JP2001338597A - 陰極線管用ガラスパネル - Google Patents

陰極線管用ガラスパネル

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JP2001338597A
JP2001338597A JP2000160434A JP2000160434A JP2001338597A JP 2001338597 A JP2001338597 A JP 2001338597A JP 2000160434 A JP2000160434 A JP 2000160434A JP 2000160434 A JP2000160434 A JP 2000160434A JP 2001338597 A JP2001338597 A JP 2001338597A
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stress
face portion
glass panel
tensile stress
ray tube
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Tsunehiko Sugawara
恒彦 菅原
Naoya Shimizu
直也 清水
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Asahi Glass Co Ltd
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    • C03GLASS; MINERAL OR SLAG WOOL
    • C03BMANUFACTURE, SHAPING, OR SUPPLEMENTARY PROCESSES
    • C03B27/00Tempering or quenching glass products
    • C03B27/04Tempering or quenching glass products using gas
    • C03B27/06Tempering or quenching glass products using gas for glass products other than flat or bent glass plates, e.g. hollow glassware, lenses
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    • C03BMANUFACTURE, SHAPING, OR SUPPLEMENTARY PROCESSES
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    • C03B27/04Tempering or quenching glass products using gas
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Abstract

(57)【要約】 【課題】製造工程中の熱割れやガラス亀裂の進展や爆縮
等を抑制する陰極線管用ガラスパネルを提供する。 【解決手段】陰極線管用ガラスパネルの物理強化によっ
てフェース部のガラス表面層に強化圧縮応力を、ガラス
中心層に強化引張り応力を形成させ、最大引張り真空応
力発生位置において前記強化引張り応力が少なくとも最
大となる強化引張り応力分布を前記フェース部に持たせ
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、テレビジョン放送
受像機をはじめとする陰極線管に用いられるガラスパネ
ル、すなわち陰極線管用ガラスパネルに関する。
【0002】
【従来の技術】テレビジョン放送受信等に用いる陰極線
管は、映像を表示するパネル部(以下ガラスパネルとい
う)と一端に電子銃を格納するネック部を具備する漏斗
状のファンネル部からなるガラスバルブで外囲器が構成
されている。このガラスパネルは略箱形で、スクリーン
(画像表示部)が形成される略矩形のフェース部とその
周縁にほぼ直角に延在して側壁を構成するスカート部か
らなっている。このようなガラスパネルを用いた陰極線
管には、1気圧の内外圧力差が負荷されるので真空応力
が発生し、フェース部の短軸上及び長軸上のスクリーン
端部やフェース部とスカート部の結合部であるブレンド
R部近傍のスカート部の外表面に、大きな引張り応力
(以下引張り真空応力という)が比較的広範囲に発生す
ることが知られている。
【0003】図6(a)は、図6(b)で定められる長
軸および短軸上の、最も一般的な陰極線管の外表面に発
生する径方向および周方向の真空応力の応力分布を示
す。図6(a)中のσ1 は,図6(b)に示すように、
径方向の真空応力成分を、σ2は周方向の真空応力成分
を示し、応力分布に沿った数字はその位置における真空
応力値(単位:MPa)を、また+の符号は引張り応
力、−の符号は圧縮応力であることを示している。例え
ば、スク−ン端近傍位置Kでは、周方向の真空応力σ1
が+9.2(MPa)と最大の引張り応力を形成してい
る。図6(a)中には長軸及び短軸以外における真空応
力は示していないが、ガラスパネルのフェース部におい
て、長軸及び短軸以外の真空応力は相対的に低い。
【0004】すなわち、陰極線管組み立て後におけるガ
ラスパネルには二次元的応力分布が存在し、これをフェ
ース部の外面についてみると、通常フェース部の中央領
域よりスクリーン端部またはその近傍、すなわちスクリ
