JP2001337089A - Dna断片の固定方法、dnaチップおよび核酸断片の検出方法 - Google Patents

Dna断片の固定方法、dnaチップおよび核酸断片の検出方法

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JP2001337089A
JP2001337089A JP2000156870A JP2000156870A JP2001337089A JP 2001337089 A JP2001337089 A JP 2001337089A JP 2000156870 A JP2000156870 A JP 2000156870A JP 2000156870 A JP2000156870 A JP 2000156870A JP 2001337089 A JP2001337089 A JP 2001337089A
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Yoshihide Iwaki
義英 岩木
Yumiko Takeshita
由美子 竹下
Hiroshi Shinoki
浩 篠木
Yoshihiko Makino
快彦 牧野
Osamu Seshimoto
修 瀬志本
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Fuji Photo Film Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 基板表面に一本鎖のDNA断片をジスルホン
化合物を用いて共有結合により固定する方法DNAチッ
プ及び試料核酸断片の検出方法を提供すること。 【解決手段】 反応性基を有する一本鎖のDNA断片を
その末端部にて基板表面に固定する方法であって、二本
鎖のDNA断片を、結合基:−R32C−R1HC−S
2−L−SO2−CHR1−CR23−、結合基:−R3
2C−R1HC−SO2−L−SO2−(CR12
n−、又は結合基:−(R21C)n−SO2−L−SO2
−(CR12n−[式中、R1、R2及びR3は、互いに
独立に、水素原子、炭素原子数が1乃至6のアルキル
基、及び炭素原子数が6乃至20のアリール基からなる
群より選ばれる原子又は基を表し;nは、1乃至6の整
数を表し;そして、Lは、二価の連結基を表す]を介し
て基板表面に結合させる方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、遺伝子の発現、変
異、多型等の同時解析に非常に有用である、DNA断片
が共有結合によって基板表面に固定されたDNAチップ
の製造方法、およびDNAチップに関する。本発明は、
また、DNAチップ上のDNA断片に対して相補性を有
する試料核酸断片の検出方法にも関する。
【0002】
【従来の技術】多彩な生物の全遺伝子機能を効率的に解
析するための技術開発が進んでおり、その解析手段とし
て、DNAチップが利用されている。DNAチップは通
常、スライドガラス等の固相担体に多数のDNA断片を
整列固定させたマイクロアレイの形態にあり、DNAチ
ップに固定されているDNA断片と相補性を持つDNA
断片試料をハイブリダイゼーションによってDNAチッ
プ上に固定し、検出する方法に利用される。形成された
ハイブリッドの検出手段としては、DNA断片試料に予
め結合させた蛍光標識あるいは放射性標識を利用する方
法、そしてハイブリッド構造内に取り込まれる蛍光発生
基もしくは導電性基を持つインターカレータを利用する
方法などが知られている。
【0003】DNAチップの作製方法として、予め調製
したDNA断片を固相担体表面に点着して固定する方法
が知られている。その方法は、DNA断片の種類や固相
担体の種類に応じて異なるが、(1)cDNAやPCR
産物をポリ陽イオンで表面処理した固相担体表面に点着
し、DNA断片の荷電を利用して固相担体にイオン結合
させる方法(Schena, M. et al., Science, 270, 467-4
70(1995)およびShalon,D. et al., Genome Res., 6, 6
39-645(1996))、および(2)反応性基で修飾した合成
オリゴヌクレオチドを表面処理した固相担体表面に点着
し、共有結合させる方法(「蛋白質・核酸・酵素」,4
3巻、(1998), 2004-2011、Lamture, J. B. et al., Nuc
l. Acids Res., 22, 2121-2125, 1994、およびGuo. Z.,
et al., Nucl. Acids Res., 22, 5456-5465, 1994)が
実用されている。上記の(1)の方法は、イオン結合に
よる固定方法であるため、一度固定されたDNA断片の
安定性を補強するため、紫外線や熱による処理をさらに
行うこともできる。一般に、塩基数が50以上の長鎖の
DNA断片は、その一端ではなく、DNA断片が有する
複数の電荷を利用して、多点でイオン結合により固相担
体に固定される。
【0004】DNA断片をイオン結合によって固相担体
に固定させる場合には、DNA断片の点着は通常二本鎖
DNA断片を用いて行われる。そして、二本鎖DNA断
片を固定後に、熱、イオン強度、尿素の添加などの条件
(変性処理の条件)を付与することによって、二本鎖D
NA断片を解離させ、一本鎖DNA断片のみを固定させ
る。しかし、二本鎖DNA断片は、何れの鎖も多点で固
定されるため、変性処理後に、対象とする一方の鎖のみ
を固定し、他方の鎖を選択的に排除することが非常に困
難である。
【0005】二本鎖DNA断片を共有結合によって固定
する場合には、二本鎖の内の一方の鎖の末端部に予め導
入した反応性基と固相担体上の反応性基との共有結合に
よるため、変性処理後、対象とする一方の鎖のみを固定
させることが可能である。共有結合によってPCR産物
が固定されたDNAチップを、試料DNA断片とのハイ
ブリダイゼーションに供することによって、DNAチッ
プ上のcDNAに相補性を有する試料DNA断片を検出
する方法が知られている(図2)。この方法で使用する
DNAチップ(b2)は、二本鎖のcDNA(2)が結
合基−L0−を介して、基板(1)表面に固定されたも
の(b1)を変性処理することのみによって作製された
ものであり、解離した一本鎖のcDNA(4)は反応系
外に除かれていない。従って、ハイブリダイゼーション
の際に、解離したcDNA断片と試料DNA断片(5)
