c)に示す中
央の転写部Tのように、インク8が気化部Vの中心部分
にまで侵入し、その転写部Tによる転写感度が急激に増
大する。又、同図に示すように、転写部T間で、インク
8の侵入先端位置、即ち、インク8の無い部分の面積及
び周囲長が不均一になる。
【0101】このように、転写部Tによって気化部Vへ
のインク8の侵入度合いが異なると、印刷の画素間で濃
度ムラが発生し、得られる印刷画像の品位が低下する。
また、個々の転写部Tにおいても、インク8の侵入先端
位置に再現性が無いと、各転写部Tの転写感度特性(ガ
ンマ特性)が不安定になり、やはり、濃度ムラの原因と
なる。
【0102】以下に説明する第9〜第11の実施の形態
は、主として、この問題を解決するための構成である。
【0103】〔第9の実施の形態〕図20に、本発明の
第9の実施の形態によるプリンタヘッドの転写部付近の
構成を示すが、この第9の実施の形態では、図示の如
く、転写部Tの気化部Vにおいて、柱状体47bを、本
来の配置パターンから所定数、欠落させて配置してい
る。
【0104】即ち、本来の配置パターンでは、図19に
示すように、ヒータ部46a上のやや内側位置に3本×
3本の柱状体47bが配置されるが、この第9の実施の
形態では、図20(a)に示すように、そのうちの中央
の5本を欠落させ、四隅の4本だけを残している。これ
により、気化部Vの中心部に比較的広い間隙が形成さ
れ、図20(b)及び(c)に示すように、その気化部
Vの中心部へは殆どインク8が行かないようになってい
る。一方、気化部Vの境界部分では、柱状体47bによ
りインク8が所定高さに保持され、常に均一な転写が行
われる。
【0105】このように、各転写部Tにおいて、気化部
Vの中心部に意図的にインク8を行かさないように構成
することにより、図20(c)に示すように、インク8
の侵入先端位置が、いずれの転写部Tにおいても常にほ
ぼ同一となり、また、個々の転写部Tでのその再現性も
向上する。この結果、印刷画像における濃度ムラが大幅
に低減する。
【0106】〔第10の実施の形態〕図21に、本発明
の第10の実施の形態によるプリンタヘッドの転写部付
近の構成を示すが、この第10の実施の形態では、図示
の如く、気化部V及びその周辺における柱状体47bの
配置パターンを他の部分とは異ならせている。
【0107】即ち、転写部Tにおける柱状体47bの基
本配置パターンは9本×9本の正方マトリックス状であ
るが、ヒータ部46a上の気化部Vでは、その基本配置
パターンのピッチよりも大きなピッチで4本の柱状体4
7bを配置している。また、この気化部Vの四辺に隣接
する9本の柱状体47bのうち、各辺の中央に位置する
4本の柱状体47bを、夫々、気化部V寄りに偏位させ
て、気化部V内の4本の柱状体47bとの間隔を調整し
ている。
【0108】このような構成によっても、気化部Vの中
心部に比較的広い間隙が形成されるので、図21(b)
に示すように、その気化部Vの中心部へは殆どインク8
が行かず、一方、気化部Vの境界部分では、柱状体47
bによりインク8が所定高さに保持されて、常に均一な
転写が行われる。
【0109】〔第11の実施の形態〕図22に、本発明
の第11の実施の形態によるプリンタヘッドの転写部付
近の構成を示すが、この第11の実施の形態では、図2
2(a)に示すように、気化部Vの中心部に、他の柱状
体46bよりも大きく、且つ、ヒータ部46aの大きさ
よりも少し小さい断面形状を有する四角柱状の無垢の柱
状体47dを設けている。
【0110】従って、図22(b)及び(c)に示すよ
うに、この柱状体47dの外壁面が、気化部Vの中心部
へのインク8の侵入を阻止するインク侵入防止壁として
機能すると同時に、この外壁面と、その周囲の柱状体4
7bとの間に所定高さのインク8が保持されて、常に均
一な転写が行われる。
【0111】なお、柱状体47dは、その中心部に空隙
を有する中空の断面形状であっても良い。
【0112】以上に説明した第9〜第11の実施の形態
においては、供給路S内に設けた補助壁47cにより、
既述した第1の実施の形態と同様の効果が得られる。更
に、これら第9〜第11の実施の形態では、インク8の