ーン端近傍に大きい引張り真空応力が発生する。特に、
フラットなフェース部を有するガラスパネルでは、球面
状または円筒面状のフェース部のものに比べてこの傾向
が強く、とりわけ短軸上のスクリーン端近傍に大きい引
張り真空応力が発生する。したがって、ガラスパネルの
構造的強度がこの引張り真空応力に対し十分に耐えうる
ものでないと、大気圧による静的疲労破壊を生じ陰極線
管として機能しなくなる。
【0005】このため、従来フラットなフェース部を有
するガラスパネルについては、ガラスパネルの急速冷却
による有効な物理強化を行って強度を確保しつつ薄肉化
を図る方法が採られている。この場合、通常の方法でガ
ラスパネルを物理強化すると、ガラスパネルの表面層に
強化圧縮応力σC が形成されると同時に、ガラス中心層
に強化引張り応力σT が形成される。
【0006】また、強化圧縮応力σC を高めるほど、フ
ェース部の肉厚を薄くできるが、強化圧縮応力σC を高
めていくと、強化引張り応力σT も同時に|σC |≒2
σTの関係で増大する。一方、フェース部の表面に発生
した亀裂が、一旦進展を開始し圧縮応力層を貫通して引
張り応力層に到達した場合には、亀裂の進展性は強化引
張り応力σT の大きさに左右されるため、強化引張り応
力σT の値が大きいほどその歪エネルギーを解放しよう
として亀裂が自走したり、分岐し、ガラス破片が細片化
し爆縮を生じやすくなる。そのため、上記物理強化を必
要以上に強く施すことはできない。
【0007】そこで、亀裂がガラス中心層の引張り応力
層に到達した場合でも、爆縮によるガラス細片の飛散を
抑制する方法として、ガラスパネルを物理強化する場合
に、強化引張り応力σT を一定値以下に抑えるととも
に、強化引張り応力σT を強化圧縮応力の絶対値|σC
|に対して相対的に従来より小さくすることが提案され
ている。具体的には、強化特性をσT <1/3|σ
C |、かつσT <約14MPa(2000psi)にす
ることを特徴としている(特開平2000−40476
号公報)。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】しかし、上述の方法に
より物理強化を行なったガラスパネルがσT <1/3|
σC |、かつσT <約14MPaを満していても、フェ
ース部が高い強化圧縮応力σC をもって実質的に均一に
強化される場合、以下に示すような問題が発生する。す
なわち、破壊時のガラス細片化を防止するために、ガラ
ス中心層に形成される引張り応力を許容範囲に抑制した
まま、ガラス表面の強化圧縮応力の実用範囲をフェース
部全域にわたって一様に拡大すると、つまりフェース部
全体に一様に大きい強化圧縮応力を形成すると、例えば
フェース部とスカート部が結合されるブレンドR部近傍
部分はフェース部中央領域のガラスの厚みに比べて厚い
ため、物理強化のために行なわれる急冷処理の最中に、
ガラスパネルの平面方向に作用する熱応力に起因して不
要な引張り残留応力が過大となり、ガラスパネルが割れ
る確率が高まる。
【0009】さらにまた、ガラスパネルの爆縮を防止す
るためには、引張り真空応力が最大となる領域に発生し
た亀裂が周辺に進展するとき、フェース部の中央領域に
向かって進展する亀裂の数を少なくすることが重要であ
るが、従来の方法では、亀裂の進展と密接な関係を有す
る引張り圧縮応力のフェース部の平面内の応力分布まで
コントロールすることは一切考慮されておらず、引張り
真空応力が最大の領域に発生した亀裂はフェース部中央
領域に向かって容易に進展し爆縮する。
【0010】従来の強化方法で強化圧縮応力σC を大き
くして更にガラスパネルの薄肉軽量化を図ろうとする
と、ガラス中心層の強化引張り応力σT も薄肉軽量化に
伴って大きくなり、その結果、強化引張り応力σT が表
面層の強化圧縮応力σC に対して抑制されていても、爆
縮防止(防爆)が損なわれたり、陰極線管の製造工程中
に熱割れが発生する場合がある。そのため、従来の方法
は強化圧縮応力の実用範囲が極めて制限され、ガラスパ
ネルの強化圧縮応力を思うように高められないので、一
層の薄肉軽量化を図ることが困難であった。
【0011】そこで、本発明は、上記問題点を解決する
ために、陰極線管用ガラスパネルの製造工程中、熱割れ
を起こすことなく陰極線管用ガラスパネルの強化を行う
ことができ、また、一旦ガラスに入った亀裂の進展や爆
縮の際の細片化を防ぐと共に、爆縮を抑制することので
きる陰極線管用ガラスパネルを提供することを目的とす
る。
【0012】
【課題を解決するための手段】本発明は、フェース部の
ガラス表面層に形成される強化圧縮応力を維持しつつ、
ガラス中心層に形成される強化引張り応力のフェース部
における分布を制御することにより、上記目的を達成す
ることができるものである。すなわち、上記目的を達成
するために、本発明は、スクリーンが形成される略矩形
のフェース部と、このフェース部の周縁にわたって延在
して側壁を構成するスカート部とからなり、前記フェー
ス部の表面層に強化圧縮応力が、ガラス中心層に強化引
張り応力がそれぞれ形成されて物理強化された陰極線管
用ガラスパネルであって、前記フェース部は、陰極線管
組み立て後のフェース部において最大引張り真空応力が
形成される部分に、強化圧縮応力および強化引張り応力
が周辺に比べて相対的に大きい領域を形成することを特
徴とする陰極線管用ガラスパネルを提供するものであ
る。
【0013】ここで、前記最大引張り真空応力が形成さ
れる部分は、前記フェース部の短軸上のスクリーン端の