とは、DNAチップ上に固定されたcDNAに対して競
合すると考えられる。そのため、このDNAチップを用
いるハイブリダイゼーションでは、その効率の低下を招
くという問題点を生じる。
【0006】国際公開出願明細書(WO98/189
6)には、上記記載の方法において、結合基−L0−と
して、PDC(p−フェニレンジチオイソシアナート)
より誘導される基を選択し、かつ、解離した一本鎖のc
DNAを反応系外へ除去することを特徴とする非競合型
の方法が開示されている。また、二本鎖のcDNAの変
性処理および当該一本鎖のcDNAの除去については、
95℃の沸騰水を用いることによって行っている。しか
し、PDCを用いる二本鎖のcDNAの固定は、その反
応が遅いという問題点を有する。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、基板表面に
一本鎖のDNA断片をジスルホン化合物を用いて共有結
合によって固定する方法、DNAチップ、およびDNA
チップを用いる非競合型のハイブリダイゼーションによ
って試料核酸断片を検出する方法を提供することを、そ
の課題とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明は、(1)表面に
反応性基が導入された基板上に、一方の末端部に反応性
基を有する一本鎖のDNA断片と反応性基を有しない一
本鎖のDNA断片とからなる二本鎖のDNA断片を含む
水性液を接触させることによって、基板表面の反応性基
と該二本鎖のDNA断片の内の一方のDNA断片が有す
る反応性基とを反応させて共有結合を形成させることに
より、該二本鎖のDNA断片を基板表面に固定する工
程;(2)該二本鎖のDNA断片から反応性基を有しな
い一本鎖のDNA断片を遊離させる工程;そして、
(3)遊離した一本鎖のDNA断片を除去する工程を含
む、反応性基を有する一本鎖のDNA断片をその末端部
にて基板表面に固定する方法であって、上記工程(1)
において、該二本鎖のDNA断片を、結合基:−R32
C−R 1HC−SO2−L−SO2−CHR1−CR2
3−、結合基:−R32C−R1HC−SO2−L−SO2
−(CR12n−、あるいは結合基:−(R21C)n
−SO2−L−SO2−(CR12n−[式中、R1、R
2およびR3は、互いに独立に、水素原子、炭素原子数が
1乃至6のアルキル基、および炭素原子数が6乃至20
のアリール基からなる群より選ばれる原子もしくは基を
表し;nは、1乃至6の整数を表し;そして、Lは、二
価の連結基を表す]を介して基板表面に結合させること
を特徴とする固定方法にある。
【0009】本発明の固定方法の好ましい態様は以下の
通りである。 (イ)一方の末端部に反応性基を有する一本鎖のDNA
断片および反応性基を有しない一本鎖のDNA断片とし
て、共に、塩基数が50乃至100000の範囲にある
ものを用いる。 (ロ)一本鎖のDNA断片が有する反応性基がアミノ基
である。
【0010】本発明は、また、上記記載の本発明の固定
方法によって作製されたDNAチップにもある。
【0011】本発明は、さらに、上記記載の本発明のD
NAチップの表面に、蛍光物質で標識した核酸断片を含
む水性液を付与し、DNAチップ上のDNA断片と蛍光
物質で標識した試料核酸断片とのハイブリッドを形成さ
せ、そして、蛍光物質から発生する蛍光を検出すること
を特徴とする、DNAチップ上のDNA断片に対して相
補性を有する試料核酸断片を検出する方法にもある。
【0012】本発明は、さらにまた、前記記載の本発明
のDNAチップの表面に、蛍光発生基を有するインター
カレータと試料核酸断片とを含む水性液を付与し、DN
Aチップ上のDNA断片と試料核酸断片とのハイブリッ
ドを形成させ、そして、該ハイブリッド構造内に取り込
まれたインターカレータの蛍光発生基から発生する蛍光
を検出することを特徴とする、DNAチップ上のDNA
断片に対して相補性を有する試料核酸断片の検出方法に
もある。本明細書では、塩基数が1乃至9の範囲にある
DNA断片をオリゴヌクレオチド、10乃至49の範囲
にあるDNA断片をポリヌクレオチドとし、ポリヌクレ
オチドより長鎖のDNA断片とは、塩基数が50以上の
DNA断片をいう。
【0013】
【発明の実施の形態】図1に、本発明の代表的なDNA
チップ、代表的なDNAチップの製造方法を表す工程、
および代表的な試料核酸断片の検出方法を示す。
【0014】本発明のDNAチップの製造方法では、ま
ず、基板(1)表面に反応性基D1が導入された修飾基
板(a0)に二本鎖のDNA断片(2)を接触すること
によって、二本鎖の内の一方のDNA断片(3)の末端
部に導入されている反応性基D2と基板表面に導入され
ている反応性基D1とをスペーサを介して共有結合させ
ることにより、二本鎖のDNA断片を基板表面に固定す
る。二本鎖のDNA断片は、反応性基D2を有するDN
A断片(3)と反応性基を有しないDNA断片(4)と
で形成されている。次いで、固定されている二本鎖のD
NA断片に変性処理を施すことによって、二本鎖の内の
他方のDNA断片(4)を解離させると共に、反応系か
ら除外する。結合基−L0−は、スペーサ、反応性基D1
および反応性基D2から形成される結合基を示す。上記
の工程によって製造される本発明のDNAチップ(a
3)は、一方のDNA断片(3)のみがその末端部にて
固定されてなるチップである。
【0015】本発明において、「DNAチップ」とは、
一本鎖のDNA断片がその末端部にて共有結合で固定さ
れてなる基板をいい、固定されているDNA断片の種類
は問わない。従って、一本鎖のcDNAが固定されてい
ても、DNAチップという。「末端部」とは、末端部の
付近をも含むものとする。一本鎖のDNA断片の種類
は、一種類であっても二種類以上であってもよい。二種
類以上の場合には、アレイ状にDNA断片(厳密には、
複数個のDNA断片で構成されている一つの領域)が整
列していることが好ましい。
【0016】本発明の試料核酸断片の検出方法は、本発
明のDNAチップ(a3)上に標識物質(6)を有する
試料核酸断片(5)を接触させ、DNAチップ(a3)
上に固定されている一本鎖のDNA断片と標識された試
料核酸断片(5)とのハイブリッドを形成させ、標識量
を検出する方法である。図1には、形成されたハイブリ
ッド(a4に該当)を、試料核酸断片が有する蛍光物質
の蛍光量を測定することによって検出する代表例を示
す。
【0017】[基板]基板としては、疎水性、あるいは
