JP2001337059A - プリント配線板の劣化検出方法および装置 - Google Patents

プリント配線板の劣化検出方法および装置

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JP2001337059A
JP2001337059A JP2000156857A JP2000156857A JP2001337059A JP 2001337059 A JP2001337059 A JP 2001337059A JP 2000156857 A JP2000156857 A JP 2000156857A JP 2000156857 A JP2000156857 A JP 2000156857A JP 2001337059 A JP2001337059 A JP 2001337059A
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Kenji Adachi
健二 安達
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 本発明は、電子部品を取り外しせずにプリン
ト配線板の外観からプリント配線板全体の発熱状態を熱
画像として容易に捉らえて点検作業の時間短縮や簡素化
を達成し、また統一化した劣化判定を行うことを目的と
する。 【解決手段】 電子部品3を実装したプリント配線板2
全体の発熱状態を熱画像9として捉え、この熱画像9の
時間的な変化を基にプリント配線板2の劣化を検出する
ことを特徴とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、電子部品を実装し
たプリント配線板の発熱状態を熱画像で捉え、フラクタ
ル次元解析によりプリント配線板の異常や劣化を診断す
るプリント配線板の劣化検出方法および装置に関する。
【0002】
【従来の技術】産業プラントで使用される各種制御装置
等には種々の電子部品を実装したプリント配線板が使用
されており、電子回路を構成する各種電子部品は劣化に
伴い、その劣化が発熱量の増加として現れることが多
い。一方、熱画像は診断対象物の熱分布状態を画像で表
現したものであり、従来から電子機器あるいは電子回路
等の簡易故障診断として利用されている。即ち、故障診
断においては故障部品の抽出方法として正常時の熱画像
と故障時の熱画像を差分法により比較して故障部分を特
定するために用いられている。しかし、従来の熱画像解
析においては、発熱部のスポット温度などに着目したも
のが多く、プリント配線板を診断対象物とした熱画像の
熱分布状態は非線形形状の複雑さを持っていることから
観測領域であるプリント配線板全体の熱分布として解析
されることは殆ど見られていない。
【0003】また、従来、電子部品を実装したプリント
配線板の劣化検出方法として、電気的な動特性解析によ
り電気信号の入・出力量の変化から劣化検出と劣化の限
界である故障発生を判断することが行われている。しか
し、この劣化検出方法では、回路上、電子部品の劣化が
入・出力特性値として現れ難いときは劣化を検出できな
い場合が出てくる。さらに最近多用されているディジタ
ルIC部品の回路では部品の故障時点にならないと特性
変動量として現れないことが多い。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】電子部品を実装したプ
リント配線板を用いる各種制御装置等では、プリント配
線板の使用環境・電気的使用状態により電子部品の劣化
や異常発生時期が異なっており、プリント配線板の劣化
検出方法として外観状態から搭載した各電子部品の特性
を判断することは困難である。このため、従来は電子装
置の点検時等においてプリント配線板から調査すべき回
路・電子部品を取り外し、電気的特性を計測して使用し
ている回路の動作限界特性値を判定量として劣化を判定
している。しかし、交換部品の調達や対象部品をプリン
ト配線板から取り外して電気的特性を計測するなど一連
作業の時間が多大となり実施が十分でないことが多い。
また、従来の熱画像を用いた方法では、プリント配線板
各部を外観的に熱分布として観測することは可能である
が、熱分布は非線形形状の複雑さを持っているため、そ
の熱分布の解析からプリント配線板全体の劣化状態を検
知することは困難である。
【0005】本発明は、上記に鑑みてなされたもので、