近傍であるのが好ましく、前記最大引張り真空応力が形
成される部分における前記強化圧縮応力が16MPa以
上であるのが好ましい。また、前記スクリーン端に沿っ
た方向の前記スクリーン端上の前記強化引張り応力の応
力分布において、前記強化引張り応力が前記フェース部
の短軸上の前記強化引張り応力に比べて小さくなる位置
は、前記スクリーン端に沿った方向のスクリーン幅の6
分の1以上3分の1以下に相当する距離、前記フェース
部の短軸から離れているのが好ましい。
【0014】また、前記前記フェース部の短軸上の前記
スクリーン端における前記強化引張り応力の、前記フェ
ース部中央の前記強化引張り応力に対する比が1.2以
上であるのが好ましく、前記強化引張り応力は、10M
Pa以下であるのが好ましい。
【0015】
【発明の実施の形態】以下、本発明の陰極線管用ガラス
パネルについて、添付の図面に示される好適実施例を基
に詳細に説明する。
【0016】図1(a)は、本発明の陰極線管用ガラス
パネルの一例である陰極線管用ガラスパネル10の正面
図であり、図1(b)は、図1(a)の線分D−D' を
矢印方向に向かって見た際の断面図である。図1(a)
および(b)に示されるように、陰極線管用ガラスパネ
ル10は、スクリーンが形成される略矩形のフェース部
12と、このフェース部の周縁にわたって延在して側壁
を構成するスカート部14とからなり、ガラスファンネ
ルと装着して陰極線管の外囲器を構成するガラスバルブ
として知られているものである。ガラスフェース部12
は、画像表示するためのスクリーン部のスクリーン端1
6a、16b、16cおよび16dを形成する。
【0017】フェース部12の外面は、フラット状、球
面状、円筒面状のいずれでもよいが、陰極線管に組み立
てられた時、フェース部12のスクリーン端16の近傍
に特に大きな引張り真空応力が発生する、フラット状の
フェース部を有するガラスパネルが好適である。
【0018】ここで、陰極線管用ガラスパネル10は、
上述したように、構造的強度を確保して、引張り真空応
力に対し十分に耐えうるように、フェース部12および
スカート部14全面に物理強化を施しているが、特に、
陰極線管組み立て後のフェース部12における最大引張
り真空応力が形成される、フェース部12の短軸A上で
スクリーン端16aおよび16c近傍の位置Mおよび
M' を中心として、この部分を周辺に対して程度の強い
物理強化を行ない、周辺領域Sのガラス層に所望の強化
圧縮応力を形成させている。ここで、周辺領域Sは、フ
ェース部12の略矩形形状全体の領域からフェース部1
2の中央領域Cを取り除いた中央領域Cを囲む領域であ
る。また、位置MおよびM' は、上述した図6(a)中
の位置Kに相当する。
【0019】ここで、物理強化とは、成形された高温状
態にある陰極線管用ガラスパネルを、例えば略520℃
の徐冷点温度以上から略480℃の歪点温度以下まで急
冷して、ガラス層の表面に所望の強化圧縮応力を形成さ
せることによって、ガラス層の表面における欠陥を起点
とした亀裂の進展を抑制することをいう。物理強化は、
この急冷速度を速くするほど、物理強化の程度を強くす
ることができる。図2には、物理強化によって得られる
ガラスGの断面方向に働く強化応力分布σが示されてい
る。強化応力分布σは、ガラス層Gの両面の表層におい
て絶対値が最大となる強化圧縮応力をσC とする強化圧
縮応力層を形成し、一方、ガラス中心層には、この強化
圧縮応力を相殺するように最大の強化引張り応力をσT
とする強化引張り応力層を形成する。以降、強化引張り
応力という時は、強化引張り応力層の最大の引張り応力
値σT を言い、強化圧縮応力という時は、強化圧縮応力
層の中の絶対値が最大となる圧縮応力値の絶対値|σC
|を言う。
【0020】フェース部12は、このような物理強化に
よって、最大引張り真空応力が形成される部分に、強化
圧縮応力および強化引張り応力が周辺よりも相対的に大
きい領域が形成される。特に、ガラス表面に所望の強化
圧縮応力が形成されることで、フェース部12の位置M
およびM' において強化引張り応力σTMおよび強化圧縮
応力がフェース部12に形成される強化引張り応力およ
び強化圧縮応力の分布の中で最大となるのが望ましい。
しかし、実際には、位置MおよびM' に重点をおいて物
理強化を行っても、この部分はスカート部14等の影響
を受けて急冷しにくいため、位置MおよびM' から若干
フェース部12の中央よりにずれて強化圧縮応力および
強化引張り応力が最大となる。このずれ幅は、フェース
部12のサイズにより異なるが、通常位置MおよびM'
から15〜40mm程度である。本発明における最大引
張り真空応力が形成される部分には、位置MおよびM'
およびこの位置から上記ずれ幅ぶんずれた部分について
も含まれる。このように、実際、最大引張り真空応力が
最大となる位置MおよびM’あるいはこの近傍におい
て、フェース部12の中で強化引張り応力が最大となる
領域が形成されるが、少なくともスクリーン端に沿った
方向の強化引張り応力の分布は、強化引張り応力がフェ
ース部12の短軸A上の強化引張り応力より大きくなる
ことはなく、例えば、スクリーン端16a上の強化引張
り応力の分布では、強化引張り応力が位置Mにおける強
化引張り応力σTMより大きくなることはない。
【0021】このような物理強化によって、陰極線管組
み立て後のフェース部12のガラス表面の引張り応力を
必要としない領域については抑制し、傷によって生じる
亀裂の進展を抑制することができるが、位置Mおよび
M' における強化圧縮応力σCMの絶対値|σCM|は、1