気化が気化部Vの周縁部でのみ起こり、気化部Vの中心
部には、インク8が侵入し難い、或いは、侵入しないよ
うに構成しているので、気化部Vで気化するインクの量
を常に一定に保つことができ、その経時時な変化を防止
することができる。この結果、印刷時の画素間での濃度
ムラを小さくすることができ、経時的な画像品位の低下
を抑制することができる。
【0113】
【実施例】以下、本発明の実施例を説明する。
【0114】実施例1 既述した第1の実施の形態に従い、図1及び図2(a)
に示すような柱状体配置の転写部Tを備えたプリンタヘ
ッドを作製した。各柱状体47bは、縦横が約3μm×
約3μm、高さが約6μmの直方体形状で、これを、約
6μmの中心間距離で、9本×9本の正方マトリックス
状に配置した。隣接する転写部T同士は、柱状体47b
と同じ約6μmの高さで且つ幅が約25μmの隔壁47
aにより互いに分離し、転写部T毎に供給路Sを設け
た。更に、各供給路Sのほぼ中央位置に、高さ約6μ
m、幅約10μmの補助壁47cを配置した。
【0115】印刷に用いるインクとして、下記〔化4〕
に示すジシアノスチリル系イエロー染料、
【0116】
【化4】
【0117】下記〔化5〕に示すトリシアノスチリル系
マゼンタ染料、
【0118】
【化5】
【0119】下記〔化6〕に示すアントラキノン系シア
ン染料、
【0120】
【化6】
【0121】を、夫々、フタル酸ジブチルに室温で約1
0wt%溶解し、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シア
ン(C)の各色のインクを作製した。
【0122】プリンタヘッドを3個用意し、夫々のヘッ
ドにインクを導入すると、インクは、インク貯留部(図
9の符号61)から、各供給路を通り、各転写部に自発
的に移動した。
【0123】各色のインクの入った3個のプリンタヘッ
ドをシリアル方式のプリンタに組み込み、用紙をセット
した。用紙は、ピーチコート用紙(日清紡社製)を用い
た。用紙と各プリンタヘッドの転写部との間隔は約15
0μmに調整し、印刷を行った。
【0124】印刷データは、各プリンタヘッドと用紙を
相対的に移動させながら、各ヒータ部への駆動パルスの
1ドット当たりのオン時間を16段階で変化させ、これ
により、16階調の画像を印刷した。
【0125】マクベス濃度計で測定した最高感度は、イ
エロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)につき、
夫々、約1.8、約1.9、約1.8であった。また、
1個のプリンタヘッドの256個のヒータ部を同一条件
で駆動した時のマイクロデンシトメータ(サカタインク
ス社製)で測定した最大濃度ムラは約1.9%以内であ
った。更に、隣接画素間の濃度ムラは約0.9%以内で
あった。
【0126】また、1〜16階調のいずれにおいても、
256個のヒータ部間の濃度ムラに大きな差は無く、均
一な転写画像が得られた。
【0127】比較例1 供給路S内に補助壁を設けなかった以外は、上述の実施
例1と同一構造のプリンタヘッドを作製し、実施例1と
同一の条件で印刷を行った。
【0128】マクベス濃度計で測定した最高感度は、イ
エロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)につき、
夫々、約1.8、約1.9、約1.8であった。
【0129】1〜16階調のうち、特に、ヒータオン時
間の長い高濃度の転写の際、インクの供給の途切れた転
写部が生じ、転写画像に白抜けのすじとなる部分が数カ
所発生した。結果として、均一な転写画像は得られなか
った。
【0130】実施例2 既述した第2の実施の形態に従い、図12に示すような
柱状体配置の転写部Tを備えたプリンタヘッドを作製し
た。各柱状体47bは、縦横が約3μm×約3μm、高
さが約6μmの直方体形状で、これを、約6μmの中心
間距離で、基本的に、9本×9本の正方マトリックス状
に配置した。隣接する転写部T同士は、柱状体47bと
同じ約6μmの高さで且つ幅が約25μmの隔壁47a
により互いに分離し、転写部T毎に供給路Sを設けた。