電子部品を取り外しせずにプリント配線板の外観からプ
リント配線板全体の発熱状態を熱画像として容易に捉ら
えることができ、この熱画像の時間的な変化を基に劣化
を検出することで点検作業の時間短縮や簡素化を達成す
ることができ、熱画像をフラクタル次元で定量評価する
ことでヒューマンエラーを解消して統一化した劣化判定
を行うことができ、点検時の劣化状態量から劣化の限界
である故障発生時点を予知することができ、さらに熱画
像に対する環境温度の影響を除去して精度の良い劣化判
定を行うことができるプリント配線板の劣化検出方法お
よび装置を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため
に、請求項1記載のプリント配線板の劣化検出方法は、
電子部品を実装したプリント配線板もしくは電子装置に
使用されている電子部品を実装したプリント配線板の劣
化を検出する劣化検出方法であって、前記電子部品を実
装したプリント配線板全体の発熱状態を熱画像として捉
え、この熱画像の時間的な変化を基に劣化を検出するこ
とを要旨とする。この構成により、電子装置の定期検査
等において、電子部品を取り外しせずにプリント配線板
の外観から各電子部品の発熱状態を熱画像として観測
し、この熱画像の時間的な変化を基にプリント配線板の
劣化検出が行われる。
【0007】請求項2記載のプリント配線板の劣化検出
方法は、請求項1記載のプリント配線板の劣化検出方法
において、前記電子部品を実装したプリント配線板全体
の発熱状態を定期的に熱画像として観測し、各観測時に
おける熱画像に対してフラクタル次元を計算し、このフ
ラクタル次元の時間的な変化傾向から劣化を判定するこ
とを要旨とする。この構成により、定期的に観測した各
熱画像をフラクタル次元計算により定量化し、この定量
化したフラクタル次元の時間的な変化傾向からプリント
配線板の劣化判定が行われる。
【0008】請求項3記載のプリント配線板の劣化検出
方法は、請求項1記載のプリント配線板の劣化検出方法
において、前記電子部品を実装したプリント配線板全体
の発熱状態を定期的に熱画像として観測し、各観測時に
おける熱画像に対してフラクタル次元を計算し、このフ
ラクタル次元を予め求めたプリント配線板の故障状態に
おけるフラクタル次元の判定値と比較することにより劣
化を判定することを要旨とする。この構成により、定期
的に観測した各熱画像をフラクタル次元計算により定量
化し、この定量化したフラクタル次元を予め求めた故障
判定値と比較することで、プリント配線板の劣化判定が
行われる。
【0009】請求項4記載のプリント配線板の劣化検出
装置は、電子部品を実装したプリント配線板もしくは電
子装置に使用されている電子部品を実装したプリント配
線板の劣化を検出する劣化検出装置であって、前記電子
部品を実装したプリント配線板全体の発熱状態を熱画像
として捉える熱画像検出手段と、この熱画像検出手段で
定期的に観測した各熱画像に対してフラクタル次元を計
算するデータ処理手段と、このデータ処理手段で計算さ
れたフラクタル次元の時間的な変化傾向から前記プリン
ト配線板の劣化を判定する劣化判定手段とを有すること
を要旨とする。この構成により、熱画像検出手段で電子
部品を取り外しせずにプリント配線板の外観から各電子
部品の発熱状態を熱画像として観測するとともに、この
熱画像検出手段で定期的に観測した各熱画像に対しデー
タ処理手段でフラクタル次元計算を行って定量化し、劣
化判定手段でこの定量化したフラクタル次元の時間的な
変化傾向からプリント配線板の劣化判定が行われる。
【0010】請求項5記載のプリント配線板の劣化検出
装置は、請求項4記載のプリント配線板の劣化検出装置
において、前記熱画像検出手段は、前記プリント配線板
全体と略同等の大きさで複数の感熱素子が規則的に配置
されたシート状感熱部を備え、このシート状感熱部によ
り前記各電子部品の発熱状態を熱画像として捉えること
を要旨とする。この構成により、電子装置に取り付けら
れた状態のプリント配線板の側方部にシート状感熱部を
挿入することで、プリント配線板上の各電子部品の発熱
状態を熱画像として観測することが可能となる。
【0011】請求項6記載のプリント配線板の劣化検出
装置は、請求項4記載のプリント配線板の劣化検出装置
において、前記熱画像検出手段は、前記プリント配線板
全体の大きさ範囲を移動可能とした赤外線方式の感熱カ
