JP2001341487A - ノック式塗布具 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】ノック押圧式塗布具において、簡便かつ操作性
の高い後部ノック操作方式を用いて、高粘度塗布液を使
用する場合においても確実な塗布液吐出を得るととも
に、柔軟な塗布体も使用でき、さらに、使用者が塗布液
吐出量を調節しやすいノック式塗布具を提供すること。 【解決手段】軸筒内にノックによって前方に移動可能に
インキタンクを配置し、このインキタンク前方に押圧力
によって圧縮可能な部材を配置し、この圧縮可能な部材
の前方に塗布体を配置してなるノック式塗布具であり、
前記インキタンクと、前記圧縮可能な部材とを逆止弁を
設けた圧力伝達経路で連通し、前記インキタンクと前記
塗布体とを塗布液供給経路で連通してなるノック式塗布
具。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、墨液、カラーイン
キ等の筆記液、アイライナー、リップカラー等の化粧
液、修正液、塗料、薬剤などの塗布液を塗布或いは筆記
する為にノック押圧により塗布体へ塗布液供給を行う型
のノック式塗布具に関する。

【０００２】

【従来の技術】従来、軸体にノック押圧で変形可能な伸
縮体部を備え、軸体内を塗布液収容部となし、軸筒の先
端開口部に塗布体を取り付け、塗布体と塗布液収容部と
の間に弁機構を配置し、この弁機構を開閉する稼動部を
伸縮体と連動するようにして、ノック操作で伸縮体部を
押圧変形させることによって弁機構を開放し、塗布液を
塗布体部分に吐出浸透させるタイプのノック押圧吐出式
の塗布具が多く提案されてきた（特開平９−１０３６号
公報など）。

【０００３】しかし、これら従来型のノック式塗布具は
１個の弁の開閉によって連通・閉鎖される１本の流通経
路内でインキと空気を交換移動させなければならないよ
うな塗布液吐出構造を持つものが殆どであり、この構造
で高粘度塗布液を吐出させようとすると、塗布液と空気
の交換移動が起こりにくくなってしまい、塗布液をうま
く吐出できないといった問題があった。

【０００４】前述のような従来構造を使用して上記問題
を解決するためには、ノック操作による伸縮体部分の押
圧変形によって得られる体積変化量を低粘度塗布液の場
合よりも大きくとることで、発生する圧力を強くする必
要があるが、そう言ったアプローチによってこの問題を
解決しようとする場合では、伸縮体部を大型化すること
が必要であるために塗布具が太くなってしまい塗布具の
操作性が低下したり、伸縮体部の変形量を大きくするた
めにノックの押圧距離が長くなってしまいノックの操作
性が低下すると言った２次的な問題を発生してしまう。

【０００５】前述のような構造による高粘度塗布液吐出
の問題を解決するための構造として、後部ノック操作に
よるインキタンク内部の加圧と、塗布体先端に設けられ
た弁による塗布液吐出操作とを互いに独立させた構造
（特開２０００−０３３７９７号公報など）が知られて
いるが、この構造は塗布液を吐出するための弁を塗布体
先端側に設ける必要があるため、毛筆などの柔軟な塗布
体では使用できないと言った欠点があった。さらに前記
加圧操作と吐出操作を独立させた構造ではインキタンク
内の加圧状況が使用者には判らないため、インキタンク
内を加圧しすぎて使用者の意図よりも多くの塗布液が吹
き出してしまったり、また、インキタンク内の加圧量が
足りなくて使用者の意図よりも少ない塗布液吐出しか得
られなかったりと言った不具合も発生していた。

【０００６】

【本発明が解決しようとする課題】本発明は、前述のよ
うなタイプのノック押圧式塗布具において、簡便かつ操
作性の高い後部ノック操作方式を用いて、高粘度塗布液
を使用する場合においても確実な塗布液吐出を得るとと
もに、柔軟な塗布体も使用でき、さらに、使用者が塗布
液吐出量を調節しやすいノック式塗布具を提供すること
を課題としたものである。

【０００７】

【課題を解決するための手段】本発明は、軸筒内にノッ
クによって前方に移動可能に塗布液タンクを配置し、こ
の塗布液タンク前方に押圧力によって圧縮可能な部材を
配置し、この圧縮可能な部材の前方に塗布体を配置して
なるノック式塗布具において、前記塗布液タンクと、前
記圧縮可能な部材とを逆止弁を設けた圧力伝達経路で連
通し、前記塗布液タンクと前記塗布体とを塗布液供給経
路で連通してなるノック式塗布具を要旨とする。