更に、各供給路Sのほぼ中央位置に、高さ約6μm、幅
約10μmの補助壁47cを配置した。また、柱状体4
7bは、補助壁47cの一部と並立する部分まで延長し
て配置した。
【0131】実施例1と同一の条件で印刷を行ったとこ
ろ、マクベス濃度計で測定した最高感度は、イエロー
(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)につき、夫々、
約1.8、約1.9、約1.8であった。また、1個の
プリンタヘッドの256個のヒータ部を同一条件で駆動
した時の最大濃度ムラは約1.9%以内であった。更
に、隣接画素間の濃度ムラは約0.9%以内であった。
【0132】また、1〜16階調のいずれにおいても、
256個のヒータ部間の濃度ムラに大きな差は無く、均
一な転写画像が得られた。
【0133】実施例3 既述した第3の実施の形態に従い、図13に示すような
柱状体配置の転写部Tを備えたプリンタヘッドを作製し
た。各柱状体47bは、縦横が約3μm×約3μm、高
さが約6μmの直方体形状で、これを、約6μmの中心
間距離で、基本的に、9本×9本の正方マトリックス状
に配置した。隣接する転写部T同士は、柱状体47bと
同じ約6μmの高さで且つ幅が約25μmの隔壁47a
により互いに分離し、転写部T毎に供給路Sを設けた。
そして、各供給路Sのほぼ中央位置に、補助壁の代わり
に、3列の柱状体47bを延長して配置した。
【0134】実施例1と同一の条件で印刷を行ったとこ
ろ、マクベス濃度計で測定した最高感度は、イエロー
(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)につき、夫々、
約1.8、約1.9、約1.8であった。また、1個の
プリンタヘッドの256個のヒータ部を同一条件で駆動
した時の最大濃度ムラは約1.9%以内であった。更
に、隣接画素間の濃度ムラは約0.9%以内であった。
【0135】また、1〜16階調のいずれにおいても、
256個のヒータ部間の濃度ムラに大きな差は無く、均
一な転写画像が得られた。
【0136】実施例4 既述した第4の実施の形態に従い、図14に示すような
柱状体配置を備えたプリンタヘッドを作製した。即ち、
転写部T及び供給路Sを含む領域の全面に、実施例1と
同様の柱状体47bを配置し、転写部T間及び供給路S
間を分離する隔壁は設けなかった。但し、プリンタヘッ
ドの前端側のみ、インクがチップのエッジに流れ出すの
を防止するため、柱状体47bと同じ約6μmの高さで
且つ幅が約15μmの隔壁47aを設けた。
【0137】実施例1と同一の条件で印刷を行ったとこ
ろ、マクベス濃度計で測定した最高感度は、イエロー
(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)につき、夫々、
約2.1、約2.2、約2.1であった。また、1個の
プリンタヘッドの256個のヒータ部を同一条件で駆動
した時の最大濃度ムラは約1.9%以内であった。更
に、隣接画素間の濃度ムラは約0.9%以内であった。
【0138】また、1〜16階調のいずれにおいても、
256個のヒータ部間の濃度ムラに大きな差は無く、均
一な転写画像が得られた。
【0139】実施例5 既述した第9の実施の形態に従い、図20(a)に示す
ような柱状体配置の転写部Tを備えたプリンタヘッドを
作製した。即ち、各転写部Tにおいて、ヒータ部46a
上の中央の5本を除いたパターンに柱状体47bを設け
た以外は、実施例1と実質的に同一構造のプリンタヘッ
ドを作製した。
【0140】実施例1と同一の条件で印刷を行い、その
転写動作中のインクの動きを観察すると、図20(c)
に示すように、全ての転写部Tにおいて、インク8はほ
ぼ同じ面積だけ周囲に移動していた。
【0141】また、マクベス濃度計で測定した最高感度
は、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)に
つき、夫々、約1.7、約1.8、約1.6であった。
また、1個のプリンタヘッドの256個のヒータ部を同
一条件で駆動した時の最大濃度ムラは、夫々、約0.6