親水性の低い担体であることが好ましい。また、その表
面が凹凸を有する平面性の低いものであっても好ましく
用いることができる。固相担体の材質としては、ガラ
ス、セメント、陶磁器等のセラミックスもしくはニュー
セラミックス、ポリエチレンテレフタレート、酢酸セル
ロース、ビスフェノールAのポリカーボネート、ポリス
チレン、ポリメチルメタクリレート等のポリマー、シリ
コン、活性炭、多孔質ガラス、多孔質セラミックス、多
孔質シリコン、多孔質活性炭、織編物、不織布、濾紙、
短繊維、メンブレンフィルター等の多孔質物質などを挙
げることができる。多孔質物質の細孔の大きさは、2乃
至1000nmの範囲にあることが好ましく、2乃至5
00nmの範囲にあることが特に好ましい。基板の材質
は、ガラスもしくはシリコンであることが特に好まし
い。これは、表面処理の容易さや電気化学的方法による
解析の容易さによるものである。基板の厚さは、100
乃至2000μmの範囲にあることが好ましい。
【0018】ポリ陽イオンで処理がされた基板表面に、
さらに電荷を有する親水性高分子等からなる層や架橋剤
からなる層を設けてもよい。このような層を設けること
によって、ポリ陽イオン処理がされた基板の凹凸を軽減
することができる。基板の種類によっては、その担体中
に親水性高分子等を含有させることも可能であり、この
ような処理を施した基板も好ましく用いることができ
る。
【0019】基板は、二本鎖のDNA断片を固定させる
ため、その表面に反応性基D1を有しているが、反応性
基D1は、基板表面をポリ陽イオン(例えば、ポリ−L
−リシン、ポリエチレンイミンもしくはポリアルキルア
ミンであることが好ましく、ポリ−L−リシンであるこ
とが特に好ましい)で被覆処理することによって導入さ
れたものであっても、または反応性基D1を有するシラ
ンカップリング剤を基板表面に接触させることによって
導入されたものであってもよい。反応性基D1は、反応
性基D1を有するシランカップリング剤を基板表面に接
触させることによって導入されたものであることが特に
好ましい。反応性基D1は、スペーサとなる化合物が有
する反応性基の一部と反応できる基であれば何であって
もよい。このような反応性基D1としては、アミノ基、
メルカプト基、アルデヒド基、エポキシ基、カルボキシ
ル基もしくは水酸基であることがより好ましく、アミノ
基もしくはメルカプト基であることが特に好ましい。上
記のポリ陽イオンによる被覆処理では、反応性基D
1は、アミノ基である。
【0020】アミノ基を有するシランカップリング剤と
しては、具体的には、γ−アミノプロピルトリエトキシ
シラン、N−β(アミノエチル)γ−アミノプロピルト
リメトキシシランおよびN−β(アミノエチル)γ−ア
ミノプロピルメチルジメトキシシランを挙げることがで
き、γ−アミノプロピルトリエトキシシランを用いるこ
とが特に好ましい。
【0021】[スペーサ]反応性基D1と反応性基D2
の共有結合は、スペーサを介して形成される。スペーサ
としては、下記式(I)で表されるジスルホン化合物を
用いる。
【0022】
【化1】(I) X1−SO2−L−SO2−X2
【0023】上記式中、X1は、−(CR12n−Yを
表し、X2は、−CR1=CR23、または−(CR
12n−Yを表す。X2が−(CR12n−Yを表す
とき、X1およびX2は、互いに同一の基であっても、異
なる基であってもよい。R1、R2およびR3は、互いに
独立に、水素原子、炭素原子数が1乃至6のアルキル基
および炭素原子数が6乃至20のアリール基からなる群
より選ばれる原子もしくは基を表す。炭素原子数が1乃
至6のアルキル基としては、メチル基、エチル基、n−
プロピル基、n−ブチル基、もしくはn−ヘキシル基で
あることが好ましく、メチル基であることが特に好まし
い。上記アリール基としては、フェニル基もしくはナフ
チル基であることが好ましく、フェニル基であることが
特に好ましい。R1、R2およびR3は、共に、水素原子
であることが好ましい。nは、1乃至6の整数を表し、
好ましくは2を表す。Yは、−OH、−OR0、−S
H、NH3、NH20等(但し、R0は、水素原子を除く
基とする。)の求核試薬によって置換される基、あるい
は塩基によって「HY」として脱離する基を表す。Y
は、ハロゲン原子(F、Cl、Br等)、−OSO2
炭素原子数が1乃至6のアルキル基、−OSO2−炭素
原子数が6乃至20のアリール基、−OSO3M、−O
CO−炭素原子数が1乃至6のアルキル基、−OCO−
炭素原子数が1乃至6のハロゲン化アルキル基、炭素原
子数が1乃至6のアルキル基を有する炭素原子数が7乃
至26のアラルキル基、−NH−炭素原子数が1乃至6
のアルキレン基−OSO3M、および置換基を有してい
てもよい四級ピリジニウム基からなる群より選ばれる原
子もしくは基であることが好ましい。上記アルキル基、
アリール基、アルキレン基、アラルキル基およびハロゲ
ン化アルキル基は、さらに置換されていてもよい。四級
ピリジニウム基が有していてもよい置換基としては、−
アルキレン基−SO3 -および−NH−アルキレン基−S
3 - を挙げることができる。これらのアルキレン基と
しては、メチレン基もしくはエチレン基であることが好
ましい。四級ピリジニウム基は、ハロゲン化酸塩を形成
していてもよく、塩酸塩であることが特に好ましい。M
は、水素原子、アルカリ金属原子(ナトリウム原子、カ
リウム原子等)および置換基を有していてもよいアンモ
ニウムカチオンからなる群より選ばれる原子もしくはカ
チオンを表す。置換基を有していてもよいアンモニウム
カチオンとしては、 NH(C253、NH(CH2
HOHCH33、NH325、NH3(n−C37)、
NH3(n−C49)、NH2(C22OH)2 、NH2
(C2 52 、NH2(i−C372 、NH2(n−C
372 、NH2CH3(n−C49 、NH2(C
32 、NH2(n−C492 、NHC25(i−C
372、もしくはNHCH3(n−C492 を挙げる
ことができる(但し、窒素原子が有する静電荷(+)を
省略する)。Mは、ナトリウム原子、もしくはカリウム
原子であることが特に好ましい。
【0024】Lは、二価の連結基を表す。二価の連結基
は、炭素原子数が1乃至6のアルキレン基、炭素原子数
が3乃至16の脂肪族環基、炭素原子数が6乃至20の
アリーレン基、N、SおよびPからなる群より選ばれる
ヘテロ原子を1乃至3個含む炭素原子数が2乃至20の
複素環基、−O−、−S−、−SO−、−SO2−、−