メラを備え、この感熱カメラにより前記各電子部品の発
熱状態を熱画像として捉えることを要旨とする。この構
成により、電子装置に取り付けられた状態のプリント配
線板の側方部に感熱カメラを配置し、その感熱カメラを
プリント配線板全体の大きさ範囲に移動させることで、
プリント配線板上の各電子部品の発熱状態を熱画像とし
て観測することが可能となる。
【0012】請求項7記載のプリント配線板の劣化検出
装置は、請求項4記載のプリント配線板の劣化検出装置
において、前記劣化判定手段は、予め求めたフラクタル
次元の時間的な変化傾向特性を使用して、現時点の劣化
状態と故障が発生する時点の判定値から劣化を判定する
ことを要旨とする。この構成により、現時点の劣化状態
量から劣化の限界である故障発生時点を予知することが
可能となる。
【0013】請求項8記載のプリント配線板の劣化検出
装置は、請求項4記載のプリント配線板の劣化検出装置
において、前記データ処理手段は、観測開始時点の熱画
像を基準として各観測時における熱画像を温度補正し、
環境温度の影響を除去する機能を有することを要旨とす
る。この構成により、各観測時における熱画像データが
温度補正されることで、精度の良い劣化判定が可能とな
る。
【0014】
【発明の実施の形態】本実施の形態の骨子は、電子部品
を取り外しせずにプリント配線板全体の発熱状態を熱画
像で捉える劣化検出装置において、予め熱画像検出手段
である感熱カメラ等を観測しやすい形状に工夫又は加工
して備えておくことにより、経年使用電子装置の定期検
査において電子装置にプリント配線板を実装した状態で
各電子部品の発熱状態を外部から観測可能にするもので
ある。また、プリント配線板の劣化検出機構として熱画
像をフラクタル次元計算により定量化し、予めデータベ
ースに蓄積した時間的な変化の傾向曲線・特性曲線を使
用して劣化判定を容易にするものである。
【0015】以下、本発明の実施の形態を図面を参照し
て詳細に説明する。
【0016】図1は、本発明の第1の実施の形態を示す
図である。同図は、プリント配線板及び熱画像検出手段
であるシート状検出器の構成をそれぞれ示している。本
実施の形態は、プリント配線板に実装された各電子部品
の発熱状態を熱画像として検出するために、電子装置か
ら対象となるプリント配線板を取り外さなくても観測可
能にしたものである。図1(a)において、電子装置1
に電子部品3を実装したプリント配線板2の複数個が装
着されて制御装置等の所要の電子回路が構成されてい
る。図1(b)は、プリント配線板2に実装された電子
部品3の発熱状態を熱画像として捉えるためのシート状
検出器4の電子装置1内への配置態様例を示しており、
シート状検出器4はプリント配線板2の側方部に挿入す
るだけでプリント配線板2全体の観測が可能となってい
る。図1(c)は、シート状検出器4の構成の詳細を示
しており、観測領域であるプリント配線板2全体をカバ
ーする大きさのシート状感熱部5を使用し、シート状感
熱部5の内部に小さく区切られた感熱素子6を規則的に
配置しておくことで、感熱素子6の各部分に異なった熱
温度が検出でき、例えば、アナログ電気信号量7として
得られた情報からその信号量を変換器8で色素変化量に
変換することで熱画像9が得られるようになっている。
このとき、熱画像9の検出精度は感熱素子6の大きさと
熱の感知精度に依存するため、対象物の大きさに合わせ
て選択する。
【0017】したがって、第1の実施の形態によれば、
感熱素子6を規則的に配置したシート状感熱部5を備え
たシート状検出器4を使用することで、電子装置1に取
り付けられた状態のプリント配線板2の側方部にシート
状検出器4を挿入するだけでプリント配線板2全体を観
測して熱画像9として捉えることが可能となり、点検作
業の時間短縮や簡素化が可能となる。
【0018】図2には、本発明の第2の実施の形態を示
す。同図は、熱画像検出手段である赤外線カメラの構成
及び観測画像の処理手順を示している。本実施の形態
は、第1の実施の形態と同様に、プリント配線板に実装
された電子部品の発熱状態を熱画像として検出するため
の検出方法について、電子装置から対象となるプリント
配線板を取り外さなくても観測可能にしたものである。
図2(a)において、観測領域であるプリント配線板全
体をカバーする大きさの枠10に観測用の赤外線カメラ
13を所定の位置で観測できるように、縦軸移動用軸1