【０００８】

【作用】本発明のノック式塗布具は、圧力伝達経路によ
り、圧縮可能な部材内の圧力を塗布液タンク内に伝える
が、高粘度塗布液を吐出させるために高い圧力が必要な
場合にも、連続してノック操作を行うことで塗布液タン
ク内の圧力をより高めていくことができ、確実な塗布液
供給ができる。また、加圧された塗布液タンク内の塗布
液を圧力伝達経路と別個に設けた塗布液供給経路によっ
て吐出するので、ノック操作と同時に塗布液供給が行わ
れることになるため、使用者は塗布体への塗布液供給状
態を確認しながらノック操作を行うことができ、過剰な
塗布液供給を行わずにすむ。更に、加圧とインキ吐出の
両方を、塗布液タンクを前方に移動させることによって
行うので、塗布体として軟筆を用いることが出来る。

【０００９】

【実施例】第１実施例 添付図１に本発明に係る塗布具を示す。図２は、要部拡
大図である。塗布具本体である軸筒１内に、前後摺動可
能にノック体を兼ねるインキタンク２を先端側に開口部
２ａを向けて、軸筒１の後端側に突出した状態に配置す
る。該インキタンク２の開口部２ａに伸縮部３ａと逆止
弁３ｂの働きを兼ねる合成ゴムまたはエラストマーなど
による圧縮可能な部材３を逆止弁３ｂ側で連接し、密閉
状態を形成する。逆止弁３ｂの内側には、コイルスプリ
ング等よりなる弾性体５の力を受け止める円筒状のバネ
受け１０が挿入されている。圧縮可能な部材３のもう一
方の端部は軸筒１に固定装着されており、内部の空気に
圧力がかかった場合にも空気を漏らさない状態になって
いる。なお、逆止弁３ｂは中央に穴のあいた形状になっ
ており、その穴に、有底端側に鍔部４ａを設けた有底筒
体であり、前記鍔部４ａより先端側に塗布液導入穴４ｂ
を持つ塗布液供給パイプ４が挿入されている。塗布液供
給パイプ４は、塗布体押さえ７を貫通する形で圧入嵌着
されており、この塗布体押さえ７は、軸筒１内の逆止弁
３ｂの前方に圧入嵌着されている。従って、塗布体押さ
え７は、圧縮可能な部材３が押圧変形する場合にも、軸
筒１内においてその位置を変化しない。塗布体押さえ７
と圧縮可能な部材３の間にはコイルスプリング等の弾性
体５が配置されており、その弾性力によって圧縮可能な
部材３の逆止弁３ｂ側を塗布液供給パイプ４の鍔部４ａ
に押しつけていて、ノック操作を行わない状態において
逆止弁３ｂ及び塗布液導入パイプ４の塗布液導入穴４ｂ
をインキタンク２内に対して閉鎖している。すなわち、
本実施例においては、圧縮可能な部材３からインキタン
ク２への圧力伝達経路における逆止弁３ｂと、塗布液供
給経路における塗布液導入穴４ｂに対する弁とが、圧縮
可能な部材３によって兼用されている。

【００１０】前記塗布体押さえ７には、圧縮可能な部材
３の中に空気を送り込むための空気導入穴７ａが形成さ
れており、この空気導入穴７ａを開閉するための合成ゴ
ムまたはエラストマーなどの弾性材による空気吸入弁６
が空気導入穴７ａの後方に配置されている。塗布体押さ
え７を貫通した塗布液供給パイプ４の開口端４ｃは塗布
体９へとつながっており、塗布液供給パイプ４内に塗布
液が入ったとき、塗布液を塗布体９に供給できるように
なっている。塗布体９は軸筒１に圧入嵌着された固定管
８と塗布体押さえ７とで、塗布体９後部の鍔部９ａを挟
み込むように固定されている。

【００１１】図３にノック操作途中の要部拡大図を示
す。ノック操作によって、ノック体を兼ねるインキタン
ク２が塗布具本体に対して前進する。この前進に連動し
て、弾性体５を撓ませながらバネ受け１０と逆止弁３ｂ
が前進し、伸縮部３ａが押圧変形を始める。これによ
り、圧縮可能な部材３内部の圧力が上昇する。この状態
で、空気吸入弁６は閉鎖されているので、圧縮可能な部
材３の内部の空気は上昇した圧力によって開放された逆
止弁３ｂを通ってインキタンク２の内部に流入する。イ
ンキタンク２の内部に流入した空気はインキタンク２の
内部圧力を上昇させる。内圧の上昇したインキタンク２
は塗布液を塗布液導入穴４ｂに送り込む。塗布液導入穴
４ｂから塗布液供給パイプ４の中に送り込まれた塗布液
は開口端４ｃから塗布体９に供給されて、筆記可能な状
態となる。