SO3−、−NR11−、−CO−およびこれらの組み合
わせから群より選ばれる基を一つあるいは複数個組み合
わせてなる基であることが好ましい。R11は、水素原
子、炭素原子数が1乃至15のアルキル基、炭素原子数
が6乃至20のアリール基、および炭素原子数が1乃至
6のアルキル基を有する炭素原子数が7乃至21のアラ
ルキル基からなる群より選ばれる原子もしくは基である
ことが好ましく、水素原子もしくは炭素原子数が1乃至
6のアルキル基であることがさらに好ましく、水素原
子、メチル基もしくはエチル基であることが特に好まし
い。Lが−NR11−、−SONR11−、−CONR
11−、−NR11COO−、および−NR11CONR11
からなる群より選ばれる基を二個以上組み合わせてなる
基である場合には、それらのR11同士が結合して環を形
成していてもよい。
【0025】上記アルキレン基、脂肪族環基、アリーレ
ン基、R11のアルキル基、R11のアリール基、およびR
11のアラルキル基は、置換されていてもよい。このよう
な置換基としては、水酸基、炭素原子数が1乃至6のア
ルコキシ基、炭素原子数が1乃至6のアルケニル基、炭
素原子数が2乃至7のカルバモイル基、炭素原子数が1
乃至6のアルキル基、炭素原子数が2乃至7のアラルキ
ル基、炭素原子数が6乃至20のアリール基、スルファ
モイル基(もしくはそのNa塩、K塩等)、スルホ基
(もしくはそのNa塩、K塩等)、カルボン酸基(もし
くはそのNa塩、K塩等)、ハロゲン原子、炭素原子数
が1乃至6のアルケニレン基、炭素原子数が6乃至20
のアリーレン基、スルホニル基、およびこれらの組み合
わせからなる群より選ばれる原子もしくは基を挙げるこ
とができる。
【0026】上記X1およびX2の好ましい具体例を以下
に示す。
【0027】
【化2】
【0028】X1およびX2は、上記具体例の中で、互い
に独立に、(X1)、(X2)、(X3)、(X4)、
(X7)、(X8)、(X13)あるいは(X14)で
あることが好ましく、(X1)あるいは(X2)である
ことがさらに好ましく、(X1)であることが特に好ま
しい。
【0029】Lの好ましい具体例を以下に示す。但し、
aは、1乃至6の整数であり、1もしくは2であること
が好ましく、1であることが特に好ましい。bは、0乃
至6の整数であり、2もしくは3であることが好まし
い。
【0030】
【化3】
【0031】Lとしては、上記記載の二価の連結基の他
に、上記アルキレン基の水素原子が−SO2CH=CH2
基によって置換されてなる基も好ましい。
【0032】本発明で好ましく用いる一般式(I)で表
されるジスルホン化合物の代表例を下記に示す。
【0033】
【化4】
【0034】本発明で用いる一般式(I)で表されるジ
スルホン化合物の合成法については、特公昭47−24
29号、同50−35807号、特開昭49−2443
5号、同53−41551号、同59−18944号等
の各公報に詳細が記載されている。
【0035】本発明で用いられる一般式(I)で表され
るジスルホン化合物は、二種類以上を混合して用いても
よい。
【0036】基板表面に導入された反応性基D1と二本
鎖のDNA断片が有する反応性基D2とのスペーサを介
した共有結合の形成については、a)反応性基D1とス
ペーサが有する反応性基との間で形成される共有結合、
およびb)反応性基D2とスペーサが有する反応性基と
の間で形成される共有結合の順を問わない。従って、基
板にスペーサを接触させて、まずスペーサを基板に結合
させ、次いで、ここにDNA断片を接触させてスペーサ
にDNA断片を結合させることも好ましく(図1に該
当)、スペーサにDNA断片を接触させて、まずスペー
サにDNA断片を結合させてから、これを基板に接触さ
せることも好ましく、または基板、スペーサおよびDN
A断片を実質的に同時に接触させることも好ましい。こ
こで、上記a)は、一般式(I)中のX1もしくはX2
−CR1=CR23基に、反応性基D1を付加させて得ら
れる結合、またはX1もしくはX2の−Y基に反応性基D
1を置換させて得られる結合である。上記b)について
は、a)と同様である。従って、図1において、結合基
−L0−とは、結合基:−R32C−R1HC−SO2
L−SO2−CHR1−CR23−、結合基:−R32
−R 1HC−SO2−L−SO2−(CR12n−、ある
いは結合基:−(R21C) n−SO2−L−SO2
(CR12n−を含む基を表す。
【0037】[DNA断片の点着]本発明のDNAチッ
プは、主に、遺伝子の発現態様(特定の遺伝子の発現
量、発現した遺伝子の種類など)を調べるために用いら
れる。従って、基板表面に固定する二本鎖のDNA断片
は、mRNAに対してRT(reverse transcription)
法によって得たcDNA断片をベクターに組み込んだも
の(cDNAのライブラリ)をテンプレートとしてPC
R法によって増幅して調製することが好ましい。一本鎖
のcDNA断片をPCR法により増幅して得られる二本
鎖のcDNA断片は、一方の鎖がその末端部に反応性基
2を持ち、かつ他方の鎖が反応性基を持たないもので
あり、これは、一般的に、二種類のプライマ(反応性基
2を5’末端に有するプライマと反応性基を有しない
プライマ)を用いて調製することができる。反応性基D
2としては、アミノ基、イミノ基、ヒドラジノ基、カル
バモイル基、ヒドラジノカルボニル基、もしくはカルボ
キシイミド基であることが好ましく、アミノ基であるこ
とが特に好ましい。固定の様式は、PCR法によって得
られた二本鎖のcDNA断片の一方の鎖の末端部(好ま
しくは、5’末端)に有する反応性基D2と基板表面に
導入された反応性基D1との共有結合によって行うこと
が好ましい。実際の固定は、cDNA断片が分散または
溶解してなる水性液を基板表面に点着することによって
実施することが好ましい。cDNA断片の塩基数は、5
0乃至100000の範囲にあることが好ましく、50
乃至10000の範囲にあることがより好ましく、50
乃至1000の範囲にあることが特に好ましい。本発明
では、オリゴヌクレオチドやポリヌクレオチドではな
く、長鎖のDNA断片を固定の対象とする。
【0038】二本鎖のcDNA断片が分散または溶解し
てなる水性液を基板表面に点着する際には、この水性液
から反応性基D2を有するプライマを除去しておくこと
が好ましい。通常、その水性液中には、二本鎖のcDN
A断片の他に、未反応の反応性基D2を有するプライマ
が含まれており、特にその未反応の反応性基R2を有す