6MPa以上であることが好ましい。|σCM|を16M
Pa以上とするのは、|σCM|を16MPa以上とする
ことによって、フェース部12の弱点部である位置Mお
よびM’の衝撃強度を大きくし、ガラスパネルを従来以
上に軽量にできるからである。ガラスパネルの疲労破壊
の確実な防止により一層の軽量化を達成するには、|σ
CM|を20MPa以上とするのが好ましい。一方、|σ
CM|を16MPaより小くすると、フェース部の肉厚を
従来品より薄くした場合、最も強度の増大が要求される
位置MおよびM’において所望の強度を確保することが
困難となる。16MPaより小さい|σCM|で、ガラス
パネルに必要な強度を得ようとすれば、必然的に肉厚を
厚くしなければならず、その結果重量の増加につなが
り、従来品以上の軽量化はできない。
【0022】このように位置MおよびM' を中心として
物理強化を強く施すことによって、フェース部12に必
要な衝撃強度を確保することはできるが、物理強化を強
く施すことによって、ガラス中心層に形成される強化引
張り応力σT を大きくさせてしまう。例えば、位置Mお
よびM' において物理強化を強く施すことによって、こ
の位置MおよびM' またはその近傍における強化引張り
応力σTMの大きさを増大させると、フェース部12の表
面に発生した亀裂が、表面層の強化圧縮応力層を貫通し
て強化引張り応力層に達しとき、亀裂は大きい歪エネル
ギーのために自走するおそれがある。そのため、強化引
張り応力σTMは10MPa以下であることが好ましい。
また、亀裂が自走する過程で高い頻度で分岐しながら亀
裂が進展しないように、位置MおよびM’以外の部分に
おいても、強化引張り応力は10MPa以下であるであ
るのが好ましい。すなわち、フェース部10全面のガラ
ス中心層において強化引張り応力が10MPa以下であ
るのが好ましい。
【0023】また、フェース部10の位置MおよびM’
における強化引張り応力σTMは、この位置を重点に物理
強化を行なうため、上述したようにフェース部12中の
強化引張応力の中で最大またはほぼ最大となっている
が、より好ましくは、位置MおよびM’からスクリーン
端16aおよび16cに沿った方向の強化引張り応力の
分布が、位置MおよびM’から所定の範囲においてほぼ
一様であり、図1(a)中の位置NおよびN’におい
て、始めて強化引張り応力σTMの値に比べて相対的に小
さくなるように物理強化されるのが好ましい。さらに、
好ましくは、真空応力発生位置MおよびM' からスクリ
ーン端16aおよび16cに沿った方向の強化引張り応
力の分布において、位置NおよびN’において始めて、
真空応力発生位置MおよびM' の位置における強化引張
り応力σTMを1.2で除した値より小さくなるように物
理強化されるのがよい。ここで、位置NおよびN’は、
スクリーン端16aおよび16cに沿った方向のスクリ
ーン幅(スクリーン端16bおよびスクリーン端16c
間の距離L)をLとして、短軸Aあるいは位置Mおよび
M’から距離L/6離れた位置である。
【0024】位置MおよびM’からスクリーン端16a
および16cに沿った方向の強化引張り応力の分布にお
いて、位置MおよびM’から位置NおよびN’に向かう
手前で強化引張り応力σT を実質上強化引張り応力σTM
より小さくすると、後述するように、位置MおよびM’
に発生した亀裂を位置NおよびN’に向かって進展させ
ることができなくなる一方、位置MおよびM’から位置
NおよびN’より遠く離れた位置で始めて実質的に強化
引張り応力σT を強化引張り応力σTMより小さくする
と、強化引張り応力分布が広い範囲で一定となり、亀裂
の進展方向を制御することができなくなるからである。
【0025】このように位置MおよびM' からスクリー
ン端16aおよび16cに沿った方向(長辺方向)の強
化引張り応力の分布において、位置NおよびN’までは
一様またはほぼ一様であり、その後において強化引張り
応力σT が、位置MおよびM’の強化引張り応力σTM
り実質的に小さくなる強化引張り応力の分布を形成する
ことによって、例えば、図3に示すように、真空応力発
生位置Mに生じた亀裂が位置Nに向かって進展するよう
に進展方向を制御することができる。その後、位置Nに
進展した亀裂はスカート部14に回り込み、フェース部
12の角部近傍からフェーズ部12の面上に再度現れて
亀裂が進展する。
【0026】位置MおよびM’を中心として物理強化が
施されない従来の物理強化の場合、例えば、図4に示す
ように、位置Mに発生した亀裂が位置Nを通過せず、位
置Nを通過する前にスカート部14に回り込む。この回
り込んだ亀裂は、フェース部12の角部近傍からフェー
ズ部12の面上に再度現れて亀裂が進展するが、その
際、亀裂が図4に示すようにフェース部12の中央領域
Cに進展し、亀裂が次々と分岐し、ガラスの細片化を招
きやすい。
【0027】そこで、フェース部12の角部近傍からフ
ェーズ部12の面上に進展した亀裂がフェース部12の
中央領域Cに進展せず、図3に示すように、反対側のフ
ェース部12の角部近傍に進展するように、中央領域C
における強化引張り応力を制御することが必要である。
すなわち、位置MおよびM’の強化引張り応力σTMの、
フェース部12の中央(位置O)における強化引張り応
力σTOに対する比が1.2以上であることが望ましく、
より好ましくは、1.5以上であるのがよい。
【0028】位置MおよびM’の強化引張り応力σ
TMの、フェース部12の中央位置Oにおける強化引張り
応力σTOに対する比を1.2以上、より好ましくは1.