【００１２】添付図面４はノック押し切り状態の要部拡
大図である。ノック押し切り状態において、空気注入弁
３ｂはそれ自体の弾性力によって簡易的に封鎖されるた
め、塗布液は圧縮可能な部材３の内部に流入しない。た
だし、万一塗布液が流入した場合でも、本実施例の構造
上、塗布液は、塗布体９に吸収され、塗布に供される。
さらに、塗布液導入穴４ｂの大きさを塗布液粘度に対し
て、十分に小さく設定することによって、加圧操作が終
了し、塗布具内の圧力が平衡を保つノック操作終了時に
は、たとえノックを押しっぱなしにしても、塗布体９へ
の塗布液の流出はほとんどなく、過剰な塗布液供給をし
てしまう恐れが無い。

【００１３】添付図面５はノックの戻り途中における要
部拡大図である。ノックの戻り途中において、インキタ
ンク２とバネ受け１０と逆止弁３ｂとは弾性体５の弾性
力と、圧縮可能な部材３ａの復元力とによって後退す
る。このとき、伸縮部３ａの内部は容積の拡大に合わせ
て減圧するが、逆止弁３ｂはそれ自体の弾性力及び塗布
液供給パイプ４との摩擦によって閉鎖されたまま後退す
るため、圧縮可能な部材３の内部圧と外気圧との圧力差
によって空気吸入弁６が開放され、塗布体９の上部の空
間より、空気導入穴７ａを通って、圧縮可能な部材３の
内部に新たな空気が導入される。なお、塗布体９上部の
空間は軸筒１と固定管８との間に設けられた隙間により
外気とつながっている。本発明に係るノック式塗布具
は、以上のプロセスを経て、強制空気交換による確実な
塗布液吐出を実現するものである。

【００１４】添付図面６は本発明の第２実施例を示すも
のであり、インキタンク２を交換可能なカートリッジ式
とした以外は、実施例１と同様のものである。カートリ
ッジ交換可能とすることで、塗布液を使い切ったときの
廃棄物を減らすことができ、１本の塗布具を長期間使う
ことができる。

【００１５】添付図面７は本発明の第３実施例を示すも
のであり、逆止弁３ｂと塗布液供給パイプ４の摩擦面３
ｄを２カ所設けた以外は、実施例１と同様のものであ
る。これによって、逆止弁３ｂの信頼性を向上すること
ができる。

【００１６】添付図面８は本発明の第４実施例を示すも
のであり、弾性体５を廃し、圧縮可能な部材３の復元力
だけでノックを押し戻すようになした以外は、実施例１
と同様のものである。押し込まれたノックを押し戻すた
めに十分な復元力を持つ弾性部材を用れば、弾性体５を
廃して構成部品を減らすことができ、生産のためのコス
トを削減できる。

【００１７】

【発明の効果】本発明によって、塗布液を確実に吐出出
来るとともに操作性がよいノック押圧吐出式の実用的塗
布具の提供が可能になった。

【図面の簡単な説明】

【図１】実施例１のノック押圧をしていない状態の縦断
面図である。

【図２】実施例１のノック押圧をしていない状態の要部
拡大図である。

【図３】実施例１のノック押圧途中状態における要部拡
大図である。

【図４】実施例１のノック押し切り状態における要部拡
大図である。

【図５】実施例１のノック戻り途中における要部拡大図
である。

【図６】実施例２のカートリッジ挿入前の状態を示す縦
断面図である。

【図７】実施例３の要部拡大図である。

【図８】実施例４の要部拡大図である。

Claims (3)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 軸筒内にノックによって前方に移動可能
   にインキタンクを配置し、このインキタンク前方に押圧
   力によって圧縮可能な部材を配置し、この圧縮可能な部
   材の前方に塗布体を配置してなるノック式塗布具におい
   て、前記インキタンクと、前記圧縮可能な部材とを逆止
   弁を設けた圧力伝達経路で連通し、前記インキタンクと
   前記塗布体とを塗布液供給経路で連通してなるノック式
   塗布具。
2. 【請求項２】 インキタンクは着脱自在である請求項１
   記載のノック式塗布具。
3. 【請求項３】 塗布体は、軟筆である請求項１又は２記
   載のノック式塗布具。