るプライマを除去することなく、点着に使用すると該プ
ライマも基板表面上の反応性基D1と反応して固定され
ることとなってしまうためである。除去の方法として
は、市販のスピンカラム・ガラスフィルタを用いる濾過
またはイソプロパノール沈殿もしくはエタノール沈殿を
挙げることができる。
【0039】基板表面に反応性基D2を有するDNA断
片を点着させると、基板表面にはDNA断片が結合して
いない未反応の反応性基D1も存在する。このような反
応性基R2は、標識された試料核酸断片とのハイブリダ
イゼーションにおいて非特異的な結合を生じる可能性が
あるため、予めこのような反応性基D1をマスク処理し
ておくことが好ましい。マスク処理は、基板表面に、ア
ミノ基もしくはメルカプト基を有するアニオン性化合物
を接触させることによって行うことが好ましい。このよ
うなアニオン性化合物としては、反応性基D1と反応
し、かつ負の電荷(COO-、SO3 -、OSO3 -、PO3
-、もしくはPO2 -)を有するものであれば何れのもの
も用いることができるが、アミノ酸であることが好まし
く、グリシンもしくはシステインであることが特に好ま
しい。また、タウリンも好ましく用いることができる。
【0040】[変性処理]基板表面に固定された二本鎖
のDNA断片を解離させる変性処理の方法としては、公
知の方法を用いることができる。熱処理、高いpHやイ
オン強度の低い水性溶媒での処理、または界面活性剤、
有機溶剤(アルコール、アルデヒドなど)もしくは尿素
やアミドの添加処理を挙げることができるが、操作の簡
便さの点や特定のDNA断片についてはその融解温度
(Tm)が既知であるという点から、熱処理あるいは水
性溶媒のpHを上げる方法を用いることが好ましい。
【0041】水性溶媒としては、蒸留水、またはクエン
酸緩衝液、リン酸緩衝液、ホウ酸緩衝液、トリス緩衝
液、グッド緩衝液等の一般的な緩衝液、これらの緩衝液
に電解質を添加したもの、あるいはさらに、ジメチルス
ルホキシドのような二本鎖の結合状態に影響を与えない
有機溶媒を添加したものを用いることが好ましい。
【0042】二本鎖の結合状態に影響を与える水性溶媒
の接触は、二本鎖のDNA断片が固定された基板を、所
定の温度に設定した水性溶媒に接触(好ましくは、浸
漬)させることによって実施することが好ましい。所定
の温度とは、二本鎖のDNA断片をほぼ完全に解離させ
るために、約90乃至100℃の範囲にあることが好ま
しい。接触は、3乃至60分間の範囲にて行うことが好
ましく、15乃至30分間の範囲にて行うことが特に好
ましい。イオン強度を利用する場合には、緩衝液に添加
する電解質(例えば、塩化カリウム)の濃度が0.1乃
至0.9Mの範囲にある緩衝液を用いることが好まし
く、0.3乃至0.7Mの範囲にある緩衝液を用いるこ
とが特に好ましい。pHを利用する場合には、約11に
て行うことが好ましい。
【0043】[核酸断片試料]試料核酸断片は、遺伝子
発現を調べる目的では、真核生物の細胞や組織からmR
NAを抽出し、逆転写反応により蛍光標識されたdNT
Pを取り込ませて、標識cDNAとしたものを用いるこ
とが好ましい。一方、mRNAそのものを蛍光標識して
用いることも好ましい。
【0044】[ハイブリダイゼーション]ハイブリダイ
ゼーションは、本発明のDNAチップに、蛍光物質で標
識された試料核酸断片が溶解または分散してなる水性液
を接触させることによって、あるいは蛍光発生基を有す
るインターカレータの存在下、非標識の試料核酸断片が
溶解または分散してなる水性液を接触させることによっ
て行うことが好ましい。上記後者の場合には、蛍光イン
ターカレータは、ハイブリダイゼーションの終了後に、
形成されたハイブリッドDNAに接触させても、ハイブ
リダイゼーションの際に試料核酸断片を含む水性液中に
蛍光インターカレータを含めることによって、形成され
るハイブリッドDNAに接触させてもよい。ハイブリダ
イゼーションの終了後に接させる場合には、蛍光インタ
ーカレータが、(一本鎖の)試料核酸断片あるいは試料
中に含まれる二本鎖の試料核酸断片に非特異的に結合す
るのを避けるため、ハイブリダイゼーション終了後に未
反応の試料核酸断片を除去してから、接触させることが
望ましい。洗浄には、界面活性剤(好ましくは、ドデシ
ル硫酸ナトリウム)と緩衝液(好ましくは、クエン酸緩
衝液)との混合溶液を用いることが好ましい。蛍光イン
ターカレータは、何れも10nM乃至10mMの濃度範
囲にて用いることが好ましい。ハイブリダイゼーション
は、室温乃至70℃の温度範囲で、そして0.5乃至2
0時間の範囲で実施することが好ましい。
【0045】ハイブリダイゼーション中の乾燥を防ぐた
めに、試料核酸断片を含む水性液に、高沸点の物質を添
加してもよい。高沸点の物質としては、試料核酸断片を
含む水性液に溶解し得るものであって、ハイブリダイゼ
ーションを妨げることがなく、かつ粘性の大きくない物
質であることが好ましい。このような物質としては、グ
リセリン、エチレングリコール、ジメチルスルホキシド
および低分子の親水性ポリマーを挙げることができる。
低分子の親水性ポリマーとしては、ポリアクリルアミ
ド、ポリエチレングリコール、ポリアクリル酸ナトリウ
ム等を挙げることができる。高沸点の物質の濃度は、試
料核酸断片を含む水性液中、0.1乃至2容量%の範囲
にあることが好ましく、0.5乃至1容量%の範囲にあ
ることが特に好ましい。低分子の親水性ポリマーについ
ては、特願平11−30429号の明細書に詳細が記載
されている。また、同じ目的のために、ハイブリダイゼ
ーション中のDNAチップを、90%以上の湿度および
25乃至50℃の温度範囲の環境に置くことも好まし
い。
【0046】DNAチップ上の一本鎖のcDNA断片と
試料核酸断片とで形成されるハイブリッドの検出は、蛍
光発生基を有するインターカレータ(以下、「蛍光イン
ターカレータ」という。)あるいは試料核酸断片を標識
している蛍光物質から発せられる蛍光量を測定すること
によって行う。
【0047】[蛍光物質]蛍光物質としては、試料核酸
断片の核酸塩基部分と結合できるものであれば何れも用
いることができるが、シアニン色素(例えば、Cy D
yeTMシリーズのCy3、Cy5等)、ローダミン6G
試薬、N−アセトキシ−N2−アセチルアミノフルオレ
ン(AAF)あるいはAAIF(AAFのヨウ素誘導
体)を使用することができる。
【0048】[蛍光発生基を有するインターカレータ]
蛍光インターカレータとしては、文献(Bull.Chem.Soc.