1と横軸移動用軸12からなるカメラ移動軸を設けてお
き、観測時には外部の制御装置14からの制御信号で赤
外線カメラ13を各位置に移動させながらプリント配線
板全体の熱画像を観測できるようにしたものである。図
2(b)は、赤外線カメラ13が縦軸移動用軸11を下
から上方向に移動したときの観測画像を処理する手順を
示しており、始めに画像「1」を観測し終わると赤外線
カメラ13が上方向へ移動して次の領域を観測し、順次
観測を繰り返して最上端部分の画像「n」まで移動す
る。各位置で観測した画像は随時出力して、外部に接続
された制御装置内で画像の結合処理を行い、対象となる
プリント配線板全域の熱画像を得る。
【0019】したがって、第2の実施の形態によれば、
対象となるプリント配線板全域に移動できる小型の赤外
線カメラ13を使用することで、電子装置に取り付けら
れた状態のプリント配線板の側方部へ挿入するだけで観
測が可能となり、第1の実施の形態と同様に点検作業の
時間短縮や簡素化が可能になる。
【0020】図3乃至図9には、本発明の第3の実施の
形態を示す。図3は、劣化検出装置の機能ブロックを示
している。図3において、劣化検出装置15には、熱画
像検出部(熱画像検出手段)16、データ処理手段とし
てのデータ処理機構17、劣化判定手段としての劣化判
定部18及びデータベース19が備えられている。デー
タ処理機構17には画像処理部17aとフラクタル次元
計算部17bがある。
【0021】そして、対象となるプリント配線板上の熱
状態aを一定時間ごとに熱画像検出部16に入力し、そ
の対象物の熱状態aを、上記第1の実施の形態又は第2
の実施の形態で示した方法より熱画像データbに変換す
る。熱画像検出部16で変換された熱画像データbはデ
ータ処理機構17に送られ、画像処理部17aで温度補
正などの処理を行い、フラクタル次元計算部17bで熱
画像のフラクタル次元を計算する。計算結果cは劣化判
定部18に送られ、該当プリント配線板の情報や過去の
計算結果・劣化判定値を蓄積したデータベース19の情
報dを使って、劣化判定部18では情報dを基に計算結
果cの劣化状況を判定し、その結果eを出力する。
【0022】ここで、フラクタル次元計算部17bにお
いて熱画像からフラクタル次元を計算するアルゴリズム
は種々発表されているが、本実施の形態における熱画像
データからフラクタル次元を計算したアルゴリズムは次
の通りである。ただし、本発明は以下のアルゴリズムに
限定されるものではなく、フラクタル理論で知られてい
るどのような次元計算アルゴリズムでも利用することが
できる。
【0023】このアルゴリズムは立方体で濃度曲面を被
覆するアルゴリズムである。いま、対象とする画像の濃
度曲面を一辺画素間隔がr画素の立方体で被覆するとき
に必要な個数をN(Rm)とすると、スケールRmによ
らず次式が成立する場合、Hをフラクタル次元と定義す
る。
【0024】 N(Rm)・RMH=C …(1) ただし、Cは定数 (1)式の両辺の対数をとると、
【数1】 log 10N(Rm)=−H・log 10Rm+log 10C …(2) 上式より、複数の標本値(log 10N(Rm),log 10
m)から最小二乗法を用いて回帰直線の傾きを求め、そ
れを−Hの推定値とする。
【0025】熱画像検出部16は、第1の実施の形態又
は第2の実施の形態で説明したように、対象物の熱状態
を測定して熱画像に変換するものである。ここで対象物
は、産業的に利用可能な対象物、例えば電子部品、電子
部品を実装したプリント配線板、各種装置などと材料や
土木建築物なども含む。データ処理機構17の画像処理
部17aは、観測された熱画像データbが計測時の環境
温度などの影響を受けやすいことから、対象となる熱画
像について温度補正処理を行う。この温度補正は次式の
通り、計測温度から周囲温度を引いた値を補正温度とし
て、観測された対象物の領域全てに対して行う。
【0026】 補正温度=計測温度−周囲温度 …(3) なお、温度補正に際して周囲温度を示す基準温度画像を
計測しておけば、対象となる画像領域の計測可能な各ポ
イント点で精度良く補正できる。データ処理機構17の
フラクタル次元計算部17bは、画像処理部17aで補
正された熱画像データに対して(1)式又は(2)式を
用いてフラクタル次元を計算する。ここで、計測される
熱画像のデータは温度量を示しているため、フラクタル
次元計算の濃度曲面を被覆する立方体のスケールRmを