%以内、約0.7%以内、約0.6%以内であった。更
に、隣接画素間の濃度ムラは、夫々、約0.4%以内、
約0.4%以内、約0.3%以内であった。
【0142】また、A6換算で100枚転写した後の最
高感度は、夫々、約1.8、約2.0、約1.7にな
り、最大濃度ムラは、夫々、約0.8%以内、約0.8
%以内、約0.7%以内、隣接画素間の濃度ムラは、夫
々、約0.5%以内、約0.6%以内、約0.4%以内
になった。
【0143】実施例6 既述した第10の実施の形態に従い、図21(a)に示
すような柱状体配置の転写部Tを備えたプリンタヘッド
を作製した。即ち、各転写部Tにおいて、ヒータ部46
a上及びそれに隣接する柱状体47bの配置パターンを
変えた以外は、実施例1と実質的に同一構造のプリンタ
ヘッドを作製した。
【0144】実施例1と同一の条件で印刷を行い、その
転写動作中のインクの動きを観察すると、図21(b)
に示すように、全ての転写部Tにおいて、インク8はほ
ぼ同じ面積だけ周囲に移動していた。
【0145】また、マクベス濃度計で測定した最高感度
は、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)に
つき、夫々、約1.6、約1.7、約1.6であった。
また、1個のプリンタヘッドの256個のヒータ部を同
一条件で駆動した時の最大濃度ムラは、夫々、約0.7
%以内、約0.7%以内、約0.6%以内であった。更
に、隣接画素間の濃度ムラは、夫々、約0.4%以内、
約0.5%以内、約0.3%以内であった。
【0146】また、A6換算で100枚転写した後の最
高感度は、夫々、約1.8、約1.9、約1.6にな
り、最大濃度ムラは、夫々、約0.9%以内、約0.9
%以内、約0.7%以内、隣接画素間の濃度ムラは、夫
々、約0.6%以内、約0.7%以内、約0.5%以内
になった。
【0147】実施例7 既述した第11の実施の形態に従い、図22(a)に示
すような柱状体配置の転写部Tを備えたプリンタヘッド
を作製した。即ち、各転写部Tにおいて、ヒータ部46
a上に、縦横が約16μm×約16μm、高さが約6μ
mの直方体形状の柱状体47dを設けた以外は、実施例
1と実質的に同一構造のプリンタヘッドを作製した。
【0148】実施例1と同一の条件で印刷を行い、その
転写動作中のインクの動きを観察すると、図22(c)
に示すように、全ての転写部Tにおいて、インク8は、
ヒータ部46aの周縁部上にのみ侵入した。
【0149】また、マクベス濃度計で測定した最高感度
は、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)に
つき、夫々、約1.8、約1.9、約1.7であった。
また、1個のプリンタヘッドの256個のヒータ部を同
一条件で駆動した時の最大濃度ムラは、夫々、約0.5
%以内、約0.6%以内、約0.5%以内であった。更
に、隣接画素間の濃度ムラは、夫々、約0.3%以内、
約0.4%以内、約0.3%以内であった。
【0150】また、A6換算で100枚転写した後の最
高感度は、夫々、約2.0、約2.0、約1.8にな
り、最大濃度ムラは、夫々、約0.8%以内、約0.9
%以内、約0.7%以内、隣接画素間の濃度ムラは、夫
々、約0.5%以内、約0.5%以内、約0.4%以内
になった。
【0151】
【発明の効果】本発明においては、対向して配された被
転写体にインクを転写するインク転写部と、このインク
転写部にインクを供給するためのインク供給路とを有
し、前記インク転写部が、インクを加熱して気化又は溶
発させるためのヒータと、少なくともこのヒータ上に設
けられ、且つ、複数の微小間隙を有していて、それらの
微小間隙に毛管現象によりインクを侵入させて保持する
インク保持構造体とを備えているプリンタヘッドの前記
インク供給路に、インクの表面張力によってインク液面
を所定高さに保持するインク液面保持手段を設けてい
る。
【0152】従って、インク供給路にも常に充分な量の
インクを保持させておくことができ、インクの自発的な
流れだけによっても、インク転写部への継続的なインク
供給を支障無く行うことができる。この結果、印刷画像