5以上とするためには、ガラス中心層に形成される強化
引張り応力を必要以上に上昇させ亀裂の進展や細片化を
促すことのないように、中央領域Cの物理強化の強化の
程度を、位置MおよびM’を中心とした周辺領域Sの物
理強化の程度に比べて比較的小さく設定することによっ
て達成される。この場合、上述したように、中央領域C
において亀裂が大きい歪エネルギーのために自走するお
それがないように、強化引張り応力を10MPa以下で
あることが好ましいのは勿論である。あるいは、フェー
ス部12の中央位置Oにおいて10MPaを超えない範
囲で物理強化されて形成された強化引張り応力σTOに対
して、位置MおよびM’における強化引張り応力σTM
1.2倍以上、より好ましくは1.5倍以上となるよう
に位置MおよびM’を中心とした程度の強い物理強化を
行なうことによって達成される。この場合においても、
位置MおよびM’において強化引張り応力σTMを10M
Pa以下とするように物理強化を行なうことが好ましい
のは勿論である。
【0029】また、通常の物理強化は、上述したように
ガラスを冷却する際、徐冷点温度以上から歪点温度以下
に急冷させる急冷速度を速くすることにより行なわれる
が、ガラスGの中央領域Cに比べて、位置MおよびM’
のスクリーン端近傍、すなわち、フェース部12とスカ
ート部14が結合されるブレンドR部近傍部分はフェー
ス部12中央領域Cのガラスの厚みに比べて厚くなるた
め、また、他領域からの輻射熱等が蓄積されるため、冷
却速度がガラスGの中央領域Cに比べて遅い。その結
果、フェース部12の面上において、ガラスパネルの平
面方向に作用する熱応力が発生して不要な残留応力を形
成し、ガラスパネルが割れる確率を高めていた。しか
し、本発明においては、冷却速度の遅いスクリーン端近
傍において、位置MおよびM’を中心として物理強化の
程度を高くして急冷速度を高くするため、フェース部1
2の中央領域Cの冷却速度に近づき、ガラスパネルの平
面方向に作用する熱応力に起因した不要な残留応力の形
成を抑制し、製造過程のガラスパネルの割れを抑制する
ことができる。
【0030】上記例では、スクリーン端16a、16c
に沿った方向の強化引張り応力分布において、強化引張
り応力σT が、位置MおよびM’の強化引張り応力σTM
に比べて実質的にある程度小さくなる位置N,N’を、
スクリーン幅Lの6分の1に相当する距離、位置M,
M’から離れるように物理強化したものであるが、スク
リーン幅Lの6分の1以上3分の1以下に相当する距
離、位置M,M’から離れた位置において、強化引張り
応力σT が強化引張り応力σTMに比べて実質的に小さく
なるように物理強化を施したものであるとよい。スクリ
ーン幅Lの3分の1を超えるまで、強化引張り応力が強
化引張り応力σTMと同等またはほぼ同等に大きく維持さ
れると、上述したように亀裂の進展方向を制御すること
ができなくなり、亀裂が位置MおよびM’に近い位置で
スカート部14側に回り込み防爆が達成できなくなる。
この場合、6分の1以上3分の1下の特定はそれほど厳
格でなくてもよい。なお、本発明においてスクリーン端
16aや16cに沿った方向の強化引張り応力の応力分
布は、スクリーン端16aや16c近傍の領域で評価さ
れるが、スクリーン端16aや16cからスクリーン内
側に入った所定幅の領域で評価が実施されてもよい。
【0031】(実施例1および2)本発明の陰極線管用
ガラスパネルについて以下の評価を行った。使用したガ
ラスパネルはアスペクト比が4:3の旭硝子製のフェー
ス部外面がフラット状の34型のものであり、ガラスの
厚みはフェース部12の中央が17.5mm、短軸にお
けるスクリーン端16aの厚みが19.3mmで、通常
のものより薄くなっている。これらのガラスパネルの強
化引張り応力σTMが形成される位置は、短軸Aのスクリ
ーン端近傍の最大引張り真空応力の発生する位置M、
M’の近傍にある。ガラスパネルは実施例、比較例とも
同じものを使用した。
【0032】物理強化のための熱処理は、成形後に金型
から取出した後、25秒経過したガラスパネルに対して
行い、その開始時のフェース部(正確にはスクリーン
端)12の温度は約540℃であった。急冷手段として
は、約25℃の室温の空気により、短軸A上の位置Mお
よびM’を中心とした(3/10)・L(片側(3/2
0)・L)(Lは、スクリーン幅)の範囲を40秒冷却