温度換算値にして計算する。例えば、0.1℃を最小ス
ケールとしてその整数倍で被覆するときに必要な個数を
N(Rm)との関係図を作成して、回帰直線の傾きから
求める。図8は、フラクタル次元計算の立方体のスケー
ルRmで被覆する一例で、スケールRmの大きさを変え
ることで被覆個数が変わることを示している。図9は、
図8に示した立方体のスケールRmと被覆個数N(R
m)との関係図の一例を示し、外挿した回帰直線の傾き
からフラクタル次元を求めた一例を示す。
【0027】データベース19では該当プリント配線板
の情報や過去の計算結果・劣化判定値などを蓄積し、劣
化判定部18からの要求によって必要な情報データdを
引き出せるようにしている。ここで、図4は、熱画像が
時間経過とともに変化する形態とフラクタル次元の関係
について説明するための、熱画像の一例を示している。
例えば、電子部品を実装したプリント配線板において、
製造初期の状態は熱画像b1 のように発熱する部品r1
が1個であるが、ある期間使用することでプリント配線
板に実装している他の部品も劣化して発熱点が現れた時
の熱画像b2 と、初期の発熱部品が時間とともに劣化r
3 が進行していく場合の熱画像b3 を示す。どちらの劣
化状態を示すかは、電子装置の使用条件や環境などの条
件によって変わってくる。データベース19では熱画像
1 から熱画像b2 又は熱画像b 3 に変化していく過程
の熱画像データとフラクタル次元の時間的過渡特性を事
前に求めて蓄えておく。このフラクタル次元の時間的過
渡特性グラフの例を図5、図6に示した。図5は、熱画
像b1 から熱画像b3 に変化していく場合の例を示して
おり、ここでは、プリント配線板の通電開始時点からの
フラクタル次元の時間的過渡特性で示しており、製造後
の新品状態t0 、使用期間がt1 ,t2 ,t 3 と進むに
従って電子部品の発熱量が増加して劣化していく状態を
示している。新品状態t0 のプロット点よりt3 時間経
過後のプロット点が上に位置することは、電子部品の劣
化で速く発熱し熱画像b3 のように熱領域も広がってく
るためである。また、図6は、熱画像b1 から熱画像b
2 に変化していく場合の例を示しており、ここでは、プ
リント配線板の通電開始時点からのフラクタル次元の時
間的過渡特性で示した。製造後の新品状態t0 、使用期
間がt1 ,t2 では劣化部品が新たに出現してくること
から熱画像b2 で劣化した部品の熱領域が発生して、到
達するフラクタル次元値が上昇することを示している。
これらの特徴データとして、図5ではフラクタル次元値
A点における時間的過渡特性の到達時間c 1 ,c2 ,c
3 ,c4 をデータベース19に劣化指標データとして蓄
える。図6では時間的過渡特性の時間x点におけるフラ
クタル次元値f0 ,f1 ,f2 を同様してデータベース
19に劣化指標データとして蓄えておく。
【0028】劣化判定部18では、対象物の計測された
熱画像についてデータ処理機構17で温度補正やフラク
タル次元計算された結果のデータから、データベース1
9の蓄積データをもとに劣化状況を判定する。また、劣
化の進行が進み故障に至る前兆と判断された場合、電子
部品や電子装置の交換をアナウンスするなどの是正処置
についても出力するようにしておく。
【0029】図7は、電子装置の定期点検で定期的に計
測された熱画像データをもとに劣化判定した結果をトレ
ンドグラフとして出力した一例である。この図の劣化判
定値S1 と点線の特性カーブは、データベース19に蓄
積したデータを利用して、現在までの劣化状況と今後の
劣化進行傾向を指標として明らかにした例である。
【0030】したがって、第3の実施の形態によれば、
電子部品を実装したプリント配線板の発熱状態を、劣化
検出装置15に熱画像として入力することにより、現時
点の劣化状況と是正処置についてのアドバイスが得ら
れ、画像解析による定量的評価が可能になる。また、時
間的に変化する発熱状況の変化に対してもフラクタル次
元計算で数値化し、グラフで捉えることにより、劣化の
限界判定ラインまでの期間を予知する場合にも適用でき
る。
【0031】
【発明の効果】以上説明したように、請求項1記載のプ
リント配線板の劣化検出方法によれば、電子部品を実装
したプリント配線板全体の発熱状態を熱画像として捉
え、この熱画像の時間的な変化を基に劣化を検出するよ
うにしたため、電子部品を取り外しせずにプリント配線