における濃度ムラや白すじ等の発生を防止することがで
きる。
【0153】また、印刷すべき画像データに応じて各ヒ
ータに供給するエネルギーを制御することにより、イン
クの気化又は溶発量を連続的に制御することが可能であ
るため、光学濃度が充分に高く且つ多値濃度階調が可能
な高品位の画像を得ることができる。
【0154】更に、本発明のプリンタヘッド及びプリン
タは、基本的に、熱転写方式であるため、小型化、保守
容易性、即時性、画像の高品位性、高階調性等の特長を
有する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施の形態によるプリンタヘッ
ドの転写部付近の概略平面図である。
【図2】本発明の第1の実施の形態によるプリンタヘッ
ド及び従来のプリンタヘッドの転写部付近の拡大概略平
面図である。
【図3】インク液面の変化を示す概略図である。
【図4】本発明の第1の実施の形態によるプリンタヘッ
ドの電極パターンを示す概略平面図である。
【図5】本発明の第1の実施の形態によるプリンタヘッ
ドの先端部の外観を示す一部破断斜視図である。
【図6】本発明の第1の実施の形態によるプリンタヘッ
ドの先端部の構造を示す概略断面図である。
【図7】本発明の第1の実施の形態によるプリンタヘッ
ドの転写部の構造を示す拡大概略断面図である。
【図8】本発明の第1の実施の形態によるプリンタヘッ
ドの外観を示す概略斜視図である。
【図9】本発明の第1の実施の形態のプリンタヘッドに
よる印刷方法を示す概略断面図である。
【図10】本発明の第1の実施の形態によるプリンタヘ
ッドの概略下面図である。
【図11】本発明の第1の実施の形態によるプリンタヘ
ッドのカバーを外した状態の概略下面図である。
【図12】本発明の第2の実施の形態によるプリンタヘ
ッドの転写部付近の拡大概略平面図である。
【図13】本発明の第3の実施の形態によるプリンタヘ
ッドの転写部付近の拡大概略平面図である。
【図14】本発明の第4の実施の形態によるプリンタヘ
ッドの転写部付近の拡大概略平面図である。
【図15】本発明の第5の実施の形態によるプリンタヘ
ッドの転写部付近の拡大概略平面図である。
【図16】本発明の第6の実施の形態によるプリンタヘ
ッドの転写部付近の拡大概略平面図である。
【図17】本発明の第7の実施の形態によるプリンタヘ
ッドの転写部付近の拡大概略平面図である。
【図18】本発明の第8の実施の形態によるプリンタヘ
ッドの転写部付近の概略平面図である。
【図19】本発明の第1の実施の形態によるプリンタヘ
ッドの転写部付近の拡大概略平面図及び断面図である。
【図20】本発明の第9の実施の形態によるプリンタヘ
ッドの転写部付近の拡大概略平面図及び断面図である。
【図21】本発明の第10の実施の形態によるプリンタ
ヘッドの転写部付近の拡大概略平面図である。
【図22】本発明の第11の実施の形態によるプリンタ
ヘッドの転写部付近の拡大概略平面図及び断面図であ
る。
【図23】シリアル方式のカラープリンタの構成を示す
概略図である。
【図24】ライン方式のカラープリンタの構成を示す概
略図である。
【図25】従来の昇華型熱転写方式のプリンタの構成を
示す概略図である。
【符号の説明】
1…プリンタヘッド、2…用紙、3…ヘッドベース、3
a…先端部、4…ヒータチップ、5…プリント基板、6
…カバー、7…インク導入孔、8…インク、41…電極
パターン、41a…共通電極、41b…個別電極、42
…隔壁、43…蓋材、44…シリコン基板、45…Si
2 膜、46…ポリシリコン膜、46a…ヒータ部、4
7…SiO2 膜、47a…隔壁、47b…柱状体、47
c…補助壁、47d…柱状体、51…ドライバーIC、
61…インク貯留部、A…飛翔中心、T…転写部、S…
供給路、E…延長部分、V…気化部
フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) B41J 2/325 B41J 2/05

Claims (14)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 対向して配された被転写体にインクを転