し、実施例2では、短軸A上の位置MおよびM’を中心
とした(3/10)・L(片側(3/20)・L)の範
囲を70秒冷却し、冷却後、徐冷炉で徐冷した。一方、
比較例1は、強制冷却を行わず自然放冷後徐冷し、比較
例2は、約540℃のフェース部(正確にはスクリーン
端)を約25℃の室温の空気により、短軸A上の位置M
およびM’を中心とした(2/5)・L(片側(1/
5)・L)の範囲を40秒冷却し、比較例3は、約54
0℃のフェース部(正確にはスクリーン端)を約25℃
の室温の空気により、短軸A上の位置MおよびM’を中
心とした(2/5)・L(片側(1/5)・L)の範囲
を70秒冷却してそれぞれ作製した。
【0033】物理強化後のフェース部の応力測定は、図
5に示すようにガラスパネル1の短軸Aのスクリーン端
部を位置Mを含む部分とスカート部14を含む形で、幅
13〜15mm、長さ約150mmの測定片20(図5
参照)として切り出し、またフェース部12の中央領域
からフェース部中央位置Oを含む形で幅13〜15m
m、長さ約70mmの測定片22を同様に切り出した。
さらに、位置Mから、スクリーン端に沿った方向に、ス
クリン幅Lの6分の1に相当する距離L/6離れた位置
Nを含む部分とスカート部14を含む形で、幅13〜1
5mm、長さ約150mmの測定片24を同様に切り出
した。また、比較例1〜3については、位置Mから(1
/3)・L離れた位置Pを含む部分とスカート部14を
含む形で、幅13〜15mm、長さ約150mmの測定
片26を同様に切り出した。
【0034】その後、これら試験片について応力を次の
要領でバビネ補整器法により測定した。測定片20の強
化圧縮・引張り応力測定は、あらかじめ位置Mを確認し
ておき、この位置で強化圧縮・引張り応力を測定した。
また、測定片22については測定片の中間点でフェース
部12中央の応力を測定した。また、測定片24につい
ても、あらかじめ位置Nを確認しておき、この位置で強
化圧縮・引張り応力を測定した。また、測定片26につ
いても、位置Pを確認しておき、同様に測定した。測定
結果を表1に示す。なお、ガラスパネルはこれら試験片
以外の部分やスカート部14も強化されている。参考ま
でに、測定片20について位置Mの強化圧縮応力層の厚
みを測定したところ、実施例1ではガラスの肉厚の約2
0%、実施例2ではガラスの肉厚の約18%であった。
【0035】耐圧強度は、各条件で得られたガラスパネ
ルを有するガラスバルブから5個を抜き出し、#150
エメリー紙により一様に加傷したガラスバルブに水圧に
より加圧して外圧付加試験を行い、破壊に至ったときの
内外圧力差を求め平均値で評価した。爆縮防止試験(防
爆試験)は、各強化条件で得られたガラスパネルを有す
るガラスバルブの任意の10個について、この分野で常
用されている12J以上のエネルギーでミサイル法によ
り行った。その試験結果を表1に併記する。耐圧強度
は、0.25MPa以上であれば合格品である。
【0036】これによると、実施例1は、σCMは16M
Pa以上であり、σTNはσTMより小さかった。耐圧強度
は0.29MPaとなり合格し、防爆試験もすべて合格
した。また、実施例1の物理強化の冷却時間より長時間
冷却して物理強化を強めた実施例2では、σCMは16M
Pa以上であり、σTNもσTMより小さく、さらに、σ TM
/σTOが1.2以上となった。そして、耐圧強度は0.
36MPaとなり十分なマージンを持って合格し、防爆
試験もすべて合格した。一方、比較例1では、σCMは1
6MPa以下であり、σTNはσTMより大きく、また、位
置Mから(1/3)・L離れた位置Pの強化引張り応力
σTPも、6.2MPaであり、σTMおよびσTNより大き
かった。また、σTM/σTOも1.2より小さかった。そ
して、耐圧強度は0.26MPaと合格ぎりぎりであ
り、防爆試験はすべて不合格であった。また、物理強化
を実施例1より広範囲に施した比較例2では、σCMは1
6MPaであるが、σTNはσTMより大きく、位置Pの強
化引張り応力σTPは、7.4MPaで、σTMより大きか
った。また、σTM/σTOも1.2より小さかった。そし
て、耐圧強度は0.29MPaとなり合格したが、防爆
試験は半数が不合格であった。さらに、比較例3では、
σCMは16MPa以上であるが、σTNはσTMより大き
く、位置Pの強化引張り応力σTPも7.7MPaで、σ