板の外観から各電子部品の発熱状態を熱画像として観測
し、この熱画像の時間的な変化を基にプリント配線板の
劣化を検出することで、点検作業の時間短縮や簡素化を
達成することができる。
【0032】請求項2記載のプリント配線板の劣化検出
方法によれば、前記電子部品を実装したプリント配線板
全体の発熱状態を定期的に熱画像として観測し、各観測
時における熱画像に対してフラクタル次元を計算し、こ
のフラクタル次元の時間的な変化傾向から劣化を判定す
るようにしたため、定期的に観測した各熱画像をフラク
タル次元で定量評価することで、点検作業者の判断ミス
や作業者毎の判定バラツキ等のヒューマンエラーが解消
して統一化した劣化判定を行うことができる。
【0033】請求項3記載のプリント配線板の劣化検出
方法によれば、前記電子部品を実装したプリント配線板
全体の発熱状態を定期的に熱画像として観測し、各観測
時における熱画像に対してフラクタル次元を計算し、こ
のフラクタル次元を予め求めたプリント配線板の故障状
態におけるフラクタル次元の判定値と比較することによ
り劣化を判定するようにしたため、定量化したフラクタ
ル次元を予め求めた故障判定値と比較することで、劣化
判定をより迅速に行うことができるとともにヒューマン
エラーが解消して統一化した劣化判定を行うことができ
る。
【0034】請求項4記載のプリント配線板の劣化検出
装置によれば、電子部品を実装したプリント配線板全体
の発熱状態を熱画像として捉える熱画像検出手段と、こ
の熱画像検出手段で定期的に観測した各熱画像に対して
フラクタル次元を計算するデータ処理手段と、このデー
タ処理手段で計算されたフラクタル次元の時間的な変化
傾向から前記プリント配線板の劣化を判定する劣化判定
手段とを具備させたため、電子部品を取り外しせずにプ
リント配線板の外観から各電子部品の発熱状態を熱画像
として観測するとともに、定期的に観測した各熱画像を
フラクタル次元で定量評価することで、点検作業の時間
短縮や簡素化を達成することができるとともに、ヒュー
マンエラーが解消して統一化した劣化判定を行うことが
できる。
【0035】請求項5記載のプリント配線板の劣化検出
装置によれば、前記熱画像検出手段は、前記プリント配
線板全体と略同等の大きさで複数の感熱素子が規則的に
配置されたシート状感熱部を備え、このシート状感熱部
により前記各電子部品の発熱状態を熱画像として捉える
ようにしたため、電子装置に取り付けられた状態のプリ
ント配線板の側方部にシート状感熱部を挿入すること
で、プリント配線板上の各電子部品の発熱状態を熱画像
として容易に観測することができる。
【0036】請求項6記載のプリント配線板の劣化検出
装置によれば、前記熱画像検出手段は、前記プリント配
線板全体の大きさ範囲を移動可能とした赤外線方式の感
熱カメラを備え、この感熱カメラにより前記各電子部品
の発熱状態を熱画像として捉えるようにしたため、電子
装置に取り付けられた状態のプリント配線板の側方部に
感熱カメラを配置し、その感熱カメラをプリント配線板
全体の大きさ範囲に移動させることで、プリント配線板
上の各電子部品の発熱状態を熱画像として容易に観測す
ることができる。
【0037】請求項7記載のプリント配線板の劣化検出
装置によれば、前記劣化判定手段は、予め求めたフラク
タル次元の時間的な変化傾向特性を使用して、現時点の
劣化状態と故障が発生する時点の判定値から劣化を判定
するようにしたため、ヒューマンエラーの解消とともに
現時点の劣化状態量から劣化の限界である故障発生時点
を予知することができる。
【0038】請求項8記載のプリント配線板の劣化検出
装置によれば、前記データ処理手段は、観測開始時点の
熱画像を基準として各観測時における熱画像を温度補正
し、環境温度の影響を除去する機能を有するようにした
ため、環境温度の影響が除去されて、精度の良い劣化判
定を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施の形態であるプリント配線
板の劣化検出装置におけるプリント配線板及びシート状
検出器の構成を示す図である。
【図2】本発明の第2の実施の形態における赤外線カメ
ラ及び観測画像の処理手順を示す図である。
【図3】本発明の第3の実施の形態における劣化検出装
置のブロック図である。
【図4】本発明の第3の実施の形態において熱画像の変
化例を示す図である。