Jpn.,72,327-337(1999))に記載のものを用いることが
できる。この他のものとしては、水溶性縫い込み型蛍光
インターカレータであって、下記一般式(II)で表さ
れるものも好ましく用いることができる。下記式で表さ
れる蛍光インターカレータは蛍光性基(F)を一つのみ
有する。
【0049】
【化5】(II) F−Y4−L1−X3−L2−Q
【0050】上記式中、X3は、蛍光インターカレータ
のコア部分であり、置換基を有していてもよい二価の環
状基を表す。二価の環状基としては、平面性を有する環
状基であることが好ましく、二つの窒素原子に結合手を
有するナフタレンジイミド基、2位と6位もしくは1位
と5位(好ましくは、2位と6位)とに結合手を有する
アントラセン基、アントラセン基と同じ位置に結合手を
有するアントラキノン基、2位と6位とに結合手を有す
るフルオレン基、2位と6位とに結合手を有するビフェ
ニレン基、2位と7位とに結合手を有するフェナントレ
ン基、および2位と7位とに結合手を有するピレン基か
らなる群より選ばれる環状基であることが好ましく、二
つの窒素原子に結合手を有するナフタレンジイミド基で
あることが特に好ましい。置換基としては、ハロゲン原
子、あるいは炭素原子数が1乃至6のアルキル基である
ことが好ましいが、水素原子であることが好ましい。炭
素原子数が1乃至6のアルキル基としては、メチル基、
エチル基、もしくはn−プロピル基であることが好まし
い。
【0051】X3の具体例を次に示す。*印は、結合手
の位置を示す。
【0052】
【化6】
【0053】Fは、蛍光性基(一つの結合手を有する蛍
光発生物質)を表す。蛍光発生物質は、特定の波長、例
えば、波長が400乃至700nmの範囲(好ましく
は、400乃至550nmの範囲)にある励起光の照射
によって蛍光を発する物質であることが好ましい。この
ような蛍光発生物質としては、インドシアニン系化合
物、アザインドレニンシアニン系化合物、アクリジン系
化合物、および溝結合型化合物(groove binder)を挙
げることができる。ここで、溝結合型化合物とは、一般
的に、その分子内に四級カチオン性基を有し、そのカチ
オン性基の存在によって、二本鎖核酸断片のリン酸エス
テル基のアニオンと強く相互作用する化合物をいう。溝
結合型化合物は、そのコア部分(X3)と蛍光性基
(F)とが塩基対を介して積層した状態で二本鎖核酸断
片に取り込まれる。
【0054】下記に、インドシアニン系化合物(F
1)、アザインドレニンシアニン系化合物(F2)、ア
クリジン系化合物(F3)、および溝結合型化合物(F
4)の具体例をこの順に、一つの結合手を有する構造と
して示す。結合手の位置を*印で示す。
【0055】
【化7】
【0056】
【化8】
【0057】
【化9】
【0058】
【化10】
【0059】
【化11】
【0060】
【化12】
【0061】
【化13】
【0062】
【化14】
【0063】
【化15】
【0064】上記式中、Aは、酸素原子あるいはイオウ
原子を示す。
【0065】L1およびL2は、互いに独立に、蛍光イン
ターカレータに可溶性を付与する二価の連結基であるこ
とが好ましく、その直鎖部分が炭素原子数が3乃至10
の炭化水素基に相当する長さを有する基であることが好
ましい。ここで、直鎖部分とは、L1に関しては、その
一方の端部がコア部分(X3)と縮合し、かつ他方の端
部がYと縮合する部分、L2に関しては、その一方の端
部がコア部分(X3)と縮合し、かつ他方の端部がZと
縮合する部分をいう。L1およびL2は、調製の都合上、
互いに同一の基であることが好ましい。L1は、二価の
連結基中に、アルキレン基と、窒素原子を有する二価の
基とを含む連結基であることがさらに好ましい。窒素原
子を有する二価の基は、L1の直鎖部分に含むことが好
ましい。窒素原子を有する二価の基としては、イミノ
基、1,4−ピペラジニル基、1,3−イミダゾリジニ
ル基、ピロリジニル基、二価のピラゾリジニル基、ある
いは二価のピペリジニル基であることが好ましく、イミ
ノ基、あるいは1,4−ピペラジニル基であることが特
に好ましい。
【0066】窒素原子は、炭素原子数が1乃至3のアル
キル基、炭素原子数が2乃至4のアシル基、炭素原子数
が6乃至20のアリール基および炭素原子数が1乃至3
のアルキル基を有する炭素原子数が7乃至23のアラル
キル基からなる群より選ばれる基で置換されていてもよ
い。炭素原子数が1乃至3のアルキル基としては、メチ
ル基もしくはエチル基であることが好ましく、メチル基
であることが特に好ましい。炭素原子数が2乃至4のア
シル基としては、アセチル基であることが好ましい。炭
素原子数が6乃至20のアリール基としては、フェニル
基もしくはナフチル基であることが好ましく、フェニル
基であることが特に好ましい。炭素原子数が1乃至3の
アルキル基を有する炭素原子数が7乃至23のアラルキ
ル基としては、ベンジル基であることが好ましい。イミ
ノ基の置換基としては、メチル基であることが特に好ま
しい。従って、L1(もしくはL2)は、N−メチル−ジ
(n−プロピレニル)イミノ基、1,4−ジ(n−プロ
ピレニル)−ピペラジニル基であることがさらに好まし
く、N−メチル−ジ(n−プロピレニル)イミノ基であ
ることが特に好ましい。
【0067】Y4は、二価の連結基を表し、イミノ基、
チオエーテル基、カルボニルオキシ基、チオカルボニル
オキシ基もしくはカルボニル基であることがより好まし
く、イミノ基、チオエーテル基もしくはカルボニル基で
あることがさらに好ましく、イミノ基であることが特に
好ましい。
【0068】Qは、非蛍光性基を表し、アミノ基、カル
ボン酸基、スルホン酸基、スルフィン酸基、スルフェン
酸基、ヒドラジノ基、カルバモイル基、水酸基、イミノ
基およびメルカプト基からなる群より選ばれる基である