TMより大きかった。また、σTM/σTOも1.2より小さ
かった。そして、耐圧強度は0.34MPaとなり合格
したが、防爆試験はすべてが不合格であった。
【0037】このように、表1から明らかなように本発
明の実施例1及び実施例2のガラスパネルは、いずれも
耐圧強度は十分にあり、かつ防爆試験はすべて合格し不
合格率は0であった。特に、実施例2では耐圧強度を大
幅に高めることができた。このように、物理強化を施す
冷却時間および物理強化を重点的に施す範囲を位置Mや
M’を中心とする一定の領域とし、強化引張り応力に分
布を持たせることで、耐圧強度を大幅に高め、さらに防
爆試験を全数クリアすることができた。なお、比較例1
〜4における防爆試験では、いずれも図4に示すような
亀裂の進展を行った。
【0038】
【表1】
【0039】(実施例3および4)また、本発明の陰極
線管用ガラスパネルについて以下の評価を行った。使用
したガラスパネルはアスペクト比が16:9の旭硝子製
のフェース部外面がフラット状の32型のものであり、
ガラスの厚みはフェース部12の中央が16.0mm、
短軸におけるスクリーン端16aの厚みが17.1mm
で、通常のものより薄くなっている。これらのガラスパ
ネルの強化引張り応力σTMが形成される位置は、短軸の
スクリーン端近傍位置MおよびM’にある。ガラスパネ
ルは実施例、比較例とも同じものを使用した。
【0040】実施例3および4の物理強化のための熱処
理は、冷却時間のみを変更して実施例1および2と同様
の処理を行った。すなわち、実施例3では、冷却時間を
30秒とし、実施例4では、冷却時間を60秒とし、冷
却後、徐冷炉で徐冷した。一方、比較例4は、強制冷却
を行わず自然放冷後徐冷し、比較例5は、約540℃の
フェース部(正確にはスクリーン端)を約25℃の室温
の空気により、短軸上の位置MおよびM’を中心とした
(7/10)・L(片側(7/20)・L)の範囲を3
0秒冷却し、比較例6は、約540℃のフェース部(正
確にはスクリーン端)を約25℃の室温の空気により、
短軸上の位置MおよびM’を中心とした(2/3)・L
(片側(1/3)・L)の範囲を60秒冷却し、比較例
7は、約540℃のフェース部(正確にはスクリーン
端)を約25℃の室温の空気により、短軸上の位置Mお
よびM’を中心とした(7/10)・L(片側(7/2
0)・L)の範囲を60秒冷却してそれぞれ作製した。
物理強化後のフェース部の応力測定は、図5に示すよう
にガラスパネルの短軸Aのスクリーン端部を位置Mを含
む部分とスカート部14を含む形で、幅13〜15m
m、長さ約150mmの測定片として切り出し、またフ
ェース部12の中央領域からフェース部中央位置Oを含
む形で幅13〜15mm、長さ約70mmの測定片を同
様に切り出した。さらに、位置Mから、スクリーン端に
沿った方向に、スクリーン幅Lの3分の1に相当する距
離L/3離れた位置Pを含む部分とスカート部14を含
む形で、幅13〜15mm、長さ約150mmの測定片
26を同様に切り出した。
【0041】その後、これら試験片について応力を実施
例1および2と同様にバビネ補整器法により測定した。
耐圧強度も、実施例1および2と同様にガラスパネルを
有するガラスバルブから5個を抜き出し、#150エメ
リー紙により一様に加傷したガラスバルブに水圧により
加圧して外圧付加試験を行い、破壊に至ったときの内外
圧力差を求め平均値で評価した。爆縮防止試験(防爆試
験)も実施例1および2と同様に行なった。
【0042】実施例3は、σCMは16MPa以上であ
り、σTNはσTMより小さく、耐圧強度は0.30MPa
となり合格し、防爆試験もすべて合格した。また、実施
例3の物理強化の冷却時間より長時間冷却して物理強化
を強めた実施例4では、σCMは16MPa以上であり、
σTNはσTMより小さく、さらに、σTM/σTOが1.2以
上となり、耐圧強度は0.35MPaとなり十分なマー
ジンを持って合格し、防爆試験もすべて合格した。一
方、比較例4では、σCMは16MPa以下であり、σTN
はσTMより大きく、σTM/σTOも1.2より小さく、耐
圧強度は0.26MPaと合格ぎりぎりであり、防爆試
験はすべて不合格であった。また、物理強化を実施例3
より広範囲に施した比較例5では、σCMは16MPa以
上であるが、σTNはσTMより大きく、σTM/σTOも1.