    写するインク転写部と、このインク転写部にインクを供
    給するためのインク供給路とを有するプリンタヘッドで
    あって、 前記インク転写部が、インクを加熱して気化又は溶発さ
    せるためのヒータと、少なくともこのヒータ上に設けら
    れ、且つ、複数の微小間隙を有していて、それらの微小
    間隙に毛管現象によりインクを侵入させて保持するイン
    ク保持構造体とを備え、 前記インク供給路が、インクの表面張力によってインク
    液面を所定高さに保持するインク液面保持手段を備えて
    いる、プリンタヘッド。
  2. 【請求項2】 前記インク転写部において、前記インク
    保持構造体が、前記ヒータ上を含む所定領域に設けられ
    ている、請求項1に記載のプリンタヘッド。
  3. 【請求項3】 前記インク液面保持手段が、前記インク
    供給路を画定する一対の隔壁のうちの少なくとも一方
    と、前記一対の隔壁間に設けられた補助壁とにより構成
    されている、請求項1に記載のプリンタヘッド。
  4. 【請求項4】 前記一対の隔壁のうちの少なくとも前記
    一方と前記補助壁との間に、前記インク保持構造体の延
    長部分が設けられている、請求項3に記載のプリンタヘ
    ッド。
  5. 【請求項5】 前記インク液面保持手段が、前記インク
    供給路内に延長して設けられた前記インク保持構造体の
    延長部分により構成されている、請求項1に記載のプリ
    ンタヘッド。
  6. 【請求項6】 前記インク保持構造体の延長部分が、前
    記インク供給路の実質的に全域に設けられている、請求
    項5に記載のプリンタヘッド。
  7. 【請求項7】 前記インク保持構造体が、複数の柱状体
    を互いに近接配置して構成されており、前記複数の微小
    間隙が、それらの柱状体間に互いに連続した状態で形成
    されている、請求項1に記載のプリンタヘッド。
  8. 【請求項8】 対向して配された被転写体にインクを転
    写するインク転写部と、このインク転写部にインクを供
    給するためのインク供給路とを有するプリンタヘッドを
    備えたプリンタであって、 前記インク転写部が、インクを加熱して気化又は溶発さ
    せるためのヒータと、少なくともこのヒータ上に設けら
    れ、且つ、複数の微小間隙を有していて、それらの微小
    間隙に毛管現象によりインクを侵入させて保持するイン
    ク保持構造体とを備え、 前記インク供給路が、インクの表面張力によってインク
    液面を所定高さに保持するインク液面保持手段を備えて
    いる、プリンタ。
  9. 【請求項9】 前記インク転写部において、前記インク
    保持構造体が、前記ヒータ上を含む所定領域に設けられ
    ている、請求項8に記載のプリンタ。
  10. 【請求項10】 前記インク液面保持手段が、前記イン
    ク供給路を画定する一対の隔壁のうちの少なくとも一方
    と、前記一対の隔壁間に設けられた補助壁とにより構成
    されている、請求項8に記載のプリンタ。
  11. 【請求項11】 前記一対の隔壁のうちの少なくとも前
    記一方と前記補助壁との間に、前記インク保持構造体の
    延長部分が設けられている、請求項10に記載のプリン
    タ。
  12. 【請求項12】 前記インク液面保持手段が、前記イン
    ク供給路内に延長して設けられた前記インク保持構造体
    の延長部分により構成されている、請求項8に記載のプ
    リンタ。
  13. 【請求項13】 前記インク保持構造体の延長部分が、
    前記インク供給路の実質的に全域に設けられている、請
    求項12に記載のプリンタ。
  14. 【請求項14】 前記インク保持構造体が、複数の柱状
    体を互いに近接配置して構成されており、前記複数の微
    小間隙が、それらの柱状体間に互いに連続した状態で形
    成されている、請求項8に記載のプリンタ。
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