ことが好ましく、アミノ基、カルボン酸基、スルホン酸
基あるいはメルカプト基であることがより好ましく、ア
ミノ基であることが特に好ましい。
【0069】蛍光インターカレータは、水溶性であるこ
とが必要とされるが、インターカレータに水溶性を付与
するために、前記記載のように、L1やL2に可溶性を付
与する基を含めることも好ましいが、インターカレータ
の塩として用いてもよい。塩としては、塩酸塩、硫酸
塩、炭酸塩、リン酸塩、臭化水素酸塩、ヨウ化水素酸塩
等の無機塩との酸付加塩、あるいは酢酸塩、シュウ酸
塩、マロン酸塩、コハク酸塩、マレイン酸塩、フマル酸
塩、乳酸塩、リンゴ酸塩、クエン酸塩、酒石酸塩、メタ
ンスルホン酸塩等の有機酸との付加塩、またはナトリウ
ム塩、カリウム塩、カルシウム塩、マグネシウム塩等の
無機塩類、あるいはピリジン塩、アンモニウム塩、トリ
エチルアミン塩、エタノールアミン塩等の有機塩類を挙
げることができる。
【0070】蛍光インターカレータは、公知の方法(特
開平9−288080号公報)によって簡便に製造する
ことができる。この方法では、蛍光性基が二つ導入され
たものも得られるが、反応条件を変えて、あるいは反応
生成物の分離精製を行って本発明の蛍光インターカレー
タのみを得ることができる。
【0071】[蛍光量の測定]DNAチップ上の一本鎖
のcDNA断片と試料核酸断片とで形成されるハイブリ
ッドの検出は、蛍光発生基を有するインターカレータ
(以下、「蛍光インターカレータ」という。)あるいは
試料核酸断片を標識している蛍光物質から発せられるの
蛍光量を測定することによって行う。蛍光量の測定は、
蛍光レーザースキャナー法や冷却CCD(電荷結合素
子)法によって行うことが好ましい。
【0072】本発明の試料核酸断片の検出方法は、例え
ば、酵母の野生型株、および酵母のTUPI欠損株から
それぞれ抽出したmRNAを用いて蛍光標識した試料c
DNA断片を調製し、次いで、酵母の約数千個の全遺伝
子を配置したDNAチップに対して、各試料cDNA断
片を用いてそれぞれハイブリダイゼーションを行い、m
RNAの発現量を解析することに利用できる。実際に、
イオン結合によってPCR産物が固定されているDNA
チップを用いて、野生型株から得られた試料cDNA断
片を用いた場合には、mRNAの発現量の相違が、DN
Aチップ上のスポット間にほとんど認められなかったの
に対し、TUPI欠損株から得られた試料cDNA断片
を用いた場合には、mRNAの発現量の増減が認められ
た例が知られている(「実験医学」Vol.17, No.1, 1月
号,1999年)。
【0073】
【実施例】[実施例1] (1)DNAチップの作製 2重量%アミノプロピルエトキシシラン(信越化学工業
(株)製)のエタノール溶液に、スライドガラス(25
mm×75mm)を10分間浸した後取り出し、エタノ
ールで洗浄後、110℃で10分間乾燥して、シラン化
合物被覆スライドを作成した。次いで、このシラン化合
物被覆スライドを、5重量%1,2−ビス(ビニルスル
ホニルアセトアミド)エタンのリン酸緩衝液(pH8.
5)溶液に1時間浸した後取り出し、アセトニトリルで
洗浄し、1時間減圧下にて乾燥し、ビニルスルホニル基
が導入されたスライドを得た。一本鎖のDNA断片
(a)の5’末端にアミノ基が結合した反応性基を有す
るDNA断片と、一本鎖のDNA断片(b)の5’末端
に蛍光標識試薬(FluoroLink Cy5、アマ
シャム・ファルマシア・バイオテク社製)が結合した標
識DNA断片とからなる二本鎖DNA断片をPCR法に
よって得、これを滅菌水に分散してなる水溶液(1×1
-6M)を上記のスライドに点着した。点着後のスライ
ドの表面の蛍光強度を蛍光スキャニング装置で測定した
ところ、23000であった。そのスライドを、25
℃、湿度70%にて一晩放置した後、4×SSC(SS
C:標準食塩−クエン酸緩衝液)水溶液で5分間洗浄
し、さらに0.5Mグリシン水溶液(pH8.5)で1
時間洗浄した。次いで、そのスライドを沸騰水に30分
間浸漬(変性処理)した後、沸騰水から取り出し、解離
しているDNA断片(b)を除去した。そして、スライ
ドを室温で乾燥させてDNAチップF1を得た。DNA
チップF1の表面の蛍光強度を蛍光スキャニング装置で
測定したところ、800であった。
【0074】(2)試料DNA断片の検出 上記(1)で得たDNAチップF1の表面に、上記
(1)のDNA断片(b)と同じ塩基配列を有するDN
A断片の5’末端に蛍光標識試薬(FluoroLin
k Cy3、アマシャム・ファルマシア・バイオテク社
製)が結合した標識DNA断片を含むハイブリダイゼー
ション用溶液(4×SSC溶液と0.2重量%ドデシル
硫酸ナトリウム(SDS)水溶液の混合溶液)50μL
を点着した。点着後のDNAチップF1の表面を顕微鏡
用カバーガラスで覆い、モイスチャーチャンバ内にて6
0℃で20時間インキュベートし、室温にて0.1重量
%SDS水溶液と2×SSC水溶液との混合溶液で、5
0℃にて0.1重量%SDS水溶液と0.2×SSC水
溶液との混合溶液で、および室温にて0.2×SSCの
水溶液で順次洗浄した後、600rpmで20秒間遠心
し、室温で乾燥した。乾燥後のDNAチップF1の表面
の蛍光強度を測定したところ、1000であった。
【0075】沸騰水で処理する時間を長くすることによ
って、ほぼ完全な二本鎖の解離および解離している一方
の鎖のcDNA断片の除去が可能となり、アミノ基を有
する他方の鎖のcDNA断片のみを共有結合によってス
ライドガラスの表面に固定させたDNAチップを作製す
ることができる。また、このようにして作製されたDN
Aチップは、試料cDNA断片と効率よくハイブリダイ
ズすることが分かる。
【発明の効果】本発明のDNAチップの製造方法によっ
て、ポリヌクレオチドよりも長鎖の一本鎖のDNA断片