2より小さく、耐圧強度は0.28MPaで合格である
が、防爆試験は全数が不合格であった。さらに、物理強
化を実施例4より広範囲に施した比較例6では、σCM
16MPa以上であるが、σTNはσTMと同等であり、σ
TM/σTOも1.2より小さく、耐圧強度は0.34MP
aで合格したが、防爆試験は半数以上が不合格であっ
た。さらに、物理強化を比較例6より広範囲に施した比
較例7では、σCMは16MPa以上であるが、σTNはσ
TMより大きく、σTM/σTOも1.2より小さく、耐圧強
度は0.35MPaで合格したが、防爆試験はすべてが
不合格であった。
【0043】このように、表2から明らかなように本発
明の実施例3及び実施例4のガラスパネルは、いずれも
耐圧強度は十分にあり、かつ防爆試験はすべて合格し不
合格率は0であった。特に、実施例4では耐圧強度を大
幅に高めることができた。このように、物理強化を施す
冷却時間および物理強化を重点的に施す範囲を位置Mや
M’を中心とする一定の領域とし、強化引張り応力に分
布を持たせることで、耐圧強度を大幅に高め、さらに防
爆試験を全数クリアすることができた。なお、比較例4
〜7における防爆試験では、いずれも図4に示すような
亀裂の進展を行った。
【0044】
【表2】
【0045】以上、本発明の陰極線管用ガラスパネルに
ついて詳細に説明したが、本発明は上記実施例に限定は
されず、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、各種
の改良および変更を行ってもよいのはもちろんである。
【0046】
【発明の効果】以上、詳細に説明したように、フェース
部における強化引張り応力を、陰極線管組み立て後のフ
ェース部において最大引張り真空応力が形成される位置
またはその近傍において最大となる強化引張り応力分布
を持つように物理強化を行なうので、傷によって生じる
亀裂の進展を抑制することができ、しかも破壊特性が優
れかつ軽量なガラスパネルを得ることができる。スクリ
ーン端に沿った方向の強化引張り応力分布において、強
化引張り応力が、最大引張り真空応力の発生位置の強化
引張り応力に比べて実質的に小さくなる位置が、スクリ
ーン端に沿った方向のスクリーン幅の6分の1以上3分
の1以下に相当する距離、最大引張り真空応力の発生位
置から離れるように物理強化を行なうので、たとえ最大
引張り真空応力の発生位置に亀裂ができても亀裂の進展
方向を制御することができる。さらに、最大引張り真空
応力の発生位置の強化引張り応力の、フェース部中央に
おける強化引張り応力に対する比を1.2以上とする物
理強化を行なうので、フェース部の中央領域への亀裂の
進展を抑制し、しかも亀裂の細片化を防止することがで
きる。特に、ガラスの厚みが厚くなるスクリーン端位置
を中心として、急冷による物理強化を強く施すので、ガ
ラスパネルの平面方向に作用する熱応力に起因した不要
な残留応力の形成を抑制し、ガラスパネルの製造過程に
おける熱割れを抑制することができる。これらの効果に
より、機械衝撃や陰極線管組み立て中の熱衝撃による爆
縮や完成後の疲労破壊を抑えた強固で計量な陰極線管ガ
ラスバルブを用意に製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 (a)は本発明の陰極線管用ガラスパネルの
一例の正面図であり、(b)は、(a)に示されるD−
D’断面を示す断面図である。
【図2】 本発明の陰極線管用ガラスパネルのガラス断
面における強化応力の分布の一例を示す図である。
【図3】 本発明の陰極線管用ガラスパネルで発生する
亀裂の進展の様子の一例を示す説明図である。
【図4】 従来の陰極線管用ガラスパネルで発生する亀
裂の進展の様子を示す説明図である。
【図5】 本発明の陰極線管用ガラスパネルの強化引張
り応力、強化圧縮応力の測定のための試料の抜き取りを
説明する図である。
【図6】 (a)は、陰極線管の外表面に発生する径方
向および周方向の真空応力の応力分布の一例を示す説明
図であり、(b)は(a)における径方向および周方向
を説明する説明図である。
【符号の説明】
10 陰極線管用ガラスパネル 12 フェース部 14 スカート部 16a,b,c,d スクリーン端

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】スクリーンが形成される略矩形のフェース
    部と、このフェース部の周縁にわたって延在して側壁を
    構成するスカート部とからなり、前記フェース部の表面
    層に強化圧縮応力が、ガラス中心層に強化引張り応力が
    それぞれ形成されて物理強化された陰極線管用ガラスパ
    ネルであって、 前記フェース部は、陰極線管組み立て後のフェース部に
    おいて最大引張り真空応力が形成される部分に、強化圧
    縮応力および強化引張り応力が周辺に比べて相対的に大
    きい領域を形成することを特徴とする陰極線管用ガラス
    パネル。
  2. 【請求項2】前記最大引張り真空応力が形成される部分
    は、前記フェース部の短軸上のスクリーン端の近傍であ
    る請求項1に記載の陰極線管用ガラスパネル。
  3. 【請求項3】前記最大引張り真空応力が形成される部分
    における前記強化圧縮応力が16MPa以上である請求
    項1または2に記載の陰極線管用ガラスパネル。
  4. 【請求項4】前記スクリーン端に沿った方向の前記スク
    リーン端上の前記強化引張り応力の応力分布において、
    前記強化引張り応力が前記フェース部の短軸上の前記強
    化引張り応力に比べて小さくなる位置は、前記スクリー
    ン端に沿った方向のスクリーン幅の6分の1以上3分の
    1以下に相当する距離、前記フェース部の短軸から離れ
    ている請求項2または3に記載の陰極線管用ガラスパネ
    ル。
  5. 【請求項5】前記前記フェース部の短軸上の前記スクリ
    ーン端における前記強化引張り応力の、前記フェース部
    中央の前記強化引張り応力に対する比が1.2以上であ
    る請求項1〜4のいずれかに記載の陰極線管用ガラスパ
    ネル。
  6. 【請求項6】前記強化引張り応力は、10MPa以下で
    ある請求項1〜5のいずれかに記載の陰極線管用ガラス
    パネル。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN102863146A (zh) * 2011-07-06 2013-01-09 常州亚玛顿股份有限公司 物理钢化玻璃、太阳能电池板和彼等的制造方法
CN104628243A (zh) * 2015-01-14 2015-05-20 张立国 一种表面拉应力玻璃的制造方法

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