【図5】本発明の第3の実施の形態において電子部品の
劣化に伴って発熱が増加する場合のフラクタル次元の過
渡特性を示す図である。
【図6】本発明の第3の実施の形態において劣化電子部
品が新たに出現する場合のフラクタル次元の過渡特性を
示す図である。
【図7】本発明の第3の実施の形態において定期的に観
測した熱画像を基に判定した劣化状況例を示す図であ
る。
【図8】本発明の第3の実施の形態におけるフラクタル
次元計算を説明するための図である。
【図9】本発明の第3の実施の形態におけるフラクタル
次元計算においてスケールと被覆個数の関係を示す図で
ある。
【符号の説明】
1 電子装置 2 プリント配線板 3 電子部品 4 シート状検出器(熱画像検出手段) 5 シート状感熱部 6 感熱素子 9 熱画像 11,12 カメラ移動軸 13 赤外線カメラ(熱画像検出手段) 15 劣化検出装置 17 データ処理機構(データ処理手段) 18 劣化判定部(劣化判定手段)

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 電子部品を実装したプリント配線板もし
    くは電子装置に使用されている電子部品を実装したプリ
    ント配線板の劣化を検出する劣化検出方法であって、前
    記電子部品を実装したプリント配線板全体の発熱状態を
    熱画像として捉え、この熱画像の時間的な変化を基に劣
    化を検出することを特徴とするプリント配線板の劣化検
    出方法。
  2. 【請求項2】 前記電子部品を実装したプリント配線板
    全体の発熱状態を定期的に熱画像として観測し、各観測
    時における熱画像に対してフラクタル次元を計算し、こ
    のフラクタル次元の時間的な変化傾向から劣化を判定す
    ることを特徴とする請求項1記載のプリント配線板の劣
    化検出方法。
  3. 【請求項3】 前記電子部品を実装したプリント配線板
    全体の発熱状態を定期的に熱画像として観測し、各観測
    時における熱画像に対してフラクタル次元を計算し、こ
    のフラクタル次元を予め求めたプリント配線板の故障状
    態におけるフラクタル次元の判定値と比較することによ
    り劣化を判定することを特徴とする請求項1記載のプリ
    ント配線板の劣化検出方法。
  4. 【請求項4】 電子部品を実装したプリント配線板もし
    くは電子装置に使用されている電子部品を実装したプリ
    ント配線板の劣化を検出する劣化検出装置であって、前
    記電子部品を実装したプリント配線板全体の発熱状態を
    熱画像として捉える熱画像検出手段と、この熱画像検出
    手段で定期的に観測した各熱画像に対してフラクタル次
    元を計算するデータ処理手段と、このデータ処理手段で
    計算されたフラクタル次元の時間的な変化傾向から前記
    プリント配線板の劣化を判定する劣化判定手段とを有す
    ることを特徴とするプリント配線板の劣化検出装置。
  5. 【請求項5】 前記熱画像検出手段は、前記プリント配
    線板全体と略同等の大きさで複数の感熱素子が規則的に
    配置されたシート状感熱部を備え、このシート状感熱部
    により前記各電子部品の発熱状態を熱画像として捉える
    ことを特徴とする請求項4記載のプリント配線板の劣化
    検出装置。
  6. 【請求項6】 前記熱画像検出手段は、前記プリント配
    線板全体の大きさ範囲を移動可能とした赤外線方式の感
    熱カメラを備え、この感熱カメラにより前記各電子部品
    の発熱状態を熱画像として捉えることを特徴とする請求
    項4記載のプリント配線板の劣化検出装置。
  7. 【請求項7】 前記劣化判定手段は、予め求めたフラク
    タル次元の時間的な変化傾向特性を使用して、現時点の
    劣化状態と故障が発生する時点の判定値から劣化を判定
    することを特徴とする請求項4記載のプリント配線板の
    劣化検出装置。
  8. 【請求項8】 前記データ処理手段は、観測開始時点の
    熱画像を基準として各観測時における熱画像を温度補正
    し、環境温度の影響を除去する機能を有することを特徴
    とする請求項4記載のプリント配線板の劣化検出装置。
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