を基板表面に共有結合によって固定したDNAチップを
得ることができる。即ち、本発明の製造方法は、最初に
固定した二本鎖のDNA断片をほぼ完全に解離させ、か
つ解離している一方のDNA断片をチップの外へ排除す
ることに特徴があり、解離している一方のDNA片がチ
ップ上に共存し、試料核酸断片と競合反応を起こすこと
がないため、ハイブリダイゼーションの効率を上げるこ
とが可能となる。また、塩基数が約100000の核酸
断片が固定されてなる本発明のDNAチップは、遺伝子
の発現態様の解析に特に有用である。さらに、本発明の
DNAチップは、ハイブリダイゼーション後、沸騰水に
供することによって試料核酸断片(または、試料核酸断
片および蛍光発生基を有するインターカレータ)を解離
または除去することができ、一回乃至数回の範囲で再利
用が可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のDNAチップの製造方法の工程、本発
明のDNAチップおよび本発明の試料核酸断片の検出方
法を示す代表的な模式図である。
【図2】試料核酸断片の競合型検出方法を示す模式図で
ある。
【符号の説明】
1 基板 2 二本鎖のDNA断片 3 反応性基を有する一本鎖のDNA断片 4 反応性基を有しない一本鎖のDNA断片 5 試料核酸断片 6 蛍光物質 a3 本発明のDNAチップ
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) G01N 33/566 C12N 15/00 A (72)発明者 篠木 浩 埼玉県朝霞市泉水3−11−46 富士写真フ イルム株式会社内 (72)発明者 牧野 快彦 埼玉県朝霞市泉水3−11−46 富士写真フ イルム株式会社内 (72)発明者 瀬志本 修 埼玉県朝霞市泉水3−11−46 富士写真フ イルム株式会社内 Fターム(参考) 2G042 AA01 BD19 FA11 4B024 AA11 AA20 CA09 HA12 HA14 4B029 AA07 AA23 BB20 CC01 CC11 FA03 FA15 4B063 QA01 QA12 QA17 QA18 QQ42 QR32 QR55 QR84 QS03 QS34 QS36 QS39 QX02

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 (1)表面に反応性基が導入された基板
    上に、一方の末端部に反応性基を有する一本鎖のDNA
    断片と反応性基を有しない一本鎖のDNA断片とからな
    る二本鎖のDNA断片を含む水性液を接触させることに
    よって、基板表面の反応性基と該二本鎖のDNA断片の
    内の一方のDNA断片が有する反応性基とを反応させて
    共有結合を形成させることにより、該二本鎖のDNA断
    片を基板表面に固定する工程;(2)該二本鎖のDNA
    断片から反応性基を有しない一本鎖のDNA断片を遊離
    させる工程;そして、(3)遊離した一本鎖のDNA断
    片を除去する工程を含む、反応性基を有する一本鎖のD
    NA断片をその末端部にて基板表面に固定する方法であ
    って、 上記工程(1)において、該二本鎖のDNA断片を、結
    合基:−R32C−R 1HC−SO2−L−SO2−CH
    1−CR23−、結合基:−R32C−R1HC−SO
    2−L−SO2−(CR12n−、あるいは結合基:−
    (R21C)n−SO2−L−SO2−(CR12n
    [式中、R1、R2およびR3は、互いに独立に、水素原
    子、炭素原子数が1乃至6のアルキル基、および炭素原
    子数が6乃至20のアリール基からなる群より選ばれる
    原子もしくは基を表し;nは、1乃至6の整数を表し;
    そして、Lは、二価の連結基を表す]を介して基板表面
    に結合させることを特徴とする固定方法。
  2. 【請求項2】 一方の末端部に反応性基を有する一本鎖
    のDNA断片および反応性基を有しない一本鎖のDNA
    断片として、共に、塩基数が50乃至100000の範
    囲にあるものを用いることを特徴とする請求項1に記載
    の固定方法。
  3. 【請求項3】 一本鎖のDNA断片が有する反応性基
    が、アミノ基であることを特徴とする請求項1に記載の
    固定方法。
  4. 【請求項4】 請求項1乃至3の内の何れかの項に記載
    の固定方法によって作製されたDNAチップ。
  5. 【請求項5】 請求項4に記載のDNAチップの表面
    に、蛍光物質で標識した核酸断片を含む水性液を付与
    し、DNAチップ上のDNA断片と蛍光物質で標識した
    試料核酸断片とのハイブリッドを形成させ、そして、蛍
    光物質から発生する蛍光を検出することを特徴とする、
    DNAチップ上のDNA断片に対して相補性を有する試
    料核酸断片を検出する方法。
  6. 【請求項6】 請求項4に記載のDNAチップの表面
    に、蛍光発生基を有するインターカレータと試料核酸断
    片とを含む水性液を付与し、DNAチップ上のDNA断
    片と試料核酸断片とのハイブリッドを形成させ、そし
    て、該ハイブリッド構造内に取り込まれたインターカレ
    ータの蛍光発生基から発生する蛍光を検出することを特
    徴とする、DNAチップ上のDNA断片に対して相補性
    を有する試料核酸断片の検出方法。
JP2000156870A 2000-05-26 2000-05-26 Dna断片の固定方法、dnaチップおよび核酸断片の検出方法 Withdrawn JP2001337089A (ja)

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